説明

センサ角度の測定方法

【課題】簡便な構成により曲折部における加工品位を向上させることができるセンサ角度の測定方法を提供する。
【解決手段】ワーク3上の各教示点Pi及び対応する追加点Qiにセンサ4を順次位置させ、センサ4でワーク3までの距離を計測して各教示点Piにおけるセンサ4のワーク3に対する角度を測定する際に、溶接線13がワーク3の曲折部10の前後にわたる場合、各教示点Piに対応する追加点Qiを、教示点Piが、曲折部10に至る直前の加工ライン13についての最後の教示点Pmでない場合には当該教示点Piの前方に位置させ、最後の教示点Pmである場合にはその後方に位置する追加点Qmとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク上の加工ラインに沿った各教示点における幾何学量の計測を行うためのセンサについて、各教示点におけるワークに対する角度を測定するセンサ角度の測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークの加工ラインに沿った各点における幾何学量を計測するためのセンサとして、溶接ロボットが保持する溶接トーチに取り付けられたレーザセンサが知られている(例えば、特許文献1参照)。このレーザセンサは、アルミニウム等の部材の溶接に際し、溶接継手の形状を検出するために用いられる。この検出結果に応じて溶接電流のEN比率が調整され、被溶接物への入熱量が制御される。
【0003】
また、溶接ロボットにより二輪車のアルミフレームの溶接を行う場合には、溶接ビードの外観の美しさが求められるので、修正のない確実な溶接を行う必要がある。このため、各教示点(ティーチングポイント)において、溶接継手におけるワーク間のギャップを、溶接トーチに固定されたレーザセンサで計測し、この計測結果に応じて溶接狙い位置や溶接条件を最適化するようにしている。
【0004】
このギャップの計測に際しては、正確な計測を行うために、ワーク面に対してレーザセンサの計測方向が垂直となるようにする必要がある。したがって、ギャップ計測のために溶接トーチとともにレーザセンサが教示点に移動したとき、ギャップ計測に先立ち、レーザセンサの姿勢が補正され、レーザセンサの測定方向がワーク面に対して垂直となるように制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−259838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、溶接ロボットの姿勢の変化等により、ワークに対するレーザセンサの姿勢が、教示されたときの姿勢から変化している場合もあり得る。そこで、この変化を考慮してレーザセンサの姿勢を制御するために、定期的に、各教示点において、ワークに対するレーザセンサの角度を測定し、この測定結果を考慮して、レーザセンサの姿勢を制御することが考えられる。
【0007】
この場合、溶接方向がツール座標系のx軸の正方向となるように設定され、レーザセンサが変位センサであるとすれば、溶接方向に垂直なy軸の周りのワーク面に対するレーザセンサの角度Ryは、次のようにして測定することができる。
【0008】
すなわち、まず、対象とする教示点にレーザセンサを位置させてワークまでの距離z1をレーザセンサで計測する。次に、x軸方向に所定距離x1だけレーザセンサを移動させ、ワークまでの距離z2をレーザセンサで計測する。そして、角度Ryを、Ry=Atan((z2−z1)/x1)により算出する。
【0009】
しかしながら、このレーザセンサの角度の測定方法によれば、溶接線がワーク上の曲折部を横切っている場合、曲折部へ移行する直前の溶接線部分について教示点を設定することができない。レーザセンサを、その教示点から所定距離x1だけ前方に移動させて距離を計測すると、曲折部までの距離を測定することになるので、その教示点での角度を測定できないからである。
【0010】
この場合、ワーク上の曲折部に移行する直前の溶接線部分についてギャップ計測が行われない。このため、曲折部における溶接を円弧補間等によって行う場合に、曲折部における溶接狙い位置や溶接条件の設定を正確に行うことができないので、加工品位を向上させることができない。レーザセンサとして3次元センサを使用し、上述の距離z2の計測を不要とすることも考えられるが、そうすると、装置のコストを増大させることになる。
【0011】
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、簡便な構成により曲折部における加工品位を向上させることができるセンサ角度の測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のセンサ角度測定方法は、ワーク上の加工ラインに沿って設定された各教示点及び該教示点に対応する追加点に、該ワークの加工に必要な該加工ラインの各教示点における所定の幾何学量を計測するためのセンサを順次位置させながら、該センサにより該ワークまでの距離を計測する計測工程と、前記計測工程での計測結果に基づき、各教示点における前記センサの前記ワークに対する角度を算出する算出工程とを備え、前記ワークは、曲折部を介して連続する第1ワーク部分及び第2ワーク部分を有し、前記加工ラインは、加工順に前記第1ワーク部分上の第1加工ライン、前記曲折部上の曲折部加工ライン、及び前記第2ワーク部分上の第2加工ラインを有し、各教示点に対応する追加点は、該教示点が、前記第1加工ラインについての最後のものでない場合は、該教示点の前方に位置し、最後のものである場合には、該教示点の後方に位置することを特徴とする。
【0013】
この方法において、各教示点でのワークに対するセンサの角度は、その教示点及びこれに対応する前方の追加点でのワークまでの距離の計測結果に基づいて算出される。ただし、第1加工ラインについての最後の教示点での角度は、該教示点及びその後方に位置する追加点での計測値に基づいて算出される。
【0014】
したがって、センサとしてコストのかからない変位センサを用い、該最後の教示点が、曲折部に至る直前の第1加工ラインの部分についてのものであっても、支障なく、該最後の教示点におけるセンサの角度を測定することができる。
【0015】
これによれば、第1加工ラインについての最後の教示点の位置を、第1加工ラインが曲折部に至る直前の位置とし、第2加工ラインについての最初の教示点の位置を、加工ラインが曲折部を通過した直後の位置とすることにより、曲折部加工ラインの直前直後におけるセンサの角度を測定することができる。
【0016】
したがって、ワークに対するセンサの角度は、各教示点の設定時における該角度から変動するおそれがあるが、変動した場合でも、曲折部加工ラインの直前直後のセンサ角度の測定結果を考慮して、曲折部加工ラインの直前直後における加工ラインの幾何学量の計測を正確に行うことができる。この計測結果に基づき、曲折部加工ラインに沿った加工を円弧補間等により行う場合でも、加工狙い位置や加工条件の設定を正確に行い、加工品位を向上させることができる。
【0017】
本発明においては、前記曲折部は、前記第1ワーク部分及び第2ワーク部分に滑らかに連続する湾曲部分を有し、前記曲折部加工ラインは前記湾曲部分に存在し、前記最後の教示点は、前記曲折部加工ラインへ移行する直前の前記第1加工ラインの部分についてのものであり、前記第2加工ラインについての最初の前記教示点は、前記曲折部加工ラインから移行した直後の該第2加工ラインの部分についてのものであってもよい。
【0018】
これによれば、曲折部加工ラインの直前直後の教示点におけるセンサ角度の測定結果を考慮することにより、該教示点における加工ラインの幾何学量の計測を正確に行うことができる。さらに、この計測結果に基づき、曲折部加工ラインについての円弧補間等を利用した加工を正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る溶接ロボットシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1のシステムにより溶接されるワークの継手部分の断面図である。
【図3】図1のシステムにおける処理の一部を示すフローチャートである。
【図4】図3の処理フロー中のレーザセンサの角度を測定する処理における測定の様子を示す図である。
【図5】図3の処理フローにおける開先形状をセンシングする処理において計測される事項を示す図である。
【図6】図3の処理フローにおけるレーザセンサの角度を測定する処理において行われる角度測定方法を示す図である。
【図7】図1のシステムにより溶接されるワーク上の各教示点及び対応する追加点の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る溶接ロボットシステムの構成を示すブロック図である。
【0021】
同図に示すように、このシステムは、システムの各部を制御する制御部1と、制御部1とのインタフェースとして機能する操作部2と、ワーク3の開先についての計測を行うためのレーザセンサ4と、アーク溶接によりワーク3の溶接を行うための溶接トーチ5と、溶接トーチ5に溶接電流を供給する溶接電源6と、溶接トーチ5に溶接用ワイヤを供給するワイヤ供給部7と、溶接トーチ5にシールドガスを供給するガス供給部8と、ワーク3や、レーザセンサ4、溶接トーチ5を保持して動かすマニピュレータ9とを備える。
【0022】
マニピュレータ9は2台のロボット本体により構成される。一方のロボット本体によりレーザセンサ4及び溶接トーチ5が操作される。他方のロボット本体によりワーク3が操作される。すなわち、制御部1は、2台のロボット本体を協調させて溶接作業を行う。
【0023】
図2は、溶接線に垂直な面で切断したワーク3の継手部分の断面図である。図2に示すように、ワーク3は、溶接される端部の近傍に段差部31aが設けられたワーク31と、段差のないワーク32とからなる。溶接は、段差部31aによって表面よりレベルが下がったワーク31の端部31cにワーク32の端部を重ね、ワーク31及び32の表面がほぼ同一面上に位置するようにして行われる。すなわち、溶接継手はせぎり継手となっている。
【0024】
溶接に際しては、ティーチングによりワーク3の加工ラインとしての溶接線に沿って設定された各教示点におけるギャップG1及びギャップG2が計測される。ギャップG1は、段差部31a表面のワーク32側端部31bとワーク32の端部32aとの間の、ワーク31及び32の表面に沿った方向の距離である。ギャップG2は、ワーク32とワーク31の端部31cとの間の、ワーク31及び32の表面に垂直な方向の距離である。
【0025】
ギャップG1及びG2の計測は、ワーク3上の溶接線に沿った各教示点に溶接トーチ5を順次移動させながら、レーザセンサ4により行われる。この計測は、レーザセンサ4をワーク3上の各教示点における表面に対し垂直となるようにして、正確に行う必要がある。この測定結果に基づいて、溶接線が補正されるとともに、各種溶接条件が設定されるからである。
【0026】
ただし、ツール座標系やワーク座標系はマニピュレータ9の姿勢の変動等により変化するおそれがある。したがって、この変化を考慮しないと、レーザセンサ4をワーク3上の計測対象面に垂直となるように制御できず、ギャップG1及びG2の測定を正確に行うことができない。
【0027】
そこで、定期的に、ワーク3に対するレーザセンサ4の角度を各教示点において測定し、その測定結果を、ギャップG1及びG2の計測時におけるレーザセンサ4の姿勢制御に反映するようにしている。なお、この測定結果は、溶接時におけるレーザセンサ4の姿勢制御にも反映される。
【0028】
図3は、図1のシステムにおける処理の一部を示すフローチャートである。上述のレーザセンサ4のワーク3に対する角度の測定から溶接条件の設定までの処理が示されている。この処理は制御部1により行われる。
【0029】
処理を開始すると、制御部1は、まず、ステップS1において、ワーク3に対するレーザセンサ4の角度の測定を実行するか否かを判定する。この角度の測定は、例えば、ワーク3のロットが変わるときや、溶接ロボットシステムの日毎の稼動開始時等の定期的なタイミングで行われる。このタイミングに合致するときは、ステップS2へ進み、レーザセンサ4の角度の測定を実行する。合致しないときは、ステップS3へ進む。
【0030】
図4は、ステップS2においてレーザセンサ4の角度を測定する様子を示す。図4に示すように、レーザセンサ4の角度の測定は、ワーク3上の溶接線に沿った各教示点Pi(i=1、・・・、n−1、n、n+1、・・・)に、溶接トーチ5に固定されたレーザセンサ4を順次移動させながら、各教示点Piにおいて行う。
【0031】
測定するレーザセンサ4のワーク3に対する角度は、溶接方向をX軸の正方向とし、これに直交する方向をY軸、ワーク3面に垂直な方向をZ軸とする右手系を考えると、X軸周りの角度Rx及びY軸周りの角度Ryである。
【0032】
角度Rxは、Y軸方向に沿ったワーク3の外形をレーザセンサ4によって計測することにより測定することができる。角度Ryの測定については後述する。このレーザセンサ4の角度の測定を完了すると、ステップS3へ進む。
【0033】
ステップ3では、各教示点Piにおける開先の断面をレーザセンサ4によりセンシングし、上述のギャップG1及びG2の計測を行う。この計測は、レーザセンサ4を各教示点Piに順次移動させながら、各教示点Piにおいて行う。
【0034】
すなわち、各教示点Piにおいては、まず、ステップS2で測定した該教示点Piにおけるレーザセンサ4のX軸周りの角度Rx及びY軸周りの角度Ryを参照し、レーザセンサ4がワーク3に垂直となるように、レーザセンサ4のX軸周り及びY軸周りの角度を補正する。次に、レーザセンサ4により、該教示点Piにおける開先の形状をY軸方向に走査してセンシングする。
【0035】
図5はこのセンシングにより計測される事項を示す。図5に示すように、レーザセンサ4で開先形状をセンシングすることにより計測される事項は、上述の図2で示したギャップG1及びG2である。また併せて、溶接トーチ5の先端と、段差部31a表面のワーク32側端部31bとのY軸方向及びZ軸方向の距離ΔY及びΔZが計測される。
【0036】
次に、ステップS4において、溶接線の位置を補正する。すなわち、ステップS3で得られた各教示点PiにおけるギャップG1及びG2並びに距離ΔY及びΔZの計測値に基づいて、各教示点Piにおいて溶接トーチ5の先端を位置づけるべき最適な溶接狙い位置を決定する。
【0037】
次に、ステップS5において、溶接条件を補正する。すなわち、ステップS3で得られた各教示点PiにおけるギャップG1及びG2の計測値を考慮し、各教示点Piにおける最適な溶接条件を決定する。溶接条件としては、例えば、溶接電流、EN比率、ウィービング振幅φ、及びウィービング角が該当する。これにより、図3の処理を終了する。
【0038】
図3の処理が終了した後、ステップS4及びS5で補正された溶接狙い位置及び溶接条件に従い、ワーク3の溶接が行われる。この溶接に際しては、ステップS2で測定したレーザセンサ4の角度を参照しながら、溶接トーチ5の姿勢が補正される。
【0039】
図6は、上述のステップS2における角度Ryの測定方法を示す。図6に示すように、各教示点Piにおいて、ワーク3に対するレーザセンサ4のY軸周りの角度Ryを測定するに際しては、まず、教示点Piにレーザセンサ4を位置させ、レーザセンサ4によりワーク3までの距離z1を計測する。
【0040】
次に、教示点Piに対応する追加点Qiにレーザセンサ4を位置させ、レーザセンサ4によりワーク3までの距離z2を計測する。追加点Qiは、ツール座標系のx軸方向に移動した点であり、ティーチング時に追加的に設定されたものである。そして、計測した距離z1及びz2の差をΔzとし、教示点Piから追加点Qiまでの距離をx1とすれば、角度Ryは、Ry=Atan(Δz/x1)により得ることができる。
【0041】
図7は、各教示点Pi及び対応する追加点Qiの配置を例示する。図7に示すように、ワーク3は、曲折部10を介して接続している平板状の第1ワーク部分11及び第2ワーク部分12を有する。曲折部10は、第1ワーク部分11及び第2ワーク部分12に滑らかに接続する部分円筒状の部分により構成される。
【0042】
すなわち、曲折部10は、第1ワーク部分11及び第2ワーク部分12に垂直な断面が円弧形状を有し、該円弧の中心と該断面における第1ワーク部分11及び第2ワーク部分12の各端部とを結ぶ線が、該円弧の中心角θをなしている。
【0043】
ワーク3上の溶接線13は、第1ワーク部分11から曲折部10を経て第2ワーク部分12にわたって存在し、かつ第1ワーク部分11及び第2ワーク部分12に垂直な断面上に位置する。すなわち、溶接線13は、第1ワーク部分11上に存在する溶接線部分13a(第1加工ライン)、曲折部10上に存在する溶接線部分13b(曲折部加工ライン)、及び第2ワーク部分12に存在する溶接線部分13c(第2加工ライン)を有する。この溶接線部分13a〜13cの順で溶接が行われる。
【0044】
教示点Piが、溶接線部分13aについての最後のものでない場合、該教示点Piに対応する追加点Qiは、該教示点Piの前方に存在する。教示点Piが、溶接線部分13aにおける最後のm番目(i=m)の教示点Pmである場合には、対応する追加点Qmは、該教示点Pmの後方に存在する。
【0045】
最後の教示点Pmにおけるレーザセンサ4のワーク3に対するY軸周りの角度Ryの測定は、該最後のPmにおいてワーク3までの距離z1を測定し、その後、該追加点Qmにレーザセンサ4を移動させて、ワーク3までの距離z2を計測することにより行われる。したがって、最後の教示点Pmを、曲折部10上の溶接線部分13bに移行する直前の溶接線部分13a上の位置について設定することができる。
【0046】
この場合、溶接線部分13cについての最初の教示点Pm+1の位置を、溶接線部分13bから移行した直後の溶接線部分13c上の位置について設定することにより、溶接線部分13bの直前直後におけるワーク3に対するレーザセンサ4のY軸周りの角度Ryを測定することができる。
【0047】
これによれば、曲折部10上の溶接線部分13bの直前直後で測定されたレーザセンサ4の角度Ryに基づき、上述のステップS3において、溶接線部分13bの直前直後で、レーザセンサ4の姿勢をワーク3に垂直となるように制御し、ギャップG1等の幾何学量の計測を正確に行うことができる。
【0048】
なお、曲折部10の溶接線部分13b上には教示点は設定されず、ギャップG1及びG2の計測は行われない。溶接線部分13bにおける溶接狙い位置や溶接条件は、溶接線部分13bの直前直後の教示点Pm及びPm+1におけるセンシング結果に基づき、円弧補間等により決定される。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、教示点Piに対応する追加点Qiは、教示点Piが、第1ワーク部分11上に存在する溶接線部分13aについての最後の教示点Pmでない場合は、教示点Piの前方に存在し、最後の教示点Pmである場合には、該教示点Pmの後方に存在するので、溶接線部分13aについての最後の教示点Pmが、曲折部10に至る直前の溶接線13部分に位置する場合でも、支障なく、該最後の教示点Pmおけるレーザセンサ4の角度Ryを測定することができる。
【0050】
したがって、曲折部10の直前直後の溶接線13部分についての教示点Pm及びPm+1におけるレーザセンサ4の角度Ryの測定結果に基づき、教示点Pm及びPm+1において、レーザセンサ4のワーク3に対する角度を垂直となるように正確に制御し、ギャップG1等の計測を正確に行うことができる。
【0051】
したがって、第1ワーク部分11から曲折部10を経て第2ワーク部分12にかけて存在する溶接線13に沿って連続的な溶接を行うとき、曲折部10上の溶接線13に沿った部分についても、溶接狙い位置や溶接条件を正確に設定し、高品位な溶接を行うことができる。
【0052】
なお、本発明は上述実施形態に限定されない。例えば、上述においては、ワークを溶接する場合の溶接線についてのセンシングを行うセンサの角度の測定に本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限定されず、ワークを研削したり、塗装したりする場合の加工ラインについてのセンシングを行うセンサの角度を測定する場合についても適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
3…ワーク、13…溶接線(加工ライン)、Pi…教示点、Qi…追加点、4…レーザセンサ、10…曲折部、11…第1ワーク部分、12…第2ワーク部分、13a…溶接線部分(第1加工ライン)、13b…溶接線部分(曲折部加工ライン)、13c…溶接線部分(第2加工ライン)、Pm…最後の教示点、Pm+1…最初の教示点。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク上の加工ラインに沿って設定された各教示点及び該教示点に対応する追加点に、該ワークの加工に必要な該加工ラインの各教示点における所定の幾何学量を計測するためのセンサを順次位置させながら、該センサにより該ワークまでの距離を計測する計測工程と、
前記計測工程での計測結果に基づき、各教示点における前記センサの前記ワークに対する角度を算出する算出工程とを備え、
前記ワークは、曲折部を介して連続する第1ワーク部分及び第2ワーク部分を有し、
前記加工ラインは、加工順に前記第1ワーク部分上の第1加工ライン、前記曲折部上の曲折部加工ライン、及び前記第2ワーク部分上の第2加工ラインを有し、
各教示点に対応する追加点は、該教示点が、前記第1加工ラインについての最後のものでない場合は、該教示点の前方に位置し、最後のものである場合には、該教示点の後方に位置することを特徴とするセンサ角度の測定方法。
【請求項2】
前記曲折部は、前記第1ワーク部分及び第2ワーク部分に滑らかに連続する湾曲部分を有し、
前記曲折部加工ラインは前記湾曲部分に存在し、
前記最後の教示点は、前記曲折部加工ラインへ移行する直前の前記第1加工ラインの部分についてのものであり、
前記第2加工ラインについての最初の前記教示点は、前記曲折部加工ラインから移行した直後の該第2加工ラインの部分についてのものであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ角度の測定方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−251790(P2012−251790A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122589(P2011−122589)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】