説明

ソルダペーストおよびフラックス

【課題】リフローハンダ付け法において、加熱だれを抑制することができるソルダペーストおよびフラックスを提供する。
【解決手段】ソルダペーストは、ハンダ粉末と、樹脂成分、溶剤成分、活性剤、チキソ剤および添加剤を含むフラックスとを含む。添加剤は、式(1)または式(2)に示す加熱だれ抑制成分を含む。
【化1】


(式中、R10は炭素数14以上の脂肪族炭化水素基である。R11は炭化水素基である。)
【化2】


(式中、R12は炭化水素基である。R13は炭化水素基である。R20は炭素数14以上の脂肪族炭化水素基である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ソルダペーストおよびフラックスに関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装技術では、ソルダペーストを用いて、リフローハンダ付け法などにより、ハンダ付けが行われる。このリフローハンダ付け法では、基板の電極上に、ソルダペーストをスクリーン印刷法により供給した後、リフロー炉に通して加熱しハンダ付けが行われる。リフロー炉では、プリヒートと称する予備加熱と、その後、メインヒートと称するハンダ粉末を溶融させるために行う本加熱が行われる。
【0003】
ソルダペーストは、ハンダ粉末を液状のフラックス中に分散させたペースト状のものであり、組成や性状などが異なる種々のソルダペーストが開発されている。リフローハンダ付け法では、このソルダペーストが、基板に供給された後、プリヒートの際に軟化し、加熱だれが生じる場合がある。加熱だれが大きいと、ハンダボールの形成やハンダブリッジの形成により、基板不良が生じてしまう問題がある。
【0004】
この問題に対して、様々な技術が提案されている。例えば、「クリームはんだ」と題する特許文献1には、次の記載がある。クリームはんだのチクソ剤として、高級脂肪族モノカルボン酸、多塩基酸およびジアミンを脱水反応せしめて得られるワックス状物を用いる。このワックス状物をチクソ剤として用いたクリームはんだは非常によい印刷性を示し、また、予備加熱時にダレを起こさないので、リフローの時のはんだボールの発生がほとんどみられない。
【0005】
また、特許文献1の実施例1〜実施例5では、ステアリン酸、セバシン酸およびエチレンジアミンの反応物を作製している。実施例6において、これらの反応物と、重合ロジン、α−テルピネール、ヘキシルカルビトール、シクロヘキシルアミンHBr塩とを加熱容器に仕込み、加熱溶融後取り出して、冷却することによりフラックスを作製している。実施例7において、球径250〜325メッシュのSn/Pb(63/37)ハンダ粉末450gと実施例6で得られたそれぞれのフラックス50gを混合してクリームハンダを得ている。実施例8において、クリームハンダの評価を行っている。クリームハンダの評価では、150℃×30秒の条件で予備加熱を行い、この条件において、予備加熱時のだれが生じないと評価している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−75894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、環境問題等から融点がSn−Pb系のハンダ粉末より高い、鉛フリーハンダ粉末を含むソルダペーストが用いられている。この鉛フリーハンダ粉末を含むソルダペーストを用いたリフローハンダ付けでは、特許文献1の予備加熱温度より高温条件下(例えば190℃程度)で、プリヒートが行われるため、このような高温条件下のプリヒートでも、加熱だれが生じないソルダペーストが求められている。
【0008】
したがって、この発明の目的は、リフローハンダ付け法において、ソルダペーストの加熱だれを抑制することができるソルダペーストおよびフラックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、ハンダ粉末と、添加剤を含むフラックスとを含み、添加剤は、式(1)または式(2)に示す加熱だれ抑制成分を含むソルダペーストである。
【化1】

【化2】

(式中、R12は炭化水素基である。R13は炭化水素基である。R20は炭素数14以上の炭化水素基である。)
【0010】
第2の発明は、添加剤を含み、添加剤は、式(1)または式(2)に示す加熱だれ抑制成分を含むフラックスである。
【化3】

(式中、R10は炭素数14以上の炭化水素基である。R11は炭化水素基である。)
【化4】

(式中、R12は炭化水素基である。R13は炭化水素基である。R20は炭素数14以上の炭化水素基である。)
【0011】
第1の発明および第2の発明では、フラックス中に、式(1)または式(2)に示す加熱だれ抑制成分を含む添加剤を含む。これにより、リフローハンダ付け法において、ソルダペーストの加熱だれを抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、リフローハンダ付け法において、加熱だれを抑制することができるソルダペーストおよびフラックスを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】サンプル1のDSC測定の結果を示すグラフである。
【図2】サンプル2のDSC測定の結果を示すグラフである。
【図3】サンプル3のDSC測定の結果を示すグラフである。
【図4】サンプル4のDSC測定の結果を示すグラフである。
【図5】サンプル5のDSC測定の結果を示すグラフである。
【図6】サンプル6およびサンプル7のDSC測定の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(ソルダペーストの第1の例)
2.第2の実施の形態(ソルダペーストの第2の例)
3.他の実施の形態(変形例)
【0015】
1.第1の実施の形態
(ソルダペーストの構成)
この発明の第1の実施の形態によるソルダペーストについて説明する。このソルダペーストは、ハンダ粉末と、樹脂成分、溶剤成分、活性剤、チキソ剤および添加剤を含むフラックスとを含む。
【0016】
(ハンダ粉末)
ハンダ粉末としては、Sn−Pb系ハンダ粉末、鉛フリーハンダ粉末などが挙げられる。Sn−Pb系ハンダ粉末としては、具体的には、Sn−Pbハンダ粉末などが挙げられる。鉛フリーハンダ粉末としては、Sn−Ag−Cuハンダ粉末(融点218℃程度)、Sn−Agハンダ粉末(融点221℃程度)、Sn−Cuハンダ粉末(融点227℃程度)などが挙げられる。鉛フリーハンダ粉末は、融点が高いので、例えば、170℃〜190℃でプリヒートが行われる。
【0017】
(フラックス)
フラックスは、樹脂成分、溶剤成分、活性剤、チキソ剤および添加剤を含む。
【0018】
(樹脂成分)
樹脂成分としては、ロジンが挙げられる。ロジンとしては天然ロジン、重合ロジンや水添加ロジン、酸変性ロジン等のロジン誘導体などが挙げられる。
【0019】
(溶剤成分)
溶剤成分としては、通常のソルダペーストに用いられているものが挙げられる。例えば、ヘキシルカルビトール(沸点:260℃)、ブチルカルビトール(沸点:230℃)、エチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0020】
(活性剤)
活性剤としては、例えば、有機アミンのハロゲン化水素酸塩、有機酸などが挙げられる。有機アミンのハロゲン化水素酸塩としては、具体的に、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミン臭化水素酸塩、モノエタノールアミン臭化水素酸塩などが挙げられる。また、有機酸としては、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、セバシン酸などが挙げられる。
【0021】
(チキソ剤)
チキソ剤としては、水素添加ヒマシ油、脂肪酸アマイド類、オキシ脂肪酸類水添ヒマシ油などが挙げられる。
【0022】
(添加剤)
添加剤は、溶媒としてビスアマイドを用いた、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、脂環式ジアミンなどのジアミンと、炭素数16以上の多塩基酸およびその無水物との縮合反応の生成物を含む。
【0023】
(ジアミン)
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。芳香族ジアミンとしては、例えば、p−キシレンジアミンなどが挙げられる。脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ビス(シクロヘキシルアミン)などが挙げられる。
【0024】
(多塩基酸)
炭素数16以上の多塩基酸としては、エイコサン二酸、8,13−ジメチルエイコサン二酸、8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエン二酸などが挙げられる。炭素数16以上の多塩基酸の無水物としては、ポリエイコサン二酸無水物、8,13−ジメチル−8,12−エイコサジエン二酸無水物などが挙げられる。
【0025】
(溶媒)
ビスアマイドとしては、飽和脂肪酸ビスアマイド、不飽和脂肪酸ビスアマイド、芳香族ビスアマイドなどが挙げられる。より具体的には、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド、m−キシレンビスヒドロキシステアリン酸アマイドなどが挙げられる。
【0026】
(生成物)
以下に示すように、溶媒としてのビスアマイド(例えば、式(10)に示すエチレンビスステアリン酸アマイド)を用いて、式(3)に示す多塩基酸または式(4)に示す多塩基酸無水物と、式(5)に示すジアミンと、の縮合反応により、式(1)に示すポリアミド化合物を得られる。式(1)に示すポリアミド化合物が、この添加剤の加熱だれ抑制成分である。
【0027】
【化5】

【0028】
添加剤は式(1)に示すポリアミド化合物を含む。この添加剤を含むフラックスとハンダ粉末とを含むソルダペーストは、リフローハンダ付け法において、加熱だれが抑制される。なお、この添加剤は、特に、高温でのプリヒートが必要となる、鉛フリーハンダを含むソルダペーストに添加することが好ましい。
【0029】
(添加剤具体例)
一例として、溶媒として式(10)に示すエチレンビスステアリン酸アマイドを用い、式(11)に示すエイコサン二酸と、式(12)に示すエチレンジアミンとの合成により得た添加剤を説明する。
【0030】
この合成により得た添加剤は、以下に示す、式(11)に示すエイコサン二酸と、式(12)に示すエチレンジアミンとの脱水縮合反応により生成された式(13)に示すポリアミド化合物を含む。この添加剤において、式(13)に示すポリアミド化合物が、加熱だれ抑制成分である。
【0031】
【化6】

【0032】
添加剤は式(13)に示すポリアミド化合物を含む。この添加剤を含むフラックスとハンダ粉末とを含むソルダペーストは、リフローハンダ付け法において、加熱だれが抑制される。
【0033】
<効果>
この発明の第1の実施の形態によるソルダペーストは、式(1)に示す加熱だれ抑制成分を含む。これにより、リフローハンダ付け法において、ソルダペーストの加熱だれを抑制することができる。
【0034】
2.第2の実施の形態
この発明の第2の実施の形態によるソルダペーストについて説明する、この発明の第2の実施の形態によるソルダペーストは、添加剤が第1の実施の形態と異なる点以外は、第1の実施の形態と同様である。
【0035】
(ソルダペーストの構成)
この発明の第2の実施の形態によるソルダペーストは、ハンダ粉末と、樹脂成分、溶剤、活性剤、チキソ剤および添加剤を含むフラックスとを含む。樹脂成分、溶剤成分、活性剤、チキソ剤は第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0036】
(添加剤)
添加剤は、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン、脂環式ジアミンなどのジアミンと、炭素数16以上の多塩基酸エステルとの有機酸存在下の脱アルコール反応の生成物を含む。
【0037】
(ジアミン)
脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。芳香族ジアミンとしては、p−キシレンジアミンなどが挙げられる。脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4’−ビス(シクロヘキシルアミン)などが挙げられる。
【0038】
(多塩基酸エステル)
炭素数16以上の多塩基酸エステルとしては、エイコサン二酸ジメチル、エイコサン二酸ジエチルなどが挙げられる。
【0039】
(有機酸)
有機酸としては、ステアリン酸などの高級脂肪酸などが挙げられる。
【0040】
(生成物)
以下に示す、式(14)に示す有機酸存在下の式(6)に示す多塩基酸エステルと、式(7)に示すジアミンとの脱アルコール反応により、式(2)に示すポリアミド化合物および式(15)に示す化合物が得られる。式(2)に示すポリアミド化合物が、この添加剤の加熱だれ抑制成分である。
【0041】
【化7】

【0042】
添加剤は式(2)に示すポリアミド化合物を含む。この添加剤を含むフラックスとハンダ粉末とを含むソルダペーストは、リフローハンダ付け法において、加熱だれが抑制される。なお、この添加剤は、特に、高温でのプリヒートが必要となる、鉛フリーハンダを含むソルダペーストに添加することが好ましい。
【0043】
(添加剤具体例)
具体例として、有機酸(式(18)に示すステアリン酸)存在下の式(16)に示すエイコサン二酸ジメチルと、式(17)に示すエチレンジアミンとの脱アルコール反応により、式(19)示すポリアミド化合物および式(20)に示す化合物が得られる。この添加剤において、式(20)に示す化合物が加熱だれ抑制成分として作用する。
【0044】
【化8】

【0045】
添加剤は式(20)に示す化合物を含む。この添加剤を含むフラックスとハンダ粉末とを含むソルダペーストは、リフローハンダ付け法において、加熱だれが抑制される。
【0046】
<効果>
この発明の第2の実施の形態によるソルダペーストは、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【実施例】
【0047】
以下、実施例によりこの発明を具体的に説明するが、この発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0048】
<サンプル1〜サンプル7>
まず、サンプル1〜サンプル7の添加剤を作製した。
【0049】
<サンプル1>
まず、エチレンビスステアリン酸アマイドと、デカン二酸(炭素数10)とを反応容器に投入し、窒素ガスの導入を開始した。次に、オイルバス温度を所定温度(170℃)に設定して、反応容器を3時間加熱後、攪拌を開始した。次に、エチレンジアミンを滴下漏斗にて滴下し、その後、反応容器の設定温度を上げて(220℃)、3時間加熱後、攪拌を停止し、冷却することにより、サンプル1の添加剤を得た。
【0050】
<サンプル2>
まず、エチレンビスステアリン酸アマイドと、ドテカン二酸(炭素数12)とを反応容器に投入し、窒素ガスの導入を開始した。次に、オイルバス温度を所定温度に設定して、反応容器を3時間加熱後、攪拌を開始した。次に、エチレンジアミンを滴下漏斗にて滴下し、その後、反応容器の設定温度を上げて、3時間加熱後、攪拌を停止し、冷却することにより、サンプル2の添加剤を得た。
【0051】
<サンプル3>
まず、エチレンビスステアリン酸アマイドと、テトラデカン二酸(炭素数14)とを反応容器に投入し、窒素ガスの導入を開始した。次に、オイルバス温度を所定温度に設定して、反応容器を3時間加熱後、攪拌を開始した。次に、エチレンジアミンを滴下漏斗にて滴下し、その後、反応容器の設定温度を上げて、3時間加熱後、攪拌を停止し、冷却することにより、サンプル3の添加剤を得た。
【0052】
<サンプル4>
まず、エチレンビスステアリン酸アマイドと、オクタデカン二酸(炭素数18)とを反応容器に投入し、窒素ガスの導入を開始した。次に、オイルバス温度を所定温度に設定して、反応容器を3時間加熱後、攪拌を開始した。次に、エチレンジアミンを滴下漏斗にて滴下し、その後、反応容器の設定温度を上げて、3時間加熱後、攪拌を停止し、冷却することにより、サンプル4の添加剤を得た。
【0053】
<サンプル5>
まず、エチレンビスステアリン酸アマイドと、エイコサン二酸(炭素数20)とを反応容器に投入し、窒素ガスの導入を開始した。次に、オイルバス温度を所定温度に設定して、反応容器を3時間加熱後、攪拌を開始した。次に、エチレンジアミンを滴下漏斗にて滴下し、その後、反応容器の設定温度を上げて、3時間加熱後、攪拌を停止し、冷却することにより、サンプル5の添加剤を得た。
【0054】
<サンプル6>
まず、デカン二酸ジメチルと、ステアリン酸とを反応容器に投入し、窒素ガスの導入を開始した。次に、オイルバス温度を所定温度に設定して、反応容器を3時間加熱後、攪拌を開始した。次に、エチレンジアミンを滴下漏斗にて滴下し、その後、反応容器の設定温度を上げて、3時間加熱後、攪拌を停止し、冷却することにより、サンプル6の添加剤を得た。
【0055】
<サンプル7>
まず、デカン二酸と、ステアリン酸とを反応容器に投入し、窒素ガスの導入を開始した。次に、オイルバス温度を所定温度に設定して、反応容器を3時間加熱後、攪拌を開始した。次に、エチレンジアミンを滴下漏斗にて滴下し、その後、反応容器の設定温度を上げて、3時間加熱後、攪拌を停止し、冷却することにより、サンプル7の添加剤を得た。
【0056】
〔DSC測定(示唆走査熱量測定:Differential Scanning Calorimetry))〕
サンプル1〜サンプル7の添加剤について、DSC測定を行った。測定結果を図1〜図6に示す。DSCの測定結果により得られた熱特性をまとめたものを表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
<試験例1〜試験例6>
次に、サンプル1〜サンプル5の添加剤を含むフラックスおよび添加剤無添加のフラックスを作製して、加熱だれ抑制効果を確認した。
【0059】
<試験例1>
まず、加熱溶解により、以下の組成のフラックスを作製した。
フラックス:
水添加ロジン(ロジン系樹脂) 51重量%
ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩(活性剤) 1重量%
アジピン酸(活性剤) 1重量%
エチルヘキシルジグリコール(溶剤) 39重量%
水添ヒマシ油(チクソ剤) 6重量%
サンプル1(添加剤) 2重量%
【0060】
このフラックスでは、合成ポリアミド化合物の加熱溶解後の再析出により、低軟化点成分と均一分散させることができなかった。
【0061】
<試験例2>
まず、加熱溶解により、以下の組成のフラックスを作製した。
フラックス:
水添加ロジン(ロジン系樹脂) 51重量%
ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩(活性剤) 1重量%
アジピン酸(活性剤) 1重量%
エチルヘキシルジグリコール(溶剤) 39重量%
水添ヒマシ油(チクソ剤) 6重量%
サンプル2(添加剤) 2重量%
【0062】
このフラックスでは、合成ポリアミド化合物の加熱溶解後の再析出により、低軟化点成分と均一分散させることができなかった。
【0063】
<試験例3>
まず、加熱溶解により、以下の組成のフラックスを作製した。
フラックス:
水添加ロジン(ロジン系樹脂) 51重量%
ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩(活性剤) 1重量%
アジピン酸(活性剤) 1重量%
エチルヘキシルジグリコール(溶剤) 39重量%
水添ヒマシ油(チクソ剤) 6重量%
サンプル3(添加剤) 2重量%
【0064】
このフラックスでは、合成ポリアミド化合物の加熱溶解後の再析出により、低軟化点成分と均一分散させることができなかった。
【0065】
<試験例4>
まず、加熱溶解により、以下の組成のフラックスを作製した。
フラックス:
水添加ロジン(ロジン系樹脂) 51重量%
ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩(活性剤) 1重量%
アジピン酸(活性剤) 1重量%
エチルヘキシルジグリコール(溶剤) 39重量%
水添ヒマシ油(チクソ剤) 6重量%
サンプル4(添加剤) 2重量%
【0066】
次に、作製したフラックスと12gと、ハンダ粉末(Sn/3Ag/0.5Cu、粒子径1〜12μm)を攪拌混合することにより、実施例4のソルダペーストを得た。
【0067】
(加熱だれ試験)
作製したソルダペーストについて、以下の加熱だれ試験を行った。ソルダペーストを開口径0.25mmΦ、厚み0.05mmのメタルマスクを用いて銅基板上に印刷し、190℃オープンにて90秒加熱した後、だれ幅を測定し、以下の評価基準で加熱だれ止め特性を評価した。
評価基準:だれ幅0〜20μm(○)、だれ幅20μm以上(×)
【0068】
<試験例5>
まず、加熱溶解により、以下の組成のフラックスを作製した。
フラックス:
水添加ロジン(ロジン系樹脂) 51重量%
ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩(活性剤) 1重量%
アジピン酸(活性剤) 1重量%
エチルヘキシルジグリコール(溶剤) 39重量%
水添ヒマシ油(チクソ剤) 6重量%
サンプル5(添加剤) 2重量%
【0069】
次に、作製したフラックスと12gと、ハンダ粉末(Sn/3Ag/0.5Cu、粒子径1〜12μm)を攪拌混合することにより、実施例5のソルダペーストを得た。
【0070】
(加熱だれ試験)
作製したソルダペーストについて、試験例4と同様の加熱だれ試験を行った。
【0071】
<試験例6>
まず、加熱溶解により、以下の組成のフラックスを作製した。
フラックス:
水添加ロジン(ロジン系樹脂) 51重量%
ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩(活性剤) 1重量%
アジピン酸(活性剤) 1重量%
エチルヘキシルジグリコール(溶剤) 39重量%
水添ヒマシ油(チクソ剤) 6重量%
【0072】
次に、作製したフラックスと12gと、ハンダ粉末(Sn/3Ag/0.5Cu、粒子径1〜12μm)を攪拌混合することにより、実施例5のソルダペーストを得た。
【0073】
(加熱だれ試験)
作製したソルダペーストについて、試験例4と同様の加熱だれ試験を行った。
【0074】
【表2】

【0075】
(評価)
試験例4〜実施例5では、加熱だれ止め効果が大きく、評価基準○であった。一方で、比較例6のソルダペーストは、加熱だれが大きく、評価基準×であった。
【0076】
3.他の実施の形態
この発明は、上述したこの発明の実施形態に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、材料等はあくまでも例にすぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料等を用いてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンダ粉末と、
添加剤を含むフラックスと
を含み、
上記添加剤は、式(1)または式(2)に示す加熱だれ抑制成分を含むソルダペースト。
【化1】

(式中、R10は炭素数14以上の脂肪族炭化水素基である。R11は炭化水素基である。)
【化2】

(式中、R12は炭化水素基である。R13は炭化水素基である。R20は炭素数14以上の脂肪族炭化水素基である。)
【請求項2】
上記添加剤は、溶媒としてビスアマイドを用い、式(3)に示す多塩基酸と、式(5)に示すジアミンとの縮合反応によって得た生成物である
請求項1記載のソルダペースト。
【化3】

(式中、R10は炭素数14以上の脂肪族炭化水素基である。)
【化4】

(式中、R11は炭化水素基である。)
【請求項3】
上記添加剤は、式(6)に示す多塩基酸エステルと、式(7)に示すジアミンとの有機酸存在下の脱アルコール反応によって得た生成物である
請求項1記載のソルダペースト。
【化5】

(式中、R20は炭素数14以上の炭化水素基である。R13は炭化水素基である。R14は炭化水素基である。)
【化6】

(式中、R12は炭化水素基である。)
【請求項4】
上記ハンダ粉末は、鉛フリーハンダ粉末である
請求項1記載のソルダペースト。
【請求項5】
添加剤を含み、
上記添加剤は、式(1)または式(2)に示す加熱だれ抑制成分を含むフラックス。
【化7】

(式中、R10は炭素数14以上の脂肪族炭化水素基である。R11は炭化水素基である。)
【化8】

(式中、R12は炭化水素基である。R13は炭化水素基である。R20は炭素数14以上の脂肪族炭化水素基である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−136365(P2011−136365A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299274(P2009−299274)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(390005223)株式会社タムラ製作所 (526)
【Fターム(参考)】