説明

ソルダーレジストパターンの形成方法

【課題】互いに隣接する半導体接続用の接続パッド間の半田による電気的な短絡がなく、電子部品の電極端子とこれに対応する接続パッドとの電気的な接続を確実に固定するための半田量を確保でき、電気的接続信頼性に優れる高密度配線の配線基板を作製するための簡単なソルダーレジストパターンの形成方法を提供。
【解決手段】回路基板1の表面にソルダーレジスト層3を形成する工程、少なくともソルダーレジスト層の厚みが接続パッド6の厚み以下になるまで薄膜化される領域以外の部分を露光する工程、アルカリ水溶液によって非露光部のソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまでソルダーレジスト層を薄膜化する工程をこの順に含むことを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ソルダーレジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電気機器内部の回路基板におけるソルダーレジストパターンは、半田付け不要な配線パターンに半田が付着しないようにするために、半田付けする部分以外の部分全面に被覆形成され、また、導体の酸化防止、電気絶縁及び外部環境からの保護という役割を果たしている。
【0003】
回路基板上に半導体チップ等の電子部品を搭載した半導体パッケージにおいて、フリップチップ接続による搭載は、高速化、高密度化を実現する上で有効な手段である。フリップチップ接続では、配線の一部をフリップチップ接続用の接続パッドとして形成し、例えば、この接続パッド上に配設した半田バンプと半導体チップの電極端子とを接合する。
【0004】
回路基板へのソルダーレジストパターンの形成方法としては、フォトリソグラフィー方式が一般に知られている。フォトリソグラフィー方式では、絶縁性基板1上に接続パッド6と導体配線2を有する回路基板上にソルダーレジスト層を形成した後、露光、現像することで接続パッド6周辺のソルダーレジスト層を除去して開口部を設けることで、図1に示すSolder Mask Defined(SMD)構造や図2に示すNon Solder Mask Defined(NSMD)構造を形成する。SMD構造において、接続パッド6はその周辺近傍がソルダーレジスト3に被覆されているため、電子部品の電極端子とこれに対応する接続パッド6との電気的な接続を確実に固定するために、接続パッド6の露出面に形成する接合部に必要な半田量を確保する必要があり、接続パッドが大型化してしまう。さらに、接続パッド6の周辺近傍をソルダーレジスト層3によって確実に被覆されるようにするために、加工精度を考慮して、接続パッド6のソルダーレジスト層3によって被覆する部分の幅を広く確保しておく必要であり、接続パッド6はさらに大型化する。一方、NSMD構造の接続パッド6では、接続パッド6全体がソルダーレジスト層3から露出するために、半田との接続面積が大きく、SMD構造の場合と比較して、接続パッド6を小型化することができる。
【0005】
しかしながら、近年の電子機器の小型化、多機能化に伴い回路基板のさらなる高密度化や配線パターンの微細化が進められており、高密度配線における従来のフォトリソグラフィー方式によるソルダーレジストパターンの形成では、加工精度の問題からソルダーレジスト層の厚さや開口部直径にばらつきがあり、さらに、半導体チップ側のバンプの大きさや高さがばらつくことで、半導体チップの接合時に接続不良を引き起こすなどの問題が発生する。そのうえ、ソルダーレジストの解像性の問題により、高精細なソルダーレジストパターンが形成できなくなるなどの問題が発生する。
【0006】
このような問題を解決するために、図3に示すように、ウェットブラスト法によりスリット状の開口を有するソルダーレジストパターンを形成することで、複数並設された接続パッド6を露出させるとともに、スリット状の開口内に露出した互い隣接する接続パッド間に、接続パッド6と同じ高さのソルダーレジスト層3が充填されている構造を形成する方法が提案されている。図3に示す構造は、配線上にソルダーレジスト層を塗工したのち、紫外線硬化、加熱硬化を実施し、ソルダーレジスト層の上にウェットブラスト用マスクを形成するための樹脂層を設けたのち、露光、現像することで、パターン状のウェットブラスト用マスクを形成し、次いで、ウェットブラストを行うことでソルダーレジスト層にスリット状の開口を形成し、ウェットブラスト用マスクを除去することで、形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
図3に示す構造を形成することにより、ソルダーレジスト層3と接続パッド6との半田濡れ性の違いから、互いに隣接する半導体接続用の接続パッド間の半田による電気的な短絡がなく、高密度配線の配線基板を作製するためのソルダーレジストパターンを形成することが可能である。しかしながら、電子部品の電極端子とこれに対応する接続パッドとの接続に使用される半田は、接続パッドの露出部に付着しているに過ぎず、電極端子と接続パッドとの電気的な接続を確実に固定するための半田量を確保できない場合があった。
【0008】
このような問題を解決する構造として、図4に示すように、接続パッド6をニッケル層で被覆してからソルダーレジスト層3を形成し、接続パッド6上のソルダーレジスト層3をブラスト研磨し、ニッケル層を除去することで、図3と比較して接続パッド6と半田との接触面積が改善された構造が提案されている。図4に示す構造は、接続パッド全体を無電解ニッケルめっきしてニッケル層で被覆し、導体配線上にソルダーレジスト層を塗工した後、紫外線硬化、加熱硬化を実施し、ソルダーレジスト層をブラスト研磨することで、ニッケル層の上面を露出させ、ニッケル層をエッチングによって除去することで、形成されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
図4に示す構造を形成することにより、互いに隣接する半導体接続用の接続パッド間の半田による電気的な短絡がなく、電子部品の電極端子とこれに対応する接続パッドとの電気的な接続を確実に固定するための半田量を確保でき、電気的接続信頼性に優れる高密度配線の配線基板を作製するためのソルダーレジストパターンを形成することができる。しかしながら、工程が煩雑である、生産性が悪い等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−300691号公報
【特許文献2】特開2009−253118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
互いに隣接する半導体接続用の接続パッド間の半田による電気的な短絡がなく、電子部品の電極端子とこれに対応する接続パッドとの電気的な接続を確実に固定するための半田量を確保でき、電気的接続信頼性に優れる高密度配線の配線基板を作製するための簡単なソルダーレジストパターンの形成方法を提供することが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、
(1)接続パッドを有する回路基板の表面にソルダーレジスト層を形成する工程、少なくともソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまで薄膜化される領域以外の部分を露光する工程、アルカリ水溶液によって非露光部のソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまでソルダーレジスト層を薄膜化する工程をこの順に含むことを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法、
(2)接続パッドを有する回路基板の表面にソルダーレジスト層の膜を形成する工程、少なくともアルカリ水溶液によってソルダーレジスト層全面を薄膜化する工程、ソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまで薄膜化される領域以外の部分を露光する工程、アルカリ水溶液によって非露光部のソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまでソルダーレジスト層を薄膜化する工程をこの順に含むことを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法によって、上記課題を解決できることを見出した。
【0013】
また、上記アルカリ水溶液が、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%である上記(1)または(2)に記載のソルダーレジストパターンの形成方法によって、上記課題を解決できることを見出した。
【発明の効果】
【0014】
本発明のソルダーレジストパターンの形成方法(1)または(2)により、互いに隣接する半導体接続用の接続パッド間の半田による電気的な短絡がなく、電子部品の電極端子とこれに対応する接続パッドとの電気的な接続を確実に固定するための半田量を確保でき、電気的接続信頼性に優れる高密度配線の配線基板を作製するための簡単なソルダーレジストパターンの形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来のソルダーレジストパターンの断面構造を示す説明図である。
【図2】従来のソルダーレジストパターンの断面構造を示す説明図である。
【図3】従来のソルダーレジストパターンの改良例の断面構造を示す説明図である。
【図4】従来のソルダーレジストパターンの改良例の断面構造を示す説明図である。
【図5】本発明のソルダーレジストパターンの形成方法を示す説明図である。
【図6】本発明のソルダーレジストパターンの形成方法を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態にかかる配線基板の接続パッド近傍を示す部分拡大概略説明図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる配線基板の接続パッド近傍を示す部分拡大概略説明図である。
【図9】従来技術の配線基板の接続パッド近傍を示す部分拡大概略説明図である。
【図10】従来技術の配線基板の接続パッド近傍を示す部分拡大概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を用いて、本発明のソルダーレジストパターンの形成方法を説明する。まず、図5を用いて、本発明のソルダーレジストパターンの形成方法(1)を説明する。この方法では、接続パッド周囲のソルダーレジスト層を薄膜化することで、接続パッドをソルダーレジスト層から露出させる。絶縁性基板1上に導体配線2及び接続パッド6が形成された回路基板を準備する(図5a)。導体配線2及び接続パッド6の形成には、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法等を用いればよい。次に、回路基板全面を覆うようにして、アルカリ現像型のソルダーレジスト層3を形成する(図5b)。次いで、ソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまで薄膜化される領域以外の部分を活性光線5により露光する(図5c)。図5cでは、フォトマスク4を介しているが、直接描画方式でもかまわない。続いて、アルカリ水溶液処理によって、非露光部のソルダーレジスト層3を薄膜化することで、図5dに示すように、接続パッド6がソルダーレジスト層3から露出したソルダーレジストパターンが形成できる。
【0017】
図6を用いて、本発明のソルダーレジストパターンの形成方法(2)を説明する。この方法では、はじめに形成したソルダーレジスト層全体を導体配線がむき出しにならない厚さにまで薄膜化した後、本発明のソルダーレジスト形成方法(1)と同様に、接続パッドをソルダーレジストから露出させる。この方法では、ソルダーレジスト層を所望の厚さにまで薄膜化した後に露光するので、露光時の光散乱が軽減され、高精細なパターンが形成できる。絶縁性基板1上に導体配線2及び接続パッド6が形成された回路基板を準備する(図6a)。導体配線2及び接続パッド6の形成には、サブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法等を用いればよい。次に、回路基板全面を覆うようにして、アルカリ現像型のソルダーレジスト層3を形成する(図6b)。次いで、アルカリ水溶液処理によってソルダーレジスト層3全体を導体配線2がむき出しにならないように所定の厚さにまで薄膜化する(図6c)。次に、ソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまで薄膜化される領域以外の部分を活性光線5により露光する(図6d)。図6dでは、フォトマスク4を介しているが、直接描画方式でもかまわない。続いて、アルカリ水溶液処理によって非露光部のソルダーレジスト層3を薄膜化することで、図6eに示すように、接続パッド6がソルダーレジスト層3から露出したソルダーレジストパターンが形成できる。
【0018】
本発明によると、従来の方法と比較して簡単な方法で、接続パッド周囲のソルダーレジスト層を接続パッドの高さ以下の厚みにすることが可能であり、半導体チップ実装時の接続不良の発生を低下させることができる。また、ソルダーレジスト層の厚みを変化させることで、接続パッドと半田の接触面積を調節することが可能であり、電子部品の電極端子とこれに対応する接続パッドとの電気的な接続を確実に固定するための半田量を確保することができる。
【0019】
本発明における回路基板とは、絶縁性基板上に銅等の金属からなる半導体チップ等の電子部品を接続するための接続パッドが形成された基板である。導体配線が形成されていてもよい。回路基板を作製する方法は、例えばサブトラクティブ法、セミアディティブ法、アディティブ法が挙げられる。サブトラクティブ法では、例えば、ガラス基材エポキシ樹脂に銅箔を張り合わせた銅張積層板にエッチングレジストを形成し、露光、現像、エッチング、レジスト剥離を実施して回路基板が作製される。
【0020】
本発明に係わるソルダーレジストは、アルカリ現像型のものが使用できる。また、1液性、2液性、どちらの液状レジストであってもよく、ドライフィルム状レジストであってもよく、アルカリ水溶液によって現像できるものであればいかなるものでも使用できる。アルカリ現像型ソルダーレジストの組成は、例えば、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリルモノマー、光重合開始剤、エポキシ樹脂、無機フィラー等を含有してなる。アルカリ可溶性樹脂としては、光硬化性と熱硬化性の両方の特性をもつアルカリ可溶性樹脂が挙げられ、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂にアクリル酸を付加させてエポキシアクリレート化した樹脂の2級の水酸基に酸無水物を付加させた樹脂が挙げられる。多官能アクリルモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。光重合開始剤としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。エポキシ樹脂は、硬化剤として用いられる。アルカリ可溶性樹脂のカルボン酸と反応させることで架橋させ、耐熱性や耐薬品性の特性の向上を図っているが、カルボン酸とエポキシは常温でも反応が進むために、保存安定性が悪く、アルカリ現像型ソルダーレジストは一般的に使用前に混合する2液性の形態をとっている場合が多い。無機フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、シリカ等が挙げられる。
【0021】
本発明に係わる、回路基板の表面にソルダーレジスト層を形成する方法は、いかなる方法でもよいが、例えば、スクリーン印刷法、ロールコート法、スプレー法、浸漬法、カーテンコート法、バーコート法、エアナイフ法、ホットメルト法、グラビアコート法、刷毛塗り法、オフセット印刷法が挙げられる。ドライフィルム形状のソルダーレジストの場合は、ラミネート法が挙げられる。
【0022】
本発明に係わる露光では、ソルダーレジスト層に対して活性光線を照射する。キセノンランプ、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、UV蛍光灯を光源とした反射画像露光、フォトマスクを用いた片面、両面密着露光や、プロキシミティ方式、プロジェクション方式やレーザ走査露光等を使用することができる。走査露光を行う場合には、UVレーザ、He−Neレーザ、He−Cdレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンイオンレーザ、ルビーレーザ、YAGレーザ、窒素レーザ、色素レーザ、エキシマレーザ等のレーザ光源を発光波長に応じてSHG波長変換した走査露光、あるいは、液晶シャッター、マイクロミラーアレイシャッターを利用した走査露光によって露光することができる。
【0023】
本発明に係わるアルカリ水溶液処理とは、アルカリ水溶液によってソルダーレジスト層表面を溶解もしくは膨潤させ、非露光部のソルダーレジスト層表面を除去する処理である。さらに、除去しきれなかったソルダーレジスト層表面や残存付着したアルカリ水溶液を水洗によって洗い流す処理も含む。アルカリ水溶液とは、例えば、リチウム、ナトリウムまたはカリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アンモニウムリン酸塩、アンモニウム炭酸塩等の無機アルカリ性化合物の水溶液が挙げられる。また、エタノールアミン、エチレンジアミン、プロパンジアミン、トリエチレンテトラミン、モルホリン等の有機アルカリ性化合物の水溶液が挙げられる。上記無機塩基性化合物及び有機塩基性化合物は、混合物としても使用できる。
【0024】
アルカリ性化合物の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下で使用できる。また、ソルダーレジスト層表面をより均一に薄膜化するために、アルカリ水溶液に、硫酸塩、亜硫酸塩を添加することもできる。硫酸塩または亜硫酸塩としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウム等のアルカリ金属硫酸塩または亜硫酸塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属硫酸塩または亜硫酸塩が挙げられる。
【0025】
アルカリ水溶液としては、これらのなかでも特に、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%であるアルカリ水溶液が、表面をより均一に薄膜化できるため、好適に使用できる。5質量%未満では、薄膜化する処理でムラが発生しやすくなる場合がある。また、20質量%を超えると、無機アルカリ性化合物の析出が起こりやすく、液の経時安定性、作業性に劣る場合がある。無機アルカリ性化合物の含有量は7〜17質量%がより好ましく、8〜13質量%がさらに好ましい。アルカリ水溶液のpHは9〜12の範囲とすることが好ましい。また、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜添加することもできる。
【0026】
アルカリ水溶液処理は、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スクレーピング等を用いることができ、スプレー方式がソルダーレジスト層の溶解速度の点からは最も適している。スプレー方式の場合、処理条件(温度、時間、スプレー圧)は、使用するソルダーレジスト層の溶解速度に合わせて適宜調整される。処理温度は15〜35℃が好ましい。また、スプレー圧は0.02〜0.3MPaが好ましい。
【0027】
本発明のソルダーレジストパターンの形成方法では、ソルダーレジスト層形成後の厚みとアルカリ水溶液処理によって非露光部のソルダーレジスト層が薄膜化された量で、接続パッド周囲のソルダーレジスト層の厚みが決定される。また、本発明のソルダーレジストパターンの形成方法では、0.01〜500μmの範囲で薄膜化の量を自由に調整することができる。薄膜化後のソルダーレジスト層から接続パッドのトップ面までの高さは、後の印刷で必要な半田量に応じて適宜調整する。本発明のソルダーレジストパターンの形成方法(2)におけるソルダーレジスト層全体の薄膜化量は、導体配線の表面が露出しないところまでであり、ソルダーレジストの絶縁抵抗性、活性光線の透過性などから適宜調整する。具体的には導体配線のトップ面から1μm以上50μm以下の膜厚を残すところまで薄膜化することが好ましい。
【0028】
本発明におけるソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまで薄膜化される領域は、接続パッド以上の大きさであれば隣接する導体配線の絶縁抵抗性に影響しない限りどれだけ大きくしてもかまわない。
【0029】
本発明において、薄膜化後にポストキュアを実施してもよい。ポストキュアとは、現像後、特性を上げるために、加熱及び/または活性光線照射によって、追加でソルダーレジストを架橋、硬化するためになされるものである。一般的な方法としては、急激な硬化収縮を抑制するために、はじめは低温で、その後、約100〜200℃、約30〜60分間の加熱を行う。遠赤外線を用いてもよい。また、紫外線等の活性光線を用いた全面露光によって硬化することもできる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1〜19)
銅張積層板(面積170mm×200mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.4mm)にエッチングレジストを使用したサブトラクティブ法にて、導体配線幅80μm、導体配線間距離80μmを有する回路基板を作製した。次に、ソルダーレジスト(タムラ化研株式会社製、商品名:DSR−330S32−21)の主剤と硬化剤を混合したのち、上記回路基板上にアプリケーターを用いて塗工し、70℃、30分間の乾燥を実施した。これにより絶縁性基板表面からソルダーレジスト層表面までのドライ膜厚が35μmのソルダーレジスト層を形成した。
【0032】
次に、導体配線の始点と終点にあたる部分を接続パッドとみなし、始点と終点にあたる部分の端から80μm以外の領域に活性光線が照射されるようなパターンを有するフォトマスクを用いて、密着露光機にて、300mj/cmのエネルギーにて、ソルダーレジスト層に露光を実施した。
【0033】
次いで、表1に示すアルカリ水溶液をスプレー処理し、続いて水洗を実施し、非露光部のソルダーレジスト層の厚みが平均12μmになるまで薄膜化した。アルカリ水溶液へのソルダーレジストの溶解性が各実施例で異なるため、処理時間はそれぞれの液において、表1に示すように変更した。薄膜化後、薄膜化した部分の厚みを10点測定し、最大値及び最小値を求め、表1に示した。最大値と最小値から分かるように、炭酸ナトリウムの5〜20質量%のもので、ソルダーレジスト層の膜厚均一性が良かった。
【0034】
【表1】

【0035】
続いて、150℃、60分の条件でポストキュアを実施した。形成されたソルダーレジストパターンを顕微鏡で観察した結果、図7に示したように、高さ18μmの導体配線2が厚み35μmのソルダーレジスト層3によって被覆され、高さ18μmの接続パッド6の周囲が厚み12μmのソルダーレジスト層3によって被覆されたソルダーレジストパターンが形成されていた。
【0036】
(実施例20)
銅張積層板(面積170mm×200mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.4mm)にエッチングレジストを使用したサブトラクティブ法にて、導体配線幅80μm、導体配線間距離80μmを有する回路基板を作製した。次に、ソルダーレジスト(タムラ化研株式会社製、商品名:DSR−330S32−21)の主剤と硬化剤を混合したのち、上記回路基板上にアプリケーターを用いて塗工し、70℃、30分間の乾燥を実施した。これにより絶縁性基板表面からソルダーレジスト層表面までのドライ膜厚が35μmのソルダーレジスト層を形成した。
【0037】
次に、12%質量%の炭酸ナトリウム水溶液をスプレー処理し、続いて水洗を実施し、非露光部のソルダーレジストの厚みを平均28μmまで薄くした。
【0038】
次いで、導体配線の始点と終点にあたる部分を接続パッドとみなし、始点と終点にあたる部分の端から80μm以外の領域に活性光線が照射されるようなパターンを有するフォトマスクを用いて、密着露光機にて、300mj/cmのエネルギーにて、ソルダーレジスト層に露光を実施した。
【0039】
続いて、12質量%の炭酸ナトリウム水溶液をスプレー処理し、続いて水洗を実施し、非露光部のソルダーレジスト層の厚みが平均12μmになるまで薄膜化した。薄膜化後、薄膜化した部分の厚みを10点測定したところ、最大値は13μmであり、最小値は11μmであった。
【0040】
続いて、150℃、60分の条件でポストキュアを実施した。形成されたソルダーレジストパターンを顕微鏡で観察した結果、図8に示したように、高さ18μmの導体配線2は厚み28μmのソルダーレジスト層によって被覆され、高さ18μmの接続パッド6の周囲は厚み12μmのソルダーレジスト層によって被覆されたソルダーレジストパターンが形成されていた。
【0041】
(比較例1)
銅張積層板(面積170mm×200mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.4mm)にエッチングレジストを使用したサブトラクティブ法にて、導体配線幅80μm、導体配線間距離80μmを有する回路基板を作製した。次に、ソルダーレジスト(タムラ化研株式会社製、商品名:DSR−330S32−21)の主剤と硬化剤を混合したのち、上記回路基板上にアプリケーターを用いて塗工し、70℃、30分間の乾燥を実施した。これにより絶縁性基板表面からソルダーレジスト層表面までのドライ膜厚が35μmのソルダーレジスト層を形成した。
【0042】
次に、導体配線の始点と終点にあたる部分を接続パッドとみなし、始点と終点にあたる部分の端から80μm以外の領域に活性光線が照射されるようなパターンを有するフォトマスクを用いて、密着露光機にて、300mj/cmのエネルギーにて、ソルダーレジスト層に露光を実施した。
【0043】
次いで、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温30℃)にて現像を行うことによって、非露光部のソルダーレジスト層を除去し、150℃、60分の条件でポストキュアを実施した。形成されたソルダーレジストパターンを顕微鏡で観察した結果、図9に示すように、高さ18μmの導体配線2が厚み35μmのソルダーレジスト層3によって被覆されているソルダーレジストパターンが形成されていた。このソルダーレジストパターンでは、隣接した接続パッド6間の絶縁性基板1の表面がソルダーレジスト層3で被覆されていないために、実装時に半田ブリッジの原因となる。
【0044】
(比較例2)
銅張積層板(面積170mm×200mm、銅箔厚18μm、基材厚み0.4mm)にエッチングレジストを使用したサブトラクティブ法にて、導体配線幅80μm、導体配線間距離80μmを有する回路基板を作製した。次に、ソルダーレジスト(タムラ化研株式会社製、商品名:DSR−330S32−21)の主剤と硬化剤を混合したのち、上記回路基板上にアプリケーターを用いて塗工し、70℃、30分間の乾燥を実施した。これにより絶縁性基板表面からソルダーレジスト層表面までのドライ膜厚が35μmのソルダーレジスト層を形成した。
【0045】
次に、導体配線の始点と終点にあたる部分を接続パッドとみなし、始点と終点にあたる部分の端から80μm以外の領域に加えて、隣接する接続パッド間の中間地点の幅40μmの領域にも活性光線が照射されるようなパターンを有するフォトマスクを用いて、密着露光機にて、300mj/cmのエネルギーにて、ソルダーレジスト層に露光を実施した。
【0046】
次いで、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液(液温30℃)にて現像を行うことによって、非露光部のソルダーレジスト層を除去し、150℃、60分の条件でポストキュアを実施した。形成されたソルダーレジストパターンを顕微鏡で観察した結果、図10に示したように、高さ18μmの導体配線2が厚み35μmのソルダーレジスト層3によって被覆され、隣接する接続パッド6間の中間地点の絶縁性基板1が幅40μm、厚み35μmのソルダーレジスト層3で被覆されているソルダーレジストパターンが形成されていた。しかし、観察箇所によっては、絶縁性基板1上のソルダーレジスト層3が接続パッド6と接触してしまっていた。このような状態では、電極端子と接続パッドの電気的な接続を確実に固定するための半田量を確保できなくなり、接合時に接続不良を引き起こす原因になったり、位置ずれしたソルダーレジスト層が部品実装の邪魔になったりする。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のソルダーレジストパターンの形成方法は、例えば、配線の一部にフリップチップ接続用の接続パッドを備えた回路基板のソルダーレジストの形成を行う用途に適用できる。
【符号の説明】
【0048】
1 絶縁性基板
2 導体配線
3 ソルダーレジスト層
4 フォトマスク
5 活性光線
6 接続パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続パッドを有する回路基板の表面にソルダーレジスト層を形成する工程、少なくともソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまで薄膜化される領域以外の部分を露光する工程、アルカリ水溶液によって非露光部のソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまでソルダーレジスト層を薄膜化する工程をこの順に含むことを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法。
【請求項2】
接続パッドを有する回路基板の表面にソルダーレジスト層の膜を形成する工程、少なくともアルカリ水溶液によってソルダーレジスト層全面を薄膜化する工程、ソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまで薄膜化される領域以外の部分を露光する工程、アルカリ水溶液によって非露光部のソルダーレジスト層の厚みが接続パッドの厚み以下になるまでソルダーレジスト層を薄膜化する工程をこの順に含むことを特徴とするソルダーレジストパターンの形成方法。
【請求項3】
上記アルカリ水溶液が、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物のうち少なくともいずれか1種を含み、該無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%である請求項1または2に記載のソルダーレジストパターンの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−192692(P2011−192692A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55340(P2010−55340)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】