説明

ソーラーパネル清掃装置

【課題】ソーラーパネルの大きさ、形状にとらわれず、設置が容易で、ソーラーパネルの電力変換効率を低下させることも無く、しかも軽量で、屋根に負担をかけない、使用勝手の良いソーラーパネル清掃装置を提供する。
【解決手段】ソーラーパネル1上で本体2aを自走させる4足歩行手段4と、ソーラーパネル1の大きさや形状を認識するための超音波センサー25と、ソーラーパネル1の表面を清掃する回転ブラシ5と、4足歩行手段4を駆動するための電源装置7と、超音波センサー25の出力に基づき、本体2aが順次走行するよう4足歩行手段4を制御する制御手段8を備えたもので、ソーラーパネル1の周囲に大掛かりなガイド部材は不要で、ソーラーパネル清掃装置2をソーラーパネル1上に置くだけで、自動でソーラーパネル1の大きさ、形状を認識しながら移動を繰り返しソーラーパネル1の全域を清掃することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根などに設置されたソーラーパネルを清掃するソーラーパネル清掃装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、太陽エネルギーを電力に変換するソーラーパネルを屋根に設置する家庭が増加する傾向にある。このソーラーパネルは、太陽光を受けて発電するものであるため、表面に、枯れ葉やほこり等の汚れが付着すると、ソーラーパネルが発電する電力量が急激に低下する。このため、常に充分な電力量を確保するには、ソーラーパネルの表面の汚れがひどくなる前に、清掃する必要があるが、屋根に登って設置されたソーラーパネルの表面を清掃する作業は、高所であるので、危険かつ煩雑であるという問題がある。
【0003】
このような問題を解決するために、あらかじめソーラーパネル清掃装置をソーラーパネルに併設し、必要に応じて、ソーラーパネル清掃装置を遠隔操作して、ソーラーパネルを安全に清掃するようにしたものがある(例えば、特許文献1乃至4参照)。
【0004】
上記特許文献1に記載された従来のソーラーパネル清掃装置は、洗浄ブラシを備えた洗浄装置と、前記洗浄装置を上下縦軸方向に移動させるための上下移動用レールと、ソーラーパネルの上端及び下端のそれぞれ長手方向に設けた載架レールから構成され、洗浄装置を上下移動用レールに沿って、例えば、上方向に移動させながら洗浄ブラシでソーラーパネルを洗浄し、洗浄装置が上端に達すると、洗浄装置を、例えば、右方向に、次の洗浄エリアの分だけ移動させ、今度は、洗浄装置を下降させるという動作を繰り返しながらソーラーパネルの表面の全域を洗浄するようにしたものである。
【0005】
又、上記特許文献2に記載された従来のソーラーパネル清掃装置は、ブラシ体を備えた台車をソーラーパネル上に載置し、ブラシ体を回転させながら、台車を、ソーラーパネルの下端から、上端に向かって移動させてソーラーパネルを清掃するようにしたものである。
【0006】
又、上記特許文献3に記載された従来のソーラーパネル清掃装置は、可撓性ソーラーパネルの表面を清掃するもので、可撓性ソーラーパネルを一方のロールに巻き上げる際に、ブラシロールを回転させながら可撓性ソーラーパネルの表面に付着した埃を除去するようにしたものである。
【0007】
又、上記特許文献4に記載された従来のソーラーパネル清掃装置は、それぞれブラシを備えると共に棟と軒先の二位置間で往復移動可能な複数のスライダを有し、前記複数のスライダを、ソーラーパネルを取り付けるレール状の取付部材間を摺動させながら、ソーラーパネルの表面を清掃するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−273351号公報
【特許文献2】特開2004−186632号公報
【特許文献3】特開平10−313130号公報
【特許文献4】特開平11−350684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来のソーラーパネル清掃装置の構成では、ソーラーパネルの縦方向に上下移動用レール、ソーラーパネルの上端及び下端のそれぞれに載架レールなどといった大掛かりな構造部品を設ける必要があり、設置費用が高価になると共に、屋根に必要以上の重量が加わるといった課題があった。
【0010】
又、上記特許文献2に記載された従来のソーラーパネル清掃装置の構成では、ソーラーパネルの全幅に等しい幅寸法の大きな台車が必要となり、台車をソーラーパネルの下端から上端に向かって移動させるための大きな駆動源が必要となり、また、台車がソーラーパネルの一部を覆うような形になるので、ソーラーパネルの電力変換効率が低下するなどの課題があった。
【0011】
又、上記特許文献3に記載された従来のソーラーパネル清掃装置は、巻き取り可能な可撓性ソーラーパネルに有効なもので、一般的な、ガラス基材で覆われたフラットなソーラーパネルの清掃には採用できないと言う課題があった。
【0012】
又、上記特許文献4に記載された従来のソーラーパネル清掃装置の構成では、複数のスライダに加え、それをガイドするための機構を取付部材に設けたり、複数のスライダを棟と軒先の二位置間で往復移動させるための大掛かりな動力装置が必要になるとともに、ソーラーパネルの受光面の一部が、複数のスライダで覆われることになり、電力変換効率が低下するという課題があった。
【0013】
ソーラーパネルの大きさ、形状は、設置場所や必要とする発電能力によってさまざまであるが、上記特許文献1、2及び4に記載された従来のソーラーパネル清掃装置の構成では、形状、大きさがことなる個々のソーラーパネルに対応させる必要があり、汎用性に乏しいという課題があった。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ソーラーパネルの大きさ、形状にとらわれず、設置が容易で、ソーラーパネルの電力変換効率を低下させることも無く、しかも軽量で、屋根に負担をかけない、使用勝手の良いソーラーパネル清掃装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記従来の課題を解決するために、本発明のソーラーパネル清掃装置は、ソーラーパネル上で本体を自走させるための自走手段と、前記ソーラーパネルの大きさや形状を認識するための認識手段と、前記ソーラーパネルの表面を清掃する清掃体と、前記自走手段などを駆動するための電源装置と、前記認識手段の出力に基づき、前記本体が前記ソーラーパネルの表面を順次走行するよう前記自走手段を制御する制御手段を備えたもので、ソーラーパネルの周囲に大掛かりなガイド部材を設ける必要が無く、ソーラーパネル清掃装置をソーラーパネル上に置き、運転するだけで、ソーラーパネル清掃装置が、自動で、ソーラーパネルの大きさ、形状を認識しながら移動を繰り返しソーラーパネルの全域を清掃することができるので、ソーラーパネルの大きさ、形状が異なるあらゆる配置状態に対応でき、汎用性が高く効率よく清掃できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のソーラーパネル清掃装置は、ソーラーパネルの大きさ、形状にとらわれず、設置が容易で、ソーラーパネルの電力変換効率を低下させることも無く、しかも軽量で、屋根に負担をかけない、使用勝手の良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、ソーラーパネル清掃装置の設置例を示す概略図である。(実施例1)
【図2】図2は、同ソーラーパネル清掃装置の斜視図である。(実施例1)
【図3】図3は、同ソーラーパネル清掃装置の足部の部分断面図である。(実施例1)
【図4】図4(a)、(b)は、同ソーラーパネル清掃装置の三方弁の動作を示す図である。(実施例1)
【図5】図5は、同ソーラーパネル清掃装置の回転ブラシの斜視図である。(実施例1)
【図6】図6は、同ソーラーパネル清掃装置の断面図である。(実施例1)
【図7】図7は、同ソーラーパネル清掃装置の清掃体の他の例を示す斜視図である(実施例1)
【図8】図8は、ソーラーパネル清掃装置の要部断面図である。(実施例2)
【図9】図9は、ソーラーパネル清掃装置の斜視図である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の発明は、ソーラーパネル上で本体を自走させるための自走手段と、前記ソーラーパネルの大きさや形状を認識するための認識手段と、前記ソーラーパネルの表面を清掃する清掃体と、前記自走手段などを駆動するための電源装置と、前記認識手段の出力に基づき、前記本体が前記ソーラーパネルの表面を順次走行するよう前記自走手段を制御する制御手段を備えたもので、ソーラーパネルの周囲に大掛かりなガイド部材を設ける必要が無く、ソーラーパネル清掃装置をソーラーパネル上に置き、運転するだけで、ソーラーパネル清掃装置が、自動で、ソーラーパネルの大きさ、形状を認識しながら移動を繰り返しソーラーパネルの全域を清掃することができるので、ソーラーパネルの大きさ、形状が異なるあらゆる配置状態に対応でき、汎用性が高く効率よく清掃できる。
【0019】
第2の発明は、特に、第1の発明の自走手段は、吸着動作と、吸着の開放動作を繰り返しながら、本体を自走させるもので、ソーラーパネル清掃装置がソーラーパネル上で移動する際に、ソーラーパネル清掃装置が、ソーラーパネルから落下することが無く、安全である。
【0020】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の清掃体を回転ブラシで構成したもので、ソーラーパネルの表面に強力にこびり付いた汚れも確実に除去することができる。
【0021】
第4の発明は、特に、第1又は第2の発明の清掃体をブレードで構成したもので、平滑なソーラーパネルの表面を一様にワイピングできるので清掃ムラが発生しない。
【0022】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1項に記載の発明のソーラーパネル清掃装置において、洗浄液を、ソーラーパネルの表面に向けて高圧噴射する高圧洗浄機構を設けたもので、固くこびり付いた汚れを浮かび上がらせてくれるので、清掃体での清掃が、より確実に、かつ簡単になる。
【0023】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1項に記載のソーラーパネル清掃装置において、本体に、第2のソーラーパネルを搭載し、前記第2のソーラーパネルで得られた電力で、自走手段又は/及び清掃体を駆動するようにしたもので、ソーラーパネル清掃装置の移動、清掃体の駆動等のための動力を、第2のソーラーパネルで得られた電力で補うことで、電源装置の廃止、或いは電源装置の軽量化が図れる。
【0024】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
本発明の第1の実施例におけるソーラーパネル清掃装置について、図1〜7を用いて説明する。
【0026】
図1は、本実施例におけるソーラーパネル清掃装置の設置例を示す概略図、図2は、同ソーラーパネル清掃装置の斜視図である。
【0027】
図1において、1は、複数のソーラーセルからなり、家屋の屋根などに設置されたソーラーパネルで、2は、本実施例におけるソーラーパネル清掃装置で、ソーラーパネル1の上を自走しながら、ソーラーパネルの表面を清掃するためのものである。
【0028】
図2において、ソーラーパネル清掃装置2の本体2aは、フレーム3と、フレーム3の下面に取り付けられ、ソーラーパネル清掃装置2をソーラーパネル1の表面上で移動させる自走手段となる4足歩行手段4と、ソーラーパネル1の表面を清掃する清掃体としての回転ブラシ5と、フレーム3の両側の前後方向の略中央部に取り付けられ、回転ブラシ5を上下方向に移動自在に支持する支持フレーム6と、フレーム3に搭載されると共に、バッテリーなどから構成され、4足歩行手段4などの駆動電源となる電源装置7と、4足歩行手段4などの動作を制御する制御手段8と、真空ポンプユニット9とを備えている。
【0029】
4足歩行手段4は、右前脚部11と、左前脚部12と、右後脚部13と、左後脚部14から構成され、右前脚部11、左前脚部12、右後脚部13、左後脚部14のそれぞれは、フレーム3の底面に水平方向で回転可能に設けられた基盤16と、上肢部17と、下肢部18と、ソーラーパネル1の表面に接地する足部19から構成され、基盤16の下部と上肢部17の上端、上肢部17の下端と下肢部18の上端、下肢部18の下端と足部19とは、それぞれ関節部20を介して、回動可能に連結されている。
【0030】
関節部20のそれぞれは、特に図示しないが、アクチュエータ、減速機構、ブレーキ機構などから構成されると共に、制御手段8で制御されるようになっている。
【0031】
また、図3に示すように、足部19の底面には、開口部19aが形成され、その開口部19aの周囲には、ソーラーパネル1の表面と足部19を気密に接地させるための弾性リング19bが設けられている。また、足部19の側面の一部に開口部19aと連通する出口管19cが設けられている。
【0032】
真空ポンプユニット9は、真空引きを行うための真空ポンプ9aと、右前脚部11、左前脚部12、右後脚部13、左後脚部14のそれぞれと対応すると共に制御手段8で制御される4つの三方弁21を収納した三方弁ユニット9bから構成され、図4に示すように、三方弁21の第1出口21aは、エアーチューブ22を介して、対応する足部19の出口管19cと連結され、三方弁21の第2出口21bは、真空ポンプ9aと連通し、三方弁21の第3の出口21cは、外気と連通している。
【0033】
図5において、回転ブラシ5は、モータ(図示せず)を内蔵し外周にブラシ状の清掃部材を有するブラシ本体5aと、ブラシ本体5aの両端から突出すると共に、支持フレーム6に設けた長孔6aに嵌合する角棒状の軸体5bと、ブラシ本体5aの両端に配されたエンドワッシャー5cと、一方の軸体5bに設けた貫通穴5dを通して内蔵されたモータに給電するためのリード線23から構成されている。リード線23の反対側は、制御手段8に接続されている。
【0034】
また、図1において、32は、ソーラーパネル1の上端と下端のそれぞれに設けられると共に、その表面は、ソーラーパネル1のそれと同一面となっているスペーサーで、ソーラーパネル清掃装置2の回転ブラシ5で、ソーラーパネル1の上端及び下端を清掃する際の、右前脚部11、左前脚部12、右後脚部13、及び左後脚部14の足置き場となるものである。スペーサー32は、例えば、ソーラーパネル1の上面が屋根の上面と同一になるように埋め込み式の場合には不要である。ソーラーパネル1の設置状況に応じて要、不要が選択できる。
【0035】
又、本実施例では、フレーム3の4つの側面のそれぞれの中央部には、ソーラーパネル1の外縁部を識別する認識手段としての超音波センサー25が設けられている。
【0036】
以上のように構成された本実施例におけるソーラーパネル清掃装置2の動作は、以下の通りである。
【0037】
ソーラーパネル1の利用者から清掃依頼を受けた業者は、本実施例におけるソーラーパネル清掃装置2を、図1に示すように、ソーラーパネル清掃装置2の回転ブラシ5が、ソーラーパネル1の左端の一番下のセルの下縁に接するように、ソーラーパネル1上に置き、直ちに固定スイッチ(図示せず)をON操作する。固定スイッチがON操作されると、真空ポンプ9aと全ての三方弁21が動作し、4足歩行手段4の全ての足部19内が真空引きされ、4つの足部19が、ソーラーパネル1の表面に吸着して、ソーラーパネル清掃装置2が、ソーラーパネル1上に固定される。
【0038】
そして、図示しないコントローラを用いて、清掃開始を指示すると、コントローラから発信された清掃開始の信号が、制御手段8に設けられた受信装置(図示せず)で受信され、ソーラーパネル清掃装置2の運転が開始し、回転ブラシ5内のモータに通電されて、ブラシ本体5aの回転が開始する。このとき、回転ブラシ5は、支持フレーム6に上下動自在に支持されているので、回転ブラシ5の自重がソーラーパネル1の表面に加わりながら、回転することになる。
【0039】
次に、制御手段8が、右前脚部11に対応する三方弁21を、図4(b)に示すような位置に駆動する。これにより、右前脚部11の足部19内に外気が吸引され、右前脚部11の足部19とソーラーパネル1との吸着が開放される。この時点でも、残りの3つの足部19が、ソーラーパネル1に吸着しているので、ソーラーパネル清掃装置2がソーラーパネル1から落下することはない。
【0040】
次に、図2に示すように、右前脚部11を前方に繰り出す動作を行う。具体的には、制御手段8が、右前脚部11の3つの関節部20を制御して、足部19をソーラーパネル1の表面から持ち上げると共に、遊脚となった右前脚部11の足部19がソーラーパネル1に接触しないようにしながら、3つの関節部20を適切に制御して、前方へ繰り出す。同時に、左前脚部12、右後脚部13及び左後脚部14のそれぞれの3つの関節部20を適切に制御して、フレーム3に対して、左前脚部12、右後脚部13及び左後脚部14が相対的に後退する方向に移動させて、フレーム3を前方に送り出す、すなわちソーラーパネル清掃装置2全体を前方に送り出す。
【0041】
制御手段8は、右前脚部11を所定距離だけ前方に繰り出した後、3つの関節部20を制御して、右前脚部11の足部19を、ソーラーパネル1に接地させ、右前脚部11に対応する三方弁21を、図4(a)に示す位置に駆動することにより、右前脚部11の足部19が、ソーラーパネル1に吸着し固定され、右前脚部11の遊脚動作を終了する。そして、右前脚部11の遊脚動作が終了すると、上記と同様にして、左後脚部14、左前脚部12、右後脚部13の順に繰り出し動作を実施しつつ、遊脚以外の脚部で、フレーム3を支持しながら、フレーム3を送り出すことにより、ソーラーパネル清掃装置2が前方方向に移動する。
【0042】
ソーラーパネル清掃装置2が前方方向に移動する間に、フレーム3が上下動するが、回転ブラシ5は、支持フレーム6に上下動自在に支持されているので、回転ブラシ5の上下方向の位置は変わらず、常に、ブラシ本体5aに回転ブラシ5の自重を加えながら、ソーラーパネル1の表面を確実に清掃することが出来る。
【0043】
そして、フレーム3の前部に設けた超音波センサー25により、ソーラーパネル清掃装置2の回転ブラシ5が、ソーラーパネル1の上端に達したことを検知すると、ソーラーパネル清掃装置2の移動を停止する。そして、制御手段8は、右前脚部11に対応する三方弁21を動作させて、足部19の吸着を開放し、次に基盤16を時計方向に90度回転させ、再び足部19をソーラーパネル1に吸着させる。この動作を、残りの右後脚部13、左後脚部14、左前脚部12についても、1脚部ごとに順に行う。
【0044】
次に、三方弁21、関節部20を制御して、右前脚部11の足部19を浮かせ、右前脚部11を、図6に示すように右側に繰り出し、同時に、左前脚部12、右後脚部13及び左後脚部14のそれぞれの3つの関節部20を適切に制御して、フレーム3に対して、左前脚部12、右後脚部13及び左後脚部14を相対的に左側に移動させて、ソーラーパネル清掃装置2全体を、右側の新たな清掃領域まで送り出す。
【0045】
再び、制御手段8は、右前脚部11に対応する三方弁21を動作させて、足部19の吸着を開放し、基盤16を反時計方向に90度回転させ(元の位置に戻す)、足部19をソーラーパネル1に吸着させる。この動作を、残りの右後脚部13、左後脚部14、左前脚部12についても、1脚部ごとに順に行う。
【0046】
次に、ソーラーパネル清掃装置2を後退させるために、三方弁21、関節部20を制御して、左後脚部14の足部19を浮かせ、左後脚部14を、後方に繰り出し、同時に、右後脚部13、左前脚部12及び右前脚部11のそれぞれの3つの関節部20を適切に制御して、フレーム3に対して、右後脚部13、左前脚部12及び右前脚部11を相対的に上方向に移動させて、フレーム3を後方に送り出す、すなわちソーラーパネル清掃装置2全体を下方に送り出す。
【0047】
制御手段8は、左後脚部14を所定距離だけ後方(下方)に繰り出した後、3つの関節部20を制御して、左後脚部14の足部19を、ソーラーパネル1に接地させ、左後脚部14に対応する三方弁21を、図4(a)に示す位置に駆動して、左後脚部14の足部19を、ソーラーパネル1に吸着させ、左後脚部14の遊脚動作を終了する。
【0048】
そして、左後脚部14の遊脚動作が終了すると、同様にして、右前脚部11、右後脚部13、左前脚部12の順に繰り出し動作を実施しつつ、遊脚以外の脚部で、フレーム3を支持しながら、フレーム3を送り出すことにより、ソーラーパネル清掃装置2が下方に移動する。上記動作を繰り返しながら、回転ブラシ5がソーラーパネル1の下端に達するまで、ソーラーパネル清掃装置2が移動すると、フレーム3の後部に設けた超音波センサー25によりそれが検知され、ソーラーパネル清掃装置2の移動が停止する。
【0049】
そして、ソーラーパネル清掃装置2は、上記と同じ動作をして、再び右方向に横移動して、今度は、上昇を始める。
【0050】
以上のような動作を繰り返して、ソーラーパネル清掃装置2を、図1の矢印A方向に移動させることで、ソーラーパネル1の全面に渡って、回転ブラシ5で清掃することが出来る。ソーラーパネル1の全域の清掃を終えると、ソーラーパネル清掃装置2は、自動的に、矢印Bで示すように、横移動して、運転開始時の位置まで戻るようになっている。
【0051】
尚、ソーラーパネル清掃装置2が、ソーラーパネル1の右端に達すると、フレーム3の右側面に設けた超音波センサー25でそれが検知されるのは、言うまでもない。
【0052】
以上のように、本実施例によれば、ソーラーパネル1上で、本体を自走させるための4足歩行手段4と、ソーラーパネル1の大きさや形状を認識するための超音波センサー25と、ソーラーパネル1の表面を清掃する回転ブラシ5と、4足歩行手段4などを駆動するための電源装置7を備え、前記ソーラーパネル1の表面を順次自走しながら前記ソーラーパネル1の表面を清掃するようにしたので、ソーラーパネル1の周囲に大掛かりなガイド部材を設ける必要が無く、ソーラーパネル清掃装置2をソーラーパネル1上に置き、運転するだけで、ソーラーパネル清掃装置2が、自動で、ソーラーパネル1の大きさ、形状を認識しながら移動を繰り返しソーラーパネルの全域を清掃することができる。
【0053】
又、4足歩行手段4は、吸着動作と、吸着の開放動作を繰り返しながら、ソーラーパネル清掃装置2を自走させるので、ソーラーパネル清掃装置2がソーラーパネル1上で移動する際に、ソーラーパネル清掃装置2が、ソーラーパネル1から落下することが無く、安全である。
【0054】
また、外周にブラシ状の清掃部材を有するブラシ本体5aを回転させることにより、ソーラーパネル1の表面に強力にこびり付いた汚れも確実に除去することができる。なお、上記実施例では、清掃体として回転ブラシ5を用いたが、図7に示すような、シリコンやゴムなどの材料からなるブレード24を用いるようにすれば、平滑なソーラーパネルの表面を一様にワイピングできるので清掃ムラが発生しない。
【0055】
なお、本実施例は、スペーサー32を使用した形態であるが、本実施例におけるソーラーパネル清掃装置2は、屋根の全域に渡ってソーラーパネル1が設置されている場合においても、スペーサー32を使用することなく清掃可能である。具体的には、回転ブラシ5が、ソーラーパネル1の左端の一番下のセルの下縁に接するように、右前脚部11、左前脚部12、右後脚部13、左後脚部14の外側に形成されたソーラーパネル清掃装置2を使用することにより、屋根の全域に渡って設置されているソーラーパネル1の清掃が可能となる。
【実施例2】
【0056】
図8は、本発明の第2の実施例におけるソーラーパネル清掃装置の要部断面図である。尚、上記第1の実施例におけるソーラーパネル清掃装置と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
本発明は、図8に示すように、フレーム3に、高圧洗浄機構30を設けたもので、その高圧洗浄機構30は、洗浄液を収納するタンク26と、コンプレッサー27と、コンプレッサー27からの高圧の空気をソーラーパネル1に吹きつけるための噴射ノズル28から構成され、噴射ノズル28より、高圧の洗浄液を、ソーラーパネル1の表面に吹き付けるようにしたものである。
【0058】
本実施例は、上記のように構成されているので、固くこびり付いた汚れを浮かび上がらせてくれるので、回転ブラシ5での清掃が、より確実に、かつ簡単になる。
【実施例3】
【0059】
図9は、本発明の第3の実施例におけるソーラーパネル清掃装置の斜視図である。尚、上記実施例におけるソーラーパネル清掃装置と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
本実施例は、図9に示すように、ソーラーパネル清掃装置2の天面に、第2のソーラーパネル31を配し、第2のソーラーパネル31で得られた電力で、4足歩行手段4又は/及び回転ブラシ5を駆動するようにしたもので、ソーラーパネル清掃装置2の移動、回転ブラシ5の駆動等のための動力を、第2のソーラーパネル31で得られた電力で補うことで、電源装置7の軽量化が図れると共に、電源装置7の電力の足りない分を補ったりすることができる。
【0061】
尚、上記実施例では、ソーラーパネル1の清掃の都度、ソーラーパネル清掃装置2をソーラーパネル1上に置くようにしたが、ソーラーパネル1の面積が広く、又、ソーラーパネル1が、頻繁に汚れるような環境に設置されている場合、ソーラーパネル1の表面と同一高さの置座を設けて、そこにソーラーパネル清掃装置2を常設しておき、コントローラなどで遠隔操作で清掃開始指示すると、ソーラーパネル清掃装置2がその置座からソーラーパネル1に移動して清掃開始するようにしても良い。この場合は、ソーラーパネル1の清掃が終了すると、ソーラーパネル清掃装置2が、置座に戻るようにすることは、言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明に係るソーラーパネル清掃装置は、ソーラーパネルの大きさ、形状にとらわれず、設置が容易で、ソーラーパネルの電力変換効率を低下させることも無く、しかも軽量で、屋根に負担をかけない、使用勝手の良いもので、ソーラーパネルの清掃に限らず、屋根などに設置される太陽温水器などの清掃にも適用できるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 ソーラーパネル
2 ソーラーパネル清掃装置
2a 本体
3 フレーム
4 4足方向手段(自走手段)
5 回転ブラシ(清掃体)
7 電源装置
8 制御手段
24 ブレード(清掃体)
25 超音波センサー(認識手段)
30 高圧洗浄機構
31 第2のソーラーパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネル上で本体を自走させるための自走手段と、前記ソーラーパネルの大きさや形状を認識するための認識手段と、前記ソーラーパネルの表面を清掃する清掃体と、前記自走手段などを駆動するための電源装置と、前記認識手段の出力に基づき、前記本体が前記ソーラーパネルの表面を順次走行するよう前記自走手段を制御する制御手段を備えたソーラーパネル清掃装置。
【請求項2】
自走手段は、吸着動作と、吸着の開放動作を繰り返しながら、本体を自走させる請求項1に記載のソーラーパネル清掃装置。
【請求項3】
清掃体を回転ブラシで構成した請求項1又は2に記載のソーラーパネル清掃装置。
【請求項4】
清掃体をブレードで構成した請求項1又は2に記載のソーラーパネル清掃装置。
【請求項5】
洗浄液を、ソーラーパネルの表面に向けて高圧噴射する高圧洗浄機構を設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載のソーラーパネル清掃装置。
【請求項6】
本体に、第2のソーラーパネルを搭載し、前記第2のソーラーパネルで得られた電力で、自走手段又は/及び清掃体を駆動するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載のソーラーパネル清掃装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−186819(P2010−186819A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28826(P2009−28826)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】