説明

タイルの張り付け方法

【課題】 壁面などの垂直方向に延びる施工面にタイルを貼り付ける際に、施工性およびタイル保持性に優れた接着剤を提供する。
【解決手段】 基材上にタイルを貼り付け固定する方法であって、基材上に接着剤をローラーで塗布する工程と、形成された塗膜にタイルを貼り付ける行程とを備え、接着剤は23℃においてコーン・プレート型粘度計により求められるCASSON降伏値が200Pa以上であり、塗膜表面は、塗布時に複数の不規則な凸部からなる模様が形成され、複数の不規則な凸部は、接着剤が硬化するまでその形状が消失しないことを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイル施工時に利用される弾性接着剤を用いたタイルの張り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性接着剤層を介してタイルを所定の目地間隔で配列固定する方法が提案されている。 このような方法によれば、建築基材に接着剤を櫛目鏝で塗布、平鏝で平滑にならして均一な厚みの接着剤層を形成後、タイルを1枚1枚押圧して貼着していくものである。(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
このような方法において使用される接着剤として、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂を樹脂成分として含有し、さらに、炭酸カルシウム、シリカなどの充填材を含有してなる例が開示されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0004】
一方、タイルを表面に接着、固定した、建材パネルを作製するための弾性接着剤が開示されている。この弾性接着剤は、ライン施工を目的としており、水平面での塗布およびタイル接着を前提に配合が定められている。(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)
【特許文献1】特開平10-159304号公報
【特許文献2】特開平4-100881号公報
【特許文献3】特開平5-65469号公報
【特許文献4】特開平10-140786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接着剤を櫛目鏝などの鏝で基材表面に均一な厚みで塗布するためには、施工作業者の熟練を要する。また、作業に習熟した人が施工しても、塗布、均しと、同一平面に2回以上鏝を滑らす手間が必要なため、作業負荷が大きい。
【0006】
一方のライン施工を目的とした接着剤は、水平面での塗布およびタイル接着を目的とするため、比較的粘性が低く、塗布層の均一性を確保するためにレベリング性に優れた特性を備えている。このような接着剤は、塗布性は優れるものの、塗布直後のタイルの保持性が悪い傾向にあり、十分な接着強度を確保するためには長時間の養生が必要な場合がある。そのため、壁面などの垂直方向に延びる施工面にこのような接着剤を使用することは不適当である。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、壁面などの垂直方向に延びる施工面にタイルを張り付ける際に、施工性および塗布直後のタイル保持性に優れた接着剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、基材上にローラーで塗布し、形成された塗膜にタイルを張り付け固定するために用いられる有機質の弾性接着剤であって、23℃においてコーン・プレート型粘度計により求められるせん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値が200Pa以上であり、前記塗膜表面は、塗布時に複数の不規則な凸部からなる模様が形成され、前記複数の不規則な凸部は、前記接着剤が硬化するまでその形状が消失しないことを特徴とする、タイル用接着剤を提供する。
【0009】
ここで、「不規則な凸部からなる模様」とは、櫛目鏝で形成されるような模様を除く、ある特定の凸部とその近傍の凸部の配列に規則性を有さない模様を指し、塗布時に接着剤がローラーから引き離される際に形成される、突起状、小波状、などの形状である。また、「形状が消失しない」とは、重力以外の外力を加えない状態で、上記模様が維持されることであり、凸部形状の経時的な変形は「維持される」の範疇に含まれるものとする。
【0010】
本発明は、23℃においてコーン・プレート型粘度計により求められるせん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値が200Pa以上であることを特徴とする。
CASSON降伏値は、コーン・プレート型粘度計の回転数を変化させて測定した、せん断速度(D)とせん断応力(S)それぞれの平方根をプロットし、そこから得られる直線(CASSONの流動方程式)の切片を二乗することにより求められる。
CASSONの流動方程式
S:せん断応力 D:せん断速度 SC:CASSON降伏値 μC:CASSON粘度
【0011】
「せん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値」とは、コーン・プレート型粘度計の回転数を、0.5→1→2.5→10→20rpmのように上昇させていきながら、せん断速度(D)、せん断応力(S)を測定し、それらの平方根のプロットから得られる直線(CASSONの流動方程式)に外挿して得られるCASSON降伏値(SC)のことを指す。
また「せん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値」とは、コーン・プレート型粘度計の回転数を、20→10→5→2.5→1rpmのように下降させていきながら、せん断速度(D)、せん断応力(S)を測定し、それらの平方根のプロットから得られる直線に外挿して得られるCASSON降伏値(SC)のことを指す。
【0012】
ここでCASSON降伏値は、塗布時の接着剤における値である。せん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値を200Pa以上とすることにより、塗布直後のタイル保持性が特に優れた接着剤を得ることが可能である。好ましくはせん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値を200Pa、かつせん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値を60Pa以上である。より好ましくは流動曲線の形式がチクソトロピーを示し、せん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値が150Pa以上かつせん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値が60Pa以上、さらに好ましくはせん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値が70Paである。
【0013】
また、本発明は、ローラーで塗布することにより、作業時間および作業負荷を小さくすることが可能となる。また、接着剤層の表面形状を上記模様に形成し、さらに、上記模様はその形状が維持されることによって、多少の不陸があるときにも凸部がタイル裏面と接着するため、基材とその上に固定するタイルとの接着強度を充分に確保することが可能となる。特に、複数のタイル裏面間を樹脂やネットなどの連結部材で連結したタイルユニットを張り付けた場合、目地部に存在する連結部材は、接着剤層の凸部と凸部との間の谷部に、少なくとも下面を埋め、あるいは、目地部に存在する連結部材の一部は接着剤層の凸部に埋没するので、外観上連結部材が目立つことがなくなる。したがってタイルユニットを張り付けた後に樹脂モルタル等を目地部に塗り込む必要がない。
【0014】
また、本発明は、塗布時の粘度が10〜200Pa・s、チクソトロピーインデックス(TI値)が2.0以上であることを特徴とする。ただし、粘度は、23℃においてBH型粘度計7号ローターにより測定される20rpm時の値であり、チクソトロピーインデックス(TI値)は、23℃において、BH型粘度計7号ローターにより測定される2rpm時の粘度を20rpm時の粘度で除した値である。
【0015】
上記粘性とすることで、ローラーによる塗布性に優れ、かつ、塗布時に形成された複数の不規則な凸部からなる模様を硬化時まで消失することなく維持することが可能となる。
【0016】
さらに、前記充填材は、三次元ウィスカーを含有することによって、タイル保持性が向上する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、壁面などの垂直方向に延びる施工面にタイルを張り付ける際に、施工性および塗布直後のタイル保持性に優れた接着剤を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の具体的な実施形態について説明する。
【0019】
本発明の接着剤は、予めローラーに付着させ、基材表面に転写するものである。転写の際に接着剤の一部がその粘性によってローラー側に引き上げられることによって、上述した凸部が形成される。このような形成方法においては、塗装に用いるときに使用される市販のローラーを使用できる。より具体的には、後述する接着剤の適用の際には、スポンジローラー、砂骨ローラーが好適に利用できる。なお、凸部形成は、ローラーにて接着剤塗布と同時に行う方法のほかに、櫛目鏝を利用した鏝塗り、コーキングガンのような連続押し出し装置を使用する方法、スプレーなどにより、所定量の接着剤を壁に付着させた後に、ローラーで塗り広げると同時に凸部を形成しても良い。
【0020】
本発明の接着剤は、平均0.5mm以上3mm以下の厚さで存在している。接着剤の塗膜厚さは、所定面積への塗布量および比重から算出する。接着剤の塗膜表面には、突起状、小波状などの形状の凸部が多数形成されており、凸部の高さは0.5mm以上10mm以下である。また、相互に隣接する凸部と凸部との間隔は1mm以上30mm以下である。
【0021】
CASSON降伏値は上述したように23℃におけるコーン・プレート型粘度計により求めた粘度特性から、CASSONの流動方程式によって算出される。降伏値は非常に低いせん断領域での現象を把握でき、値が高いほど静摩擦が大きいとみなすことができる。本発明においては、せん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値が200Pa以上、とすることで、接着剤塗布直後の壁面にタイルを張り付けても、剥落やタイルのズレに対して優れた抵抗性が得られる。CASSON降伏値は、好ましくはせん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値が200Pa以上、かつせん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値が60Pa以上である。より好ましくは、接着剤の流動曲線の形式がチクソトロピーであって、せん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値が150Pa以上、かつせん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値が60Pa以上、さらに好ましくはせん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値が70Pa以上である。
【0022】
さらに、23℃においてBH型粘度計7号ローターにより測定される20rpm時の粘度が10〜200Pa・sとすることで、ローラー塗布が可能となる。好ましい粘度範囲は、30〜120Pa・sである。また、チクソトロピーインデックス(TI値)が2.0以上とすることで、ローラーによる塗布と、凸部の形状維持性との両立を可能としている。好ましいチクソトロピーインデックス(TI値)の範囲は3.0〜20、好ましくは5.0〜10、最も好ましくは6.0〜10である。
【0023】
本発明の接着剤に適用可能な(A)成分;変性シリコーン樹脂としては、反応性ケイ素基を1分子中に2個以上含有する化合物が好ましい。反応性ケイ素基とは、加水分解性基が結合しているケイ素原子を含有し、シラノール縮合反応により架橋可能な基である。加水分解性基としては、ハロゲン原子、アルコキシル基、アシルオキシ基、アミノオキシ基、メルカプト基などが挙げられ、特にアルコキシル基が取り扱い容易であり、好適に利用できる。
【0024】
(B)成分;エポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリン・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリン・ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0025】
(C)成分;充填材としては、ウィスカー、メチル化処理を行ったシリカが好ましく、その他、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、フライアッシュバルーン、フライアッシュ、シリカ、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、ガラスバルーン、珪藻土、ムライト、カオリン、タルク、クレー、マイカ、ベントナイト、ケイ酸アルミニウム、酸化亜鉛等の無機充填剤やチタニア、カーボン等の無機顔料が好適に利用できる。
【0026】
ウィスカーは、タイル保持性を向上するために好適に利用できる。特に立体構造を有する、三次元ウィスカーが好ましい。三次元ウィスカーとしては、テトラポット形状を有する酸化亜鉛ウィスカーを挙げることができる。三次元ウィスカーは樹脂成形物の寸法安定性を高める作用が知られているが、液体中であっても変形に対する抵抗性を備えているものと考えられる。
【0027】
メチル化処理を行ったシリカは、メチル基、シリコーンオイルなどにより疎水化された微粉シリカのことを指し、チクソトロピー性を向上するために利用する。
【0028】
以上の成分において、((A)成分+(B)成分)/((C)成分)の重量比により、タイル保持性、ローラーでの作業性、凸部形成性等の性能が決定される。ただし、これらの性能を満たす前記重量比の最適値は、後述する製品形態によって異なる。
【0029】
その他の成分として、アミノシランなど、エポキシ基と反応しうる官能基と反応性ケイ素基を分子中に含有するシリコーン化合物や、エポキシ樹脂用硬化剤、有機錫系シリコーン硬化剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤などを適宜添加することができる。
【0030】
本発明の接着剤が適用可能な製品形態としては、接着剤の構成材料を全て同一の容器に収容し容器の開封と同時に硬化が開始する一液型、接着剤の構成材料を別々の容器に収容しそれぞれを混合すると同時に硬化が開始する二液型が挙げられ、公知のものが適用できる。二液型には、樹脂成分と硬化剤成分とを別々の容器に収容した形式のものと、二種類の樹脂成分とそれぞれの硬化剤成分を互い違いに配合したクロス配合形式のものが挙げられる。
【0031】
本発明の接着剤が適用可能な基材としては、既設の塀や内外壁の他に、サイディング材や壁パネルといった壁材が挙げられ、その材質は窯業系基材、塗装鋼板などの金属基材、
木質系基材など、特に限定されないが、既設の壁において特に好適に利用できる。
【0032】
基材表面の特性に応じて、接着剤の適用前に、下塗り材を併用しても良い。下塗り材としては、アクリルゴム、炭酸カルシウムを含有してなる、微弾性フィラーが好適に利用できる。基材と接着剤との密着性を補完したり、基材の凹凸が大きくてタイルへの接着剤の付着面積が確保しにくい場合に基材を平滑化するために利用したりすることができる。基材の種類にあわせて下塗り材を選定することで、様々な基材の改修に対応できるだけでなく、接着剤の弾性に下塗り材の弾性を加味することが可能となるため、接着強度や耐震性の向上も可能である。
【0033】
タイルは、陶磁器製、ガラス製のセラミックスからなり、施釉タイルでも無釉タイルでも利用できる。例えば、造粒粉を作製後に金型中で乾式プレス成形し、その上に必要に応じて釉薬を塗布し焼成することで得られる。また、素地にフライアッシュバルーン、シラスバルーン、ガラスバルーンなどの軽量骨材や、炭化珪素などの発泡材を添加した軽量タイルも好適に利用できる。
【0034】
タイル裏面は裏足が無いか、裏足高さが1mm未満の形状とすることが望ましい。そうすることで、タイルの裏面の略全体に亘って接着剤が密着することが可能となり、充分な接着強度が確保される。より好ましい裏足高さの上限は0.5mmである。
【0035】
さらに、タイル表面には光触媒層を設けても良い。そうすることで、タイル表面にセルフクリーニング性や抗菌性を付与することができる。
【0036】
これらのタイルは、タイル表面をクラフト紙等の連結シートで一体化したユニット、アクリル樹脂などでタイルの裏面を連結されたユニット、ネット上に複数のタイルを配列固定したネット式ユニットなどのタイルユニットを利用することができる。タイルユニットは、隣接しあうタイル同士をタイル裏面および/またはタイル側面にて部分的に連結用樹脂によって接合してなるものであって、公知のものが利用できる。当然、1枚ずつ独立したタイルも利用できる。
【実施例】
【0037】
(実験1)
表1に示す各組成の主剤および硬化剤からなる接着剤組成物を調製し、この主剤と硬化剤とを混合した。主剤と硬化剤の混合は、自転公転方式ミキサー「AR-250」(シンキー社製)にて、250AD-200DSPアダプターを使用し、200mlディスポカップへ主剤と硬化剤を合わせて20〜30gの範囲で投入し、30秒間攪拌を行うことにより実施した。
混合後から後述の測定終了までの時間は30分程度であり、評価の間、粘度変化はほとんど無かった。
そして、(a)混合後の粘度、およびチクソトロピーインデックス(TI値)、(b)流動曲線の形式、(c)上りおよび下りのCASSON降伏値、(d)塗装性、(e)凸部形成の有無、(f)タイル保持性を評価した。結果を表1に示す。
(a)混合後の粘度、およびチクソトロピーインデックス(TI値)
23℃においてBH型粘度計(東京計器社製)7号ローターにより測定される2rpm、20rpm時の粘度を測定し、チクソトロピーインデックス(TI値)は2rpm時の粘度を20rpm時の粘度で除した値である。
(b)流動曲線の形式
23℃において、コーン・プレート型粘度計(東機産業社製、R500)で3°×R12コーンロータを使用し、回転数(rpm)を一定の割合で上昇・下降させて(ex.0.5→1→2.5→5→10→20→10→5→2.5→1→0.5)せん断速度(D)とせん断応力(S)を測定し、そのプロットが描く流動曲線(ヒステリシスループ)から流動曲線の形式を判断した。
(c)CASSON降伏値
23℃においてコーン・プレート型粘度計(東機産業社製、R500)の回転数を、0.5→1→2.5→10→20rpmのように上昇させていきながら、せん断速度(D)、せん断応力(S)を測定し、それらの平方根のプロットから得られる直線(CASSONの流動方程式)に外挿して、せん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値を算出した。
同様に、コーン・プレート型粘度計の回転数を、20→10→5→2.5→1rpmのように下降させていきながら、せん断速度(D)、せん断応力(S)を測定し、それらの平方根のプロットから得られる直線に外挿して、せん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値を算出した。
(d)塗装性
垂直方向に延びるボード上に、砂骨ローラーを用いて接着剤を700g/m2の塗布量となるように塗布し、作業性を評価した。
(e)凸部形成の有無
接着剤塗布後の塗膜表面に、凸部が形成されているか、目視で評価した。(f)タイル保持性
接着剤塗布後の塗膜表面に、通常タイル(寸法45mm×95mm×6mm、重量60〜62g)を装着し、接着初期のタイル保持性を目視で評価した。タイルの保持性が良好であったものは○、ずれが生じたものは×とし、○を合格とした。
【0038】
【表1】

【0039】
表1中の各配合剤の内容は以下のとおりである。
シリコン変性ポリエーテル樹脂;SAT350(鐘淵化学工業社製)エポキシ樹脂;AER260(旭化成社製)
酸化亜鉛ウィスカー;パナテトラWZ―0501(松下産業情報機器社製)疎水性微粉シリカ(1);R―974(日本アエロジル社製)
疎水性微粉シリカ(2);RY200S(日本アエロジル社製)
ビニルシラン(1);KBM1003(信越化学工業社製)
フライアッシュバルーン;セノライトYK(巴工業社製)
軽質炭酸カルシウム(1);CCR(白石カルシウム社製)
軽質炭酸カルシウム(2);カルファイン40N(丸尾カルシウム社製)
3級アミン;TAP(化薬アクゾ社製)
アミノシラン(1);KBM603(信越化学工業社製)
スズ系触媒;SCAT―1(三共有機合成社製)
着色用カーボンブラック;400R(キャボット社製)
さらに添加剤として光安定剤、紫外線吸収剤、および酸化防止剤を添加した。
【0040】
表1から明らかなように、実施例の接着剤では塗装性、凸部形成、タイル保持性のいずれも良好であった。一方、比較例においては、タイル保持性を満たすことができなかった。
【0041】
(実験2)
表2に示す各組成の主剤および硬化剤からなる接着剤組成物を調製し、実験1と同様の方法で主剤と硬化剤とを混合し、前記実験1の(a)〜(e)と同様の評価を行った。(f)タイル保持性は下記方法で評価した。(f)タイル保持性接着剤塗布後の塗膜表面に、通常タイル(寸法45mm×145mm×8mm、重量104〜108g)と軽量タイル(寸法45mm×145mm×9mm、重量74〜79g)の2種類を接着し、接着初期のタイル保持性を目視で評価した。両者とも良好であったものは○、軽量タイルで良好、通常タイルで若干ずれが生じた物は△、両者ともずれが生じたものは×とし、○と△を合格とした。
【0042】
【表2】

【0043】
表2中の各配合剤の内容は以下のとおりである。
シリコン変性ポリエーテル樹脂;SAT350(カネカ社製)
エポキシ樹脂;AER260(旭化成社製)
酸化亜鉛ウィスカ-;WZ-0501(松下産業情報機器社製)
疎水性微粉シリカ(1);R―974(日本アエロジル社製)
疎水性微粉シリカ(2);RY200S(日本アエロジル社製)
ビニルシラン(1);KBM1003(信越化学社製)
ビニルシラン(2);SZ6300(東レダウコーニング社製)
フライアッシュバルーン;3級アミン;TAP(化薬アクゾ社製)
アミノシラン(2);GF91(旭化成ワッカー社製)
スズ系触媒;SCAT―1(三共有機合成社製)
着色用カーボンブラック;400R(キャボット社製)
さらに添加剤として光安定剤、紫外線吸収剤、および酸化防止剤を添加した。
【0044】
表2から明らかなように、実施例の接着剤では塗装性、凸部形成、タイル保持性のいずれも良好であった。一方、比較例においては、塗布性、凸部形成、タイル保持性を満たすことができなかった。
【0045】
(実験3)
表3に示す各組成の主剤および硬化剤からなる接着剤組成物を調製し、実験1と同様の方法で主剤と硬化剤とを混合し、前記実験2の(a)〜(f)と同様の評価を行った。
【0046】
【表3】

【0047】
表3中の各配合剤の内容は以下のとおりである。
シリコン変性ポリエーテル樹脂;SAT350(カネカ社製)
エポキシ樹脂;AER260(旭化成社製)
可塑剤(1);DINP(ジェイ・プラス社製)
軽質炭酸カルシウム(3);カルファイン200M(丸尾カルシウム社製)
重質炭酸カルシウム;LW300(清水工業社製)
フライアッシュバルーン;セノライトYK(巴工業社製)
ビニルシラン(3);XL10(旭化成ワッカー社製)
3級アミン;TAP(化薬アクゾ社製)
アミノシラン;GF91(旭化成ワッカー社製)
可塑剤(1);DINP(ジェイ・プラス社製)
スズ系触媒;SCAT―1(三共有機合成社製)
着色用カーボンブラック;400R(キャボット社製)
さらに添加剤として光安定剤、紫外線吸収剤、および酸化防止剤を添加した。
【0048】
表3から明らかなように、実施例の接着剤では塗装性、凸部形成、タイル保持性のいずれも良好であった。一方、比較例においては、タイル保持性を満たすことができなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にタイルを張り付け固定する方法であって、
前記基材上に接着剤をローラーにて塗布する工程と、形成された塗膜に前記タイルを張り付ける工程とを備え、
前記接着剤は23℃においてコーン・プレート型粘度計により求められるせん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値が200Pa以上であり、前記塗膜表面は、塗布時に複数の不規則な凸部からなる模様が形成され、前記複数の不規則な凸部は、前記接着剤が硬化するまでその形状が消失しないことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記接着剤は、せん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値が60Pa以上であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基材上にタイルを張り付け固定する方法であって、
前記基材上に接着剤をローラーにて塗布する工程と、形成された塗膜に前記タイルを張り付ける工程とを備え、
前記接着剤は、流動曲線の形式がチクソトロピーを示し、23℃においてコーン・プレート型粘度計により求められるせん断速度階段状上昇測定によるCASSON降伏値が150Pa以上であって、かつせん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値が60Pa以上であり、前記塗膜表面は、塗布時に複数の不規則な凸部からなる模様が形成され、前記複数の不規則な凸部は、前記接着剤が硬化するまでその形状が消失しないことを特徴とする、方法。
【請求項4】
前記接着剤は、せん断速度階段状下降測定によるCASSON降伏値が70Pa以上であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤は、塗布時の粘度が10〜200Pa・s、チクソトロピーインデックス(TI値)が2.0以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
ただし、粘度は、23℃においてBH型粘度計7号ローターにより測定される20rpm時の値であり、チクソトロピーインデックス(TI値)は、23℃において、BH型粘度計7号ローターにより測定される2rpm時の粘度を20rpm時の粘度で除した値である。

【公開番号】特開2006−257430(P2006−257430A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−103590(P2006−103590)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【分割の表示】特願2005−195112(P2005−195112)の分割
【原出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【出願人】(501343721)ジャパンハイドロテクトコーティングス株式会社 (7)
【Fターム(参考)】