説明

タッチパネル、入力機能付き表示装置、および電子機器

【課題】ニュートンリング防止用の微細な凹凸を形成した場合でも、その形態を適正化することにより、良好な画像を表示することのできるタッチパネル、当該タッチパネルを備えた入力機能付き表示装置、および当該入力機能付き表示装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】タッチパネル1では、第1電極15が第1面11に形成された第1基板10と、第2電極25が第1面21に形成された透光性の第2基板20とを備え、第2基板20の第1面21には、微細な凹凸21aが形成されている。凹凸21aは、算術平均粗さRaが0.1μm以下で、その表面凹凸の平均間隔Smが10〜60μmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指などが接触した位置を検出可能なタッチパネル、当該タッチパネルを備えた入力機能付き表示装置、および当該入力機能付き表示装置を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、図6に示すように、液晶装置5などの表面にタッチパネル1が配置され、液晶装置5の画像表示領域に表示された指示画像を参照しながら、タッチパネル1の所定箇所を指などで押下することで、情報の入力が行えるものがある。
【0003】
このようなタッチパネルのうち、抵抗膜型のものでは、第1電極15が第1面11に形成された透光性の第1基板10と、第2電極25が第1面21に形成された透光性の第2基板20とが、第1面11、21同士が所定の間隙を介して対向するように配置され、第2基板20の第2面22側が押下されるようになっている。その際、第1基板10と第2基板20の間隔が狭まってニュートンリングが発生すると、液晶装置5で表示された画像が見えにくくなってしまう。
【0004】
そこで、PETフィルムなどからなる第2基板20の第1面21に算術平均粗さRaが0.06〜3.0μmの微細な凹凸21aを形成し、ニュートンリングの発生を防止した構成が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−169367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タッチパネル1を備えた入力機能付き表示装置100では、液晶装置5の画像が高精細化した場合に第2基板20の第1面11に凹凸21aを形成すると、凹凸21aの形成具合によっては、凹凸21aのマイクロレンズ的な影響によって、液晶装置5に表示された情報の視認性がギラギラ感として低下する一方、濁りに起因する表示品位の低下が発生するという問題点がある。すなわち、タッチパネル1を備えた入力機能付き表示装置100では、ニュートンリングの発生を防止するための凹凸21aを形成するにあたって、算術平均粗さRaだけを制御したのでは十分でないという問題点がある。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、ニュートンリング防止用の微細な凹凸を形成した場合でも、その形態を適正化することにより、良好な画像を表示することのできるタッチパネル、当該タッチパネルを備えた入力機能付き表示装置、および当該入力機能付き表示装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、基板において互いに反対側に位置する面を各々第1面および第2面としたときに、第1電極が第1面に形成された第1基板と、第2電極が第1面に形成された透光性の第2基板とが、第1面同士が所定の間隙を介して対向するように配置され、前記第2基板の第2面側が押下されるタッチパネルにおいて、前記第1基板の第1面および前記第2基板の第1面のうちの少なくとも一方には、算術平均粗さRaが0.1μm以下で、表面凹凸の平均間隔Smが10〜60μmの微細な凹凸が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明では、第1基板の第1面および第2基板の第1面のうちの少なくとも一方に微細な凹凸が形成されているため、かかる凹凸が電極表面にも反映されている。従って、第2基板が押下されても第1基板と第2基板との間にニュートンリングが発生しにくい。また、本発明では、凹凸の算術平均粗さRaの上限を0.1μmに設定したため、画像生成装置に表示された画像が高精細化した場合でも、擦りガラスのような濁り感が発生しない。さらに、本発明では、凹凸の平均間隔Smについても規定し、かつ、その値を10〜60μmに設定してあるため、凹凸のマイクロレンズ的な影響によって、画像生成装置に表示された情報の視認性がギラギラ感として低下することもない。すなわち、算術平均粗さRaが0.1μmより大きくなれば、擦りガラスのような濁り感が生じて、画像生成装置に表示された情報の視認性が低下するが、本発明では、凹凸の算術平均粗さRaの上限を0.1μmに設定したため、かかる問題が発生しない。また、表面凹凸の平均間隔Smが60μmより大きければ、それらの凹凸によるマイクロレンズのような効果が生じて、画像生成装置に表示された情報の視認性がギラギラ感として低下する一方、表面凹凸の平均間隔Smが10μmより小さくなれば、算術平均粗さRaの小ささと重なって平坦性が増してニュートンリングが見え易くなるが、本発明では、凹凸の平均間隔Smを10〜60μmに設定したため、かかる問題が発生しない。
【0009】
本発明では、少なくとも、前記第2基板の第1面に前記凹凸が形成されていることが好ましい。本発明では、前記凹凸の算術平均粗さRaを0.1μm以下としたため、第1基板と第2基板との間にニュートンリングが多少発生するおそれがあるが、前記第2基板の第1面に凹凸を形成しておけば、ニュートンリングが発生しても目立たないという利点がある。
【0010】
本発明において、前記凹凸の算術平均粗さRaが0.02〜0.06μmであり、表面凹凸の平均間隔Smが20〜60μmであることが好ましい。かかる条件を採用すれば、擦りガラスのような濁り感、凹凸によるマイクロレンズの影響に起因するギラギラ感といった表示品位の低下、反射に起因するニュートンリングといった表示品位の低下をより確実に防止することができる。
【0011】
本発明において、前記第2基板のヘイズ値(濁り値)は2〜4%であることが好ましい。このように構成すると、画像生成装置で生成された画像を高い品位のまま見ることができる。
【0012】
本発明において、前記凹凸を形成するにあたっては、前記第1基板および前記第2基板のうち、前記凹凸が形成された基板がガラス基板である場合、前記凹凸は当該ガラス基板に対するフロスト加工により形成することができる。
【0013】
本発明は、前記第2基板の厚さが0.2mm以下のガラス基板である場合に適用すると効果的である。このような薄いガラス基板は、第1基板と第2基板とを貼り合せた後、エッチングにより、基板を薄手化するが、本発明では、凹凸が第1基板または/および第2基板の内面(第1面)に形成されているので、基板の薄手化のためのエッチングを行なっても、凹凸が消失しない。
【0014】
本発明を適用したタッチパネルを用いて入力機能付き表示装置を構成する場合、前記タッチパネルにおける前記第1基板側に画像生成装置が重ねて配置される。本発明は、前記画像生成装置におけるドットピッチ(画素ピッチ)が60μm以下、例えば30μm程度である場合に適用すると、効果的である。
【0015】
本発明を適用した入力機能付き表示装置は、携帯電話、電子手帳、POS端末などの端末装置などといった電子機器に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。また、対応関係が分りやすいように、図6に示す構成と共通する機能を担う部分には同一の符号を付して説明する。
【0017】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1および図2は各々、本発明を適用した入力機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。なお、図2において、タッチパネルや液晶パネルの基板や電極などについては、その形状を簡略化し、かつ、存在が分りやすいように厚く示してある。
【0018】
図1および図2において、本形態の入力機能付き表示装置100は、概ね、画像生成装置としての液晶装置5と、この液晶装置5において表示光を出射する側の面に重ねて配置されたタッチパネル1(入力装置)とを有している。
【0019】
液晶装置5は、透過型のアクティブマトリクス型液晶パネル(以下、単に液晶パネル5aという)を備えており、透過型の液晶パネル5aの場合、表示光の出射側とは反対側にバックライト装置(図示せず)が配置される。また、液晶装置5において、液晶パネル5aに対して表示光の出射側には第1偏光板81が重ねて配置され、その反対側に第2偏光板82が重ねて配置されている。液晶パネル5aは、透光性の素子基板50と、この素子基板50に対して対向配置された状態でシール材71により貼り合わされた透光性の対向基板60と、対向基板60と素子基板50との間に保持された液晶層55とを備えている。素子基板50において、対向基板60の縁から張り出した張出領域59には駆動用IC75がCOG実装されているとともに、張出領域59にはフレキシブル基板73が接続されている。なお、素子基板50には、素子基板50上のスイッチング素子と同時に駆動回路を形成することもある。
【0020】
(タッチパネル1の詳細構成)
タッチパネル1は、抵抗膜型であり、ITO膜(Indium Tin Oxide)などの透光性導電膜からなる透光性の第1電極15が第1面11に形成された透光性の第1基板10と、ITO膜などの透光性導電膜からなる第2電極25が第1面21に形成された透光性の第2基板20とが、第1面11、21同士が所定の間隙を介して対向するようにシール材31で貼り合わされ、その内側は空気層になっている。第1基板10および第2基板20としては透光性の薄いプラスチック基板や薄いガラス基板を用いることができ、本形態では、第1基板10の厚さは、0.4〜1.1mmであり、第2基板20の厚さは0.2mm以下、例えば0.1mmの薄いガラス基板が用いられている。第1基板10において、第2基板20の縁から張り出した張出領域19にはフレキシブル基板33が接続されている。
【0021】
このように構成したタッチパネル1は、液晶装置5の第1偏光板81に重ねて配置されて入力機能付き表示装置100を構成する。かかる入力機能付き表示装置100においては、液晶装置5は画像表示領域100a内に動画や静止画を表示可能であり、入力機能付き表示装置100に対して、タッチパネル1を介して入力を行う際の指示画像なども表示する。従って、利用者は、液晶装置5で表示された指示画像を見ながら、タッチパネル1を指で押下すれば第2基板20が撓みで、押下された箇所で第1電極15と第2電極25とが接触する。それ故、第1電極15と第2電極25とが接触した箇所を検出すれば、入力された情報を判別することができる。
【0022】
(第2基板20の詳細な構成)
図3(a)、(b)、(c)は、凹凸の算術平均粗さRa、表面凹凸の平均間隔Sm、およびヘイズ値と反射率との関係を示すグラフである。素ガラスの反射率は、約9%である。
【0023】
本形態の入力機能付き表示装置100およびタッチパネル1においては、第2基板20の第1面21に微細な凹凸21aが形成されており、凹凸21aは、第2電極25表面にも反映される結果、第2電極25表面にも微細な凹凸25aが形成されている。これに対して、第1基板10の第1面11、第1基板10の第2面12、および第2基板20の第2面22はいずれも平滑面である。凹凸21aは、第2基板20に対するフロスト加工により形成されたものであり、かかる凹凸21aを形成するには、ガラス基板の所定領域をマスクで覆った状態で、フッ化水素酸およびリン酸水素二アンモニウムの水溶液などからなる酸処理液にガラス基板を浸漬して粗面化した後、フッ化水素酸およびフッ化アンモニウム酸の水溶液などからなるエッチング液に再度、ガラス基板を浸漬して等方性エッチングを行なって、形状を整えた微細な凹凸21aを形成する。
【0024】
このように構成した入力機能付き表示装置100において、本形態では、好適な形態として凹凸21aの算術平均粗さRaが0.1μm以下で、その表面凹凸の平均間隔Smが10〜60μmに設定されている。より好適な形態としては、凹凸21aは、算術平均粗さRaが0.02〜0.06μm、例えば、0.05μmであり、表面凹凸の平均間隔Smは20〜60μm、例えば、40〜60μmである。
【0025】
ここで、算術平均粗さRaは、図3(a)に示すように、粗さRa曲線からその平均線の方向に基準の長さlだけ抜き取り、抜き取った部分の平均線から測定曲線までの偏差の絶対値を合計し、平均化した値である。また、表面凹凸の平均間隔Smは、図3(b)に示すように、粗さRa曲線からその平均線の方向に基準の長さlだけ抜き取り、抜き取った部分において、1つの山、およびそれに隣接する1つの谷に対応する平均線の長さの和を求め、平均化した値である。別の言い方をすれば、基準の長さlの中で、平均線をn回横切る場合、Sm=l/nとなる。
【0026】
また、本形態では、図3(c)に示すヘイズ値と反射率との関係において、第2基板20のヘイズ値が2〜4%に設定してある。このため、第2基板20は、反射率が7〜8%と高いが、散乱が小さいため、素ガラスに近い透過率となる。従って、液晶装置5で生成された画像を高い品位のまま見ることができる。ここで、ヘイズ値とは、透光性基板が完全な透明ではなくて、濁り(曇り)がある場合のその濁り(曇り)度を表わす値であり、以下の式
ヘイズ値=(散乱光線透過率/全光線透過率)×100(%)
で表わされる。
【0027】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、タッチパネル1に用いた第2基板の第1面21に微細な凹凸21aが形成されているため、かかる凹凸21aが第2電極25の表面にも凹凸25aとして反映されている。従って、第2基板20が押下されても第1基板10と第2基板20との間にニュートンリングが発生しにくい。
【0028】
また、本形態では、凹凸21aの算術平均粗さRaの上限を0.1μmに設定したため、液晶装置5のドットピッチが60μm以下、例えば、30μm程度まで狭ピッチ化されて画像が高精細化した場合でも、擦りガラスのような濁り感が発生しない。
【0029】
さらに、本形態では、凹凸21aの平均間隔Smについても規定し、かつ、その値を10〜60μmに設定してあるため、反射に起因する表示品位の低下を確実に防止することができるとともに、凹凸21aのマイクロレンズ的な影響によって、液晶装置5に表示された情報の視認性が低下することもない。すなわち、算術平均粗さRaが0.1μmより大きくなれば、擦りガラスのような濁り感が生じて、液晶装置5に表示された情報の視認性が低下するが、本形態では、凹凸21aの算術平均粗さRaの上限を0.1μmに設定したため、かかる問題が発生しない。また、表面凹凸の平均間隔Smが60μmより大きければ、それらの凹凸によるマイクロレンズのような効果が生じて、液晶装置5に表示された情報の視認性がギラツキ感として低下する一方、表面凹凸の平均間隔Smが10μmより小さくなれば、算術平均粗さRaの小ささと重なって平坦性が増してニュートンリングが見え易くなるが、本形態では、凹凸21aの平均間隔Smを10〜60μmに設定したため、かかる問題が発生しない。
【0030】
より好適な形態として、本形態では、凹凸21aの算術平均粗さRaを0.02〜0.06μmとし、表面凹凸の算術平均粗さRaを20〜60μmとすれば、擦りガラスのような濁り感、凹凸によるマイクロレンズの影響に起因するギラギラ感といった表示品位の低下、反射に起因するニュートンリングといった表示品位の低下をより確実に防止することができる。
【0031】
また、本形態では、第2基板20の第1面21に凹凸21aが形成されているため、ニュートンリングが発生しても目立たない。すなわち、凹凸21aの算術平均粗さRaを0.1μm以下とすると、ニュートンリングが多少発生するおそれがあるが、第2基板20の第1面21に凹凸21aを形成しておけば、ニュートンリングが発生しても目立たないという利点がある。
【0032】
また、本形態において、第2基板20は、厚さが0.2mm以下、例えば、0.1mm以下のガラス基板であり、このような薄さは、厚さ0.4から1.1mmの第1基板10と第2基板20とを貼り合せた後のエッチングにより実現されるが、本形態では、凹凸21aが第2基板20の内面(第1面21)に形成されているので、基板の薄板化のためのエッチングを行なっても、凹凸21aが消失しない。また、第2基板20が薄いガラス基板で、第1電極15および第2電極25の表面が平坦であると、第2基板20が押下されて撓んだときでも、第2電極25が第1電極15に密着して貼り付いてしまい、第2基板20が押下されて撓んだ状態から元の形状に復帰する際、第2電極25が第1電極15から引き離されるときに異音が発生するが、本形態では、第2電極25の表面に凹凸25aが反映されているので、かかる問題も発生しない。
【0033】
[実施の形態2]
図4は、本発明を適用した入力機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0034】
図4において、本形態の入力機能付き表示装置100も、実施の形態1と同様、画像生成装置としての液晶装置5と、この液晶装置5において表示光を出射する側の面に重ねて配置されたタッチパネル1(入力装置)とを有している。タッチパネル1は、抵抗膜型であり、透光性の第1電極15が第1面11に形成された透光性の第1基板10と、ITO膜からなる第2電極25が第1面21に形成された透光性の第2基板20とが、第1面11、21同士が所定の間隙を介して対向するようにシール材31で貼り合わされ、その内側は空気層になっている。第1基板10および第2基板20としては透光性の薄いプラスチック基板や薄いガラス基板を用いることができ、本形態では、第1基板10の厚さは、0.4〜1.1mmであり、第2基板20の厚さは0.2mm以下、例えば0.1mmの薄いガラス基板が用いられている。
【0035】
本形態では、第1基板10の第1面11に微細な凹凸11aが形成されており、凹凸11aは、第1電極15表面にも反映される結果、第1電極15表面にも微細な凹凸15aが形成されている。これに対して、第1基板10の第2面12、第2基板20の第1面21、および第2基板20の第2面22はいずれも平滑面である。
【0036】
凹凸11aは、第1基板10に対するフロスト加工により形成されたものであり、好適な形態として算術平均粗さRaが0.1μm以下で、その表面凹凸の平均間隔Smが10〜60μmに設定されている。より好適な形態としては、凹凸21aは、算術平均粗さRaが0.02〜0.06μm、例えば、0.05μmであり、表面凹凸の平均間隔Smは20〜60μm、例えば、40〜60μmである。
【0037】
このように構成した場合も、第1基板の第1面11に微細な凹凸11aが形成されているため、かかる凹凸11aが第1電極15の表面にも凹凸15aとして反映されている。従って、実施の形態1と同様、第2基板20が押下されても第1基板10と第2基板20との間にニュートンリングが発生しにくい。また、本形態では、凹凸11aの算術平均粗さRaの上限を0.1μmに設定し、凹凸11aの平均間隔Smを10〜60μmに設定したため、実施の形態1と同様、擦りガラスのような濁り感、凹凸によるマイクロレンズの影響に起因するギラギラ感といった表示品位の低下、反射に起因するニュートンリングといった表示品位の低下をより確実に防止することができる。
【0038】
また、第2基板20は、厚さが0.2mm以下、例えば、0.1mm以下のガラス基板であり、このような薄さは、第1基板10と第2基板20とを貼り合せた後のエッチングにより実現されるが、本形態では、凹凸11aが第1基板10の内面(第1面11)に形成されているので、基板の薄板化のためのエッチングを行なっても、凹凸11aが消失しない。また、第2基板20が薄いガラス基板であるが、第1電極15の表面に凹凸15aが反映されているので、第2基板20が押下されて撓んだ状態から元の形状に復帰する際、第2電極25が第1電極15から引き離されるときでも異音が発生しない。
【0039】
[実施の形態3]
上記実施の形態1では第2基板20の第1面21に凹凸21aを形成し、第1基板10の第1面11が平坦であり、上記実施の形態2では第1基板10の第1面11に凹凸11aを形成し、第2基板20の第1面21が平坦であったが、第2基板20の第1面21に凹凸21aを形成するとともに、第1基板10の第1面11にも凹凸11aを形成した構成を採用してもよい。
【0040】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、画像生成装置として液晶装置5を用いたが、有機エレクトロルミネッセンス装置やプラズマ表示装置を画像生成装置として用いた場合に本発明を適用してもよい。
【0041】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る入力機能付き表示装置100を適用した電子機器について説明する。図5(a)に、入力機能付き表示装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す。パーソナルコンピュータ2000は、表示ユニットとしての入力機能付き表示装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001及びキーボード2002が設けられている。図5(b)に、入力機能付き表示装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001及びスクロールボタン3002、並びに表示ユニットとしての入力機能付き表示装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、入力機能付き表示装置100に表示される画面がスクロールされる。図5(c)に、入力機能付き表示装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001及び電源スイッチ4002、並びに表示ユニットとしての入力機能付き表示装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が入力機能付き表示装置100に表示される。
【0042】
なお、入力機能付き表示装置100が適用される電子機器としては、図5に示すものの他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末などの端末機器等などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明を適用した入力機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る入力機能付き表示装置の断面構成を模式的に示す説明図である。
【図3】(a)、(b)、(c)は、凹凸の算術平均粗さRa、表面凹凸の平均間隔Sm、およびヘイズ値と反射率との関係を示すグラフである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る入力機能付き表示装置の断面構成を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明に係る入力機能付き表示装置を用いた電子機器の説明図である。
【図6】従来の入力機能付き表示装置の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1・・タッチパネル、5・・液晶装置(画像生成装置)、10・・第1基板、11・・第1基板の第1面、12・・第1基板の第2面、11a、15a、21a、25a・・微細な凹凸、15・・第1基板の第1電極、20・・第2基板、21・・第2基板の第1面、22・・第2基板の第2面、25・・第2基板の第2電極、100・・入力機能付き表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板において互いに反対側に位置する面を各々第1面および第2面としたときに、
第1電極が第1面に形成された第1基板と、第2電極が第1面に形成された透光性の第2基板とが、第1面同士が所定の間隙を介して対向するように配置され、前記第2基板の第2面側が押下されるタッチパネルにおいて、
前記第1基板の第1面および前記第2基板の第1面のうちの少なくとも一方には、算術平均粗さRaが0.1μm以下で、表面凹凸の平均間隔Smが10〜60μmの微細な凹凸が形成されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
少なくとも、前記第2基板の第1面に前記凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記凹凸の算術平均粗さRaが0.02〜0.06μmであり、表面凹凸の平均間隔Smが20〜60μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記第2基板のヘイズ値が2〜4%であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記第1基板および前記第2基板のうち、前記凹凸が形成された基板はガラス基板であり、
前記凹凸は当該ガラス基板に対するフロスト加工により形成されてなることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記第2基板は、厚さが0.2mm以下のガラス基板であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のタッチパネル。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のタッチパネルを備えた入力機能付き表示装置であって、
前記タッチパネルにおける前記第1基板側に画像生成装置が重ねて配置されていることを特徴とする入力機能付き表示装置。
【請求項8】
前記画像生成装置におけるドットピッチが60μm以下であることを特徴とする請求項7に記載の入力機能付き表示装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の入力機能付き表示装置を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−231183(P2009−231183A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77382(P2008−77382)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】