説明

タッチパネル一体表示装置

【課題】画面への接触を検出する画素内に設置される光センサを所望の画素のみ又は所望の間隔を開けて間引いて設けても輝度ムラや色ムラを発生させることのないタッチパネル一体表示装置を提供する。
【解決手段】表示部の表示画面の画素P内に表示画面への接触を検出する光センサが設置されたタッチパネル機能を有するタッチパネル一体表示装置であって、表示部1の所望の画素に光センサ7が設置され、光センサの設置による画素内の発光表示面積の減少に起因した各画素での輝度差を補償するように、前記光センサが設置された画素に対応する映像信号VSの階調を上げる又は前記光センサが設置されていない画素に対応する映像信号の階調を下げて補正する映像信号補正手段10を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、表示画面にタッチパネル機能を設けたタッチパネル一体表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のタッチパネル一体表示装置として、入力のための表示画面への指やスタイラスペン(タッチペン)等での接触を検出する光センサを全ての画素毎に設けたものがあった(例えば下記特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−317682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のタッチパネル一体表示装置では、全ての画素の画素内に均一に光センサを設けることで、発光表示面積を均一としていた。しかし通常の使用用途において、全ての画素に光センサを設ける必要はなく、無駄に光センサを製造していた。これは必要に応じて所望の画素にのみ光センサを設置すると、光センサがない画素と光センサがある画素で発光画素面積が異なり、輝度ムラや色ムラが発生するためである。
【0005】
この発明は上記の問題に鑑み、画面への接触を検出する光センサを、所望の画素のみ又は所望の間隔を開けて、間引いて設けても、輝度ムラや色ムラを発生させることのないタッチパネル一体表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、表示部の表示画面の画素内に表示画面への接触を検出する光センサが設置されたタッチパネル機能を有するタッチパネル一体表示装置であって、前記表示部の所望の画素に光センサが設置され、光センサの設置による画素内の発光表示面積の減少に起因した各画素での輝度差を補償するように、前記光センサが設置された画素に対応する映像信号の階調を上げる又は前記光センサが設置されていない画素に対応する映像信号の階調を下げて補正する映像信号補正手段を備えたことを特徴とするタッチパネル一体表示装置にある。
【0007】
また、表示部の表示画面の画素内に表示画面への接触を検出する光センサが設置されたタッチパネル機能を有するタッチパネル一体表示装置であって、前記表示部の所望の画素に光センサが設置され、光センサの設置による画素内の発光表示面積の減少に起因した各画素での輝度差を補償するように、光センサが設置されていない各画素内に光センサと同じ面積を有する遮光部を設けたことを特徴とするタッチパネル一体表示装置にある。
【発明の効果】
【0008】
この発明においては、光センサを設けていない画素と、光センサを設けた発光画素面積が小さい画素とで、発光光量すなわち輝度が同等になるようにすることで、輝度ムラや色ムラの発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、タッチパネル一体表示装置の一例として、液晶表示装置によるものを例に挙げて説明する。図1はこの発明の一実施の形態によるタッチパネル一体表示装置の構成を示す図である。表示部1にはそれぞれ赤(R)、緑(G)、青(B)の3つのサブ画素からなる画素がマトリックス状に配列されて表示画面を構成している。なお以下ではサブ画素を1つの画素Pとして説明する。各画素には表示用トランジスタ(図示省略)が設けられ、ゲート駆動部2とソース駆動部3により駆動される。
【0010】
映像表示のためにゲート駆動部2にはV(垂直)同期信号V、H(水平)同期信号H及び1画素毎に対応するクロック信号CLを含む表示制御信号CSが、ソース駆動部3には上記表示制御信号CSと映像信号VSが入力される。
【0011】
また表示部1にはさらに、入力のための表示画面への指やスタイラスペン(タッチペン)等での接触を検出する光センサ7が、例えば所望の間隔になるように適当な画素数ピッチで画素内に設けられている。図2にはこの発明における表示部1での光センサ7の配置、図3には従来の全ての画素に光センサ7を設けた場合の配置を示す。図2では縦方向は5画素ピッチ、横方向は15画素ピッチで光センサ7が画素内に設置されている。
【0012】
図4に示すように、光センサ7はガラス基板に形成され、表示装置外部の周辺からの周辺光ALを指で遮った陰や、あるいは表示装置内部からのバックライトBLの指での反射光等による光を検出する。図1の光センサ制御部4は、これらの光センサ7から入力される検出信号に従って入力検出信号IDを、例えばこの表示装置全体の制御部(図示せず)に送る。
【0013】
図2に示すように、光センサ7を所望の間隔になるように適当な画素数ピッチで設けた場合、光センサ7を設置した画素の発行画素面積は、光センサ7を設置していない画素の発行画素面積より小さくなっている。これによりそのまま表示した場合、光センサ7を設置した画素の部分の輝度が低下し、表示画面に斑模様が現れる。
【0014】
そこで、光センサ7を設置した画素と配置しない画素での発行画素面積の差による輝度差をなくす(補償する)ために、映像信号に補正を行う映像信号補正手段10を設けた。映像信号補正手段10では、例えば図5に示すように、光センサ7を設置した画素に当たる映像信号の階調を所望の割合で上げることで、光センサがない画素の場合と同等になるようにする。
【0015】
図6に図1の映像信号補正手段10の構成の一例、図7に図6のルックアップテーブル(LUT)12の一例を示す。図6においてLUT12は、図7に示すように1フレーム(1画面:(1366×3(RGB分)画素×768画素))分の映像信号VSの階調を補正するための補正係数の行列(数列)が記憶されたフレームメモリからなり、光センサ7を設置していない画素では補正係数が1.0、設置した画素では例えば1.1となっている。階調補正部11では、表示制御信号CSのV同期信号から1フレームの先頭画素を判定し、以降、表示制御信号CSの1画素毎に対応するクロック信号CLと同期をとりながら、映像信号VSにLUT12の各画素に対応する補正係数を乗算して映像信号VSの階調を順次補正して階調補正された映像信号VSa出力する。なお、階調補正部11は、表示制御信号CSの各信号と同期をとりながら乗算を行う乗算係数可変の乗算器からなるが、表示制御信号CSの各信号と同期をとるためにカウンタ11aを備えていてもよい。
【0016】
また、LUT12での補正係数が横方向の各ラインで同じ場合には、LUT12を1ライン(1ライン:(1366×3(RGB分)画素)分の補正係数の数列が記憶されたラインメモリとし、表示制御信号CSのH同期信号から各1ラインの先頭画素を判定し、以降、クロック信号CLと同期をとりながら、同様にして映像信号VSにLUT12の各画素に対応する補正係数を乗算して映像信号VSの階調を順次補正して階調補正された映像信号VSa出力するようにしてもよい。
【0017】
そしてこのように階調補正された映像信号VSaに従って、従来と同様にゲート駆動部2とソース駆動部3の駆動制御により表示部1の表示画面に映像が表示されても、画素間での輝度差(バラツキ)は解消され、斑模様が現れることはない。
【0018】
なお、上記の例では図5に示すように、光センサを設置した画素に当たる映像信号の階調を上げることで、輝度が光センサがない画素の場合と同等になるようにしたが、反対に図8に示すように、光センサを設置していない画素に当たる映像信号の階調を下げることで、光センサがある画素と輝度差をなくすようにしてもよい。その場合の図6のLUT12は、光センサ7を設置していない画素では補正係数が例えば0.9、設置した画素では1.0となる。このようにしても同様の効果が得られる。
【0019】
なお、スタイラスペンの直径が約0.8mm、人間の指の直径が約10mmであることから、光センサ7の配列ピッチは縦横それぞれ例えば0.7〜10mmピッチで配列させることが好ましい。例えば液晶の1画素が0.18×0.06mmならば、最小ピッチ(スタイラスペン対応)は横方向が13画素ピッチ、縦方向が4画素ピッチ、最大ピッチ(指対応)は横方向が160画素ピッチ、縦方向が50画素ピッチとなる。
【0020】
実施の形態2.
図9はこの発明の別の実施の形態によるタッチパネル一体表示装置の構成を示す図である。この実施の形態では、表示部1のブラックマトリックス8の光センサ7を設置しない画素全てに、画素内に光センサ7と同じ面積を有する遮光部8aを形成した。これにより画素内の発光画素面積は全ての画素で同じになり、映像信号の階調補正なしに、輝度バラツキを補償輝度ムラや色ムラの発生を防止することができる。なお、遮光部8aはブラックマトリックス8と一体に形成されたものでも、別の遮光部材で形成されたものであってもよい。
【0021】
なお、上記各実施の形態において、光センサは所望の間隔に限らず、所望の画素に所望のパターンで自由に配置してもよく、該パターンに対応したルックアップテーブルを準備することで、同様な効果を奏する。
【0022】
また、液晶表示装置に限らず、表示画面の画素内にセンサを設置したタッチパネル機能を有する他の種類の表示装置であっても同様に実施可能であり、同様な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施の形態によるタッチパネル一体表示装置の構成を示す図である。
【図2】この発明における表示部での光センサの配置の一例を示す図である。
【図3】従来の全ての画素に光センサを設けた場合の配置を示す図である。
【図4】表示部の表示画面の画素に設置される光センサの動作を説明するための図である。
【図5】この発明における階調補正の一例を説明するための図である。
【図6】図1の映像信号補正手段の構成の一例を示す図である。
【図7】図6のルックアップテーブル(LUT)の一例を示す図である。
【図8】この発明における階調補正の別の例を説明するための図である。
【図9】この発明の別の実施の形態によるタッチパネル一体表示装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
1 表示部、2 ゲート駆動部、3 ソース駆動部、4 光センサ制御部、7 光センサ、8 ブラックマトリックス、8a 遮光部、10 映像信号補正手段、11a カウンタ、11 階調補正部、AL 周辺光、BL バックライト、CL クロック信号、CS 表示制御信号、H H(水平)同期信号、ID 入力検出信号、P 画素、V V(垂直)同期信号、VS 映像信号、VSa 補正された映像信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部の表示画面の画素内に表示画面への接触を検出する光センサが設置されたタッチパネル機能を有するタッチパネル一体表示装置であって、
前記表示部の所望の画素に光センサが設置され、
光センサの設置による画素内の発光表示面積の減少に起因した各画素での輝度差を補償するように、前記光センサが設置された画素に対応する映像信号の階調を上げる又は前記光センサが設置されていない画素に対応する映像信号の階調を下げて補正する映像信号補正手段を備えたことを特徴とするタッチパネル一体表示装置。
【請求項2】
前記映像信号補正手段が、
各画素に対応した映像信号の階調の補正係数を設定したルックアップテーブルと、
同期信号を含む表示制御信号に同期させて前記ルックアップテーブルの補正係数に従って映像信号の階調を順次補正する階調補正部と、
からなることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル一体表示装置。
【請求項3】
前記ルックアップテーブルが映像の1フレーム分の補正係数が設定されたフレームメモリかなることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル一体表示装置。
【請求項4】
前記ルックアップテーブルが映像の1ライン分の補正係数が設定されたラインメモリかなることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル一体表示装置。
【請求項5】
表示部の表示画面の画素内に表示画面への接触を検出する光センサが設置されたタッチパネル機能を有するタッチパネル一体表示装置であって、前記表示部の所望の画素に光センサが設置され、光センサの設置による画素内の発光表示面積の減少に起因した各画素での輝度差を補償するように、光センサが設置されていない各画素内に光センサと同じ面積を有する遮光部を設けたことを特徴とするタッチパネル一体表示装置。
【請求項6】
前記遮光部がブラックマトリックスに一体に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のタッチパネル一体表示装置。
【請求項7】
前記表示部の表示画面の画素に設置される光センサが縦横それぞれ0.7〜10mmピッチで配列されていることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載のタッチパネル一体表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−31666(P2009−31666A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−197735(P2007−197735)
【出願日】平成19年7月30日(2007.7.30)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【Fターム(参考)】