説明

ダイシング装置およびダイシング方法

【課題】マルチブレードを持ち、生産性の向上と品質維持とを達成できるダイシング装置およびダイシング方法を提供する。
【解決手段】スピンドル1に複数枚のブレード3〜5を軸方向に一定ピッチ間隔で取り付ける。各ブレードはそれぞれ厚みおよび径が異なり、かつ軸方向の一方側から他方側に向かうに従いブレードの厚みが薄くかつ径が大きい。スピンドル1を回転させながら厚みが厚くかつ径が小さいブレード3で被加工物Wをハーフカットし、次に被加工物Wをスピンドルの軸方向にブレードのピッチS分だけ相対移動させ、厚みが薄くかつ径が大きいブレード4,5で既にハーフカットされた被加工物Wを更にハーフカットあるいはフルカットする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はダイサーカット機やスライシングカット機などのダイシング装置およびダイシング方法、特に複数枚のブレードを用いたダイシングに関するものである。本発明は、LT、LNなどの単結晶のようにチッピングが発生しやすい脆弱な材質の基板、あるいはCPSのような異なる材料が多層化された基板のカットに適したダイシング方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハや圧電セラミックス基板などをフルカットあるいはハーフカットする場合にダイサーやスライサーと呼ばれるダイシング装置が使用される。ダイシング装置には、スピンドルに1枚のブレードを取り付けたシングルブレードと、複数枚のブレードを取り付けたマルチブレードとがあるが、マルチブレードはシングルブレードに比べて生産性の向上が期待できるという特徴がある。
【0003】
特許文献1には、図6に示すようにスピンドル30に複数枚のブレード31〜33を軸方向に一定ピッチ間隔で取り付けたマルチブレードが開示されている。このマルチブレードは、同じ径、同じ厚みのブレード31〜33を用いたものである。
【0004】
このようなマルチブレードを用いて被加工物をフルカットする場合、加工量が増える分、負担が増加し、刃にブレが生じるため、加工品質の維持の観点から送り速度(加工速度)を上げることができず、生産性を向上させることができない。
また、ハーフカットとフルカットとを繰り返すことで、1回当たりの加工深さを浅くし、1回の切削での切粉量を少なくした分、送り速度を上げることも考えられるが、ハーフカットされた溝にブレードを挿入してフルカットする際に、ブレードの両側面に逃げ部がないことから、切り粉が隙間に挟まれるため、チッピングが発生しやすくなる。そのため、送り速度を下げなければならず、生産性の向上につながらない。
【特許文献1】特開2002−246338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的は、マルチブレードを持ち、生産性の向上と品質維持とを達成できるダイシング装置およびダイシング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、スピンドルに設けられたブレードを回転させながら被加工物をブレードの面方向に相対移動させることにより、被加工物をカットするダイシング装置において、上記スピンドルには複数枚のブレードが軸方向に一定ピッチ間隔で設けられており、各ブレードはそれぞれ厚みおよび径が異なり、かつ軸方向の一方側から他方側に向かうに従いブレードの厚みが薄くかつ径が大きくなるように上記スピンドルに設けられていることを特徴とするダイシング装置を提供する。
【0007】
請求項3に係る発明は、スピンドルに厚みおよび径が異なる複数枚のブレードを、軸方向の一方側から他方側に向かうに従いブレードの厚みが薄くかつ径が大きくなるように軸方向に一定ピッチ間隔で設けたダイシング装置を準備する工程と、上記ブレードを回転させながら被加工物をブレードの面方向に相対移動させることにより、被加工物をカットする工程であって、厚みが厚くかつ径が小さいブレードで被加工物をハーフカットする工程と、上記被加工物をスピンドルの軸方向に上記ブレードのピッチ間隔分だけ相対移動させる工程と、上記ブレードを回転させながら被加工物をブレードの面方向に相対移動させることにより、厚みが薄くかつ径が大きいブレードで既にハーフカットされた被加工物を更にハーフカットあるいはフルカットする工程と、を含むダイシング方法を提供する。
【0008】
本発明のダイシング装置は、厚みおよび径が異なる複数枚のブレードが、軸方向の一方側から他方側に向かうに従いブレードの厚みが薄くかつ径が大きくなるようにスピンドルに設けられている。このようなマルチブレードを用いることで、被加工物を高速で切断でき、かつ加工品質を高く維持できる。
すなわち、上記のようなマルチブレードを用いて被加工物を複数回に分けて加工すれば、1回当たりの溝の深さを浅くすることができ、1回の切削での切粉量を少なくできる。しかも、先に厚みが大きいブレードでハーフカットし、続いて同じ箇所を厚みが薄いブレードでフルカットすれば、先に切断した部分が幅広になっており、次の加工時にブレードの両側面に逃げ部があるので、切粉が詰まりにくくなる。そのため、加工速度を上げることができる。また、切粉が側面部に詰まりにくくなることで、切粉による加工面の傷を防ぐことができ、加工品質を高く維持することができる。
また、厚みが厚くかつ径が小さいブレードを用いて被加工物をハーフカットし、続いて厚みが薄くかつ径が大きいブレードを用いてフルカットすれば、既に幅広な溝が形成されているので、厚みが薄いブレードだけでフルカットする場合に比べてブレードにかかる負荷が小さくなり、加工速度を上げることができる。一方、厚みが厚いブレードで被加工物に最初にハーフカットする際、ブレードに大きな負荷がかかるが、ブレードの厚みが厚いので強度が高く、ブレードの破損が少ない。
【0009】
本発明では、各ブレードの切断深さが異なるので、複合材からなる基板の切断に適用するのが効果的である。すなわち、各ブレードの粒度、ボンド材などの特性を変えることで、層状の複合材のそれぞれに適したブレードを選ぶことができ、それによって各層の切断の品質を向上させることができる。
なお、本発明において、複数枚のブレードをスピンドルに取り付けることでマルチブレードとしたものに限らず、一体構造のスピンドルから放電加工等で溝を形成し、結果としてマルチブレードとしたもの(総型)でもよい。
【0010】
望ましい態様によれば、最大径のブレードの半径と最小径のブレードの半径との差を、被加工物Wの厚みより小さくするのがよい。
すなわち、厚みが厚くかつ径が小さいブレードでハーフカットしながら、同時に別の部位で厚みが薄くかつ径が大きいブレードでさらにハーフカットあるいはフルカットを行う場合、最大径のブレードと最小径のブレードの半径差を被加工物の厚みより大きくすると、最小径のブレードがハーフカットしている時、最大径のブレードが必要以上に深くカットすることになり、被加工物を保持している粘着剤などがブレードに付着しやすくなる。これに対し、上記のような寸法設定にすることで、ハーフカットとフルカットとを同時に実施した時、最大径のブレードが必要以上に深くカットすることがなく、ブレードへの異物付着を抑制できる。
【0011】
さらに望ましい態様によれば、ブレードの加工時の高さは、最大径のブレードのみが被加工物をフルカットでき、他のブレードが被加工物をハーフカットしうる高さに設定されているのがよい。
すなわち、ハーフカットとフルカットとを繰り返す多段カットを行う場合、ブレードの加工時の高さを、最大径のブレードのみが被加工物をフルカットしうる高さで、かつ他のブレードが被加工物をハーフカットしうる高さに設定することで、最大径のブレード以外のブレードが被加工物を少しずつハーフカットすることができる。そのため、1回当たりの加工量を少なくでき、切粉の発生を少なくできる。
【0012】
本発明のマルチブレードを用いて被加工物を多段カットすれば、被加工物の切断面は段差状になる。そこで、本発明を、対向二端面を有する圧電基板と、この圧電基板上に形成されたIDTとを備え、SHタイプの表面波が対向二端面で反射される端面反射型表面波装置の製造方法に適用することができる。
この場合には、まず上面にIDTを形成したマザー状態の圧電基板を準備し、反射端面として機能する対向した二端面を形成するために、上記圧電基板の上面から、圧電基板の底面には至らないようにダイシング装置の最小径のブレードを用いて圧電基板をハーフカットし、反射端面として機能する平滑な第1の端面部を形成する第1のハーフカット工程を実施し、第1のハーフカット工程の後に、第1の端面部よりも表面波伝播方向の外側において、第2の端面部を第1の端面部の下方に形成するため、圧電基板の底面には至らないようにダイシング装置の中間径のブレードを用いて圧電基板をハーフカットし、第2の端面部を形成する第2のハーフカット工程を実施し、第2のハーフカット工程の後に、第2の端面部よりも表面波伝播方向の外側において、圧電基板の底面に至るように上記ダイシング装置の最大径のブレードを用いて圧電基板を切断するフルカット工程と、を実施すればよい。
本発明のダイシング装置を用いることで、端面反射型表面波装置を効率よく製造できる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、厚みおよび径が異なる複数枚のブレードを、軸方向の一方側から他方側に向かうに従いブレードの厚みが薄くかつ径が大きくなるように軸方向に一定ピッチ間隔で設けたので、このマルチブレードを用いて被加工物を複数回に分けて加工すれば、1回当たりの溝の深さを浅くすることができ、1回の切削での切粉量を少なくできる。また、先に厚みが大きいブレードでハーフカットし、続いて同じ箇所を厚みが薄いブレードでフルカットすれば、先に切断した部分が幅広になっており、次の加工時にブレードの両側面に逃げ部があるので、切粉が詰まりにくくなる。そのため、加工速度を上げることができる。また、切粉が側面部に詰まりにくくなることで、切粉による加工面の傷を防ぐことができ、加工品質を高く維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明の実施の形態を、実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明にかかるダイシング装置の第1実施例を示す。
このダイシング装置は、水平に配置されたスピンドル1を備えており、このスピンドル1は図示しないスピンドルモータによって回転駆動される。スピンドル1の端部にはフランジ2が連結されており、フランジ2には3枚のブレード3〜5がスペーサ6を介して軸方向に一定ピッチS間隔で取り付けられている。ここでは、3枚のブレード3〜5を持つ例について示したが、2枚あるいは4枚以上であってもよい。各ブレード3〜5はそれぞれ厚みTおよび直径Dが異なり、軸方向の一方側から他方側に向かうに従いブレードの厚みが薄くかつ径が大きくなるようにフランジ2に取り付けられている。具体的には、フランジ2の自由端側に厚みT1 が最大で直径D1 が最小の第1ブレード3が固定され、フランジ2の基端側に厚みT3 が最小で直径D3 が最大の第3ブレード5が固定され、中央部に厚みT2 が中間で直径D2 が中間の第2ブレード4が固定されている。すなわち、
1 >T2 >T3 ,D1 <D2 <D3
の関係に設定されている。
ここでは、最大径の第3ブレード5の半径D3 /2と最小径の第1ブレード3の半径D1 /2との差を、後述する被加工物Wの厚みt以下に設定してある。すなわち、
(D3 −D1 )/2<t
である。
【0016】
図2は本ダイシング装置を用いて被加工物を切断する様子を示す。
被加工物Wは、例えば圧電セラミックスやLiTaO3 、LiNbO3 、水晶などの圧電体ウエハよりなり、切削テーブル10の上に吸着保持された粘着シート11の表面に貼り付けられている。ブレード3〜5を回転させながら、テーブル10をブレードの面方向(図2の紙面と垂直方向)に水平移動させることで、被加工物Wを加工することができる。
【0017】
ここで、ダイシング方法について図2,図3を参照しながら説明する。この実施例のように3枚のブレード3〜5を備えたダイシング装置の場合、被加工物Wを3回に分けて切ることになる。
まず最初に、図2の(a)、図3の(a)のように、スピンドル1をテーブル10に対して高さHまで降下させ、被加工物Wを第1ブレード3で深さt1 だけ切る。このとき、他のブレード4,5は被加工物Wに接触していない。ブレード3の加工深さt1 が浅いので、切粉の発生量が少ない。上記高さHは、第3ブレード5のみが被加工物Wをフルカットでき、かつ他のブレード3,4が被加工物Wをハーフカットしうる高さに設定されている。つまり、最小径のブレード3の加工深さをt1 とすると、次の関係が成立する。
1 +(D3 −D1 )/2≧t
【0018】
次に、図2の(b)、図3の(b)のように、被加工物Wをスピンドル1の軸方向にブレード3〜5のピッチSと同一距離だけ移動させた後、ここで再びスピンドル1をテーブル10に対して同一高さHまで降下させる。このとき、被加工物Wの新たな部分を第1ブレード3で深さt1 だけ切ると同時に、第1ブレード3で加工された溝の底部を第2ブレード4で深さt2 だけ切り込む。このとき、第3ブレード5は未だ被加工物Wに接触していない。
【0019】
さらに、図2の(c)、図3の(c)のように、被加工物Wをスピンドル1の軸方向にブレード3〜5のピッチSと同一距離だけ移動させた後、ここで再びスピンドル1をテーブル10に対して同一高さHまで降下させる。このとき、被加工物Wの新たな部分を第1ブレード3で深さt1 だけ切ると同時に、第1ブレード3によって加工された溝の底部を第2ブレード4で深さt2 だけ切り込み、さらに第2ブレード4によって加工された溝の底部を第3ブレード5で深さt3 だけ切り込む。第3ブレード5で切ることにより、被加工物Wはフルカットされる。
その後、上記動作を繰り返すことにより、被加工物Wから複数の部品を切り出すことができる。
上記被加工物Wの厚みtと各ブレード3〜5の加工深さt1 〜t3 は次のような関係に設定される。
1 +t2 +t3 ≧t
【0020】
図3の(a)に示すように、第1ブレード3で加工する際には、その両側に障害物が存在しないので、切粉が詰まりにくい。
図3の(b)に示すように、第2ブレード4で加工する部分には、予め厚みの大きな第1ブレード3によって幅広な溝が形成されているので、第2ブレード4の両側に逃げ部が存在し、第2ブレード4の加工時の切粉が詰まりにくい。
同様に、図3の(c)に示すように、第3ブレード5で加工する部分には、予め厚みの大きな第2ブレード4によって幅広な溝が形成されているので、第3ブレード5の両側に逃げ部が存在し、第3ブレード5の加工時の切粉が詰まりにくくなる。
このように厚みが大きく径の小さいブレードで加工した後に、厚みが小さく径の大きなブレードで加工するので、1回の切削での切削量が少なくて済み、加工速度を上げることができると同時に、切粉による加工面の傷を防止でき、チッピングの発生を防止できる。
【0021】
図4は上記のような3枚のブレードを有するダイシング装置でカットした部品の一例を示す。
この部品は、例えば特開2003−87073号公報などに示された、対向二端面SHタイプの表面波を反射させる構造を備えた端面反射型表面波装置である。端面反射形表面波装置は、LiTaO3 、LiNbO3 、水晶などの圧電単結晶、あるいはチタン酸ジルコン酸鉛セラミックスのような圧電セラミックスよりなる矩形板状の圧電基板20を有し、その上面には 表面波伝播方向に隔てられたIDT21,22が形成されている。この実施例では、IDT21,22の電極指の延びる方向と直交する方向に表面波としてのSH波が伝播し、SH波は端面23,24で反射される。
【0022】
一方の端面23には、圧電基板20の上面から下方に延びる平滑な第1の端面部23aと、第1の端面部23aの下方において段差23bを隔てて下方に延びるように形成された粗面の第2の端面部23cと、第2の端面部23cの下方に段差23dを隔てて形成された平滑な第3の端面部23eとが形成されている。中間に位置する第2の端面部23cを特定範囲の表面粗さの粗面とすることにより、不要波の反射に起因する特性の劣化を抑制することができる。
【0023】
上記端面部のうち、最上の第1の端面部23aと段差23bは第1ブレード3で加工された面であり、中間の第2の端面部23cと段差23dは第2ブレード4で加工された面であり、最下の第3の端面部23eは第3ブレード5で加工された面である。第1ブレード3および第3ブレード5に比べて第2ブレード4の表面粗さを大きく設定することで、上記のような段差形状の端面23を容易に形成できる。なお、他方の端面24も端面23と同様に形成される。
なお、部品が例えばCSP基板のように複合材で構成されている場合、各層ごとにそれぞれに適した異なるブレードで加工することで、切断の品質を向上させることが可能である。
【0024】
以下に、本発明者による実験結果を示す。
3枚のブレードとして、次の(1)〜(3)の電鋳ブレードを用い、砥粒はダイヤモンドを用いた。
ブレード(1):T1 =0.1mm、D1 =50.0mm(#700)
ブレード(2):T2 =0.05mm、D2 =50.2mm(#1000)
ブレード(3):T3 =0.02mm、D3 =50.4mm(#2000)
なお、#は砥粒の大きさを示す番手である。
被加工物Wの材質:圧電セラミックスウエハ、被加工物Wの厚みt=0.3mm、フランジ径はφ40mm、ブレードのピッチを10mmとした。
ここでは、切り込み量つまりブレードの加工高さ(H)は、第1ブレード3が被加工物Wの表面から0.1mmとなる深さまで加工できる高さで、第3ブレード5が被加工物Wを丁度フルカットできる加工高さとした。
図2と同様に、一列ずつ切ると、各列の加工量は次の通りである。単位はmmである。このように多段カットを実施することで、チッピングの発生が少なく、被加工物を高速で切断できた。
【0025】
【表1】

【0026】
図5は送り速度と被加工物の裏面に発生する最大チッピング幅との関係を示す図である。
図5から明らかなように、送り速度を上げると、チッピング幅がほぼ比例的に増えることがわかる。
本発明者の圧電セラミック基板を用いた実験によると、フルカットで74%(71個/96個)の発生率でチッピングが発生していた場合、ハーフカットでは8.3%(8個/96個)に抑えられた。
ハーフカットによりチッピングの大きさを半分にすることができるのであれば、チッピング幅を倍にしても同じ品質が保てることになる。つまり、チッピング幅が倍の加工条件でもハーフカットにすれば同じチッピングサイズにすることができる。図5の機種Bについて見ると、40μmを80μmにするのが許容されるのであれば、送り速度は倍以上にできることになる。
3枚のマルチブレードの場合、フルカットの場合であれば、全体の生産性はシングルブレードの3倍になる。一方、本発明の構造を採用することができれば、加工量がそれぞれのブレードで1/3になっているため、送り速度は3倍程度に上げることができる。加えて、ハーフカットでは同じ品質を維持しながら送り速度を2倍にできるので、結局、生産性はシングルブレードの6倍に上げることができる。
【0027】
なお、第1実施例では1本のスピンドルに厚みおよび直径が異なる3枚のブレードを取り付けた例を示し、第2実施例では2種類のブレードを交互に複数枚取り付けた例を示したが、スピンドルに取り付けられるブレードの枚数や組み合わせは任意である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明にかかるダイシング装置の第1実施例の側面図である。
【図2】図1に示すダイシング装置の加工の様子を示す図である。
【図3】ブレードと被加工物との拡大図である。
【図4】図1に示すダイシング装置でカットされた部品の一例である端面反射型表面波装置の平面図およびA−A線断面図である。
【図5】送り速度とチッピング幅との関係を示す図である。
【図6】従来のマルチブレードの側面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 スピンドル
2 フランジ
3〜5 ブレード
W 被加工物
10 テーブル
11 粘着シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドルに設けられたブレードを回転させながら被加工物をブレードの面方向に相対移動させることにより、被加工物をカットするダイシング装置において、
上記スピンドルには複数枚のブレードが軸方向に一定ピッチ間隔で設けられており、
各ブレードはそれぞれ厚みおよび径が異なり、かつ上記スピンドルの軸方向の一方側から他方側に向かうに従いブレードの厚みが薄くかつ径が大きくなるように上記スピンドルに設けられていることを特徴とするダイシング装置。
【請求項2】
上記ブレードの加工時の高さは、最大径のブレードのみが被加工物をフルカットでき、他のブレードが被加工物をハーフカットしうる高さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のダイシング装置。
【請求項3】
スピンドルに厚みおよび径が異なる複数枚のブレードを、軸方向の一方側から他方側に向かうに従いブレードの厚みが薄くかつ径が大きくなるように軸方向に一定ピッチ間隔で設けたダイシング装置を準備する工程と、
上記ブレードを回転させながら被加工物をブレードの面方向に相対移動させることにより、被加工物をカットする工程であって、厚みが厚くかつ径が小さいブレードで被加工物をハーフカットする工程と、
上記ハーフカット工程の後、上記被加工物をスピンドルの軸方向に上記ブレードのピッチ間隔分だけ相対移動させる工程と、
上記相対移動工程の後、上記ブレードを回転させながら被加工物をブレードの面方向に相対移動させることにより、厚みが薄くかつ径が大きいブレードでハーフカット済みの被加工物を更にハーフカットあるいはフルカットする工程と、
を含むダイシング方法。
【請求項4】
最大径のブレードの半径と最小径のブレードの半径との差は、被加工物Wの厚みより小さく、
上記厚みが厚くかつ径が小さいブレードで被加工物をハーフカットすると同時に、このハーフカット部位から一定ピッチ間隔離れた被加工物の部位で、厚みが薄くかつ径が大きいブレードでハーフカット済みの被加工物を更にハーフカットあるいはフルカットすることを特徴とする、請求項3に記載のダイシング方法。
【請求項5】
上記ブレードの加工時の高さは、最大径のブレードのみが被加工物をフルカットでき、他のブレードが被加工物をハーフカットしうる高さに設定されていることを特徴とする請求項3または4に記載のダイシング方法。
【請求項6】
対向二端面を有する圧電基板と、この圧電基板上に形成された少なくとも1つのIDTとを備え、SHタイプの表面波が対向二端面で反射される端面反射型表面波装置の製造方法であって、
上面に上記IDTを形成したマザー状態の圧電基板を準備する工程と、
スピンドルに厚みおよび径が異なる3種類のブレードを、軸方向の一方側から他方側に向かうに従いブレードの厚みが薄くかつ径が大きくなるように軸方向に一定ピッチ間隔で設けたダイシング装置を準備する工程と、
反射端面として機能する対向した二端面を形成するために、上記圧電基板の上面から、圧電基板の底面には至らないように上記ダイシング装置の最小径のブレードを用いて圧電基板をハーフカットし、反射端面として機能する平滑な第1の端面部を形成する第1のハーフカット工程と、
上記第1のハーフカット工程の後に、第1の端面部よりも表面波伝播方向の外側において、第2の端面部を第1の端面部の下方に形成するため、圧電基板の底面には至らないように上記ダイシング装置の中間径のブレードを用いて圧電基板をハーフカットし、第2の端面部を形成する第2のハーフカット工程と、
上記第2のハーフカット工程の後に、第2の端面部よりも表面波伝播方向の外側において、圧電基板の底面に至るように上記ダイシング装置の最大径のブレードを用いて圧電基板を切断するフルカット工程と、を有する端面反射型表面波装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−286694(P2006−286694A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−100946(P2005−100946)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】