説明

ダンパ装置

【課題】 高温下でも締切性能の高いダンパ装置の提供。
【解決手段】 ダクトを構成する管体4の直径方向に配置される回転軸3と、この回転軸3を中心に回転可能な板状のダンパ2とを備える。管体4は円筒状とされ、ダンパ2は楕円形状とされる。ダンパ2は、剛性を有する第一本体板15および第二本体板16間に、楕円形状の薄い金属板からなるシール板14が挟み込まれて構成される。シール板14は、各本体板15,16より外方へ延出する外周部が、可撓性を有するシール部20とされる。ダンパ2が管体4の軸方向と直交方向に対し所定角度傾斜した状態が、ダンパ2によるダクトの全閉位置とされる。全閉位置では、管体4の内面に各本体板15,16が当接され、シール部20が管体4の内面に撓み変形して当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダクトを開閉または開度調整するダンパ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示されるように、排ガス中のNOx(窒素酸化物)濃度を低減するために、ボイラの排ガス路と給気路とを排ガス再循環路にて接続し、缶体からの排ガスの一部を給気路へ戻す技術が知られている。この排ガス再循環路には、再循環する排ガス量を調整するダンパが設けられている。
【特許文献1】特開2004−69140号公報(図1、段落番号0030、0045)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、排ガス再循環路などの高温下で使用されるダンパは、温度変化に基づき全閉時の締切性能に改善の余地があった。そこで、この発明が解決しようとする課題は、高温下でも締切性能の高いダンパ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ダクトを構成する管体の直径方向に配置される回転軸と、この回転軸を中心に回転可能なダンパとを備え、前記ダンパの外周部には、可撓性および/または弾性を有するシール部が設けられており、前記ダンパが前記管体の軸方向と直交方向に対し所定角度傾斜した状態が、前記ダンパによる前記ダクトの全閉位置とされ、この全閉位置において、前記シール部が前記管体の内面に変形して当接することを特徴とするダンパ装置である。
【0005】
請求項1に記載の発明によれば、ダンパが管体の軸方向と直交方向に対し所定角度傾斜した状態で、ダンパの外周部のシール部が変形しつつ管体の内面に当接して、ダクトを閉鎖する構成である。これにより、締切性能を高めることができると共に、温度変化による影響も抑えることができる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記管体は、円筒状とされ、前記ダンパは、剛性を有する本体板間に、楕円形状の薄い金属板からなるシール板が挟み込まれて構成され、前記シール板は、前記本体板より外方へ延出する外周部が、前記シール部とされ、前記管体の内面に前記本体板が当接されて、前記全閉位置における前記ダンパの位置決めがなされることを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、本体板間に薄い金属製シール板を挟み込んでダンパが構成され、管体の内面に本体板が当接されて、全閉位置におけるダンパの位置決めがなされる。これにより、シール板の外周部のシール部を適正状態で管体の内面に当接させて、ダンパを閉じることができる。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記シール板の両面に配置される前記各本体板は、前記シール板の楕円の長軸方向にずらして配置され、前記各本体板は、他方の本体板よりも外方へ延出する側が、それぞれ前記管体の内面への当接部とされ、前記シール板は、いずれかの前記本体板より外方への露出部が前記シール部とされることを特徴とする請求項2に記載のダンパ装置である。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、シール板の楕円の長軸方向にずらして各本体板が設けられるので、そのズレを利用して、シール板の撓み領域を確保することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記回転軸をロータリソレノイドにて回転させることで、前記ダンパを開閉することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のダンパ装置である。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、ロータリソレノイドを用いて、安価で簡易にダンパの開閉を行うことができる。
【0012】
さらに、請求項5に記載の発明は、ボイラの缶体からの排ガスの一部を、前記缶体の給気路へ戻す排ガス再循環路に設置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のダンパ装置である。
【0013】
請求項5に記載の発明によれば、締切性能の高いダンパを排ガス再循環路に用いることで、着火時には全閉しておくことができ、缶体からの煤塵をバーナへ戻すことが防止される。
【発明の効果】
【0014】
この発明のダンパ装置によれば、高温下でも締切性能の高いダンパ装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。
本発明のダンパ装置は、ダンパと呼ばれる可動板を、回転軸を中心に回転させて、ダクトを開閉または開度調整する装置である。回転軸は、ダクトを構成する管体の直径方向に配置され、通常は管体を貫通してその両端部にて回転自在に保持される。前記管体は、ダクトの中途に取り付けられる短管から構成するのが好ましい。この場合、短管にダンパを組み付けた状態でダンパ装置を構成でき、ダンパ装置のダクトへの取付けが容易となる。管体は、その断面形状を特に問わないが、本実施形態では円形とされている。
【0016】
ダンパは、前記管体内で回転軸の直径方向へ板状に延出して、回転軸に固定されている。従って、回転軸を回転させることで、ダクトを開閉または開度調整することができる。本実施形態のダンパ装置は、その板面を回転軸および管体の各軸方向と直交方向に対し所定角度傾斜した状態で、ダンパがダクトを全閉する。これに伴い、本実施形態のダンパは、楕円形状に形成されている。この楕円の大きさは、管体の内径および全閉時の傾斜角度に応じて定められる。
【0017】
ダンパの外周部には、可撓性および/または弾性を有するシール部が設けられている。このシール部(好ましくはその全域)が管体の内面に変形しつつ当接することで、ダンパはダクトを全閉する。高温環境下で使用されるダンパの場合には、合成樹脂ではなく薄い金属板により、シール部を形成するのが好ましい。本実施形態では、ダンパは、剛性を有する本体板間に、楕円形状の薄い金属板からなるシール板が挟み込まれて構成される。そして、シール板は、本体板より外方へ延出する外周部がシール部とされる。このような構成の場合、ダンパは、全閉位置において、シール部が管体の内面に、撓み変形して当接することになる。この撓み変形が円滑で安定してなされるのであれば、全閉時のダンパの傾斜角度は特に問わない。
【0018】
ダンパは、全閉位置において、管体の内面に本体板が当接されて位置決めされるのが好ましい。特に、本体板をシール板より一回り小さな形状とし、長軸方向の円弧状の端部が、管体の内面に当接されるのがよい。本実施形態では、シール板の両面に配置される各本体板は、同一形状の部材を表裏反転して使用され、シール板の楕円の長軸方向にずらして配置される。各本体板は、他方の本体板よりも外方へ延出する側が、それぞれ管体の内面へ当接部とされる。そして、シール板は、いずれかの本体板より外方への露出部がシール部とされる。
【0019】
本実施形態のダンパ装置は、回転軸が手動または電動で回転操作される。たとえば、回転軸には、管体の外部へ突出した位置に、ロータリソレノイドまたは各種モータが接続される。ロータリソレノイドを用いた場合、ダンパは、全閉位置では前述したように管体の内面に本体板が当接されて位置決めされ、ダンパが前記管体の軸方向へ沿って配置される全開位置では、ストッパにより位置決めされる。ストッパの停止位置を可変に構成しておくことで、ダンパの開度は段階的に調整可能となる。また、ロータリソレノイドに代えて、回転量を調整できるモータを使用することで、ダンパの開度は任意に調整可能となる。
【0020】
本発明のダンパ装置は、たとえばボイラなどの各種燃焼装置のダクトに設けられる。ボイラは、その種類を特に問わないが、典型的には小型貫流ボイラなどの水管ボイラである。本実施形態のダンパ装置は、高温下でも締切性能が優れるので、特に、ボイラの排ガス再循環路に設置するのに適する。この場合、ボイラの着火時にはダクトを全閉しておくことで、着火時に舞い上がる煤塵が、排ガス再循環路を介して、送風機やバーナへ戻されるのが防止される。
【実施例】
【0021】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1から図4は、本発明のダンパ装置1の一実施例を示す概略図であり、図1は正面視縦断面図、図2は右側面図、図3は図1のIII−III断面図、図4は図1のIV−IV断面図であり、それぞれダンパ2を全開位置として示している。また、図5から図7は、図2から図4に対応する図であるが、ダンパ2を全閉位置として示している。さらに、図8は、回転軸3へのダンパ2の取付状態を示す分解斜視図である。
【0022】
本実施例のダンパ装置1は、円筒状の管体4内に、楕円形状板からなるダンパ2が、回転軸3を中心に回転可能に収容されて構成される。管体4は、左右方向へ中空穴5を有する円筒状に形成されている。管体4は、その軸方向の長手寸法が、楕円形状のダンパ2の長軸よりも若干大きく形成されている。管体4の長手方向両端部の外周部には、半径方向外側へ円板状に延出して、フランジ6,6が設けられている。
【0023】
管体4の長手方向中央部の周側壁には、下端部に四角形状の下ブロック7が固定されており、上端部にも四角形状の上ブロック8が固定されている。上ブロック8の上面には、四角形状の枠材9が設けられている。この枠材9は、左右方向へ開口する縦断面長方形状の筒材から構成され、その下壁10が上ブロック8の上面に載せられて固定されている。
【0024】
管体4の長手方向中央部には、その直径方向へ貫通して、上下方向へ沿って回転軸3が設けられる。この際、下ブロック7には上方へのみ開口して軸受穴11が設けられており、この軸受穴11に回転軸3の下端部がはめ込まれる。一方、上ブロック8および前記下壁10には、上下方向へ沿って貫通穴12が形成されており、この貫通穴12に回転軸3の上部が挿通される。このようにして、回転軸3は、管体4の直径方向へ沿って、管体4を上下に貫通し、その上部が枠材9内へ突出して配置される。そして、回転軸3は、管体4の直径方向両端部において、下ブロック7の軸受穴11と、上ブロック8の貫通穴12とで、回転自在に保持される。上ブロック8の上部には、Oリングなどのパッキン13が設けられており、上ブロック8と回転軸3との隙間が封止される。
【0025】
回転軸3には、管体4内に配置される箇所に、楕円形状のダンパ2が設けられる。このダンパ2は、回転軸3の直径方向両側へ板状に延出して設けられる。その際、楕円形状のダンパ2は、短軸が回転軸3に沿って配置され、長軸が回転軸3と直交して配置される。ダンパ2は、その板面を管体4の軸方向と直交方向に対し所定角度傾斜した状態で、全閉位置とされる。その傾斜角度は特に問わないが、本実施例では45度とされている。これに伴い、本実施例のダンパ2は、管体4を45度の傾斜で切断した際に生じる内周面の楕円と同じかそれより若干小さな楕円形状に形成されている。
【0026】
本実施例のダンパ2は、そのような楕円形状の薄い金属板からなるシール板14と、それよりやや小さいが厚みのある一対の第一本体板15および第二本体板16とから構成される。そして、シール板14を各本体板15,16で挟み込んだ状態で、ダンパ2は回転軸3に取り付けられる。シール板14は、可撓性を有する厚さであれば、その厚みは適宜に設定されるが、本実施例では0.2〜0.3mm程度のステンレス板から形成されている。一方、各本体板15,16は、剛性を有する厚さのステンレス板から形成されている。
【0027】
各本体板15,16は、図示例ではたまご形状に形成されている。具体的には、図1において、手前側に配置される第一本体板15は、右半周部が略半円形状に形成されており、左半周部はシール板14の左周縁部よりも一回り小さな略半楕円形状に形成されている。一方、奥側に配置される第二本体板16は、左半周部が略半円形状に形成されており、右半周部はシール板14の右周縁部よりも一回り小さな略半楕円形状に形成されている。第一本体板15の左半周部は、第二本体板16の左半周部よりも左側へ延出しており、第二本体板16の右半周部は、第一本体板15の右半周部よりも右側へ延出している。また、第一本体板15および第二本体板16の短軸の長さは、シール板14の短軸の長さと同一かそれより短く形成されている。
【0028】
第一本体板15および第二本体板16の形状は、一例であって、後述する作用効果をシール板14に付与する構成であれば、適宜に変更可能である。たとえば、各本体板15,16の上下両端部を、水平に切除した形状としてもよい。いずれにしても、第一本体板15および第二本体板16は、同一形状の板材が表裏を反転(左右を逆に)して使用され、シール板14の楕円の長軸方向に互いにずらして用いられる。
【0029】
シール板14および各本体板15,16は、図8に示すようにして、回転軸3に固定される。すなわち、回転軸3には、管体4内に配置される箇所に、直径方向へ貫通して切欠き17が形成されている。この切欠き17には、シール板14を挟んだ一対の本体板15,16が、適合してはめ込まれる。そして、切欠き17の上下両端部において、シール板14および各本体板15,16を貫通して、ネジ18,18にて回転軸3にダンパ2が取り付けられる。この取付けのために、シール板14や各本体板15,16には、それぞれネジ挿通穴19,19が形成されている。
【0030】
シール板14は、いずれかの本体板15,16より外方へ延出する外周部が、可撓性を有するシール部20とされる。具体的には、シール板14の右半周部は、第一本体板15の右周縁部よりも外方への延出部がシール部20とされ、シール板14の左半周部は、第二本体板16の左周縁部よりも外方への延出部がシール部20とされる。
【0031】
本実施例のダンパ装置1は、ロータリソレノイド21により、ダンパ2が開閉操作される。枠材9の上壁22には、ロータリソレノイド21が保持されており、その駆動軸23がカップリング24を介して回転軸3と接続されている。回転軸3の中途には、半径方向外側へ延出して、棒状のストッパ25が固定されている。このストッパ25が枠材9に当接する位置は、ダンパ2の全開位置とされる。
【0032】
次に、本実施例のダンパ装置1の動作について説明する。本実施例では、ダンパ2は全開位置と全閉位置との二位置の内、いずれかの位置を択一的にとる構成とされている。図1から図4に示すように、ロータリソレノイド21を作動させて、ストッパ25が枠材9の前壁26右端辺に当接する位置まで回転軸3を回転させることで、ダンパ2が全開位置に保持される。全開位置では、ダンパ2は、管体4の軸方向へ沿って配置される。
【0033】
一方、図5から図7に示すように、ダンパ2の各本体板15,16が管体4の内周面に当接する位置まで、ロータリソレノイド21の駆動軸23を逆方向へ回転させると、ダンパ2は全閉位置に保持される。全閉位置では、第一本体板15の左半周部と、第二本体板16の右半周部が、それぞれ管体4の内周面に当接して、ダンパ2は傾斜状態に保持される。この際、第一本体板15の左半周部と、第二本体板16の右半周部が、それぞれ全域が管体4に接触するのが好ましいが、その一部だけ接触すれば足りる。また、全閉位置では、ストッパ25は、管体4の軸方向へ沿って配置される。
【0034】
全閉位置では、図7に示すように、シール板14の外周部のシール部20が撓み変形して、管体4の内周面に密着する。この際、第一本体板15と第二本体板16とを軸方向にずらして配置しているので、撓み領域を適正に確保することができる。また、各本体板15,16が管体4の内周面に当接してそれ以上のダンパ2の回転を阻止するので、シール部20が必要以上に変形するおそれもない。
【0035】
ところで、本実施例では、ラッチ式のロータリソレノイド21が使用されている。この場合、ロータリソレノイド21内のコイル(図示省略)に励磁して駆動軸23を回転させた後は、通電を止めて励磁を解除しても駆動軸23には保持トルクがある。本実施例では、ダンパ2の全開位置と全閉位置との間で、回転軸3は45度回転すれば足りるが、それ以上の回転角を有するロータリソレノイド21を使用している。具体的には、たとえば90度の回転角を有するロータリソレノイド21を使用し、その中央の45度分を使用する。ラッチ式ロータリソレノイド21の場合、回転角の中央を境に、駆動軸23は周方向いずれかへ付勢されるので、その付勢力を利用してダンパ2の位置決めがなされる。
【0036】
図9は、本実施例のダンパ装置1の使用状態の一例を示す概略図である。本実施例のダンパ装置1は、ボイラ27の排ガス再循環路28(ダクトの一例)の開閉装置として好適に使用される。ボイラ27の構成は特に問わないが、図示例の場合、ボイラ27は、バーナ29と多数の水管(図示省略)とが配置された缶体30を備える。缶体30には、バーナ29側の一端部に、送風機31からの燃焼用空気をバーナ29へ送る給気路32が接続され、バーナ29と反対側の他端部に、缶体30からの排ガスを排出する排ガス路33が設けられる。
【0037】
給気路32には、送風機31の下流側に、バーナ29側へ送り出す空気流量を調整する給気ダンパ34が設けられている。さらに給気路32には、給気ダンパ34の下流側に、燃料ガスを給気路32内へ噴出するガス燃料供給管(図示省略)も設けられている。このガス燃料供給管を介して給気路32内へ燃料ガスを噴出することで、バーナ29側へ送る空気に燃料ガスを混合することができる。一方、排ガス路33には、所望によりエコノマイザ(図示省略)が設けられる。また、排ガス中のNOx濃度を低減するために、排ガス路33と給気路32とは、排ガス再循環路28にて接続される。この排ガス再循環路28により、排ガスの一部が送風機31を介して給気路32へ戻される。
【0038】
本実施例のダンパ装置1は、この排ガス再循環路28の中途に設けられる。そして、ロータリソレノイド21は、制御器35にて作動を制御され、その制御器35は、ボイラ27の制御盤36と接続されている。従って、ボイラ27の燃焼工程に応じて、ダンパ装置1のダンパ2の開閉が制御される。具体的には、ボイラ27の着火時には、缶体30からの煤塵が排ガス路33内へ出る可能性があり、それを排ガス再循環路28を介して戻すと、送風機31やバーナ29に不都合を生じるおそれがあることを考慮し、着火時にはダンパ2は全閉位置に保持される。その一方、通常の燃焼時には、ダンパ2は全開位置に保持され、排ガス再循環がなされる。ところで、ラッチ式のロータリソレノイド21を使用する場合でも、着火時の風圧を考慮し、着火時にはロータリソレノイド21のコイルへの励磁(通電)を継続的に行ってもよい。
【0039】
本発明のダンパ装置1は、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。前記実施例では、ダンパ2は、全開位置と全閉位置との二者択一に位置決めされる構成であったが、ストッパ25を位置決めする被当接部材を別途設置し、その被当接部材の位置を変更することで、ダンパ2を段階的に開閉可能とすることができる。このようにして、全閉、中開度および全開の三位置のいずれかをとる構成とすれば、ボイラ27の高燃焼と低燃焼にも対応可能となる。
【0040】
また、前記実施例では、ストッパ25を回転軸3に取り付けて枠材9に当接させたが、ストッパ25を駆動軸23に取り付けたり、枠材9以外の部材へ当接させて位置決めしたりしてもよい。さらに、ロータリソレノイド21の回転角によっては、ストッパ25の設置を省略してもよい。
【0041】
また、ダンパ装置1をボイラ27の排ガス再循環路28に用いる場合、シール板14は高温耐食性に優れれば、チタンなどの他の材料も利用可能である。一方、ダンパ装置1を高温環境下で使用しない場合には、シール板14にはゴムなどの弾性材料を用いてもよい。さらに、いずれの場合も、シール板14をライニングしてもよい。
【0042】
また、前記実施例ではロータリソレノイド21を用いたが、これに代えて各種モータを用いることも可能である。その場合、ステッピングモータなどの回転量を任意に調整可能なモータを用いれば、ダンパ2の回転停止位置を任意に調整可能となり、ダクトの開度調整が容易にできる。
【0043】
さらに、本発明のダンパ装置1は、管体4の軸方向と直交方向に対し傾斜してダクトを全閉するものであるが、その全閉時の傾斜角度は、前記実施例の45度に限らず適宜変更可能である。また、ダンパ装置1の用途も、ボイラ27の排ガス再循環路28に限らず、他の箇所へも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のダンパ装置の一実施例を示す正面視縦断面図であり、ダンパを全開位置として示している。
【図2】図1のダンパ装置の右側面図である。
【図3】図1におけるIII−III断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV断面図である。
【図5】図2において、ダンパを全閉位置とした状態を示す図である。
【図6】図3において、ダンパを全閉位置とした状態を示す図である。
【図7】図4において、ダンパを全閉位置とした状態を示す図である。
【図8】回転軸へのダンパの取付状態を示す分解斜視図である。
【図9】図1のダンパ装置をボイラの排ガス再循環路へ用いた使用状態の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ダンパ装置
2 ダンパ
3 回転軸
4 管体
14 シール板
15 第一本体板
16 第二本体板
20 シール部
21 ロータリソレノイド
25 ストッパ
27 ボイラ
28 排ガス再循環路(ダクト)
30 缶体
32 給気路
33 排ガス路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダクトを構成する管体の直径方向に配置される回転軸と、この回転軸を中心に回転可能なダンパとを備え、
前記ダンパの外周部には、可撓性および/または弾性を有するシール部が設けられており、
前記ダンパが前記管体の軸方向と直交方向に対し所定角度傾斜した状態が、前記ダンパによる前記ダクトの全閉位置とされ、
この全閉位置において、前記シール部が前記管体の内面に変形して当接する
ことを特徴とするダンパ装置。
【請求項2】
前記管体は、円筒状とされ、
前記ダンパは、剛性を有する本体板間に、楕円形状の薄い金属板からなるシール板が挟み込まれて構成され、
前記シール板は、前記本体板より外方へ延出する外周部が、前記シール部とされ、
前記管体の内面に前記本体板が当接されて、前記全閉位置における前記ダンパの位置決めがなされる
ことを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記シール板の両面に配置される前記各本体板は、前記シール板の楕円の長軸方向にずらして配置され、
前記各本体板は、他方の本体板よりも外方へ延出する側が、それぞれ前記管体の内面への当接部とされ、
前記シール板は、いずれかの前記本体板より外方への露出部が前記シール部とされる
ことを特徴とする請求項2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記回転軸をロータリソレノイドにて回転させることで、前記ダンパを開閉する
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のダンパ装置。
【請求項5】
ボイラの缶体からの排ガスの一部を、前記缶体の給気路へ戻す排ガス再循環路に設置される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のダンパ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−121803(P2008−121803A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306986(P2006−306986)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】