説明

チオフェン又はチアゾール誘導体及びPI3K阻害剤としてのそれらの使用

本発明は、式(I)の化合物を提供し、式中、R、R、CY、Y、Y、X、X、及びXは、本明細書に記載される通りである。この化合物は、PI3Kの阻害剤であり、したがって、増殖性、炎症性、又は心血管疾患の治療に有用である。本発明の化合物及び医薬的に許容される担体を含む、組成物もまた提供される。患者の増殖性疾患を治療する方法であって、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)は、イノシトール環の3’位でホスファチジルイノシトールをリン酸化する脂質キナーゼのファミリーである。PI3Kは、クラスIA、IB、II、及びIIIを含む複数の遺伝子クラスから構成され、これらのクラスの一部は複数のアイソフォームを含む(非特許文献1で概説される)。PI3Kが触媒ドメイン及び調節ドメインを含むヘテロダイマーとして機能するという事実が、本ファミリーに複雑性を加えている。PI3Kファイミリーは、構造的に、より大きなグループの脂質及びホスファチジルイノシトール3−キナーゼ様キナーゼ(PIKK)として知られ、DNA−PK、ATM、ATR、mTOR、TRRAP及びSMGlも含む、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼに関する。
【0002】
PI3Kは、受容体チロシンキナーゼを通して媒介する様々な分裂促進シグナルの下流で活性され、続けて、細胞生存の増加、細胞周期進行、細胞成長、細胞代謝、細胞移動、及び血管新生を含む、様々な生体事象を刺激する(Cantley,Science296:1655−57(2002)、Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery 4:988−1004(2005)、Engelman et al.,Nature Review Genetics7:606−619(2006)に概説される)。したがって、PI3Kの過剰活性化は、癌、炎症、及び心血管数疾患などの多くの増殖亢進性、炎症性、又は心血管疾病に関連する。
【0003】
PI3K自体(Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery4:988−1004(2005)、Bader et al.,Nature Reviews Cancer5:921−9 (2005)に概説される)、RAS(Downward Nature Reviews Cancer3:11−22(2003)に概説される)、及び上流受容体チロシンキナーゼ(Zwick et al.,Trends in Molecular Medicine8:17−23(2002)に概説される)における変異の活性化、並びに腫瘍抑制因子PTEN における変異の不活性化(Cully et al.,Nature Reviews Cancer6:184−92(2006))などの恒常的PI3Kシグナル伝達を生じる数多くの遺伝子異常が存在する。これらの遺伝子クラスのそれぞれにおける変異は、発癌性であることが証明されており、一般的に、様々な癌において発見されている。
【0004】
本発明内で定義される分子は、PI3Kの活性を阻害し、したがって、増殖性、炎症性、又は心血管疾患の治療に有用であり得る。本発明内に定義される分子が治療的利益を有し得るPI3K経路変異が、増殖性疾患に関係している症例としては、良性及び悪性腫瘍、並びに多様な系統からの癌を含み、結腸(Samuels et al.,Science304:554(2004)、Karakas et al.,British Journal of Cancer94:455−59(2006)に概説される)、肝臓(Karakas et al.,British Journal of Cancer94:455−59(2006)に概説される)、腸(Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery4:988−1004(2005)に概説される)、胃(Samuels et al.,Science304:554(2004);Karakas et al.,British Journal of Cancer94:455−59(2006)に概説される)、食道(Phillips et al.,International Journal of Cancer118:2644−6(2006));膵臓(Downward Nature Reviews Cancer3:11−22(2003)に概説される)、皮膚(Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery4:988−1004(2005)に概説される)、前立腺(Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery4:988−1004(2005)に概説される)、肺(Samuels et al.,Science304:554(2004)、Karakas et al.,British Journal of Cancer94: 455−59(2006)に概説される)、乳房(Samuels et al.,Science304:554(2004)、Isakoff et al.,Can Res65:10992−1000(2005)、Karakas et al.,British Journal of Cancer94:455−59(2006)に概説される)、子宮内膜(Oda et al.,Can Res65:10669−73(2005)、Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery4:988−1004(2005)に概説される)、子宮頸部(Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery4:988−1004(2005)に概説される)、卵巣(Shayesteh et al.,Nature Genetics21:99−102(1999)、Karakas et al.,British Journal of Cancer94:455−59(2006)に概説される)、精巣(Moul et al.,Genes Chromosomes Cancer5:109−18(1992)、Di Vizio et al.,Oncogene24:1882−94(2005))、血液細胞(Karakas et al.,British Journal of Cancer94:455−59(2006)、Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery4:988−1004(2005)に概説される)、膵臓(Downward Nature Reviews Cancer3:11−22(2003)に概説される)、甲状腺(Downward Nature Reviews Cancer3:11−22 (2003)に概説される、Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery4:988−1004(2005)に概説される)、脳(Samuels et al.,Science304:554(2004)、Karakas et al.,British Journal of Cancer94:455−59(2006)に概説される)、膀胱(Lopez−Knowles et al.,Cancer Research66:7401−7404(2006)、Hennessy et al.,Nature Reviews Drug Discovery4:988−1004(2005));腎臓(Downward Nature Reviews Cancer3:11−22(2003)に概説される)、及び頭頚部(Engelman et al.,Nature Reviews Genetics7:606−619(2006)に概説される)由来のものが挙げられるが、これに限定されない。
【0005】
本発明内に定義される分子が治療的利益を有し得る異常PI3K 経路シグナル伝達を伴う疾患の他のクラスとしては、炎症及び心血管疾病を含み、アレルギー/アナフィラキシー(Rommel et al.,Nature Reviews Immunology7:191−201(2007)に概説される)、急性及び慢性炎症(Ruckle et al.,Nature Reviews Drug Discovery5:903−12(2006)に概説される、Rommel et al.,Nature Reviews Immunology7:191−201(2007)に概説される)、関節リウマチ(Rommel et al.,Nature Reviews Immunology7:191−201(2007)に概説される)、自己免疫疾患(Ruckle et al.,Nature Reviews Drug Discovery5:903−12(2006)に概説される)、血栓症(Jackson et al.,Nature Medicine11:507−14(2005)、Ruckle et al.,Nature Reviews Drug Discovery 5:903−12(2006)に概説される)、血圧上昇(Ruckle et al.,Nature Reviews Drug Discovery5:903−12(2006)に概説される)、心肥大(Proud et al.,Cardiovascular Research63:403−13(2004)に概説される)、及び心不全(Mocanu et al.,British Journal of Pharmacology150:833−8(2007)に概説される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Engelman et al.,Nature Review Genetics7:606−619(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
明らかに、特に増殖性、炎症性、又は心血管疾患の治療のための優れた治療特性を備える新規PI3K阻害剤の提供は有益である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1.本発明の化合物の概要
【0009】
本発明は、PI3Kの阻害剤である化合物を提供し、したがって、増殖性、炎症性、又は心血管疾患の治療に有用である。本発明の化合物は、式I
【化1】

(式中、
がCである時、Rは、H、−CN、ハロゲン、−Z−R、C1−6脂肪族、又は3〜10員脂環式である時、式中、
Zは、任意で置換されたC1−3アルキレン鎖、−O−、−N(R1a)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR1a−、−N(R1a)C(O)−、−N(R1a)CO−、−S(O)NR1a−、−N(R1a)S(O)−、−OC(O)N(R1a)−、−N(R1a)C(O)NR1a−、−N(R1a)S(O)N(R1a)−、又は−OC(O)−から選択され、
1aは、水素又は任意で置換されたC1−4脂肪族であり、
は、C1−6脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
は、H、ハロゲン、−W−R、又は−Rであり、式中、
Wは、任意で置換されたC1−3アルキレン鎖、−O−、−N(R2a)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR2a−、−N(R2a)C(O)−、−N(R2a)CO−、−S(O)NR2a−、−N(R2a)S(O)−、−OC(O)N(R2a)−、−N(R2a)C(O)NR2a−、−N(R2a)S(O)N(R2a)−、又は−OC(O)−から選択され、
2aは、水素又は任意で置換されたC1−4脂肪族であり、
は、C1−6脂肪族, 3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
、X、及びXは、それぞれ、独立して、N又はCRであり、式中、それぞれのRの箇所は、独立して、水素、−CN、ハロゲン、−V−R、C1−6脂肪族、又は3〜10員脂環式であり、式中、
Vは、任意で置換されたC1−3アルキレン鎖、−O−、−N(R6a)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR6a−、−N(R6a)C(O)−、−N(R6a)CO−、−S(O)NR6a−、−N(R6a)S(O)−、−OC(O)N(R6a)−、−N(R6a)C(O)NR6a−、−N(R6a)S(O)N(R6a)−、又は−OC(O)−から選択され、
6aは、水素又は任意で置換されたC1−4脂肪族であり、
は、C1−6脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル 、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
は、S、O、NRであり、式中、Rは、水素又は任意で置換されるC1−4脂肪族であり、
は、C、Nであり、
CYは、
【化2】

であり、
式中、それぞれのRの箇所は、独立して、−R4a、又は−T−R4dであり、式中、
それぞれのR4aの箇所は、原子価及び安定性が許容する時、独立して、フッ素、=O、=S、−CN、−NO、−R4c、−N(R4b、−OR4b、−SR4c、−S(O)4c、−C(O)R4b、−C(O)OR4b、−C(O)N(R4b、−S(O)N(R4b、−OC(O)N(R4b、−N(R4e)C(O)R4b、−N(R4e)SO4c、−N(R4e)C(O)OR4b、−N(R4e)C(O)N(R4b、若しくは−N(R4e)SON(R4bであるか、又は2つのR4bの箇所は、それらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素、若しくは硫黄から選択される追加の0〜1のヘテロ原子を有する、任意で置換された4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、
それぞれのR4bの箇所は、独立して、水素であるか、又はC1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR4cの箇所は、独立して、C1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR4dの箇所は、独立して、水素であるか、又は3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから任意で置換され、
それぞれのR4eの箇所は、独立して、水素、又は任意で置換されたC1−6脂肪族基であり、
は、任意で置換されたC1−アルキレン鎖であり、該アルキレン鎖は、任意で、−N(R4a)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R4a)−、−S(O)N(R4a)−、−OC(O)N(R4a)−、−N(R4a)C(O)−、−N(R4a)SO−、−N(R4a)C(O)O−、−NR4aC(O)N(R4a)−、−N(R4a)S(O)N(R4a)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R4a)−O−により中断されるか、又はT若しくはその一部は、任意選択的に、任意で置換された3〜7員脂環式若しくはヘテロシクリル環の一部を形成し、
nは0〜6であり、
mは1又は2であり、
pは、0、1、又は2であり、
【化3】

は、単結合又は二重結合を表す)の化合物、又はその医薬的に許容される塩であるが、
但し、式Iの化合物は、モルフォリン、4−[5−(4,5−ジフェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−チエニル]−以外であることを条件とする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
2.化合物及び定義
【0011】
本発明の化合物は、概して上記式Iについて記載したものを含み、本明細書に開示されるクラス、サブクラス、及び種により更に図示される。本明細書で使用される場合、特に記載のない限り、以下の定義が適用されるものとする。
【0012】
本明細書で記載されるように、本発明の化合物は、任意で、上記に概して示されるように、又は本発明の特定のクラス、サブクラス、及び種により例示されるような1つ以上の置換基と置換されてもよい。「任意で置換される」という句は、「置換又は非置換の」という句と互換的に使用されることを理解されたい。概して、「置換される」という用語は、「任意で」という用語が先行するかどうかに関わらず、置換が安定した、又は化学的にあり得る化合物をもたらすという条件で、指示される部分の水素ラジカルが特定の置換基のラジカルと置換されることを意味する。指示される原子に関して使用される時、「置換可能な」という用語は、水素原子が好適な置換基のラジカルと置換され得る水素ラジカルが、原子に結合されることを意味する。特に記載がない限り、「任意で置換された」基は、基の各置換可能な位置に置換基を有してもよく、あらゆる任意の構造における1つ以上の位置が、特定の基から選択される1つ以上の置換基と置換される時、置換基はあらゆる位置で同一か又は異なるかのいずれかであってもよい。本発明により想定される置換基の組み合わせは、好ましく、安定した、又は化学的にあり得る化合物の形成を生じるものである。
【0013】
安定した化合物又は化学的にあり得る化合物は、化学的構造が、湿度又は他の化学的な反応条件の不在において少なくとも1週間、約−80℃〜約+40°の温度で維持される時、実質的に変化しないものであるか、又は患者への治療的若しくは予防的投与に有用であるのに十分に長い間その結合性を維持する化合物である。
【0014】
本明細書で使用されるとき、「1つ以上の置換基」という句は、安定性及び化学的可能性の上記条件が一致するという条件で、利用できる結合部位に基づく可能な置換基の1から最大数に等しい置換基の数を指す。
【0015】
本明細書で使用されるとき、「独立して選択される」という用語は、同一又は異なる値が、単一化合物の任意の変数の複数の場合において選択されてもよいことを意味する。
【0016】
本明細書で使用されるとき、「3〜7員飽和、部分不飽和、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0〜3個のヘテロ原子を有する芳香族単環式環、あるいは8〜10員部分不飽和、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される0〜5個のヘテロ原子を有する芳香族二環式環系」とは、脂環式、複素環式、アリール、及びヘテロアリール環を含む。
【0017】
本明細書で使用されるとき、「芳香族」という用語は、概して以下に、及び本明細書で記載されるように、アリール及びヘテロアリール基を含む。
【0018】
本明細書で使用されるとき、「脂肪族」又は「脂肪族基」という用語は、完全に飽和される、又は1つ以上の単位の不飽和を含有するが、芳香族(本明細書で、「炭素環式」、「脂環式」、「シクロアルキル」、又は「シクロアルケニル」)ではない、任意で置換される直鎖又は分枝C1−12炭化水素、若しくは環式C1−12炭化水素を意味する。例えば、好適な脂肪族基としては、任意で置換される直鎖状、分枝、又は環式アルキル、アルケニル、アルキニル基、及び(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキル、又は(シクロアルキル)アルケニル等のそれらのハイブリッドが挙げられる。特に記載のない限り、様々な実施形態において、脂肪族基は、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜4個、1〜3個、又は1〜2個の炭素原子を有する。
【0019】
「アルキル」という用語は、単独又はより大きな部分の一部として用いて、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、1〜4個、1〜3個、又は1〜2個の炭素原子を有する、任意で置換される直鎖又は分枝鎖炭化水素基を指す。
【0020】
「アルケニル」という用語は、単独又はより大きな部分の一部として用いて、少なくとも1つの二重結合を有し、かつ2〜12個、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜4個、又は2〜3個の炭素原子を有する、任意で置換される直鎖又は分枝鎖炭化水素基を指す。
【0021】
「アルキニル」という用語は、単独又はより大きな部分の一部として用いて、少なくとも1つの三重結合を有し、かつ2〜12個、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜4個、又は2〜3個の炭素原子を有する、任意で置換される直鎖又は分枝鎖炭化水素基を指す。
【0022】
「脂環式」、「炭素環(carbocycle)」、「カルボシクリル(carbocyclyl)、「炭素環の(carbocyclo)」、又は「炭素環式(carbocyclic)」という用語は、単独又はより大きな部分の一部として用いて、3〜約14環の炭素原子を有する、任意で置換される飽和又は部分不飽和環式脂肪族環系を指す。いくつかの実施形態において、脂環式基は、3〜8又は3〜6環炭素原子を有する、任意で置換される単環式炭化水素である。脂環式基としては、任意で置換されるシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、又はシクロオクタジエニルが挙げられるが、これらに限定されない。「脂環式」、「炭素環」、「カルボシクリル、「炭素環の」、又は「炭素環式」という用語は、また、6〜12、6〜10、又は6〜8環の炭素原子を有し、二環式系のあらゆる個別の環は、3〜8環の炭素原子を有する、任意で置換される架橋又は縮合二環式環も含む。
【0023】
「シクロアルキル」という用語は、約3〜約10環の炭素原子からなる任意で置換される飽和環系を指す。代表的な単環式シクロアルキル環としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルが挙げられる。
【0024】
「シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有し、約3〜約10個の炭素原子を有する、任意で置換される非芳香族単環式又は多環式環系を指す。代表的な単環式シクロアルケニル環としては、シクロペンチル、シクロヘキセニル、及びシクロヘプテニルが挙げられる。
【0025】
「ハロ脂肪族」、「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、及び「ハロアルコキシ」という用語は、場合により、1つ以上のハロゲン原子と置換される、脂肪族、アルキル、アルケニル、又はアルコキシ基を指す。本明細書で使用されるとき、「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、F、Cl、Br、又はIを意味する。「フッ素化脂肪族」という用語は、ハロゲンがフッ化であるハロ脂肪族を指し、過フッ素化脂肪族基を含む。代表的なフッ素化脂肪族基は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1,1,2−トリフルオロエチル、1,2,2−トリフルオロエチル、及びトリフルオロエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「ヘテロ原子」という用語は、1つ以上の酸素、硫黄、窒素、リン、又はケイ素(あらゆる酸化形態の窒素、硫黄、リン、若しくはケイ素、四級化形態のあらゆる塩基窒素、又は複素環式環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル等で)、NH(ピロリジニル等で)、又はNR(N−置換ピロリジニル等で)を含む)を指す。
【0027】
「アリール(aryl)」及び「アラ(ar−)」という用語は、単独又はより大きな部分の一部、例えば、「アラルキル」、「アラルコキシ」、又は「アリールオキシアルキル」として用いて、1〜3の芳香族環を含む、任意で置換されるC6−14芳香族炭化水素部分を指す。好ましくは、アリール基はC6−10アリール基である。アリール基としては、任意で置換されるフェニル、ナフチル、又はアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用されるとき、「アリール」及び「ar−」という用語は、アリール基が1つ以上の脂環式環に縮合して、テトラヒドロナフチル、インデニル、又はインダニル環等の任意で置換される環式構造を形成する基も含む。「アリール」という用語は、「アリール基」、「アリール環」、及び「芳香族環」という用語と互換的に使用されてもよい。
【0028】
「アラルキル」又は「アリールアルキル」基は、アルキル基に共有結合的に結合されるアリール基を含み、いずれかが、独立して任意で置換される。好ましくは、アラルキル基は、ベンジル、フェネチル、及びナフチルメチルを含むがこれらに限定されない、C6−10アリールC1−6アルキルである。
【0029】
「ヘテロアリール(heteroaryl)」及び「ヘテロアラ(heteroar−)」という用語は、単独又はより大きな部分の一部、例えば、「ヘテロアラアルキル」又は「ヘテロアラルコキシ」として用いて、5〜14環原子、好ましくは、5、6、9、又は10環原子を有し、環式配列で共有される6、10、又は14π電子を有し、炭素原子に加え、1〜5個のヘテロ原子を有する基を指す。ヘテロアリール基は、単環式、二環式、三環式、又は多環式、好ましくは、単環式、二環式、又は三環式、より好ましくは、単環式又は二環式であってもよい。「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素、又は硫黄を指し、あらゆる酸化形態の窒素又は硫黄、及びあらゆる四級化形態の塩基窒素を含む。例えば、ヘテロアリールの窒素原子は、塩基窒素原子であってもよく、また、任意で、対応するN−オキシドに酸化されてもよい。ヘテロアリールがヒドロキシ基により置換される時、その対応する互変異性体も含む。本明細書で使用されるとき、「ヘテロアリール」及び「ヘテロアラ(heteroar−)」という用語は、芳香族複素環が1つ以上のアリール、脂環式、又は複素脂環式環と縮合される基も含む。ヘテロアリール基の例としては、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、プテリジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H−キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ピリド[2,3−b]−1,4−オキサジン−3(4H)−オンが挙げられるが、これらに限定されない。「ヘテロアリール」という用語は、用語「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」、又は「ヘテロ芳香族」と互換的に使用されてもよく、いずれの用語も任意で置換される環を含む。「ヘテロアラルキル」という用語は、ヘテロアリールにより置換されるアルキル基を指し、アルキル及びヘテロアリール部は、独立して、任意で置換される。
【0030】
本明細書で使用されるとき、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環基」、及び「複素環式環」という用語は、互換的に使用され、飽和又は部分不飽和のいずれかで、上に定義するように、炭素原子に加え1つ以上、好ましくは1〜4個のヘテロ原子を有する安定した3〜8員単環式、又は7〜10員二環式複素環部分を指す。複素環の環原子に関して使用される時、「窒素」という用語は、置換された窒素を含む。例として、酸素、硫黄、又は窒素から選択される0〜3個のヘテロ原子を有する飽和又は部分不飽和において、窒素は、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルで等)、NH(ピロリジニルで等)、又はNR(N−置換ピロリジニルで等)であってもよい。
【0031】
複素環式環は、安定した構造をもたらすあらゆるヘテロ原子又は炭素原子のそのペンダント基に結合することができ、あらゆる環原子が任意で置換され得る。このような飽和又は部分不飽和複素環基の例としては、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピペリジニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオクソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル(oxazepinyl)、チアゼピニル、モルフォリニル、及びチアモルフォリニルが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクリル基は、単環式、二環式、三環式、又は多環式、好ましくは、単環式、二環式、又は三環式、より好ましくは、単環式又は二環式であってもよい。「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、ヘテロシクリルで置換されるアルキル基を指し、アルキル及びヘテロシクリル部は、独立して、任意で置換される。加えて、複素環式環も、複素環式環が1つ以上のアリール環と縮合する基を含む。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「部分不飽和」という用語は、環原子環に少なくとも1つの二重又は三重結合を含む環部分を指す。「部分不飽和」という用語は、多数の不飽和部位を有する環の包含を意図するが、本明細書で定義される芳香族(例えば、アリール又はヘテロアリール)の包含を意図しない。
【0033】
「アルキレン」という用語は、二価のアルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち、−(CH−であり、nは正の整数であり、好ましくは1〜6、1〜4、1〜3、1〜2、又は2〜3である。任意で置換されるアルキレン鎖は、1つ以上のメチレン水素原子が任意で置換基と置換されるポリメチレン基である。好適な置換基としては、以下に記載する置換される脂肪族基のものが挙げられるが、本明細書に記載されるものも含む。アルキレン基の2つの置換基は、共に環系を形成することを理解する。特定の実施形態において、2つの置換基は、共に3〜7員環を形成する。置換基は、同一又は異なる原子上に存在し得る。
【0034】
アルキレン鎖は、任意で、官能基によって中断され得る。アルキレン鎖は、内部メチレン単位が官能基によって中断される時、官能基によって「中断される」。好適な「中断官能基」の例は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される。
【0035】
明確にするために、本明細書に記載される全ての二価基(例えば、上述のアルキレン鎖リンカーを含む)は、変数が現れる式若しくは構造の対応する左から右への表示と共に、左から右に表示されることを意図する
【0036】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキル等を含む)又はヘテロアリール(ヘテロアラルキル及びヘテロアリールアルコキシ等を含む)基は、1つ以上の置換基を含有してもよく、よって、「任意で置換される」場合がある。上記、及び本明細書に定義される置換基に加え、アリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の好適な置換基も、-ハロ、−NO、−CN、−R、−C(R)=C(R、−C=C−R、−OR、−SR°、−S(O)R°、−SOR°、−SO、−SON(R、−N(R、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(O)N(R、−NRC(S)N(R2、−N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−R°、−NRCO、−NRSOR°、−NRSON(R、−O−C(O)R、−O−CO、−OC(O)N(R、−C(O)R、−C(S)R°、−CO、−C(O)−C(O)R、−C(O)N(R、−C(S)N(R、−C(O)N(R)−OR、−C(O)N(R)C(=NR)−N(R、−N(R)C(=NR)−N(R)−C(O)R、−C(=NR)−N(R、−C(=NR)−OR、−N(R)−N(R、−C(=NR)−N(R)−OR、−C(R°)=N−OR、−P(O)(R、−P(O)(OR、−O−P(O)−OR、及び−P(O)(NR)−N(Rを含み、概して、これらから選択され、式中、Rは、独立して、水素、又は任意で置換される脂肪族、アリール、ヘテロアリール、脂環式、若しくはヘテロシクリル基であるか、又は2つのRの箇所は、それらの介在原子と共に、任意で置換される5〜7員アリール、ヘテロアリール、脂環式、又はヘテロシクリル環を形成する。各R°は、任意で置換される脂肪族、アリール、ヘテロアリール、脂環式、又はヘテロシクリル基である。
【0037】
脂肪族若しくは脂環式基、又は非芳香族炭素環式若しくは複素環式環は、1つ以上の置換基を含有してもよく、したがって、「任意で置換」されてもよい。上記又は本明細書に特に定義のない限り、脂肪族若しくは脂環式基、又は非芳香族炭素環式若しくは複素環式環上の好適な置換基は、アリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素における上記に挙げるものから選択され、更に次の=O、=S、=C(R*)、=N−N(R*)、=N−OR*、=N−NHC(O)R*、=N−NHCOR°=N−NHSOR°、又は=N−R*を含み、ここで、R°は上記に定義され、各R*は、独立して、水素、又は任意で置換されるC1−6脂肪族基から選択される。
【0038】
上記及び本明細書に定義される置換基に加え、非芳香族複素環式環の窒素上の任意の置換基は、また、−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−S(O)、−S(O)N(R、−C(S)N(R、−C(=NH)−N(R、又は−N(R)S(O)を含み、かつ一般的にこれらから選択され、式中、各Rは上記に定義される。ヘテロアリール又は非芳香族複素環式環の環窒素原子も酸化され、対応するN−ヒドロキシ又はN−酸化物化合物を形成してもよい。酸化環窒素原子を有するこのようなヘテロアリールの例としては、N−オキシドピリジルが挙げられる。
【0039】
上記に詳説するように、いくつかの実施形態において、2つの独立したR(又は本明細書及び特許請求の範囲で同様に定義されるあらゆる他の変数)の箇所は、それらの介在原子と一緒になり、3〜13員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する3〜12員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、単環式又は二環式環を形成する。
【0040】
2つの独立したR(又は本明細書及び特許請求の範囲で同様に定義されるあらゆる他の変数)の箇所がそれらの介在原子と一緒になる時に形成される代表的な環は、次のa)同一原子に結合され、該原子と一緒になり環を形成する2つの独立したR(又は本明細書及び特許請求の範囲で同様に定義されるあらゆる他の変数)の箇所、例えば、N(Rであり、ここで、両方のRの箇所は窒素原子と一緒になりピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル、又はモルフォリン−4−イル基を形成する、及びb)異なる原子に結合され、これらの両方の原子と一緒になり環を形成する2つの独立したR(又は本明細書及び特許請求の範囲で同様に定義されるあらゆる他の変数)の箇所、例えば、フェニル基が2つのOR
【化4】

の箇所と置換される場合、これらの2つのRの箇所は、これらが結合して環:
【化5】

を含有する縮合6員酸素を形成する酸素原子と一緒になる、を含むがこれらに限定されない。2つの独立したR(又は本明細書及び特許請求の範囲で同様に定義されるあらゆる他の変数)の箇所が、それらの介在原子と一緒になる時に様々な他の環(例えば、スピロ及び架橋環)が形成され得、上記の詳説される例は限定されるものではないことを理解する。
【0041】
特に記載のない限り、本明細書に図示する構造は、構造の全ての異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何(又は立体構造))形態、例えば、各不斉中心におけるR及びS構成、(Z)及び(E)二重結合異性体、並びに(Z)及び(E)立体構造異性体を含むが、これらに限定されない。したがって、本発明の化合物の単一立体化学異性体並びにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何(又は立体構造)混合物は、本発明の範囲内である。特に記載のない限り、本発明の化合物の全ての互変異性形態は、本発明の範囲内である。加えて、特に記載のない限り、本明細書に図示される構造も、1以上の同位体的濃縮原子の存在下でのみ異なる化合物を含むものとする。例えば、重水素若しくはトリチウムによる水素の置換、又は13C−若しくは14C−濃縮炭素による炭素の置換を除く本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、分析手段又は生物検定として有用である。
【0042】
開示される化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する時、本発明は、対応する光学異性体、阻害剤のラセミ混合物、及びその対応する光学異性体に対して1つのエナンチオマーに濃縮される混合物が存在しない、阻害剤の1つのエナンチオマーを包含する。混合物がその光学異性体に対して1つのエナンチオマーに濃縮される時、混合物は、例えば、少なくとも50%、75%、90%、95%、99%、又は99.5%のエナンチオマー過剰を含有する。
【0043】
本発明のエナンチオマーは、例えば、結晶化により単離されてもよいジアステレオマー塩の形成;例えば、結晶化、ガス−液体若しくは液体クロマトグラフィーにより単離されてもよいジアステレオマー誘導体若しくは錯体の形成;例えば、酵素エステル化等のエナンチオマー特異試薬と1つのエナンチオマーの選択的反応;又は例えば、結合キラル配位子でのキラル支持、例えばシリカ上の、又はキラル溶媒の存在下等のキラル環境でのガス−液体若しくは液体クロマトグラフィー等、当該分野に既知の方法により分離されてもよい。上述の分離手順の1つにより、所望のエナンチオマーが別の化学物質に変換される場合、所望のエナンチオマー形態を遊離するためには更なるステップが必要である。別の方法としては、任意で、活性試薬、基質、触媒、若しくは溶媒を用いて不整合成により、又は不斉変換により1つのエナンチオマーを別のエナンチオマーに変換することにより、特定のエナンチオマーを合成してもよい。
【0044】
開示される化合物が少なくとも1つのキラル中心を有する時、本発明は、他のジアステレオマーが存在しないジアステレオマー、他のジアステレオマー対が存在しないジアステレオマーの対、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマー対の混合物、1つのジアステレオマーが他のジアステレオマーに対して濃縮されるジアステレオマーの混合物、及び1つのジアステレオマー対が他のジアステレオマー対に対して濃縮されるジアステレオマー対の混合物を包含する。混合物が他のジアステレオマー又はジアステレオマー対に対して1つのジアステレオマー又はジアステレオマー対に濃縮される時、混合物は、例えば、少なくとも50%、75%、90%、95%、99%、又は99.5%のモル過剰により、化合物において、他のジアステレオマー又はジアステレオマー対に対して図示される又は参照されるジアステレオマー又はジアステレオマー対で濃縮される。
【0045】
ジアステレオマー対は、例えば、クロマトグラフィー又は結晶化等の当業者に既知の方法により単離されてもよく、各対内の個々のエナンチオマーは、上述のように単離されてもよい。本明細書に開示される調製で使用されるジアステレオマー対の前駆体をクロマトグラフィー的に単離するための特定の手順を、本明細書の実施例で提供する。
【0046】
3.代表的な化合物の説明
【0047】
特定の実施形態における、一般的な式Iの化合物について、1つ以上の置換基は、
(a)YはSである、
(b)YはCである、
(c)RはCN又はHである、
(d)Rは、任意で置換される6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールである、
(e)nは0〜2である、又は
(f)Rは−R4aである、から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態において、式Iの化合物は、
【化6】

により表される。
更に別の実施形態において、Rは、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、任意で、1〜4つの独立したRの箇所と置換され、式中、Rは、−R9a、−T−R9d、又は−V−T−R9dであり、
各R9aの箇所は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R9c、−N(R9b、−OR9b、−SR9c、−S(O)9c、−C(O)R9b、−C(O)OR9b、−C(O)N(R9b、−S(O)N(R9b、−OC(O)N(R9b、−N(R9e)C(O)R9b、−N(R9e)SO9c、−N(R9e)C(O)OR9b、−N(R9e)C(O)N(R9b、又は−N(R9e)SON(R9bであるか、又は2つのR9bの箇所は、それらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素、又は硫黄から選択される0〜1個の追加のヘテロ原子を有する、任意で置換された4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、
それぞれのR9bの箇所は、独立して、水素であるか、又はC1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR9cの箇所は、独立して、C1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR9dの箇所は、独立して、水素であるか、又は3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから任意で置換され、
それぞれのR9eの箇所は、独立して、水素又は任意で置換されたC1−6脂肪族基であり、
それぞれのVの箇所は、独立して、−N(R9e)−、−O、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R9e)−、−S(O)N(R9e)−、−OC(O)N(R9e)−、−N(R9e)C(O)−、−N(R9e)SO−、−N(R9e)C(O)O−、−NR9eC(O)N(R9e)−、−N(R9e)SON(R9e)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R9e)−O−であり、
は、任意で置換されたC1−アルキレン鎖であり、該アルキレン鎖は、任意で、−N(R7a)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R7a)−、−S(O)N(R7a)−、−OC(O)N(R7a)−、−N(R7a)C(O)−、−N(R7a)SO−、−N(R7a)C(O)O−、−NR7aC(O)N(R7a)−、−N(R7a)S(O)N(R7a)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R7a)−O−により中断されるか、又はT若しくはその一部は、任意選択的に、任意で置換された3〜7員脂環式若しくはヘテロシクリル環の一部を形成する。
【0049】
また他の実施形態において、YはSであり、YはCであり、化合物は、式
【化7】

により表され、式中、RはCN又はHである。
【0050】
更に他の実施形態において、Rは、任意で置換された3〜10員脂環式、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、
nは0〜2であり、
は−R4aである。
【0051】
また他の実施形態において、式Iの化合物は、
【化8】

により表される。
【0052】
また他の実施形態における、すぐ上に記載する化合物について、Rは、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、任意で、1〜4つの独立したRの箇所と置換され、式中、Rは、−R9a、−T−R9d、又は−V−T−R9dであり、
各R9aの箇所は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R9c、−N(R9b、−OR9b、−SR9c、−S(O)9c、−C(O)R9b、−C(O)OR9b、−C(O)N(R9b、−S(O)N(R9b、−OC(O)N(R9b、−N(R9e)C(O)R9b、−N(R9e)SO9c、−N(R9e)C(O)OR9b、−N(R9e)C(O)N(R9b、又は−N(R9e)SON(R9bであるか、又は2つのR9bの箇所は、それらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素、又は硫黄から選択される0〜1個の追加のヘテロ原子を有する、任意で置換された4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、
それぞれのR9bの箇所は、独立して、水素であるか、又はC1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR9cの箇所は、独立して、C1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR9dの箇所は、独立して、水素であるか、又は3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから任意で置換され、
それぞれのR9eの箇所は、独立して、水素又は任意で置換されたC1−6脂肪族基であり、
それぞれのVの箇所は、独立して、−N(R9e)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R9e)−、−S(O)N(R9e)−、−OC(O)N(R9e)−、−N(R9e)C(O)−、−N(R9e)SO−、−N(R9e)C(O)O−、−NR9eC(O)N(R9e)−、−N(R9e)SON(R9e)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R9e)−O−であり、
は、任意で置換されたC1−アルキレン鎖であり、該アルキレン鎖は、任意で、−N(R7a)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R7a)−、−S(O)N(R7a)−、−OC(O)N(R7a)−、−N(R7a)C(O)−、−N(R7a)SO−、−N(R7a)C(O)O−、−NR7aC(O)N(R7a)−、−N(R7a)S(O)N(R7a)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R7a)−O−により中断されるか、又はT若しくはその一部は、任意選択的に、任意で置換された3〜7員脂環式若しくはヘテロシクリル環の一部を形成する。
【0053】
更に他の実施形態において、Rは、1〜3のハロゲン、−CN、−NO、−R9c、−N(R9b、−OR9b、−SR9c、−S(O)9c、−C(O)R9b、−C(O)OR9b、−C(O)N(R9b、−S(O)N(R9b、−OC(O)N(R9b、−N(R9e)C(O)R9b、−N(R9e)SO9c、−N(R9e)C(O)OR9b、−N(R9e)C(O)N(R9b、又は−N(R9e)SON(R9bの独立した箇所と置換されるフェニル基であり、
は、水素、C1−4アルキル、又はC1−4フルオロアルキルであり、
nは0である。
【0054】
また別の実施形態において、Rは、1〜3のハロ、C1−3アルキル、CN、C1−3ハロアルキル、−OC1−3アルキル、−OC1−3ハロアルキル、−NHC(O)C1−3アルキル、−NHC(O)NHC1−3アルキル、NHS(O)1−3アルキル、又は−COHの独立した箇所と置換されるフェニル基である。
【0055】
以下の表1は、特定の代表的な式Iの化合物を示す。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【0056】
4.一般的な合成方法及び中間体
【0057】
本発明の化合物は、当業者に既知の方法及び/又は以下に示すスキーム及び以下の合成例を参照することにより調製することができる。代表的な合成経路を以下のスキーム1〜11及び実施例に記述する。
【0058】
スキーム1:3−置換4−シアノ−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−トリアゾール合成の一般経路
【化9】

【0059】
上記スキーム1は、式(vii)の化合物を調製する一般経路を示す。スキーム1に示すように、アミドiのチオアミドiiへの変換は、THF中のラヴェッソン試薬等の好適な試薬を用いて達成され得る(方法A)。チオアミドiiは、ACN中のDIPEA等、適切な塩基の存在下で塩化アシルと結合して(方法B)、後に置換チオフェンviを得るようにマイクロ波照射を用いて、ワンポットプロセスでヨードエチルアセテート又はブロモエチルアセテート等の好適なα−ハロアセテートエステルと結合し得る、式iiiの化合物を得る(方法C)。エステルivは、THF及びMeOH等の共溶媒を用いた水溶性条件下のNaOH等の好適な塩基を用いて加水分解し、カルボン酸vを得ることができる(方法D)。アミドviは、DCM中のEDCI及びHOBT等の好適な結合剤を用いて、化合物vをアンモニアと結合することにより得ることができる(方法E)。マイクロ波照射下でDMFDMAを用いて化合物viを処理して、マイクロ波照射下で酢酸中のヒドラジンを用いてトリアゾールviiに変換される中間体エナミンを得る。
【0060】
スキーム2:3−置換4−シアノ−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−トリアゾールの代替合成
【化10】

【0061】
上記スキーム2は、式(iv)の化合物を調製する一般経路を示す。スキーム2に示すように、viiiを、昇温状態下、MeOH中のTEA等の好適な塩基の存在下で、エチルチオアセテートを用いて処理し、ACN中のヨウ化メチレン及び亜硝酸アミル等の適切な試薬を用いたサンドマイヤー反応に供されるixを得る(方法G)。生成物xは、次に、DCM中のm−CPBA等の適切な酸化剤を用いてスルホンxiに酸化される(方法I)。スルホンの置換を、昇温状態でTHF中のモルフォリンを用いて達成し、xiiを得る(方法J)。後者の化合物のボロン酸との鈴木カップリングを、マイクロ波条件下、DME−水混合物中の炭酸ナトリウム等の好適な塩基の存在下で、Pd(PPh等の適切な触媒を用いて達成し、式ivの化合物を得る(方法K)。エステルivのトリアゾールviiへの変換は、スキーム1に記載されるように実行される。
【0062】
スキーム3:置換4−シアノ−3−アリール−5−(モルフォリン−4−イル)チオフェン−2−カルボキサミドの代替合成経路
【化11】

【0063】
上記スキーム3は、式(xvii)の化合物を調製する一般経路を示す。スキーム3に示すように、エステルxを、水溶性条件下、水酸化ナトリウム等の好適な塩基を用いて加水分解し、カルボン酸xiiiを得る(方法D)。アミドxivは、DCM中のEDCI及びHOBT等の適切な結合剤を用い、その後アンモニア水で処理して形成する(方法E)。チオエーテルxivは、DCM中のmCPBA等の適切な酸化剤を用いてスルホンxvに酸化され得る(方法L)。後者の化合物を、マイクロ波照射下、アリールボロン酸、Pd(dba)等のPd源、dpePhos等のリガンド、DME/DMA溶媒混合物中のリン酸カリウム等の塩基の適切な組み合わせを用いて、鈴木カップリング状態に供し、式xviの二次中間体を得る(方法M)。昇温状態でスルホンxviを未処理の置換モルフォリンで処理して式xviiのアミドを得る(方法N)。アミドxviiのトリアゾールviiへの変換は、スキーム1に記載されるように実行される。
【0064】
スキーム4:3−置換4−シアノ−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−イミダゾールの一般的な合成経路
【化12】

【0065】
上記スキーム4は、式(xx)の化合物を調製する一般経路を示す。スキーム4に示すように、DCM中のEDCI及びHOBt等の標準的な結合条件を用いて、酸vをBoc保護エチレンジアミンで処理する。例えば、DCM中のTFA等の適切な酸を用いて保護基を除去し、アミドxviiiを得る(方法O)。例えば、POCl等の好適な条件を用いてxviiiの環化を達成し(方法P)、Swern酸化等の好適な酸化法を用いて、形成されたジヒドロイミダゾールxixをイミダゾールxxに酸化する(方法Q)。
【0066】
スキーム5:3−置換4−シアノ−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−イミダゾールの代替合成
【化13】

【0067】
上記スキーム5は、式(xx)の化合物を調製する代替経路を示す。スキーム5に示すように、例えば、N,O−ジメチルヒドロキシルアミンと結合させた後、形成されたワインレブアミドをDIBALで還元する等、好適な合成シーケンスを用いて酸vをアルデヒドに変換する(方法R)。次に、アルデヒドxxiをジアミン及びヨウ素で処理し(方法S)、Swern酸化等の好適な酸化法を用いてイミダゾールxxに酸化されるジヒドロイミダゾールxixを形成する(方法Q)。
【0068】
スキーム6:3−置換4−シアノ−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−イミダゾールの一般的な合成経路
【化14】

【0069】
上記スキーム6は、式(xxv)の化合物を調製する代替経路を示す。スキーム6に示すように、例えば、N,O−ジメチルヒドロキシルアミンと結合させた後、形成されたワインレブアミドをアルキルリチウム試薬で処理する等、好適な合成シーケンスを用いて酸vをケトンに変換する(方法T)。次に、マイクロ波照射下、酢酸中でケトンxxiiを臭素で処理し(方法U)、リン酸ジエチル等の好適な方法及びTEA等の塩基を用いてブロモケトンに還元されるジブロモケトンxxiiiを形成する(方法V)。マイクロ波照射下でxxivをホルムアミドで処理し、最終イミダゾールxxvを得る(方法W)。
【0070】
スキーム7:3−置換4−シアノ−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−ピラゾールの一般的な合成経路
【化15】

【0071】
上記スキーム7は、式(xxvi)の化合物を調製する一般経路を示す。スキーム7に示すように、ケトンxxiiをDMFDMAで処理し、中間体エナミンを得た後、例えば、酢酸等の好適な溶媒中でヒドラジン水和物と反応させ、ピラゾールxxviを得る(方法X)。
【0072】
スキーム8:3−置換4−シアノ−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−テトラゾールの一般的な合成経路
【化16】

【0073】
上記スキーム8は、式(xxvii)の化合物を調製する一般経路を示す。スキーム8に示すように、アセトニトリル等の適切な溶媒中の、例えば、四塩化ケイ素等の好適なルイス酸を用いて、アミドviを、例えば、アジ化ナトリウム等のアジド源で処理し、テトラゾールxxviiを得る(方法Y)。
【0074】
スキーム9:3−置換4−シアノ−5−ジヒドロピラン−4−イルチオフェン−2−トリアゾールの一般的な合成経路
【化17】

【化18】





【0075】
上記スキーム9は、式(xxxiv)の化合物を調製する一般経路を示す。スキーム9に示すように、昇温状態で、例えば、THF中のTEA等の好適な条件を用いて、スルホンxiをジメトキシベンジルアミンで処理する。後者の化合物のボロン酸との鈴木カップリングを、マイクロ波照射下、DME−水混合物中の炭酸ナトリウム等の好適な塩基の存在下、Pd(PPh等の適切な触媒を用いて達成し、式xxixの化合物を得る(方法K)。DCM中のTFA等の好適な酸を用いて、ジメトキシベンジル基の脱保護を達成する(方法AA)。次に、ACN中のヨウ化メチレン及びアミルニトリル等の適切な試薬を用いて、アミンxxxをサンドマイヤー反応に供す(方法H)。エステルxxxiは、THF及びMeOH等の共溶媒を用いた水性条件下のNaOH等の好適な塩基を用いて加水分解し、カルボン酸を得た(方法D)後、DCM中のEDCI及びHOBT等の好適な結合剤を用いて、アンモニアと結合させ、アミドxxxiiを得ることができる(方法E)。マイクロ波照射下でアミドxxxiiをDMFDMAで処理し、マイクロ波照射下、酢酸中のヒドラジンを用いてトリアゾールxxxiiiに変換される中間体エナミンを得る(方法F)。次に、昇温状態で、例えば、Pd(PPh、ジオキサン中のCuI、LiCl等の好適な条件下で、化合物xxxiiiをビニルスタナンと結合させて、ジヒドロピランxxxivを得る(方法AB)。後者の化合物を水素化して(方法AC)、テトラヒドロピランxxxvを得ることができる。
【0076】
スキーム10:4−置換−5−(4H−l,2,4−トリアゾール−3−イル)−l,3−チアゾール−2−イル]モルフォリンの一般的な合成経路
【化19】

【0077】
上記スキーム10は、式(xl)の化合物を調製する一般経路を示す。スキーム10に示すように、モルフォリンで処理して2,4−ジクロロチアゾール−5−カルボニトリルをxxxviiに変換し(方法AD)、そしてこれを、次に、例えば、Pd(PPhCl、DME−エタノール−水混合物中の炭酸ナトリウム等の標準試薬を用いて、マイクロ波条件下で鈴木カップリングに供し、式xxxviiiの化合物を得る。ニトリル基の加水分解を、硫酸等の強い酸を用いて達成し(方法AE)、アミドxxxixを得、これは、マイクロ波照射下、DMFDMAで処理した後にマイクロ波照射下、酢酸中のヒドラジンで処理する二段階法を用いて、トリアゾールxlに変換される(方法F)。
【0078】
スキーム11:置換フラン及びピロールの一般的な合成経路
【化20】

【0079】
X=O又はX=N(R)である式(I)の化合物は、化合物xliiiから調製され得る。式xliiiの化合物の合成は、文献(Fernandez,M.−C,Castano,A.,Dominguez,E.,Escribano,A.,Jiang,D.,Jimenez,A.,Hong,E.,Homback,W.J.,Nisenbaum,E.S.,Rankl,N.,Tromiczak,E.,Vaught,G.,Zarrinmayeh,H.,Zimmerman,D.M.Bioorg.Med.Chem.Lett.,2006,66,5057−5061)に報告されており、スキーム11に要約される。プロピオンニトリルxliの脱保護後、二硫化炭素で縮合し、次にヨウ化メチルで反応停止させ、式xliiの化合物を得る。これらの化合物は、ブロモエチルアセテートで環化縮合によって更にフランエチルカルボン酸xliiiに変換され得る。同様に、N−アルキルグリシンエステルでxliiを処理し、アルキル化ピロールエチルカルボン酸xlivを得る。式xliii及びxlivの化合物は、上記スキーム1〜9に記載されるように更に合成され得る。
【0080】
5.使用、製剤、及び投与
【0081】
上述のように、本発明は、PI3K酵素の阻害剤として有用である化合物を提供し、したがって、本発明の化合物は、PI3Kにより媒介される腫瘍及び/又は癌性細胞成長等の増殖性、炎症性、又は心血管疾患に有用である。特に、化合物は、肺及び気管支、前立腺、乳房、膵臓、結腸及び直腸、甲状腺、肝臓及び肝内胆管、肝細胞、胃、膠腫/膠芽腫、子宮内膜、 メラノーマ、腎臓及び腎盂、膀胱、子宮体、子宮頸部、卵巣、多発性骨髄腫、食道、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ性白血病、骨髄性白血病、脳、口腔及び咽頭、小腸、非ホジキンリンパ腫、並びに絨毛結腸腺腫を含むがこれらに限定されない、被験者の癌の治療に有用である。
【0082】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、乳癌、膀胱癌、結腸癌、膠腫、膠芽腫、肺癌、肝細胞癌、胃癌、メラノーマ、甲状腺癌、子宮内膜癌、腎癌、子宮頸癌、膵癌、食道癌、前立腺癌、脳癌、又は卵巣癌の治療に適している。
【0083】
他の実施形態において、本発明の化合物は、アレルギー/アナフィラキシー、急性及び慢性炎症、関節リウマチ、自己免疫疾患、血栓症、血圧上昇、心肥大、及び心不全を含むがこれらに限定されない炎症及び心血管疾患の治療に適している。
【0084】
したがって、本発明の別の態様において、これらの組成物が本明細書に記載するような化合物のいずれかを含み、任意で、医薬的に許容される担体、アジュバント又はビヒクルを含む医薬的組成物を提供する。特定の実施形態において、これらの組成物は、任意で、1つ以上の追加の治療薬を更に含む。
【0085】
本発明の特定の化合物は、治療において単独形態で、又は適切な場合、その医薬的に許容される誘導体として存在することができることも理解されたい。本発明に従い、医薬的に許容される誘導体は、必要とする患者への投与時に、本明細書に記載されるような化合物、又はその代謝物若しくは残留物を直接的又は間接的に提供することができる医薬的に許容されるプロドラッグ、塩類、エステル類、このようなエステルの塩類、又はあらゆる他の付加体を含むが、これらに限定されない。
【0086】
本明細書で使用されるとき、「医薬的に許容される塩」という用語は、適切な医学的判断内で、過渡の毒性、刺激、アレルギー反応等なしに、かつ妥当な利益/リスク比率と比較して、ヒト及び下等動物の組織との接触に使用するのに適しているそれらの塩類を指す。「医薬的に許容される塩」とは、受容者への投与時に、本発明の化合物又はその阻害的活性代謝物若しくは残留物を直接的又は間接的のいずれかで提供することができる、本発明の化合物のあらゆる非毒性塩類又はエステルの塩類を意味する。本明細書で使用されるとき、「その阻害的活性代謝物又は残留物」という用語は、その代謝物又は残留物もPI3Kの阻害剤であることを意味する。
【0087】
医薬的に許容される塩類は、当該分野において良く知られている。例えば、S.M.Bergeらは、本明細書に参照として組み込まれるJ.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において、医薬的に許容される塩類を詳細に記載している。本発明の化合物の医薬的に許容される塩類は、好適な無機及び有機の酸及び塩基に由来するものを含む。医薬的に許容される、非毒性酸添加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸等の無機酸、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、若しくはマロン酸等の有機酸で、又はイオン交換等の当該分野で使用される他の方法を用いて形成されるアミノ基の塩類である。他の医薬的に許容される塩類は、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等を含む。適切な塩基に由来する塩類としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN(C1−4アルキル)塩が挙げられる。本発明は、本明細書に記載される化合物のあらゆる塩基性窒素含有基の四級化も想定する。水溶性又は若しくは油溶性又は分散可能生成物は、このような四級化により得られてもよい。代表的なアルカリ金属又はアルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。更に、医薬的に許容される塩類は、適切な場合、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、並びにハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、及びアリールスルホン酸塩等の対イオンを用いて形成されるアミンカチオンを含む。
【0088】
上述のように、本発明の医薬的に許容される組成物は、更に、所望する特定の投与形態に適するように、あらゆる、及び全ての溶剤、希釈剤、又は他の液状ビヒクル、分散液若しくは懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤若しくは乳化剤、防腐剤、固体結合剤、潤滑剤等を含み、本明細書で使用されるように、医薬的に許容される担体、アジュバント、又はビヒクルを含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences,Sixteenth Edition,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、医薬的に許容される組成物の製剤に使用される様々な担体、及びその調製の既知の技法を開示している。あらゆる従来の担体媒体が、あらゆる望ましくない生物学的作用を生成する、あるいは医薬的に許容される組成物のあらゆる他の化合物と有害な様式で相互作用する等により本発明の化合物と適合しない場合を除き、その使用は、本発明の範囲内であると考えられる。医薬的に許容される担体としての機能を果たすことができるいくつかの物質の例としては、イオン交換剤、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質、リン酸、グリシン、ソルビン酸、若しくはソルビン酸カリウム等の緩衝物質、飽和植物脂肪酸等の部分グリセリド混合物、水、プロタミン硫酸等の塩類若しくは電解質類、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状ケイ素、酸ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、羊毛脂、ラクトース、グルコース、及びスクロース等の糖類;コーンスターチ及び澱粉等のスターチ;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、並びに酢酸セルロース等のセルロース及びその誘導体;粉末トラガント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター及び座剤ワックス等の賦形剤; ピーナッツ油、綿実油、紅花油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及び大豆油等の油;プロピレングリコール又はポリエチレングリコール等のグリコール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤;アルギン酸;発熱性物質除去蒸留水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、及びエチルアルコール、リン酸緩衝溶液、並びにラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウム等の他の非毒性適合潤滑剤が挙げられるが、これらに限定されず、着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、風味剤、及び芳香剤、防腐剤並びに抗酸化剤も、調合者の判断に従い化合物に存在し得る。
【0089】
更に別の態様において、増殖性、炎症性又は心血管疾患を治療するための方法は、それを必要とする被験者に有効量の化合物又は医薬組成物を投与することを含む。本発明の特定の実施形態において、「有効量」の化合物又は医薬組成物とは、増殖性、炎症性若しくは心血管疾患を治療するのに効果的な量、又は癌を治療するのに効果的な量である。他の実施形態において、「有効量」の化合物とは、PI3Kの結合を阻害することにより、成長因子、受容体チロシンキナーゼ、タンパク質セリン/スレオニンキナーゼ、Gタンパク質共役受容体及びリン脂質キナーゼ並びにホスファターゼの異常活性をもたらす結果シグナル伝達カスケードを遮断する量である。
【0090】
本発明の方法に従う化合物及び組成物は、疾病を治療するのに効果的なあらゆる投与量及びあらゆる投与経路を用いて投与されてもよい。必要とされる正確な量は、被験者の種、年齢及び全身状態、感染の重篤度、特定の薬剤、その投与形式等により被験者ごとに異なる。本発明の化合物は、好ましくは投与を容易にし、かつ用量を均一化するために用量単位形態に製剤化される。本明細書で使用されるとき、「用量単位形態」という表現は、治療される患者に適した薬剤の物理的分離単位を指す。しかしながら、本発明の化合物及び組成物の合計日使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で担当の医師により決定されることを理解されたい。あらゆる特定の患者又は生物における特定の有効量レベルは、治療される疾病、疾病の重篤度、利用される特定の化合物の活性、利用される特定の組成物、患者の年齢、体重、全般的健康状態、性別、及び食事、投与時間、投与経路、利用される特定の化合物の排出速度、治療期間、利用される特定の化合物との組み合わせで、及びそれと同時に使用される薬物、並びに医療分野で良く知られる要因等を含む、様々な要因に依存する。本明細書で使用されるとき、「患者」という用語は、動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを意味する。
【0091】
本発明の医薬的に許容される組成物は、治療される感染の重篤度により、経口的に、直腸的に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(粉末、軟膏、又は液滴により)、頬内に、口若しくは鼻用スプレーとして等、ヒト及び他の動物に投与され得る。特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るように、1日当り1日1〜2回、被験者の体重の約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kgの用量レベルで経口的又は非経口的に投与されてもよい。
【0092】
経口投与用の液体投与形態としては、医薬的に許容される乳濁液、微小乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。活性化合物に加え、液体投与形態は、例えば、水又は他の溶媒等の当該分野で通常使用される不活性希釈剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、及びソルビタンの脂肪酸エステル等の可溶化剤及び乳化剤、並びにそれらの混合物を含有してもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、風味剤、並びに芳香剤等のアジュバントも含むことができる。
【0093】
例えば、減菌の注射可能な水溶液又は油性懸濁液等の、例えば注射可能な調製液は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、既知の技術に従い製剤化されてもよい。減菌の注射可能な製剤も、例えば、1,3−ブタンジジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶剤中の減菌の注射可能な溶液、懸濁液、又は乳濁液であってもよい。利用されてもよい許容されるビヒクル及び溶剤の中では、水、リンゲル液、U.S.P.及び等張塩化ナトリウム液がある。加えて、減菌の固定油は、溶剤又は懸濁溶媒として常用される。この目的のため、合成モノ又はジグリセリドを含む、あらゆる無刺激性固定油が利用され得る。加えて、オレイン酸等の脂肪酸は、注射可能な製剤に使用される。
【0094】
注射可能な製剤は、例えば、細菌保定フィルタを通した濾過により、又は使用前に減菌水若しくは他の無菌の注射可能な媒体に溶解又は分散され得る、減菌固体組成物の形態で減菌剤を加えることにより減菌することができる。
【0095】
本発明の化合物の作用を持続させるために、皮下又は筋肉内注射から化合物の吸収を遅延させることが、多くの場合、望ましい。これは、水への溶解度が低い結晶質又は非結晶質材料の液状懸濁液の使用により達成されてもよい。その後の化合物の吸収速度はその溶解速度に依存し、これは、次いで、結晶の大きさ及び結晶の形態に依存してもよい。代替的に、非経口的に投与される化合物形態の遅延吸収は、油性ビヒクルに化合物を溶解又は懸濁することにより達成される。注射可能なデポ形態は、ポリアクチド−ポリグリコシド等の生体分解性ポリマー中に化合物のマイクロエンカプセルマトリックスを形成することによって生成される。ポリマーに対する化合物の比率、及び利用される特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生体分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルソエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポ剤は、身体組織に適合するリポソーム又は乳濁液中に化合物を捕捉することによっても調製される。
【0096】
直腸又は膣用投与の組成物は、好ましくは、本発明の化合物を、周辺温度では固体だが体温で液体となり、よって直腸又は膣で融解し活性化合物を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコール、又は坐剤用ワックス等の好適な非刺激性賦形剤又は担体と混合することによって調製することができる。
【0097】
経口投与用の固体投与形態は、カプセル、錠剤、粉末、及び顆粒を含む。このような固体投与形態において、活性化合物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム等の少なくとも1つの不活性な医薬的に許容される賦形剤又は担体、及び/又は、a)フィラー、若しくはスターチ、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸等の増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース及びアラビアゴム等の結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、じゃがいも若しくはタピオカのスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウム等の崩壊剤、e)パラフィン等の溶液遅延剤、f)四級アンモニウム化合物等の吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロール等の湿潤剤、h)カオリン及びベントナイト粘土等の吸収剤、及び、i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等の潤滑剤等、並びにそれらの混合物と混合される。カプセル、錠剤、及びピルの場合において、投与形態は、緩衝剤も含んでもよい。
【0098】
同様の種類の固体組成物も、ラクトース又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を用いて、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中のフィラーとして利用されてもよい。腸溶性コーティング剤又は医薬製剤技術で周知の他のコーティング剤等のコーティング剤及び外皮で、錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、及び顆粒の固体投与形態を調製することができる。これらは、任意で、乳白剤を含有してもよく、これらが活性成分のみを、又は優先的に腸管のある部分において、随意に遅延させた様式で放出する組成物であることもできる。使用できる埋封組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。同様の種類の固体組成物も、ラクトース又は乳糖、並びに高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を用いて、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中のフィラーとして利用されてもよい。
【0099】
活性化合物は、上記の1つ以上の賦形剤とマイクロカプセル形態にすることもできる。腸溶性コーティング剤、放出制御コーティング剤及び医薬製剤技術で周知の他のコーティング剤等のコーティング剤及び外皮で、錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル、及び顆粒の固体投与形態を調製することができる。このような固体投与形態において、スクロース、ラクトース、又はスターチ等の少なくとも1つの不活性希釈剤と活性化合物を混合してもよい。このような投与形態は、通常の慣例のように、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶セルロース等の錠剤成形用潤滑剤及び他の錠剤成形補助剤も含んでもよい。カプセル、錠剤、及びピルの場合において、投与形態は、緩衝剤も含んでもよい。これらは、任意で、乳白剤を含有してもよく、これらが活性成分のみを、又は優先的に腸管のある部分において、随意に遅延させた様式で放出する組成物であることもできる。使用できる埋封組成物の例としては、ポリマー物質及びワックスが挙げられる。
【0100】
本発明の化合物の局所的又は経皮的投与用の投与形態としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー剤、吸引剤、又はパッチが挙げられる。活性化合物は、必要とされる医薬的に許容される担体及びあらゆる必要な防腐剤又は緩衝剤と共に、減菌条件下で混合される。眼用製剤、点耳剤、及び点眼剤も本発明の範囲内と考えられる。加えて、本発明は、身体への化合物の送達を制御することを提供する更なる利点を有する経皮パッチの使用を意図する。このような投与形態は、適切な媒質中に化合物を溶解又は分散することにより生成することができる。吸収促進剤も、化合物の皮膚全体へのフラックスを増大するために使用することができる。速度は、速度制御膜を提供するか、又はポリマーマトリックス若しくはゲル中に化合物を分散するかのいずれかにより制御することができる。
【0101】
1つ以上の本発明の化合物は、疾患、疾病、又は症状を治療するための単独治療の用途に使用されてもよいが、本発明の化合物又は組成物(治療薬)の使用が、同一及び/又は他の種類の疾患、症状及び疾病を治療するための1つ以上の他の治療薬と併用される併用療法でも使用されてもよい。併用療法は、同時に、又は経時的な治療薬の投与を含む。代替的に、治療薬は、患者に投与される組成物の1つに混合することができる。
【0102】
一実施形態において、本発明の化合物は、他のPI3Kの阻害剤等の治療薬と組み合わせて使用される。いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、細胞傷害性薬物、放射線療法、及び免疫療法からなる群から選択される治療薬と併用して投与される。本発明の範囲内を維持しながら、他の組み合わせが行われてもよいことを理解されたい。
【0103】
本発明の別の態様は、生体試料又は患者における活性であるPI3Kの阻害に関し、該方法は、該化合物を含む式Iの化合物若しくは組成物を患者に投与すること、又は該生体試料と接触させることを含む。本明細書に使用されるように、「生体試料」という用語は、概してin vivo、in vitro、及びex vivo物質を含み、細胞培養若しくはその抽出物、哺乳類若しくはその抽出物から得た生検物質、及び血液、唾液、尿、便、精液、涙、若しくは他の体液、又はその抽出物も含むが、これらに限定されない。
【0104】
本発明のまた別の態様は、単一パッケージで個別の容器を含むキットを提供し、本発明の医薬化合物、組成物及び/又はその塩は、医薬的に許容される担体と組み合わせて使用され、PI3Kキナーゼが一因となる疾患、症状、及び疾病を治療する。
【実施例】
【0105】
実験手順
I.代表的な化合物の調製
【0106】
定義
【数1】

【数2】

【数3】

【0107】
分析LC−MS法
【0108】
LCMS条件
【0109】
以下の勾配を用いて、Hewlett−Packard HP1100でPhenominex Luna5μmC18 50×4.6mmカラムでスペクトルを測定した。
−方法、ギ酸(FA):水中に0〜100%の0.1%ギ酸含有するアセトニトリル(3分間流出で2.5ml/分)。
−方法、酢酸アンモニウム(AA):水中に0〜100%の10mM酢酸アンモニウムを含有するアセトニトリル(3分間流出で2.5ml/分)。
【0110】
実施例1:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イル−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(化合物I−25)の合成
【化21】

【0111】
ステップ1:3−モルフォリン−4−イル−3−チオキソプロパンニトリル
【0112】
無水THF(45mL)中の3−モルフォリン−4−イル−3−オキソプロパンニトリル(3.0g、19.5mmol)の溶液にラヴェッソン試薬(4.2g、10.3mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間攪拌し、その後、少容量に濃縮した。固体を沈殿させ、濾過した。固体をジエチルエーテルで洗浄し、3−モルフォリン−4−イル−3−チオキソプロパンニトリル(2.3g、70%)を得た。LCMS:(AA)ES+171.2.H NMR(400MHz、d、−クロロホルム)δ:4.29−4.27(m、2H)、4.00(s、2H)及び3.83−3.81(m、6H)。
【0113】
ステップ2及び3:エチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボン酸
【0114】
無水ACN(1.2mL)中の3−モルフォリン−4−イル−3−チオキソプロパンニトリル(0.150g、0.88mmol)の溶液を0℃に冷却した。この冷却した溶液に2,4−塩化ジクロロベンゾイル(0.149mL、1.06mmol)及びDIPEA(0.161mL、0.93mmol)を添加した。ヨード酢酸エチル(0.110mL、0.93mmol)及びDIPEA(0.161mL、0.93mmol)を添加する前に、混合物を窒素下、室温で15分間攪拌した。反応混合物を1時間、140℃でMWIに供した。混合物を冷却させ、濃縮した。カラムクロマトグラフィーで残留物を精製して、エチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボン酸(0.1g、28%)を得た。LCMS:(AA)ES+411.H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:7.49(d、1H)、7.33(dd、1H)、7.20(d、1H)、4.16−4.08(m、2H)、3.89−3.85(m、4H)、3.66−3.63(m、4H)及び1.12(t、3H)。
【0115】
ステップ4:4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボン酸
【0116】
THF/MeOH/水(2:1:2)(5mL)中のエチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボン酸(0.060g、0.15mmol)の溶液に水酸化ナトリウム(0.061g、1.5mmol)を添加した。反応混合物を室温で20時間攪拌し、濃縮した。1N HClで残留物を酸性化し、EtOAcで抽出した。有機溶液を混合し、鹹水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボン酸(0.034g、62%)を得た。LCMS:(FA)ES+382.9.H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:7.75(d、1H)、7.50(dd、1H)、7.39(d、1H)、3.79−3.74(m、4H)及び3.61−3.55(m、4H)。
【0117】
ステップ5:4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボキサミド
【0118】
4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボン酸(0.050g、0.13mmol)、HOBT(0.037g、0.274mmol)及びEDCI(50mg、0.261mmol)をDCM(6.5mL)中に懸濁した。30分後、試薬は溶解した。得られた溶液に濃縮したアンモニア水(0.26mL、6.5mmol)を添加し、溶液を室温で一晩、激しく攪拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を1N HClで希釈し、EtOAcで抽出した。有機溶液を混合し、飽和NaHCO及び鹹水で洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して茶色固体を得た。固体をヘキサン及び冷EtOAcと共に粉砕し、4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボキサミド(0.024g、49%)を得た。LCMS:(AA)ES+382、ES− 380.H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:7.78(s、1H)、7.54(d、2H)、7.43(d、2H)、3.79−3.77(m、4H)及び3.55−3.52(m、4H)。
【0119】
ステップ6:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イル−5−(4H−l,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリルの合成
【0120】
1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(1.0mL、0.0075mol)中の4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボキサミド(31.6mg、0.0000827mol)の混合物をアルゴンで流し、その後、160℃で60分間、マイクロ波を照射した。反応混合物を濃縮して、中間体として4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−N−((ジメチルアミノ)メチレン)−5−モルフォリノチオフェン−2−カルボキサミド(31mg、86%)を得た。LCMS:(FA)ES+437.13.H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:8.34(s、1H)、7.69(d、1H)、7.47(d、1H)、7.33(d、1H)、3.79−3.74(m、4H)、3.59−3.54(m、4H)、3.07(s、3H)、2.72(s、3H)。AcOH(1.8mL、0.032mol)中の上記中間体にヒドラジン水和物(50mg、0.001mol)を添加した。混合物をアルゴンで流し、その後、120℃で20分間、マイクロ波を照射した。混合物を濃縮して、大半の溶媒を除去した。残留物に水を添加し、沈殿物を収集し、水で洗浄し、乾燥させ、4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノ−5−(4H−l,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(12.8mg、55%)を得た。LCMS:(FA)ES+406.11、ES−404.21、H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:14.00(s、1H)、8.43(s、1H)、7.74(d、1H)、7.49(d、1H)、7.41(d、1H)、3.82−3.76(m、4H)、3.56−3.51(m、4H)。
【0121】
以下の表の化合物は、実施例1に類似する方法で適切な開始材料から調製された。
【表2】

【0122】
実施例2:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(化合物I−11)
【化22】

【0123】
ステップ1:エチル3−アミノ−4−シアノ−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸
【0124】
MeOH(600mL)中の[ビス(メチルスルファニル)メチレン]マロノニトリル(40g、230mmol)、エチルチオグルコール酸(29g、230mmol)及びTEA(24mL、173mmol)の混合物を2時間、還流で攪拌した。反応混合物を一晩冷却し、沈殿物を濾過し、冷MeOH(3×50mL)で洗浄して、エチル3−アミノ−4−シアノ−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸(52.4g、99%)を得た。LCMS:(FA)ES+275。
【0125】
ステップ2:エチル4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸
【0126】
エチル3−アミノ−4−シアノ−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸(10g、41.3mmol)を窒素雰囲気下でアセトニトリル(50mL)に溶解した。ジヨードメタン(11.6mL、0.144mol)を添加し、混合物を40℃で加熱した。亜硝酸イソアミル(12.1g、0.103mol)を添加し、反応物を室温に冷却し、2時間攪拌した。混合物を0℃で冷却し、ヘキサン(50mL)で希釈し、沈殿物を濾過し、10:1ヘキサン−アセトニトリル混合液(10mL)、3:1ヘキサン−エーテル(10mL)、及びヘキサン(10mL)で洗浄した。沈殿物を乾燥させ、エチル4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸(6.90g、45%)を得た。LCMS:(FA)ES+354.H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:4.38(q、2H)、 2.70(s、3H)、1.40(t、3H)。
【0127】
ステップ3:エチル4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸
【0128】
エチル4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸(7.2g、20.4mmol)をDCM(200mL)及びTHF(100mL)に溶解し、m−CPBA(9.14g、40.8mmol)を添加した。反応混合物を一晩、室温で攪拌した。亜硫酸(5.14g、40.8mmol)を添加し、10分間攪拌した後、炭酸カリウム(8.45、61.2mmol)を添加した。懸濁液を1時間、室温で攪拌し、セライトを通して濾過し、DCMで洗浄し、溶媒を蒸発させ、エチル3−ヨード−4−シアノ−5−(メチルスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸(6.80g、78%)を得た。LCMS:(FA)ES+386.H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:4.45(q、2H)、3.38(s、3H)、1.43(t、3H)。
【0129】
ステップ4:エチル−4−シアノ−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)−3−ヨードチオフェン−2−カルボン酸
【0130】
THF(7.1mL、0.088mol)中のエチル4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸(718mg、0.00186mol)、2−(フルオロメチル)モルフォリン塩酸塩(348mg、0.00224mol)及びTEA(1.0mL、0.0072mol)の混合物をアルゴンで流し、その後、90℃で一晩加熱した。反応混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィーで精製し、エチル4−シアノ−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)−3−ヨードチオフェン−2−カルボン酸(288mg、36.4%)を得た。LCMS:(FA)ES+425、HNMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:4.57(d、1H)、4.46(d、1H)、4.34(q、2H)、4.12−4.05(m、1H)、4.02−3.77(m、4H)、3.34−3.25(m、1H)、3.22−3.14(m、1H)、1.37(t、3H)。
【0131】
ステップ5:エチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)チオフェン−2−カルボン酸
【0132】
水(3mL、0.1mol)中のエチル4−シアノ−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)−3−ヨードチオフェン−2−カルボン酸(288mg、0.000679mol)、2,4−ジクロロフェニルボロン酸(262mg、0.00137mol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(51mg、0.000044mol)及び炭酸ナトリウム(220mg、0.0021mol)並びに1,2−ジメトキシエタン(10mL、0.1mol)の混合物をアルゴンで流し、その後、140℃で12分間、マイクロ波を照射した。反応混合物を濾過し、真空で濃縮して、エチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)チオフェン−2−カルボン酸(300mg、99%)を得た。LCMS:(FA)ES+443.15。
【0133】
ステップ6:4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)チオフェン−2−カルボン酸
【0134】
LCMSが完了するまでエチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)チオフェン−2−カルボン酸(300mg、0.00054mol)、EtOH(10.0mL、0.171mol)中の水酸化ナトリウム(0.12g、0.0030mol)及び水(3.0mL、0.17mol)の混合物を室温で攪拌した。混合物を濃縮し、残留物を1NTHClで酸性化した。沈殿物を収集し、空気及び真空中で乾燥させ、4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)チオフェン−2−カルボン酸(225mg、99%)を得た。LCMS:(FA)ES+415、ES−413。
【0135】
ステップ7:4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)チオフェン−2−カルボキサミド
【0136】
4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)チオフェン−2−カルボン酸(68.0mg、0.000164mol)、33%水酸化アンモニウム(33:67、アンモニア:水、0.1416mL)、EDCI(94.2mg、0.000491mol)及びDCM(7mL、0.1mol)中の1−HOBT(66.4mg、0.000491mol)の混合物を一晩室温で攪拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水で洗浄し、有機層を乾燥させ、カラムクロマトグラフィーで精製し、4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)チオフェン−2−カルボキサミド(38mg、56%)を得た。LCMS:(FA)ES+414、ES−412;H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:7.59(d、1H)、7.42(dd、1H)、7.31(d、1H)、6.00(s、1H)、4.50(dd、2H)、4.12−4.08(m、2H)、4.00−3.78(m、4H)、3.36−3.25(m、1H)、3.22−3.15(m、1H)。
【0137】
ステップ8:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル
【0138】
1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(2.0mL、0.015mol)中の4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[2−(フルオロメチル)モルフォリン−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(38mg、0.000092mol)溶液を160℃で40分間、マイクロ波を照射した。溶媒を除去し、残留物をAcOH(1.6mL、0.028mol)に溶解した。ヒドラジン一水和物(0.3mL、0.006mol)を添加し、混合物を120℃で10分間、マイクロ波を照射した。反応混合物を濃縮し、残留物を水で処理し、固体を収集し、乾燥させ、4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(2−(フルオロメチル)モルフォリノ)−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(23.5mg、60%)を得た。LCMS:(FA)ES+438、ES−436;H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:8.01(s、1H)、7.57(d、1H)、7.39(dd、1H)、7.32d、1H)、4.59(t、1H)、4.47(t、1H)、4.08−4.01(m、1H)、4.00−3.81(m、5H)、3.32−3.20(m、1H)、3.18−3.09(m、1H)。
【0139】
以下の表の化合物は、実施例2に類似する方法で適切な開始材料から調製された。
【表3】

【0140】
実施例3:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−[2−(ヒドロキシメチル)モルフォリン−4−イル]−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(化合物I−27)の合成
【化23】

【0141】
ステップ1:4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸
【0142】
テトラヒドロフラン(80mL)及び水(16mL)中のエチル4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸(3.40g、10mmol)の溶液に1.00M水酸化ナトリウム含有水(30mL)の溶液を添加した。溶液を一晩、攪拌した。反応物を1N塩化水素含有水(50mL)の溶液で反応停止させ、水(400mL)で希釈した。得られた沈殿物を濾過して、水(2x100mL)で洗浄し、真空オーブンで乾燥させ、白色固体として4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸(2.6g、79%)を得た。LCMS:(FA)ES+326.H NMR(400MHz、d−OMSO)δ:14.1−13.8(bs、1H)、2.75(s、3H)。
【0143】
ステップ2:4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボキサミド
【0144】
塩化メチレン(30mL)中の4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボン酸(2.85g、7.93mmol)の懸濁液にN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(3.28g、17.1mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.27g、16.8mmol)を添加した。反応混合物を2時間、室温で攪拌し、水酸化アンモニウム(15.4mL)を添加し、二相混合物を2時間、室温で攪拌した。水(100mL)、メタノール(50mL)、塩化メチレン(200mL)を添加した。有機層を除去した。水層を塩化メチレン(100mL)中の20%メタノール溶液で5回抽出した。混合有機抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、暗赤色油状物(1.47g、57%)として標題化合物に濃縮した。LCMS:(FA)ES+325。
【0145】
ステップ3:4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスフホニル)チオフェン−2−カルボキサミド
【0146】
塩化メチレン(60mL)中の4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルファニル)チオフェン−2−カルボキサミド(1.46g、4.50mmol)の溶液に、テトラヒドロフラン(20mL)、N,N−ジメチルホルムアミド(20mL)、m−クロロ過安息香酸(5.05g、22.5mmol)を添加し、混合物を一晩、室温で攪拌した。塩化メチレンを真空中で除去した。残りの残留物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、1.00M水酸化ナトリウム含有水(50mL)の溶液で3回洗浄した。有機相を除去し、水相を酢酸エチル(100mL)で5回抽出した。混合有機抽出物を1.00M水酸化ナトリウム含有水(50mL)の溶液で2回洗浄した。有機抽出物を真空中で濃縮した。残留物を水(100mL)中で懸濁し、沈殿物を形成した。沈殿物を濾過し、水(40mL)、ヘキサン(100mL)で洗浄し、真空オーブンで乾燥させ、白色固体(1.00g、62%)として標題化合物を得た。LCMS:(FA)ES+357.H ΝMR(400MHz、d−DMSO)δ:8.16(s、2H)、3.56(s、3H)。
【0147】
ステップ4:4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(メチルスルホニル)チオフェン−2−カルボキサミド
【0148】
4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルホニル)チオフェン−2−カルボキサミド(0.500g、1.40mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0.040g、0.0700mmol)、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル(0.057g、0.100mmol)、及びリン酸カリウム(0.596g、2.81mmol)を1,2−ジメトキシエタン(10.0mL)及びN,N−ジメチルアセタミド(5mL)中に懸濁した。懸濁液をアルゴンで流し、反応混合物を150℃(300ワット)で3時間、マイクロ波を照射した。反応混合物を真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィーを実施して、ベージュ色泡状物として標題化合物(0.080g、14%)を得た。H ΝMR(400MHz、d−メタノール)δ:7.71−7.69(m、1H)、7.52−7.50(m、2H)、3.46(s、3H)。
【0149】
ステップ5:4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[2−(ヒドロキシメチル)モルフォリン−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド
【0150】
4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(メチルスルホニル)チオフェン−2−カルボキサミド(0.026g、0.069mmol)を2−ヒドロキシメチルモルフォリン(0.300g、2.56mmol)に溶解し、溶液を60℃で、一晩加熱した。残留物を真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィーを実施して、白色固体として4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[2−(ヒドロキシメチル)モルフォリン−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(0.020g、66%)を得た。LCMS:(FA)ES+412.H NMR(400MHz、d−メタノール)δ:7.76(s、1H)、7.49(d、1H)、7.40(d、1H)、4.08−3.92(m、3H)、3.84−3.72(m、2H)、3.69−3.59(m、2H)、3.15−3.08(m、2H)。
【0151】
ステップ6:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−[2−(ヒドロキシメチル)モルフォリン−4−イル]−5−(4H−l,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリルの合成
l,l−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(3.44mL、0.025mol)中の4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[2−(ヒドロキシメチル)モルフォリン−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(115mg、0.279mmol)の混合物をアルゴンで流し、その後、160℃で60分間、マイクロ波を照射した。反応混合物を濃縮して、4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−N−[(1E)−(ジメチルアミノ)メチレン]−5−[2−(ヒドロキシメチル)モルフォリン−4−イル]チオフェン−2−カルボキサミド(130mg、99%)を得た。LCMS:(FA)ES+467。AcOH(4.3mL、0.076mol)中の上記中間体にヒドラジン水和物(100mg、0.003mol)を添加した。混合物をアルゴンで流し、その後、120℃で20分間、マイクロ波を照射した。混合物を濃縮して、溶媒を除去した。シリカゲル、溶出1:1ヘキサン−酢酸エチル:酢酸エチルのISCOクロマトグラフィーを用いて残留物を精製し、4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−[2−(ヒドロキシメチル)モルフォリン−4−イル]−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(90mg、70%)を得た。LCMS:(FA)ES+436、H NMR(400MHz、d−メタノール)δ:8.28(s、1H)、7.55(d、1H)、7.41(dd、1H)、7.34(d、1H)、4.12−3.72(m、5H)、3.68−3.61(m、2H)、3.30−3.20(m、1H)、3.12−3.02(m、1H)。
【0152】
以下の表の化合物は、実施例3に類似する方法で適切な開始材料から調製された。
【表4】

【0153】
実施例4:4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(lH−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリン−3−カルボニトリル(化合物I−22)の合成
【0154】
【化24】

【0155】
ステップ1:N−(2−アミノエチル)−4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボキサミド
【0156】
塩化メチレン(60mL)中の4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボン酸(3.10g、8.2mmol)及びN−(2−アミノエチル)(tert−ブトキシ)カルボキサミド(1.98gr、12.3mmol)の溶液にN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(3.15gr、16.4mmol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.22gr、16.4mmol)を室温で添加した。溶液を一晩攪拌した。反応物を塩化メチレン及び水で希釈した。層を分離し、有機層を無水硫酸ナトリムで乾燥させ、濾過して、真空中で濃縮した。残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、黄色固体として中間体のboc保護生成物を得た。物質をジオキサン(4mL)に溶解し、ジオキサン(9mL)中の溶液4N HClを添加した。溶液を室温で30分間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を一晩、真空下で乾燥させた。生成物を塩化メチレンに懸濁することにより遊離塩基に変換した後、炭酸ナトリウム溶液を添加した。層を分離し、水層を塩化メチレンで2回抽出した。混合有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮し、遊離塩基として生成物(2.55gr、67%)を得た。LCMS:(FA)ES+463.H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:7.59−7.55(m、1H)、7.43−7.30(m、2H)、3.90−3.82(m、4H)、3.64−3.57(m、4H)、3.53−2.85(m、4H)。
【0157】
ステップ2:4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリン−4−イルチオフェン−3−カルボニトリル
【0158】
トルエン(20mL)中のN−(2−アミノエチル)−4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリン−4−イルチオフェン−2−カルボキサミド(2.50g、5.90mmol)の懸濁液に塩化ホスホリル(4.70mL、50.0mmol)を添加し、混合物を120℃で25分間、マイクロ波照射下で攪拌した。反応混合物を蒸発させ、残留物を塩化メチレンに懸濁し、その後、冷水で反応停止させた。KOHを添加して水層を塩基化し、層を分離させ、水層を再び塩化メチレンで抽出した。有機層を混合し、鹹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、粗生成物(2.3gr、77%)を得た。LCMS:(FA)ES+ 408.H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:7.78−7.75(m、1H)、7.52−7.49(m、2H)、3.79−3.73(m、4H)、3.63−3.55(m、2H)、3.54−3.48(m、4H)、3.20−3.11(m、2H)。
【0159】
ステップ3:4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリン−3−カルボニトリル
【0160】
アルゴン雰囲気下、−78℃で、塩化メチレン(100mL)中のジメチルスルホキシド(2.50mL、35.3mmol)の溶液に塩化オキサリル(塩化オキサリル)(2.98mL、35.3mmol)を添加した。溶液を40分間攪拌し、その後、塩化メチレン(40mL)中の4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4,5−ジヒドロ−lH−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリン−4−イルチオフェン−3−カルボニトリル(1.45g、3.03mmol)の溶液を滴下して添加し、反応物を−78℃で1時間攪拌した。トリエチルアミン(14.0mL、100mmol)を添加し、−78℃で1時間攪拌し続けた。その後、33%水酸化アンモニウ(10mL)を添加し、混合物を室温に温めた。重炭酸二ナトリウム溶液を添加し、層を分離させ、有機抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して粗生成物を得た。残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、真空オーブンで、39℃で一晩乾燥させた黄色固体として生成物(0.90gr、75%)を得た。LCMS:(FA)ES+406.H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:8.20−8.11(s、1H)、7.65−7.62(m、1H)、7.45−7.41(m、1H)、7.37−7.33(m、1H)、7.03−7.00(m、1H)、6.85−6.81(m、1H)、3.90−3.84(m、4H)、3.62−3.55(m、4H)。
【0161】
以下の表の化合物は、実施例4に類似する方法で適切な開始材料から調製された。
【表5】

【0162】
実施例5:4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(化合物I−13)の合成
【0163】
【化25】

【0164】
ステップ1:5−アセチル−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル
【0165】
塩化チオニル(1.7mL、0.024mol)中の4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリノチオフェン−2−カルボン酸(508.0mg、0.001326mol)及びトルエン(10mL、0.098mol)の混合物を80℃で1時間加熱した。混合物を真空中で蒸発させ、残留物をトルエンと共に3回共蒸発させ、暗茶色油状物として酸塩化物を得た。この油状物を0℃でDCM(3mL、0.05mol)に溶解し、DCM(9mL、0.1mol)中のTEA(1.3mL、0.0093mol)及びN,O−ジメチルヒドロキシアミン塩酸塩(282mg、0.00289mol)に添加した。混合物を1時間、同じ温度で攪拌した。反応混合物を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を蒸発させ、4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−N−メトキシ−N−メチル−5−モルフォリノチオフェン−2−カルボキサミドを得た。THF(21mL、0.26mol)中の上記中間体(207.0mg、0.0004856mol)に−78℃でヘキサン溶液中の水素化ジイソブチルアルミニウム(1M、0.1ml、0.0019mol)を添加し、混合物を30分間、同じ温度で攪拌した。反応混合物を5分間、0℃に上昇させ、再度−78℃に冷却した。MeOH及び水で反応停止させ、その後、カラムクロマトグラフィーで精製し、4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ホルミル−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(115mg、65%)を得た。LCMS:(FA)ES+367.1H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:9.23(s、1H)、7.55(d、1H)、7.37(dd、1H)、7.30(d、1H)、3.88−3.84(m、4H)、3.74−3.70(m、4H)、1.90(s、3H)。
【0166】
ステップ2:4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル
【0167】
tert−ブチルアルコール(0.75g、0.010mol)中の4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ホルミル−2−モルフォリン−4−イルチオフェン−3−カルボニトリル(52.0mg、0.000142mol)に1,2−ジアミノプロパン(12.9mg、0.000174mol)を添加し、混合物を30分間攪拌した。ヨウ素(51mg、0.00020mol)及び炭酸カリウム(65.7mg、0.000475mol)を添加し、混合物を3時間、70℃で攪拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム及び鹹水で反応停止させた。有機層を収集し、カラムクロマトグラフィーで精製し、4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メチル−4,5−ジヒドロ−lH−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(19mg、32%)を得た。LCMS:(FA)ES+421.1H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:7.60(s、1H)、7.50−7.40(m、1H)、7.40−7.30(m、1H)、4.20−4.05(m、1H)、3.90−3.75(m、5H)、3.60−3.70(m、4H)、3.38−3.20(m、1H)、1.25(s、3H)。
【0168】
ステップ3:4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル
【0169】
DCM(3mL、0.05mol)中のDMSO(32.0uL、0.000451mol)に−78℃で塩化オキサリル(38.2uL、0.000451mol)を添加し、混合物を30分間攪拌した。DCM(1.5mL、0.023mol)中の4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メチル−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(19mg、0.000045mol)を添加した。1時間後、TEA(0.188mL、0.00135mol)を添加し、混合物を更に30分間攪拌した。33%水酸化アンモニウム(33:67、アンモニア:水、0.117mL)を添加し、反応混合物を室温に温めた。混合物をカラムクロマトグラフィーで精製し、4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(4.04mg、21%)を得た。LCMS:(FA)ES+419.13、ES−417.17.1H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:7.61(d、1H)、7.42(dd、1H)、7.34(d、1H)、6.61(s、1H)、3.88−3.84(m、4H)、3.62−3.57(m、4H)、2.21(s、3H)。
【0170】
以下の表の化合物は、実施例5に類似する方法で適切な開始材料から調製された。
【表6】

【0171】
実施例6:4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−5−イル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(化合物1−19)の合成
【化26】

【0172】
ステップ1:5−アセチル−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル
【0173】
塩化チオニル(1.7mL、0.024mol)中の4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリノチオフェン−2−カルボン酸(508.0mg、0.001326mol)及びトルエン(10mL、0.098mol)の混合物を1時間、80℃で加熱した。混合物を真空中で蒸発させ、残留物をトルエンと共に3回共蒸発させ、暗茶色油状物として塩化酸を得た。この油状物をDCM(3mL、0.05mol)に溶解し、0℃でDCM(9mL、0.1mol)中のTEA(1.3mL、0.0093mol)及びN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(282mg、0.00289mol)に添加した。混合物を同じ温度で1時間攪拌した。反応混合物を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。有機層を蒸発させ、4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−Ν−メトキシ−Ν−メチル−5−モルフォリノチオフェン−2−カルボキサミドを得た。THF(50mL、0.6mol)中の上記中間体に−78℃でメチルリチウムジエチルエーテル溶液(1.4M)(1.7ml、0.00244mol)を添加した。約15分後、反応混合物を塩化アンモニウムで反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を鹹水で洗浄し、カラムクロマトグラフィーで精製し、5−アセチル−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(397mg、78%)を得た。LCMS:(FA)ES+381.05.H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:7.60(d、1H)、7.40(dd、1H)、7.28(dd、1H)、3.90−3.83(m、4H)、3.71−3.64(m、4H)、1.90(s、3H)。
【0174】
ステップ2:5−(2,4−ジブロモアセチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル
【0175】
AcOH(1.0mL、0.018mol)中の5−アセチル−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イルチオフェン−3−カルボニトリル(50.0mg、0.000131mol)及び臭素(42mg、0.00026mol)の溶液をアルゴンで流し、その後、120℃で5分間、マイクロ波を照射した。反応混合物を濃縮し、残留物を水で懸濁した。固体を収集し、5−(2,2−ジブロモアセチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(46.9mg、66%)を得た。LCMS:(FA)ES+538.87;H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:7.82(d、1H)、7.45(dd、1H)7.33(d、1H)、5.78(s、1H)、4.00−3.85(m、4H)、3.80−3.70(m、4H)。
【0176】
ステップ3:5−(2−ブロモアセチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル
【0177】
THF(0.78mL、0.0096mol)中の5−(ジブロモアセチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イルチオフェン−3−カルボニトリル(46.9mg、0.0000870mol)の混合物0℃で亜リン酸ジエチル(13.7uL、0.000107mol)及びTEA(14.9uL、0.000107mol)を添加した。添加後20分後、混合物を室温に温めた。反応混合物を蒸発させ、残留物を氷/水に懸濁した。固体を濾過し、カラムクロマトグラフィーで精製し、5−(2−ブロモアセチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(12mg、30%)を得た。LCMS:(FA)ES+460.88;H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:7.59(d、1H)、7.42(dd、1H)7.33(d、1H)、3.90−3.85(m、4H)、3.75−3.69(m、5H)、3.62(d、1H)。
【0178】
ステップ4:4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(1H−イミダゾール−5−イル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル
【0179】
ホルムアミド(1.3mL、0.033mol)中の5−(ブロモアセチル)−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イルチオフェン−3−カルボニトリル(50mg、0.0001mol)をアルゴンで流し、その後、180℃で30分間、マイクロ波を照射した。反応混合物を濃縮し、残留物を分取HPLCで精製し、4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(lH−イミダゾール−5−イル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリル(2.8mg、6%)を得た。LCMS:(FA)ES+405.18、ES−403.27;H NMR(400MHz、d−メタノール)δ:7.66(d、1H)、7.60(s、1H)、7.46(dd、1H)、7.35(d、1H)、6.27(s、1H)、3.89−3.40(m、4H)、3.55−3.49(m、4H)。
【0180】
実施例7:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(化合物I−21)の合成
【0181】
【化27】

【0182】
ステップ1:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)チオフェン−3−カルボニトリル
【0183】
1,1−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(1.0mL、0.0075mol)中の5−アセチル−4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イルチオフェン−3−カルボニトリル(52.3mg、0.000137mol)の溶液をアルゴンで流し、160℃で30分間、マイクロ波を照射した。反応混合物を乾燥するまで蒸発させ、中間体として4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(3−(ジメチルアミノ)アクリロイル)−2−モルフォリノチオフェン−3−カルボニトリルを得た。上記中間体及びAcOH(1.5mL、0.026mol)中のヒドラジン水和物(30mg、0.0006mol)を120℃で15分間、マイクロ波を照射した。反応混合物を蒸発させ、残留物をカラムクロマトグラフィーで精製し、4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノ−5−(1H−ピラゾール−5−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(19.5mg、84%)を得た。LCMS:(FA)ES+405.06、ES−403.23;H NMR(400MHz、d−メタノール)δ:7.65(d、1H)、7.45(m、2H)、7.33(d、1H)、5.48(s、1H)、5.45(br、1H)、3.85(m、4H)、3.54(m、4H)。
【0184】
以下の表の化合物は、実施例7に類似する方法で適切な開始材料から調製された。
【表7】

【0185】
実施例8:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノ−5−(1H−テトラゾール−5−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(化合物I−23)の合成
【化28】

【0186】
ステップ1:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノ−5−(1H−テトラゾール−5−イル)チオフェン−3−カルボニトリル
【0187】
ACN(0.3mL、0.005mol)中のアジ化ナトリウム(34.01mg、0.0005232mol)の混合物にDCM(0.1mL、0.002mol)中の塩化ケイ素(IV)(0.105mmol、0.000105mol)を添加し、混合物を30分間攪拌した。4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−モルフォリノチオフェン−2−カルボキサミド(20.0mg、0.0000523mol)を上記化合物に添加した後、DCM(0.16mL、0.0025mol)中のアジ化ナトリウム(0.0340g、0.000523mol)及び塩化ケイ素(IV)(0.16mmol、0.00016mol)を添加し、混合物を160℃で30分間、マイクロ波を照射した。反応物を蒸発させ、カラムクロマトグラフィーで精製し、4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリノ−5−(lH−テトラゾール−5−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(11.6mg、54.4%)を得た。LCMS:(FA)ES+407.09、ES−405.20;H NMR(300MHz、d−クロロホルム)δ:7.60(d、1H)、7.42(dd、1H)、7.30(d、1H)、3.90−3.85(m、4H)、3.72−3.63(m、4H)。
【0188】
以下の表の化合物は、実施例7に類似する方法で適切な開始材料から調製された。
【表8】

【0189】
実施例9:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(化合物1−34)及び4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(テトラヒドロ−2Η−ピラン−4−イル)−5−(4Η−l,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(化合物I−5)の合成
【化29】

【0190】
ステップ1:エチル4−シアノ−5−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−3−ヨードチオフェン−2−カルボン酸
【0191】
エチル4−シアノ−3−ヨード−5−(メチルスルホニル)チオフェン−2−カルボン酸(5.60g、0.0145mol)及び2,4−ジメトキシベンジルアミン(3.51mL、0.0234mol)をテトラヒドロフラン(100mL)に混合し、60℃で3日間攪拌した。反応物を真空中で濃縮し、ジクロロメタン及びヘキサンで希釈し、得られた沈殿物を濾過して、黄色固体として標題化合物(5.56、81%)を得た。LCMS:(FA)ES、473.H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:9.05(s、1H)7.10(d、1H、J=8.57Hz)、6.60−6.50(m、2H)、4.30(s、2H)、4.22−4.14(m、2H)、3.80(s、3H)、3.75(s、3H)、1.26−1.21(m、3H)。
【0192】
ステップ2:エチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸
【0193】
エチル4−シアノ−5−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]−3−ヨードチオフェン−2−カルボン酸(3.18g、0.00673mol)2,4−ジクロロフェニルボロン酸(2.72g、0.0143mol)、テラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.47g、0.00040mol)、及び炭酸ナトリウム(2.42g、0.0228mol)を1,2−ジメトキシエタン(23.5mL)及び水(13.5mL)に懸濁した。懸濁液をアルゴンで流し、反応混合物を140℃(300ワット)で10分間、マイクロ波を照射した。反応混合物を水中の重炭酸ナトリウムの飽和溶液で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を鹹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過して真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィーを実施して、標題化合物(2.92g、88%)を得た。LCMS:(FA)ES、491.H NMR(400MHz、d−OMSO)δ:9.05(bs、1H)7.75(d、1H、J=2.00Hz)、7.52−7.48(m、1H)、7.40(d、1H、J=8.28Hz)、7.19(d、1H、J=8.53Hz)、6.62−6.53(m、2H)、4.35(bs、2H)、4.04−3.92(m、2H)、3.83(s、3H)、3.76(s、3H)、1.01−0.96(m、3H)。
【0194】
ステップ3:エチル5−アミノ−4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)チオフェン−2−カルボン酸
【0195】
エチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−[(2,4−ジメトキシベンジル)アミノ]チオフェン−2−カルボン酸(4.70g、0.00956mol)をジクロロメタン(100mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(25mL)を添加し、溶液を室温で10分間攪拌した。反応物を真空中で濃縮し、酢酸エチルで希釈し、濾過した。濾過物を飽和重炭酸ナトリウム及び鹹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィーを実施して、黄色固体として標題化合物(2.92g、90%)を得た。LCMS:(FA)ES、341.H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:8.17(s、2H)7.75(d、1H、J=2.00Hz)、7.52−7.48(m、1H)、7.39(d、1H、J=8.28Hz)、4.05−3.92(m、2H)、1.02−0.96(m、3H)。
【0196】
ステップ4:エチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ヨードチオフェン−2−カルボン酸
【0197】
アセトニトリル(10mL)中のエチル5−アミノ−4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)チオフェン−2−カルボン酸(2.92g、0.00856mol)の溶液に、アルゴン雰囲気下でジヨードメタン(2.41mL、0.0300mol)を添加し、38℃で加熱した。亜硝酸イソアミル(2.61g、0.0214mol)を滴下して添加し、反応混合物を室温に冷却し、1時間攪拌した。反応物を真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィーを実施して、オレンジ色固体として標題化合物(1.44g、37%)を得た。H NMR(400MHz、d−クロロホルム)δ:7.53(d、1H、J=2.00Hz)、7.38−7.34(m、1H)、7.21(d、1H、J=8.28Hz)、4.25−4.15(m、2H)、1.21−1.16(m、3H)。
【0198】
ステップ5:4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ヨードチオフェン−2−カルボン酸
【0199】
テトラヒドロフラン(20mL)及び水(10mL)中のエチル4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ヨードチオフェン−2−カルボン酸(1.44g、0.00318mol)の溶液に1.00M水酸化ナトリウム含有水(16mL)の溶液を添加した。溶液を一晩攪拌した。反応物を塩化水素含有水(18mL)の溶液で反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を鹹水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、次の反応で直接使用される粗標題化合物(1.50g、100%)を得た。LCMS:(FA)ES、378.H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:7.68(d、1H、J=2.0Hz)、7.46−7.34(m、2H)。
【0200】
ステップ6:4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ヨードチオフェン−2−カルボキシルアミド
【0201】
4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ヨードチオフェン−2−カルボン酸(1.30g、0.00306mol)をジクロロメタン(30mL)に溶解した。N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(1.27g、0.00661mol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.880g、0.00651mol)を溶液に添加し、反応物を30分間攪拌した。水酸化アンモニウム(5.97mL、0.153mol)を溶液に添加し、二相混合物を2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、カラムクロマトグラフィーを実施して、標題化合物(1.21g、89%)を得た。LCMS:(FA)ES、423.H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:7.79(d、1H、J=2.0Hz)、7.68(bs、1H)、7.57−7.45(m、2H)、7.30(bs、1H)。
【0202】
ステップ7:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−ヨード−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル
【0203】
4−シアノ−3−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ヨードチオフェン−2−カルボキシルアミド(1.33g、0.00314mol)及びl,l−ジメトキシ−N,N−ジメチルメタンアミン(10.0mL、0.0753mol)の混合物を120(300ワット)で30分間、マイクロ波を照射した。反応物を真空中で濃縮した。残留物を酢酸(1.0mL、0.18mol)及びヒドラジン水和物(0.69mL、0.014mol)に溶解し、120℃(300ワット)で15分間、マイクロ波照射に供した。溶媒を真空中で除去し、残留物をトルエンと共沸混合した。カラムクロマトグラフィーを実施して、標題化合物(1.25g、85%)を得た。LCMS:(FA)ES、447.H NMR(400MHz、d−メタノール)δ:8.35(s、1H)7.60(d、1H、J=2.0Hz)、7.45−7.35(m、2H)。
【0204】
ステップ8:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル
【0205】
4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−ヨード−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(180mg、0.4mmol)、トリブチル(3,6−ジヒドロ−2Η−ピラン−4−イル)スタンナン(0.452g、1.2mmol)、塩化リチウム(51.2mg、1.2mmol)、ヨウ化銅(I)(7.6mg、0.04mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(46.4mg、0.04mmol)の混合物をジオキサン(20mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で3時間、加熱還流した。溶媒を除去し、残留物をシリカゲルによるISCOクロマトグラフィー、溶出20%酢酸エチル含有ヘキサン:酢酸エチルを用いて精製し、標題化合物(24mg、14%)を得た。LCMS:(FA)ES、403.H NMR(400MHz、d−メタノール)δ:8.35(s、1H)、7.59(d、1H)、7.43−7.36(m、2H)、6.72(dd、1H)、4.38−4.36(m、2H)、3.97−3.94(m、2H)、2.71−2.68(m、2H)。
【0206】
ステップ9:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル
【0207】
4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−(3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−4−イル)−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル)チオフェン−3−カルボニトリル(20mg、0.05mmol)をメタノール(2mL)に溶解し、10%Pd/C(10mg)を添加した。混合物を2時間、水素雰囲気下で攪拌した。セライトを通して懸濁液を濾過し、溶媒を蒸発させ、残留物を溶出20%酢酸エチル含有ヘキサン:酢酸エチルを用いてシリカゲルによるISCOクロマトグラフィーで精製し、標題化合物(16mg、80%)を得た。LCMS:(FA)ES、405.H NMR(400MHz、d−メタノール)δ:8.53(s、1H)、7.78(d、1H)、7.51−7.46(m、2H)、4.12−4.08(m、1H)、3.99−3.95(m、1H)、3.53−3.30(m、2H)、3.20−3.15(m、1H)、2.00−1.95(m、1H)、1.83−1.72(m、1H)。
【0208】
実施例10:4−[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルH,3−チアゾール−2−イル)モルフォリン(化合物I−1)の合成
【化30】

【0209】
ステップ1:4−クロロ−2−モルフォリン−4−イル−1,3−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【0210】
2,4−ジクロロ−5−シアノチアゾール(1.26g、0.00704mol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.68mL、0.0211mol)を70℃でエタノールに溶解した。モルフォリン(0.614mL、0.0704mol)を熱い溶液に添加し、混合物を30分間攪拌し、室温に冷却し、水(50mL)で希釈し、形成された沈殿物を収集して、標題化合物(1.55g、91%)を得た。LCMS:(FA)ES、230.H ΝMR(300MHz、d−DMSO)δ:3.71−3.67(m、4H)、3.52−3.48(m、4H)。
【0211】
ステップ2:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イル−1,3−チアゾール−5−カルボニトリルの合成
【0212】
4−クロロ−2−モルフォリン−4−イル−1,3−チアゾール−5−カルボニトリル(0.200g、0.871mmol)、2,4−ジクロロフェニルボロン酸(0.249g、1.31mmol)、ビス(トリフェニルホスフィン)二塩化パラジウム(0.061g、0.0871mmol)、炭酸ナトリウム(0.184g、1.74mmol)をDME(3mL)、エタノール(1mL)及び水(1mL)に取り入れ、30分間125°でマイクロ波照射した。混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。10%酢酸含有ヘキサン:50%酢酸エチル含有ヘキサンを用いてシリカゲルによるISCO精製により標題化合物(45mg、15%)を得た。LCMS:(FA)ES、340.H ΝMR(400MHz、d−DMSO)δ:7.44(d、1H)、7.20−7.17(m、2H)、3.43−3.28(m、4H)、3.16−2.93(m、4H)。
【0213】
ステップ3:4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イル−13−チアゾール−5−カルボキサミドの合成
【0214】
4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イル−l,3−チアゾール−5−カルボニトリル(30mg、0.088mmol)を硫酸(0.200mL、3.75mmol)に溶解し、混合物を1時間攪拌した。水(1mL)を添加し、混合物を過剰の飽和NaHCOで反応停止させた。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、標題化合物(27mg、80%)を得た。LCMS:(FA)ES、358.H ΝMR(400MHz、d−DMSO)δ:7.67(d、1H)、7.47(d、1H)、7.43(dd、1H)、3.72−3.69(m、4H)、3.44−3.42(m、4H)。
【0215】
ステップ4:4−[4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−(4H−l,2,4−トリアゾール−3−イル)−1,3−チアゾール−2−イル]モルフォリンの合成
【0216】
4−(2,4−ジクロロフェニル)−2−モルフォリン−4−イル−l,3−チアゾール−5−カルボキサミド(23mg、0.06mmol)及びl,l−ジメトキシ−Ν,Ν−ジメチルメタンアミン(0.8mL、6mol)の混合物を160℃(300ワット)で30分間、マイクロ波を照射した。反応物を真空中で濃縮した。残留物を酢酸(1.0mL、0.18mol)及びヒドラジン水和物(30mg、0.7mmol)に溶解し、120℃(300ワット)で15分間、マイクロ波照射に供した。溶媒を真空中で除去し、残留物を水(1mL)で希釈し、沈殿物を収集し、水(1mL)で洗浄し、乾燥させて、標題化合物(10mg、40%)を得た。LCMS:(FA)ES、382.H NMR(400MHz、d−DMSO)δ:13.9(s、1H)、8.42(s、1H)、7.63(d、1H)、7.44−7.42(m、2H)、3.73−3.70(m、4H)、3.44−3.42(m、4H)。
【0217】
II.生物学データ
【0218】
実施例1:PI3K酵素アッセイ
【0219】
PI3K酵素の発現及び精製
【0220】
活性ホスファチジルイノシトール3’キナーゼ(PI3K)酵素をアミノ末端His標識pi10α及びp85α発現構築を含有するバキュロウイルス共感染SF9昆虫細胞(Invitrogen)から、MillenniumPharmaceuticalsで精製した。
【0221】
PI3K酵素相同時間分解蛍光(HTRF(登録商標))アッセイ
【0222】
PI3K酵素HTRF(登録商標)アッセイは、ビオチン−PI(3,4,5)P、ユーロピウム(Europhium)標識抗GSTモノクローナル抗体、GST標識GRPlプレクストリン相同(PH)ドメイン、及びストレプトアビジン−APC(アロフィコシアニン)から構成されるエネルギー移動複合体を利用する。複合体におけるユーロピウムの励起は、安定した時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)シグナルをもたらす。PI3Kの生成物であるホスファチジルイノシトール3,4,5三リン酸(PI(3,4,5)Pは、GRPl PHドメインに結合するためのビオチン−PI(3,4,5)Pと競合することによりエネルギー移動複合体を破壊し、蛍光シグナルの減少をもたらす。反応におけるPI3Kの阻害物質は、蛍光シグナルの減少を防止する。
【0223】
PI3K酵素(325pM)を22〜23℃で30分間、384ウェルプレートで、20.5μLの最終容量の多濃度で、25μM ATP及び0.5μLの試験化合物(100%DMSO中)を含有するアッセイ緩衝液(50mM HEPES pH7.0、5mM DTT、150mM NaCl、10mM β−グリセロリン酸、5mM MgCl、0.25mMコール酸ナトリウム、0.001%CHAPS)中のジ−C8 PI(4,5)P 基質(3.5μM,CellSignals,Inc.)とインキュベートした。各ウェルにEDTA(90mM)及びビオチン−PI(3,4,5)P(150nM、Echelon Bioscience)を含有する5μLの検出緩衝液(50mM HEPES pH7.0、5mM DTT、1mM NaCl、10%Tween−20)を添加することにより、反応を停止させた。次いで、GST融合GRPl PHドメインタンパク質(210nM、Millennium Pharmaceuticals)、抗GST−ユーロピウム標識クリプテート抗体(2.25nM、CisBio)、ストレプトアビジン−XL(90nM、CisBio)、及びフッ化カリウム(240mM)を含有する5μLの検出緩衝液を各ウェルに添加し、1時間インキュベートした。その後、各ウェルの蛍光シグナルをLJL_アナリスト(Molecular Devices)により測定した。DMSO処理(0%阻害)及びEDTA処理(100%阻害)対照に対する試験化合物処理試料における蛍光シグナルを計算することにより、濃度反応曲線を作製し、50%阻害(IC50値)をもたらす濃度をこれらの曲線から判断した。
【0224】
実施例2:PI3K細胞アッセイ
【0225】
フォークヘッド再分配アッセイ
【0226】
細胞におけるPI3Kの阻害は、フォークヘッド再分配アッセイ(Biolmage)を用いて評価することができる。U2OS骨肉腫細胞に発現するEGFPに融合したFoxo1A(Foxo1A−EGFP)は、PI3K経路が活発にシグナル伝達する時に細胞質に局在する。経路シグナル伝達の不活化は、細胞質から核へのタンパク質の転位をもたらす。したがって、経路阻害は、核内のFoxo1A−EGFPの蛍光強度を定量化することにより測定することができる。
【0227】
FoxolA−EGFP(6500細胞/ウェル)を構成的に発現するU2OS細胞を100μLの細胞培地(10%ウシ胎仔血清(HyClone)及び1%ペニシリン−ストレプトアビジン(Invitrogen)を含有するDMEM(Invitrogen))の96ウェル皿(BD Falcon OPTILUX黒の透明底)の内側60ウェルに平板培養し、37℃で一晩、加湿チャンバで成長させた。細胞培地を取り除き、細胞を100μLの血清培地(0.933%ウシ胎仔血清及び1%ペニシリン−ストレプトアビジンを含有するDMEM)で洗浄し、75μLの低血清培地で37℃で1時間、加湿チャンバでインキュベートした。1%ペニシリン−ストレプトアビジンを含有するDMEMに懸濁された多濃度での試験化合物(25μL)を細胞に添加し、37℃で1時間、加湿チャンバでインキュベートした。培地を取り除き、細胞を10分間、リン酸緩衝食塩水(PBS)中の100μLの4%パラホルムアルデヒドに固定し、その後、100μLのPBSで洗浄した。RNAase(1:10,000、Sigma)を含有するPBS に1:5000希釈されたDRAQ5ミックス(100μL、Alexis Biochemicals)を30分間細胞に添加した。その後、Opera Imager (Evotec)を用いてプレートを撮像(16フィールド/ウェル)し、核(DRAQ5−陽性)内のFoxolA−EGFP蛍光強度をAcapella Software(Evotec)を用いて定量化した。試験化合物処理試料におけるFoxo−1A EGFPの核蛍光強度を計算することにより濃度反応曲線を作製し、陽性対照に対する50%阻害(IC50値)をもたらす濃度をこれらの曲線から判断した。
【0228】
実施例3:抗増殖アッセイ
【0229】
ATPIiteアッセイ
【0230】
ATPLite(登録商標)(Perkin−Elmer)アッセイは、ATP依存酵素ホタルルシフェラーゼから形成される発光シグナルの生成を通して、細胞アデノシン三リン酸(ATP)を測定する。発光シグナル強度は、細胞増殖の測定として使用され、したがって、PI3K阻害剤の抗増殖作用として使用することができる。
【0231】
試験化合物(100%DMSO中に4μL)を75μLのハンクス緩衝食塩水液(Invitrogen)に希釈した。希釈された試験化合物(8μL)を384−ウェルTC−処理された黒/透明プレート(Falcon)に添加した。10%ウシ胎仔血清及び1%ペニシリン−ストレプトアビジンを含有するマッコイ(McCoy’s)5a変法培地(Invitrogen)に維持されたHCT−116細胞(American Type Culture Collection)を1000細胞/ウェルで添加した。10%ウシ胎仔血清及び1%ペニシリン−ストレプトアビジンを含有するRPMI1640に維持されたH460細胞(American Type Culture Collection)を1500細胞/ウェルで添加した。その後、72時間、37℃の加湿チャンバで細胞を化合物と共にインキュベートした。プレートを細胞培養チャンバから取り出し、30分間、室温に平衡化した。25μLの細胞培地以外の全てを各ウェルから取り除き、25μLのATPlite試薬(Perkin Elmer)を各ウェルに添加した。LEADSeeker発光計数器(GE Healthcare Life Sciences)で発光をATPlite試薬添加後5分以内に測定した。DMSO処理対照に対する試験化合物処理試料における発光の減少を計算することにより濃度反応曲線を作製し、成長阻害(IC50)値をこれらの曲線から判断した。
【0232】
上述のように、本発明の化合物は、PI3Kを阻害する。特定の実施形態において、本発明の化合物は、IC50<5.0μMを有する。他の実施形態において、本発明の化合物は、IC50<1.0μMを有する。また他の実施形態において、本発明の化合物は、IC50<0.1μMを有する。
【0233】
我々は、本発明の数多くの実施形態を記載したが、我々の基本的な実施例は、本発明の化合物及び方法を利用する、他の実施形態を提供するように変形されてもよいことを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、実施例として表される特定の実施形態ではなく付属の特許請求の範囲で定義されることを理解されたい。
【0234】
上述のように、本発明の化合物は、PI3Kを阻害する。特定の実施形態において、本発明の化合物は、IC50<5.0μMを有する。別の実施形態において、本発明の化合物は、IC50<1.0μMを有する。また別の実施形態において、本発明の化合物は、IC50<0.1μMを有する。
【0235】
我々は、本発明の数多くの実施形態を記載したが、我々の基本的な実施例は、本発明の化合物及び方法を利用する、他の実施形態を提供するように変形されてもよいことを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、実施例として表される特定の実施形態ではなく付属の特許請求の範囲で定義されることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化31】

(式中、
がCである時、Rは、H、−CN、ハロゲン、−Z−R、C1−6脂肪族、又は3〜10員脂環式であり、式中、
Zは、任意で置換されたC1−3アルキレン鎖、−O−、−N(R1a)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR1a−、−N(R1a)C(0)−、−N(R1a)CO−、−S(O)NR1a−、−N(R1a)S(O)−、−OC(O)N(R1a)−、−N(R1a)C(O)NR1a−、−N(R1a)S(O)N(R1a)−、又は−OC(O)−から選択され、
1aは、水素又は任意で置換されたC1−4脂肪族であり、
は、C1−6脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
は、H、ハロゲン、−W−R、又は−Rであり、式中、
Wは、任意で置換されたC1−3アルキレン鎖、−O−、−N(R2a)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR2a−、−N(R2a)C(O)−、−N(R2a)CO−、−S(O)NR2a−、−N(R2a)S(O)−、−OC(O)N(R2a)−、−N(R2a)C(O)NR2a−、−N(R2a)S(O)N(R2a)−、又は−OC(O)−から選択され、
2aは、水素又は任意で置換されたC1−4脂肪族であり、
は、C1−6脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
、X、及びXは、それぞれ、独立して、N又はCRであり、式中、それぞれのRの箇所は、独立して、水素、−CN、ハロゲン、−V−R、C1−6脂肪族、又は3〜10員脂環式であり、式中、
Vは、任意で置換されたC1−3アルキレン鎖、−O−、−N(R6a)−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−CO−、−C(O)NR6a−、−N(R6a)C(O)−、−N(R6a)CO−、−S(O)NR6a−、−N(R6a)S(O)−、−OC(O)N(R6a)−、−N(R6a)C(O)NR6a−N(R6a)S(O)N(R6a)−、又は−OC(O)−から選択され、
6aは、水素又は任意で置換されたC1−4脂肪族であり、
は、C脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル 、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
は、S、O、NRであり、式中、Rは、水素又は任意で置換されるC1−4脂肪族であり、
は、C、Nであり、
CYは、
【化32】

であり
式中、それぞれのRの箇所は、独立して、−R4a又は−T−R4dであり、式中、
それぞれのR4aの箇所は、原子価及び安定性が許容する時、独立して、フッ素、=O、=S、−CN、−NO、−R4c、−N(R4b、−OR4b、−SR4c、−S(O)4c、−C(O)R4b、−C(O)OR4b、−C(O)N(R4b、−S(O)N(R4b、−OC(O)N(R4b、−N(R4e)C(O)R4b、−N(R4e)SO4c、−N(R4e)C(O)OR4b、−N(R4e)C(O)N(R4b、若しくは−N(R4e)SON(R4bであるか、又は2つのR4bの箇所は、それらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素、又は硫黄から選択される追加の0〜1のヘテロ原子を有する、任意で置換された4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、
それぞれのR4bの箇所は、独立して、水素であるか、又はC1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される任意で置換された基であり、
それぞれのR4cの箇所は、独立して、C1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、又は硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR4dの箇所は、独立して、水素であるか、又は3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから任意で置換され、
それぞれのR4eの箇所は、独立して、水素又は任意で置換されたC1−6脂肪族基であり、
は、任意で置換されたC1−アルキレン鎖であり、前記アルキレン鎖は、任意で、−N(R4a)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R4a)−、−S(O)N(R4a)−、−OC(O)N(R4a)−、−N(R4a)C(O)−、−N(R4a)SO−、−N(R4a)C(O)O−、−NR4aC(O)N(R4a)−、−N(R4a)S(O)N(R4a)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R4a)−O−により中断されるか、又はT 若しくはその一部は、任意選択的に、任意で置換された3〜7員脂環式若しくはヘテロシクリル環の一部を形成し、
nは0〜6であり、
mは1又は2であり、
pは、0、1、又は2であり、
【化33】

は、単結合又は二重結合を表す)の化合物、又はその医薬的に許容される塩であるが、
但し、前記式Iの化合物は、モルフォリン、4−[5−(4,5−ジフェニル−1H−イミダゾール−2−イル)−2−チエニル]−以外であることを条件とする。
【請求項2】
1つ以上の置換基が、
(a)YはSである、
(b)YはCである、
(c)RはCN又はHである、
(d)Rは、任意で、置換された6〜10員アリール又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールである、
(e)nは0〜2である、又は
(f)Rは−R4aである、から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物は、
【化34】

により表される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
は、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、任意で、1〜4つの独立したRの箇所と置換され、式中、Rは、−R9a、−T−R9d、又は−V−T−R9dであり、
各R9aの箇所は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R9c、−N(R9b、−OR9b、−SR9c、−S(O)9c、−C(O)R9b、−C(O)OR9b、−C(O)N(R9b、−S(O)N(R9b、−OC(O)N(R9b、−N(R9e)C(O)R9b、−N(R9e)SO9c、−N(R9e)C(O)OR9b、−N(R9e)C(O)N(R9b、又は−N(R9e)SON(R9bであるか、又は2つのR9bの箇所は、それらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素、又は硫黄から選択される0〜1個の追加のヘテロ原子を有する、任意で置換された4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、
それぞれのR9bの箇所は、独立して、水素であるか、又はC1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR9cの箇所は、独立して、C1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR9dの箇所は、独立して、水素又は3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する 4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから任意で置換され、
それぞれのR9eの箇所は、独立して、水素又は任意で置換されたC1−6脂肪族基であり、
それぞれのVの箇所は、独立して、−N(R9e)−、−O、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R9e)−、−S(O)N(R9e)−、−OC(O)N(R9e)−、−N(R9e)C(O)−、−N(R9e)SO−、−N(R9e)C(O)O−、−NR9eC(O)N(R9e)−、−N(R9e)SON(R9e)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R9e)−O−であり、
は、任意で置換されたC1−アルキレン鎖であり、前記アルキレン鎖は、任意で、−N(R7a)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R7a)−、−S(O)N(R7a)−、−OC(O)N(R7a)−、−N(R7a)C(0)−、−N(R7a)SO−、−N(R7a)C(O)O−、−NR7aC(O)N(R7a)−、−N(R7a)S(O)N(R7a)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R7a)−O−により中断されるか、又はT若しくはその一部は、任意選択的に、任意で置換された3〜7員脂環式若しくはヘテロシクリル環の一部を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
はSであり、YはCであり、前記化合物は、式II
【化35】

により表され、式中、RはCN又はHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
式中、
は、任意で置換された3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールであり、
nは0〜2であり、
は−R4aである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物は、
【化36】

により表される、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
式中、
は、任意で置換された6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリール環であり、前記Rは、任意で、1〜4つの独立したRの箇所と置換され、前記Rは、−R9a−T−R9d又は−V−T−R9dであり、
それぞれのR7aの箇所は、独立して、ハロゲン、−CN、−NO、−R7c、−N(R7b、−OR7b、−SR7c、−S(O)9c、−C(O)R9b、−C(O)OR9b、−C(O)N(R9b−S(O)N(R9b、−OC(O)N(R9b、−N(R9e)C(O)R9b、−N(R9e)SO9c、−N(R9e)C(O)OR9b、−N(R9e)C(O)N(R9b、又は−N(R9e)SON(R9bであり、
それぞれのR9bの箇所は、独立して、水素又はC1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールでから選択される任意で置換された基であり、2つのR9bの箇所は、それらが結合する窒素原子と共に、窒素、酸素、又は硫黄から選択される0〜1個の追加のヘテロ原子を有する、任意で置換された4〜7員ヘテロシクリル環を形成し、
それぞれのR9cの箇所は、独立して、C1−脂肪族、3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから選択される、任意で置換された基であり、
それぞれのR9dの箇所は、独立して、水素であるか、又は3〜10員脂環式、窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する4〜10員ヘテロシクリル、6〜10員アリール、又は窒素、酸素、若しくは硫黄から独立して選択される1〜5個のヘテロ原子を有する5〜10員ヘテロアリールから任意で置換され、
それぞれのR9eの箇所は、独立して、水素又は任意で置換されたC1−6脂肪族基であり、
それぞれのVの箇所は、独立して、−N(R7e)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R9e)−、−S(O)N(R9e)−、−OC(O)N(R9e)−、−N(R9e)C(O)−、−N(R9e)SO−、−N(R9e)C(O)O−、−NR9eC(O)N(R9e)−、−N(R9e)SON(R9e)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R9e)−O−であり、
は、任意で置換されたC1−アルキレン鎖であり、前記アルキレン鎖は、任意で、−N(R9a)−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R9a)−、−S(O)N(R9a)−、−OC(O)N(R9a)−、−N(R9a)C(O)−、−N(R9a)SO−、−N(R9a)C(O)O−、−NR9aC(O)N(R9a)−、−N(R9a)S(O)N(R9a)−、−OC(O)−、又は−C(O)N(R9a)−O−により中断されるか、又はT若しくはその一部は、任意選択的に、任意で置換された3〜7員脂環式若しくはヘテロシクリル環の一部を形成し、nは0〜2である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式中、
は、1〜3のハロゲン、−CN、−NO、−R9c、−N(R9b、−OR9b、−SR9c、−S(O)9c、−C(O)R9b、−C(O)OR9b、−C(O)N(R9b、−S(O)N(R9b、−OC(O)N(R9b、−N(R9e)C(O)R9b、−N(R9e)SO9c、−N(R9e)C(O)OR9b、−N(R9e)C(O)N(R9b、又は−N(R9e)SON(R9bの独立した箇所と置換されたフェニル基であり、
は、水素、C1−4アルキル、又はC1−4フルオロアルキルであり、
nは0である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式中、
は、1〜3のハロ、C1−3アルキル、CN、C1−3ハロアルキル、−OC1−3アルキル、−OC1−3ハロアルキル、−NHC(O)C1−3アルキル、−NHC(O)NHC1−3アルキル、NHS(O)1−3アルキル、又は−COHの独立した箇所と置換されたフェニル基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
請求項1に記載の化合物及び医薬的に許容される担体を含む、組成物。
【請求項13】
患者の増殖性疾患を治療する方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項14】
前記増殖性疾患は、乳癌、膀胱癌、結腸癌、膠腫、膠芽腫、肺癌、肝細胞癌、胃癌、メラノーマ、甲状腺癌、子宮内膜癌、腎癌、子宮頸癌、膵癌、食道癌、前立腺癌、脳癌、又は卵巣癌である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者の炎症性疾患又は心血管疾患を治療する方法であって、前記患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
前記炎症性疾患又は心血管疾患は、アレルギー/アナフィラキシー、急性及び慢性炎症、関節リウマチ、自己免疫疾患、血栓症、血圧上昇、心肥大、及び心不全から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
患者のP13K活性を阻害するための方法であって、前記患者のP13K活性を阻害するのに効果的な量の請求項1に記載の化合物を含む組成物を投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2011−524904(P2011−524904A)
【公表日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514600(P2011−514600)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/003607
【国際公開番号】WO2009/154741
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(500287639)ミレニアム・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (98)
【氏名又は名称原語表記】MILLENNIUM PHARMACEUTICALS, INC.
【Fターム(参考)】