説明

チオ尿素組成物およびそれらの使用

本発明は、ヨウ化および臭化アリールとオレフィンのパラジウム触媒作用によるHeck反応用の触媒として、および有機ホウ酸化合物とハロゲン化アリールのパラジウム触媒作用によるSuzuki反応用の触媒として有用な、N,N’−二置換されたモノチオ尿素またはビスチオ尿素−Pd(0)錯体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
関連出願
本願は、2004年3月26日提出の米国仮出願第60/556,570号の優先権を主張するものであり、この出願は引用されることにより本願明細書の開示の一部とされる。
発明の分野
【0002】
本発明は、チオ尿素配位子に関し、より詳しくは、Heck反応と呼ばれる化学反応でアルケンをパラジウム触媒作用によりアリール化するための触媒として、および有機ホウ酸化合物とハロゲン化アリールのパラジウム触媒作用によるSuzuki反応のための触媒として有用な、チオ尿素−パラジウム錯体に関する。
発明の背景
【0003】
オレフィンのパラジウム触媒作用によるアリール化(Heck反応)は、有機合成におけるC−C結合形成にとって最も汎用性の高い手段の一つである(非特許文献1)。ホスフィン配位子が反応性パラジウム中間体を安定化させるのに一般的に使用され、配位子として立体的に大きなモノ−ホスフィン、ジホスフィン、シクロメタル化されたホスフィン、またはホスファイトを配位子として使用する場合、優れた結果がPd触媒作用によるHeck反応に関して報告されている(非特許文献2〜5)。しかしながら、ホスフィン配位子は空気に敏感であるために、それらの合成用途に重大な制限がある。したがって、ホスフィンを含まないパラジウム触媒の開発が非常に重要である(非特許文献6〜8)。チオ尿素は、空気および湿分に対して安定した固体であり、最近、Ru−、Rh−、またはPd−触媒作用による反応に配位子として使用されている(非特許文献9、10)。つい最近、Z.Yangとその共同研究者らによって、キラルチオ尿素−Pd錯体により触媒作用を受ける、非常に反応性の高いアレーンジアゾニウム塩のHeckおよびSuzuki反応が報告されている。
【非特許文献1】(a) Heck,R.F. Acc.Chem.Res. 1979, 12, 146. (b) DeMeijere,A.; Meyer,F.E. Angew. Chem.,Int.Ed. 1994, 33, 2379. (c) Cabri,W.; Candiani,I. Acc.Chem.Res. 1995, 28, 2. (d) Negishi,E.; Coperet,C.; Ma,S.; Liou,S.; Liu,F. Chem.Rev. 1996, 96, 365. (e) Crisp,G.T. Chem.Soc,Rev. 1998, 27, 427. (f) Beletskaya,I.P.; Cheprakov,A,V. Chem.Rev. 2000, 100, 3009, (g) Whitcombe,N.J.; KuokHii,K.; Gibson,S,E. Tetra hedron 2001, 57, 7449. (h) Dounay,A.B.; Overman,L.E. Chem.Rev. 2003, 103, 2945
【非特許文献2】(a) Littke,A.F.; Fu,G.C.J. Org. Chem. 1999, 64, 10. (b) Littke,A.F.; Fu,G.C.J. Am.Chem.Soc. 2001, 123, 6989. (c) Shaughnessy,K.H.; Kim,P.; Hartwig,J.F.J. Am.Chem.Soc. 1999, 121, 2123. (d) Stambuli,J.P.; Stauffer,S.R.; Shaughnessy,K.H.; Hartwig,J.F.J. Am.Chem.Soc. 1999, 121, 2677. (e) Ehrentraut,A.; Zapf,A.; Beller,M. Synlett 2000, 1589.
【非特許文献3】(a) Ben-David,Y.; Portnoy,M.; Gozin,M.,Milstein,D. Organo metallics 1992, 11, 1995. (b) Portnoy,M.; Milstein,D. Organo metallics 1993, 12, 1655. (c) Portnoy,M.; Ben-David,Y.; Milstein,D. Organo metallics 1993, 12, 4734. (d) Portnoy,M.; Ben-David,Y.; Rousso,I.; Milstein,D. Organo metallics 1994, 13, 3465. (e) Shaw,B.L.; Perera,S.D. Chem. Commun. 1998, 1863.
【非特許文献4】(a) Dupont,J.; Pfeffer,M.; Spencer,J. Eur.J.Inorg.Chem. 2001, 1917. (b) Benford,R.B. Chem.Commun. 2003, 1787
【非特許文献5】Reetz,M.; Lohmer,G.; Schwickardi,R. A new.Chem.,Int.Ed., 1998, 37, 481
【非特許文献6】(a) Dupont,J.; Pfeffer,M.; Spencer,J. Eur.J.Inorg.Chem. 2001, 1917. (b) Benford,R.B. Chem.Commun. 2003, 1787
【非特許文献7】(a) Herrmann,W.A. Angew. Chem., Int.Ed. 2002, 41, 1290. (b) Yong,B.S.; Nolan,S.P. Chem tracts-Organic Chemistry 2003, 205
【非特許文献8】(a) Buchmeiser,M.R.; Wurst,K. J.Am.Chem.Soc. 1999, 121, 11101. (b) Silberg,J.; Schareina,T.; Kempe,R.; Wurst,K.; Buchmeiser,M.R. J.Organomet. Chem. 2001, 622,6. (c) Masllorens,J.; Moreno-Manas,M.; Pla-Quintana,A.; Roglans,A.; Org. Lett. 2003, 5, 1559
【非特許文献9】(a) Touchard,F.; Fache,F.; Lemaire,M.Tetrahedron: Asymmetry 1997, 8, 3319. (b) Touchard,F.; Gamez,P.; Fache,F.; Lemaire,M. Tetrahedron Lett. 1997, 38,2 275. (c) Touchard,F.; Bernard,M.; Fache,F.; Delbecq,F.; Guiral,V.; Sautet,P.; Lemaire,M. J. Organomet. Chem. 1998, 567, 133. (d) Tommasino,M.L.; Casalta,M.; Breuzard,J.A.J.; Lemaire,M. Tetrahedron: Asymmetry 2000, 11, 4835. (e) Breuzard,J.A.J.; Tommasino,M.L.; Touchard,F.; Lemaire,M.; Bonnet,M.C. J.Mol.Catal.A: Chem. 2000, 156, 223. (f) Touchard,F.; Bernard,M.; Fache,F.; Lemaire, M.J. Mol.Catal.A: Chem. 1999, 140, 1.
【非特許文献10】(a) DeMunno,G.; Gabriele,B.; Salerno,G. Inorg.Chim.Acta 1995, 234, 181. (b) Gabriele,B.; Salerno,G.; Costa,M.; Chiusoli,G.P. J.Organomet.Chem. 1995, 503, 21. (c) Zhang,T.Y.; Allen,M. J.TetrahedronLett. 1999, 40, 5813. (d) Nan,Y.; Miao,H.; Yang,Z. Org.Lett. 2000, 2, 297. (e) Miao,H.; Yang,Z. Org.Lett. 2000, 2, 1765. (f) Hu,Y.;Yang,Z. Org.Lett. 2001, 3, 1387.
【非特許文献11】Dai,M.; Liang,B.; Wang,C.; Chen,J.; Yang,Z. Org.Lett. 2004, 6, 221
【非特許文献12】Gurtler,C.; Buchwald,S. L. Chem.Eur. J. 1999, 5, 3107
【非特許文献13】Selvakumar,K.; Zapf,A.; Beller, M.Org.Lett. 2002, 4, 3031.
【非特許文献14】(a) Olivier-Bourbigou,H.; Magna,L. J.Mol.Catal.A: Chem. 2002, 182-183, 419. (b) Dupont,J.; deSouza,R.F.; Suarez,P. A.Z.Chem.Rev. 2002, 102, 3667. (c) Davis,J.H.Jr.; Fox,P.A.Chem.Commun. 2003, 1209
【非特許文献15】(a) Hassan,J.; Sevignon,M.; Gozzi,C.;Schulz,E.; Lemaire, M.Chem.Rev. 2002, 102, 1359. (b) Miura, M.Angew.Chem.,Int.Ed. 2004, 43, 2201
【非特許文献16】(a) Darses,S.; Michaud,G.; Genet, J.-P.Eur.J.Org.Chem. 1999, 1875: (b) Molander,G.A.; Katona,B.W.; Machrouhi,F. J.Org.Chem. 2002, 67, 8416. (b) Darses,S.; Genet, J.-P.Eur.J. Org. Chem. 2003, 4313.
【発明の概要】
【0004】
本発明は、空気および湿分に対して安定性があり、ハロゲン化アリールのHeck反応に対する活性が高い触媒であるチオ尿素−Pd(0)錯体を提供する。より詳しくは、本発明は、下記の配位子を提供する。
一般構造Iで表されるN,N’−二置換されたモノチオ尿素配位子であって、
【化1】

(式中、nが1〜8の整数であり、RおよびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80からなる群から選択され、R、R、R、およびRが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、−(CH−R80COOR(ここで、は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)、および、CONR(ここで、またはは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)からなる群から選択され、R80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または多環式化合物を表し、mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)、
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたモノチオ尿素配位子。
【0005】
一般構造IIで表されるビスチオ尿素配位子であって、
【化2】

(式中、nが1〜8の整数であり、RおよびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80からなる群から選択され、R、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、−(CH−R80COOR(ここで、は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)、および、CONR(ここで、またはは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)からなる群から選択され、R80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または多環式化合物を表し、mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)、
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、配位子。
【0006】
一般構造IIIで表されるビスチオ尿素配位子であって、
【化3】

(式中、nが1〜8の整数であり、RおよびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80からなる群から選択され、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、−(CH−R80COOR(ここで、は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)、および、CONR(ここで、またはは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)からなる群から選択され、R80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または多環式化合物を表し、mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)、
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、配位子。
【好ましい実施態様の具体的説明】
【0007】
本発明は、ヨードベンゼンとメチルアクリレートとの間の100℃におけるHeck反応(表1)用の触媒として作用する、非環式および環式チオ尿素1a〜q(図1−3)、およびそれらの、Pd(0)またはPd(II)との錯体(図4)を提供する。
【0008】
【表1】

【0009】
反応は空気中で行い、試薬は全て購入した状態で直接使用した。各チオ尿素配位子の構造は、そのパラジウム錯体の触媒効率に大きな影響を及ぼす。非環式チオ尿素1a〜cは、NH部分を特徴とする環式チオ尿素1dと同様、ほとんど全く不活性であった。しかし、配位子として様々な環サイズを有するN,N’−二置換された大きなチオ尿素1e〜1qを使用した場合、良好な活性が観察され(表1、番号1−8)、触媒装填量を0.0001モル%まで下げることができた。反応も、無溶剤条件下、高温で、触媒効果に影響を及ぼさずに、行うことができた(番号12および13)。
【0010】
Heck反応におけるチオ尿素1g−Pd(0)および1q−Pd(0)錯体の触媒効果を、多くのハロゲン化アリールおよびオレフィンを使用し、100〜130℃でさらに研究した。表2は、オレフィン、例えばブチルアクリレート(番号1〜2)、に対してPd触媒0.01モル%を使用し、高い収率が得られたことを示している。α−またはβ−置換されたオレフィンも好適な基体であり、三置換されたオレフィンを与えるが(非特許文献12)、より高い触媒装填量および反応温度が必要であった(番号3〜4)。一般的に、臭化アリールの反応を強制的に完了させるには、ヨウ化アリールの場合と比較して、より高い触媒装填量および反応温度が必要であった。3−ブロモピリジンも、Pd0.1モル%の存在下で、スチレンと収率90%で効率的に結合した(番号9)。不活性化された臭化物は、より高い温度で結合させることができた(番号10、160℃)。
【0011】
【表2】

【0012】
Beller(非特許文献13)は、塩化アリールのHeck反応が、イオン系液体溶剤としてBuNBrを使用すると、大きく改良できることを報告している(非特許文献14)。実際、この系では、不活性化された臭化物および活性化された塩化物の、チオ尿素1g−Pd(0)触媒作用によるHeck反応にも、反応温度を僅かに高くした時に、好適である。これらの結果を表3にまとめる。不活性化された臭化物に対して、Pd0.5モル%の存在下で、それらの24時間反応の後に、優れた収率が達成されている(番号1〜3)が、Pd触媒0.2モル%を使用した場合は、不完全転化が起きている(番号4)。同じ条件下で、活性化された塩化アリールは、Pd触媒1モル%を使用した場合、24時間以内でスチレンと効果的に結合している(番号5〜7)。n−ブチルアクリレートは、スチレンの反応性より僅かに低い反応性を示したが、良好な収率も得られている(番号8〜10)。しかし、クロロベンゼン自体は、より高い装填量のPd触媒(2モル%)を使用しても、完全に不活性であった(番号11)。
【0013】
【表3】

【0014】
Pd触媒作用によるハロゲン化アリールとアリールホウ酸のSuzukiクロスカップリング反応は、ビアリール化合物への一般的で効率的な合成経路を与え、有機合成の多くの分野で広く応用されている(非特許文献15)。チオ尿素−Pd触媒は、操作が簡単で、空気に対して安定した触媒系であるために、我々は、その触媒のSuzuki反応における範囲を調査することにした。表4に示すように、p−ヨードアニソールに対して、配位子として1qを使用し、Pd装填量0.01モル%、100℃、好気性条件下で3時間後に、優れた単離収率が得られた(表3、番号1)。
【0015】
この結果を得て、我々は、臭化アリールとアリールホウ酸のカップリング反応の評価を開始した。活性化された臭化物に対して、同じ条件下、Pd0.1モル%の存在下で3時間以内に、ほとんど定量的な収率が達成された(番号2〜6)。他方、不活性化されたp−ブロモアニソールをPd0.5モル%、120℃で使用した時、低い収率が得られ(番号7)、大きな一座1iを使用した時に、類似の結果が得られた(番号8)。しかし、TBAB20モル%を加えることにより、収率を増加させることができた(番号9)。3,5−ジフルオロフェニルホウ酸に対して、希釈していないTBAB中で反応を行った時、より優れた結果が得られた(番号10)。p−ニトロクロロベンゼンに対しては、Pd1モル%で、TBAB20モル%を加えることにより、妥当な収率が達成された(番号11対12)。特に、1−ブロモスチレンも、チオ尿素−Pd系で、フェニルホウ酸に対して高い反応性を示した(番号13)。その上、カリウムアリールトリフルオロボレート(非特許文献16)は、対応する有機ホウ酸よりも反応性が高いことが分かっており、100℃で、Pd0.1モル%だけで高収率が得られている(番号14および15)。我々は、触媒装填量をさらに下げた(0.01モル%)Suzuki反応も行い、3−ニトロ−ブロモベンゼンに対して、120℃、3時間で定量的な収率を得た(番号16)。
【0016】
【表4】

【0017】
結論として、環式および非環式チオ尿素のパラジウム錯体は、好気性条件下におけるHeck反応およびSuzukiカップリング反応で、高い熱安定性および優れた触媒活性を立証した。これらのカップリング反応で傑出したTONおよびTOFが達成された(PhIおよびn−ブチルアクリレートの反応に対して、TONが1,000,000、TOFが200,000まで)。
【実施例】
【0018】
例1
環式チオ尿素1f−1kの合成
【化4】

【0019】
環式チオ尿素配位子の合成には、2種類の方法を使用した(スキーム1)。
【0020】
方法A:
N,N’−ジアリールアミンの無水トルエン溶液を1,1’−チオカルボニルジイミダゾール(1.2当量)に加えた。次いで、この溶液を100℃で攪拌し、反応をTLCにより監視した。完了後、溶液を酢酸エチルで希釈し、希HClおよび食塩水で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーまたは95%エタノールから再結晶させることにより、純粋なチオ尿素が得られた。
【0021】
方法B:
N,N’−ジアリールアミンとNaCO(1.5当量)を無水THFに入れ、攪拌している混合物に、チオホスゲン(1.2当量)のTHF溶液を、室温で滴下しながら加えた。室温で一晩攪拌した後、水および酢酸エチルを加えた。有機層を希HClおよび食塩水で洗浄し、除湿し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーまたは95%エタノールから再結晶させることにより、純粋なチオ尿素が得られた。
【0022】
1fの調製
方法Aを使用、収率75%。M.p.167−168℃、HNMR(300MHz、CDCl)δ7.42(d,J=9.0Hz,4H)、6.95(d,J=9.0Hz,4H)、4.08(s,4H)、3.81(s,6H)、13CNMR(75MHz、CDCl)δ182.2、158.1、138.8、127.5、114.2、55.4、49.8、IR(cm−1):1511、1443、1285、LRMS(EI):314(M、100)、HRMS(EI):C1718S(M)に対する計算値314.1089、実測値314.1088。
【0023】
1gの調製
方法Bを使用、収率85%。M.p.218−218.5℃、HNMR(400MHz、CDCl)δ6.91(s,4H)、3.94(s,4H)、2.26(s,6H)、2.24(s,12H)、13CNMR(75MHz、CDCl)δ181.1、138.2、136.6、134.5、129.5、47.6、21.1、17.8、IR(cm−1):1488、1331、1271、LRMS(FAB):339(M+1、100)、HRMS(FAB):C2126S(M+1)に対する計算値339.1894、実測値339.1879。
【0024】
1hの調製
方法Bを使用、収率70%。M.p.152−153℃、HNMR(300MHz、CDCl)δ7.32(t,J=6.6Hz,2H)、7.20(d,J=7.5Hz,4H)、4.02(s,4H)、2.80−2.70(m,4H)、2.69−2.60(m,4H)、1.33(t,J=7.5Hz,12H)、13CNMR(75MHz、CDCl)δ182.6、142.5、136.1、128.8、126.5、49.1、24.0、14.4、IR(cm−1):1484、1285、LRMS(EI):366(M、39)、337(100)、HRMS(EI):C2330S(M)に対する計算値366.2130、実測値366.2120。
【0025】
1iの調製
ジイミン:収率92%。HNMR(300MHz、CDCl)δ8.27(s,2H)、7.35(d,J=8.3Hz,2H)、7.25(d,J=8.3Hz,2H)、6.86(s,2H)、1.43(s,18H)、1.34(s,18H)、13CNMR(75MHz、CDCl)δ158.6、150.1、150.0、140.4、126.0、123.8、116.0、35.3、34.4、31.3、30.5、IR(cm−1):1609、1492、1265、LRMS(EI):432(M、100)、HRMS(EI):C3044(M)に対する計算値432.3504、実測値432.3504。
【0026】
ジアミン:収率90%。HNMR(300MHz、CDCl)δ7.18(d,J=6.1Hz,2H)、6.80(s,2H)、6.75(d,J=6.1Hz,2H)、4.18(br s,2H,NH)、3.57(s,4H)、1.39(s,18H)、1.32(s,18H)、13CNMR(75MHz、CDCl)δ149.9、146.2、131.2、126.0、114.6、110.0、45.0、34.4、33.8、31.4、30.2、IR(cm−1):3688、3601、1561、1265、LRMS(EI):436(M、20)、219(100)、HRMS(EI):C3048(M)に対する計算値436.3817、実測値436.3817。
【0027】
チオ尿素1iは、方法Bを使用して調製した。チオホスゲンの希THF溶液は、非常にゆっくりと滴下しなければならない。1iは、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィーの後、白色固体として単離された(収率75%)。M.p.212−214℃、HNMR(400MHz、CDCl)δ7.45(d,J=8.5Hz,2H)、7.32(d,J=8.5Hz,2H)、7.02(s,2H)、4.06−4.03(m,2H)、3.93−3.91(m,2H)、1.50(s,18H)、1.30(s,18H)、13CNMR(100MHz、CDCl)δ183.5、150.4、145.0、140.8、128.0、127.8、125.3、53.4、35.4、34.3、32.1、31.3、IR(cm−1):1418、1275、LRMS(FAB):479(M+H)、FAB−HRMS:C3146S(M+H)に対する計算値479.3460、実測値479.3460。
【0028】
1jの調製
方法Aを使用、収率75%。M.p.173−174℃、HNMR(300MHz、CDCl)δ7.41−7.15(m,10H)、3.82−3.77(m,4H)、2.32−2.24(m,2H)、13CNMR(75MHz、CDCl)δ180.7、147.4、129.2、127.4、125.8、51.4、22.3、IR(cm−1):1494、1285、LRMS(EI):268(M、73)、EI−HRMS:C1616S(M)に対する計算値268.1034、実測値268.1015。
【0029】
1kの調製
ラセミ系2,2’−ジアミノ−6,6’−ジメトキシ−ビフェニル(60mg、0.25mmol)とNaBH(OAc)(212mg、1mmol)をジクロロメタン(10mL)に入れ、攪拌している懸濁液に、ベンズアルデヒド(0.06ml、0.58mmol)をジクロロメタン(2mL)に入れた溶液を、室温で滴下しながら加えた。次いで、混合物を一晩攪拌した。シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィー処理により、N,N’−ジベンジルジアミンが白色固体として得られた(94mg、90%)。HNMR(300MHz、CDCl)δ7.26−7.11(m,12H)、6.38(d,J=8.2Hz,2H)、6.32(d,J=7.7Hz,2H)、4.32(s,4H)、4.17(br s,2H)、3.70(s,6H)、13CNMR(75MHz、CDCl)δ158.1、147.3、139.9、129.6、128.4、126.7、126.6、107.2、104.2、100.6、55.7、47.5、IR(cm−1):3432、3086、3051、2938、1586、496、1472、1422、1282、1131、LRMS(EI):424(M,33)、333(100)、HRMS(EI):C2828S(M)に対する計算値424.2151、実測値424.2138。
【0030】
チオ尿素1kは、方法Bを使用して調製した、収率85%。M.p.179−180℃、HNMR(400MHz、CDCl)δ7.27(t,J=8.2Hz,2H)、7.04−7.00(m,6H)、6.88(d,J=8.2Hz,2H)、6.83−6.80(m,6H)、5.72(d,J=15.3Hz,2H)、4.81(d,J=15.3Hz,2H)、3.75(s,6H)、13CNMR(75MHz、CDCl)δ199.6、157.2、147.7、137.1、128.7、127.9、127.5、126.7、121.8、113.9、108.8、56.8、55.9、IR(cm−1):3051、1592、1579、1464、1420、1245、1190、LRMS(EI):466(M,100)、375(86)、HRMS(EI):C2926S(M)に対する計算値466.1715、実測値466.1718。
【0031】
例2
非環式ビス−チオ尿素配位子の合成
【化5】

【0032】
N,N’−ジアリールジアミン(1.0mmol)およびNEt(3当量)をTHFに入れた溶液を、チオホスゲン(3.0当量)を無水THFに入れた溶液に0℃で滴下した。室温で一晩攪拌した後、有機層を水で洗浄し、除湿し、濃縮した。
【0033】
非環式ビス−チオ尿素を合成するために、上で得られたジクロリドおよび過剰の第2級アミンを密封した圧力管中、100℃で24時間加熱した。次いで、この溶液をEtOAcで希釈し、希HClおよび食塩水で洗浄した。有機層を除湿し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーにより、純粋なビス−チオ尿素が白色固体として得られた。
1l:白色固体、収率95%、m.p.225−226℃、HNMR(400MHz、CDCl)δ7.37−7.34(m,2H)、7.21−7.18(m,2H)、7.18−7.00(m,2H)、4.87−4.79(m,2H)、4.15−4.11(m,2H)、3.54−3.35(m,8H)、1.44−1.19(m,48H)、13CNMR(100MHz、CDCl)δ190.0、149.1、142.9、141.3、129.8、127.4、124.1、54.0、52.5、35.6、34.0、32.0、31.1、25.2、24.2、IR(cm−1):2958、2865、1609、1440、1397、1362、1244、1185、1133、1026、ESI LRMS:690(M,2)、359(100)、EI HRMS:C4266に対する計算値690.4729、実測値690.4717。
【0034】
1m:白色固体、2工程で収率40%、m.p.222−224℃、HNMR(400MHz、CDCl)δ6.83(s,4H)、4.29(s,4H)、3.30−3.27(m,8H)、2.25(s,6H)、2.18(s,12H)、1.39−1.36(m,4H)、1.17−1.15(m,8H)、13CNMR(100MHz、CDCl)δ188.3、141.3、136.1、134.3、130.0、51.9、50.9、25.2、24.2、20.7、19.1、IR(cm−1):2934、2851、1609、1473、1422、1369、1245、1185、1159、1131、1027、EI LRMS:550(M,34)、152(100)、EI HRMS:C3246に対する計算値550.3164、実測値550.3158。
【0035】
1n:白色固体、2工程で収率38%、m.p.197−199℃、HNMR(400MHz、CDCl)δ6.82(s,4H)、4.29(s,4H)、3.30(q,J=6.8Hz,8H)、2.24(s,6H)、2.21(s,12H)、0.73(t,J=6.8Hz,12H)、13CNMR(100MHz、CDCl)δ189.9、141.6、136.4、135.0、51.3、46.0、20.8、19.2、11.7、IR(cm−1):2963、2929、1651、1486、1441、1411、1370、1348、1274、1223、1185、1152、1120、1081、1013、EI LRMS:526(M,42)、277(100)、EI HRMS:C3046に対する計算値526.3164、実測値526.3168。
【0036】
例3
環式ビス−チオ尿素配位子1oの合成
【化6】

【0037】
1oの合成
ジアミン塩(2.0g、9.2mmol)およびNaCO(0.85g、8mmol)をCHCN(15ml)に入れ、攪拌している混合物に、ビス(ブロモメチル)メシチレン(0.72g、2.3mmol)をCHCN(10ml)に入れた溶液を81℃で徐々に加えた。得られた混合物を24時間還流した。次いで、この混合物を酢酸エチルで希釈し、食塩水で洗浄し、除湿し、濃縮した。得られたオイルをTHF(30ml)に溶解させ、NaCO(1.27g、12mmol)を加えた。チオホスゲン(0.7ml、9mmol)をTHF(10ml)に入れた液を室温で非常にゆっくりと滴下した。一晩攪拌した後、THFを除去し、水(20ml)および酢酸エチル(40ml)を加えた。有機層を希HClおよび食塩水で洗浄し、除湿し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/石油エーテル)により、純粋なビス−チオ尿素1oが白色固体として得られた(150mg、11%)。
【0038】
1o:m.p.>230℃、HNMR(400MHz、CDCl)δ6.97(s,1H)、6.95(s,4H)、4.97(s,4H)、3.66(t,J=8.4Hz,4H)、3.41(t,J=8.4Hz,4H)、2.43(s,3H)、2.40(s,6H)、2.29(s,6H)、2.22(s,12H)、13CNMR(100MHz、CDCl)δ181.7、138.6、138.1、137.8、136.5、134.7、130.8、130.7、129.4、46.9、46.3、45.5、21.0、20.4、17.7、16.2、IR(cm−1):2917、1609、1489、1437、1408、1326、1309、1273、1233、1033、ESI LRMS:585(M+1,100)、ESI HRMS:C3544+Naに対する計算値607.2905、実測値607.2883。
【0039】
例4
環式ビス−チオ尿素配位子1pおよび1qの合成
【化7】

【0040】
1pおよび1qの調製
ボラン−ジメチルスルフィド(THF中2M)(3.6ml、7.2mmol、8当量)を、ジアミド(0.9mmol)のTHF(20ml)溶液に0℃で加えた。次いで、この溶液を一晩還流させた。室温に冷却した後、メタノールを非常にゆっくり加え、過剰のボランを分解した。溶剤を除去した。メタノール(10ml)を加え、再度減圧下で除去した。得られたテトラアミンは、次の工程に直接使用した。
【0041】
上で得たテトラアミンおよびNaCO(6当量)をTHFに入れ、攪拌している混合物に、チオホスゲンのTHF希釈溶液を加えた。次いで、この混合物を室温で一晩攪拌した。フラッシュクロマトグラフィーおよびエタノールからの再結晶により、純粋な環式ビス−チオ尿素が白色固体として得られた。
【0042】
1p:白色固体、2工程で収率45%、m.p.>230℃、HNMR(400MHz、CDCl)δ8.20(s,1H)、7.51−7.44(m,3H)、6.97(s,4H)、4.29(t,J=8.4Hz,4H)、3.91(t,J=8.4Hz,4H)、2.31(s,6H)、2.28(s,12H)、13CNMR(100MHz、CDCl)δ180.7、141.0、138.3、136.3、134.7、129.4、128.6、121.1、120.2、49.3、47.2、21.0、17.8、IR(cm−1):2917、1604、1489、1421、1306、1277、1076、ESI LRMS:515(M+1,100)、ESI HRMS:C3034+Hに対する計算値515.2303、実測値515.2294。
【0043】
1q:白色固体、2工程で収率41%、m.p.>230℃、HNMR(400MHz、CDCl)δ8.24−8.22(m,1H)、7.53−7.43(m,3)、7.38(d,J=2.0Hz,2H)、7.35(d,J=2.0Hz,2H)、7.11(s,2H)、4.29−4.18(m,4H)、4.13−4.07(m,2H)、4.01−3.93(m,2H)、1.48(s,18H)、1.34(s,18H)、13CNMR(100MHz、CDCl)δ184.1、150.5、145.0、141.2、139.6、128.8、128.7、127.5、125.5、121.8、121.6、121.2、52.6、49.4、35.4、34.3、31.9、31.2、IR(cm−1):2960、1604、1559、1475、1414、1297、1084、ESI LRMS:655(M+1,37)、639(100)、ESI HRMS:C4054+Hに対する計算値655.3868、実測値655.3864。
【0044】
例5
ヨウ化アリールとオレフィンのHeck反応に関する一般的な手順
【化8】

Pd(dba)(1.5mg、0.0025mmol)およびチオ尿素(4当量)をDMF(0.5mL)中、室温で0.5時間攪拌した。次いで、ヨードベンゼン(0.28mL、2.5mmol、基体/触媒比=1000:1)およびアクリル酸メチル(0.27mL、3.0mmol)およびTEA(0.42mL、3.0mmol)を加えた。フラスコをゴム隔膜で密封し、100℃に加熱した(反応を空気中、冷却器で行った時も、同じ結果が得られた)。指定時間の後、溶液を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水および食塩水で洗浄した。酢酸エチルを減圧下で除去し、ニトロベンゼン(0.128mL)を内部標準として加えた。カップリング生成物の収率は、HNMR(400MHzまたは300MHz)分析で、生成物のα/β−Hおよびニトロベンゼン(内部標準)のオルト−Hのピーク強度を比較することにより、測定した。
【0045】
【化9】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.67−7.63(m,2H)、7.54(d,J=4.1Hz,2H)、7.38(d,J=3.3Hz,1H)、7.10(t,J=6.5Hz,1H)、6.44(d,J=16.1Hz,1H)、3.81(s,3H)。反応収率を決定するために、6.44ppmにおける生成物ピークを、ニトロベンゼン(内部標準)のオルト−H(8.20ppmにおける)のピークと比較するために選択した。
【0046】
【化10】

HNMR(400MHz、CDCl)δ7.73(d,J=16.0Hz,1H)、7.52−7.57(m,2H)、7.40−7.45(m,3H)、6.49(d,J=16.0Hz,1H)、4.26(t,J=6.9Hz,2H)、1.71−1.78(m,2H)、1.54−1.45(m,2H)、1.00(t,J=7.4Hz,3H)。
【0047】
【化11】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.73(d,J=16.0Hz,1H)、7.53−7.57(m,2H)、7.40−7.45(m,3H)、6.49(d,J=16.0Hz,1H)、1.34(s,9H)。
【0048】
【化12】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.53(d,J=7.2Hz,4H)、7.38(dd,J=7.1、1.5Hz,4H)、7.28(d,J=7.2Hz,2H)、7.13(s,2H)。
【0049】
【化13】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.55(d,J=9.4Hz,2H)、7.52(d,J=16.0Hz,1H)、7.40(t,J=3.5Hz,3H)、6.72(d,J=16.0Hz,1H)、2.39(s,3H)。
【0050】
【化14】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.63(d,J=16.2Hz,1H)、7.43(d,J=6.2Hz,2H)、7.35(d,J=6.2Hz,2H)、6.40(d,J=16.2Hz,1H)、4.26(t,J=6.9Hz,2H)、1.78 1.71(m,2H)、1.54 1.45(m,2H)、1.00(t,J=7.4Hz,3H)。
【0051】
【化15】

HNMR(400MHz、CDCl)δ7.68(d,J=16.0Hz,1H)、7.51(d,J=8.9Hz,2H)、6.94(d,J=8.9Hz,2H)、6.36(d,J=16.0Hz,1H)、4.25(t,J=6.8Hz,2H)、3.87(s,3H)、1.76−1.70(m,2H)、1.52−1.46(m,2H)、1.02(t,J=7.5Hz,3H)。
【0052】
【化16】

HNMR(400MHz、CDCl)δ7.70(d,J=8.4Hz,2H)、7.56(d,J=15.7Hz,1H)、6.62(d,J=8.4Hz,2H)、6.51(d,J=15.7Hz,1H)、6.17(s,2H)、4.26(t,J=6.9Hz,2H)、1.78 1.77(m,2H)、1.54−1.45(m,2H)、1.00(t,J=7.4Hz,3H)。
【0053】
【化17】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.55(d,J=6.9Hz,2H)、7.40−7.19(m,4H)、3.82(s,3H)、2.13(s,3H)。
【0054】
【化18】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.53−7.45(m,3H)、7.37−7.35(m,2H)、6.13(q,J=1.2Hz,1H)、3.75(s,3H)、2.58(d,J=1.3Hz,3H)。
【0055】
例6
臭化アリールとオレフィンのHeck反応に関する一般的な手順
【化19】

Pd(dba)(1.5mg、0.0025mmol)およびチオ尿素1g(3.4mg、0.01mmol)をNMP(0.5mL)中、室温で0.5時間攪拌した。臭化アリール(2.5mmol、S/C=1000)、オレフィン(3.8mmol)および酢酸ナトリウム330mg(3.8mmol)を順次加えた。次いで、フラスコを隔膜で密封し、130℃に加熱した。指定時間の後、溶液を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水および食塩水で洗浄した。酢酸エチルを減圧下で除去し、ニトロベンゼン(0.128mL)を内部標準として加えた。カップリング生成物の収率は、HNMR(400MHzまたは300MHz)分析で、生成物のα/β−Hおよびニトロベンゼン(内部標準)のオルト−Hのピーク強度を比較することにより、測定した。
【0056】
【化20】

HNMR(300MHz、CDCl)δ9.99(s,1H)、7.87(d,J=8.1Hz,2H)、7.70−7.62(m,3H)、6.52(d,J=15.9Hz,1H)、3.79(s,3H)。
【0057】
【化21】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.80−7.75(m,3H)、7.42(d,J=6.8Hz,2H)、6.34(d,J=16.1Hz,1H)、3.63(s,3H)、2.42(s,3H)。
【0058】
【化22】

HNMR(400MHz、CDCl)δ7.53−7.45(m,4H)、7.36−7.32(m,4H)、7.28−7.26(m,2H)、7.17(d,J=12.3Hz,1H)、7.07(d,J=12.3Hz,1H)、2.55(s,3H)。
【0059】
【化23】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.85−7.32(m,15H)、6.24(d,J=16.2Hz,1H)。
【0060】
【化24】

HNMR(300MHz、CDCl)δ8.70(d,J=1.3Hz,1H)、8.45(d,J=3.5Hz,1H)、7.52(d,J=9.0Hz,1H)、7.36−7.33(m,2H)、7.30−7.25(m,4H)、7.10(d,J=16.2Hz,1H)、7.00(d,J=16.2Hz,1H)。
【0061】
例7
不活性化された臭化アリールおよび活性化された塩化物とオレフィンのHeck反応に関する一般的な手順
【化25】

Pd(dba)(1.5mg、0.0025mmol)、チオ尿素1g(3.4mg、0.01mmol)および酢酸ナトリウム33mg(3.8mmol)を溶融TBAB(0.5g)中、100℃で10分間攪拌した。ハロゲン化アリール(0.25mmol、S/C=100)およびオレフィン(0.38mmol)を順次加えた。次いで、フラスコを隔膜で密封し、135℃に加熱した。指定時間の後、溶液を酢酸エチル(20mL)で希釈し、水および食塩水で洗浄した。酢酸エチルを減圧下で除去し、ニトロベンゼン(0.0128mL)を内部標準として加えた。カップリング生成物の収率は、HNMR(400MHzまたは300MHz)分析で、生成物のα/β−Hおよびニトロベンゼン(内部標準)のオルト−Hのピーク強度を比較することにより、測定した。
【0062】
【化26】

HNMR(400MHz、CDCl)δ7.64−7.52(m,4H)、7.45−7.40(m,3H)、7.33(d,J=12.1Hz,1H)、7.10(d,J=12.1Hz,1H)、6.98(d,J=8.2Hz,2H)、3.88(s,3H)。
【0063】
【化27】

HNMR(400MHz、CDCl)δ7.93(d,J=7.0Hz,1H)、7.74(d,J=7.0Hz,1H)、7.60−7.51(m,5H)、7.39−7.30(m,3H)、7.07(d,J=16.1Hz,1H)。
【0064】
【化28】

HNMR(400MHz、CDCl)δ8.13(d,J=17.3Hz,1H)、8.05(d,J=7.8Hz,1H)、7.84(d,J=6.8Hz,1H)、7.27−7.24(m,2H)、6.36(d,J=17.3Hz,1H)、4.22(t,J=5.0Hz,2H)、1.71−1.67(m,2H)、1.32−1.28(m,2H)、0.96(t,J=6.8Hz,3H)。
【0065】
【化29】

HNMR(300MHz、CDCl)δ7.62(d,J=15.6Hz,1H)、7.41(d,J=7.1Hz,2H)、6.66(d,J=7.1Hz,2H)、6.22(d,J=15.6Hz,1H)、4.18(t,J=6.7Hz,2H)、3.00(s,6H)、1.71−1.66(m,2H)、1.47−1.40(m,2H)、0.96(t,J=8.2Hz,3H)。
【0066】
例8
ハロゲン化アリールとホウ酸のSuzuki反応に関する一般的な手順
【化30】

ヨウ化または臭化アリール(0.5mmol)アリールホウ酸(0.6mmol)、KCO(1.0mmol)、ビス−チオ尿素−Pd(dba)1q錯体のNMP溶液(2.5x10−3M)およびNMP/HO(0.75ml/0.25ml)を、好気性条件下でフラスコに加えた。フラスコをゴム隔膜で密封し、所望の温度に加熱した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水および食塩水で洗浄し、NaSO上で除湿した。溶剤を除去し、残留物をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、生成物を得た。
【0067】
【化31】

HNMR(200MHz、CDCl)δ7.56−7.50(m,4H)、7.44−7.37(m,2H)、7.32−7.25(m,1H)、6.97(d,J=8.7Hz,2H)、3.84(s,3H)。
【0068】
【化32】

HNMR(200MHz、CDCl)δ10.05(s,1H)、7.97−7.93(m,2H)、7.77−7.72(m,2H)、7.52−7.39(m,3H)。
【0069】
【化33】

HNMR(200MHz、CDCl)δ8.10(d,J=8.2Hz,2H)、7.68−7.60(m,4H)、7.49−7.36(m,3H)、3.93(s,3H)。
【0070】
【化34】

HNMR(200MHz、CDCl)δ8.45(m,1H)、8.21−8.17(m,1H)、7.93−7.89(m,1H)、7.64−7.56(m,3H)、7.50−7.42(m,3H)。
【0071】
【化35】

HNMR(400MHz、CDCl)δ8.50−8.49(m,1H)、8.34(d,J=8.0Hz,1H)、8.06(s,2H)、7.98−7.95(m,2H)、7.73(t,J=8.0Hz,1H)。
【0072】
【化36】

HNMR(200MHz、CDCl)δ8.41−8.40(m,1H)、8.28−8.23(m,1H)、7.89−7.84(m,1H)、7.68−7.60(m,1H)、7.16−7.12(m,2H)、6.92−6.83(m,1H)。
【0073】
【化37】

HNMR(400MHz、CDCl)δ7.49(d,J=8.8Hz,2H)、7.09−7.03(m,2H)、6.98(d,J=8.8Hz,2H)、6.76−6.70(m,1H)、3.86(s,3H)。
【0074】
【化38】

HNMR(200MHz、CDCl)δ8.29(d,J=9.0Hz,2H)、7.73(d,J=9.0Hz,2H)、7.60(m,2H)、7.52−7.40(m,3H)。
【0075】
【化39】

HNMR(400MHz、CDCl)δ7.36−7.33(m,10H)、5.47(s,2H)。
【0076】
引用した文献は、引用されることにより、本願明細書の開示の一部とされる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】チオ尿素Iのいくつかの代表的な構造を示す。
【図2】チオ尿素配位子IIのいくつかの代表的な構造を示す。
【図3】チオ尿素配位子IIIのいくつかの代表的な構造を示す。
【図4】シス−およびトランス−PdCl・(1g)の構造を示す(分かり易くするために、水素原子は省略してある。熱振動楕円体(thermalellipsoid)は30%の確率で示す)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造Iで表される、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子であって、
【化1】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、およびRが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、−(CH−R80COOR(ここで、は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)、および、CONR(ここで、またはは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)であり、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項2】
およびRが、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルまたはt−ブチルであり、
、R、R、およびRが存在せず、
n=1および2である、請求項1に記載のN,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項3】
構造IIで表される、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子であって、
【化2】

(式中、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
ビフェニルコアのAおよびA’環が、それぞれ独立して、置換されていないか、または、RおよびRで、1、2、3、または4回、それぞれ置換されており、
およびRが、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルコキシル、−SiR、または−(CH−R80であり、
80が、置換されていないか、または、置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項4】
およびRが存在せず、RおよびRが、それぞれ独立して、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、シクロヘキシルまたはイソプロピルである、請求項3に記載のN,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項5】
およびRがメチルまたはメトキシであり、RおよびRが、それぞれ独立して、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、シクロヘキシルまたはイソプロピルである、請求項3に記載のN,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項6】
構造IIIで表される、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子であって、
【化3】

(式中、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
ビナフチルコアの4個のアリール環が、それぞれ独立して、置換されていないか、または、安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R、R、R、およびRでそれぞれ置換されており、
、R、R、およびRが、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルコキシル、−SiR、または−(CH−R80であり、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項7】
、R、R、およびRが存在せず、
およびRが、好ましくは、それぞれ独立して、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、シクロヘキシルおよびイソプロピルから選択される、請求項6に記載のN,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項8】
構造IVで表される、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子であって、
【化4】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルコキシル、−SiR、または−(CH−R80であり、
80が、置換されていないか、または、置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項9】
およびRが、好ましくは、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルまたはt−ブチルから選択され、
、R、R、およびRが存在せず、
=R=R=R10=エチル、メチル、ベンジル、C、C10、またはC12であり、
n=1および2である、請求項8に記載のN,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項10】
構造Vで表される、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子であって、
【化5】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12が、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、 アリール環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R13で置換されており、
13が、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルコキシル、−SiR、または−(CH−R80であり、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項11】
およびRが、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、またはt−ブチルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12が存在せず、
13が、2,4,6−トリメチルまたは2,4−ジメチルであり、
n=1および2、m=1である、請求項10に記載のN,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項12】
およびRが、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、またはt−ブチルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10が存在せず、
13が存在せず、
n=1および2、m=0である、請求項10に記載のN,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項13】
構造VIで表される、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子であって、
【化6】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
アリール環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R11およびR12で置換されており、
11およびR12が、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルコキシル、−SiR、または−(CH−R80であり、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項14】
およびRが、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、またはt−ブチルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10が存在せず、
11およびR12が存在せず、
n=1および2である、請求項13に記載のN,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項15】
構造VIIで表される、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子であって、
【化7】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
ビナフチルコアの4個のアリール環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R11、R12、R13、およびR14で置換されており、
11、R12、R13、およびR14が、それぞれ独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ハロゲン、アルコキシル、−SiR、または−(CH−R80であり、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項16】
およびRが、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニル、またはt−ブチルであり、
、R、R、R、R、R、R、R10が存在せず、
11、R12、R13、およびR14が存在せず、
n=1および2である、請求項15に記載のN,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項17】
アリールオレフィンを生成させるのに効果的な条件下において、パラジウム触媒およびN,N’−二置換されたチオ尿素配位子を使用するHeck反応によって、ハロゲン化アリールおよびオレフィンからアリール置換されたオレフィンを製造する方法(スキーム1)であって、
【化8】

(1)遷移金属、本発明の配位子 (2)塩基、>100℃
(式中、
Arが、未置換および置換の、単環式芳香族部分または多環式芳香族もしくは複素芳香族部分であり、
Xが、Cl、Br、I、−OS(O)アルキル、−OS(O)アリールまたは−SOClであり、
Rが、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルオキシ、アミノ、またはトリアルキルキルシリルであり、
前記遷移金属が、VIIIA族金属(Pd(dba)、Pd(OAc)、PdCl、PdCl(CHCN)、またはNiCl、Ni(COD))であり、
前記塩基が、カーボネート、アセテート、フルオライド、トリアルキルアミン、ホスフェート、アルコキシド、またはアミドであり、
前記N,N’−二置換されたチオ尿素配位子が、下記構造1〜8の一つである、方法:
【化9】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、およびRが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、−(CH−R80COOR(ここで、は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)、または、CONR(ここで、またはは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)であり、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数であり、
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化10】

(式中、
AおよびA’が、独立して、単環式または多環式シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、または複素環の縮合環を表し、前記環が4〜8個の骨格原子を有し、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、およびRが、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
およびRが、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
AおよびA’が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、RおよびRで置換されており、
およびR、または、RおよびR、またはそれらの両方が、ともに、所望により骨格中に5〜7個の原子を有する環を表し、前記環が、その骨格中にゼロ、1または2個の異原子を有し、置換されているか、または置換されてなく、
80が、それぞれ独立して、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化11】

(式中、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
80が、それぞれ独立して、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数であり、
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化12】

(式中、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
ビナフチルコアのAおよびA’環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、RおよびRで置換されており、
80が、それぞれ独立して、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化13】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、−(CH−R80COOR(ここで、は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)、およびCONR(ここで、またはは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)であり、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化14】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12が、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、 アリール環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R13で置換されており、
13が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化15】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
アリール環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R11およびR12で置換されており、
11およびR12が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数であり、
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化16】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
ビナフチルコアの4個のアリール環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R11、R12、R13、およびR14で置換されており、
11、R12、R13、およびR14が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項18】
前記N,N’−二置換されたチオ尿素配位子が構造1であり、
前記遷移金属がパラジウムであり、
前記塩基がトリアルキルアミン、アセテート、フルオライド、カーボネート、ホスフェート、ヒドロキシド、およびアミドである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
およびRが、好ましくは、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルおよびt−ブチルから選択され、R、R、R、およびRが存在せず、Xが、I、Br、またはClを表し、Rがアルキル、アリール、ヘテロアリールを表す、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記N,N’−二置換されたチオ尿素配位子が構造5であり、
前記遷移金属がパラジウムであり、
前記塩基がトリアルキルアミン、アセテート、フルオライド、カーボネート、ホスフェート、ヒドロキシド、およびアミドである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
およびRが、好ましくは、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルまたはt−ブチルから選択され、R、R、R、およびRが存在せず、R=R=R=R10=エチル、メチル、ベンジル、C、C10、またはC12であり、n=1であり、Xが、I、Br、またはClを表し、Rがアルキル、アリール、ヘテロアリールを表す、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記N,N’−二置換されたチオ尿素配位子が構造6であり、
前記遷移金属がパラジウムであり、
前記塩基がトリアルキルアミン、アセテート、フルオライド、カーボネート、ホスフェート、ヒドロキシド、およびアミドである、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
およびRが、好ましくは、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルおよびt−ブチルから選択され、R、R、R、R、R、R、R、R10が存在せず、R13が存在せず、n=1であり、m=0であり、Xが、I、Br、またはClを表し、Rがアルキル、アリール、ヘテロアリールを表す、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ArCH=CHRの収率が約50〜約99%である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
スキーム2に示す方法であって、
【化17】

(1)遷移金属、本発明の配位子 (2)塩基、>100℃
(式中、
ArおよびAr’が、独立して、未置換または置換の、単環式または多環式芳香族もしくは複素芳香族部分からなる群から選択され、
Xが、Cl、Br、I、−OS(O)アルキル、−OS(O)アリール、または−SOClであり、
前記遷移金属が、VIIIA族金属(Pd(dba)、Pd(OAc)、PdClおよびNiCl、Ni(COD))であり、
前記塩基が、カーボネート、アセテート、トリアルキルアミン、ホスフェート、またはアルコキシドであり、
前記N,N’−二置換されたチオ尿素配位子が、下記構造1〜8の一つである、方法:
【化18】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、およびRが、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、−(CH−R80COOR(ここで、はアルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)、または、CONR(ここで、またはは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)であり、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化19】

(式中、
AおよびA’が、独立して、単環式または多環式シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、および複素環からなる群から選択された縮合環を表し、前記環が4〜8個の骨格原子を有し、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、およびRが、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
およびRが、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
AおよびA’が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、RおよびRで置換されており、
およびR、またはRおよびR、またはそれら両方が、ともに、所望により骨格中に5〜7個の原子を有する環を表し、前記環が、その骨格中にゼロ、1または2個の異原子を有し、前記環が、置換されているか、または置換されてなく、
80が、それぞれ独立して、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化20】

(式中、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
80が、それぞれ独立して、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化21】

(式中、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
ビナフチルコアのAおよびA’環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、RおよびRで置換されており、
80が、それぞれ独立して、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化22】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
およびRが、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80から選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10が、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロゲン化アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、−(CH−R80COOR(ここで、は、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)、または、CONR(ここで、またはは、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、および−(CH−R80である。)であり、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化23】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、およびR12が、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、 前記アリール環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R13で置換されており、
13が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化24】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
アリール環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R11およびR12で置換されており、
11およびR12が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子、
【化25】

(式中、
nが1〜8の整数であり、
、R、R、R、R、R、R、およびR10が、それぞれ独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、または−(CH−R80であり、
ビナフチルコアの4個のアリール環が、独立して、置換されていないか、または安定性および原子価の法則により許容される限界まで、何度でも、R11、R12、R13、およびR14で置換されており、
11、R12、R13、およびR14が、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシル、シリルオキシ、ニトロ、アルキルチオ、アミド、ホスホリル、ホスホネート、カルボニル、カルボキシル、カルボキサミド、シリル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、セレノアルキル、ケトン、アルデヒド、グアニジン、アミジン、アセタール、ケタール、アミンオキシド、アリール、アジド、カルバメート、イミド、オキシム、スルホンアミド、尿素、または−(CH−R80を表し、
80が、置換されていないか、または置換されたアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、または別の多環式化合物を表し、
mが、それぞれ独立して、0〜8の整数である。)
キラルである場合、鏡像異性体の混合物または単一の鏡像異性体である、N,N’−二置換されたチオ尿素配位子。
【請求項26】
前記N,N’−二置換されたチオ尿素配位子が構造1であり、
前記遷移金属がパラジウムであり、
前記塩基がトリアルキルアミン、アセテート、カーボネートまたはホスフェートである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
およびRが、好ましくは、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルまたはt−ブチルであり、R、R、R、およびRが存在せず、Xが、I、Br、またはSOClを表し、ArおよびAr’がアリール、またはヘテロアリールを表す、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記N,N’−二置換されたチオ尿素配位子が構造5であり、
前記遷移金属がパラジウムであり、
前記塩基がトリアルキルアミン、アセテート、フルオライド、カーボネート、ホスフェート、ヒドロキシド、またはアミドである、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
およびRが、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルまたはt−ブチルであり、R、R、R、およびRが存在せず、R=R=R=R10=エチル、メチル、ベンジル、C、C10、またはC12であり、n=1であり、Xが、I、Br、またはSOClを表し、ArおよびAr’がアリールまたはヘテロアリールを表す、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記N,N’−二置換されたチオ尿素配位子が構造6であり、
前記遷移金属がパラジウムであり、
前記塩基がトリアルキルアミン、アセテート、フルオライド、カーボネート、ホスフェート、ヒドロキシド、またはアミドである、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
およびRが、好ましくは、それぞれ独立して、2,4,6−メシチル、2,5−ジ−t−ブチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルおよびt−ブチルから選択され、
、R、R、R、R、R、R、R10が存在せず、
13が存在せず、n=1であり、m=0であり、Xが、I、Br、またはSOClを表し、ArおよびAr’がアリールまたはヘテロアリールを表す、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
Ar−Ar’の収率が約50〜約99%である、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−530461(P2007−530461A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504240(P2007−504240)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【国際出願番号】PCT/CN2005/000391
【国際公開番号】WO2005/091697
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(504404227)ザ ユニバーシティ オブ ホンコン (5)
【Fターム(参考)】