説明

チップレットドライバーを用いるディスプレイデバイス

基板と、第1の方向において基板にわたって行内に形成される行電極のアレイを有する第1の層と、該第1の方向とは異なる第2の方向において前記基板にわたって列内に形成される列電極のアレイを有する第2の層であって、該行電極及び該列電極は重なり合ってピクセル位置を形成する、第1の層及び第2の層と、前記行電極と前記列電極との間に形成され、ピクセルの2次元アレイを形成するものであって、該ピクセルは前記ピクセル位置内に配置される、1つ又は複数の発光材料層と、前記基板上に配置されるものであって、該チップレットの数はピクセルの数よりも少なく、各チップレットは行電極のサブセット及び列電極のサブセットを排他的に制御し、それにより、前記ピクセルを制御して画像を表示する、複数のチップレットとを備える、ディスプレイデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピクセルアレイを制御するための分散し、独立したチップレットを備える基板を有するディスプレイデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネルディスプレイデバイスは、コンピューティングデバイスと共に、そしてポータブルデバイスにおいて、さらにはテレビのような娯楽デバイス用に広く用いられている。そのようなディスプレイは通常、基板上に分散配置される複数のピクセルを用いて画像を表示する。各ピクセルは、各画素を表すために、通常赤色光、緑色光、及び青色光を放射する、一般的にサブピクセルと呼ばれるいくつかの異なる色の発光素子を組み込んでいる。ピクセルは、本明細書で用いられるとき、単一の発光素子又はさまざまな色の発光素子のグループを指すことができる。種々のフラットパネルディスプレイ技術、たとえば、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、及び発光ダイオード(LED)ディスプレイが知られている。
【0003】
発光素子を形成する発光材料の薄膜を組み込んだ発光ダイオード(LED)は、フラットパネルディスプレイデバイスにおいて数多くの利点を有し、光学システムにおいて有用である。Tang他に対する特許文献1は、有機LED(OLED)発光素子のアレイを含む有機LEDカラーディスプレイを示している。代替的には、無機材料を用いることができ、無機材料は多結晶半導体マトリックス内に燐光性結晶又は量子ドットを含むことができる。有機材料又は無機材料の他の薄膜を用いて、発光薄膜材料への電荷の注入、輸送、又は遮断を制御することもでき、そのような薄膜が当該技術分野において知られている。それらの材料は基板上において電極間に配置され、封入カバー層又はプレートを備える。発光材料に電流が通電するときに、ピクセルから光が放射される。放射される光の周波数は、用いられる材料の特性に依存する。そのようなディスプレイでは、基板を通じて(ボトムエミッター)、又は封入カバーを通じて(トップエミッター)、又はその両方を通じて光を放射することができる。
【0004】
LEDデバイスは、パターニングされた発光層を備えることができ、材料に電流が通電するときに異なる色の光を放射させるために、そのパターンにおいて異なる材料が用いられる。代替的には、Cokによる特許文献2において教示されているように、フルカラーディスプレイを形成するために、カラーフィルターと共に単一の発光層、たとえば、白色エミッターを用いることができる。たとえば、Cok他による特許文献3において教示されているように、カラーフィルターを含まない白色サブピクセルを用いることも知られている。この開示及び他の開示では、デバイスの効率を改善するために、赤色、緑色、及び青色のカラーフィルター及びサブピクセルと、フィルターを備えていない白色サブピクセルとを含む4色ピクセルと共に、パターニングされていない白色エミッターを用いる設計が教示されている(たとえば、Miller他に対する特許文献4を参照されたい)。
【0005】
フラットパネルディスプレイデバイス内のピクセルを制御するための2つの異なる方法、すなわち、アクティブマトリックス制御及びパッシブマトリックス制御が一般的に知られている。パッシブマトリックスデバイスでは、基板は能動電子素子(たとえば、トランジスタ)を含まない。行電極アレイ及び別の層内にある直交する列電極アレイが基板上に形成される。行電極と列電極とが重なり合う交差部は発光ダイオードの電極を形成する。その際、外部ドライバチップが、各行(又は列)に電流を順次に供給し、その間、直交する列(又は行)が、その行(又は列)内の各発光ダイオードを点灯させるのに適した電圧を供給する。それゆえ、パッシブマトリックス設計は、2n個の接続を用いて、n2個の別々に制御可能な発光素子を作製する。しかしながら、パッシブマトリックス駆動デバイスでは、行(又は列)を順次に駆動する性質によってフリッカーが生じるので、デバイス内に含めることができる行(又は列)の数に制限がある。含める行の数が多すぎる場合には、フリッカーは知覚できるほどになる可能性がある。さらに、ディスプレイ内の1つの行全体(又は列全体)を駆動するために必要な電流は問題をはらむ可能性があり、PM駆動の画像形成以外の予備充電ステップ及び放電ステップのために必要とされる電力は、PMディスプレイの面積が大きくなると支配的になる。これら2つの問題が、パッシブマトリックスディスプレイの物理的なサイズを制限する。
【0006】
アクティブマトリックスデバイスでは、フラットパネル基板上に分散配置された半導体材料、たとえば、アモルファスシリコン又は多結晶シリコンの薄膜から能動制御素子が形成される。通常、各サブピクセルは1つの制御素子によって制御され、各制御素子は少なくとも1つのトランジスタを含む。たとえば、簡単なアクティブマトリックス有機発光(OLED)ディスプレイでは、各制御素子は2つのトランジスタ(選択トランジスタ及び駆動トランジスタ)と、サブピクセルの輝度を指定する電荷を蓄えるための1つのキャパシタとを含む。各発光素子は通常、独立した制御電極及び共通電極を用いる。発光素子の制御は通常、データ信号線、選択信号線、電源接続、及びグラウンド接続を通して提供される。アクティブマトリックス素子は、必ずしもディスプレイには限定されず、基板上に分散配置することができ、空間的な分散制御を必要とする他の用途において用いることができる。アクティブマトリックスデバイスでは、パッシブマトリックスデバイスと同じ数の外部制御線(電源及びグラウンドを除く)を用いることができる。しかしながら、アクティブマトリックスデバイスでは、各発光素子は、制御回路とは別の駆動接続を有し、データ設定のために選択されないときでも、フリッカーが除去されるようにアクティブである。
【0007】
アクティブマトリックス制御素子を形成する1つの一般的な従来技術の方法は通常、シリコン等の半導体材料の薄膜をガラス基板上に堆積させ、次いでフォトリソグラフィ工程を通じて半導体材料をトランジスタ及びキャパシタに形成する。薄膜シリコンは、アモルファス又は多結晶のいずれかとすることができる。アモルファスシリコン又は多結晶シリコンから作製される薄膜トランジスタ(TFT)は、結晶シリコンウェハーにおいて作製される従来のトランジスタと比較して相対的に大きく、かつ性能が低い。さらに、そのような薄膜デバイスは通常、ガラス基板全体にわたって局所的な又は広域の不均一性を示し、結果として、そのような材料を用いるディスプレイの電気性能及び外観に不均一性が生じる。
【0008】
代替的な制御技法を用いるものとして、Matsumura他は、特許文献5において、LCDディスプレイの駆動に用いられる結晶シリコン基板を記述している。その出願は、第1の半導体基板から作製されるピクセル制御デバイスを第2の平坦なディスプレイ基板上に選択的に移送し、固定するための方法を記述している。ピクセル制御デバイス内の配線相互接続、並びにバス及び制御電極からピクセル制御デバイスへの接続が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,384,529号明細書
【特許文献2】米国特許第6,987,355号明細書
【特許文献3】米国特許第6,919,681号明細書
【特許文献4】米国特許第7,230,594号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2006/0055864号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来のパッシブマトリックスディスプレイ設計は、発光素子のサイズ及び数において制限され、TFTを用いるアクティブマトリックス設計は電気的性能が低いので、これらの問題を克服する、LEDを利用するディスプレイデバイスのための改善された制御が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、
(a)基板と、
(b)第1の方向において前記基板にわたって行内に形成される行電極のアレイを有する第1の層、及び該第1の方向とは異なる第2の方向において前記基板にわたって列内に形成される列電極のアレイを有する第2の層であって、該行電極及び該列電極は重なり合ってピクセル位置を形成する、第1の層及び第2の層と、
(c)前記行電極と前記列電極との間に形成され、ピクセルの2次元アレイを形成するものであって、該ピクセルは前記ピクセル位置内に配置される、1つ又は複数の発光材料層と、
(d)前記基板上に配置されるものであって、チップレットの数はピクセルの数よりも少なく、各チップレットは行電極のサブセット及び列電極のサブセットを排他的に制御し、それにより、前記ピクセルを制御して画像を表示する、複数のチップレットと、
を備える、ディスプレイデバイスが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、行電極及び列電極の接続を有するチップレットドライバーを備えるディスプレイデバイスを提供することによって、接続パッドの数、チップレットの数及びサイズがいずれも削減されるという利点を有する。本発明の1つの実施の形態では、複数のアレイによって、フリッカー及び消費電力の低減をもたらす。本発明の別の利点は、ディスプレイ基板上に配線のための大きな空間を与えることによって、より低いコストであり、かつより高い電気的性能を有するより大きなワイヤを用いることができることである。さらなる利点は、単結晶シリコンチップレットは高い移動度及び均一性を有することである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の一実施形態による、発光ダイオードのボトム電極への2つの接続を有する、図2の線1A−1Aに沿って見たチップレットの断面図である。
【図1B】本発明の一実施形態による、発光ダイオードのトップ電極への2つの接続を有する、図2の線1B−1Bに沿って見たチップレットの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による、接続パッドを有する、対角線上に向けられるチップレットの概略的な平面図である。
【図3A】本発明の一実施形態による、行電極及び列電極、並びに対角線上に向けられるチップレットを有するディスプレイデバイスの概略図である。
【図3B】本発明の一実施形態による、行電極及び列電極、並びに対角線上に向けられるチップレットを有するディスプレイデバイスの概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による、行電極及び列電極、並びに対角線上に向けられる3つのチップレットを有するディスプレイデバイスの概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による、互いに排他的なサブアレイに分割されるピクセルアレイ、及び対角線上に向けられる2つのチップレットを有するディスプレイデバイスの概略図である。
【図6】本発明の代替の実施形態による、ピクセルアレイ、及び別の分布で対角線上に向けられる3つのチップレットを有するディスプレイデバイスの概略図である。
【図7】本発明の別の実施形態による、ビアを用いてチップレット接続パッドに接続される行電極及び列電極を有するディスプレイデバイスの概略図である。
【図8】本発明の別の実施形態による、複数のチップレット、及びチップレットデバイスを避けるように配線されるバスを有するディスプレイデバイスの概略図である。
【図9】本発明の別の実施形態による、バスによって接続される複数のチップレットを有するディスプレイデバイスの概略図である。
【図10A】本発明の別の実施形態による、異なる接続パッドを有するチップレットの断面図である。
【図10B】本発明の一実施形態による、図10Aの平面図である。
【図11】本発明の一実施形態による、複数の2次元ピクセルアレイの概略図である。
【図12A】本発明の一実施形態による、複数のチップレット、及び基板上に蛇行して配置されるバスの図である。
【図12B】図12Aの例示を理解するのに役に立つ、複数の接続を有するチップレットの平面図である。
【図13】本発明の一実施形態による、複数のチップレット、及び基板上に蛇行して配置されるバスのさらに広域的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面中の種々の層及び素子は大きく異なるサイズを有するので、それらの図面は縮尺通りではない。
【0015】
図3Aを参照すると、一実施形態において、本発明は、基板10と、第1の方向において基板10にわたって行内に形成される行電極16のアレイを有する第1の層と、第1の方向とは異なる第2の方向において基板10にわたって列内に形成される列電極12のアレイを有する第2の層とを含むディスプレイデバイスを含み、第1の電極及び第2の電極は重なり合って、ピクセル位置30を形成する。図1Aも参照すると、1つ又は複数の発光材料層14が行電極16と列電極12との間に形成される。発光ダイオード15は、ピクセル位置においてピクセルの2次元アレイ32を形成し、行電極16及び列電極12から発光層14を通って電流が流れるときに光を放射するピクセル30である。基板10上に複数のチップレット20が配置され、チップレット20の数はピクセル30の数よりも少なく、画像を表示するためにピクセルが制御されるように、各チップレット20は、行電極16のサブセット及び列電極12のサブセットを排他的に制御する。各チップレットは、ディスプレイデバイス基板10から独立した別個の基板28を有する。この開示では、ピクセル、サブピクセル及び発光素子は全て発光ダイオード15を指している。
【0016】
各チップレット20は、そのチップレット20が接続パッド24を通して接続されるピクセル30を制御するための回路部22を含むことができる。回路部22は、そのチップレット20がサブセット行又はサブセット列において接続されるピクセル30毎の所望の輝度を表す値を格納する記憶素子26を含むことができ、チップレット20はそのような値を用いて、ピクセル30に接続される行電極16又は列電極12を制御し、それによりピクセル30を起動して光を放射する。たとえば、チップレット20が8行及び8列のサブセットに接続される場合には、8つの記憶素子26を用いて、8行又は8列のための輝度情報を格納することができる。新たな行又は列が起動される度に、輝度情報の新たなサブセットをチップレット20に供給することができる。本発明の一実施形態では、サブセット行又はサブセット列毎に2つの記憶素子26を用いることができ、それにより、記憶素子26の一方には輝度情報を格納することができ、他方の記憶素子26を用いて、輝度情報を表示する。本発明のさらに別の実施形態では、チップレット20が接続される発光素子30毎に1つ又は2つの記憶素子26を用いることができる。
【0017】
平坦化層18を用いて平滑な表面を形成することができ、その表面上に、行電極16及び列電極12並びに発光層14を形成することができる。図1Aに示されるように、チップレット20の接続パッド24は、ここでは列電極12として示され、図2の断面線1A−1A’を用いて指示される、発光ダイオード15のボトム電極に接続することができる。代替的には、図1Bに示されるように、チップレット20の接続パッド24は、ここでは行電極16として示され、図2の断面線1B−1B’を用いて指示される、発光ダイオードのトップ電極に接続することができる。このようにして、チップレット20の接続パッドは、行電極16又は列電極12のいずれかに接続することができる。図2では、チップレット20の接続パッド24は列電極16に接続される列接続パッド24A及び行電極16に接続される行接続パッド24Bとして区別される。それゆえ、本発明の一実施形態では、チップレット20は2行(図10Bにおいて25A及び25B)の接続パッド24を有し、接続パッド24Aの一方の行は対応する行電極16に接続され、接続パッド24Bの他方の行は対応する列電極12に接続される。しかしながら、図3に示されるように、列接続パッド24Aと行電極16との間に十分な空間を与えることによって、かつ行接続パッド24Bと列電極12との間の十分な空間を与えることによって、行電極パッド24A及び列電極パッド24Bは、行電極16と列電極12との間の短絡を避けるように基板10上に配置される。図3Aは、例示的な目的を果たすために描かれた簡略化された図である。図3Bに示される1つの例示的な実施形態では、列接続パッド24A(図示せず)を行電極16で覆って、ピクセル30を画定する重なり合うエリアを大きくし、それにより、ディスプレイデバイスのアパーチャ比を大きくし、かつディスプレイの寿命を延ばすことができる。本発明のディスプレイデバイスを構成するために用いられる製造工程の許容範囲に応じて、列電極12と行接続パッド24Bと行電極16との間の短絡がない限り、列電極12のサイズを大きくすることができる。
【0018】
図4を参照すると、本発明のディスプレイデバイスの一実施形態は、行電極16及び列電極12の交差部によって形成される2次元ピクセルアレイ32上に分散する複数のチップレット(20A、20B、20C)を含むことができる(図1A及び図1Bと同様に電極を接続パッドに接続できるように、チップレットは電極の背後に配置されるが、図4、図6及び図11では明確に例示するために、チップレットが電極の前方に示されることに留意されたい)。各チップレット20は、行電極16及び列電極12の互いに排他的なサブセットに接続される。図4に示されるように、チップレット20Aが2次元ピクセルアレイ32内の最も上にある6つの行電極16に、かつ最も左にある6つの列電極12に接続される。チップレット20Bが、2次元ピクセルアレイ32内の中央の6つの行電極16及び中央の6つの列電極12に接続される。チップレット20Cが、ピクセルアレイ32内の最も下にある6つの行電極16及び最も右にある列電極12に接続される。それゆえ、ピクセルアレイ32は、それぞれ12個の接続パッドを備える3つのチップレット20によって制御される、18×18、すなわち、324素子を有する。図4を注意深く検討すると、各チップレット20が行電極16及び列電極12の別々のグループを制御することがわかる。
【0019】
図5は、2つのチップレット20A及び20Bのみを有するさらに詳細な図である。チップレット20Aが、行電極16A及び列電極12Aに接続される。チップレット20Bが、行電極16B及び列電極12Bに接続される。それゆえ、チップレット20Aが、第1のピクセルサブセット32Aを制御し、チップレット20Bが、第1のピクセルサブセット32Dを制御する。チップレット20Aは、ピクセルアレイ32内のピクセル30の第2のピクセルサブセット32Cのための列電極12Aのみを制御し、ピクセルアレイ32内のピクセル30の第3のピクセルセブセット32Bのための行電極16Aのみを制御する。同様に、チップレット20Bは、ピクセルアレイ32内のピクセル30の第2のピクセルサブセット32Bのための列電極12Bのみを制御し、ピクセルアレイ32内のピクセル30の第3のピクセルサブセット32Cのための行電極16Bのみを制御する。ピクセルサブセット32A、32B、32C、32Dは互いに排他的である。それゆえ、チップレット20Aはピクセルサブセット32A内のピクセル30を制御するために必要な行電極16A及び列電極12Aの両方を制御するので、チップレット20Aはピクセルサブセット32A内のピクセル30を完全に制御する。同様に、チップレット20Bはピクセルサブセット32D内のピクセル30を制御するために必要な行電極16B及び列電極12Bの両方を制御するので、チップレット20Bはピクセルサブセット32D内のピクセル30を完全に制御する。それゆえ、行電極16A及び16Bは電気的に独立しており、列電極12A及び12Bは電気的に独立している。しかしながら、両方のチップレット20A及びチップレット20Bが協調して動作し、ピクセルサブセット32B及び32C内のピクセル30を制御する。この制御は、チップレット20内の回路部22によって提供される。ピクセルサブセット32A及び32Dは完全に制御されるので、それらのサブセットは直接駆動ピクセルアレイと呼ばれるのに対して、ピクセルサブセット32B及び32Cは間接駆動ピクセルサブセットと呼ばれる。
【0020】
本発明は、従来技術よりも安いコストを提供する。たとえば、従来のアクティブマトリックスバックプレーンを用いて、図4の324ピクセル30を駆動していた場合、相対的に低い性能及び高い費用の薄膜半導体バックプレーンが必要になっていたことになる。代わりに、本発明は、いくつかの性能が高く、安価なチップレットを用いて、ピクセル30を駆動する。
【0021】
本発明の種々の実施形態において、多種多様のチップレットレイアウトを用いることができる。図3A、図3B、図4及び図5に示されるように、チップレット20はピクセルアレイ32の対角線13上に配置される。隣接するチップレット20が、隣接する第2の列電極サブセットを制御し、隣接するチップレットが隣接する第3の行電極サブセットを制御する。本明細書において意図されるように、対角線は、行電極若しくは列電極のいずれか、又は両方に対して傾けられるか、又は斜めの線である。しかしながら、チップレット20は単一の対角線上に配列される必要はない。図6を参照し、図4と比べると、チップレット20は、離隔して配置される複数の対角線上に配置される。チップレット20Aが、最も上にある6つの行電極及び最も左にある6つの列電極を制御する(図4と同様)。しかしながら、チップレット20Bは、最も右にある6つの列電極及び中央の6つの行電極を制御する。チップレット20Cが、中央の6つの列電極及び最も下にある6つの行電極を制御する。この代替の配列は、チップレット20を分離し、より大きな空間を与えるので有用である。詳細には、チップレット内の回路部がチップレット内で著しい空間を占め、たとえば、チップレット20がチップレット20の一端においてディスプレイ接続部分21Aを有し、チップレット20の他端において制御回路部接続部分21Bを有する場合には、チップレットを大きく離隔して配置するチップレット20の配列が有用である。代替の設計では(図12A、図12B及び図13を参照)、ディスプレイ接続部分21Aはチップレット20の各端部に配置することができ、制御回路部接続部分21Bは、チップレット20の中央に配置することができる。
【0022】
本発明のさらなる実施形態では、チップレットはピクセルアレイ32の対角線上に配置されない。対角線配列は相互接続長を最小限に抑えるのに有用であるが、それらの配列では接続パッド24、並びに行電極16及び列電極12に対する注意深い位置合わせが必要である。さらに、たとえば、図3A、図3B、図4、図5及び図6に示されるように、行電極16及び列電極12の間隔によって、チップレット20が必要以上に大きくなる可能性がある。図7を参照すると、本発明の別の実施形態では、チップレット20は、チップレット20のエッジを行電極16又は列電極12と位置合わせすることを含む、ピクセルアレイ32及び基板10に対して任意の向きにおいて位置合わせすることができる。チップレットは長い寸法D1及び短い寸法D2を有することができ、長い寸法D1は行電極又は列電極のそれぞれ第1の方向又は第2の方向(図10B)に対して平行にすることができる。
【0023】
実際に、異なるチップレット20は異なるように位置合わせすることができる。図7に示されるように、チップレット20の長い寸法は行電極16と位置合わせされる。接続パッド24は、配線を用いて列電極12及び行電極16に接続される。ビア50を用いて、1つの配線層から別の配線層まで接続することができ、列電極12との短絡を避けるために、ビアは、たとえば、行電極16間に形成される。接続パッド24を行電極16及び列電極12に電気的に接続するのに多数の配線52が必要となる可能性があるので、トップエミッタ構成が好ましく、その場合、トップ電極(たとえば、図1A及び図1Bの16)は透明であり、ボトム電極(たとえば、図1A及び図1Bの12)は反射性にすることができる。基板10を不透明にすることもできる。
【0024】
図8を参照すると、本発明の別の実施形態では、チップレット20は、バス42を通して、外部コントローラー40に接続することができる。バス42は、シリアルバス、パラレルバス、又はポイント・ツー・ポイントバスとすることができ、デジタル又はアナログとすることができる。図9に示されるシリアルバスは、電気的に別々の電気的接続において1つのチップレットから次のチップレットにデータが再送されるバスである。図8に示されるパラレルバスは、電気的に共通の電気的接続において全てのチップレットにデータが同時にブロードキャストされるバスである。バス42をチップレットに接続して、電源信号、グラウンド信号、データ信号又は選択信号のような信号を与える。2つ以上のバス42を用いることができる。チップレット20は、チップレット20の一端においてピクセル接続部分21Aを、他端においてバス42に接続される回路部部分21Bを有することができる。図10A及び図10Bを参照すると、各チップレットは、行電極及び列電極に接続される第1のグループの接続パッド24と、制御バスに接続される第2のグループの接続パッド25とを有することができ、第1のグループ及び第2のグループの接続パッドは空間的に分離される。図10A及び図10Bにおいて示されるように、各チップレットは、チップレットの中央において、制御バスに接続される第3のグループの接続パッド25を有することもできる。第1のグループ、第2のグループ及び第3のグループの接続パッドは空間的に分離される。
【0025】
代替的には、別々のチップレット部分を用いないこともできる。図10A、図10Bを参照すると、バス42に接続するための付加的な接続パッド25をチップレット20内に設けることもでき、チップレットの回路部部分に、又はチップレット20の長い寸法D1のいずれかの端部に、又はチップレット20の中央に配置することができる。内部チップレット接続44を用いて、チップレット20の一端から別の端部までバス接続を配線することができる。
【0026】
図8に戻ると、図5に示される配列に対応するチップレット配列が示される。この配列は、デバイス基板上10上に、チップレット10によって占有されず、かつ後にバス42を配線するために用いることができるエリアを与えるという利点を有する。たとえば、図8に示されるように、ピクセルサブセット32A、32D、32E及び32Hはそれぞれ、チップレット20A、20B、20C及び20Dによって少なくとも部分的に占有されるピクセル接続エリアを形成する。対照的に、バス接続エリア32B、32C、32F及び32Gは、バス42のワイヤを配線するために用いることができるバス接続エリアを形成する。それゆえ、本発明のいくつかの実施形態において、バスは蛇行する経路を有することができる。
【0027】
図8は、バス42が、全てのチップレット20A、20B、20C及び20Dに対して共通にパラレルに接続される実施形態を示す。図9に示される代替の実施形態では、チップレット20A、20B、20C及び20Dを通ってシリアルバス42接続を配線することができる。
【0028】
図11を参照すると、本発明のさらなる実施形態では、ピクセルの複数の2次元ピクセルアレイ32を共通の基板10にわたって配置することができ、各2次元ピクセルアレイ32は、別個の1組の行電極16、列電極12及びチップレット20を有する。それゆえ、上記の構造は、より大きな基板10上で繰り返すことができる。各2次元アレイ構造は、独立して動作し、電極インピーダンス、予備充電消費電力及び放電消費電力、並びにフリッカーを低減することができる。それらの構造を共通のバス42システムに接続することができる。こうして、本発明の一実施形態では、ディスプレイデバイスは、基板と;第1の方向において基板にわたって行内に形成される行電極の複数のアレイを有する第1の層、及び第1の方向とは異なる第2の方向において基板にわたって列内に形成される列電極の対応する複数のアレイを有する第2の層であって、第1の電極及び第2の電極は重なり合って、ピクセル位置を形成する、第1の層及び第2の層と;行電極と列電極との間に形成され、ピクセルの2次元アレイを形成する1つ又は複数の発光材料層であって、ピクセルはピクセル位置に配置される、1つ又は複数の発光材料層と;基板上に配置されるアレイ毎の複数のチップレットとを含むことができ、各アレイ内のチップレットの数は対応するアレイ内のピクセルの数よりも少なく、各アレイチップレットは、対応するアレイのための行電極のサブセット及び列電極のサブセットを排他的に制御する。
【0029】
図12Aは、チップレット20が間接駆動ピクセルアレイ内に配置され、チップレットの制御回路部接続部分21Bがバス配線に真下にある実施形態を示す。チップレット20は、チップレット20の各端部に1つずつある2つのディスプレイ接続部分21Aを有する。各ディスプレイ接続部分21Aは、ワイヤによって、隣接する直接駆動ピクセルアレイ内の垂直電極に接続され、かつ水平電極に接続される。図12Aにおいて暗色で示されるピクセルの直接駆動ブロックは、ディスプレイ上でチェッカーボードパターンを形成し、配線用バスは、間接駆動ピクセルアレイ内に配置されるチップレット20の制御回路部接続部分21Bにわたって形成されるので、蛇行パターンを形成する。
【0030】
図12Bは、垂直電極及び水平電極に対するチップレット20のディスプレイ接続部分21Aの詳細な配線接続を示す。この図は、直接駆動ピクセルアレイ内の6つの水平電極及び6つの垂直電極からなる簡単な事例を示す。垂直電極に対するワイヤ上の接続は暗色の正方形で示されるのに対して、水平電極に対するワイヤ上の接続は白抜きの正方形で示される。同じような設計は、任意の数の水平接続及び垂直接続でも良好に機能するであろう。
【0031】
図12A及び図12Bは、電極接続ワイヤをパターニングして制御バス配線及び電源バス配線42のための広いエリアを残すことができ、それにより、同じ金属層内に両方のタイプのワイヤを構成することができ、それにより2つ以上の配線層を必要とする設計に比べてディスプレイのコストを削減することができることを示す。したがって、制御バスは、行電極及び列電極のために用いられる第1の層及び第2の層とは別の第3の層内に配置することができる。
【0032】
この設計のさらなる利点は、配線のために利用可能な広いエリアが存在するので、低コストの方法を用いてワイヤをパターニングできることである。たとえば、プリント回路基板製造のために開発されたシステムは、25μmライン及び25μm間隔を形成することができる低コストのフォトマスク及び近接露光装置を用いる。これらは、TFTフォトマスク及びTFTステッパー露光装置よりもはるかにコストが低い。この結果、バックプレーン製造工程は、必要とする投資費用が少なく、運用費用が少なく、かつTAC時間が短い。
【0033】
図10Bを参照すると、接続パッドは、チップレット上で接続パッドを離隔する中心間ピッチ23を有する。ビア(図1B)が、接続パッドを露出させる開口部を形成し、その開口部を通って接続パッドまで延在する第1の部分において、制御バスを接続パッドに接続することができる。制御バスは接続パッドのピッチよりも大きな幅を有する別の第2の部分を有することができ、それにより、バスワイヤの幅を広くし、導電率を改善できるようにする。
【0034】
いくつかの事例において、チップレットの物理的な長さは、チップレット移送システムの制限によって、又はチップレット内部に形成することができる電気導体の数に起因して等、制約が加えられる可能性がある。そのような事例では、チップレットのディスプレイ接続部分の長さを半分まで短くして、チップレットの第2の蛇行線を追加することができる。これが図13に示される。この実施形態において、間接的に制御されるエリアが増えており(暗色でないエリアとして示される)、制御バス配線及び電源バス配線のためのさらに大きな空間が与えられ、それにより、さらに低い精度及び低いコストの方法によって処理できるようになる。
【0035】
図11を参照すると、動作時に、コントローラー40が、ディスプレイデバイスの要求に従って情報信号を受信及び処理し、処理済みの信号を1つ又は複数のバス42を通してデバイス内の各チップレット20に送信する。処理済みの信号は、そのチップレット20に対応する発光ピクセル30毎の輝度情報を含む。輝度情報は、各発光ピクセル30に対応する記憶素子26内に格納することができる。その後、チップレットは、そのチップレットが接続される行電極及び列電極を順次に起動する。或るピクセルのための行電極及び列電極の両方が起動されるときに、行電極及び列電極によって画定されるそのピクセルを通って電流が流れ、光を放射することができる。通常、一度に全ての列電極及び1つの行電極を起動することによって、1つのピクセルアレイ内の電極の1つの行全体又は列全体が同時に起動される。列電極を制御して、その行内のピクセル毎に望まれる個々の輝度を与える。その後、第2の行が選択され、全ての行が起動され、全てのピクセルが光を放射するまで、この過程が繰り返される。その後、この過程を繰り返すことができる。ピクセルの中には、1つのチップレットによって制御されるものもあり、協調して動作する2つのチップレットを必要とするものもあることに留意されたい。「行」及び「列」の指示は任意であり、行電極及び列電極の機能は入れ替えることができることに留意されたい。
【0036】
ディスプレイデバイス内の別々の行(又は列)を順次に起動することによって、フリッカーを引き起こす可能性があるが、独立して制御される複数のピクセルアレイ32を用いることによって、別々に制御される各ピクセルアレイ32内の行又は列の数が少なくなる。ピクセルグループ32は同時に起動されるので、フリッカーを大幅に削減することができる。さらに、グループ行電極16及びグループ列電極12は1つのピクセルアレイ32内でのみ接続されるので、グループ行電極16及びグループ列電極12は短く、電極のキャパシタンス及び抵抗が小さくなり、チップレット20内の高電力駆動回路部の必要性も小さくなる。それゆえ、各ピクセル行が光を放射する時間部分が長くなり、フリッカーが減少し、所望の輝度における電流密度が減少する。
【0037】
バス42は、タイミング(たとえば、クロック)信号、データ信号、選択信号、電源接続、又はグラウンド接続を含む、種々の信号を供給することができる。それらの信号はアナログ又はデジタルとすることができ、たとえば、デジタルアドレス又はデータ値とすることができる。アナログデータ値は電荷として供給することができる。記憶素子26はデジタル(たとえば、フリップフロップを含む)か、又はアナログ(たとえば、電荷を蓄積するためのキャパシタを含む)とすることができる。
【0038】
本発明の種々の実施形態において、基板10上に分散配置されるチップレット20は同一とすることができる。しかしながら、各チップレット20に一意の識別値、すなわちIDを関連付けることができる。IDは、チップレット20が基板10上に配置される前に、又は好ましくは後に割り当てることができ、IDは、基板10上のチップレット20の相対的な位置を反映することができ、すなわち、IDはアドレスとすることができる。たとえば、行又は列において1つのチップレット20から次のチップレットにカウント信号を送ることによって、IDを割り当てることができる。別個の行ID値又は列ID値を用いることができる。
【0039】
コントローラー40は、チップレットとして実装し、基板10に固定することができる。コントローラー40は、基板10の周辺に配置することができるか、又は基板10の外部に配置することができ、従来の集積回路を含むことができる。
【0040】
本発明の種々の実施形態によれば、チップレット20は種々の方法で構成することができ、たとえば、チップレット20の長い寸法に沿って1行又は2行の接続パッド24を用いて構成することができる。相互接続バス42又はワイヤ52は、種々の材料から形成することができ、デバイス基板上での種々の堆積方法を用いることができる。たとえば、相互接続バス42又はワイヤ52は、蒸着又はスパッタリングされる金属、たとえば、アルミニウム又はアルミニウム合金とすることができる。代替的には、相互接続バス52又はワイヤ52は、硬化した導電性インク又は金属酸化物から作製することができる。コストに関して有利な1つの実施形態では、相互接続バス42又はワイヤ52、又はその両方は、単層内に形成される。
【0041】
本発明は、大きなデバイス基板、たとえば、ガラス、プラスチック又は箔を利用し、デバイス基板10上に複数のチップレット20が規則的に配置されるマルチピクセルデバイスの実施形態に特に有用である。各チップレット20は、チップレット20内の回路部に従って、かつ制御信号に応答して、デバイス基板10上に形成された複数のピクセル30を制御することができる。個々のピクセルグループ又は複数のピクセルグループをタイル状の素子上に配置することができ、それらの素子を組み立てて、ディスプレイ全体を形成することができる。
【0042】
本発明によれば、チップレット20は、基板10上に分散配置されるピクセル制御素子を提供する。チップレット20は、デバイス基板10に比べて相対的に小さな集積回路であり、独立した基板28上に形成される、ワイヤ、接続パッド、抵抗器若しくはキャパシタのような受動構成要素、又はトランジスタ若しくはダイオードのような能動構成要素を含む回路部22を備える。チップレット20は、ディスプレイ基板10とは別に製造され、その後、ディスプレイ基板10に取り付けられる。チップレット20は、半導体デバイスを製造するための既知の工程を用いて、シリコン又はシリコン・オン・インシュレーター(SOI)ウェハーを用いて製造されることが好ましい。各チップレット20は、その後、デバイス基板10に取り付けられる前に分離される。それゆえ、各チップレット20の結晶性基部は、チップレットの回路部22がその上に配置されるデバイス基板10とは別の基板28と見なすことができる。それゆえ、複数のチップレット20は、デバイス基板10とは別であり、かつ互いに別である対応する複数の基板28を有する。詳細には、独立した基板28は、その上にピクセル30が形成される基板10とは別であり、独立したチップレット基板28の面積は、合わせても、デバイス基板10より小さい。チップレット20は、たとえば、薄膜アモルファスシリコンデバイス又は多結晶シリコンデバイスにおいて見られる能動構成要素よりも、高い性能の能動構成要素を提供する結晶基板28を有することができる。チップレット20は100μm以下の厚みを有することができることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。これは、チップレット20上に接着剤及び平坦化材料18を形成するのを容易にし、その際、それらの材料は、従来のスピンコーティング技法を用いて塗布することができる。本発明の一実施形態によれば、結晶シリコン基板上に形成されるチップレット20は、幾何学的なアレイに配列され、接着剤又は平坦化材料を用いてデバイス基板(たとえば10)に接着される。チップレット20の表面上の接続パッド24を用いて、各チップレット20を信号ワイヤ、電力バス及び行電極又は列電極(16、12)に接続し、ピクセル30を駆動する。チップレット20は少なくとも4つのピクセル30を制御することができる。
【0043】
チップレット20は半導体基板内に形成されるので、チップレットの回路部は、最新のリソグラフィツールを用いて形成することができる。そのようなツールによれば、0.5ミクロン以下の機構サイズを容易に手に入れることができる。たとえば、最新の半導体製造ラインは、90nm又は45nmの線幅を達成することができ、本発明のチップレットを作製する際に用いることができる。しかしながら、チップレット20は、ディスプレイ基板10上に組み付けられると、チップレット上に設けられた配線層への電気的接続を作製するための接続パッド24も必要とする。接続パッド24のサイズは、ディスプレイ基板10上で用いられるリソグラフィツールの機構サイズ(たとえば、5μm)、及び配線層に対するチップレット20の位置合わせ(たとえば、±5μm)に基づく。それゆえ、接続パッド24は、たとえば、15μm幅にすることができ、パッド間に5μmの間隔をあけることができる。これは、パッドが一般的には、チップレット20内に形成されるトランジスタ回路部よりも著しく大きいことを意味する。
【0044】
パッドは一般的に、トランジスタを覆う、チップレット上のメタライゼーション層内に形成することができる。製造コストを下げることができるように、できる限り小さな表面積を有するチップレットを作製することが望ましい。それゆえ、一般的には、トランジスタではなく、接続パッドのサイズ及び数が、チップレットのサイズを制限することになる。
【0045】
基板(たとえば、アモルファスシリコン又は多結晶シリコン)上に直接形成される回路よりも高い性能の回路部を有する独立した基板(たとえば、結晶シリコンを含む)を備えるチップレットを利用することによって、より高い性能を有するデバイスが提供される。結晶シリコンは、より高い性能を有するだけでなく、はるかに小さな能動素子(たとえば、トランジスタ)も有するので、回路部サイズは非常に小さくなり、それによって、チップレットのサイズは、デバイスの制御及び電力供給に必要な接続パッドの数と間隔によって決まるようになる。たとえば、Yoon、Lee、Yang及びJang著「A novel use of MEMS switches in driving AMOLED」(Digest of Technical Papers of the Society for Information Display, 2008, 3.4, p.13)において記述されているように、微小電気機械(MEMS)構造を用いて有用なチップレットを形成することもできる。
【0046】
デバイス基板10はガラスを含むことができ、蒸着又はスパッタリングされる金属、たとえば、アルミニウム又は銀から作製される配線層が、平坦化層(たとえば、樹脂)上に形成され、当該技術分野において知られているフォトリソグラフィ技法を用いてパターニングされる。チップレット20は、集積回路業界において十分に確立されている従来の技法を用いて形成することができる。
【0047】
本発明はマルチピクセルインフラストラクチャを有するデバイスにおいて利用することができる。詳細には、本発明は、有機又は無機いずれかのLEDデバイスで実施することができ、情報表示デバイスにおいて特に有用である。好ましい実施形態では、本発明は、限定はしないが、Tang他に対する米国特許第4,769,292号及びVan Slyke他に対する米国特許第5,061,569号において開示されるような小分子OLED又はポリマーOLEDから構成されるフラットパネルOLEDデバイスにおいて利用される。たとえば、多結晶半導体マトリックス内に形成される量子ドットを利用する無機デバイス(たとえば、Kahenによる米国特許出願公開第2007/0057263号において教示される)、有機電荷制御層若しくは無機電荷制御層を利用するデバイス、又はハイブリッド有機/無機デバイスを利用することができる。有機発光ディスプレイ又は無機発光ディスプレイの数多くの組み合わせ及び変形を用いて、トップエミッター又はボトムエミッターいずれかのアーキテクチャを有するアクティブマトリックスディスプレイを含む、そのようなデバイスを製造することができる。
【符号の説明】
【0048】
D1 長い寸法
D2 短い寸法
10 基板
12 列電極
12A 列電極グループ
12B 列電極グループ
13 対角線
14 発光材料
15 発光ダイオード
16 行電極
16A 行電極グループ
16B 行電極グループ
18 平坦化層
20 チップレット
20A チップレット
20B チップレット
20C チップレット
20D チップレット
21A ディスプレイ接続部分
21B 制御回路接続部分
22 回路部
23 接続パッドピッチ
24 接続パッド
24A 列接続パッド
24B 行接続パッド
25 バス接続パッド
25A 接続パッドの行
25B 接続パッドの行
26 記憶素子
28 チップレット基板
30 ピクセル
32 2次元ピクセルアレイ
32A ピクセルサブセット
32B ピクセルサブセット
32C ピクセルサブセット
32D ピクセルサブセット
32E ピクセルサブセット
32F ピクセルサブセット
32G ピクセルサブセット
32H ピクセルサブセット
40 コントローラー
42 バス
44 内部チップレット接続
50 ビア
52 ワイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板と、
(b)第1の方向において前記基板にわたって行内に形成される行電極のアレイを有する第1の層、及び該第1の方向とは異なる第2の方向において前記基板にわたって列内に形成される列電極のアレイを有する第2の層であって、該行電極及び該列電極は重なり合ってピクセル位置を形成する、第1の層及び第2の層と、
(c)前記行電極と前記列電極との間に形成され、ピクセルの2次元アレイを形成するものであって、該ピクセルは前記ピクセル位置内に配置される、1つ又は複数の発光材料層と、
(d)前記基板上に配置されるものであって、チップレットの数はピクセルの数よりも少なく、各チップレットは行電極のサブセット及び列電極のサブセットを排他的に制御し、それにより、前記ピクセルを制御して画像を表示する、複数のチップレットと、
を備える、ディスプレイデバイス。
【請求項2】
各チップレットは、少なくとも、サブセット行又はサブセット列において該チップレットが接続されるピクセル毎に記憶素子を有し、該記憶素子は、各ピクセルの所望の輝度を表す値を格納し、前記チップレットはそのような値を用いて、該ピクセルに接続される行電極又は列電極を制御する、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
第1のチップレットがピクセルの第1のサブセットのための前記列電極を制御し、第2のチップレットがピクセルの該第1のサブセットのための前記行電極を制御する、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
1つのチップレットが、前記第1のサブセットとは異なるピクセルの第2のサブセットのための前記列電極、及びピクセルの該第2のサブセットのための前記行電極の両方を制御する、請求項3に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記チップレットは、前記基板上で、前記ピクセルアレイの対角線上に配置される、請求項3に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記チップレットは、前記ピクセルアレイの複数の離隔された対角線上に配置される、請求項5に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
1つ又は複数のバスを通して前記チップレットに送信される信号を制御するためのコントローラーをさらに備える、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
各チップレットに電気的に接続される1つ又は複数のシリアルバス接続又はパラレルバス接続を含む、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
バスは電源電気的接続若しくはグラウンド電気的接続を与えるか、又はバスはデータ信号若しくは制御信号を送信する、請求項8に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
制御バスをさらに含み、各チップレットは前記行電極及び前記列電極に接続される第1の接続パッドグループと、該制御バスに接続される第2の接続パッドグループとを有し、該第1の接続パッドグループ及び該第2の接続パッドグループは空間的に分離される、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
各チップレットは前記制御バスに接続される第3の接続パッドグループを有し、前記第1の接続パッドグループ、前記第2の接続パッドグループ及び該第3の接続パッドグループは空間的に分離される、請求項10に記載のディスプレイデバイス。
【請求項12】
各チップレットは、前記行電極及び前記列電極に接続される第3の接続パッドグループをさらに含み、前記第1の接続パッドグループ、前記第2の接続パッドグループ及び該第3の接続パッドグループは空間的に分離される、請求項10に記載のディスプレイデバイス。
【請求項13】
前記チップレットは長い寸法及び短い寸法を有し、該長い寸法は前記第1の方向又は前記第2の方向に対して平行である、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項14】
各チップレットは2つの接続パッド行を有し、1つの接続パッド行は対応する前記行電極に接続され、1つの接続パッド行は対応する前記列電極に接続される、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項15】
前記第1の層及び前記第2の層とは別の第3の層と、該第3の層内に配置される制御バスとをさらに含む、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項16】
前記チップレット上に形成される、或るピッチを有する離隔された接続パッドと、該接続パッドを露出させるために形成される開口部とをさらに備え、前記制御バスは該開口部を通して該接続パッドまで延在する第1の部分と、該接続パッドの該ピッチよりも広い幅を有する別の第2の部分とを有する、請求項15に記載のディスプレイデバイス。
【請求項17】
(a)基板と、
(b)第1の方向において前記基板にわたって行内に形成される行電極の電気的に独立した複数のアレイを有する第1の層、及び該第1の方向とは異なる第2の方向において前記基板にわたって列内に形成される列電極の電気的に独立した対応する複数のアレイを有する第2の層であって、該第1の電極及び該第2の電極は重なり合ってピクセル位置を形成する、第1の層及び第2の層と、
(c)前記行電極と前記列電極との間に形成され、ピクセルの2次元アレイを形成するものであって、該ピクセルは前記ピクセル位置内に配置される、1つ又は複数の発光材料層と、
(d)前記基板上に配置される2次元ピクセルアレイ毎の複数のチップレットであって、各2次元ピクセルアレイのチップレットの数は対応する2次元ピクセルアレイ内のピクセルの数よりも少なく、各アレイチップレットは該対応する2次元ピクセルアレイのための行電極のサブセット及び列電極のサブセットを排他的に制御する、複数のチップレットと、
を備える、ディスプレイデバイス。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【公表番号】特表2012−518209(P2012−518209A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551154(P2011−551154)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/024061
【国際公開番号】WO2010/096343
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(510048417)グローバル・オーエルイーディー・テクノロジー・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (95)
【氏名又は名称原語表記】GLOBAL OLED TECHNOLOGY LLC.
【住所又は居所原語表記】13873 Park Center Road, Suite 330, Herndon, VA 20171, United States of America
【Fターム(参考)】