説明

チップ及びこれを具備した平板ディスプレイ装置

【課題】基板上の配線と不良なく電気的に連結されるチップ及びこれを具備した平板ディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】本発明のチップは、複数個のバンプを具備したチップにおいて、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが異なることを特徴とする。また、本発明の平板ディスプレイ装置は、基板と、前記基板上に配置されたディスプレイ部と、前記基板上に配置された複数本の配線と、前記配線に電気的に連結されたバンプを有するチップと、を具備し、前記基板の上面から前記配線の上面までの高さが異なり、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが異なり、前記各配線の上面と、前記各配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離が一定であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ及びこれを具備した平板ディスプレイ装置に係り、さらに詳細には、基板上の配線と電気的に連結されるチップ、及びこれを具備した平板ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平板ディスプレイ装置において、最近集積回路のようなチップを印刷回路基板などを利用せずに、直接基板上に配置させる技術についての研究が活発に進められている。すなわち、基板上の配線にチップを直接電気的に連結させることにより、平板ディスプレイ装置をさらに小型化及び薄型化するための研究が活発に進められている。
【0003】
図1は、従来の平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【0004】
図1を参照すれば、基板10上に、配線31,32,33が形成されている。この配線31,32,33は、チップ50に電気的に連結されるが、このために、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conduction Film)60が使われる。すなわち、異方性導電フィルムを配線31,32,33に配置し、チップ50を位置させた後、加熱手段を有するバー(bar)で加圧接合する。
【0005】
この場合、異方性導電フィルム60は伝導性スペーサ61を具備し、この伝導性スペーサ61がチップ50のバンプ51,52,53と配線31,32,33との間に介在され、チップ50と配線31,32,33とが電気的に連結される。
【0006】
しかし、かかる従来の平板ディスプレイ装置の場合、図1に図示されているように、配線31,32,33の厚さが異なりうる。図1では、一部の配線31,33の厚さh31が他の配線32の厚さh32より薄いように図示されている。しかし、チップ50のバンプ51,52,53の高さh51は、図1に図示されているように、チップ本体54を基準にしていずれも同一である。従って、チップ50のバンプ51,52,53のうち一部のバンプ52だけ伝導性スペーサ61を介して配線32に電気的に連結され、他のバンプ51,53は、配線31,33に連結されないという問題点があった。
【0007】
また、他の従来の平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である図2に図示されているように、配線31,32,33の厚さは、いずれも同一であるとしても、この配線31,32,33の配置される位置が相異なる。
【0008】
すなわち、一部の配線31は、基板10上に直接配置され、他の配線32は、基板10上に形成された層13上に配置されうる。また、さらに他の配線33の場合には、基板10上に形成された層13にさらに他の層15が形成され、その層15上に配線33が配置されることもある。
【0009】
このような場合、基板10から配線31,32,33の上面31a,32a,33aまでの高さh31,h32,h33が異なる。しかし、チップ50のバンプ51,52,53の高さh51は、図2に図示されているように、チップ本体54を基準にしていずれも同一である。従って、チップ50のバンプ51,52,53のうち一部のバンプ53だけ伝導性スペーサ61を介して配線33に電気的に連結され、他のバンプ51,52は、配線31,32に連結されないという問題点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前記のような問題点を含めてさまざまな問題点を解決するためのものであり、基板上の配線と不良なしに電気的に連結されるチップ、及びこれを具備した平板ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数個のバンプを具備したチップにおいて、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが異なることを特徴とするチップを提供する。
【0012】
かかる本発明の他の特徴によれば、前記チップのバンプの前記チップの一面からバンプの端部面までの高さが異なることがある。
【0013】
本発明は、また、基板と、前記基板上に配置されたディスプレイ部と、前記基板上に配置された複数本の配線と、前記配線に電気的に連結されたバンプを有するチップと、を具備し、前記基板の上面から前記配線の上面までの高さが異なり、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが異なり、前記各配線の上面と、前記各配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離が一定であることを特徴とする平板ディスプレイ装置を提供する。
【0014】
かかる本発明の他の特徴によれば、前記配線の配置された位置が前記基板の上面から異なりうる。
【0015】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記配線は、異なる物質から形成されたものでありうる。
【0016】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チップのバンプの前記チップの一面からバンプの端部面までの高さが異なりうる。
【0017】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チップのバンプと前記配線は、導電フィルムによって電気的に連結されたものでありうる。
【0018】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記導電フィルムは、複数個の伝導性スペーサを具備することができる。
【0019】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記各配線の上面と、前記各配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離が前記導電フィルムに備わった伝導性スペーサの直径以下でありうる。
【0020】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ディスプレイ部の内側または前記ディスプレイ部の外側に、半導体層と、前記半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜と前記層間絶縁膜とに形成されたコンタクトホールを介して前記半導体層にそれぞれ接するソース電極及びドレイン電極と、を有する薄膜トランジスタを具備し、前記配線のうち一部は、前記ゲート電極と同じ層に備わり、前記配線のうち他の一部は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ層に備わりうる。
【0021】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ディスプレイ部の副画素は、画素電極と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える中間層と、を具備し、前記配線のうち一部は、前記画素電極と同じ層に備わりうる。
【0022】
本発明は、また、基板と、前記基板上に配置されたディスプレイ部と、前記基板上に配置された複数本の配線と、伝導性スペーサを具備する導電フィルムによって前記配線に電気的に連結されたバンプを有するチップと、を具備し、前記基板の上面から前記配線の上面までの高さが異なり、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが異なり、前記各配線の上面と、前記各配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離が前記導電フィルムの伝導性スペーサの直径以下であることを特徴とする平板ディスプレイ装置を提供する。
【0023】
かかる本発明の他の特徴によれば、前記基板の上面から前記配線が配置された位置が異なりうる。
【0024】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記配線は、異なる物質から形成されたものでありうる。
【0025】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記チップのバンプの前記チップの一面からバンプの端部面までの高さが異なりうる。
【0026】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ディスプレイ部の内側または前記ディスプレイ部の外側に、半導体層と、前記半導体層上のゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜と前記層間絶縁膜とに形成されたコンタクトホールを介して前記半導体層にそれぞれ接するソース電極及びドレイン電極と、を有する薄膜トランジスタを具備し、前記配線のうち一部は、前記ゲート電極と同じ層に備わり、前記配線のうち他の一部は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ層に備わりうる。
【0027】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記ディスプレイ部の副画素は、画素電極と、前記画素電極に対向する対向電極と、前記画素電極と前記対向電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える中間層と、を具備し、前記配線のうち一部は、前記画素電極と同じ層に備わりうる。
【0028】
本発明のさらに他の特徴によれば、前記伝導性スペーサは、伸縮性があるものでありうる。
【0029】
本発明はまた、基板と、前記基板上に配置されたディスプレイ部と、前記基板上に配置された複数本の配線と、前記配線に電気的に連結されたバンプを有するチップと、前記配線と前記チップのバンプとの間に介在されるパッドと、を具備し、前記基板の上面から前記配線の上面までの高さが異なり、前記パッドは前記配線の上面上に配置され、前記基板の上面から前記パッドの前記チップのバンプ方向の面までの高さが一定であり、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが一定であることを特徴とする平板ディスプレイ装置を提供する。
【0030】
かかる本発明の他の特徴によれば、前記パッドは、導電性でありうる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のチップ及びこれを具備した平板ディスプレイ装置によれば、チップが基板上の配線と不良なく電気的に連結させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明すれば、次の通りである。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態によるチップを概略的に図示する断面図である。
【0034】
図3を参照すれば、本実施形態によるチップ500は、複数個のバンプ510,520,530を具備する。このとき、このバンプ510,520,530のチップ500から突出した高さが異なる。すなわち、チップ500のバンプ510,520,530のチップ本体540の一面540aからバンプ510,520,530の端部面510a,520a,530aまでの高さが異なる。図3には、バンプ510,530の高さh510は同一であるが、バンプ520の高さh520は異なって図示されている。
【0035】
このように、バンプの高さを異ならせるのは、前述のように、チップのバンプと電気的に連結される平板ディスプレイ装置の配線の厚さが異なるか、または配線が配置される位置が異なるためである。従って、チップのバンプと電気的に連結される平板ディスプレイ装置の配線の厚さや、その配線が配置される位置などを考慮し、チップのバンプの高さを異ならせて調整することにより、従来とは異なり、チップのバンプが配線と電気的に連結されることを確実にできる。これについては、後述する実施形態において、さらに詳細に説明する。
【0036】
図4は、本発明の他の一実施形態による平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【0037】
本実施形態による平板ディスプレイ装置は、基板100上にディスプレイ部(図示せず)と複数本の配線310,320,330とを具備する。配線310,320,330は、ディスプレイ部に電気的に連結されるか、またはディスプレイ部の外側の駆動回路に電気的に連結されている。基板100の上面100aからこの配線310,320,330の上面310a,320a,330aまでの高さは異なるが、図4には、配線310,330の高さh310と配線320の高さh320とが異なるように図示されている。
【0038】
この配線310,320,330は、チップ500に電気的に連結されるが、さらに詳細には、チップ500のバンプ510,520,530に電気的に連結される。このとき、チップ500の本体540を基準にチップ500のバンプ510,520,530の突出した高さが異なるが、図4では、バンプ510,530の高さh510とバンプ520の高さh520とが異なるように図示されている。すなわち、チップ500のバンプ510,520,530のチップ500の一面からバンプ510,520,530の端部面510a,520a,530aまでの高さが異なる。
【0039】
前記のような構造において、配線310,320,330の上面310a,320a,330aと、この配線310,320,330に電気的に連結されたバンプ510,520,530の端部面510a,520a,530aとの間の距離が一定になっている。すなわち、図4に図示されているように、配線320の上面320aまでの高さh320が高い場合には、これに対応するバンプ520の高さh520が低く、配線310の上面310aまでの高さh310が低い場合には、これに対応するバンプ510の高さh510が高い。これにより、配線310,320,330の上面310a,320a,330aとこの配線310,320,330に電気的に連結されたバンプ510,520,530の端部面510a,520a,530aとの間の距離が一定になっている。
【0040】
従来のチップの場合には、バンプの高さがいずれも一定であり、従って、このバンプに接続される配線の厚さが異なる場合には、バンプのうち一部は、対応する配線に電気的に連結されないこともあった。しかし、本実施形態による平板ディスプレイ装置の場合には、チップ500のバンプ510,520,530の高さが対応する配線310,320,330の厚さに対応するために、チップ500のバンプ510,520,530が対応する配線310,320,330に確実に電気的に連結させられる。
【0041】
チップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330とを電気的に連結するために、異方性導電フィルム600がチップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330との間に介在される。もちろん、異方性導電フィルム以外にも、多様な導電フィルムが利用されうるが、以下では、便宜上、異方性導電フィルムが利用された場合について説明する。この異方性導電フィルム600は、複数個の伝導スペーサ610を具備する。この伝導性スペーサ610は伸縮性があり、伝導性スペーサ610がチップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330との間に介在されることにより、チップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330とを電気的に連結する。
【0042】
一方、このように、導電フィルム600の伝導性スペーサ610により、チップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330とが電気的に連結される場合には、配線310,320,330の上面310a,320a,330aとこの配線310,320,330に電気的に連結されたバンプ510,520,530の端部面510a,520a,530aとの間の一定な距離が、導電フィルム600に備わった伝導性スペーサ610の直径以下にすることができる。
【0043】
図5は、本発明のさらに他の一実施形態による平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【0044】
本実施形態による平板ディスプレイ装置が前述の実施形態による平板ディスプレイ装置と異なるところは、基板100の上面100aから配線310,320,330が配置された位置が異なるということである。図5に図示された場合には、配線310は基板100上に配置されており、他の配線320は、基板100上に形成された層213上に配置されており、さらに他の配線330は、基板100上に形成された層213上の他の層215上に配置されている。この場合、異なる位置に配置された配線は、異なる物質により形成されもする。
【0045】
配線310,320,330が同じ厚さを有しても、このように、基板100の上面100aから配線310,320,330が配置された位置が異なる場合、チップ500の本体540から突出したバンプ510,520,530が同じ高さを有するならば、バンプ510,520,530のうち一部は、配線310,320,330と電気的に連結されない。
【0046】
従って、チップ500の本体540から突出したバンプ510,520,530に異なる高さを有させることにより、配線310,320,330の上面310a,320a,330aとこの配線310,320,330に電気的に連結されたバンプ510,520,530の端部面510a,520a,530aとの間の距離を一定にする。すなわち、図5に図示されているように、基板100上に形成された層213,215上に配置された配線330に対応するバンプ530の場合には、バンプ530の高さh530が低く、基板100上に配置された配線310に対応するバンプ510の場合には、バンプ510の高さh510を高くする。これにより、配線310,320,330の上面310a,320a,330aとこの配線310,320,330に電気的に連結されたバンプ510,520,530の端部面510a,520a,530aとの間の距離を一定にする。
【0047】
このように、本実施形態による平板ディスプレイ装置の場合には、チップ500のバンプ510,520,530の高さが、対応する配線310,320,330が配置された位置に対応する。これにより、チップ500のバンプ510,520,530が対応する配線310,320,330に確実に電気的に連結される。
【0048】
もちろん、この場合にも、チップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330とを電気的に連結するために、導電フィルム600がチップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330との間に介在されうる。そして、導電フィルム600の伝導性スペーサ610により、チップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330とが電気的に連結される場合、配線310,320,330の上面310a,320a,330aとこの配線310,320,330に電気的に連結されたバンプ510,520,530の端部面510a,520a,530aとの間の一定な距離を、導電フィルム600に備わった伝導性スペーサ610の直径以下にすることができる。
【0049】
前記の通りに、基板100上の配線310,320,330は、その配置される位置が異なりうるが、これは、その配線310,320,330がディスプレイ部の内側またはその外側に備わる要素の形成時に同時に形成されうるためである。例えば、本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置のディスプレイ部の一部を概略的に図示する図6を参照すれば、ディスプレイ部には、薄膜トランジスタ220と、これに電気的に連結される有機発光素子230とが備わる。
【0050】
このようなディスプレイ部について概略的に説明すれば、基板100上に薄膜トランジスタ220が備わっており、この薄膜トランジスタ220の上部には、有機発光素子230が備わっている。有機発光素子230は、薄膜トランジスタ220に電気的に連結された画素電極231と、基板100の全面にわたって配置された対向電極235と、画素電極231と対向電極235との間に配置され、少なくとも発光層を備える中間層233とを具備する。ここで、画素電極231は各(副)画素別に備わる電極である。
【0051】
基板100上には、ゲート電極221、ソース電極及びドレイン電極223、半導体層227、ゲート絶縁膜213及び層間絶縁膜215を具備した薄膜トランジスタ220が備わっている。もちろん、薄膜トランジスタ220は、図6に図示された形態に限定されず、半導体層227が有機物でもって備わった有機薄膜トランジスタ、シリコンで備わったシリコン薄膜トランジスタなど多様な薄膜トランジスタが利用されうる。この薄膜トランジスタ220と基板100との間には、必要によってシリコン酸化物またはシリコン窒化物などから形成されたバッファ層211がさらに備わることもある。
【0052】
有機発光素子230は、相互対向した画素電極231及び対向電極235と、それらの電極間に介在された有機物からなる中間層233を具備する。この中間層233は、少なくとも発光層を備え、複数個の層を具備できる。この層については後述する。
【0053】
画素電極231は、アノード電極の機能を行い、対向電極235は、カソード電極の機能を果たす。もちろん、この画素電極231と対向電極235との機能は、反対にもなりうる。
【0054】
画素電極231は、透明電極または反射電極により備わりうる。透明電極でもって備わるときには、ITO、IZO、ZnOまたはInにより形成され、反射電極でもって備わるときには、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crまたはそれらの化合物により形成された反射膜と、その上にITO、IZO、ZnOまたはInから形成された膜とを具備できる。
【0055】
対向電極235も、透明電極または反射電極により備わりうるが、透明電極として備わるときは、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgまたはそれらの化合物が画素電極231と対向電極235との間の中間層233に向かうように蒸着された膜と、その上にITO、IZO、ZnOまたはInのような透明電極形成用物質から形成された補助電極やバス電極ラインとを具備できる。そして、反射型電極として備わるときには、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Mgまたはそれらの化合物を蒸着することにより備わりうる。
【0056】
一方、画素定義膜(PDL:Pixel Defining Layer)219が画素電極231のエッジを覆い、画素電極231の外側に厚さを有するように備わる。すなわち、画素定義膜219は、各画素電極231の中央部が露出されるように、各画素電極231のエッジ及び対向電極235間の空間を覆う。この画素定義膜219は、発光領域を定義する役割以外に、画素電極231のエッジと対向電極235との間の間隔を広げ、画素電極231のエッジ部分で電界が集中する現象を防止することにより、画素電極231と対向電極235との短絡を防止する役割を行う。
【0057】
画素電極231と対向電極235との間には、少なくとも発光層を備える多様な中間層233が備わる。この中間層233は、低分子有機物または高分子有機物により形成されうる。
【0058】
低分子有機物を使用する場合、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、有機発光層(EML)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)などが単一あるいは複合の構造により積層して形成され、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などを始めとして多様に適用可能である。それらの低分子有機物は、マスクを利用した真空蒸着のような方法により形成されうる。
【0059】
高分子有機物の場合には、総じて、ホール輸送層(HTL)及び発光層(EML)でもって備わった構造を有することができ、このとき、前記ホール輸送層としてポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を使用し、発光層としてPPV(ポリ−フェニレンビニレン)系及びポリフルオレン系などの高分子有機物質を使用する。
【0060】
かかる有機発光素子230は、その下部の薄膜トランジスタ220に電気的に連結されるが、このとき、薄膜トランジスタ220を覆う平坦化膜217が備わる場合、有機発光素子230は平坦化膜217上に配置され、有機発光素子230の画素電極231は、平坦化膜217に備わったコンタクトホールを介して薄膜トランジスタ220に電気的に連結される。
【0061】
一方、基板100上に形成された有機発光素子230は、封止部材400により密封される。封止部材400は、ガラス材またはプラスチック材のような多様な材料により形成されうる。
【0062】
前記のような構造において、図5に図示された配線310,320,330のうち一部は、ゲート電極221と同じ層に備わり、配線310,320,330のうち他の一部は、ソース電極及びドレイン電極223と同じ層に備わりうる。すなわち、図5に図示された配線310,320,330のうちの配線310は、基板100上に直接配置され、配線320は、基板100上に形成されたゲート絶縁膜213上に配置され、配線330は、ゲート絶縁膜213上の層間絶縁膜215上に配置されうる。
【0063】
このような場合、前述のようにチップ500のバンプ510,520,530の高さを、対応する配線310,320,330が配置された位置に対応させることにより、チップ500のバンプ510,520,530を、対応する配線310,320,330に確実に電気的に連結させられる。
【0064】
もちろん、図5の配線のうち一部は、前記の通りに、薄膜トランジスタの電極のうち一部と同じ層に形成されることもあり、それとは異なり、有機発光素子の画素電極231と同じ層に形成されることもあるなど、多様な変形が可能であることはいうまでもない。
【0065】
また、図5の配線のうち一部は、ディスプレイ部内に備わった薄膜トランジスタではなく、ディスプレイ部の外側に備わった薄膜トランジスタの電極と同じ層に形成されもする。
【0066】
一方、前記実施形態においては、配線の上面とこの配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離を一定にしたが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、配線の上面とこの配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離が一定ではないにしても、その距離が導電フィルムの伝導性スペーサの直径以下でありさえすればよい。導電フィルムの伝導性スペーサは、伸縮性があるので、配線の上面とこの配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離が伝導性スペーサの直径以下ならば、配線とこの配線に対応するバンプとが十分に電気的に連結されうるためである。
【0067】
また本発明は、有機発光ディスプレイ装置以外にも、液晶ディスプレイ装置などを始めとし、基板上に配線を具備する多様な平板ディスプレイ装置に適用可能であることはいうまでもない。
【0068】
図7は、本発明のさらに他の一実施形態による平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【0069】
本実施形態による平板ディスプレイ装置が前述の実施形態による平板ディスプレイ装置と異なるところは、チップ500のバンプ510,520,530の高さh510が一定であるということである。また、本実施形態による平板ディスプレイ装置が前述の実施形態による平板ディスプレイ装置と異なるところは、配線310,320,330のうち一部と、チップ500のバンプ510,520,530のうち少なくとも一部との間にパッド710,720が介在されるということである。
【0070】
このパッド710,720の果たす役割は、チップ500のバンプ510,520,530の高さが常に一定であっても、配線310,320,330との安定した電気的連結を可能にすることである。すなわち、基板100の上面から配線310,320,330の上面までの高さが異なっても、パッド710,720は、配線310,320,330のうち少なくとも一部の上面上に配置され、基板100の上面からパッド710,720のバンプ510,520側の面までの高さh710を一定にする。これにより、チップ500のバンプ510,520,530のチップから突出した高さh510が一定であっても、チップのバンプ510,520の端部面とパッド710,720の上面との間の距離が一定になる。従って、チップ500のバンプ510,520とパッド710,720との安定した電気的連結がなされ、結果的に、チップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330との安定した電気的連結が確保される。このような場合、チップ500のバンプ510,520,530と配線310,320,330とを電気的に連結させるために、パッド710,720は、伝導性物質から形成されたものでありうる。
【0071】
もちろん、図7では配線310,320,330のうち、基板100の上面から配線310,320,330の上面までの高さが最も高い配線330を除外した配線310,320上にのみパッド710,720が配置されると図示されているが、これとは異なり、あらゆる配線310,320,330上にパッドが配置されることも可能である。また、図7に図示されたところとは異なり、パッド710,720が非導電性物質により連結され、1個の部材として備わりうるなど、多様な変形が可能である。
【0072】
本発明は、図面に図示された実施形態を参考に説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当技術分野で当業者ならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によってのみ決まるものである。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のチップ及びこれを具備した平板ディスプレイ装置は、例えば、ディスプレイ関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】従来の平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【図2】他の従来の平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【図3】本発明の一実施形態によるチップを概略的に図示する断面図である。
【図4】本発明の他の一実施形態による平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【図5】本発明のさらに他の一実施形態による平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による有機発光ディスプレイ装置のディスプレイ部の一部を概略的に図示する断面図である。
【図7】本発明のさらに他の一実施形態による平板ディスプレイ装置の一部を概略的に図示する断面図である。
【符号の説明】
【0075】
10,100 基板
13,213 基板上の層
15,215 基板上の層の上の層
100a 基板の上面
211 バッファ層
213 ゲート絶縁膜
215 層間絶縁膜
217 平坦化膜
219 画素定義膜
220 薄膜トランジスタ
221 ゲート電極
223 ソース/ドレイン電極
227 半導体層
230 有機発光素子
231 画素電極
233 中間層
235 対向電極
31,32,33,310,320,330 配線
310a,320a,330a 配線の上面
400 封止部材
50,500 チップ
51,52,53,510,520,530 バンプ
510a,520a,530a バンプの端部
54,540 チップ本体
540a チップ本体の一面
60,600 導電フィルム
61,610 伝導性スペーサ
710,720 パッド
h31,h32,h33 配線の上面までの高さ
h51 チップのバンプの高さ
h310,h320 配線の高さ
h510,h520 バンプの高さ
h710 パッドのバンプ方向の面までの高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個のバンプを具備したチップにおいて、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが異なることを特徴とするチップ。
【請求項2】
前記チップのバンプの前記チップの一面からバンプの端部面までの高さが異なることを特徴とする請求項1に記載のチップ。
【請求項3】
基板と、
前記基板上に配置されたディスプレイ部と、
前記基板上に配置された複数本の配線と、
前記配線に電気的に連結されたバンプを有するチップと、を具備し、
前記基板の上面から前記配線の上面までの高さが異なり、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが異なり、前記各配線の上面と、前記各配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離が一定であることを特徴とする平板ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記配線の配置された位置が前記基板の上面から異なることを特徴とする請求項3に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記配線は、異なる物質から形成されたことを特徴とする請求項4に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項6】
前記チップのバンプの前記チップの一面からバンプの端部面までの高さが異なることを特徴とする請求項3に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記チップのバンプと前記配線は、導電フィルムによって電気的に連結されることを特徴とする請求項3に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記導電フィルムは、複数個の伝導性スペーサを具備することを特徴とする請求項7に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記各配線の上面と、前記各配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離が前記導電フィルムに備わった伝導性スペーサの直径以下であることを特徴とする請求項8に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記ディスプレイ部の内側または前記ディスプレイ部の外側に、
半導体層と、
前記半導体層上のゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜と前記層間絶縁膜とに形成されたコンタクトホールを介して前記半導体層にそれぞれ接するソース電極及びドレイン電極と、を有する薄膜トランジスタを具備し、
前記配線のうち一部は、前記ゲート電極と同じ層に備わり、前記配線のうち他の一部は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ層に備わることを特徴とする請求項3に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記ディスプレイ部の副画素は、
画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える中間層と、を具備し、
前記配線のうち一部は、前記画素電極と同じ層に備わることを特徴とする請求項3に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項12】
基板と、
前記基板上に配置されたディスプレイ部と、
前記基板上に配置された複数本の配線と、
伝導性スペーサを具備する導電フィルムによって前記配線に電気的に連結されたバンプを有するチップと、を具備し、
前記基板の上面から前記配線の上面までの高さが異なり、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが異なり、前記各配線の上面と、前記各配線に電気的に連結されたバンプの端部面との間の距離が前記導電フィルムの伝導性スペーサの直径以下であることを特徴とする平板ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記配線の配置された位置が前記基板の上面から異なることを特徴とする請求項12に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記配線は、異なる物質から形成されたことを特徴とする請求項13に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記チップのバンプの前記チップの一面からバンプの端部面までの高さが異なることを特徴とする請求項12に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項16】
前記ディスプレイ部の内側または前記ディスプレイ部の外側に、
半導体層と、
前記半導体層上のゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜上のゲート電極と、
前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜と前記層間絶縁膜とに形成されたコンタクトホールを介して前記半導体層にそれぞれ接するソース電極及びドレイン電極と、を有する薄膜トランジスタを具備し、
前記配線のうち一部は、前記ゲート電極と同じ層に備わり、前記配線のうち他の一部は、前記ソース電極及び前記ドレイン電極と同じ層に備わることを特徴とする請求項12に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項17】
前記ディスプレイ部の副画素は、
画素電極と、
前記画素電極に対向する対向電極と、
前記画素電極と前記対向電極との間に介在され、少なくとも発光層を備える中間層と、を具備し、
前記配線のうち一部は、前記画素電極と同じ層に備わることを特徴とする請求項12に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項18】
前記伝導性スペーサは、伸縮性があることを特徴とする請求項12に記載の平板ディスプレイ装置。
【請求項19】
基板と、
前記基板上に配置されたディスプレイ部と、
前記基板上に配置された複数本の配線と、
前記配線に電気的に連結されたバンプを有するチップと、
前記配線と前記チップのバンプとの間に介在されるパッドと、を具備し、
前記基板の上面から前記配線の上面までの高さが異なり、前記パッドは前記配線の上面上に配置され、前記基板の上面から前記パッドの前記チップのバンプ方向の面までの高さが一定であり、前記チップのバンプの前記チップから突出した高さが一定であることを特徴とする平板ディスプレイ装置。
【請求項20】
前記パッドは、導電性であることを特徴とする請求項19に記載の平板ディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−329451(P2007−329451A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−54568(P2007−54568)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】