説明

チップ部品の極性反転装置および極性反転方法

【課題】チップ部品の極性を高速かつ安定に反転させることができるようにする。
【解決手段】極性反転装置は、反転シャフト6の上面に形成された曲線状の二つの通路溝10を有する。各通路溝10は、入口と出口の方向が90度異なっている。したがって、チップ部品5の極性反転を行うのに反転シャフト6を90度だけ回転させればよく、反転シャフト6の回転量が少なくてすむ。第1の通路溝10aの底面を入口から出口にかけて連続的に高くし、かつ第1および第2の通路溝10a,10bの幅を同じにし、かつ第3の通路溝10cの出口の幅を溝部4の出入口の幅よりも狭くするため、溝部4と通路溝10との境界付近や通路溝10の内部で、チップ部品5が引っ掛からなくなり、スムーズかつ確実にチップ部品5を移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インデックステーブルの溝部に収納されたチップ部品の向きを揃えるチップ部品の極性反転装置および極性反転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解コンデンサなどの一部のチップ部品は、極性をもっている。このような極性を外観で識別できるように、チップ部品には図7に示すようなマークMが付けられている。この種のチップ部品をテーピングしたり、分類したりする際には、インデックステーブルを用いて極性を揃える処理が行われる(特許文献1,2,3参照)。
【0003】
図6はチップ部品の極性反転装置の適用状況を説明する図である。円形のインデックステーブル3の外周部には、一定の間隔でコの字状の溝部4が複数形成され、その外側には、インデックスガイド30が設けられている。溝部4には、インデックステーブル3の回転に応じてチップ部品供給部31から供給されたチップ部品が順に収納される。
【0004】
インデックステーブル3の外縁に沿って、溝部4に収納されたチップ部品の向きを検出する極性判定装置32と、チップ部品の向きを反転させる極性反転装置33とが設けられている。
【0005】
図10は従来の極性反転装置33を拡大した図であり、図10(a)は上面図、図10(b)は図10(a)のA−A線断面図である。極性反転装置33の反転シャフト6の上面には、溝部4の幅に比べて入口35が広くて出口36の狭いチップ部品通路溝37が形成されている。このチップ部品通路溝37は、溝部4に逆向きに収納されたチップ部品5の向きを反転させる作用を行う。
【0006】
また、溝部4とチップ部品通路溝37の出口36側には、チップ部品5が存在するか否かを確認するセンサ50,51が設置され、各センサの下側には光を投光するためのファイバが設置されている。センサ50,51は、ファイバから照射された光がチップ部品5の通過により遮光されたか否かにより、チップ部品5の存在確認を行う。
【0007】
チップ部品5の移動は、溝部4のエアー出入口38と極性反転装置33側に設置されたエアー入出口39を用いて行う。溝部4から反転シャフト6の通路溝37にチップ部品5を送り込む際には、溝部4側のエアー出入口38からエアーを吹き出すとともに、反転装置側のエアー入出口39からエアーを吸入する。通路溝37から溝部4にチップ部品5を送り出す際は、反転装置側のエアー入出口39からエアーを吹き出すとともに、溝部4側のエアー出入口38からエアーを吸入する。このように、エアー出入口38とエアー入出口39でエアーの正圧と負圧の切替を行う。
【0008】
図11(a)は反転シャフト6の通路溝37にチップ部品5が移動した状態を示す図である。この状態で反転シャフト6を180度回転させると、図11(b)のようにチップ部品5の向きが反転する。その後、エア出入口38からの吸引により通路溝37からチップ部品5は元の溝部4に再度収納される。
【0009】
その後、さらに反転シャフト6を180度回転させることにより、再び通路溝37の入口35が溝部4に対向配置され、通路溝37をチップ部品5を送り込んだときの方向に反転シャフト6をセットするとともにインデックステーブル3を回転してチップ部品5を送り出す。
【0010】
以上の手順により、インデックステーブル3の溝部4に収納されたチップ部品5の向きをすべて揃えることができる。
【特許文献1】特開平8-236988号公報
【特許文献2】特開2001-72234号公報
【特許文献3】特開平10-139136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図10の極性反転装置33の場合、チップ部品5の反転が完了するまでの時間は、反転シャフト6の回転速度と回転角に大きく影響されるが、反転シャフト6を回転させるための駆動源であるステッピングモータの速度能力が限界に近い場合には、それ以上の高速化は見込めない。
【0012】
さらに、図10および図11に示すように、チップ部品5が溝部4から通路溝37に移動する間に引っ掛からずにスムーズに移動するには、溝部4の幅よりも通路溝37の入口35を広くし、通路溝37の出口36を狭くし、かつ出口36よりも入口35の底面を低くする必要がある。
【0013】
ところが、図10の場合、反転シャフト6の回転角度が180°と大きく、時間がかかるという問題があり、さらなる高速化のネックになっていた。
【0014】
また、図10の極性反転装置33では、エアー出入口38とエアー入出口39でエアーの正圧と負圧を切り替えているが、このような切替はエアー出入口38とエアー入出口39の構造を複雑にし、部品コストの上昇を招く。また、エアー出入口38とエアー入出口39で正圧と負圧を切り替えると、切り替えた直後のエアーの流れに乱れが生じるため、チップ部品5の移動が不安定になり、チップ部品5の移動にも時間がかかるおそれがある。
【0015】
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、チップ部品の極性を高速かつ安定に反転させることができる極性反転装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施形態によれば、チップ部品を収納する溝部を外周に設けたインデックステーブルと、前記溝部に収納されたチップ部品を取り出して、該チップ部品の向きを反転させた後、元の前記溝部に収納するチップ部品反転手段と、を備え、前記チップ部品反転手段は、回転可能な反転シャフトと、前記反転シャフトの上部に設けられて前記チップ部品の向きを変更する方向変更部と、を有し、前記方向変更部は、それぞれが所定角度に曲がった複数のチップ部品通路溝を有し、前記複数のチップ部品通路溝のそれぞれは、前記溝部からのチップ部品を取り込む入口を有する第1の通路溝と、前記第1の通路溝の出口に一体に接続される入口を有する曲線状の第2の通路溝と、前記第2の通路溝の出口に一体に接続される入口とチップ部品を送り出す出口とを有する第3の通路溝と、を有することを特徴とするチップ部品の極性反転装置が提供される。
【0017】
また、本発明の一実施形態によれば、前記第1の通路と前記第3の通路とは、直線状または円弧状であることを特徴とするチップ部品の極性判定装置が提供される。
【0018】
また、本発明の一実施形態によれば、チップ部品を収納する溝部を外周に設けたインデックステーブルと、前記溝部に収納されたチップ部品を取り出して、該チップ部品の向きを反転させた後、元の前記溝部に収納するチップ部品反転手段と、を備え、前記チップ部品反転手段は、回転可能な反転シャフトと、前記反転シャフトの上部に設けられて前記チップ部品の向きを変更する方向変更部と、を有し、前記方向変更部は、前記チップ部品を移動させる複数のチップ部品通路溝を有し、前記複数のチップ部品通路溝のそれぞれは、前記溝部からのチップ部品を取り込む入口を有する第1の通路溝と、前記第1の通路溝の出口に一体に接続される入口を有する円弧状の第2の通路溝と、前記第2の通路溝の出口に一体に接続される入口とチップ部品を送り出す出口とを有する第3の通路溝と、を有するチップ部品の極性反転装置の極性反転方法であって、前記複数のチップ部品通過溝のうちいずれかの前記第1の通路溝の入口と前記溝部の出入口と対向させた状態で、エアー出入口から前記溝部にエアーを吹き出すとともに、吸入口により該チップ部品通路溝内のエアーを吸入して、前記溝部から該チップ部品通過溝にチップ部品を送り込むステップと、前記エアーの吹出および吸引により、該チップ部品通過溝内のチップ部品が前記第1の通路溝から前記第2の通路溝を通って前記第3の通路溝まで達すると、前記反転シャフトを90度以内の所定角度だけ回転させて、前記溝部と前記第3の通路溝とを対向させるステップと、吹出口から該チップ部品通過溝内にエアーを吹き出すとともに、前記エアー出入口にて前記溝部のエアーを吸引して、前記第3の通路溝から元の前記溝部にチップ部品を送り出す工程と、を備えることを特徴とする極性反転方法が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、所定角度に曲がった複数のチップ部品通路溝を設けるため、チップ部品の極性を反転する際に回転させる反転シャフトの回転量を小さくすることができ、チップ部品の極性反転処理を高速に行うことができる。また、チップ部品通路溝を第1〜第3の通路溝で構成し、チップ部品の移動に用いるエアーの吸引および吹き出しをそれぞれ切換無しの固定構造にしたため、チップ部品の極性反転処理を安定かつ信頼性よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。以下では、0.6mm×0.3mm×0.3mmの寸法をもつ極性のあるチップ部品を反転させる例を説明するが、本発明は種々のサイズのチップ部品に適用可能である。
【0021】
図1(a)は本発明の一実施形態による極性反転装置の主要部を示す断面図、図1(b)は図1(a)のA−A線断面図、図1(c)は図1(a)のB−B線断面図である。図2は極性反転装置の上面図、図3(a)は図2(a)のA−A線断面図、図3(b)は図3(a)のB−B線断面図である。図4(a)は図3(a)の点線部p1の拡大断面図、図4(b)は図3(b)の点線部p2の拡大断面図である。
【0022】
まず、図1〜図4に基づいて、本発明の一実施形態による極性反転装置の全体構成を説明する。図2の極性反転装置は、ベース板1の下部に設置される反転ユニット2を有する。反転ユニット2には、インデックステーブル3の溝部4に収納されるチップ部品5の向きを反転させる反転シャフト6と、反転底板7とが取り付けられている。
【0023】
反転底板7には、反転シャフト6を挿入するための孔8と、溝部4に対してエアーの吹出および吸引を行うエアー出入口9と、反転シャフト6の通路溝10のエアーを吸引するエアー吸引口11と、通路溝10にエアーを吹き出すエアー吹出口12と、反転チップ部品5の存在を確認するために光を照射する光透過孔13,14とが形成されている。光透過孔13は溝部4の底面に形成されており、光透過孔14は通路溝10の底面に形成されている。
【0024】
反転底板7は、ベース板1の上面に設置されるプレート15に固定ネジ16により直接取り付けられる。これにより、反転底板7の上面とベース板1の上面とは面一になる。
【0025】
反転底板7と反転シャフト6は別個の材料で形成されているため、高さ調整ネジ40により反転シャフト6の高さを調整することができる。
【0026】
反転ユニット2の下部には、駆動源であるステッピングモータ17が設置されており、このモータ17に取り付けられるプーリ41と反転シャフト6に取り付けられるプーリ42とにタイミングベルト43が掛け渡されている。モータ17が回転すると、プーリ41を介してタイミングベルト43が回転し、それに応じてプーリ42と反転シャフト6も回転する。これにより、モータ17の駆動力が反転シャフト6に伝達される。
【0027】
モータ17の回転軸には、複数のスリット18が形成されたスリット板19が取り付けられている。このスリット板19はモータ17の回転方向と回転量を検出するために用いられる。スリット板19を挟み込むように設置される光透過形のセンサ20a,20bは、スリット板19に向けて照射した光がスリット18を通過するか否かを検出する。これにより、モータ17の回転方向と回転量を検出することができる。
【0028】
反転シャフト6の上面には、曲線状の二つの通路溝10(チップ部品通路溝)が形成されている。各通路溝10は、入口と出口の方向が90度異なっている。これら通路溝10は互いに180度異なる方向に配置されており、いずれも同じ形状である。これら通路溝10の出口付近には、チップ部品5の存在を確認するための光透過孔14が形成されている。
【0029】
各通路溝10は、インデックステーブル3の溝部4からのチップ部品5を取り込む入口を有する直線状の第1の通路溝10aと、第1の通路溝10aの出口に一体に接続される入口を有する円弧状の第2の通路溝10bと、第2の通路溝10bの出口に一体に接続される入口と溝部4にチップ部品5を送り込む出口を有する第3の通路溝10cとで構成される。
【0030】
インデックステーブル3の溝部4の幅L1は、チップ部品5の幅の1.1〜1.5倍に設定されている。また、第1の通路溝10aの幅L2と第2の通路溝10bの幅L3はいずれも等しく、チップ部品5の幅の1.5〜1.7倍に設定されている。第3の通路溝10cは、入口から出口にかけて連続的に幅が狭まっており、その出口の幅L4は、チップ部品5の幅の1.1〜1.2倍に設定され、溝部4の幅L1よりも狭くなっていることが望ましい。
【0031】
すなわち、L1,L2,L3,L4の間には、以下の関係が成り立つ。
L2=L3>L1>L4
【0032】
また、図1(b)に示すように、第1の通路溝10aの底面は、入口から出口にかけて連続的に高くなっている。また、第1の通路溝10aの入口の底面は、インデックステーブル3の溝部4の出入口の底面よりも低くなっている。第2および第3の通路溝10b,10cの底面の高さは一定である。
【0033】
また、第1の通路溝10aの入口から出口までの長さはチップ部品5の長手方向長さの0.5倍以上に設定され、同じく第3の通路溝10cの入口から出口までの長さもチップ部品5の長手方向長さの0.5倍以上に設定されており、これら2つの条件を満たした上で、第2の通路溝10bの半径が最大になるようにしている。
【0034】
第2の通路溝10bの半径を最大にする理由は、半径が小さくなるほど、チップ部品5が第2の通路溝10bを移動している最中に引っ掛かりやすくなってスムーズな移動が困難になるためである。
【0035】
一例として、インデックステーブル3の溝部4の幅L1が0.38mmの場合、反転シャフト6側の第1の通路溝10aの幅L2と第2の通路溝10bの幅L3はともに0.5mmで、第3の通路溝10cの出口の幅L4は0.35mmに設定される。また、インデックステーブル3下のベース板1の上面に対して、第1の通路溝10aの入口の底面は0.015mm低く設定され、出口の底面は0.015mm高く設定される。
【0036】
以上により、チップ部品5がインデックステーブル3の溝部4から反転シャフト6の通路溝10の出口側に移動する場合や、通路溝10の出口側から溝部4に移動する際に、溝部4と通路溝10の境界付近でチップ部品5が引っ掛かる等の不具合が起きなくなる。
【0037】
なお、以上では、第1乃至第3の通路溝が別個に設けられる例を説明したが、通路溝が上記の条件(L2=L3>L1>L4)を満たしていれば、一体的に曲線であってもよく、円弧であってもよい。
【0038】
溝部4に形成された光透過孔13の下方には投光ファイバ21が挿入され、この投光ファイバ21の上方には受光センサ22が設置されている。同様に、第3の通路溝10cに形成された光透過孔14の下方の反転底板7側には投光ファイバ23が挿入され、この投光ファイバ23の上方には受光センサ24が設置されている。
【0039】
投光ファイバ21,23の上をチップ部品5が通過するため、受光センサ22,24は、光が遮られたか否かを検出することで、チップ部品5が通過したか否かを判断できる。
【0040】
チップ部品5は、インデックステーブル3の溝部4の近くに設置されたエアー出入口9と、通路溝10の近くに設置されたエアー吸引口11およびエアー吹出口12とで吹出および吸引されるエアーを利用して移動する。
【0041】
例えば、溝部4から通路溝10にチップ部品5を移動させる場合、エアー出入口9で溝部4にエアーを吹き出すとともに、エアー吸引口11で通路溝10内のエアーを吸引する。これにより、チップ部品5は、溝部4から通路溝10に送り込まれる。また、通路溝10から元の溝部4にチップ部品5を移動させる場合、エアー吹出口12から通路溝10内にエアーを吹き出すとともに、エアー出入口9で溝部4のエアーを吸引する。これにより、チップ部品5は、通路溝10から溝部4に送り込まれる。
【0042】
図5は反転シャフト6が回転する様子を示す図である。以下、図5を参照して、本実施形態の動作を説明する。インデックステーブル3の周囲には、従来の技術の図6に示したように、チップ部品5を溝部4に収納するためのチップ部品供給部31と、チップ部品5の極性を判定するチップ極性判定装置32とが設けられている。極性判定装置32は、カメラやセンサ等により、図7に示したチップ部品5のマークを読み取ってチップ部品5の向きを判別する。
【0043】
溝部4内に収納されたチップ部品5の向きが逆であることがわかると、溝部4の出入口と反転シャフト6の第1の通路溝10aの入口とを対向させる(図5(a))。この状態で、エアー出入口9から溝部4にエアーを吹き出すとともに、エアー吸引口11で通路溝10内のエアーを吸引する。これにより、チップ部品5は、溝部4から反転シャフト6の通路溝10に送り込まれる。
【0044】
通路溝10に送り込まれたチップ部品5は、エアーに押されて、通路溝10内の第1の通路溝10aと第2の通路溝10bを介して第3の通路溝10cの出口まで移動する(図5(b))。
【0045】
第3の通路溝10cの出口付近には、光透過孔14とその上方に存在確認用の受光センサ24が設けられており、チップ部品5が通過したか否かを光学的に検出する。受光センサ24により、チップ部品5の通過が検出されると、反転シャフト6を反時計回りに90度回転させて、通路溝10内の第3の通路溝10cの出口を溝部4と対向させる。この状態で、チップ部品5の向きは、図5(a)とは逆になる。
【0046】
次に、エアー吹出口12から通路溝10にエアーを吹き出すとともに、エアー出入口9で収納溝内のエアーを吸引する。これにより、第3の通路溝10cの出口付近にいたチップ部品5は、元の溝部4に収納される(図5(c))。第3の通路溝10cの出口付近の底面は、インデックステーブル3下のベース板1の上面よりも高い位置にあり、かつ出口の幅は溝部4の幅L1より狭いため、チップ部品5は境界位置で引っ掛かることなくスムーズに移動する。
【0047】
溝部4には、光透過孔13とその上方に存在確認用の受光センサ22が設けられており、このセンサ22によりチップ部品5の収納が確認されると、反転シャフト6を反時計回りに90度回転させて、第1の通路溝10aを溝部4に対向させる(図5(d))。以降は、上述した処理と同様の処理が行われる。
【0048】
このように、本実施形態では、反転シャフト6の上面に曲線状の通路溝10を複数個設けるため、チップ部品5の極性反転を行うのに反転シャフト6を90度かそれ以下の角度だけ回転させればよく、図9に示した従来例よりも反転シャフト6の回転量が少なくてすむ。したがって、チップ部品5の極性反転を高速に行うことができる。逆の見方をすれば、本実施形態によれば、反転シャフト6を高速で回転させなくても、十分なスループットが得られるため、低コストかつ高性能の極性反転装置を実現できる。
【0049】
図8は本実施形態と図10に示した従来例とで反転シャフトの回転時間および回転速度を比較した図であり、図8(a)は従来例の回転時間および回転速度を示し、図8(b)は本実施形態の回転時間および回転速度を示している。いずれの図でも、横軸が回転時間で、縦軸が回転速度である。
【0050】
図8を見ればわかるように、チップ部品5の極性を反転(90度回転)するのに、従来例では20msの回転時間を要したが、本実施形態では14msしか要しない。次のチップ部品5の処理に取り掛かるのに180度(90度×2回)の回転が必要であり、図8の2倍の時間を要するため、結局、チップ部品5の極性反転処理の1サイクルで、(20−14)×2=12msの短縮になる。このように、本実施形態によれば、コストのかかる高速モータを使用することなく、きわめて高速にチップ部品5の極性反転処理を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、通路溝10を複数設けるため、一つの通路溝10を用いてチップ部品5の反転を行った後、次のチップ部品5の反転を行うために反転シャフト6を大きく回転させなくてすみ、複数のチップ部品5の反転処理をきわめて高速に行うことができる。
【0052】
さらに、第1の通路溝10aの底面を入口から出口にかけて連続的に高くし、かつ第1および第2の通路溝10a,10bの幅を同じにし、かつ第3の通路溝10cの出口の幅を溝部4の出入口の幅よりも狭くするため、溝部4と通路溝10との境界付近や通路溝10の内部で、チップ部品5が引っ掛からなくなり、スムーズかつ確実にチップ部品5を移動させることができる。
【0053】
また、通路溝10の近くに設置されるエアー吹出口12はエアーの吹出専用であり、エアー吸引口11はエアーの吸引専用であるため、エアーの吹出と吸引を切り替えるエアー出入口9を1個設けるだけで済む。エアー出入口9は、エアー吹出口12やエアー吸引口11に比べて構造が複雑であるため、本実施形態によれば、図10のようにエアー出入口9を複数設ける場合よりも構造を簡略化できる。
【0054】
上述した実施形態では、反転シャフト6の上面に90度に曲がった通路溝10を二つ設ける例を説明したが、通路溝10の曲がる角度と数には特に制限はない。例えば、図9は60度に曲がった通路溝10を三つ設ける例を示す上面図である。一個のチップ部品5を反転するのに必要な反転シャフト6の回転角度は60度で済み、上述した実施形態よりもさらに少ない回転量でチップ部品5の反転処理を行うことができる。
【0055】
また、通路溝の角度は、上述した90度や60度に限らず、90度以内で設定できる。また、隣接配置される2つの通路溝それぞれの中心線のなす角は、個々の通路溝の角度に応じて設定される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】(a)は本発明の一実施形態による極性反転装置の主要部を示す断面図、(b)は図1(a)のA−A線断面図、(c)は図1(a)のB−B線断面図。
【図2】極性反転装置の上面図。
【図3】(a)は図2(a)のA−A線断面図、(b)は図3(a)のB−B線断面図。
【図4】(a)は図3(a)の点線部p1の拡大断面図、(b)は図3(b)の点線部p2の拡大断面図。
【図5】(a)〜(d)は反転シャフト6が回転する様子を順に説明する図。
【図6】チップ部品の極性反転装置の適用状況を説明する図。
【図7】チップ部品のマークを示す図。
【図8】本実施形態と図10に示した従来例とで反転シャフトの回転時間および回転速度を比較した図であり、(a)は従来例の回転時間および回転速度を示し、(b)は本実施形態の回転時間および回転速度を示す図。
【図9】反転シャフト上に3つの通路溝を設けた例を示す上面図。
【図10】極性反転装置33の周辺を拡大した図であり、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A線断面図。
【図11】(a)は反転シャフト6の通路溝37にチップ部品5が移動した状態を示す図、(b)は元の溝部にチップ部品を戻した状態を示す図。
【符号の説明】
【0057】
1 ベース板
2 反転ユニット
3 インデックステーブル
4 溝部
5 チップ部品
6 反転シャフト
7 反転底板
9 エアー出入口
10 通路溝
10a 第1の通路溝
10b 第2の通路溝
10c 第3の通路溝
11 エアー吸引口
12 エアー吹出口
13,14 光透過孔
17 モータ
19 スリット板
21,23 投光ファイバ
22,24 受光センサ
31 チップ部品供給部
32 極性判定装置
37 通路溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ部品を収納する溝部を外周に設けたインデックステーブルと、
前記溝部に収納されたチップ部品を取り出して、該チップ部品の向きを反転させた後、元の前記溝部に収納するチップ部品反転手段と、を備え、
前記チップ部品反転手段は、
回転可能な反転シャフトと、
前記反転シャフトの上部に設けられて前記チップ部品の向きを変更する方向変更部と、を有し、
前記方向変更部は、それぞれが所定角度に曲がった複数のチップ部品通路溝を有し、
前記複数のチップ部品通路溝のそれぞれは、
前記溝部からのチップ部品を取り込む入口を有する第1の通路溝と、
前記第1の通路溝の出口に一体に接続される入口を有する曲線状の第2の通路溝と、
前記第2の通路溝の出口に一体に接続される入口とチップ部品を送り出す出口とを有する第3の通路溝と、を有することを特徴とするチップ部品の極性反転装置。
【請求項2】
前記第1の通路溝は直線状であることを特徴とする請求項1に記載の極性反転装置。
【請求項3】
前記曲線は円弧であることを特徴とする請求項1に記載のチップ部品の極性反転装置。
【請求項4】
前記第1乃至第3の通路溝は、一体的に曲線状であることを特徴とする請求項1または3に記載のチップ部品の極性反転装置。
【請求項5】
前記第1および第3の通路溝は直線状で、その長さはそれぞれ、チップ部品の長手方向寸法の0.5倍以上であり、
前記第2の通路溝の曲率半径は、前記第1および第3の通路溝の長さがそれぞれチップ部品の長手方向寸法の0.5倍以上であることを条件として、最大限長い値に設定されることを特徴とする請求項1に記載の極性反転装置。
【請求項6】
前記第1の通路溝の入口から前記第2の通路溝の出口までは、前記溝部の幅よりも広くて同じ大きさの幅で形成されており、
前記第3の通路溝の入口から出口までは、幅が連続的に狭くなるように形成されており、
前記第3の通路溝の出口の幅は、前記溝部の幅よりも狭くなるように形成されていることを特徴とする請求項1、4および5のいずれかに記載の極性反転装置。
【請求項7】
前記第2の通路溝の曲線を形成する中心角は90度以内であることを特徴とする請求項1、3、4、5および6のいずれかに記載の極性反転装置。
【請求項8】
前記第1の通路溝の底面は、入口から出口にかけて連続的に高くなるように形成されており、
前記第2および第3の通路溝の底面の高さは、前記第1の通路溝の出口の底面の高さと略同じに形成されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の極性反転装置。
【請求項9】
前記溝部にエアーを吹き出すとともに、前記溝部のエアーを吸引するエアー出入口と、
前記第1の通路溝の入口付近に向かってエアーを吹き出す吹出口と、
前記第3の通路溝の出口付近のエアーを吸引する吸引口と、を備えることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の極性反転装置。
【請求項10】
前記溝部内の所定の場所をチップ部品が通過したか否かを検出する第1の通過検出器と、
前記第3の通路溝内の所定の場所をチップ部品が通過したか否かを検出する第2の通過検出器と、を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の極性反転装置。
【請求項11】
チップ部品を収納する溝部を外周に設けたインデックステーブルと、
前記溝部に収納されたチップ部品を取り出して、該チップ部品の向きを反転させた後、元の前記溝部に収納するチップ部品反転手段と、を備え、
前記チップ部品反転手段は、
回転可能な反転シャフトと、
前記反転シャフトの上部に設けられて前記チップ部品の向きを変更する方向変更部と、を有し、
前記方向変更部は、前記チップ部品を移動させる複数のチップ部品通路溝を有し、
前記複数のチップ部品通路溝のそれぞれは、
前記溝部からのチップ部品を取り込む入口を有する第1の通路溝と、
前記第1の通路溝の出口に一体に接続される入口を有する曲線状の第2の通路溝と、
前記第2の通路溝の出口に一体に接続される入口とチップ部品を送り出す出口とを有する第3の通路溝と、を有するチップ部品の極性反転装置の極性反転方法であって、
前記複数のチップ部品通過溝のうちいずれかの前記第1の通路溝の入口と前記溝部の出入口と対向させた状態で、エアー出入口から前記溝部にエアーを吹き出すとともに、吸入口により該チップ部品通路溝内のエアーを吸入して、前記溝部から該チップ部品通過溝にチップ部品を送り込むステップと、
前記エアーの吹出および吸引により、該チップ部品通過溝内のチップ部品が前記第1の通路溝から前記第2の通路溝を通って前記第3の通路溝まで達すると、前記反転シャフトを90度以内の所定角度だけ回転させて、前記溝部と前記第3の通路溝とを対向させるステップと、
吹出口から該チップ部品通過溝内にエアーを吹き出すとともに、前記エアー出入口にて前記溝部のエアーを吸引して、前記第3の通路溝から元の前記溝部にチップ部品を送り出す工程と、を備えることを特徴とする極性反転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−254132(P2007−254132A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−83597(P2006−83597)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(591009705)株式会社 東京ウエルズ (47)
【Fターム(参考)】