説明

チャンバーコンポーネントを洗浄する方法及び装置

第1の態様において、オリフィスを有する半導体製造チャンバーのコンポーネントを洗浄するための方法が提供される。この方法は、(A)洗浄溶液を有する槽にコンポーネントを入れるステップと、(B)洗浄溶液でコンポーネントを洗浄する間に、オリフィスに流体を流し込んで、オリフィスの少なくとも第1部分を、洗浄溶液がない状態に維持するステップと、(C)オリフィスから流体を回収し、洗浄溶液がオリフィスの第1部分に入り込んでオリフィスの第1部分を洗浄するようにするステップとを備えている。多数の他の態様も提供される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、参考としてここに全体を援用する2006年11月1日に出願された米国プロビジョナル特許出願第60/863,906号に対する優先権を主張する。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、半導体装置の製造に関し、より詳細には、半導体装置の製造中に使用されるチャンバーコンポーネントを洗浄するための方法及び装置に関する。
【発明の背景】
【0003】
堆積チャンバーのガス分配システムは、半導体装置の処理中にガスを流す1つ以上の穴、開口及び/又は他のオリフィスを有するフェースプレート、ガス分配プレート又は別のガス分配要素を含む場合がある。チャンバー内で行われる堆積プロセス中に、ガス分配要素のオリフィス及び他の表面は、堆積プロセスの堆積種、堆積副産物、等の材料で被覆されることがある。
【0004】
堆積チャンバー及びガス分配要素の適切な動作を保証するために、ガス分配要素を周期的に洗浄して、ガス分配要素の種々の表面及び/又はオリフィスから堆積材料を除去することができる。例えば、ガス分配要素のオリフィス及び他の表面から堆積材料をエッチングする酸性槽のような洗浄溶液にガス分配要素を入れることができる。しかしながら、このような洗浄プロセスは、ガス分配要素にダメージを及ぼしてその有効寿命を制限することがある。従って、ガス分配要素のようなチャンバーのコンポーネントを洗浄するための改良された方法が要望されている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様において、オリフィスを有する半導体製造チャンバーのコンポーネントを洗浄する第1の方法が提供されている。この方法は、(A)洗浄溶液を有する槽にコンポーネントを入れるステップと、(B)洗浄溶液でコンポーネントを洗浄する間に、オリフィスに流体を流し込んで、オリフィスの少なくとも第1部分を、洗浄溶液がない状態に維持するステップと、(C)オリフィスから流体を回収し、洗浄溶液がオリフィスの第1部分に入り込んでオリフィスの第1部分を洗浄するようにするステップとを備えている。
【0006】
本発明の第2の態様において、オリフィスを有する半導体製造チャンバーのコンポーネントを洗浄する方法が提供されている。この方法は、(A)洗浄溶液を有する槽にコンポーネントを入れるステップと、(B)洗浄溶液でオリフィスの第2部分を洗浄する間に、オリフィスに流体を流し込んで、オリフィスの少なくとも第1部分を、洗浄溶液がない状態に維持するステップと、(C)オリフィスから流体を回収し、洗浄溶液がオリフィスの第1部分に入り込んでオリフィスの第1部分を洗浄するようにするステップとを備えている。
【0007】
本発明の第3の態様において、半導体装置製造用コンポーネントの洗浄中に使用するための装置が提供されている。この装置は、(A)コンポーネントに結合されてコンポーネントとの流体密シールを形成するように適応される表面を有するジグと、(B)洗浄溶液でコンポーネントを洗浄する間にコンポーネントに流体を供給し及びコンポーネントに真空を付与するように適応される少なくとも1つの入口とを備えている。
【0008】
本発明の他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付図面から完全に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】オリフィスを有するフェースプレート又は他のガス分配要素のようなチャンバーコンポーネントの側面図である。
【図1B】図1Aのオリフィスの一実施形態の分解図である。
【図2】本発明により槽内に入れられたコンポーネントの側面図である。
【図3】図2のコンポーネントのオリフィスの一実施形態を示す側面図である。
【図4】本発明により洗浄溶液を形成するプロセスを示す。
【図5】本発明の一実施形態によりコンポーネントを洗浄するプロセスを示すフローチャートである。
【図6】槽内の洗浄溶液の最上位レベルを指示するポイントにおけるオリフィスの第1の狭い部分内の洗浄溶液を示す。
【図7】本発明の実施形態により処理チャンバーのコンポーネントを洗浄するプロセスを示す。
【詳細な説明】
【0010】
本発明は、半導体装置製造中に使用されるチャンバーのコンポーネントを洗浄するための方法及び装置を提供する。より詳細には、洗浄プロセスによってダメージを受けることのあるコンポーネントの小さな幾何学形状部を保護しながらチャンバーのコンポーネントを洗浄できるようにする方法及び装置が提供される。
【0011】
加えて、本発明は、洗浄溶液を調製して洗浄溶液を使用する方法も提供する。洗浄溶液は、ガス分配要素のようなコンポーネントから残留物を除去するエッチング剤のような洗浄剤を有する。また、洗浄溶液は、洗浄されているコンポーネントと相互作用して、例えば、コンポーネントの腐食を減少するような不動態化剤を有してもよい。
【0012】
上述したように、堆積チャンバーのガス分配システムは、半導体装置の処理中にガスを流す1つ以上の穴、開口又は他のオリフィスを有するフェースプレート、ガス分配プレート又は他のガス分配要素を含むことができる。チャンバー内で遂行される堆積プロセス中に、ガス分配要素のオリフィス及び他の表面は、堆積プロセスの堆積種、堆積副産物、等の材料で被覆されることがある。
【0013】
堆積チャンバー及びガス分配要素の適切な動作を保証するために、ガス分配要素を周期的に洗浄して、ガス分配要素から堆積材料を除去することができる。通常、ガス分配要素を酸性槽のような洗浄溶液に入れ、これが、ガス分配要素のオリフィス及び他の表面から堆積材料をエッチングする。しかしながら、このような酸性槽を使用すると、ガス分配要素のオリフィス及び/又は他の小さな幾何学的特徴部をオーバーエッチングし及び/又はそこにダメージを及ぼすことがある。というのは、ガス分配要素の大きな平らな表面は、比較的厚い堆積層を生じることがあり、これは、ガス分配要素のオリフィス内及び/又は他の小さな幾何学的特徴部に形成される層よりも長い除去時間を要するからである。ガス分配要素の小さな幾何学的特徴部の、このような積極的な洗浄は、ガス分配要素の有効寿命を制限する。
【0014】
本発明の方法及び装置は、洗浄プロセスによりダメージを受けることのあるコンポーネントの小さな幾何学形状部を保護しながら、ガス分配要素のようなチャンバーのコンポーネントを洗浄できるようにする。例えば、本発明のある実施形態では、ガス分配要素は、(例えば、処理中に基板に面する)主面を含むことができ、この主面内に1つ以上のオリフィスが形成されてガス分配要素を通して延びている。オリフィス(1つ又は複数)を保護しながらガス分配要素の主面を洗浄するために、オリフィス(1つ又は複数)にガスを送り込みながら主面を洗浄溶液に入れることができる。オリフィス(1つ又は複数)に送り込まれるガスは、主面が洗浄される間に、洗浄溶液がオリフィス(1つ又は複数)に入るのを防止するか、又は洗浄溶液がオリフィス(1つ又は複数)に入るのを制限する。
【0015】
ガス分配要素の主面が洗浄された後に、オリフィス(1つ又は複数)へのガスの流れを減少又は排除して、洗浄溶液がオリフィス(1つ又は複数)に入るのを許容することにより、オリフィス(1つ又は複数)を洗浄することができる。ある実施形態では、真空を使用して、オリフィス(1つ又は複数)を通して洗浄溶液を引くことができる。
【0016】
このように、ガス分配要素の主面のような、大きくて比較的エッチングに不感な特徴部は、第1の洗浄段階中に洗浄することができ、また、ガス分配要素の穴又は他のオリフィスのような、小さくて比較的エッチングに敏感な特徴部は、制御性の高い第2の洗浄段階中に洗浄することができる。本発明の、これら及び他の実施形態は、他のチャンバーコンポーネントを洗浄するように使用することができる。以下、図1Aから図7を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1Aは、オリフィス102(例えば、コンポーネント100を貫通して延びる穴又は他の形状の開口)を有するフェースプレート又は他のガス分配要素のようなチャンバーコンポーネント100の側面図である。また、図示されていないが、コンポーネント100は、オリフィス102と同様の付加的なオリフィスを含んでもよい。コンポーネント100は、例えば、ガスがコンポーネント100を通過して半導体ウェハのような基板(図示せず)と反応し及び/又はそこに堆積する化学気相堆積又は同様のプロセス中に使用することができる。使用中、コンポーネント100は、堆積種、堆積副産物、等(例えば、フッ化アルミニウム及びフッ化シリコン)に露出される。その結果、堆積種及び副産物の両方からの残留物がコンポーネント100のオリフィス102内及び前面104上に累積することがある。残留物がオリフィス102に蓄積すると、オリフィス102を通るガスの流量に悪影響が及ぶことがある。より詳細には、流量が減少して、堆積チャンバー内の堆積に悪影響を及ぼし、コンポーネント100が、堆積運転中に、信頼性のないものになったり及び/又は使用不能なものになったりすることがある。
【0018】
コンポーネント100は、コンポーネント100のオリフィス102及び表面104から残留物を除去するように洗浄することができる。通常、コンポーネント100は、エッチング剤(例えば、残留物を破壊する酸)を含む洗浄溶液106を有する槽に入れられる。エッチング剤は、オリフィス102及び表面104の両方から残留物をエッチングする。しかしながら、エッチング剤は、コンポーネント100に腐食を生じさせ、オリフィス102の寸法が変化して、最終的に、コンポーネント100を使用不能にさせることがある。
【0019】
図1Bは、図1Aのオリフィス102一実施形態の分解図である。他のオリフィス形状及び/又はサイズを使用してもよい。オリフィス102は、幅X及び長さYの狭い部分102aを含む。
【0020】
洗浄中に、洗浄溶液がオリフィス102をエッチングし、オリフィスがより広く及び/又はより短くなることがある。例えば、部分102aの幅Xは、エッチング剤が部分102aを腐食させた結果として幅Xに増加することがある。更に、部分102aの長さYは、長さYに減少することがある。
【0021】
オリフィス102の流れ特性は、オリフィス102の幅及び/又は高さの変化によって影響を受けて、コンポーネント100の堆積能力に影響を及ぼすことがある。更に、図示されていないが、コンポーネント100は、多数のオリフィスを含んでもよい。一部の場合には、洗浄溶液がオリフィスを非均一に腐食させ、洗浄の後、オリフィスが異なる幅及び/又は長さをもつことがある。コンポーネント100が、異なる寸法のオリフィスを有する場合には、コンポーネントが基板にわたってガスを均一に分配しないことになる。従って、堆積層が非均一となり、潜在的に公差から外れることがある。
【0022】
本発明によれば、コンポーネントの洗浄中にオリフィスの一部分と洗浄溶液との間の接触を最小限にしてコンポーネントを均一に洗浄する方法が提供される。図2は、本発明により槽204内に入れられたコンポーネント100の側面図である。槽204は、コンポーネント100から残留物を除去する洗浄溶液を含む。図4を参照して詳細に述べるように、槽204内の洗浄溶液は、コンポーネント100の洗浄要件に基づいて形成することができる。
【0023】
図2を参照すれば、コンポーネント100は、ジグ206に取り付けられ、ジグ206は、これに流体208を流し込めるように構成された通路210を有している。一実施形態において、ジグ206は、中空のもので、コンポーネント100が(例えば、1つ以上のO−リング又は他のシール(図示せず)を経て)ジグ206に配置されたときにコンポーネント100がジグ206との流体密嵌合を得るように構成することができる。更に、ジグ206は、これがコンポーネント100の上面に圧力を保持できるように構成される。ジグ206は、例えば、酸又は他のエッチング剤と反応しない材料、例えば、ポリエチレン、等で作ることができる。
【0024】
図3は、コンポーネント100のオリフィス102の一実施形態の側面図である。オリフィス102は、第1の狭い部分302と、第2部分304と、第3部分305とを含む。第1の狭い部分302は、コンポーネント100を通るガスの流れ特性をかなりの程度まで指示する幅X及び長さYを有している。本発明の一実施形態では、幅Xは、約12ミクロンから約20ミクロンの範囲であり、好ましくは、約16ミクロンである。しかしながら、第1の狭い部分302の幅Xは、コンポーネント100の用途に基づいて変化してもよい。例えば、コンポーネント100から高い流量のガスを必要とする用途は、より広いオリフィスを有してもよい。或いは又、低い流量を必要とする用途は、より狭いオリフィスを有してもよい。
【0025】
一実施形態において、長さYは、約40ミルから約45ミルの範囲であり、好ましくは、約43ミルである。第1の狭い部分302の長さは、コンポーネント100の用途に基づいて変化してもよいことに注意されたい。更なる例示のために、高い流量を必要とする用途は、より短い長さを有してもよい。一方、低い流量を必要とする用途は、より長い長さを有してもよい。例えば、第1の狭い部分302の長さ、及び第1の狭い部分302の幅は、どちらも、次の比率に基づいて決定されてもよい。
【0026】
流量=(12.1*(X))/Y
以下に詳細に述べるように、少なくとも1つの実施形態では、コンポーネント100の第1の狭い部分302は、コンポーネント100の前面104が槽204内において洗浄溶液で洗浄されるときに保護される。従って、第1の狭い部分302は、コンポーネント100の洗浄中にダメージを受けない。例えば、コンポーネント100は、ジグ206に結合することができる。次いで、オリフィス102の第1の狭い部分302を保護しながらコンポーネント100の前面104を洗浄するために、ジグ206の通路210を経てコンポーネント100の第1の狭い部分302へ流体(例えば、ガス)を送り込みながら、槽204の洗浄溶液に前面104を入れることができる。前面104が洗浄された後、オリフィス102の第1の狭い部分302への流体の流れを停止して、洗浄溶液を第1の狭い部分302に入れて洗浄を行うことができる。例えば、ジグ206の通路210を経て第1の狭い部分302へ真空を付与し、(以下に更に述べるように)オリフィス102の第1の狭い部分302へ洗浄溶液を引き込むことができる。
【0027】
図4は、本発明により洗浄溶液を形成するプロセス400を示す。図4を参照すれば、ステップ402において、コンポーネント100のようなコンポーネントの洗浄要件が決定される。例えば、コンポーネント100から除去されるべき残留物の量を決定することができる。コンポーネント100の洗浄要件に基づいて、洗浄溶液を形成することができる(ステップ404)。
【0028】
一実施例として、洗浄溶液の一部分は、エッチング剤(例えば、フッ化水素酸、又は残留物を除去できる何か)でよく、また、洗浄溶液の第2部分は、不動態化剤(例えば、硝酸(HNO)、又は腐食を防止する何か)でよい。本発明の一実施形態によれば、洗浄溶液は、約10%のHF及び約90%のHNOで形成することができる。しかしながら、洗浄溶液に使用するエッチング剤の量及び使用する不動態化剤の量は、洗浄されるコンポーネントに対するエッチング要件に基づいて変化してもよい。更なる例示のために、より強いエッチングが要求される場合には、洗浄溶液は、約15%のHF及び約85%のHNOを含んでもよい。より弱いエッチングが要求される場合には、約5%のHF及び約95%のHNOを有する洗浄溶液を使用してもよい。エッチング剤と不動態化剤との他の比率、及び/又は洗浄溶液用の他の化学物質を使用してもよい。洗浄溶液は、形成後に、ステップ406において、コンポーネント100のようなコンポーネントを洗浄するために、槽204のような槽に入れられる。
【0029】
図5は、本発明の実施形態によりコンポーネントを洗浄するためのプロセス500を示すフローチャートである。ステップ502において、オリフィスを有するチャンバーコンポーネントが洗浄溶液に挿入される。例えば、図2を参照すれば、オリフィス102を有するコンポーネント100が、洗浄溶液を有する槽204に挿入される。コンポーネント100が洗浄溶液中に入れられると、ステップ504において、コンポーネント100が洗浄される。
【0030】
ステップ504において、オリフィスの少なくとも第1部分は、コンポーネントが洗浄される間に洗浄溶液がない状態に維持される。例えば、図3に示すように、オリフィス102の第1の狭い部分302は、(洗浄溶液の上限境界204aで示されたように)洗浄溶液がない状態に維持してもよい。本発明の実施形態によれば、コンポーネントのオリフィスの一部分(又は全部)は、コンポーネントの洗浄中にオリフィスにガス(例えば、空気、酸素、窒素、アルゴン、キセノン、又は他の適当なガス)を噴射することにより、洗浄溶液がない状態に維持される。例えば、図2を再び参照すれば、コンポーネント100が槽204に入れられると、通路210を通してジグ206にガスを噴射することができる。ガスは、オリフィス102の第1の狭い部分302(図3)に洗浄溶液が入り込むのを防止する圧力でコンポーネント100に噴射することができる。ある実施形態では、ガスは、約1.1大気圧から約1.5大気圧の圧力で噴射することができるが、他の圧力を使用してもよい。
【0031】
図3を参照すれば、ガスが通路210を経てジグ206へ噴射されたときには、ガスがオリフィス102の第1の狭い部分302に流れ込む。ガスが第1の狭い部分302に流れ込むと、洗浄溶液204は、オリフィス102の第1の狭い部分302の端302aより下に維持される。洗浄溶液は、他の希望のレベルに維持されてもよく、また、ジグ206内の圧力を調整することによりオリフィス102から完全に除外されてもよい。
【0032】
上述したように、オリフィスの第1の狭い部分302の寸法X及びYは、コンポーネント100の機能にとって重要なことがある。端302aは、第1の狭い部分302の終了点である。従って、洗浄溶液がコンポーネント100の表面104の洗浄中に端302aより上に上昇する場合は、洗浄溶液が第1の狭い部分302を腐食させ、寸法X及びYを変更することがある。
【0033】
図3に示す実施形態では、コンポーネント100の表面104は、オリフィス102の第2部分304及び第3部分305と共に、槽204の洗浄溶液で洗浄される。ある実施形態では、表面104及び/又は第2部分304及び第3部分305を洗浄する時間は、約10分から約数時間の範囲である。他の洗浄時間を使用してもよい。第1の狭い部分302が同じ時間周期(例えば、10分から5時間)中に洗浄溶液に露出される場合には、第1の狭い部分302が腐食してもよい(例えば、受け容れられないように)ことに注意されたい。一般的に、洗浄の期間は、コンポーネント100に累積した残留物の形式及び量に依存する。例えば、コンポーネント100が、コンポーネント100に炭素の蓄積を生じたプロセスに使用された場合には、洗浄を5時間まで続けることができる。
【0034】
ステップ506では、コンポーネントのオリフィスの第1部分が洗浄される。例えば、オリフィスへのガスの流れを停止して、洗浄溶液をオリフィスに入れるのを許容することができる。少なくとも1つの実施形態では、オリフィスに真空を付与することができる。例えば、図2の実施形態では、ジグ206に真空を付与し、オリフィス102を通してジグ206の通路210から洗浄溶液を引くことができる。ある実施形態では、約250ミリトールから約750ミリトールの範囲の真空、更に好ましくは、約500ミリトールの真空をジグ206及び/又はオリフィス102に付与することができる。真空がオリフィス102の第1の狭い部分302に付与されると、洗浄溶液が第1の狭い部分302へ移動し、そこに堆積した残留物を洗浄する。
【0035】
オリフィス102の第1の狭い部分302は、例えば、連続的に洗浄されてもよい(例えば、洗浄溶液がオリフィスの第1部分に連続的に接触してもよい)。別の実施形態では、洗浄溶液をオリフィスの第1部分へ及び第1部分から循環させてもよい。この実施形態では、ガスが第1部分へ及び第1部分から繰り返し(例えば、規則的な間隔で)ポンプ送りされて、洗浄溶液がオリフィス102の第1の狭い部分302へ引き込まれ、次いで、そこから引き出されるようにされる。ガスが第1の狭い部分302へとポンプ送りされると、ガスは、第1の狭い部分302から洗浄溶液を強制的に出す。ガスが第1の狭い部分302からポンプに送られると、再び真空が生成され、洗浄溶液が残留物の洗浄のために第1の狭い部分302へ戻される。少なくとも1つの実施形態では、オリフィスの第1部分の洗浄が約5分間で行われるが、それより長い又は短い洗浄時間が使用されてもよい。
【0036】
更なる例示のために、図6は、槽204内の洗浄溶液の最上位レベルを示す点204aにおいてオリフィス102の第1の狭い部分302内の洗浄溶液を示している。最初に、真空を形成するために、オリフィス102の第1の狭い部分302からガスがポンプに送られる。ガスがポンプに送られて真空を形成すると、洗浄溶液が第1の狭い部分302へと移動する。洗浄溶液は、オリフィス102の第1の狭い部分302を通して流れてもよいし、又は第1の狭い部分302内に適当な時間中保持されてもよい。
【0037】
或いは又、ガスがオリフィス102の第1の狭い部分302へポンプで戻され、洗浄流体を強制的に出してもよい。洗浄溶液が第1の狭い部分302から強制的に出された後、ガスが再びオリフィス102からポンプに送られて、槽204からの洗浄溶液が更なる洗浄のために第1の狭い部分302へ移動される。このプロセスは、第1部分が充分きれいになるまで繰り返すことができる。オリフィスが洗浄された後に、プロセス500が完了となる。
【0038】
図7は、本発明の実施形態により処理チャンバーのコンポーネントを洗浄するためのプロセス700を示す。最初に、ステップ702において、処理チャンバーからコンポーネントが取り出される。処理チャンバーからコンポーネントが取り出されると、ステップ704において、洗浄溶液を有する槽にコンポーネントが挿入される。コンポーネントが槽に挿入されると、プロセス700は、ステップ706を遂行する。
【0039】
ステップ706において、流体(例えば、窒素、又は不活性ガス等の別のガス)がコンポーネントのオリフィスの第1部分に噴射される。この流体は、オリフィスの第2部分が洗浄される間に、洗浄溶液がオリフィスの第1部分に入るのを防止するために噴射される。従って、ステップ708においてオリフィスの第2部分が洗浄される間に、洗浄溶液がオリフィスの第1部分を腐食させることはない。それ故、洗浄プロセス中に、第1部分の寸法が維持される。
【0040】
オリフィスの第2部分の洗浄中に、オリフィスの第2部分内に洗浄溶液が維持される(ステップ710)。例えば、図3を再び参照すれば、流体は、槽204の洗浄溶液を、第2部分304の洗浄中にオリフィス102の第1の狭い部分302の点302aより下に維持する。それ故、第1の狭い部分302は、第2部分304が洗浄される間に洗浄溶液がない状態を保つ。第2部分が洗浄されると、プロセス700は、ステップ712を遂行する。
【0041】
ステップ712の間に、オリフィスの第1部分に真空が形成される。(ステップ708の間に供給された)オリフィスの流体をポンプで出すことによりオリフィスの第1部分に真空が形成される。本発明の実施形態により、約250ミリトールから約750ミリトールの範囲の真空、更に好ましくは、約500ミリトールの真空を使用することができる。オリフィスの第1部分に真空が形成されると、洗浄溶液がオリフィスに入り、第1部分を洗浄する(ステップ714)。
【0042】
例えば、図6を参照すれば、オリフィス102の第1の狭い部分302に真空が形成されると、槽204の洗浄溶液がそこに入る。洗浄溶液が第1の狭い部分302に入ると、洗浄溶液は、第1の狭い部分302に累積された残留物を除去する。一実施形態では、洗浄溶液がオリフィス102の第1の狭い部分302に約5分間留まる(が、他の洗浄時間が使用されてもよい)。オリフィスの第1部分が洗浄された後に、ステップ716において溶液からコンポーネントが取り出され、プロセス700が終了となる。
【0043】
以上の説明は、本発明の実施形態を開示するものに過ぎない。当業者であれば、上述した装置及び方法の、本発明の範囲内に入る変更が容易に明らかであろう。例えば、オリフィスの一部分が洗浄溶液に露出される時間は、そこに存在する残留物に基づいて変化させてもよい。更に、種々のエッチング剤及び/又は不動態化剤を有する洗浄溶液を使用することができる。その結果、オリフィスを露出させる時間は、使用する洗浄溶液にも依存可能である。
【0044】
従って、本発明は、その実施形態に関連して開示されたが、他の実施形態でも、特許請求の範囲により定義される本発明の精神及び範囲内に入り得ることが理解されよう。
【符号の説明】
【0045】
100…チャンバーコンポーネント、102…オリフィス、104…前面、106…洗浄溶液、204…槽、206…ジグ、208…流体、210…通路、302…第1の狭い部分、302a…端、304…第2部分、305…第3部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリフィスを有する半導体製造チャンバーのコンポーネントを洗浄する方法において、
洗浄溶液を有する槽に上記コンポーネントを入れるステップと、
上記洗浄溶液で上記コンポーネントを洗浄する間に、上記オリフィスに流体を流し込んで、上記オリフィスの少なくとも第1部分を、上記洗浄溶液がない状態に維持するステップと、
上記オリフィスから上記流体を回収し、上記洗浄溶液が上記オリフィスの上記第1部分に入り込んで上記オリフィスの上記第1部分を洗浄するようにするステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
上記コンポーネントは、ガス分配要素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記コンポーネントは、堆積チャンバーに使用されるフェースプレートである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記洗浄溶液は、
フッ化水素酸(HF)、及び
硝酸(HNO
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記洗浄溶液は、約10%のフッ化水素酸及び約90%の硝酸を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上記洗浄溶液は、約15%のフッ化水素酸及び約85%の硝酸を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
上記洗浄溶液は、約5%のフッ化水素酸及び約95%の硝酸を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
上記流体は、窒素ガスである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
上記流体は、不活性ガスである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
上記オリフィスから上記流体を回収した後に上記オリフィスに上記流体を流し込むステップと、
上記オリフィスから上記流体を2回目に回収するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上記オリフィスから上記流体を回収する上記ステップは、上記オリフィスに真空を付与する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
上記オリフィスに流体を流し込む上記ステップは、
上記コンポーネントにジグを結合する段階と、
上記ジグを通して上記オリフィスに流体を流し込む段階と、
を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
上記ジグは上記コンポーネントと流体密シールを形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
オリフィスを有する半導体製造チャンバーのコンポーネントを洗浄する方法において、
洗浄溶液を有する槽に上記コンポーネントを入れるステップと、
上記洗浄溶液で上記オリフィスの第2部分を洗浄する間に、上記オリフィスに流体を流し込んで、上記オリフィスの少なくとも第1部分を、上記洗浄溶液がない状態に維持するステップと、
上記オリフィスから上記流体を回収し、上記洗浄溶液が上記オリフィスの上記第1部分に入り込んで上記オリフィスの上記第1部分を洗浄するようにするステップと、
を備えた方法。
【請求項15】
上記コンポーネントは、ガス分配要素である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
上記コンポーネントは、堆積チャンバーに使用されるフェースプレートである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
上記洗浄溶液は、
フッ化水素酸(HF)、及び
硝酸(HNO
を含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
上記オリフィスから上記流体を回収する上記ステップは、上記オリフィスに真空を付与する段階を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
上記オリフィスに流体を流し込む上記ステップは、
上記コンポーネントにジグを結合する段階と、
上記ジグを通して上記オリフィスに流体を流し込む段階と、
を含む請求項14に記載の方法。
【請求項20】
半導体装置製造用コンポーネントの洗浄中に使用するための装置において、
上記コンポーネントに結合されて上記コンポーネントとの流体密シールを形成するように適応される表面を有するジグと、
洗浄溶液で上記コンポーネントを洗浄する間に上記コンポーネントに流体を供給し及び上記コンポーネントに真空を付与するように適応される少なくとも1つの入口と、
を備えた装置。
【請求項21】
上記ジグは、上記洗浄溶液によってエッチングされない材料で構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
上記ジグは、ポリエチレンで構成される、請求項21に記載の装置。


【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−508145(P2010−508145A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−535302(P2009−535302)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/022978
【国際公開番号】WO2008/057351
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】