説明

チルト調節装置及び車両のチルトを調節する方法

本発明は、車両(10)のロール角速度を示す信号(κ’)を検出すると共に、設定舵取り角信号(δset)を検出する検出手段と、前記ロール角速度信号(κ’)及び設定舵取り角信号(δset)に基づいて舵取り信号(δ)を発生する調節手段(21,29,30)とを備え、加えて、車両(10)の少なくとも一つの軸の一つ以上の車輪(11)の舵取りを行うために、舵取りアクチュエータ(15)に舵取り信号(δ)を出力する出力手段(31)を備える車両(10)用のチルト調節装置(16)に関する。本発明によれば、チルト調節装置(16)は、車両(10)が少なくとも一時的にシングルトラック走行モードに保持されるように、舵取り信号(δ)によって舵取りアクチュエータ(15)を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のロール角速度を示すロール角速度信号を検出すると共に、設定舵取り角信号を検出する検出手段と、ロール角速度信号及び設定舵取り角信号に基づいて舵取り信号を発生する調節手段と、車両の少なくとも一つの軸の一つ以上の車輪の舵取りを行う舵取りアクチュエータに舵取り信号を出力する出力手段とを備える車両用のチルト調節装置に関する。本発明はまた、この種のチルト調節装置を有する車両、特に、マルチトラック車両に関し、また、チルト調節装置のように機能する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のチルト調節装置は、例えば、特許文献1により知られている。ここに記載されたチルト調節は、4輪舵取り車両及び前輪舵取り車両のローリング動作を減衰させる。この知られたチルト調節装置は、ロール角速度を間接的又は直接的に示す信号を考慮した車体のローリング動力学に基づいている。さらに、走行方向に対する運転者の要望、即ち、設定舵取り角が考慮されている。
【0003】
改良された安定化動作は、特許文献2に従って補足的な舵取りによってもたらされる。そこでは、走行速度、ヨー角速度、横加速度、前後加速度、ハンドルの転舵角、即ち、設定舵取り角、タイヤの状態等が考慮されている。車両のローリング動作は、やはり考慮されていない。
【0004】
特許文献3による調節装置の場合、互いに独立した、車両の舵取り及び/又は車両のシャシのアクチュエータに介入する二つの調節補助装置がある。この調節装置は、例えば、車輪速度信号、ヨー角速度信号、横加速度信号、及び舵取り角信号に基づいている。
【0005】
横加速度センサ又はヨー角速度センサが故障した場合の改良された突発的なローリング動作は、例えば、特許文献4による車両舵取り装置によって提供される。損傷した状態において、補助舵取りトルクが低減し、その結果、舵取り装置は、損傷の場合でさえもできる限り最適に操作されることができる。
【0006】
従来技術から知られている装置は、原動機付き車両、本明細書では、具体的に自動車を、4輪の安定的な走行モードに維持することを目的としている。しかしながら、シングルトラック車両、例えば、自動二輪車等の場合、それらは、特に、つり合いの取られた傾いた状態に維持されることになる。さらに、マルチトラック車両はまた、チルトすることができ、その結果、少なくとも所定時間の間シングルトラック走行モードで運転される。この種の運転状態は、例えば、映画や及び芸術的表現から知られている。
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第4032317A1号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3300640A1号明細書
【特許文献3】国際公開第99/01320号パンフレット
【特許文献4】独国特許出願公開第4422031号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、シングルトラック車両用、又はシングルトラック走行モードにあるマルチトラック車両用の最適チルト調節を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、最初に述べた種類のチルト調節装置の場合、車両が少なくとも所定時間の間シングルトラック走行モードに保持されるように、舵取り信号によって舵取りアクチュエータを作動させることによって達成される。
【0010】
チルト調節装置によって発生される舵取り信号は、仮想的な第3の車輪が存在するかのように振る舞う車両の安定したシングルトラック走行モードを提供する。運転者による誤った舵取り介入は、チルト調節装置によって補正される。不注意にも二輪走行してしまったマルチトラック車両は、また、少なくとも所定時間シングルトラック走行モードに保持されることができ、結果として再び安定する。その後、続いて、再びマルチトラック走行モードで適宜運転される。
【0011】
チルト制御装置は、個別の構造ユニットであってもよく、又は、例えば、車両の安定化制御システムに組み込まれてもよい。ハードウェア及び/又はソフトウェアの形態をとってもよく、例えば、制御手段、例えばマイクロプロセッサによって実行されることができるプログラムコードに含まれてもよい。
【0012】
本発明の有利な改良の形態は、従属項及び詳細な説明によって提供される。
【0013】
設定舵取り角信号によって車両の第1の方向への方向変更が指示されたとき、調節手段は、もし調節目的で必要ならば、舵取りアクチュエータを第1の方向とは反対の第2の方向に適宜作動させる。例えば、方向変更は、まず、あて舵動作によって始まる。次いで、チルト調節装置は、設定舵取り角の方向を変更し、設定舵取り角によって指示されたものより大きな舵取り角を設定する。方向変更の終了の際には、舵取り信号は、設定舵取り角信号の方向に収束して、定常状態の目標値を形成する。
【0014】
以下に述べる一つ以上の信号を検出する検出手段が適宜形成される。これに応じて、調節手段は、舵取り信号の形成時に都合良くこれらの信号を評価する。
−車両のヨー角速度を示すヨー角速度信号、
−車両の速度を示す速度信号、
−車両のロール角を示すロール角信号、
−車両のタイヤのセルフアライニングトルクを示すタイヤセルフアライニングトルク信号、
−車両の横加速度を示す横加速度信号、
−車両の前後加速度を示す前後加速度信号、
−車両の横速度を示す横速度信号、及び/又は
−車両の横滑り角を示す横滑り角信号。
【0015】
上記信号の一つ以上が、チルト調節装置によって都合良く検出され且つ評価されることは言うまでもない。
【0016】
本発明によるチルト調節装置の特に有利な調節概念は、下式の状態ベクトル
【数1】

を形成するように結合された六つの状態変数によって車両の動作を記述することができるモデル式に基づいている。
【数2】

ここで、Ψ’はヨー角速度であり、νは横速度、κはロール角、κ’はロール角速度、F及びFは、前述の変数から決定することができる車両の前輪及び後輪の横タイヤ力である。結局は、車両の動的動作は、結果として下式の6次非線型状態モデルによって記載することができる。
【数3】

ここで、δは、車両について設定された舵取り角(インデックス「L」は、以下常に車両の舵取りを示す)、Fは、車両に作用する横力である。定常作動状態Bにおいて、即ち、状態変数が時間と共に変化しないとき、次式が適用される。
【数4】

個々の状態変数は、設定舵取り角δと関係gの状態にある。従って、例えば、ロール角κとヨー角速度Ψ’の間で次の関係が得られる。
【数5】

ここで、hは、運動力学的なローリングポールの高さ、lは、運動力学的なローリングポールの長手方向の重心距離である。各作動点Bの近傍におけるシステムの力学がほぼ一定であると仮定すると、線型化された状態モデルは、式(2)に基づいて近似により導き出される。
【数6】

【0017】
システム行列A、及び基準ベクトルd、d、及び攪乱ベクトル
【数7】

は、システム伝達関数
【数8】

から次のように直接得られる。
【数9】

【0018】
これに基づいて、まず、システムの安定化のための状態フィードバック
【数10】

を、δsetを以下の運転者によって指示された舵取り角として、平衡状態又は目標状態として形式的に導入することができる。
【数11】

この場合、
【数12】

は、チルト調節によって決定される安定化成分であり、δsetは、初期設定成分である。従って、システム全体の動力学は、
【数13】

となる。
【0019】
安定化式(6)は、動作点又は展開点Bとして、目標とするシステム全体の目標状態
【数14】

をδsetにより直接的に示す。従って、すべての関連する非線型性は、正しく登録される。
【0020】
次いで、安定化ベクトル
【数15】

におけるフィードバックパラメータは、安定動作状態が常に有限時間内で達成されるように決定される。これに対する決定的に重要なことは、閉制御ループ(7)の固有値である。そのシステム行列Aは、
【数16】

として得られる。
【0021】
その結果、固有値λ、i=1...nは、
【数17】

により決定される。
【0022】
所定の最小減衰値Dminを有すると共に、さらに、固有振動数fsetを下回らない安定化固有値、即ち、負の真固有値が必要な場合、フィードバックパラメータk(i=1...n)は、式(8)及び(9)に基づく最適化により明確に決定される。好ましくは、動作点Bに対してばかりでなく、Bのまわりの最も可能性のある領域に対してもまた、好適な安定化構成を決定することによって、システム全体の非線型化が考慮される。
【0023】
3〜6の各走行速度特有解決法、適切な場合は、3〜6の前後加速度最適化解決法への分割が、適宜実行される。それらの間では、各場合とも、切り換えや補間を行うことができる。これに対する代案として、非線形コントローラの設計が、存在するモデルや総合概念に基づいて直接考案されることができる。
【0024】
調節装置は、舵取り反応信号を発生するように適宜設計されており、出力手段は、信号を舵取り反応アクチュエータに出力するように適宜設計されている。この舵取り反応アクチュエータは、車両の運転者のために、例えばハンドル又は舵取りフォークのような車両の手動舵取り手段において、舵取り反応トルクを発生することができる。このように、運転者は、自身の舵取り動作に関してフィードバックを受ける。
【0025】
本発明の以下の好都合な改良の形態は、特に、本発明によるチルト制御によって、所定時間の間シングルトラック走行モードに保持されるマルチトラック車両に関する。通常、マルチトラック車両は、すべての車輪が道路にできるだけ長く接するように運転される。しかしながら、車両がチルトする走行状態が発生する場合がある。知られた制御システムと対照的に、本発明によるチルト調節装置は、車両の安定化に必要な、車両がシングルトラック車両走行モードにあるチルト状態を適宜決定する。車両は、それが安定化するまで、このチルト状態、即ちシングルトラック走行モードで運転される。例えば、方向変更は、シングルトラック走行モードで行われる。方向変更の後でのみ、車両は、すべての車輪が道路に接触する走行状態に戻る。
【0026】
調節手段は、チルト信号の終了が決定される後まで、マルチトラック車両をチルト状態に適宜保持する。チルト信号の終了は、チルト調節装置自体によって決定され得る。しかしながら、車両の動力学的制御システムがチルト信号の対応する終了を本発明によるチルト制御装置に送出することも可能である。
【0027】
調節手段は、状態観測器を適宜含む。
【0028】
本発明に従って設計されたシングルトラック又はマルチトラック車両の場合、ロール角速度信号を発生すると共に、設定角度信号、及び、適切な場合には、前述のそれらの信号をも決定するセンサが適宜設けられている。車両はまた、チルト調節装置によって作動することができる舵取りアクチュエータを含む。本発明による車両の場合、舵取り反応信号を発生する舵取り反応アクチュエータも都合良く設けられている。
【0029】
設定舵取り角信号を決定する手動舵取り手段は、一つ又は複数の舵取りアクチュエータを介して、車両の舵取り可能な車輪に適宜動作するだけである。本発明によるチルト調節装置はまた、多軸舵取り用に設計されているのは言うまでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明を、図面を参照して例示的な実施の形態に基づいて以下に詳細に説明する。
【0031】
図1及び図2に示す車両10、例えば、自動二輪車又は自動車は、一つ以上の舵取り可能な車輪11、例えば前輪と、また、例えば車両10の一つ又は複数の後輪であって、エンジン13によって駆動される舵取りできない車輪を有する。車輪11は、ハンドル14、ハンドルバー、又はいくつかの他の手動舵取り手段によって舵取りすることができる。しかしながら、舵取り介入は、直接には発生しないが、チルト調節装置16によって作動する舵取りアクチュエータ15によって発生する。
【0032】
車両10のハンドル14の作動は、舵取り角センサ18によって検知される。舵取り角センサ18は、設定舵取り角信号δsetを装置16に送出する。装置16の検出手段20の入力装置19は、設定舵取り角信号δsetを検知し、それを調節モジュール21に伝達する。
【0033】
走行状態センサ22〜26は、例えば、デジタル及び/又はアナログ信号を検知する一つ以上のインタフェースマイクロプロセッサである検出手段20に、前後速度信号v、横速度信号v、ヨー角速度信号Ψ’、ロール角信号κ、及び、また、ロール角速度信号κ’を伝達する。これらの信号、及びタイヤセルフアライニングトルクセンサ27によって検知され、検出手段20の入力装置28に存在するタイヤセルフアライニングトルク信号Mは、走行状態観測器29に伝達される。
【0034】
走行状態観測器29は、例えば、前述の式(1)及び(3)によって、定常状態作動点g及び状態ベクトルZを決定する。走行状態観測器29は、定常状態作動点gを制御モジュール21に伝達する。調節モジュール21は、例えば、式(3)によって、状態ベクトルZの定常状態Zを決定し、これを調節モジュール30に伝達する。
【0035】
状態ベクトルZ及びZに基づいて、制御モジュール30は、例えば、式(6)によって、安定化成分K(Z−Z)を計算する。この安定化成分は、初期設定成分δsetに加えられ、その結果、舵取り信号δ(式(6)参照)が形成される。舵取り信号δは、例えば、デジタル及び/又はアナログ電圧信号を出力できる出力手段31によって、舵取り信号δに従って一つ又は複数の舵取り可能な車輪11を制御する舵取りアクチュエータ15に出力される。
【0036】
車両10の運転者は、ハンドル14に作用する舵取り反応アクチュエータ32、例えば、サーボモータを介して運転動作に対するフィードバックを受ける。運転者舵取りトルク調節システム34は、舵取り反応信号Mによって舵取り反応アクチュエータ32を制御する。舵取りトルク調節システム34の入力変数は、設定舵取り角δset、舵取り信号δ、及び状態ベクトルZである。
【0037】
装置16は、好ましくは、例えば、モジュール21,29,30及び32が、ソフトウェアの形態、例えば、ソフトウェア機能又はプログラムモジュールの形態をとるマイクロプロセッサ調整システムとして構成される。プログラムモジュールのプログラムコードは、図に示されていないマイクロプロセッサによって実行され、例えば、記憶手段、例えば、フラッシュメモリに格納される。
【0038】
本発明による装置16の有利な作動モードは、図3及び図4の図から理解することができる。
【0039】
時点t1で、ハンドル14において方向変更が始まると、鎖線によって示される設定舵取り角信号δsetが、時点t2において定常状態値に達するまで上昇する。装置16は、点線で示される舵取り信号δを発生する。この信号は、時点t1の後で、まず、設定舵取り角信号δsetの曲線輪郭を追従し、次いで、初期設定曲線δsetより早く上昇し、時点t2に始まるオーバシュ−トの後で、信号δsetと一致する定常状態目標値に安定する。時点t1とt2の間の舵取りの間、正の横速度vが、車両10のローリング動作からもたらされる。
【0040】
図4は、図3に示す信号に加えて、図3に従う方向変更があるときの車両10のヨー角速度及びロール角曲線を含む。しかしながら、縮尺は、舵取り角信号δ及びδsetに対するロール角κ(実線で示される)の関係が正しく表示されるように、図3と比べて変更されている。すべての角度信号は、例えば、度で与えられている。例えば、20°の目標ロール角κtargetは、例えば、0.5秒の短い時間内に装置16によって達成されることが、図4から明らかである。装置16の安定化モデルは、結果として、極端な範囲での運転操作に適している。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明によるチルト調節装置を備える本発明による車両をかなり図式化した形態で部分的に示す。
【図2】本発明によるシングルトラック車両を図式化した形態で示す。
【図3】図1によるチルト調節装置の舵取り角及び横速度曲線を示す。
【図4】図1によるチルト調節装置のヨー角速度及びロール角曲線、並びに動作を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(10)のロール角速度を示すロール角速度信号(κ’)を検出すると共に、設定舵取り角信号(δset)を検出する検出手段(20)と、
前記ロール角速度信号(κ’)及び前記設定舵取り角信号(δset)に基づいて舵取り信号(δ)を発生する調節手段(21,29,30)と、
前記舵取り信号(δ)を、前記車両(10)の少なくとも一つの軸の一つ以上の車輪(11)の舵取りを行う舵取りアクチュエータ(15)に出力する出力手段(31)とを備える車両(10)用のチルト調節装置であって、
前記車両(10)が少なくとも所定時間の間シングルトラック走行モードに保持されるように、前記舵取り信号(δ)によって前記舵取りアクチュエータ(15)を作動させることを特徴とするチルト調節装置。
【請求項2】
前記車両(10)の第1の方向への方向変更が前記設定舵取り角信号(δset)によって指示されたとき、前記調節手段(21,29,30)は、前記舵取りアクチュエータ(15)を前記第1の方向とは反対の第2の方向に作動させることを特徴とする請求項1に記載のチルト調節装置。
【請求項3】
前記検出手段(20)は、前記車両(10)の速度を示す速度信号(v)を検出するように設計されており、前記調節手段(21,29,30)は、前記舵取り信号(δ)を形成するために前記速度信号を評価することを特徴とする請求項1あるいは2に記載のチルト調節装置。
【請求項4】
前記検出手段(20)は、前記車両(10)のヨー角速度を示すヨー角速度信号(Ψ’)を検出するように設計されており、前記調節手段(21,29,30)は、前記舵取り信号(δ)を形成するために前記ヨー角速度信号(Ψ’)を評価することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項5】
前記検出手段(20)は、前記車両(10)のロール角を示すロール角信号(κ)を検出するように設計されており、前記調節手段(21,29,30)は、前記舵取り信号(δ)を形成するために前記ロール角信号(κ)を評価することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項6】
前記検出手段(20)は、前記車両(10)のタイヤのセルフアライニングトルクを示すタイヤセルフアライニングトルク信号(M)を検出するように設計されており、前記調節手段(21,29,30)は、前記舵取り信号(δ)を形成するために前記タイヤセルフアライニングトルク信号(M)を評価することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項7】
前記検出手段(20)は、前記車両(10)の横加速度を示す横加速度信号、及び/又は前記車両(10)の前後加速度を示す前後加速度信号を検出するように設計されており、前記調節手段(21,29,30)は、前記舵取り信号(δ)を形成するために前記横加速度信号及び/又は前後加速度信号を評価することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項8】
前記検出手段(20)は、前記車両(10)の横速度を示す横速度信号(v)、及び/又は前記車両(10)の横滑り角を示す横滑り角信号を検出するように設計されており、前記調節手段(21,29,30)は、前記舵取り信号(δ)を形成するために前記横速度信号(v)及び/又は前記横滑り角信号を評価することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項9】
前記調節手段(21,29,30)は、舵取り反応信号(M)を発生するように設計されており、前記出力手段は、前記車両(10)の手動舵取り手段(14)における舵取り反応トルクを出力する舵取り反応アクチュエータ(32)に、前記舵取り反応信号(M)を出力するように設計されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項10】
前記調節手段(21,29,30)は、前記車両(10)の安定化に必要な、前記車両(10)がシングルトラック走行モードにあるチルト状態を決定するように設計されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項11】
前記調節手段(21,29,30)は、マルチトラック車両(10)に割り当てられており、前記調節手段(21,29,30)は、チルト信号の終了を決定した後まで、前記車両(10)をチルト状態に保持することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項12】
前記調節手段(21,29,30)は状態観測器(29)を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項13】
前記車両(10)の安定化制御システムの制御手段、特に、プロセッサによって実行されることができるプログラムコードを有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のチルト調節装置。
【請求項14】
前記ロール角速度信号(κ’)及び前記設定舵取り角信号(δset)を発生するセンサと、前記チルト調節装置(16)によって作動することができ、前記車両(10)の軸の一つ以上の車輪(11)の舵取りを行う舵取りアクチュエータ(15)とを備える請求項1〜13のいずれか一項に記載の少なくとも一つのチルト調節装置(16)を備えるシングルトラック又はマルチトラック車両(10)。
【請求項15】
車両(10)のロール角速度を示すロール角速度信号(κ’)を検出するステップと、
設定舵取り角信号(δset)を検出するステップと、
前記ロール角速度信号(κ)及び前記設定舵取り角信号(δset)に基づいて舵取り信号(δ)を発生するステップと、
前記舵取り信号(δ)を、前記車両(10)の少なくとも一つの軸の一つ以上の車輪(11)の舵取りを行う舵取りアクチュエータ(15)に出力するステップとを含む車両(10)のチルトを調節する方法であって、
前記車両(10)が少なくとも所定時間の間シングルトラック走行モードに保持されるように、前記舵取り信号(δ)によって前記舵取りアクチュエータ(15)を作動させることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記舵取り信号(δ)を生成するために、前記車両(10)の速度を示す速度信号(v)、及び/又は前記車両(10)のヨー角速度を示すヨー角速度信号(Ψ’)、及び/又は前記車両(10)のロール角を示すロール角信号(κ)、及び/又は前記車両(10)のタイヤのセルフアライニングトルクを示すタイヤセルフアライニングトルク信号(M)、及び/又は前記車両(10)の横加速度を示す横加速度信号、及び/又は前記車両(10)の前後加速度を示す前後加速度信号、及び/又は前記車両(10)の横速度を示す横速度信号、及び/又は前記車両(10)の横滑り角を示す横滑り角信号を評価することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
舵取り反応信号を生成して、前記車両(10)の手動舵取り手段における舵取り反応トルクを出力する舵取り反応アクチュエータに出力するステップを含むことを特徴とする請求項15あるいは16に記載の方法。
【請求項18】
前記車両(10)の安定化に必要な、前記車両(10)がシングルトラック走行モードにあるチルト状態を決定するステップ、及び/又はチルト信号の終了を受信した後で前記チルト状態を終了するステップを含むことを特徴とする請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503358(P2007−503358A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529700(P2006−529700)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/004300
【国際公開番号】WO2004/106144
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】