説明

テレビジョンカメラ装置

【課題】被写体の良好な撮像を行うため、グレースケールチャートを用いずに、検出映像信号バランスの自動調整が可能なテレビジョンカメラ装置を提供する。
【解決手段】グレースケールチャートを使用せず、白色(無彩色)被写体で、検出映像信号バランスの調整を行う。まず、テレビジョンカメラ装置は、白色(無彩色)被写体を撮像する。検出ゲートでG信号レベルを検出し、G信号レベルが所定の信号レベル(レベル71、レベル72、レベル73、およびレベル74)となるようにレンズアイリスを順次自動調整する。そして、各々の信号レベル(レベル71、レベル72、レベル73、およびレベル74)において、G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビジョンカメラ装置に関わり、特に、テレビジョンカメラ装置の検出映像信号バランス(ハイライトバランス、ガンマバランス、グレースケール第1段階バランス、および暗部バランス等)の調整に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1、図2および図4によって、従来のテレビジョンカメラ装置100での検出映像信号バランス調整の一例について説明する。なお、検出映像信号バランスは、ハイライトバランス(白バランス)、ガンマバランス、グレースケール第1段階バランス(フレアバランス)、および暗部バランス(ブラックバランス)等である。
従来のテレビジョンカメラ装置では、例えば、特開2011−4239に開示されるように、被写体の良好な撮像を行うために、検出映像信号バランスの自動調整を行う場合、グレースケールチャートが必ず必要であった。
図1は、従来のテレビジョンカメラ装置の構成を示すブロック図である。100はテレビジョンカメラ装置、101はカメラヘッド、102はレンズ等の光学系、103はカメラコントロールユニット、104は波形モニタ、105はモニタ、106はリモコン、107はカメラケーブル、108はリモコンケーブル、110はカメラヘッド101に取り付けられたビューファインダ、121は被写体としてセットしたグレースケールチャートである。
また図2は、グレースケールチャートを模式的に説明する図である。図2のグレースケールチャートでは、上段において左端が黒、右端が白、下段においては、左端が白、右端が黒であり、黒と白の間は横線の密度にてグレースケールの段階を模式的に表示している。200は、テレビジョンカメラ装置100が撮像したグレースケールチャート121の表示画像、201〜206は枠状の検出ゲート(枠内の横線は省略されている)、251〜253は走査ラインである。図2の表示画像200は、例えば、ビューファインダ110、モニタ105、波形モニタ104等の映像表示装置の表示部に表示される。従って、作業者は、いずれかの映像表示装置にて、検出映像信号バランスを調整するための画角調整を行うことができる。
【0003】
また図4は、図2のグレースケールチャートの表示映像200において、走査ライン251、252および253での映像信号の信号レベルを、ビューファインダ110、モニタ105、波形モニタ104等の映像表示装置の表示部に表示した画像400を示す図(波形信号図)である。250sは、光学系102のレンズアイリスを閉じ入射光を遮断し、1走査ライン(走査ライン251、252、253、またはその他の走査ライン)で得た映像信号レベルである。251sは走査ライン251の映像信号レベルである。252sは走査ライン252の映像信号レベルである。253sは走査ライン253の映像信号レベルである。また、破線の楕円41で囲んだ信号レベルは検出ゲート204の映像信号のレベル(検出レベル41)である。破線の楕円42で囲んだ信号レベルは検出ゲート205の映像信号のレベル(検出レベル42)である。破線の楕円43で囲んだ信号レベルは検出ゲート206の映像信号のレベル(検出レベル43)である。破線の楕円43’で囲んだ信号レベルは検出ゲート201の映像信号のレベル(検出レベル43’)である。破線の楕円42’で囲んだ信号レベルは検出ゲート202の映像信号のレベル(検出レベル42’)である。破線の楕円41’で囲んだ信号レベルは検出ゲート203の映像信号のレベル(検出レベル41’)である。破線の楕円44で囲んだ信号レベルは検出レベル44である。なお、図4での各走査ラインの信号レベルは図2でのn1〜n2間を表示している。また、図4では、検出レベル42と検出レベル42’とは、すでに調整済みであるので、同じレベルとなっている。
【0004】
図1において、まず始めに、テレビジョンカメラ装置100によって、グレースケールチャート121を撮像し、検出ゲート201〜206を基準にして画角を調整する。画角調整は、図2の表示映像を見てカメラマン等の作業者が手動で行う。この表示映像200には、映像表示装置に予め設定された画角調整用の枠状の検出ゲート201〜206が重畳されるように設定されている。
画角調整後、従来のテレビジョンカメラ装置では、撮像したグレースケールチャート200の映像信号の検出ゲートエリア内の映像信号について、ブラックレベル、ホワイトレベル、フレアレベル、ガンマレベル等を、予め定められたそれぞれの設定値になるように、CPU、FPGA等で構成されるテレビジョンカメラ装置の制御部が、RGB信号の入出力特性を自動調整する。
【0005】
即ち、作業者は、図2において、検出ゲート201〜206それぞれが、グレースケールチャートの表示映像200の特定の部分と重なるように、テレビジョンカメラ装置100の画角を調整する。画角の調整は、作業者が、例えば、カメラの撮像位置、レンズのズーム/フォーカス位置を手動操作して実行する。
この画角調整用の検出ゲート201〜206は、映像表示装置やカメラコントロールユニット103のピクチャ出力のみに重畳し、本線信号には重畳しない。この検出ゲート201〜206内の領域の映像信号の信号レベルが検出され、検出映像信号バランスの自動調整がCPU等を含む制御部によって行われる。
【0006】
テレビジョンカメラ装置100は、検出映像信号バランスの自動調整を行うために、従来は、基準被写体としてグレースケールチャート200を撮像して、その信号レベルを調整する。これによってそれぞれのバランス調整を行う。
上述したように、作業者は、検出ゲート201〜206をグレースケールチャート200の各階調に画角合わせした後、自動調整を開始する。
【0007】
自動調整は、下記の手順で行われる。
(a)光学系102のレンズアイリスを閉じ入射光を遮断し、検出レベル44で暗部バランスでの信号レベルを調整して調整値に収斂する。または、光学フィルタを用いて、光学系102に入射する光を遮断しても良い。
(b)グレースケールチャート200を撮像した検出ゲート203および204でのG信号レベル(検出レベル41’および検出レベル41)が、ハイライトバランス調整用の映像信号の定格レベル100%の検出レベルになるようにレンズアイリスを自動調整する。G信号に対し、R,B信号を調整して調整値に収斂する。この結果、検出ゲート203および204において、ハイライトバランスが調整される。
(c)(b)で調整したレンズアイリスにおいて、グレースケールチャート200を撮像した検出ゲート201および206で、各R,G,B信号レベル(検出レベル43’および検出レベル43)が映像信号の定格レベルの12%の検出レベルになるように、R,G,B信号レベル調整して調整値に収斂する。この結果、グレースケール第1段階バランスが調整される。
(d)(b)で調整したレンズアイリスにおいて、グレースケールチャート200を撮像した検出ゲート202および205で、各R,G,B信号レベル(検出レベル42’および検出レベル42)が映像信号の定格レベルの58%の検出レベルになるように、R,G,B信号レベルを調整して調整値に収斂する。この結果、ガンマバランスが調整される。
(e)手順(b)、(c)、(d)の各バランスの調整値への収斂を数度繰り返す。
(f)再度、レンズアイリスを閉じ入射光を遮断し検出レベル44で暗部バランスを調整し調整値に収斂する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−4239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のように、従来のテレビジョンカメラ装置では、被写体の良好な撮像を行うため、検出映像信号バランスの自動調整を行う場合には、グレースケールチャートが必ず必要であった。しかし、カメラマン等の作業者がテレビジョンカメラ装置を持って急に撮影現場に出発しなければならないような事態が発生した場合には、グレースケールチャートを持ち出すことができないこともあった。このため作業者が、撮影現場でのテレビジョンカメラ装置の検出映像信号バランスの調整ができないことがあった。撮影現場では、レンズの交換や光源の変化の都度、被写体の良好な撮像を行うため、テレビジョンカメラ装置の検出映像信号バランスの調整が必要となる。検出映像信号バランスが調整できなければ、色再現性等に影響があり、正確な映像が得られない問題があった。
本発明の目的は、上記の問題に鑑み、被写体の良好な撮像を行うため、グレースケールチャートを用いずに、検出映像信号バランスの自動調整が可能なテレビジョンカメラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下において、いくつかの本発明の特徴を、複数の観点から捉えて列挙する。
(1)本発明は、上述の問題を解決するために、光学系と、該光学系のレンズアイリスを制御するCPUとを備えたテレビジョンカメラ装置において、白色(無彩色)被写体を撮像し、検出映像信号バランスの調整を行うテレビジョンカメラ装置であって、前記CPUは、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、前記白色(無彩色)被写体の映像信号を複数の(明暗の)所定の信号レベルに調整して調整値に収斂することによって、前記検出映像信号バランスの調整を行うことを特徴とする発明である。
さらに、前記検出映像信号のグレースケールのハイライトのレベルを超えたハイライトクリップバランス、ハイライトバランス、ハイライトニーバランス、ガンマバランス、グレースケール第1段階バランス、グレースケールの各段階のレベルのバランス、グレースケールの各段階の中間のレベルのバランス、グレースケール第1段階と入射光遮断の中間のレベルの暗部立ち上がりレベルのバランス、および黒バランス等の内の2つ以上のバランスの調整を行うことを特徴とする発明である。
【0011】
(2)また、上記(1)のテレビジョンカメラ装置において、前記CPUは、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、G信号レベルが複数の所定の信号レベルとなるように、前記レンズアイリスを順次調整し、各々の所定の信号レベルにおいて、前記G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行うことを特徴とする。
【0012】
(3)また、本発明のテレビジョンカメラ装置は、光学系と、該光学系のレンズアイリスを制御するCPUとを備え、検出映像信号バランスの調整を行うテレビジョンカメラ装置であって、前記CPUは、前記光学系をデフォーカスして被写体を撮像し、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、G信号レベルが複数の所定の信号レベルとなるように、前記レンズアイリスを順次調整し、各々の信号レベルにおいて、前記G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、グレースケールチャートが無くても、テレビジョンカメラ装置の検出映像信号バランスの自動調整が可能となる。この結果、カメラマン等の作業者がテレビジョンカメラ装置を持って急に撮影現場に出発しなければならないような事態が発生した場合でも、作業者はグレースケールチャートを持ち出す必要がなくなる。従って、グレースケールチャートが無くても、撮影現場でのテレビジョンカメラ装置のハイライトバランス、ガンマバランス、グレースケール第1段階バランス、および黒バランス等の内の2つ以上のバランスの調整が容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のテレビジョンカメラ装置の構成を示すブロック図である。
【図2】グレースケールチャートを説明する図である。
【図3】本発明の一実施例のテレビジョンカメラ装置(TVカメラ装置)について説明するためのブロック構成図である。
【図4】図2のグレースケールチャート200において、走査線251、252および253での映像信号の信号レベルを、ビューファインダ110、モニタ105、波形モニタ104等の映像表示装置の表示部に表示した画像例を示す図である。
【図5】本発明のテレビジョンカメラ装置の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の検出映像信号バランス調整に使用する白色(無彩色)被写体を説明する図である。
【図7】図6の白色(無彩色)被写体600において、走査線651での映像信号の信号レベルを、ビューファインダ110、モニタ105、波形モニタ104等の映像表示装置の表示部に表示した画像例を示す図である。
【図8A】本発明の検出映像信号バランス調整に使用する表示画像の一実施例を説明する図である。
【図8B】図8Aの表示画像についてテレビジョンカメラ装置の光学系をデフォーカスして白色(無彩色)被写体と同等とする表示画像の一実施例を説明する図である。
【図9】本発明のテレビジョンカメラ装置のCPUが実施例1と実施例2を実行する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のテレビジョンカメラ装置は、グレースケールチャートを使用せず、白色(無彩色)被写体で、検出映像信号バランスの自動調整を、テレビジョンカメラ装置のCPU、FPGA等からなる制御部が行うものである。
本発明の自動調整では、まず、テレビジョンカメラ装置は、白色(無彩色)被写体を撮像する。次に、CPUとFPGAを含む制御部の制御と映像信号処理により、検出ゲートでG信号レベルを検出し、G信号レベルが以下の4種の信号レベル(レベル71、レベル72、レベル73、およびレベル74)となるようにレンズアイリスを順次自動調整する。
(1)ハイライトバランス調整用検出レベル71
(2)ガンマバランス調整用検出レベル72
(3)グレースケール第1段階バランス調整用検出レベル73
(4)暗部バランス調整用検出レベル74
各々の信号レベル(レベル71、レベル72、レベル73、およびレベル74)において、G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整がCPUを含む制御部によって行われる。
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
しかし、本発明は、本項目に述べる実施例に限定されるわけではなく、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者であれば、本発明の思想と精神に基づいて、本発明を修正若しくは変更できる発明が含まれることは勿論である。また、クレームに記述された本発明の解釈に際し、以下の実施例に限定されない。
なお、各図の説明において、共通な機能を有する構成要素には同一の参照番号を付し、できるだけ説明の重複を避けるようにした。
【実施例1】
【0017】
図5、図6および図7によって、本発明のテレビジョンカメラ装置500での検出映像信号バランス調整の一実施形態を説明する。
図5は、本発明のテレビジョンカメラ装置の一実施例の構成を示すブロック図である。500はテレビジョンカメラ装置、501はカメラヘッド、521はセットした白色(無彩色)被写体である。
また図6は、白色(無彩色)被写体521を説明する図である。600は、テレビジョンカメラ装置500が撮像した白色(無彩色)被写体521の表示画像、601は検出ゲート、651は走査ラインである。図6の表示画像600は、例えば、ビューファインダ110、モニタ105、波形モニタ104等の表示部に表示される。従って、作業者は、いずれかの映像表示装置にて、検出映像信号バランスを調整するための画角調整を行うことができる。
【0018】
また図7は、図6の白色(無彩色)被写体521の表示映像600において、走査ライン651での映像信号の信号レベルを、ビューファインダ110、モニタ105、波形モニタ104等の映像表示装置の表示部に表示した画像700を示す図(波形信号図)である。651s1は映像信号の定格レベル100%の時の走査ライン651の映像信号レベルである。651s2は映像信号の定格レベル58%の時の走査ライン651の映像信号レベルである。651s3は映像信号の定格レベル12%の時の走査ライン651の映像信号レベルである。651s4は光学系102のレンズアイリスを閉じ入射光を遮断した時の映像信号レベルである。また、破線の楕円71で囲んだ信号レベルは映像信号の定格レベル100%の時における走査ライン651の検出ゲート601での映像信号レベル(検出レベル71)である。破線の楕円72で囲んだ信号レベルは映像信号の定格レベル58%の時における走査ライン651の検出ゲート601の映像信号のレベル(検出レベル72)である。破線の楕円73で囲んだ信号レベルは映像信号の定格レベル12%の時における走査ライン651の検出ゲート601の映像信号のレベル(検出レベル73)である。破線の楕円74で囲んだ信号レベルは光学系102のレンズアイリスを閉じ入射光を遮断した時における(検出レベル74)である。なお、各走査ラインの信号レベルは、図6でのn1〜n2間を表示している。
また、検出レベル71〜74はCPU内に設定される所定のレベルであり、映像信号の定格レベルの%値を変えることによって、任意に変更することができる。
つまり、図示しないが、ハイライトバランス調整用検出レベル71とガンマバランス調整用検出レベル72との中間レベル(ハイライトニー)調整用検出レベルを追加すれば、ハイライトニーバランスも自動調整できる。さらに図示しないが、ハイライトバランス調整用検出レベル71の更に高いレベル(ハイライトクリップ)調整用検出レベルを追加すれば、グレースケールのハイライトのレベルを超えたハイライトクリップバランスも自動調整できる。また図示しないが、グレースケールの各段階のレベルの調整用検出レベルを追加すれば、グレースケールの各段階のレベルのバランスも自動調整できる。さらに図示しないが、グレースケールの各段階の中間のレベルの調整用検出レベルを追加すれば、グレースケールの各段階の中間のレベルのバランスも自動調整できる。さらに図示しないが、グレースケール第1段階検出レベル73と入射光遮断検出レベル74の中間のレベルの調整用検出レベルを追加すれば、グレースケールの第1段階以下の暗部立ち上がりレベルのバランスも自動調整できる。
【0019】
本発明のテレビジョンカメラ装置におけるCPUの制御による検出映像信号バランスの調整手順を、以下に説明する。
(g)図5に示すリモコン106により、CPUの制御による検出映像信号バランス調整を開始する指令を受けると、CPUの制御により光学系102のレンズアイリスが閉じられ、入射光を遮断した検出レベル74で暗部バランスでのG信号レベルに対してR信号とB信号のレベルを調整して調整値に収斂する。または、光学フィルタを用いて、光学系102に入射する光を遮断しても良い。
(h)検出ゲート601でのG信号レベルが、ハイライトバランス調整用の検出レベル71(映像信号の定格レベル100%)になるように光学系102のレンズアイリスを自動調整し、検出ゲート601でハイライトバランスを調整して調整値に収斂する。また、G信号レベルに対してR信号とB信号のレベルを合わせこむ。
(i)検出ゲート601でのG信号レベルが、グレースケール第1段階バランス調整用の検出レベル73(映像信号の定格レベルの12%)になるようにレンズアイリスを自動調整し、検出ゲート601でグレースケール第1段階バランスを調整して調整値に収斂する。また、G信号に対してR信号とB信号のレベルを合わせこむ。
(j)検出ゲート601でのG信号レベルが、ガンマバランス調整用の検出レベル72(映像信号の定格レベルの58%)になるようにレンズアイリスを自動調整し、検出ゲート601でガンマバランスを調整して調整値に収斂する。また、G信号に対してR信号とB信号のレベルを合わせこむ。
(k)手順(h)、(i)、(j)の各バランス調整を数度繰り返す。
(m)再度、レンズアイリスを閉じて入射光を遮断し、検出レベル74で暗部バランスでのG信号レベルに対してR信号とB信号のレベルを調整して調整値に収斂する。
以上の手順(g)〜(m)の処理を行い、検出映像信号バランスの自動調整を行う。
尚、検出レベル71,72,73,74の値は、CPU内に設定される所定のレベルであり、映像信号の定格レベルの%値を変えることによって、任意に変更することができる。
【0020】
図3によって、テレビジョンカメラ装置501に入力された映像信号の処理について説明する。図3は、本発明の一実施例のテレビジョンカメラ装置(TVカメラ装置)について説明するためのブロック構成図である。300はテレビジョンカメラ装置501のFPGA(Field Programmable Gate Array )、321はCCU(カメラコントロールユニット)103と結合するカメラケーブル107を接続する入出力端子、331はHD−SDI(High Definition Tele-Vision−Serial Digital Interface)信号出力端子、341はCPU(Central Processing Unit )、342はタイミングジェネレータ(TG)である。343はCCD等の撮像素子344から入力された電気信号について前処理(ノイズ除去、レベル調整、A−D変換等)をしてデジタル映像信号をFPGA300の映像信号処理部305に出力するアナログフロントエンドである。102はレンズ等の光学系である。344は光学系102を通過して入射する被写体像を電気信号に変換して出力するCCD(Charge Coupled
Device )等の撮像素子である。110はビューファインダである。351はマーカ重畳部311から入力される青色差(Pb)信号と赤色差(Pr)信号及び3値同期混合部314から入力される輝度(Y)信号をそれぞれデジタルデータに変換してビューファインダ350に出力するD−A変換器(D−A)である。
【0021】
FPGA300において、301はシリアル−パラレル変換器(S−P)、302はデコーダ、303はデータ分離部、304は映像検出処理部、305は映像信号処理部、306はマトリクス部、307はデコーダ、308は色信号生成部、309はCPUデータ重畳部、310はパラレル−シリアル変換器(P−S)、311はマーカ重畳部、312は色信号生成部、313はパラレル−シリアル変換器(P−S)、314は3値同期混合部である。
【0022】
図3において、検出映像信号バランス調整は、まず始めに、図5に示したリモコン106からCCU103に調整開始操作が行われ、CCU103を介して、テレビジョンカメラ装置501に調整開始が指示される。テレビジョンカメラ装置501では、調整開始の指示信号は(S−P)301の色信号出力Cに重畳されて、データ分離部303で分離されCPU341に調整開始指示がなされる。CPU341に調整開始が指示されると、図示しない記憶装置に記憶された所定のプログラムに従って、図5〜図7で説明した手順で、CPU341とFPGA300が制御と信号処理を行う。すなわち、検出映像信号バランスの調整を行なって、調整値への収斂を行い調整値を取得し、この調整値になるように制御する制御値を設定するために、CPU341とFPGA300が、テレビジョンカメラ装置501の制御を行う。
まず、テレビジョンカメラ装置501は、作業者の操作に基づいて、白色(無彩色)被写体を撮像する。作業者は撮像された映像について、画角を調整する操作を実行する。画角調整後、テレビジョンカメラ装置501は、撮像した白色(無彩色)被写体の表示映像600の検出ゲート601内の映像信号を基に、図5〜図7で説明したように、ブラックレベル、ホワイトレベル、ゲインレベル、フレアレベル、ガンマレベル等を予め定められたそれぞれの設定値になるように、RGBの各信号レベルを調整してそろえる。調整してそろえられたRGBの各信号レベルの調整値を得るための制御値またはRGBの各信号レベルの値は、CPU341のメモリもしくはEEPROM等の外部メモリ(図示を省略)に記憶される。
【実施例2】
【0023】
次に、図8Aと図8Bによって、本発明の他の実施例を説明する。なお、図3および図5で説明した構成を、実施例2でも適用する。図8Aと図8Bによって説明する本発明の一実施形態は、検出映像信号バランス調整のために、白色(無彩色)被写体を確保できない場合について説明するものである。
図8Aは、本発明の検出映像信号バランス調整に使用する表示画像の一実施例を説明する図である。また図8Bは、図8Aの表示画像についてテレビジョンカメラ装置の光学系のレンズをデフォーカスして白色(無彩色)被写体と同等とする表示画像の一実施例を説明する図である。810は、白色(無彩色)被写体を確保できない場合に、本発明のテレビジョンカメラ装置が被写体を所定の画角で撮像し、映像表示装置に表示した表示画像である。また820は、上記図8Aと同じ被写体を、所定の画角で光学系102をデフォーカスして撮像し、映像表示装置に表示した表示画像である。また、801は検出ゲート、851は走査ラインである。
【0024】
図8Aに示すような表示画像810は、白色(無彩色)被写体を撮像したものではない。しかし、本発明のテレビジョンカメラ装置500のカメラヘッド501においては、作業者が、リモコン106またはテレビジョンカメラ装置500の操作パネルを操作することによって、CPU341から光学系102を制御することによって、光学系102をデフォーカスして、図8Bに示すように、白色(無彩色)被写体を撮像したと同等の映像信号を得るものである。
この結果、図5〜図7で説明した如く、検出映像信号バランス調整が実行できる。
【0025】
以上述べたように、テレビジョンカメラ装置は、白色(無彩色)被写体またはそれと同等の被写体を撮像する。被写体のサイズは、検出ゲートサイズより大きければ良い。検出ゲートでG信号レベルを検出し、G信号レベルが以下4種の信号レベルとなるようにレンズアイリスを順次自動調整する。すなわち、ハイライトバランス調整用検出レベル1、ガンマバランス調整用検出レベル2、グレースケール第1段階バランス調整用検出レベル3、暗部バランス調整用検出レベル4において、G信号レベルの調整を行う。次いで、各々のレベルにおいてG信号に対してR信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行い、調整値を設定するためのパラメータもしくはRGBの各信号レベルの値をCPUのメモリに記憶する。
【実施例3】
【0026】
次に実施例3として、図9に、本発明のテレビジョンカメラ装置のCPUが実施例1と実施例2を実行する手順を示すフローチャートを示す。
ステップS901では、検出映像信号バランスの調整に使用する被写体が、無色な白色であるか否かを判定する。作業者が入力した情報が無色な白色である場合には、ステップS903に進み、否(No)の場合にはステップS902に進む。
ステップS902では、光学系102をデフォーカスして、被写体を撮像し、映像表示装置の表示部に表示し、ステップS903に進む。
ステップS903では、作業者が検出ゲートの位置を調整することによって画角を合わせるように、画像表示装置の表示画面等に指示を出し、ステップS904に進む。
ステップS904では、作業者の画角調整が終わったか否かを、作業者の入力情報から判定し、終わっていなければステップS903に戻り、終わっていればステップS905に進む。
【0027】
ステップS905では、(g)光学系102のレンズアイリスを閉じ、入射光を遮断した検出レベル74で暗部バランスの信号レベルを調整して調整値に収斂してステップS906に進む。または、光学フィルタを用いて、光学系102に入射する光を遮断しても良い。
ステップS906では、(h)検出ゲート601でのG信号レベルが、ハイライトバランス調整用の検出レベル71(映像信号の定格レベルの100%)になるように光学系102のレンズアイリスを自動調整し、検出ゲート601でハイライトバランスの信号レベルを調整して調整値に収斂しステップS907に進む。
ステップS907では、(i)検出ゲート601でのG信号レベルが、グレースケール第1段階バランス調整用の検出レベル73(映像信号の定格レベルの12%)になるようにレンズアイリスを自動調整し、検出ゲート601でグレースケール第1段階バランスでの信号レベルを調整して調整値に収斂しステップS908に進む。
ステップS908では、(j)検出ゲート601でのG信号レベルが、ガンマバランス調整用の検出レベル72(映像信号の定格レベルの58%)になるようにレンズアイリスを自動調整し、検出ゲート601でガンマバランスでの信号レベルを調整して調整値に収斂しステップS909に進む。
【0028】
ステップS909では、(k)ステップS906、S907、S907の各バランス調整による調整値への収斂をn回繰り返し(nは自然数)、ステップS910に進む。
ステップS910では、(l)再度、レンズアイリスを閉じて入射光を遮断し、検出レベル74で暗部バランスでの信号レベルを調整して調整値に収斂する。
以上のステップS91(ステップS905〜ステップS910)の処理を行い、検出映像信号バランスの自動調整を行う。各々の検出映像信号バランス調整でそろえられたRGBの各信号レベルの値を得るための制御値やパラメータもしくはRGBの各信号レベルの値をCPUのメモリまたは外部メモリに記憶する。
【0029】
なお、上述の実施例1、実施例2および実施例3では、図3および図5に示したように、本発明のテレビジョンカメラ装置として、光学系を含むカメラヘッドおよびカメラコントロールユニットで説明した。しかし、本発明のテレビジョンカメラ装置は、これに限定されず、例えば、記録部を備えたカムコーダでも良い。さらにまた、映像表示部として、ビューファインダを例に挙げたが、代りに、ピクチャモニタ等のモニタやカムコーダの一部である液晶表示部で画角を調整するようにしても良い。
また、上述の実施例1、実施例2および実施例3では、単板式のカラーカメラで説明したが、3板式のカラーカメラであっても良い。
【0030】
以下において、これまでの説明における図1から図9の各部の符号の説明をまとめておく。
41〜44、41’、42’、43’:検出レベル、 100:テレビジョンカメラ装置、 101:カメラヘッド、 102:光学系、 103:カメラコントロールユニット、 104:波形モニタ、 105:モニタ、 106:リモコン、 107:カメラケーブル、 108:リモコンケーブル、 110:ビューファインダ、 121:グレースケールチャート、 200:表示映像、 201〜206:検出ゲート、 251〜253:走査ライン、 250s:映像信号レベル、 251s:走査ライン251での映像信号レベル、 252s:走査ライン252での映像信号レベル、 253s:走査ライン253での映像信号レベル、 300:FPGA、 301:シリアル−パラレル変換器、 302:デコーダ、 303:データ分離部、 304:映像検出処理部、 305:映像信号処理部、 306:マトリクス部、 307:デコーダ、 308:色信号生成部、 309:CPUデータ重畳部、 310:パラレル−シリアル変換器、 311:マーカ重畳部、 312:色信号生成部、 313:パラレル−シリアル変換器、 314:3値同期混合部、 321:入出力端子、 331:HD−SDI信号出力端子、 341:CPU、 342:タイミングジェネレータ、 343:アナログフロントエンド、 344:CCD等の撮像素子、 345:レンズ部、 350:ビューファインダ、 351:D−A変換器、 500:テレビジョンカメラ装置、 501:カメラヘッド、 521:被写体、 600:表示映像、 801:検出ゲート、 810、820:表示画像、 851:走査ライン。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系と、該光学系のレンズアイリスを制御するCPUとを備えたテレビジョンカメラ装置において、
白色(無彩色)被写体を撮像し、検出映像信号バランスの調整を行うテレビジョンカメラ装置であって、
前記CPUは、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、前記白色(無彩色)被写体の映像信号を複数の所定の信号レベルになるように収斂することによって調整し、前記検出映像信号バランスの調整を行うことを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項2】
請求項1記載のテレビジョンカメラ装置において、前記CPUは、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、G信号レベルが複数の所定の信号レベルとなるように、前記レンズアイリスを順次調整し、各々の信号レベルにおいて、前記G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行うことを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項3】
光学系と、該光学系のレンズアイリスを制御するCPUとを備え、検出映像信号バランスの調整を行うテレビジョンカメラ装置であって、
前記CPUは、前記光学系をデフォーカスして被写体を撮像し、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、G信号レベルが複数の所定の信号レベルとなるように、前記レンズアイリスを順次調整し、各々の信号レベルにおいて、前記G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行うことを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項4】
レンズおよびレンズアイリスを含む光学系と
CPUとFPGAを含み、該光学系のレンズアイリスを制御する制御部と、
撮像した白色(無彩色)被写体を表示する表示部を有する映像表示装置と、
前記制御部のCPUは、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、前記白色(無彩色)被写体の映像信号を複数の所定の信号レベルになるように調整して調整値に収斂することによって、前記検出映像信号バランスの調整を行うことを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項5】
請求項4記載のテレビジョンカメラ装置において、前記CPUは、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、G信号レベルが複数の所定の信号レベルとなるように、前記レンズアイリスを順次調整し、複数の所定の信号レベルにおいて、前記G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行うことを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項6】
レンズおよびレンズアイリスを含む光学系と
CPUとFPGAを含み、該光学系のレンズアイリスを制御する制御部と、
撮像した被写体を表示する表示装置と、
前記CPUは、前記光学系をデフォーカスして被写体を撮像し、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、G信号レベルが複数の所定の信号レベルとなるように、前記レンズアイリスを順次調整し、複数の所定の信号レベルにおいて、前記G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行うことを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のテレビジョンカメラ装置において、前記CPUは、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、G信号レベルがハイライトバランスレベル、暗部バランスレベル、ガンマバランスレベルの少なくとも三つのレベルとなるように、前記レンズアイリスを順次調整し、各々の信号レベルにおいて、前記G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行うことを特徴とするテレビジョンカメラ装置。
【請求項8】
請求項7記載のテレビジョンカメラ装置において、前記CPUは、前記光学系の前記レンズアイリスを制御して、上記三つのレベルに加えて、G信号レベルがグレースケールの各段階のレベル、グレースケールの各段階の中間のレベル、グレースケール第1段階と入射光遮断の中間のレベル、およびグレースケールのハイライトのレベルを超えたレベル、の任意の少なくとも一つのレベルになるように前記レンズアイリスを調整し、当該信号レベルにおいて、前記G信号に対して、R信号とB信号の信号レベルを合わせることで、検出映像信号バランスの自動調整を行うことを特徴とするテレビジョンカメラ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−31156(P2013−31156A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109616(P2012−109616)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】