説明

テレビジョン放送システム、方法およびコンピュータ可読媒体

【課題】デジタルビデオ信号をターゲット視聴者に放送する。
【解決手段】信号が、複数のクライアントデバイスによる受信のために多重化されたチャネルを介して送信される。信号の1つが、コンテンツデータを搬送し、もう1つの信号が、識別子に関連するメッセージデータを搬送する。メッセージデータは、識別子によって識別されるこれらのクライアントデバイスのみによって出力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテレビジョンエンターテイメントアーキテクチャに関し、具体的には、放送メッセージのアドレス指定の方法、プログラム製品、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン放送によって、マスコミュニケーションの手近で広く行き渡った手段がもたらされる。デジタルビデオ信号は、通常のテレビジョンシステムによって、セットトップボックスまたは類似するデバイスを使用することによって、ケーブルシステム、衛星システム、および/またはコンピュータネットワークでのテレビジョン放送から受信される。テレビジョン放送に関するコンテンツプロバイダの数の増加によって、テレビジョン視聴者に、ネットワークテレビジョン放送チャネル、ペイパービューチャネル、ローカルアクセスチャネルなどを含む、放送されるデジタルビデオコンテンツを見るための対応する数のチャネルが与えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
各チャネルが、テレビジョン受像機のチャネルに同調された異なるコンテンツを視聴者に提供する際に、そのコンテンツは、特定の視聴者に特にアドレッシングされてはいない。そうではなく、各チャネルのすべての視聴者が、そのチャネルの放送されるデジタルビデオ信号のすべてを受信する。どの放送でも、情報の一部が、一部の視聴者にとって興味のないものになる。当技術分野で、デジタルビデオ信号をターゲット視聴者に放送することが、進歩になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
2つの信号が、多重化されたチャネルを介して、複数のクライアントデバイスによる受信のために送信される。信号の1つは、コンテンツデータを搬送し、他方の信号は、識別子に関連するメッセージデータを搬送する。コンテンツデータは、各クライアントデバイスによって出力することができ、識別子によって、すべてより少ないクライアントデバイスが識別され、メッセージデータは、識別子によって識別されるクライアントデバイスによってのみ出力することができる。
【0005】
本発明の追加の特徴および長所は、以下の説明で示され、部分的にこの説明から明白になるか、本発明の実践によって習得することができる。本発明の特徴および長所は、特に請求項で指摘される機器および組合せによって実現し、得ることができる。本発明のこれらおよび他の特徴は、以下の説明および請求項から完全に明白になるか、以下で示す本発明を実践することによって習得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】1つまたは複数のクライアントデータプロバイダにクライアントデバイス識別情報をアップロードし、放送網を介して放送される放送デジタルビデオ信号を使用して、メッセージデータをクライアントデバイスに送信するためにユーザ要求を開始し、クライアントデバイスを識別するトークンと共に、放送網によってクライアントデバイスにメッセージデータを送信し、クライアントデバイスで放送内の関連するメッセージデータと共にトークンを識別し、メッセージデータをクライアントデバイスで出力する処理を示す流れ図である。
【図2】本明細書に記載の方法、プログラム製品、およびシステムを実施することができる例示的環境を示す図である。
【図3】例のクライアントデバイス、テレビジョン、およびクライアントデバイスと対話するさまざまな入力デバイスを示す図である。
【図4】図2および3に示されたクライアントデバイスの例のコンポーネントを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の上で示されたものおよび他の長所および特徴を得ることができる形を説明するために、上で簡単に説明した本発明のより詳細な説明を、添付図面に示された本発明の特定の実施形態を参照することによって描写する。これらの図面が、本発明の通常の実施形態だけを示し、したがって、本発明の範囲を制限するものと解釈されてはならないという条件で、添付図面の使用を通して追加の限定性および詳細と共に本発明を説明する。
【0008】
以下の説明は、対話型TV網、ケーブル網、ウェブ対応TV網(Web−enabled TV network)などの放送網を介して放送デジタルビデオ信号を受信するテレビジョンベースのエンターテイメントシステムを対象とする。そのようなシステムのクライアントデバイスは、TV対応パーソナルコンピュータ(TV−enabled personal computer)およびハードディスクを有するTVレコーダなどの、かなりのメモリリソースおよび処理リソースを有するフルリソースクライアントから、通常のセットトップボックスなどの限られたメモリリソースおよび/または処理リソースを有する少リソースクライアントまでにおよぶ。本明細書に記載のシステムおよび方法の諸態様を、これらのシステムのどれにおいても、どのタイプのクライアントデバイスについても、使用することができるが、これらを、以下の例示的環境に関して説明する。
【0009】
図1に示された処理10を参照すると、各クライアントデバイスは、クライアントデバイスの、メモリチップ、スマートカード、または不揮発性メモリデバイスなどのストレージデバイス内に保管することができる識別を有する。この識別は、特定のクライアントデバイスに対して一意とすることができる。クライアントデバイスのユーザは、ブロック12に示されているように、クライアントデバイスに保管されたプログラムを実行し、このプログラムは、テレビジョンなどの表示デバイスに識別(ID)を表示させる。ユーザは、パーソナルコンピュータまたは他のネットワーク対応デバイスなどのネットワークリソースを使用して、インターネットなどの相互接続されたネットワークに接続することができる。接続されたならば、ユーザは、やはり相互接続されたネットワークと通信するクライアントデータプロバイダと通信する。この通信では、ユーザが、ブロック14に示されているように、特定のユーザにクライアントデバイスの識別を関連付けるデータを供給する。クライアントデータプロバイダは、将来の使用のためにこのクライアントデバイスデータを保管する。
【0010】
ユーザまたは別のユーザが、ネットワークリソースを使用して、やはり相互接続されたネットワークと通信するホスティングサービスに要求をサブミットすることができる。ホスティングサービスとは、インターネット上のウェブホスティングサービスが通常そうであるように、要求されたサービスが提供されるネットワーク上のサイトをホスティングするネットワークリソースである。ユーザからの要求には、ブロック16に示されているように、ユーザを識別する情報、ホスティングサービスによって送信されるある種のメッセージデータ、および、あるユーザに関連するクライアントデバイスがメッセージデータを受け取ることの指定が含まれる。
【0011】
ブロック18に示されているように、要求するユーザから要求および関連情報を受信した時に、ホスティングサービスは、クライアントデータプロバイダと通信して、前に保管されたクライアントデバイスデータを得る。クライアントデータプロバイダは、クライアントデバイスを識別するトークンをホスティングサービスに通信する。ブロック20に示されているように、トークンは、メッセージデータと関連付けられ、メッセージデータを、トークンによって識別されるクライアントデバイスによって暗号化解除(unencrypt)される技法に従って、クライアントデータプロバイダまたは別のサービスによって暗号化することができる。トークンには、クライアントデバイスが論理的に配置される場所と、クライアントデバイスで動作するハードウェアおよびソフトウェアのタイプおよび種類と、クライアントデバイスの特定の識別(たとえば、その一意の通し番号)に関する情報も含めることができる。
【0012】
ブロック22に示されているように、コンテンツ配布システムが、ヘッドエンドとも称する1つまたは複数のコンテンツプロバイダと通信し、これらのヘッドエンドが、コンテンツをコンテンツ配布システムに供給する。1つまたは複数のヘッドエンドは、遠隔通信プロバイダなどのオペレータの役割で働いていることができ、全般的なヘッドエンドから特定のヘッドエンドへの階層構造ランキングを有することができる。ブロック24に示されているように、暗号化されたメッセージデータおよび関連するトークンが、1つまたは複数のコンテンツプロバイダからのコンテンツデータと共に、デジタルビデオデータに多重化される時に、信号が、コンテンツ配布システムで集約され、処理される。言い換えると、多重化されたチャネルでの複数の信号の多重化は、ヘッドエンドでのデータ挿入処理で行われる。データ挿入処理では、放送メディアコンテンツが1つの信号に挿入され、一意のクライアントデバイスIDに関連するメッセージデータが別の信号に挿入される。
【0013】
デジタルビデオデータが、ブロック26に示されているように、テレビジョン視聴者との1方向通信の手段としての放送網を介する多重化されたチャネルの放送信号内のアドレス指定された(addressed)パッケージとして送信される。多重化されたチャネルは、衛星、ケーブル、イントラネット、またはインターネットを含むクライアントへの1方向通信の複数のモードのどれかによって搬送することができる。通信のモードは、たとえば、インターネットまたは別のネットワークシステムを介してクライアントデータプロバイダと通信できるようにされたサーバを有する特殊なネットワークを使用するケーブルテレビジョン放送システムとすることができる。
【0014】
多くのクライアントデバイスが、それぞれのチューナを使用して放送網からの任意の1つの多重化されたチャネルで複数の信号を受信するという点で、放送を受信する各チューナは、放送信号でトークンおよび関連するメッセージデータも受信する。しかし、トークンは、受信するクライアントデバイスの1つを一意に識別することができる。各クライアントデバイスは、その中のプロセッサでアプリケーションを実行し、その結果、ブロック28に示されているように、そのクライアントデバイスを識別する関連するトークンを有するメッセージデータだけを検索し、表示する。ブロック30に示されているように、各クライアントデバイスがいずれか1つの多重化されたチャネル上の複数の信号のいずれか1つでそのトークンの存在を検出するまで、各クライアントデバイスが放送を監視する。
【0015】
ブロック32で、対応するクライアントデバイスによって放送内でトークンが検出され、関連するメッセージデータを、トークンによって識別されるクライアントデバイスのプロセッサで実行されるアプリケーションプログラムを使用することによって暗号化解除することができる。暗号化は、トークンによって識別されるクライアントデバイスだけが関連するメッセージデータを暗号化解除できるようにすることができる。メッセージデータの暗号化解除に続いて、ブロック34に示されているように、1つまたは複数の診断をクライアントデバイスが出力して、1つまたは複数のメッセージが受信されたことの通知を提供することができる。ブロック36で、クライアントデバイスのユーザが、入力デバイスを使用して、出力デバイスに表示することができるユーザインタフェースと対話する。この対話によって、ユーザが、受信された1つまたは複数のメッセージの出力のモードを選択できるようになる。これらのモードには、ハードドライブまたは他の電子ストレージ手段38での保管用、ハードコピープリントアウト40での印刷用、テレビジョンなどの電子表示手段42での表示用、またはチケットテーププリントアウト44での印刷用の、受信された1つまたは複数のメッセージの出力を含めることができる。この対話によって、ユーザが、クライアントデバイス内のストレージキューで待機している受信されたメッセージを削除できるようになる。
【0016】
前述の処理は、メッセージデータの目標をテレビジョン放送の特定の視聴者にするのに使用することができる。したがって、アドレス指定されたブロードキャストメッセージデータの目標を、多重化されたチャネルの信号内でコンテンツデータ(たとえばテレビジョン番組)と共に放送されるメッセージデータに関連付けられたそれぞれのトークンを使用して、1つまたは複数のクライアントデバイスにすることができる。一実施形態の例として、ユーザが、ローカルクライアントセットトップボックス内のプロセッサでソフトウェアプログラムを実行することによって、ローカルクライアントセットトップボックスの識別を得ることができる。このプログラムは、ローカルクライアントセットトップボックスに接続されたTVに、識別を表示させる。この識別には、ローカルセットトップボックスの地理的位置の指定子(designator)、ローカルクライアントセットトップボックスのハードウェアおよび/またはソフトウェアの機能を知らせるローカルクライアントセットトップボックスのタイプ、およびローカルクライアントセットトップボックスの一意の識別子を含めることができる。たとえば、ローカルセットトップボックスの地理的位置の指定子は、米国の特定の郵便番号とすることができる。ローカルセットトップボックスの機能の指定子は、データストレージ機能に関する相対的に低いまたは高いメモリを示すことができる。
【0017】
ローカルクライアントセットトップボックス情報を見た後に、ユーザは、パーソナルコンピュータまたは他のネットワークデバイスを使用して、インターネットなどのネットワークにログオンし、クライアントデータプロバイダと通信する。クライアントデータプロバイダは、ユーザに関するデータを保管する、ウェブホスティングサービスなどのネットワークサービスとすることができる。ユーザが(制限されたものとすることができる)アクセスを許可している場合に、インターネット上の他のウェブホスティングサービスがユーザのクライアントデータにアクセスすることができる。クライアントデータプロバイダの例が、米国ワシントン州レドモンドのMicrosoft Corporation社のMicrosoft Network(MSN)である。MSNは、.NET(商標)PASSPORT(登録商標)サービスとの互換性を有するインターネット上の他のウェブサービスが検索できるクライアントデータが保管される.NET(商標)PASSPORT(登録商標)サービスを提供する。この例では、ユーザが、MSNの.NET(商標)PASSPORT(登録商標)サービスにローカルクライアントセットトップボックス識別を供給する。ユーザは、その後、他のウェブサービスを使用して、自分のまたは他者のローカルクライアントセットトップボックスの以前に保管された識別を、MSNの.NET(商標)PASSPORT(登録商標)サービスから検索でき、その後、その情報を、テレビジョンでの表示のために自分のまたは他者のローカルクライアントセットトップボックスに送ることができる。
【0018】
たとえば、ユーザは、米国ワシントン州レドモンドのMicrosoft Corporation社によって提供されるEXPEDIA.com(登録商標)サービスなどの旅行プラニングおよび予約ウェブサイトで旅費を支払うことができる。航空券を購入した後に、ユーザは、各自のテレビジョンで見るために、旅行案内をユーザならびに彼の友人のローカルクライアントセットトップボックスに送信することを要求することができる。それを行うために、ユーザは、Expedia(登録商標)サービスに、電子メールアドレスまたは他の識別などの、自分および友人の論理アドレスを指定し、各自の論理アドレスに関連するローカルクライアントセットトップボックスへの配布に関するプリファレンスを指定する。
【0019】
EXPEDIA.com(登録商標)サービスは、各自のローカルクライアントセットトップボックスの識別がある場合にその識別ならびに他の任意の情報を得るために、.NET(商標)PASSPORT(登録商標)サービスと通信し、対話できるようにするウェブサービスである。.NET(商標)PASSPORT(登録商標)サービスは、以前に保管されたローカルクライアントセットトップボックス識別から、旅行案内のデータが要求されたローカルクライアントセットトップボックスによる保管に長すぎる場合など、要求されたローカルクライアントセットトップボックスの機能が旅行案内の送信に不十分であることを検出することができる。たとえば、ローカルクライアントセットトップボックスが、より小さい記憶容量の揮発性メモリデバイスだけを使用して保管するのに不十分である長いメッセージデータを保管するためにハードドライブを必要とする場合がある。他のローカルクライアントセットトップボックス制限には、限られたカラー受信能力、テキストのみの受信、およびアドレス指定された放送通信のすべてをローカルクライアントセットトップボックスにルーティングするための特定の要件が含まれる。.NET(商標)PASSPORT(登録商標)サービスは、友人が前に保管されたローカルクライアントセットトップボックスを有しないことも検出することができる。この場合には、EXPEDIA(登録商標)サービスを介してユーザに診断を送り返すことができる。
【0020】
EXPEDIA.com(登録商標)サービス、.NET(商標)PASSPORT(登録商標)サービス、または関連するサービスでは、.NET(商標)PASSPORT(登録商標)サービスから得られたローカルクライアントセットトップボックスのそれぞれを識別するトークンが構成される。旅行案内は、これらのサービスまたはやはりコンテンツプロバイダからコンテンツを受信するコンテンツ配布システムへの別のサービスによって、暗号化され、関連するトークンと共に送信される。例として、MSNBC Corporation(MSNBC)社は、さまざまな衛星システムおよびケーブルテレビジョンシステムによって搬送される多重化されたチャネルを介するデジタルビデオでの放送のためにコンテンツデータ(たとえばテレビジョン番組)を提供するコンテンツプロバイダである。コンテンツデータを搬送する信号は、コンテンツ配布システムによって受信され、暗号化された旅行案内および関連するトークンと多重化され、その後、MSNBC Networkテレビジョンの多重化されたチャネルで、各自の衛星システムおよびケーブルテレビジョンシステムに放送される。コンテンツ配布システムを、放送機能の1機能に組み込むことができ、その結果、目標を与えられたメッセージを、多重化されたチャネルを介して送信できるようになる。
【0021】
2つの指定されたローカルクライアントセットトップボックスの両方が、MSNBC Network放送を受信するチューナを有する。各ローカルクライアントセットトップボックスは、プログラムを実行し、このプログラムは、受信された多重化デジタルビデオ信号を監視して、それぞれのローカルクライアントセットトップボックスを識別するトークンのその信号での存在を検出する。それぞれのトークンが、それぞれのローカルセットトップボックスによって識別されたときに、それぞれのローカルセットトップボックスは、診断を発行するプログラムを実行する。診断は、メッセージが表示を待っていることを示すローカルクライアントセットトップボックス上の発光するLEDなど、ユーザに対する視覚的診断または可聴診断とすることができる。それに応答して、ユーザは、入力デバイスを使用して、ローカルクライアントセットトップボックスによってテレビジョンに表示されるメニューなどのユーザインタフェースに指示を入力することができる。ユーザは、入力によって、ユーザインタフェースに、メッセージデータをテレビジョンに表示しなければならないことを指定する。それに応答して、ローカルクライアントセットトップボックスは、旅行案内をテレビジョンに表示する。ユーザは、入力デバイスを使用して、旅行案内をユーザのローカルクライアントセットトップボックスのストレージデバイスに保管できること、または、ユーザのローカルクライアントセットトップボックスに送信されたメッセージのキューから削除することの、ユーザインタフェースへの要求を入力することができる。
【0022】
前述のアプリケーションは、他の放送されるアドレス指定されたメッセージングに適用することができる。たとえば、第1ユーザが、デジタル写真のフォトアルバムをウェブサイトにアップロードする。第1ユーザは、第2ユーザの識別を供給し、フォトアルバムを第2ユーザのローカルクライアントセットトップボックスに放送する要求をウェブサイトに発行する。ウェブサイトは、クライアントデータプロバイダと通信できるようにされたサーバを有し、このクライアントデータプロバイダに、第2ユーザのローカルクライアントセットトップボックスの存在および特性に関する情報を照会する。ローカルクライアントセットトップボックスが、存在しないか、容量またはフォトアルバムを含むアドレス指定された放送メッセージを受信するため他の特性が欠けている場合には、ウェブサイトとのセッション中の対話的診断によって第1ユーザに通知することができる。そうでない場合には、フォトアルバムのアドレス指定された放送が進行し、その結果、第2ユーザが、第2ユーザのローカルクライアントセットトップボックスでその放送を受信できるようになることを、第1ユーザに知らせることができる。
【0023】
クライアントデータプロバイダは、フォトアルバムおよびそれに付加された、通し番号などの第2ユーザのローカルクライアントセットトップボックスの特定の識別に対応するトークンを、暗号化することができる。コンテンツプロバイダからのコンテンツデータ(たとえばテレビジョン番組)は、暗号化されたフォトアルバムを搬送する信号と多重化される信号で搬送される。多重化された信号は、放送網の多重化されたチャネルで放送される。第2ユーザのローカルクライアントセットトップボックスのチューナが、ユーザによって使用されている時と使用されていない時の両方に、多重化されたチャネルを受信することができ、多重化されたチャネルの信号を監視することができる。第2ユーザのローカルクライアントセットトップボックスは、その一意のトークンの信号内での一致を見つけることによって、信号の1つでアドレス指定された放送を検出する。クライアントセットトップボックスの1つまたは複数のプロセッサで動作するアプリケーションプログラムが、フォトアルバムを暗号化解除し、アドレス指定された放送メッセージが検出されたことの診断を第2ユーザに発行する。
【0024】
前述の処理は、株式市場相場を提供するウェブホスティングサービスを有する財務サービスエンティティに適用することもできる。この場合には、相場が、オンデマンドでまたはユーザ指定のイベント(たとえば、株価の所定の変化)時に、ユーザのローカルクライアントセットトップボックスに放送されるアドレス指定されたメッセージで提供される。財務相場ウェブホスティングサービスは、ユーザのローカルクライアントセットトップボックスの一意のトークンならびに相場メッセージングの暗号化アルゴリズムを、ウェブホスティングサービスのサーバが使用可能にされているクライアントデータプロバイダから得る。ユーザのローカルセットトップボックスのチューナが、一方向放送の多重化されたチャネルを監視して、そのトークンを検出し、そのトークンの検出時に診断を発行する。
【0025】
本明細書に記載の放送アドレス指定メッセージング(broadcast addresed messaging)の特定の応用例が、ユーザのローカルクライアントセットトップボックスへの警報の発行の応用例である。警報がユーザのローカルクライアントセットトップボックスに送られる期間、イベント、および/または条件を構成するために、ユーザは、クライアントデータプロバイダのユーザインタフェースと対話する。この対話は、完全に別個の、テレビジョンでメッセージを見るのに適するアプリケーションを特に対象とすることができる。たとえば、ユーザが、ウェブホスティングサービスを使用してパーソナルカレンダを維持することができ、この場合に、ウェブホスティングサービスは、ローカルクライアントセットトップボックス情報のデータベースを維持するクライアントデータプロバイダと通信できるようにされた、サーバなどのネットワークリソースを有する。ユーザは、ウェブホスティングサービスによって維持されるユーザのカレンダに書き込まれたスケジューリングされたイベントに基づいてユーザのローカルクライアントセットトップボックスにアドレス指定された警報を放送するようにウェブホスティングサービスに要求することができる。そのような警報イベント条件付け処理の構成は、ウェブホスティングサービスがそれによってインターネットなどと通信する相互接続されたネットワークへのアクセスを有する両方向ネットワークリソースから、ユーザが操作することができる。
【0026】
前述の応用例を、ローカルクライアントセットトップボックスに関して説明したが、本発明では、下に記載のクライアントデバイス(どれもが、ケーブルモデムまたは衛星モデムなどを介してネットワークと通信することができる)を含む、アドレス指定された放送メッセージを受信する他のアドレスが企図されている。さらに、クライアントデバイスのディスプレイ機構は、テレビジョンである必要はなく、ストレージデバイス(たとえばハードドライブ)、プリンタ(たとえば、株式相場をプリントアウトするチッカテープマシン)、高速道路のある区間に存在する車両トラフィックに関するものなどの大きい表示エリアへのアドレス指定された放送メッセージの表示用の電子掲示板、投影スクリーンでの表示のためのイメージプロジェクタなどの、他の出力デバイスとすることができる。
【0027】
本明細書に記載の方法、プログラム製品、およびデータ構造の諸態様を、これらのシステムのうちの任意のシステムおよびすべてのタイプのクライアントデバイスで使用することができるが、これらは、下記の例示的環境に関して説明される。
【0028】
例示的環境
図2に、本明細書に記載の方法、プログラム、およびシステムを実施することができる例示的環境100を示す。例示的環境100は、複数の視聴者へのコンテンツおよびクライアントデータの配布を容易にするテレビジョンエンターテイメントシステムである。環境100には、1つまたは複数のクライアントデータプロバイダ102、1つまたは複数のコンテンツプロバイダ103、コンテンツ配布システム104、および、放送網108を介してコンテンツ配布システム104に結合される複数のクライアントデバイス106(1)、106(2)、...、106(N)が含まれる。やはり環境100に含まれるのが、相互接続されたネットワーク109を介してクライアントデータプロバイダ102と通信する1つまたは複数のネットワークデバイスである。
【0029】
クライアントデータプロバイダ102には、クライアントデータベース110とクライアントデータサーバ112が含まれる。クライアントデータベース110には、複数のクライアントデバイス106(1)、106(2)、...、106(N)をそれぞれ識別するトークンを生成するのに使用されるクライアントデータ114の電子ファイルが保管される。クライアントデータベース110のクライアントデータは、アドレス指定されたメッセージの放送の要求時に、信号で搬送されるデータストリームに別々に多重化することができる。議論のために、電子ファイルによって、クライアントデータ114が維持され、このクライアントデータ114には、それぞれのクライアントデバイス(i)ごとに、クライアントデバイスと通信するネットワークの論理位置および/または地理的位置などのクライアント位置116と、クライアントデバイスのソフトウェアおよび/またはハードウェアの属性または特性を示すことができるクライアントタイプ118と、クライアントデバイスの通し番号などのクライアント識別120と、放送されるアドレス指定されたメッセージの暗号化に使用することができる暗号化アルゴリズム識別子などの他の情報を含めることができる。
【0030】
クライアントデータサーバ112は、配布の前にクライアントデータを処理する。この処理には、クライアントデータの変更、修正、または拡張を行う複数の技法を含めることができる。そのような処理には、暗号化アルゴリズムと、コンテンツと、コンテンツ圧縮と、クライアントデバイス106(i)からのテキストデータおよびそのテキストデータを出力するのに使用されるスタイルデータと、類似物との選択を含めることができる。クライアントデータサーバ112は、たとえばTCP/IPネットワーク(たとえばインターネット、UNIX(登録商標)など)上のファイル転送プロトコル(FTP)を使用する、クライアントデータプロバイダ102からコンテンツ配布システム104への、クライアントデバイス106(i)にアドレッシングされた暗号化されたメッセージの配布を制御する。代替案では、この配布を、ローカルクライアントセットトップボックスなどのクライアントデバイスへの通信用のローカルクライアント衛星放送用パラボラアンテナ受信器に、衛星から直接に送信することができる。
【0031】
コンテンツプロバイダ103には、コンテンツサーバ122と、映画、テレビジョン番組、コマーシャル、音楽、および類似するオーディオコンテンツおよび/またはビデオコンテンツなどの保管されたコンテンツ124が含まれる。コンテンツプロバイダ103は、「ヘッドエンド」とも称するが、コンテンツソースおよび広告ソースからのビデオ挿入を行い、その後、挿入物を有するコンテンツを送信リンクまたは衛星アップリンクに置く。コンテンツサーバ122は、コンテンツ配布システム104への保管されたコンテンツ124の配布を制御する。さらに、コンテンツサーバ122は、生(live)コンテンツ(たとえば、生放送(live feed)など、前に保管されたものではないコンテンツ)および/または他の位置に保管されたコンテンツのコンテンツ配布システム104への配布を制御する。
【0032】
コンテンツ配布システム104には、放送送信器126および1つまたは複数のコンテンツ/クライアントデータプロセッサ128が含まれる。1つまたは複数のコンテンツ/クライアントデータプロセッサ128は、コンテンツプロバイダ103からのコンテンツおよびアドレス指定された暗号化メッセージを、クライアントデータプロバイダ102からのクライアントデータから生成されたトークンを使用して組み合わせる。このデータの組合せは、放送網108を介する多重化されたチャネルでのコンテンツおよびクライアントデータの送信の前に、多重化処理によって使用して実行される。放送送信器126は、ケーブルテレビジョン信号などの信号を、放送網108を介して多重化されたチャネルで放送する。放送網108には、ケーブルテレビジョン網、RF、マイクロ波、衛星、および/またはインターネットなどのデータネットワークを含めることができ、任意の放送フォーマットまたは放送プロトコルを使用する、有線媒体または無線媒体を含めることもできる。さらに、放送網108は、任意のタイプのネットワークトポロジおよび任意のネットワーク通信プロトコルを使用する任意のタイプのネットワークとすることができ、2つまたはそれ以上のネットワークの組合せとして表すか他の形で実施することができる。
【0033】
特定のコンテンツプロセッサが、受信したコンテンツを、放送網108に結合された複数のクライアントデバイス106(1)、106(2)、...、106(N)によって理解されるフォーマットにエンコードまたは他の形で処理することができる。図2には、単一のクライアントデータプロバイダ102、単一のコンテンツプロバイダ103、および単一のコンテンツ配布システム104が示されているが、環境100に、任意の数のコンテンツ配布システムに結合された任意の数のクライアントデータプロバイダおよびコンテンツプロバイダを含めることができる。
【0034】
コンテンツ配布システム104は、クライアントデータならびにコンテンツを複数の加入者に供給するヘッドエンドサービスを表す。各コンテンツ配布システム104は、クライアントデータを含む信号が放送される1つまたは複数の所期の多重化されたチャネルの異なる態様を考慮に入れた、クライアントデータのわずかに異なるバージョンを受信する可能性がある。クライアントデータサーバ112は、それぞれのヘッドエンドサービスに関連するこれらの多重化されたチャネルを含むクライアントデータの異なるバージョンを作成する。コンテンツ配布システム104は、アドレス指定されたメッセージデータおよびクライアントデータから生成された関連するトークンを、1つまたは複数の多重化されたチャネルを受信できる複数のクライアントデバイス106(1)、106(2)、...、106(N)のそれぞれに送信する。たとえば、一実施形態では、コンテンツ配布システム104が、カルーセルファイルシステムを使用して、クライアントデバイス106の帯域外(OOB)チャネルを介してアドレス指定されたメッセージデータを繰り返し放送する。
【0035】
各ネットワークデバイス(i)を使用して、各クライアントデバイス(i)の一意の識別子を、クライアントデータベース110への保管のためにクライアントデータプロバイダ102にアップロードすることができる。ユーザが、通し番号などの、特定のクライアントデバイスの一意の識別子を知ったならば、ユーザは、ネットワークデバイス(i)から相互接続されたネットワーク109に接続し、相互接続されたネットワーク109を介してクライアントデータサーバ112に一意の識別子を送信することができる。クライアントデータサーバ112は、一意の識別子をクライアントデータベース110に保管することができる。
【0036】
クライアントデバイス106(i)は、複数の形で実施することができる。たとえば、クライアントデバイス106(1)は、衛星放送用パラボラアンテナ130を介して衛星ベースの送信器から放送コンテンツを受信する。クライアントデバイス106(1)を、ローカルクライアントセットトップボックスまたは衛星受信デバイスとも称する。クライアントデバイス106(1)は、クライアントデバイスによって受信されたコンテンツ(たとえばオーディオデータおよびビデオデータ)ならびにグラフィカルユーザインタフェースを提示するために、テレビジョン132(1)に結合される。特定のクライアントデバイス106を、任意の数のテレビジョン132および/またはコンテンツを表示するか他の形で表現するために実施することができる類似するデバイスに結合することができる。同様に、任意の数のクライアントデバイス106を、1つのテレビジョン132に結合することができる。
【0037】
クライアントデバイス106(2)も、放送網108から放送コンテンツを受信するように結合され、受信したコンテンツを関連するテレビジョン132(2)に供給する。クライアントデバイス106(N)は、組み合わされたテレビジョン134および一体化されたローカルクライアントセットトップボックス136の例である。この例では、ローカルクライアントセットトップボックスのさまざまなコンポーネントおよび機能性が、2つの別々のデバイスを使用するのではなく、テレビジョンに組み込まれる。テレビジョンに組み込まれたローカルクライアントセットトップボックスは、衛星放送用パラボラアンテナ(衛星放送用パラボラアンテナ130に類似する)を介しておよび/または放送網108を介して放送信号を受信することができる。代替実施形態では、クライアントデバイス106が、インターネットまたは他の放送媒体を介して放送信号を受信することができる。
【0038】
各クライアントデバイス106は、それ自体の一意の識別を使用するトークン監視およびメッセージ検索アプリケーションを実行する計算デバイスを有する。このアプリケーションは、各クライアントデバイス106内のチューナに、放送内のトークン内のその識別の存在について、1つまたは複数の多重化されたチャネル上の放送を監視させる。これを検出した際に、アプリケーションは、トークンに関連するメッセージを検索し、メッセージの暗号化された部分を暗号化解除し、クライアントデバイス106から診断を出力する。トークン監視およびメッセージ検索アプリケーションは、TV視聴者が、要求時に視聴者に検索メッセージを表示するメニュー項目を有するオンスクリーンメニューを介してナビゲーションできるようにもする。このアプリケーションを用いて、TV視聴者は、各検索されたメッセージをテレビジョン上で眺め、メッセージを削除し、かつ/またはメッセージを将来の表示のためにローカルストレージデバイスに保存することができる。
【0039】
例示的クライアントデバイス
図3に、テレビジョン132に接続されるスタンドアロンのユニットとして示されたクライアントデバイス106の例示的実施形態200を示す。クライアントデバイス106は、デジタルビデオデータシステムなどのテレビジョンベースのエンターテイメントシステムとすることができるが、ローカルクライアントセットトップボックス、衛星放送受信器、ハードディスクを有するTVレコーダ、ゲームコンソール、情報機器などとして含まれる任意の数の実施形態で実施することができる。クライアントデバイス106には、赤外線(IR)またはブルートゥース無線ポートなどの、リモートコントロールデバイス204、ハンドヘルド入力デバイス206、または無線キーボードなどの他の無線デバイスからの無線通信を受信する無線受信ポート202が含まれる。ハンドヘルド入力デバイス206は、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドコンピュータ、無線電話、または類似物とすることができる。さらに、有線キーボード208を、クライアントデバイス106と通信するために結合することができる。代替実施形態では、リモートコントロールデバイス204、ハンドヘルド入力デバイス206、および/またはキーボード208で、RF通信リンクまたは他の伝送のモードを使用して、クライアントデバイス106と通信することができる。
【0040】
クライアントデバイス106は、衛星からまたは放送網からなど、1つまたは複数の放送ソースから1つまたは複数の放送信号210を受信する。クライアントデバイス106には、NTSC、PAL、SECAM、または他のTVシステムビデオ信号などの放送信号210を受信し、デコードするハードウェアおよび/またはソフトウェアが含まれる。放送信号210を、放送網108の多重化されたチャネルでの搬送のために多重化することができる。1つの信号が、それぞれ図2に示されたテレビジョン132(1)から132(N)での表示のためにクライアントデバイス106(1)から106(N)によって受信される放送媒体を搬送する。もう1つの信号が、特に1つのクライアントデバイス106だけのメッセージデータを搬送する。暗号化されるものとすることができるメッセージデータは、1つのクライアントデバイス106を一意に識別するトークンまたは識別を、その中に有するか関連付けられる。
【0041】
クライアントデバイス106には、テレビジョン132に表示することができるグラフィカルユーザインタフェース(GUI)をユーザに提供するハードウェアおよび/またはソフトウェアも含まれる。GUIは、ユーザがさまざまな目的に使用することができる。そのような目的の1つが、ユーザが、検索されたメッセージのそれぞれをテレビジョンに表示でき、メッセージを削除でき、かつ/または将来の表示のためにローカルストレージデバイスにメッセージを保存できるようにすることである。ユーザは、GUIを使用して、たとえば、対話型テレビジョンアプリケーションで通常そうであるようにさまざまなネットワークサービスにアクセスし、クライアントデバイス106を構成し、上で述べたように他の機能を実行することもできる。
【0042】
クライアントデバイス106は、DSL/ADSLまたは普通の電話回線212、ISDNリンク214、ケーブルリンク216、およびイーサネット(登録商標)リンク218を含む1つまたは複数の接続を介して他のデバイスと通信することができる。クライアントデバイス106は、特定の瞬間にさまざまな通信リンク212から218の1つまたは複数を使用して、任意の数の他のデバイスと通信することができる。クライアントデバイス106が、対話型テレビジョンアプリケーションに関して通信リンク212から218を使用する場合に、これらのリンクによって、テレビジョン番組の視聴者と、たとえばテレビジョン番組の放送会社または開発会社との間の両方向通信が容易になる。例として、通信リンク212から218によって、DSL、ADSL、電話、ISDN、ケーブル、イーサネット(登録商標)などを介する通信を提供することができる。
【0043】
クライアントデバイス106は、ビデオ信号220およびオーディオ信号222を生成し、この両方が、テレビジョン132に通信される。ビデオ信号およびオーディオ信号は、RF(高周波)リンク、Sビデオリンク、コンポジットビデオリンク、コンポーネントビデオリンク、または他の通信リンクを介して、クライアントデバイス106からテレビジョン132に通信することができる。図2または3には示されていないが、クライアントデバイス106に、その現在の状態を示す1つまたは複数のライトまたは他のインジケータを含めることができる。例として、クライアントデバイス106が、放送信号内でその識別トークンの存在を検出したときに、1つまたは複数のライトまたは他のインジケータによって、アドレス指定されたメッセージが受信されたことの識別子を発することができる。さらに、クライアントデバイスに、1つまたは複数のコントロールボタン、スイッチ、またはデバイスの動作を制御する他の選択可能なコントロールを含めることができる。
【0044】
図4に、図2および3に示されたクライアントデバイス106の選択されたコンポーネントを示す。クライアントデバイス106には、テレビジョン信号を受信するためにさまざまな周波数または多重化されたチャネルに同調する1つまたは複数の帯域内チューナ、ならびに、たとえば関連するクライアントデータトークンを伴うアドレス指定されたメッセージがそれを介してクライアントデバイス106(i)に放送される1つまたは複数の放送多重化されたチャネルに同調することができる帯域外チューナを表す1つまたは複数のチューナ300(i)が含まれる。したがって、識別(ID)カードおよびリーダ302を、クライアントデバイス106に含めることができる。IDカードは、「スマートカード」とすることができ、クライアントデバイス106を識別するタイプ、モデル、通し番号などを伝える。IDカードは、スマートカードであるときに、クライアントデバイス106の他のコンポーネントによる使用のためのリーダ内のインサータとすることができる。その代わりに、クライアントデバイス(i)の識別情報を、揮発性メモリコンポーネントまたは不揮発性メモリコンポーネントなど、クライアントデバイス106の他のコンポーネントに保管することができる。
【0045】
クライアントデバイス106には、1つまたは複数のプロセッサ304および1つまたは複数のメモリコンポーネントも含まれる。可能なメモリコンポーネントの例には、ランダムアクセスメモリ(RAM)306、ディスクドライブ308、大容量ストレージコンポーネント310、および不揮発性メモリ312(たとえば、ROM、フラッシュ、EPROM、EEPROMなど)が含まれる。クライアントデバイス106の代替実施形態に、ある範囲の処理機能およびメモリ機能を含めることができ、図4に示されたものより多数または少数のタイプのメモリコンポーネントを含めることができる。たとえば、フルリソースクライアントは、視聴者による再生のためにコンテンツが保管されるディスクドライブ308を含む、かなりのメモリリソースおよび処理リソースを用いて実施することができる。しかし、少リソース(Low−resource)クライアントは、限られた量のRAM306、ディスクドライブ308なし、および限られた処理能力など、限られた処理機能およびメモリ機能を有する場合がある。
【0046】
プロセッサ304は、さまざまな命令を処理して、クライアントデバイス106の動作を制御し、他の電子デバイスおよびコンピューティングデバイスと通信する。メモリコンポーネント(たとえば、RAM306、ディスクドライブ308、記憶媒体310、および不揮発性メモリ312)に、さまざまな情報、および/またはコンテンツ、電子番組ガイドデータ、クライアントデバイス106の構成情報などのデータ、および/またはグラフィカルユーザインタフェース情報が保管される。
【0047】
オペレーティングシステム314および1つまたは複数のアプリケーションプログラム316を、不揮発性メモリ312に保管し、プロセッサ304で実行して、ランタイム環境を提供することができる。ランタイム環境は、アプリケーションプログラム316がクライアントデバイス106と対話できるようにするさまざまなインタフェースを定義できるようにすることによって、クライアントデバイス106の拡張性を促進する。図示の例では、クライアントIDアプリケーション318が、不揮発性メモリ312に保管される。アプリケーション318は、トークン監視およびメッセージ検索アプリケーションとすることができるが、実行されるときに、チューナ300(i)に、放送に含まれるトークン内の識別の存在について1つまたは複数の多重化されたチャネルでの放送を監視させる。この識別の検出時に、アプリケーション318は、トークンに関連するメッセージを検索し、その暗号化された部分をすべて暗号化解除し、クライアントデバイス106から診断を出力する。アプリケーション318は、TV視聴者が、要求時に視聴者に検索メッセージを表示するメニューアイテムを有するオンスクリーンメニューを介してナビゲートできるようにもする。アプリケーション318を用いて、TV視聴者が、検索されたメッセージのそれぞれをテレビジョンで眺め、メッセージを削除し、かつ/または将来の表示のためにメッセージをローカルストレージデバイスに保存することができる。
【0048】
クライアントデバイス106で実施することができる他のアプリケーションプログラム316には、インターネットアクセス(たとえば、米国ワシントン州レドモンドのMicrosoft Corporation社によって提供されるWeb TV(登録商標)サービス)を有するローカルクライアントセットトップボックスおよび対話型TVアプリケーションで通常見られる、ウェブをブラウズするブラウザ、電子メールを容易にする電子メールプログラムなどが含まれる。クライアントデバイス106には、説明を簡単にするためにこの例では示さないテレビジョンエンターテイメントシステムに関する他のコンポーネントも含めることもできる。たとえば、クライアントデバイス106に、デバイスとの視聴者対話を容易にする、ユーザインタフェースアプリケーションと、ユーザインタフェースライト、ボタン、コントロールなどを含めることができる。
【0049】
クライアントデバイス106には、NTSC、PAL、SECAM、または他のTVシステムビデオ信号などの放送ビデオ信号をデコードするデコーダ320も含まれる。代替案では、クライアントデバイス106のデコーダを、全体としてまたは部分的に、プロセッサ304によって実行されるソフトウェアアプリケーションとして実施することができる。クライアントデバイス106には、さらに、無線インタフェース322、ネットワークインタフェース324、シリアルおよび/またはパラレルインタフェース326、およびモデム328が含まれる。無線インタフェース322を用いると、クライアントデバイス106が、リモートコントロールデバイスからまたは別のIR入力デバイス、ブルートゥース入力デバイス、または類似するRF入力デバイスからなど、ユーザが操作する入力デバイスから入力コマンドおよび他の情報を受信できるようになる。
【0050】
ネットワークインタフェース324およびシリアルおよび/またはパラレルインタフェース326を用いると、クライアントデバイス106が、さまざまな通信リンクを介して、他の電子デバイスおよびコンピューティングデバイスと対話でき、通信できるようになる。図示されてはいないが、クライアントデバイス106に、他のデバイスと通信するための他のタイプのデータ通信インタフェースを含めることもできる。モデム328は、クライアントデバイス106が、従来の電話回線を介して他の電子デバイスおよびコンピューティングデバイスと通信するのを容易にする。参照符号316および322から328に見られるコンポーネントは、クライアントデバイス106がインターネットアクセスを有するかまたはネットワーク上でデータを通信する場合のアプリケーションを容易にする。
【0051】
クライアントデバイス106には、オーディオおよびビデオを処理し、かつ/または提示するか他の形で示すテレビジョンまたは他のデバイスに信号を供給するオーディオ出力330およびビデオ出力332も含まれる。別々に図示されているが、クライアントデバイス106のコンポーネントの一部を、特定用途向け集積回路(ASIC)で実施することができる。さらに、システムバス(図示せず)によって、通常、クライアントデバイス106内のさまざまなコンポーネントが接続される。システムバスは、メモリバスまたはメモリコントローラ、周辺バス、accelerated graphics port、あるいは任意のさまざまなバスアーキテクチャを使用するローカルバスを含む、複数のタイプのバスアーキテクチャの任意の1つまたは複数として実施することができる。例として、そのようなアーキテクチャに、Industry Standard Architecture(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バス、Enhanced ISA(EISA)バス、Video Electronics Standards Association(VESA)ローカルバス、および、メザニンバスとも称するPeripheral Component Interconnects(PCI)バスを含めることができる。
【0052】
本明細書で、クライアントデバイス106などの1つまたは複数のクライアント装置に、一般的に言及した。本明細書で使用される「クライアントデバイス」は、データ通信、データストレージ機能、および/または、複数の異なるソースのどれかから受信される、放送信号などの信号を処理する機能を有するすべての電子デバイスを意味する。
【0053】
結論
本明細書に記載の方法、プログラム製品、およびシステムの諸部分を、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの任意の組合せで実施することができる。たとえば、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラマブルロジックデバイス(PLD)を、これらの部分の1つまたは複数を実施するように設計またはプログラムすることができる。
【0054】
構造的特徴および/または方法ステップに固有の言語で方法、プログラム製品、およびデータ構図を説明したが、請求項で定義される発明が、説明された固有の特徴またはステップに必ずしも制限されないことを理解されたい。そうではなく、固有の特徴およびステップは、請求される発明を実施するのに好ましい形態として開示されたものである。
【符号の説明】
【0055】
100 例示的環境
102 クライアントデータプロバイダ
103 コンテンツプロバイダ
104 コンテンツ配布システム
106 クライアントデバイス
108 放送網
109 相互接続されたネットワーク
110 クライアントデータベース
112 クライアントデータサーバ
114 クライアントデータ
116 クライアント位置
118 クライアントタイプ
120 クライアント識別
122 コンテンツサーバ
124 保管されたコンテンツ
126 放送送信器
128 コンテンツ/クライアントデータプロセッサ
130 衛星放送用パラボラアンテナ
132 テレビジョン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のクライアントデバイスによる受信のために多重化されたチャネルを介して2つの信号を送信するステップを備える方法であって、前記信号の一方においてコンテンツデータを搬送し、前記信号の他方において識別子に関連する暗号化されたメッセージデータを搬送し、それにより
前記コンテンツデータは各前記クライアントデバイスによって出力することができ、
前記識別子は前記クライアントデバイスのすべてより少ないクライアントデバイスを識別しかつ前記識別子により識別される1つまたは複数のクライアントデバイスの1つまたは複数のハードウェア機能を特定し、
前記識別子は、前記識別子により識別される前記1つまたは複数のクライアントデバイスの1つまたは複数のハードウェア機能に基づき、前記クライアントデバイスの1つまたは複数が、前記暗号化されたメッセージデータに関連するメッセージを出力することができるかどうかの決定が行われることを可能にし、
前記識別子により識別されるクライアントデバイスの1または複数が前記暗号化されたメッセージデータに関連するメッセージを出力することができないと前記識別子が示すとき、前記クライアントデバイスの1つまたは複数が前記暗号化されたメッセージデータに関連するメッセージを出力することができないことを示すように診断が出力され
前記暗号化されたメッセージデータは前記識別子によって識別されるクライアントデバイスによってのみ暗号化解除することができることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数のクライアントデバイスで前記多重化されたチャネルで前記2つの信号を受信するステップと、
識別された前記クライアントデバイスを識別する1つの前記識別子の存在を、識別された前記クライアントデバイスで前記信号の1つにおいて検出するステップと、
1つの前記識別子に関連する前記暗号化されたメッセージデータの受信を表す診断を識別された前記クライアントデバイスから出力するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
識別された前記クライアントデバイスから1つの前記識別子に関連する前記暗号化解除されたメッセージデータを出力するステップをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記識別子は、前記クライアントデバイスのすべてより少ないクライアントデバイスを識別する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記識別子は、前記クライアントデバイスの1つだけを識別する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータ上で実行されるときに、請求項1に記載の方法を実行するコンピュータ実行可能命令を保管することを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項7】
実行されるときに、請求項1に記載の方法を実行する命令を実行する手段を備える複数のクライアントデバイスと通信する放送網を介してデジタルビデオ信号を放送することを特徴とするテレビジョン放送システム。
【請求項8】
多重化されたチャネルを受信するチューナをそれぞれが有する複数のクライアントデバイスにテレビジョン放送網の前記多重化されたチャネルを介して複数の信号を放送するステップを備える方法であって、前記複数の信号のうちの第1の信号は放送媒体を搬送し、前記複数の信号のうちの第2の信号は暗号化されたメッセージデータ搬送し、
前記暗号化されたメッセージデータ識別子に関連付けられ、
前記識別子前記複数のクライアントデバイスのうちの特定のクライアントデバイスに一意であり、前記識別子は前記特定のクライアントデバイスに対してローカルのストレージデバイスからネットワークを介して取得され、かつ前記識別子は前記特定のクライアントデバイスの1つまたは複数のハードウェア機能を特定し、
前記識別子は、前記特定のクライアントデバイスの1つまたは複数のハードウェア機能に基づいて、前記特定のクライアントデバイスが前記暗号化されたメッセージデータに関連するメッセージを出力することができるかどうかの判断を行うことを可能にし、
前記特定のクライアントデバイスが前記暗号化されたメッセージデータに関連するメッセージを出力することができないと前記識別子が示す場合、前記クライアントデバイスの1つまたは複数は前記暗号化されたメッセージデータに関連するメッセージを出力することができないと示すように診断が出力されることをもたらし、
前記複数のクライアントデバイスの各々は前記放送メディアを表示することができ、前記特定のクライアントデバイスは前記暗号化されたメッセージデータを暗号化解除することができ、前記特定のクライアントデバイスではない前記複数のクライアントデバイスの各々は前記暗号化されたメッセージデータを暗号化解除することができないことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記複数のクライアントデバイスで前記多重化されたチャネル内複数の信号を受信するステップと、
前記特定のクライアントデバイスに一意識別子の存在を前記特定のクライアントデバイスで前記信号の1つにおいて検出するステップと、
前記識別子に関連する前記暗号化されたメッセージデータの受信を表す診断を前記特定のクライアントデバイスから出力するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記特定のクライアントデバイスで、前記識別子に関連する前記暗号化されたメッセージデータを暗号化解除するステップと、
前記特定のクライアントデバイスが暗号化解除されたメッセージデータを出力することができると前記識別子が示すとき、前記特定のクライアントデバイスで、前記暗号化解除されたメッセージデータを出力するステップと
をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記特定のクライアントデバイスが暗号化解除されたメッセージデータを出力することができると前記識別子が示すとき、前記識別子に関連する暗号化解除されたメッセージデータを前記特定のクライアントデバイスから出力するステップをさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記識別子は、前記クライアントデバイスの1つだけを識別する手段を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータ上で実行されるときに、請求項8に記載の方法を実行するコンピュータ実行可能命令を保管することを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項14】
複数のクライアントデバイスにテレビジョン放送網を介してデジタルビデオ信号を放送するテレビジョン放送システムであって、前記テレビジョン放送システムは、実行されるときに、請求項8に記載の方法を実行する命令を実行する手段を備えることを特徴とするテレビジョン放送システム。
【請求項15】
特定のクライアントデバイスの識別子を含む要求を受信するステップであって、前記識別子は該識別子自身の範囲内で前記特定のクライアントデバイスの1つまたは複数のハードウェア機能を特定するステップと、
ユーザを前記特定のクライアントデバイスを関連付けるステップと、
前記ユーザに通信されるメッセージを受信すると、前記識別子を前記メッセージと関連付けるステップと、
前記識別子において特定される特定のクライアントデバイスのハードウェア機能に少なくとも部分的に基づいて、前記特定のクライアントデバイスが前記メッセージデータを出力することができるかどうか判断するステップと、
前記特定のクライアントデバイスのハードウェア機能が、前記特定のクライアントデバイスにおいて前記メッセージを出力することができないものであると前記識別子が示すとき、前記特定のクライアントデバイスのハードウェア機能は、前記特定のクライアントデバイスにおいて前記メッセージを出力することができないものであると示す診断を出力するステップと、
前記特定のクライアントデバイスのハードウェア機能が、前記特定のクライアントデバイスにおいて前記メッセージを出力することができるものであると前記識別子が示すとき、前記特定のクライアントデバイスおよび複数の他のクライアントデバイスに、多重化されたチャネルを介して、信号内のヘッドエンドおよび別の信号内のテレビジョン番組により前記メッセージを放送し、前記メッセージは、他の前記複数のクライアントデバイスではない前記特定のクライアントにより出力されるように構成され、前記テレビジョン番組は、前記特定のクライアントデバイスおよび他の前記複数のクライアントデバイスの両方により出力されるように構成されるステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記特定のクライアントデバイスのハードウェア機能が、前記特定のクライアントデバイスにおいて前記メッセージを出力することができないものであると前記識別子が示すとき、前期識別子は他の信号内のテレビジョン番組により放送されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記要求は、前記特定のクライアントデバイスではない別のクライアントデバイスにより前記ユーザにより対話を介して受信されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ユーザにより見られるように前記特定のクライアントデバイスにより前記識別子を表示するステップをさらに備えることを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−109998(P2010−109998A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−286458(P2009−286458)
【出願日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【分割の表示】特願2003−127471(P2003−127471)の分割
【原出願日】平成15年5月2日(2003.5.2)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】