説明

テレビドアホン装置

【課題】子機のカメラにて撮像される映像のデジタル映像信号を可逆画像圧縮し、伝送路を経由して当該子機に接続される親機のモニタに出画させるにあたり、圧縮による劣化を最小限に留めつつ伝送レートを低く抑える。
【解決手段】子機1のカメラ100にて撮像される映像のデジタル映像信号の量子化及び符号化を行い可逆画像圧縮し、伝送路Lを経由して当該子機に接続される親機2に伝送し、この親機にて復号化させモニタ200に出画するにあたり、デジタル映像信号について量子化を行う量子化部101の量子化係数を、予測符号化部102から伝送されてくる予測符号にエントロピー符号化を行うエントロピー符号化部103にて生成されるエントロピー符号の容量と伝送路が有する所定の閾値容量との対比をもとに制御部104が可変させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子機のカメラにて撮像される映像のデジタル映像信号を、伝送路を経由して当該子機に接続される親機へ伝送させ、当該親機のモニタに出画するテレビドアホン装置に係り、特に、デジタル映像信号の可逆画像圧縮を行うテレビドアホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種のテレビドアホン装置として、JPEG規格で画像圧縮した動画像を一定のビットレートに収まるようにして、規定のフレームレートで送信することができるJPEG圧縮装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
このJPEG圧縮装置によれば、カメラで撮像した動画像を瞬時に伝送路に伝送してモニタなどの画像表示部に表示させることができ、JPEG圧縮を効率よく行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−60498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、背景技術に記載した特許文献1のJPEG圧縮装置において、モニタなどの画像表示部のビット幅は、通常、8ビット未満にも関わらず、JPEG規格の画像圧縮も同様に8ビットで行っているため余分なデータ情報を送信することになっていた。
【0006】
本発明は、この難点を解消するためになされたもので、子機のカメラにて撮像される映像のデジタル映像信号を可逆画像圧縮し、伝送路を経由して当該子機に接続される親機のモニタに出画させるにあたり、圧縮による劣化を最小限に留めつつ伝送レートを低く抑えたテレビドアホン装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するため、本発明の第1の態様であるテレビドアホン装置は、来訪者の映像を撮像してデジタル映像信号を生成するためのカメラを有する子機と、伝送路を経由して接続される子機のカメラにて撮像された来訪者の映像を出画するためのモニタを有する親機とを設けたものである。子機には、親機のモニタのビット幅に対応させてカメラにて出力されるデジタル映像信号の量子化を行うための量子化部と、量子化部にて量子化されたデジタル映像信号のフレーム内予測符号化又はフレーム間予測符号化を行い予測符号を生成するための予測符号化部と、予測符号化部から伝送されてくる予測符号にエントロピー符号化を行いエントロピー符号を生成するためのエントロピー符号化部とを備えている。親機には、子機のエントロピー符号化部から伝送路を経由して伝送されてくるエントロピー符号を予測符号に復号化するためのエントロピー復号化部と、エントロピー復号化部から伝送されてくる予測符号を復号化して子機のカメラにて撮像された来訪者の映像をモニタに出画させるための予測復号化部とを備えている。
【0008】
また、本発明の第2の態様であるテレビドアホン装置は、本発明の第1の態様において、子機には、エントロピー符号化部から伝送されてくるエントロピー符号の容量を検出し、検出された容量と伝送路が有する所定の閾値容量との対比をもとに量子化部にて行われる量子化の量子化係数を可変させるための制御部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のテレビドアホン装置によれば、子機のカメラにて撮像される映像のデジタル映像信号の量子化及び符号化を行い可逆画像圧縮し、伝送路を経由して当該子機に接続される親機に伝送し、この親機にて復号化させモニタに出画するにあたり、デジタル映像信号について量子化を行う量子化部の量子化係数を、予測符号化部から伝送されてくる予測符号にエントロピー符号化を行うエントロピー符号化部にて生成されるエントロピー符号の容量と伝送路が有する所定の閾値容量との対比をもとに制御部が可変させることにより、圧縮による劣化を最小限に留めつつ伝送レートを低く抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のテレビドアホン装置を適用した最良に実施の形態例について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施例によるテレビドアホン装置の具体的な構成を示すブロック図である。このテレビドアホン装置は、住戸玄関等の住戸外に設置され、来訪者の映像を撮像してデジタル映像信号を生成するためのカメラ100を有する子機1と、住戸内に設置され、伝送路Lを経由して接続される子機1のカメラ100にて撮像された来訪者の映像を出画するためのモニタ200を有する親機2とが設けられている。なお、子機1のカメラ100にて撮像される映像には、来訪者の映像のみならず、通常、住戸外の周囲近傍の映像が含まれている。
【0012】
また、子機1には、前述のカメラ100と、量子化部101、予測符号化部102、エントロピー符号化部103、制御部104及びデータ送信部105とが備えられている。
【0013】
この子機1において、来訪者の映像を撮像してデジタル映像信号を生成するカメラ100としては、例えば、CCD、CMOS等の各種の動画映像撮像媒体が好適とされる。
【0014】
量子化部101は、親機2のモニタ200のビット幅に対応させてカメラ100にて生成されるデジタル映像信号の量子化を行うためのものである。ここで、ビット幅とは、1画素当りのビット数を表すものである。
【0015】
予測符号化部102は、量子化部101にて量子化されたデジタル映像信号のフレーム内予測符号化又はフレーム間予測符号化を行い、予測符号を生成するためのものである。ここで、フレーム内予測符号化とは、同一のフレームに基づいて予測画像を生成し、入力画像と予測画像の差分(誤差)画像を符号化するものである。また、フレーム間予測符号化とは、異なる時刻のフレームに基づいて予測画像を生成し、入力画像と予測画像の差分(誤差)画像を符号化するものである。
【0016】
エントロピー符号化部103は、予測符号化部102から伝送されてくる予測符号にエントロピー符号化を行い、エントロピー符号を生成するためのものである。ここで、エントロピー符号化とは、出現頻度の高いシンボルに短い符号を割り当てる一方、出現頻度の低いシンボルに長い符号を割り当てるものであり、例えば、ハフマン符号化や算術符号化が好適とされる。
【0017】
制御部104は、エントロピー符号化部103ら伝送されてくるエントロピー符号の容量を検出し、検出された容量と伝送路Lが有する所定の閾値容量との対比をもとに量子化部101にて行われる量子化の量子化係数を可変させるためのものである。
【0018】
データ送信部105は、エントロピー符号化部103ら伝送されてくるエントロピー符号を、伝送路Lを経由して親機2に送信するためのものである。
【0019】
さらに、親機2には、前述のモニタ200と、データ受信部201、エントロピー復号化部202及び予測復号化部203とが備えられている。
【0020】
この親機2において、子機1のカメラ100にて撮像された来訪者の映像を出画するモニタ200としては、例えば、LCD、TFT、PDP、有機ELディスプレイ等の各種の映像出画媒体が好適とされる。
【0021】
データ受信部201は、伝送路Lを経由して子機1から伝送されてくるエントロピー符号を受信するためのものである。
【0022】
エントロピー復号化部202は、データ受信部201にて受信されたエントロピー符号を予測符号に復号化するためのものである。
【0023】
予測符号化部203は、エントロピー復号化部202から伝送されてくる予測符号を復号化して子機1のカメラ100にて撮像された来訪者の映像をモニタ200に出画させるためのものである。
【0024】
このように構成された本発明の実施例によるテレビドアホン装置において、以下、具体的な動作について説明する。
【0025】
図1において、子機1のカメラ100が駆動して来訪者の映像の撮像が開始されると、このカメラ100にて生成された例えば、8ビットのデジタル映像信号が量子化部101に出力される。また、量子化部101は、カメラ100から伝送されてくるデジタル映像信号を親機2のモニタ200のビット幅に対応させて量子化することができる。ここで、モニタ200のビット幅を6ビットとすると、量子化部101から予測符号化部102に出力されるデジタル映像信号のビット幅も8ビットから6ビットに変更されて量子化されることになる。
【0026】
子機1の予測符号化部102は、量子化部101にて量子化されたデジタル映像信号のフレーム内予測符号化又はフレーム間予測符号化を行い、例えば、7ビットの予測符号を生成し、エンロトピー符号化部103に出力する。このエンロトピー符号化部103は、予測符号化部102から伝送されてくる予測符号にエントロピー符号化を行い、可変重符号であるエントロピー符号を生成し、データ送信部105から伝送路Lを経由して親機2に送信させる。ここで、制御部104は、エントロピー符号化部103ら伝送されてくるエントロピー符号の容量を検出し、検出された容量と伝送路Lが有する所定の閾値容量との対比をもとに量子化部101にて行われる量子化の量子化係数を可変させることができ、圧縮による劣化を最小限に留めつつ伝送レートを低く抑えることが可能となる。
【0027】
親機2のエントロピー復号化部202は、子機1のエントロピー符号化部103からデータ送信部105、伝送路Lを経由して伝送されデータ受信部201にて受信されたエントロピー符号を、例えば、6ビットの予測符号に復号化する。また、予測復号化部203は、エントロピー復号化部202から伝送されてくる予測符号を復号化するにあたり、モニタ200のビット幅に合わせた6ビットのデジタル映像信号に復号化し、子機1のカメラ100にて撮像された来訪者の映像をモニタ200に出画させることができる。
【0028】
前述までの説明から明らかなように、本発明の実施例によれば、子機1のカメラ100にて撮像される映像のデジタル映像信号の量子化及び符号化を行い可逆画像圧縮し、伝送路Lを経由して当該子機に接続される親機2に伝送し、この親機にて復号化させモニタ200に出画するにあたり、デジタル映像信号について量子化を行う量子化部101の量子化係数を、予測符号化部102から伝送されてくる予測符号にエントロピー符号化を行うエントロピー符号化部103にて生成されるエントロピー符号の容量と伝送路Lが有する所定の閾値容量との対比をもとに制御部104が可変させることにより、圧縮による劣化を最小限に留めつつ伝送レートを低く抑えることができる。
【0029】
なお、本発明のテレビドアホン装置においては、特定の実施の形態をもって説明してきたが、この形態に限定されるものでなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られた如何なる構成のテレビドアホン装置、例えば、前述の映像撮像(100)機能/データ処理(101、102、103、104)機能のみならず来訪者による呼出操作機能や通話機能を子機1に備え、前述の映像出画(200)機能/データ処理(202、203)機能のみならず来訪者からの呼び出しを報知する呼出報知機能及び当該呼び出しに応答した居住者による通話機能を親機2に備えたテレビドアホン装置であっても採用できるということはいうまでもないことである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例によるテレビドアホン装置の具体的な構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0031】
1……子機
100……カメラ
101……量子化部
102……予測符号化部
103……エントロピー符号化部
104……制御部
2……親機
200……モニタ
202……エントロピー復号化部
203……予測復号化部
L……伝送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者の映像を撮像してデジタル映像信号を生成するためのカメラ(100)を有する子機(1)と、伝送路(L)を経由して接続される前記子機の前記カメラにて撮像された前記来訪者の映像を出画するためのモニタ(200)を有する親機(2)とを設け、
前記子機には、前記親機の前記モニタのビット幅に対応させて前記カメラにて出力されるデジタル映像信号の量子化を行うための量子化部(101)と、前記量子化部にて量子化された前記デジタル映像信号のフレーム内予測符号化又はフレーム間予測符号化を行い予測符号を生成するための予測符号化部(102)と、前記予測符号化部から伝送されてくる前記予測符号にエントロピー符号化を行いエントロピー符号を生成するためのエントロピー符号化部(103)とを備え、
前記親機には、前記子機の前記エントロピー符号化部から前記伝送路を経由して伝送されてくる前記エントロピー符号を前記予測符号に復号化するためのエントロピー復号化部(202)と、前記エントロピー復号化部から伝送されてくる前記予測符号を復号化して前記子機の前記カメラにて撮像された前記来訪者の映像を前記モニタに出画させるための予測復号化部(203)とを備えることを特徴とするテレビドアホン装置。
【請求項2】
前記子機には、前記エントロピー符号化部から伝送されてくる前記エントロピー符号の容量を検出し、前記検出された容量と前記伝送路が有する所定の閾値容量との対比をもとに前記量子化部にて行われる前記量子化の量子化係数を可変させるための制御部(104)を備えることを特徴とする請求項1記載のテレビドアホン装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−182848(P2009−182848A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21452(P2008−21452)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】