説明

テープフィーダ及び部品実装装置

【課題】トップテープに与えられたテンションによってスプロケットが回転方向に動いてしまうことを防止することができるテープフィーダ及び部品実装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スプロケット32の近傍位置においてテープ通路31a上を進行するテープ部材20の上方を覆うカバー部材33を備えたテープフィーダ12において、カバー部材33のテープ通路31aと上下に対向する面に、テープ通路31a上のテープ部材20をテープ通路31aに押し付ける板ばね状の押圧部材50を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品の供給を行うテープフィーダこのテープフィーダを備えた部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に部品(電子部品)を装着する部品実装装置は、基板の位置決めを行う基板位置決め部、部品の供給を行う部品供給部、部品供給部より供給された部品をピックアップして基板位置決め部により位置決めされた基板に装着する装着ヘッドを備えている。部品供給部としては、例えば、長手方向に一定間隔で部品を収納したテープ部材を進行させて部品取り出し口に部品を供給するテープフィーダが知られている。
【0003】
テープフィーダは、テープ部材の通路であるテープ通路を備えたフィーダ本体と、フィーダ本体に設けられて外周部に多数の突起を有したスプロケットを備えて成り、テープ部材はポケット状の各部品収納部に部品を収納させたベーステープと、ベーステープの表面に貼り付けられて部品収納部に収納された部品がベーステープから脱落することを防止するトップテープから成る。テープ部材の長手方向には一定間隔で送り孔が設けられており、リールから繰り出されたテープ部材はフィーダ本体のテープ通路上を延び、フィーダ本体の先端部において送り孔にスプロケットの突起が係合される。スプロケットの間欠的な回転によってテープ通路上をテープ部材が進行し、部品収納部が一定時間おきに部品取り出し位置に到達して部品が供給される。
【0004】
トップテープは部品収納部が部品取り出し位置に到達する手前の位置においてベーステープから引き剥がされ、スプロケットの近傍位置においてテープ部材の上方を覆うカバー部材のトップテープ引き出し口からテープ部材の進行方向とは反対の方向に引き出され、一定のテンションが与えられた状態で巻き取られて回収される(例えば、特許文献1)。スプロケットの各突起の位置はスプロケットの回転角度と関連づけて把握され、部品取り出し位置に対する部品収納部の位置が正確にコントロールされる。
【0005】
このようなテープフィーダでは、トップテープに与えられるテンションはトップテープを介してテープ部材の全体をテープ部材の進行方向に押し出し、間欠回転動作の合間の停止中のスプロケットを回転方向に動かそうとする力となる。スプロケットにはその駆動機構が有するギヤ間のバックラッシなどの影響によって回転方向に若干量の遊びがあり、トップテープに与えられるテンションによってテープ部材の全体がテープ部材の進行方向に押し出されると、上記停止中のスプロケットが遊びの分だけ回転方向に移動してしまい、部品取り出し位置に対する部品収納部の位置の正確なコントロールが妨げられてしまうところであるが、通常、スプロケットの回転停止中のテープ部材はカバー部材の下面(テープ通路と上下に対向する面)及びテープ通路の上面との間の摩擦力によってテープ通路内に保持されることから、トップテープにテンションが作用していても間欠回転動作の合間において停止中のスプロケットがテープ部材の進行方向に動いてしまうようなことはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−188581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、近年、ベーステープに摩擦係数が極めて小さい材質のものが使用されることがあり、この場合にはテープ部材とカバー部材との間の摩擦力が低下してトップテープに与えられたテンションによってスプロケットがテープ部材の進行方向に動いてしてしまい、これによりスプロケットの回転角度による部品収納部の位置の正確なコントロールができなくなって、部品を部品取り出し位置からずれた位置に供給してしまう不具合(部品の供給ずれ)が発生するおそれがあった。
【0008】
そこで本発明は、トップテープに与えられたテンションによってスプロケットが回転方向に動いてしまうことを防止することができるテープフィーダ及び部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のテープフィーダは、長手方向に一定間隔で部品を収納したテープ部材を進行させて部品取り出し口に部品を供給するテープフィーダであって、テープ部材の通路であるテープ通路を備えたフィーダ本体と、フィーダ本体に設けられ、テープ部材の長手方向に一定間隔で設けられた送り孔に外周部の突起を係合させて間欠的に回転することによりフィーダ本体のテープ通路上でテープ部材を進行させるスプロケットと、スプロケットの近傍位置においてテープ通路上を進行するテープ部材の上方を覆うカバー部材と、カバー部材のテープ通路と上下に対向する面に設けられ、テープ通路上のテープ部材をテープ通路に押し付ける押圧部材とを備えた。
【0010】
請求項2に記載のテープフィーダは、請求項1に記載のテープフィーダであって、押圧部材はテープ部材からテープ部材のカバーテープが剥離される位置よりもテープ部材の進行方向の前方位置に取り付けられている。
【0011】
請求項3に記載の部品実装装置は、基板の位置決めを行う基板位置決め部と、長手方向に一定間隔で部品を収納したテープ部材を進行させて部品取り出し口に部品を供給するテープフィーダと、テープフィーダの部品取り出し口に供給された部品をピックアップして基板位置決め部により位置決めされた基板に装着する装着ヘッドとを備えた部品実装装置であって、テープフィーダは、テープ部材の通路であるテープ通路を備えたフィーダ本体と、フィーダ本体に設けられ、テープ部材の長手方向に一定間隔で設けられた送り孔に外周部の突起を係合させて間欠的に回転することによりフィーダ本体のテープ通路上でテープ部材を進行させるスプロケットと、スプロケットの近傍位置においてテープ通路上を進行するテープ部材の上方を覆うカバー部材と、カバー部材のテープ通路と上下に対向する面に設けられ、テープ通路上のテープ部材をテープ通路に押し付ける押圧部材とを備えた。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、テープフィーダのカバー部材のテープ通路と上下に対向する面に設けられた押圧部材によって、テープ通路上のテープ部材がテープ通路に押し付けられるようになっており、トップテープの摩擦係数が小さい場合や、ベーステープの厚さが薄い場合であっても、トップテープに付与されるテンションによってスプロケットが回転方向に動いてしまうことがない。このため、テープ部材の部品収納部の位置をスプロケットの回転位置によって正確にコントロールすることができ、部品の供給すれの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態における部品実装装置の構成図
【図2】本発明の一実施の形態におけるテープ部材の斜視図
【図3】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの側面図
【図4】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの斜視図
【図5】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備えるカバー部材の下方斜視図
【図6】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分側面図
【図7】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分拡大斜視図
【図8】本発明の一実施の形態におけるテープフィーダが備えるテープ移動規制部材の(a)上方斜視図(b)下方斜視図
【図9】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるテープフィーダの部分拡大斜視図
【図10】本発明の一実施の形態における部品実装装置を用いた部品実装方法の実行手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示す部品実装装置1は、図示しない上流工程側の装置(例えば半田印刷機や他の部品実装装置)から送られてきた基板2の搬入及び位置決め、位置決めした基板2の電極部3上への部品(電子部品)4の装着及び部品4を装着した基板2の下流工程側の装置(例えば他の部品実装装置や検査機、リフロー炉等)への搬出から成る一連の動作を繰り返し実行するものである。
【0015】
図1において、部品実装装置1は、基台10上に設けられたベルトコンベア11、部品供給部としての複数のテープフィーダ12、ヘッド移動ロボット13、下方に延びた複数の吸着ノズル14aを備えた装着ヘッド14、装着ヘッド14に取り付けられた基板カメラ15、ベルトコンベア11とテープフィーダ12との間に設けられた部品カメラ16及びこれら各部の作動制御を行う制御装置17を備えている。
【0016】
装着ヘッド14はヘッド移動ロボット13によって水平面内を移動自在であり、装着ヘッド14が備える各吸着ノズル14aは図示しないアクチュエータ等から成るノズル駆動機構18(図1)によって、装着ヘッド14に対する上下方向移動と上下軸回りの回転動作が可能である。また、各吸着ノズル14aは、図示しないアクチュエータ等から成る吸着機構19(図1)によって、部品4の吸着(ピックアップ)とその吸着解除動作が可能である。基板カメラ15は撮像視野を下方に向けて設けられており、部品カメラ16は撮像視野を上方に向けて設けられている。
【0017】
基板位置決め部であるベルトコンベア11は基板2の搬送と作業位置への位置決めを行い、各テープフィーダ12は図2に示すテープ部材20の送り動作を行って所定の位置(後述する部品取り出し口33a。図1)に部品4を連続的に供給する。
【0018】
図2において、テープ部材20はベーステープ20aとベーステープ20aに貼り付けられたテープ部材20のカバーテープであるトップテープ20bから成り、ベーステープ20aには長手方向に一定間隔で並んで設けられたポケット状の多数の部品収納部21と多数の送り孔22が設けられている。各部品収納部21には部品4が収納されており、トップテープ20bにより部品4が部品収納部21から脱落することが防止される。
【0019】
テープ部材20はリールRに巻き付けられた状態で供給され、終端部に至ったときには、その終端部に新たなリールRのテープ部材20の先頭部がテープ状の連結部材20Gによってスプライシングされる(図2)。
【0020】
図1において、各テープフィーダ12は基台10に対して移動自在な台車Dに取り付けられる。台車Dは各テープフィーダ12を整列固定するためのフィーダベースFBを備えており、台車Dを基台10に連結させるとフィーダベースFBに取り付けられた複数のテープフィーダ12が一括して基台10に対して位置決めされる。以下、フィーダベースFBに取り付けられた状態でテープフィーダ12が延びる水平面内方向をテープフィーダ12の前後方向(Y軸方向)とし、テープフィーダ12の前後方向と直交する水平面内方向をテープフィーダ12の横方向(X軸方向)とする。また、テープフィーダ12の上下方向をZ軸方向とする。
【0021】
図3及び図4において、各テープフィーダ12は、台車DのフィーダベースFBに着脱自在に取り付けられるフィーダ本体31、フィーダ本体31の前端部に回転軸32a回りに回転自在に取り付けられたスプロケット32、フィーダ本体31のスプロケット32の上方位置に設けられたカバー部材33、フィーダ本体31の後方寄りに設けられたトップテープ回収部34等から構成されている。テープ部材20が巻き付けられたリールRは、フィーダ本体31の後方位置に台車Dによって回転自在に支持される(図1)。
【0022】
本実施の形態では、図4に示すように、ひとつのテープフィーダ12が2つのテープ部材20を個別に進行させてそれぞれのテープ部材20において部品4の供給を行うことができる構成になっており、フィーダ本体31にはスプロケット32、カバー部材33、トップテープ回収部34などから成るテープ部材送り機構が2組設けられている。
【0023】
図3及び図4において、フィーダ本体31には、リールRから繰り出されたテープ部材20の通路であるテープ通路31aが設けられている。スプロケット32はフィーダ本体31の前端部に設けられたスプロケット駆動モータ41によりギヤ機構42を介して回転軸32a回りに間欠的に回転駆動されるようになっており、スプロケット32が回転軸32a回りに回転すると、スプロケット32の外周部に設けられた多数の突起32bが回転軸32aを中心とする円軌道上で移動する。この回転軸32aを中心とする円軌道上を移動する各突起32bは、その円軌道の最上部を通過するときにフィーダ本体31の後方からテープ通路31aを通ってフィーダ本体31の前方に延びたテープ部材20の送り孔22に下方から係合し(図3中の拡大図参照)、テープ部材20を牽引した後に送り孔22の下方に離脱するようにしてテープ部材20をフィーダ本体31の前方に進行させる。
【0024】
すなわち本実施の形態において、スプロケット32は、フィーダ本体31に設けられ、テープ部材20の長手方向に一定間隔で設けられた送り孔22に外周部の突起32bを係合させて間欠的に回転することによりフィーダ本体31のテープ通路31a上でテープ部材20を進行させるものとなっている。
【0025】
図3及び図4において、カバー部材33はY軸方向に延びた断面「コ」の字状の長尺部材から成り、フィーダ本体31の前方部に上下方向に揺動自在に設けられている。カバー部材33には、テープ部材20の部品収納部21内から部品4を取り出すための前述の部品取り出し口33aと、ベーステープ20aから引き剥がされたトップテープ20bを上方に引き出すためのトップテープ引き出し口33bが設けられており、フィーダ本体31に対して閉じた状態(フィーダ本体31の前方に倒伏した状態)で、スプロケット32の近傍位置においてフィーダ本体31のテープ通路31a上を進行するテープ部材20(スプロケット32の突起32bが係合する部分)の上方を覆うようになっている。
【0026】
図4において、カバー部材33の部品取り出し口33aの前方の位置には覗き窓33nが設けられている。この覗き窓33nは、カバー部材33がフィーダ本体31に対して閉じた状態において、スプロケット32の突起32bがテープ部材20の送り孔22と係合する位置の直上に設けられている。このため部品実装装置1のオペレータは、この覗き窓33nからスプロケット32の突起32bがテープ部材20の送り孔22に正常に係合しているかどうかを確認することができる。
【0027】
スプロケット32が間欠的に回転すると、スプロケット32によって牽引されたテープ部材20がフィーダ本体31のテープ通路31a上を進行し、テープ部材20の部品収納部21が一定時間間隔でカバー部材33の部品取り出し口33aの下方位置に位置して部品取り出し口33aに部品4が供給される。トップテープ20bは各部品収納部21がカバー部材33の部品取り出し口33aに到達する以前にベーステープ20aから引き剥がされてカバー部材33の上面側に引き出され、トップテープ回収部34によって回収されるので、部品収納部21がカバー部材33の部品取り出し口33aに到達した時点において、部品4は部品収納部21から取り出せる状態となる。
【0028】
図3及び図4において、トップテープ回収部34はテンション付与機構35、一対の回収ローラ36及び回収ボックス37を有して成り、テンション付与機構35のばね部材35aによってテンションを与えた状態のトップテープ20bを一対の回収ローラ36によって挟み込んで引っ張り、回収ボックス37内に収納して回収する。
【0029】
図5及び図6(a),(b)に示すように、カバー部材33の下面、すなわちカバー部材33のテープ通路31aと上下に対向する面には押圧部材50が設けられている。この押圧部材50はその後端部がカバー部材33の下面に片持ち固定された板ばね状の部材から成り、カバー部材33がフィーダ本体31に対して閉じてテープ通路31a上のテープ部材20を上方から覆った状態では、押圧部材50の前端部がカバー部材33の下面に接触し、押圧部材50の中間部がテープ通路31aに上方から接触することで、テープ通路31a上のテープ部材20をテープ通路31aに押し付ける(図6(b))。
【0030】
このように、本実施の形態におけるテープフィーダ12では、カバー部材33のテープ通路31aと上下に対向する面に設けられた押圧部材50によって、テープ通路31a上のテープ部材20がテープ通路31aに押し付けられので、トップテープ20bの摩擦係数が小さい場合や、ベーステープ20aの厚さが薄い場合であっても、トップテープ20bに付与されるテンションによってスプロケット32が回転方向に動いてしまうことが防止される。なお、押圧部材50には、カバー部材33がフィーダ本体31に対して閉じている状態(押圧部材50がテープ通路31a上のテープ部材20をテープ通路31aに押し付けている状態)において、押圧部材50がスプロケット32の突起32bとの干渉を避けるための孔51がフィーダ本体31の前後方向に延びて設けられている(図5及び図6(a),(b))。
【0031】
図4及び図7において、フィーダ本体31の前後方向の中間部の上部には光学センサ部61が設けられている。光学センサ部61は、フィーダ本体31に固定されたフレーム下部62a、フレーム下部62aから上方に延びた支柱部62b、支柱部62bの上端に設けられたフレーム上部62cから成るセンサフレーム62と、センサフレーム62のフレーム上部62cに設けられた投光器63及びセンサフレーム62のフレーム下部62aに設けられた受光器64を有して成る。
【0032】
図4及び図7に示すように、投光器63と受光器64はフィーダ本体31のテープ通路31a上を進行するテープ部材20の送り孔22を上下方向に挟む位置に設けられており、投光器63はフィーダ本体31のテープ通路31a上を進行するテープ部材20の送り孔22の移動経路VL上に検査光61Lを投光し、投光器63が投光する検査光61Lを受光した受光器64は受光信号を制御装置17の判断部17aに出力する。本実施の形態では、フィーダ本体31にテープ部材送り機構が2組設けられているため、光学センサ部61を構成する投光器63及び受光器64も2組設けられている(図4)。
【0033】
テープ通路31a上をテープ部材20が進行している状態では、投光器63が投光する検査光61Lはテープ部材20の送り孔22によって一定時間間隔で横切られるために、受光器64による検査光61Lの受光状態は周期的に断続するが、連結部材20Gによってスプライシングされたテープ部材20の連結部が検査光61Lを横切っている間は、スプロケット32が回転動作を行っているにも拘らず受光器64による検査光61Lの受光状態が周期的に断続しない(非受光状態が継続する)。このため制御装置17の判断部17aは、検査光61Lがスプロケット32の回転動作に応じて進行するテープ部材20の送り孔22によって周期的に断続される状態が続いた後、スプロケット32が回転動作を行っているにも拘らず検査光61Lが断続される状態が一定時間検出されなかったことを検知したときには、そのとき連結部材20Gが検査光61Lを通過したものとしてテープ部材20の連結部の位置を検出する。
【0034】
すなわち、本実施の形態において、光学センサ部61と制御装置17の判断部17aは、フィーダ本体31のテープ通路31a上を進行するテープ部材20の送り孔22の移動経路VL上に検査光61Lを射出し、その射出した検査光61Lをテープ部材20の送り孔22が横切る状態が変化したことに基づいてテープ部材20の連結部を検出する連結部検出装置となっている。
【0035】
なお、図2に示すように、連結部材20Gには送り孔22の並びに沿って厚さ方向に貫通する溝20Sが設けられており、連結部材20Gによって覆われた送り孔22内に下方から入り込んだスプロケット32の突起32bはこの溝20Sを通り抜けて送り孔22に係合するので、連結部材20Gがスプロケット32によるテープ部材20の進行動作の妨げとなることはない。
【0036】
図3及び図4において、フィーダ本体31の中間部の上部にはテープ移動規制部材70が設けられている。このテープ移動規制部材70は、連結部検出装置の投光器63が射出する検査光61Lがテープ部材20の送り孔22の移動経路VLと交わる箇所P(図7)におけるテープ部材20の幅方向(テープ部材20の進行方向と直交する方向(X軸方向))の移動を規制するものである。
【0037】
図8(a),(b)において、テープ移動規制部材70は、水平に広がって延びた水平部71及び水平部71のX軸方向の両端部から下方に延びて設けられた2つの側壁部72を有して成り、2つの側壁部72の下端がフィーダ本体31の側面の溝部31b(図9(a),(b))に係合することによってフィーダ本体31に着脱自在に取り付けられる。図8(a),(b)及び図9(a),(b)に示すように、水平部71には、2つの側壁部72がフィーダ本体31の溝部31bに係合した状態でフィーダ本体31の前後方向に延びる切り欠き部73が設けられている。この切り欠き部73はセンサフレーム62の支柱部62bの幅寸法よりも若干大きい幅を有しており、2つの側壁部72をフィーダ本体31の溝部31bに係合させた後、2つの側壁部72を溝部31b上で滑らせるようにしてフィーダ本体31の全体を前方に移動させることにより、切り欠き部73をセンサフレーム62の支柱部62bに係合させてテープ移動規制部材70を安定的にフィーダ本体31に取り付けることができる(図9(a)→図9(b))。
【0038】
ここで、図8(a),(b)に示すように、テープ移動規制部材70の水平部71の切り欠き部73を挟む2箇所には、テープ移動規制部材70がフィーダ本体31に取り付けられた状態で投光器63が透光する検査光61Lが通過する検査光通過孔74が設けられており、テープ移動規制部材70がフィーダ本体31に取り付けられた状態であっても光学センサ部61によるテープ部材20の送り孔22の検出が妨げられることがないようになっている。
【0039】
テープ移動規制部材70がフィーダ本体31に取り付けられると、テープ移動規制部材70の2つの側壁部72はテープ部材20が確実にテープ通路31a上を進行するようにテープ部材20を案内するガイド部材として機能し、これによりテープ部材20がテープ通路31aから外れて進行することが防止される。このため、連結部検出装置の投光器63の取り付け位置に設計上の位置からの誤差が生じ、検査光61Lの射出位置が設定された設計上の位置から幾分ずれている場合であっても、テープ通路31a上を進行するテープ部材20の送り孔22が確実に検査光61Lを横切るようにすることができる。
【0040】
図1において、ベルトコンベア11による基板2の搬送及び位置決め動作は、制御装置17がベルトコンベア11の作動制御を行うことによってなされ、各テープフィーダ12による部品取り出し口33aへの部品4の供給動作は、制御装置17が前述のスプロケット駆動モータ41及びローラ駆動モータ33cの作動制御を行うことによってなされる。
【0041】
図1において、装着ヘッド14の移動動作は、制御装置17が前述のヘッド移動ロボット13の作動制御を行うことによってなされ、装着ヘッド14に設けられた吸着ノズル14aの装着ヘッド14に対する昇降及び上下軸回りの回転動作は、制御装置17が前述のノズル駆動機構18の作動制御を行うことによってなされる。また、各吸着ノズル14aによる部品4の吸着とその吸着解除動作は、制御装置17が前述の吸着機構19の作動制御を行うことによってなされる。このように装着ヘッド14は、各テープフィーダ12の部品取り出し口33aに供給された部品をピックアップしてベルトコンベア11により位置決めされた基板2に装着するものとなっている。
【0042】
図1において、基板カメラ15による撮像動作の制御と部品カメラ16による撮像動作の制御は制御装置17によってなされ、基板カメラ15及び部品カメラ16の撮像動作によって得られた画像データは制御装置17に入力され、制御装置17が備える画像認識部17bにおいて画像認識処理がなされる。なお、基板カメラ15の移動は、制御装置17がヘッド移動ロボット13の作動制御を行って装着ヘッド14を移動させることよってなされる。
【0043】
このような構成の部品実装装置1により、基板2上の電極部3に部品4を装着する部品実装作業(部品実装方法)を実行するには、制御装置17は先ず、ベルトコンベア11を作動させ、部品実装装置1の上流工程側の装置から送られてきた基板2を受け取って部品実装装置1の内部に搬入し、所定の作業位置に位置決めする(図10に示すステップST1の基板位置決め工程)。
【0044】
制御装置17は、基板2の位置決めを行ったら、装着ヘッド14を移動させて基板カメラ15を基板2の上方に移動させ、基板カメラ15に基板2上の一対の基板マーク2m(図1)の撮像を行わせて画像認識する。そして、得られた一対の基板マーク2mの位置を予め設定された基準の位置と比較することによって、基板2の基準の位置からの位置ずれを算出する(図10に示すステップST2の基板位置ずれ算出工程)。
【0045】
制御装置17は、基板2の基準の位置からの位置ずれを算出したら、テープフィーダ12の作動制御を行ってそのテープフィーダ12の部品取り出し口33aに部品4を供給するとともに(図10に示すステップST3の部品供給工程)、装着ヘッド14をテープフィーダ12の上方に位置させたうえで(図3)、テープフィーダ12の部品取り出し口33aに供給された部品4をピックアップ(吸着)させる(図10に示すステップST4の部品ピックアップ工程)。
【0046】
上記部品供給工程において、テープ部材20の連結部が連結部検出装置の投光器63が投光する検査光61Lを横切ったときには制御装置17の判断部17aがこれを検出し、その検出したテープ部材20の連結部の位置の情報は、制御装置17による部品4のロット管理等に利用される。また、上記部品供給工程において、テープ部材20はカバー部材33に設けられた押圧部材50によってフィーダ本体31のテープ通路31aに押し付けられるので、部品4は供給ずれを生じることなくテープフィーダ12の部品取り出し口33aに供給される。
【0047】
制御装置17は、吸着ノズル14aに部品4をピックアップさせたら、その部品4が部品カメラ16の上方を通過するように装着ヘッド14を移動させ、部品カメラ16に部品4の撮像を行わせて画像認識を行い(図10に示すステップST5の画像認識工程)、部品4の吸着ノズル14aに対する位置ずれ(吸着ずれ)を算出する(図10に示すステップST6の吸着ずれ算出工程)。
【0048】
制御装置17は、部品4の吸着ノズル14aに対する位置ずれを算出したら、装着ヘッド14を基板2の上方に位置させ、吸着ノズル14aによりピックアップした部品4を基板2上の電極部3に接触させたうえで吸着ノズル14aへの真空圧の供給を解除し、部品4を基板2に装着する(図10に示すステップST7の部品装着工程)。この部品装着工程では、制御装置17は、ステップST2で求めた基板2の位置ずれと、ステップST6で求めた部品4の吸着ずれが修正されるように、基板2に対する吸着ノズル14aの位置補正(回転補正を含む)を行う。
【0049】
制御装置17は、基板2に対する部品4の装着を行ったら、基板2に装着すべき全ての部品4の装着が終了したか否かの判断を行う(図10に示すステップST8の第1の判断工程)。そして、基板2に装着すべき全ての部品4の装着が終了していなかったときにはステップST4に戻って吸着ノズル14aによる次の部品4のピックアップを行い、基板2に装着すべき全ての部品4の装着が終了していたときには、ベルトコンベア11を作動させて基板2を部品実装装置1から搬出する(図10に示すステップST9の基板搬出工程)。
【0050】
制御装置17は、基板2を搬出したら、次いで、まだ部品4の装着を行うべき基板2があるかどうかの判断を行う(図10に示すステップST10の第2の判断工程)。そして、部品4の装着を行うべき基板2があった場合にはステップST1に戻り、部品4の装着を行うべき基板2がなかった場合には、一連の作業を終了する。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態における部品実装装置1では、テープフィーダ12のカバー部材33の下面(テープ通路31aと上下に対向する面)に設けられた押圧部材50によって、テープ通路31a上のテープ部材20がテープ通路31aに押し付けられるようになっており、トップテープ20bの摩擦係数が小さい場合や、ベーステープ20aの厚さが薄い場合であっても、トップテープ20bに付与されるテンションによってスプロケット32が回転方向に動いてしまうことがない。このため、テープ部材20の部品収納部21の位置をスプロケット32の回転位置によって正確にコントロールすることができ、部品4の供給すれの発生を防止することができる。
【0052】
なお、上記押圧部材50は、カバー部材33のテープ通路31aと上下に対向する面に設けられてテープ通路31a上のテープ部材20をテープ通路31aに押し付けるものであればよく、必ずしも上述の実施の形態に示したような板ばね状の部材である必要はない。
【0053】
また、上述の実施の形態では、押圧部材50はテープ部材20からテープ部材20のカバーテープであるトップテープ20bが剥離される位置よりもテープ部材20の進行方向の前方位置に取り付けられており、これにより部品取り出し口33aの直下においてテープ部材20の部品収納部21を安定的に位置決めすることができるようになっているが、トップテープ20bに付与されるテンションによる部品4の供給ずれの発生を防止できるのであれば、テープ部材20のその取り付け位置は特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
トップテープに与えられたテンションによってスプロケットが回転方向に動いてしまうことを防止することができるテープフィーダ及び部品実装装置を提供する。
【符号の説明】
【0055】
1 部品実装装置
2 基板
4 部品
11 ベルトコンベア(基板位置決め部)
12 テープフィーダ
14 装着ヘッド
20 テープ部材
22 送り孔
31 フィーダ本体
31a テープ通路
32 スプロケット
32b 突起
33 カバー部材
33a 部品取り出し口
50 押圧部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に一定間隔で部品を収納したテープ部材を進行させて部品取り出し口に部品を供給するテープフィーダであって、
テープ部材の通路であるテープ通路を備えたフィーダ本体と、
フィーダ本体に設けられ、テープ部材の長手方向に一定間隔で設けられた送り孔に外周部の突起を係合させて間欠的に回転することによりフィーダ本体のテープ通路上でテープ部材を進行させるスプロケットと、
スプロケットの近傍位置においてテープ通路上を進行するテープ部材の上方を覆うカバー部材と、
カバー部材のテープ通路と上下に対向する面に設けられ、テープ通路上のテープ部材をテープ通路に押し付ける押圧部材とを備えたことを特徴とするテープフィーダ。
【請求項2】
押圧部材はテープ部材からテープ部材のカバーテープが剥離される位置よりもテープ部材の進行方向の前方位置に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のテープフィーダ。
【請求項3】
基板の位置決めを行う基板位置決め部と、長手方向に一定間隔で部品を収納したテープ部材を進行させて部品取り出し口に部品を供給するテープフィーダと、テープフィーダの部品取り出し口に供給された部品をピックアップして基板位置決め部により位置決めされた基板に装着する装着ヘッドとを備えた部品実装装置であって、
テープフィーダは、
テープ部材の通路であるテープ通路を備えたフィーダ本体と、
フィーダ本体に設けられ、テープ部材の長手方向に一定間隔で設けられた送り孔に外周部の突起を係合させて間欠的に回転することによりフィーダ本体のテープ通路上でテープ部材を進行させるスプロケットと、
スプロケットの近傍位置においてテープ通路上を進行するテープ部材の上方を覆うカバー部材と、
カバー部材のテープ通路と上下に対向する面に設けられ、テープ通路上のテープ部材をテープ通路に押し付ける押圧部材とを備えたことを特徴とする部品実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−58512(P2013−58512A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194517(P2011−194517)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】