説明

テープ貼着装置

【課題】凹凸面を有するワークにテープを貼着する場合に、ワークの突出面とテープとの間への空気が入らないようにテープを貼着できるテープ貼着装置を提供すること。
【解決手段】このテープ貼着装置1は、剥離紙32bに粘着テープ39が配置されたテープ体ロール31をセットするテープ体セット部3と、テープ体32の剥離紙32bを巻き取って回収する剥離紙回収部4と、テープ体32から粘着テープ39を剥離する剥離プレート23と、剥離プレート23によって剥離された粘着テープ39をCSP基板Wの凹凸面に貼着する貼着手段40とを有し、貼着手段40は、CSP基板Wの凸部111〜113に粘着テープ39を貼着する第一の押圧ローラー24と、粘着テープ39をCSP基板の平板部110に貼着する第二の押圧ローラー25とを有し、第一の押圧ローラー24の硬度を第二の押圧ローラー25の硬度より高くした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ貼着装置に関し、特に、ダイシング加工前にCSP基板など凹凸面を有するワークに粘着テープを貼着するテープ貼着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、ICやLSIなどのデバイスが表面に形成された半導体ウェーハなどのワークがダイシング装置などの分割装置によって個々のデバイスに分割され、各種電子機器に利用されている。近年では、複数のデバイスを樹脂材料などでモールドしたCSP(Chip Size Package)基板も分割装置によって分割加工が行われている。CSP基板は、分割装置において分割される前に粘着テープ貼着装置に搬送される。このように、ワークに粘着テープが貼着されることにより、分割装置において個々に分割された半導体チップがバラバラになることが防止される。
【0003】
従来、ワークに対し粘着テープを貼着するテープ貼着装置として、テープ状の剥離紙から粘着テープを剥がし、剥がした粘着テープを押圧ローラーでワークに貼着するテープ貼着装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このテープ貼着装置においては、剥離紙に粘着テープを配置したテープ体を繰り出しロールに装着し、この繰り出しロールからのテープ体の繰り出しに合わせてワークを移動させる。テープ体の搬送経路の途中には、粘着テープを剥離紙から剥離する剥離プレートが設けられており、この剥離プレートによって剥離した粘着テープを押圧ローラーでワークに貼着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−158037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、CSP基板の表面は、複数のデバイスに対応して形成されたモールドにより凹凸面が形成される。上記テープ貼着装置を用いてCSP基板に粘着テープを貼り付ける場合、CSP基板が凹凸面を有するため、CSP基板の表面に粘着テープを適切に貼り付けることが困難であった。特に、CSP基板の突出面と粘着テープの貼着面との隙間に空気が残り、CSP基板の分割の際に加工屑が隙間に挟み込まれるという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みて為されたものであり、凹凸面を有するワークにテープを貼着する場合に、ワークの突出面とテープとの間に空気が入らないようにテープを貼着できるテープ貼着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のテープ貼着装置は、剥離テープの被貼着面に粘着テープの粘着面が貼着された形態のテープ体がロール状に巻きつけられたテープ体ロールをセットするテープ体セット手段と、前記テープ体の前記剥離テープを巻き取って回収する剥離テープ回収手段と、前記テープ体セット手段と前記剥離テープ回収手段との間に配設され、前記テープ体の剥離テープ側を押圧して前記テープ体を前記剥離テープ側に屈曲させることによって前記粘着テープを前記剥離テープから剥離させて送り出すテープ剥離手段と、前記テープ剥離手段によって送り出された前記粘着テープの前記粘着面をワークに対向させて前記粘着テープをワークに向けて押圧することによって前記粘着テープをワークに貼着する貼着手段と、を含むテープ貼着装置であって、ワークは、凹凸面を有し、前記貼着手段は、前記粘着テープをワークの前記凹凸面の凸部に貼着する第一の押圧ローラーと、前記第一の押圧ローラーによる前記粘着テープの前記凸部への貼着の後に、前記粘着テープをワークの前記凹凸面の凹部に貼着する第二の押圧ローラーと、を有し、前記第一の押圧ローラーの硬度は前記第二の押圧ローラーの硬度よりも高いことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、第一の押圧ローラーが第二の押圧ローラーに対して硬度が高いため、ワークの凸部と粘着テープとの隙間の空気が押し出される。また、第二の押圧ローラーが第一の押圧ローラーよりも硬度が低いため、ワークの凹凸面に沿って変形しながらワークの凹部にテープが貼着される。したがって、第一、第二の押圧ローラーにより、ワークの凸部と粘着テープとの隙間に空気が入ることなく、ワークに粘着テープを貼着することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、凹凸面を有するワークにテープを貼着する場合に、ワークの突出面とテープとの間に空気が入らないようにテープを貼着できるテープ貼着装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態に係るテープ貼着装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るテープ貼着装置の部分断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るテープ貼着装置の平面模式図である。
【図4】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態に係るテープ貼着装置におけるCSP基板への粘着テープの貼着動作の説明図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明の実施の形態に係るテープ貼着装置におけるCSP基板への粘着テープの貼着状態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る分割工程で用いられる保持冶具の斜視図である。
【図7】比較例に係る第二の押圧ローラーによる粘着テープの貼着状態を示す説明図である。
【図8】比較例に係るCSP基板を保持冶具に保持した状態を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るCSP基板を保持冶具に保持した状態を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るCSP基板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明においては、本発明をワークとしてのCSP基板に対し、分割加工前に粘着テープを貼着するテープ貼着装置に適用した例について説明するが、この構成に限定されるものではない。本発明は、半導体ウェーハなどの各種ワークに対し、テープ状の貼着物を貼り付ける装置であれば、どのような装置にも適用可能である。
【0012】
最初に、本発明の実施の形態に係るテープ貼着装置について説明する前に、図10を参照して、貼着対象となるCSP基板について簡単に説明する。図10は、本発明の実施の形態に係るテープ貼着装置に用いられるCSP基板の斜視図である。
【0013】
図10に示すように、CSP基板(ワーク)Wは、平面視略矩形状を有しており、平板部(凹部)110と、平板部110上の複数の領域に設けられたIC、LSIなどの半導体デバイスを樹脂材料でモールドした凸部111〜113とを有する。各凸部111〜113は、CSP基板Wの長手方向に沿ってそれぞれ離間して設けられており、平板部110を凹部としてCSP基板W上に凹凸面を形成している。CSP基板Wの平板部110には、凸部111〜113を挟むようにして、CSP基板Wの短手方向に延在する長孔121〜124が設けられている。
【0014】
なお、本実施の形態においては、ワークとしてCSP基板Wを例に挙げて説明するが、この構成に限定されるものではなく、例えば、CSP基板W以外の凹凸面を有する半導体パッケージ基板や、その他ミクロンオーダーの加工精度が要求される各種加工材量をワークとしてもよい。
【0015】
次に、図1及び図2を参照して、テープ貼着装置1の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るテープ貼着装置1の外観斜視図であり、図2は、図1の部分断面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、テープ貼着装置1は、CSP基板Wを保持テーブル11で保持し、この保持テーブル11とテープ貼着部21とを相対移動させてCSP基板W表面に粘着テープを貼着するように構成されている。テープ貼着装置1は、筺体前方部10aを筺体後方部10bに対して一段低く形成した筺体10を有している。筺体10の筺体前方部10aの基板投入口には、開閉扉12が設けられている。開閉扉12は、後方側を基端として筺体10に連結され、この連結部12aを中心として上方へ開閉可能に構成されている。筺体10の正面10cには、筺体10内部に設けられたテープ貼着部21に対する操作を受け付ける操作パネル13が設けられている。
【0017】
筺体10内の基台14上には、保持テーブル11を前後に往復移動する保持テーブル移動機構15が設けられている。保持テーブル移動機構15は、前後方向へ延在する一対のガイドレール15a、15bと、ガイドレール15a、15bにスライド移動可能に設置されたモータ駆動の保持テーブル11とを有している。保持テーブル11の背面側には、ナット部42(図3参照)が形成され、このナット部42には保持テーブル11が前後方向に送られるボールネジ16が螺合されている。ボールネジ16の一端部には、不図示の駆動モータが連結され、この駆動モータによりボールネジ16が回転駆動される。
【0018】
保持テーブル11は、平面視矩形形状に形成されている。保持テーブル11の上部には、CSP基板Wを吸着保持するワーク保持部17が設けられている。ワーク保持部17は、ポーラスセラミック材により吸着面が形成されている。吸着面は、負圧により粘着テープを介してCSP基板Wを吸着する面であり、保持テーブル11の内部の配管を介して吸引源に接続されている。また、保持テーブル11の前端部には、後述する粘着テープ貼着時において、粘着テープに空気を吹き付ける吹き付け部18が設けられている。
【0019】
保持テーブル移動機構15の上方には、CSP基板W表面に粘着テープを貼着するテープ貼着部21が設けられている。テープ貼着部21は、繰り出しリール38にロール状に巻きつけられたテープ体ロール31から粘着テープ39を剥がしてCSP基板Wの表面に貼着するように構成されている。テープ体ロール31から繰り出されるテープ体32は、テープ状の剥離紙32bに粘着テープ原反32aの粘着面を貼り合せて形成されている(図3参照)。粘着テープ原反32aには、繰り出し方向に等間隔でプリカットが施されており、このプリカットにより、粘着テープ39が形成される。
【0020】
図3を参照して、本実施の形態に係るテープ貼着装置について説明する。図3は、本実施の形態に係るテープ貼着装置の平面模式図である。
【0021】
図3に示すように、テープ貼着部21は、テープ体ロール31がセットされるテープ体セット部(テープ体セット手段)3と、テープ体32の剥離紙(剥離テープ)32bを巻き取って回収する剥離紙回収部(剥離テープ回収手段)4とを備える。テープ体セット部3と剥離紙回収部4との間には、第一、第二の従動ローラー33、34、剥離プレート(テープ剥離手段)23、第一、第二の送りローラー36、37によってテープ体32の搬送経路が形成されている。
【0022】
テープ体セット部3は、繰り出しリール38の係合孔38aに挿通される略円筒状に形成され、筺体10の壁部に回転可能に支持されている。また、テープ体セット部3には、外周面から突出するキーが形成されている。テープ体セット部3は、このキーに繰り出しリール38のキー溝が係合されることにより、テープ体ロール31と一体的に回転される。
【0023】
テープ体セット部3には、不図示の制動機構により制動力が付与されている。制動機構は、テープ体セット部3に制動力を付与することにより、テープ体ロール31から繰り出されるテープ体32にバックテンションを作用させている。このバックテンションは、テープ体32の搬送中においては、テープ体ロール31からのテープ体32の繰り出しを許容する程度に弱められ、テープ体32の搬送停止中においては、テープ体ロール31からのテープ体32の繰り出しを禁止する程度に強められる。
【0024】
第一、第二の従動ローラー33、34は、搬送経路においてテープ体セット部3の下流に位置し、筺体10の壁部に回転可能に支持されている。また、第一、第二の従動ローラー33、34は、テープ体32の搬送経路を挟んで対向して配置され、テープ体ロール31から繰り出されたテープ体32を両面から挟持する。第一の従動ローラー33は、粘着テープ原反32aの粘着面の反対側の外面に転接され、第二の従動ローラー34は、剥離紙32bの被貼着面の反対側の外面に転接される。
【0025】
また、第一、第二の従動ローラー33、34には、不図示の制動機構により制動力が付与されている。制動機構は、第一、第二の従動ローラー33、34に制動力を付与することにより、テープ体ロール31から繰り出されるテープ体32にバックテンションを作用させている。このバックテンションは、テープ体32の搬送中においては、テープ体32の送り出しを許容する程度に弱められ、テープ体32の搬送停止中においては、テープ体32の送り出しを禁止する程度に強められる。
【0026】
剥離プレート23は、搬送経路において第一、第二の従動ローラー33、34の下流に位置し、テープ体32に当接する先端部23aを有している。剥離プレート23の先端部23aは鋭角に形成され、テープ体32の剥離紙32bに当接してテープ体32を剥離紙32b側に折り返している。この剥離プレート23によるテープ体32の折り返しにより、剥離紙32bから粘着テープ39が剥がされる。また、剥離プレート23によるテープ体32の折り返しにより、テープ体32に強いテンションが付与される。剥離プレート23の近傍には、テープ体32の搬送経路を挟んで貼着手段40が設けられている。
【0027】
貼着手段40は、搬送経路において第一、第二の従動ローラー33、34の下流に位置し、剥離プレート23で剥離された粘着テープ39をCSP基板Wの上面に貼着するように構成されている。貼着手段40は、剥離プレート23で剥離された粘着テープ39を保持するテープ保持部41と、CSP基板W表面に載せられた粘着テープ39を押圧して貼着する第一、第二の押圧ローラー24、25とを備える。
【0028】
テープ保持部41は、不図示の吸引手段を有し、剥離プレート23によって剥離紙32bから剥離された粘着テープ39の非粘着面を吸着保持する。テープ保持部41に保持された粘着テープ39は、CSP基板Wの前端部分に貼着され、保持テーブル11の前方への送りに伴ってCSP基板Wの表面に載せられる。
【0029】
第一、第二の押圧ローラー24、25は、保持テーブル11の上方に位置し、筺体10の壁部に回転可能に支持されている。第一の押圧ローラー24は、貼着動作時に、外周面がCSP基板Wの突出面111a〜113aに接触する高さに位置調整されている。第一の押圧ローラー24の材質としては、粘着テープ39と凸部111〜113との間の空気を押し出すことができ、かつCSP基板W表面を傷つけないものであれば特に限定されないが、例えば、ショア硬度A50〜70のゴム材などを用いることが好ましい。
【0030】
第二の押圧ローラー25は、外周面がCSP基板Wの平板部110の上面110aに接触する高さに位置調整されている。第二の押圧ローラー25の材質としては、CSP基板Wの凹凸面に沿って変形可能であり、かつ凸部111〜113と粘着テープ39との間に空気が入らないように貼着できるものであれば特に限定されないが、例えば、ショア硬度A15〜25のスポンジ部材などを用いることが好ましい。
【0031】
本実施の形態に係るテープ貼着装置1においては、第一の押圧ローラー24は、第二の押圧ローラー25よりも硬度が高い材料で構成する。この構成により、第一の押圧ローラー24は、変形せずに粘着テープ39を凸部111〜113の突出面111a〜113aに押し当てるので、凸部111〜113と粘着テープ39との間の空気を押し出すことができる。また、第二の押圧ローラー25は、CSP基板Wの凹凸面に沿って変形して粘着テープ39をCSP基板Wの平板部110の上面110aに押し当てるので、空気が入ることを防止できる。
【0032】
第一、第二の送りローラー36、37は、搬送経路において剥離プレート23の下流に位置し、テープ貼着装置1の壁部に回転可能に支持されている。また、第一、第二の送りローラー36、37は、テープ体32の搬送経路を挟んで対向して配置され、粘着テープ39が剥がされたテープ体32を両面から挟持する。第一の送りローラー36は、粘着テープ39の粘着面の反対側の外面に転接され、第二の送りローラー37は、剥離紙32bの被貼着面の反対側の外面に転接される。
【0033】
第一、第二の送りローラー36、37には、不図示の回転駆動機構が接続されている。回転駆動機構は、第一の送りローラー36を図示時計周りに回転させると共に、第二の送りローラー37を図示反時計周りに回転させる。この第一、第二の送りローラー36、37の回転駆動により、テープ体32が剥離紙回収部4に向けて送り出される。
【0034】
剥離紙回収部4は、略円筒状に形成され、テープ貼着装置1の壁部に回転可能に支持されている。また、剥離紙回収部4には、テープ体32の繰り出し方向の前端が取り付けられた巻き取りリール8が装着されている。巻き取りリール8は、回転中心部分を軸方向に貫通する係合孔8aが形成され、係合孔8aには剥離紙回収部4に設けられたキーに係合するキー溝が形成されている。この構成により、巻き取りリール8は、剥離紙回収部4と一体的に回転される。
【0035】
また、剥離紙回収部4には、不図示の回転駆動機構が接続されている。剥離紙回収部4は、回転駆動機構によって回転駆動されることにより、巻き取りリール8を介して、粘着テープ39が剥がされたテープ体32を巻き取って回収する。
【0036】
保持テーブル11は、テープ体32の搬送経路の下方に配置され、保持テーブル移動機構15によって貼着手段40から後方側に外れる後方位置と、貼着手段40から前方側に外れる前方位置との間で移動される。
【0037】
保持テーブル移動機構15の両端部には、保持テーブル移動機構15の高さを調整するシリンダ51、52が設けられている。シリンダ51、52は、CSP基板Wと第一、第二の押圧ローラー24、25の外周面とが接触する上昇位置と、CSP基板Wと第一、第二の押圧ローラー24、25とが離間する下降位置との間で保持テーブル11の高さを調整する。このように、保持テーブル11は、保持テーブル移動機構15及びシリンダ51、52によって前方位置、後方位置、上昇位置及び下降位置に移動される。そして、保持テーブル11がCSP基板Wを吸着保持した状態で、上昇位置の高さにおいて、後方位置から前方位置に移動されることで、第一、第二の押圧ローラー24、25によってCSP基板Wに粘着テープ39が貼着される。
【0038】
次に、図4(a)〜(d)を参照して、第一、第二の押圧ローラー24、25によるCSP基板Wに対する粘着テープ39の貼着動作について詳細に説明する。図4(a)〜(d)は、本実施の形態に係るテープ貼着装置におけるCSP基板への粘着テープの貼着動作の説明図である。
【0039】
図4(a)示すように、保持テーブル11がCSP基板Wを保持した状態で、下降位置に高さを調整され、後方位置に位置されている。次に、図4(b)に示すように、保持テーブル11が矢印D2に示す上方に移動され、CSP基板Wと第一、第二の押圧ローラー24、25の外周面とが接触する上昇位置に高さ調整される。
【0040】
次に、図4(c)に示すように、保持テーブル11が矢印D3に示す前方に向けて移動される。このとき、剥離プレート23で剥離紙32bから剥離された粘着テープ39は、吹き付け部18からの空気によって上方へ吹き上げられ、テープ保持部41に吸着される。テープ保持部41に吸着された粘着テープ39は、CSP基板Wの前端部分に貼着される。テープ保持部41は、CSP基板Wの前端部分に粘着テープ39を貼着すると、吸着を解除する。これにより、CSP基板Wの前端部分に貼着された粘着テープ39は、保持テーブル11の前方移動に伴ってCSP基板Wの上面に載せられる。次に、図4(d)に示すように、CSP基板W上に載せられた粘着テープ39は、第一、第二の押圧ローラー24、25によって押圧されてCSP基板Wに貼着される。
【0041】
次に、図5(a)〜(c)を参照して本実施の形態に係るテープ貼着装置における粘着テープの貼着について説明する。図5(a)は、CSP基板W上に粘着テープ39が載せられた状態を示す図である。図5(a)に示すように、CSP基板W上に載せられた粘着テープ39は、撓みが生じて凸部111の突出面111aと粘着テープ39の粘着面との間に空気が入った状態となっている。
【0042】
図5(b)は、第一の押圧ローラー24による粘着テープ39の貼着状態を示す図である。図5(b)に示すように、粘着テープ39は、第一の押圧ローラー24によって押付けられながら貼着され、凸部111と粘着テープ39の粘着面との隙間の空気が押し出される。ここで、第一の押圧ローラー24は、隙間に入った空気を効果的に押し出して、凸部の突出面111aと粘着テープ39の粘着面と密着させることができる。
【0043】
図5(c)は、第二の押圧ローラー25による粘着テープ39の貼着状態を示す図である。図5(c)に示すように、粘着テープ39は、第二の押圧ローラー25によって凸部111の突出面111aに押し付けられながら、第二の押圧ローラー25によって平板部110に押し付けられる。ここで、第二の押圧ローラー25は、CSP基板Wの凹凸面に沿って変形するため、凸部111の突出面111aと粘着テープ39の粘着面とを密着させて、凸部111のエッジ部120に空気が入ることを防止できる。
【0044】
次に、テープ貼着装置による全体動作について説明する。剥離紙回収部4が回転駆動機構により回転駆動されると同時に、第一、第二の送りローラー36、37が回転駆動機構により回転駆動される。剥離紙回収部4および第一、第二の送りローラー36、37の回転により、テープ体セット部3に支持されたテープ体ロール31からテープ体32が繰り出され、テープ体32の搬送が開始される。このとき、テープ体セット部3および第一、第二の従動ローラー33、34には、軽い制動力が付与されており、テープ体32に弱いバックテンションが作用することでテープ体32の搬送中の弛みが抑制される。テープ体ロール31から繰り出されたテープ体32は、第一、第二の従動ローラー33、34の間を通り、剥離プレート23に向けて搬送される。
【0045】
第一、第二の従動ローラー33、34の間を通過したテープ体32は、剥離プレート23において鋭角に折り返され、第一、第二の送りローラー33、34に向けて搬送される。このとき、剥離プレート23による折り返しにより、剥離紙32bから粘着テープ39が剥がされる。粘着テープ39が剥がされたテープ体32は、第一、第二の送りローラー36、37の間を通り、剥離紙回収部4に向けて搬送される。剥離紙回収部4に搬送されたテープ体32は、巻き取りリール8に巻き取られて回収される。
【0046】
一方、剥離紙32bから剥された粘着テープ39は、保持テーブル11に設けられた空気吹き付け部18から空気が吹き付けられて浮き上がり、テープ保持部41によって吸着保持される。そして、CSP基板Wの前端部分に粘着テープ39が貼着され、保持テーブル11が前方方向に向けて移動することにより、繰り出しリール38から繰り出された粘着テープ39がCSP基板W上に載せられる。
【0047】
CSP基板Wに載せられた粘着テープ39は、上述したように、第一、第二の押圧ローラー24、25によって凸部111〜113の突出面111a〜113aに密着した状態で貼着される。CSP基板Wに対する粘着テープ39の貼着が完了すると、剥離紙回収部4および第一、第二の送りローラー36、37の回転が停止される。
【0048】
このとき、テープ体セット部3および第一、第二の従動ローラー33、34には、強い制動力が付与され、テープ体32に強いバックテンションが作用する。このテープ体32に作用するバックテンションにより、テープ体32の搬送停止時にテープ体ロール31からテープ体32が勢いよく繰り出されるのが防止され、搬送経路内でのジャミングの発生が抑制される。
【0049】
その後、保持テーブル11が貼着位置から前方位置において、開閉扉12から粘着テープ39を貼着したCSP基板Wが取り出される。そして、新たにCSP基板Wが保持テーブル11上に載置され、保持テーブル11が貼着位置に移動されて同様な貼着動作が繰り返される。
【0050】
次に、本発明の効果について説明する。以下の説明においては、テープ貼着装置を用いて粘着テープを貼着したCSP基板Wを第二の押圧ローラーのみを用いてCSP基板W表面に粘着テープを貼着した比較例と比較して説明する。
【0051】
まず、図6を参照して分割工程の概略について説明する。図6は、分割工程で用いられる保持冶具の斜視図である。分割工程においては、粘着テープ39が貼着されたCSP基板Wを保持冶具60で保持し、破線71に示す分割予定ラインに沿ってそれぞれの凸部111〜113毎にCSP基板Wを分割する。
【0052】
保持冶具60には、CSP基板Wの平板部110及び凸部111〜113に対応した段状の凹部61〜63が設けられている。各凹部61〜63の中央部には、それぞれ吸引口61a〜63aが設けられており、CSP基板Wの凸部111〜113を吸引保持するように構成されている。
【0053】
図7は、比較例に係る第二の押圧ローラーによる粘着テープの貼着状態を示す説明図である。比較例に係るテープ貼着装置は、本実施の形態に係るテープ貼着装置1と第二の押圧ローラー25のみで貼着する点についてのみ相違する。また、比較例においては、上記実施の形態と同一の名称については同一の符号を付している。
【0054】
図7に示すように、比較例においては、第二の押圧ローラー25だけで粘着テープ39をCSP基板Wに貼着される。上述したように、第二の押圧ローラー25は、第一の押圧ローラー24より柔らかい材料で構成されているので、CSP基板Wの凹凸面に沿って変形して凸部111の突出面111a及び平板部110の上面110aに載せられた粘着テープ39を押圧する。このとき、第二の押圧ローラー25は、CSP基板Wの凹凸面に粘着テープ39を一度に貼着することから、エッジ部120から空気を押し出す空間が無くなり、CSP基板Wの凹凸面から空気を効果的に押し出すことができない。特に、第二の押圧ローラー25は、凸部111のエッジ部120に対応する位置において押圧が弱くなり、エッジ部120と粘着テープ39との間に空気を残してしまう。
【0055】
図8は、比較例に係るCSP基板を保持冶具に保持した状態を示す説明図である。図8に示すように、保持冶具60は、凹部61の内壁がCSP基板Wの凸部111の外周と概略一致する幅寸法を有する。このため、保持冶具60に保持されたCSP基板Wは、凸部111の周囲の空気が長孔122から押し出される。しかしながら、比較例においては、図7に示したように、エッジ部120と粘着テープ39との隙間に残った空気が押し出されることがない。このため、保持冶具60に吸着したCSP基板Wをブレード130で分割加工する際に、エッジ部120と粘着テープ39との隙間に加工屑が入り込むおそれがある。
【0056】
図9は、本実施の形態に係るCSP基板を保持冶具60に保持した状態を示す説明図である。上述したように、本実施の形態に係るテープ貼着装置1で粘着テープ39を貼着したCSP基板Wは、凸部111〜113のエッジ部120と粘着テープ39との隙間に空気が残らない。このため、保持冶具60に吸着したCSP基板Wをブレード130で分割する際にエッジ部120と粘着テープ39との間に加工屑が入り込むことが防止される。
【0057】
以上説明したように、本実施の形態に係るテープ貼着装置によれば、第一の押圧ローラーが第二の押圧ローラーに対して硬度が高いため、CSP基板の凸部と粘着テープとの隙間の空気が押し出される。また、第二の押圧ローラーが第一の押圧ローラーよりも硬度が低いため、CSP基板の凹凸面に沿って変形しながらCSP基板の凹部に粘着テープが貼着される。したがって、第一、第二の押圧ローラーにより、CSP基板の凸部と粘着テープとの隙間に空気が入ることなく、CSP基板に粘着テープを貼着することができる。
【0058】
なお、上記実施の形態においては、テープ体セット部は、繰り出しリールを介してテープ体ロールをセットする構成としたが、この構成に限定されるものではない。テープ体セット部は、テープ体ロールを繰り出し可能に支持する構成であればよく、テープ体ロールを直に支持する構成としてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態においては、保持テーブル移動機構としてボールネジを使用する構成について説明したが、保持テーブル移動機構としては、CSP基板を保持した保持テーブル上に粘着テープを貼着できるものであれば特に限定されず、各種移動機構を使用可能である。
【0060】
また、上記実施の形態においては、剥離紙回収部は、巻き取りリールを介してテープ体を巻き取る構成としたが、この構成に限定されるものではない。剥離紙回収部は、テープ体を巻き取り可能な構成であればよく、テープ体が直に巻き付けられる構成としてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態においては、テープ剥離部を鋭角な先端部を有する剥離プレートで構成したが、この構成に限定されるものではない。テープ剥離部は、剥離紙から粘着テープが剥がれる程度に、テープ体を曲げる構成であれば、どのような形状であってもよい。
【0062】
また、上記実施の形態においては、貼着部として粘着テープを押圧する押圧する押圧部材として、第一、第二の押圧ローラーを用いる構成したが、この構成に限定されるものではない。粘着テープを押圧する押圧部材としては、ワークと粘着テープとを貼着するできるものであれば、ローラー部材以外の押圧部材を用いてもよい。
【0063】
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であってこの実施の形態に制限されるものではない。本発明の範囲は、上記した実施の形態のみの説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、ワークの突出面とテープとの間への空気が入らないようにテープを貼着できるという効果を有し、特に、ダイシング加工前にCSP基板など凹凸面を有するワークに粘着テープを貼着するテープ貼着装置に有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 テープ貼着装置
3 テープ体セット部(テープ体セット手段)
4 剥離紙回収部(剥離テープ回収手段)
10 筺体
11 保持テーブル
15 保持テーブル移動機構
21 テープ貼着部
23 剥離プレート(テープ剥離手段)
24 第一の押圧ローラー
25 第二の押圧ローラー
32 テープ体
32a 粘着テープ原反
32b 剥離紙(剥離テープ)
39 粘着テープ
40 貼着手段
60 保持冶具
110 平板部(凹部)
110a 平板部の上面
111〜113 凸部
111a〜113a 突出面
120 エッジ部
W CSP基板(ワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離テープの被貼着面に粘着テープの粘着面が貼着された形態のテープ体がロール状に巻きつけられたテープ体ロールをセットするテープ体セット手段と、
前記テープ体の前記剥離テープを巻き取って回収する剥離テープ回収手段と、
前記テープ体セット手段と前記剥離テープ回収手段との間に配設され、前記テープ体の剥離テープ側を押圧して前記テープ体を前記剥離テープ側に屈曲させることによって前記粘着テープを前記剥離テープから剥離させて送り出すテープ剥離手段と、
前記テープ剥離手段によって送り出された前記粘着テープの前記粘着面をワークに対向させて前記粘着テープをワークに向けて押圧することによって前記粘着テープをワークに貼着する貼着手段と、を含むテープ貼着装置であって、
ワークは、凹凸面を有し、
前記貼着手段は、前記粘着テープをワークの前記凹凸面の凸部に貼着する第一の押圧ローラーと、
前記第一の押圧ローラーによる前記粘着テープの前記凸部への貼着の後に、前記粘着テープをワークの前記凹凸面の凹部に貼着する第二の押圧ローラーと、を有し、
前記第一の押圧ローラーの硬度は前記第二の押圧ローラーの硬度よりも高いことを特徴とするテープ貼着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−243886(P2011−243886A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116826(P2010−116826)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)
【Fターム(参考)】