説明

ディジタル信号切り替え装置及びディジタル信号切り替え方法

【課題】 認証処理を行うための暗号鍵をあらかじめ記憶しておくことなく、ディジタル信号を出力する機器を切り替えた場合に、切り替え前の機器からの映像及び切り替え後の機器からの映像を途切れることなしに連続的に表示することが可能な「ディジタル信号切り替え装置及びディジタル信号切り替え方法」を提供する。
【解決手段】 操作部17によって新たに機器が選択された場合に、認証処理部12によって認証処理が終了して暗号鍵を取得してから、選択された機器からのディジタル信号を暗号化解除部13に入力させることで、認証処理中には、切り替え前の機器からの映像が表示され、認証処理後に、切り替え後の機器からの映像が表示されるので、認証処理による暗号鍵を記憶しておくことなく、映像を表示部15に連続的に表示させることができ、ユーザは、ストレスのない視聴を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機器から出力されるディジタル信号を切り替えるディジタル信号切り替え装置及びディジタル信号切り替え方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
映像及び音声を含むディジタル信号を圧縮して放送するディジタル放送を受信するためのディジタル放送チューナ、ディジタル信号を圧縮して磁気テープに記録するディジタルVTR(Video Tape Recorder)、ディジタル信号を圧縮して記録した光ディスクや光磁気ディスクを再生するディスク再生装置など、ディジタル信号を記録/再生する機器がある。また、これらの機器に加えて、ディジタル信号を入力して画面上に画像を表示し、スピーカより音声を出力するモニタ装置などがある。
【0003】
最近では、これらのディジタル機器をIEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394)やMOST(Media Oriented System Transport)のようなディジタル信号バスにて接続し、バスを介してディジタル機器間で映像や音声をやり取りできるようにする試みがなされている。ところが、このようなディジタル信号は、ディジタル信号バスを用いて送受信すると、品質を劣化させることなく送受信することができる。受信したディジタル信号は、その品質を劣化させることなく多量にコピーすることができる。そのため、ディジタル信号を不正にコピーしようとする行為から守るための方法が必要となる。
【0004】
不正コピーを防止するために、ディジタル信号の送信側の機器と受信側の機器との間で認証処理を行い、認証が成立した場合には、送信側の機器でディジタル信号を暗号化したときの暗号鍵を受信側の機器に送る暗号化技術が知られている。ここで、受信側の機器では、送信側の機器から取得した暗号鍵を用いて、送信側の機器から入力したディジタル信号の暗号化を解除する。
【0005】
また、ディジタル信号バスで接続された複数の機器の中から所望の機器を選択して、選択した所望の機器から暗号化されたディジタル信号を受信し、その暗号化を解除して映像を表示するモニタ装置などのディジタル信号切り替え装置が知られている。しかしながら、従来のディジタル信号切り替え装置では、所望の機器を選択した場合に、所望の機器を選択する前にディジタル信号を受信していた機器による映像の表示を終了し、その後で選択した所望の機器の認証処理を行って暗号鍵を取得するので、認証処理を行っている間は映像の表示が途切れてしまうという問題があった。
【0006】
そのため、ディジタル信号の送信側の機器と受信側のディジタル信号切り替え装置との間で、それぞれの機器の電源投入時や、それぞれの機器をディジタル信号バスに接続したときにあらかじめ認証処理を行い、認証処理によって得られた暗号鍵を記憶しておく技術が知られている(例えば特許文献1など)。
【特許文献1】特開2000−48480号公報
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ディジタル信号の暗号化を解除するための暗号鍵を記憶する記憶装置が必要になるという問題があった。また、ディジタル信号切り替え装置に多数の機器が接続されたときに、暗号鍵を記憶するために大容量の記憶装置が必要になるという問題があった。また、暗号鍵が時間の経過とともに変化するような場合や暗号鍵が使用後に破棄されるような場合には、暗号鍵を記憶していても、次にディジタル信号の暗号化を解除する際には、記憶した暗号鍵を使用できなくなってしまうという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、認証処理を行うための暗号鍵をあらかじめ記憶しておくことなく、ディジタル信号を受信する機器の選択を切り替えた場合に、切り替え前の機器からの映像及び切り替え後の機器からの映像を途切れることなしに連続的に表示できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明では、操作部によって新たに機器が選択された場合に、認証処理部によって新たに選択された機器との認証処理が終了してディジタル信号の暗号化を解除する暗号鍵を取得してから、新たに選択された機器からのディジタル信号を入力部にて受信し、暗号化解除部に入力させるようにしている。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した本発明によれば、切り替え後の機器の認証処理を行っているときには、切り替え前の機器からの映像が続けて表示され、認証処理が終了した後に、切り替え後の機器からの映像に切り替えられて表示される。従って、事前の認証処理によって暗号鍵をあらかじめ取得して記憶しておくことなく、切り替え前の機器からの映像及び切り替え後の機器からの映像を表示部に連続的に表示させることができる。そのため、ユーザは、ストレスのない視聴を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明による第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態によるディジタル信号切り替え装置3を接続したディジタル信号伝送システムの構成例を示すブロック図である。また、図2は、本実施形態によるディジタル信号切り替え装置3の構成例を示すブロック図である。
【0012】
図1において、1はDVD(Digital Versatile Disc)再生装置であり、図示しないDVDを再生し、ディジタルビデオ信号やディジタルオーディオ信号などのディジタル信号を出力する。2はディジタル放送受信装置であり、図示しないディジタル放送受信アンテナによってディジタル放送を受信し、ディジタルビデオ信号やディジタルオーディオ信号などのディジタル信号を出力する。ここで、ディジタル信号は非圧縮の信号である。
【0013】
本実施形態のディジタル信号切り替え装置3は、DVD再生装置1やディジタル放送受信装置2から出力されたディジタル信号の何れか一方を選択して受信する。例えば、ディジタル信号切り替え装置3はモニタ装置であり、受信したディジタル信号をアナログ信号に変換してビデオ信号及びオーディオ信号を出力する。また、ディジタル信号切り替え装置3は、DVD再生装置1及びディジタル放送受信装置2を制御することができ、DVD再生装置1の再生や停止、ディジタル放送受信装置2の受信開始やチャンネルの切り替えなどの操作が可能である。
【0014】
また、D1はDVD再生装置1及びディジタル放送受信装置2を結ぶディジタル信号バスであり、D2はDVD再生装置1及びディジタル信号切り替え装置3を結ぶディジタル信号バスである。これらのディジタル信号バスD1,D2は、IEEE1394やMOSTなどの規格によるものであり、DVD再生装置1やディジタル放送受信装置2から出力されるビデオ信号やオーディオ信号をディジタル信号のまま伝送することができる。
【0015】
ここで、ディジタル放送受信装置2から出力されるディジタル信号は、ディジタル信号バスD1、DVD再生装置1、ディジタル信号バスD2を介してディジタル信号切り替え装置3に出力される。逆に、ディジタル信号切り替え装置3から出力される制御信号は、ディジタル信号バスD2、DVD再生装置1、ディジタル信号バスD1を介してディジタル放送受信装置2に出力される。
【0016】
また、各機器間を伝送されるディジタル信号は、DTCP(Digital Transmission Content Protection)などの方式によって著作権を保護される。そのため、DVD再生装置1及びディジタル放送受信装置2では、暗号鍵によってディジタル信号を暗号化して出力する。また、DVD再生装置1及びディジタル放送受信装置2では、ディジタル信号切り替え装置3からの認証処理要求に基づいて、ディジタル信号切り替え装置3が不正な機器であるか否かを判断する。そして、不正な機器でないと判断した場合に、DVD再生装置1及びディジタル放送受信装置2は、ディジタル信号を暗号化する際に使用した暗号鍵をディジタル信号切り替え装置3に出力する。
【0017】
ディジタル信号切り替え装置3は、入力部11、認証処理部12、暗号化解除部13、D/A変換部14、表示部15、音声出力部16、操作部17、制御部18を備えて構成される。入力部11は、DVD再生装置1及びディジタル放送受信装置2の何れか一方から送信される暗号化されたディジタル信号を受信する。しかしながら、入力部11では、受信したディジタル信号の暗号化を解除するための暗号鍵を取得するまで、ディジタル信号の暗号化を解除できないので、ディジタル信号による映像や音声を出力することができない。
【0018】
認証処理部12では、入力部11を介して認証処理要求信号をDVD再生装置1やディジタル放送受信装置2に出力する。ここで、認証処理要求信号には、ディジタル信号切り替え装置3を識別するための識別情報が含まれている。DVD再生装置1やディジタル放送受信装置2では、認証処理要求信号を入力すると、識別情報によってディジタル信号切り替え装置3が正当な機器か否かを判断し、正当であると判断したときには、暗号鍵をディジタル信号切り替え装置3に送信する。認証処理部12では、DVD再生装置1やディジタル放送受信装置2から送信されて入力部11にて受信した暗号鍵を取得する。
【0019】
暗号化解除部13は、入力部11によって受信したディジタル信号を入力し、認証処理部12にて取得した暗号鍵によってディジタル信号の暗号化を解除して、暗号化を解除したディジタル信号を出力する。
【0020】
D/A変換部14では、暗号化解除部13によって暗号化を解除されたディジタル信号を入力する。また、D/A変換部14は、入力したディジタル信号をアナログ信号に変換して、ビデオ信号及びオーディオ信号を生成し、ビデオ信号を表示部15に、オーディオ信号を音声出力部16にそれぞれ出力する。
【0021】
表示部15は、D/A変換部14から入力したビデオ信号に基づいて映像を表示する。また、音声出力部16は、D/A変換部14から入力したオーディオ信号に基づいて音声を出力する。また、操作部17は、ディジタル信号を受信する機器をユーザが選択する操作などを行うためのものである。
【0022】
制御部18は、前述した各構成要素を制御する。具体的には、制御部18は、操作部17の操作に応じて、ディジタル信号を受信する機器を選択する。すなわち、操作部17にてDVD再生装置1又はディジタル放送受信装置2の何れかが選択されると、制御部18は、入力部11を介して、DVD再生装置1又はディジタル放送受信装置2を選択する機器選択信号を出力する。また、制御部18は、入力部11を制御して、DVD再生装置1やディジタル放送受信装置2から受信するディジタル信号のための帯域及びチャンネルをディジタル信号バスD2上に確保する。DVD再生装置1又はディジタル放送受信装置2では、機器選択信号に応答して、ディジタル信号バスD1,D2を介してディジタル信号選択装置3にディジタル信号を送信する。
【0023】
また、制御部18は、操作部17の操作に応じてDVD再生装置1の再生操作を行ったり、ディジタル放送受信装置2の放送の受信を開始したり、チャンネルを変更したりする。また、制御部18は、入力部11及び認証処理部12を制御して、操作部17によって選択された機器に対して認証要求信号を出力させる。認証処理部12が入力部11を介して暗号鍵を取得すると、制御部18は、入力部11を制御して、選択された機器からのディジタル信号を受信させる。また、選択された機器からのディジタル信号が暗号化解除部13に入力されると、制御部18は、認証処理部12が取得した暗号鍵を暗号化解除部13に出力する。暗号化解除部13では、入力した暗号鍵を使用してディジタル信号の暗号化を解除し、得られたディジタル信号をD/A変換部14に出力する。
【0024】
次に、第1の実施形態によるディジタル信号切り替え装置3の動作及びディジタル信号切り替え方法を説明する。図3は、第1の実施形態によるディジタル信号切り替え装置3の動作及びディジタル信号切り替え方法の一例を示すフローチャートである。ここで、ディジタル信号切り替え装置3は、ある機器(例えばDVD再生装置1など)からディジタル信号を既に受信し、その映像を表示部15に表示しているものとする。
【0025】
まず、制御部18は、操作部17によって他の機器(例えばディジタル放送受信装置2など)が選択されたか否かを調べる(ステップS1)。操作部17によって他の機器が選択されないと制御部18にて判断した場合には(ステップS1にてNO)、ステップS1の処理を繰り返す。
【0026】
一方、操作部17によって他の機器が選択されたと制御部18にて判断した場合には(ステップS1にてYES)、制御部18は、入力部11を介して機器選択信号を出力すると共に、入力部11を制御して、ディジタル放送受信装置2からのディジタル信号を受信するための帯域及びチャンネルをディジタル信号バスD1,D2上に確保する(ステップS2)。
【0027】
そして、制御部18は、入力部11を介して、ディジタル放送受信装置2を制御し、ディジタル放送受信装置2からディジタル信号を送信させる(ステップS3)。なお、第1の実施形態では、ディジタル信号切り替え装置3は、他の機器が選択されたときに、その機器からのディジタル信号を受信するための帯域及びチャンネルを確保しているが、これに限定されない。例えば、図4に示すように、他のディジタル信号切り替え装置4がディジタル信号バスD3,D4やディジタル信号切り替え装置3を介してDVD再生装置1やディジタル放送受信装置2に接続されている場合に、選択された他の機器が他のディジタル信号切り替え装置4にディジタル信号を既に出力しているような場合には、これらの処理を行う必要がない。
【0028】
また、制御部18は、認証処理部12を制御してディジタル放送受信装置2との間で認証処理を行う(ステップS4)。認証処理部12では、入力部11を介して、認証処理要求信号をディジタル放送受信装置2に出力する。ディジタル放送受信装置2では、認証処理要求信号を入力すると、その認証処理要求信号中に含まれているディジタル信号切り替え装置3の識別情報によってディジタル信号切り替え装置3が正当であるか否かを判断し、正当であると判断したときには、暗号鍵をディジタル信号切り替え装置3に出力する。
【0029】
次に、制御部18は、認証処理部12が暗号鍵を取得したか否かを調べる(ステップS5)。認証処理部12が暗号鍵を取得しなかったと制御部18にて判断した場合には(ステップS5にてNO)、ステップS11にジャンプする。
【0030】
一方、認証処理部12が暗号鍵を取得したと制御部18にて判断した場合には(ステップS5にてYES)、制御部18は、入力部11を制御して、DVD再生装置1からのディジタル信号の受信を停止する(ステップS6)。また、制御部18は、DVD再生装置1を制御して、ディジタル信号の送信を停止させる(ステップS7)。そして、制御部18は、入力部11を制御して、ディジタル放送受信装置2からのディジタル信号の受信を開始する(ステップS8)。
【0031】
なお、第1の実施形態では、ディジタル信号切り替え装置3は、選択された機器(ここではディジタル放送受信装置2)からのディジタル信号を受信した後に、切り替え前にディジタル信号を受信していた機器(ここではDVD再生装置1)を制御して、ディジタル信号の送信を停止させるようにしているが、これに限定されない。例えば、図4に示すように、ディジタル信号切り替え装置3がDVD再生装置1からのディジタル信号の受信を停止した場合でも、他のディジタル信号切り替え装置4がDVD再生装置1からのディジタル信号の受信を継続しているときには、これらの処理を行う必要がない。
【0032】
ディジタル放送受信装置2から受信したディジタル信号は、入力部11から出力され、暗号化解除部13に入力される。制御部18は、認証処理部12にて取得した暗号鍵を暗号化解除部13に送る。暗号化解除部13では、制御部18より入力した暗号鍵を用いて、ディジタル信号の暗号化を解除する(ステップS9)。
【0033】
暗号化解除部13から出力されたディジタル信号は、D/A変換部14に入力される。D/A変換部14は、入力したディジタル信号をアナログ信号に変換してビデオ信号を表示部15に出力し、オーディオ信号を音声出力部16に出力する。表示部15では、切り替え後の機器(ここではディジタル放送受信機2)から受信したディジタル信号によるビデオ信号をD/A変換部14より入力し、映像を表示する(ステップS10)。ここで、ステップS6からステップS10までの処理は、短時間で行われるため、表示部15に表示される映像は殆ど途切れることがない。
【0034】
制御部18では、操作部17によって表示を終了する操作(例えば、ディジタル信号切り替え装置3の電源をオフにする操作など)が行われたか否かを調べる(ステップS11)。操作部17によって表示を終了する操作が行われないと制御部18にて判断した場合には(ステップS11にてNO)、ステップS1の処理に戻る。一方、操作部17によって表示を終了する操作が行われたと制御部18にて判断した場合には(ステップS11にてYES)、処理を終了する。
【0035】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態によれば、操作部17によって新たに機器が選択された場合に、認証処理部12によって新たに選択された機器との認証処理が終了してディジタル信号の暗号化を解除する暗号鍵を取得してから、切り替え前の機器からのディジタル信号の受信を停止して、新たに選択された機器からのディジタル信号を入力部11にて受信し、暗号化解除部13に入力させるようにしているので、認証処理を行っているときには、切り替え前の機器からの映像が表示部15に表示され、認証処理が終了した後に、切り替え後の機器からの映像が表示部15に表示される。従って、事前の認証処理によってあらかじめ暗号鍵を取得して記憶しておくことなく、切り替え前の機器からの映像及び切り替え後の機器からの映像を表示部15に連続的に表示させることができる。そのため、ユーザは、ストレスのない視聴を行うことができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、新たに選択された機器への切り替えが失敗した場合に、切り替え前の機器からの映像の送信を停止しないので、映像を表示したままとすることができる。従って、切り替えが失敗した場合に、元の機器(切り替え前の機器)を再度選択する処理を行わなくて良い。ここで、新たに選択された機器への切り替えが失敗する場合とは、例えば、ディジタル信号バスD1,D2上にディジタル信号を伝送するための空き領域が無い場合や、新たに選択された機器との間の認証処理が失敗した場合などである。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図5は、第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置19の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置19では、図1に示した第1の実施形態のディジタル信号切り替え装置3とは、第1の暗号化解除部13a、第2の暗号化解除部13b、第1のディジタル信号伸張部20a、第2のディジタル信号伸張部20b、出力切り替え部21を備える点で異なる。また、第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置19では、圧縮されたディジタル信号を受信する。
【0038】
第1の暗号化解除部13aは、何れかの機器から受信したディジタル信号の暗号化を解除する。また、第1のディジタル信号伸張部20aは、第1の暗号化解除部13aで暗号化を解除されたディジタル信号を伸張する。また、第2の暗号化解除部13bは、他の機器から受信したディジタル信号の暗号化を解除する。また、第2のディジタル信号伸張部20bは、第2の暗号化解除部13bで暗号化を解除されたディジタル信号を伸張する。また、出力切り替え部21は、第1のディジタル信号伸張部20a及び第2のディジタル信号伸張部20bから伸張されたディジタル信号を入力し、何れかのディジタル信号を選択して出力する。
【0039】
出力切り替え部21が第1のディジタル信号伸張部20aから出力されたディジタル信号(例えば、切り替え前の機器から受信したディジタル信号)のみを入力している場合には、制御部18は、この信号を出力するように出力切り替え部21を制御する。一方、出力切り替え部21が第2のディジタル信号伸張部20bから出力されたディジタル信号(例えば、切り替え後の機器から受信したディジタル信号)も入力したときに、制御部18は、この信号を出力するように出力切り替え部21を制御する。
【0040】
次に、第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置19の動作及びディジタル信号切り替え方法を説明する。図6は、第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置19の動作及びディジタル信号切り替え方法の一例を示すフローチャートである。ここで、ディジタル信号切り替え装置19は、ある機器(例えばDVD再生装置1など)からディジタル信号を既に受信し、その映像を表示部15に表示しているものとする。
【0041】
具体的には、DVD再生装置1から受信したディジタル信号に基づく映像を表示部15に表示するまでに、以下の動作が行われる。まず、ディジタル信号切り替え装置19では、DVD再生装置1から送信されるディジタル信号を入力部11にて受信し、受信したディジタル信号を第1の暗号化解除部13aに出力する。第1の暗号化解除部13aでは、認証処理部12によって得られた暗号鍵を用いてディジタル信号の暗号化を解除する。暗号化を解除されたディジタル信号は、第1のディジタル信号伸張部20aに出力される。第1のディジタル信号伸張部20aでは、圧縮されたディジタル信号を伸張して出力切り替え部21に出力する。出力切り替え部21では、第1のディジタル信号伸張部20aからディジタル信号を入力しているだけなので、そのディジタル信号をD/A変換部14に出力する。D/A変換部14は、入力したディジタル信号をアナログ信号に変換してビデオ信号及びオーディオ信号を生成し、ビデオ信号を表示部15に出力し、オーディオ信号を音声出力部16に出力している。
【0042】
この状態で、制御部18は、操作部17によって他の機器(例えばディジタル放送受信装置2など)が選択されたか否かを調べる(ステップS21)。操作部17によって他の機器が選択されないと制御部18にて判断した場合には(ステップS21にてNO)、ステップS21の処理を繰り返す。
【0043】
一方、操作部17によって他の機器が選択されたと制御部18にて判断した場合には(ステップS21にてYES)、制御部18は、入力部11を介して機器選択信号を出力すると共に、入力部11を制御して、ディジタル放送受信装置2からのディジタル信号を受信するための帯域及びチャンネルをディジタル信号バスD1,D2上に確保する(ステップS22)。
【0044】
そして、制御部18は、入力部11を介して、ディジタル放送受信装置2を制御し、ディジタル放送受信装置2からディジタル信号を送信させる(ステップS23)。また、制御部18は、認証処理部12を制御してディジタル放送受信装置2との間で認証処理を行う(ステップS24)。認証処理部12では、入力部11を介して、認証処理要求信号をディジタル放送受信装置2に出力する。ディジタル放送受信装置2では、認証処理要求信号を入力すると、その認証処理要求信号中に含まれているディジタル信号切り替え装置19の識別情報によってディジタル信号切り替え装置19が正当であるか否かを判断し、正当であると判断したときには、暗号鍵をディジタル信号切り替え装置19に出力する。
【0045】
次に、制御部18は、認証処理部12が暗号鍵を取得したか否かを調べる(ステップS25)。認証処理部12が暗号鍵を取得しなかったと制御部18にて判断した場合には(ステップS25にてNO)、ステップS34にジャンプする。
【0046】
一方、認証処理部12が暗号鍵を取得したと制御部18にて判断した場合には(ステップS25にてYES)、制御部18は、入力部11を制御して、ディジタル放送受信装置2からのディジタル信号の受信を開始する(ステップS26)。
【0047】
制御部18は、ディジタル放送受信装置2から受信したディジタル信号を第2の暗号化解除部13bに出力するように入力部11を制御する。また、制御部18は、認証処理部12にて取得した暗号鍵を第2の暗号化解除部13bに送る。第2の暗号化解除部13bでは、制御部18より入力した暗号鍵を用いて、ディジタル信号の暗号化を解除する(ステップS27)。
【0048】
第2の暗号化解除部13bにて暗号化を解除されたディジタル信号は、第2のディジタル信号伸張部20bに出力される。第2のディジタル信号伸張部20bでは、圧縮されたディジタル信号を伸張して出力切り替え部21に出力する(ステップS28)。
【0049】
制御部18は、出力切り替え部21が第2のディジタル信号伸張部20bよりディジタル信号を入力したか否かを調べる(ステップS29)。出力切り替え部21が第2のディジタル信号伸張部20bよりディジタル信号を入力していないと制御部18にて判断した場合には(ステップS29にてNO)、ステップS29の処理を繰り返す。
【0050】
一方、出力切り替え部21が第2のディジタル信号伸張部20bよりディジタル信号を入力したと制御部18にて判断した場合には(ステップS29にてYES)、制御部18は、第1のディジタル信号伸張部20aより入力したディジタル信号をD/A変換部14に出力している状態から、第2のディジタル信号伸張部20bより入力したディジタル信号をD/A変換部14に出力する状態に出力切り替え部21を制御する(ステップS30)。D/A変換部14は、入力したディジタル信号をアナログ信号に変換して、ビデオ信号及びオーディオ信号を生成し、ビデオ信号を表示部15に出力し、オーディオ信号を音声出力部16に出力する。表示部15では、切り替え後の機器(ここではディジタル放送受信機2)から受信したディジタル信号に基づくビデオ信号をD/A変換部14より入力し、映像を表示する(ステップS31)。
【0051】
表示部15にディジタル放送受信機2からの映像が表示された後に、制御部18は、入力部11を制御して、DVD再生装置1からのディジタル信号の受信を停止する(ステップS32)。また、制御部18は、DVD再生装置1を制御して、ディジタル信号の送信を停止させる(ステップS33)。
【0052】
次に、制御部18では、操作部17によって表示を終了する操作(例えば、ディジタル信号切り替え装置19の電源をオフにする操作など)が行われたか否かを調べる(ステップS34)。操作部17によって表示を終了する操作が行われないと制御部18にて判断した場合には(ステップS34にてNO)、ステップS21の処理に戻る。一方、操作部17によって表示を終了する操作が行われたと制御部18にて判断した場合には(ステップS34にてYES)、処理を終了する。
【0053】
以上詳しく説明したように、第2の実施形態によれば、操作部17によって新たに機器が選択された場合に、第2の暗号化解除部13bにて切り替え後の機器から受信したディジタル信号の暗号化を解除し、第2のディジタル信号伸張部20bにて伸張しているときには、切り替え前の機器からの映像が表示部15に表示され、切り替え後の機器から受信したディジタル信号(暗号化を解除され、伸張されたもの)が出力切り替え部21に入力したときに、切り替え後の機器からの映像が表示部15に表示される。従って、ディジタル信号切り替え部19が圧縮されたディジタル信号を受信する場合でも、切り替え前の機器からの映像及び切り替え後の機器からの映像を表示部15に連続的に表示させることができる。そのため、ユーザは、ストレスのない視聴を行うことができる。
【0054】
なお、上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、切り替え前の機器からの映像を表示している状態から切り替え後の機器からの映像を表示する状態に変化する際に、ユーザに通知をしていないが、これに限定されない。例えば、切り替え前の機器からの映像を表示している図7(a)の状態から、新たに選択された機器からの映像を表示する図7(c)の状態に切り替える際に、切り替え後の機器の認証処理(第2の実施形態の場合には更に伸張処理)を行っている間には、図7(b)に示すように、「ソース切り替え中です」といったメッセージを表示するようにしても良い。この場合、メッセージを点滅させて強調しても良いし、メッセージを音声出力部16から出力するようにしても良い。
【0055】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、表示部15及び音声出力部16をディジタル信号切り替え装置3の内部に設けているが、これに限定されない。例えば、図8に示すように、表示部23及び音声出力部24をディジタル信号切り替え装置22の外部に設けるようにしても良い。更に、D/A変換部14をディジタル信号切り替え装置22の外部に設けるようにしても良い。更に、認証処理部12及び暗号化解除部13をディジタル信号切り替え装置22の外部に設けるようにしても良い。また、操作部17はリモコンなどの遠隔操作が可能なものでも良い。
【0056】
また、上記第1の実施形態では、ディジタル信号切り替え装置3が受信するディジタル信号は非圧縮のディジタル信号であるが、これに限定されない。例えば、圧縮されたディジタル信号でも良い。ここで、切り替え後の機器から受信した圧縮されたディジタル信号を伸張するときに、伸張の処理に時間がかかる場合がある。その場合、表示部15の画面上に何も表示されない状態が生じるときがある。このときに、表示部15に「受信データ確認中」といったメッセージを表示しても良い。これにより、ディジタル信号の処理の状況を通知することができるので、ユーザを安心させることができる。
【0057】
また、上記第1の実施形態及び第2の実施形態では、選択された機器から送信されたディジタル信号の受信を開始することで、所望の機器を選択しているが、これに限定されない。例えば、複数の機器から送信されたディジタル信号を入力部11にて受信し、その中から操作部17によって選択された機器からのディジタル信号を暗号化解除部13に出力するようにしても良い。
【0058】
その他、上記第1の実施形態及び第2の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、入力したディジタルビデオ信号を切り替えて表示するディジタル信号切り替え装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1の実施形態及び第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置を適用したディジタル信号伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態によるディジタル信号切り替え装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】第1の実施形態によるディジタル信号切り替え装置の動作及びディジタル信号切り替え方法の一例を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施形態及び第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置を適用したディジタル信号伝送システムの変形例を示すブロック図である。
【図5】第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置の動作及びディジタル信号切り替え方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態及び第2の実施形態によるディジタル信号切り替え装置の表示画面の変形例を示す図である。
【図8】第1の実施形態によるディジタル信号切り替え装置の変形例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0061】
1 DVD再生装置
2 ディジタル放送受信装置
3,19,22 ディジタル信号切り替え装置
4 他のディジタル信号切り替え装置
11 入力部
12 認証処理部
13 暗号化解除部
13a 第1の暗号化解除部
13b 第2の暗号化解除部
14 D/A変換部
15,23 表示部
16,24 音声出力部
17 操作部
18 制御部
20a 第1のディジタル信号伸張部
20b 第2のディジタル信号伸張部
21 出力切り替え部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともビデオ信号を含む暗号化されたディジタル信号を送信する複数の機器から所望の機器を選択するための操作部と、前記操作部によって選択された機器との間で認証処理を行い、前記ディジタル信号の暗号化を解除する暗号鍵を取得する認証処理部と、前記認証処理部によって得られた暗号鍵によって前記ディジタル信号の暗号化を解除する暗号化解除部とを備えた電子機器に適用されるディジタル信号切り替え装置であって、
前記操作部によって選択された機器のディジタル信号を受信して、前記暗号化解除部に出力する入力部と、
前記操作部によって新たに機器が選択された場合に、前記認証処理部による認証処理が終了してから、新たに選択された機器のディジタル信号の受信を開始するように前記入力部を制御する制御部と、
を備えたディジタル信号切り替え装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記操作部によって新たに機器が選択された場合に、前記認証処理部による認証処理が終了してから、前記新たに選択された機器よりも前に選択されていた機器からのディジタル信号の受信を停止するように前記入力部を制御することを特徴とする請求項1に記載のディジタル信号切り替え装置。
【請求項3】
少なくともビデオ信号を含む暗号化及び圧縮が施されたディジタル信号を送信する複数の機器から所望の機器を選択するための操作部と、前記操作部によって選択された機器との間で認証処理を行い、前記ディジタル信号の暗号化を解除する暗号鍵を取得する認証処理部とを備えた電子機器に適用されるディジタル信号切り替え装置であって、
前記操作部によって選択された機器の圧縮されたディジタル信号を受信する入力部と、
前記認証処理部によって得られた暗号鍵によって前記入力部より入力したディジタル信号の暗号化を解除する第1の暗号化解除部と、
前記第1の暗号化解除部によって暗号化を解除されたディジタル信号を伸張する第1のディジタル信号伸張部と、
前記操作部によって新たに機器が選択された場合に、前記入力部より入力した新たに選択された機器からのディジタル信号の暗号化を、前記認証処理部によって得られた暗号鍵によって解除する第2の暗号化解除部と、
前記第2の暗号化解除部によって暗号化を解除されたディジタル信号を伸張する第2のディジタル信号伸張部と、
前記第1のディジタル信号伸張部及び前記第2のディジタル信号伸張部からのディジタル信号を入力し、何れかのディジタル信号を選択して出力する出力切り替え部と、
前記第1のディジタル信号伸張部から出力されたディジタル信号が前記出力切り替え部により選択されている状態で、前記操作部によって新たに機器が選択された場合に、前記第2のディジタル信号伸張部からディジタル信号が出力されてから、前記第2のディジタル信号伸張部から出力されたディジタル信号を選択して出力するように前記出力切り替え部を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするディジタル信号切り替え装置。
【請求項4】
少なくともビデオ信号を含む暗号化されたディジタル信号を送信する複数の機器の中から、ある機器のディジタル信号を受信して暗号化を解除している状態で、操作部によって他の機器が選択されたか否かを制御部にて調べる第1のステップと、
前記第1のステップにて、前記他の機器が選択されたと判断した場合に、認証処理部によって認証処理を行う第2のステップと、
前記第2のステップにて行われた前記他の機器との認証処理によって、暗号鍵を取得したか否かを制御部にて調べる第3のステップと、
前記第3のステップにて、前記暗号鍵を取得したと判断した場合に、前記他の機器からディジタル信号を受信して暗号化を解除する第4のステップと、
を備えたディジタル信号切り替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−128971(P2006−128971A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313378(P2004−313378)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】