ディスクブレーキ装置
【課題】ブレーキペダルの操作に伴って発生する液圧に左右されることなく、常に所定の液圧で駐車ブレーキをかけることができるようにする。
【解決手段】電動モータ10を駆動源として作動し、液圧制御ユニット2からキャリパ14内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構を有するディスクブレーキ1と、駐車ブレーキスイッチ8からの駐車ブレーキ指示信号により液圧制御ユニット2からキャリパ14へ所定圧の液圧を供給させると共に、前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段6とを備えたディスクブレーキ装置において、前記駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されている場合に、ブレーキペダル4の操作が終了した後に、キャリパ14内の液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させ、駐車ブレーキ解除時に必要とする液圧が不用意に上昇するのを防ぐ。
【解決手段】電動モータ10を駆動源として作動し、液圧制御ユニット2からキャリパ14内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構を有するディスクブレーキ1と、駐車ブレーキスイッチ8からの駐車ブレーキ指示信号により液圧制御ユニット2からキャリパ14へ所定圧の液圧を供給させると共に、前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段6とを備えたディスクブレーキ装置において、前記駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されている場合に、ブレーキペダル4の操作が終了した後に、キャリパ14内の液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させ、駐車ブレーキ解除時に必要とする液圧が不用意に上昇するのを防ぐ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動に用いられるディスクブレーキに係り、より詳しくは電動式駐車ブレーキ機構を付加したディスクブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の制動に用いられるディスクブレーキは、一般にディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパとを備えた構造となっているが、最近は、これにさらに電動式駐車ブレーキ機構を付加したディスクブレーキが実用化されている。そして従来、この種のディスクブレーキとしては、例えば、特許文献1に記載されるものがあり、このものでは、前記シリンダ外に配置された電動モータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平05−506196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した駐車ブレーキ機構を備えたディスクブレーキにおいては、駐車ブレーキ時に供給した液圧以上の液圧をキャリパ内に供給しないと、駐車ブレーキを円滑に解除することができない。しかるに、前記駐車ブレーキを作動させる際、運転者がブレーキペダルを踏み込んでいる状況が往々にしてあり、いま、ブレーキペダルの操作によりキャリパ内に所定圧(駐車ブレーキに必要な液圧)より高い液圧が供給されている状況下で駐車ブレーキを作動させてしまうと、駐車ブレーキ解除時にそれを上回る高い液圧を液圧手段からキャリパ内に供給しなければならないことになる。すなわち、液圧手段からキャリパ内に供給する液圧を高くする分、その液圧上昇までに時間がかかり、駐車ブレーキ解除に要する時間が延長するようになる。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、ブレーキペダルの操作に伴って発生する液圧に左右されることなく、常に所定の液圧で駐車ブレーキをかけることができるようにし、もって駐車ブレーキの解除に要する時間が不用意に延長するのを防ぐことができるディスクブレーキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構と、駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記キャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ブレーキペダルが操作されている場合、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記キャリパ内の液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させることを特徴とする。
上記のように構成したディスクブレーキ装置においては、制御手段が、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ブレーキペダルが操作されている場合に、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、キャリパ内の液圧が所定圧の状態で駐車ブレーキ機構を作動させるので、駐車ブレーキ解除時に液圧手段からキャリパ本体内に供給する液圧を所定圧以上に高める必要はなく、したがって、駐車ブレーキの解除に要する時間が不用意に延長することはなくなる。
また、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が所定圧まで降下してから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、請求項1に記載の発明の作用効果に加え、ブレーキペダルの操作に伴う液圧が所定圧まで降下するのを待ってから所定圧を保持するので、液圧手段による積極的な減圧制御は不要になり、その分、制御が簡単となる。
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載のディスクブレーキ装置において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、請求項1に記載の発明の作用効果に加え、液圧手段の積極的な減圧制御により所定圧とするので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載のディスクブレーキ装置において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が降下し始める際の現状液圧が保持されるように前記液圧手段を制御し、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、請求項1に記載の発明の作用効果に加え、ブレーキペダルの操作が不安定で該操作に伴う液圧が変動しても、確実に所定圧に保持して駐車ブレーキを確立することができる。
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項1乃至4のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が所定圧より低い場合に、所定圧の液圧がキャリパ内に供給されるように液圧手段を増圧制御することを特徴とする。この場合は、液圧手段を増圧制御することで確実に所定圧で駐車ブレーキ機構を作動させることができ、駐車ブレーキを安定して確立できる。
さらに、請求項6に記載の発明は、上記請求項1乃至5の何れか1項に記載の発明において、前記液圧手段は、液圧を発生させる機構を持つブレーキシステム内の液圧制御ユニットを共用することを特徴とする。この場合は、ブレーキシステム内の液圧制御ユニットの有効利用により特別の液圧手段を設ける必要がなくなる。
上記課題を解決するため、請求項7に記載の発明は、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパが車両の各輪に設けられ、車両の各輪に設けられた前記キャリパのうち少なくとも1つのキャリパには、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構が設けられ、該駐車ブレーキ機構を有するキャリパの液圧を検出する液圧検出手段と前記ブレーキぺダルの操作を検出するペダル操作検出手段と駐車ブレーキ指示信号を出力する駐車ブレーキスイッチとが接続される制御手段が設けられ、該制御手段は、前記駐車ブレーキスイッチからの駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記駐車ブレーキ機構を有するキャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させるディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、前記駐車ブレーキスイッチから駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ペダル操作検出手段により前記ブレーキペダルが操作されていることを検出した場合、前記ペダル操作検出手段が前記ブレーキペダル操作の終了を検出した後に、前記液圧検出手段の検出した液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させることを特徴とする。この場合は、上記した請求項1に記載の発明と実質的に同じ作用効果を奏する。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が所定圧まで降下してから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、上記した請求項2に記載の発明と実質的に同じ作用効果を奏する。
また、請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、上記した請求項3に記載の発明と実質的に同じ作用効果を奏する。
また、請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、上記した請求項4に記載の発明と実質的に同じ作用効果を奏する。
上記課題を解決するため、請求項11に記載の発明は、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構と、駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記キャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたときに前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合には、前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行わないようにしたことを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、該液圧が前記所定圧まで降下して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧まで降下した後、該所定圧の状態が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、該液圧が前記所定圧より低い基準圧まで降下した後、前記液圧手段を作動して前記所定圧まで昇圧して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、上記請求項11、12または14に記載の発明において、前記制御手段は、前記所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行うように前記電動アクチュエータを作動している状態で、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えた場合、前記駐車ブレーキ機構の前記電動アクチュエータの作動を停止することを特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させ、該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうこと特徴とする。
また、請求項17に記載の発明は、上記請求項16に記載の発明において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧まで降下した後、該所定圧の状態が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。
また、請求項18に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、前記減圧手段を作動して該液圧が前記所定圧より低い基準圧まで降下した後、前記液圧手段を作動して前記所定圧まで昇圧して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうこと特徴とする。
また、請求項19に記載の発明は、上記請求項11乃至18のいずれか1項に記載の発明において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧より低い場合に、所定圧の液圧がキャリパ内に供給されるように液圧手段を増圧制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るディスクブレーキ装置によれば、ブレーキペダルの操作に伴って発生する液圧に左右されることなく、常に所定の液圧で駐車ブレーキをかけることができるので、駐車ブレーキの解除に要する時間が不用意に延長することはなくなり、装置に対する信頼性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るディスクブレーキ装置を含むブレーキシステムの構造を示す系統図である。
【図2】本ディスクブレーキ装置を構成する電動式駐車ブレーキ機構付きディスクブレーキの構造を示す断面図である。
【図3】本電動式駐車ブレーキ機構付きディスクブレーキの一部を断面として示す正面図である。
【図4】本ディスクブレーキ装置を構成する液圧手段の構造を示す回路図である。
【図5】本ディスクブレーキ装置における第1の制御例を示すフローチャートである。
【図6】第1の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図7】第1の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図8】本ディスクブレーキ装置における第2の制御例を示すフローチャートである。
【図9】第2の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図10】第2の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図11】本ディスクブレーキ装置における第3の制御例を示すフローチャートである。
【図12】第3の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図13】第3の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図14】本ディスクブレーキ装置における第4の制御例を示すフローチャートである。
【図15】第4の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図16】第4の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図17】本ディスクブレーキ装置における第5の制御例を示すフローチャートである。
【図18】第5の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図19】第5の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図20】本ディスクブレーキ装置における第6の制御例を示すフローチャートである。
【図21】第6の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るディスクブレーキ装置を含む全体のブレーキシステムを示したものである。同図中、1、1aは車両の各輪に配置されたディスクブレーキで、特に1は、車両の後輪(RL,RR)に配置された電動式駐車ブレーキ機構付きディスクブレーキ(以下、PKB付きディスクブレーキという)である。また、2は、PKB付きディスクブレーキ1に供給する液圧を調整する液圧手段、3は、ブレーキペダル4の操作に応じて液圧を発生するマスタシリンダである。マスタシリンダ3は、ここではタンデム型として構成されており、このマスタシリンダ3から延ばされた2系統の主ブレーキ液通路5、5´が、前記液圧手段2を経て各ディスクブレーキ1、1aに接続されている。ディスクブレーキ1、1aは、ここでは右前輪FRと左後輪RL、左前輪FLと右後輪RRとが組になるように、すなわちX型回路配分となるように前記主ブレーキ液通路5、5´から分岐した分岐通路5a、5a´にそれぞれ接続されている。
【0010】
6は、別途設置された制御装置(制御手段)であり、これには、ブレーキペダル4の操作を検出するブレーキランプスイッチ7、駐車ブレーキ指示信号を出力する駐車ブレーキスイッチ(例えば、押釦等)8および各PKB付きディスクブレーキ1内の液圧を検出する液圧センサ9から信号が入力されるようになっている。各PKB付きディスクブレーキ1には、後に詳述する駐車ブレーキ機構を作動させるための電動モータ(電動アクチュエータ)10が外付けされており、制御装置6は、前記入力された信号に基づいて前記PKB付きディスクブレーキ1内の液圧が所定圧となるように前記液圧手段2を制御し、かつ前記電動モータ10の作動を制御する。
【0011】
各PKB付きディスクブレーキ1は、図2、3によく示されるように、ディスクロータ11を挟んでその両側に配置された一対のパッド12,13と、この一対のパッド12,13をディスクロータ11の両面に押圧させて制動力を発生するキャリパ14とを備えている。本ディスクブレーキ1は、キャリパ浮動型として構成されており、前記一対のパッド12,13およびキャリパ14は、車両の非回転部(例えば、ナックル等)にボルト止めされたキャリア15(図3)にディスクロータ11の軸方向へ移動可能に支持されている。
【0012】
より詳しくは、各パッド12,13は、その両側に設けた左右の耳部16をキャリア15の左右の支柱部15aの内側に対向して設けたガイド溝17に嵌合させることにより、該キャリア15に摺動可能に支持されている(図3)。また、キャリパ14は、その左右のアーム部14aにボルト18を用いて取付けたガイドピン(図示略)を前記キャリア15のブリッジ部15b内に設けたガイド穴(図示略)に嵌入させることにより、該キャリア15に摺動可能に支持されている。なお、図3中、19はキャリア15を前記車両の非回転部にボルト止めするためのねじ孔であり、キャリア15の左右二箇所に設けられている。
【0013】
キャリパ14の主体であるキャリパ本体20は、車両内側のパッド(インナパッド)12に対向する基端側にシリンダ部21を、車両外側のパッド(アウタパッド)22に対向する先端側に爪部22をそれぞれ有している。シリンダ部21には、インナパッド12側を開口部となし、他端が底壁21aにより閉じられた有底のシリンダ23が形成されており、このシリンダ23内には、ピストンシール24を介してピストン25が摺動可能に内装されている。ピストン25は、ここではカップ形状をなし、その底部がインナパッド12に対向するようにシリンダ23内に収められている。このピストン25とシリンダ底壁21aとの間は液圧室26として画成されており、この液圧室26には、前記主ブレーキ液通路5、5´から分岐した分岐通路5a、5a´(図1)を通じてマスタシリンダ3から液圧が供給されるようになっている。ピストン25は、その底面に設けた凹部25aにインナパッド12の背面に設けた凸部12aを係合させることにより回り止めされている。また、ピストン25の底部とキャリパ本体20との間には、シリンダ23内への異物の浸入を防ぐダストブーツ27が介装されている。
【0014】
本実施形態において、上記キャリパ本体20の後端には、ハウジング28が複数のボルト29により固定されており、このハウジング28内とキャリパ本体20のシリンダ部21内には、シリンダ底壁21aを挟んで駐車ブレーキ機構30が配設されている。駐車ブレーキ機構30は、シリンダ23内からシリンダ底壁21aに設けた貫通孔31を挿通してハウジング28内に一端側が延ばされ、ピストン25のカップ部内に位置する他端側に雄ねじ32を有するシャフト33と、ピストン25のカップ部内に配置され、内面の雌ねじ34を前記シャフト33の雄ねじ32に噛合わせたナット35と、ハウジング28内に配設され、前記電動モータ10(図1)により駆動されて、前記シャフト33を回転させる歯車機構(減速機構)36とから概略構成されている。なお、シリンダ底壁21aの貫通孔31の内面にはシャフト33との間をシールするシール部材37が配設されており、これによりシリンダ23内の液圧室26の液密が維持されている。
【0015】
上記シャフト33は、シリンダ23の軸線上に配置されており、その中間部が、シリンダ底壁21aの両側に配置した2つの軸受(スラスト軸受)38と39とにより回動可能に支持されている。シャフト33の中間部にはシリンダ23内に配置した一方の軸受38に当接可能なフランジ部40が設けられると共に、ハウジング28内まで延ばされたその一端部にはダブルナット41を螺合可能なねじ部42が設けられており、シャフト33は、そのねじ部42にダブルナット41を締込むことにより2つの軸受38と39に対して強固に軸方向へ拘束されている。
【0016】
シャフト33に噛合うナット35は、ピストン25の内面にシール部材43を介して摺動可能に嵌合されている。ナット35はまた、その後端に設けたフランジ部44に軸方向へ延ばして植立したピン45を、ピストン25に設けた軸方向のピン穴46に摺動可能に嵌入させることにより、その回転が規制されている。ナット35は、シャフト33の回転に応じて直動し、そのフランジ部44をピストン25の後端に当接させて該ピストン25に推進方向の押圧力を加える。また、ナット35の先端開口部には蓋板47が装着され、さらに、ピストン25には、該ピストン25の内底と前記蓋板47を含むナット35の先端との間のエアを抜くためのエア抜孔48が半径方向に貫設されている。
【0017】
一方、シャフト33を回転させる歯車機構36は、電動モータ10の回転軸50に固定されたウォーム51と、シャフト33の一端部にキー52を介して回転不能に取付けられると共に、前記ウォーム51に噛合わされたウォームホイール53とからなっている。ウォームホイール53は、前後一対の軸受54を介してハウジング28に回動可能に支持されている。本実施形態において、電動モータ10は、図3によく示されるように、ハウジング28の外面の下側にボルト55を用いて固定され、その回転軸50は、ハウジング28内を横断して下側から上方向へ延ばされている。前記回転軸50の先端部は、ハウジング28を貫通してその外部(上部)に延出されており、その延出端部50aは、回転治具の把持に適するように二面幅加工されている。この二面幅加工された回転軸50の延出端部50aは、常時はキャップ56により覆われている。なお、図2は、中心線の上側と下側とを異なる切り口(断面)で示している。
【0018】
上記のように構成されたPKB付きディスクブレーキ1は、通常ブレーキすなわちサービスブレーキとして作動する際には、電動モータ10が停止状態にあり、ブレーキペダル4の操作に応じてマスタシリンダ3からキャリパ14内の液圧室26に液圧が供給される。すると、電動モータ10の停止によりナット35が不動となっていることから、ピストン25のみが推進してインナパッド12をディスクロータ11に押圧し、その反力でキャリパ本体20が車両内側へ移動する。そして、この時の反力でキャリパ本体15が車両内側へ移動し、その爪部22がアウタパッド13をディスクロータ11の他面に押圧し、これによってディスクロータ11が一対のパッド12,13により挟まれ、液圧に応じた制動力が発生する。一方、この状態から液圧室26の液圧が解放されると、ピストンシール24の弾性復元力によりピストン25が後退し、これに応じて一対のパッド21,22がディスクロータ20から離間し、ブレーキが解放される。
【0019】
駐車ブレーキとして作動させる場合は、前記駐車ブレーキスイッチ8の操作に応じて制御装置6から液圧手段2に制御信号が出力され、キャリパ14内の液圧室26に液圧手段2から所定圧の液圧が供給される。そして、この液圧供給によってピストン25が推進し、通常ブレーキ時と同様に所定の制動力が発生する。一方、前記液圧室26への液圧供給の開始とほぼ同時に制御装置6からの指令で電動モータ10が起動される。すると、歯車機構36を介してシャフト33が回転し、ナット35が直動(前進)してそのフランジ部44がピストン25の後端に当接し、ピストン25を推進方向へ押圧する。その後、電動モータ10が停止されるとほぼ同時に制御装置6からの指令で液圧手段2内の回路が切換えられ、液圧室26の液圧が解放される。この時、ピストン25から受ける軸力で、雄ねじ32と雌ねじ34との噛合部に大きな摩擦力が発生しており、また歯車機構36が非可逆性となっているので、シャフト33の回転が阻止され、ナット35はその位置に保持される。すなわち、電動モータ10を停止させかつ液圧を解放しても、駐車ブレーキ機構30によってピストン25は制動位置に機械的に保持され、これによって駐車ブレーキが確立する。
【0020】
駐車ブレーキを解除するには、液圧手段2から液圧室26に液圧を供給するとほぼ同時に電動モータ10を逆方向に回転させる。すると、歯車機構36を介してシャフト33が回転し、ナット35が後退しようとする。しかし、駐車ブレーキ時を超えるピストン推力が得られるまでキャリパ14内の液圧室26の液圧が高まるまで(所定圧となるまで)は、雄ねじ32と雌ねじ34との非可逆性および歯車機構36の非可逆性によってシャフト33の回転が阻止される。そして、駐車ブレーキ時を超えるピストン推力が得られるまで液圧が高まると、ピストン25からナット35にかかる軸力が急減し、これに合せてシャフト33が回転し、これによってナット35が後退する。その後は、ナット35が元の位置に戻ると同時に電動モータ10の回転が停止され、続いて液圧手段2によって液圧室26内の液圧が解放され、これにて駐車ブレーキは完全に解除される。
【0021】
なお、駐車ブレーキ中、万一電動モータ10が故障した場合は、液圧室26に液圧を供給した後、ハウジング28の外部に突出している回転軸50の延出端部50aに適宜の回転治具を係合させて、外部から回転軸50を強制的に回転させる。これにより歯車機構36を介してシャフト33が回転し、ナット35が後退して駐車ブレーキが解除される。すなわち、手動で簡単に駐車ブレーキを解除することができる。
【0022】
本実施形態において、上記液圧手段2としては、ビークルダイナミクスコントロールシステム、アンチロックブレーキシステム、トラクションコントロールシステム等のブレーキシステム内の液圧制御ユニットが共用されており、したがって、以下では、この液圧手段を液圧制御ユニットとして説明する。この液圧制御ユニット2は、図4に示されるよう、前記マスタシリンダ3からディスクブレーキ1側へ延ばされた2系統の主ブレーキ液通路5、5´の途中に、常開の主電磁切換弁60、60´とマスタシリンダ3側への逆流を阻止する逆止弁61、61´とを並列に介装している。また、各主ブレーキ液通路5、5´から各PKB付きディスクブレーキ1に分岐された分岐通路5a、5a´の途中に、常開の供給用電磁切換弁62、62´とディスクブレーキ1側への流動を阻止する逆止弁63、63´とを並列に介装している。
【0023】
また、主電磁切換弁60、60´よりも上流側(マスタシリンダ3側)となる主ブレーキ液通路5、5´の途中部位に一端が接続され、他端が分岐通路5a、5a´の分岐部位に接続された副ブレーキ液通路64、64´が設けられている。この副ブレーキ液通路64、64´には、常閉の副電磁切換弁65、65´とポンプ66、66´とが介装されている。なお、ポンプ66、66´は、ここでは1つのモータ66Mを共用して作動するようになっている。さらに、各PKB付きディスクブレーキ1に通じる分岐通路5a、5a´の途中部位に一端が接続され、他端がポンプ66、66´の吸入側となる副ブレーキ液通路64、64´の途中に接続されたブレーキ液戻し通路67、67´が設けられている。ブレーキ液戻し通路67、67´には、常閉の減圧用電磁切換弁68、68´とリザーバ69、69´とが介装されている。
【0024】
上記のように構成された液圧制御ユニット2においては、通常ブレーキ時には、図示のように主電磁切換弁60、60´および供給用電磁切換弁62、62´が開弁状態を維持し、かつ減圧用電磁切換弁68、68´が閉弁状態を維持しているので、ブレーキペダル4の操作でマスタシリンダ3に発生した液圧は、主ブレーキ液通路5、5´および分岐通路5a、5a´を経て、前記のディスクブレーキ1aおよび後輪のPKB付きディスクブレーキ1のキャリパ14内に供給され、上記したように液圧に応じた制動力が発生する。
【0025】
また、制動中、何れかのディスクブレーキ1、1aに対する液圧を減少させる必要が生じた場合(アンチロックブレーキ制御、ビークルダイナミクス制御等)は、対応するディスクブレーキ1、1aに通じる供給用電磁切換弁62、62´が閉じられると共に減圧用電磁切換弁68、68´が開かれる。これにより対応するディスクブレーキ1、1aのキャリパ14内のブレーキ液がブレーキ戻し通路67、67´を経てリザーバ69、69´に蓄えられると共に、制御終了時に常閉の副電磁切換弁65、65´が開弁し、リザーバ69、69´内のブレーキ液がマスタシリンダ3へ戻される。
【0026】
また、非制動中または制動中に、ディスクブレーキ1、1aに対する液圧を増大させる必要が生じた場合(トラクション制御、ビークルダイナミクス制御等)は、主電磁切換弁60、60´が閉に、副電磁切換弁65、65´が開にそれぞれ切換えられる。また、これと同時にモータ66Mによりポンプ66、66´の運転が開始され、これにより対応するディスクブレーキ1、1aのキャリパ14内にブレーキ液が供給され、キャリパ14内の液圧が増加する。
【0027】
さらに、何れかのディスクブレーキ1、1a内の液圧を保持する必要が生じた場合には、主電磁切換弁60、60´を閉に切換えた状態で、対応するディスクブレーキ1、1aに通じる供給用電磁切換弁62、62´を閉じる(このとき、減圧用電磁切換弁68、68´は閉状態)。これによりディスクブレーキ1、1aに供給された液圧はそのまま保持される。なお、例えば、逆止弁63、63´のラインを省略し、供給用電磁切換弁62、62´を閉じることでディスクブレーキ1、1a内の液圧を保持できるシステム構成であれば、主電磁切換弁60、60´を閉に切換える必要はない。
【0028】
駐車ブレーキを作動させる場合は、前記駐車ブレーキスイッチ8の操作に応じて制御装置6から液圧制御ユニット2に制御信号が出力され、主電磁切換弁60、60´が閉に、副電磁切換弁65、65´が開にそれぞれ切換えられる。また、これと同時にモータ66Mによりポンプ66、66´の運転が開始されて、ディスクブレーキ1のキャリパ14内の液圧室26に液圧が供給され、この液圧供給によってピストン25が推進し、制動力が発生する。しかして、この液圧は液圧センサ9によって監視されており、制御装置6は、液圧センサ9からの信号に基づいて該液圧が所定圧となったところで、ディスクブレーキ1、1aに通じる供給用電磁切換弁62、62´を閉じる。これによってキャリパ14内の液圧室26は所定圧の液圧に保持され、この結果、所定の制動力が維持される。
【0029】
一方、上記キャリパ14内への液圧供給の開始とほぼ同時に制御装置6からの指令でディスクブレーキ1の電動モータ10が起動され、これによって駐車ブレーキ機構30を構成するナット35が直動(前進)してピストン25を推進方向へ押圧する。ピストン25は、事前の液圧供給で所定の制動位置で停止しており、この停止状態のピストン25をナット35が押圧することで、電動モータ10の電流がピークに達し、電動モータ10はストールに達する。本実施形態においてはこのモータ電流を監視しており、電動モータ10がストールに達した時点で、電動モータ10が停止される。また、この電動モータ10の停止とほぼ同時に、制御装置6からの指令でポンプ66、66´が停止するとともに、液圧制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62、62´が閉じて減圧用切換弁68、68´が開き、キャリパ14内のブレーキ液がブレーキ戻し通路67、67´を経てリザーバ69、69´に戻され、これによって前記したように駐車ブレーキが確立する。
【0030】
なお、駐車ブレーキの解除は、液圧制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62、62´が開に、減圧用切換弁68、68´が閉にそれぞれ切換えられると同時に、ポンプ66、66´の運転が再開されることで行われ、これによりキャリパ14内に所定圧の液圧が供給される。一方、この液圧供給に合せて駐車ブレーキ機構30を構成する電動モータ10が逆方向に回転駆動され、ナット35が後退して制動力が解除される。その後は、液圧制御ユニット2内の回路切換えでキャリパ14内の液圧が解放され、さらにポンプ66、66´の運転が停止され、これにて駐車ブレーキの解除は終了する。
【0031】
ところで、ブレーキペダル4の操作によりキャリパ14内に駐車必要液圧(駐車状態を維持するブレーキ力を発生するのに必要な液圧)より高い液圧が供給されている状況下で駐車ブレーキを作動させてしまうと、前記したように駐車ブレーキ解除時にそれを上回る高い液圧を液圧制御ユニット2からキャリパ14内に供給しなければならない。本実施形態においては、このような弊害を避けるため、常に所定の液圧で駐車ブレーキをかけるように制御している。なお、上記駐車必要液圧は、一定値であってもよいが、車両の駐車状態、例えば、坂道に停車の場合には平坦な路面に停車の場合に比して上記駐車必要液圧を高めに設定するように可変値としてもよい。
【0032】
以下、ブレーキペダル4が操作されている最中に駐車ブレーキを作動させる場合の制御方法を図5〜13も参照して説明する。なお、以下では、説明の便宜のため、液圧制御ユニット2については、一方のブレーキ系統のみについて説明する。また、図中、液圧変化を表すグラフ内の細線は、ブレーキペダルの操作に伴う液圧変化を示している。
【0033】
図5〜7は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第1の制御例を示したものである。この場合は、図5および6に示されるように、ステップS1で駐車ブレーキスイッチ(PKB SW)8がオン(ON)されて駐車ブレーキ指示信号が入力されると、ステップS2でブレーキランプスイッチ(BLS)7がオンされているか否かが判断され、続いてステップS3でキャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される。ここで、所定圧Psは上記駐車必要液圧と同じ液圧に設定してもよいし、ある程度の許容範囲を待たせるために上記駐車必要液圧よりも少し高めの液圧に設定するようにしてもよい。そして、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上であれば、次のステップS4でその液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され、液圧が所定圧Psまで降下していれば、次のステップS5で主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0034】
その後、ステップS6で、ブレーキペダルの操作の終了を検出するために、ブレーキランプスイッチ7がオフ(OFF)されたことが確認されると、次のステップS7でディスクブレーキ1側の電動モータ10が起動(正回転)され、駐車ブレーキ機構30が作動してナット35が前進し、ピストン25を推進方向へ押圧する。そして、電動モータ10がストールに達したことの確認で(S8)、電動モータ10が停止され(S9)、さらに、液圧制御ユニット2内の減圧用切換弁68が開いてキャリパ14内の液圧が解放され(S10)、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、ブレーキペダル4の操作に伴う液圧が所定圧まで降下するのを待ってから所定圧Psを保持するので、液圧制御ユニット2による積極的な減圧制御は不要になり、その分、制御が簡単となる。
【0035】
ここで、上記ステップS3でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS11に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで増加させる(図7)。そして、該液圧が所定圧Psになったことの確認で(S4)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持し(S5)、上記ステップS6に処理を移す。また、上記ステップS2でブレーキランプスイッチ7がオンされていないことを確認した場合は、処理をステップS12に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を増加させる。そして、該液圧が所定圧Psになったことの確認で(S13)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持し(S14)、上記ステップS7に処理を移す。なお、上記図7において、キャリパ14内の液圧が所定圧Psになる際に、該液圧が一旦所定圧Psよりもわずかに大きくなった後に所定圧Psになるのは、供給用電磁切換弁62を閉弁したときの液圧センサ9の過渡的な特性を示したものであり、以後の制御例についても同様である。
【0036】
図8〜10は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第2の制御例を示したものである。この場合は、図8および9に示されるように、第1の制御例と同様に駐車ブレーキスイッチ8がオンされたとき(S21)、ブレーキスイッチ7がオンされていれば(S22)、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される(S23)。そして、ステップS23で所定圧Ps以上と判断されると、次のステップS24で制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62が閉、減圧手段である減圧用切換弁68が開に切換えられる。これによりキャリパ14内の液圧が減少し、次のステップS25でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで減少したことが確認される。すると、次のステップS26で主電磁切換弁60および減圧用切換弁68を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0037】
その後は、第1の制御例と同様に、ブレーキランプスイッチ7がオフされた確認で(S27)、ディスクブレーキ1側の電動モータ10が正回転され(S28)、さらに電動モータ10がストールに達したことの確認で(S29)、電動モータ10が停止(S30)およびキャリパ14内の液圧解放(S31)が行われ、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、液圧制御ユニット2の積極的な減圧制御によりキャリパ14内を所定圧Psとするので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
【0038】
ここで、上記ステップS23でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS32に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで増加させる。そして、次のステップS33でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで増加したことを確認したら、処理を上記ステップS26に戻し、その液圧を保持する(図10)。一方、上記ステップS22で、ブレーキランプスイッチ7がオンされていないことを確認した場合は、処理をステップS34に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を増加させる。そして、該液圧が所定圧Psになったことの確認で(S35)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持し(S36)、上記ステップS28に処理を移す。
【0039】
なお、上記第2の制御例においては、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上の場合、制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62および減圧用切換弁68(減圧手段)の切換えにより、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで減少させたが、これに代えて、所定圧より低い基準圧Pk(所定圧Ps>基準圧Pk>所定圧Psの1/2程度)まで液圧を降下させた後、前記所定圧まで昇圧して該所定圧Psに保持するようにしてもよい。
【0040】
図11〜13は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第3の制御例を示したものである。この場合は、図11および12に示されるように、第1の制御例と同様に駐車ブレーキスイッチ8がオンされたとき(S41)、ブレーキランプスイッチ7がオンされていれば(S42)、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される(S43)。そして、次のステップS44でキャリパ14内の液圧が降下側に移行しているか否かが判断され、降下側に移行していれば、次のステップS45で主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま現状液圧に保持される。
【0041】
その後、ステップS46で、ブレーキペダルの操作の終了を検出するために、ブレーキランプスイッチ7がオフされたことが確認されると、次のステップS47で液圧制御ユニット2内の減圧用切換弁68が開に切換えられる。これによりキャリパ14内の液圧が減少し、次のステップS48でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで減少したことが確認されると、次のステップS49で主電磁切換弁60および減圧用切換弁68が閉に切換えられ、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。すると、次のステップS50でディスクブレーキ1側の電動モータ10が起動(正回転)され、駐車ブレーキ機構30が作動してナット35が前進し、ピストン25を推進方向へ押圧する。そして、電動モータ10がストールに達したことの確認で(S51)、電動モータ10が停止され(S52)、さらに、液圧制御ユニット2内の減圧用切換弁68が開いてキャリパ14内の液圧が解放され(S53)、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、ブレーキペダル4の操作が不安定で該操作に伴う液圧が変動しても、確実に所定圧に保持して駐車ブレーキを確立することができる。
【0042】
ここで、上記ステップS43でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS54に移し、液圧制御ユニット2内の主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで増大させ、そのままブレーキペダル4の操作に伴うキャリパ14内の液圧上昇を待つ(図13)。また、上記ステップS42でブレーキランプスイッチ7がオンされていないことを確認した場合は、処理をステップS55に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を増加させる。そして、該液圧が所定圧Psになったことの確認で(S56)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持し(S57)、上記ステップS50に処理を移す。
【0043】
なお、上述の各制御例では、ステップS1、S21、S41において、駐車ブレーキ指示信号として駐車ブレーキスイッチ(PKB SW)8のオン(ON)の信号を用いたが、これに限らず、ブレーキペダルが長時間踏み込まれた状態が継続したときに制御装置から自動で駐車ブレーキをかけるように指示する信号等であってもよい。
また、ステップS6,S27,S46において、ブレーキペダルの操作の終了を検出するためにブレーキランプスイッチ7がオフされたかを確認するとしたが、これに限らず、イグニッションスイッチがオフになったことや、トランスミッションがPレンジとなったことにより、ブレーキペダルの操作の終了を検出してもよい。さらに、ブレーキランプスイッチ7がオフとなってから所定時間経過したときに、ブレーキペダルの操作が終了としたと判断してもよい。
また、上記ステップS10、S31、S53において、減圧用切換弁68による液圧解除処理に代えて、または、上記各ステップの処理と合わせて、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開にそれぞれ切換えることで、キャリパ14内の液圧を解放するようにしてもよい。
【0044】
上記第1〜第3制御例では、ブレーキペダル4が操作されている最中に駐車ブレーキを作動させる場合の制御方法として、ブレーキペダルの操作終了を待ってその後に駐車ブレーキを確立するようにしたが、本発明は、ブレーキペダルの操作終了を待たないでまたはブレーキペダルの操作終了と同時に駐車ブレーキを確立するようにしてもよいものである。以下に、この場合の制御方法を説明する。なお、ブレーキペダルの操作終了を待たないようにする場合には、図1のブレーキシステムにおいて、マスタシリンダ3またはその主ブレーキ液通路5、5´のマスタ液圧を検出するマスタ液圧センサ3a、3a´を設ける(なお、以下の説明では一方の系統のマスタ液圧センサ3aのみについて説明する)。
【0045】
図14〜16は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第4の制御例を示したものである。この場合は、図14および15に示されるように、ステップS61で駐車ブレーキスイッチ(PKB SW)8がオン(ON)されると、ステップS62でキャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される。そして、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上であれば、次のステップS63でその液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され、液圧が所定圧Psまで降下していれば、次のステップS64で主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0046】
その後、ステップS65で、ディスクブレーキ1側の電動モータ10が起動(正回転)され、駐車ブレーキ機構30が作動してナット35が前進し、ピストン25を推進方向へ押圧する。そして、電動モータ10がストールに達したことの確認で(S66)、電動モータ10が停止される(S66A)。そして、次のステップS67でマスタ液圧センサ3で検出されたマスタ液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され、マスタ液圧が所定圧Psまで降下していれば、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開いてキャリパ14内の液圧が解放され(S68)、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、ブレーキペダルの操作終了を待たないで駐車ブレーキを確立するので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
【0047】
ここで、上記ステップS62でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS69に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで増加させる(図16)。そして、該液圧が所定圧Psになったことを確認し(S63)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持する(S64)。また、上記ステップS66で電動モータ10がストールに達していないと判断された場合は、処理をステップS70に移してマスタ液圧センサ3で検出されたマスタ液圧が所定圧Psより大きいか否かが判断される。そして、液圧が所定圧Psより大きい場合には、ステップS70Aで電動モータ10が停止され、ステップS70Bで主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開にそれぞれ切換えて液圧の保持を解除する処理を行い、ステップS62に戻され、一方、液圧が所定圧Psより大きくない場合はステップS64に戻される。このように電動モータ10が起動しているときに、マスタ液圧センサ3のマスタ液圧が所定圧Psより大きいか否かを判定して所定圧Psより大きい場合に電動モータ10が停止し、液圧の保持を解除することで、キャリパ14内の液圧をマスタシリンダ3のマスタ液圧と同じくすることができると共に、所定圧Ps以上で駐車ブレーキがかかってしまい、駐車ブレーキ解除時に高い液圧を供給する必要も生じないようにすることができる。
【0048】
図17〜19は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第5の制御例を示したものである。この場合は、図17および18に示されるように、ステップS71で駐車ブレーキスイッチ8がオン(ON)されると、ステップS72でキャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される。そして、ステップS72で所定圧Ps以上と判断されると、次のステップS73で制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62が閉、減圧手段である減圧用切換弁68が開に切換えられる。これによりキャリパ14内の液圧が減少し、次のステップS74でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで減少したことが確認される。すると、次のステップS75で主電磁切換弁60および減圧用電磁切換弁68を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0049】
その後は、第4の制御例と同様に、ディスクブレーキ1側の電動モータ10が正回転され(S76)、さらに電動モータ10がストールに達したことの確認で(S77)、電動モータ10が停止する。(S77A)そして、マスタ液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され(S78)、マスタ液圧が所定圧Psまで降下していれば、キャリパ14内の液圧解放(S79)が行われ、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、液圧制御ユニット2の積極的な減圧制御によりキャリパ14内を所定圧Psとするので、制御例4よりもさらに可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
【0050】
ここで、上記ステップS72でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS80に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を増加させ、さらにステップS81でディスクブレーキ1側の電動モータ10が正回転させる。そして、次のステップS82でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで増加したことを確認したら、次のステップS83でその液圧を保持し、処理を前記ステップS77に戻す。
【0051】
図20〜21は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第6の制御例を示したものである。この場合は、図20および21に示されるように、ステップS91で駐車ブレーキスイッチ(PKB SW)8がオン(ON)されると、ステップS92でキャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される。そして、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上であれば、次のステップS93でその液圧が所定圧Psより低い基準圧Pk(所定圧>基準圧>所定圧の1/2程度)まで降下したか否かが判断される。このS93で液圧が基準圧Pkまで降下していれば、次のステップS94でポンプ66が運転され、ステップS65で、ディスクブレーキ1側の電動モータ10が起動(正回転)され、駐車ブレーキ機構30が作動してナット35が前進し、ピストン25を推進方向へ押圧する。この間に、ステップS96で、すぐに液圧が所定圧Psまで増加したか否かが判断され、所定圧Psに達した時点で、ステップS97で主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0052】
その後、そして、電動モータ10がストールに達したことの確認で(S98)、電動モータ10が停止され(S99)、さらに、マスタ液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され(S100)、マスタ液圧が所定圧Psまで降下していれば、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開いてキャリパ14内の液圧が解放され(S101)、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、ブレーキペダルの操作終了を待たないで駐車ブレーキを確立するので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。ステップS102の別処理は、第5の制御例(図17)のステップS80〜S83と同様である。
【0053】
上記第4〜第6制御例では、ブレーキペダルの操作終了を待たないで駐車ブレーキを確立するようにしているので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
【0054】
なお、上記第4〜第6制御例では、ステップS68、S79、S101の液圧解除の条件としてステップS67、S78、S100でマスタ液圧が所定圧Psまで降下したこととしたが、これに代えて、第1〜第3制御例のように、ステップS6等のブレーキペダルの操作の終了を表すブレーキランプスイッチ7がオフ(OFF)されたことを検出したときにステップS68、S79、S101の液圧解除の処理を行なうようにしてもよい。このようにすれば、ブレーキペダルの操作終了と同時に駐車ブレーキを確立することができる。
【0055】
また、上記第4〜第6制御例では、ステップS68、S79、S101の液圧解除の処理を主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開くことにより行なっているが、これに代えて、または、上記各ステップの処理と合わせて、液圧制御ユニット2内の減圧用切換弁68を開くことで、キャリパ14内の液圧を解放するようにしてもよい。
【0056】
さらに、上記第1〜第6制御例では、駐車ブレーキ機構の電動アクチュエータとして図2、図3に示すように電動モータ10を用いたが、これに限らず、例えば、特開2006−17193号公報にみられるような電磁ソレノイドを用いたものでもよく、また、駐車ブレーキ機構自体もピストンに液圧を供給してブレーキをかけた後に電動アクチュエータによりピストンを機械的に制動位置に保持させるものであれば、図2、図3に示すものに限らなくてもよい。同様に図4の液圧手段の構造を示す回路構成も図4に示すものに限るものではない。
【符号の説明】
【0057】
1…電動式駐車ブレーキ機構付きディスクブレーキ、2…液圧手段(液圧制御ユニット)、3…マスタシリンダ、4…ブレーキペダル、6…制御装置(制御手段)、7…ブレーキランプスイッチ、8…駐車ブレーキスイッチ、9…液圧センサ、10…電動モータ、11…ディスクロータ、12,13…パッド、14…キャリパ、25…ピストン、30…駐車ブレーキ機構、60,60´…主電磁切換弁、62,62´…供給用電磁切換弁、65,65´…副電磁切換弁、66,66´…ポンプ、68,68´…減圧用電磁切換弁、
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動に用いられるディスクブレーキに係り、より詳しくは電動式駐車ブレーキ機構を付加したディスクブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の制動に用いられるディスクブレーキは、一般にディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパとを備えた構造となっているが、最近は、これにさらに電動式駐車ブレーキ機構を付加したディスクブレーキが実用化されている。そして従来、この種のディスクブレーキとしては、例えば、特許文献1に記載されるものがあり、このものでは、前記シリンダ外に配置された電動モータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平05−506196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した駐車ブレーキ機構を備えたディスクブレーキにおいては、駐車ブレーキ時に供給した液圧以上の液圧をキャリパ内に供給しないと、駐車ブレーキを円滑に解除することができない。しかるに、前記駐車ブレーキを作動させる際、運転者がブレーキペダルを踏み込んでいる状況が往々にしてあり、いま、ブレーキペダルの操作によりキャリパ内に所定圧(駐車ブレーキに必要な液圧)より高い液圧が供給されている状況下で駐車ブレーキを作動させてしまうと、駐車ブレーキ解除時にそれを上回る高い液圧を液圧手段からキャリパ内に供給しなければならないことになる。すなわち、液圧手段からキャリパ内に供給する液圧を高くする分、その液圧上昇までに時間がかかり、駐車ブレーキ解除に要する時間が延長するようになる。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、ブレーキペダルの操作に伴って発生する液圧に左右されることなく、常に所定の液圧で駐車ブレーキをかけることができるようにし、もって駐車ブレーキの解除に要する時間が不用意に延長するのを防ぐことができるディスクブレーキ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構と、駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記キャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ブレーキペダルが操作されている場合、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記キャリパ内の液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させることを特徴とする。
上記のように構成したディスクブレーキ装置においては、制御手段が、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ブレーキペダルが操作されている場合に、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、キャリパ内の液圧が所定圧の状態で駐車ブレーキ機構を作動させるので、駐車ブレーキ解除時に液圧手段からキャリパ本体内に供給する液圧を所定圧以上に高める必要はなく、したがって、駐車ブレーキの解除に要する時間が不用意に延長することはなくなる。
また、請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載のディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が所定圧まで降下してから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、請求項1に記載の発明の作用効果に加え、ブレーキペダルの操作に伴う液圧が所定圧まで降下するのを待ってから所定圧を保持するので、液圧手段による積極的な減圧制御は不要になり、その分、制御が簡単となる。
また、請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載のディスクブレーキ装置において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、請求項1に記載の発明の作用効果に加え、液圧手段の積極的な減圧制御により所定圧とするので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
また、請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載のディスクブレーキ装置において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が降下し始める際の現状液圧が保持されるように前記液圧手段を制御し、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、請求項1に記載の発明の作用効果に加え、ブレーキペダルの操作が不安定で該操作に伴う液圧が変動しても、確実に所定圧に保持して駐車ブレーキを確立することができる。
また、請求項5に記載の発明は、上記請求項1乃至4のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が所定圧より低い場合に、所定圧の液圧がキャリパ内に供給されるように液圧手段を増圧制御することを特徴とする。この場合は、液圧手段を増圧制御することで確実に所定圧で駐車ブレーキ機構を作動させることができ、駐車ブレーキを安定して確立できる。
さらに、請求項6に記載の発明は、上記請求項1乃至5の何れか1項に記載の発明において、前記液圧手段は、液圧を発生させる機構を持つブレーキシステム内の液圧制御ユニットを共用することを特徴とする。この場合は、ブレーキシステム内の液圧制御ユニットの有効利用により特別の液圧手段を設ける必要がなくなる。
上記課題を解決するため、請求項7に記載の発明は、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパが車両の各輪に設けられ、車両の各輪に設けられた前記キャリパのうち少なくとも1つのキャリパには、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構が設けられ、該駐車ブレーキ機構を有するキャリパの液圧を検出する液圧検出手段と前記ブレーキぺダルの操作を検出するペダル操作検出手段と駐車ブレーキ指示信号を出力する駐車ブレーキスイッチとが接続される制御手段が設けられ、該制御手段は、前記駐車ブレーキスイッチからの駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記駐車ブレーキ機構を有するキャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させるディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、前記駐車ブレーキスイッチから駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ペダル操作検出手段により前記ブレーキペダルが操作されていることを検出した場合、前記ペダル操作検出手段が前記ブレーキペダル操作の終了を検出した後に、前記液圧検出手段の検出した液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させることを特徴とする。この場合は、上記した請求項1に記載の発明と実質的に同じ作用効果を奏する。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が所定圧まで降下してから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、上記した請求項2に記載の発明と実質的に同じ作用効果を奏する。
また、請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、上記した請求項3に記載の発明と実質的に同じ作用効果を奏する。
また、請求項10に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。この場合は、上記した請求項4に記載の発明と実質的に同じ作用効果を奏する。
上記課題を解決するため、請求項11に記載の発明は、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構と、駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記キャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたときに前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合には、前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行わないようにしたことを特徴とする。
また、請求項12に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、該液圧が前記所定圧まで降下して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする。
また、請求項13に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧まで降下した後、該所定圧の状態が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、該液圧が前記所定圧より低い基準圧まで降下した後、前記液圧手段を作動して前記所定圧まで昇圧して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明は、上記請求項11、12または14に記載の発明において、前記制御手段は、前記所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行うように前記電動アクチュエータを作動している状態で、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えた場合、前記駐車ブレーキ機構の前記電動アクチュエータの作動を停止することを特徴とする。
また、請求項16に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させ、該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうこと特徴とする。
また、請求項17に記載の発明は、上記請求項16に記載の発明において、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧まで降下した後、該所定圧の状態が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする。
また、請求項18に記載の発明は、上記請求項11に記載の発明において、前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、前記減圧手段を作動して該液圧が前記所定圧より低い基準圧まで降下した後、前記液圧手段を作動して前記所定圧まで昇圧して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうこと特徴とする。
また、請求項19に記載の発明は、上記請求項11乃至18のいずれか1項に記載の発明において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧より低い場合に、所定圧の液圧がキャリパ内に供給されるように液圧手段を増圧制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るディスクブレーキ装置によれば、ブレーキペダルの操作に伴って発生する液圧に左右されることなく、常に所定の液圧で駐車ブレーキをかけることができるので、駐車ブレーキの解除に要する時間が不用意に延長することはなくなり、装置に対する信頼性が大きく向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係るディスクブレーキ装置を含むブレーキシステムの構造を示す系統図である。
【図2】本ディスクブレーキ装置を構成する電動式駐車ブレーキ機構付きディスクブレーキの構造を示す断面図である。
【図3】本電動式駐車ブレーキ機構付きディスクブレーキの一部を断面として示す正面図である。
【図4】本ディスクブレーキ装置を構成する液圧手段の構造を示す回路図である。
【図5】本ディスクブレーキ装置における第1の制御例を示すフローチャートである。
【図6】第1の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図7】第1の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図8】本ディスクブレーキ装置における第2の制御例を示すフローチャートである。
【図9】第2の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図10】第2の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図11】本ディスクブレーキ装置における第3の制御例を示すフローチャートである。
【図12】第3の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図13】第3の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図14】本ディスクブレーキ装置における第4の制御例を示すフローチャートである。
【図15】第4の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図16】第4の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図17】本ディスクブレーキ装置における第5の制御例を示すフローチャートである。
【図18】第5の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図19】第5の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の他の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【図20】本ディスクブレーキ装置における第6の制御例を示すフローチャートである。
【図21】第6の制御例におけるキャリパ内液圧変化に対応した各種機器の作動タイミングを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るディスクブレーキ装置を含む全体のブレーキシステムを示したものである。同図中、1、1aは車両の各輪に配置されたディスクブレーキで、特に1は、車両の後輪(RL,RR)に配置された電動式駐車ブレーキ機構付きディスクブレーキ(以下、PKB付きディスクブレーキという)である。また、2は、PKB付きディスクブレーキ1に供給する液圧を調整する液圧手段、3は、ブレーキペダル4の操作に応じて液圧を発生するマスタシリンダである。マスタシリンダ3は、ここではタンデム型として構成されており、このマスタシリンダ3から延ばされた2系統の主ブレーキ液通路5、5´が、前記液圧手段2を経て各ディスクブレーキ1、1aに接続されている。ディスクブレーキ1、1aは、ここでは右前輪FRと左後輪RL、左前輪FLと右後輪RRとが組になるように、すなわちX型回路配分となるように前記主ブレーキ液通路5、5´から分岐した分岐通路5a、5a´にそれぞれ接続されている。
【0010】
6は、別途設置された制御装置(制御手段)であり、これには、ブレーキペダル4の操作を検出するブレーキランプスイッチ7、駐車ブレーキ指示信号を出力する駐車ブレーキスイッチ(例えば、押釦等)8および各PKB付きディスクブレーキ1内の液圧を検出する液圧センサ9から信号が入力されるようになっている。各PKB付きディスクブレーキ1には、後に詳述する駐車ブレーキ機構を作動させるための電動モータ(電動アクチュエータ)10が外付けされており、制御装置6は、前記入力された信号に基づいて前記PKB付きディスクブレーキ1内の液圧が所定圧となるように前記液圧手段2を制御し、かつ前記電動モータ10の作動を制御する。
【0011】
各PKB付きディスクブレーキ1は、図2、3によく示されるように、ディスクロータ11を挟んでその両側に配置された一対のパッド12,13と、この一対のパッド12,13をディスクロータ11の両面に押圧させて制動力を発生するキャリパ14とを備えている。本ディスクブレーキ1は、キャリパ浮動型として構成されており、前記一対のパッド12,13およびキャリパ14は、車両の非回転部(例えば、ナックル等)にボルト止めされたキャリア15(図3)にディスクロータ11の軸方向へ移動可能に支持されている。
【0012】
より詳しくは、各パッド12,13は、その両側に設けた左右の耳部16をキャリア15の左右の支柱部15aの内側に対向して設けたガイド溝17に嵌合させることにより、該キャリア15に摺動可能に支持されている(図3)。また、キャリパ14は、その左右のアーム部14aにボルト18を用いて取付けたガイドピン(図示略)を前記キャリア15のブリッジ部15b内に設けたガイド穴(図示略)に嵌入させることにより、該キャリア15に摺動可能に支持されている。なお、図3中、19はキャリア15を前記車両の非回転部にボルト止めするためのねじ孔であり、キャリア15の左右二箇所に設けられている。
【0013】
キャリパ14の主体であるキャリパ本体20は、車両内側のパッド(インナパッド)12に対向する基端側にシリンダ部21を、車両外側のパッド(アウタパッド)22に対向する先端側に爪部22をそれぞれ有している。シリンダ部21には、インナパッド12側を開口部となし、他端が底壁21aにより閉じられた有底のシリンダ23が形成されており、このシリンダ23内には、ピストンシール24を介してピストン25が摺動可能に内装されている。ピストン25は、ここではカップ形状をなし、その底部がインナパッド12に対向するようにシリンダ23内に収められている。このピストン25とシリンダ底壁21aとの間は液圧室26として画成されており、この液圧室26には、前記主ブレーキ液通路5、5´から分岐した分岐通路5a、5a´(図1)を通じてマスタシリンダ3から液圧が供給されるようになっている。ピストン25は、その底面に設けた凹部25aにインナパッド12の背面に設けた凸部12aを係合させることにより回り止めされている。また、ピストン25の底部とキャリパ本体20との間には、シリンダ23内への異物の浸入を防ぐダストブーツ27が介装されている。
【0014】
本実施形態において、上記キャリパ本体20の後端には、ハウジング28が複数のボルト29により固定されており、このハウジング28内とキャリパ本体20のシリンダ部21内には、シリンダ底壁21aを挟んで駐車ブレーキ機構30が配設されている。駐車ブレーキ機構30は、シリンダ23内からシリンダ底壁21aに設けた貫通孔31を挿通してハウジング28内に一端側が延ばされ、ピストン25のカップ部内に位置する他端側に雄ねじ32を有するシャフト33と、ピストン25のカップ部内に配置され、内面の雌ねじ34を前記シャフト33の雄ねじ32に噛合わせたナット35と、ハウジング28内に配設され、前記電動モータ10(図1)により駆動されて、前記シャフト33を回転させる歯車機構(減速機構)36とから概略構成されている。なお、シリンダ底壁21aの貫通孔31の内面にはシャフト33との間をシールするシール部材37が配設されており、これによりシリンダ23内の液圧室26の液密が維持されている。
【0015】
上記シャフト33は、シリンダ23の軸線上に配置されており、その中間部が、シリンダ底壁21aの両側に配置した2つの軸受(スラスト軸受)38と39とにより回動可能に支持されている。シャフト33の中間部にはシリンダ23内に配置した一方の軸受38に当接可能なフランジ部40が設けられると共に、ハウジング28内まで延ばされたその一端部にはダブルナット41を螺合可能なねじ部42が設けられており、シャフト33は、そのねじ部42にダブルナット41を締込むことにより2つの軸受38と39に対して強固に軸方向へ拘束されている。
【0016】
シャフト33に噛合うナット35は、ピストン25の内面にシール部材43を介して摺動可能に嵌合されている。ナット35はまた、その後端に設けたフランジ部44に軸方向へ延ばして植立したピン45を、ピストン25に設けた軸方向のピン穴46に摺動可能に嵌入させることにより、その回転が規制されている。ナット35は、シャフト33の回転に応じて直動し、そのフランジ部44をピストン25の後端に当接させて該ピストン25に推進方向の押圧力を加える。また、ナット35の先端開口部には蓋板47が装着され、さらに、ピストン25には、該ピストン25の内底と前記蓋板47を含むナット35の先端との間のエアを抜くためのエア抜孔48が半径方向に貫設されている。
【0017】
一方、シャフト33を回転させる歯車機構36は、電動モータ10の回転軸50に固定されたウォーム51と、シャフト33の一端部にキー52を介して回転不能に取付けられると共に、前記ウォーム51に噛合わされたウォームホイール53とからなっている。ウォームホイール53は、前後一対の軸受54を介してハウジング28に回動可能に支持されている。本実施形態において、電動モータ10は、図3によく示されるように、ハウジング28の外面の下側にボルト55を用いて固定され、その回転軸50は、ハウジング28内を横断して下側から上方向へ延ばされている。前記回転軸50の先端部は、ハウジング28を貫通してその外部(上部)に延出されており、その延出端部50aは、回転治具の把持に適するように二面幅加工されている。この二面幅加工された回転軸50の延出端部50aは、常時はキャップ56により覆われている。なお、図2は、中心線の上側と下側とを異なる切り口(断面)で示している。
【0018】
上記のように構成されたPKB付きディスクブレーキ1は、通常ブレーキすなわちサービスブレーキとして作動する際には、電動モータ10が停止状態にあり、ブレーキペダル4の操作に応じてマスタシリンダ3からキャリパ14内の液圧室26に液圧が供給される。すると、電動モータ10の停止によりナット35が不動となっていることから、ピストン25のみが推進してインナパッド12をディスクロータ11に押圧し、その反力でキャリパ本体20が車両内側へ移動する。そして、この時の反力でキャリパ本体15が車両内側へ移動し、その爪部22がアウタパッド13をディスクロータ11の他面に押圧し、これによってディスクロータ11が一対のパッド12,13により挟まれ、液圧に応じた制動力が発生する。一方、この状態から液圧室26の液圧が解放されると、ピストンシール24の弾性復元力によりピストン25が後退し、これに応じて一対のパッド21,22がディスクロータ20から離間し、ブレーキが解放される。
【0019】
駐車ブレーキとして作動させる場合は、前記駐車ブレーキスイッチ8の操作に応じて制御装置6から液圧手段2に制御信号が出力され、キャリパ14内の液圧室26に液圧手段2から所定圧の液圧が供給される。そして、この液圧供給によってピストン25が推進し、通常ブレーキ時と同様に所定の制動力が発生する。一方、前記液圧室26への液圧供給の開始とほぼ同時に制御装置6からの指令で電動モータ10が起動される。すると、歯車機構36を介してシャフト33が回転し、ナット35が直動(前進)してそのフランジ部44がピストン25の後端に当接し、ピストン25を推進方向へ押圧する。その後、電動モータ10が停止されるとほぼ同時に制御装置6からの指令で液圧手段2内の回路が切換えられ、液圧室26の液圧が解放される。この時、ピストン25から受ける軸力で、雄ねじ32と雌ねじ34との噛合部に大きな摩擦力が発生しており、また歯車機構36が非可逆性となっているので、シャフト33の回転が阻止され、ナット35はその位置に保持される。すなわち、電動モータ10を停止させかつ液圧を解放しても、駐車ブレーキ機構30によってピストン25は制動位置に機械的に保持され、これによって駐車ブレーキが確立する。
【0020】
駐車ブレーキを解除するには、液圧手段2から液圧室26に液圧を供給するとほぼ同時に電動モータ10を逆方向に回転させる。すると、歯車機構36を介してシャフト33が回転し、ナット35が後退しようとする。しかし、駐車ブレーキ時を超えるピストン推力が得られるまでキャリパ14内の液圧室26の液圧が高まるまで(所定圧となるまで)は、雄ねじ32と雌ねじ34との非可逆性および歯車機構36の非可逆性によってシャフト33の回転が阻止される。そして、駐車ブレーキ時を超えるピストン推力が得られるまで液圧が高まると、ピストン25からナット35にかかる軸力が急減し、これに合せてシャフト33が回転し、これによってナット35が後退する。その後は、ナット35が元の位置に戻ると同時に電動モータ10の回転が停止され、続いて液圧手段2によって液圧室26内の液圧が解放され、これにて駐車ブレーキは完全に解除される。
【0021】
なお、駐車ブレーキ中、万一電動モータ10が故障した場合は、液圧室26に液圧を供給した後、ハウジング28の外部に突出している回転軸50の延出端部50aに適宜の回転治具を係合させて、外部から回転軸50を強制的に回転させる。これにより歯車機構36を介してシャフト33が回転し、ナット35が後退して駐車ブレーキが解除される。すなわち、手動で簡単に駐車ブレーキを解除することができる。
【0022】
本実施形態において、上記液圧手段2としては、ビークルダイナミクスコントロールシステム、アンチロックブレーキシステム、トラクションコントロールシステム等のブレーキシステム内の液圧制御ユニットが共用されており、したがって、以下では、この液圧手段を液圧制御ユニットとして説明する。この液圧制御ユニット2は、図4に示されるよう、前記マスタシリンダ3からディスクブレーキ1側へ延ばされた2系統の主ブレーキ液通路5、5´の途中に、常開の主電磁切換弁60、60´とマスタシリンダ3側への逆流を阻止する逆止弁61、61´とを並列に介装している。また、各主ブレーキ液通路5、5´から各PKB付きディスクブレーキ1に分岐された分岐通路5a、5a´の途中に、常開の供給用電磁切換弁62、62´とディスクブレーキ1側への流動を阻止する逆止弁63、63´とを並列に介装している。
【0023】
また、主電磁切換弁60、60´よりも上流側(マスタシリンダ3側)となる主ブレーキ液通路5、5´の途中部位に一端が接続され、他端が分岐通路5a、5a´の分岐部位に接続された副ブレーキ液通路64、64´が設けられている。この副ブレーキ液通路64、64´には、常閉の副電磁切換弁65、65´とポンプ66、66´とが介装されている。なお、ポンプ66、66´は、ここでは1つのモータ66Mを共用して作動するようになっている。さらに、各PKB付きディスクブレーキ1に通じる分岐通路5a、5a´の途中部位に一端が接続され、他端がポンプ66、66´の吸入側となる副ブレーキ液通路64、64´の途中に接続されたブレーキ液戻し通路67、67´が設けられている。ブレーキ液戻し通路67、67´には、常閉の減圧用電磁切換弁68、68´とリザーバ69、69´とが介装されている。
【0024】
上記のように構成された液圧制御ユニット2においては、通常ブレーキ時には、図示のように主電磁切換弁60、60´および供給用電磁切換弁62、62´が開弁状態を維持し、かつ減圧用電磁切換弁68、68´が閉弁状態を維持しているので、ブレーキペダル4の操作でマスタシリンダ3に発生した液圧は、主ブレーキ液通路5、5´および分岐通路5a、5a´を経て、前記のディスクブレーキ1aおよび後輪のPKB付きディスクブレーキ1のキャリパ14内に供給され、上記したように液圧に応じた制動力が発生する。
【0025】
また、制動中、何れかのディスクブレーキ1、1aに対する液圧を減少させる必要が生じた場合(アンチロックブレーキ制御、ビークルダイナミクス制御等)は、対応するディスクブレーキ1、1aに通じる供給用電磁切換弁62、62´が閉じられると共に減圧用電磁切換弁68、68´が開かれる。これにより対応するディスクブレーキ1、1aのキャリパ14内のブレーキ液がブレーキ戻し通路67、67´を経てリザーバ69、69´に蓄えられると共に、制御終了時に常閉の副電磁切換弁65、65´が開弁し、リザーバ69、69´内のブレーキ液がマスタシリンダ3へ戻される。
【0026】
また、非制動中または制動中に、ディスクブレーキ1、1aに対する液圧を増大させる必要が生じた場合(トラクション制御、ビークルダイナミクス制御等)は、主電磁切換弁60、60´が閉に、副電磁切換弁65、65´が開にそれぞれ切換えられる。また、これと同時にモータ66Mによりポンプ66、66´の運転が開始され、これにより対応するディスクブレーキ1、1aのキャリパ14内にブレーキ液が供給され、キャリパ14内の液圧が増加する。
【0027】
さらに、何れかのディスクブレーキ1、1a内の液圧を保持する必要が生じた場合には、主電磁切換弁60、60´を閉に切換えた状態で、対応するディスクブレーキ1、1aに通じる供給用電磁切換弁62、62´を閉じる(このとき、減圧用電磁切換弁68、68´は閉状態)。これによりディスクブレーキ1、1aに供給された液圧はそのまま保持される。なお、例えば、逆止弁63、63´のラインを省略し、供給用電磁切換弁62、62´を閉じることでディスクブレーキ1、1a内の液圧を保持できるシステム構成であれば、主電磁切換弁60、60´を閉に切換える必要はない。
【0028】
駐車ブレーキを作動させる場合は、前記駐車ブレーキスイッチ8の操作に応じて制御装置6から液圧制御ユニット2に制御信号が出力され、主電磁切換弁60、60´が閉に、副電磁切換弁65、65´が開にそれぞれ切換えられる。また、これと同時にモータ66Mによりポンプ66、66´の運転が開始されて、ディスクブレーキ1のキャリパ14内の液圧室26に液圧が供給され、この液圧供給によってピストン25が推進し、制動力が発生する。しかして、この液圧は液圧センサ9によって監視されており、制御装置6は、液圧センサ9からの信号に基づいて該液圧が所定圧となったところで、ディスクブレーキ1、1aに通じる供給用電磁切換弁62、62´を閉じる。これによってキャリパ14内の液圧室26は所定圧の液圧に保持され、この結果、所定の制動力が維持される。
【0029】
一方、上記キャリパ14内への液圧供給の開始とほぼ同時に制御装置6からの指令でディスクブレーキ1の電動モータ10が起動され、これによって駐車ブレーキ機構30を構成するナット35が直動(前進)してピストン25を推進方向へ押圧する。ピストン25は、事前の液圧供給で所定の制動位置で停止しており、この停止状態のピストン25をナット35が押圧することで、電動モータ10の電流がピークに達し、電動モータ10はストールに達する。本実施形態においてはこのモータ電流を監視しており、電動モータ10がストールに達した時点で、電動モータ10が停止される。また、この電動モータ10の停止とほぼ同時に、制御装置6からの指令でポンプ66、66´が停止するとともに、液圧制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62、62´が閉じて減圧用切換弁68、68´が開き、キャリパ14内のブレーキ液がブレーキ戻し通路67、67´を経てリザーバ69、69´に戻され、これによって前記したように駐車ブレーキが確立する。
【0030】
なお、駐車ブレーキの解除は、液圧制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62、62´が開に、減圧用切換弁68、68´が閉にそれぞれ切換えられると同時に、ポンプ66、66´の運転が再開されることで行われ、これによりキャリパ14内に所定圧の液圧が供給される。一方、この液圧供給に合せて駐車ブレーキ機構30を構成する電動モータ10が逆方向に回転駆動され、ナット35が後退して制動力が解除される。その後は、液圧制御ユニット2内の回路切換えでキャリパ14内の液圧が解放され、さらにポンプ66、66´の運転が停止され、これにて駐車ブレーキの解除は終了する。
【0031】
ところで、ブレーキペダル4の操作によりキャリパ14内に駐車必要液圧(駐車状態を維持するブレーキ力を発生するのに必要な液圧)より高い液圧が供給されている状況下で駐車ブレーキを作動させてしまうと、前記したように駐車ブレーキ解除時にそれを上回る高い液圧を液圧制御ユニット2からキャリパ14内に供給しなければならない。本実施形態においては、このような弊害を避けるため、常に所定の液圧で駐車ブレーキをかけるように制御している。なお、上記駐車必要液圧は、一定値であってもよいが、車両の駐車状態、例えば、坂道に停車の場合には平坦な路面に停車の場合に比して上記駐車必要液圧を高めに設定するように可変値としてもよい。
【0032】
以下、ブレーキペダル4が操作されている最中に駐車ブレーキを作動させる場合の制御方法を図5〜13も参照して説明する。なお、以下では、説明の便宜のため、液圧制御ユニット2については、一方のブレーキ系統のみについて説明する。また、図中、液圧変化を表すグラフ内の細線は、ブレーキペダルの操作に伴う液圧変化を示している。
【0033】
図5〜7は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第1の制御例を示したものである。この場合は、図5および6に示されるように、ステップS1で駐車ブレーキスイッチ(PKB SW)8がオン(ON)されて駐車ブレーキ指示信号が入力されると、ステップS2でブレーキランプスイッチ(BLS)7がオンされているか否かが判断され、続いてステップS3でキャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される。ここで、所定圧Psは上記駐車必要液圧と同じ液圧に設定してもよいし、ある程度の許容範囲を待たせるために上記駐車必要液圧よりも少し高めの液圧に設定するようにしてもよい。そして、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上であれば、次のステップS4でその液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され、液圧が所定圧Psまで降下していれば、次のステップS5で主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0034】
その後、ステップS6で、ブレーキペダルの操作の終了を検出するために、ブレーキランプスイッチ7がオフ(OFF)されたことが確認されると、次のステップS7でディスクブレーキ1側の電動モータ10が起動(正回転)され、駐車ブレーキ機構30が作動してナット35が前進し、ピストン25を推進方向へ押圧する。そして、電動モータ10がストールに達したことの確認で(S8)、電動モータ10が停止され(S9)、さらに、液圧制御ユニット2内の減圧用切換弁68が開いてキャリパ14内の液圧が解放され(S10)、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、ブレーキペダル4の操作に伴う液圧が所定圧まで降下するのを待ってから所定圧Psを保持するので、液圧制御ユニット2による積極的な減圧制御は不要になり、その分、制御が簡単となる。
【0035】
ここで、上記ステップS3でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS11に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで増加させる(図7)。そして、該液圧が所定圧Psになったことの確認で(S4)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持し(S5)、上記ステップS6に処理を移す。また、上記ステップS2でブレーキランプスイッチ7がオンされていないことを確認した場合は、処理をステップS12に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を増加させる。そして、該液圧が所定圧Psになったことの確認で(S13)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持し(S14)、上記ステップS7に処理を移す。なお、上記図7において、キャリパ14内の液圧が所定圧Psになる際に、該液圧が一旦所定圧Psよりもわずかに大きくなった後に所定圧Psになるのは、供給用電磁切換弁62を閉弁したときの液圧センサ9の過渡的な特性を示したものであり、以後の制御例についても同様である。
【0036】
図8〜10は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第2の制御例を示したものである。この場合は、図8および9に示されるように、第1の制御例と同様に駐車ブレーキスイッチ8がオンされたとき(S21)、ブレーキスイッチ7がオンされていれば(S22)、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される(S23)。そして、ステップS23で所定圧Ps以上と判断されると、次のステップS24で制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62が閉、減圧手段である減圧用切換弁68が開に切換えられる。これによりキャリパ14内の液圧が減少し、次のステップS25でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで減少したことが確認される。すると、次のステップS26で主電磁切換弁60および減圧用切換弁68を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0037】
その後は、第1の制御例と同様に、ブレーキランプスイッチ7がオフされた確認で(S27)、ディスクブレーキ1側の電動モータ10が正回転され(S28)、さらに電動モータ10がストールに達したことの確認で(S29)、電動モータ10が停止(S30)およびキャリパ14内の液圧解放(S31)が行われ、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、液圧制御ユニット2の積極的な減圧制御によりキャリパ14内を所定圧Psとするので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
【0038】
ここで、上記ステップS23でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS32に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで増加させる。そして、次のステップS33でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで増加したことを確認したら、処理を上記ステップS26に戻し、その液圧を保持する(図10)。一方、上記ステップS22で、ブレーキランプスイッチ7がオンされていないことを確認した場合は、処理をステップS34に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を増加させる。そして、該液圧が所定圧Psになったことの確認で(S35)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持し(S36)、上記ステップS28に処理を移す。
【0039】
なお、上記第2の制御例においては、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上の場合、制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62および減圧用切換弁68(減圧手段)の切換えにより、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで減少させたが、これに代えて、所定圧より低い基準圧Pk(所定圧Ps>基準圧Pk>所定圧Psの1/2程度)まで液圧を降下させた後、前記所定圧まで昇圧して該所定圧Psに保持するようにしてもよい。
【0040】
図11〜13は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第3の制御例を示したものである。この場合は、図11および12に示されるように、第1の制御例と同様に駐車ブレーキスイッチ8がオンされたとき(S41)、ブレーキランプスイッチ7がオンされていれば(S42)、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される(S43)。そして、次のステップS44でキャリパ14内の液圧が降下側に移行しているか否かが判断され、降下側に移行していれば、次のステップS45で主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま現状液圧に保持される。
【0041】
その後、ステップS46で、ブレーキペダルの操作の終了を検出するために、ブレーキランプスイッチ7がオフされたことが確認されると、次のステップS47で液圧制御ユニット2内の減圧用切換弁68が開に切換えられる。これによりキャリパ14内の液圧が減少し、次のステップS48でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで減少したことが確認されると、次のステップS49で主電磁切換弁60および減圧用切換弁68が閉に切換えられ、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。すると、次のステップS50でディスクブレーキ1側の電動モータ10が起動(正回転)され、駐車ブレーキ機構30が作動してナット35が前進し、ピストン25を推進方向へ押圧する。そして、電動モータ10がストールに達したことの確認で(S51)、電動モータ10が停止され(S52)、さらに、液圧制御ユニット2内の減圧用切換弁68が開いてキャリパ14内の液圧が解放され(S53)、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、ブレーキペダル4の操作が不安定で該操作に伴う液圧が変動しても、確実に所定圧に保持して駐車ブレーキを確立することができる。
【0042】
ここで、上記ステップS43でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS54に移し、液圧制御ユニット2内の主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで増大させ、そのままブレーキペダル4の操作に伴うキャリパ14内の液圧上昇を待つ(図13)。また、上記ステップS42でブレーキランプスイッチ7がオンされていないことを確認した場合は、処理をステップS55に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を増加させる。そして、該液圧が所定圧Psになったことの確認で(S56)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持し(S57)、上記ステップS50に処理を移す。
【0043】
なお、上述の各制御例では、ステップS1、S21、S41において、駐車ブレーキ指示信号として駐車ブレーキスイッチ(PKB SW)8のオン(ON)の信号を用いたが、これに限らず、ブレーキペダルが長時間踏み込まれた状態が継続したときに制御装置から自動で駐車ブレーキをかけるように指示する信号等であってもよい。
また、ステップS6,S27,S46において、ブレーキペダルの操作の終了を検出するためにブレーキランプスイッチ7がオフされたかを確認するとしたが、これに限らず、イグニッションスイッチがオフになったことや、トランスミッションがPレンジとなったことにより、ブレーキペダルの操作の終了を検出してもよい。さらに、ブレーキランプスイッチ7がオフとなってから所定時間経過したときに、ブレーキペダルの操作が終了としたと判断してもよい。
また、上記ステップS10、S31、S53において、減圧用切換弁68による液圧解除処理に代えて、または、上記各ステップの処理と合わせて、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開にそれぞれ切換えることで、キャリパ14内の液圧を解放するようにしてもよい。
【0044】
上記第1〜第3制御例では、ブレーキペダル4が操作されている最中に駐車ブレーキを作動させる場合の制御方法として、ブレーキペダルの操作終了を待ってその後に駐車ブレーキを確立するようにしたが、本発明は、ブレーキペダルの操作終了を待たないでまたはブレーキペダルの操作終了と同時に駐車ブレーキを確立するようにしてもよいものである。以下に、この場合の制御方法を説明する。なお、ブレーキペダルの操作終了を待たないようにする場合には、図1のブレーキシステムにおいて、マスタシリンダ3またはその主ブレーキ液通路5、5´のマスタ液圧を検出するマスタ液圧センサ3a、3a´を設ける(なお、以下の説明では一方の系統のマスタ液圧センサ3aのみについて説明する)。
【0045】
図14〜16は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第4の制御例を示したものである。この場合は、図14および15に示されるように、ステップS61で駐車ブレーキスイッチ(PKB SW)8がオン(ON)されると、ステップS62でキャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される。そして、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上であれば、次のステップS63でその液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され、液圧が所定圧Psまで降下していれば、次のステップS64で主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0046】
その後、ステップS65で、ディスクブレーキ1側の電動モータ10が起動(正回転)され、駐車ブレーキ機構30が作動してナット35が前進し、ピストン25を推進方向へ押圧する。そして、電動モータ10がストールに達したことの確認で(S66)、電動モータ10が停止される(S66A)。そして、次のステップS67でマスタ液圧センサ3で検出されたマスタ液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され、マスタ液圧が所定圧Psまで降下していれば、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開いてキャリパ14内の液圧が解放され(S68)、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、ブレーキペダルの操作終了を待たないで駐車ブレーキを確立するので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
【0047】
ここで、上記ステップS62でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS69に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を所定圧Psまで増加させる(図16)。そして、該液圧が所定圧Psになったことを確認し(S63)、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、該液圧を所定圧Psに保持する(S64)。また、上記ステップS66で電動モータ10がストールに達していないと判断された場合は、処理をステップS70に移してマスタ液圧センサ3で検出されたマスタ液圧が所定圧Psより大きいか否かが判断される。そして、液圧が所定圧Psより大きい場合には、ステップS70Aで電動モータ10が停止され、ステップS70Bで主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開にそれぞれ切換えて液圧の保持を解除する処理を行い、ステップS62に戻され、一方、液圧が所定圧Psより大きくない場合はステップS64に戻される。このように電動モータ10が起動しているときに、マスタ液圧センサ3のマスタ液圧が所定圧Psより大きいか否かを判定して所定圧Psより大きい場合に電動モータ10が停止し、液圧の保持を解除することで、キャリパ14内の液圧をマスタシリンダ3のマスタ液圧と同じくすることができると共に、所定圧Ps以上で駐車ブレーキがかかってしまい、駐車ブレーキ解除時に高い液圧を供給する必要も生じないようにすることができる。
【0048】
図17〜19は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第5の制御例を示したものである。この場合は、図17および18に示されるように、ステップS71で駐車ブレーキスイッチ8がオン(ON)されると、ステップS72でキャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される。そして、ステップS72で所定圧Ps以上と判断されると、次のステップS73で制御ユニット2内の供給用電磁切換弁62が閉、減圧手段である減圧用切換弁68が開に切換えられる。これによりキャリパ14内の液圧が減少し、次のステップS74でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで減少したことが確認される。すると、次のステップS75で主電磁切換弁60および減圧用電磁切換弁68を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0049】
その後は、第4の制御例と同様に、ディスクブレーキ1側の電動モータ10が正回転され(S76)、さらに電動モータ10がストールに達したことの確認で(S77)、電動モータ10が停止する。(S77A)そして、マスタ液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され(S78)、マスタ液圧が所定圧Psまで降下していれば、キャリパ14内の液圧解放(S79)が行われ、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、液圧制御ユニット2の積極的な減圧制御によりキャリパ14内を所定圧Psとするので、制御例4よりもさらに可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
【0050】
ここで、上記ステップS72でキャリパ14内の液圧が所定圧Psに達していないことを確認した場合は、処理をステップS80に移し、主電磁切換弁60を閉、副電磁切換弁65を開にそれぞれ切換える共に、モータ66Mによりポンプ66を作動させ、キャリパ14内の液圧を増加させ、さらにステップS81でディスクブレーキ1側の電動モータ10が正回転させる。そして、次のステップS82でキャリパ14内の液圧が所定圧Psまで増加したことを確認したら、次のステップS83でその液圧を保持し、処理を前記ステップS77に戻す。
【0051】
図20〜21は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、ブレーキペダル4が操作されていて、その操作に伴うキャリパ14内の液圧が発生している場合の第6の制御例を示したものである。この場合は、図20および21に示されるように、ステップS91で駐車ブレーキスイッチ(PKB SW)8がオン(ON)されると、ステップS92でキャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上か否かが判断される。そして、キャリパ14内の液圧が所定圧Ps以上であれば、次のステップS93でその液圧が所定圧Psより低い基準圧Pk(所定圧>基準圧>所定圧の1/2程度)まで降下したか否かが判断される。このS93で液圧が基準圧Pkまで降下していれば、次のステップS94でポンプ66が運転され、ステップS65で、ディスクブレーキ1側の電動モータ10が起動(正回転)され、駐車ブレーキ機構30が作動してナット35が前進し、ピストン25を推進方向へ押圧する。この間に、ステップS96で、すぐに液圧が所定圧Psまで増加したか否かが判断され、所定圧Psに達した時点で、ステップS97で主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を閉にそれぞれ切換えることにより、キャリパ14内の液圧がそのまま所定圧Psに保持される。
【0052】
その後、そして、電動モータ10がストールに達したことの確認で(S98)、電動モータ10が停止され(S99)、さらに、マスタ液圧が所定圧Psまで降下したか否かが判断され(S100)、マスタ液圧が所定圧Psまで降下していれば、主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開いてキャリパ14内の液圧が解放され(S101)、これにて駐車ブレーキが確立する。この場合は、ブレーキペダルの操作終了を待たないで駐車ブレーキを確立するので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。ステップS102の別処理は、第5の制御例(図17)のステップS80〜S83と同様である。
【0053】
上記第4〜第6制御例では、ブレーキペダルの操作終了を待たないで駐車ブレーキを確立するようにしているので、可及的速やかに駐車ブレーキをかけることができる。
【0054】
なお、上記第4〜第6制御例では、ステップS68、S79、S101の液圧解除の条件としてステップS67、S78、S100でマスタ液圧が所定圧Psまで降下したこととしたが、これに代えて、第1〜第3制御例のように、ステップS6等のブレーキペダルの操作の終了を表すブレーキランプスイッチ7がオフ(OFF)されたことを検出したときにステップS68、S79、S101の液圧解除の処理を行なうようにしてもよい。このようにすれば、ブレーキペダルの操作終了と同時に駐車ブレーキを確立することができる。
【0055】
また、上記第4〜第6制御例では、ステップS68、S79、S101の液圧解除の処理を主電磁切換弁60および供給用電磁切換弁62を開くことにより行なっているが、これに代えて、または、上記各ステップの処理と合わせて、液圧制御ユニット2内の減圧用切換弁68を開くことで、キャリパ14内の液圧を解放するようにしてもよい。
【0056】
さらに、上記第1〜第6制御例では、駐車ブレーキ機構の電動アクチュエータとして図2、図3に示すように電動モータ10を用いたが、これに限らず、例えば、特開2006−17193号公報にみられるような電磁ソレノイドを用いたものでもよく、また、駐車ブレーキ機構自体もピストンに液圧を供給してブレーキをかけた後に電動アクチュエータによりピストンを機械的に制動位置に保持させるものであれば、図2、図3に示すものに限らなくてもよい。同様に図4の液圧手段の構造を示す回路構成も図4に示すものに限るものではない。
【符号の説明】
【0057】
1…電動式駐車ブレーキ機構付きディスクブレーキ、2…液圧手段(液圧制御ユニット)、3…マスタシリンダ、4…ブレーキペダル、6…制御装置(制御手段)、7…ブレーキランプスイッチ、8…駐車ブレーキスイッチ、9…液圧センサ、10…電動モータ、11…ディスクロータ、12,13…パッド、14…キャリパ、25…ピストン、30…駐車ブレーキ機構、60,60´…主電磁切換弁、62,62´…供給用電磁切換弁、65,65´…副電磁切換弁、66,66´…ポンプ、68,68´…減圧用電磁切換弁、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構と、駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記キャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ブレーキペダルが操作されている場合、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記キャリパ内の液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が所定圧まで降下してから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項3】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項4】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が降下し始める際の現状液圧が保持されるように前記液圧手段を制御し、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が所定圧より低い場合に、所定圧の液圧がキャリパ内に供給されるように液圧手段を増圧制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項6】
前記液圧手段は、液圧を発生させる機構を持つブレーキシステム内の液圧制御ユニットを共用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項7】
有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパが車両の各輪に設けられ、車両の各輪に設けられた前記キャリパのうち少なくとも1つのキャリパには、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構が設けられ、該駐車ブレーキ機構を有するキャリパの液圧を検出する液圧検出手段と前記ブレーキぺダルの操作を検出するペダル操作検出手段と駐車ブレーキ指示信号を出力する駐車ブレーキスイッチとが接続される制御手段が設けられ、該制御手段は、前記駐車ブレーキスイッチからの駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記駐車ブレーキ機構を有するキャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させるディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、前記駐車ブレーキスイッチから駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ペダル操作検出手段により前記ブレーキペダルが操作されていることを検出した場合、前記ペダル操作検出手段が前記ブレーキペダル操作の終了を検出した後に、前記液圧検出手段の検出した液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項8】
前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が所定圧まで降下してから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項7に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項9】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項7に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項10】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記駐車ブレーキ機構を有するキャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が前記ブレーキペダルの操作によって降下し始める際の現状液圧が保持されるように前記液圧手段を制御し、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項7に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項11】
ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構と、駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記キャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたときに前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合には、前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行わないようにしたことを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、該液圧が前記所定圧まで降下して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする請求項11に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧まで降下した後、該所定圧の状態が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項12に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、該液圧が前記所定圧より低い基準圧まで降下した後、前記液圧手段を作動して前記所定圧まで昇圧して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする請求項11に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行うように前記電動アクチュエータを作動している状態で、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えた場合、前記駐車ブレーキ機構の前記電動アクチュエータの作動を停止することを特徴とする請求項11、12または14に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項16】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させ、該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする請求項11に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧まで降下した後、該所定圧の状態が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項16に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項18】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、前記減圧手段を作動して該液圧が前記所定圧より低い基準圧まで降下した後、前記液圧手段を作動して前記所定圧まで昇圧して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうこと特徴とする請求項11に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項19】
前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧より低い場合に、所定圧の液圧がキャリパ内に供給されるように液圧手段を増圧制御することを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項1】
ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構と、駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記キャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ブレーキペダルが操作されている場合、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記キャリパ内の液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が所定圧まで降下してから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項3】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項4】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が降下し始める際の現状液圧が保持されるように前記液圧手段を制御し、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が所定圧より低い場合に、所定圧の液圧がキャリパ内に供給されるように液圧手段を増圧制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項6】
前記液圧手段は、液圧を発生させる機構を持つブレーキシステム内の液圧制御ユニットを共用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項7】
有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパが車両の各輪に設けられ、車両の各輪に設けられた前記キャリパのうち少なくとも1つのキャリパには、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構が設けられ、該駐車ブレーキ機構を有するキャリパの液圧を検出する液圧検出手段と前記ブレーキぺダルの操作を検出するペダル操作検出手段と駐車ブレーキ指示信号を出力する駐車ブレーキスイッチとが接続される制御手段が設けられ、該制御手段は、前記駐車ブレーキスイッチからの駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記駐車ブレーキ機構を有するキャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させるディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、前記駐車ブレーキスイッチから駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記ペダル操作検出手段により前記ブレーキペダルが操作されていることを検出した場合、前記ペダル操作検出手段が前記ブレーキペダル操作の終了を検出した後に、前記液圧検出手段の検出した液圧が所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構を作動させることを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項8】
前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が所定圧まで降下してから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項7に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項9】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記液圧検出手段で検出された液圧が所定圧を超えている場合に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項7に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項10】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記駐車ブレーキ機構を有するキャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合に、該液圧が前記ブレーキペダルの操作によって降下し始める際の現状液圧が保持されるように前記液圧手段を制御し、前記ブレーキペダルの操作が終了した後に、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させてから、該所定圧が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項7に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項11】
ディスクを挟んでその両側に配置される一対のパッドと、有底のシリンダ内に摺動可能に配設したピストンをブレーキペダルの操作に伴う液圧供給によって推進し、前記一対のパッドをディスクに押圧させて制動力を発生するキャリパと、電動アクチュエータを駆動源として作動し、液圧手段から前記キャリパ内への液圧供給により推進したピストンを液圧解放後も機械的に制動位置に保持させる駐車ブレーキ機構と、駐車ブレーキ指示信号により前記液圧手段を作動させて前記キャリパへ所定圧の液圧を供給させると共に前記ピストンを制動位置に保持させるように前記駐車ブレーキ機構を作動させる制御手段と、を備えたディスクブレーキ装置において、前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたときに前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合には、前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行わないようにしたことを特徴とするディスクブレーキ装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、該液圧が前記所定圧まで降下して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする請求項11に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧まで降下した後、該所定圧の状態が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項12に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項14】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、該液圧が前記所定圧より低い基準圧まで降下した後、前記液圧手段を作動して前記所定圧まで昇圧して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする請求項11に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行うように前記電動アクチュエータを作動している状態で、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えた場合、前記駐車ブレーキ機構の前記電動アクチュエータの作動を停止することを特徴とする請求項11、12または14に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項16】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が所定圧を超えている場合、前記減圧手段を作動して該液圧を所定圧まで減少させ、該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうことを特徴とする請求項11に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項17】
前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧まで降下した後、該所定圧の状態が保持されるように前記液圧手段を制御することを特徴とする請求項16に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項18】
前記キャリパ内の液圧を減圧する減圧手段を有し、前記制御手段は、前記キャリパ内の液圧が前記所定圧を超えている場合、前記減圧手段を作動して該液圧が前記所定圧より低い基準圧まで降下した後、前記液圧手段を作動して前記所定圧まで昇圧して該所定圧の状態で前記駐車ブレーキ機構による前記ピストンの制動位置への保持を行なうこと特徴とする請求項11に記載のディスクブレーキ装置。
【請求項19】
前記制御手段は、駐車ブレーキ指示信号が入力されたとき、前記キャリパ内の液圧が所定圧より低い場合に、所定圧の液圧がキャリパ内に供給されるように液圧手段を増圧制御することを特徴とする請求項11乃至18のいずれか1項に記載のディスクブレーキ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−131510(P2012−131510A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88388(P2012−88388)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2007−220210(P2007−220210)の分割
【原出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2007−220210(P2007−220210)の分割
【原出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】
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