説明

ディスク装着の位置決め装置

【課題】円形ディスクと異形ディスクのいずれであってもクランプミスを生じることのないディスク装着の位置決め装置を提供する。
【解決手段】装置全体は、基本機構部1、連結機構部2、可動機構部3およびディスク搬送部4で構成される。基本機構部1には、光ピックアップと回転駆動部が設けられ、その両側部にはガイドピン2bを有する連結機構部2を介して可動機構部3が支持される。この可動機構部3にチャッキング機構部10が設けられ、その全体を下方向に駆動して装着結合状態にできる。チャッキング機構部9の上部には、光学的に位置検出する部材と電気回路が設けられ、ディスク取付孔とターンテーブルの軸心の合致を光学的に検出できたときにディスクをターンテーブルに結合させて所望の再生もしくは記録を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク装着の位置決め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音楽、映像、文字、画像、コンピュータプログラム等々の情報を記録、及び/または再生し得るディスクは、再生専用や記録再生兼用のCDやDVDとして広く普及していて、このようなディスクを回転駆動するディスクドライブ装置に、ディスクを装着して所望の再生、および/または記録をする場合には、当該ディスクの中心に形成された取付孔をターンテーブルに正確に位置決めした状態で結合させる必要がある。
【0003】
このようなディスク装着を行なう場合には、主として次の3つの形式があり、第1の形式としては、ターンテーブルの中心にディスク取付孔を直接に結合させた後に回転駆動させるものであり、第2の形式は、ディスクをトレイに載せた状態でターンテーブルの上位まで搬送し、当該ディスクの取付孔とターンテーブルを結合させた後に回転駆動させるものであり、第3の形式は、スロットイン形式と称されるように、ディスクドライブ装置の前面パネル等に開口した挿入口にディスクの先端を挿入すると、それ以降はディスク搬送用の電動ローラ等の作動によってディスクの取付孔がターンテーブルの上位に位置決めされた部位まで搬送され、しかる後に当該ディスクの取付孔とターンテーブルを結合させて回転駆動するものである。
【0004】
一方、これらのディスクは、その開発当初においては直径が12cmに規格化された標準ディスクのみであったが、その後の多様なユーザー要求に応えるために、直径が約8cmの小径ディスクが出現しこれらのディスク外形は正確な円形を呈した円形ディスクであった。
【0005】
そして、このような円形ディスクの発展形として、直径が約8cmの円形ディスクの両側部をカットし、その幅を縦長名詞の横幅にほぼ等しくし、その縦幅を約8cmとし、名詞形のケースに収納できるようにした名刺形ディスクが出現し、さらにその発展形としてディスク外形を星型にしたり、ハート形にしたディスクが出現した。
【0006】
なお、本明細書においては、外形が円形を呈するディスクを円形ディスクと総称し、そのうちの直径が12cmのディスクを標準ディスクと称し、8cmのディスクを小径ディスクと称し、一方、外形が星形等の非円形であるディスクを異形ディスクと総称する。
【0007】
さて、上述の第1及び第2の形式のディスクドライブ装置においては、円形ディスクと異形ディスクのいずれであっても特段の問題がなく対応させることができるものの、第3の形式のディスクドライブ装置においては、標準ディスクと小径ディスクの両方に対応させるために特別の工夫がなされている。
【0008】
即ち、標準ディスクと小径ディスクの両方に対応できるディスクドライブ装置におけるディスク装着の位置決め装置の従来例は、例えば、[特許文献1]にも開示されているようにその基本原理は図8に示すようになっている。
【0009】
図8に示すように、ディスクの中心に形成された取付孔をターンテーブルの回転軸心Xまで所定の移動方向(図8紙面の下位から上位)に搬送するに際し、その搬送中心線を境にして左右対称に案内円弧穴22、24を配置し、それぞれに被駆動ピン23、25を係合させ、被駆動ピン23、25のそれぞれを搬送中心線の方向に小さな付勢力を常時に与え、かつディスクの先端部分が当接することによって、当該付勢力に抗して移動されるように構成することによって被駆動ピン23、25の両方によってディスクのセンターが搬送中心線に一致するように移動(誘導)される。
【0010】
また、搬送中心線の延長上には案内直線穴26が形成されこれに被駆動ピンが係合され自由状態で回転軸心X方向に小さな付勢力が印加され符号27aで示す位置に移動されたときに小径ディスクであると判定され、符号27bで示す位置に移動されたときに標準ディスクであると判定される。なお、この判定には被駆動ピン23の現在位置と被駆動ピン25の現在位置も加味してなされる。
【0011】
従って、図示しないディスク搬送によって小径ディスクが搬送されるときには、符号D1aとして実線で示すようにその先端部分が被駆動ピン23、25によって符号23a、25aのように搬送中心線に位置決めされ、さらに搬送されることによってその先端が符号27aで示すように被駆動ピンに突き当てられる。
【0012】
このときの被駆動ピン23、25の位置(23b、25b)と被駆動ピンの位置(27a)の相関によって小径ディスクの取付孔が回転軸心Xに一致されたと判断され(破線で示す小径ディスクの符号D1b参照)、しかる後に小径ディスクの取付孔が回転軸心Xに結合され、所望の回転駆動を与えることができる。
【0013】
一方、図示しないディスク搬送によって標準ディスクが搬送されるときには、符号D2aとして示すようにその先端部分が被駆動ピン23、25によって符号23a、25aのように搬送中心線に位置決めされ、さらに搬送されることによってその先端が符号27aで示すように被駆動ピンに突き当てられ、さらに符号27bで示す位置まで移動される。
【0014】
このときの被駆動ピン23、25の位置(23c、25c)と被駆動ピンの位置(27b)の相関によって標準ディスクの取付孔が回転軸心Xに一致されたと判断され(破線で示す小径ディスクの符号D2b参照)、しかる後に標準ディスクの取付孔が回転軸心Xに結合され、所望の回転駆動を与えることができる。
【特許文献1】特開2003−123360号公報(図1ないし図5、[0011]ないし[0017]に開示)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来のディスク装着の位置決め装置は、ディスクが装置内に搬送されることに伴って被駆動ピン等々の部材を移動させ、その移動位置に応じて標準ディスクであるか小径ディスクであるかの判定を機構部材の組み合わせで行い、ディスクの取付孔が回転軸心に一致したときにディスクを回転軸に結合しているため、機構が複雑であると共にその寸法公差も厳格なものが要求されるため部品コストが著しく高くなってしまうという問題がある。
【0016】
また、これらの機構部品の組み立てにも高度の技能が要求され、微妙な位置調整を行なう必要があり、これに伴って組み立て調整の工数が増加するため最終的に得られる製造コストも高くなってしまうという問題もある。
【0017】
さらに、直径が12cmの標準ディスクと、直径が8cmの小径ディスクについては適正な状態でターンテーブルに結合させることができるものの、規格よりも直径の小さいディスク、例えば直径が10cmのディスクや6cmのディスクにおいては、当該の取付孔とターンテーブルの軸心の位置がずれてしまうのでクランプミスを起こしてしまうという問題もある。
【0018】
一方、異形ディスクを使用しようとする場合には、当該異形ディスクの取付孔とターンテーブルの軸心とを位置決めすることができず、場合によっては関連各部品に対し異常状態で挟み込まれてしまい、アンローディングができない状態になってしまい、故障品としてサービス会社に持ち込んで修理依頼しなければならず、場合によってはディスクが挟み込まれるときに重要なデータが記録されているディスクそのものを損傷させてしまう虞がある。
【0019】
そこで、本発明は、簡単な機構で構成部品の点数を少なくでき、その寸法公差も特別に厳格なものが要求されず、これらの機構部品の組み立てにも高度の技能が要求されたり微妙な位置調整を行なう必要がなく、これと同時に、標準ディスク、小径ディスク、これらとは直径が異なる円形ディスクのいずれであってもクランプミスを生じることのない、ディスク装着の位置決め装置を提供することを第1の目的とする。
【0020】
また、異形ディスクを用いる場合であっても、当該異形ディスクの取付孔とターンテーブルの軸心とを位置決めすることができ、関連各部品に対し異常状態で挟み込まれてしまうことがなく、ディスクそのものを損傷させることのないディスク装着の位置決め装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述の課題を解決するため、本発明によるディスク装着の位置決め装置は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0022】
(1)情報再生、及び/または情報記録し得るディスクを、回転駆動用のターンテーブルの盤面に並行する面内で、該ターンテーブルの方向に搬送し、前記ディスクの中心に形成された取付孔部を前記ターンテーブルの上位に位置させた後に、前記取付孔部と前記ターンテーブルを結合させて該ディスクを回転駆動させ得るディスクドライブ装置において、
前記ターンテーブルに向かって搬送される前記ディスクの移動に伴って、該ディスクの両縁部のそれぞれに当接させ、該ディスクの取付孔部の中心が搬送基準軸に合致するような押圧状態で該ディスクを移動させる案内機構部と、
前記ターンテーブルの上位に前記ディスクの取付孔部が位置することを光学的に検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって前記ターンテーブルの上位に前記ディスクの取付孔部が位置したことが検出されたときに、前記ターンテーブルと前記ディスクを結合させるチャッキング機構部と、
を具備するディスク装着の位置決め装置。
(2)前記案内機構部は、前記搬送基準軸を境にして対称に配置された複数の押圧部材によって該ディスクの取付孔部の中心を前記搬送基準軸に合致させるような押圧状態で該ディスクを移動させるように構成する上記(1)のディスク装着の位置決め装置。
(3)前記案内機構部は、前記ディスクの縁部を保持すると共に、前記搬送基準軸方向と該搬送基準軸に交差する方向の2方向に移動させて、該ディスクの取付孔部の中心を前記搬送基準軸に合致させるように構成する上記(1)のディスク装着の位置決め装置。
(4)前記位置検出部は、前記ターンテーブルの頭部に向かって投光する発光部と、前記ターンテーブルからの反射光を受ける受光部と、該受光部の出力が前記ディスクの搬送に伴って変化することに基づき、前記取付孔部が前記ターンテーブルの上位の所定位置に存在すると判断する判定部とを有して構成する上記(1)のディスク装着の位置決め装置。
(5)前記位置検出部の前記受光部における受光領域は、前記ターンテーブルの中心部からの反射光成分を受光するように設定する上記(4)のディスク装着の位置決め装置。
(6)前記位置検出部の前記受光部における受光領域は、前記ターンテーブルの前記基準中央軸に直交する方向の反射光成分を受光するように設定する上記(4)のディスク装着の位置決め装置。
(7)前記位置検出部の前記受光部における受光領域は、前記ターンテーブルの前記基準中央軸に並行する方向の反射光成分を受光するように設定する上記(4)のディスク装着の位置決め装置。
(8)前記位置検出部は、前記ターンテーブルの頭部に形成された光反射部材を含んで構成し、前記判定部は、前記ディスクの取付孔部が上記ターンテーブル方向に搬送されることに伴ない、前記受光部の出力が所定値まで上昇することに基づき、前記ターンテーブルの上位の所定位置に前記取付孔部が位置すると判断するように構成する上記(4)ないし(7)のいずれかのディスク装着の位置決め装置。
(9)前記位置検出部は、前記ターンテーブルの頭部に形成された光吸収板を含んで構成し、前記判定部は、前記ディスクの取付孔部が上記ターンテーブル方向に搬送されることに伴ない、前記受光部の出力が所定値まで低下することに基づき、前記ターンテーブルの上位の所定位置に前記取付孔部が位置すると判断するように構成する上記(4)ないし(7)のいずれかに記載のディスク装着の位置決め装置。
(10)前記案内機構部によって前記ディスクが搬送されるに伴って得られる前記受光部の出力変化が、所定の関係を満たさなかったときには、前記ディスクの前記取付孔部が前記ターンテーブルの上位に位置できないものと判定し、当該ディスクを装置外に強制的に排出する強制排出機構を付加して設ける上記(1)ないし(9)のいずれかのディスク装着の位置決め装置。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるディスク装着の位置決め装置は、ターンテーブルの上位に搬送されるディスクが標準ディスクであるか小径ディスクであるかの判定を簡単な構成部品によって行なっていて、また、各部品の寸法公差も厳格なものが要求されないので部品コストを著しく低減できる。
【0024】
また、機構部品の組み立てには高度の技能が要求されず、微妙な位置調整も必要とされず、これに伴って組み立て調整の工数が大幅に減少されるため最終的に得られる製造コストを著しく低減させることができる。
【0025】
さらに、直径が12cmの標準ディスクと、直径が8cmの小径ディスクについては、12または8cm以外の円形ディスクにおいても、ディスクの取付孔とターンテーブルの軸心の位置を合致させることができ、汎用性の高いディスク装着の位置決め装置とすることができる。
【0026】
一方、異形ディスクを使用しようとする場合においても、従来装置のように関連各部品に対して異常状態で挟み込まれてしまうことがなく、何らかの原因でディスクとの取付孔とターンテーブル軸心との合致がされなかった場合には、ディスクそのものを損傷させることなく強制的にアンローディングがなされるので重要なデータの破壊という事故を防止できる。
【実施例1】
【0027】
標準の直径を有する標準ディスクとこれより小径の小径ディスクのいずれであってもこれをスロット・イン形式で装置内に挿入して、情報再生することができるディスクドライブ装置に、本発明による装着位置決め装置を採用した例を[実施例1]として図1ないし図7を用いて説明する。
【0028】
ディスクドライブ装置の全体構成は、図1と図2に示すように、基本機構部1、連結機構部2、可動機構部3およびディスク搬送部4で構成され、基本機構部1には、光信号を読み取るための光ピックアップとその駆動制御用の回路基板(図示せず)とディスクを回転駆動するための回転機構部9が設けられると共に、その両側部にはガイドピン2bを有する連結機構部2を介して可動機構部3が支持されている。
【0029】
この可動機構部3にはチャッキング機構部10が設けられ、該可動機構部3の全体を符号aで示す上下駆動方向に駆動し得るよう構成され、案内直線穴2aによって案内されるガイドピンが符号2bの位置にされた退避状態と、符号2cの位置にされた装着結合状態との間を駆動できるように構成されている。
【0030】
可動機構部3の下位と基本機構部1の間には、ディスクDをスロット・イン形式でディスク搬送を行うディスク搬送部4が設けられ、その挿入口が基本機構部1の前方にディスク挿入開口を位置させて設けられ、ディスクDを図示しない電動ローラ機構によって挟み込んだ状態で装置内に引き込んでターンテーブル方向に向けて搬送したり、装置外にディスクDを排出できるように構成されている。
【0031】
このディスク搬送部4によるディスクDの直線駆動(搬送)の際には、図3に示すように、ディスクDが直径が8cmの小径ディスクD1aの場合(実線表示)には、その周面の先端の部分が被駆動ピン6と被駆動ピン8の両方に符号6a、8aで示すそれぞれの位置に当接する。
【0032】
この状態でさらに小ディスクD1aが押し込まれると、その移動につれて被駆動ピン6、8が案内円弧穴5、7のそれぞれで案内されながら符号6b、8bの位置、即ち符号D1bで示す位置(破線表示)のディスク装着位置まで移動される。
【0033】
ここで、小ディスクD1aが符号D1b(破線表示)の位置に到達する前にディスク取付孔の位置検出がなされ、その動作は、図4ないし図6に順次に示すようにして行われる。
【0034】
図4に示す状態は、ディスクDがディスク搬送部4が作動されることによって矢印c方向に移動開始してからターンテーブル12上にディスクDの先部分が到達した中間段階であり、ターンテーブル12の上部にディスクDが全く位置しない状態においては、発光部20から発せられる光束が反射板14によって反射され、その反射光が受光部21に入射されるので受光部21から図示しない検出回路部に出力される光出力は、図7に示す光出力軸の光出力V2のように図7に示す位置軸(水平軸)の基準点0から第1位置S1までの間となる。
【0035】
この状態から、さらにディスクDが矢印c方向に駆動されるとディスクDの先端部がターンテーブル12上に位置されて発光部20から発せられる光束がディスクDによって遮られ、発光部20からの光束が反射板14に達せず、これに伴って受光部21の出力が光出力V1に示すように低下する。
【0036】
この期間はディスクDの中心に形成された取付孔によって発光部20の光束が透過するまで(第2位置S2)まで継続し、さらにディスクDが押し込まれると第2位置S2の状態が継続する。
【0037】
この継続状態、即ち第2位置S2に対応する光出力V2は、発光部20からの光束が、ディスクDの取付孔を超えて当該ディスクDの根元方向に移動されて遮られるまで(第3位置S3)継続しそれ以降は光出力V1が維持される。
【0038】
従って、図4に示すようにディスクDの先端部で反射板14が遮られた状態から、さらにディスクDが矢印c方向に駆動され図5に示すように反射板14がディスクDの取付孔の部分によって露呈される位置において、ディスクDの取付孔が正規位置にされていると判定する。
【0039】
さて、発光部20からの光束がディスクDの取付孔によって遮られなくなった状態の露呈開始時点(第2位置S2)から遮られる状態が開始される第3位置S3までの間のいずれでターンテーブル12の回転中心とディスクDの取付孔の中心が一致したかという判定は、次のようにして行うことができる。
【0040】
即ち、ディスク搬送部4によって搬送されるディスクDの移動は、ディスクDの取付孔の直径値が規格によって厳格に決められているということを応用し、ステッピングモータ等の駆動源によって行われるディスクトレイ4の移動量を基準に考え、発光部20からの光束が遮られた状態にある状態(取付孔の外縁を介して反射板14に光が到達開始し、発光部20からの光束が取付孔を通じて通過される状態の開始時点(第2位置S2)におけるディスクDの位置から、搬送スピードに比例する移動距離が取付孔の中心に位置するまで移動したときにディスクDが正規位置に搬送されたものと判定されるのである。
【0041】
なお、ディスクDが搬送されるときの移動に伴なう受光部21から出力されるの信号変化は図7に示すように光出力V1と光出力V2の変化が急峻であるのは、ディスクDがその取付孔の開口以外の部分の面(記録面の反対面)が全て不透明な材質で形成されている場合であり、ディスクDの取付孔と実際の信号記録面の間に位置する部分が半透明もしくは透明であった場合には、その出力立上りと立下がりがなだらかなものとなるが、その特性変化のピーク値を検出することによって上述同様の位置検出を行うことができる。
【0042】
今まで説明した検出動作の例は、発光部20と受光部21の配列がディスクDの搬送方向(図2に示す符号bの方向および、図4に示す符号cの方向)に順次に配列されている動作例であり、換言すれば小径ディスクD1aの取付孔が図3の紙面の上下方向に配設されている例の動作であるが、発光部20と受光部21の配列を図3の紙面の左右方向に配設することも考えられる。
【0043】
この場合には、受光部21の光出力における図7に示す第2位置S2と第3位置S3の光出力V2が急峻には立上がらず、また立下がりも急峻にはならず、この性質であるので出力ピーク値に達したときにディスクDの取付孔がターンテーブル12の中心に位置していると判定することができる。
【0044】
さて、回転機構部9は、ディスクDに対して所定の回転駆動を与えるもので、その詳細構成は、図4に示すように、所定の電気制御の基に回転駆動される駆動軸11に円盤状のターンテーブル12の中心が固定され、その外方向に環状の薄肉板部が形成され、この薄肉板部がディスクDの装着時の回転基準平面とされ、また、そこにはディスクDの表面がターンテーブル12と接触される装着時に傷つけられることを防止するためと、駆動軸11の回転に伴ってディスクDが回転されるときの滑りを防止するための表面摩擦力を有するという2つの条件を満たした緩衝部材13が添着されている。この緩衝部材13は、ディスクDの板面を傷付けないようなフエルト生地もしくは合成樹脂でもって形成されている。
【0045】
回転機構部9の上位に位置するチャッキング機構部10は、可動機構部3の上面に設けられたもので、可動機構部3と一体もしくは別体の上下駆動板15の一部、即ち、回転機構部9のターンテーブル12に対向する部位に円形の開口が設けられ、その中にチャック16が保持されている。
【0046】
このチャック16の外縁寄りの部分には先端に爪部が形成された脱落防止片17が設けられ、上下駆動板15の開口に対してチャック16の全体が上下方向に所定距離を自由変位できる間隙と、当該開口の径方向に所定距離を自由変位できる間隙が設けられ、ターンテーブル12とチャック16によってディスクDが挟まれた状態でターンテーブル12と一体になってディスクDが回転されても上下駆動板15に対しては全く接触しない状態にされている。
【0047】
そして、ディスクDの取付孔の中心がターンテーブル12の駆動軸11の中心に位置されたことが前述のように検出されると、その時点でスイッチ信号が生成され、図2に示すような可動機構部3の全体がターンテーブル12方向に図示しないステッピンクモータ等の駆動源によって下降される。
【0048】
すると、図5に示す上下駆動板15の下降に伴い、チャック16がマグネット18の磁力によってターンテーブル12に吸着され、ターンテーブル12上に挟み込まれた状態で結合される。
【0049】
このとき、ディスクDの取付孔の中心が駆動軸11の中心と完全に一致せずに僅かにずれていても、そのずれは、案内傾斜面12aの存在により取付孔の内周面が固定面12bに正確に一致された状態にされることになる。
【0050】
なお、発光部20と受光部21によって行なわれる位置検出は、ターンテーブル12の頭部に反射板14を設けることによって具体的に構成されているが、反射板14の代わりに光吸収部材、例えば黒色の光トラップ等を設けることによって、ターンテーブル12と取付孔が合致したときには受光部21の出力が最低値となり、ディスク搬送中等の場合には出力が上昇するという性質を利用し、軸心合致の判定を行なうようにしても良い。
【0051】
また、[実施例1]ではディスク取付孔を搬送基準軸に合致させるために被駆動ピン6と被駆動ピン8によってディスクを中央寄りに移動させるように構成しているが、ディスクをディスク搬送部4のローラによって挟み込んで搬送するのではなく、ディスクの外縁を受けるローラを搬送基準軸の両側に1対もしくはこれ以上の対を設けた構成とし、通常(関係ディスクの場合)にはこの対のローラで搬送を行なってセンタリングを実行し、異形ディスクの場合には対のローラの間隔を保ったままディスク自体を左右(搬送基準軸に交差する方向)に移動し、この状態で合致判定ができない時には当該ディスクを少し戻した状態で左右に移動させるという動作を繰り返すことによって異形ディスクであっても軸合致した状態にすることができる。
【0052】
一方、何らかの原因でディスク取付孔とターンテーブルの軸心の合致判定ができなかった場合に備えて、チャッキング機構部による結合を行なわずに、ディスクを強制的に排出する強制排出機構を付加的に設けることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明によるディスク装着の位置決め装置を採用した[実施例1]の概略構造を示す上面図である。
【図2】図1に示されるディスクドライブ装置の側面図である。
【図3】図1および図2に示されるディスク装着の位置決め装置における標準ディスクと小径ディスクの搬送状態を示す平面図である。
【図4】ディスクをターンテーブルに結合させる動作の結合前状態を説明するための側断面図である。
【図5】ディスクをターンテーブルに結合させる動作の結合前状態を説明するための側断面図である。
【図6】ディスクをターンテーブルに結合させる動作の結合後の状態を説明するための側断面図である。
【図7】図4ないし図6中に示す受光部の出力状態の一例を示す特性図である。
【図8】従来のディスク装着の位置決め装置における標準ディスクと小径ディスクの搬送状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 基本機構部1
2 連結機構部2
2a 案内直線穴
2b ガイドピン
2c ガイドピン
3 可動機構部
4 ディスク搬送口
5 案内円弧穴
6 被駆動ピン
7 案内円弧穴
8 被駆動ピン
9 チャッキング機構部
10 回転機構部
11 駆動軸
12 ターンテーブル
12a 案内傾斜面
12b 固定面
13 緩衝部材
14 反射板
15 上下駆動板
16 チャック
17 脱落防止片
18 マグネット
19 取付板
20 発光部
21 受光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報再生、及び/または情報記録し得るディスクを、回転駆動用のターンテーブルの盤面に並行する面内で、該ターンテーブルの方向に搬送し、前記ディスクの中心に形成された取付孔部を前記ターンテーブルの上位に位置させた後に、前記取付孔部と前記ターンテーブルを結合させて該ディスクを回転駆動させ得るディスクドライブ装置において、
前記ターンテーブルに向かって搬送される前記ディスクの移動に伴って、該ディスクの両縁部のそれぞれに当接させ、該ディスクの取付孔部の中心が搬送基準軸に合致するような押圧状態で該ディスクを移動させる案内機構部と、
前記ターンテーブルの上位に前記ディスクの取付孔部が位置することを光学的に検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって前記ターンテーブルの上位に前記ディスクの取付孔部が位置したことが検出されたときに、前記ターンテーブルと前記ディスクを結合させるチャッキング機構部と、
を具備することを特徴とするディスク装着の位置決め装置。
【請求項2】
前記案内機構部は、前記搬送基準軸を境にして対称に配置された複数の押圧部材によって該ディスクの取付孔部の中心を前記搬送基準軸に合致させるような押圧状態で該ディスクを移動させるように構成することを特徴とする請求項1に記載のディスク装着の位置決め装置。
【請求項3】
前記案内機構部は、前記ディスクの縁部を保持すると共に、前記搬送基準軸方向と該搬送基準軸に交差する方向の2方向に移動させて、該ディスクの取付孔部の中心を前記搬送基準軸に合致させるように構成することを特徴とする請求項1に記載のディスク装着の位置決め装置。
【請求項4】
前記位置検出部は、前記ターンテーブルの頭部に向かって投光する発光部と、前記ターンテーブルからの反射光を受ける受光部と、該受光部の出力が前記ディスクの搬送に伴って変化することに基づき、前記取付孔部が前記ターンテーブルの上位の所定位置に存在すると判断する判定部とを有して構成することを特徴とする請求項1に記載のディスク装着の位置決め装置。
【請求項5】
前記位置検出部の前記受光部における受光領域は、前記ターンテーブルの中心部からの反射光成分を受光するように設定することを特徴とする請求項4に記載のディスク装着の位置決め装置。
【請求項6】
前記位置検出部の前記受光部における受光領域は、前記ターンテーブルの前記基準中央軸に直交する方向の反射光成分を受光するように設定することを特徴とする請求項4に記載のディスク装着の位置決め装置。
【請求項7】
前記位置検出部の前記受光部における受光領域は、前記ターンテーブルの前記基準中央軸に並行する方向の反射光成分を受光するように設定することを特徴とする請求項4に記載のディスク装着の位置決め装置。
【請求項8】
前記位置検出部は、前記ターンテーブルの頭部に形成された光反射部材を含んで構成し、前記判定部は、前記ディスクの取付孔部が上記ターンテーブル方向に搬送されることに伴い、前記受光部の出力が所定値まで上昇することに基づき、前記ターンテーブルの上位の所定位置に前記取付孔部が位置すると判断するように構成することを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のディスク装着の位置決め装置。
【請求項9】
前記位置検出部は、前記ターンテーブルの頭部に形成された光吸収板を含んで構成し、前記判定部は、前記ディスクの取付孔部が上記ターンテーブル方向に搬送されることに伴い、前記受光部の出力が所定値まで低下することに基づき、前記ターンテーブルの上位の所定位置に前記取付孔部が位置すると判断するように構成することを特徴とする請求項4ないし請求項7のいずれかに記載のディスク装着の位置決め装置。
【請求項10】
前記案内機構部によって前記ディスクが搬送されるに伴って得られる前記受光部の出力変化が、所定の関係を満たさなかったときには、前記ディスクの前記取付孔部が前記ターンテーブルの上位に位置できないものと判定し、当該ディスクを装置外に強制的に排出する強制排出機構を付加して設けることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のディスク装着の位置決め装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−185470(P2006−185470A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375239(P2004−375239)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】