説明

デジタル放送受信装置

【課題】緊急事態が発生した場合に、装置外部に特別な装置を必要とせずとも、ユーザが緊急事態の詳細な情報を短時間で入手できるデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】デジタル放送信号を受信し、受信したデジタル放送信号から緊急警報情報を取り出して取得する緊急警報情報取得部と、前記緊急警報情報取得部が取得した緊急警報情報が緊急事態発生を表している場合、ネットワーク通信により前記緊急事態に関連するサイトの情報を取得するネットワーク通信部と、前記ネットワーク通信部が取得した前記サイトの情報に基づき表示用信号を生成し表示部に出力する表示用信号生成部と、を備えたデジタル放送受信装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送受信装置に関し、特に、地震等の緊急事態発生時の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震等の緊急事態が発生した場合、テレビ放送において字幕でニュース速報を行うシステムがあるが、より詳細な情報を入手するにはユーザは臨時ニュース番組を探したり、インターネットに接続する必要があった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、放送サービス制御装置が、速報に関連付けられた関連データをインターネットを介して放送受信装置へ送信し、放送受信装置は、受信した関連データに基づき関連情報をモニタに表示させる放送サービス提供方法が開示されている。これによれば、地震等の緊急事態が発生した場合に、ユーザは緊急事態に関する詳細な情報を短時間で入手することはできる。
【0004】
また、例えば特許文献2には、地震観測装置からの検出信号に基づき地震の震源位置と大きさを推定し、警報が必要な地域を特定する解析装置と、解析装置の解析結果に応じて第1地震警報情報を生成して送出する警報装置と、入力された地震警報情報に含まれる警報地域情報をキーとして各端末装置のIPアドレスを特定し、特定されたIPアドレスの端末装置に対して第2地震警報情報を生成して送出するプロバイダサーバと、端末装置とを有した地震警報システムが開示されており、端末装置は、受信した第2地震警報情報に基づき所定の警報動作を行い、その後、地震情報サーバにアクセスしてより詳細な情報を取得できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−260646号公報
【特許文献2】特開2001−307265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、放送受信装置の外部に放送サービス制御装置といった特別な装置が必要であり、上記特許文献2でも、各端末装置の外部に解析装置や警報装置といった特別な装置がやはり必要であった。
【0007】
上記問題点を鑑み、本発明は、緊急事態が発生した場合に、装置外部に特別な装置を必要とせずとも、ユーザが緊急事態の詳細な情報を短時間で入手できるデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明のデジタル放送受信装置は、
デジタル放送信号を受信し、受信したデジタル放送信号から緊急警報情報を取り出して取得する緊急警報情報取得部と、
前記緊急警報情報取得部が取得した緊急警報情報が緊急事態発生を表している場合、ネットワーク通信により前記緊急事態に関連するサイトの情報を取得するネットワーク通信部と、
前記ネットワーク通信部が取得した前記サイトの情報に基づき表示用信号を生成し表示部に出力する表示用信号生成部と、を備えた構成とする。
【0009】
このような構成によれば、緊急事態が発生した場合、緊急事態発生を表す緊急警報情報を含んだデジタル放送信号を受信し、自動的にネットワーク通信により緊急事態に関連するサイトの情報を取得し、緊急事態に関連するサイトが表示部に表示されるので、装置外部に特別な装置を必要とせずともユーザは緊急事態の詳細な情報を短時間で入手できる。
【0010】
ここで、上記構成において、前記緊急警報情報は、災害警報情報であってもよい。さらに、前記災害警報情報は、地震動警報情報であってもよい。これにより、地震等の災害発生の場合に、ユーザが災害の詳細な情報を短時間で入手できる。
【0011】
また、上記いずれかの構成において、前記サイトの情報は、SNS(Social Network Service)の情報であってもよい。さらに、前記SNSの情報は、Twitter(登録商標)の情報であってもよい。これにより、ネットワーク利用者の投稿による緊急事態の詳細な情報を短時間で入手できる。
【0012】
また、上記いずれかの構成において、URL(Uniform Resource Locator)を含んだファームウェアをネットワークからダウンロードすることでファームウェアをアップデートすると共にURLを更新する更新部を備え、
前記緊急警報情報取得部が取得した緊急警報情報が緊急事態発生を表している場合、前記ネットワーク通信部は、前記更新されたURLにアクセスすることで前記緊急事態に関連するサイトの情報を取得する構成としてもよい。
【0013】
このような構成によれば、緊急事態に関連するサイトのURLが変更された場合でも、ファームウェアのアップデートと共にアクセス先のURLを更新するので、緊急事態に関連するサイトの情報を継続して取得することができる。
【0014】
また、上記いずれかの構成において、前記緊急警報情報取得部が取得した緊急警報情報が緊急事態発生を表している場合、装置の設置された地域を検出する地域検出部を備え、
前記緊急警報情報取得部が取得した緊急警報情報が緊急事態発生を表している場合、前記ネットワーク通信部は、予め登録されたサイトへアクセスし、前記検出された地域に応じたキーワードを検索用に送信し、検索された前記緊急事態に関連するサイトの情報を取得する構成としてもよい。
【0015】
このような構成によれば、装置を設置する地域に依らず、自動的に設置地域を検出し、設置地域の緊急事態に関連するサイトが表示されるので、利便性が高くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のデジタル放送受信装置によれば、緊急事態が発生した場合に、装置外部に特別な装置を必要とせずとも、ユーザが緊急事態の詳細な情報を短時間で入手できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタルテレビの概略構成を示す図である。
【図2】本発明に係る地震発生検出処理の一例に関するフローチャートである。
【図3】本発明に係る地震発生検出処理の別の一例に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。ここでは、本発明のデジタル放送受信装置として、デジタルテレビを一例として説明する。
【0019】
本発明の一実施形態に係るデジタルテレビの概略構成を図1に示す。図1に示すよう、本発明に係るデジタルテレビ100は、ダウンコンバータ2と、FFT(高速フーリエ変換)復調器3と、SP等化回路4と、デインタリーブ回路5と、誤り訂正回路6と、デコーダ7と、音声出力部8と、スピーカ9と、OSD(On Screen Display)部10と、映像出力部11と、ディスプレイ12と、AC復調/デコーダ13と、リモコン受光部14と、マイコン15と、フラッシュメモリ16と、ネットワークI/F(ネットワークインタフェース)17と、を備えており、ダウンコンバータ2にはアンテナ1が接続される。
【0020】
アンテナ1で受信した地上デジタル放送信号は、ダウンコンバータ2でベースバンドOFDM信号に変換され、FFT復調器3のFFT処理によってISDB−T_TSが復調される。このISDB−T_TSは、SP等化回路4、デインタリーブ回路5、誤り訂正回路6を経て元の放送TSに戻される。そして、デコーダ7は、放送TSから映像音声データを分離し、分離された映像音声データをデコードし、デコード後の音声信号を音声出力部8に出力し、デコード後の映像信号をOSD部10に出力する。
【0021】
音声出力部8は、入力された音声信号に対してD/A変換、音質調整等を行い、スピーカ9に音声信号を出力しスピーカ9から音声を発生させる。また、OSD部10は、OSD信号を生成し、デコーダ7から入力される映像信号にOSD信号を重畳して映像信号を生成し映像出力部11に出力する。映像出力部11は、入力された映像信号をディスプレイ12の表示に適した表示用信号に変換し、表示信号用をディスプレイ12に出力する。ディスプレイ12は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等で構成され、入力された表示用信号に基づき映像を表示する。
【0022】
また、AC復調/デコーダ13は、ISDB−T_TSのACキャリアを復調・デコードして、AC信号を取り出す。AC信号には、地震動警報情報(地上デジタル放送規格ARIB STD−B31で定義されるB17−18データ)が含まれる。
【0023】
リモコン受光部14は、不図示のリモコン装置からキー操作に対応するリモコン信号を受信し、受信したリモコン信号をコード信号に変換する。マイコン15は、デジタルテレビ100を統括的に制御し、フラッシュメモリ16を有する。フラッシュメモリ16は、ファームウェア等を格納する記憶装置である。ネットワークI/F17は、インターネット18と通信を行うインタフェースである。
【0024】
次に、以上のような構成である本発明に係るデジタルテレビ100の地震発生検出処理について図2のフローチャートを用いて説明する。
【0025】
まず、ステップS20で、マイコン15は、AC復調/デコーダ13で取り出されるAC信号に含まれる地震動警報情報が地震発生を表しているか否かを判定しており、地震が発生していなければ判定を継続し(ステップS20のN)、地震が発生していれば(ステップS20のY)、ステップS21へ進む。地震動警報情報が地震発生を表しているとは、具体的には、B17−18データが「00」のときである。
【0026】
ステップS21で、マイコン15の指示により、ネットワークI/F17が、フラッシュメモリ16に予め登録されたURL(Uniform Resource Locator)のサーバ19へアクセスを行う。そして、ステップS22で、マイコン15が、ネットワークI/F17を介してサーバ19からサイト表示データを取得すると、取得したデータに基づきOSD部10に指示を行い、OSD部10によりディスプレイ12にサイトが表示される。
【0027】
ここで、アクセスするサイトとしては、SNS(Social Network Service)の一つであるTwitter(登録商標)の地震関連サイトが望ましい。Twitterでは、ユーザの投稿が時系列順に表示され、地震関連サイトであれば地震関連の詳細な情報を入手できる。この場合、URLとしては、Twitterの地震関連サイトのURLを登録しておけばよい。
【0028】
なお、アクセスするサイトとしては、例えば、Twitter以外のSNS(例えば、Facebook(登録商標))でもよいし、気象庁の地震関連サイトでもよい。気象庁の地震関連サイトであれば、信頼度の高い公式な地震関連情報を入手できる。
【0029】
また、URLについては、工場出荷時にフラッシュメモリ16に格納されたURLを使用すればよいが、新たなURLを含んだファームウェアをインターネット18からダウンロードすることで、ファームウェアのアップデートをすると共にURLを更新してもよい。
【0030】
また、ディスプレイ12に表示されるOSD画面からユーザがリモコン装置によりURLを入力し、入力したURLをフラッシュメモリ16に登録できるようにしてもよい。
【0031】
また、サイトの表示は、放送画面にサイト画面を重畳させて表示させればよく、放送画面に比べてサイト画面は領域を小さくするとよい。
【0032】
次に、本発明に係るデジタルテレビ100の地震発生検出処理の別実施形態について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0033】
まず、ステップS30で、マイコン15は、AC復調/デコーダ13で取り出されるAC信号に含まれる地震動警報情報が地震発生を表しているか否かを判定しており、地震が発生していなければ判定を継続し(ステップS30のN)、地震が発生していれば(ステップS30のY)、ステップS31へ進む。
【0034】
ステップS31で、マイコン15は、デジタルテレビ100に割り当てられているIPアドレスから国を特定する。
【0035】
次に、ステップS32で、マイコン15の指示により、ネットワークI/F17が、フラッシュメモリ16に予め登録されたURLのサーバ19へアクセスを行う。ここでは、例えば、Twitterへアクセスすることが望ましい。そして、ステップS33で、マイコン15は、ステップS31で特定した国に応じた検索用キーワードをネットワークI/F17を介してサーバ19に送信する。ここで、検索用キーワードとしては、例えば、国名と地震関連の言葉とすればよい。
【0036】
すると、ステップS34で、サーバ19は、送信された検索用キーワードに基づきサイトの検索を行い、検索結果をネットワークI/F17を介してマイコン15に送り、マイコン15が検索結果を取得する。
【0037】
そして、ステップS35で、マイコン15は、取得した検索結果に基づきOSD部10に指示を行い、OSD部10によりディスプレイ12に検索されたサイトが表示される。
【0038】
これにより、デジタルテレビを設置した国を自動で検出し、その国の地震関連サイトが表示されるので、利便性が高い。
【0039】
以上のように、本発明によれば、地震が発生し、地上デジタル放送から地震発生を表す地震動警報情報を受信すると、自動的にインターネット通信により地震関連サイトを表示するので、デジタルテレビ外部に特別な装置を必要とせずに、ユーザは短時間で地震関連の詳細な情報を入手できる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々変更可能である。
【0041】
例えば、デジタル放送により受信するのは地震動警報情報に限らず、台風、津波、豪雨、火災等の災害警報情報としてもよいし、災害に限らず、その他の緊急警報情報でもよい。
【0042】
また、本発明のデジタル放送受信装置としては、デジタルテレビに限らず、ブルーレイディスクレコーダ、DVDレコーダ、HDDレコーダやセットトップボックス等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
100 デジタルテレビ
1 アンテナ
2 ダウンコンバータ
3 FFT復調器
4 SP等化回路
5 デインタリーブ回路
6 誤り訂正回路
7 デコーダ
8 音声出力部
9 スピーカ
10 OSD部
11 映像出力部
12 ディスプレイ
13 AC復調/デコーダ
14 リモコン受光部
15 マイコン
16 フラッシュメモリ
17 ネットワークインタフェース
18 インターネット
19 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送信号を受信し、受信したデジタル放送信号から緊急警報情報を取り出して取得する緊急警報情報取得部と、
前記緊急警報情報取得部が取得した緊急警報情報が緊急事態発生を表している場合、ネットワーク通信により前記緊急事態に関連するサイトの情報を取得するネットワーク通信部と、
前記ネットワーク通信部が取得した前記サイトの情報に基づき表示用信号を生成し表示部に出力する表示用信号生成部と、を備えたことを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記緊急警報情報は、災害警報情報であることを特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記災害警報情報は、地震動警報情報であることを特徴とする請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記サイトの情報は、SNS(Social Network Service)の情報であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記SNSの情報は、Twitter(登録商標)の情報であることを特徴とする請求項4に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
URL(Uniform Resource Locator)を含んだファームウェアをネットワークからダウンロードすることでファームウェアをアップデートすると共にURLを更新する更新部を備え、
前記緊急警報情報取得部が取得した緊急警報情報が緊急事態発生を表している場合、前記ネットワーク通信部は、前記更新されたURLにアクセスすることで前記緊急事態に関連するサイトの情報を取得することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のデジタル放送受信装置。
【請求項7】
前記緊急警報情報取得部が取得した緊急警報情報が緊急事態発生を表している場合、装置の設置された地域を検出する地域検出部を備え、
前記緊急警報情報取得部が取得した緊急警報情報が緊急事態発生を表している場合、前記ネットワーク通信部は、予め登録されたサイトへアクセスし、前記検出された地域に応じたキーワードを検索用に送信し、検索された前記緊急事態に関連するサイトの情報を取得することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−39301(P2012−39301A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176381(P2010−176381)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】