説明

デジタル画像相関法の解析条件を決定する方法及び装置

【課題】 時間とともに変化する状況にある対象物に関する計測、検査を行うに際して、対象物の状況に対して解析条件を適合させ、良好な解析結果を得る。
【解決手段】 測定装置による測定値から求められる対象物の変化特性値と、経時的にデジタルカメラで逐次撮影された複数の画像の解析による得られる変化特性値との相対誤差の適合範囲をパラメータとして決定し、対象物を逐次撮影した画像中の特定位置の公称画素移動量に対する相対誤差が適合範囲内となる画像を解析結果として取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル画像相関法の解析条件を決定する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷重を加えた際の材料の変形、物体表面の温度分布変化等に関する計測、検査を行うために、同じ対象物について変化が生じる状態で時間間隔をおいて複数の画像を撮影し、画像解析により対象物の変形の計測、検査を行うデジタル画像相関法が用いられている。画像相関法では、対象物の変化を検出するセンサーにより直接計測するのではなく、対象物の変化する状況を経時的に撮影し、時間間隔をおいた前後の複数の画像を対比し、画像解析することにより、対象物の変化に関する測定データを得ることになる。
【0003】
この画像解析を行うに際し、測定、検査等の対象物の種類、形態や測定、検査の状況に応じて個々の場合に画像の解析条件を決定することが必要になるが、従来では試行錯誤的な方法を用いており、これは経験的な要因が多くあるため、新たな対象物の種類、形態のものについて解析、評価が困難になる。
【0004】
デジタル画像相関法を用いて対象物の変化の測定、検査を行う例として、材料の引張試験の場合について、図1を参照して説明する。図1(a)に示す試験片における任意の計測点Aを含む部分(□の部分)を試験装置に対して固定された位置にあるデジタルカメラで経時的に撮影し、試験片に加える引張荷重が時間とともに一様に増大するような形で引張荷重を変化させていく場合を考える。ある時刻において図1(a)の試験片の□の部分における計測点Aが図1(b)に示す位置にあり、これを基準画像として、t秒後には試験片が伸びて、計測点が図1(c)におけるA′の位置になっているものとする。図1(a)、図1(b)では拡大して示してある。
【0005】
デジタル画像相関法による計測方法では、図1(b)の基準画像に対して、図1(c)のt秒後の画像において計測点Aがどの位置に移動したかを解析、評価することにより、任意の点の移動を計測する。画像のピクセル長さを単位として表した計測点Aの公称画素移動量は、試験片の引張速度と、撮影枚数とにより、
【0006】
【数1】

で表される。ここで、試験片の引張速度は、引張試験器における試験片を固定する側に対して引張る側が移動する速度である。ピクセル長さはデジタルカメラにより決まる量であるので、公称画素移動量は引張速度と撮影枚数に応じて変わることになる。引張速度を一定のものとすれば、公称画素移動量は撮影枚数に応じた変量になる。
【0007】
このようなデジタル画像相関法により、図2(a)のように金属等の弾性を有する均質な材料の試験片について引張試験を行う場合を考える。一般的にこのような材料には試験片の受ける応力が弾性限度以下における弾性変形域と、弾性限度を超えた場合の塑性変形域とがあり、試験片に加える引張荷重が時間とともに一様に増大するような形で引張荷重を変化させていく時に、図2(b)のように弾性変形域では時間当たりの試験片上の任意の点の移動量(試験片の変形量)が小さく、塑性変形域においては変形量が大きくなる。このような試験片を撮影した画像を同一の条件で解析することを考えると、図2(c)のように、変形が小さい弾性変形域では、全体として大きな部分を占める塑性変形域に影響されて、本来の一様な傾きの直線から外れて信頼性の低い結果となる。このように、デジタル画像相関法による評価解析では、画像フレーム毎の計測点の移動距離が大きすぎ、あるいは小さすぎると、信頼性の高い計測評価ができないことにもなる。
【0008】
また、弾性変形域、塑性変形域において、時間間隔をおいた前後の複数の画像を対比する際に、複数の画像の時間間隔によって、得られるデータに基づく解析結果では、直接計測して得られた結果に対し、誤差を含むことがあり、画像解析により精確なデータを得るためには、複数の画像をどのように設定するかというような画像解析に関する条件を的確なものとすることが必要であった。
【0009】
均質な材料からなる試験片の場合、引張試験の際に試験片の各部位は一様に変形するものであるが、複合材料からなる試験片の場合、試験片の部位により材質が異なり、試験片内部の局所的変形としてみれば変形量が一様でなくなる。図3は複合材料からなる試験片の引張試験の場合を示すものであり、例えば、図3(a)に示す試験片において、○の部位と□の部位とで材料の伸びの特性(ヤング率E、加工硬化指数n)が異なる場合に、試験片に加える引張荷重が時間とともに一様に増大するように引張荷重を変化させていくと、図3(b)のように部位により時間当たりの試験片の変形量が異なる。そのため、試験片中のある部分に関し良好になるように画像の解析条件を合わせると、他の部分に関して信頼性の高い解析評価が行えないことがある。すなわち、図3(c)のようにある部位については○印のように良好な解析がなされるが、×印のように点線で表される本来の値から外れたものとなる。このように試験片が複合材料からなるもののほか、試験片が材料組成としては一様であっても、内部に欠陥や介在物があることによっても、部位により時間当たりの試験片の変計量が異なることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように従来においては、画像の解析による材料の変形等のような、対象物に関する計測、検査を行うに際して、対象物の状況に対して解析条件を適合させることは考慮されておらず、良好な解析結果が得られないことがあった。そのため、対象物の状況に応じて最適な解析条件を設定し精度のよい解析を行うことが困難であった。そのため、精度のよい解析を行うために、対象物の状況に対して解析条件を最適化することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような課題を解決すべくなしたものであり、デジタル画像相関法の解析条件を決定する方法として、時間とともに変化する対象物を等時間間隔で継続する画像として経時的にデジタルカメラで撮影し、撮影された画像における対象物の変化が画像中の特定点の画素移動量によって特徴づけられる対象物の変化特性値を測定するデジタル画像相関法の解析条件を決定する方法であって、解析により得られる変化特性値と測定装置による測定値から求められた変化特性値との相対誤差の適合範囲を設定し、対象物の変化の速度をある時間内の撮影枚数で除した量をピクセル長さを単位として表したものを公称画素移動量として、時間的に前後する複数の画像中での公称画素移動量について解析により得られる変化特性値と測定装置による測定値から求められた変化特性値との相対誤差が前記設定された相対誤差の適合範囲となる公称画素移動量の範囲を適合パラメータとして決定することと、基準時点での画像を基準画像として取得し、基準画像よりも後に撮影された画像を変動画像として取得し、変動画像を基準画像と比較し、変動画像に対応する公称画素移動量についての相対誤差が設定された範囲内の相対誤差となる画像を選定し解析結果として取得することと、のステップからなるものである。
【0012】
対象物が材料の機械的試験片であり、変形する機械的試験片を撮影した画像から試験片の変形の特性を測定するものとしてもよい。
【0013】
前記機械的試験片が変形特性について不均一な部分を有するものである場合に、試験片の任意の複数の計測点に対して画素移動量の範囲を適合パラメータとして決定するようにしてもよい。
【0014】
また、本発明は、デジタル画像相関法の解析条件を決定する装置として、時間とともに変化する対象物を等時間間隔で継続する画像として経時的にデジタルカメラで撮影し、撮影された画像における対象物の変化が画像中の特定点の画素移動量によって特徴づけられる対象物の変化特性値を測定するデジタル画像相関法の解析条件を決定する装置であって、解析により得られる変化特性値と測定装置による測定値から求められた変化特性値との相対誤差の適合範囲を設定し、対象物の変化の速度をある時間内の撮影枚数で除した量をピクセル長さを単位として表したものを公称画素移動量として、時間的に前後する複数の画像中での公称画素移動量について解析により得られる変化特性値と測定装置による測定値から求められた変化特性値との相対誤差が前記設定された相対誤差の適合範囲となる公称画素移動量の範囲を適合パラメータとして決定する手段と、前記経時的に撮影して得られた複数の画像のうち基準時点での基準画像及びそれ以後の変動画像を取得する画像取得手段と、該画像取得手段により取得された変動画像を基準画像と比較して変動画像に対応する公称画素移動量についての相対誤差が設定された範囲内の相対誤差となる画像を選定し解析結果として取得する判定制御手段と、を備えてなるものでもある。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、変化する対象物を撮影した画像の解析により対象物の特性値について測定、検査するに際して、解析により得られる特性値とセンサーによる計測値から求められた特性値との相対誤差を設定範囲内にするように解析条件を決定するので、広範な対象物の状況に対して画像の解析の条件を適合させることができ、精度のよい解析を行うことができる。また、対象物の材質が均一でない複合的な組成のものであっても、各部位に対する解析を精度よく行うことが容易になされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
金属等の弾性材料からなる試験片に対して、引張試験を行って、デジタル画像相関法を用いて解析により得られた材料の特性である弾性変形域のヤング率E、塑性変形域の加工硬化指数nを、センサーによる計測値から求められたヤング率(E)、センサーによる計測値から求められた加工硬化指数(n)とそれぞれ対比した相対誤差を求めて、画像相関法により得られる結果を評価、検討する。なお、以下の説明において、「画像」はコンピュータによる解析処理が可能なデジタル画像であり、「画像解析」、「画像相関法」等は、デジタル画像についてのものである。
【0017】
図4は、弾性変形域において、横軸に公称画素移動量をとり、縦軸に画像相関法により得られたヤング率Eの相対誤差をとって、公称画素移動量に対してEの相対誤差がどのようになるかを示している。画像相関法により得られたヤング率Eの相対誤差(Δ)は、センサーを用いて直接計測された値から求められたヤング率(E)に対する相対誤差であり、
【0018】
【数2】

で表される。
【0019】
このグラフで、公称画素移動量が12.4(pixel/frame)以上では、誤差が比較的小さくなっている。これは式(1)での相対誤差からすれば、弾性変形域において直接計測された値から求めたヤング率(E)と公称画素移動量との差が大きくなっており、公称画素移動量が小さくなるにつれて計算誤差の影響が大きくなるためだと考えられる。
【0020】
図5は、塑性変形域において、横軸に公称画素移動量をとり、縦軸に加工硬化指数nの相対誤差をとって、公称画素移動量に対してnの相対誤差がどのようになるかを示している。加工硬化指数nの相対誤差(Δ)は、センサーを用いて直接計測された値から求めた加工硬化指数(n)に対する相対誤差であり、
【0021】
【数3】

で表される。
【0022】
図5の場合にも、公称画素移動量が小さい範囲、大きい範囲において相対誤差が大きくなり、公称画素移動量が10〜15程度の時に相対誤差が小さく、良好な解析がなされることがわかる。
【0023】
以上の結果から、
(ア)弾性変形域では、実際の画素移動量が公称画素移動量に比べてかなり小さいため、ある程度大きな公称画素移動量で解析しなければ、精度の高い計測ができない、
(イ)塑性変形領域では、実際の画素移動量と公称画素移動量の違いが小さいため、公称画素移動量で解析してもある程度精度の高い計測ができる。しかし、大きすぎる公称画素移動量での計測は、得られるデータ数が少ないため、信頼性の高い公称応力−公称歪み線図を得ることができない、
と言える。
【0024】
弾性変形域のヤング率Eの相対誤差、組成変形域の加工硬化指数nの相対誤差を重ねたグラフを図6に示す。図6から公称画素移動量が12〜15(pixel/frame)の時に、弾性変形域、塑性変形域とも精度の高い計測ができていることがわかる。
【0025】
前述のごとく、材料の引張試験のように試験片が変形する状況を逐次撮影した画像を解析することにより材料の変形についての計測を行う場合に、画像中での試験片の変形量により実際の値と測定の値との誤差が異なり、正確な測定のためには、この誤差が最小になるような変形量に対応する画像を選択して画像解析を行うことが必要である。
【0026】
如上の引張試験の例では、このような誤差が最小となる時点を含み、公称画素移動量が12〜15(pixel/frame)の範囲を選択するのが妥当である。
【0027】
このように、材料の引張試験において画像相関法により解析を行う場合に、弾性変形域、塑性変形域ともに、公称画素移動量に対して相対誤差はグラフで示して下に凸となる傾向にあり、相対誤差が最小となる時の公称画素移動量の値よりも小さい場合、あるいは大きい場合のいずれも、相対誤差が大きくなる。このことから、精度よく解析を行うためには、相対誤差がある設定された値より小さくなる公称画素移動量の範囲を適合パラメータ範囲として決定し、この適合パラメータ範囲となる公称画素移動量となる撮影画像を解析の対象として選定するのがよい。相対誤差の適合範囲として、例えば、図4の場合では3%、図5の場合では1%というように決定される。
【0028】
相対誤差が設定値より小さくなる適合範囲の画像を選定する手順は、例えば図7に示すフローに従ってなされる。
【0029】
図7において、まず相対誤差の適合範囲を設定し、その適合範囲となる公称画素移動量の範囲を適合パラメータとして決定する。その上で、試験片の所定部分について等時間間隔の画像を経時的にデジタルカメラで撮影し、ある時点での画像を基準画像(p)として取得する。次に、時間の経過とともに変形が進行した試験片を撮影したn枚目の画像(p)を取得する。基準画像(p)とn枚目の画像(p)とを比較し、n枚目の画像(p)に対応する公称画素移動量についての相対誤差が設定された範囲内の相対誤差となるものであるか否かを判別する。
【0030】
公称画素移動量が設定された範囲内の相対誤差となるものであれば、この画像(p)を解析結果として取得する。
【0031】
設定された範囲内でない場合に、
1)画像(p)の公称画素移動量が設定された範囲内の相対誤差となる公称画素移動量の適合範囲よりより大きければ、(n−1)枚目の画像(pn―1)を取得して、同様に公称画素移動量が適合範囲内にあるか否かを判別し、依然として大きければ、(n−2)枚目の画像(pn−2)に対して判断するというように適合範囲内となるまで反復し、適合範囲内となった時にその画像を解析結果として取得する。
2)画像(p)の公称画素移動量が設定された範囲内の相対誤差となる公称画素移動量の適合範囲よりより小さければ、(n+1)枚目の画像(pn+1)を取得して、同様に公称画素移動量が適合範囲内にあるか否かを判別し、依然として小さければ、(n+2)枚目の画像(pn+2)に対して判断するというように適合範囲内となるまで反復し、適合範囲内となった時にその画像を解析結果として取得する。
【0032】
このようにして、公称画素移動量が設定された相対誤差のものとなる画像を取得し、精度よい解析を行うことができる。
【0033】
この引張試験では、試験片が均質の材料からなるものとしており、引張荷重を加えた時に試験片の部位により変形量が異なることなく、一様に変形するものとしていた。試験片が均質のものでなく、複合的な材質のもので構成される場合、引張荷重を加えた時に、試験片は内部的に一様に変形するのではなく、各部位の材料組成により異なった変形量となる。この場合に画像相関法を用いると、試験片の部位毎に実際の画素移動量が異なることになる。
【0034】
このように均質でない複合材料からなる試験片では、試験片の部位に応じて変形量が異なるため、試験片の特定の位置を撮像して試験片の特性として代表させることはできない。そのため、試験片における任意の点それぞれについての移動量、移動方向等を画像相関法により解析、評価する必要がある。このような複合材料からなる試験片における組成分布は一般的に不規則なものであるので、画像撮影により解析を行う場合にも、試験片を規則的に格子状に分割して把える手法でなく、任意の点を節点とするフリーメッシュの手法を用いるべきである。
【0035】
フリーメッシュの手法により、試験片における任意の点を節点として、試験片の部位に応じて異なる画素移動量の適合範囲を設定し、各部位に応じて前述した解析条件の決定、画像の解析を行うことにより、局所的に変化する材料の評価が画像相関法により精度よくなされる。
【0036】
以上は、材料の引張試験の場合を例として説明したが、この画像相関法による材料特性の解析、評価は、対象物を撮影した画像をもとに行うのであり、センサーにより直接測定した値との相対誤差を適合範囲内にするような公称画素移動量の適合範囲が決定されるのであれば、引張試験に限らず、圧縮試験、曲げ試験、座屈試験等、他の試験の場合でも同様になし得る。
【0037】
このように、公称画素移動量の適合範囲が決定され、画像の解析により得られる変形特性値とセンサーでの測定値から求められる変形特性値との相対誤差を適合範囲内とすることができるのは、画像相関法として一般的なことであり、対象物の特性によるものではない。ただし、センサーにより直接測定した値との相対誤差に関して、用いられる撮影装置の特性、条件等による差違は生ずるが、画像相関法により精度よく解析、評価を行い得ること自体には変わりない。
【0038】
さらに、本発明では、機械的試験による材料の変形を撮影する場合の例について説明したが、対象物の変化としてはこのような材料の変形に限らず、物体表面の温度分布変化を赤外線カメラで撮影した場合のように、対象物の変化を画像中の特定位置の移動として検出できるものであれば、他の対象物の変化について画像相関法を適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)材料の引張試験に用いられる試験片を示す図である。(b)試験片の特定部位を撮像した基準時点の画像で、特定位置が基準位置にあることを示すである。(c)基準時点より後に撮影された(a)と同様の図であり、特定位置が変位していることを示すものである。
【図2】(a)均質な材料からなる試験片に対し引張試験を行うことを示す図である。(b)引張荷重を次第に増大させながら加えて行く際の画素中での特定位置の時間当たりの移動量を示す図である。(c)デジタル画像相関法により得られる測定値の適合性を示す図である。
【図3】(a)複合材料からなる試験片に対して引張試験を行うことを示す図である。(b)試験片の異なる部位における画像中での特定位置の時間当たりの移動量を示す図である。(c)(b)の各部位に対してデジタル画像相関法により得られる測定値の適合性を示す図である。
【図4】弾性変形域においてデジタル画像相関法により得られるヤング率のセンサーにより直接測定した値に対する相対誤差が公称画素移動量により変化する状況を示す図である。
【図5】塑性変形域においてデジタル画像相関法により得られる加工硬化指数のセンサーにより直接測定した値に対する相対誤差が公称画素移動量により変化する状況を示す図である。
【図6】図5、図6における公称画素移動量に応じたヤング率、加工硬化指数の変化を重ねて示した図である。
【図7】本発明により画像相関法の解析条件を決定する手順を示すフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間とともに変化する対象物を等時間間隔で継続する画像として経時的にデジタルカメラで撮影し、撮影された画像における対象物の変化が画像中の特定点の画素移動量によって特徴づけられる対象物の変化特性値を測定するデジタル画像相関法の解析条件を決定する方法であって、
解析により得られる変化特性値と測定装置による測定値から求められた変化特性値との相対誤差の適合範囲を設定し、対象物の変化の速度をある時間内の撮影枚数で除した量をピクセル長さを単位として表したものを公称画素移動量として、時間的に前後する複数の画像中での公称画素移動量について解析により得られる変化特性値と測定装置による測定値から求められた変化特性値との相対誤差が前記設定された相対誤差の適合範囲となる公称画素移動量の範囲を適合パラメータとして決定することと、
基準時点での画像を基準画像として取得し、基準画像よりも後に撮影された画像を変動画像として取得し、変動画像を基準画像と比較し、変動画像に対応する公称画素移動量についての相対誤差が設定された範囲内の相対誤差となる画像を選定し解析結果として取得することと、
のステップからなることを特徴とするデジタル画像相関法の解析条件を決定する方法。
【請求項2】
前記対象物が材料の機械的試験片であり、変形する機械的試験片を撮影した画像から試験片の変形の特性を測定するものであることを特徴とする請求項1に記載のデジタル画像相関法の解析条件を決定する方法。
【請求項3】
前記機械的試験片が変形特性について不均一な部分を有するものである場合に、試験片の任意の複数の計測点に対して画素移動量の範囲を適合パラメータとして決定するようにしたことを特徴とする請求項2に記載のデジタル画像相関法の解析条件を決定する方法。
【請求項4】
時間とともに変化する対象物を等時間間隔で継続する画像として経時的にデジタルカメラで撮影し、撮影された画像における対象物の変化が画像中の特定点の画素移動量によって特徴づけられる対象物の変化特性値を測定するデジタル画像相関法の解析条件を決定する装置であって、
解析により得られる変化特性値と測定装置による測定値から求められた変化特性値との相対誤差の適合範囲を設定し、対象物の変化の速度をある時間内の撮影枚数で除した量をピクセル長さを単位として表したものを公称画素移動量として、時間的に前後する複数の画像中での公称画素移動量について解析により得られる変化特性値と測定装置による測定値から求められた変化特性値との相対誤差が前記設定された相対誤差の適合範囲となる公称画素移動量の範囲を適合パラメータとして決定する手段と、
前記経時的に撮影して得られた複数の画像のうち基準時点での基準画像及びそれ以後の変動画像を取得する画像取得手段と、
該画像取得手段により取得された変動画像を基準画像と比較して変動画像に対応する公称画素移動量についての相対誤差が設定された範囲内の相対誤差となる画像を選定し解析結果として取得する判定制御手段と、
を備えてなることを特徴とするデジタル画像相関法の解析条件を決定する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−78659(P2007−78659A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−270870(P2005−270870)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【出願人】(591065549)福岡県 (121)
【出願人】(505351681)有限会社 エコマス (1)
【Fターム(参考)】