説明

デジタル画像記録システム、記録装置、デジタル画像処理装置

【課題】 DSC等のデジタル画像処理装置と記録装置とを情報伝送可能に接続したデジタル画像記録システムにおいて、記録実行操作時のユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】 デジタルカメラ302の表示部138に表示された「UI部」の切替画面等で(UI表示、切替操作問い合わせ)、「UI部」を使用する側の装置としてインクジェット式記録装置50をユーザが指定すると、デジタルカメラ302は、インクジェット式記録装置50へ「UI切替指示」を送信する。「UI切替指示」を受信したインクジェット式記録装置50は、デジタルカメラ302内のデジタル画像データに基づく記録実行操作が可能な記録実行操作画面等を操作パネル39に表示(UI表示)した後、「UI切替確認」をデジタルカメラ302へ送信する。「UI切替確認」を受信したデジタルカメラ302は、表示部138の表示を非表示(UI非表示)にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、デジタル画像処理装置と記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルや無線通信等でDSC(デジタル・スチル・カメラ)等のデジタル画像処理装置をインクジェットプリンタ等の記録装置に直接接続して、DSC等から送信するデジタル画像データの被記録材(記録紙)への記録(プリント)を実行するいわゆるダイレクトプリント技術が公知である。パーソナルコンピュータ等の情報処理装置を介することなくデジタル写真のプリントが手軽に実行できるという利便性があり、このダイレクトプリント技術に対応するインクジェットプリンタやDSC等の電子機器が広く普及しつつある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
一般的なDSC等のデジタル画像処理装置は、液晶ディスプレイ等の表示部及び表示部の表示に基づいてデジタル画像の表示やデータ管理等の操作を行うための操作部を有するUI(ユーザ・インタフェース)部を備えている。そして、ダイレクトプリント技術によるデジタル画像の記録を実行する際には、デジタル画像処理装置のUI部からの操作によって記録実行操作を行うようになっているのが一般的である。具体的には、ユーザがデジタル画像処理装置の表示部にサムネイル画像の一覧を表示させ、デジタル画像処理装置の操作部の操作によってサムネイル画像の一覧から所望のデジタル画像を選択して記録実行操作を行うようになっている。選択されたサムネイル画像のデジタル画像データが記録装置へ送信されて被記録材への記録が実行される。
【0004】
【特許文献1】特開2004−13350号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、スキャナやコピー機能を備えた複合型の記録装置が急速に普及しつつある。また、メモリカードスロット等の読み取り手段を備え、デジタル画像データをメモリカードから直接読み込んで被記録材への記録を実行可能な記録装置も一般的になっている。そのため、パーソナルコンピュータやDSC等の情報処理装置を接続することなく、記録装置単体で被記録材への記録を実行する用途が増加しつつある。そして、それに伴って、一般的なDSCに搭載されている液晶ディスプレイより大きな液晶ディスプレイを表示部に採用した見易く使い勝手の良いUI部を備えた記録装置が一般的になりつつある。すなわち、従来は、機能性、操作性及びデジタル画像表示の大きさや解像度等の面でDSCのUI部より劣っていた記録装置のUI部は、近年は、DSCと同等或いは同等以上の機能性、操作性及びデジタル画像表示の大きさや解像度を備えるようになりつつある。
【0006】
しかしながら、従来のデジタル画像記録システムは、DSCと記録装置とを情報伝送可能に接続して記録を実行する際には、DSCのUI部からしか記録実行操作ができない。そのため、記録装置がDSCに勝るUI部を備えていながら、そのUI部を利用できないという不便さがあった。また、より使い慣れた或いは好みで使いやすいと感じるUI部を利用したいと考えるユーザも多い。DSCの使用頻度の高いユーザにしてみれば、操作し慣れたDSCのUI部を操作して記録を実行したいと考えるであろうし、普段あまりDSCを利用しないユーザにしてみれば、DSCより見易く使い勝手の良い記録装置のUI部を操作して記録を実行したいと考えるのが通常である。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、DSC等のデジタル画像処理装置と記録装置とを情報伝送可能に接続したデジタル画像記録システムにおいて、記録実行操作時のユーザの利便性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムであって、前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されている、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。
【0009】
このように、ユーザが任意に選択した装置側のUI部にて、デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とを行うことができるので、ユーザは使い慣れた或いは好みで使いやすいと感じる方のUI部を操作して被記録材へのデジタル画像の記録を実行することができる。
また、記録を実行しようとしているデジタル画像データの種類や解像度、デジタル画像処理装置に保存されているデジタル画像データの数、或いは記録実行時の環境条件等に応じて臨機応変に使い分けるといったことも可能になる。
さらには、デジタル画像処理装置又は記録装置のいずれか一方のUI部に故障等の不具合が発生した場合には、正常な方のUI部を選択して記録を実行することができる。
さらには、デジタル画像処理装置がバッテリ駆動である場合には、記録装置のUI部を選択して使用することにより、デジタル画像処理装置のバッテリ消費を抑えて長持ちさせるといったことも可能になる。
【0010】
これにより、本発明の第1の態様に記載のデジタル画像記録システムによれば、DSC等のデジタル画像処理装置と記録装置とを情報伝送可能に接続したデジタル画像記録システムにおいて、上述したように、記録実行操作時のユーザの利便性を向上させることができるという作用効果が得られる。
【0011】
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、前記デジタル画像処理装置のUI部又は前記記録装置のUI部のいずれか一方を選択的に使用可能に構成されている、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。
このように、いずれか一方を選択的に使用可能にするように構成しても良い。両方のUI部をリンクさせる必要等がなくなるため、UI部の処理を簡略化することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、前述した第2の態様において、前記デジタル画像処理装置のUI部が使用可能な状態でUI部の切替操作が行われると、前記デジタル画像処理装置は、UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、前記UI切替要求を受信した時点で自己のUI部を使用可能にした後にUI切替確認を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用不可にし、前記記録装置のUI部が使用可能な状態でUI部の切替操作が行われると、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、前記UI切替要求を受信した時点で自己のUI部を使用不可にした後に前記UI切替確認を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用可能にする、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。
【0013】
UI部の切替操作をすると、デジタル画像処理装置から記録装置へUI切替要求が送信される。記録装置は、デジタル画像処理装置からのUI切替要求に応じて、自己のUI部の使用可能/不可を切り替えた後、UI切替確認をデジタル画像処理装置へ送信する。デジタル画像処理装置は、記録装置からのUI切替確認を受信した後、自己のUI部の使用可能/不可を切り替える。このように、記録装置からのUI切替確認を受信してからデジタル画像処理装置のUI部の使用可能/不可を切り替えることによって、記録装置のUI部とデジタル画像処理装置のUI部との双方が同時に使用可能或いは同時に使用不可になってしまうことを防止することができる。
【0014】
本発明の第4の態様は、前述した第2の態様において、前記記録装置のUI部が使用可能な状態でUI部の切替操作が行われると、前記記録装置は、UI切替要求を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替要求を受信した時点で自己のUI部を使用可能にした後にUI切替確認を前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用不可にし、前記デジタル画像処理装置のUI部が使用可能な状態でUI部の切替操作が行われると、前記記録装置は、前記UI切替要求を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替要求を受信した時点で自己のUI部を使用不可にした後に前記UI切替確認を前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用可能にする、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。
【0015】
UI部の切替操作をすると、記録装置からデジタル画像処理装置へUI切替要求が送信される。デジタル画像処理装置は、記録装置からのUI切替要求に応じて、自己のUI部の使用可能/不可を切り替えた後、UI切替確認を記録装置へ送信する。記録装置は、デジタル画像処理装置からのUI切替確認を受信した後、自己のUI部の使用可能/不可を切り替える。このように、デジタル画像処理装置からのUI切替確認を受信してから記録装置のUI部の使用可能/不可を切り替えることによって、記録装置のUI部とデジタル画像処理装置のUI部との双方が同時に使用可能或いは同時に使用不可になってしまうことを防止することができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、前述した第1の態様〜第4の態様のいずれかにおいて、前記記録装置のUI部が使用可能な状態では、前記デジタル画像処理装置は、前記記録装置からの要求に応じてデジタル画像データの一覧情報又は指定されたデジタル画像データを前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、受信した前記一覧情報を自己のUI部で表示し、表示した前記一覧情報の中からユーザが選択して記録実行操作をしたデジタル画像データの送信を前記デジタル画像処理装置へ要求し、要求に応じて前記デジタル画像処理装置から送信されたデジタル画像データに基づいて被記録材への記録を実行する、ことを特徴としたデジタル画像記録システムである。
【0017】
このように、記録装置のUI部が使用可能な状態では、デジタル画像処理装置からデジタル画像データの一覧情報を送信することによって、記録装置のUI部で一覧情報(例えばサムネイル画像の一覧等)を表示することができるとともに、その中からユーザが所望のデジタル画像を選択することが可能になる。そして、記録装置のUI部でユーザが選択して記録実行操作を行ったデジタル画像のデータを記録装置からの要求に応じてデジタル画像処理装置から記録装置へ送信する。それによって、ユーザが選択した所望のデジタル画像を被記録材へ記録することを記録装置のUI部の操作で行うことができる。
【0018】
本発明の第6の態様は、UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成され、前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されたデジタル画像記録システムにおける前記記録装置であって、自己のUI部が使用可能状態で前記デジタル画像処理装置からUI切替要求を受信した場合には、自己のUI部を使用不可にして前記デジタル画像処理装置へUI切替確認を送信し、自己のUI部が使用不可状態で前記デジタル画像処理装置から前記UI切替要求を受信した場合には、自己のUI部を使用可能にして前記デジタル画像処理装置へ前記UI切替確認を送信する、ことを特徴とした記録装置である。
本発明の第6の態様に記載の記録装置によれば、当該記録装置を備えたデジタル画像記録システムに、前述した第3の態様に記載の発明と同様の作用効果をもたらすことができる。
【0019】
本発明の第7の態様は、前述した第6の態様において、自己のUI部が使用可能な状態では、前記デジタル画像処理装置から受信したデジタル画像データの一覧情報を自己のUI部で表示し、表示した前記一覧情報の中からユーザが選択して記録実行操作をしたデジタル画像データの送信を前記デジタル画像処理装置へ要求し、要求に応じて前記デジタル画像処理装置から送信されたデジタル画像データに基づいて被記録材への記録を実行する、ことを特徴とした記録装置である。
本発明の第7の態様に記載の記録装置によれば、当該記録装置を備えたデジタル画像記録システムに、前述した第5の態様に記載の発明と同様の作用効果をもたらすことができる。
【0020】
本発明の第8の態様は、UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成され、前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されたデジタル画像記録システムにおける前記デジタル画像処理装置であって、自己のUI部が使用可能状態でUI部の切替操作が行われた際には、UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置からUI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用不可にし、自己のUI部が使用不可状態でUI部の切替操作が行われた際には、前記UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置から前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用可能にする、ことを特徴としたデジタル画像処理装置である。
本発明の第8の態様に記載のデジタル画像処理装置によれば、当該デジタル画像処理装置を備えたデジタル画像記録システムに、前述した第3の態様に記載の発明と同様の作用効果をもたらすことができる。
【0021】
本発明の第9の態様は、UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成され、前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されたデジタル画像記録システムにおける前記記録装置の制御をコンピュータに実行させるための記録制御プログラムであって、自己のUI部が使用可能状態で前記デジタル画像処理装置からUI切替要求を受信した場合には、自己のUI部を使用不可にして前記デジタル画像処理装置へUI切替確認を送信する手順と、自己のUI部が使用不可状態で前記デジタル画像処理装置から前記UI切替要求を受信した場合には、自己のUI部を使用可能にして前記デジタル画像処理装置へ前記UI切替確認を送信する手順とを有する、ことを特徴とした記録制御プログラムである。
本発明の第9の態様に記載の記録制御プログラムによれば、この記録制御プログラムを実行可能な任意の記録装置に、前述した第6の態様に記載の発明と同様の作用効果をもたらすことができる。
【0022】
本発明の第10の態様は、UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成され、前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されたデジタル画像記録システムにおける前記デジタル画像処理装置の制御をコンピュータに実行させるためのデジタル画像処理制御プログラムであって、自己のUI部が使用可能状態でUI部の切替操作が行われた際には、UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置からUI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用不可にする手順と、自己のUI部が使用不可状態でUI部の切替操作が行われた際には、前記UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置から前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用可能にする手順とを有する、ことを特徴としたデジタル画像処理制御プログラムである。
本発明の第10の態様に記載のデジタル画像処理制御プログラムによれば、このデジタル画像処理制御プログラムを実行可能な任意のデジタル画像処理装置に、前述した第8の態様に記載の発明と同様の作用効果をもたらすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る「記録装置」の一例としてのインクジェット式記録装置の概略構成について説明する。
【0024】
図1は、本発明に係るインクジェット式記録装置の要部平面図であり、図2はその側面図である。図3は、本発明に係るインクジェット式記録装置と「情報処理装置」とで構成される記録システムの概略のブロック図である。
インクジェット式記録装置50には、「被記録材」としての記録紙Pにインクを噴射して記録を行う記録ヘッド62を記録紙Pに対して主走査方向Xに走査させる「主走査駆動手段」として、主走査方向Xに移動可能にキャリッジガイド軸51に軸支されたキャリッジ61が設けられている。キャリッジ61には、記録ヘッド62と後述するPWセンサ34とが搭載されており、CRモータ63(図3)の回転駆動力が図示していないベルト伝達機構によって伝達されて主走査方向Xに往復動する。記録ヘッド62のヘッド面と対向する位置には、記録ヘッド62のヘッド面と記録紙Pとのギャップを規定するプラテン52が設けられている。
キャリッジ61の主走査方向Xへの往復動領域の一端側の外側には、公知のキャッピング装置59が設けられている。記録を実行しない待機状態においては、キャリッジ61がキャッピング装置59の上まで移動して停止し、キャッピング装置59に配設されているキャップCPによって記録ヘッド62のヘッド面が封止される。このキャリッジ61の停止位置は、ホームポジションHPとして規定される。
【0025】
また、インクジェット式記録装置50には、記録ヘッド62を記録紙Pに対して副走査方向Yに走査させる「副走査駆動手段」として、記録紙Pを副走査方向Yに搬送する搬送駆動ローラ53と搬送従動ローラ54が設けられている。搬送駆動ローラ53は、PFモータ58(図3)の回転駆動力が歯車伝達されて回転し、搬送駆動ローラ53の回転により、記録紙Pは副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ54は、複数設けられており、それぞれ個々に搬送駆動ローラ53に付勢され、記録紙Pが搬送駆動ローラ53の回転により搬送される際に、記録紙Pに接しながら記録紙Pの搬送に従動して回転する。搬送駆動ローラ53の外周面には、高摩擦抵抗を有する皮膜が施されている。搬送従動ローラ54によって、搬送駆動ローラ53の外周面に押しつけられた記録紙Pは、その外周面の摩擦抵抗によって搬送駆動ローラ53の外周面に密着し、搬送駆動ローラ53の回転によって副走査方向に搬送される。インクジェット記録装置50の「記録実行手段」は、上述した「主走査駆動手段」と「副走査駆動手段」とで構成され、キャリッジ61とプラテン52の間に記録紙Pを副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する動作と、記録ヘッド62を主走査方向Xに一往復させる間に記録ヘッド62から記録紙Pにインクを噴射する動作とを交互に繰り返すことによって記録紙Pに記録が行われる。
【0026】
搬送駆動ローラ53の副走査方向Yの上流側には、多数の記録紙Pを積重可能な「被記録材積重手段」としての給紙トレイ57が配設されている。給紙トレイ57は、例えば普通紙やフォト紙等の記録紙Pを給紙(給送)可能な構成となっている。給紙トレイ57の近傍には、給紙トレイ57に積重されている記録紙Pの最上位の記録紙Pを「記録実行手段」へ自動給送する「自動給送手段」としてのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレイ57に設けられた給紙ローラ57b及び図示してない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ57bは、給紙トレイ57の一方側に配置されている。記録紙ガイド57aは、記録紙Pの幅に合わせて幅方向に摺動可能に給紙トレイ57に設けられている。そして、PFモータ58(図3)の回転駆動力が歯車伝達されて回転する給紙ローラ57bの回転駆動力と、分離パッドの摩擦抵抗により、給紙トレイ57に置かれた記録紙Pを給紙する際に、複数の記録紙Pが一度に給紙されることなく最上位の記録紙Pのみが正確に分離されて一枚ずつ自動給紙されるように構成されている。給紙ローラ57bと搬送駆動ローラ53との間には、公知の技術による紙検出器33が配設されている。
【0027】
一方、記録実行後の記録紙Pを排紙する手段として、「排出駆動ローラ」としての排紙駆動ローラ55と排紙従動ローラ56とが設けられている。排紙駆動ローラ55は、PFモータ58(図3)の回転駆動力が歯車伝達されて回転し、排紙駆動ローラ55の回転により、記録実行後の記録紙Pは副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ56は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖った歯付きローラになっている。複数の排紙従動ローラ56は、それぞれ個々に排紙駆動ローラ55に付勢され、記録紙Pが排紙駆動ローラ55の回転により排紙される際に記録紙Pに接して記録紙Pの排紙に従動して回転する。
そして、給紙ローラ57bや搬送駆動ローラ53、及び排紙駆動ローラ55を回転駆動するPFモータ58(図3)、並びにキャリッジ61を主走査方向に駆動するCRモータ63(図3)は、後述する記録制御部100により駆動制御される。また、記録ヘッド62も同様に、記録制御部100により駆動制御されて記録紙Pの表面にインクを噴射する。インクジェット式記録装置50は、記録制御部100によって、キャリッジ61を主走査方向Xへ往復動させながら記録ヘッド62から記録紙Pへインクを噴射する動作と、記録紙Pを副走査方向Yへ所定の搬送量で搬送する動作とを交互に繰り返しながら記録紙Pへの記録が実行される。
【0028】
引き続き図1〜図3を参照しながらインクジェット式記録装置50と「情報処理装置」とで構成される記録システム10、並びに「記録制御装置」としての記録制御部100について説明する。
記録制御部100は、ROM101、RAM102、ASIC(特定用途向け集積回路)103、MPU104、「不揮発性記憶媒体」としての不揮発性メモリ105、PFモータドライバ106、CRモータドライバ107及びヘッドドライバ108を備えている。MPU104には、ASIC103を介して搬送駆動ローラ53の回転量を検出する「回転量検出手段」としてのロータリエンコーダ31、キャリッジ61の移動量を検出する「キャリッジ移動量検出手段」としてのリニアエンコーダ32、搬送される記録紙Pの先端及び後端を検出する紙検出器33、主走査方向Xの記録紙Pの端部を検出するためのPWセンサ34、インクジェット式記録装置50の電源をON/OFFするための電源スイッチ35、「記録実行手段」による記録紙Pへの記録開始操作をするための記録操作スイッチ36、及び「設定入力手段」としての操作パネル39の出力信号が入力される。
【0029】
公知のロータリエンコーダ31は、搬送駆動ローラ53の回転に連動して回転するロータリスケール311と、ロータリスケール311の外周に沿って等間隔に形成されているスリットを検出するロータリスケールセンサ312とを有している(図2)。搬送駆動ローラ53の回転に伴い変化するロータリスケールセンサ312の出力信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。
公知のリニアエンコーダ32は、キャリッジ61の近傍に主走査方向Xと略平行に配置されたリニアスケール321と、キャリッジ61に搭載されたリニアスケール321に等間隔に形成されているスリットを検出するリニアスケールセンサ322とを有している(図2)。キャリッジ61の主走査方向Xの移動量に応じたパルスの周期が移動速度に伴い変化するリニアスケールセンサ322の出力信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。
【0030】
公知の紙検出器33は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)にのみ回動し得るよう記録紙Pの搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバーを有し、このレバーの先端が記録紙Pに押されることでレバーが回動し、それによって記録紙Pが検出される構成を成す検出器である(図2)。紙検出器33は、給紙ローラ57bより給紙された記録紙Pの始端位置及び終端位置を検出し、その検出信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。PWセンサ34は、非接触の光学式センサで構成されており、記録紙Pの主走査方向Xの端部位置(記録紙Pの側端位置)を検出し、その検出信号は、ASIC103を介してMPU104へ出力される。紙検出器33及びPWセンサ34の出力信号に基づいて記録紙Pの搬送位置や記録紙Pのサイズ等がMPU104において演算される。
【0031】
記録制御部100のシステムバスには、ROM101、RAM102、ASIC103、MPU104及び不揮発性メモリ105が接続されている。MPU104は、インクジェット式記録装置50の記録制御を実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行う。ROM101には、MPU104によるインクジェット式記録装置50の制御に必要な記録制御プログラム(ファームウェア)等が格納されており、記録制御プログラムの処理に必要な各種データ等は不揮発性メモリ105に記憶されている。RAM102は、MPU104の作業領域や記録データ等の格納領域として用いられる。
ASIC103は、DCモータであるPFモータ58及びCRモータ63の速度制御、並びに記録ヘッド62の駆動制御を行う為の制御回路を有している。MPU104から送られてくる制御命令、ロータリエンコーダ31の出力信号、及びリニアエンコーダ32の出力信号に基づいて、PFモータ58及びCRモータ63の速度制御を行う為の各種演算を行い、その演算結果に基づくモータ制御信号をPFモータドライバ106及びCRモータドライバ107へ送出する。また、MPU104から送出される記録データ等に基づいて、記録ヘッド62の制御信号を演算生成してヘッドドライバ108へ送出して記録ヘッド62を駆動制御する。
【0032】
ASIC103は、「情報処理装置」としてのパーソナルコンピュータ301、デジタルカメラ302或いは携帯電話端末303等との情報伝送を実現する「情報伝送手段」としてカードIF111、ホストIF112及びデバイスIF113を有している。
カードIF111は、「画像データ読込手段」としてのカードスロット200に挿入される不揮発性メモリカードやPCカード等のカードインタフェースを実現する。カードスロット200にメモリカードが挿入された場合には、メモリカードのデータの読み書きを可能にし、カードスロット200に赤外線通信インタフェースカードが挿入された場合には、「デジタル画像処理装置」としての携帯電話端末303等の赤外線通信機能を有する電子機器との赤外線通信インタフェースを実現する。
ホストIF112は、ホスト装置接続用のUSBコネクタ37に接続されるパーソナルコンピュータ(PC)301等のホスト装置とのUSBインタフェースを実現する。USBコネクタ37は、インクジェット式記録装置50の背面側に配設されている(図2)。
デバイスIF113は、デバイス接続用のUSBコネクタ38に接続される「デジタル画像処理装置」としてのデジタルカメラ(DSC)302等のUSBデバイスとのUSBインタフェースを実現する。USBコネクタ38は、デジタルカメラ302等のUSBデバイスの着脱が容易に行えるようにインクジェット式記録装置50の前面側に配設されている(図2)。
【0033】
つづいて、本発明に係る「デジタル画像記録システム」としての記録システム10について説明する。
【0034】
図4は、インクジェット式記録装置50とデジタルカメラ302とで構成される記録システム10を示した概略の電源系統図である。
「デジタル画像処理装置」としてのデジタルカメラ302は、「デジタル画像処理装置用電池」としてのDSCバッテリ131を電源として動作するとともに、「外部電源」からの電源供給(DC5V)でも動作する。「電池残量検出手段」としてのDSCバッテリ残量検出手段132は、DSCバッテリ131の電力残量を検出してDSC制御部130へ出力する。DSC外部電源入力検出手段133は、外部電源入力の有無を検出してDSC制御部130へ出力する。DSCバッテリ131又は外部電源から供給される電力は、DCモータ等の駆動力源及びDSC制御部130へ供給される。不揮発性メモリ等で構成される画像データ記憶部136には、ユーザが撮影したデジタル画像データが格納されている。
【0035】
デジタルカメラ302は、「デジタル画像処理装置のUI部」としての操作部137及び表示部138を有している。画像データ処理部135を介して操作部137での画像選択操作で選択されたデジタル画像データは、表示部138に表示され、記録実行操作により選択されたデジタル画像データがUSBインタフェース134を介してインクジェット式記録装置50へ送信される。インクジェット記録装置50は、「情報伝送手段」としてのデバイスIF113を介してデジタルカメラ302と相互に情報伝送可能にUSB接続されており、デジタルカメラ302から送信されたデジタル画像データに基づいて、記録紙Pへの記録を実行する。
【0036】
インクジェット式記録装置50は、「記録装置用電池」としてのプリンタバッテリ121を電源として動作するとともに、「外部電源」からの電源供給(DC20V)でも動作する。「電池残量検出手段」としてのプリンタバッテリ残量検出手段122は、プリンタバッテリ121の電力残量を検出して記録制御部100へ出力する。プリンタ外部電源入力検出手段123は、外部電源入力の有無を検出して記録制御部100へ出力する。プリンタバッテリ121又は外部電源から供給される電力は、PFモータ58やCRモータ63等の駆動力源へ供給されるとともに、DC−DCコンバータ124で電圧変換(DC20V→DC5V)された電力が記録制御部100へ供給される。また、前述した操作パネル39は、インクジェット式記録装置50における「記録装置のUI部」として機能する。
【0037】
そして、上記構成を有する本発明に係る「デジタル画像記録システム」としての記録システム10は、デジタルカメラ302内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいてインクジェット式記録装置50にて記録紙Pへの記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側の「UI部」で操作可能に構成されている。すなわち、これらの操作は、デジタルカメラ302の操作部137及び表示部138、又はインクジェット式記録装置50の操作パネル39のどちらを操作して行うかをユーザが任意に選択することができるように構成されている。
【0038】
具体的には、デジタルカメラ302は、操作部137の操作によって「UI表示切替操作」をユーザが任意に選択するための選択画面(選択メニュー等)を表示部138に表示させることが可能に構成されている。ユーザは、表示部138に表示された選択画面を見ながら操作部137を操作して、デジタルカメラ302の「UI部」(操作部137及び操作部138)から記録実行操作を行うか、インクジェット式記録装置50の「UI部」(操作パネル39)から記録実行操作を行うかを選択して切り替えることができる。以下、図5〜図8を参照しながら説明する。
【0039】
図5は、インクジェット式記録装置50とデジタルカメラ302との間におけるデジタル画像データのデータ転送手順を示したものであり、使用する「UI部」をデジタルカメラ302からインクジェット式記録装置50へ切り替える場合を示したものである。
デジタルカメラ302の表示部138に表示された「UI部」の切替画面等で(UI表示、切替操作問い合わせ)、「UI部」を使用する側の装置としてインクジェット式記録装置50をユーザが指定すると、デジタルカメラ302は、インクジェット式記録装置50へ「UI切替指示」を送信する。「UI切替指示」を受信したインクジェット式記録装置50は、デジタルカメラ302内のデジタル画像データに基づく記録実行操作が可能な記録実行操作画面等を操作パネル39に表示(UI表示)した後、「UI切替確認」をデジタルカメラ302へ送信する。「UI切替確認」を受信したデジタルカメラ302は、表示部138の表示を非表示(UI非表示)にする。尚、当該実施例においては、初期設定でデジタルカメラ302の「UI部」を使用するように設定されているが、インクジェット式記録装置50の「UI部」に設定しても良い。
【0040】
インクジェット式記録装置50は、操作パネル39におけるユーザの操作に応じて画像リストの送信要求をデジタルカメラ302へ送信する(画像リスト送信要求)。画像リスト送信要求を受信したデジタルカメラ302は、その要求に応じてデジタル画像データの画像リスト情報等をインクジェット式記録装置50へ送信する。画像リスト情報等を受信したインクジェット式記録装置50は、受信した画像リスト情報等に基づいて、デジタル画像データのファイル名一覧やサムネイル画像一覧等を操作パネル39に表示する(画像表示)。
【0041】
インクジェット式記録装置50は、デジタル画像データのファイル名一覧やサムネイル画像一覧等からユーザが所望のデジタル画像を選択して(画像選択)、そのデジタル画像の記録実行操作を行うと(記録実行操作)、そのデジタル画像のデジタル画像データの送信要求をデジタルカメラ302へ送信する(画像データ送信要求)。画像データ送信要求を受信したデジタルカメラ302は、ユーザが選択したデジタル画像データをインクジェット式記録装置50へ送信する。ユーザが選択したデジタル画像データを受信したインクジェット式記録装置50は、そのデジタル画像データに基づいて記録紙Pへの記録を実行する(記録実行)。
【0042】
図6は、インクジェット式記録装置50とデジタルカメラ302との間におけるデジタル画像データのデータ転送手順を示したものであり、使用する「UI部」をインクジェット式記録装置50からデジタルカメラ302へ切り替える場合を示したものである。
デジタルカメラ302の表示部138に表示された「UI部」の切替画面等で(UI表示、切替操作問い合わせ)、「UI部」を使用する側の装置としてデジタルカメラ302をユーザが指定すると、デジタルカメラ302は、インクジェット式記録装置50へ「UI切替指示」を送信する。「UI切替指示」を受信したインクジェット式記録装置50は、操作パネル39の表示を非表示(UI非表示)にした後、「UI切替確認」をデジタルカメラ302へ送信する。「UI切替確認」を受信したデジタルカメラ302は、デジタルカメラ302内のデジタル画像データに基づく記録実行操作が可能な記録実行操作画面等を表示部138に表示(UI表示)する。
【0043】
デジタルカメラ302は、操作部137におけるユーザの操作に応じてデジタル画像データのファイル名一覧やサムネイル画像一覧等を表示部138に表示する(画像表示)。デジタルカメラ302は、表示部138に表示されているデジタル画像データのファイル名一覧やサムネイル画像一覧等からユーザが所望のデジタル画像を操作部137の操作により選択して(画像選択)、そのデジタル画像の記録実行操作を行うと(記録実行操作)、そのデジタル画像の「記録実行要求」をインクジェット式記録装置50へ送信する。「記録実行要求」を受信したインクジェット式記録装置50は、そのデジタル画像のデジタル画像データの送信要求をデジタルカメラ302へ送信する(画像データ送信要求)。画像データ送信要求を受信したデジタルカメラ302は、ユーザが選択したデジタル画像データをインクジェット式記録装置50へ送信する。ユーザが選択したデジタル画像データを受信したインクジェット式記録装置50は、そのデジタル画像データに基づいて記録紙Pへの記録を実行する(記録実行)。
【0044】
図7は、DSC制御部130によるデジタルカメラ302の制御手順を示したフローチャートである。
デジタルカメラ302の電源ON操作がされると初期立ち上げ処理手順が実行された後、デジタルカメラ302が使用可能な状態となる(ステップS1)。デジタル画像を記録紙Pへ記録する操作を行う「UI部」は、初期設定でデジタルカメラ302の「UI部」(操作部137及び表示部138)に設定されている。ユーザが所望のデジタル画像の記録を実行すべく操作部137で所定の操作を行うと(ステップS2)、使用する「UI部」を切り替えるための画面(UI表示切替画面)が表示部138に表示される(ステップS3)。ユーザは、操作部137の操作によって、デジタルカメラ302の「UI部」(操作部137及び表示部138)又はインクジェット式記録装置50の「UI部」(操作パネル39)のいずれを使用して記録実行操作を行うかを任意に選択することができる。
【0045】
つづいて、ユーザが記録実行操作を行う装置として選択したのがインクジェット式記録装置50か否かを判定する(ステップS4)。ユーザがデジタルカメラ302でそのまま記録実行操作をすること(操作部137及び表示部138を操作して記録実行操作すること)を選択した場合には(ステップS4でNo)、そのまま記録設定画面へ移行する(ステップS5)。そして、表示部138に表示されたデジタル画像データのファイル名一覧やサムネイル画像一覧等(記録設定画面)から操作部137の操作によってユーザが指定したデジタル画像のデジタル画像データをインクジェット式記録装置50へ送信して記録紙Pへの記録(ステップS6)をユーザが指定した枚数分だけ実行し(ステップS7)、全ての記録が終了した時点で(ステップS7でYes)当該手順を終了する。
【0046】
一方、ユーザがインクジェット式記録装置50へ切り替えて記録実行操作をすること(操作パネル39を操作して記録実行操作すること)を選択した場合には(ステップS4でYes)、UI切替指示をインクジェット式記録装置50へ送信する(ステップS8)。所定の手順(図6)を経て、「UI部」を使用する装置がデジタルカメラ302からインクジェット式記録装置50へ切り替わる。そして、インクジェット式記録装置50の操作パネル39の記録実行操作によってインクジェット式記録装置50から送信される画像リスト及びデジタル画像データ等の送信要求に応じて画像リスト及びデジタル画像データ等をインクジェット式記録装置50へ送信する(ステップS9)。インクジェット式記録装置50から記録終了通知を受信した時点で(ステップS10でYes)当該手順を終了する。
【0047】
図8は、記録制御部100によるインクジェット式記録装置50の制御手順を示したフローチャートである。
インクジェット式記録装置50の電源ON操作がされると初期立ち上げ処理手順が実行された後、インクジェット式記録装置50が使用可能な状態となる(ステップS11)。つづいて、「UI切替指示」をデジタルカメラ302から受信したか否かを判定する(ステップS12)。「UI切替指示」を受信した場合には(ステップS12でYes)、所定の手順(図6)を経て、「UI部」を使用する装置がデジタルカメラ302からインクジェット式記録装置50へ切り替わった後、デジタル画像データのファイル名一覧やサムネイル画像一覧等(記録設定画面)を操作パネル39に表示する(ステップS13)。そして、ユーザによるインクジェット式記録装置50の操作パネル39の記録実行操作に応じて画像リスト及びデジタル画像データ等の送信要求をデジタルカメラ302へ送信する(ステップS14)。ユーザが指定したデジタル画像のデジタル画像データをデジタルカメラ302から取得し(ステップS15)、ユーザが指定した枚数分だけ記録紙Pへの記録を実行する(ステップS16)。全ての記録が終了した時点で(ステップS17でYes)当該手順を終了する。
【0048】
一方、デジタルカメラ302から「UI切替指示」を受信していない場合には(ステップS12でNo)、デジタルカメラ302から「記録終了通知」を受信したか否かを判定する(ステップS18)。デジタルカメラ302から「記録終了通知」を受信していない場合には(ステップS18でNo)、デジタルカメラ302から「記録実行要求」を受信したか否かを判定する(ステップS19)。デジタルカメラ302から「記録実行要求」を受信した時点で(ステップS19でYes)、その「記録実行要求」で指定されているデジタル画像データに基づいて、指定枚数分だけ記録紙Pへの記録を実行(ステップS20)してステップS18へ戻る。そして、デジタルカメラ302から「記録終了通知」を受信した場合には(ステップS18でYes)、その時点で当該手順を終了する。
【0049】
このように、ユーザが任意に選択した装置側の「UI部」にて、デジタルカメラ302(デジタル画像処理装置)内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいてインクジェット式記録装置50にて記録紙Pへの記録を実行する操作とを行うことができるので、ユーザは使い慣れた或いは好みで使いやすいと感じる方の「UI部」を操作して記録紙Pへのデジタル画像の記録を実行することができる。また、記録を実行しようとしているデジタル画像データの種類や解像度、デジタルカメラ302に保存されているデジタル画像データの数、或いは記録実行時の環境条件等に応じて臨機応変に使い分けるといったことも可能になる。さらには、デジタルカメラ302又はインクジェット式記録装置50のいずれか一方の「UI部」に故障等の不具合が発生した場合には、正常な方の「UI部」を選択して記録を実行することができる。さらには、デジタルカメラ302がDSCバッテリ131を電源として動作している場合には、インクジェット式記録装置50の「UI部」を選択して使用することにより、DSCバッテリ131のバッテリ消費を抑えて長持ちさせるといったことも可能になる。
【0050】
このようにして、デジタルカメラ302(デジタル画像処理装置)とインクジェット式記録装置50(記録装置)とを情報伝送可能に接続した記録システム10(デジタル画像記録システム)において、記録実行操作時のユーザの利便性を向上させることができる。
【0051】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の平面図である。
【図2】本発明に係るインクジェット式記録装置の概略の側面図である。
【図3】本発明に係る記録システムの概略のブロック図である。
【図4】本発明に係る記録システムの概略の電源系統図である。
【図5】本発明に係る記録システムのデータ転送手順を示したものである。
【図6】本発明に係る記録システムのデータ転送手順を示したものである。
【図7】デジタルカメラの制御手順を示したフローチャートである。
【図8】インクジェット式記録装置の制御手順を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
10 記録システム、50 インクジェット式記録装置、51 キャリッジガイド軸、52 プラテン、53 搬送駆動ローラ、54 搬送従動ローラ、55 排紙駆動ローラ、56 排紙従動ローラ、57 給紙トレイ、57b 給紙ローラ、58 PFモータ、59 キャッピング装置、61 キャリッジ、62 記録ヘッド、63 CRモータ、100 記録制御部、101 ROM、102 RAM、103 ASIC、104 MPU、105 不揮発性メモリ、106 PFモータドライバ、107 CRモータドライバ、108 ヘッドドライバ、200 カードスロット、301 パーソナルコンピュータ、302 デジタルカメラ、303 携帯電話端末、P 記録紙、X 主走査方向、Y 副走査方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成されたデジタル画像記録システムであって、
前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されている、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
【請求項2】
請求項1において、前記デジタル画像処理装置のUI部又は前記記録装置のUI部のいずれか一方を選択的に使用可能に構成されている、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
【請求項3】
請求項2において、前記デジタル画像処理装置のUI部が使用可能な状態でUI部の切替操作が行われると、前記デジタル画像処理装置は、UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、前記UI切替要求を受信した時点で自己のUI部を使用可能にした後にUI切替確認を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用不可にし、
前記記録装置のUI部が使用可能な状態でUI部の切替操作が行われると、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、前記UI切替要求を受信した時点で自己のUI部を使用不可にした後に前記UI切替確認を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用可能にする、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
【請求項4】
請求項2において、前記記録装置のUI部が使用可能な状態でUI部の切替操作が行われると、前記記録装置は、UI切替要求を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替要求を受信した時点で自己のUI部を使用可能にした後にUI切替確認を前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用不可にし、
前記デジタル画像処理装置のUI部が使用可能な状態でUI部の切替操作が行われると、前記記録装置は、前記UI切替要求を前記デジタル画像処理装置へ送信し、前記デジタル画像処理装置は、前記UI切替要求を受信した時点で自己のUI部を使用不可にした後に前記UI切替確認を前記記録装置へ送信し、前記記録装置は、前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用可能にする、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、前記記録装置のUI部が使用可能な状態では、前記デジタル画像処理装置は、前記記録装置からの要求に応じてデジタル画像データの一覧情報又は指定されたデジタル画像データを前記記録装置へ送信し、
前記記録装置は、受信した前記一覧情報を自己のUI部で表示し、表示した前記一覧情報の中からユーザが選択して記録実行操作をしたデジタル画像データの送信を前記デジタル画像処理装置へ要求し、要求に応じて前記デジタル画像処理装置から送信されたデジタル画像データに基づいて被記録材への記録を実行する、ことを特徴としたデジタル画像記録システム。
【請求項6】
UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成され、前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されたデジタル画像記録システムにおける前記記録装置であって、
自己のUI部が使用可能状態で前記デジタル画像処理装置からUI切替要求を受信した場合には、自己のUI部を使用不可にして前記デジタル画像処理装置へUI切替確認を送信し、
自己のUI部が使用不可状態で前記デジタル画像処理装置から前記UI切替要求を受信した場合には、自己のUI部を使用可能にして前記デジタル画像処理装置へ前記UI切替確認を送信する、ことを特徴とした記録装置。
【請求項7】
請求項6において、自己のUI部が使用可能な状態では、前記デジタル画像処理装置から受信したデジタル画像データの一覧情報を自己のUI部で表示し、表示した前記一覧情報の中からユーザが選択して記録実行操作をしたデジタル画像データの送信を前記デジタル画像処理装置へ要求し、要求に応じて前記デジタル画像処理装置から送信されたデジタル画像データに基づいて被記録材への記録を実行する、ことを特徴とした記録装置。
【請求項8】
UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成され、前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されたデジタル画像記録システムにおける前記デジタル画像処理装置であって、
自己のUI部が使用可能状態でUI部の切替操作が行われた際には、UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置からUI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用不可にし、
自己のUI部が使用不可状態でUI部の切替操作が行われた際には、前記UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置から前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用可能にする、ことを特徴としたデジタル画像処理装置。
【請求項9】
UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成され、前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されたデジタル画像記録システムにおける前記記録装置の制御をコンピュータに実行させるための記録制御プログラムであって、
自己のUI部が使用可能状態で前記デジタル画像処理装置からUI切替要求を受信した場合には、自己のUI部を使用不可にして前記デジタル画像処理装置へUI切替確認を送信する手順と、
自己のUI部が使用不可状態で前記デジタル画像処理装置から前記UI切替要求を受信した場合には、自己のUI部を使用可能にして前記デジタル画像処理装置へ前記UI切替確認を送信する手順とを有する、ことを特徴とした記録制御プログラム。
【請求項10】
UI部を有するデジタル画像処理装置と、UI部を有する記録装置とを備え、前記デジタル画像処理装置と前記記録装置とが相互に情報伝送可能に接続されて構成され、前記デジタル画像処理装置内のデジタル画像データの中から任意のデジタル画像データを選択する操作と、選択したデジタル画像データに基づいて前記記録装置にて被記録材への記録を実行する操作とが、ユーザが任意に選択した装置側のUI部で操作可能に構成されたデジタル画像記録システムにおける前記デジタル画像処理装置の制御をコンピュータに実行させるためのデジタル画像処理制御プログラムであって、
自己のUI部が使用可能状態でUI部の切替操作が行われた際には、UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置からUI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用不可にする手順と、
自己のUI部が使用不可状態でUI部の切替操作が行われた際には、前記UI切替要求を前記記録装置へ送信し、前記記録装置から前記UI切替確認を受信した時点で自己のUI部を使用可能にする手順とを有する、ことを特徴としたデジタル画像処理制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−217133(P2006−217133A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26131(P2005−26131)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】