説明

デジタルPLL回路およびデータ再生装置

【課題】回路規模の増大を抑制しながら、異なるPRMLに円滑に対応し得るデジタルPLL回路およびそれを採用するデータ再生装置を提供する。
【解決手段】PR(1,2,2,2,1)に従うデータ補間回路104の他にPR(1,2,2,1)に従うデータ補間回路110を配する。データ補間回路104には、デジタルVCO109によって生成されたPR(1,2,2,2,1)に従う位相情報が供給される。データ補間回路110には、デジタルVCO109によって生成された位相情報の位相を180°遅延させた位相情報が供給される。データ補間回路110に供給される位相情報は、位相調整回路113によって生成される。この構成によれば、デジタルVCO109からの位相情報をもとにデータ補間回路110のための位相情報が生成されるため、別途、データ補間回路110のためのPLL回路を配する必要がない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定クロックにてサンプリングされA/D(Analog to Digital)変換されたデジタルデータに対し、位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得するデジタルPLL(Phase Locked Loop)回路、および、このPLL回路にて取得されるサンプルデータを復調して再生データを取得するデータ再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク再生装置のPLL回路として、従来、アナログ方式のPLL回路が用いられている。しかし、アナログ方式のPLL回路は、ノイズによる影響を受け易く、また、温度変化等の環境変化に弱いといった欠点を有している。これに対し、デジタル方式のPLL回路は、ノイズによる影響を受け難く、温度変化等の環境変化にも特性が左右され難い。また、高集積化を図りやすくLSIに実装する際に有利であるとのメリットを有している。
【0003】
図7に、ITR(Interpolated Timing Recovery)方式のデジタルPLL回路を内蔵するディスク再生装置の構成例を示す。
【0004】
本構成例に係る光ディスク装置は、光ピックアップ101と、増幅回路102と、ADC(Analog-Digital Converter)103と、データ補間回路104と、イコライザ105と、ビタビデコーダ106と、位相比較器107と、LPF(ループフィルタ)108と、デジタルVCO(Voltage Controlled Oscillator)109を備えている。
【0005】
光ピックアップ101は、ディスクにレーザ光を照射してデータの書き込みを行うとともに、ディスクからの反射光を受光してデータの読み取りを行う。増幅回路102は、光ピックアップ101から供給される再生RF信号を増幅してADC103に出力する。ADC103は、発振回路(図示せず)から供給される高周波の非同期クロック(システムクロック)に応じて再生RF信号をサンプリングし、サンプル値をデジタルデータ(ADデータ)に変換してデータ補間回路104に出力する。
【0006】
データ補間回路104は、ADC103から入力されるADデータと、デジタルVCO109から入力される位相情報を用いて、データ補間タイミング(リサンプルタイミング)におけるデータ値(リサンプルデータ)を算出し、算出したリサンプルデータをイコライザ105に出力する。
【0007】
イコライザ105は、データ補間回路104から供給されるリサンプルデータに対して波形等化処理を施してビタビデコーダ106に出力する。ビタビデコーダ106は、イコライザ105から供給されたデジタルデータにビタビ復号処理を施して1、0の2値化データを生成出力する。
【0008】
位相比較器107は、データ補間回路104から供給されるリサンプルデータをもとに、デジタルVCO109から供給されるリサンプルタイミングと正規のリサンプルタイミングの位相差(ΔP)を検出し、これを、LPF108に出力する。LPF108は、位相差(ΔP)の高周波成分を遮断して直流化し、これをデジタルVCO109に出力する。
【0009】
デジタルVCO109は、LPF108から供給された直流化データをもとに、正規のリサンプルタイミングに近づくよう、リサンプルタイミングを調整し、調整後のリサンプルタイミングを規定する位相情報をデータ補間回路104に出力する。
【特許文献1】特許第3687425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
近年の光ディスクの高密度化に伴い、光ディスクドライブにおける再生信号処理方式として、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)を用いたビタビ復号が広く採用されている。また、市場には、異なるPRMLを採用した光ディスクが存在し、このため、光ディスクドライブには、PRMLの異なる光ディスクに対応するための機能が求められている。
【0011】
しかし、PRMLが異なる場合には、たとえば図8に示すとおり、データ補間ポイント(リサンプルポイント:図8に黒丸で示す)が異なる場合があり、このため、PRMLの異なる光ディスクに対応しようとすると、たとえば、PRML毎に個別にPLL回路を準備し、光ディスクの再生時には、当該光ディスクのPRMLに対応したPLL回路から、当該PRMLに適した位相情報を供給できるようにする等の手段が必要となる。しかし、こうすると、PLL回路を複数準備しなければならず、回路規模が大きくなるとの問題が生じる。
【0012】
そこで、本発明は、回路規模の増大を抑制しながら、異なるPRMLに円滑に対応し得るデジタルPLL回路およびそれを採用するデータ再生装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題に鑑み本発明は、以下の特徴を有する。
【0014】
請求項1の発明は、固定クロックにてサンプリングされA/D変換されたデジタルデータに対し位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得するデジタルPLL回路において、前記デジタルデータに対し補間処理を行う第1のデータ補間回路と、前記第1のデータ補間回路によって生成されたサンプルデータに基づいて前記第1のデータ補間回路に対する第1の位相情報を生成する位相情報生成回路と、前記第1の位相情報の位相を一定の位相量だけ変化させて第2の位相情報を生成する位相調整回路と、前記第2の位相情報に基づいて前記デジタルデータに対し補間処理を行う第2のデータ補間回路とを有することを特徴とする。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1に記載のデジタルPLL回路において、前記位相調整回路は、前記第1のデータ補間回路における補間タイミングと前記第2のデータ補間回路における補間タイミングの間の位相差に応じた位相量だけ前記第1の位相情報の位相を変化させて第2の位相情報を生成することを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、固定クロックにてサンプリングされA/D(変換されたデジタルデータに対し位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得するデジタルPLL回路において、前記デジタルデータに対し第1のPRMLに従う補間処理を行う第1のデータ補間回路と、前記第1のデータ補間回路によって生成されたサンプルデータに基づいて前記第1のPRMLに従う第1の位相情報を生成し前記第1のデータ補間回路に供給する位相情報生成回路と、前記デジタルデータに対し第1のPRMLとは異なる補間タイミングの第2のPRMLに従う補間処理を行う第2のデータ補間回路と、前記第1のPRMLにおける補間タイミングと前記第2のPRMLにおける補間タイミングの間の位相差に応じた位相量だけ前記第1の位相情報の位相を変化させて第2の位相情報を生成し前記第2のデータ補間回路に供給する位相調整回路とを有することを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、固定クロックにてサンプリングされA/D変換されたデジタルデータに対し位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得し、取得したサンプルデータを復調するデータ再生装置において、前記デジタルデータに対し補間処理を行う第1のデータ補間回路と、前記第1のデータ補間回路によって生成されたサンプルデータに基づいて前記第1のデータ補間回路に対する第1の位相情報を生成する位相情報生成回路と、前記第1の位相情報の位相を一定の位相量だけ変化させて第2の位相情報を生成する位相調整回路と、前記第2の位相情報に基づいて前記デジタルデータに対し補間処理を行う第2のデータ補間回路と、前記第1および第2のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する復号回路とを有することを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項4に記載のデータ再生装置において、前記位相調整回路は、前記第1のデータ補間回路における補間タイミングと前記第2のデータ補間回路における補間タイミングの間の位相差に応じた位相量だけ前記第1の位相情報の位相を変化させて第2の位相情報を生成することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項4または5に記載のデータ再生装置において、前記復号回路は、前記第1のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する第1の復号部と、前記第2のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する第2の復号部とを備えることを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、固定クロックにてサンプリングされA/D変換されたデジタルデータに対し位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得し、取得したサンプルデータを復調するデータ再生装置において、前記デジタルデータに対し第1のPRMLに従う補間処理を行う第1のデータ補間回路と、前記第1のデータ補間回路によって生成されたサンプルデータに基づいて前記第1のPRMLに従う第1の位相情報を生成し前記第1のデータ補間回路に供給する位相情報生成回路と、前記デジタルデータに対し第1のPRMLとは異なる補間タイミングの第2のPRMLに従う補間処理を行う第2のデータ補間回路と、前記第1のPRMLにおける補間タイミングと前記第2のPRMLにおける補間タイミングの間の位相差に応じた位相量だけ前記第1の位相情報の位相を変化させて第2の位相情報を生成し前記第2のデータ補間回路に供給する位相調整回路と、前記第1および第2のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する復号回路とを有することを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項7に記載のデータ再生装置において、前記復号回路は、前記第1のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する第1の復号部と、前記第2のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する第2の復号部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1ないし3の発明によれば、異なるPRMLに従うディスクを円滑に再生することができる。また、第1のPRMLに従う位相情報生成回路にて生成された位相情報を第2のPRMLに従う処理に利用されるため、第2のPRMLに従う位相情報生成回路を別途配する必要がなく、もって、回路規模の増大を抑制することができる。さらに、位相調整回路によって生成された位相情報は、位相情報生成回路にて生成された第1のPRMLに従う位相情報の位相を、第1のPRMLにおける補間タイミングと第2のPRMLにおける補間タイミングの間の位相差に応じた位相量だけ変化させたものであるから、たとえば、図8に示すサンプルポイントの関係を参照して明らかなとおり、位相調整回路によって生成された位相情報は、第2のPRMLに従う処理を行うに適したものとなる。よって、このように位相調整回路によって生成された位相情報を第2のPRMLに従う処理を行う際に用いても、第2のPRMLに従う処理を精度良く行うことができる。
【0023】
このように、本実施の形態によれば、回路規模の増大を抑制しながら、第1および第2のPRMLに従うディスクの再生を円滑かつ精度よく行うことができる。
【0024】
請求項4ないし8の発明は、請求項1ないし3の発明に係るデジタルPLL回路の構成を備えるデータ再生装置である。よって、請求項4ないし8の発明によれば、上記請求項1ないし3の発明と同様の効果を奏することができる。
【0025】
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。
【0026】
ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照して説明する。
【0028】
図1に実施の形態に係るディスク再生装置の構成を示す。図中、上記図7に示した構成と同一部分には同一符号が付されている。
【0029】
なお、図1に示すディスク再生装置は、PR(1,2,2,2、1)に従う光ディスクとPR(1,2,2,1)に従う光ディスクの両方に対応し得るものである。図において、データ補間回路104、イコライザ105、ビタビデコーダ106、位相比較器107、LPF108およびデジタルVCO109からなる回路は、図8下段に示すPR(1,2,2,2,1)に従う光ディスクに対応するための信号処理系であり、データ補間回路110、イコライザ111およびビタビデコーダ112からなる回路は、図8上段に示すPR(1,2,2,1)に従う光ディスクに対応するための信号処理系である。
【0030】
本実施の形態に係るディスク再生装置には、図8の構成に比べ、データ補間回路110と、イコライザ111と、ビタビデコーダ112と、位相調整回路113が追加されている。
【0031】
データ補間回路110は、ADC103から入力されるADデータと、位相調整回路113から入力される位相情報を用いて、リサンプルタイミングにおけるデータ値
(リサンプルデータ)を算出し、算出したリサンプルデータをイコライザ111に出力する。
【0032】
イコライザ111は、入力されたリサンプルデータに対し波形等化処理を施してビタビデコーダ112に出力する。ビタビデコーダ112は、イコライザ111から供給されたデジタルデータにビタビ復号処理を施して1、0の2値化データを生成出力する。
【0033】
位相調整回路113は、デジタルVCO109から出力される位相情報に位相調整処理を施し、調整後の位相情報を、データ補間回路110に出力する。具体的には、デジタルVCO109から出力される位相情報の位相を180°遅延させ、遅延後の位相情報を、データ補間回路110に出力する。
【0034】
図2は、位相比較器107における具体的処理を説明する図である。
【0035】
図示の如く、位相比較器107は、データ補間回路104から供給されるリサンプルデータをもとに、再生信号波形のエッジ、すなわち、再生信号波形とスライスレベル(ゼロレベル)の交点位置を判別し、判別したエッジの位置と、これを挟む前後のリサンプルタイミングの中間タイミングとの間の位相差(ΔP)を検出して、これを、LPF108に出力する。
【0036】
LPF108は、入力された位相差(ΔP)の高周波成分を遮断して直流化し、これをデジタルVCO109に出力する。デジタルVCO109は、LPF108から供給された直流化データに応じて、上記エッジの位相差を補償するよう、リサンプルタイミングを調整し、調整後のリサンプルタイミングを規定する位相情報をデータ補間回路104に出力する。
【0037】
図3は、データ補間回路104における処理を説明する図である。なお、同図中、A/Dクロックは、ADC103におけるサンプリングクロック(非同期クロック)である。
【0038】
図示の如く、データ補間回路104は、位相情報によって規定されるリサンプルタイミングと、その直後に到来するデジタルデータのサンプリングタイミングとの間の位相差PH0を求め、このPH0と、リサンプルタイミングを挟む前後のサンプリングデータから、リサンプルタイミングにおけるデータ値(リサンプルデータ)を算出する。たとえば、デジタルデータD2、D3間における補間処理を例にとると、当該補間処理におけるリサンプルタイミングとD3のサンプリングタイミングとの間の位相差PH0が求められる。そして、D2とD3の値と、位相差PH0およびA/Dクロックの周期PH1を用いながら、同図の左上に示す比例計算によりXが求められ、求めたXをD2に加算して、当該リサンプルタイミングにおけるリサンプルデータが求められる。
【0039】
図3に示す処理は、データ補間回路110でも同様にして行われる。ただし、データ補間回路110は、上述の如く、図8上段のPR(1,2,2,1)に応じた処理を行うことから、デジタルVCO109から供給される、PR(1,2,2,2,1)に応じた位相情報をもとにリサンプルタイミングを設定すると、正しいリサンプルタイミングにてリサンプルデータを取得できない。
【0040】
本実施の形態では、デジタルVCO109から供給される位相情報が、位相調整回路113によって、データ補間回路110のPRMLに適する位相情報に変換され、データ補間回路113に供給される。具体的には、デジタルVCO109から供給される位相情報の位相が180°遅延された後、データ補間回路110に供給される。
【0041】
図8を参照すると、PR(1,2,2,1)とPR(1,2,2,2,1)では、リサンプルタイミングが互いに180°ずれている。したがって、PR(1,2,2,2,1)に従って生成されたリサンプルタイミングの位相を180°ずらすことにより、PR(1,2,2,1)に応じたリサンプリングタイミングを生成することができる。位相調整回路113では、デジタルVCO109から供給されるPR(1,2,2,2,1)に応じた位相情報の位相に180°が加算される。これにより、PR(1,2,2,1)に適した位相情報が生成される。
【0042】
図4は、再生RF信号とリサンプルタイミングの関係を示す図である。図中、“リサンプルタイミングA”は、PR(1,2,2,2,1)に応じたリサンプルタイミング、“リサンプルタイミングB”は、PR(1,2,2,1)に応じたリサンプルタイミングである。
【0043】
データ補間回路104では、デジタルVCO109からの位相情報に従って、リサンプルタイミングAのタイミングにてリサンプルデータが生成される。また、データ補間回路110では、デジタルVCO109からの位相情報が位相調整回路113によって180°遅延された後の位相情報に従って、リサンプルタイミングBのタイミングにてリサンプルデータが生成される。
【0044】
このように、本実施の形態では、再生信号波形に対し、PR(1,2,2,2,1)に従う補間処理と、PR(1,2,2,1)に従う補間処理が並行して行われる。そして、PR(1,2,2,2,1)に従って生成されたリサンプルデータは、イコライザ105とビタビデコーダ106によって処理され、1、0の2値化データが生成される。また、PR(1,2,2,1)に従って生成されたリサンプルデータは、イコライザ111とビタビデコーダ112によって処理され、1、0の2値化データが生成される。
【0045】
ビタビデコーダ106、112から出力される2値化データは、それぞれ、対応する復調回路(図示せず)に入力される。それぞれの復調回路は、対応する光ディスクの信号フォーマットに応じた復調処理を行う。
【0046】
なお、何れの復調回路を用いるかは、たとえば、光ディスクの種類判別に応じて決定される。ここで、再生対象ディスクがHD(High Definition DVD)とBD(ブルーレイディスク)であり、たとえば、HDにはPR(1,2,2,2,1)が適用され、BDにはPR(1,2,2,1)が適用されているとすると、光ディスクの種類は、たとえば、光ディスクにレーザ光を照射したときの戻り光量を比較することにより判別でき、判別結果がHDの場合には、PR(1,2,2,2,1)に従うビタビデコーダ106からの2値化データを復調する復調回路が選択され、また、判別結果がBDの場合には、PR(1,2,2,1)に従うビタビデコーダ112からの2値化データを復調する復調回路が選択される。
【0047】
以上、本実施の形態によれば、PR(1,2,2,2,1)とPR(1,2,2,1)に従う2種類のディスクを円滑に再生することができる。また、PR(1,2,2,2,1)に従うPLL回路にて生成された位相情報をPR(1,2,2,1)に従う処理に利用するため、PR(1,2,2,1)に従うPLL回路を別途配する必要がなく、もって、回路規模の増大を抑制することができる。さらに、PR(1,2,2,1)のための位相情報は、PR(1,2,2,2,1)に従うPLL回路にて生成された位相情報の位相を180°遅延させて生成されるから、図8に示すサンプルポイントの関係を参照して明らかなとおり、PR(1,2,2,1)の処理を精度良く行うことができる。
【0048】
このように、本実施の形態によれば、回路規模の増大を抑制しながら、PR(1,2,2,2,1)とPR(1,2,2,1)に従う2種類のディスクの再生を円滑かつ精度よく行うことができる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記に限定されるものではなく、他に種々の変更が可能である。
【0050】
たとえば、上記実施の形態では、PR(1,2,2,2,1)に従うPLL回路にて生成された位相情報の位相を180°遅延させてPR(1,2,2,1)に適する位相情報を生成するようにしたが、PR(1,2,2,1)に従うPLL回路にて生成された位相情報の位相を180°遅延させてPR(1,2,2,2,1)に適する位相情報を生成するようにしても良い。
【0051】
また、上記実施の形態では、データ補間回路104と110の後段側に、それぞれ、イコライザ105およびビタビデコーダ106からなる復号系と、イコライザ111およびビタビデコーダ112からなる復号系を個別に配したが、図5に示すように、イコライザ121を共用するようにしても良い。ここで、イコライザ121は、ビタビデコーダ106、112における処理結果に応じてタップ係数が調整される、いわゆる適応型イコライザを用いることができる。あるいは、何れのビタビデコーダを用いるかに応じて適宜タップ係数をセットできるイコライザを用いても良い。なお、120は、データ補間回路104、110の出力を選択するためのスイッチング回路、122は、イコライザ121の出力をビタビデコーダ106、112に割り振るためのスイッチング回路である。このように、イコライザ121を共用することにより、回路規模の増大をさらに抑制することができる。
【0052】
さらに、上記実施の形態では、図8に示す如くPR(1,2,2,2,1)とPR(1,2,2,1)のリサンプルタイミングの位相が180°ずれているため、位相調整回路113における位相調整量Δαを180°に設定したが、リサンプルタイミングの位相ずれが180°以外の場合には、それに応じて、位相調整量Δαを変化させれば良い。
【0053】
また、位相調整量を複数設定する必要がある場合には、たとえば図6に示す如く、複数の位相調整回路133、134を配し、これに応じて、データ補間回路130、イコライザ131およびビタビデコーダ132を追加すれば良い。なお、図6の構成例においても、上記図5の場合と同様、スイッチング回路120を配し、イコライザとビタビデコーダを共用する構成とすることができる。
【0054】
この他、上記実施の形態では、PR(1,2,2,2,1)とPR(1,2,2,1)に従うディスクを再生する場合について説明したが、本発明は、これ以外のPRMLに従うディスクを再生する再生装置にも適用可能である。また、光ディスクに限らず、他の記録媒体を再生する場合にも適用可能である。
【0055】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施の形態に係るディスク再生装置の構成を示す図
【図2】実施の形態に係る位相比較器の動作を説明する図
【図3】実施の形態に係るデータ補間回路の動作を説明する図
【図4】実施の形態に係る再生信号とリサンプルタイミングの関係を示す図
【図5】実施の形態に係るディスク再生装置の変更例を示す図
【図6】実施の形態に係るディスク再生装置の変更例を示す図
【図7】従来例に係るディスク再生装置の構成を示す図
【図8】PR(1,2,2,2,1)とPR(1,2,2,1)におけるリサンプルポイントを示す図
【符号の説明】
【0057】
104 データ補間回路 (第1のデータ補間回路)
105 イコライザ (第1の復号部)
106 ビタビデコーダ (第1の復号部)
107 位相比較器 (位相情報生成回路)
108 LPF (位相情報生成回路)
109 デジタルVCO (位相情報生成回路)
110 データ補間回路 (第2のデータ補間回路)
111 イコライザ (第2の復号部)
112 ビタビデコーダ (第2の復号部)
113 位相調整回路
121 イコライザ (第1および第2の復号部)
130 データ補間回路 (第2のデータ補間回路)
131 イコライザ (第2の復号部)
132 ビタビデコーダ (第2の復号部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定クロックにてサンプリングされA/D(Analog to Digital)変換されたデジタルデータに対し位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得するデジタルPLL回路において、
前記デジタルデータに対し補間処理を行う第1のデータ補間回路と、
前記第1のデータ補間回路によって生成されたサンプルデータに基づいて前記第1のデータ補間回路に対する第1の位相情報を生成する位相情報生成回路と、
前記第1の位相情報の位相を一定の位相量だけ変化させて第2の位相情報を生成する位相調整回路と、
前記第2の位相情報に基づいて前記デジタルデータに対し補間処理を行う第2のデータ補間回路とを有する、
ことを特徴とするデジタルPLL回路。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルPLL回路において、
前記位相調整回路は、前記第1のデータ補間回路における補間タイミングと前記第2のデータ補間回路における補間タイミングの間の位相差に応じた位相量だけ前記第1の位相情報の位相を変化させて第2の位相情報を生成する、
ことを特徴とするデジタルPLL回路。
【請求項3】
固定クロックにてサンプリングされA/D(Analog to Digital)変換されたデジタルデータに対し位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得するデジタルPLL回路において、
前記デジタルデータに対し第1のPRML(Partial Response Maximum Likelihood)に従う補間処理を行う第1のデータ補間回路と、
前記第1のデータ補間回路によって生成されたサンプルデータに基づいて前記第1のPRMLに従う第1の位相情報を生成し前記第1のデータ補間回路に供給する位相情報生成回路と、
前記デジタルデータに対し第1のPRMLとは異なる補間タイミングの第2のPRMLに従う補間処理を行う第2のデータ補間回路と、
前記第1のPRMLにおける補間タイミングと前記第2のPRMLにおける補間タイミングの間の位相差に応じた位相量だけ前記第1の位相情報の位相を変化させて第2の位相情報を生成し前記第2のデータ補間回路に供給する位相調整回路とを有する、
ことを特徴とするデジタルPLL回路。
【請求項4】
固定クロックにてサンプリングされA/D(Analog to Digital)変換されたデジタルデータに対し位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得し、取得したサンプルデータを復調するデータ再生装置において、
前記デジタルデータに対し補間処理を行う第1のデータ補間回路と、
前記第1のデータ補間回路によって生成されたサンプルデータに基づいて前記第1のデータ補間回路に対する第1の位相情報を生成する位相情報生成回路と、
前記第1の位相情報の位相を一定の位相量だけ変化させて第2の位相情報を生成する位相調整回路と、
前記第2の位相情報に基づいて前記デジタルデータに対し補間処理を行う第2のデータ補間回路と、
前記第1および第2のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する復号回路とを有する、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項5】
請求項4に記載のデータ再生装置において、
前記位相調整回路は、前記第1のデータ補間回路における補間タイミングと前記第2のデータ補間回路における補間タイミングの間の位相差に応じた位相量だけ前記第1の位相情報の位相を変化させて第2の位相情報を生成する、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載のデータ再生装置において、
前記復号回路は、前記第1のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する第1の復号部と、前記第2のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する第2の復号部とを備える、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項7】
固定クロックにてサンプリングされA/D(Analog to Digital)変換されたデジタルデータに対し位相情報に基づく補間処理を施して、正規のサンプリングタイミングにおけるサンプルデータを取得し、取得したサンプルデータを復調するデータ再生装置において、
前記デジタルデータに対し第1のPRML(Partial Response Maximum Likelihood)に従う補間処理を行う第1のデータ補間回路と、
前記第1のデータ補間回路によって生成されたサンプルデータに基づいて前記第1のPRMLに従う第1の位相情報を生成し前記第1のデータ補間回路に供給する位相情報生成回路と、
前記デジタルデータに対し第1のPRMLとは異なる補間タイミングの第2のPRMLに従う補間処理を行う第2のデータ補間回路と、
前記第1のPRMLにおける補間タイミングと前記第2のPRMLにおける補間タイミングの間の位相差に応じた位相量だけ前記第1の位相情報の位相を変化させて第2の位相情報を生成し前記第2のデータ補間回路に供給する位相調整回路と、
前記第1および第2のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する復号回路とを有する、
ことを特徴とするデータ再生装置。
【請求項8】
請求項7に記載のデータ再生装置において、
前記復号回路は、前記第1のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する第1の復号部と、前記第2のデータ補間回路にて生成されたサンプルデータから2値化データを生成する第2の復号部とを備える、
ことを特徴とするデータ再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−52784(P2008−52784A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226029(P2006−226029)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】