説明

デバイス間距離測定

異なるクロックレートを有しうるクロックを有する第1及び第2デバイス。デバイス間を伝播する信号の伝播距離の指標を得ることは、第1デバイスから第2デバイスにダイ1信号12を送信することを伴う。ターンアラウンドタイムTAT後、第2信号14は、第2デバイスから第1デバイスに送信される。クロック内のあらゆるエラーは、ターンアラウンドタイムTATの測定値のエラーをもたらしうる。デバイスは、LO周波数整合が存在するまで周波数分割比を調整することにより、若しくは、混合された信号の包絡線のオフセット周波数を求めることにより、第1及び第2デバイスのクロックレートの比を算出する回路を含む。クロックレートの比は、ターンアラウンドタイムTATを補償してエラーを緩和するために用いられる。正確な距離の測定値は、リレーアタックが車両セキュリティシステムで発生したか否かを判断するために用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるクロックレートを有しうるそれぞれのクロックを有する第1及び第2デバイス間を通過する信号の伝播距離の指標を取得する方法に関し、特にはこれに限定されないが、リレーアタックが発生したか否かを判断するために車と携帯キーとの間を通過する信号の電波距離を用いる方法に関する。本発明は、また、異なるクロックレートを有しうるそれぞれのクロックを有する第1及び第2デバイスを含むシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯キーにより操作される車若しくは他の車両のセキュリティシステムであって、携帯キーが、車のオーナーが車に距離をおいて近づく際に車をアンロックさせることを可能とする装置であるシステムが広く知られている。従来的には、車は、車近接した携帯キーのスイッチを操作するときにアンロックされる。オーナーにより始動が必要とされないPKE(パッシブ・キーレス・エントリ)システムにより動作する携帯キーは、いまや利用可能である。車は、オーナーがドアハンドルを引くときに開始する照合処理に続いてアンロックになることができる。ここで、セキュリティシステムは、ドアを単一の動作で開けることができるように、オーナーがドアハンドルを引き始めたから非常に短い時間でアンロックとならなければならない。或いは、照合処理は、オーナーがスイッチを操作することを必要とせずに車のある範囲内に携帯キーが入ったときに開始されてもよい。
【0003】
これは、オーナーが自己の車をアンロックさせる便利な方法を提供するが、システムは、リレーアタックからのリスクにさらされる。リレーアタックは、一以上の送受信機が車と携帯キーの間の信号をインターセプト(中継)し、信号を元来意図された距離も長い距離で送信するときに生ずる。このようにして、セキュリティシステムは、オーナーが車に近くないときに車をアンロックさせるのに用いることができ、それ故に、車がアンロックされていることに気付かない。
【0004】
図1は、リレーアタックの概略図であり、携帯キー4を持つオーナー2が車6のセキュリティシステムの通常範囲外にいるときを示す。第1のアタッカー8は、車の直近に位置する。第2のアタッカー10は、第1のアタッカー8とオーナー2の間に位置する。第1のアタッカー8は、ドアハンドルを引くといったような、照合処理を開始させるための必要な機能をトリガすることができる。車6のセキュリティシステムは、第1のアタッカー8が所持する送受信機16によりインターセプトされる第1信号12aを送信する。送受信機16は、この信号を複写し、第1信号12aから導出される第2の信号12bを第2のアタッカー10が所持する送受信機18に送信する。送受信機18は、第2信号12bを受信し、次いで、第2信号12bから導出される第3信号をオーナー2が所持する携帯キー4に送信する。送受信機16,18は、第1信号12a及び第3信号12cが略同一になるように構成される。
【0005】
携帯キー4は、第3信号12cを受信し、適切な応答信号14aで応答する。第2のアタッカー10は、応答信号14aを送受信機20でインターセプトし、送受信機20は、第1のアタッカー8が所持する送受信機22に第2応答信号14bを送信する。送受信機22は、第2応答信号14bを受信し、次いで、第3応答信号14cを、車をアンロックさせるために、車6のセキュリティシステムに送信する。送受信機20,22は、第2信号14a及び第3信号14cが略同一になるように構成される。第3信号12cが第1信号12aと略同一であり、且つ、第3応答信号14cが応答信号14aと略同一であるので、このアタックはたいていの暗号化システムを打ち負かすことになるだろう。
【0006】
リレーアタックを打ち負かす1つの方法は、車と携帯キーとの間で信号が伝播する距離を算出することである。この距離が大きすぎる場合、オーナーが近くにいないと推定され、セキュリティシステムは車をアンロックさせない。
【0007】
車と携帯キーとの間の距離を見出す方法の1つは、図2に示すように、車から信号12を携帯キーに送信する時刻TTから応答14を受信する時刻TAまでの時間を計測することである。信号は、携帯キーでのターンアラウンドタイムTATを受けることになる。ターンアラウンドタイムTATは、車からの信号を受信時刻TAと応答を送信する時刻TTの間の時間である。ターンアラウンドタイムTATの指標は、携帯キーにより求められ、車に送信される。TTとTAの間の差からターンアラウンドタイムTATを引くことにより、信号12,14の伝播時間を求めることができる。セキュリティシステム内のクロックの周波数及び携帯キー内の対応するクロックの周波数が異なる場合、ターンアラウンドタイムTATの携帯キーでの測定に誤りが導入されうる。ターンアラウンドタイムは、典型的には、伝播時間よりも十分長いので、異なるクロックに起因した誤りは、非常に不正確な距離の測定値を生む虞がある。本発明は、送受信機間のクロック周波数エラーから生まれる距離測定値の誤りを緩和することに関する。
【0008】
特許文献1は、2つのクロックが異なるクロックレートを有することができる場合において、局部クロックをそれぞれ有する2つのデバイス間の距離を得ることを開示する。これは、2つのデバイス間で3つの信号を送信すること、及び、第1デバイスのクロックレートと第2デバイスのクロックレートの間の比を見出すために第1の2つの信号からのタイミング情報を用いることを伴う。第1及び第3信号は、このとき、2つのデバイス間の距離に直接関連する飛翔時間を見出すために用いられる。このシステムの欠点は、3つのメッセージを交換するのに要する時間が不当に長くなりえ、これは、例えば車のオーナーがドアハンドルを引くときのような、照合が速やかに生じなければならないときに問題となりうることである。
【0009】
特許文献2は、携帯キーと車の間の、リレーアタックの存在を判断することを開示する。飛翔時間を直接的に測定することに代えて、送信周波数が偏向される。遅れは、チャレンジ信号の周波数の変化及び応答信号の周波数の変化から判断される。
【0010】
特許文献3は、ネットワーク上の送信デバイス及び受信デバイス間の伝送時間を見出し、2つのデバイス上のクロックを同期させる。しかし、クロックの同期は、送信機及び受信機の搬送波周波数に依存しない。代わりに、受信クロックの周期は、最小伝送時間(連続的な時間間隔で算出される)が一定を保つまで変化される。伝送時間は、2つのデバイス間の距離に関連しない。
【0011】
また、システム内のデバイス間の周波数オフセット(クロックオフセットに関連することができる)を補正する方法が知られているが、この方法は、リレーアタックが発生したか否かを判断することに関連しない。特許文献4は、基地局の搬送波周波数が携帯電話の周波数に整合するように基地局の搬送波周波数を変更するために周波数オフセットに関する情報を用いる。特許文献5は、衛星移動体通信システムにおける周波数オフセットを測定することを開示する。周波数オフセットは、移動可能な地球ステーションの局部発振器において存在し、若しくは、信号のドップラシフトを引き起こす衛星の移動に起因する。周波数オフセットは、陸地球ステーションで測定され、移動地球ステーションに送られ、移動地球ステーションは、その局部発振器の発信周波数を調整することにより周波数オフセットを補償する。
【特許文献1】国際出願公開第2004/048997号
【特許文献2】国際出願公開第01/25060号
【特許文献3】欧州特許公開第1,455,473号
【特許文献4】米国特許公開第2004/0067741号
【特許文献5】米国特許第5,613,193号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による第1の局面によれば、異なるクロックレートを有しうるそれぞれのクロックを有する第1及び第2デバイス間の距離の指標を導出する方法であって、
前記第1デバイスから前記第2デバイスに、前記第1デバイスのクロックから導出される周波数を有する第1信号を送信するステップと、
前記第2デバイスでの前記第1信号の受信に応答して、前記第2デバイスから前記第1デバイスに、前記第2デバイスのクロックから導出される周波数を有する第2信号を送信するステップと、
前記第2デバイスにて、前記第2デバイスのクロックを基準として、前記第2デバイスでのターンアラウンドタイムであって、受信される前記第1信号と送信される前記第2信号の間の時間であるターンアラウンドタイムの指標を算出するステップと、
互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するステップと、
前記指標を用いて前記第1デバイスのクロックを基準としたターンアラウンドタイムを再計算するステップと、
前記第1デバイスにて、前記再計算されたターンアラウンドタイムを用いて前記第1及び第2デバイス間の距離の指標を導出するステップと、を含む方法が提供される。
【0013】
本発明による第2局面によれば、異なるクロックレートを有しうるそれぞれのクロックを有する第1及び第2デバイスを含むシステムであって、
前記第1デバイスは、前記第2デバイスに、前記第1デバイスのクロックから導出される周波数を有する第1信号を送信するように構成され、
前記第2デバイスは、前記第2デバイスでの前記第1信号の受信に応答して、前記第1デバイスに、前記第2デバイスのクロックから導出される周波数を有する第2信号を送信するように構成され、
前記第2デバイスは、前記第2デバイスのクロックを基準として、前記第2デバイスでのターンアラウンドタイムであって、受信される前記第1信号と送信される前記第2信号の間の時間であるターンアラウンドタイムの指標を算出し、
前記第1若しくは第2デバイスのいずれかは、互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するように構成され、
前記第1若しくは第2デバイスのいずれかは、前記第1デバイスのクロックを基準としたターンアラウンドタイムを再計算するために前記指標を用いるように構成され、
前記第1デバイスは、前記第1及び第2デバイス間の距離の指標を導出するために前記再計算されたターンアラウンドタイムを用いるように構成される、システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
これより、本発明の実施例は、添付図面を参照して例のみより説明される。
【0015】
各図において、参照符号は全体として同様の要素に対して再利用される。
【0016】
図3及び図4を参照するに、直接拡散方式(DSSS)システムは、第1及び第2デバイス24,26を含む。ここでは、第1デバイスは、送信デバイス24であり、第2デバイスは、受信デバイス26である。
【0017】
送信デバイス24は、周波数fS1で動作する水晶発振器のような、周波数源28を含む回路を含む。周波数源28は、周波数源28から時間を導出する局部クロック30に接続される。周波数源28は、NCO(数値制御発振器)32の入力に接続される。NCO32の出力は、コード発生器34の入力に接続される。コード発生器34の出力は、ミクサー36の第1入力に接続される。周波数源38は、また、Nの分割比を有する第1周波数分割器38に接続される。第1周波数分割器38の出力は、位相検出器の第1入力に接続される。位相検出器40の出力は、VCO(電圧制御発振器)42の入力に接続される。VCO42の出力は、Mの分割比を有する第2周波数分割器44の入力に接続される。第2周波数分割器44の出力は、位相検出器40の第2入力に接続され、位相同期回路(PLL)46を形成する。VCO42の第2出力は、ミクサー36の第2入力に接続される。ミクサー36の出力はアンテナ48に接続される。
【0018】
受信デバイス26は、周波数fS2で動作する水晶発振器のような、周波数源50を含む回路を含む。周波数源50は、周波数源から時間を導出する装置の局部クロック52に接続される。局部クロック52の出力は、マイクロプロセッサ53に接続される。周波数源50は、NCO(数値制御発振器)54の入力に接続される。NCO54の出力は、コード発生器56の第1入力に接続される。コード発生器56の出力は、相関器58の第1入力に接続される。相関器58の出力は、マイクロプロセッサ53の第2入力に接続される。マイクロプロセッサ53の出力は、コード発生器56の第2入力に接続され、フィードバックループを形成する。周波数源52は、また、Nの分割比を有する第1周波数分割器60に接続される。第1周波数分割器60の出力は、位相検出器62の入力に接続される。位相検出器62の出力は、VCO(電圧制御発振器)64の入力に接続される。VCO64の第1出力は、Mの分割比を有する第2周波数分割器66の入力に接続される。周波数分割器66の出力は、位相検出器62の第2入力に接続され、位相同期回路(PLL)68を形成する。VCO64の出力は、ミクサー70の入力に接続される。アンテナ72は、ミクサー70の第2入力に接続される。ミクサー70の出力は、バンドパスフィルタ74の入力に接続される。フィルタの出力は、相関器58の第2入力に接続される。
【0019】
送信デバイス24では、局部クロック30は、周波数fS1で動作する周波数源28に対する時間をカウントする。NCO32は、周波数源32により動作され、周波数をチッピングレートfまで分割する。コード発生器34は、単位秒当たりfのチップのレートでDSSSチップを生成し、データ及びPRNを含むベースバンド信号を生成する。PRNは受信機26により既知である。ベースバンド信号は、ある形態の暗号化情報を含んでよく、車6が正当な携帯キー4のみによりアンロックされることができるようにする。周波数分割器38及びPLL46は、RF搬送波信号を生成するために用いられる。周波数分割器38は、周波数源28を用いて周波数fS1/Nの信号を生成する。この信号は、PLL46に供給され、PLL46は、周波数(M/N)×fS1のRF搬送波信号を生成する。RF搬送波信号及びベースバンド信号の双方は、ミクサー38に入力され、そこで、2つの信号は、混合されて変調信号、好ましくはBPSK(Binary Phase Shift Keying)変調信号が生成される。この信号は、次いで、アンテナ48により受信デバイス26に送信される。
【0020】
アンテナ72は、送信された信号を受信し、それをミクサー70に供給する。周波数分割器60及びPLL68は、局部発振器信号を生成する。周波数分割器60は、周波数源50を用いて周波数fS2/Nの信号を生成する。この信号は、PLL68に供給され、PLL68は、周波数(M/N)×fS2の局部発振器信号を生成する。局部発振器信号は、送信されたRF搬送波信号と同一若しくは略同一の周波数を有するべきである。受信されたBPSK信号が、ミクサー70にて局部発振器信号と混合されるとき、RF搬送波信号と局部発振器信号が同一の周波数であると仮定すると、送信デバイスのベースバンド信号がベースバンドにて見出される。フィルタ74は、ミクサー70により生成される高周波信号及び任意のDC要素をフィルタ除去し、ベースバンド信号のみが相関器に入力されるようにする。NCO54は、周波数源50により動作され、周波数fs2をチッピングレートfまで分割する。コード発生器56は、単位秒当たりfのチップのレートでDSSSチップを生成し、送信デバイス24で用いられたPRNコードと同一であるレプリカ信号を生成する。相関器58は、レプリカPRNと受信信号との相関を取る。相関器58の出力は、マイクロプロセッサ53により検出され、相関器58の出力の大きさは、信号間の相関量を表す。マイクロプロセッサ53は、相関器50から最大の信号を生成するために、コード発生器56で生成されるレプリカPRNコードの位相を調整する。一旦レプリカコードの正確な位相が見出されると、受信信号における任意のポイントの到着の時間を求めることができる。
【0021】
車6のセキュリティシステム及び携帯キー4の双方は、送信デバイス24及び受信デバイス26を含む。車6側の送信デバイス24及び受信デバイス26は、周波数fSAの同一の周波数源28,50を用いて同一のクロック30,52を動作させる。車6側の送信デバイス24及び受信デバイス26は、第1周波数分割器38,64に対して同一の分割比Nを用い、第2周波数分割器44,60に対して分割比Mを用いる。携帯キー4側の送信デバイス24及び受信デバイス26は、周波数fSBの同一の周波数源28,50を用いて同一のクロック30,52を動作させる。携帯キー4側の送信デバイス24及び受信デバイス26は、第1周波数分割器38,64に対して同一の分割比Nを用い、第2周波数分割器44,60に対して分割比Mを用いる。
【0022】
図2を再度参照して、装置の動作を説明する。車6のセキュリティシステムは、その送信デバイス24を用いて時刻TTで参照ポイントを含む第1信号12を送信する。車6のセキュリティシステムは、この時刻TTの記録を保存する。携帯キー4は、第1信号12を受信し、その相関器58を用いて、レプリカコードに対する受信信号の相関を取り、参照ポイントの到着時刻TAを見出す。ターンアラウンドタイムTAT後、携帯キー4は、その送信デバイス24を用いて、時刻TTで参照ポイントを有する第2信号14を車6のセキュリティシステムに送り返す。第2信号14のベースバンド信号は、携帯キー4への第1信号の到着時刻TA、携帯キー4からの第2信号の送信時刻TT若しくはターンアラウンドタイムTATを特定するデータを含む。車は、第2信号14を受信し、レプリカコードに対する受信信号の相関を取り、参照ポイントの到着時刻TAを見出す。飛翔時間(ToF:time-of-flight)は、次のように、車6のセキュリティシステムで算出される。
【0023】
【数1】

ここで、いずれの装置の局部クロック30,52に誤りがなく、従って、時間は絶対時間に対して測定されることを想定する。
【0024】
図5は、ユニットA(例えば車6のセキュリティシステム)若しくはユニットB(例えば携帯キー4)により記録される時間をx軸上の絶対時間に対してy軸上に示すグラフである。ライン76は、絶対時間に対する車6のセキュリティシステムにより記録される時間を示す。ライン76のy軸との交点78はクロックオフセットT(0)を与える。ライン76の勾配は、車6のセキュリティシステムのクロックレートf、即ち車6の局部クロック30,52が絶対時間の1秒内にどれだけ多くの秒を記録するかを与える。第2ライン80は、絶対時間に対する携帯キー4により記録される時間を示す。ライン80のy軸との交点82はクロックオフセットT(0)を与える。ライン80の勾配は、携帯キー4のクロックレートf、即ち携帯キー4の局部クロック30,52が絶対時間の1秒内にどれだけ多くの秒を記録するかを与える。携帯キー及び車6のセキュリティシステムの局部クロック30,52にクロックエラーがない場合には、f=f=1及びT(0)=T(0)=0であり、飛翔時間ToFに対する式(1)は、車6のセキュリティシステムにより測定されるものである。
【0025】
双方の局部クロック30,52にクロックエラーが存在する場合、車6のセキュリティシステムにより算出される飛翔時間ToFはもはや正確でない。局部クロック30,52のエラーに対して補正がなされない場合、車により算出される飛翔時間ToFは、次の通りである。
【0026】
【数2】

局部クロック30,52のそれぞれのクロックオフセットは、この2つの方法で相殺する。
【0027】
数学的にf及びfの値を独立的に見出すことは不可能である。それ故に、飛翔時間ToFの正確な指標(measure)は計算できない。しかし、本願発明者は、車6のクロックレートにより除された携帯キー4のクロックレートであるf/fの指標を得ることは可能であることを突き止めた。
【0028】
好ましくは、実行される計算の大部分は、車6のセキュリティシステムで実行される。これは、車6は大型のバッテリ及び温度変動に対する保護の利点を有することと、携帯キー4よりも利用可能な容積が大きいことが理由である。しかし、計算の一部は携帯キー4により実行されてもよい。携帯キー内の電子部品の量が最小に維持される場合、携帯キーは、スリムにでき、特に邪魔になることなくオーナーの財布内に維持することができる。
【0029】
2つの代替的な方法は、f/fの指標を得るために使用できる。これらの方法のそれぞれは、車6のセキュリティシステム若しくは携帯キー4側の受信デバイス26の回路を適合させることを伴う。
【0030】
図6は、車6のセキュリティシステム側でf/fを算出するための受信デバイス84の回路を示す。これは、受信デバイス26に基づく。マイクロプロセッサ86の追加の出力は、第1周波数分割器60及び第2周波数分割器66の制御入力に接続され、これによりフィードバックループが形成される。
【0031】
車6のセキュリティシステム及び携帯キー4は、2つのデバイスの搬送波周波数が略同一となるように製造される。しかし、時間の経過と共に、周波数源28,50の周波数、及びそれに伴いデバイスの局部クロック30,52は、ドリフトし、2つのデバイス6,4の搬送波周波数がもはや同一でなくなる。受信デバイス84で生成される局部発振器信号が、入力信号側のRF搬送波信号と同一の周波数を有さない場合、これらの2つの信号がミクサー70で混合されるとき、ベースバンド信号はゼロヘルツで中心化されないだろう。この場合、相関器58は、搬送波周波数が整合されたときのような大きな出力を生成しない。最大の相関は、RF信号が局部発振器信号と同一の周波数を有しPRNコードが位相合わせされたときに発生する。マイクロプロセッサ53は、レプリカPRNコードの正確な位相が上述の如く確立されると、分割比M及びNを変化させて相関器からの出力信号を最大化する。
【0032】
クロックがドリフトする前のある前の時間では、局部発振器の周波数及びRF搬送波の周波数は同一である。これは、次の表現を与える。
【0033】
【数3】

このステップは、通常、車及び携帯キーが製造されたときに発生するが、第1信号が送信される前の任意の時間に発生することができる。車は、この結果が真であるときの搬送波周波数及び分割比M、N、M及びNの記録を維持する。
【0034】
ある後の時間では、クロックが値fSA’、fSB’にドリフトしたとき、2つの周波数はもはや整合しなくなる。車6のセキュリティシステム側の受信デバイス84は、第2信号が受信されたとき、携帯キー4により送信されるRF搬送波の周波数に車6のセキュリティシステム内の局部発振器の周波数を整合させるために分割比M、Nを調整する。携帯キー4側の分割比M、Nは変更されない。新たな搬送波周波数は次の通り与えられる。
【0035】
【数4】

式4を式3で割ると、次のような結果となる。
【0036】
【数5】

クロックレートf、fは、f=fSA’/fSA、f=fSB’/fSBで与えられる。これは、それ故に、次の通り、f/fに対する結果をもたらす。
【0037】
【数6】

即ち、2つの周波数が初期的に整合していたときに用いられた分割比は既知であるので、車6のセキュリティシステムのクロックレートで除された携帯キー4のクロックレートは、2つのデバイスの信号の周波数を整合させることによって算出される。
【0038】
この場合、第1信号12が携帯キー4に車6のセキュリティシステムから送信されるとき、分割比M、N、M及びNのいずれにも変化が与えられない。ターンアラウンドタイムTAT後、携帯キー4は、第2信号14を車6に送る。これは、TA及びTT若しくは複合値(TT−TA)の個々の値を含む。第2信号14が車6のセキュリティシステムで受信されるとき、受信デバイス84は、分割比M及びNを調整し、これらの調整した分割比を用いてf/fを算出する。
【0039】
/fが見出され、車6のセキュリティシステムで既知となると、f/fは、携帯キー4で測定されるターンアラウンドタイムTATを補償するために用いられる。飛翔時間ToFの改善された推定は、次の通りである。
【0040】
【数7】

この計算は、常に、車のセキュリティシステムで実行される。車6のクロックレートfが1に等しくない場合には、この測定値にエラーが存在する。しかし、物理的条件が車6においてより安定である可能性が高いので、車6のセキュリティシステムの局部クロック30,52内のエラーは、携帯キーの局部クロック30,52内のエラーよりも小さい可能性が高い。車6と携帯キー4間の距離は、光速を飛翔時間ToFに掛けることにより見出される。
【0041】
代替実施例では、より多くの計算が携帯キー4側で実行される。この実施例では、適合された受信デバイス84が携帯キー4内に存在し、元(オリジナル)の受信デバイス26が車6のセキュリティシステム内に存在する。第1信号12が車6のセキュリティシステムから携帯キー4で受信されたとき、受信デバイス84は、分割比M及びNを調整し、これらの調整された分割比を用いてf/fを算出する。ターンアラウンドタイムTAT後、携帯キー4は、第2信号14を車に送信する。この信号は、TA、TT及びf/f若しくは補償されたターンアラウンドタイムTATの複合値(TT−TA)/(f/f)の個々の値を含む。第2信号14が車6のセキュリティシステムで受信されるとき、分割比M、N、M及びNのいずれも変化が与えられない。飛翔時間ToFは、式7を用いて車6側で計算される。
【0042】
図7は、車6のセキュリティシステムでf/fを算出するための更なる受信デバイス84の回路図を示す。これは、受信デバイス26に基づく。受信信号は、2つのチャンネル、即ちIチャンネル88及びQチャンネル90に分割される。各チャンネル88,90は、ミクサー70a,70bのそれぞれの入力に接続される。VCO64の第2出力は、2つのチャンネルに分割され、一方のチャンネルは位相シフター92によりπ/2だけ位相シフトされる。他のチャンネルは、Iチャンネル88側のミクサー70aに接続する。π/2の位相シフトを備えるチャンネルは、Qチャンネル90側のミクサー70bに接続する。各ミクサー70a,70bの出力は、デュアルチャンネルフィルタ74のそれぞれの入力に接続する。Iチャンネル88側のフィルタ74の出力は、相関器58aの入力に接続する。Qチャンネル90側のフィルタ74の出力は、相関器58bの入力に接続する。コード発生器56は、2つの出力を有し、一の出力はそれぞれの相関器58a,58bの入力に接続する。マイクロプロセッサ53の追加の出力は、メモリモジュール92の入力に接続する。メモリモジュール92の出力は、マイクロプロセッサ53の更なる入力に接続する。
【0043】
ミクサー70a,70bでは、VCO64からの局部発振器信号は、入力信号と混合され、入力信号がベースバンドにダウンコンバート(逓減)される。局部発振器信号がIチャンネル88側のRF搬送波信号と位相が正確に合っている場合には、全てのデータが、Iチャンネル上のミクサー70aで出力される。局部発振器信号がQチャンネル90側のRF搬送波信号と位相が正確に合っている場合には、全てのデータが、Qチャンネル上のミクサー70bで出力される。局部発振器信号がIチャンネル88若しくはQチャンネル90側のRF搬送波信号と位相が正確に合っていない場合には、エネルギがIチャンネル88及びQチャンネル90間で分割される。しかし、局部発振器信号は、RF搬送波信号に対して異なる周波数を有する場合、局部発振器信号は、Iチャンネル88若しくはQチャンネル90に対して一定の位相関係を有しないことなり、各チャンネル上のエネルギの量は時間と共に変化する。BPSK変調が用いられるので、双方のチャンネルは同一の情報を含む。
【0044】
この作用は図8に示される。グラフ94は、ミクサー70aから出力されフィルタ74を通過するIチャンネル88上のデータを示す。グラフ96は、ミクサー70bから出力されフィルタ74を通過するQチャンネル90上のデータを示す。作用は、各信号94,96内のデータが正弦波包絡線内に含まれることであり、Iチャンネル88の包絡線はQチャンネル90の包絡線に対してπ/2だけ位相がずれる。図からわかるように、同一のBPSKデータが各チャンネル88,90に存在する。包絡線関数の周波数はオフセット周波数foffsetであり、foffsetは、送信されるRF搬送波信号と局部で生成された局部発振器信号の間の周波数の差である。
【0045】
オフセット周波数に対する値は、包絡線関数の周波数から求められる。この方法の1つは、一連のポイントでアークタンジェント(I/Q)を単に取ることである。これは、時間の関数として位相のプロットを付与し、生成された直線の勾配がfoffsetを与える。実際には、相関器58aを用いてコード発生器56で生成されるレプリカコードに対してIチャンネル90内のデータの相関を先ず取り、相関器58bを用いてコード発生器56で生成されるレプリカコードに対してQチャンネル90内のデータの相関を取ることがより正確である。これは、変調されたデータが結果に悪影響を与えるのを防止し、出力に対するノイズの作用を低減する。相関器58a,58bは、正確なコード位相でレプリカコードを生成するためにフィードバックループでマイクロプロセッサ53と共に先ず用いられ、これにより、上述の如く値TAが得られる。
【0046】
Iチャンネルデータ94、Qチャンネルデータ96及び正確なコード位相でのレプリカコード98は、小継続時間部100a,100b等に分割される。相関器58a,58bは、I及びQチャンネル94,96上のデータの変調を分割して、Iチャンネル94及びQチャンネル96の包絡線信号上のポイントを抽出する。マイクロプロセッサ53は、次いで、アークタンジェント(I/Q)関数を実行して、位相を算出する。位相値は、メモリモジュール92内に記憶され、相関が繰り返される。メモリモジュール92は、次いで、マイクロプロセッサ53に全てのデータ値を送り返す。これらのデータ値は、マイクロプロセッサ53により用いられて、時間に対する位相のプロットが生成され、この場合、勾配がfoffsetに等しい。相関間隔は、相関が結果に歪を与えるのを防止するために、周波数オフセットの逆数よりも短くあるべきである。
【0047】
周波数オフセットは、携帯キー4のクロックレートfと車6のセキュリティシステムのクロックレートfの比に関連する。周波数オフセットは、次のように与えられる。
【0048】
【数8】

ここで、f’carrier及びf’localoscillatorは、局部クロック30,52がそれぞれ周波数fSA’、fSB’にドリフトしたときのRF搬送波周波数及び局部発振器周波数である。車6側の分割比M、N及び携帯キー4側の分割比M、Nは、それぞれの元の値のままである。式3を用いて、これは次のように書きなおせる。
【0049】
【数9】

車内のクロックがドリフトしていないと想定する場合、このとき
[外1]

であり、車のクロックレートfに対する携帯キーのクロックレートfの比は、次のように見出せる。
【0050】
【数10】

マイクロプロセッサ53は、双方の局部クロック30,52が、前もって(例えばシステムの構成要素が製造されるとき)既知となる同一のクロックレートを有するときのRF搬送波周波数fcarrierに対する結果を用いて、上記の計算を実行する。
【0051】
この場合、第1信号12が携帯キー4に車6のセキュリティシステムから送信されるとき、オフセット周波数の測定はなされない。ターンアラウンドタイムTAT後、携帯キー4は、第2信号14を車に送信し、この場合、この信号は、TA及びTT若しくは複合値(TT−TA)の個々の値を含む。第2信号14が車6のセキュリティシステムで受信されるとき、受信デバイス86は、オフセット周波数を測定し、そのオフセット周波数を用いてf/fを算出する。飛翔時間ToFは、式7を用いて車6側で算出される。
【0052】
或いは、より多くの計算が携帯キー4側で実行されてもよい。ここでは、受信デバイス86が携帯キー4内に存在し、元(オリジナル)の受信デバイス26が車6のセキュリティシステム内に存在する。第1信号12が車6のセキュリティシステムから携帯キー4で受信されたとき、受信デバイス86は、オフセット周波数を測定し、そのオフセット周波数を用いてf/fを算出する。ターンアラウンドタイムTAT後、携帯キー4は、第2信号14を車に送信する。この信号は、TA、TT及びf/f若しくは補償されたターンアラウンドタイムTATの複合値(TT−TA)/(f/f)の個々の値を含む。第2信号14が車6のセキュリティシステムで受信されるとき、オフセット周波数の測定はなされない。飛翔時間ToFは、式7を用いて車6側で計算される。
【0053】
アークタンジェント関数は、位相内の間隔−π/2<x<π/2内の結果を生成するだけであり、図9a及び図9bに示すように、不連続性をオフセット周波数の半波長毎に発生させる。不連続に亘った勾配を測定することは誤りを引き起こす。図9aでは、グラフ104で示すように、多くの相関が位相内の−π/2<x<π/2の各間隔で実行されている。受信デバイス86がこの場合の不連続性を特定するのが比較的率直である。時間に対して累積する位相のプロットは、グラフ106に示すように、π毎の各連続した間隔内の位相を積み上げていくことにより生成される。時間に対して累積する位相のグラフ106は、真の勾配を見出すために用いることができる。しかし、任意の時間間隔内の位相の多くの測定値を生成することは、大規模な処理リソースを必要としうる。図9bは、より少ない位相の測定が各時間間隔で実行されるときのグラフを示す。受信デバイス86は、この場合不連続性を特定することがより困難であり、時間に対する累積する位相のグラフ110は、システムが既に周波数オフセットの見当を有しない限り算出することができない。
【0054】
この問題は、f/fを見出すために2つの方法の組み合わせが用いられる場合に解決される。先ず、N及びMは、周波数オフセットを低減するために調整される。グラフ104,106,108及び110で示される不連続間の間隔のサイズは、周波数オフセットの逆数に関連するので、これは、不連続間の間隔のサイズを増加させる。それ故に、位相内の−π/2<x<π/2の各間隔でより多くの相関が存在し、従って、時間に対する累積する位相のグラフは容易に生成される。
【0055】
本発明は、車のセキュリティシステムに限定されることはなく、より広い適用範囲を有する。本発明のその他の実施例(図示せず)では、本システムは、位置検出システムを生成するために用いられる。これは、例えば、病院内の装置、患者及び医者を追跡するために用いられる。車6内の回路に類する回路を含む基地局(ベースステーション)のインフラが存在する。装置、患者及び医者はそれぞれ、携帯キー4内の回路に類する回路を含むタグを所持する。基地局は、それぞれのクロックから独自に動作し、前述のシステムのようなそれらの間にケーブルが必要とされない。タグが位置特定される必要がある時間毎に、タグと少なくとも3つの基地局との間の双方向通信が存在する。基地局は、各基地局からタグの距離の正確な指標に到達するためにタグでのターンアラウンドタイムを補償し、それ故に、タグの位置を算出することができる。
【0056】
本発明は上述の実施例に関して説明されているが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく修正がなされうることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】車のセキュリティシステムに対するリレーアタックを概略的に示す図である。
【図2】2つのデバイス間の信号の伝播を示す図である。
【図3】本発明を図示するために用いられる送信機の回路図である。
【図4】本発明を図示するために図3の送信機と共に用いられる受信機の回路図である。
【図5】図3及び図4のデバイスのクロックエラーを表示するグラフである。
【図6】本発明の一実施例による受信信号の周波数に局部発振器周波数を整合させるために動作可能な受信機の回路図である。
【図7】本発明の一実施例による受信信号の周波数と局部発振器周波数との間の差異を計算するための受信機の回路図である。
【図8】本発明の一実施例によるI及びQ上のデータを如何にして時間に対する位相のプロットを生成するために用いることができるかを示す図である。
【図9a】πの各間隔において幾つかのデータポイントがある場合の図8から導出される時間に対する位相のプロットを示す図である。
【図9b】πの各間隔においてデータポイントがほとんどないときの図8から導出される時間に対する位相のプロットを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるクロックレートを有しうるそれぞれのクロックを有する第1及び第2デバイス間の距離の指標を導出する方法であって、
前記第1デバイスから前記第2デバイスに、前記第1デバイスのクロックから導出される周波数を有する第1信号を送信するステップと、
前記第2デバイスでの前記第1信号の受信に応答して、前記第2デバイスから前記第1デバイスに、前記第2デバイスのクロックから導出される周波数を有する第2信号を送信するステップと、
前記第2デバイスにて、前記第2デバイスのクロックを基準として、前記第2デバイスでのターンアラウンドタイムであって、受信される前記第1信号と送信される前記第2信号の間の時間であるターンアラウンドタイムの指標を算出するステップと、
互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するステップと、
前記第1デバイスのクロックを基準としたターンアラウンドタイムを再計算するために前記指標を用いるステップと、
前記第1デバイスにて、前記第1及び第2デバイス間の距離の指標を導出するために前記再計算されたターンアラウンドタイムを用いるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するステップは、前記第2デバイスで実行され、
当該方法は、更に、前記第1デバイスに前記指標を伝達することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するステップは、前記第1デバイスで実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2デバイスの一方若しくは双方は、当該デバイスのクロックから局部発振器信号を導出するために用いられる少なくとも1つの周波数分割器を有し、
当該方法は、前記第1信号の送信前の時間にて前記第1及び第2デバイス内に略等しい周波数の局部発振器信号をもたらす各周波数分割器の分割比を決定し、各周波数分割器の分割比を前記第1若しくは第2デバイス内に記憶することを含む、請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するステップは、
少なくとも1つの周波数分割器の比を、前記第1若しくは第2信号のいずれが前記周波数分割器の比が変化されるデバイスで受信されたかに関らず、前記第1若しくは第2信号の搬送波に略等しい局部発振器信号が得られるまで変化させ、
変化前の周波数分割器の比若しくは複数の比と変化後の周波数分割器の比若しくは複数の比とから、前記指標を算出することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標は、クロック周波数の比の指標である、請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するステップは、いずれがデバイスで受信されるかに関らず、第1若しくは第2信号を、前記デバイスの局部発振器信号と混合し、その結果得られる混合した信号の包絡線の周波数を算出することを含む、請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記混合し、その結果得られる混合した信号の包絡線の周波数を算出するステップの前に、いずれが前記信号を受信したかに関らず、前記第1若しく第2デバイスにおける少なくとも1つの分割器の分割比を調整することにより周波数オフセットを低減することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するステップは、間隔を置いた時間間隔で同相混合信号の直交混合信号に対する比のアークタンジェントを連続的に算出し、前記連続したアークタンジェントの算出値の結果により得られる直線の勾配を求めることを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
異なるクロックレートを有しうるそれぞれのクロックを有する第1及び第2デバイスを含むシステムであって、
前記第1デバイスは、前記第2デバイスに、前記第1デバイスのクロックから導出される周波数を有する第1信号を送信するように構成され、
前記第2デバイスは、前記第2デバイスでの前記第1信号の受信に応答して、前記第1デバイスに、前記第2デバイスのクロックから導出される周波数を有する第2信号を送信するように構成され、
前記第2デバイスは、前記第2デバイスのクロックを基準として、前記第2デバイスでのターンアラウンドタイムであって、受信される前記第1信号と送信される前記第2信号の間の時間であるターンアラウンドタイムの指標を算出し、
前記第1若しくは第2デバイスのいずれかは、互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するように構成され、
前記第1若しくは第2デバイスのいずれかは、前記第1デバイスのクロックを基準としたターンアラウンドタイムを再計算するために前記指標を用いるように構成され、
前記第1デバイスは、前記第1及び第2デバイス間の距離の指標を導出するために前記再計算されたターンアラウンドタイムを用いるように構成される、システム。
【請求項11】
前記第2デバイスは、前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出し、前記指標を第1デバイスに伝達するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1デバイスは、前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1及び第2デバイスの一方若しくは双方は、当該デバイスのクロックから局部発振器信号を導出するために用いられる少なくとも1つの周波数分割器を有し、
当該システムは、前記第1信号の送信前の時間にて前記第1及び第2デバイス内に略等しい周波数の局部発振器信号をもたらす各周波数分割器の分割比を決定するように構成され、前記第1及び第2デバイスの少なくとも一方は、前記周波数分割器の比若しくは複数の比を記憶するように構成される、請求項10乃至12のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するように構成される前記第1及び第2デバイスの一方は、
少なくとも1つの周波数分割器の比を、前記第1若しくは第2信号のいずれが前記周波数分割器の比が変化されるデバイスで受信されたかに関らず、前記第1若しくは第2信号の搬送波に略等しい局部発振器信号が得られるまで変化させ、
変化前の周波数分割器の比若しくは複数の比と変化後の周波数分割器の比若しくは複数の比とから、前記指標を算出するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標は、クロック周波数の比の指標である、請求項10乃至14のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するように構成される前記第1及び第2デバイスの一方は、いずれがデバイスで受信されるかに関らず、第1若しくは第2信号を、前記デバイスの局部発振器信号と混合し、その結果得られる混合した信号の包絡線の周波数を算出するように構成される、請求項10乃至15のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
前記第1及び第2デバイスの一方は、前記混合した信号の包絡線の周波数を算出する前に、前記デバイスにおける少なくとも1つの分割器の分割比を調整することにより周波数オフセットを低減する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記互いに対する前記第1及び第2デバイスでのクロックの周波数の指標を算出するように構成される前記第1及び第2デバイスの一方は、間隔を置いた時間間隔で同相混合信号の直交混合信号に対する比のアークタンジェントを連続的に算出し、前記連続したアークタンジェントの算出値の結果により得られる直線の勾配を求めるように構成される、請求項16又は17に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1デバイスは、車両セキュリティシステムの一部を形成し、前記第2デバイスは、車両アクセス送受信機の一部を形成する、請求項10乃至18のうちのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
基地局をそれぞれ構成する複数の第1デバイスと、携帯デバイスである少なくとも1つの第2デバイスとを含む位置検出システムである請求項10乃至18のうちのいずれか1項に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【公表番号】特表2008−522181(P2008−522181A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543978(P2007−543978)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053987
【国際公開番号】WO2006/059296
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】