説明

デルモピノールの調製

デルモピノール、あるいはその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物の製造方法であって、式(II)で表される化合物(式中、R1及びR2は、H及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より独立に選択される同一または異なる基を表すか、あるいは、R1及びR2は、それらが結合する炭素原子と共に(C5〜C6)シクロアルキル基を形成しており;R3は、CF3、(C1〜C4)アルキル基、フェニル基、ならびに、(C1〜C4)アルキル基、ハロゲン、及びニトロ基からなる群より選択される基によってモノ置換またはジ置換されているフェニル基からなる群より選択される基である)を脱保護及び環化反応に供することによる方法を含む。本発明の方法は、デルモピノールまたはその塩を工業規模で調製するのに有用である。式(II)で表される化合物、及びその調製方法、ならびに上記調製方法における他の新規中間体は新規であり、それらも本発明の一部を形成している。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デルモピノールの調製方法、及びそのような調製方法に有用な新規な中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
デルモピノールは、CAS番号が79874−76−3である、3−(4−プロピルヘプチル)−4−モルホリンエタノール(3−(4−propylheptyl)−4−morpholinethanol)の国際一般的名称(International Non−proprietary Name)(INN)である。デルモピノール塩酸塩(CAS番号98092−92−3)の、歯肉炎の治療への使用が意図されている。塩酸デルモピノールの構造は下記式に対応する。
【化1】

【0003】
デルモピノール及びその塩のさまざまな調製方法は本技術分野において公知である。欧州特許出願公開第038785A号には、この化合物の数種類の調製方法が記載されている。欧州特許出願公開第038785A号によると、デルモピノールは、3−置換モルホリンのアルキル化、置換ビス(ハロエチル)エーテルまたは置換ジエチレングリコールジスルホネートを使用した第1アミンのジアルキル化、モルホロンの還元、あるいはモルホリンのN−置換基をヒドロキシエチル基中に転位させることによって調製することができる。欧州特許出願公開第0426826A号には、モルホリンニトロンの付加環化によってモルホリン−イソオキサゾリジンまたはモルホリン−イソキサゾリンを得て、還元的開環の後に側鎖中に存在する官能基を転位させ、最後に窒素をアルキル化することによってデルモピノールを得る工程を含むデルモピノールの調製方法が記載されている。
【0004】
この従来技術の教示にもかかわらず、公知の方法は時間がかかり、過酷な水素化条件の使用、一部の毒性及び/または引火性の非常に高い試薬または溶媒の使用を必要とすることから、工業的開発が困難であり費用がかかるため、デルモピノールの新規な調製方法の研究は、依然として活発な分野である。したがって、デルモピノールの新規な調製方法の提供が非常に望まれている。
【特許文献1】欧州特許出願公開第038785A号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0426826A号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、過酷な水素化条件、ならびに毒性及び引火性の非常に高い試薬及び溶媒の使用が回避される、デルモピノールならびにその薬学的に許容される塩及び/または溶媒和物の効率的な調製方法を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、式(I)で表されるデルモピノール、あるいは薬学的に許容されるその塩及び/または水和物などの溶媒和物の調製方法であって、
式(II)で表される化合物を適切な溶媒系中において塩基で処理して、アミノエタノールの脱保護と環化との両方を行うことによって式(I)で表される化合物を得る工程;または、
まず室温にて式(II)で表される化合物を適切な溶媒系中において酸で処理して、アミノエタノールの脱保護を行い、次に塩基で処理して該化合物を環化させることにより、式(I)で表される化合物を得る工程
のいずれかを含む該方法である。
【化2】

【化3】

【0007】
前出の式(II)中、R1及びR2は、H及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より独立に選択される同一または異なる基を表すか、あるいは、R1及びR2は、それらが結合する炭素原子と共に(C5〜C6)シクロアルキル基を形成しており;R3は、CF3、(C1〜C4)アルキル基、フェニル基、ならびに、(C1〜C4)アルキル基、ハロゲン、及びニトロ基からなる群より選択される基によってモノ置換またはジ置換されているフェニル基からなる群より選択される基である。
【0008】
前述のように定義される式(II)で表される化合物は、式(III)で表される化合物を、式Cl−SO2−R3の塩化スルホニルと反応させることによって予め調製され、ここで式中のR1、R2、及びR3は、式(II)で表される化合物に関する前出の定義と同義である。
【化4】

【0009】
式(IV)で表される化合物(式中のR1及びR2は前出の定義と同義である)を、式(V)で表される化合物と塩基の存在下で反応させ、その反応混合物を、約0〜5℃において、水と少なくとも1種類の水非混和性溶媒との混合物で処理した後、生成物を含有する有機相を水相から分離することによって、得られた式(III)で表される化合物を回収することを含む方法によって、式(III)で表される化合物は予め調製される。R1がHであり、R2がH及び(C1〜C6)アルキルからなる群より選択される基である式(III)で表される化合物は、水の存在下で上記反応混合物を酸で処理し、続いて塩基性化することによって中性型の式(VI)で表される化合物を単離することによる、式(VI)で表される化合物の形成を介した2段階で回収することもできる。続いて、上記化合物(VI)を式R4CHOのアルデヒド(式中のR4は、H及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より選択される)と反応させることで、R1がHであり、R2がH及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より選択される基である式(III)で表される化合物を得ることを特徴とする保護反応が、化合物(VI)に対して行われる。
【化5】

【化6】

【0010】
式(V)で表される化合物は、適切なエポキシ化剤を使用して式(VII)で表される化合物をエポキシ化反応に供することを含む方法によって予め調製される。
【化7】

【0011】
式(VII)で表される化合物は、アルカリ金属アルコキシドの存在下で式(VIII)で表される化合物を脱離反応に供することによって予め調製される。
【化8】

【0012】
本発明の方法の有利な特徴として、以下が挙げられる。本発明の方法では、安価で非毒性の出発物質が使用され、使用される試薬及び溶媒も毒性が低く、本発明の方法は穏やかな反応条件下で実施され、各反応段階の収率が高く、本発明の方法のいくつかの段階はワンポットで実施可能であり、デルモピノールが高純度で得られる。
【0013】
式(II)、(III)、(V)、(VI)、(VII)、及び(VIII)で表される化合物は新規である。したがって、本発明のさらに別の一態様は、前述のように定義される上記中間化合物を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
前述のように、デルモピノールは、適切な溶媒系中で前述のように定義される式(II)で表される化合物の脱保護及び環化反応を行うことによって得ることができる。好ましい一実施形態においては、式(II)で表される化合物は、式中のR3がメチル基である化合物である。好ましくは、上記溶媒系は、(C6〜C8)芳香族炭化水素と水との混合物である。好適な炭化水素の例はトルエン及びキシレンである。
【0015】
上記変換は、好ましくは50℃から使用される二相溶媒系の還流温度までの間の温度で、式(II)で表される化合物を塩基で処理することによって行うことができる。当該工程は、式(II)で表される化合物を、室温において塩酸などの希酸で処理することでアミノエタノールを脱保護し、続いて、好ましくは50℃から使用される二相溶媒系の還流温度までの間の温度で、塩基と反応させることで環化させることによって加速させてもよい。どちらの場合でも塩基は、無機塩基または有機塩基のいずれであってもよく、例としては水酸化ナトリウム及びトリエチルアミンが挙げられる。
【0016】
上記方法を実施するために最も適切な条件は、反応混合物の濃度、温度、使用される溶媒などの、当業者によって考慮される要因によって変動する。これらは、日常的な試験の使用、及び本明細書の説明において提供される実施例の教示を参考にすることで、当業者によって容易に決定することができる。
【0017】
本発明の方法によって得られたデルモピノールは、薬学的に許容される塩に変換することができ、塩は、当技術分野において示されている標準的手順によって中性型に転換することができる。たとえば、適切な溶媒中でデルモピノールを塩酸で処理することによって、デルモピノールをその塩酸塩型に転換することができる。得られた塩の結晶化を行うのに適した溶媒の例としては、メチルtert−ブチルエーテルまたはジ−n−ブチルエーテルなどの(C2 C10)−エーテル、ヘプタンまたはヘキサンなどの(C6〜C8)−脂肪族炭化水素、トルエンまたはキシレンなどの芳香族炭化水素、ならびに酢酸エチルなどの(C2 C10)−エステル、ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0018】
式(II)で表される化合物は、対応するアルコールを式Cl−SO2−R3の塩化スルホニル(式中のR3は前出の定義と同じ意味を有する)と反応させることによって予め調製することができる。好ましい一実施形態においては、この塩化スルホニルは、R3が−CH3、C6H4CH3、−C6H5、及びCF3である塩化スルホニルである。より好ましい一実施形態においては、R3はメチル基である。
【0019】
一般に、この反応は、トルエンまたはキシレンなどの(C6〜C8)−芳香族炭化水素、あるいは塩化メチレンまたは1,2ジクロロエタンなどの塩素含有溶媒などの適切な不活性溶媒中で、第3級アミンの存在下、約0℃から室温の間の温度において行われる。好ましくは、この反応は低温で実施される。
【0020】
式(III)で表されるアルコールの調製は、塩基の存在下で、前述のように定義される式(IV)で表される化合物を式(V)で表される化合物と反応させることによって行うことができる。
【化9】

【0021】
好ましくは、前記塩基は、カリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、ならびに水素化リチウムまたは水素化ナトリウムなどのアルカリ金属水素化物からなる群より選択される。一般に、この反応は、約50℃〜90℃の間の温度で実施される。
【0022】
式(IV)で表される化合物を過剰に使用して上記反応を行う場合に最良の結果が得られる。(IV)と(V)とのモル比が少なくとも4:1であることが好ましい。より好ましくは、このモル比が少なくとも5:1であると、少なくとも90%の収率が得られる。
【0023】
得られる式(III)で表される化合物は、0〜5℃において、水とトルエンなどの少なくとも1種類の水非混和性溶媒との混合物で反応混合物を処理した後、生成物を含有する有機相を水相から分離することによって単離することができる。
【0024】
R1がHであり、R2がH及び(C1〜C6)アルキル基から選択される基である式(III)で表される化合物は、式(VI)で表される化合物から単離することもできる。化合物(IV)と(V)とを反応させた後、その反応混合物を、水の存在下で酸で処理した後、塩基を加えると、式(VI)で表される化合物が得られ、これは中性型で単離される。
【化10】

【0025】
溶媒の除去などによって単離した後、化合物(VI)を式R4CHOのアルデヒド(式中のR4は、H及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より選択される)と反応させることを特徴とする保護反応に化合物(VI)を供する。好ましくは、このアルデヒドは、ホルムアルデヒド及びプロピオンアルデヒドから選択される。
【0026】
実施例で示されるように、本発明の方法の2つ以上の段階をワンポットで実施することが可能である。すなわち、式(IV)で表される化合物と式(V)で表される化合物とを反応させて式(III)で表される化合物を得た後、0〜5℃において該反応混合物を水と少なくとも1種類の水非混和性溶媒との混合物で処理することに基づく処理を行い、続いて式(II)で表される化合物に変換し、最後に式(I)で表される化合物を形成することを、中間体の単離を全く行わずにワンポットで行うことができる。同様に、式(VI)で表される化合物の式(III)で表される化合物への転換、それに続く式(II)で表される化合物への転換、及び最後の式(I)で表される化合物の生成も、中間体の単離を全く行わずにワンポットで行うことができる。
【0027】
式(IV)で表される化合物は、ジエタノールアミンから保護反応によって調製することができる。この方法は、ジエタノールアミンと、アルデヒドまたはケトンとの反応を含む。好適なアルデヒドの例は、ホルムアルデヒド及びプロピオンアルデヒドである。好適なケトンの例は、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、及びメチルエチルケトンである。
【0028】
式(V)で表される化合物は、6−プロピルノン−1−エン(VII)を、3−クロロペルオキシ息香酸またはペルオキシ酢酸などのエポキシ化剤でエポキシ化することによって調製することができる。式(VII)で表される化合物は、アルカリ金属アルコキシド、好ましくはカリウムtert−ブトキシドの存在下で、対応する臭化アルキル(VIII)を脱離反応に供することによって予め調製される。上記化合物(VIII)は、対応するアルコール(IX)の臭素化によって予め得られる。
【化11】

【0029】
前記臭素化は、好適な溶媒の存在下で臭素化剤を使用して行うことができる。臭素化は、たとえば、溶媒は使用せずに臭化水素酸及び硫酸を使用して行うことができ、還流温度で行うことが好ましい。6−プロピルノナン−1−オール(IX)は公知であり、当技術分野において公知の方法によって実施例に記載のように調製することができる。
【0030】
本明細書の説明及び特許請求の範囲の全体において、単語「含む」、及び「含有」などのこの単語の変形は、他の技術的特徴、添加剤、成分、及び工程を排除することを意図しない。本発明のさらなる目的、利点、及び特徴は、本明細書の説明を検討することによって当業者に明らかとなるか、あるいは本発明を実施することによって理解することが可能であろう。
【0031】
以下の実施例は、説明の目的で提供するものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0032】
実施例1:6−プロピルノナン−1,6−ジオールの調製
窒素雰囲気下で、冷却器が取り付けられ、e−カプロラクトン(3.3mL、30mmol)及び無水テトラヒドロフラン(60mL)が入れられた250mLの二口フラスコに、0℃において塩化プロピルマグネシウム(33mL、66mmol、2.2当量、ジエチルエーテル中の2.0M溶液)を滴下した。添加後、その反応物を室温で10分間撹拌した後、2時間加熱還流した。この反応を薄層クロマトグラフィーで監視した。反応物を0℃に冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液を(18mL)を加え、続いて室温で塩酸(18mL、1M水溶液)を加えた。その有機相をデカンテーションし、水相をジクロロメタン(3×140mL)で抽出した。それらの有機相を1つにまとめたものを、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(100mL)で洗浄した後、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を蒸発させて、表題化合物(6.543g、96%)を粘稠黄色油として得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):3,64(t,J=6,7Hz,2H);1,59(tt,J=6,7Hz,J=6,7Hz,2H);1,46−1,24(m,15H);0,88(t,J=7,2Hz,6Hd).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):68,5;64,2;42,0(2C);39,8;33,1;26,8;23,7;17,1(2C);14,5(2C).MS(IC+)m/z(%):220,2[M+18](99);202,2(75);203,3[M+1](30);185,2(100);176,2(60);141,2(25).
【0033】
実施例2:6−プロピルノナ−5−エン−1−オールならびに(Z)−及び(E)−6−プロピルノナ−6−エン−1−オールの調製
ディーン−スタークコレクター(Dean−Stark collector)が取り付けられ、60mLのトルエンとの溶液の6−プロピルノナン−1,6−ジオール(純度94%、6.5g、30mmol)が入れられた100mLのフラスコに、p−トルエンスルホン酸(285mg、1.5mmol、0.05当量)を加えた後、加熱還流した。この反応を薄層クロマトグラフィーで監視した。2時間後、反応物を室温まで冷却し、160mLのトルエンを加え、その有機相を重炭酸ナトリウム(1/2飽和水溶液、3×15mL)で洗浄した。その有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させると、三種類の表題異性体の混合物(5.43g、収率98%)を淡黄色油として得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):5,14−5,08(m,3H);3,67−3,61(m,6H);2,07−1,90(m,18H);1,64−1,53(m,6H);1,46−1,31(m,21H);0,94(t,J=7,4Hz,3H1);0,93(t,J=7,4Hz,3H);0,88(t,J=7,4Hz,6H);0,87(t,J=7,4Hz,3H);0,86(t,J=7,4Hz,3H1).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):139,6;138,5(2C);126,8;126,7;63,0;39,0;36,8;32,8;32,7;32,5;32,1;32,0;29,9;28,3;28,0;27,4;26,2;25,8;25,5;21,7;21,6;21,3;21,0;14,7;14,2;13,9.MS(IC+)m/z(%):202,3[M+18](80);185,3[M+1](100);104,1(59);77,1(50).
【0034】
実施例3:6−プロピルノナン−1−オールの調製
窒素雰囲気下で、実施例2で得られた3種類の異性体の混合物(5.43g、29.5mmol)と、無水エタノール(70mL)とが入れられた100mLのフラスコに、Pd/C 10%(543mg、10質量%)を加えた。この容器を窒素パージした後、十分に撹拌しながら水素をパージした。このフラスコに、水素の入ったバルーンを取り付け、反応物を室温で24時間撹拌した。この反応を1H NMRによって監視した。反応物に窒素をパージし、触媒を、セライト(Celite)(登録商標)が入った濾過漏斗(No.3)で濾過して除去し、無水エタノールで数回洗浄した。蒸発させることで、6−プロピルノナン−1−オール(4.92g、収率90%)を無色油として得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):3,64(t,J=6,7Hz,2H);1,58(tt,J=6,7Hz,J=6,7Hz,2H);1,39−1,14(m,15H);0,88(t,J=6,8Hz,6H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):63,0;36,9;36,0(2C);33,6;32,8;26,5;26,2;19,8(2C);14,5(2C).
【0035】
実施例4:1−ブロモ−6−プロピルノナンの調製
6−プロピルノナン−1−オール(4.92g、26.4mmol)が入れられた50mLのフラスコに、48%臭化水素酸(12mL、105.6mmol、4当量)と濃硫酸(1.4mL、26.4mmol、1当量)とを加え、その混合物を14時間加熱還流(95℃)した。その反応を室温まで冷却した後、H2O(40mL)を加えた。その混合物をジクロロメタン(3×120mL)で抽出し、それらの有機相を1つにまとめたものを重炭酸ナトリウム水溶液(40mL、1M)で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥させ、蒸発させることで、1−ブロモ−6−プロピルノナン(5.87g、収率89%)を褐色液体として得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):3,40(t,J=6,8Hz,2H);1,86(tt,J=6,8Hz,J=6,8Hz,2H);1,45−1,35(m,2H);1,34−1,15(m,13H);0,88(t,J=6,8Hz,6H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):36,9;36,0(2C);34,0;33,5;33,9;28,7;25,8;19,8(2C);14,5(2C).
【0036】
実施例5:6−プロピルノナ−1−エンの調製
窒素雰囲気下で、カリウムtert−ブトキシド(13.27g、108.7mmol、4.6当量)が入れられた250mLのフラスコに、無水テトラヒドロフラン(100mL)を加え、0℃において無水テトラヒドロフラン(20mL)との溶液の1−ブロモ−6−プロピルノナン(5.87g、23.54mmol)をカニューレで加えた。次にその混合物を室温で2時間撹拌した。塩酸(230mL、1M)をゆっくり加え、その混合物をシクロヘキサン(300mL+3×100mL)で抽出した。それらの有機相をまとめたものを、重炭酸ナトリウム水溶液(100mL、1M)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を、中程度の真空下(アルケンが高揮発性であるため室温で)注意深く蒸発させて、3.3g(84%)の6−プロピルノナ−1−エンを褐色液体として得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):5,82(ddt,J=6,8Hz,J=10,2Hz,J=16,9Hz,H);5,00(broadd,J=16,9Hz,H);4,93(broadd,J=10,2Hz,H);2,02(dt,J=6,8Hz,J=6,8Hz,2H);1,41−1,30(m,2H);1,32−1,15(m,11H);0,88(t,J=7,1Hz,6H').13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):1
39,3;
114,1;36,8;36,1(2C);34,3;33,2;26,0;19,8(2C);14,5(2C).MS(IE)m/z(%):169,1[M+](25);141,1(30);125,0(57);113,0(40);99,0(44);85,0(67);71,0(73).
【0037】
実施例6:2−(4−プロピル−ヘプチル)−オキシランの調製
窒素雰囲気下で、6−プロピルノナ−1−エン(4g、23.76mmol、蒸留によって精製)及び無水ジクロロメタン(260mL)が入れられた250mlのフラスコに、0℃においてm−クロロペルオキシ安息香酸(77%、10.65g、47.53mmol、2当量)を加え、その反応を0℃で20分間撹拌した後、室温まで温めた。出発物質の消失をTLCによって監視する。ほぼ乾燥するまで反応物を蒸発させ、シクロヘキサン(260ml)を加え、フラスコ内に残留する固形分をシクロヘキサンで数回抽出した。それらの有機相を1つにまとめたものを重炭酸ナトリウム飽和水溶液(5×25mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させた後、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィー(溶離液ジクロロメタン)で精製し、所望の生成物(3.86g、88%)を無色油として得た。
【0038】
トルエン(90ml)中の6−プロピルノナ−1−エン(16.35g、97.34mmol)と、酢酸ナトリウム水溶液(4.87ml、1M、4.87mmol)との溶液に、周囲温度において、希薄ペルオキシ酢酸(24.55ml、希酢酸中32重量%、116.81mmol)を10分かけて滴下した。その混合物を60℃まで加熱し、反応の進行をガスクロマトグラフィー(GC)によって追跡した。5時間後、GCにより3%のアルケンが残留していることが分かり、混合物を周囲温度で16時間撹拌し続けると、残留するアルケンがわずか1%となった(全体の純度85.7%、アルケン由来の8.7%の飽和炭化水素汚染物質を含有した)。反応終了後、得られた二相混合物を重亜硫酸ナトリウム水溶液(10%、80ml)で処理し、その有機相を分離した。水相をトルエン(2×40ml)で抽出し、それらの有機相を1つにまとめたものを水(2×40ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して、淡黄色油(20.9g、117%)を得た。クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン)によって精製することで、2−(4−プロピル−ヘプチル)−オキシラン(14.42g、81%)を無色油として得た。0.42溶離液(CH2Cl2);Rev.:アニスアルデヒド;色:青緑色。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):2,94−2,87(m,H);2,74(dd,J=3,9Hz,J=4,9Hz,H);2,46(dd,J=2,7Hz,J=4,9Hz,H);1,55−1,47(m,2H);1,49−1,36(m,2H);1,36−1,17(m,11H);0,88(t,J=6,8Hz,6H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d??(ppm):52,4;47,1;36,9;35,9(2C);33,4;32,9;23,1;19,8(2C);14,5(2C).
【0039】
実施例7:2.2−ジメチル−3−(2−ヒドロキシエチル)−オキサゾリジンの調製
ジエタノールアミン(19.2mL、200mmol)が入れられた100mLのフラスコに、アセトン(29.4mL、400mmol、2当量)及び炭酸カリウム(粉砕し160℃で乾燥させたもの、27.6g、200mmol、1当量)を加えた。その反応物を室温で1日間撹拌した。その混合物を焼結漏斗(No.3)で濾過し、回収した固形分をアセトンで洗浄した。その濾液及び洗液を1つにまとめ、溶媒を蒸発させた。1H NMRから、85%が変換されたことが分かった。粗反応物を125〜132℃/20mmHgで蒸留して、表題化合物(20.89g、収率72%)を無色油として得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):3,93(t,J=6,6Hz,2H);3,62(t,J=5,3Hz,2H);2,96(t,J=6,6Hz,2H);2,65(t,J=5,3Hz,2H);1,23(s,6H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d??(ppm):94,2;63,5;59,3;50,8;49,1;23,3(2C).
【0040】
実施例8:2−(1−オキサ−4−アザ−スピロ[4.5]デカ−4−イル)−エタノール調製
ジエタノールアミン(9.7mL、100mmol)が入れられた50mLのフラスコに、シクロヘキサノン(10.4mL、100mmol、1当量)及び炭酸カリウム(粉砕し160℃で乾燥させたもの、13.8g、100mmol、1当量)を加えた。その反応物を80℃で12時間撹拌した。その反応物を室温まで冷却し、ジクロロメタンで希釈した後、炭酸カリウムを濾過により除去した。シクロヘキサン中に希釈された粗混合物を、0℃において水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、表題化合物(8.4g、収率45%)を得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):3,91(t,J=6,7Hz,2H);3,60(m,2H);3,00(t,J=6,7Hz,2H);2,70(t,J=5,3Hz,2H);1,72−1,50(m,7H);1,43−1,30(m,2H);1,21−1,04(m,1H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):94,9;63,2;59,2;50,3;49,0;32,6(2C);25,6;23,3(2C).
【0041】
実施例9:2−オキサゾリジン−3−イル−エタノールの調製
トルエン(76mL)中のパラホルムアルデヒド(11.41g、380mmol、1当量)が入れられた250mLのフラスコに、イソプロパノール(76mL)で希釈したジエタノールアミン(36.5mL、380mmol、d=1.0955)を加えた後、ディーン−スタークトラップを使用して19時間加熱還流した。反応物を室温まで冷却し、蒸発させて、47.57gの粗生成物を得た。得られた粗生成物を、減圧蒸留によって精製して、表題化合物(38.33g、収率86%)を得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):4,32(s,2H);3,78(t,J=6,7Hz,2H);3,64(t,J=5,3Hz,2H);3,00(t,J=6,7Hz,2H);2,73(t,J=5,3Hz,2H).
【0042】
実施例10:2−(2−エチル−オキサゾリジン−3−イル)−エタノールの調製
窒素雰囲気下で、ジクロロメタン(60mL)中のジエタノールアミン(2.9mL、30mmol、d=1.0955)が入れられた250mLのフラスコに、炭酸カリウム(8.3g、60mmol、2当量)を加えた後、0℃においてプロピオンアルデヒド(2.73mL、37.5mmol、1.25当量)を滴下した。反応物を室温まで温め、3時間撹拌した。焼結漏斗を使用して炭酸カリウムを濾過し、ジクロロメタンで数回洗浄した。それらの有機層を1つにまとめたものを蒸発させると、4.994gの粗生成物が得られた。この生成物を減圧蒸留によって精製して、表題化合物(3.87g、収率87%)を得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):3,93(dd,J=4,3Hz,J=6,4Hz,H);3,92−3,82(m,2H);3,71−3,58(m,2H);3,26(ddd,J=5,5Hz,J=6,5Hz,J=12,2Hz,H);2,83(ddd,J=4,9Hz,J=8,2Hz,J=12,7Hz,H);2,66(dt,J=7,0Hz,J=10,0Hz,H);2,55(dt,J=3,9Hz,J=12,2Hz,H);1,60(ddq,J=4,3Hz1J=7,4Hz,J=14,1Hz);1,51(ddq,J=6,4Hz,J=7,4Hz,J=14,1Hz);0,95(t,J=7,4Hz,3H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):97,5;64,1;60,0;55,1;51,7;26,8;8,9.
【0043】
実施例11:1−[2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−エトキシ]−6−プロピル−ノナン−2−オールの調製
カリウムtert−ブトキシド(125mg、1mmol、0.5当量)が入れられた10mLのシュレンク(Schlenk)管に、新しく蒸留した2,2−ジメチル−3−(2−ヒドロキシエチル)−オキサゾリジン(1.4mL、10mmol、d1.035、5当量)を加えた後、完全に溶解するまで75℃に加熱した。この溶液に、75℃において2−(4−プロピル−ヘプチル)−オキシラン(0.43mL、2mmol、d0.856)を1時間かけてゆっくりと加えた。その反応物を75℃で撹拌した。6時間後、反応物を室温まで冷却した後、ジエチルエーテル(40mL)を加えた。その有機相を塩酸水溶液(1M、3×12mL)で抽出した。続いて、水酸化ナトリウム水溶液(25%)を加えて、混合物のpHを14にした後、ジエチルエーテル(4×16mL)で抽出した。それらの有機相を1つにまとめたものを、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮することによって、表題化合物(515mg、収率90%)を得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):3,83−3,74(m,H);3,67(t,J=5,2Hz,2H);3,67−3,56(m,2H);3,52(dd,J=2,7Hz,J=9,9Hz,H);3,30(dd,J=8,2Hz,J=9,9Hz,H);3,05−2,96(m,2H+2H);1,50−1,15(m,15H);0,87(t,J=7,0Hz,6H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):75,9;70,3;70,2;60,9;51,1;48,9;36,9;36,0(2C);33,7;33,6;22,7;19,8(2C);14,5(2C).
【0044】
実施例12:1−[2−(2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−イル)−エトキシ]−6−プロピル)−ノナン−2−オールの調製
窒素雰囲気下で、ナトリウムメトキシド(1.35g、25mmol、0.25当量)が入れられた250mLのフラスコに、新しく蒸留した2,2−ジメチル−3−(2−ヒドロキシエチル)−オキサゾリジン(70.15mL、500mmol、d1.035、5当量)を加えた後、完全に溶解するまで50℃に加熱した(20分)。次に、その反応物を、90分間真空ライン(3〜4mbar)に接続して、その場で形成されたメタノールを除去した。その溶液に、75℃において2−(4−プロピル−ヘプチル)−オキシラン(21.53mL、100mmol、d0.856)を1時間かけてゆっくり加えた。その反応物を75℃で終夜撹拌した。17時間後、反応物を室温まで冷却した後、トルエン(125mL)を加えた。その混合物を0℃に冷却したものに、水(100mL、予め0℃に冷却した)を加えた後、0℃で1時間撹拌した。その有機相を回収し、水相をトルエン(2×35mL、予め0℃に冷却した)で抽出した。それらの有機相を1つにまとめたものを、25mLの水(予め0℃に冷却した)で洗浄し、35℃において真空(30mbar)を使用して部分的に(15体積%だけ)蒸発させて、共沸乾燥させた。その有機相をトルエン(32mL)で希釈し、それを直接次の段階に使用した。ロータベーパー(rotavapor)上で溶媒を蒸発させることによって、生成物を単離することも可能であった。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):3,91(t,J=6,6Hz,2H);3,81−3,73(m,H);3,67(dt,J=5,6Hz,J=10,2Hz,H);3,61(dt,J=5,6Hz,J=10,2Hz,H);3,56(dd,J=2,7Hz,J=10,2Hz,H);3,30(dd,J=8,2Hz,J=10,2Hz,H);3,05−2,96(m,2H);2,67(t,J=5,6Hz,2H4);1,50−1,15(m,21H);0,87(t,J=7,0Hz,6H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):94,5;76,0;70,7;70,5;63,5;50,4;49,5;36,9;36,0(2C);33,7;33,5;23,1;23,0;22,7;19,7(2C);14,5(2C).
【0045】
実施例13:1−(2−オキサゾリジン−3−イル−エトキシ)−6−プロピル−ノナン−2−オールの調製
トルエン(1mL)中のパラホルムアルデヒド(52mg、1.73mmol、1当量)が入れられた10mLのフラスコに、イソプロパノール(1mL)で希釈した1−[2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−エトキシ]−6−プロピル−ノナン−2−オール(500mg、1.73mmol)を加えた後、ディーン−スタークトラップを使用して17時間加熱還流した。その反応を室温まで冷却した後、蒸発させると、520mgの生成物の混合物が得られ、表題化合物はその主成分であった(粗収率100%)。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):4,33(s,2H);3,78(t,J=6,8Hz,2H);3,83−3,74(m,H);3,70−3,57(m,2H);3,55(dd,J=2,7Hz1J=10,0Hz,H);3,29(dd,J=8,2Hz,J=10,0Hz,H);3,02(t,J=6,8Hz,2H);2,81−2,74(m,2H);1,50−1,12(m,15H);0,87(t,J=7,0Hz,6H1).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):87,0;76,0;70,5;70,3;63,3;54,3;52,7;36,9;36,0(2C);33,7;33,5;22,7;19,8(2C);14,5(2C)
【0046】
実施例14:1−[2−(2−エチル−オキサゾリジン−3−イル)−エトキシ]−6−プロピル−ノナン−2−オールの調製
トルエン(3mL)中の1−[2−(2−ヒドロキシ−エチルアミノ)−エトキシ]−6−プロピル−ノナン−2−オール(510mg、1.76mmol、1当量)が入れられた10mLのフラスコに、室温においてプロピオンアルデヒド(0.14mL、1.85mmol、1.05当量、d=0.798)を滴下した後、ディーン−スタークトラップを使用して2時間加熱還流した。その反応を室温まで冷却し、濃縮することで、表題化合物を2種類の立体異性体(50:50)(580mg、収率100%)として得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):4,09−4,03(m,H);3,92−3,81(m,2H);3,81−3,73(m,H);3,73−3,50(m,2H+2H);3,35−3,21(m,2H);2,92−2,74(m,2H);2,72−2,63(m,H);2,62−2,52(m,H);1,69−1,14(m,15H+2H);0,96(m,3H);0,87(t,J=7,0Hz,6H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):98,0;97,9;76,1;75,7;70,6(2C);70,2(2C);64,2(2C);53,2;53,1;52,6(2C);36,9(2C);36,0(2C+2C);33,7(2C);33,6;33,5;26,9;26,8;22,7(2C);19,8(2C+2C);14,5(2C+2C);9,2(2C).
【0047】
実施例15:メタンスルホン酸1−[2−(2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−イル)−エトキシメチル]−5−プロピル)−オクチルエステルの調製
1−[2−(2,2−ジメチル−オキサゾリジン−3−イル)−エトキシ]−6−プロピル)−ノナン−2−オールの粗溶液が入れられた500mLのフラスコに、0℃において、トリエチルアミン(水素化カルシウム上で蒸留し、モレキュラーシーブ3A上で保管、33.6mL、240mmol、2.4当量)及び塩化メタンスルホニル(9.29mL、120mmol、1.2当量)を加えた。その反応物を0℃で撹拌し、TLCによって監視した。90分後、TLCにより変換が完了したことが示され、その反応混合物を次の段階に直接使用した。
【0048】
溶媒を蒸発させ、残留物をジクロロメタン(15mL)で希釈し、その有機相を水(3×3mL)で洗浄し、続いて飽和塩化ナトリウム水溶液(4mL)で洗浄することによって、表題化合物(1.8mmol程度)を単離することができた。硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させることによって、表題化合物(586mg、収率80%)を得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):4,83−4,76(m,H7);3,89(t,J=6,8Hz,2H);3,69−3,52(m,2H+2H);3,09(s,3H);3,04−2,94(m,2H);2,70−2,60(m,2H);1,72−1,54(m,2H);1,47−1,10(m,19H);0,88(t,J=6,8Hz,6H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):94,7;82,7;72,9;71,2;63,8;50,7;49,1;38,9;37,0;36,1(2C);33,7;32,4;23,4;23,1;22,4;19,9(2C);14,7(2C).
【0049】
実施例16:メタンスルホン酸1−[2−(2−エチル−オキサゾリジン−3−イル)−エトキシメチル]−5−プロピル−オクチルエステルの調製
トルエン(3.5mL)中の1−[2−(2−エチル−オキサゾリジン−3−イル)−エトキシ]−6−プロピル−ノナン−2−オール(1.71mmol)の粗溶液が入れられた10mLのフラスコに、0℃において、トリエチルアミン(CaH2上で蒸留しモレキュラーシーブ3A上で保管した、575μL、4.1mmol、2.4当量)及び塩化メタンスルホニル(158μL、2mmol、1.2当量)を加えた。その反応物を0℃で撹拌し、TLCによって監視した。60分後、TLCにより変換が完了したことが示され、その反応混合物を次の段階に直接使用した。
【0050】
溶媒を蒸発させ、残留物をジクロロメタン(15mL)で希釈し、その有機相を水(3×3mL)で洗浄し、続いて飽和塩化ナトリウム水溶液(4mL)で洗浄することによって、表題化合物を単離した。硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させることによって、表題化合物を2種類の立体異性体(524mg、収率75%)として得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):4,83−4,73(m,2xH);4,06−3,96(m,2xH);3,90−3,80(dd,J=5,9Hz,J=7,2Hz,2x2H);3,70−3,54(m,2x2H5+2x2H);3,31−3,22(m,2H);3,08(s,2x3H);2,88−2,77(m,2H);2,70−2,59(m,2H);2,59−2,48(m,2H);1,74−1,52(m,2x2H8);1,52−1,14(m,2x15H);0,94(t,J=7,4Hz,2x3H);0,88(t,J=6,8Hz,2x6H).13CNMR(CDCI3,129,9MHz)d?(ppm):94,80;94,75;82,38;82,29;72,6(2C);70,7(2C);64,23;64,19;52,71;52,66;52,58;52,57;38,55;38,54;36,7(2C);35,84(2C);35,82(2C);33,4(2C);32,1(2C);26,81;26,77;22,1(2C);19,7(4C);14,4(4C);9,05;9,03.
【0051】
実施例17:デルモピノールの調製
実施例15で得たメシル化粗反応物が入れられた500mLのフラスコに、脱イオン水(65mL)を加えた後、加熱還流(約95℃)した。17時間後、その反応物を室温まで冷却し、水相を有機相から分離した。その水相をトルエン(25mL)で抽出した。それらの有機相を1つにまとめたものを200mL(約5vol.)の体積まで蒸発させた後、水(120mL)を加えた。その混合物を十分撹拌したものに、混合物のpHを1にするのに十分な濃硫酸を加えた。得られた2相を分離し、その水相をトルエン(2×20mL)で洗浄した。その水相に有機溶媒(120mLのトルエン、キシレン、またはジ−n−ブチルエーテル)を加えた後、十分に撹拌しながら、水酸化ナトリウム水溶液(25%)を加えて、混合物のpHを14にした。その混合物を60℃に10分間加熱した後、相を分離した。その水相を、前(相を分離する前の60℃で10分間)と同じ手順を使用して20mLの対応する有機溶媒で抽出した。それらの有機相を1つにまとめたものをアンモニア水溶液(0.5%、2×15mL)で洗浄した。各回の洗浄後には、混合物を60℃に10分間加熱した。その有機相を半分蒸発させて、微量のアンモニアを除去した。活性炭(5重量%、ノリットSXプラス(Norit SX Plus))を加え、その混合物を50℃に20分間加熱した。活性炭を濾過により除去し、溶媒を蒸発させて、粗デルモピノール(24g、粗収率89%)を黄色油として得た。
【0052】
実施例18:デルモピノールの調製
実施例16で得たメシル化粗反応物(1.78mmolの生成物)が入れられた25mLのフラスコに、脱イオン水(3.5mL)を加えた後、加熱還流(約95℃)した。17時間後、その反応を室温まで冷却し、水相を有機相から分離した。その水相をトルエン(2×7mL)で2回抽出した。それらの有機相を1つにまとめたものを塩化ナトリウム水溶液(3×9mL、20%飽和)で洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、カラムクロマトグラフィー(溶離液メタノール/ジクロロメタン:0/100から5/95)によって精製して、デルモピノール(337mg、収率70%)を得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):3,79−3,70(m,2H);3,69−3,60(m,2H);3,59(m,1H);3,45(dd,J=7,0Hz,J=11,3Hz,H);2,98−2,89(m,1H);2,88−2,78(m,1H);2,45−2,30(m,3H);1,56−1,36(m,2H);1,36−1,11(m,13H);0,88(t,J=7,0Hz,6H).13CNMR(CDCI3,400MHz)d?(ppm):70,5;67,1;59,8;57,8;54,6;49,8;36,9;36,0(C);35,9(C);34,0;27,3;23,3;19,8(C);19,7(C);14,5(2C).
【0053】
実施例19:塩酸デルモピノールの調製
最後の後処理に由来するトルエンまたはキシレンとの溶液中の粗デルモピノールが入れられた25mLのフラスコに、塩酸(37%、1当量)を加えた後、水を除去するために溶媒の一部を蒸留した。60℃でトルエンまたはキシレンを加えると、均一な有機相が得られた(合計4mL/gのデルモピノールが得られる量)。次に、ヘプタン(5mL/gデルモピノール)またはジ−n−ブチルエーテル(4mL/gデルモピノール)を加えた後、混合物を室温まで冷却した。シーディング後、混合物を室温で1時間撹拌し、さらに0℃で3時間撹拌した。得られた固形分を焼結漏斗で濾過し、0℃において結晶化に使用した溶液と同じもの(1mL/gデルモピノール)で洗浄した。減圧乾燥して、塩酸デルモピノール(収率50〜70%)を白色粉末として得た。
【0054】
実施例20:塩酸デルモピノールの調製
最後の後処理に由来するトルエン、キシレン、またはジブチルエーテルとの溶液中の2gの粗デルモピノールが入れられた25mLのフラスコに、塩酸(37%、1当量)を加え、水を除去するために、部分的または蒸発するまで(トルエンまたはキシレンの場合)蒸留した。ジ−n−ブチルエーテル(合計5mL/gデルモピノールが得られる量)を塩酸デルモピノールに加えた後、60℃に加熱した。続いて、完全に溶解させるために、溶液に極性溶媒(酢酸エチル1.3mL/gデルモピノール)を滴下し、その混合物を室温まで冷却した後、シーディングを行い、室温で1時間撹拌し、さらに0℃で2時間撹拌した。得られた固形分を焼結漏斗で濾過し、0℃において結晶化に使用した溶液と同じもの(1mL/gデルモピノール)で洗浄した。減圧乾燥して、塩酸デルモピノール(1.51g、収率67%、(V)からの全体的な収率60%)を白色粉末として得た。
1HNMR(CDCI3,400MHz)d??(ppm):11,98−11,69(m,1H);4,42−4,29(m,1,3H);4,14−3,91(m,4,5H);3,89−3,73(m,1,3H);3,64−3,55(m,1H);3,48−3,37(m,1H);3,24−2,89(m,3H);2,01−1,78(m,2H);1,61−1,12(m,13H);0,88(t,J=7,0Hz,6H).13CNMR(CDCI3,400MHz))d?(ppm):67,7(C−O);65,1(C−Nmin.);63,6(C−O);63,2(Cmaj.);59,9(Cmin.);57,1(C−Nmaj.);55,9(C);53,2(C−Nmaj.);48,3(C−Nmin.);36,6(C);35,6(C);35,5(C);33,3;27,1;22,9;19,5(2C);14,3(2C)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表されるデルモピノール、あるいは薬学的に許容されるその塩及び/または水和物などの溶媒和物の調製方法であって、
式(II)で表される化合物を適切な溶媒系中において塩基で処理して、アミノエタノールの脱保護と環化との両方を行うことによって式(I)で表される化合物を得る工程;または、
まず室温にて式(II)で表される化合物を適切な溶媒系中において酸で処理して、アミノエタノールの脱保護を行い、次に塩基で処理して該化合物を環化させることにより、式(I)で表される化合物を得る工程
のいずれかを含む該方法:
【化1】

【化2】

(式中、R1及びR2は、H及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より独立に選択される同一または異なる基を表すか、あるいは、R1及びR2は、それらが結合する炭素原子と共に(C5〜C6)シクロアルキル基を形成しており;R3は、CF3、(C1〜C4)アルキル基、フェニル基、ならびに、(C1〜C4)アルキル基、ハロゲン、及びニトロ基からなる群より選択される基によってモノ置換またはジ置換されているフェニル基からなる群より選択される基である)。
【請求項2】
前記溶媒系が、(C6〜C8)芳香族炭化水素と水との混合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(II)で表される化合物が、式(III)で表される化合物と、式Cl−SO2−R3の塩化スルホニルとの反応によって調製される、請求項1〜2のいずれか1項に記載の調製方法:
【化3】

(式中、R1、R2、及びR3は、化合物(II)に関する請求項1に記載の定義と同義である)。
【請求項4】
塩基の存在下で、式(IV)で表される化合物を式(V)で表される化合物と反応させることを含む方法によって、前記式(III)で表される化合物が調製される、請求項3に記載の調製方法:
【化4】

(式(IV)中、R1及びR2は、化合物(II)に関する請求項1に記載の定義と同義である)。
【請求項5】
(IV)と(V)とのモル比が少なくとも4:1である請求項4に記載の調製方法。
【請求項6】
前記塩基が、アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ金属水素化物から選択される請求項4〜5のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項7】
0〜5℃において、前記反応混合物を、水と少なくとも1種類の水非混和性溶媒との混合物で処理した後、生成物を含有する有機相を水相から分離することによって、前記式(III)で表される化合物を回収することをさらに含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
水の存在下で前記反応混合物を酸で処理した後、約9〜11のpHまで塩基性化させ、中性型の式(VI)で表される化合物を単離する工程と、式R4CHOで示されるアルデヒドであって、ここでR4が、H及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より選択される該アルデヒドを、得られた前記化合物(VI)と反応させることにより、R1がHであり、R2がH及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より選択される基である式(III)で表される化合物を得ることを特徴とする保護反応を行う工程とをさらに含む、請求項4〜6のいずれか1項に記載の方法。
【化5】

【請求項9】
適切なエポキシ化剤を使用して式(VII)で表される化合物をエポキシ化反応に供することによって、前記式(V)で表される化合物を調製する、請求項4〜8のいずれか1項に記載の調製方法。
【化6】

【請求項10】
前記エポキシ化剤が、m−クロロペルオキシ安息香酸及びペルオキシ酢酸からなる群より選択される請求項9に記載の調製方法。
【請求項11】
アルカリ金属アルコキシドの存在下で、式(VIII)で表される化合物を脱離反応に供することによって、前記式(VII)で表される化合物を調製する、請求項9〜10のいずれか1項に記載の調製方法。
【化7】

【請求項12】
式(II)で表される化合物:
【化8】

(式中、R1及びR2は、H及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より独立に選択される同一または異なる基を表すか、あるいは、R1及びR2は、それらが結合する炭素原子と共に(C5〜C6)シクロアルキル基を形成しており;R3は、CF3、(C1〜C4)アルキル基、フェニル基、ならびに、(C1〜C4)アルキル基、ハロゲン、及びニトロ基からなる群より選択される基によってモノ置換またはジ置換されているフェニル基からなる群より選択される基である)。
【請求項13】
R3がメチル基である式(II)で表される化合物。
【請求項14】
式(III)で表される化合物:
【化9】

(式中、R1及びR2は、H及び(C1〜C6)アルキル基からなる群より独立に選択される同一または異なる基を表すか、あるいは、R1及びR2は、それらが結合する炭素原子と共に(C5〜C6)シクロアルキル基を形成している)。
【請求項15】
式(VI)で表される化合物、あるいはその薬学的に許容される塩及び/または水和物などの溶媒和物。
【化10】

【請求項16】
式(V)で表される化合物。
【化11】

【請求項17】
式(VII)で表される化合物。
【化12】

【請求項18】
式(VIII)で表される化合物。
【化13】


【公表番号】特表2009−525315(P2009−525315A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552870(P2008−552870)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【国際出願番号】PCT/GB2007/000053
【国際公開番号】WO2007/091009
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(508022067)シンクレア ファーマシューティカルズ リミテッド (7)
【Fターム(参考)】