説明

データアクセス方法、録画再生装置、及び再生方法

【課題】録画再生装置において、録画ファイルの移動に、移動を中断されてファイルが分断されるリスクを軽減する。
【解決手段】HDDなどの記録媒体に、録画データを複数のデータブロックに分割し、各々が暗号鍵により暗号化されて記録されているときに、記録媒体の移動元から移動先に全ての録画データをコピーする。次に、記録媒体の移動元から移動先に各々の暗号鍵を一つずつコピーし、削除する。そして、最後に記録媒体の移動元の全てのデータを削除するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、録画再生装置、そのデータ制御方法に係り、特に、放送番組を、内蔵したHDD、リムーバブルHDD等の情報記録媒体上に録画が可能な録画再生装置であって、その録画したデータの移動と削除およびその特殊再生に用いて好適な録画再生装置、そのデータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、テレビ放送の分野においては、従来のアナログ放送からデジタル放送に移行しつつある。
【0003】
デジタル放送では、画像データをデジタルデータとして扱い、画像データを圧縮して送信する画像圧縮技術などが用いられ、受信環境による画像の劣化などの問題が少ないという利点がある。デジタル放送の概要については、以下の非特許文献1に記載がある。
【0004】
画像圧縮技術として、デジタル方法のデファクトスタンダードとしては、MPEG(Moving Picture Experts Group)の規格が用いられている。MPEG標準では、画像をI(Intra)ピクチャ、P(Predictive)ピクチャ、B(Bidirectionally predictive)ピクチャの三つのピクチャタイプに分類している。Iピクチャは、 GOP(Group of Pictures)の中で独立性を保ち、他のピクチャのデータを参照せずに符号化をおこなうフレームである。BピクチャとPピクチャは、前後のピクチャを参照して符号化がおこなわれるピクチャである。倍速再生などの特殊再生時には、Iピクチャのみを取り出して映像の再生をおこなっている。
【0005】
また、画像データは、通常、ファイルシステムのファイルとして、HDDなどに記録され、ユーザは、移動、削除などの処理をおこなうことができる。ファイルシステムで、多くのOSでは、ツリー構造を採用しており、ノードがディレクトリ(フォルダとも言う)で、葉にあたる部分がファイルになる構造が一般的に知られている。ツリー構造については、以下の非特許文献2に記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】羽島光俊監修,「ポイント図解式、コンピュータ/通信/放送標準事典」,株式会社アスキー,初版,1998年5月,第13章(628頁−689頁)
【非特許文献2】長岡真 他,「岩波講座情報科学−8:情報の構造とデータベース」,株式会社岩波書店,1983年6月,21−22頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
デジタル放送は、上記のような利点もあるが、録画されるデータがデジタルデータであるために、品質の劣化をおこすことなくコピーが可能であるため、違法なコピーを防止するためのセキャリティ対策を施す必要がある。
【0008】
そのために、例えば、デジタルデータのリムーバブルハードディスクのコンテンツの標準規格のiVDR(Information Versatile Disk for Removable usage)に対応した著作権保護規格であるSAFIA(Security Architecture For Intelligent Attachment device)では、録画データを一定の再生時間内のブロックに分けて、保存時には、暗号鍵により暗号化して保存する規則が定められている。
【0009】
録画再生装置では、通常、移動などをおこなう場合には、移動元と移動先に、同じデータが存在するのは、一定の決められた時間しか許されていないようにして、違法なコピーがおこなわれるのを防止し、セキュリティを高めている。
【0010】
以下、図3、図9、図13および図14を用いて従来技術に係る録画データの移動方法について説明する。
図3は、一般的な暗号鍵付き録画データのデータ構造を表す図である。
図9は、録画番組のデータ構造の一例を示す図である。
図13は、従来技術に係る録画データの移動方法の手順を示すフローチャートである。
図14は、従来技術に係る録画データの移動方法の移動時のイメージを示す図である。
【0011】
録画データは、図3に示されるようにN個のブロックDに分けられて、各々に暗号鍵Kが付加されているものとする。
【0012】
これを例えば、内蔵HDDから別のリムーバブルHDDに移動するものとする。そのときには、図13に示されるような手順でおこなわれる。
【0013】
先ず、カウンタを初期化するために、iに1を代入する(S100)。そして、データが最後まで到達したか判定し(S102)、移動するデータがあるときには、Kをコピーし(S103)、Dをコピーする(S104)。その後に移動元のKを削除し(S105)、Dを削除する(S106)。
【0014】
これによって、移動されるデータの暗号鍵を伴った各ブロックが移動元と移動先に存在するのは、短い時間に抑えられる。
【0015】
そして、カウントのiをインクリメントし(S107)、S102に戻り、データがなくなるまで上記手順が繰り返される。
【0016】
図14は、i=3まで移動したときの様子を示したものである。
【0017】
この従来技術の移動方法によると、移動が何らかの原因(電源断)により、中断されたときに、録画データが分断されるという問題点がある。すなわち、図13のフローチャートのS102〜S107のループ処理の間にデータが分断される。
【0018】
ところで、録画データの取り扱いのためのユーザインタフェースとして、ユーザ毎に、フォルダを用意して、そこに録画ファイルを格納するようなユーザインタフェースが考えられる。そのためには、データの重複を避けるために、図9のようなネットワーク構造を考えるのが自然である。
【0019】
図9は、ユーザ毎にフォルダを設けて、録画番組とプレイリストを保存できるようにするためのデータ構造である。
【0020】
従来のツリーに対する演算では、このようなネットワーク構造を処理するアルゴリズムが提供されていなかった。また、ユーザ毎の操作を超えた「すべて」の録画データやプレイリストを処理するためのアルゴリズムも提供されていなかった。
【0021】
また、n倍速再生の特殊再生時には、nの大きさにしたがって、Iピクチャを間引いて表示してきたが、nが大きくなると特に暗号鍵の処理の時間に追いつかなくなり、表示が不可能になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そこで、本願発明の録画再生装置の暗号鍵付きの録画データを移動する場合には、先ず、データを全て移動先にコピーして、その後に暗号鍵を一個ずつコピーし、暗号鍵は、一個づつコピーしたあとに、一個ずつ削除する。そして、全ての暗号鍵のコピーと削除が終了すると、移動元のデータを一括削除する。
【0023】
この方法によれば、暗号鍵とそれに対応するブロックが移動元と移動先の両者に存在する時間は、短時間であるというルールが守られ、かつ、移動が何らかの原因中断されたときに、録画データが分断されるのは、暗号鍵のコピー中のみになる。暗号鍵は、通常、録画データブロックより小さいため、録画ファイルが分断されるリスクは、格段に小さいものにできる。
【0024】
また、本発明の録画再生装置のデータを削除や移動をおこなう場合には、録画データの実体を削除や移動をする場合と、フォルダと録画データの関係のみを変更する二通りの操作する実行する。
【0025】
さらに、n倍速再生のときには、再生させるブロック自体を間引いて再生させるようにする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、録画ファイルの移動に、移動を中断されてファイルが分断されるリスクを軽減することができる。
【0027】
また、本発明によれば、ユーザ毎の録画番組の自然で分かりやすいユーザインタフェースを提供することができる。
【0028】
さらに、倍速速度が早くなっても、再生が追いつけるような録画再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第一の実施形態に係る録画再生装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態に係る録画再生装置のデータ制御のためのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図3】一般的な暗号鍵付き録画データのデータ構造を表す図である。
【図4】第一の実施形態に係る録画データの移動方法の手順を示すフローチャートである。
【図5】第一の実施形態に係る録画データの移動方法の移動時のイメージを示す図である。
【図6】録画・再生メイン処理画面を示す図である。
【図7】録画番組の削除のユーザインタフェースを説明する図である。
【図8】録画番組の移動のユーザインタフェースを説明する図である。
【図9】第二の実施形態に係る録画番組のデータ構造の一例を示す図である。
【図10】削除処理を説明するための図である。
【図11】移動処理を説明するための図である。
【図12】一般的な暗号鍵付き録画データのデータ構造とIピクチャとの関係を示す図である。
【図13】従来技術に係る録画データの移動方法の手順を示すフローチャートである。
【図14】従来技術に係る録画データの移動方法の移動時のイメージを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る各実施形態を、図1ないし図12を用いて説明する。
【0031】
〔実施形態1〕
以下、第一の実施形態を、図1ないし図12を用いて説明する。
【0032】
先ず、図1および図2を用いて第一の実施形態に係る録画再生装置の構成を説明する。 図1は、第一の実施形態に係る録画再生装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図2は、第一の実施形態に係る録画再生装置のデータ制御のためのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【0033】
録画再生装置100は、デジタルおよびアナログ放送を受信して、その放送内容(映像・音声による番組、データ放送による番組、データ放送によるデータを含む)を、例えば、音声を再生して出力するスピーカを含め、プラズマディスプレイパネルや液晶ディスプレイパネルなど、いわゆる、フラットパネルディスプレイ(FPD)200上に表示するAV機器(放送受信装置)である。
【0034】
アンテナ110は、放送されたデジタル放送を受信するためのパラボラアンテナである。このアンテナ110からのRF信号は、録画再生装置100においてデジタルチューナモジュール(または、フロントエンド)120を構成するデジタルチューナ121に供給されて復調される。このデジタルチューナ121の出力は、やはりチューナモジュール120を構成する、例えば、QPSK復調回路122に供給され、これによりQPSK復調がおこなわれる。その後、このQPSK復調回路122の出力は、やはりチューナモジュール120を構成するエラー訂正回路123に供給され、ここで、伝送中に生じたエラーが検出されて訂正がおこなわれる。すなわち、このチューナモジュール120は、指定された周波数の信号を選局し、TS(トランスポートストリーム)を抽出する。
【0035】
デマルチプレクサ124は、デジタルチューナモジュール120のエラー訂正回路123から出力される信号を入力し、データバッファメモリ(DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory))125に、いったん記憶した後、適宜これを読み出して解読し、この解読した映像・音声信号をMPEGデコーダ126に供給する。すなわち、このデマルチプレクサ124におけるデマルチプレックス処理は、送信側における多重装置(MUX)において映像や音声などの複数のストリームが多重されたトランスポートストリーム(TS)から、必要なストリームを取り出す処理であり、様々なストリームのパケットの中から、必要とするストリームを取り出すための、いわゆる、フィルタリングをおこなう。すなわち、あるチャンネルに選局した場合、そのチャンネルのPMTには、そのチャンネルのサービスを構成する映像や音声ストリームのPID(パケットID)が指定されており、そこで、受信器側では、そのPIDのパケットをフィルタリングして、映像や音声のストリームを取り出すことで、番組を提示することができる。
【0036】
その後、デマルチプレクサ124で取り出された映像や音声のストリームは、MPEGデコーダ126に供給され、このMPEGデコーダ126では、入力されたデジタル信号を内蔵したDRAM125等に適宜記憶させて、MPEG方式(特に、MPEG2)により圧縮されている映像・音声信号のデーコード(復号化)処理をおこなう。
【0037】
また、この録画再生装置100は、さらに、アナログ放送を受信するためのアンテナ111を備えており、さらには、アナログ式のチューナモジュールを構成するアナログチューナ161、アナログ復調回路162、NTSCデコーダ163をも備えている。このアナログ式チューナモジュールからは、アナログ放送された番組の映像・音声信号が出力される。
【0038】
このように、録画再生装置100内において、デジタル方式のチューナモジュール120により受信された映像・音声信号、そして、アナログ式のチューナモジュールで所定の形式に変換された映像・音声信号は、その後、スイッチSW1を介してその一方が選択され、フォーマットコンバータ127を介して所定のフォーマットに変換され、例えば、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイ等の所謂フラットパネルディスプレイ(FPD)200へ出力されて表示される。または、これらの映像・音声信号は、図にも示すように、例えば、CRT、VCR等のアナログ外部機器へ出力されており、これによりこれらの外部機器で記録することが可能となっている。なお、ここでは、上記MPEGデコーダ126で所定の形式に変換された映像信号は、さらに、NTSCエンコーダ128を介して、所謂、NTSCフォーマットに変換されて出力される。また、その音声信号は、D/A変換器129によりアナログ音声信号に変換されて出力される。
【0039】
また、この図1に示される録画再生装置100内には、CPU(Central Processor Unit)130が設けられており、このCPUは、ROM131内に記憶されているプログラムに従って、各種の処理を実行する。例えば、上記デジタルチューナモジュール120を構成するデジタルチューナ121、QPSK復調回路122、エラー訂正回路123、上記アナログチューナモジュール等を制御する。また、赤外線制御信号を発生し、または、受信するIR送受信部135を備えており、このCPU130は、このIR送受信部介して、他のAV機器に所定の制御信号を出力し、あるいは、他のAV機器からの制御信号を受信する。
【0040】
このCPU130に対しては、装置のフロント面に設けられたフロントパネル136の各種の操作ボタンスイッチを操作することにより、各種の指令を直接入力することもできる。また、これとは別に、いわゆる、リモートコントローラ140が設けられており、このリモートコントローラの各種のボタンを操作することによっても各種の指令を入力することができ、この入力信号は、このリモートコントローラの先端部に設けられたIR発信部から赤外線として、IR送受信部135へ送信される。この入力信号は、CPU130に対して入力され、もって、このリモートコントローラを操作することによっても、CPUに対して所定の指令を入力することができる。
【0041】
そして、さらに、録画再生装置100内に、番組のコンテンツ(映像・音声情報)を記録するため、ハードディスクドライブ(HDD)300を内蔵している。なお、このHDD300内に記録されるデータは、MPEGデコーダ126で復号化された映像・音声信号を、再び、MPEGエンコーダ151においてデジタル信号として圧縮し、その後、所定の記録処理を実行してデータの記録をおこなうHDD処理回路152を介して、上記HDD300内に記録する。また、図に矢印で示すように、MPEGデコーダ126で復号化された映像・音声信号がこのHDD処理回路152に直接入力されると共に、また、いったん記録した情報を再生する場合には、HDD300から読み出された圧縮信号は、このHDD処理回路152を介して、再び、MPEGデコーダ126へ入力される。すなわち、映像・音声信号のデーコード(復号化)処理をおこない、この復号化された映像・音声信号は、フォーマットコンバータ127を介して所定のフォーマットに変換されてフラットパネルディスプレイ(FPD)200へ出力され、再生され、または、VCR、DVDレコーダ等の外部機器へ出力される。なお、この図において、スイッチSW2は、上記アナログチューナモジュールから出力される映像・音声信号と、デジタルチューナモジュール120を介して受信し、MPEGデコーダ126で変換された映像・音声信号とから、その一方を選択するためのスイッチである。
【0042】
また、録画再生装置100内には、さらに、例えば、リムーバブルHDD301のような、いわゆる、デジタル情報記録装置が内蔵されており、HDD300から読み出された圧縮信号は、このHDD処理回路152を介して、リムーバブルHDD301に記録することが可能となっている。また、HDD処理回路152からは、外部のデジタル記録装置に対してHDD300から読み出された信号を出力するための端子が設けられている。
【0043】
また、ユーザは、HDDに録画されている録画ファイルに対する移動・削除などの指示を、フロントパネル136の操作ボタンスイッチ、あるいは、リモートコントローラ140によりおこなうことができる。
【0044】
録画ファイルに対するデータ制御のソフトウェア構成は、図2に示されるように、上位のレイヤからユーザインタフェースAP403、録画・再生制御402、ファイルシステム401、オペレーティングシステム(OS)400となり、オペレーティングシステム400は、HDDデバイスドライバ400aを含んでいる。
【0045】
ユーザインタフェースAP403は、画面の制御とユーザからの指示を受け付けるプログラム群である。録画・再生制御402は、ファイルの移動、削除などの指示、映像データの再生をするプログラム群である。ファイルシステム401は、ファイルをデータ構造として実現し、その操作をするためのプログラム群である。オペレーティングシステム400は、ソフトウェアとハードウェアの仲立ちとなる基本プログラムであり、HDDデバイスドライバ400aは、HDDにアクセスするための制御ソフトウェアである。
【0046】
これらのソフトウェアは、HDD300のシステムエリアか、ROM131から、DRAM125上にロードされ、CPU130により実行される。
【0047】
次に、図3ないし図5を用いて第一の実施形態に係る録画ファイルの移動処理について説明する。
図3は、既に説明したように、一般的な暗号鍵付き録画データのデータ構造を表す図である。
図4は、第一の実施形態に係る録画データの移動方法の手順を示すフローチャートである。
図5は、第一の実施形態に係る録画データの移動方法の移動時のイメージを示す図である。
【0048】
録画データは、上記と同様、図3に示されるようにN個のブロックDに分けられて、各々に暗号鍵Kが付加されているものとする。
【0049】
ここでも、内蔵HDDから別のリムーバブルHDDに移動するものとする。そのときには、図4に示されるような手順でおこなわれる。
【0050】
先ず、DないしDを移動元から移動先にコピーする(S201)。
【0051】
そして、カウンタを初期化するために、iに1を代入する(S202)。次に、データが最後まで到達したか判定し(S203)、移動する暗号鍵があるときには、Kをコピーする(S204)。その後に移動元のKを削除する(S205)。
【0052】
これによって、移動される暗号鍵が移動元と移動先に存在するのは、短い時間に抑えられる。
【0053】
そして、カウントのiをインクリメントし(S206)、S203に戻り、暗号鍵がなくなるまで上記手順が繰り返される。
【0054】
最後に、移動元のDないしDを削除する(S207)。
【0055】
図5は、上記の移動方法に従った場合のS201の終了時、i=3のとき、i=Nのとき、S207の終了時のときの各フェーズの様子を示したものである。
【0056】
上記実施形態によれば、S203ないし206のループ処理の所で移動処理が中断されたときに、録画ファイルの分断が生じるが、暗号鍵のデータは、録画データのデータブロックに比べるとはるかに小さいため、従来の方法に比べて、録画ファイルの分断のリスクを抑えることができる。
【0057】
〔実施形態2〕
以下、第二の実施形態を、図6ないし図11を用いて説明する。
【0058】
本実施形態は、本発明の録画再生装置の移動・削除の処理について説明するものである。
【0059】
先ず、図6を用いて録画・再生メイン処理画面について説明する。
図6は、録画・再生メイン処理画面を示す図である。
【0060】
録画・再生メイン処理画面は、録画した番組を表示してユーザの操作指示をおこなえるようにする画面である。
【0061】
HDD切替ボタン1001は、操作の対象の記録媒体を内蔵HDDにするか、リムーバブルHDDにするかを切り替えるボタンである。図6の例では、内蔵HDDが選択されている。
【0062】
フォルダメニュー1002は、録画番組がどのフォルダに属するかを表示するメニューである。このフォルダは、録画するユーザに従って作成することを意図されている。ここで、一つの録画番組であっても、複数のフォルダに属することも可能である。例えば、「映画A」という番組は、「お父さん」のフォルダに属することも可能であり、「お母さん」のフォルダに属する。また、特別に意味付けられた「すべて」のフォルダがあり、「すべて」が選択されているときは、すべてのフォルダの録画番組を表示する。
【0063】
録画番組メニュー1003は、録画した番組の情報を表示するメニューである。図6の例では、録画日付、開始時間、録画時間の長さ、チャンネル、番組名が表示されているが、その他の情報を表示してもよい。また、図では、リスト形式の表示になっているが、サムネイル(一覧表示するために縮小された画像)表示にすることもできる。
【0064】
コマンド欄1010は、様々な操作をおこなうためのボタンを配したエリアである。ボタンの機能を実行するためには、フロントパネル136の各種の操作ボタンスイッチまたはリモートコントローラ140により、カーソルを操作して選択して実行する(決定キー(Enter)降下)か、ボタンに結び付けられたキーを降下して実行する。
【0065】
先ず、図6および図7を用いて録画番組の移動・削除のユーザインタフェースを説明する。
図6は、録画番組の削除のユーザインタフェースを説明する図である。
図7は、録画番組の移動のユーザインタフェースを説明する図である。
【0066】
削除のときには、録画番組メニュー1003の中の録画番組のリストにカーソルを位置付けて、選択ボタン1011を降下して、その録画番組を選択し、削除ボタン1014を降下する。図6の例では、ユーザは、「お父さん」フォルダの「映画B」という番組を削除しようとしている。
【0067】
図には示さなかったが、通常は、削除の確認ダイアローグを表示し、ユーザに削除前の確認を求める。
【0068】
移動のときには、メニューボタン1013を降下して、メニュー一覧1020を表示して(図8(a))、[フォルダ移動]を選択する。
【0069】
そして、移動する番組を選択し(図8(b))、次の画面に遷移させて、移動先のフォルダを選択し(図8(c))、最後に、実行する(決定キー降下)。
【0070】
次に、図9ないし図11を用いて録画番組の移動・削除の処理について説明する。
図9は、既に説明したように録画番組のデータ構造の一例を示す図である。
図10は、削除処理を説明するための図である。
図11は、移動処理を説明するための図である。
【0071】
図9に示されるように、本実施形態の録画処理を実現するためのデータ構造は、「お父さん」、「お母さん」のようなフォルダに録画番組データとプレイリストがネットワーク構造になっている。録画番組データは、映像データと録画に関する管理情報を含むものである。プレイリストは、再生するときのスケジュールの管理データである。以下では、録画番組データとプレイリストのデータを実体データと呼ぶことにする。
【0072】
次に、図10を用いて図9に示したデータ構造に基づいておこなわれる本実施形態の削除処理について説明する。
【0073】
図9に示したデータ構造としては、「すべて」のフォルダは持っていないがユーザに表示するための擬似的なフォルダとして「すべて」を処理の対象として扱うことに注意する。
【0074】
削除の基本動作としては、以下のように処理をおこなう。
(1)「すべて」内で削除をおこなった場合、実体データを削除し、他のフォルダで関連付けられている実体データの関連付けも削除する。
(2)削除しようとする録画番組の実体データが、他のフォルダと関連付けされていなければ、実体データごと削除をおこなう。
(3)削除しようとする録画番組の実体データが、他のフォルダと関連付けされている場合は、他のフォルダとの関連付けを削除する。
【0075】
例えば、図10(a)に示されるように、フォルダ「すべて」を指定して、録画番組Aを削除した場合には、録画番組Aの実体データを削除する。
【0076】
また、フォルダ「お父さん」を指定して、録画番組Aを削除した場合には、「お父さん」と録画番組Aの実体データとの関連付けを削除し、録画番組Aの実体データは削除されない。録画番組Aは、「おじいちゃん」のフォルダにも入っているからである。図には示さなかったが、フォルダ「お母さん」を指定して、録画番組Bを削除した場合には、録画番組Bの実体データも削除される。録画番組Bを持っているのは、「すべて」を考慮外とすれば、「お母さん」のみであり、他のフォルダと関連づいていないからである。
【0077】
また、図10(b)に示されるように、「おじいちゃん」のフォルダを削除するときには、録画番組Aの実体データの削除はおこなわず、録画番組Bの実体データの削除のみをおこなう。録画番組Aは、「お父さん」のフォルダにも含まれており、一方、録画番組Cは、「すべて」を考慮外とすれば、他のいかなるフォルダにも含まれていないからである。
【0078】
次に、図11を用いて図9に示したデータ構造に基づいておこなわれる本実施形態の移動処理について説明する。
【0079】
移動処理の基本動作としては、フォルダと実体データの関連付けを変更するのみである。
【0080】
フォルダ「お父さん」を指定して、録画番組Aを、フォルダ「お母さん」に移動する場合には、フォルダ「お父さん」と録画番組Aの実体データとの関連付けをフォルダ「お母さん」に変更する。
【0081】
フォルダ「おじいさん」を指定して、録画番組Aと録画番組Cを、フォルダ「お父さん」に移動する場合には、フォルダ「お父さん」と録画番組Aの実体データとの関連付けは、そのままにし、フォルダ「おじいさん」と録画番組Cの実体データとの関連付けをフォルダ「お父さん」に変更する。
【0082】
フォルダ「すべて」を指定して、録画番組Aを、フォルダ「お母さん」に移動する場合には、フォルダ「お母さん」と録画番組Aの実体データの関連付けを追加する。
【0083】
フォルダ「すべて」を指定して、録画番組Aと録画番組Bを、フォルダ「お父さん」に移動する場合には、フォルダ「お父さん」と録画番組Aの実体データとの関連付けは、そのままであり、フォルダ「お父さん」と録画番組Cの実体データとの関連付けを追加する。
【0084】
〔実施形態3〕
以下、第三の実施形態を、図12を用いて説明する。
図12は、一般的な暗号鍵付き録画データのデータ構造とIピクチャとの関係を示す図である。
【0085】
本実施形態は、本発明の録画再生装置のn倍速再生(nは、自然数)のときの再生処理について説明するものである。
【0086】
図12に示されるように、暗号鍵付きのMPEGデータで、各々のデータブロックに暗号鍵が付加されており、1データブロックの再生がおおよそ1分=60秒かかるときのn倍速再生をする場合を考える。1データブロックには、Iピクチャが120枚含まれている。
【0087】
ここで、従来技術において、1倍速から120倍速までの再生するときの状況は、以下の表1に示されるようになる。
【0088】
【表1】


1倍速のときには、1秒間あたりの画面の表示枚数(Iピクチャの数)は、2枚であり、データのなかのIピクチャは全て表示される。そして、暗号鍵を読み込む間隔は、60秒である。
【0089】
2倍速のときには、1秒間あたりの画面の表示枚数は、4枚になり、データのなかのIピクチャは全て表示される。暗号鍵を読み込む間隔は、30秒である。
【0090】
10倍速のときには、1秒間あたりの画面の表示枚数は、20枚になり、データのなかのIピクチャは、やはり全て表示される。暗号鍵を読み込む間隔は、6秒である。
【0091】
これ以上倍速の速度が大きくなるときは、1データブロックの中のIピクチャを間引いて表示する。
【0092】
そして、それ以上に倍速速度が大きくなったときには、1秒間あたりの画面の表示枚数は、20枚のまま一定にし、表示するIピクチャの数を少なくして、Iピクチャの数を間引いて表示する。
【0093】
30倍速のときには、1秒間あたりの画面の表示枚数は、20枚であり、データのなかのIピクチャは、全体の1/3が表示される。暗号鍵を読み込む間隔は、2秒である。
【0094】
60倍速のときには、1秒間あたりの画面の表示枚数は、20枚であり、データのなかのIピクチャは、全体の1/6が表示される。暗号鍵を読み込む間隔は、1秒である。
【0095】
最後に、120倍速のときには、1秒間あたりの画面の表示枚数は、20枚であり、データのなかのIピクチャは、全体の1/12が表示される。暗号鍵を読み込む間隔は、0.5秒である。
【0096】
従来技術の倍速再生では、120倍速程度の高速の倍速再生ともなると、暗号鍵を読み込む間隔が短くなり、システムの性能が追いつかなくなって再生できない事態に陥る。
【0097】
そこで、本発明では、例えば、再生する暗号鍵とデータブロックを間引いて表示するようにする。すなわち、従来技術では、(K,D)→(K,D)→(K,D)→(K,D)→(K,D)→ …のように再生していたところを偶数番目の暗号鍵とデータブロックを間引いて、(K,D)→(K,D)→(K,D)→(K,D)→ …のように再生する。そして、データブロックの中のIピクチャは、全体の1/6を表示する。
【0098】
このようにすると、暗号鍵を読み込む間隔は2倍になり、120倍速のときには、1秒となる。そして、ユーザにとっては、画面の飛びが起こっているように見えるが、1データブロックの再生は、2倍の時間が取れるので、人間の目にやさしい表示になる。
【0099】
また、データブロックの中の最初のIピクチャと最後のIピクチャを必ず表示するように決めておいて、表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
100…録画再生装置
161…アナログチューナ
121…デジタルチューナ
126…MPEGデコーダ
130…制御部
140…リモコン
151…MPEGエンコーダ
200…表示部
300…ハードディスクドライブ(HDD)
301…リムーバブルハードディスクドライブ(HDD)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
録画データを記録する記録媒体を有する録画再生装置において、
前記記録媒体に、録画データを複数のデータブロックに分割し、各々が暗号鍵により暗号化して記録する手段と、
前記記録媒体の移動元から移動先に全ての前記録画データをコピーする手段と、
前記記録媒体の移動元から移動先に各々の暗号鍵を一つずつコピーし、削除する手段と、
前記記録媒体の移動元の全てのデータを削除する手段とを有することを特徴とする録画再生装置。
【請求項2】
録画データを記録する記録媒体を有する録画再生装置の録画データの移動方法において、
前記記録媒体には、録画データが、複数のデータブロックに分割され、各々が暗号鍵により暗号化されていて、前記録画データを記録媒体の移動元から移動先に移動するときに、
前記記録媒体の移動元から移動先に全ての録画データをコピーするステップと、
前記記録媒体の移動元から移動先に各々の暗号鍵を一つずつコピーし、削除するステップと、
前記記録媒体の移動元の全ての録画データを削除するステップとを有することを特徴とする録画再生装置の録画データの移動方法。
【請求項3】
録画データを記録する記録媒体を有する録画再生装置の録画データのデータアクセス方法において、
前記録画データと複数のフォルダに関係付けられており、
複数のフォルダの内のあるフォルダを指定して、前記録画データを削除するときに、
前記削除しようとする録画データが、他のフォルダと関係付けられていないときに、前記録画データを削除し、前記削除しようとする録画データが、他のフォルダと関係付けられているときに、前記指定されたフォルダと前記録画データの関係のみを削除することを特徴とする録画データのデータアクセス方法。
【請求項4】
録画データを記録する記録媒体を有する録画再生装置の録画データのデータアクセス方法において、
前記録画データと複数のフォルダに関係付けられており、
複数のフォルダの内の第一のフォルダを移動元、第二のフォルダを移動先と指定して、
前記録画データを移動するときに、
前記移動しようとする録画データの前記第一のフォルダの関連付けを、前記第二のフォルダに付け替えることを特徴とする録画再生装置の録画データのデータアクセス方法。
【請求項5】
録画データを記録する記録媒体を有する録画再生装置において、
前記記録媒体に、録画データを複数のデータブロックに分割して、各々が暗号鍵により暗号化されて記録する手段と、
倍速の速度に応じて、前記データブロックを間引いて再生する手段とを有することを特徴とする録画再生装置。
【請求項6】
録画データを記録する記録媒体を有する録画再生装置の録画データの倍速再生方法において、
前記記録媒体には、録画データが、複数のデータブロックに分割され、各々が暗号鍵により暗号化されている録画データを倍速再生するときに、
倍速の速度に応じて、前記データブロックを間引いて再生する録画データの倍速再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−172246(P2011−172246A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61920(P2011−61920)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【分割の表示】特願2007−7231(P2007−7231)の分割
【原出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】