説明

データユニット中継装置およびその制御方法

データユニット中継装置を制御する方法を記述し、送信元ピアが少なくとも一つの中継ピアを経由して宛先ピアにデータユニットを送信する中継ARQプロトコルに本方法を適用する。中継ARQプロトコルは第1のタイプおよび第2のタイプの受信情報を提供し、第1のタイプは中継ピアにおける正常な受信を通知し、第2のタイプは宛先ピアにおける正常な受信を通知する。1以上の所定の条件に従い中継ARQプロトコルのデータユニットを計画的に欠落させるデータユニット中継装置において、データユニットを計画的に欠落させたことを送信元ピアおよび宛先ピアに通知し、計画的欠落データユニットを特定する手順を提供し、宛先ピアが欠落データユニットの受信にあたかも成功したかのように、送信元ピアおよび宛先ピアが欠落データユニットに対する再送制御を実行することが出来るようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データユニット通信の分野に関し、より詳細には中継ピアを経由して送信元ピアから宛先ピアへの通信を提供するプロトコルの中継ピアとして作動するデータユニット中継装置を制御する改善された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
参照により全内容を組み込む既出願の国際出願PCT/EP2004/009967号には、1以上の中継ノードを経由して送信機から受信機へデータユニットを通信するための新しい概念が記載されている。この新しい概念によれば、中継ノードを経由する送信機と受信機との間に単一の論理接続が存在し、1以上の中継ピアを経由した送信元ピアから宛先ピアへの接続を提供するプロトコルが使用される。プロトコルの各中継ピアおよび宛先ピアは、プロトコル・データユニットの受信に関する情報を搬送するフィードバック・メッセージを送信するように構成される。少なくとも二つのタイプの受信情報があり、第1のタイプは中継ピアにおける正常な受信を通知し、第2のタイプは宛先ピアにおける正常な受信を通知する。送信元ピアおよび中継ピアは受信したフィードバック情報に基づき再送制御を実行する。このようなプロトコルは中継ARQプロトコルとも呼ばれるだろう。
【0003】
この概念を例示する図2aに、送信元ピア21、中継ピア22および宛先ピア23が示される。例として1つの中継ピアが示されるが、通信には複数が関係することもありえよう。送信元ピア21はデータユニット24を中継ピア22に送信し、中継ピア22はデータユニット24を宛先ピア23に転送する。中継ピア22は、データユニット24を中継ピアが正常に受信したことを通知する第1のタイプの受信情報を含むメッセージ26を送信する。このメッセージ26を中継肯定応答(Relay ACKnowledgement、RACK)と呼ぶこともある。宛先ピア23は、宛先ピア23における正常な受信を通知する第2のタイプの受信情報を含むメッセージ25を送信する。このメッセージ25を肯定応答(ACKnowledgement、ACK)と呼ぶこともある。中継ピアは、送信元ピア21にACKメッセージ25を転送するように構成される。それより、送信元ピア21は、宛先において受信に成功したデータユニットはどれか、および、中継点においてだけ受信に成功したデータユニットはどれかを追跡することができる。その結果、フロー制御、より具体的には送信元ピア21が実行する再送制御は、フィードバック情報で通知される状態に基づいて行われる。データユニットを中継ピアにおいて受信に成功したが、宛先ピアにおいて受信されない場合、送信元ピア21はデータユニットを宛先に伝達する責任を中継ピアに委譲できるが、それにもかかわらず、1以上の中継ピアの経路に何か問題が発生したときに送信元から再送信が可能なようにするために、宛先ピアからの確認を受信するまで、送信元ピアはその再送バッファに所与のデータユニットを保持する。第2のタイプの受信情報を受信した後、送信元ピアは自己の再送バッファから肯定応答のとれたデータユニットを消去する。
【0004】
以上により、中継ARQプロトコルに関する新規概念は、送信元、宛先、および全ての中継ノードの間で共通の状態が共有される単一の接続を確立することである。中継ピアにおいて保持されるプロトコルの状態は柔軟な(soft)状態であり、これにより全体的な中継ARQ接続を切断することなくシームレスに中継ノードを除去および追加することができる。送信元ピアが送信責任を中継ピアに一時的に委任するだけで、宛先ピアへの配信成功の最終責任を維持することによって、中継ARQの概念は送信元と宛先との間の高い信頼性を提供するのと同時に、高い性能とリソース能率を提供する。
【0005】
中継ARQプロトコルの送信元ピアおよび宛先ピアは、通信の物理的な終端ポイントにある必要は必ずしもないことを注記する。図2bの例に示すように、両ピアは単にプロトコル接続の論理的な終端ポイントであればよい。すなわち、図2bの例では、中継ノード29(例えば、ルータ)を経由したネットワーク接続ポイント28(例えば、電話網へのゲートウエイ)と端末30(例えば、電話端末)との間のリンク層L2において、中継ARQプロトコルが確立される。中継ARQプロトコル接続をL2*で表す。しかし、接続ポイント28は全体的な接続での物理的な終端ポイントではない。すなわち、L2*接続は送信ホスト27(例えば、インターネットサーバ)と端末30との間のより大きな通信の一部である。図2bに示すように、物理的な終端ポイント27および30は適切なL4トランスポート層プロトコル(例えば、TCP)のピアである。接続ポイント28と端末30との間に確立されるL2*中継ARQ接続は、L4データユニットを含むL3ネットワーク層のデータユニット(例えば、IPデータユニット)を処理する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の中継ARQの概念を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を、本出願の独立請求項に記載する主題により達成する。有利な実施形態を従属請求項に記載する。
【0008】
本発明で発明者は、1以上の所定の条件に従いデータユニット中継装置においてデータユニットを計画的に欠落させる手順を提供することを意図する。図2bに示すノード29のような中継ノードにおいてデータユニットを計画的に破棄するまたは欠落させるには幾つかの理由が存在しうる。例えば、能動的待ち行列管理(Active Queue Management、AQM)を実装することができよう。能動的待ち行列管理では、ネットワークに輻輳が存在することを送信機へ知らせるの黙示的な信号としてデータユニットの破棄を使用する。これはIPで周知である。このような信号の検出に応答して、送信機は自己の送信速度を減速しなければならない。例えばデータユニット損失の検出に応答して、TCPの送信機はその送信速度を50%減速する。AQMは、輻輳レベルをより低く確保するために、ネットワークにおけるノードが予め定義されたアルゴリズムに従って能動的におよび計画的にデータユニットを破棄する技術である。異なる表現をすれば、AQMは、計画されたとおりに正規にデータユニットを破棄することにより制御されていないバッファ・オーバフローを防止するために使用され、破棄されたことにより、中継ノードのバッファがオーバフローする前に送信機が正規に自己の送信速度を減速するだろう。
【0009】
典型的なAQMの条件では、バッファの待ち行列長が監視され、待ち行列長が所定の閾値長を超えたときに1以上のデータユニットの計画的な破棄または欠落が実行される。前述の閾値長はバッファがオーバフローする長さより短い。このようなAQMの条件は、中継ノードにおいてデータユニットを計画的に欠落または破棄できる条件の一例である。
【0010】
意図的または計画的に欠落させる別の例は、遅延データユニットを破棄することである。例えばUMTS(Universal Mobile Telephone System)規格ではデータユニットのデータ・トラヒックに対して、幾つかのQoS(quality of service)クラスを定義する。これらのQoSクラスは種々のQoSパラメータ、例えば最大ビット速度、保証ビット速度および最大遅延により定義される。例えばネットワークで加わった遅延が最大遅延を超えるであろうためにネットワークがタイムリーなデータユニットの配信を提供できないことをネットワーク内のノードが判断しうれば、データユニットを送信してリソースを無駄にするよりデータユニットを破棄するほうが良いことがありうる。この場合、ノードはデータユニットを破棄しても良い。
【0011】
その結果、データユニットの予測遅延など特定のQoSに関係した条件の監視、および適切な閾値との比較は、データユニットの計画的または意図的な破棄が発生しうる条件の別の例となる。
【0012】
本発明に従うと、中継ARQプロトコルの中継ピアは、データユニットを計画的に欠落させたことを中継ARQプロトコルの送信元ピアおよび宛先ピアに通知し、計画的欠落データユニットを特定する手順を実行するように構成される。
【0013】
その後、中継ARQプロトコルの送信元ピアは、計画的欠落データユニットを、あたかも宛先ピアが正常に受信したかのように、通知に応答して再送制御手順を実行する。
【0014】
宛先ピアは、計画的欠落データユニットをあたかも宛先ピアが正常に受信したかのように、通知に応答するような方法で受信制御手順を実行するように構成される。
【0015】
そのため、上記の通知には、欠落データユニットに対する全体的な再送制御が、欠落データユニットの受信をあたかも宛先ピアが成功したかのように、送信元ピアおよび宛先ピアを制御する目的がある。したがって、欠落データユニットは再送されない。
【0016】
このように、中継ピアが計画的、意図的に欠落させたデータユニットを、送信元ピアが再送する試行が回避される。再送信を行ってしまえば、中継ピアにより実行される計画的なデータユニットの破棄の目的を完全に相殺してしまうだろう。以上の結果、本発明は、中継ピアが意図的に1以上のデータユニットを欠落させる場合の、中継ARQ送信における一種の選択的な再送信抑制を提案する。
【0017】
多少異なる表現をすると、例えば図2bの構成で、中継ノード29にあるL2*中継ピアがAQMを実行する場合には、1以上のデータユニットを欠落させる目的は送信ホスト27にあるL4送信制御ピアにその送信速度を減速させることにあるだろう。しかし、(例えば、L2*送信元ピアが端末39から対応するACKをまったく受信しないため)接続ポイント28にあるL2*送信元ピアが欠落データユニットの再送を試行することがあれば、L4送信ピアに自己の送信速度を減速させる目的は達成されないであろう。同じく、遅延データユニットを欠落させる例では、ネットワークリソースを無駄にすることになるだろうため、送信元ピアが遅延データユニットの再送を試行するのは望ましくない。
【0018】
したがって、本発明は、データユニットを計画的に欠落できる中継ピアが中継ARQプロトコルの送信元ピアおよび宛先ピアにデータユニットが計画的に欠落されたことを通知し、中継ARQプロトコルの送信元ピアおよび宛先ピアがこの通知に応答して、あたかも宛先ピアが正常に受信したかのように計画的欠落データユニットを取り扱うように、中継ARQプロトコルを実装することを提案する。
【0019】
以上の概念および利点は以下の詳細な実施形態の記述および開示する図からより容易に理解できるようになろうが、以下の記述は本発明を限定する意図はなく、ただ本発明をより良く説明することを意図するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以上に既述のように、本発明は一般的にプロトコルの階層におけるデータユニット通信に関する。中継ARQプロトコルは送信するデータをデータユニットのシーケンスに分割し、各データユニットはシーケンスにおける位置を特定するシーケンス位置識別子に関連付けられる。このようなシーケンス位置識別子は、例えば単なるシーケンス番号か、データユニットのペイロード部に含まれる全体的なストリームの最上位ビット/バイトを指し示すビット/バイト・カウンタでありうる。後者は例えばTCP/IPで公知であるため、本明細書でさらなる考察を必要としない。
【0021】
このようなデータユニットは、種々の通信システムおよび通信プロトコルの背景に応じて、パケット、フレーム、セグメント、プロトコル・データユニット、など多様な名称を有することを注記する。本明細書および特許請求の範囲において使用される用語である「データユニット」は一般にデータの任意のこのような分割を意味する。
【0022】
本発明は上記の中継ARQ機構の改善に関する。そのため、前節の「技術背景」および「発明の開示」の全記述を参照により本発明の開示に組み込む。
【0023】
本発明の一つの実施形態では、中継ARQプロトコルの中継ピアとして作動するように構成されたデータユニット中継装置を制御する方法に関する。言い換えると、このプロトコルは、プロトコルの少なくとも1つの中継ピアを経由したプロトコルの送信元ピアからプロトコルの宛先ピアへのデータユニットの通信を提供する。プロトコルの各中継ピアおよび宛先ピアは、データユニットの受信に関する情報を搬送するフィードバック・メッセージを送信するように構成される。シーケンス位置識別子は、それぞれのデータユニットを特定するのに使用される。フィードバック・メッセージは、それぞれのシーケンス位置識別子を含めることで明示的に個々のデータユニットを言及してもよいし、シーケンス内の正常に受信された最後のデータユニットのシーケンス位置識別子を通知することで、暗示的な言及をしてもよいことを注記する。シーケンス内の正常に受信された最後のデータユニットを言及するフィードバック・メッセージが重複した場合は、シーケンス内の次のデータが正常に受信されなかったことを意味する。
【0024】
既述のように、中継ARQプロトコルは少なくとも二つのタイプの受信情報を提供し、第1のタイプはプロトコルの中継ピアにおける正常な受信を通知し、第2のタイプはプロトコルの宛先ピアにおける正常な受信を通知する。受信したフィードバック情報に基づき、送信元ピアはデータユニットの再送制御を実行するように構成される。
【0025】
図1に、データユニット中継装置の全体的な制御方法における手順を示す。この手順はより大きな制御方法の一部であり、より大きな制御方法は図の上部および下部の点線により示すが、簡単化のため、および本発明にとって重要でないので図示しない。図1の実施形態は1以上の所定の条件に従いデータユニット中継装置が中継ARQプロトコルのデータユニットを計画的または意図的に欠落させる手順S11を有する。以前に明記したようにこのような所定の条件は、例えば能動的待ち行列管理の条件または遅延データユニットを破棄するための条件でありうる。当然これらは例に過ぎず、データユニットを計画的に欠落させる条件は適切な、または望ましい方法から選択することができる。
【0026】
図1の方法はさらに、手順S11でデータユニットを計画的に欠落させたかどうかを判定するためのステップS12を含む。これに該当した場合は手順S13を実行し、中継ARQプロトコルのデータユニットを計画的に欠落させたことを送信元ピアおよび宛先ピアに通知し、計画的に欠落させたデータユニットを特定する。一方、ステップS12の結論が否定的な場合、すなわちデータユニットを計画的に欠落させない場合、手順S13を省略する。
【0027】
当然のことながら図1の例は、複数のデータユニットを欠落させ、送信元ピアおよび宛先ピアにこのことを適切に通知する可能性にも拡張される。
【0028】
送信元ピアおよび宛先ピアに通知する方法は適切なまたは望ましい方法から選択することができることを注記する。例えば、通常提供するある種の信号の送信を提供しないことにより、間接的にまたは否定的に通知を行うことができる。他方では、例えば明示的な信号の送信により直接的または肯定的に通知することも可能である。
【0029】
あたかも宛先ピアが欠落データユニットの受信に成功したかのように、送信元ピアおよび宛先ピアに欠落データユニットの再送制御を実行させることが出来るようであれば、いかなる直接的なまたは間接的な通知も適切である。
【0030】
好適な実施形態によれば、データユニットを計画的に欠落させたことを通知するための手順S13は、専用制御信号を送信する手順を備える。好ましくは、専用制御信号は計画的欠落データユニットのシーケンス位置識別子を備える。
【0031】
専用制御信号は適切なまたは望ましい方法から選択することができる。例えば、宛先ピアに通知を提供するために、計画的欠落データユニットを修正することにより、専用制御信号を生成するように手順S13を構成することができる。計画的欠落データユニットに破棄通知を付け加え、ペイロード部を除去する。それから、修正データユニットを制御信号として送信する。破棄通知は欠落データユニットのヘッダに加える任意の適切な目印でありうる。例えば、データユニットのヘッダにおける特定ビットを破棄データユニット・ビットとして定義することができる。中継ピアがデータユニットを破棄する場合、中継ピアは破棄データユニット・ビットを特定の値に設定し、シーケンス位置識別子を変更せずに残し、ヘッダのみを残して、すなわちペイロード部を取り除いて転送する。
【0032】
続いて、宛先ピアは、破棄データユニット・ビットを搬送するデータユニットの受信後に、宛先ピアが破棄データユニットの受信に成功したことを報告するように構成される。また、好ましくは、宛先ピアは、自己フロー制御を上記に適合させなければならない。中継ARQプロトコルが例えばウインドウ・ベースのフロー制御を使用しているのなら、宛先ピアが低位のシーケンス位置識別子を有する全てのデータユニットが正しく受信したかまたは破棄したことの通知を受けたかのいずれかになった場合に、宛先ピアは、破棄データユニットのシーケンス位置識別子も飛ばして自己に受信ウインドウのウインドウ左端を移動させることができよう。
【0033】
専用制御信号は、中継ARQプロトコルの専用制御データユニットでもありえよう。言い換えれば、送信元ピアから宛先ピアへデータを送信するために使用されるデータユニットとは異なる明示的な制御データユニットをプロトコルが提供する場合、本発明の実施形態によれば、そのような制御データユニットの一つを破棄データユニットの制御データユニットとして定義することができる。このような制御データユニットは、好ましくは破棄データユニットのシーケンス位置識別子を備え、中継ピアがデータユニットを破棄した場合には、破棄データユニットの制御データユニットが送信元ピアおよび宛先ピアの一方または両者に送信される。
【0034】
宛先ピアは正に、好ましくは破棄データユニットの目印を有する修正されたデータユニットに関する前述の記載のように応答しなければならないが、繰り返し記述することは不要である。
【0035】
さらに別の実施形態では、宛先ピアへ通知を提供する場合、データユニットを計画的に欠落させたことを通知するための手順S13は、計画的欠落データユニットの後に送信するデータユニットに情報を付け加える手順を備える。例えば、後続のデータユニットのヘッダを拡張して、1以上の中間データユニットの欠落または破棄について宛先に通知することができる。例として、シーケンス位置識別子3、4、5、6を破棄し、シーケンス位置識別子7を送信する。ここでは、シーケンス位置識別子3、4、5、6を有するデータユニットを破棄したことを示すように、付加情報を用いてシーケンス位置識別子7を有するデータユニットのヘッダを拡張することができよう。これにはネットワーク送信リソースを節約する利点がある。
【0036】
別の実施形態では、中継ピアにおけるデータユニットの計画的欠落を通知する第3のタイプの受信情報を導入することにより、通知を提供することができる。このような情報を欠落パケット肯定応答(Dropped Packet ACKnowledgement、DPACK)と呼ぶこともできる。その場合、欠落データユニットの通知を送信元ピアに提供するために、手順S13は第3のタイプの受信情報を送信元ピアに送信する手順を備える。例えば、この第3のタイプの受信情報DPACKを第1および第2のタイプの受信情報に使用するのと同じ種類のフィードバック・メッセージで送信することができる。
【0037】
その後、送信元ピアは欠落データユニットを自己の再送バッファから消去すること、すなわちデータユニットをあたかも宛先ピアが正常に受信したように作動することができる。ウインドウ・ベースのフロー制御方式では、送信元ピアは好ましくは宛先ピアから第2のタイプの受信情報(ACK)を受信するまで待機し、その後送信ウインドウを増分する。
【0038】
この手法の利点は、いつデータユニットが破棄されたかを送信元ピアがすぐに知ることである。この情報を使用して、再送および全体的なフロー制御の双方を最適化することができる。
【0039】
さらに別の実施形態では、送信元ピアに通知を提供するために、手順S13は第2のタイプの受信情報(ACK)を送信元ピアに送信する手順を備えてもよい。前に既に示したように中継ARQプロトコルの送信元ピアは、第2のタイプの受信情報を受信するまでデータユニットを保持するように構成され、送信元ピアはこの情報を受信した後にデータユニットを消去するであろう。その結果、中継ピアが第2のタイプの受信情報を送信することは、データユニットの欠落を通知し、および送信元ピアに自己の再送バッファから問題のデータユニットを除去し、宛先ピアが正常に受信したものとしてデータユニットを取り扱わせることに役立ち得る。
【0040】
さらに別の実施形態では、中継ピアが送信元ピアに通知を与える手法として、宛先ピアへの中継ピアのメッセージが宛先ピアに第2のタイプの受信情報(ACK)を発信させ、この第2のタイプの受信情報を中継ピアが受信するまで単に中継ピアを待機させることが可能である。その後、中継ピアは第2のタイプの受信情報を送信元ピアに単に転送する。その結果、中継ARQプロトコルの送信元ピアは、宛先ピアがデータユニットを正常に受信したことの通知として第2のタイプの受信情報を受信するように構成されるので、送信元ピアはそれに応答して、欠落データユニットを自己の再送バッファから消去するであろう。中継ピアが宛先ピアから第2のタイプの受信情報の受信を待つような実施形態と関連して、送信元ピアが再送タイムアウトの機能を持たないか、または中継ピアの待機によるタイムアウトを引き起こさないように適切に再送タイムアウト期間を調整するか、のいずれかのように構成されることが好ましいことを注記する。言い換えると、再送タイムアウト期間を、中継ピアが宛先ピアから第2のタイプの受信情報を待ち、この情報を送信元ピアに転送するのに要する平均時間よりも十分に長く設定すべきである。
【0041】
本発明の上記実施形態は、ハードウエア、ソフトウエアまたはハードウエアとソフトウエアの任意の組み合わせによる任意の適切なまたは望ましい方法で実行に移すことができる。具体的には、プログラム可能なデータユニット処理装置にロードし、実行する場合に、1以上の上記方法の実施形態を実行するためのコンピュータプログラムを含むコンピュータ製品として、本発明を実施することができる。
【0042】
本発明のデータユニット中継装置の例を図3に示す。データユニット中継装置31はプロセッサ310およびバッファメモリ311を備える。データユニット中継装置31は、中継ARQプロトコルのデータユニットを受信および送信し、中継ARQプロトコルのフィードバック・メッセージを受信および送信するように適切に構成される。プロセッサは、上記制御方法を実行するように実装されるが、それを繰り返し記述ことは不要である。「プロセッサ」という用語を一般に本方法を実行するのに必要な処理を実行するための適切な任意の装置に関すると理解すべきであることを注記する。しかし、プロセッサはプログラム可能なプロセッサであり、本方法の手順をプログラム可能なプロセッサにロードされる適切なコンピュータ・コードにより実装できることが好ましい。
【0043】
図3の例は、コネクタなどのデータユニット中継装置のさらなる標準的な構成要素を示さないが、これらの構成要素は周知であるため、さらに記述する必要がないからである。
【0044】
データユニット中継装置を制御するための方法の記述において前に既に示したように、本発明をデータユニット送信装置を制御するための方法と対応するデータユニット送信装置と、およびデータユニット受信装置を制御するための方法と対応するデータユニット受信装置とにおいても実施することができる。
【0045】
データユニット送信装置を制御するための方法の実施形態では、データユニット送信装置は、中継ARQプロトコルの送信元ピアとして作動するように構成される。受信したフィードバック情報に基づいて中継ARQプロトコルのデータユニットの再送制御を行うための再送制御手順を実行する手順が提供される。さらに、中継ARQプロトコルのデータユニットを中継ピアが計画的に欠落させたことの通知を受信し、計画的欠落データユニットを特定する手順が提供される。最後に、データユニット送信装置制御方法は、計画的欠落データユニットをあたかも中継ARQプロトコルの宛先ピアが正常に受信したかのように、欠落データユニットの通知に応答するように再送制御手順を実行する手順をさらに備える。言い換えると、欠落データユニットをデータユニット送信装置の再送バッファから除去することができる。
【0046】
本発明のデータユニット送信装置は図3に示すのと同じ構成、つまりプロセッサおよびバッファを有することができ、プロセッサは上記の制御方法を実行するように構成される。
【0047】
本発明のさらに別の実施形態では、データユニット受信装置を中継ARQプロトコルの宛先ピアとして制御する方法が提供される。制御方法は中継ARQプロトコルのデータユニットの受信を制御し、受信応答の実行をするのための受信制御手順を備える。受信応答はデータユニットを正常に受信する場合に適切なフィードバック・メッセージ、例えば第2のタイプの受信情報(ACK)を含むフィードバック・メッセージを送信する手順を備える。
【0048】
制御方法は、中継ARQプロトコルのデータユニットを中継ピアが計画的に欠落させたことの通知を受信し、計画的欠落データユニットを特定するための手順をさらに備える。この手順は、例えばデータユニット中継ピアが提供する1以上の前述の通知を解釈するように構成される。
【0049】
最後に、データユニット受信装置のための制御方法は、計画的欠落データユニットをあたかも正常に受信したかのように中継ピアからの通知に応答するための受信制御手順を実行するように構成される。その結果、中継ピアからの通知を受信すると、第2のタイプの受信情報(ACK)を送信する。
【0050】
上記の例および図2では、一つの中継装置すなわち中継ピアの場合が言及された。これは単純化のために行ったが、中継ARQ通信は複数の中継ピアを含んでもよいので、本発明は決して一つだけの中継ピアの場合に限定されない。そのような場合にデータユニットを計画的に欠落させた中継ピアは、送信元ピアおよび宛先ピアだけでなくその他の中継ピアにも通知を提供することが好ましい。さらにそのあと、中継ピアはそれぞれ、好ましくは別の中継ピアが提供する通知を処理できるように構成される。言い換えると、転送する中継ピアが、データユニットを計画的に欠落させた中継ピアからみて自分が上流にあるか下流にあるかによって、送信元ピアまたは宛先ピアに向けて適切に通知を転送する。さらに好ましくは各中継ピアが、例えば欠落データユニットを自己のバッファから欠落させ、少なくとも再送に関して、前記欠落データユニットをあたかも宛先が受信に成功したかのように反応することにより通知への応答を実行するように、自己のデータユニット管理に適切に適応するように構成される。
【0051】
図2bの例から分かりうるように、接続ポイント28と端末30との間のL2*接続などの中継ARQ接続を上位層、例えば図2bに示すL3ネットワークレイヤからデータユニットを受信するプロトコル層に配置してもよい。続いて、L2*レイヤは、上位から受信するL3データユニットを送信前に埋め込むように構成される。「埋め込む」という用語はカプセル化またはセグメント化に関連付けてもよい。カプセル化の場合、一つのL3データユニットは1対1対応が存在するように一つのL2*データユニットで送信されるであろう。セグメント化の場合、一般的に一つのL3データユニットは複数のL2*データユニットに分散されるであろう。後者の場合、(例えば、図2bの中継ノード29に実装される)中継ピアが、計画的欠落データユニットの属する所定の中継ARQ層より上位層のデータユニットを特定し、特定された上位層データユニットに属する中継ARQレイヤのその他のデータユニットを欠落させる手順を備えるように、本発明を実施することが好ましい。言い換えると、図2bの例で、L2*の実装はL3を認識し、異なるL3データユニットを区別することができる。これは、例えば中継ピアにL3データユニットの区切りを識別させることにより行うことができる。
【0052】
この実施形態の利点は、L3データユニットからの一つのL2*データユニットを欠落させれば、その場合得られるL3データユニットはいずれにしろ不完全であるので、一般的にL2*データユニットにセグメント化されるL3データユニットの残りを送信する価値はないという事実による。
【0053】
同様に、中継ARQプロトコルの実装により上位層データユニットのセグメント化を実行する場合、データユニット送信装置とデータユニット送信装置の制御方法とは、中継ピアによる計画的欠落データユニットの通知と特定とを受信した後、欠落データユニットと同じ上位層データユニットに属する中継ARQプロトコルのその他のデータユニット自体を欠落させるように構成されるのが好ましい。つまり、これらのデータユニットを送信する価値はない。異なる表現をすれば、これら他のデータユニットを、あたかも宛先ピアが正常に受信したかのように取り扱う。
【0054】
さらにデータユニットのセグメント化の場合、データユニット受信装置とデータユニット受信装置を制御する方法とは、好ましくは計画的欠落データユニットの属する中継ARQレイヤより上位層のデータユニットを特定し、特定されたのと同じ上位層ユニットに属する中継ARQレイヤのその他のデータユニットを欠落させるように構成される。これは、特に他のデータユニットを受信側で上位層に渡さないことを意味する。
【0055】
本発明を好ましい実施形態により記述したが、本発明は添付する特許請求の範囲により規定するので、実施形態で本発明を限定する意図はない。特許請求の範囲における参照記号は特許請求の範囲を読みやすくするのに役立つが、やはり制限する効果を持たない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】中継ARQプロトコルの中継ピアにおける本発明に係る方法の実施形態の一例を示すフローチャートである。
【図2a】、
【図2b】本発明を適用することができる送信元ピア、中継ピアおよび宛先ピアの一例を示す図である。
【図3】本発明を実装することができるデータユニット送信装置、データユニット中継装置またはデータユニット受信装置の概要ブロック図の一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データユニット中継デバイスを制御する方法であって、
所定の層のデータユニット通信プロトコルを実装する工程であって、送信データを前記プロトコルに従ってデータユニットのシーケンスに分割し、各データユニットは前記シーケンスにおける位置を特定するシーケンス位置識別子に関連付けられ、前記プロトコルが、
前記プロトコルの少なくとも一つの中継ピアを経由して前記プロトコルの送信元ピアから前記プロトコルの宛先ピアへ前記データユニットを通信する工程と、
前記シーケンス位置識別子を使用して、前記プロトコルの前記データユニットの受信に関する情報を搬送するフィードバック・メッセージを送信するように構成された前記プロトコルの各中継ピアおよび宛先ピアであって、前記プロトコルは少なくとも第1のタイプおよび第2のタイプの受信情報を提供し、前記第1のタイプの受信情報(RACK)は前記プロトコルの中継ピアにおける正常な受信を通知し、前記第2のタイプの受信情報(ACK)は前記プロトコルの宛先ピアにおける正常な受信を通知し、前記プロトコルの各送信元ピアが受信したフィードバック情報に基づき前記データユニットの再送制御を実行するように構成され、前記データユニット中継装置が前記プロトコルの中継ピアとして作動するように前記プロトコルを実装する各中継ピアおよび宛先ピアと
を提供するデータユニット通信プロトコルを実装する前記工程と、
前記データユニット中継装置が、1以上の所定の条件に従い計画的に前記プロトコルのデータユニットを欠落させる工程と、
前記プロトコルのデータユニットを計画的に欠落させたことを前記送信元ピアおよび前記宛先ピアに通知し、前記計画的欠落データユニットを特定する工程と
を含むことを特徴とするデータユニット中継装置制御方法。
【請求項2】
前記プロトコルの前記計画的欠落データユニットの属する前記所定のレイヤより上位層のデータユニットを特定し、特定された前記上位層のデータユニットに属する前記プロトコルの他のデータユニットを欠落させる工程を備える請求項1に記載のデータユニット中継装置制御方法。
【請求項3】
前記プロトコルのデータユニットを計画的に欠落させたことを通知する前記工程が専用制御信号を送信する工程を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のデータユニット中継装置制御方法。
【請求項4】
前記専用制御信号が前記計画的欠落データユニットの前記シーケンス位置識別子を備えることを特徴とする請求項3に記載のデータユニット中継装置制御方法。
【請求項5】
前記宛先ピアに通知を提供するために、前記プロトコルのデータユニットを計画的に欠落させたことを通知するための前記手順が、前記計画的欠落データユニットに破棄通知を付け加え、前記計画的欠落データユニットからペイロード部分を除去するように、前記計画的欠落データユニットを修正することにより、前記専用制御信号を生成する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載のデータユニット中継装置制御方法。
【請求項6】
前記専用制御信号が前記プロトコルの専用制御データユニットであることを特徴とする請求項3または4に記載のデータユニット中継装置制御方法。
【請求項7】
前記宛先ピアに通知を提供するために、前記プロトコルのデータユニットを計画的に欠落させたことを通知するための前記手順が、前記計画的欠落データユニットの後に送信する前記プロトコルのデータユニットに情報を追加する工程を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のデータユニット中継装置制御方法。
【請求項8】
前記プロトコルが、前記プロトコルの中継ピアにおける計画的欠落を通知する第3のタイプの受信情報(DPACK)を提供し、前記送信元ピアに通知を提供するために、前記プロトコルのデータユニットを計画的に欠落させたことを通知するための前記手順が、前記第3のタイプの受信情報(DPACK)を前記送信元ピアに送信する工程を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のデータユニット中継装置制御方法。
【請求項9】
前記送信元ピアに通知を提供するために、前記プロトコルのデータユニットを計画的に欠落させたことを通知するための前記手順が、前記第2のタイプの受信情報(ACK)を前記送信元ピアに送信する工程を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のデータユニット中継装置制御方法。
【請求項10】
プログラム可能なデータユニット中継装置に、請求項1乃至9のいずれか1項の方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項11】
データユニット中継装置であって、
所定の層のデータユニット通信プロトコルを実装するプロセッサであって、送信データを前記プロトコルに従ってデータユニットのシーケンスに分割し、各データユニットは前記シーケンスにおける位置を特定するシーケンス位置識別子に関連付けられ、前記プロトコルが、
前記プロトコルの少なくとも一つの中継ピアを経由して前記プロトコルの送信元ピアから前記プロトコルの宛先ピアへ前記データユニットを通信する手段と、
前記シーケンス位置識別子を使用して、前記プロトコルの前記データユニットの受信に関する情報を搬送するフィードバック・メッセージを送信するように構成された前記プロトコルの各中継ピアおよび宛先ピアであって、前記プロトコルは少なくとも第1のタイプおよび第2のタイプの受信情報を提供し、前記第1のタイプの受信情報(RACK)は前記プロトコルの中継ピアにおける正常な受信を通知し、前記第2のタイプの受信情報(ACK)は前記プロトコルの宛先ピアにおける正常な受信を通知し、前記プロトコルの各送信元ピアが受信したフィードバック情報に基づき前記データユニットの再送制御を実行するように構成され、前記データユニット中継装置が前記プロトコルの中継ピアとして作動するように前記プロトコルを実装する各中継ピアおよび宛先ピアと
を提供するデータユニット通信プロトコルを実装する前記プロセッサと、
前記プロセッサが、前記データユニット中継装置が、1以上の所定の条件に従い計画的に前記プロトコルのデータユニットを欠落させるように構成され、
前記プロセッサが、前記プロトコルのデータユニットを計画的に欠落させたことを前記送信元ピアおよび前記宛先ピアに通知し、前記計画的欠落データユニットを特定するようにさらに構成された
を特徴とするデータユニット中継装置。
【請求項12】
前記プロセッサが、前記プロトコルの前記計画的欠落データユニットの属する前記所定の層より上位層のデータユニットを特定し、特定された前記上位層のデータユニットに属する前記プロトコルの他のデータユニットを欠落させるように構成される
ことを特徴とする請求項11に記載のデータユニット中継装置。
【請求項13】
データユニット送信装置であって、
所定の層のデータユニット通信プロトコルを実装するプロセッサであって、送信データを前記プロトコルに従ってデータユニットのシーケンスに分割し、各データユニットは前記シーケンスにおける位置を特定するシーケンス位置識別子に関連付けられ、前記プロトコルが、
前記プロトコルの少なくとも一つの中継ピアを経由して前記プロトコルの送信元ピアから前記プロトコルの宛先ピアへ前記データユニットを通信する手段と、
前記シーケンス位置識別子を使用して、前記プロトコルの前記データユニットの受信に関する情報を搬送するフィードバック・メッセージを送信するように構成された前記プロトコルの各中継ピアおよび宛先ピアであって、前記プロトコルは少なくとも第1のタイプおよび第2のタイプの受信情報を提供し、前記第1のタイプの受信情報(RACK)は前記プロトコルの中継ピアにおける正常な受信を通知し、前記第2のタイプの受信情報(ACK)は前記プロトコルの宛先ピアにおける正常な受信を通知し、前記プロトコルの各送信元ピアが受信したフィードバック情報に基づき前記データユニットの再送制御を実行するように構成され、前記データユニット送信装置が前記プロトコルの送信ピアとして作動するように前記プロトコルを実装する各中継ピアおよび宛先ピアと
を提供するデータユニット通信プロトコルを実装する前記プロセッサと、
前記プロセッサが、受信した前記フィードバック情報に基づき前記プロトコルの前記データユニットの再送を制御する再送制御手順を実行し、前記プロトコルの中継ピアにおいて前記プロトコルの前記データユニットを計画的に欠落させたことの通知を受信し、前記計画的欠落データユニットを特定するように構成され、
前記プロセッサが、前記計画的欠落データユニットをあたかも前記プロトコルの宛先ピアが正常に受信したかのように、前記通知に反応するために前記再送制御手順を実行するように構成された
ことを特徴とするデータユニット送信装置。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記プロトコルの前記計画的欠落データユニットの属する前記所定の層より上位層のデータユニットを特定し、特定された前記上位層のデータユニットに属する前記プロトコルの他のデータユニットを欠落させるように構成される
ことを特徴とする請求項13に記載のデータユニット送信装置。
【請求項15】
データユニット受信装置であって、
所定の層のデータユニット通信プロトコルを実装するプロセッサであって、送信データを前記プロトコルに従ってデータユニットのシーケンスに分割し、各データユニットは前記シーケンスにおける位置を特定するシーケンス位置識別子に関連付けられ、前記プロトコルが、
前記プロトコルの少なくとも一つの中継ピアを経由して前記プロトコルの送信元ピアから前記プロトコルの宛先ピアへ前記データユニットを通信する手段と、
前記シーケンス位置識別子を使用して、前記プロトコルの前記データユニットの受信に関する情報を搬送するフィードバック・メッセージを送信するように構成された前記プロトコルの各中継ピアおよび宛先ピアであって、前記プロトコルは少なくとも第1のタイプおよび第2のタイプの受信情報を提供し、前記第1のタイプの受信情報(RACK)は前記プロトコルの中継ピアにおける正常な受信を通知し、前記第2のタイプの受信情報(ACK)は前記プロトコルの宛先ピアにおける正常な受信を通知し、前記プロトコルの各送信元ピアが受信したフィードバック情報に基づき前記データユニットの再送制御を実行するように構成され、前記データユニット受信装置が前記プロトコルの受信ピアとして作動するように前記プロトコルを実装する各中継ピアおよび宛先ピアと
を提供するデータユニット通信プロトコルを実装する前記プロセッサと、
前記プロセッサが、前記プロトコルの前記データユニットの受信および受信応答を制御するための制御手順を実行するように構成され、
前記プロセッサが、前記プロトコルの中継ピアにおいて前記プロトコルの前記データユニットを計画的に欠落させたことの通知を受信し、前記計画的欠落データユニットを特定するように構成され、
前記プロセッサが、前記計画的欠落データユニットをあたかも前記プロトコルの宛先ピアが正常に受信したかのように、前記通知に反応するために前記制御手順を実行するように構成された
ことを特徴とするデータユニット受信装置。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記プロトコルの前記計画的欠落データユニットの属する前記所定の層より上位層のデータユニットを特定し、特定された前記上位層のデータユニットに属する前記プロトコルの他のデータユニットを欠落させるように構成される
ことを特徴とする請求項15に記載のデータユニット受信装置。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−543189(P2008−543189A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513934(P2008−513934)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005791
【国際公開番号】WO2006/128478
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】