説明

データ中継回路、及び画像処理装置

【課題】二つの装置間でデータを中継するデータ中継回路において、各装置で用いる二つのクロック周波数が異なる場合にどちらのクロック周波数が速い場合であっても、用いることができるデータ中継回路、及びこれを用いた画像処理装置を提供する。
【解決手段】書込周波数より読出周波数の方が大きい場合、同期タイミングに対する書き込み開始の遅延時間より第1時間だけ短い時間を読出遅延時間として設定し、書込周波数より読出周波数の方が小さい場合、前記遅延時間より第2時間だけ長い時間を読出遅延時間として設定すると共に、同期タイミングから前記読出遅延時間の経過後に、デュアルポートメモリ21に記憶されているデータを順次記憶された順で、読出クロック信号と同期してデータ受信装置へ出力する読出タイミング設定部27を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロックと同期してデータを入出力する二つの装置間で、当該クロック周波数が異なる場合に当該装置間でデータを中継するデータ中継回路、及びこれを用いた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばデジタル複合機では、CCD(Charge Coupled Device)などの入力デバイスの動作クロックに同期して入力される画像データを、液晶表示装置等の表示装置やシステムバスを介して接続されたメインメモリ等の出力先デバイスへ出力する際に、入力デバイスの動作クロック周波数より、表示装置やシステムバス等の動作クロック周波数の方が大きい(速い)ため、間にデュアルポートメモリを挟んで動作クロック周波数の差異を吸収する回路が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような回路では、デュアルポートメモリへの画像データの書き込み速度よりも、デュアルポートメモリからの読み出し速度の方が速いため、データの書き込みが開始された後、所定時間遅らせてデータの読出しを開始させることにより、データの読出しが書き込みに追いついて正常なデータの読み出しができなくなることを防止している。
【特許文献1】特開平9−186976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の場合とは逆に、データの書き込み用の動作クロックよりも、データの読出し用の動作クロックの方が、周波数が小さい(遅い)場合がある。このような場合、書き込み用の動作クロックよりも、データの読出し用の動作クロックの方が速い場合と同様のタイミングでデータの読出しを開始させると、データの読出しにかかる時間が長いため、データの読出し完了前に、新たなデータの書き込みが開始されてしまい、読み出そうとしていたデータが書き換えられてしまうおそれがある。
【0005】
そのため、特許文献1に記載の回路は、データの読出し用の動作クロックの方が速い場合と、データの書き込み用の動作クロックの方が速い場合とで、同一の回路を共用することができないという、不都合があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、クロックと同期してデータを入出力する二つの装置間で、当該装置間でデータを中継するデータ中継回路において、各装置で用いる二つのクロック周波数が異なる場合に、どちらのクロック周波数が速い場合であっても、用いることができるデータ中継回路、及びこれを用いた画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るデータ中継回路は、一定の周期で出力される同期信号が示す同期タイミングから予め設定された遅延時間の経過後に、予め設定された書込周波数の書込クロック信号と同期してデータを出力するデータ出力装置と、予め設定された読出周波数の読出クロック信号と同期してデータを受信するデータ受信装置との間でデータを中継するデータ中継回路であって、前記データ出力装置から出力されたデータを前記書込クロック信号と同期して順次記憶する記憶部と、所定時間内における前記書込クロック信号のクロック数を計数することにより、前記書込周波数を検出する書込周波数検出部と、所定時間内における前記読出クロック信号のクロック数を計数することにより、前記読出周波数を検出する読出周波数検出部と、前記書込周波数検出部により検出された書込周波数と前記読出周波数検出部により検出された読出周波数とを比較する比較部と、前記比較部による比較の結果、前記書込周波数より前記読出周波数の方が大きい場合、前記遅延時間より所定の第1時間だけ短い時間を読出遅延時間として設定し、前記書込周波数より前記読出周波数の方が小さい場合、前記遅延時間より所定の第2時間だけ長い時間を前記読出遅延時間として設定する読出遅延時間設定部と、前記同期信号が示す同期タイミングから、前記読出遅延時間設定部により設定された読出遅延時間の経過後に、前記記憶部に記憶されているデータを前記順次記憶された順で、前記読出クロック信号と同期して前記データ受信装置へ出力する出力制御部とを備える。
【0008】
この構成によれば、同期タイミングから予め設定された遅延時間の経過後に、データ出力装置から、予め設定された書込周波数の書込クロック信号と同期してデータが出力され、そのデータが書込クロック信号と同期して記憶部で順次記憶される。また、記憶部で記憶されたデータはデータ受信装置によって、読出周波数の読出クロック信号と同期して受信される。そして、読出遅延時間設定部によって、書込周波数より読出周波数の方が大きい場合、前記遅延時間より第1時間だけ短い時間が読出遅延時間として設定され、書込周波数より読出周波数の方が小さい場合、遅延時間より第2時間だけ長い時間が読出遅延時間として設定される。さらに、出力制御部によって、同期信号が示す同期タイミングから、読出遅延時間設定部により設定された読出遅延時間の経過後に、記憶部に記憶されているデータが順次記憶された順で、読出クロック信号と同期してデータ受信装置へ出力される。
【0009】
これにより、書込周波数より読出周波数の方が大きい場合、同期タイミングから前記遅延時間の経過後であって、書込クロック信号と同期したデータの記憶が開始されるタイミングより第1時間だけ前に、その同期タイミングより一つ前の同期タイミング後に記憶部に記憶されたデータの読出しが開始される。そうすると、読み出し速度の方が速いので、データの読出しが完了する前に、データの読出しに次のデータの書込が追いついたり追い抜いたりして読み出そうとしているデータが書き換えられてしまうことがない。
【0010】
そして、書込周波数より読出周波数の方が小さい場合、書込クロック信号と同期したデータの記憶が開始されるタイミングより第2時間だけ後に、記憶部に記憶されたデータの読出しが開始される。そうすると、読み出し速度の方が遅いので、データの記憶が完了する前に、データの読出しが追いついたり追い抜いたりして正しく読み出そうとしているデータが詠み出せなくなるおそれがない。従って、データ出力装置の書込クロック信号とデータ受信装置の読出クロック信号のうち、どちらのクロック周波数が速い場合であっても、用いることができる。
【0011】
また、前記第1時間は、前記記憶部が、データの読出し後、同一アドレスへのデータ書込が正常に実行可能な最短時間であり、前記第2時間は、前記記憶部が、データの書込み後、同一アドレスからのデータ読出しが正常に実行可能な最短時間であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第1時間は、記憶部からのデータの読出し後、同一アドレスへのデータ書込が正常に実行可能な最短時間にされているので、同期タイミング後の記憶部によるデータの記憶開始後、次の同期タイミング後に記憶部からのデータの読み出しが開始されるまでの時間を、正常動作可能な範囲で最大限長くすることができる。その結果、例え読出クロック信号の方が書込クロック信号より高速であっても、データの書き込みが完了する前に、データの読出しが書込に追いついたり追い抜いたりしてデータが正常に読み出せなくなるおそれが可能な限り低減される。
【0013】
そして、第2時間は、記憶部へのデータの書込み後、同一アドレスからのデータ読出しが正常に実行可能な最短時間にされているので、同期タイミング後の記憶部によるデータの記憶開始後、次に新たなデータの書き込みが開始されるまでの時間を、正常動作可能な範囲で最大限長くすることができる。その結果、例え読出クロック信号の方が書込クロック信号より低速であって、書込データの書き込みにかかる時間よりもデータの読み出しにかかる時間の方が長い場合であっても、データの読み出し完了前に新たなデータの書き込みが開始されてデータが正常に読み出せなくなるおそれが可能な限り低減される。
【0014】
また、前記書込周波数検出部は、前記同期信号により前記同期タイミングが示されてから再び前記同期タイミングが示されるまで、前記書込クロック信号のクロック数を計数した計数値を、前記書込周波数を示す情報として検出し、前記読出周波数検出部は、前記同期信号により前記同期タイミングが示されてから再び前記同期タイミングが示されるまで、前記読出クロック信号のクロック数を計数した計数値を、前記読出周波数を示す情報として検出することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、書込周波数検出部は、同期信号を用いて所定時間内における書込クロック信号のクロック数を計数することができ、読出周波数検出部は、同期信号を用いて所定時間内における読出クロック信号のクロック数を計数することができるので、所定時間を計時するためのタイマ回路を備える必要がなく、書込周波数検出部及び読出周波数検出部のコストを低減することが容易である。
【0016】
また、前記書込周波数より前記読出周波数の方が小さい場合において、前記遅延時間に相当する前記読出クロック信号のクロック数と、前記第2時間に相当する前記読出クロック信号のクロック数と、前記データ出力装置から前記同期信号の一周期内に出力されるデータの数として予め設定されたデータ数とを加算した値が、前記読出周波数検出部により計数された前記計数値以上になったとき、エラーの発生を示すエラー信号を出力するエラー検出部をさらに備えることが好ましい。
【0017】
書込周波数より読出周波数の方が小さい場合、データの読み出しに時間がかかるので、記憶部からのデータの読み出し開始後、次の同期タイミングまでにデータの読出しが終了しない場合、読出データDOの読出しが正常に実行できなくなるおそれがある。そこで、遅延時間に相当する読出クロック信号のクロック数と、第2時間に相当する読出クロック信号のクロック数と、データ出力装置から同期信号の一周期内に出力されるデータの数として予め設定されたデータ数とを加算した値が、読出周波数検出部により計数された計数値以上になったとき、エラー検出部によって、エラーの発生を示すエラー信号を出力することで、データ中継回路2のメンテナンス性を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係る画像処理装置は、上述のデータ中継回路と、前記データ出力装置である画像読取部と、前記データ受信装置である画像処理部とを備える。この構成によれば、画像読取部と画像処理部との間で、いずれで用いるクロック周波数が速い場合であっても、同じ構成のデータ中継回路を用いることができるので、クロック周波数の大小に応じて、データ中継回路を設計し直したり異なる構成のデータ中継回路を製造したりするコストを低減することが容易となる。
【発明の効果】
【0019】
このような構成のデータ中継回路は、データ出力装置の書込クロック信号とデータ受信装置の読出クロック信号のうち、どちらのクロック周波数が速い場合であっても、用いることができる。
【0020】
また、このような構成の画像処理装置は、画像読取部と画像処理部との間で、いずれで用いるクロック周波数が速い場合であっても、同じ構成のデータ中継回路を用いることができるので、クロック周波数の大小に応じて、データ中継回路を設計し直したり異なる構成のデータ中継回路を製造したりするコストを低減することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係るデータ中継回路を用いた画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0022】
図1に示す画像処理装置1は、例えば複合機や複写機等の画像形成装置である。そして、画像処理装置1は、データ中継回路2、画像読取部3、画像処理部4、及び同期回路5を備えている。画像読取部3は、例えばイメージセンサ31と、A/D変換回路32とを備えている。画像処理部4は、例えば画像処理回路41、メインメモリ42、及び画像形成部43を備えている。
【0023】
イメージセンサ31は、例えばCCD(Charge Coupled Device)や密着式イメージセンサ(CIS)等である。イメージセンサ31は、予め設定された周波数のクロック信号CLKと同期して、複写しようとする原稿画像から読み取った画像の各画素値をアナログ信号で示した画像信号S1を、アナログデジタル(A/D)変換回路32へ出力する。クロック信号CLKの周波数は、例えばCCDの仕様や、スキャナによる原稿の走査速度等によって決定されている。
【0024】
アナログデジタル変換回路32は、イメージセンサ31から、クロック信号CLKと同期して画像信号S1を受信し、当該画像信号S1をデジタル値に変換することにより、各画素値をデジタル値で示した画像データを、書込データDIとして生成する。そして、アナログデジタル変換回路32は、書込データDIが有効であることを示すべく、書込イネーブル信号WENをハイレベルにすると共に、書込クロック信号WCKと同期して書込データDIをデータ中継回路2へ出力する。
【0025】
アナログデジタル変換回路32は、データを蓄えておくことができないので、書込クロック信号WCKは、クロック信号CLKと同じ周波数にされている。そのため、書込クロック信号WCKの周波数は、イメージセンサ31の仕様やスキャナの走査速度等によって決まり、自由に設定することができない。なお、書込クロック信号WCK、及び書込イネーブル信号WENは、同期回路5からアナログデジタル変換回路32及びデータ中継回路2へ出力されるようにしてもよい。
【0026】
同期回路5は、書込データDIにおけるライン毎のデータの境界を示すライン同期信号SYNを、データ中継回路2へ出力する。ライン同期信号SYNは、1ライン毎の走査周期である周期tcyc毎に立ち上がる周期信号となっている。
【0027】
また、アナログデジタル変換回路32は、ライン同期信号SYNの立上りタイミング(同期タイミング)から、例えば書込クロック信号WCKの6クロック(遅延時間)遅れて書込イネーブル信号WENをハイレベルにすると共に書込データDIを出力するようになっている。
【0028】
図2は、図1に示すデータ中継回路2の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すデータ中継回路2は、デュアルポートメモリ21(記憶部)、書込アドレスカウンタ22、書込クロックカウンタ23(書込周波数検出部)、読出アドレスカウンタ24、読出クロックカウンタ25(読出周波数検出部)、比較回路26(比較部)、読出タイミング設定部27(読出遅延時間設定部、出力制御部)、及びエラー検出部28を備えている。
【0029】
書込アドレスカウンタ22は、書込イネーブル信号WENがハイレベルになると、書込クロック信号WCKをカウントするカウンタ回路である。書込アドレスカウンタ22は、そのカウント値を書込アドレスWAとしてデュアルポートメモリ21へ出力する。
【0030】
読出アドレスカウンタ24は、読出タイミング設定部27から出力された読出イネーブル信号RENがハイレベルになると、画像処理回路41から出力された読出クロック信号RCKをカウントするカウンタ回路である。読出アドレスカウンタ24は、そのカウント値を読出アドレスRAとしてデュアルポートメモリ21へ出力する。
【0031】
デュアルポートメモリ21は、入出力ポートを二つ備え、データの書き込みアクセスと読み出しアクセスとが同時に実行可能なメモリである。そして、デュアルポートメモリ21は、書込イネーブル信号WENがハイレベルになると、書込クロック信号WCKと同期して、書込アドレスカウンタ22から出力された書込アドレスWAに、書込データDIを記憶するようになっている。
【0032】
また、デュアルポートメモリ21は、読出タイミング設定部27から出力された読出イネーブル信号RENがハイレベルになると、読出アドレスカウンタ24から出力された読出アドレスRAに応じて、画像処理回路41から出力された読出クロック信号RCKと同期して、読出データDOが読み出されて画像処理回路41へ出力されるようになっている。
【0033】
書込クロックカウンタ23は、例えばライン同期信号SYNの立上りタイミング(同期タイミング)から、ライン同期信号SYNの次の立上りタイミングまでの間、書込クロック信号WCKのクロック数を計数するカウンタ回路である。そして、書込クロックカウンタ23は、その計数値を書込カウンタ値WCTとして比較回路26へ出力する。
【0034】
読出クロックカウンタ25は、例えばライン同期信号SYNの立上りタイミングから、ライン同期信号SYNの次の立上りタイミングまでの間、読出クロック信号RCKのクロック数を計数するカウンタ回路である。そして、読出クロックカウンタ25は、その計数値を読出カウンタ値RCTとして比較回路26へ出力する。
【0035】
比較回路26は、書込クロックカウンタ23の書込カウンタ値WCTと、読出クロックカウンタ25の読出カウンタ値RCTとを比較し、その比較結果を示す信号を、読出タイミング設定部27及びエラー検出部28へ出力する。
【0036】
読出タイミング設定部27は、比較回路26による比較の結果、書込カウンタ値WCTより読出カウンタ値RCTの方が大きい場合、書込データDIの遅延時間である6クロックより2クロック(第1時間)だけ短い4クロックを読出遅延時間として設定し、書込カウンタ値WCTより読出カウンタ値RCTの方が小さい場合、書込データDIの遅延時間である6クロックより2クロック(第2時間)だけ長い8クロックを読出遅延時間として設定する。
【0037】
この場合、2クロック(第1時間)は、例えば、デュアルポートメモリ21において、読出データDOの読出し後、同一アドレスへの書込データDIの書込が正常に実行可能な最小の書込クロック信号WCKのクロック数に相当している。また、2クロック(第2時間)は、例えば、デュアルポートメモリ21において、書込データDIの書込み後、同一アドレスからの読出データDOのデータ読出しが正常に実行可能な最小の書込クロック信号WCKのクロック数に相当している。
【0038】
また、読出タイミング設定部27は、ライン同期信号SYNの立上りタイミングから上述の読出遅延時間経過後に、読出イネーブル信号RENをハイレベルに変化させてデュアルポートメモリ21及び画像処理回路41へ出力する。
【0039】
エラー検出部28は、書込カウンタ値WCTより読出カウンタ値RCTの方が小さい場合において、イメージセンサ31における1ラインの画素数と、遅延時間のクロック数「6」と、第2時間に相当するクロック数「2」とを加算した値が、読出カウンタ値RCT以上になったとき、エラーの発生を示すエラー信号ERRを出力する。ここで、イメージセンサ31における1ラインの画素数は、周期tcyc内に、アナログデジタル変換回路32から書込データDIとして出力されるデータ数(バイト数)に相当している。
【0040】
図1に戻って、画像処理回路41は、読出イネーブル信号RENがハイレベルになると、読出クロック信号RCKと同期して読出データDOを読み込む。そして、画像処理回路41は、当該読出データDOから、例えばレーザ装置を発光させるための変調信号を生成して画像形成部43へ出力したり、例えば読出データDOを圧縮してメインメモリ42に書き込んだりする。
【0041】
このとき、画像処理回路41から画像形成部43へ出力する信号は、後述する光走査装置431による感光体ドラム432の走査タイミングと同期させる必要があるため、画像処理回路41は、当該走査タイミングに応じた速度で読出データDOを読み込むべく、読出クロック信号RCKの周波数を設定する。
【0042】
また、画像処理回路41からメインメモリ42へデータを書き込むときは、システムバスの動作周波数に応じた速度でデータを書き込む必要があるため、画像処理回路41は、システムバスの動作周波数に応じた速度で読出データDOを読み込むべく、読出クロック信号RCKの周波数を設定する。
【0043】
画像形成部43は、光走査装置431、感光体ドラム432、現像部433、転写部434、及び定着部435を備えている。光走査装置42は、レーザ装置を備え、画像処理回路41から出力された信号に基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム432を露光することで、感光体ドラム432上に静電潜像を形成する。現像部433は、感光体ドラム432上の静電潜像をトナー現像してトナー像を形成する。転写部434は、感光体ドラム432上のトナー像を用紙に転写する。定着部435は、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる。
【0044】
なお、画像処理装置1は、例えば画像形成部43を備えず、例えばメインメモリ42に記憶された画像データを、通信路を介してパーソナルコンピュータ等の端末装置に送信するスキャナ装置であってもよい。
【0045】
次に、上述のように構成された画像処理装置1の動作について説明する。図3は、図1に示す画像処理装置1の動作を説明するためのタイミングチャートである。図3(a)は、ライン同期信号SYN、書込クロック信号WCK、書込イネーブル信号WEN、書込アドレスWA、及び書込データDIの一例を示している。
【0046】
図3(b)は、例えば画像処理回路41からメインメモリ42へデータを書き込むとき等、書込クロック信号WCKより読出クロック信号RCKの周波数が高いときの、読出クロック信号RCK、読出イネーブル信号REN、読出アドレスRA、及び読出データDOの例を示している。図3(c)は、例えば画像処理回路41から画像形成部43へ信号を出力するとき等、書込クロック信号WCKより読出クロック信号RCKの周波数が低いときの、読出クロック信号RCK、読出イネーブル信号REN、読出アドレスRA、及び読出データDOの例を示している。
【0047】
なお、図3(a)(b)(c)における書込クロック信号WCKと読出クロック信号RCKとの関係や、周期tcyc内における転送データ数等は、実際の複写機やスキャナ装置とは必ずしも一致しないが、説明を簡単にするため、例えば図3(a)の書込クロック信号WCKが1MHz、図3(b)の読出クロック信号RCKが1.25MHz、図3(c)の読出クロック信号RCKが0.8MHzであったときの信号波形を示している。
【0048】
まず、例えば画像処理回路41からメインメモリ42へデータを書き込むとき等、書込クロック信号WCKより読出クロック信号RCKの周波数が高いときの動作を図3(a)(b)に基づき説明する。
【0049】
このとき、同期回路5から周期tcycのライン同期信号SYNが出力され、アナログデジタル変換回路32から書込クロック信号WCKが出力され、画像処理回路41から書込クロック信号WCKより周波数の高い読出クロック信号RCKが出力される。そして、書込クロックカウンタ23によって、ライン同期信号SYNの立上りタイミングから次の立上りタイミングまでの間、書込クロック信号WCKのクロック数が書込カウンタ値WCTとして計数され、そのまま記憶される。また、読出クロックカウンタ25によって、ライン同期信号SYNの立上りタイミングから次の立上りタイミングまでの間、読出クロック信号RCKのクロック数が読出カウンタ値RCTとして計数され、そのまま記憶される。
【0050】
そうすると、書込カウンタ値WCT、読出カウンタ値RCTは、書込クロック信号WCK、読出クロック信号RCKの周波数が高いほど大きくなるので、それぞれ書込クロック信号WCK、読出クロック信号RCKの周波数を表すこととなる。
【0051】
次に、比較回路26によって、書込カウンタ値WCTと読出カウンタ値RCTとが比較される。今、書込クロック信号WCKより読出クロック信号RCKの周波数が高いから、書込カウンタ値WCTより読出カウンタ値RCTの方が大きくなる。そうすると、読出タイミング設定部27によって、例えば書込データDIの遅延時間である6クロックより2クロック(第1時間)だけ短い4クロックが読出遅延時間として設定される。
【0052】
次に、イメージセンサ31によって、同期回路5から出力されたライン同期信号SYNの立上りタイミング(タイミングT1)と同期して原稿画像が読み取られ、その画像データを示す画像信号S1が、クロック信号CLKと同期してアナログデジタル変換回路32へ出力される。そして、アナログデジタル変換回路32によって、画像信号S1が、クロック信号CLKと同期して受信され、当該画像信号S1がデジタル値に変換されて、書込データDIが生成される。そして、アナログデジタル変換回路32によって、タイミングT1から6つ目の書込クロック信号WCKの立上りタイミング(タイミングT2)と同期して、書込イネーブル信号WENがハイレベルにされ、書込クロック信号WCKと同期して書込データDIが出力される。
【0053】
次に、書込イネーブル信号WENがハイレベルになると、データ中継回路2において書込アドレスカウンタ22によって書込クロック信号WCKのクロック数が計数され、その計数値が書込アドレスWA(0〜4)として順次デュアルポートメモリ21へ出力される。デュアルポートメモリ21では、書込イネーブル信号WENがハイレベルになると、書込クロック信号WCKと同期して、書込アドレスカウンタ22から出力された書込アドレスWA(0〜4)に、書込データDI(D1〜D5)が記憶される。
【0054】
次に、再びライン同期信号SYNが立ち上がると(タイミングT3)、読出タイミング設定部27によって、タイミングT3から読出遅延時間として設定されている4クロック目の書込クロック信号WCKの立上りタイミング直後の読出クロック信号RCKの立上りタイミング(タイミングT4)と同期して、読出イネーブル信号RENがハイレベルにされる。そうすると、読出アドレスカウンタ24によって読出クロック信号RCKのクロック数が計数され、その計数値が読出アドレスRAとして順次デュアルポートメモリ21へ出力される。
【0055】
デュアルポートメモリ21では、読出イネーブル信号RENがハイレベルになると、読出クロック信号RCKと同期して、読出アドレスRA(0〜4)から読出データDO(D1〜D5)が読み出される。
【0056】
そして、タイミングT4から2クロック遅れて、アナログデジタル変換回路32によって、タイミングT3から6つ目の書込クロック信号WCKの立上りタイミング(タイミングT5)と同期して、書込イネーブル信号WENがハイレベルにされ、書込クロック信号WCKと同期して書込データDI(D6〜D10)が出力される。
【0057】
次に、書込イネーブル信号WENがハイレベルになると、書込アドレスカウンタ22から書込アドレスWA(0〜4)が順次デュアルポートメモリ21へ出力される。デュアルポートメモリ21では、書込クロック信号WCKと同期して、書込アドレスWA(0〜4)に、書込データDI(D6〜D10)が記憶される。
【0058】
そうすると、書込データDI(D6〜D10)のデュアルポートメモリ21のアドレス(0〜4)への書き込みが開始されるタイミングT5より前に、書込データDI(D6〜D10)より高速のクロックと同期してアドレス(0〜4)から読出データDOの読出しが開始されるので、読出データDO(D1〜D5)の読出しが完了する前に、読出データDOの読出しに書込データDIの書込が追いついたり追い抜いたりしてアドレス(0〜4)のデータが書込データDI(D6〜D10)で書き換えられてしまうことがない。従って、タイミングT2からデュアルポートメモリ21に記憶されたデータD1〜D5を、正しく読み出すことができる。
【0059】
また、タイミングT4からタイミングT5までの時間は、デュアルポートメモリ21において、読出データDOの読出し後、同一アドレスへの書込データDIの書込が正常に実行可能な最小のクロック数にされているので、タイミングT2における書込データDIの書き込み開始後、タイミングT4における読出データDOの読み出し開始までの時間を、正常動作可能な範囲で最大限長くすることができる。その結果、例え読出クロック信号RCKの方が書込クロック信号WCKより高速であっても、書込データDIの書き込みが完了する前に、読出データDOの読出しが書込データDIの書込に追いついたり追い抜いたりしてアドレス(0〜4)のデータが正常に読み出せなくなるおそれが可能な限り低減される。
【0060】
次に、画像処理回路41によって、読出クロック信号RCKと同期して読出データDOが読み込まれる。そして、画像処理回路41によって、例えば読出データDOが圧縮されてメインメモリ42に書き込まれる。
【0061】
次に、例えば画像処理回路41から画像形成部43へ信号を出力するとき等、書込クロック信号WCKより読出クロック信号RCKの周波数が低いときの動作を図3(a)(c)に基づき説明する。
【0062】
この場合、同期回路5から周期tcycのライン同期信号SYNが出力され、アナログデジタル変換回路32から書込クロック信号WCKが出力され、画像処理回路41から書込クロック信号WCKより周波数の低い読出クロック信号RCKが出力される。以下、書込クロックカウンタ23及び読出クロックカウンタ25の動作は上述と同様であるのでその説明を省略する。
【0063】
次に、比較回路26によって、書込カウンタ値WCTと読出カウンタ値RCTとが比較される。今、書込クロック信号WCKより読出クロック信号RCKの周波数が低いから、読出カウンタ値RCTより書込カウンタ値WCTの方が大きくなる。そうすると、読出タイミング設定部27によって、例えば書込データDIの遅延時間である6クロックより2クロック(第2時間)だけ長い8クロックが読出遅延時間として設定される。
【0064】
次に、アナログデジタル変換回路32によって、タイミングT1から6つ目の書込クロック信号WCKの立上りタイミング(タイミングT2)と同期して、書込イネーブル信号WENがハイレベルにされ、書込クロック信号WCKと同期して書込データDIが出力される。
【0065】
次に、書込イネーブル信号WENがハイレベルになると、データ中継回路2において書込アドレスカウンタ22によって書込クロック信号WCKのクロック数が計数され、その計数値が書込アドレスWA(0〜4)として順次デュアルポートメモリ21へ出力される。デュアルポートメモリ21では、書込イネーブル信号WENがハイレベルになると、書込クロック信号WCKと同期して、書込アドレスカウンタ22から出力された書込アドレスWA(0〜4)に、書込データDI(D1〜D5)が記憶される。
【0066】
次に、読出タイミング設定部27によって、タイミングT1から読出遅延時間として設定されている8クロック目の書込クロック信号WCKの立上り直後の読出クロック信号RCKの立上りタイミング(タイミングT6)と同期して、読出イネーブル信号RENがハイレベルにされる。そうすると、読出アドレスカウンタ24によって読出クロック信号RCKのクロック数が計数され、その計数値が読出アドレスRAとして順次デュアルポートメモリ21へ出力される。
【0067】
デュアルポートメモリ21では、読出イネーブル信号RENがハイレベルになると、読出クロック信号RCKと同期して、読出アドレスRA(0〜4)から読出データDO(D1〜D5)が読み出される。
【0068】
そうすると、書込データDI(D1〜D5)のデュアルポートメモリ21のアドレス(0〜4)への書き込みが開始されたタイミングT2より後に、書込クロックWCKより低速の読出クロックRCKと同期してアドレス(0〜4)から読出データDOの読出しが開始されるので、書込データDI(D1〜D5)の書き込みに読出データDO(D1〜D5)の読出しが追いついたり追い抜いたりして書込データDI(D1〜D5)が正常に読み出せなくなるおそれが低減される。
【0069】
また、タイミングT2からタイミングT6までの時間は、デュアルポートメモリ21において、書込データDIの書込み後、同一アドレスからの読出データDOのデータ読出しが正常に実行可能な最小のクロック数にされているので、タイミングT6における読出データDOの読み出し開始後、次に新たな書込データDIの書き込みが開始されるまでの時間を、正常動作可能な範囲で最大限長くすることができる。
【0070】
その結果、例え読出クロック信号RCKの方が書込クロック信号WCKより低速であって、書込データDIの書き込みにかかる時間よりも読出データDOの読み出しにかかる時間の方が長い場合であっても、読出データDOの読み出し完了前に新たな書込データDIの書き込みが開始されてアドレス(0〜4)のデータ(D1〜D5)が正常に読み出せなくなるおそれが低減される。
【0071】
次に、画像処理回路41によって、読出クロック信号RCKと同期して読出データDOが読み込まれる。そして、画像処理回路41によって、当該読出データDOから、例えばレーザ装置を発光させるための変調信号が生成されて画像形成部43へ出力される。そして、画像形成部43によって、画像処理回路41から出力された変調信号に応じて用紙への画像形成が行われる。
【0072】
ところで、タイミングT6において読出データDOの読出しが開始されても、次の同期タイミングであるタイミングT3までに読出データDOの読出しが終了しない場合、読出データDOの読出しが正常に実行できなくなるおそれがある。そこで、書込カウンタ値WCTより読出カウンタ値RCTの方が小さい場合において、イメージセンサ31における1ラインの画素数と、遅延時間のクロック数「6」と、第2時間に相当するクロック数「2」とを加算した値が、読出カウンタ値RCT以上になったとき、エラー検出部28によって、エラーの発生を示すエラー信号ERRが出力される。
【0073】
これにより、画像処理装置1が正常に動作しなかった場合、保守作業者は、エラー検出部28から出力されるエラー信号ERRを確認することにより、異常原因を知ることができるので、画像処理装置1のメンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係るデータ中継回路を用いた画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すデータ中継回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1に示す画像処理装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 画像処理装置
2 データ中継回路
3 画像読取部
4 画像処理部
5 同期回路
21 デュアルポートメモリ
22 書込アドレスカウンタ
23 書込クロックカウンタ
24 読出アドレスカウンタ
25 読出クロックカウンタ
26 比較回路
27 読出タイミング設定部
28 エラー検出部
31 イメージセンサ
32 アナログデジタル変換回路
41 画像処理回路
42 メインメモリ
42 光走査装置
43 画像形成部
431 光走査装置
DI 書込データ
DO 読出データ
ERR エラー信号
RCK 読出クロック信号
SYN ライン同期信号
WCK 書込クロック信号
tcyc 周期

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定の周期で出力される同期信号が示す同期タイミングから予め設定された遅延時間の経過後に、予め設定された書込周波数の書込クロック信号と同期してデータを出力するデータ出力装置と、予め設定された読出周波数の読出クロック信号と同期してデータを受信するデータ受信装置との間でデータを中継するデータ中継回路であって、
前記データ出力装置から出力されたデータを前記書込クロック信号と同期して順次記憶する記憶部と、
所定時間内における前記書込クロック信号のクロック数を計数することにより、前記書込周波数を検出する書込周波数検出部と、
所定時間内における前記読出クロック信号のクロック数を計数することにより、前記読出周波数を検出する読出周波数検出部と、
前記書込周波数検出部により検出された書込周波数と前記読出周波数検出部により検出された読出周波数とを比較する比較部と、
前記比較部による比較の結果、前記書込周波数より前記読出周波数の方が大きい場合、前記遅延時間より所定の第1時間だけ短い時間を読出遅延時間として設定し、前記書込周波数より前記読出周波数の方が小さい場合、前記遅延時間より所定の第2時間だけ長い時間を前記読出遅延時間として設定する読出遅延時間設定部と、
前記同期信号が示す同期タイミングから、前記読出遅延時間設定部により設定された読出遅延時間の経過後に、前記記憶部に記憶されているデータを前記順次記憶された順で、前記読出クロック信号と同期して前記データ受信装置へ出力する出力制御部と
を備えることを特徴とするデータ中継回路。
【請求項2】
前記第1時間は、前記記憶部が、データの読出し後、同一アドレスへのデータ書込が正常に実行可能な最短時間であり、
前記第2時間は、前記記憶部が、データの書込み後、同一アドレスからのデータ読出しが正常に実行可能な最短時間であること
を特徴とする請求項1記載のデータ中継回路。
【請求項3】
前記書込周波数検出部は、前記同期信号により前記同期タイミングが示されてから再び前記同期タイミングが示されるまで、前記書込クロック信号のクロック数を計数した計数値を、前記書込周波数を示す情報として検出し、
前記読出周波数検出部は、前記同期信号により前記同期タイミングが示されてから再び前記同期タイミングが示されるまで、前記読出クロック信号のクロック数を計数した計数値を、前記読出周波数を示す情報として検出すること
を特徴とする請求項1又は2記載のデータ中継回路。
【請求項4】
前記書込周波数より前記読出周波数の方が小さい場合において、前記遅延時間に相当する前記読出クロック信号のクロック数と、前記第2時間に相当する前記読出クロック信号のクロック数と、前記データ出力装置から前記同期信号の一周期内に出力されるデータの数として予め設定されたデータ数とを加算した値が、前記読出周波数検出部により計数された前記計数値以上になったとき、エラーの発生を示すエラー信号を出力するエラー検出部をさらに備えること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデータ中継回路。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のデータ中継回路と、
前記データ出力装置である画像読取部と、
前記データ受信装置である画像処理部と
を備えることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−253375(P2009−253375A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95371(P2008−95371)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】