説明

データ伝送方法及びシステム、携帯端末装置並びにデータ受信装置

【課題】 簡易に大量のデータを伝送できるようにする。
【解決手段】データ送信装置10は、ビーム広がりの大きな光軸判定用ダミー光とビーム広がりの信号光とを同一光軸上で出力可能である。データ送信装置10の出力光軸20を、データ受信装置12の受光部を横切るように走査する。制御回路34は、フォトダイオード32の出力から所定光レベル以上の当該光軸判定用ダミー光を受光したことを検出すると、送信回路36に受信可能信号を送信させ、データ復調回路38にデータ復調を準備させる。受信回路28が送信回路36からの受信可能信号を受信すると、駆動回路24が、メモリ22からデータを読み出し、レーザダイオード14を駆動する。データ復調回路38は、フォトダイオード32の出力信号からデータを復調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝送方法及びシステム、携帯端末装置並びにデータ受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の携帯端末が画像を扱うようになったことにより、特に、カメラを装備するようになったことにより大量のデータを伝送する需要が生じている。特に、カメラを装備した携帯端末は、静止画像又は動画像を記録可能であり、これらの画像データを外部に送信する方法が望まれる。従来は、電子メールに添付する方法が採用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、1画面の画素数の増加に伴い、1画像データのデータ量が著しく増加しており、電子メールに添付することにより、他の装置に伝送する方法では、負担が重く、通信コストも高額になってしまう。
【0004】
有線方式では高速の伝送が容易に可能になるが、信号線を接続する手間が煩雑であるだけでなく、自端末と相手装置の両方に適合する信号ケーブルを常時、携帯する必要があるなど、実際の利用には問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、光空間伝送により簡易に且つ大量のデータを他の装置に伝送するデータ伝送方法及びシステム、携帯端末装置ならびにデータ受信装置を提示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデータ伝送方法では、先ず、光軸判定用ダミー光と、当該光軸判定用ダミー光のビーム広がりよりも小さいビーム広がりの信号光とを同一光軸上で出力可能なデータ送信装置が、データ受信装置の受光部を横切るように当該光軸判定用ダミー光を走査出力する。当該データ受信装置が、所定光レベル以上の当該光軸判定用ダミー光を受光すると、当該データ送信装置に受信可能を通知すると共にデータ受信を準備する。当該データ送信装置は、当該データ受信装置からの当該受信可能の通知に従い、当該信号光でデータを当該データ受信装置に向け出力する。当該データ受信装置が、当該データ送信装置からの当該信号光を受光して、当該データを受信する。
【0007】
本発明に係るデータ伝送システムは、データ送信装置からデータ受信装置に空間伝送によりデータを伝送するデータ伝送システムである。当該データ送信装置が、信号光を発生するレーザ光源と、光軸判定用ダミー光を発生するダミー光源と、当該信号光のビーム広がりを当該光軸判定用ダミー光のビーム広がりよりも小さくして当該信号光と当該光軸判定用ダミー光を同一光軸上に出力する光学系と、当該データ受信装置からの受信可能信号を受信する受信回路と、当該受信回路による当該データ受信装置からの受信可能信号の受信に従って、当該データを搬送する当該信号光を当該レーザ光源に出力させる駆動回路とを具備し、当該信号光及び当該光軸判定用ダミー光の光軸を、当該データ受信装置の受光部を横切るように走査可能である。当該データ受信装置が、当該光軸判定用ダミー光及び当該信号光を受光する受光器と、当該受光器の出力電気信号が所定レベル以上か否かを検出するレベル検出器と、当該受光器の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該レベル検出器の検出結果に従い、当該データ送信装置に当該受信可能信号を送信する送信回路と、当該受光器の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該レベル検出器の検出結果に従い当該受光器の出力電気信号からのデータ復調を準備し、当該受光器の出力電気信号に含まれるデータを復調するデータ復調回路と、当該データの受信結果を通知する受信結果通知手段とを具備する。
【0008】
本発明に係る携帯端末装置は、データ受信装置に空間伝送によりデータを送信する携帯端末装置であって、信号光を発生するレーザ光源と、光軸判定用ダミー光を発生するダミー光源と、当該信号光のビーム広がりを当該光軸判定用ダミー光のビーム広がりよりも小さくして当該信号光と当該光軸判定用ダミー光を同一光軸上に出力する光学系と、当該データ受信装置からの受信可能信号を受信する受信回路と、当該受信回路による当該データ受信装置からの受信可能信号の受信に従って、当該データを搬送する当該信号光を当該レーザ光源に出力させる駆動回路とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るデータ伝送方法は、データ送信待機状態でデータを搬送しないレーザ光を出力し、データ送信開始指令に従い、データを搬送するレーザ光である信号光を出力するデータ送信装置から、データ受信装置に当該データを空間伝搬により伝送するデータ伝送方法である。先ず、データ送信装置の出力する当該レーザ光がデータ受信装置の受光部を横切るように当該データ送信装置を横に振る。当該データ受信装置が、所定光レベル以上の当該レーザ光を受光すると、当該データ送信装置に受信可能を通知すると共にデータ受信を準備する。当該データ送信装置は、当該データ受信装置からの当該受信可能の通知に従い、当該信号光を当該データ受信装置に向け出力する。当該データ受信装置が、当該データ送信装置からの当該信号光を受光して、当該データを受信することを特徴とする。
【0010】
本発明に係るデータ伝送システムは、データ送信装置からデータ受信装置に空間伝送によりデータを伝送するデータ伝送システムである。当該データ送信装置が、レーザ光を出力するレーザ光源と、当該レーザ光を外部に投射する光学系と、当該データ受信装置からの受信可能信号を受信する受信回路と、当該受信回路による当該データ受信装置からの受信可能信号の受信に従って、当該データを搬送するように当該レーザ光源を駆動する駆動回路とを具備する。当該データ受信装置が、当該レーザ光を電気信号に変換する受光器と、当該データ送信装置からのレーザ光を当該受光器に集光する集光光学系と、当該受光器の出力電気信号のレベルを判定するレベル判定器と、当該レベル判定器の判定結果に従い、当該受光器の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該データ送信装置に当該受信可能信号を送信する送信回路と、当該レベル判定器の判定結果に従い、当該受光器の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該受光器の出力電気信号からのデータ復調を準備し、当該受光器の出力電気信号に含まれるデータを復調するデータ復調回路と、当該データの受信結果を通知する受信結果通知手段とを具備する。
【0011】
本発明に係るデータ受信装置は、データ送信装置からレーザ光の空間伝送により搬送されるデータを受信するデータ受信装置であって、当該レーザ光を電気信号に変換する受光器と、当該データ送信装置からのレーザ光を当該受光器に集光する集光光学系と、当該受光器の出力電気信号のレベルを判定するレベル判定器と、当該レベル判定器の判定結果に従い、当該受光器の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該データ送信装置に当該受信可能信号を送信する送信回路と、当該レベル判定器の判定結果に従い、当該受光器の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該受光器の出力電気信号からのデータ復調を準備し、当該受光器の出力電気信号に含まれるデータを復調するデータ復調回路と、当該データの受信結果を通知する受信結果通知手段とを具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、光空間伝送を使って、高速且つ簡易にデータを伝送できる。狭ビームの信号光を利用できるので、高速なデータ伝送が可能である。光軸を走査し、受光部との間で光軸が合致するごく短時間の間に高速にデータを伝送するので、大量のデータをほぼ瞬時に伝送できる。光軸の微細な調整が不要になるので、簡易に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の第1実施例の概略構成ブロック図を示す。データ送信装置10は、例えば、携帯電話器であり、光空間伝送によりデータ受信装置12にデータを送信する。データ送信装置10とデータ受信装置12との間の光空間伝送路の光軸調整は、手動で行われる。しかし、後述するように、高速伝送が可能であるので、データ伝送自体は短時間で終了しうる。
【0015】
データ送信装置10の構成と基本的動作を説明する。データ送信装置10は、データを搬送する信号光を発生するレーザダイオード14と、データ受信装置12の受光部との間の光軸が合いそうかどうかをデータ受信装置12が判定するのに使用する光軸判定用ダミーレーザ光を出力するレーザダイオード16を具備する。
【0016】
レーザダイオード14,16の出力光は、投射光学系18により同一光軸20上に合波されて、外部に投射される。但し、レーザダイオード14の出力信号光は、小さい広がり角でデータ送信装置10から外部に出射され、レーザダイオード16の出力ダミー光は、信号光よりも広い広がり角でデータ送信装置10から外部に出射される。投射光学系18は、レーザダイオード14の出力信号光とレーザダイオード16の出力ダミー光を合波するハーフミラー18aと、信号光とダミー光を所望のビーム広がり角で投射するための複数のレンズ18b,18c,18dからなる。
【0017】
ダミーレーザ光は、可視光であるのが好ましい。これにより、データ送信装置10の使用者は、信号光の照射点を視覚的に確認できる。
【0018】
メモリ22には、送信すべきデータ、例えば、画像データが格納されている。駆動回路24は、メモリ22から読み出されたデータに従い、レーザダイオード14を駆動する。これにより、レーザダイオード14は、メモリ22から読み出されたデータを強度変調により搬送する信号光を出力する。駆動回路26は、レーザダイオード16を直流駆動又は適当な周波数でパルス駆動する。
【0019】
受信回路28は、データ受信装置12からの受信可能信号を受信する。受信回路28は、受信可能信号を受信すると、駆動回路24にデータ送信開始信号を印加する。駆動回路24は、受信回路28からのデータ送信開始信号に従い、メモリ22からデータを読み出してレーザダイオード14を駆動する。
【0020】
データ受信装置12の構成と基本的な動作を説明する。集光レンズ30はデータ送信装置10から出力される信号光及びダミー光を集光し、フォトダイオード32に入射する。フォトダイオード32は、入射光強度に応じた電気信号を出力する。制御回路34は、フォトダイオード32の出力電気信号レベルを検出し、その検出結果に従い、送信回路36、データ復調回路38及びスピーカ44を制御する。
【0021】
制御回路34は、その第1の機能として、フォトダイオード32の入射光レベルが所定値以上になると、送信回路36には、受信可能をデータ送信装置10(の受信回路28)に通知するように指示し、且つ、データ復調回路38には、データ復調の開始を指示する。即ち、制御回路34は、データ送信装置10から出力されるデータを受信できる程に、データ送信装置10の出力光の光軸20がデータ受信装置12の受光部(30,32)に合っているかどうかを判定する受信可能性判定装置として機能する。
【0022】
送信回路36は、制御回路34からの指令に応じて、データ送信装置10の受信回路28に受信可能信号を送信する。また、データ復調回路38は、制御回路34からの指令に応じて、フォトダイオード32の出力電気信号で搬送されるデータの復調を開始する。制御回路34は、表示装置42に受信データの復調の開始を表示させる。なお、データ復調回路38は、受信データの復調を終了すると、その旨を制御回路34に通知し、制御回路34は、受信データの復調の終了、即ち受信終了を表示装置42に表示させる。
【0023】
送信回路36から受信回路28への信号伝送媒体には、光、音及び無線の何れでもよい。受信可能信号はいわば送信開始のトリガー信号であるので、極めて低速の伝送媒体でも利用可能である。広い視野角の赤外線通信、Bluetoothに代表される近距離無線、及びパルス音等が利用可能である。
【0024】
制御回路34は、その第2の機能として、フォトダイオード32の入射光レベルが所定値未満の段階でも、フォトダイオード32の入射光レベルに応じた周波数又は音量の音をスピーカ44から出力させる。例えば、フォトダイオード32の入射光レベルが低い場合には、高い音を出力させ、フォトダイオード32の入射光レベルが高くなると、低い音を出力させる。この音により、送信装置10の使用者は、受信装置12との光軸合せの程度を認識できる。
【0025】
データ受信装置の受光レベルを使用者に通知する方法としては、音の高低以外に、音の大小、パルス音のパルス間隔、発光ダイオードの発光強度又は点滅周期、若しくは、受光レベルの数値表示等もある。
【0026】
図2は、信号光とダミー光のビーム広がりの様子を示す模式図である。理解しやすいように、光軸20に直交する断面上での光パワー分布を示す。50は信号光の光パワー分布を示し、52はダミー光の光パワー分布を示す。信号光のピークパワーは、ダミー光のピークパワーよりも高い。制御回路34の閾値は、ダミー光のピークパワーより低く設定されている。データ伝送に際しては,光軸20がデータ受信装置12の受光部(レンズ30及びフォトダイオード32)を横切るように、データ送信装置10の向きを横に回転させる。光軸20は、データ受信装置12の受光部(レンズ30及びフォトダイオード32)に入射するが、その前の光軸20a及び後の光軸20bは共に、データ受信装置12の受光部に入射しない。光軸は、符号20a,20,20bという順に移動する。この走査では、まず、ダミー光によりフォトダイオード32の受光レベルが閾値を越え、次に、信号光がフォトダイオード32に入射する。
【0027】
本実施例の使用方法を具体的に説明する。本実施例では、データ送信装置10は手持ちされており、光軸20は、安定的にデータ受信装置12の受光部に合致する訳ではない。データ受信装置12もまた、手持ちの携帯端末でありえる。この場合、データ送信装置10とデータ受信装置12との間の空間伝送路の光軸を安定的に合せることは至難の技であり、従ってまた、大量のデータをデータ送信装置10からデータ受信装置12に伝送するのは難しくなる。この問題点を、本実施例では、図3に示すようなシーケンスにより解決している。
【0028】
データ送信装置10では、図示しない操作装置により、ダミー光を出力する送信準備状態に設定する。データ受信装置12は、図示しない操作装置の操作により又は常時、受信準備状態にある。
【0029】
データ送信装置10がダミー光(S1)を出力している状態で、データ送信装置10の保持者は、信号光の光軸20が、データ受信装置12の受光部(レンズ30及びフォトダイオード32)を横切るように、データ送信装置10の向きを横に回転させる。ダミー光のビーム広がりが大きいので、ある程度、光軸20がデータ受信装置12の受光部に近くなるに従い、フォトダイオード32の出力電気信号レベルが増大する。データ送信装置10の利用者は、この受光状況の変化をデータ受信装置12の受光レベルのモニタ出力音により確認可能である。
【0030】
フォトダイオード32の出力電気信号レベルが受信可能レベルを示す閾値を越えると、制御回路34は、送信回路36に受信可能信号(S2)を送信させ、データ復調回路38にデータ復調を準備させる。データ送信装置10の受信回路28は、送信回路36からの受信可能信号を受信すると、データ送信開始信号を駆動回路24に印加する。駆動回路24は、受信回路28からのデータ送信開始信号に応じて、メモリ22の記憶データを読み出し、読み出したデータに従いレーザダイオード14を駆動する。これにより、レーザダイオード14は、メモリ22から読み出されたデータを搬送する信号光(S3)を出力する。勿論、光軸20の平均的な走査速度を考慮し、光軸20の走査の間に信号光がフォトダイオード32に入射するようなタイミングで、駆動回路24は、レーザダイオード14を駆動する。
【0031】
レーザダイオード14から出力される信号光は、光学系18及びレンズ30を介してフォトダイオード32に入射し、フォトダイオード32により電気信号に変換される。データ復調回路38は、制御回路34からの時間的に先行する受信可能信号によりデータ復調の準備をしており、フォトダイオード32から出力される電気信号からデータを復調する。復調されたデータは、メモリ40に格納される。
【0032】
データ受信装置12に送信すべきデータを送信し終えると、駆動回路24は、データ送信の終了を示すデータ送信終了信号でレーザダイオード14を駆動する。これにより、レーザダイオード14は、データ送信終了を示す信号光(S4)を出力する。この信号光は、光学系18及びレンズ30を介してフォトダイオード32に入射し、フォトダイオード32により電気信号に変換される。フォトダイオード32から出力されるデータ送信終了信号に従い、データ復調回路38はデータ復調を終了し、データ復調の正常終了を表示装置42に表示させる。
【0033】
本実施例では、データ送信装置10の保持者は、ほぼ一定の走査速度で光軸20を走査、即ち横に振れば良い。本実施例では、信号光のビーム広がりを小さくしてあるので、フォトダイオード32には十分な光量の信号光が入射可能であり、その結果として、信号光の伝送レートを、例えば、1Gbpsのように高速に設定できる。信号光は、フォトダイオード32を刹那的に横切るので、極く短時間だけフォトダイオード32に入射する。信号光がフォトダイオード32に入射する時間がこのように短くても、データ伝送レートが十分に高いので、例えば、1MBといった画像データであっても、本実施例の方法で、データ送信装置10からデータ受信装置12に伝送できる。
【0034】
ダミー光によりデータ復調回路38がデータ復調を準備しているので、データ復調回路38は、フォトダイオード32が信号光の入射に応じた電気信号を出力すると直ぐに、データ復調を開始できる。データ復調回路38は、復調されたデータをメモリ40に格納する。データ復調回路38は、フォトダイオード32の出力電気信号からデータ送信終了信号を検出すると、データ復調を終了する。必要なデータの復調を正常に終了している場合には、表示装置42に正常受信が表示される。空間データ伝送が途切れた場合等、データを正常に受信できていない場合には、データ復調回路38は、表示装置42の画面にデータ受信の異常、即ち受信失敗を表示する。正常/異常受信の結果を、表示装置42による表示に代えて音声による通知を採用しても良いし、又は、表示装置42による表示と音声による通知を併用しても良い。
【0035】
データ送信装置10の利用者は、データ受信装置12の表示装置42に受信失敗が表示されたら、図3に示すシーケンスを再試行する。本実施例では、伝送レートを速くできるので、データ伝送に必要な時間が短くなる。従って、ごく短時間、データ送信装置10とデータ受信装置12との間の空間伝送路の光軸が合えば良く、データ送信装置10からの出力信号光の光軸を手動で横に振る方法でも、大量のデータを確実にデータ受信装置12に伝送できる。
【0036】
データ送信装置10とデータ受信装置12との間の空間伝送路の光軸を合致させる別の簡易な方法として、フォトダイオード32の受光レベルが必要値以上になるように、データ送信装置10とデータ受信装置12の配置関係を手動で設定し、データ送信装置10、及び必要によりデータ受信装置12を、その位置に静止させる方法がある。
【実施例2】
【0037】
図4は、本発明の第2実施例の概略構成ブロック図を示す。この実施例では、データ受信装置112の受光部に光軸のずれに強い光学系を採用することで、ダミーレーザ光を出力するレーザダイオード16が省略されている。
【0038】
データ送信装置110は、例えば、携帯電話器であり、光空間伝送によりデータ受信装置112にデータを送信する。データ送信装置110とデータ受信装置112との間の光空間伝送路の光軸調整は、手動で行われる。しかし、後述するように、高速伝送が可能であるので、データ伝送自体は短時間で終了しうる。
【0039】
データ送信装置110の構成と基本的動作を説明する。データ送信装置110は、データを搬送する信号光を発生するレーザダイオード114と、レーザダイオード114の出力信号光を狭ビームで外部に出力する投射レンズ118を具備する。
【0040】
メモリ122には、送信すべきデータ、例えば、画像データが格納されている。駆動回路124は、常時は、レーザダイオード114をパルス駆動し、後述する受信回路128からのデータ送信開始信号が入力すると、メモリ122からデータを読み出し、そのデータに従いレーザダイオード114を駆動する。レーザダイオード114は、データ送信前には、単なるパルスレーザ光を出力し、データ送信時には、メモリ122から読み出されたデータを強度変調により搬送する信号光を出力する。
【0041】
受信回路128は、データ受信装置112からの受信可能信号を受信する。受信回路128は、受信可能信号を受信すると、駆動回路124にデータ送信開始信号を印加する。駆動回路124は、受信回路128からのデータ送信開始信号に従い、メモリ122からデータを読み出してレーザダイオード114を駆動する。
【0042】
データ受信装置112の構成と基本的な動作を説明する。データ受信装置112は、受光手段として、パラボラ130又は凹面反射鏡と、その焦点に配置されたフォトダイオード132を具備する。パラボラ130は、データ送信装置10から出力されるレーザ光を反射してフォトダイオード32に入射する。パラボラ130を使用することで、光軸のずれに強くなる。即ち、後述するように、データ送信装置110の使用者が、データ送信装置110を横に振って光軸120を手動で走査した場合でも、レーザ光がフォトダイオード132に入射する期間を比較的長くすることができる。
【0043】
フォトダイオード132は、入射光強度に応じた電気信号を出力する。制御回路134は、フォトダイオード132の出力電気信号レベルを検出し、その検出結果に従い、送信回路136、データ復調回路138、及びスピーカ144を制御する。
【0044】
制御回路134は、その第1の機能として、フォトダイオード132の入射光レベルがデータ受信可能なレベル以上になると、受信可能をデータ送信装置10(の受信回路28)に通知するように送信回路136に指示し、且つ、データ復調回路38には、データ復調の開始をデータ復調回路38に指示する。本実施例では、信号光に先行するダミーレーザ光が無いので、フォトダイオード132に入手する信号光の光パワーがデータ受信に十分か否かが判定される。
【0045】
送信回路136は、制御回路134からの指令に応じて、データ送信装置110の受信回路128に受信可能信号を送信する。また、データ復調回路138は、制御回路134からの指令に応じて、フォトダイオード132の出力電気信号で搬送されるデータの復調を開始する。制御回路134は、表示装置42に受信データの復調の開始を表示させる。なお、データ復調回路138は、受信データの復調を終了すると、その旨を制御回路134に通知し、制御回路134は、受信データの復調の終了、即ち受信終了を表示装置142に表示させる。
【0046】
送信回路136から受信回路128への信号伝送媒体には、光、音及び無線の何れでもよい。受信可能信号はいわば送信開始のトリガー信号であるので、極めて低速の伝送媒体でも利用可能である。広い視野角の赤外線通信、Bluetoothに代表される近距離無線、及びパルス音等が利用可能である。
【0047】
制御回路134は、その第2の機能として、フォトダイオード132の入射光レベルが、データ受信に十分なレベル未満の段階でも、フォトダイオード132の入射光レベルに応じた周波数又は音量の音をスピーカ144から出力させる。例えば、フォトダイオード132の入射光レベルが低い場合には、高い音を出力させ、フォトダイオード132の入射光レベルが高くなると、低い音を出力させる。この音により、データ送信装置110の使用者は、データ受信装置112との光軸合せの程度を認識できる。
【0048】
データ受信装置112の受光レベルを使用者に通知する方法としては、音の高低以外に、音の大小、パルス音のパルス間隔、発光ダイオードの発光強度又は点滅周期、若しくは、受光レベルの数値表示等もある。
【0049】
本実施例では、信号光に先行するダミーレーザ光が無いので、データ送信装置110とデータ受信装置112との間の光軸が合う瞬間、即ち、実際に、データ送信装置110からデータ受信装置112に空間伝搬でデータを伝送できる瞬間を、フォトダイオード132の入射するレーザダイオード114の出力レーザ光強度で判定する。
【0050】
本実施例の使用方法を具体的に説明する。本実施例でも、データ送信装置110は手持ちされており、光軸120は、安定的にデータ受信装置112の受光部に合致する訳ではない。データ受信装置112もまた、手持ちの携帯端末でありえる。
【0051】
データ送信装置110を、レーザダイオード114がパルスレーザ光を出力する送信準備状態に設定する。データ受信装置112は、図示しない操作装置の操作により又は常時、受信準備状態にある。
【0052】
データ送信装置110がパルスレーザ光を出力している状態で、データ送信装置110の保持者は、レーザ光の光軸120が、データ受信装置112の受光部の入射窓(図示せず)を横切るように、データ送信装置110の向きを横に回転させる。パラボラ130を使用することで、広い角度範囲からの入射光がフォトダイオード132に入射し得る。制御回路134は、フォトダイオード132の出力電気信号レベルに応じた周波数の音をスピーカ144から出力させる。
【0053】
光軸120がほぼフォトダイオード132に合うと、フォトダイオード132の出力電気信号レベルがデータ受信の閾値を越える。すると、制御回路134は、送信回路136に受信可能信号を送信させ、データ復調回路138にデータ復調を準備させる。データ送信装置110の受信回路128は、送信回路136からの受信可能信号を受信すると、データ送信開始信号を駆動回路124に印加する。駆動回路124は、受信回路128からのデータ送信開始信号に応じて、メモリ122の記憶データを読み出し、読み出したデータに従いレーザダイオード114を駆動する。これにより、レーザダイオード114は、メモリ122から読み出されたデータを搬送する信号光を出力する。
【0054】
レーザダイオード114から出力される信号光は、光学系118及びパラボラ130を介してフォトダイオード132に入射し、フォトダイオード132により電気信号に変換される。データ復調回路138は、制御回路134からの時間的に先行する受信可能信号によりデータ復調の準備をしており、フォトダイオード132から出力される電気信号からデータを復調する。復調されたデータは、メモリ140に格納される。
【0055】
データ受信装置112に送信すべきデータを送信し終えると、駆動回路124は、データ送信の終了を示すデータ送信終了信号でレーザダイオード114を駆動する。これにより、レーザダイオード114は、データ送信終了を示す信号光を出力する。この信号光は、光学系118及びレンズ130を介してフォトダイオード132に入射し、フォトダイオード132により電気信号に変換される。フォトダイオード132から出力されるデータ送信終了信号に従い、制御回路134は、データ復調回路138のデータ復調を終了させ、データ受信の正常終了を表示装置142に表示させる。
【0056】
データ送信装置110の向きを横に振る過程で、データ送信装置110からデータ受信装置112にデータを送信可能な程に、光軸120がフォトダイオード132に合っている期間は、例えば、1Gbpsの信号光で1MB(バイト)程度のデータを伝送し終えるのに十分な程度の長さである。
【0057】
本実施例では、データ送信装置110の保持者は、ほぼ一定の振れ速度で光軸120を横に振れば良い。本実施例では、パラボラ130を使用するので、信号光の光軸120が多少ずれても、フォトダイオード132に十分な光量の信号光が入射し得る。即ち、光軸120の移動に強い受光系である。
【0058】
信号光のビーム広がりを小さくしてあるので、フォトダイオード132には十分な光量の信号光が入射可能であり、その結果として、信号光の伝送レートを、例えば、1Gbpsのように高速に設定できる。信号光は、フォトダイオード132を刹那的ではあるが、第1実施例よりは長い時間で横切るので、第1実施例よりは長い時間、フォトダイオード132に信号光が入射しうる。信号光がフォトダイオード32に入射する時間がこのように短くても、データ伝送レートが十分に高いので、例えば、1MBといった画像データであっても、本実施例の方法で、データ送信装置110からデータ受信装置112に伝送できる。
【0059】
必要なデータの復調を正常に終了している場合には、表示装置142に正常受信が表示される。空間データ伝送が途切れた場合等、データを正常に受信できていない場合には、制御回路134は、表示装置142の画面にデータ受信の異常、即ち受信失敗を表示する。正常/異常受信の結果を、表示装置142による表示に代えてスピーカ144による音声による通知を採用しても良いし、又は、表示装置142による表示とスピーカ144による音声通知を併用しても良い。
【0060】
データ送信装置110の利用者は、データ受信装置112の表示装置42及び/又はスピーカ144により受信失敗が通知されたら、上述のシーケンスを再試行する。本実施例では、伝送レートを速くできるので、データ伝送に必要な時間が短くなる。従って、第1実施例よりは長いが、ごく短時間、データ送信装置110とデータ受信装置112との間の空間伝送路の光軸が合えば良く、データ送信装置110の出力信号光の光軸を手動で横に振る方法でも、大量のデータを確実にデータ受信装置112に伝送できる。
【0061】
データ受信装置112の受光部(パラボラ130及びフォトダイオード132)の構成は、信号光とは別の光源からのダミー光を使用する第1実施例にも適用できることは明らかである。
【実施例3】
【0062】
複数のフォトダイオードを並列に配置して、広い範囲からのレーザビームを受光できるようにしてもよい。図5は、そのように第2実施例のデータ受信装置112を変更した第3実施例の概略構成ブロック図を示す。
【0063】
データ受信装置112aでは、信号光を集光するレンズ150の集光面上に複数のフォトダイオード152−1〜152−nからあんるフォトダイオードアレイを配置し、加算器154が、フォトダイオード152−1〜152−nの出力電気信号を加算する。複数のフォトダイオード152−1〜152−nは例えば、ラインセンサのように、直線的に配置されるか、又は、カメラ機能撮像素子のように、二次元的に配置される。加算器154は、回路上は、いわゆるワイヤードオアで実現される。加算器154の出力電気信号が、制御回路134とデータ復調回路138に印加される。データ復調装置112aのその他の構成要素の作用は、第2実施例と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0064】
この実施例では、光軸120が、集光レンズ150の光軸から横にずれたり、角度を持っていても、信号光が何れかのフォトダイオード152−1〜152−nに入射する確率が高くなる。何れかのフォトダイオード152−1〜152−nに信号光が入射すれば、信号光に対応する電気信号が制御回路134及びデータ復調回路138に入射するので、データ受信装置112aは、データ送信装置110から送信されたデータを受信できる。
【0065】
本実施例では、信号光の光軸120が集光レンズ150を横切るように走査された場合でも、単一のフォトダイオードを使用する場合に比べて、長い時間、信号光を受光でき、かつまた、光軸ずれに強くなる。これにより、高速の信号光により、大量のデータをデータ送信装置110からデータ受信装置112aに伝送できる。
【0066】
データ受信装置112aの受光部(集光レンズ150及び複数のフォトダイオード152−1〜152−n)の構成は、信号光とは別の光源からのダミー光を使用する第1実施例にも適用できることは明らかである。
【0067】
携帯電話器等の携帯情報機器、コンピュータ、プリンタ、ビデオ機器及び情報ボックス等が、データ送信装置10,110及びデータ受信装置12,112,112aの何れとして利用可能である。情報ボックスは、電子書籍、音楽データ及び旅行ガイドデータ等をユーザに提供可能なデータ提供装置であり、ネットワークに接続する場合と、スタンドアローンで設置される場合とがある。
【0068】
上述の各実施例は、携帯情報機器同士のデータ伝送、携帯情報機器からコンピュータ、プリンタ、ビデオ機器、情報家電又は情報ボックス等へのデータ伝送、並びに、情報ボックスから携帯情報機器へのデータ伝送に利用可能である。データ送信装置10,110が情報ボックスである場合に、信号光の光軸20,120を自動で往復走査し、ユーザは、所持する携帯端末の受光部がその光軸20の走査範囲内に入るように、携帯端末を情報ボックスの信号光出力部に向ければ良い。
【0069】
携帯情報機器同士で伝送されるデータは、例えば、画像データ、動画像データ、アドレス帳データ、及びその他データファイルである。また、情報ボックスから携帯端末に伝送されるデータは、例えば、音楽データ、動画像データ、書籍データ及び商品情報(旅行案内、不動産物件情報及びカタログなど)等であり、有償又は無償で情報ボックスから携帯端末にダウンロードする。逆に、携帯端末から情報ボックスに撮影画像データをアップロードするのにも使用できる。また、本実施例は、HDDビデオレコーダなどの映像記録機器から携帯端末への映像データの伝送、DVD,CD又はMD再生装置から携帯端末への音楽データの伝送、カーナビゲーション装置と携帯端末との間でのデータ伝送にも適用可能である。
【0070】
更には、本実施例は、鉄道駅の改札口又はその近辺に設置される情報ボックスから携帯端末へのデータ伝送にも適用可能である。例えば、携帯端末の所持者が改札口等を通過する際に、情報ボックスから携帯端末に、周辺地図データ、出口案内地図、構内案内地図及び周辺店舗情報等の情報をダウンロードできる。
【0071】
特定の説明用の実施例を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に規定される本発明の技術的範囲を逸脱しないで、上述の実施例に種々の変更・修整を施しうることは、本発明の属する分野の技術者にとって自明であり、このような変更・修整も本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】信号光及びダミー光のビーム広がりと強度分布を例示する模式図である。
【図3】本実施例の動作シーケンスを示す図である。
【図4】本発明の第2実施例の概略構成ブロック図である。
【図5】本発明の第3実施例の概略構成ブロック図である。
【符号の説明】
【0073】
10:データ送信装置
12:データ受信装置
14:レーザダイオード
16:レーザダイオード
18:投射光学系
18a:ハーフミラー
18b,18c,18d,18e:レンズ
20,20a,20b:光軸
22:メモリ
24:駆動回路
26:駆動回路
28:受信回路
30:集光レンズ
32:フォトダイオード
34:制御回路
36:送信回路
38:データ復調回路
40:メモリ
42:表示装置
44:スピーカ
50:信号光の光パワー分布
52:光軸判定用ダミー光の光パワー分布
110:データ送信装置
112,112a:データ受信装置
114:レーザダイオード
118:光学系
120,120a,120b:光軸
122:メモリ
124:駆動回路
128:受信回路
130:パラボラ
132:フォトダイオード
134:制御回路
136:送信回路
138:データ復調回路
140:メモリ
142:表示装置
144:スピーカ
150:集光レンズ
152−1〜152−n:フォトダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸判定用ダミー光と、当該光軸判定用ダミー光のビーム広がりよりも小さいビーム広がりの信号光とを同一光軸上で出力可能なデータ送信装置(10)が、データ受信装置(12)の受光部を横切るように当該光軸判定用ダミー光を走査出力し、
当該データ受信装置(12)が、所定光レベル以上の当該光軸判定用ダミー光を受光すると、当該データ送信装置(10)に受信可能を通知すると共にデータ受信を準備し、
当該データ送信装置(10)は、当該データ受信装置(12)からの当該受信可能の通知に従い、当該信号光でデータを当該データ受信装置(12)に向け出力し、
当該データ受信装置(12)が、当該データ送信装置(10)からの当該信号光を受光して、当該データを受信する
ことを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項2】
更に、当該データ受信装置(12)が、当該データ送信装置(10)からのデータを正常に受信すると、正常受信を示す情報を出力することを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送方法。
【請求項3】
当該信号光の光パワーが当該光軸判定用ダミー光の光パワーより大きいことを特徴とする請求項1に記載のデータ伝送方法。
【請求項4】
データ送信装置(10)からデータ受信装置(12)に空間伝送によりデータを伝送するデータ伝送システムであって、
当該データ送信装置(10)が、
信号光を発生するレーザ光源(14)と、
光軸判定用ダミー光を発生するダミー光源(16)と、
当該信号光のビーム広がりを当該光軸判定用ダミー光のビーム広がりよりも小さくして当該信号光と当該光軸判定用ダミー光を同一光軸上に出力する光学系(18)と、
当該データ受信装置(12)からの受信可能信号を受信する受信回路(28)と、
当該受信回路(28)による当該データ受信装置(12)からの受信可能信号の受信に従って、当該データを搬送する当該信号光を当該レーザ光源に出力させる駆動回路(24)
とを具備し、当該信号光及び当該光軸判定用ダミー光の光軸を、当該データ受信装置の受光部を横切るように走査可能であり、
当該データ受信装置(12)が、
当該光軸判定用ダミー光及び当該信号光を受光する受光器(32)と、
当該受光器(32)の出力電気信号のレベルを判定するレベル判定器(34)と、
当該レベル判定器(34)の判定結果に従い、当該受光器(32)の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該データ送信装置(10)に当該受信可能信号を送信する送信回路(36)と、
当該レベル判定器(34)の判定結果に従い、当該受光器(32)の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該受光器(32)の出力電気信号からのデータ復調を準備し、当該受光器(32)の出力電気信号に含まれるデータを復調するデータ復調回路(38)と、
当該データの受信結果を通知する受信結果通知手段(42)
とを具備することを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項5】
当該信号光の光パワーが当該光軸判定用ダミー光の光パワーより大きいことを特徴とする請求項4に記載のデータ伝送システム。
【請求項6】
当該データ送信装置(10)が携帯端末である請求項4又は5に記載のデータ伝送システム。
【請求項7】
データ受信装置(12)に空間伝送によりデータを送信する携帯端末装置であって、
信号光を発生するレーザ光源(14)と、
光軸判定用ダミー光を発生するダミー光源(16)と、
当該信号光のビーム広がりを当該光軸判定用ダミー光のビーム広がりよりも小さくして当該信号光と当該光軸判定用ダミー光を同一光軸上に出力する光学系(18)と、
当該データ受信装置(12)からの受信可能信号を受信する受信回路(28)と、
当該受信回路(28)による当該データ受信装置(12)からの受信可能信号の受信に従って、当該データを搬送する当該信号光を当該レーザ光源に出力させる駆動回路(24)
とを具備することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
当該データ送信装置が携帯電話器であることを特徴とする請求項6に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
データ送信待機状態でデータを搬送しないレーザ光を出力し、データ送信開始指令に従いデータを搬送するレーザ光である信号光を出力するデータ送信装置(110)から、データ受信装置(112,112a)に当該データを空間伝搬により伝送するデータ伝送方法であって、
データ送信装置(110)の出力する当該レーザ光がデータ受信装置(112,112a)の受光部を横切るように当該データ送信装置(110)を横に振り、
当該データ受信装置(112,112a)が、所定光レベル以上の当該レーザ光を受光すると、当該データ送信装置(110)に受信可能を通知すると共にデータ受信を準備し、
当該データ送信装置(110)が、当該データ受信装置(112、112a)からの当該受信可能の通知に従い、当該信号光を当該データ受信装置(112,112a)に向け出力し、
当該データ受信装置(112,112a)が、当該データ送信装置(110)からの当該信号光を受光して、当該データを受信する
ことを特徴とするデータ伝送方法。
【請求項10】
当該データ受信装置(112)は、当該データ送信装置(110)からのレーザ光を集光する凹面反射鏡(130)と、当該凹面反射鏡(130)により集光されたレーザ光を電気信号に変換する受光器(132)を具備することを特徴とする請求項9に記載のデータ伝送方法。
【請求項11】
当該データ受信装置(112a)は、当該データ送信装置(110)からのレーザ光を集光する集光光学系(150)と、当該集光光学系(150)の所定面上に配置され、レーザ光を電気信号に変換する複数の受光器(152−1〜152−n)と、当該複数の受光器の出力電気信号を加算する加算器(154)とを具備することを特徴とする請求項9に記載のデータ伝送方法。
【請求項12】
更に、当該データ受信装置(112,112a)が、当該データ送信装置(110)からのデータを正常に受信すると、正常受信を示す情報を出力することを特徴とする請求項9に記載のデータ伝送方法。
【請求項13】
データ送信装置(110)からデータ受信装置(112)に空間伝送によりデータを伝送するデータ伝送システムであって、
当該データ送信装置(110)が、
レーザ光を出力するレーザ光源(114)と、
当該レーザ光を外部に投射する光学系(118)と、
当該データ受信装置(112)からの受信可能信号を受信する受信回路(128)と、
当該受信回路(128)による当該データ受信装置(112)からの受信可能信号の受信に従って、当該データを搬送するように当該レーザ光源を駆動する駆動回路(124)
とを具備し、
当該データ受信装置(112)が、
当該レーザ光を電気信号に変換する受光器(132,152−1〜152−n,154)と、
当該データ送信装置(110)からのレーザ光を当該受光器(132,152−1〜152−n,154)に集光する集光光学系(130,150)と、
当該受光器(132,152−1〜152−n,154)の出力電気信号のレベルを判定するレベル判定器(134)と、
当該レベル判定器(134)の判定結果に従い、当該受光器(132,152−1〜152−n,154)の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該データ送信装置(110)に当該受信可能信号を送信する送信回路(136)と、
当該レベル判定器(134)の判定結果に従い、当該受光器(132,152−1〜152−n,154)の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該受光器(132)の出力電気信号からのデータ復調を準備し、当該受光器(132,152−1〜152−n,154)の出力電気信号に含まれるデータを復調するデータ復調回路(138)と、
当該データの受信結果を通知する受信結果通知手段(142)
とを具備することを特徴とするデータ伝送システム。
【請求項14】
当該集光光学系が、凹面反射鏡(130)からなることを特徴とする請求項13に記載のデータ伝送システム。
【請求項15】
当該受光器が、複数の光電変換素子(152−1〜152−n)と、当該複数の光電変換素子(152−1〜152−n)の出力電気信号を加算する加算器(154)とからなることを特徴とする請求項13に記載のデータ伝送システム。
【請求項16】
データ送信装置(110)からレーザ光の空間伝送により搬送されるデータを受信するデータ受信装置であって、
当該レーザ光を電気信号に変換する受光器(132,152−1〜152−n,154)と、
当該データ送信装置(110)からのレーザ光を当該受光器(132,152−1〜152−n,154)に集光する集光光学系(130,150)と、
当該受光器(132,152−1〜152−n,154)の出力電気信号のレベルを判定するレベル判定器(134)と、
当該レベル判定器(134)の判定結果に従い、当該受光器(132,152−1〜152−n,154)の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該データ送信装置(110)に当該受信可能信号を送信する送信回路(136)と、
当該レベル判定器(134)の判定結果に従い、当該受光器(132,152−1〜152−n,154)の出力電気信号が所定レベル以上の場合に、当該受光器(132)の出力電気信号からのデータ復調を準備し、当該受光器(132)の出力電気信号に含まれるデータを復調するデータ復調回路(138)と、
当該データの受信結果を通知する受信結果通知手段(142)
とを具備することを特徴とするデータ受信装置。
【請求項17】
当該集光光学系が、凹面反射鏡(130)からなることを特徴とする請求項16に記載のデータ受信装置。
【請求項18】
当該受光器が、複数の光電変換素子(152−1〜152−n)と、当該複数の光電変換素子(152−1〜152−n)の出力電気信号を加算する加算器(154)とからなることを特徴とする請求項16に記載のデータ受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−67333(P2006−67333A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−248688(P2004−248688)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】