説明

データ処理システム、及び、データ出力装置

【課題】生体識別情報を用いてユーザの認証を行うデータ処理システムを提供する。
【解決手段】データ送信装置はユーザの生体識別情報を取得しこれを第1生体識別情報とする第1生体識別情報取得部と、出力すべき出力データを取得する第1出力データ取得部と、前記第1生体識別情報と前記出力データとをデータ出力装置に送信する送信部と、を備え、前記データ出力装置は前記第1生体識別情報と前記出力データとを受信する受信部と、前記第1生体識別情報と前記出力データとが対応付けられて格納されるデータ格納部とユーザの生体識別情報を取得しこれを第2生体識別情報とする第2生体識別情報取得部と、前記データ格納部を検索し、前記第2生体識別情報と一致する前記第1生体識別情報に対応付けられて格納されている前記出力データを取得する第2出力データ取得部と、前記第2出力データ取得部で取得した出力データの出力を行う出力部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理システム、及び、データ出力装置に関し、特に、生体識別情報を用いてユーザ認証を行うことのできるデータ処理システム、及び、データ出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して、複数のクライアントがプリンタを共有して使用する印刷システムがデータ処理システムとして広く用いられている。このようなデータ処理システムの場合、クライアントがネットワークを通じて、共有のデータ出力装置であるプリンタに、印刷データを送信する。そして、プリンタは受信した印刷データをキューバッファに格納し、このキューバッファに格納された印刷データを、印刷を受け付けた順に印刷していく。
【0003】
また、通常、共有のプリンタはクライアントのそばにあるわけではなく、離れている場合が多い。このような場合に、機密性の高い印刷データの印刷をプリンタに依頼すると、クライアントの位置からプリンタの位置までユーザが印刷物を取りに行く前に、印刷物は既に印刷が完了して、トレイに放置されたままとなることもある。このように印刷物がトレイに放置されると、印刷物が他人に見られたり、盗まれたりして、機密保持上大きな問題となる。
【0004】
このような状況を回避するためには、共有のプリンタを使用しないで、クライアントのそばに専用のプリンタを設置することが考えられる。しかし、各クライアントにプリンタを設置するには、多大な経費がかかるという問題がある。
【0005】
また、印刷データを送信すると同時にユーザがプリンタまで急いで出向き、印刷が完了すると同時に印刷物を取得するというやり方も考えられる。しかし、プリンタが他の印刷データの印刷を行っている間も、ユーザはプリンタの前で待たなければならず、業務効率が悪くなるという問題がある。
【0006】
さらに、プリンタに印刷が許可されているユーザのユーザIDとパスワードを事前に登録しておき、ユーザがプリンタに自分の正しいユーザIDとパスワードを入力した後に、印刷データの印刷を開始するやり方も考えられる。しかし、ユーザIDとパスワードを事前に決めておく必要があるとともに、ユーザは自分のユーザIDとパスワードを覚えていなければならなくなる。このため、ユーザIDやパスワードをユーザが忘れてしまったり、プリンタに登録されているユーザIDやパスワードが盗まれてしまう可能性もあるので、安全性や便利性が悪くなる。さらには、ユーザIDとパスワードを事前にプリンタに登録する手間が発生し、プリンタにはこれらユーザIDとパスワードを記憶するメモリが必要となり、その分、コストアップの要因となる。その上、メモリ内容が改竄される恐れもあり、安全上強固ではない。
【0007】
また、プリンタを共有する環境においては、不特定多数のユーザがこのプリンタで印刷を行うが、印刷してはいけないファイルや、特定の人だけに印刷が許可されているファイルが、印刷権限のないユーザに印刷されても、証拠が残らず、セキュリティ上の問題ともなっている。
【0008】
一方、特開2000−172296号公報(特許文献1)には、次のような技術が開示されている。すなわち、電子メールの送信側では、電子メールに音声特徴パターンを添付して送信する。受信側では、その送信者の音声特徴パターンが予め登録されており、電子メールに添付された音声特徴パターンが、予め登録されている音声特徴パターンと一致するかどうかにより、送信者が真正なる本人であるかどうかを判別している。しかし、この技術では、送信者が真正なる本人であるかどうかを判別するのみである。
【特許文献1】特開2000−172296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、生体識別情報を用いて、ユーザの認証を行うことのできるデータ処理システム、及び、データ出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係るデータ処理システムは、
データ送信装置とデータ出力装置とを有するデータ処理システムであって、
前記データ送信装置は、
ユーザの生体識別情報を取得し、これを第1生体識別情報とする、第1生体識別情報取得部と、
出力すべき出力データを取得する、第1出力データ取得部と、
前記取得した第1生体識別情報と前記取得した出力データとを、前記データ出力装置に送信する、送信部と、
を備え、
前記データ出力装置は、
前記データ送信装置から送信された前記第1生体識別情報と前記出力データとを、受信する、受信部と、
前記第1生体識別情報と前記出力データとが対応付けられて、格納される、データ格納部と、
ユーザの生体識別情報を取得し、これを第2生体識別情報とする、第2生体識別情報取得部と、
前記データ格納部を検索し、前記第2生体識別情報と一致する前記第1生体識別情報に対応付けられて格納されている前記出力データを取得する、第2出力データ取得部と、
前記第2出力データ取得部で取得した出力データの出力を行う、出力部と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
この場合、
前記第1生体識別情報取得部は、
ユーザの生体識別情報が入力される、第1生体識別情報入力部と、
前記第1生体識別情報入力部で入力された前記生体識別情報の特徴パターンを抽出し、これを前記第1生体識別情報とする、第1特徴パターン抽出部と、
を備えており、
前記第2生体識別情報取得部は、
ユーザの生体識別情報が入力される、第2生体識別情報入力部と、
前記第2生体識別情報入力部で入力された前記生体識別情報の特徴パターンを抽出し、これを前記第2生体識別情報とする、第2特徴パターン抽出部と、
を備えているようにしてもよい。
【0012】
また、前記第1生体識別情報及び前記第2生体識別情報は、声紋であるようにしてもよい。
【0013】
この場合、前記データ出力装置は、
ランダムに入力フレーズを生成する、フレーズ生成部と、
前記生成された入力フレーズをユーザに通知する、フレーズ通知部と、
前記第2生体識別情報取得部で取得した生体識別情報のフレーズが、前記生成された入力フレーズと一致するかどうかを判断する、判断部と、
を備え、
前記判断部で、前記第2生体識別情報取得部で取得した生体識別情報のフレーズが、前記生成された入力フレーズと一致しないと判断した場合には、前記出力部は前記出力データの出力を行わないようにしてもよい。
【0014】
また、前記データ出力装置は、
前記出力部で出力された前記出力データを特定するデータ特定情報と、前記出力部で出力された前記出力データに対応する生体識別情報である第3生体識別情報とを、少なくとも履歴情報として保持する履歴情報保持部と、
前記出力部で出力された前記出力データについて、その出力データを特定する情報を前記データ特定情報として前記履歴情報格納部に格納し、その出力データに対応する前記第1生体識別情報又は前記第2生体識別情報を前記第3生体識別情報として前記履歴情報保持部に格納する、履歴情報更新部と、
をさらに備えるようにしてもよい。
【0015】
また、前記データ特定情報は、前記出力データのファイル名であるようにしてもよい。
【0016】
また、前記データ出力装置は、ユーザ名と、そのユーザ名に対応する生体識別情報が保持されている、ユーザ情報保持部をさらに備えており、
前記履歴情報保持部は、前記第3生体識別情報に対応するユーザ名を履歴情報としてさらに保持するように構成されており、
前記履歴情報更新部は、前記ユーザ情報保持部を検索して、前記出力部で出力された前記出力データに対応する前記第3生体識別情報の前記ユーザ名を取得し、前記履歴情報保持部に格納するようにしてもよい。
【0017】
また、前記データ送信装置から前記データ出力装置に送信される前記出力データは、印刷データであり、前記出力部は、前記印刷データに基づく印刷を行い、印刷物を出力するようにしてもよい。
【0018】
本発明に係るデータ出力装置は、
データ送信装置から送信された、ユーザの生体識別情報である第1生体識別情報と、出力データとを、受信する、受信部と、
前記第1生体識別情報と前記出力データとが対応付けられて、格納される、データ格納部と、
ユーザの生体識別情報を取得し、これを第2生体識別情報とする、生体識別情報取得部と、
前記データ格納部を検索し、前記第2生体識別情報と一致する前記第1生体識別情報に対応付けられて格納されている前記出力データを取得する、出力データ取得部と、
前記出力データ取得部で取得した出力データの出力を行う、出力部と、
を備えることを特徴とする。
【0019】
この場合、前記生体識別情報取得部は、
ユーザの生体識別情報が入力される、生体識別情報入力部と、
前記生体識別情報入力部で入力された前記生体識別情報の特徴パターンを抽出し、これを前記第2生体識別情報とする、特徴パターン抽出部と、
を備えているようにしてもよい。
【0020】
また、前記第1生体識別情報及び前記第2生体識別情報は、声紋であるようにしてもよい。
【0021】
この場合、ランダムに入力フレーズを生成する、フレーズ生成部と、
前記生成された入力フレーズをユーザに通知する、フレーズ通知部と、
前記生体識別情報取得部で取得した生体識別情報のフレーズが、前記生成された入力フレーズと一致するかどうかを判断する、判断部と、
を備え、
前記判断部で、前記生体識別情報取得部で取得した生体識別情報のフレーズが、前記生成された入力フレーズと一致しないと判断した場合には、前記出力部は前記出力データの出力を行わないようにしてもよい。
【0022】
また、前記出力部で出力された前記出力データを特定するデータ特定情報と、前記出力部で出力された前記出力データに対応する生体識別情報である第3生体識別情報とを、少なくとも履歴情報として保持する履歴情報保持部と、
前記出力部で出力された前記出力データについて、その出力データを特定する情報を前記データ特定情報として前記履歴情報格納部に格納し、その出力データに対応する前記第1生体識別情報又は前記第2生体識別情報を前記第3生体識別情報として前記履歴情報保持部に格納する、履歴情報更新部と、
をさらに備えるようにしてもよい。
【0023】
また、前記データ特定情報は、前記出力データのファイル名であるようにしてもよい。
【0024】
また、ユーザ名と、そのユーザ名に対応する生体識別情報が保持されている、ユーザ情報保持部をさらに備えており、
前記履歴情報保持部は、前記第3生体識別情報に対応するユーザ名を履歴情報としてさらに保持するように構成されており、
前記履歴情報更新部は、前記ユーザ情報保持部を検索して、前記出力部で出力された前記出力データに対応する前記第3生体識別情報の前記ユーザ名を取得し、前記履歴情報保持部に格納するようにしてもよい。
【0025】
また、前記データ送信装置から受信する前記出力データは、印刷データであり、前記出力部は、前記印刷データに基づく印刷を行い、印刷物を出力するようにしてもよい。
【0026】
なお、本発明は、データ処理システム、及び、データ出力装置を、上述したように制御する制御方法の発明として、とらえることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るデータ処理システムの全体構成を示す図である。この図1に示すように、本実施形態のデータ処理システムは、データ送信装置として、クライアント10を有し、データ出力装置として、プリンタ20を有する、印刷システムにより構成されている。
【0028】
本実施形態においては、クライアント10は、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)などから構成されている。プリンタ20は、レーザープリンタやインクジェットプリンタなどから構成されている。これらクライアント10とプリンタ20は、ネットワーク30を介して、相互に接続されている。この図1の例では、プリンタ20は、直接、ネットワーク30に接続されているが、プリントサーバを介して、接続するようにしてもよい。また、ネットワーク30に接続されるクライアント10の台数や、プリンタ20の台数は、任意である。
【0029】
図2は、本実施形態に係るクライアント10の構成を説明するブロック図である。この図2に示すように、クライアント10は、生体識別情報入力部40と、特徴パターン抽出部41と、送受信部42と、印刷データ格納部43と、印刷データ取得部44とを備えている。
【0030】
生体識別情報入力部40は、ユーザが生体識別情報を入力するための装置である。生体識別情報には、声紋、指紋、虹彩など様々なものが考えられる。生体識別情報として声紋を用いる場合には、生体識別情報入力部40は、ユーザの声を入力するためのマイクにより構成されることとなり、指紋を用いる場合には、生体識別情報入力部40は、ユーザの指紋を読み取るスキャナにより構成されることとなり、虹彩を用いる場合には、生体識別情報入力部40は、ユーザの目から虹彩を読み取るスキャナにより構成されることとなる。本実施形態では、例えば、声紋を生体識別情報として用いることとする。
【0031】
特徴パターン抽出部41は、生体識別情報入力部40で入力された音声の声紋を解析して、声紋の特徴パターンを抽出する。このように特徴パターンを抽出することにより、生体識別情報のデータ量を削減することができるので、マッチング判定を効率良く行うことができる。但し、声紋の特徴パターンを抽出せずに、声紋そのもののデータを生体識別情報とすることも可能である。
【0032】
送受信部42は、ネットワーク30を介して、プリンタ20と情報の送受信を行う。本実施形態では、特に、生体識別情報をプリンタ20に送信したり、印刷データをプリンタ20に送信したりする。
【0033】
印刷データ格納部43には、印刷データが格納されている。本実施形態では、印刷データ取得部44が、印刷データ格納部を検索して、ユーザが指定した印刷データを取得し、この印刷データは、生体識別情報とともに、送受信部42からプリンタ20に送信される。
【0034】
図3は、本実施形態に係るプリンタ20の構成を説明するブロック図である。この図3に示すように、プリンタ20は、送受信部50と、印刷データ格納部51と、生体識別情報入力部52と、特徴パターン抽出部53と、生体識別情報判断部54と、印刷実行部55と、履歴情報更新部56と、ユーザ情報テーブル57と、履歴情報テーブル58と、液晶表示部59とを備えている。
【0035】
送受信部50は、ネットワーク30を介して、クライアント10と情報の送受信を行う。本実施形態では、特に、生体識別情報をクライアント10から受信したり、印刷データをクライアント10から受信したりする。
【0036】
印刷データ格納部51には、送受信部50で受信した印刷データと生体識別情報とが、対応付けられて、一時的に格納される。
【0037】
生体識別情報入力部52と特徴パターン抽出部53のそれぞれの構成は、上述したクライアント10の生体識別情報入力部40と特徴パターン抽出部41の構成と同様である。
【0038】
生体識別情報判断部54は、特徴パターン抽出部53から取得した生体識別情報に基づいて、印刷データ格納部51を検索し、特徴パターン抽出部53から取得した生体識別情報と一致する生体識別情報を有する印刷データが格納されているかどうかを判断する。そして、一致する生体識別情報を有する印刷データが検出された場合には、その印刷データを、印刷実行部55に送信する。印刷実行部55は、受信した印刷データに基づいて、印刷を実行する。また、この印刷実行部55で印刷が完了した印刷データについては、生体識別情報判断部54が、印刷データ格納部51から削除する。
【0039】
履歴情報更新部56は、印刷が完了した後に、ユーザが入力した生体識別情報を特徴パターン抽出部53から取得し、その生体識別情報に基づいてユーザ情報テーブルを検索し、その生体識別情報に対応するユーザ名を取得する。そして、履歴情報更新部56は、印刷の完了した印刷データについて、そのファイル名、生体識別情報、印刷をした日付、及び、ユーザ名を履歴情報テーブル58に格納して、履歴情報テーブル58を更新する。なお、履歴情報更新部56は、印刷データ格納部51から、印刷の完了した印刷データに対応する生体識別情報を取得するようにしてもよい。
【0040】
液晶表示部59は、プリンタ20からのメッセージやエラーをユーザに通知するための表示装置である。
【0041】
図4は、本実施形態に係る印刷データ格納部51の構成を示す図である。この図4に示すように、印刷データ格納部51は、データ項目として、印刷データと生体識別情報を備えている。印刷データには、印刷データとともにそのファイル名が格納される。生体識別情報には、その印刷データとともに送信された生体識別情報が格納される。
【0042】
図5は、本実施形態に係るユーザ情報テーブル57の構成を示す図である。この図5に示すように、ユーザ情報テーブル57は、データ項目として、ユーザ名と生体識別情報とを備えいる。ユーザ名には、ユーザを特定する情報が格納される。このユーザ名は、ユーザの名前でもよいし、ユーザを特定するためのユーザIDでもよい。生体識別情報には、ユーザ名に対応するユーザの生体識別情報が格納される。すなわち、本実施形態においては、ユーザの声紋が、生体識別情報として格納されることとなる。
【0043】
本実施形態においては、生体識別情報入力部52と特徴パターン抽出部53を用いて、各ユーザの生体識別情報をユーザ情報テーブル57に格納して保持させる。このように、ユーザ情報テーブル57にユーザの登録ができるのは、プリンタ20を管理する権限のある者である。すなわち、管理権限のある者がプリンタ20を操作して、各ユーザに、生体識別情報入力部52から音声を入力させる。そして、入力された音声は、特徴パターン抽出部53で声紋の特徴パターンが抽出され、生体識別情報として、ユーザ情報テーブル57に格納される。
【0044】
図6は、本実施形態に係る履歴情報テーブル58の構成を示す図である。この図6に示すように、履歴情報テーブル58は、データ項目として、ファイル名と、生体識別情報と、日付と、ユーザ名とを備えている。ファイル名には、印刷の完了した印刷データを特定する情報として、ファイル名が格納される。このファイル名は、単なる印刷データのファイル名であり、印刷データそのものではない。ファイル名だけを保持するのは、印刷データそのものを保持するとデータ量が膨大になるからである。但し、ファイル名だけではなく、印刷データそのものも保持するようにしてもよい。生体識別情報には、印刷の際にプリンタ20にユーザが入力した生体識別情報が格納される。但し、印刷データとともに送信された生体識別情報が格納されるようにしてもよい。日付には、その印刷データの印刷が行われた日付が、出力時を特定する情報として、格納される。ユーザ名には、履歴情報更新部56がユーザ情報テーブル57を検索することにより特定された生体識別情報に対応するユーザ名が、格納される。
【0045】
次に、以上のように構成されている印刷システムにおいて実行される、印刷要求処理、印刷データ受信処理、及び、印刷実行処理について説明する。印刷要求処理は、クライアント10で実行される処理であり、印刷データ受信処理及び印刷実行処理は、プリンタ20で実行される処理である。
【0046】
図7は、本実施形態に係る印刷要求処理を説明するフローチャートを示す図である。この印刷要求処理は、ユーザがクライアント10に、印刷する印刷データを指定して印刷を指示した場合に、起動される処理である。
【0047】
図7に示すように、クライアント10は、ユーザに生体識別情報入力部40から、生体識別情報を入力させる(ステップS100)。上述したように、本実施形態では、ユーザの音声が入力される。どのような音声を発するかは、ユーザの任意であるが、例えば「私はプリンタで印刷を実行します」と発声する。次に、クライアント10の特徴パターン抽出部41は、入力された音声の特徴パターンを抽出し、これを生体識別情報とする(ステップS102)。
【0048】
次に、クライアント10の印刷データ取得部44は、印刷データ格納部43を検索して、ユーザの指定した印刷データを取得する(ステップS104)。そして、送受信部42は、特徴パターン抽出部41から取得した生体識別情報と、印刷データ取得部44から取得した印刷データとを、プリンタ20に送信する(ステップS106)。これにより、本実施形態に係る印刷要求処理が終了する。
【0049】
図8は、本実施形態に係る印刷データ受信処理を説明するフローチャートを示す図である。この印刷データ受信処理は、プリンタ20で定常的に実行されている処理である。
【0050】
図8に示すように、プリンタ20の送受信部50は、ネットワーク30から、生体識別情報と印刷データとを受信したかどうかを判断する(ステップS110)。これらのデータを受信していない場合(ステップS110:No)には、このステップS110を繰り返して待機する。
【0051】
一方、生体識別情報と印刷データとを受信した場合(ステップS110:Yes)には、送受信部50は、これら生体識別情報と印刷データとを対応付けて、印刷データ格納部51に格納する(ステップS112)。そして、上述したステップS110の処理に戻る。
【0052】
図9は、本実施形態に係る印刷実行処理を説明するフローチャートを示す図である。この印刷実行処理は、例えば、ユーザがプリンタ20のコントロールパネルに設けられた印刷実行ボタンを押下することにより、起動される処理である。
【0053】
図9に示すように、まず、プリンタ20は、ユーザに生体識別情報入力部52から、生体識別情報を入力させる(ステップS120)。上述したように、本実施形態では、ユーザの音声が入力される。どのような音声を発するかは、ユーザの任意であるが、例えば「印刷を実行しろ」と発声する。次に、プリンタ20の特徴パターン抽出部53は、入力された音声の特徴パターンを抽出し、これを生体識別情報とする(ステップS122)。
【0054】
次に、プリンタ20の生体識別情報判断部54は、特徴パターン抽出部53から生体識別情報を取得して、この取得した生体識別情報に基づいて、印刷データ格納部51を検索し、取得した生体識別情報と一致する生体識別情報を有する印刷データを取得する(ステップS124)。本実施形態では、一致する生体識別情報を有するすべての印刷データを取得することとしている。つまり、声紋が一致する印刷データをすべて取得し、印刷を行うこととしている。
【0055】
そして、一致する生体識別情報を有する印刷データが、印刷データ格納部51に存在しない場合(ステップS124:No)には、一致する印刷データが存在しない旨をユーザに通知する(ステップS126)。本実施形態では、例えば、プリンタ20の液晶表示部59に、「あなたの声紋と一致する印刷データが有りません」と表示することにより、ユーザに通知する。
【0056】
一方、ステップS124で、生体識別情報の一致する印刷データが印刷データ格納部51から取得できた場合(ステップS124:Yes)には、生体識別情報判断部54は、その印刷データを印刷実行部55に送信して、印刷実行部55で印刷を実行する(ステップS128)。
【0057】
次に、プリンタ20の履歴情報更新部56は、生体識別情報入力部52から入力されたユーザの生体識別情報を特徴パターン抽出部53から取得し、ユーザ情報テーブル57を検索して、その生体識別情報に対応するユーザ名を取得する(ステップS130)。但し、この生体識別情報を取得する際には、印刷データ格納部51に格納されている印刷した印刷データに対応する生体識別情報を、取得するようにしてもよい。
【0058】
次に、プリンタ20の履歴情報更新部56は、履歴情報テーブル58を更新する(ステップS132)。具体的には、生体識別情報とともに、印刷された印刷データのファイル名と、印刷された日付と、ユーザ名とを、対応付けて、履歴情報テーブル58に格納する。続いて、プリンタ20の生体識別情報判断部54は、印刷が終了した時点で、印刷データ格納部51に格納されている印刷データと、この印刷データに対応する生体識別情報とを削除する(ステップS134)。
【0059】
これらステップS126、又は、ステップS134により、本実施形態に係る印刷実行処理が終了する。
【0060】
以上のように、本実施形態に係るデータ処理システムの一例である印刷システムによれば、自らの生体識別情報とともに印刷データをクライアント10から送信したユーザは、プリンタ20で自らの生体識別情報を入力するだけで(本実施形態では音声を発するだけで)、ユーザ認証が行われ、印刷データに基づく印刷物を取得することができる。このため、ユーザIDやパスワードを用いてユーザ認証を行う場合に比べて、ユーザの利便性を向上させることができる。しかも、生体識別情報は、ユーザIDやパスワードのように忘れてしまうことがない。また、第三者が簡単には盗むことができず、データの安全性が向上する。
【0061】
さらに、本実施形態においては、ユーザがどのようなファイル名の印刷データを印刷しかの履歴情報を、履歴情報テーブル58に格納し、保持しておくこととした。このため、特定のユーザのみが印刷を許可されているファイルや、印刷制限のあるファイルが印刷された場合には、その履歴情報が残ることとなる。しかも、その履歴情報には、ユーザの生体識別情報も付随しているので、履歴情報テーブル58に格納されている履歴情報を、証拠として用いることができる。
【0062】
〔第2実施形態〕
第2実施形態は、上述した第1実施形態を変形して、プリンタ20でユーザは、指定されたフレーズを音声で入力しなければならないようにすることにより、第三者のなりすましがより困難になるようにしたものである。すなわち、本実施形態においては、生体識別情報は、ユーザの声紋であることを前提としている。以下、上述した第1実施形態と異なる部分を説明する。
【0063】
本実施形態に係るデータ処理システムの全体構成は、上述した第1実施形態の図1と同様であり、クライアント10の内部構成は、上述した第1実施形態の図2と同様である。但し、データ出力装置であるプリンタ20の内部構成が、上述した第1実施形態と異なる。
【0064】
図10に示すように、本実施形態に係るプリンタ20は、上述した第1実施形態の図3の生体識別情報判断部54に代えて判断部60を備えており、さらに、入力フレーズ生成部61を加えて構成されている。
【0065】
入力フレーズ生成部61は、プリンタ20にユーザが音声で入力するべきフレーズを生成する。生成するフレーズはランダムであり、例えば、「本日は晴天なり」のような文章でもよいし、「123456」のような番号でもよい。
【0066】
判断部60は、上述した第1実施形態における生体識別情報判断部54と同様に、入力された音声の生体識別情報(声紋)と一致する生体識別情報(声紋)を有する印刷データを印刷データ格納部51から検索するとともに、ユーザが入力した音声の生体識別情報が、入力フレーズ生成部61で生成した入力フレーズと一致するかどうかを判断する。
【0067】
次に、以上のように構成されている印刷システムにおいて実行される印刷実行処理について説明する。なお、印刷要求処理及び印刷データ格納処理は、上述した第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0068】
図11、本実施形態に係る印刷実行処理を説明するフローチャートを示す図である。上述した第1実施形態と同様に、この印刷実行処理は、例えば、ユーザがプリンタ20のコントロールパネルに設けられた印刷実行ボタンを押下することにより、起動される処理である。
【0069】
図9に示すように、まず、プリンタ20の入力フレーズ生成部61は、ランダムにフレーズを生成する(ステップS200)。ここでは、例えば、「本日は晴天なり」というフレーズを、生成したとする。続いて、液晶表示部59は、入力フレーズ生成部61が生成したフレーズを表示して、ユーザに通知する(ステップS202)。この例では、液晶表示部59は、『「本日は晴天なり」と発声して下さい』と表示する。
【0070】
次に、プリンタ20は、ユーザに生体識別情報入力部52から、音声により、入力フレーズを入力させる(ステップS204)。つまり、ユーザは、「本日は晴天なり」というフレーズを発声する必要がある。
【0071】
次に、プリンタ20の判断部60は、生体識別情報入力部52から入力されたフレーズと、入力フレーズ生成部61が生成したフレーズとが、一致するかどうかを判断する(ステップS206)。両者が一致しない場合(ステップS206:No)には、液晶表示部59は、入力フレーズが一致しない旨を表示して、ユーザに通知する(ステップS208)。そして、印刷を行うことなく、この印刷実行処理は終了する。
【0072】
一方、生体識別情報入力部52から入力されたフレーズと、入力フレーズ生成部61が生成したフレーズとが一致した場合(ステップS206:Yes)には、入力されたフレーズに基づいて、特徴パターン抽出部53は、声紋の特徴パターンを抽出する(ステップS122)。すなわち、本実施形態においては、ユーザが入力したフレーズに対して、内容的な一致が求められるとともに、声紋の特徴パターンの一致も求められるのである。以下の処理は上述した第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
【0073】
以上のように、本実施形態に係るデータ処理システムの一例である印刷システムによれば、プリンタ20でユーザが入力すべきフレーズを限定することにより、第三者によるなりすましを回避することができる。すなわち、例えば、悪意を持った第三者が、ユーザの音声を録音し、プリンタ20の前で再生したとしても、ランダムに生成されるフレーズまで一致させることはできないと考えられる。したがって、印刷物の秘匿性をより一層向上させることができる。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず種々に変形可能である。例えば、上述した実施形態においては、データ送信装置がクライアントにより構成され、データ出力装置がプリンタにより構成される印刷システムを、データ処理システムの一例として説明したが、データ処理システムはこの態様に限られるものではない。例えば、データ送信装置をクライアントにより構成し、データ出力装置をプロジェクタにより構成してもよい。この場合、クライアントから、出力データと生体識別情報とがプロジェクタに送信され、その後、プロジェクタに入力された生体識別情報が一致した場合には、プロジェクタは投影を行うが、生体識別情報が一致しなかった場合には、プロジェクタは投影を行わない。
【0075】
また、上述した実施形態においては、プリンタ20をネットワーク30に直接接続したが、プリントサーバを介して接続しても良い。この場合、プリントサーバが上述した生体識別情報に基づくユーザ認証を行い、プリンタ20に印刷を行わせる。したがって、クライアント10から見た場合、プリントサーバとプリンタ20が上述したデータ出力装置に相当することとなる。
【0076】
さらに、上述した実施形態においては、印刷データと生体識別情報とを同時に、クライアント10からプリンタ20に送信することとしたが、異なるタイミングで送信するようにしてもよい。この場合、例えば、印刷データを送信した後に、生体識別情報を送信するとともに、何らかの情報により、これら印刷データと生体識別情報とを関連付けることができれば足りる。
【0077】
また、上述した実施形態においては、ハードウェアにより各処理を実現する場合を例に説明したが、ソフトウェアにより各処理を実現してもよい。この場合、例えば、クライアント10は、図12のように構成され、プリンタ20は、図13のように構成される。
【0078】
図12に示すように、クライアント10は、CPU(Central Processing Unit)70と、RAM(Random Access Memory)72と、ROM(Read Only Memory)74と、通信インターフェース76と、ハードディスク78と、生体識別情報入力部40とを、内部バス80で相互に接続することにより、構成されている。上述した図7の印刷要求処理は、プログラムにより構成され、ROM74又はハードディスク78に格納されている。そして、このプログラムをCPU70が読み込んで実行することにより、上述した印刷要求処理が実現される。また、印刷データ格納部43は、ハードディスク78内に構成される。
【0079】
さらに、図13に示すように、プリンタ20は、CPU(Central Processing Unit)90と、RAM(Random Access Memory)92と、ROM(Read Only Memory)94と、通信インターフェース96と、ハードディスク98と、プリントエンジン100と、生体識別情報入力部52と、液晶表示部59とを、内部バス102で相互に接続することにより、構成されている。上述した図8の印刷データ受信処理、並びに、図9及び図11の印刷実行処理は、プログラムにより構成され、ROM94又はハードディスク98に格納されている。そして、このプログラムをCPU90が読み込んで実行することにより、上述した印刷データ受信処理、及び、印刷実行処理が実現される。また、印刷データ格納部51、ユーザ情報テーブル57、及び、履歴情報テーブル58は、ハードディスク98内に構成される。印刷実行部55は、プリントエンジン100により構成される。
【0080】
さらにこの場合、上述したプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、ROM、メモリカード等の記録媒体に記録して、記録媒体の形で頒布することが可能である。この場合、このプログラムが記録された記録媒体をクライアント10やプリンタ20に読み込ませ、実行させることにより、上述した実施形態を実現することができる。
【0081】
また、クライアント10やプリンタ20は、オペレーティングシステムや別のアプリケーションプログラム等の他のプログラムを備える場合がある。この場合、クライアント10やプリンタ20の備える他のプログラムを活用し、記録媒体にはクライアント10やプリンタ20が備えるプログラムの中から、上述した実施形態と同等の処理を実現するプログラムを呼び出すような命令を記録するようにしてもよい。
【0082】
さらに、このようなプログラムは、記録媒体の形ではなく、ネットワークを通じて搬送波として頒布することも可能である。ネットワーク上を搬送波の形で伝送されたプログラムは、クライアント10やプリンタ20に取り込まれて、このプログラムを実行することにより上述した実施形態を実現することができる。
【0083】
また、記録媒体にプログラムを記録する際や、ネットワーク上を搬送波として伝送される際に、プログラムの暗号化や圧縮化がなされている場合がある。この場合には、これら記録媒体や搬送波からプログラムを読み込んだクライアント10やプリンタ20は、そのプログラムの復号や伸張化を行った上で、実行する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る印刷システムの全体構成の一例を示す図。
【図2】本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係るクライアントの内部構成の一例を示す図。
【図3】本発明の第1実施形態に係るプリンタの内部構成の一例を示す図。
【図4】図3における印刷データ格納部の構成の一例を示す図。
【図5】図3におけるユーザ情報テーブルの構成の一例を示す図。
【図6】図3における履歴情報テーブルの構成の一例を示す図。
【図7】本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る印刷要求処理の内容を説明するフローチャートを示す図。
【図8】本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る印刷データ受信処理の内容を説明するフローチャートを示す図。
【図9】本発明の第1実施形態に係る印刷実行処理の内容を説明するフローチャートを示す図。
【図10】本発明の第2実施形態に係るプリンタの内部構成の一例を示す図。
【図11】本発明の第2実施形態に係る印刷実行処理の内容を説明するフローチャートを示す図。
【図12】本発明の第1実施形態及び第2実施形態をソフトウェアにより実現する場合におけるクライアントの構成の一例を示す図。
【図13】本発明の第1実施形態及び第2実施形態をソフトウェアにより実現する場合におけるプリンタの構成の一例を示す図。
【符号の説明】
【0085】
10 クライアント
20 プリンタ
30 ネットワーク
40 生体識別情報入力部
41 特徴パターン抽出部
42 送受信部
43 印刷データ格納部
44 印刷データ取得部
50 送受信部
51 印刷データ格納部
52 生体識別情報入力部
53 特徴パターン抽出部
54 生体識別情報判断部
55 印刷実行部
56 履歴情報更新部
57 ユーザ情報テーブル
58 履歴情報テーブル
59 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ送信装置とデータ出力装置とを有するデータ処理システムであって、
前記データ送信装置は、
ユーザの生体識別情報を取得し、これを第1生体識別情報とする、第1生体識別情報取得部と、
出力すべき出力データを取得する、第1出力データ取得部と、
前記取得した第1生体識別情報と前記取得した出力データとを、前記データ出力装置に送信する、送信部と、
を備え、
前記データ出力装置は、
前記データ送信装置から送信された前記第1生体識別情報と前記出力データとを、受信する、受信部と、
前記第1生体識別情報と前記出力データとが対応付けられて、格納される、データ格納部と、
ユーザの生体識別情報を取得し、これを第2生体識別情報とする、第2生体識別情報取得部と、
前記データ格納部を検索し、前記第2生体識別情報と一致する前記第1生体識別情報に対応付けられて格納されている前記出力データを取得する、第2出力データ取得部と、
前記第2出力データ取得部で取得した出力データの出力を行う、出力部と、
を備えることを特徴とするデータ処理システム。
【請求項2】
前記第1生体識別情報取得部は、
ユーザの生体識別情報が入力される、第1生体識別情報入力部と、
前記第1生体識別情報入力部で入力された前記生体識別情報の特徴パターンを抽出し、これを前記第1生体識別情報とする、第1特徴パターン抽出部と、
を備えており、
前記第2生体識別情報取得部は、
ユーザの生体識別情報が入力される、第2生体識別情報入力部と、
前記第2生体識別情報入力部で入力された前記生体識別情報の特徴パターンを抽出し、これを前記第2生体識別情報とする、第2特徴パターン抽出部と、
を備えている、ことを特徴とする請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記第1生体識別情報及び前記第2生体識別情報は、声紋である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記データ出力装置は、
ランダムに入力フレーズを生成する、フレーズ生成部と、
前記生成された入力フレーズをユーザに通知する、フレーズ通知部と、
前記第2生体識別情報取得部で取得した生体識別情報のフレーズが、前記生成された入力フレーズと一致するかどうかを判断する、判断部と、
を備え、
前記判断部で、前記第2生体識別情報取得部で取得した生体識別情報のフレーズが、前記生成された入力フレーズと一致しないと判断した場合には、前記出力部は前記出力データの出力を行わない、ことを特徴とする請求項3に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記データ出力装置は、
前記出力部で出力された前記出力データを特定するデータ特定情報と、前記出力部で出力された前記出力データに対応する生体識別情報である第3生体識別情報とを、少なくとも履歴情報として保持する履歴情報保持部と、
前記出力部で出力された前記出力データについて、その出力データを特定する情報を前記データ特定情報として前記履歴情報格納部に格納し、その出力データに対応する前記第1生体識別情報又は前記第2生体識別情報を前記第3生体識別情報として前記履歴情報保持部に格納する、履歴情報更新部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記データ特定情報は、前記出力データのファイル名である、ことを特徴とする請求項5に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
前記データ出力装置は、ユーザ名と、そのユーザ名に対応する生体識別情報が保持されている、ユーザ情報保持部をさらに備えており、
前記履歴情報保持部は、前記第3生体識別情報に対応するユーザ名を履歴情報としてさらに保持するように構成されており、
前記履歴情報更新部は、前記ユーザ情報保持部を検索して、前記出力部で出力された前記出力データに対応する前記第3生体識別情報の前記ユーザ名を取得し、前記履歴情報保持部に格納する、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のデータ処理システム。
【請求項8】
前記データ送信装置から前記データ出力装置に送信される前記出力データは、印刷データであり、前記出力部は、前記印刷データに基づく印刷を行い、印刷物を出力する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のデータ処理システム。
【請求項9】
データ送信装置から送信された、ユーザの生体識別情報である第1生体識別情報と、出力データとを、受信する、受信部と、
前記第1生体識別情報と前記出力データとが対応付けられて、格納される、データ格納部と、
ユーザの生体識別情報を取得し、これを第2生体識別情報とする、生体識別情報取得部と、
前記データ格納部を検索し、前記第2生体識別情報と一致する前記第1生体識別情報に対応付けられて格納されている前記出力データを取得する、出力データ取得部と、
前記出力データ取得部で取得した出力データの出力を行う、出力部と、
を備えることを特徴とするデータ出力装置。
【請求項10】
前記生体識別情報取得部は、
ユーザの生体識別情報が入力される、生体識別情報入力部と、
前記生体識別情報入力部で入力された前記生体識別情報の特徴パターンを抽出し、これを前記第2生体識別情報とする、特徴パターン抽出部と、
を備えている、ことを特徴とする請求項9に記載のデータ出力装置。
【請求項11】
前記第1生体識別情報及び前記第2生体識別情報は、声紋である、ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のデータ出力装置。
【請求項12】
ランダムに入力フレーズを生成する、フレーズ生成部と、
前記生成された入力フレーズをユーザに通知する、フレーズ通知部と、
前記生体識別情報取得部で取得した生体識別情報のフレーズが、前記生成された入力フレーズと一致するかどうかを判断する、判断部と、
を備え、
前記判断部で、前記生体識別情報取得部で取得した生体識別情報のフレーズが、前記生成された入力フレーズと一致しないと判断した場合には、前記出力部は前記出力データの出力を行わない、ことを特徴とする請求項11に記載のデータ出力装置。
【請求項13】
前記出力部で出力された前記出力データを特定するデータ特定情報と、前記出力部で出力された前記出力データに対応する生体識別情報である第3生体識別情報とを、少なくとも履歴情報として保持する履歴情報保持部と、
前記出力部で出力された前記出力データについて、その出力データを特定する情報を前記データ特定情報として前記履歴情報格納部に格納し、その出力データに対応する前記第1生体識別情報又は前記第2生体識別情報を前記第3生体識別情報として前記履歴情報保持部に格納する、履歴情報更新部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれかに記載のデータ出力装置。
【請求項14】
前記データ特定情報は、前記出力データのファイル名である、ことを特徴とする請求項13に記載のデータ出力装置。
【請求項15】
ユーザ名と、そのユーザ名に対応する生体識別情報が保持されている、ユーザ情報保持部をさらに備えており、
前記履歴情報保持部は、前記第3生体識別情報に対応するユーザ名を履歴情報としてさらに保持するように構成されており、
前記履歴情報更新部は、前記ユーザ情報保持部を検索して、前記出力部で出力された前記出力データに対応する前記第3生体識別情報の前記ユーザ名を取得し、前記履歴情報保持部に格納する、
ことを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のデータ出力装置。
【請求項16】
前記データ送信装置から受信する前記出力データは、印刷データであり、前記出力部は、前記印刷データに基づく印刷を行い、印刷物を出力する、ことを特徴とする請求項9乃至請求項15のいずれかに記載のデータ出力装置。
【請求項17】
データ送信装置とデータ出力装置とを有するデータ処理システムの制御方法であって、
前記データ送信装置で、ユーザの生体識別情報を取得し、これを第1生体識別情報とするステップと、
前記データ送信装置で、出力すべき出力データを取得するステップと、
前記取得した第1生体識別情報と前記取得した出力データとを、前記データ送信装置から前記データ出力装置に送信するステップと、
前記データ出力装置で、前記データ送信装置から送信された前記第1生体識別情報と前記出力データとを、受信するステップと、
前記第1生体識別情報と前記出力データとを対応付けて、前記データ出力装置に設けられたデータ格納部に格納するステップと、
前記データ出力装置で、ユーザの生体識別情報を取得し、これを第2生体識別情報とするステップと、
前記データ格納部を検索し、前記第2生体識別情報と一致する前記第1生体識別情報に対応付けられて格納されている前記出力データを取得するステップと、
前記取得した出力データの出力を行うステップと、
を備えることを特徴とするデータ処理システムの制御方法。
【請求項18】
データ送信装置から送信された、ユーザの生体識別情報である第1生体識別情報と、出力データとを、受信するステップと、
前記第1生体識別情報と前記出力データとを対応付けて、データ格納部に格納するステップと、
ユーザの生体識別情報を取得し、これを第2生体識別情報とするステップと、
前記データ格納部を検索し、前記第2生体識別情報と一致する前記第1生体識別情報に対応付けられて格納されている前記出力データを取得するステップと、
前記取得した出力データの出力を行うステップと、
を備えることを特徴とするデータ出力装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−48208(P2006−48208A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225459(P2004−225459)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】