説明

データ処理装置、データ処理方法、及びデータ処理プログラム

【課題】 構造物のひび割れや浮き、空洞等の変状部の有無及び位置を容易且つ安価に特定することを可能とし、また、当該変状部の経年変化をも容易且つ安価に把握することを可能とする。
【解決手段】 データ処理装置は、寸法情報を有する線図情報からなるCAD図面データを入力するCAD図面データ入力部21と、画像データを入力する画像データ入力部22と、この画像データ入力部22によって入力された画像データ上における座標値を算出する座標算出部23と、画像データ入力部22によって入力された画像データ上の情報をCAD図面データ入力部21によって入力されたCAD図面データ上に写像する写像処理部24と、この写像処理部24によって作成された写像後のCAD図面データを含む各種データを出力するデータ出力部25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも画像データを用いた処理を施すデータ処理装置、データ処理方法、及びデータ処理プログラムに関し、特に、ビルや橋梁等の構造物の変状を視覚化するのに有効なデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、橋梁やトンネルといったコンクリート構造物は、社会的な資本として極めて重要な使命を有している。したがって、これらコンクリート構造物の健全性を維持・管理するためのコストを低減することは、社会にとって極めて大きな意義がある。
【0003】
これら社会的な資本の管理者は、コンクリート構造物の健全性の度合いを把握するために、通常、幅0.2mm以上のひび割れについて変状展開図を作成し、変状箇所に対応した写真を提出することが求められている。しかしながら、かかる業務を実施するには多大な手間と費用を要することから、コンクリート構造物の健全性を十分に把握できていないのが現状である。
【0004】
このような変状展開図及び変状箇所に対応した写真を作成する方法としては、事前にコンクリート構造物の野帳を作成するものがある。具体的には、この方法は、
a)事務室にて、事前にコンクリート構造物の設計図やCAD(Computer Aided Design)図面に基づいて野帳を作成する作業
b)現場にて、ひび割れ等の変状部を目視によって判定してクラックゲージを用いて当該変状部の幅を測定し、その位置及び幅の値を野帳に手書きするとともに、カメラを用いて当該変状部の箇所を撮像する作業
c)事務室にて、CADアプリケーションソフトウェアを起動し、野帳に記入した変状部に関する情報をCAD図面に書き入れる作業
の3つの作業を行うものである。
【0005】
しかしながら、この方法においては、事前に野帳を作成し、現場で測定したデータを再び野帳に転記する等の作業を要し、事務室における人手による作業量が多いという問題があった。また、この方法においては、変状部の位置情報に関する正確性及び定量性が不十分であり、変状部の経年変化を追跡するには適さないという問題があった。さらに、この方法においては、変状部の箇所について膨大な枚数の写真を撮像する必要があることから、これら写真の管理、及び当該写真とCAD図面データとの関連付けを行うのが困難であるという問題もあった。
【0006】
これに対して、近年、既設トンネルの変状調査及びトンネル竣工時の調査、さらにはその後の定期点検における経年変化を追跡調査を行うことができ、展開図をより迅速に作成することを目的として、特許文献1及び非特許文献1に記載された技術が提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−185589号公報
【非特許文献1】戸田建設株式会社、"コンクリート表面変状調査・展開図作成システムを開発"、[online]、[平成16年3月25日検索]、インターネット<URL:http://www.toda.co.jp/level1/news/news_letter2003/151204/151204.html>
【0008】
具体的には、特許文献1には、コンクリート表面を複数に分割して撮影するカメラと、このカメラの設定される基準点に対する3次元的な位置情報を取得する第1位置情報取得手段と、カメラによってコンクリート表面を撮影するに際して、コンクリート表面の被撮影部分に含まれる少なくとも1点である被撮影点の、カメラに対する3次元的な位置情報を取得する第2位置情報取得手段と、第1位置情報取得手段によって取得されたカメラの基準点に対する位置情報、第2位置情報取得手段によって取得された被撮影点のカメラに対する位置情報、及び、これらの位置情報を適宜組み合わせて得られる位置情報を用いて、カメラによって撮影された撮影画像の全範囲に対して、同一縮尺で同一スケールとする幾何学的な補正を行う撮影画像幾何学的補正手段と、この撮影画像幾何学的補正手段によってそれぞれ幾何学的な補正が行われた複数の撮影画像どうしを、被撮影部分における共通位置どうしを重ね合わせるようにして合成する撮影画像合成手段とを備えたコンクリート表面の変状調査システムが開示されている。すなわち、この変状調査システムにおいては、コンクリート表面の変状展開図を作成するに際して、トンネル孔内における撮影位置を自由に設定する場合に、トンネル孔壁面に対するカメラの撮影距離、撮影角度が様々となるが、第1位置情報取得手段及び第2位置情報取得手段によって被撮影点に、例えば3次元座標値やカメラに対する角度等の3次元的な位置情報が与えられる。そして、この変状調査システムにおいては、被撮影点における3次元的な位置情報を利用することにより、撮影画像幾何学的補正手段によって撮影画像の幾何学的な補正を正確に行い、さらに撮影画像合成手段によって撮影画像の合成を行う。したがって、この変状調査システムにおいては、従来に比して容易かつ精度よく、コンクリート表面の変状展開図を作成することが可能となるとしている。
【0009】
また、非特許文献1には、特許文献1に記載された変状調査システムを具現化したシステムが開示されている。このシステムにおいては、
a)現場にて、2台のディジタルカメラを用いてコンクリートのひび割れ、剥離、漏水等を2方向から連続的に撮像するとともに、測定台車に光波測距儀等を搭載して当該ディジタルカメラの撮像位置座標を取得する作業
b)事務室にて、所定の画像編集アプリケーションソフトウェアを起動し、ディジタルカメラによって撮像したディジタル画像データと付加された撮像位置座標とに基づいて、画像展開図を作成する作業
c)事務室にて、合成された画像からひび割れ等の箇所を抽出し、表示画面上に表示されたクラックスケールによって当該ひび割れ等の幅を特定する作業
が行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1及び非特許文献1に記載された技術においては、現場にて撮像位置の情報や構造物の寸法情報等の何らかの測量をともなう必要があり、現場作業に労力を要するという問題があった。また、かかる技術においては、画像展開図の作成のために特殊且つ高価な測定システムを要するとともに、画像編集用のアプリケーションソフトウェアも高価であることから、システム導入に際するコストが高いという問題があった。さらに、かかる技術においては、システムを適用することができる場所がトンネル内に限定されていることから、一般の用途には適していないという問題があった。さらにまた、かかる技術においては、画像展開図上にひび割れ等についての変状データが存在することから、報告書を作成する際に多大な印刷コストを要し、ランニングコストが高騰するという問題があった。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、コンクリート構造物の変状部の有無及び位置を容易且つ安価に特定することができ、また、当該変状部の経年変化をも容易且つ安価に把握することが可能であるデータ処理装置、データ処理方法、並びにデータ処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成する本発明にかかるデータ処理装置は、少なくとも画像データを用いた処理を施すデータ処理装置であって、画像データを入力する画像データ入力手段と、寸法情報を有する線図情報からなる図面データを入力する図面データ入力手段と、上記画像データ入力手段によって入力された上記画像データ、及び上記図面データ入力手段によって入力された上記図面データを表示する表示手段と、上記表示手段に表示された上記画像データ上の情報を、当該表示手段に表示された上記図面データ上に写像する写像処理手段と、少なくとも上記写像処理手段によって作成された写像後の図面データを出力するデータ出力手段とを備えることを特徴としている。
【0013】
このような本発明にかかるデータ処理装置においては、画像データと寸法情報を有する線図情報からなる図面データとを対応付け、画像データ上の情報を図面データ上に写像する。
【0014】
また、本発明にかかるデータ処理装置は、上記画像データ上における特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定する指定手段を備え、上記写像処理手段は、上記指定手段によって指定された上記画像データ上における特徴点及び上記図面データ上の位置に基づいて、上記画像データ上の情報を上記図面データ上に写像するための写像関係式を求める。すなわち、本発明にかかるデータ処理装置においては、指定された特徴点を介して画像データと図面データとを対応付け、写像を行う。
【0015】
ここで、上記表示手段は、少なくとも、上記画像データ上の特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを上記指定手段によって指定するための第1の操作子と、上記画像データ上の情報を上記写像処理手段によって上記図面データ上に写像する処理を開始させるための第2の操作子とを有する操作画面を表示する。すなわち、本発明にかかるデータ処理装置は、画像データ上の特徴点及び図面データ上の位置を指定するための操作子と写像処理を開始させるための操作子とが設けられた操作画面を作業者に提供する。
【0016】
また、上記操作画面は、さらに、上記図面データが有する寸法情報に基づく上記画像データ上の座標値の算出処理を開始させるための第3の操作子と、上記指定手段によって指定された上記画像データ上の特徴点に対応する当該画像データ上の座標値と上記図面データ上の座標値とを表示する座標値表示領域とを有する。すなわち、本発明にかかるデータ処理装置は、画像データ上の座標値の算出処理を開始させるための操作子と画像データ上及び図面データ上の座標値を表示する座標値表示領域とが設けられた操作画面を作業者に提供する。
【0017】
ここで、本発明にかかるデータ処理装置においては、上記指定手段によって上記画像データ上における少なくとも3点以上の特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定すれば、画像データ上の情報を図面データ上に写像するための条件を得ることができる。
【0018】
また、本発明にかかるデータ処理装置においては、上記画像データが当該画像データ内のオブジェクトの位置情報を有しているものである場合には、上記指定手段によって上記画像データ上における少なくとも1点以上の特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定すればよく、作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0019】
さらに、本発明にかかるデータ処理装置は、上記画像データ上の情報として当該画像データ上の任意の部分をトレースするトレース手段を備え、上記写像処理手段は、上記トレース手段によるトレースに対応した線情報及び/又は面情報を上記図面データ上に写像する。すなわち、本発明にかかるデータ処理装置においては、作業者が画像データ上で任意にトレースした箇所を図面データ上に写像することができる。
【0020】
このとき、上記写像処理手段は、上記図面データが有する寸法情報に基づいて、線情報及び/又は当該線情報によって形成される面情報の幅、長さ、面積を算出することもできる。
【0021】
また、上記表示手段は、上記図面データ入力手段によって入力された上記図面データ、及び上記画像データ入力手段によって入力された上記画像データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示することができる。
【0022】
そして、本発明にかかるデータ処理装置は、上記表示手段に表示された上記画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データを当該表示手段に表示されている上記図面データ上における特定位置に関連付ける関連付け操作手段を備え、上記表示手段は、上記図面データ上に、上記関連付け操作手段によって関連付けられた上記画像データのファイル番号を、当該画像データへのリンク可能に重畳して表示する。これにより、本発明にかかるデータ処理装置においては、膨大な枚数の画像データがある場合であっても、図面データと画像データのファイル番号とを関連付け、当該画像データの管理を極めて容易とすることができる。
【0023】
なお、上記図面データとしては、CAD図面データを用いるのが好適である。また、上記画像データとしては、ディジタルカメラを用いて所定の構造物を撮像して得られた可視画像データ、及び/又は赤外線カメラを用いて上記構造物を撮像して得られた熱画像データ、及び/又はこれら可視画像データと熱画像データとを任意の表示濃度比率で重畳して融合させた画像データを用いることができる。この場合、上記図面データ上に写像する上記画像データ上の情報としては、上記画像データに対応する構造物の変状部とすることができる。すなわち、本発明にかかるデータ処理装置においては、構造物の変状展開図を容易に作成することが可能となる。
【0024】
また、上記画像データとしては、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物との間の距離を測定する測距計によって測定して得られた距離データと、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの水平角及び仰俯角を測定する角度測定器によって測定して得られた角度データとに基づく撮像位置の情報を有してものを用いることにより、画像データ上における少なくとも1点以上の特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定すればよく、作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0025】
さらに、本発明にかかるデータ処理装置は、上記写像処理手段によって上記構造物について作成された過去から現在までの写像後の図面データを時系列データとして記憶する記憶手段を備え、上記表示手段によって現在の変状部の状態を過去の状態からの推移として表示させる機能を設けることもできる。これにより、本発明にかかるデータ処理装置においては、変状部の経年変化を容易且つ安価に把握することが可能となる。
【0026】
また、上述した目的を達成する本発明にかかるデータ処理方法は、少なくとも画像データを用いた処理を施すデータ処理方法であって、画像データを入力する画像データ入力工程と、寸法情報を有する線図情報からなる図面データを入力する図面データ入力工程と、上記画像データ入力工程にて入力された上記画像データ、及び上記図面データ入力工程にて入力された上記図面データを表示手段に表示する表示工程と、上記画像データ上における特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定する指定工程と、上記指定工程にて指定された上記画像データ上における特徴点及び上記図面データ上の位置に基づいて、上記表示工程にて上記表示手段に表示された上記画像データ上の情報を、当該表示工程にて上記表示手段に表示された上記図面データ上に写像する写像処理工程と、少なくとも上記写像処理工程にて作成された写像後の図面データを出力するデータ出力工程とを備えることを特徴としている。
【0027】
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかるデータ処理プログラムは、少なくとも画像データを用いた処理を施すコンピュータ実行可能なデータ処理プログラムであって、画像データを入力する画像データ入力処理と、寸法情報を有する線図情報からなる図面データを入力する図面データ入力処理と、上記画像データ入力処理にて入力された上記画像データ、及び上記図面データ入力処理にて入力された上記図面データを表示手段に表示する表示処理と、上記画像データ上における特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定する指定処理と、上記指定処理にて指定された上記画像データ上における特徴点及び上記図面データ上の位置に基づいて、上記表示処理にて上記表示手段に表示された上記画像データ上の情報を、当該表示処理にて上記表示手段に表示された上記図面データ上に写像する写像処理と、少なくとも上記写像処理にて作成された写像後の図面データを出力するデータ出力処理とを備えることを特徴としている。
【0028】
このような本発明にかかるデータ処理方法及びデータ処理プログラムにおいては、画像データと寸法情報を有する線図情報からなる図面データとを対応付け、画像データ上の情報を図面データ上に写像する。
【0029】
さらにまた、上述した目的を達成する本発明にかかるデータ処理装置は、少なくとも画像データを用いた処理を施すデータ処理装置であって、画像データ及び寸法情報を有する線図情報からなる図面データ、並びに上記画像データ及び上記図面データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示する表示手段と、上記表示手段に表示された上記画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データを当該表示手段に表示されている上記図面データ上における特定位置に関連付ける関連付け操作手段とを備え、上記表示手段は、上記図面データ上に、上記関連付け操作手段によって関連付けられた上記画像データのファイル番号を、当該画像データへのリンク可能に重畳して表示することを特徴としている。
【0030】
また、上述した目的を達成する本発明にかかるデータ処理方法は、少なくとも画像データを用いた処理を施すデータ処理方法であって、画像データ及び寸法情報を有する線図情報からなる図面データ、並びに上記画像データ及び上記図面データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示手段に表示する第1の表示工程と、上記第1の表示工程にて上記表示手段に表示された上記画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データを当該表示手段に表示されている上記図面データ上における特定位置に関連付ける関連付け操作工程と、上記図面データ上に、上記関連付け操作工程にて関連付けられた上記画像データのファイル番号を、当該画像データへのリンク可能に重畳して表示する第2の表示工程とを備えることを特徴としている。
【0031】
さらに、上述した目的を達成する本発明にかかるデータ処理プログラムは、少なくとも画像データを用いた処理を施すコンピュータ実行可能なデータ処理プログラムであって、画像データ及び寸法情報を有する線図情報からなる図面データ、並びに上記画像データ及び上記図面データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示手段に表示する第1の表示処理と、上記第1の表示処理にて上記表示手段に表示された上記画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データを当該表示手段に表示されている上記図面データ上における特定位置に関連付ける関連付け操作処理と、上記図面データ上に、上記関連付け操作処理にて関連付けられた上記画像データのファイル番号を、当該画像データへのリンク可能に重畳して表示する第2の表示処理とを備えることを特徴としている。
【0032】
このような本発明にかかるデータ処理装置、データ処理方法、及びデータ処理プログラムにおいては、画像データのファイル番号の一覧を表示手段に表示し、この一覧のうち所望のファイル番号の画像データを、寸法情報を有する線図情報からなる図面データ上における対応位置に関連付け、当該画像データのファイル番号を、当該画像データへのリンク可能に当該図面データ上に重畳して表示する。
【0033】
さらにまた、上述した目的を達成する本発明にかかるデータ処理プログラムは、少なくとも画像データを用いた処理を施すコンピュータ実行可能なデータ処理プログラムであって、少なくとも、画像データを表示する第1の表示領域と、寸法情報を有する線図情報からなる図面データを表示する第2の表示領域と、上記画像データ上の特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定するための第1の操作子と、上記画像データ上の情報を上記第2の表示領域に表示された上記図面データ上に写像する処理を開始させるための第2の操作子とを有する操作画面を表示する画面表示処理と、上記第1の表示領域に上記画像データを表示する画像データ表示処理と、上記第2の表示領域に上記図面データを表示する図面データ表示処理とを備えることを特徴としている。
【0034】
このような本発明にかかるデータ処理プログラムにおいては、画像データ上の特徴点及び図面データ上の位置を指定するための操作子と写像処理を開始させるための操作子とが設けられた操作画面が作業者に提供される。
【0035】
また、上記操作画面は、さらに、上記図面データが有する寸法情報に基づく上記画像データ上の座標値の算出処理を開始させるための第3の操作子と、上記画像データ上の特徴点に対応する当該画像データ上の座標値と上記図面データ上の座標値とを表示する座標値表示領域とを有する。すなわち、本発明にかかるデータ処理プログラムにおいては、画像データ上の座標値の算出処理を開始させるための操作子と画像データ上及び図面データ上の座標値を表示する座標値表示領域とが設けられた操作画面が作業者に提供される。
【発明の効果】
【0036】
本発明においては、図面データ上に画像データ上の情報を写像することにより、構造物のひび割れや浮き、空洞等の変状部の有無及び位置を容易且つ安価に特定することができ、また、当該変状部の経年変化をも容易且つ安価に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
この実施の形態は、少なくとも画像データを用いた処理を施すことが可能とされ、所定の構造物のひび割れや浮き、空洞等の変状部を視覚化するのに有効なデータ処理装置である。特に、このデータ処理装置は、現場にて撮像した画像データ上の情報を、構造物の寸法情報を有する線図情報からなる既存のCAD(Computer Aided Design)図面データ上に写像することができるものである。
【0039】
データ処理装置は、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置から構成される。具体的には、データ処理装置は、図1に示すように、各部を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)11と、後述するデータ処理プログラムを含む各種情報を格納する読み取り専用のROM(Read Only Memory)12と、ワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)13と、CAD図面データ及び画像データを含む各種情報を読み出し及び/又は書き込み可能に記憶する記憶手段である記憶部14と、外部のネットワークに接続して通信を行う通信部15と、ユーザインターフェースとしての図示しない所定の操作デバイスを介した入力操作の処理及び制御を行う入力操作制御部16と、各種情報を表示する表示手段である表示部17と、所定の記録媒体に対する印刷制御を行う印刷制御部18とを備える。
【0040】
CPU11は、ROM12に記録されているデータ処理プログラムを実行し、各部を統括的に制御する。
【0041】
ROM12は、データ処理プログラムをはじめとする各種情報を格納している。このROM12に格納されている情報は、CPU11の制御のもとに読み出される。
【0042】
RAM13は、CPU11がデータ処理プログラムを実行する際のワークエリアとして機能し、CPU11の制御のもとに、各種情報を一時記憶するとともに、記憶している各種情報を読み出す。
【0043】
記憶部14は、CPU11の制御のもとに、CAD図面データや画像データをはじめとする各種情報を記憶するとともに、記憶している各種情報を読み出す。この記憶部14としては、例えば、ハードディスクや不揮発性メモリ等を用いることができる。また、記憶部14としては、本体に対して着脱可能とされるフレキシブルディスクやメモリカード等の記憶媒体に対して、各種情報の読み出し及び/又は書き込みを行うドライブ装置も含まれる。
【0044】
通信部15は、例えば、アナログ回線、いわゆるイーサネット(登録商標)等から構成されるLAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、若しくはFTTH(Fiber To The Home)等の各種ネットワーク回線、又は、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)802.11に準拠した無線LAN若しくはいわゆるブルートゥース(Bluetooth(登録商標))等の各種無線通信方式に基づくネットワークに接続するためのインターフェースであり、CPU11の制御のもとに、外部との通信を行う。
【0045】
入力操作制御部16は、例えば、キーボード、マウス、キーパッド、赤外線リモートコントローラ、スティックキー、又はプッシュボタンといった、ユーザインターフェースとしての図示しない所定の操作デバイスを介した入力操作を受け付け、操作内容を示す制御信号をCPU11に対して供給する。
【0046】
表示部17は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display;LCD)、プラズマ・ディスプレイ・パネル(Plasma Display Panel;PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(Organic ElectroLuminescent)ディスプレイ、又はCRT(Cathode Ray Tube)といった、各種表示デバイスであり、CPU11の制御のもとに、CAD図面データや各種画像データ、その他の各種情報を表示する。例えば、表示部17は、データ処理プログラムが実行されると、CAD図面データや画像データとともに後述する操作画面としてのGUI(Graphical User Interface)を表示する。
【0047】
印刷制御部18は、CPU11の制御のもとに、例えば紙等の所定の記録媒体に対する印刷を行う印刷装置を制御し、CAD図面データや画像データ、さらには後述する写像後のCAD図面データを含む各種情報を印刷させる。
【0048】
このような各部を備えるデータ処理装置は、CPU11によってデータ処理プログラムを実行し、画像データ上の情報をCAD図面データ上に写像する。具体的には、データ処理装置は、CPU11の制御のもとに、データ処理プログラムを実行することにより、当該CPU11が機能的には以下の各部を有するものと等価とされる。すなわち、データ処理装置は、図2に示すように、記憶部14からCAD図面データを読み出して入力する図面データ入力手段であるCAD図面データ入力部21と、記憶部14から画像データを読み出して入力する画像データ入力手段である画像データ入力部22と、この画像データ入力部22によって入力された画像データ上における座標値を算出する座標算出部23と、画像データ入力部22によって入力された画像データ上の情報をCAD図面データ入力部21によって入力されたCAD図面データ上に写像する写像処理手段である写像処理部24と、この写像処理部24によって作成された写像後のCAD図面データを含む各種データを出力するデータ出力部25とを備える。
【0049】
CAD図面データ入力部21は、データ処理プログラムが実行され、操作デバイスを介した操作に基づいて、記憶部14に別ファイルとして格納されているCAD図面データに対してアクセスする。そして、CAD図面データ入力部21は、操作デバイスを介した操作に基づいて、読み出すべき所望のCAD図面データが指定されると、当該記憶部14から当該CAD図面データを読み出し、RAM12等のデータ処理プログラムの管理下にあるメモリに格納することにより、当該CAD図面データを入力する。このCAD図面データ入力部21によって入力されたCAD図面データは、座標算出部23に供給されるとともに、データ出力部25に供給される。
【0050】
画像データ入力部22は、データ処理プログラムが実行され、操作デバイスを介した操作に基づいて、記憶部14に別ファイルとして格納されている画像データに対してアクセスする。そして、画像データ入力部22は、操作デバイスを介した操作に基づいて、読み出すべき所望の画像データが指定されると、当該記憶部14から当該画像データを読み出し、RAM12等のデータ処理プログラムの管理下にあるメモリに格納することにより、当該画像データを入力する。ここで、画像データとは、ディジタルカメラを用いて構造物を分割撮像して得られた複数の可視画像データの他、赤外線カメラを用いて当該構造物から放射された赤外線を受光することによって撮像して得られた熱画像データ、及び/又はこれら可視画像データと熱画像データとを任意の表示濃度比率で重畳して融合させて得られた画像データ(以下、熱可視融合画像データという。)が含まれる。また、画像データは、構造物を正面から撮像したものでなくてもよく、斜め方向から撮像したものであってもよい。この画像データ入力部22によって入力された画像データは、座標算出部23に供給されるとともに、データ出力部25に供給される。
【0051】
座標算出部23は、指定手段としての操作デバイスを用いて、データ出力部25を介して表示部17に表示された画像データ上における少なくとも3点以上の特徴点が指定されるとともに、これら特徴点に対応する同じくデータ出力部25を介して表示部17に表示されたCAD図面データ上の位置が指定されると、当該CAD図面データが有する寸法情報に基づいて、当該画像データ上の座標値をピクセル単位で算出する。座標算出部23は、算出した座標値を写像処理部24に供給する。
【0052】
写像処理部24は、座標算出部23によって算出された座標値に基づいて、画像データ入力部22によって入力された画像データ上の情報を、CAD図面データ入力部21によって入力されたCAD図面データ上に写像する。具体的には、写像処理部24は、座標算出部23によって算出された座標値に基づいて、画像データ上の情報をCAD図面データ上に写像するための写像関係式を求めると、後述するように、データ出力部25を介して表示部17に表示された画像データに変状部が認められた場合に、トレース手段としての操作デバイスを用いて当該変状部をトレースするような操作を行うのに応じて、当該トレースに対応した線情報及び/又は面情報をCAD図面データ上に写像する。このとき、変状部のトレースを行うにあたっては、当該変状部がひび割れである場合には、その幅によって分類する。また、写像処理部24は、必要に応じて、CAD図面データが有する寸法情報に基づいて、写像された変状部を表す線情報及び/又は当該線情報によって形成される面情報の幅、長さ、面積等を算出する。すなわち、写像処理部24は、変状部としてのひび割れの幅や長さ、浮きや空洞の面積等を算出する。そして、写像処理部24は、算出した線情報や面情報の幅、長さ、面情等を集計して表形式の変状データとして作成する。この写像処理部24によって作成された写像後のCAD図面データや作成された変状データは、RAM12等のデータ処理プログラムの管理下にあるメモリに一旦格納され、データ出力部25に供給される。
【0053】
データ出力部25は、写像処理部24によって作成された写像後のCAD図面データを含む各種データを出力する。具体的には、データ出力部25は、CAD図面データ入力部21によって入力されたCAD図面データを表示部17に出力することによって当該表示部17に表示させたり、当該CAD図面データを印刷制御部18に出力することによって印刷装置によって印刷させたりする。また、データ出力部25は、画像データ入力部22によって入力された画像データについても同様に、表示部17による表示及び/又は印刷装置による印刷を行うべく、当該表示部17や印刷制御部18に出力する。さらに、データ出力部25は、写像処理部24によって作成された写像後のCAD図面データを表示部17に出力することによって当該表示部17に表示させたり、当該CAD図面データを印刷制御部18に出力することによって印刷装置によって印刷させたりする。また、データ出力部25は、写像処理部24によって作成された写像後のCAD図面データを記憶部14に記憶させる場合には、例えばJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)等の汎用画像フォーマットに変換した上で、当該記憶部14に記憶させる。これは、変状部を写像したCAD図面の印刷した紙面での納品のみならず、電子納品に対応するためである。さらに、データ出力部25は、写像処理部24によって作成された表形式の変状データについても、表示部17による表示、印刷装置による印刷、及び/又は記憶部14に対する記憶を行うべく、当該表示部17、印刷制御部18、及び/又は記憶部14に出力する。
【0054】
このようなデータ処理装置においては、撮像した画像データ上に現れる変状部をCAD図面データ上に写像することができ、当該変状部の位置及び大きさを示した構造物の立面図や平面図(展開図)等を作成することができる。
【0055】
さて、かかるデータ処理装置を用いたデータ処理を行うにあたっては、作業者が事務室にて構造物のCAD図面データに基づいて野帳を作成した上で現場に出向き、当該構造物をディジタルカメラ及び/又は赤外線カメラを用いて分割撮像し、複数の部分画像データを得る。このとき、作業者は、撮像位置の特定を容易とすべく、当該撮像位置の情報を野帳に記入すれば足り、撮影位置について何ら特殊な装置を用いて測定を行う必要はない。
【0056】
データ処理装置においては、このようにして複数の画像データを得ると、図3に示すような一連の手順にしたがって処理を行う。
【0057】
まず、データ処理装置においては、同図に示すように、ステップS1において、CPU11の制御のもとに、データ処理プログラムを起動する。なお、このデータ処理プログラムは、機能的には、図4に示すように、CADアプリケーションソフトウェアと、各種操作を行うためのGUIを介して操作される各種機能が実装され、CADアプリケーションソフトウェアと通信を行うことによって当該CADアプリケーションソフトウェアを制御して写像処理を行う写像アプリケーションソフトウェアとに大別されるが、これらソフトウェアは、別個のパッケージソフトウェアとして構成されてもよく、1つのパッケージソフトウェアとして構成されてもよい。
【0058】
続いて、データ処理装置においては、図3中ステップS2において、記憶部14に別ファイルとして格納されているCAD図面データに対してCAD図面データ入力部21によってアクセスし、操作デバイスを介した操作に基づいて所望のCAD図面データが指定されるのに応じて、当該記憶部14から当該CAD図面データを読み出し、RAM12等のデータ処理プログラムの管理下にあるメモリに格納することにより、当該CAD図面データを入力する。また、データ処理装置においては、記憶部14に別ファイルとして格納されている構造物を分割撮像した複数の画像データについても同様に、当該記憶部14から所望の画像データを読み出し、RAM12等のデータ処理プログラムの管理下にあるメモリに格納することにより、当該画像データを入力する。
【0059】
そして、データ処理装置においては、ステップS3において、入力したCAD図面データ及びそれに対応する画像データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示部17に表示する。具体的には、データ処理装置においては、例えば図5に示すような操作画面を表示部17に表示し、この操作画面における表示領域51に入力したCAD図面データのファイル番号の一覧を表示領域51に表示するとともに、選択した1枚のCAD図面データDを表示領域52に表示する。また、データ処理装置においては、入力した画像データのファイル番号の一覧を表示領域53に表示する。なお、同図に示すCAD図面データDは、構造物の立面図を示しており、当該CAD図面データDに設けられた小矩形は、当該構造物の窓を示しているものとする。
【0060】
続いて、データ処理装置においては、図3中ステップS4において、現場での作業時に野帳に記入した撮影位置の情報に基づいて、CAD図面データDと、当該CAD図面データD上の特定位置に対応する画像データのファイル番号とを関連付け、その情報を当該CAD図面データD上に表示する。具体的には、データ処理装置においては、例えば図6に示すように、表示領域53に表示された画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データを関連付け操作手段としての操作デバイス(マウス)によるドラッグ&ドロップ操作等を行うことにより、表示領域52に表示されているCAD図面データD上において対応する特定位置に貼り付ける作業を行う。これにより、CAD図面データD上には、当該画像データのファイル番号がリンク可能に重畳される。すなわち、データ処理装置においては、CAD図面データD上に重畳されたリンクを選択することにより、対応する画像データを表示領域53に表示させることができる。なお、同図においては、表示領域53に表示された画像データのファイル番号の一覧から"REAL0001"というファイル番号を選択し、表示領域52に表示されているCAD図面データD上における特定位置に貼り付けた結果、当該CAD図面データD上に"REAL0001"というファイル番号を記述したリンクLKが形成された様子を示している。なお、データ処理装置においては、このようにしてCAD図面データDと画像データのファイル番号とを関連付けた情報を、記憶部14等に記憶させることができ、次回の起動時に利用することが可能とされる。
【0061】
なお、データ処理装置においては、写像を目的とする観点からはこの工程は必ずしも行う必要はない。しかしながら、この種の現場作業においては、1つの構造物について数百枚の画像データを撮像する場合が多く、画像データの撮像位置の管理が極めて困難であるという現状がある。そこで、データ処理装置においては、かかるCAD図面データDと画像データのファイル番号とを関連付けるツールを設けることにより、膨大な枚数の画像データの管理を極めて容易としている。したがって、データ処理装置においては、CAD図面データD上における厳密な位置にファイル番号を貼り付ける必要はなく、画像データがCAD図面データD上のどの位置を撮像したものであるかをおおよそ把握できる程度であればよい。
【0062】
続いて、データ処理装置においては、図3中ステップS5において、入力した画像データを順次表示部17に表示し、変状部が認められる画像データのファイル番号を抽出する。具体的には、データ処理装置においては、例えば図7に示すように、表示領域54に画像データDを1枚ずつ順次表示し、変状部が認められる画像データのファイル番号を抽出する。このとき、データ処理装置においては、変状の有無の判別を容易とすべく、表示領域54に表示される画像データについて、任意の倍率での拡大及び/又は縮小表示、上下左右方向へのスクロール、表示サイズの変更等を行うことができる。これにより、データ処理装置においては、複数の画像データの中から変状部が認められる画像データを確実に抽出することができる。なお、同図においては、CAD図面データDと画像データDとを別ウィンドウに表示している様子を示しているが、これらデータは、同一ウィンドウ内の個別の表示領域に表示するようにしてもよい。
【0063】
続いて、データ処理装置においては、図3中ステップS6において、操作デバイス(マウス)によるクリック操作等により、変状部が認められた画像データD上における少なくとも3点以上の特徴点を指定するとともに、これら特徴点に対応するCAD図面データD上の位置を指定することにより、写像処理部24によって当該画像データD上の情報をCAD図面データD上に写像するための写像関係式を求める。このとき、データ処理装置においては、構造物の正面を模写したCAD図面データDに対して、当該構造物を正面から撮像していない画像データDであっても何ら問題はなく、少なくとも3点以上の特徴点を指定すればよい。
【0064】
具体的には、データ処理装置においては、例えば図8に示すような各種操作ボタンが設けられたGUIを表示部17に表示する。すなわち、このGUIは、少なくとも、変状部が認められた画像データD上における少なくとも3点以上の特徴点を指定するための第1の操作子である特徴点指定ボタン61と、この特徴点指定ボタン61によって指定された特徴点に対応するCAD図面データD上の位置を指定する第1の操作子である位置指定ボタン62と、後述するように画像データD上に認められる変状部のトレースに対応した線情報及び/又は面情報を写像処理部24によってCAD図面データD上に写像する処理を開始させるための第2の操作子である写像(線転送)ボタン63とを有し、さらに必要に応じて、座標算出部23による座標値の算出処理を開始させるための第3の操作子である座標算出ボタン64と、指定した特徴点に対応する画像データD上の座標値とCAD図面データD上の座標値とを表示する表示領域である座標値表示部65とを有する。なお、データ処理装置においては、このGUIを図3中ステップS6にて初めて表示するのではなく、データ処理プログラムを起動した段階で表示するようにしてもよい。
【0065】
データ処理装置においては、このようなGUIに設けられた特徴点指定ボタン61を用いて変状部が認められた画像データD上における少なくとも3点以上の特徴点を指定するとともに、これら特徴点に対応するCAD図面データD上の位置を位置指定ボタン62を用いて指定した上で、座標算出ボタン64を選択すると、当該CAD図面データDが有する寸法情報に基づいて、座標算出部23によって画像データD上の座標値をピクセル単位で算出し、算出された座標値に基づいて写像関係式を求める。なお、同図においては、ファイル番号が"REAL0001"で表される画像データD上に現れた所定の隣接する4枚の窓のそれぞれの左上隅部を特徴点A,B,C,Dとして指定するとともに、これら特徴点A,B,C,Dに対応するCAD図面データD上の4点A,B,C,Dを指定した様子を示している。これにより、データ処理装置においては、画像データDとCAD図面データDとの座標値が全てのピクセル単位で対応付けられたものとなる。なお、データ処理装置においては、この座標値を対応付けた情報を、記憶部14等に記憶させることができ、次回の起動時に利用することが可能とされる。
【0066】
このようにして写像関係式を求めると、データ処理装置においては、図3中ステップS7において、操作デバイス(マウス)によるドラッグ操作等により、例えば図9に示すように、画像データD上に認められる変状部をトレースする。このとき、変状部のトレースを行うにあたっては、上述したように、当該変状部がひび割れである場合には、その幅によって分類する。
【0067】
そして、データ処理装置においては、図3中ステップS8において、写像ボタン63を選択するのに応じて、ステップS5にて求めた写像関係式に基づいて、写像処理部24によってトレースに対応した線情報及び/又は面情報をCAD図面データD上に自動的に写像し、データ出力部25を介して表示部17に表示する。なお、同図においては、画像データD上に認められた3つの変状部をトレースしてトレース線図TR,TR,TRを形成し、これに対応して、CAD図面データD上に3つの線情報及び/又は面情報LN,LN,LNを形成した様子を示している。データ処理装置においては、このようにして変状部の情報が写像された写像後のCAD図面データD(変状展開図)を作成することができる。
【0068】
続いて、データ処理装置においては、図3中ステップS9において、写像処理部24によってCAD図面データD上に写像された線情報及び/又は面情報に基づいて、変状部の幅や長さ、面積等を算出し、表形式の変状データを作成する。すなわち、データ処理装置においては、CAD図面データDが寸法情報を有していることから、当該CAD図面データD上に写像された線情報及び/又は面情報に基づいて、容易且つ正確な変状部の幅や長さ、面積等を算出して変状データを作成することができる。
【0069】
そして、データ処理装置においては、図3中ステップS10において、変状部が認められた全ての画像データDについて、CAD図面データDに対する写像及び変状データの作成処理を行ったか否かを判定し、全ての画像データDについて処理を行っていない場合には、ステップS6からの処理を繰り返して変状展開図を作成する一方で、全ての画像データDについて処理を行った場合には、ステップS11において、画像データのファイル番号及び全ての変状部の情報が写像されたCAD図面データD、並びに表形式の変状データを、データ出力部25を介して別ファイルとして記憶部14等に記憶させ、ステップS12において、データ処理プログラムを終了し、一連の処理を終了する。
【0070】
データ処理装置においては、このような一連の工程を経ることにより、画像データD上の情報をCAD図面データD上に写像し、変状展開図を作成することができる。
【0071】
このようなデータ処理装置において特筆すべき事項は、現場にて撮像位置の情報や寸法情報等の測量を一切行う必要がなく、構造物を撮像するためのカメラを用いて撮像するのみで変状展開図を作成することができることである。そして、データ処理装置においては、既存のCADアプリケーションソフトウェアを利用して処理を行うことができることから、展開図の作成のために特殊且つ高価な測定システムを必要とせず、また、高価な画像編集用のアプリケーションソフトウェアも不要であり、極めて安価に変状展開図を作成することができる。また、データ処理装置は、カメラを用いて撮像可能な構造物であれば任意の構造物について適用することができ、構造物に限定されることなく、極めて広い用途に用いることができる。さらに、データ処理装置においては、変状展開図とは別個に変状データを作成することにより、報告書を作成する際にも印刷コストが低廉で済み、ランニングコストを極めて低減することができる。
【0072】
なお、データ処理装置は、画像データDとして、当該画像データD内のオブジェクトの位置情報を有するものを用いた場合には、作業者の負担の大幅な軽減を図ることができる。具体的には、現場にてオブジェクトとしての構造物の画像データを撮像する際に、あわせて撮像位置の情報等を取得するシステムに適用した場合には、作業者の負担の大幅な軽減を図ることができる。以下、このようなシステムについて簡単に説明する。
【0073】
このシステムは、構造物の変状部の有無を診断する診断システムであり、図10に示すように、診断すべき対象の構造物を撮像する撮像部101と、この撮像部101の視野を水平方向及び垂直方向に振るパンチルト雲台102と、撮像部101によって得られた情報に対して各種処理を施す処理装置105とを備えるものである。
【0074】
撮像部101は、構造物の可視画像データを撮像するディジタルカメラ110と、構造物の熱画像を撮像する赤外線カメラ111と、これらディジタルカメラ110及び赤外線カメラ111の両方と構造物との距離を測定するレーザ測距計112とを有する。
【0075】
ディジタルカメラ110は、例えば有効画素数が6.1メガピクセル(3026ピクセル×2018ピクセル)程度であるディジタルスチルカメラを用いて構成することができる。ディジタルカメラ110は、処理装置105の制御のもとに、構造物の可視画像データを撮像し、得られた可視画像データを、インターフェース回路104を介して処理装置105に供給する。
【0076】
赤外線カメラ111は、例えば、測定温度範囲が−20℃〜100℃程度であり、撮像された画像データの画素数が320(H)×240(V)ドット程度である市販の赤外線カメラを用いて構成することができる。赤外線カメラ111は、処理装置105の制御のもとに、構造物から放射された赤外線を受光することによって当該構造物の熱画像を撮像し、得られた熱画像を、インターフェース回路4を介して処理装置5に供給する。
【0077】
レーザ測距計112は、例えば、測定範囲が0.3m〜100m程度であり、測定精度が±3〜5mm程度である市販のレーザ測距計を用いて構成することができる。レーザ測距計112は、処理装置105の制御のもとに、構造物までレーザビームを出射し、当該構造物からの反射光を受光することにより、ディジタルカメラ110及び赤外線カメラ111の両方と対象構造物との距離を測定し、得られた距離データを、インターフェース回路104を介して処理装置105に供給する。
【0078】
このような撮像部101は、ディジタルカメラ110、赤外線カメラ111、及びレーザ測距計112を、特に図示しない筐体に収納した上で、パンチルト雲台102に搭載されて構成される。このとき、撮像部101は、ディジタルカメラ110及び赤外線カメラ111並びにレーザ測距計112が、構造物の略同一の部分を指向するように配置されて構成されている。診断システムにおいては、空間的に離隔されたディジタルカメラ110及び赤外線カメラ111のカメラ光学系の中心の空間座標値と、レーザ測距計112から出射されるレーザビームの空間座標値とが既知とされ、処理装置105におけるROM等に記憶されている。
【0079】
パンチルト雲台102は、通常のパーソナルコンピュータによって制御可能であり、水平方向の振り角(水平角;パン)が±130°程度であり、垂直方向の振り角(仰俯角;チルト)が±45°程度である市販の装置を用いて構成することができる。パンチルト雲台102は、手動又は処理装置105の制御のもとに、撮像部101の指向する方向を水平方向及び垂直方向に調整可能に支持する。なお、パンチルト雲台102による撮像部101の視野の0点からの変化量、すなわち、水平角と仰俯角は、当該パンチルト雲台102に設けられた特に図示しない角度測定器によって測定される。診断システムにおいては、この角度データも、インターフェース回路104を介して処理装置105に供給される。なお、診断システムにおいては、このパンチルト雲台102、及びバッテリを含むインターフェース回路104が三脚103に載置されて使用される。
【0080】
処理装置105は、例えば、メモリ容量が512MB以上であり、ハードディスクの容量が2GB以上であり、さらにモニタの解像度が640×480ドット以上のカラーモニタを有する通常のパーソナルコンピュータを用いて構成することができる。処理装置105は、各部を統括的に制御するCPU151と、プログラム等の各種情報を格納するROM152と、撮像部101から供給されたデータやプログラムの実行中に生成されたデータ等を一時的に保持するRAM153と、例えばキーボードやマウス等の入力操作装置154と、例えばLCD等の各種情報を表示する表示装置155と、インターフェース回路104を介して撮像部101との間でデータの送受信を行うインターフェース回路156と、各種情報を記憶するハードディスク装置157とを有する。このような処理装置105は、撮像部101を制御するとともに、この撮像部101によって得られた可視画像データ、熱画像データ、及び距離データ、並びに角度測定器によって得られた角度データを入力し、これらデータに対して各種処理を施す。
【0081】
このような各部から構成される診断システムにおいては、図11に示すように、ひび割れや浮き、空洞等の変状部161を含む構造物160の可視画像データを撮像部101におけるディジタルカメラ110によって撮像するとともに、当該構造物160の熱画像データを撮像部101における赤外線カメラ111によって撮像する。また、診断システムにおいては、これらディジタルカメラ110及び赤外線カメラ111による撮像の際における構造物160までの距離をレーザ測距計112によって測定する。このとき、診断システムにおいては、撮像部101を手動で移動させる場合と、パンチルト雲台102の水平振り角及び垂直振り角を処理装置105によってリモート制御する場合とがある。そして、診断システムにおいては、得られた可視画像データ、熱画像データ、距離データ、及び角度データを、インターフェース回路104を介して処理装置105に供給する。
【0082】
処理装置105は、ROM152に所定の撮像システム部プログラムを格納しており、COU151の制御のもとにこのプログラムを実行することにより、取得した可視画像データ及び熱画像データを補正する。また、処理装置105は、熱画像データから特定の温度範囲のデータのみを抽出して表示した画像データ(以下、熱ISO表示画像データという。)を作成したり、熱画像データと可視画像データとを重畳して融合させた熱可視融合画像データを作成し、これら作成した熱ISO表示画像データ及び熱可視融合画像データをハードディスク装置157等に形成された画像データファイル157Aに格納する。診断システムにおいては、処理装置105によって処理されて得られた補正画像データ、熱ISO表示画像データ、及び熱可視融合画像データを表示装置155に表示することにより、診断者170に提示する。診断者170は、これらの画像データを視認しながら、当該画像データ上における変状部161に該当する箇所を例えばマウス等の操作デバイスを用いて指示する。例えば、診断者170は、変状部161がひび割れの場合には、マウスを用いてその上をトレースし、また、変状部161が空洞の場合には、健全部と空洞部との境界をマウスを用いてトレースするような操作を行う。診断システムにおいては、このような診断者170の操作に応じて、処理装置105におけるCPU151の制御のもとに撮像システム部プログラムを実行し、変状部161の幅や長さ、面積等の大きさを算出し、算出した変状部データをハードディスク装置157等に形成された変状部データファイル157Bに格納するとともに、変状部の幅や長さ、面積の具体的な数値を表示装置155を介して診断者170に提示する。
【0083】
データ処理装置においては、このような診断システムによって撮像された可視画像データ及び熱画像データ、並びにこれら可視画像データ及び熱画像データに基づいて作成された熱可視融合画像データを、上述した画像データDとして用いる場合には、当該画像データDが距離データ及び角度データに基づく撮像位置の情報を有していることから、CAD図面データDが有する寸法情報を用いなくとも、当該画像データD上の情報を当該CAD図面データD上に写像することが可能となる。
【0084】
すなわち、データ処理装置においては、変状部が認められる全ての画像データDについて特徴点を指定する必要がなく、少なくとも3点以上の特徴点が現れている1枚の画像データD、又は本来であれば1枚の画像データD内で指定すべき少なくとも3点以上の特徴点のうち1点の特徴点が現れている少なくとも3枚以上の画像データDのそれぞれについて特徴点を指定してCAD図面データDと対応付けることにより、他の全ての画像データDについても対応付けがなされることになる。したがって、データ処理装置においては、先に図3に示したステップS6の工程については1回乃至数回だけ行い、ステップS7乃至ステップS9の工程についてのみ、変状部が認められる全ての画像データDについて行えば足り、作業者の負担を大幅に軽減することができる。換言すれば、かかる診断システムにおいては、変状部が認められる箇所のみ画像データDを撮像すれば変状展開図を作成する材料を全て用意することができ、現場での作業負担も大幅に軽減することができる。勿論、診断システムにおいては、データ処理装置を実現するデータ処理プログラムを処理装置105によって実行可能に実装することにより、現場で撮像しつつ変状展開図を作成することができ、より確実に作業を行うことが可能となる。
【0085】
以上説明したように、本発明の実施の形態として示すデータ処理装置においては、予め作成されたCAD図面データD上に、画像データD上の情報を写像することにより、極めて簡便な構成でありながらも、正確な変状展開図を作成することができる。したがって、データ処理装置においては、構造物の変状部の有無及び位置を容易且つ安価に特定することができ、また、当該変状部の経年変化をも容易且つ安価に把握することができる。
【0086】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、2次元の画像データD上の情報を2次元のCAD図面データD上に写像するものとして説明したが、本発明は、1箇所の撮像領域を複数方向から撮像して得られた画像データD上の情報を3次元のCAD図面データD上に写像する場合についても容易に適用することができる。
【0087】
また、上述した実施の形態では、データ処理プログラムを実行することによって先に図3に示す一連の工程を行うものとして説明したが、本発明は、これらの工程を複数のソフトウェアモジュールによって実現することも可能である。例えば、データ処理装置においては、図3中ステップS4において、CAD図面データDと画像データのファイル番号とを関連付けるために、画像データDのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データDをCAD図面データD上における特定位置に貼り付ける作業を行うが、この工程を独立したソフトウェアモジュールによって実現するようにしてもよい。
【0088】
さらに、データ処理装置においては、所定の構造物について作成した過去から現在までのCAD図面データDを時系列データとして記憶部14等に記憶させ、現在の変状部の状態を過去の状態からの推移として表示部17に表示させる機能を設けてもよい。これにより、データ処理装置においては、変状部の経年変化を容易且つ安価に把握することが可能となる。
【0089】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態として示すデータ処理装置のハードウェア構成を説明するブロック図である。
【図2】同データ処理装置の機能的な構成を説明するブロック図である。
【図3】同データ処理装置において行われる一連の処理を説明するフローチャートである。
【図4】同データ処理装置によって実行されるデータ処理プログラムの機能的な構成を説明するブロック図である。
【図5】同データ処理装置における表示部に表示される画面例を説明する図であり、記憶部から読み出したCAD図面データ及び画像データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示部に表示した様子を説明するための図である。
【図6】同データ処理装置における表示部に表示される画面例を説明する図であり、画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データをCAD図面データ上における特定位置に貼り付ける作業を行う様子を説明するための図である。
【図7】同データ処理装置における表示部に表示される画面例を説明する図であり、記憶部から読み出した画像データを順次表示部に表示し、変状部が認められる画像データのファイル番号を抽出する作業を行う様子を説明するための図である。
【図8】同データ処理装置における表示部に表示される画面例を説明する図であり、変状部が認められた画像データ上における特徴点と、これら特徴点に対応するCAD図面データ上の位置とを指定する作業を行う様子を説明するための図である。
【図9】同データ処理装置における表示部に表示される画面例を説明する図であり、画像データ上に認められる変状部をトレースし、このトレースに対応した線情報及び/又は面情報をCAD図面データ上に自動的に写像する様子を説明するための図である。
【図10】同データ処理装置の応用例として用いられる診断システムの構成を説明するブロック図である。
【図11】同診断システムの機能を説明するための図である。
【符号の説明】
【0091】
11,151 CPU
12,152 ROM
13,153 RAM
14 記憶部
15 通信部
16 入力操作制御部
17 表示部
18 印刷制御部
21 CAD図面データ入力部
22 画像データ入力部
23 座標算出部
24 写像処理部
25 データ出力部
101 撮像部
102 パンチルト雲台
103 三脚
104 インターフェース回路
105 処理装置
110 ディジタルカメラ
111 赤外線カメラ
112 レーザ測距計
154 入力操作装置
155 表示装置
156 インターフェース回路
157 ハードディスク装置
157A 画像データファイル
157B 変状部データファイル
160 対象構造物
161 変状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも画像データを用いた処理を施すデータ処理装置であって、
画像データを入力する画像データ入力手段と、
寸法情報を有する線図情報からなる図面データを入力する図面データ入力手段と、
上記画像データ入力手段によって入力された上記画像データ、及び上記図面データ入力手段によって入力された上記図面データを表示する表示手段と、
上記表示手段に表示された上記画像データ上の情報を、当該表示手段に表示された上記図面データ上に写像する写像処理手段と、
少なくとも上記写像処理手段によって作成された写像後の図面データを出力するデータ出力手段とを備えること
を特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
上記画像データ上における特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定する指定手段を備え、
上記写像処理手段は、上記指定手段によって指定された上記画像データ上における特徴点及び上記図面データ上の位置に基づいて、上記画像データ上の情報を上記図面データ上に写像するための写像関係式を求めること
を特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
上記表示手段は、少なくとも、上記画像データ上の特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを上記指定手段によって指定するための第1の操作子と、上記画像データ上の情報を上記写像処理手段によって上記図面データ上に写像する処理を開始させるための第2の操作子とを有する操作画面を表示すること
を特徴とする請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
上記操作画面は、さらに、上記図面データが有する寸法情報に基づく上記画像データ上の座標値の算出処理を開始させるための第3の操作子と、上記指定手段によって指定された上記画像データ上の特徴点に対応する当該画像データ上の座標値と上記図面データ上の座標値とを表示する座標値表示領域とを有すること
を特徴とする請求項3記載のデータ処理装置。
【請求項5】
上記指定手段は、上記画像データ上における少なくとも3点以上の特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定すること
を特徴とする請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項6】
上記画像データは、当該画像データ内のオブジェクトの位置情報を有しており、
上記指定手段は、上記画像データ上における少なくとも1点以上の特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定すること
を特徴とする請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項7】
上記画像データ上の情報として当該画像データ上の任意の部分をトレースするトレース手段を備え、
上記写像処理手段は、上記トレース手段によるトレースに対応した線情報及び/又は面情報を上記図面データ上に写像すること
を特徴とする請求項1又は請求項2記載のデータ処理装置。
【請求項8】
上記写像処理手段は、上記図面データが有する寸法情報に基づいて、線情報及び/又は当該線情報によって形成される面情報の幅、長さ、面積を算出すること
を特徴とする請求項7記載のデータ処理装置。
【請求項9】
上記表示手段は、上記図面データ入力手段によって入力された上記図面データ、及び上記画像データ入力手段によって入力された上記画像データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示すること
を特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項10】
上記表示手段に表示された上記画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データを当該表示手段に表示されている上記図面データ上における特定位置に関連付ける関連付け操作手段を備え、
上記表示手段は、上記図面データ上に、上記関連付け操作手段によって関連付けられた上記画像データのファイル番号を、当該画像データへのリンク可能に重畳して表示すること
を特徴とする請求項9記載のデータ処理装置。
【請求項11】
上記図面データは、CAD図面データであること
を特徴とする請求項1乃至請求項10のうちいずれか1項記載のデータ処理装置。
【請求項12】
上記画像データは、ディジタルカメラを用いて所定の構造物を撮像して得られた可視画像データ、及び/又は赤外線カメラを用いて上記構造物を撮像して得られた熱画像データ、及び/又はこれら可視画像データと熱画像データとを任意の表示濃度比率で重畳して融合させた画像データであること
を特徴とする請求項1乃至請求項11のうちいずれか1項記載のデータ処理装置。
【請求項13】
上記図面データ上に写像する上記画像データ上の情報は、上記画像データに対応する構造物の変状部であること
を特徴とする請求項12記載のデータ処理装置。
【請求項14】
上記画像データは、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラと上記構造物との間の距離を測定する測距計によって測定して得られた距離データと、上記ディジタルカメラ及び上記赤外線カメラの水平角及び仰俯角を測定する角度測定器によって測定して得られた角度データとに基づく撮像位置の情報を有していること
を特徴とする請求項13記載のデータ処理装置。
【請求項15】
上記写像処理手段によって上記構造物について作成された過去から現在までの写像後の図面データを時系列データとして記憶する記憶手段を備え、
上記表示手段は、現在の変状部の状態を過去の状態からの推移として表示すること
を特徴とする請求項13記載のデータ処理装置。
【請求項16】
少なくとも画像データを用いた処理を施すデータ処理方法であって、
画像データを入力する画像データ入力工程と、
寸法情報を有する線図情報からなる図面データを入力する図面データ入力工程と、
上記画像データ入力工程にて入力された上記画像データ、及び上記図面データ入力工程にて入力された上記図面データを表示手段に表示する表示工程と、
上記画像データ上における特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定する指定工程と、
上記指定工程にて指定された上記画像データ上における特徴点及び上記図面データ上の位置に基づいて、上記表示工程にて上記表示手段に表示された上記画像データ上の情報を、当該表示工程にて上記表示手段に表示された上記図面データ上に写像する写像処理工程と、
少なくとも上記写像処理工程にて作成された写像後の図面データを出力するデータ出力工程とを備えること
を特徴とするデータ処理方法。
【請求項17】
少なくとも画像データを用いた処理を施すコンピュータ実行可能なデータ処理プログラムであって、
画像データを入力する画像データ入力処理と、
寸法情報を有する線図情報からなる図面データを入力する図面データ入力処理と、
上記画像データ入力処理にて入力された上記画像データ、及び上記図面データ入力処理にて入力された上記図面データを表示手段に表示する表示処理と、
上記画像データ上における特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定する指定処理と、
上記指定処理にて指定された上記画像データ上における特徴点及び上記図面データ上の位置に基づいて、上記表示処理にて上記表示手段に表示された上記画像データ上の情報を、当該表示処理にて上記表示手段に表示された上記図面データ上に写像する写像処理と、
少なくとも上記写像処理にて作成された写像後の図面データを出力するデータ出力処理とを備えること
を特徴とするデータ処理プログラム。
【請求項18】
少なくとも画像データを用いた処理を施すデータ処理装置であって、
画像データ及び寸法情報を有する線図情報からなる図面データ、並びに上記画像データ及び上記図面データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示する表示手段と、
上記表示手段に表示された上記画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データを当該表示手段に表示されている上記図面データ上における特定位置に関連付ける関連付け操作手段とを備え、
上記表示手段は、上記図面データ上に、上記関連付け操作手段によって関連付けられた上記画像データのファイル番号を、当該画像データへのリンク可能に重畳して表示すること
を特徴とするデータ処理装置。
【請求項19】
少なくとも画像データを用いた処理を施すデータ処理方法であって、
画像データ及び寸法情報を有する線図情報からなる図面データ、並びに上記画像データ及び上記図面データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示手段に表示する第1の表示工程と、
上記第1の表示工程にて上記表示手段に表示された上記画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データを当該表示手段に表示されている上記図面データ上における特定位置に関連付ける関連付け操作工程と、
上記図面データ上に、上記関連付け操作工程にて関連付けられた上記画像データのファイル番号を、当該画像データへのリンク可能に重畳して表示する第2の表示工程とを備えること
を特徴とするデータ処理方法。
【請求項20】
少なくとも画像データを用いた処理を施すコンピュータ実行可能なデータ処理プログラムであって、
画像データ及び寸法情報を有する線図情報からなる図面データ、並びに上記画像データ及び上記図面データのそれぞれに付されたファイル番号の一覧を表示手段に表示する第1の表示処理と、
上記第1の表示処理にて上記表示手段に表示された上記画像データのファイル番号の一覧から所望のファイル番号を選択し、この画像データを当該表示手段に表示されている上記図面データ上における特定位置に関連付ける関連付け操作処理と、
上記図面データ上に、上記関連付け操作処理にて関連付けられた上記画像データのファイル番号を、当該画像データへのリンク可能に重畳して表示する第2の表示処理とを備えること
を特徴とするデータ処理プログラム。
【請求項21】
少なくとも画像データを用いた処理を施すコンピュータ実行可能なデータ処理プログラムであって、
少なくとも、画像データを表示する第1の表示領域と、寸法情報を有する線図情報からなる図面データを表示する第2の表示領域と、上記画像データ上の特徴点と当該特徴点に対応する上記図面データ上の位置とを指定するための第1の操作子と、上記画像データ上の情報を上記第2の表示領域に表示された上記図面データ上に写像する処理を開始させるための第2の操作子とを有する操作画面を表示する画面表示処理と、
上記第1の表示領域に上記画像データを表示する画像データ表示処理と、
上記第2の表示領域に上記図面データを表示する図面データ表示処理とを備えること
を特徴とするデータ処理プログラム。
【請求項22】
上記操作画面は、さらに、上記図面データが有する寸法情報に基づく上記画像データ上の座標値の算出処理を開始させるための第3の操作子と、上記画像データ上の特徴点に対応する当該画像データ上の座標値と上記図面データ上の座標値とを表示する座標値表示領域とを有すること
を特徴とする請求項21記載のデータ処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2005−310044(P2005−310044A)
【公開日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−129597(P2004−129597)
【出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【出願人】(000130374)株式会社コンステック (8)
【Fターム(参考)】