説明

データ処理装置及び方法

【課題】 専用機器で撮像された撮像データを抽出し、抽出した撮像データを汎用機で使用できるデータ形式に変換する。
【解決手段】 撮像画像データと、メタデータとからなるフレームが記録されている画像データベース18から、任意のフレームを抽出するための抽出条件を設定し、データの記録が可能な記録媒体34上の任意の場所を指定する設定部30と、設定部30により設定された抽出条件にしたがって画像データベース18から任意のフレームを抽出する抽出部31と、抽出部31により抽出されたフレームに含まれている撮像画像データ及びメタデータをそれぞれ所定のデータ形式に変換する変換部32と、設定部30により指定された任意の場所に、変換部32により所定のデータ形式に変換された撮像画像データ及びメタデータを保存する保存部33とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2台のカメラを用いてセンサーカメラで広範囲な撮像を行いつつ、もう一方のズームカメラでその撮像範囲内の追跡対象を撮像して得られたデータを、所定のファイル形式に変換し、保存するデータ処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、広く用いられている電子スチルカメラは、被写体を撮像することでレンズを透過した光を、CCD等の固体撮像素子により画像信号に変換し、これを記録媒体に記録し、また、記録した画像信号を再生することができる。また、電子スチルカメラの多くは、撮像した静止画像を表示することができるモニタを備え、これまでに記録した静止画像の内特定のものを選択して表示することができる。
【0003】
この電子スチルカメラにおいて、モニタに供給される画像信号は、一画面毎の被写体に対応するものである。このため、同時に表示される画像は狭い範囲のものとなり、広範囲の状況を同時に監視することができなかった。
【0004】
このため、カメラの撮像方向を順にシフトさせながら被写体を撮像することにより、複数の単位画像から構成されるパノラマ状の全体画像を得ることにより、広範囲の状況を監視することができる監視カメラが普及している。特に、近年において、複数の映像信号を縮小/合成し、1フレームの映像信号とする技術も提案され(例えば、特許文献1参照)、また、設置された複数の監視用ビデオカメラから監視映像を集めてビデオテープ等の記録媒体に記録することにより、監視の実現を可能とする集中監視記録システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平10−108163号公報
【特許文献2】特開2000−243062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述のようにして記録媒体に記録される個々の画像は、撮像時刻や画角などのメタデータとともに単一のファイル(以下、画像データファイルという。)で保存されている。集中監視記録システムは、この画像データファイルに基づいて、複数のカメラで撮像された画像を同期再生したり、画像の再生中にひとつの画像を指定して、一枚の静止画像として抜き出す(エクスポート)したりする。
【0007】
しかしながら、上述した画像データファイルは、集中監視記録システムによる独自のデータファイルの形式であるため、集中監視記録システムでしか扱うことができず、汎用性がない。
【0008】
また、定常的に録画を続ける監視システムでは、データ量が膨大になるため、保存されている画像データファイルから意味のある画像データファイル(例えば、変化が生じた画像)だけをエクスポートしたい場合がある。さらに、従来のようにエクスポートしたい画像をユーザがモニタを眺めながら一つずつ選ぶ方法だけではなく、任意の条件に沿う画像を機械的にエクスポートする方法もあった方が便利である。
【0009】
そこで、本発明では、任意の条件によって読み出した画像データファイルを汎用性のあるデータファイルにエクスポートすることができるデータ処理装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るデータ処理装置は、上述の課題を解決するために、撮像画像データと、当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータとからなるフレームが記録されているデータベースから、任意のフレームを抽出するための抽出条件を設定する設定手段と、データの記録が可能な記録媒体上の任意の場所を指定する指定手段と、上記設定手段により設定された抽出条件にしたがって上記データベースから任意のフレームを抽出する抽出手段と、上記抽出手段により抽出された上記フレームに含まれている上記撮像画像データ及び当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータをそれぞれ所定のデータ形式に変換する変換手段と、上記指定手段により指定された上記任意の場所に、上記変換手段により所定のデータ形式に変換された撮像画像データ及び当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータを保存する保存手段とを備え、上記設定手段は、上記メタデータに含まれている撮像情報を抽出条件として設定する。
【0011】
また、上記設定手段は、上記メタデータに対応する撮像画像データを撮像したときの撮像機器の情報を抽出条件として設定する。
【0012】
また、上記設定手段は、上記メタデータに対応する撮像画像データを撮像した日時の情報を抽出条件として設定する。
【0013】
また、上記変換手段は、上記撮像画像データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式のデータに変換し、当該撮像画像データに対応するメタデータをXML(extensible markup language)形式のデータに変換する。
【0014】
また、本発明に係るデータ処理装置は、広範囲な撮像を行うセンサーカメラと、上記センサーカメラで撮像された撮像画像データから動体の検出を行う動体検出手段と、上記動体検出手段で検出された動体を拡大して撮像を行うズームカメラと、上記センサーカメラで撮像された撮像データと、当該撮像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータと、上記ズームカメラで撮像された撮像データと、当該撮像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータとをフレーム単位で上記データベースに記録する記録手段とを更に備える。
【0015】
また、本発明に係るデータ処理方法は、上述の課題を解決するために、撮像画像データと、当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータとからなるフレームが記録されているデータベースから、任意のフレームを抽出するための抽出条件を設定する設定工程と、データの記録が可能な記録媒体上の任意の場所を指定する指定工程と、上記設定工程により設定された抽出条件にしたがって上記データベースから任意のフレームを抽出する抽出工程と、上記抽出工程により抽出された上記フレームに含まれている上記撮像画像データ及び当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータをそれぞれ所定のデータ形式に変換する変換工程と、上記指定工程により指定された上記任意の場所に、上記変換工程により所定のデータ形式に変換された撮像画像データ及び当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータを保存する保存工程とを備え、上記設定工程は、上記メタデータに含まれている撮像情報を抽出条件として設定する。
【0016】
また、上記設定工程は、上記メタデータに対応する撮像画像データを撮像したときの撮像機器の情報を抽出条件として設定する。
【0017】
また、上記設定工程は、上記メタデータに対応する撮像画像データを撮像した日時の情報を抽出条件として設定する。
【0018】
また、上記変換工程は、上記撮像画像データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式のデータに変換し、当該撮像画像データに対応するメタデータをXML(extensible markup language)形式のデータに変換する。
【0019】
また、本発明に係るデータ処理方法は、センサーカメラにより広範囲な撮像を行う第1の撮像工程と、上記第1の撮像工程で撮像された撮像画像データから動体の検出を行う動体検出工程と、上記動体検出工程で検出された動体をズームカメラで拡大して撮像を行う第2の撮像工程と、上記第1の撮像工程でセンサーカメラにより撮像された撮像データと、当該撮像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータと、上記第2の撮像工程でズームカメラにより撮像された撮像データと、当該撮像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータとをフレーム単位で上記データベースに記録する記録工程とを更に備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、専用の監視装置によって広域の画像データと、当該広域の画像データ中で動体部分を拡大して撮影して得られた拡大画像データとが、それぞれメタデータと関連してフレーム単位でデータベースに格納されている場合に、当該データベースに格納されている膨大な監視データの中から、所望する拡大画像データのみを抽出することができ、また、抽出したデータ及び当該データに関連するメタデータをそれぞれ汎用的なデータ形式に変換するので、監視用に撮像した画像データを専用機でなくとも簡易に扱うことができる。また、データベースから抽出するデータの期間や条件を限定することにより抽出したデータを格納する記録媒体の記録容量を節約することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
撮像処理装置1は、図1に示すように、被写体を撮像し、撮像したデータを格納する撮像部2と、撮像部2により撮像されたデータを処理するデータ処理部3とを備えている。
【0023】
撮像部2は、図2に示すように、撮影・録画の実行スケジュールを管理するスケジューラ10と、ユーザの操作に応じて操作信号を生成する操作部11aと、表示部11bとを備えるユーザインターフェース部11と、広範囲の撮影を行う広範囲カメラ12と、広範囲カメラ12で撮影されている一領域を拡大(ズーム)して撮影を行うズームカメラ13を制御するカメラ制御部14と、広範囲カメラ12とズームカメラ13で撮像された画像に所定の処理を行う画像処理部15と、撮像条件が格納されている撮像条件データベース16と、広域カメラとズームカメラ13で撮像されたデータを画像データベース18に格納する保存処理部17と、所定の演算処理を行う中央制御部19を備える。
【0024】
ここで、撮像部2の動作について説明する。撮像部2は、操作部11aを用いて手動で、または前もってスケジューラ10にスケジュールを設定しておくことにより、広範囲カメラ12及びズームカメラ13により被写体を撮影し、撮影した画像を録画(記録)するジョブを実行する。
【0025】
操作部11a又はスケジューラ10から撮影・録画命令が中央制御部19に送られると、中央制御部19は必要な撮影パラメータや検知パラメータを撮影条件データベースから取得し、カメラ制御部14、画像処理部15に供給し、それぞれ撮影開始、画像処理開始を命令する。
【0026】
カメラ制御部14は、供給されたパラメータと命令に基づいて広範囲カメラ12とズームカメラ13の撮影パラメータの設定及びPan/Tilt等の制御を行いつつ撮影を実行する。画像処理部15は、広範囲カメラ12からの画像データを受け取り、動体検知処理を実行し、その処理結果を広範囲カメラ12からの画像データに付加して中央制御部19に供給する。また、中央制御部19は、動体検知処理に応じて、所定の信号をカメラ制御部14に供給する。カメラ制御部14は、中央制御部19からの信号に応じて、ズームカメラ13を駆動する。
【0027】
中央制御部19は、画像処理部15を介して受け取った広範囲カメラ12とズームカメラ13の画像データ及び検知データに対応する撮影パラメータや撮影時刻等のメタデータを生成する。中央制御部19は、画像データとメタデータを、撮影のみのときには表示処理部へ供給し、一方、録画のときは表示処理部と保存処理部17へ供給する。表示部は、メタデータに基づいて、供給された画像データを順次それぞれのカメラ用表示ウィンドウに表示する。保存処理部17は、メタデータが付随された画像データを受け取ってバッファリングし、一定の数量に達するとまとめてファイルを作成する。また、中央制御部19は、動体検知結果を元に次に撮影する座標を決定し、カメラ制御部14に命令し、以下、操作部11a又はスケジューラ10から停止命令が送られるまで繰り返す。
【0028】
また、広範囲カメラ12は、例えば、監視対象となっている場所の全景を撮影する。なお、以下では、広範囲カメラ12で撮影された画像のデータを広範囲画像データという。
【0029】
ズームカメラ13は、カメラ制御部14から供給された駆動信号に応じて、広範囲カメラ12で撮影されている場所の一部を拡大して撮影を行う。なお、以下では、ズームカメラ13で撮影された画像のデータを拡大画像データという。
【0030】
つぎに、保存処理部17の動作について図3乃至図5に示すフローチャートを用いて説明する。
【0031】
保存処理部17は、保存の開始命令を受け取ると、ファイルの作成処理を行う(ステップST1)。ファイルの作成処理では、図4に示すように、保存元のディレクトリを取得し(ステップST10)、保存元のディレクトリに当日の日付名のディレクトリがあるかどうか調べ(ステップST11)、存在しなければ当日の日付のディレクトリを作成する(ST12)。保存処理部17は、撮影パラメータなどフレームごとに変動しないデータを取得し、ファイルヘッダを作成し、最初に受け取ったフレームデータの撮影時刻から画像データファイル名を作成し(ステップST13)、その後、続けてくるフレーム待ち状態に入る。
【0032】
保存処理部17は、ファイル作成処理を終了するかどうかを判断し(ステップST2)、終了する場合には、終了処理工程(ステップST3)へ進む。なお、終了処理工程についての説明は後述する。
【0033】
また、保存処理部17は、フレームデータを受け取ると、フレームデータに含まれているメタデータを読み込み(ステップST4)、撮影時刻の日付が変わっていないかチェックし、変わっていればファイル切り替え処理を行う(ステップST5)。変わっていれば終了処理工程(ステップST6)へ進み、変わっていなければ、次に、そのデータサイズと作成中のファイルサイズの総和が規定値を超えないかどうかチェックする(ステップST7)。保存処理部17は、データサイズの総和が既定値を超えている場合には、終了処理工程(ステップST6)に進み、超えていない場合には、メタ情報、データサイズ、画像データ等のフレーム情報をシリアル化してファイルに追加する処理を行い(ステップST8)、同時にそのフレームの先頭を示すオフセット値を配列に保存する。
【0034】
なお、終了処理工程(ステップST6)は、上述した終了処理工程(ステップST3)と同様の工程である。また、終了処理工程(ステップST6)を終了した後、ファイル作成工程(ステップST1)に戻る。
【0035】
保存処理部17は、各フレームのオフセット値を示す配列と総フレーム数をフッタとしてファイルの最後に付加し(ステップST9)、ステップST2の工程に戻る。
【0036】
また、終了処理工程(ステップST3)について説明する。保存処理部17は、図5に示すように、ファイル作成処理の終了する場合(ステップST2)、撮影時刻の日付が変わっている場合(ステップST5)又はデータサイズの総和が既定値を超えている場合(ステップST7)には、未追加のフレームが存在するかどうかを判断し(ステップST20)、存在する場合にはステップST21の工程へ進み、存在しない場合にはステップST23の工程へ進む。
【0037】
保存処理部17は、メタ情報、データサイズ、画像データ等のフレーム情報をシリアル化してファイルに追加する処理を行い(ステップST21)、次に、各フレームのオフセット値を示す配列と総フレーム数をフッタとしてファイルの最後に付加する処理を行う(ステップST22)。そして、保存処理部17は、作成中のファイルの末尾にフッタを追加し(ステップST23)、ファイルを画像データベース18に保存して(ステップST24)、処理を終了する。
【0038】
また、保存処理部17は、ファイル化された画像データをまとまった数量ごと(例えば、500フレームごと)に整理して、画像データベース18に保存している。また、各ファイルには、所定の名前(以下、ファイル名という。)が付されており、撮影した日時の情報が含まれており、いつ撮影されたものかが認識できるようにされている。なお、ファイル名は、時系列的に識別できればよく、上述したような撮影時日に限られない。
【0039】
また、各画像データは、図6に示すように、ヘッダ20と、画像データ領域21と、フッタ22とからなるデータ形式で保存されている。ヘッダ20には、撮影時の各種パラメータや、動体を検知した際のパラメータ等の時刻によって変動しないデータが格納されている。
【0040】
また、画像データ領域21は、フレームデータ(フレームごとのメタデータ、フレーム画像)の配列により構成されている。また、本実施例に係る撮像処理装置1では、フレームごとのメタデータとして、撮影時刻情報や、動体を一意に表すID情報や、撮影したカメラの番号情報(画像データが広範囲画像データであるか、拡大画像データであるかを判別するための情報)等を保持している。さらに、メタデータは、ズームカメラ13により撮影された映像データであったならば、広範囲カメラ12で撮影された画像中の座標位置の情報が含まれていても良いし、さらに、広範囲カメラ12で撮影された映像データであったならば、検知された動体の数の情報が含まれていても良い。
【0041】
フッタ22には、画像データ領域21内の画像データへアクセスするためのインデックスが含まれている。
【0042】
データ処理部3は、図7に示すように、画像データベース18から任意のフレームを検出するための条件と、データを保存するためのディレクトリを示す位置(パス)情報を設定する設定部30と、設定部30により設定された条件に基づいて、画像データベース18から任意のフレームを抽出する抽出部31と、抽出部31で抽出された任意のフレームに含まれている画像データを汎用的なデータ形式(例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式)に変換し、メタデータを汎用的なデータ形式(例えば、XML(extensible markup language)形式)に変換する変換部32と、変換部32で変換された汎用的な画像データとメタデータとを設定部30により設定されたディレクトリ情報に基づいて、記録媒体34の任意のディレクトリに保存する保存部33とを備える。
【0043】
ここで、設定部30に条件を設定する際のデータ処理部3の動作について、図8に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0044】
ステップST30において、データ処理部3は、画像データベース18に格納されているフレームを抽出する期間(開始日時乃至終了日時)と、出力先のディレクトリの情報を表示部17に表示する。データ処理部3は、デフォルト(初期設定)として開始日時乃至終了日時と、出力先のディレクトリが設定されているものとする。
【0045】
ステップST31において、データ処理部3は、表示部17に表示されている内容で良いかどうかの判断を行う。表示されている内容で良い場合には、抽出条件を確定し、ステップST39の工程に進む。また、表示されている内容を変更する場合にはステップST3の工程に進む。
【0046】
ステップST32において、データ処理部3は、作業を続行するかどうかを判断する。作業を続行する場合にはステップST33の工程に進む。
【0047】
ステップST33において、データ処理部3は、ディレクトリの変更を行うかどうかを判断する。ディレクトリの変更を行う場合にはステップST34の工程に進み、ディレクトリの変更を行わない場合にはステップST36の工程に進む。
【0048】
ステップST34において、データ処理部3は、ステップST33の工程により変更されたディレクトリが正当なパスかどうかを判断する。正当なパスである場合にはステップST35の工程に進む。また、正当なパスでない場合にはステップST30の工程に戻る。
【0049】
ステップST35において、データ処理部3は、出力先をステップST34の工程により変更されたディレクトリに決定し、ステップST30の工程へ戻る。
【0050】
また、ステップST36において、データ処理部3は、フレームを抽出する期間(開始日時乃至終了日時)を変更するかどうかを判断する。フレームを抽出する期間を変更する場合にはステップST37の工程に進む。また、フレームを抽出する期間を変更しない場合にはステップST30の工程に戻る。
【0051】
ステップST37において、データ処理部3は、変更されたフレームを抽出する期間が正当であるかどうかを判断する。データ処理部3は、例えば、開始日時が終了日時よりも前であることを確認する。正当な期間である場合にはステップST38の工程に進む。また、正当な期間でない場合には、ステップST30の工程に戻る。
【0052】
ステップST38において、データ処理部3は、フレームを抽出する期間をステップST36の工程により変更されたものに決定し、ステップST30の工程に戻る。
【0053】
また、ステップST39において、データ処理部3は、ステップST31の工程によって確定された抽出条件にしたがって画像データベース18から任意のフレームを抽出し、抽出したフレームに含まれている画像データとメタデータをそれぞれ汎用性のあるデータ形式に変換し、変換後のデータを任意のディレクトリに保存する。
【0054】
ここで、以下にステップST39の工程の詳細について図9に示すフローチャートにしたがって説明する。
【0055】
ステップST40において、データ処理部3は、画像データベース18に対象とするフレームを含む画像ファイルが格納されているかどうかを調査する。
【0056】
ステップST41において、データ処理部3は、ステップST40の工程による調査結果に応じて、画像データベース18に対象とするフレームを含む画像ファイルが格納されているかどうかを判断する。画像データベース18に対象とするフレームを含む画像ファイルが格納されている場合にはステップST42の工程に進む。また、画像データベース18に対象とするフレームを含む画像ファイルが格納されていない場合にはその旨(例えば、エラー表示)をユーザに通知する。
【0057】
ステップST42において、データ処理部3は、対象とするフレームを含む画像ファイルから1フレームを読み出し、当該フレームに含まれているメタデータを解析する。
【0058】
ステップST43において、データ処理部3は、ステップST42の工程により得られた解析結果に応じて、解析したメタデータに対応するフレームがステップST31の工程により確定された開始時間を経過しているかどうかを判断する。開始時間と同じ又は経過している場合にはステップST45に進み、開始時間を経過していない場合にはステップST44の工程に進む。
【0059】
ステップST44において、データ処理部3は、対象とするフレームを含む画像ファイルから次の1フレームを読み出し、ステップST42の工程に戻る。対象とするフレームを含む画像ファイルから読み出した一のフレームがステップST31の工程により確定した開始時間と同じになるまでステップST42乃至ステップST44の各工程を繰り返す。
【0060】
ステップST45において、データ処理部3は、ステップST42の工程により得られた解析結果から、解析したメタデータに対応する対応するフレームに含まれている画像データが広域画像データか拡大画像データかを判断する。広域画像データである場合にはステップST48の工程に進み、拡大画像データである場合にはステップST46の工程に進む。
【0061】
ステップST46において、データ処理部3は、メタデータリストにメタデータを追加する。なお、まだメタデータを追加するメタデータリストが作成されていない場合には、メタデータリストを生成した後、生成したメタデータリストにメタデータを追加する。
【0062】
ステップST47において、データ処理部3は、画像情報リストに拡大画像データを追加する。なお、まだ画像情報リストが作成されていない場合には、画像情報リストを生成した後、生成した画像情報リストに拡大画像データを追加する。
【0063】
ステップST48において、データ処理部3は、対象とするフレームを含む画像ファイルから次のフレームを読み出す。
【0064】
ステップST49において、データ処理部3は、ステップST48の工程により読み出されたフレームに含まれているメタデータを解析する。
【0065】
ステップST50において、データ処理部3は、ステップST49の工程により得られた解析結果に応じて、解析したメタデータに対応するフレームがステップST31の工程により確定された終了日時を経過しているかどうかを判断する。終了日時と同じ又は経過していない場合にはステップST45の工程に戻り、終了日時を経過している場合には全工程を終了する。
【0066】
このようにして、データ処理部3は、ステップST31の工程により確定された開始時間乃至終了日時に該当する拡大画像データが含まれるフレームを画像データベース18から抽出し、拡大画像データのメタデータリスト及び画像情報リストを生成する。
【0067】
変換部32は、上述のようにして生成された拡大画像データのメタデータリスト及び画像情報リストに基づき、メタデータを汎用的なデータ形式であるXML形式のデータに変換し、画像データを汎用的なデータ形式であるJPEG形式のデータに変換する。
【0068】
ここで、図10にXML形式に変換されたメタデータを示す。図10では、AM0時に撮像された拡大画像データが2つあり、フレーム番号(frame no)として「0」と「1」が割り振られている。また、AM1時に撮像された拡大画像データが1つあり、フレーム番号として「2」が割り振られている。フレーム番号「0」の拡大画像データ(0.jpg)は、2004年6月2日にカメラID1(ズームカメラ13を示すID)により撮像され、動体ID(obj_id)として「11」が割り振られている。
【0069】
また、フレーム番号「1」の拡大画像データ(1.jpg)は、2004年6月2日にカメラID1により撮像され、動体IDとして「12」が割り振られている。
【0070】
また、フレーム番号「2」の拡大画像データ(2.jpg)は、2004年6月2日にカメラID1により撮像され、動体IDとして「13」が割り振られている。
【0071】
また、それぞれの撮像画像データには、撮像時間(timestamp)が撮像日と連結して割り振られており、また、拡大画像データの座標位置(rect)が割り振られている。
【0072】
保存部33は、変換部32で変換された各データをステップST31の工程で確定されたディレクトリで指定されている場所に保存する(図11)。図11では、変換部32で変換された各データをWeb用のブラウザ(Webページを閲覧するソフトウェア)で閲覧可能なように、整形・表示用のHTMLファイルとスタイルシートも併せて指定されているディレクトリに保存する際の出力ファイルの例を示している。
【0073】
ここで、例えば、上述のように変換されたデータをWebブラウザで表示した様子を図12に示す。図12では、拡大画像データを撮像時間帯ごとに集計した撮影枚数の一覧と、選択された時間帯の画像の一覧表示を行っている。
【0074】
このように構成される撮像処理装置1は、広範囲カメラ12で撮像した広範囲画像データと、当該広範囲画像データ中における動体部分をズームカメラ13で拡大して撮像した拡大画像データとをそれぞれ関連するメタデータと共にフレームごとに格納されている画像データベース18から、任意のフレームを抽出するために任意の条件を設定する設定部30と、設定部30で設定した条件にしたがって画像データベース18から任意のフレームを抽出する抽出部31と、抽出部31により抽出されたフレームに含まれている画像データ及びメタデータを汎用的なデータ形式に変換する変換部32と、変換部32により変換されたデータを設定部30で設定された記録媒体34の任意のディレクトリに保存する保存部33を有するデータ処理部3から構成されているので、画像データベース18に格納されている膨大なデータの中から、所望する拡大画像データのみを抽出することができ、また、抽出したデータ及び当該データに関連するメタデータをそれぞれ汎用的なデータ形式に変換するので、監視用に撮像した画像データを専用機でなくとも簡易に扱うことができる。また、撮像処理装置1は、画像データベース18から抽出するデータの期間や条件を限定することにより記録媒体34の記録容量を節約することができる。
【0075】
なお、上述では、画像データベース18に格納されているフレームから拡大画像データのみを抽出する場合の例を挙げたが、設定部30で他の条件を設定すれることにより図12以外の結果を得ることも可能である。例えば、広域画像データ内の動体数に着目し、各フレームを構成する拡大画像データが多いフレーム順にリストを生成しても良いし、画角に着目して撮像枚数の多い領域を求める(動きの多い地点を調べる)等の応用が考えられる。
【0076】
また、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な変更、置換又はその同等のものを行うことができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る撮像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る撮像処理装置に備えられている撮像部の構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示した保存処理部の動作についての説明に供する第1のフローチャートである。
【図4】図2に示した保存処理部の動作についての説明に供する第2のフローチャートである。
【図5】図2に示した保存処理部の動作についての説明に供する第3のフローチャートである。
【図6】本発明に係る撮像処理装置で採用されるデータ形式を示す図である。
【図7】本発明に係る撮像処理装置に備えられているデータ処理部の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る撮像処理装置に備えられているデータ処理部により任意のフレームをデータベースから抽出する際における抽出条件の決定手順について説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に示すフローチャートにしたがって決定された抽出条件にしたがって、データベースから任意のフレームを抽出する手順について説明するためのフローチャートである。
【図10】XML形式に変換されたときのソースコードを示す図である。
【図11】出力ファイルの一例についての説明に供する図である。
【図12】汎用的な形式に変換されたデータをWeb用のブラウザで表示する一例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 撮像処理装置、2 撮像部、3 データ処理部、10 スケジューラ、11a 操作部、11b 表示部、11 ユーザインターフェース部、12 広範囲カメラ、13 ズームカメラ、14 カメラ制御部、15 画像処理部、16 撮像条件データベース、17 保存処理部、18 画像データベース、19 中央制御部、20 ヘッダ、21 画像データ領域、22 フッタ、30 設定部、31 抽出部、32 変換部、33 保存部、34 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像データと、当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータとからなるフレームが記録されているデータベースから、任意のフレームを抽出するための抽出条件を設定する設定手段と、
データの記録が可能な記録媒体上の任意の場所を指定する指定手段と、
上記設定手段により設定された抽出条件にしたがって上記データベースから任意のフレームを抽出する抽出手段と、
上記抽出手段により抽出された上記フレームに含まれている上記撮像画像データ及び当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータをそれぞれ所定のデータ形式に変換する変換手段と、
上記指定手段により指定された上記任意の場所に、上記変換手段により所定のデータ形式に変換された撮像画像データ及び当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータを保存する保存手段とを備え、
上記設定手段は、上記メタデータに含まれている撮像情報を抽出条件として設定することを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
上記設定手段は、上記メタデータに対応する撮像画像データを撮像したときの撮像機器の情報を抽出条件として設定することを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
上記設定手段は、上記メタデータに対応する撮像画像データを撮像した日時の情報を抽出条件として設定することを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項4】
上記変換手段は、上記撮像画像データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式のデータに変換し、当該撮像画像データに対応するメタデータをXML(extensible markup language)形式のデータに変換することを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項5】
広範囲な撮像を行うセンサーカメラと、
上記センサーカメラで撮像された撮像画像データから動体の検出を行う動体検出手段と、
上記動体検出手段で検出された動体を拡大して撮像を行うズームカメラと、
上記センサーカメラで撮像された撮像データと、当該撮像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータと、上記ズームカメラで撮像された撮像データと、当該撮像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータとをフレーム単位で上記データベースに記録する記録手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項6】
撮像画像データと、当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータとからなるフレームが記録されているデータベースから、任意のフレームを抽出するための抽出条件を設定する設定工程と、
データの記録が可能な記録媒体上の任意の場所を指定する指定工程と、
上記設定工程により設定された抽出条件にしたがって上記データベースから任意のフレームを抽出する抽出工程と、
上記抽出工程により抽出された上記フレームに含まれている上記撮像画像データ及び当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータをそれぞれ所定のデータ形式に変換する変換工程と、
上記指定工程により指定された上記任意の場所に、上記変換工程により所定のデータ形式に変換された撮像画像データ及び当該撮像画像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータを保存する保存工程とを備え、
上記設定工程は、上記メタデータに含まれている撮像情報を抽出条件として設定することを特徴とするデータ処理方法。
【請求項7】
上記設定工程は、上記メタデータに対応する撮像画像データを撮像したときの撮像機器の情報を抽出条件として設定することを特徴とする請求項6記載のデータ処理方法。
【請求項8】
上記設定工程は、上記メタデータに対応する撮像画像データを撮像した日時の情報を抽出条件として設定することを特徴とする請求項6記載のデータ処理方法。
【請求項9】
上記変換工程は、上記撮像画像データをJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式のデータに変換し、当該撮像画像データに対応するメタデータをXML(extensible markup language)形式のデータに変換することを特徴とする請求項6記載のデータ処理方法。
【請求項10】
センサーカメラにより広範囲な撮像を行う第1の撮像工程と、
上記第1の撮像工程で撮像された撮像画像データから動体の検出を行う動体検出工程と、
上記動体検出工程で検出された動体をズームカメラで拡大して撮像を行う第2の撮像工程と、
上記第1の撮像工程でセンサーカメラにより撮像された撮像データと、当該撮像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータと、上記第2の撮像工程でズームカメラにより撮像された撮像データと、当該撮像データに対応する撮像情報が含まれているメタデータとをフレーム単位で上記データベースに記録する記録工程とを備えることを特徴とする請求項6記載のデータ処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−148369(P2006−148369A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333698(P2004−333698)
【出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】