説明

データ処理装置

【課題】本発明は、複写、伝送または記録などする処理データを無意識にバックアップデータとして記憶手段に転送するデータ処理装置に関し、処理データの特徴からバックアップの要否を取得できるようにすることにより、通常と同様な操作による蓄積を回避することが必要なデータの処理を可能にして、無意識に処理データをファイルするシステムの利用性および信頼性を向上させる。
【解決手段】複写機能、ファクシミリ伝送機能、プリンタ機能のデータ処理機能を備えるとともに、該処理データをバックアップデータとしてサーバ装置13が蓄積・管理する大容量記憶装置12に転送する転送機能を備える複写機10に、原稿の指示領域Paに記入された回避記号を処理データから認識する画像処理部32と、該回避記号が認識された処理データのサーバ装置13への転送を禁止する制御部21と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写、伝送または記録などする処理データを無意識にバックアップデータとして記憶手段に転送するデータ処理装置に関し、詳しくは、通常と同様な操作でもバックアップを回避してデータ処理を行い得るようにしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、データ処理の高度化・高速化とともに、記憶手段の低価格化に伴って、電子ファイルシステムが導入されている。この種のファイルシステムに蓄積されるデータは、スキャナにより読み取って記憶手段に蓄積するのが一般的である。
【0003】
しかし、そのファイル目的のデータはプリントアウトされた後にコピー、ファクシミリなどされるのが通常であることから、本出願人は、特願平9−291451号において、そのプリントデータ、コピーデータ、ファクシミリデータなどの処理データと同一のデータ(以下、単に処理データともにいう)をその処理時に自動的に取得して記憶手段に記憶・蓄積させることにより、意識せずに処理データをバックアップすることを実現し、また、その処理データを必要なときに容易に検索し利用できるファイルシステムを提案している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のファイルシステムにあっては、記憶手段として十分な記憶容量のある大容量記憶装置を用いる場合には問題にはならないが、その記憶手段がある程度長期の処理データの全てを蓄積し得る記憶容量がない場合には、例えば、誤った操作であるために後に処理を再度行う処理データであっても、また、明らかに蓄積することが不要な試し刷りする文書などであっても、無意識かつ強制的にバックアップされてしまうため、その処理データによる記憶容量の浪費を避ける必要がある。
【0005】
また、共通利用される記憶手段に蓄積されることが許されない秘密文書などの処理データの場合には、バックアップを回避できない限り、データ処理装置を利用できなくなってしまう。
【0006】
このような処理データのバックアップを回避する手段としては、複写機などのデータ処理装置の操作部に蓄積回避命令を入力するボタン等の入力手段を配設することが考えられる。この場合には、データ処理直前から処理データの蓄積完了までの間に蓄積回避命令を入力することにより、処理データのバックアップを回避可能にすることができる。
【0007】
ただし、処理データの蓄積を回避するボタン等では、通常時と異なる操作が必要であり、無意識ファイルシステムとしての効果の一部をなくしてしまうことになる。また、蓄積回避命令の入力を忘れて蓄積を回避すべき処理データがバックアップしまったり、誤ってバックアップすべき処理データの蓄積が回避されてしまう可能性もある。このことから、他と同様な通常時の操作でも、蓄積することが好ましくない処理データのバックアップを回避できるようにすることが望ましい。
【0008】
そこで、本発明は、処理データの特徴からバックアップの要否を取得できるようにすることにより、通常と同様な操作による蓄積を回避することが必要なデータの処理を可能にして、無意識に処理データをファイルするシステムの利用性および信頼性をより向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的達成のため、請求項1に記載の発明は、画データや文字データを読み取って記録紙に記録出力する複写機能、画データや文字データを通信線を介して送受信する伝送機能、または受け取った画データや文字データを記録紙に記録出力する記録機能のうちの少なくとも1つ以上のデータ処理機能を備えるとともに、該データ処理機能による処理データをバックアップデータとして内蔵する記憶手段または外部装置の記憶手段に転送する転送機能を備えるデータ処理装置であって、前記データ処理機能によるデータ処理前から該データ処理機能による処理データの転送処理終了までに当該処理データをバックアップデータとして前記記録手段に記憶・蓄積することを回避する意向を取得する意向取得手段と、該意向の認められる処理データをバックアップデータとして蓄積することを回避する蓄積回避手段と、を設けたことを特徴とするものである。
【0010】
この請求項1に記載の発明では、蓄積を回避する意向が取得されない処理データは同一のデータがそのままバックアップデータとして記憶手段に転送され記憶・蓄積される一方、蓄積を回避する意向が取得されたときには処理データと同一のデータがバックアップデータとして記憶手段に蓄積されることが回避される。したがって、処理するデータに他と異なる特徴を利用することにより、同様なデータ処理の操作であっても蓄積不要な処理データであることを把握・通知してバックアップされることを回避することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記意向取得手段は、原稿または記録紙として用いられた蓄積回避専用用紙の特徴を認識できたときに処理データの蓄積回避意向を取得することを特徴とするものである。
【0012】
この請求項2に記載の発明では、特定の色やマークやバーコードなどにより特徴付けられた蓄積回避専用用紙により通常時と異なることを認識し処理データの蓄積を回避する意向を取得することができる。したがって、蓄積回避専用用紙を秘密文書や試し刷り文書などの原稿や記録紙として用いるだけで、その処理データがバックアップされることを回避することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記意向取得手段は、前記データ処理機能に指定された処理条件に応じて処理データの蓄積回避意向の有無を判定し取得することを特徴とするものであり、
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記意向取得手段は、前記データ処理機能に処理データの処理条件として指定される、原稿または記録紙のセット位置、記録紙の排紙位置、処理データの伝送相手先、あるいは、処理データの記録依頼元がいずれであるかに応じて該処理データの蓄積回避意向の有無を判定し取得することを特徴とするものである。
【0014】
この請求項3、4に記載の発明では、データ処理の指定処理条件、例えば、ストップキーの押下を含めて、コピーやファクシミリ送信する原稿のセット位置の指定、コピーやファクシミリ受信やプリントアウトに用いる記録紙のセット位置の指定、記録済みの記録紙を排紙する位置の指定、ファクシミリデータの送信先や送信元、あるいは、プリントデータの記録依頼元などによる処理データを予め蓄積を回避するものとして設定しておくことにより、通常時と異なることを認識し取得することができる。したがって、通常時と同様に処理条件を指定する操作で、その処理データがバックアップされることを回避することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ユーザが意識することなく処理データをバックアップデータとするデータ処理装置において、試し刷りや秘密文書など明らかにバックアップを必要としないものをデータ処理する場合には、専用の用紙を使用したり、通常時と異なる位置指定や相手先などの処理条件を予め設定しておくことにより、通常時と同様な操作でも蓄積を回避するデータであることを取得してバックアップすることなく処理することができる。したがって、特別な操作を要求して煩わせたり、その操作を誤らせることなく、蓄積しておく必要な処理データのみをバックアップデータとして処理することができる。このため、記憶手段の記憶容量を浪費することもなく。この結果、無意識に処理データをファイルするシステムの利用性および信頼性を向上させ、その完成度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1〜図3は本発明に係るデータ処理装置の第1実施形態を適用したファイルシステムの一例を示す図であり、本実施形態は請求項1、2に記載の発明に対応する。
【0018】
図1において、10は事業所内のイントラネットNに接続されている高機能デジタル複写機であり、この複写機10が接続されているイントラネットNはデータを有効利用するためのデータ管理ファイルシステムに構築されており、このファイルシステムはデータバックアップ機能を備えてバックアップデータをユーザの必要に応じて再利用することができるように構築されている。
【0019】
このイントラネットNは、複写機10を利用可能な複数のパーソナルコンピュータ(PC)11a〜11n(n:自然数)と、複写機10やPC11a〜11n(以下、単にPC11という)で処理される処理データを受け取って読み出し返送可能に大容量記憶装置12内に記憶・蓄積させ管理するサーバ装置13と、電話回線やISDN網などの公衆通信回線を介して他のファクシミリ装置などのデータ通信装置やインターネットに接続するための接続装置14とにより構築されている。
【0020】
複写機10は、画データを伝送するファクシミリ通信や文書データをPC11との間などで伝送するデータ通信などを行なう伝送機能と、読取画データを記録出力する複写(コピー)機能と、ファクシミリ受信データやPC11で作成された文書データなどを記録・プリント出力する記録機能とを備えるデータ処理装置を構成しており、複写機としてだけではなく、ファクシミリ装置、プリンタ装置、スキャナ装置としても利用することができる。
【0021】
サーバ装置13は、複写機10で処理するデータをイントラネットNを介して受け取って、記憶手段を構成するイントラネットN上の大容量記憶装置12に送ってそのまま蓄積させるようになっている。また、このサーバ装置13は、ユーザによる要求に応じて大容量記憶装置12に蓄積させた処理データを読み出して複写機10に転送し、記録出力などさせることも可能である。なお、この大容量記憶装置12は複写機10内に大容量HDD装置として内蔵するようにしてもよい。
【0022】
PC11は、CPU、メモリ(ROM、RAMなど)、およびI/O(Input/Output)回路等からなり、ディスプレイを見ながらキーボードやマウスなどを操作することにより不図示のハードディスク装置(記憶媒体)内から読み出したアプリケーションプログラムに従って演算処理などを行うことにより文書や画像の作成などの各種処理を行うシステムとして利用することができるようになっており、その作成データは複写機10に処理命令を送出することにより複写機10の各種機能を利用してプリントアウトしたり、入力した送信先にファクシミリ送信することができるとともに、複写機10がファクシミリ受信した画データを受け取ったり、複写機10に読み取らせた画データを受け取ったりすることができる。
【0023】
接続装置14は、複写機10、サーバ装置13、PC11などの端末装置のネットワークハブとして機能して相互間のデータ通信を中継することによりローカルエリアネットワーク(LAN)環境を構築するとともに、インターネットに接続して複写機10、サーバ装置13、あるいはPC11からインターネット上のサービス提供会社にアクセスして各種情報を利用することができるように機能してイントラネット環境を構築する。
【0024】
このように構築されているファイルシステムは、本出願人が提案する特願平9−291451号に記載のものと略同様な構成を有して、バックアップ機能を動作させ再利用可能にデータ管理を行い得るように構築すればよいものであるため、ファイルシステム自体の説明は以上の簡単な説明に止める。
【0025】
そして、複写機10は、図2に示すように、制御部21が装置各部を統括制御するようになっており、この制御部21は内蔵するCPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)内から読み出した制御プログラムに従って装置各部の駆動条件や管理データ等の各種情報を記憶するとともに動作する上で必要なデータを記憶するRAM(Random Access Memory)を利用して後述する各種機能と共に本発明の処理を実行する。
【0026】
制御部21には、駆動条件、装置状態、あるいは入力情報などの各種情報を表示器に表示する表示部22と、ワンタッチキーや短縮キーなどの各種操作キーを備えユーザによる設定や命令等の入力操作を行う操作部23と、PSTN(Public Switched Telephone Network:公衆通信回線)に接続され発着信の際に所定の回線制御を実行して回線接続あるいはその切断を行うNCU部(網制御装置)24と、画データや各種手順信号を内蔵するモデム装置により変復調しNCU部24を介してファクシミリ通信(送受信)を実行するとともに不図示のインターフェースによりイントラネットに接続されて画データや文字データなどの文書データを送受信する通信制御部25と、読取位置に搬送されてきた原稿から画データを読み取る読取部26と、原稿テーブル上にセットされた原稿を読取位置に1枚づつ分離給紙して読取終了後に原稿トレイ上に搬出する原稿搬送部27と、記録位置に搬送されてきた記録紙に読取/受信した画データに基づいて記録媒体により画像を記録する記録部28と、記録紙カセット内から記録紙を記録位置に1枚づつ分離給紙する給紙部29と、記録終了後に排紙トレイ上に画像記録した記録紙を排紙する排紙部30と、読取/受信した画データを蓄積する画像メモリ31と、送信する画データをデータ圧縮して符号化する一方、受信した画像データを伸長して復号化するDCR(符号化復号化)として機能するとともに画データの変倍処理や文字データ(コードデータ)を画像メモリ31中にマップ展開して画データとする変換処理等を要求に応じて行う画像処理部32と、がバス33を介して接続されている。
【0027】
複写機10は、特願平9−291451号に記載のものと略同様な構成を有して、例えば、操作部23の操作によりファクシミリ送信が選択され場合や、複写が選択された場合には、スタートキーの押下により原稿搬送部27の原稿テーブルにセットされた原稿を読取部26が読み取って画データをファクシミリ送信あるいはコピーするのと並行して同一の処理データを画像処理部32により符号化・圧縮した後にイントラネットNを介してサーバ装置13に転送するようになっており、サーバ装置13は送られてきた処理データを大容量記憶装置12にそのまま記憶・蓄積させ管理する。また、複写機10は、PC11で作成されたデータのプリント要求があったときや、ファクシミリ受信があったときでも同様に、送られてきたデータを記録部28により記録紙に記録出力するのと並行して画像処理部32により符号化・圧縮した同一の処理データをサーバ装置13に転送する。したがって、複写機10で処理する処理データは、その処理を実行する操作のほかに特別な入力操作を要求することなく、処理データをバックアップデータとして蓄積・管理される。
【0028】
この複写機10は、画像処理部32が符号化・圧縮する前(サーバ装置13に転送する前)に処理データの一部を認識処理してその処理データをバックアップデータとすることを回避する指示(意向)が付されているか否かを判断(取得)し、制御部21は回避指示が付されている場合にはサーバ装置13への処理データの転送を禁止(中止)するようになっており、例えば、送信/コピーする読取画データ・受信した相手先での読取画データが図3に示す原稿Pの先頭ページの左上部の指示領域Paに予め決められている回避記号を形成されている蓄積回避用紙Pを用いた原稿を読み取ったものである場合、またPC11において作成された文書や図形等をマップ展開した画データが左上部に同様に回避記号を記入されたものである場合にはサーバ装置13によりバックアップデータとして蓄積・管理されることを回避する。すなわち、画像処理部32が意向取得手段を構成し、制御部21が蓄積回避手段を構成する。
【0029】
また、複写機10は、給紙部29(排紙部30でもよい)でも記録紙から処理データをバックアップデータとすることを回避する指示が付されているか否かを判断することができるようになっており、例えば、記録紙の搬送経路途中の透過式センサが左上部で光を透過する蓄積回避用紙を記録紙として用いられているかにより処理データをバックアップデータとすることを回避する意向を確認(取得)し、回避指示がある場合には制御部21がサーバ装置13への処理データの転送を禁止する。すなわち、給紙部29に意向取得手段を構成させることもできる。
【0030】
したがって、社内の機密文書などのようにバックアップされては問題となる文書をファクシミリ送信/コピーする場合などには、ユーザは原稿作成時に前記回避記号を付した蓄積回避用紙を用いるだけでよく、その処理データから前記回避記号が認識された場合には秘密文書がサーバ装置13に転送されバックアップされてしまうことを回避することができる。
【0031】
また、既に蓄積回避用紙ではない通常の用紙に作成された原稿の場合や、PC11で作成した文書などを試し刷りする場合には、給紙部29の記録紙カセット内に蓄積回避用紙を記録紙としてセットするだけでその記録紙に記録する処理データは蓄積を回避するものであることが取得されてサーバ装置13に転送されバックアップされてしまうことを回避することができる。
【0032】
このように本実施形態においては、ユーザが意識することなくファクシミリ送信・受信/コピー/プリントアウトする処理データをサーバ装置13に蓄積・管理させバックアップすることの可能な複写機10であっても、試し刷りや秘密文書など明らかにバックアップを必要としないものをデータ処理する場合には、専用の蓄積回避用紙を使用することにより、通常通りの操作でバックアップを取ることなく、ファクシミリ送信・受信/コピー/プリントアウトすることができる。したがって、特別なボタン操作を要求するために、操作を煩わしくしたり、そのボタン操作を誤らせることがなく、蓄積しておく必要な処理データのみをバックアップすることができ、記憶容量を浪費することもない。
【0033】
なお、本実施形態では、原稿の蓄積回避用紙として指示領域Paに回避記号を付したり、記録紙の蓄積回避用紙として指示領域で光を透過可能にすることを説明するが、給紙部29に読取手段を配設するなどしていずれかに統一してもよいことは言うまでもなく、回避記号に限らず、バーコードとしたり、用紙の色やトーンを認識可能にして蓄積回避用紙として色付き用紙を用いるようにするなど、通常の用紙とは異なる特徴を持つものとすれば良いようにもすることができる。
【0034】
また、本実施形態では、蓄積を回避する処理データであることを取得すると、サーバ装置13に転送すること自体を禁止する場合を説明するが、その認識時間よりも先に転送制御可能な場合には、その途中や処理データの転送終了後に蓄積回避命令をサーバ装置13に送って削除するようにしてもよい。また、ファクシミリ送信・受信/コピー/プリントアウトの操作途中に操作ミスなどのためにストップキーが押下された場合にも、蓄積を回避する意向と判断するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0035】
次に、図4は本発明に係るデータ処理装置の第2実施形態を適用したファイルシステムの一例を示す図であり、本実施形態は請求項1、3、4に記載の発明に対応する。なお、本実施形態は上述実施形態と略同様に構成されているので、図1、図2を流用して同様な構成には同一の符号を用いて特徴部分を説明する。
【0036】
図4において、複写機10は、読取部26の読取位置に分離給紙する原稿をセットする位置として、処理データのバックアップを制限せずに通常処理する原稿をセットする原稿テーブル27aと、処理データのバックアップを回避する秘密文書などの原稿をセットする原稿テーブル27bと、が原稿搬送部27に設けられており、原稿テーブル27a上の原稿を検知する状態でスタートキーが押下された場合には、ファクシミリ送信あるいはコピーする原稿の読取画データと同一の処理データをそのままサーバ装置13に転送しバックアップを取る一方、原稿テーブル27b上の原稿を検知(取得)する状態でスタートキーが押下された場合には、原稿搬送部27はその検知情報を制御部21に通知し、制御部21はサーバ装置13への処理データの転送を禁止しバックアップを回避する。すなわち、原稿搬送部27が意向取得手段を構成する。
【0037】
このように本実施形態では、原稿搬送部27への原稿のセット位置が原稿テーブル27a、27bのいずれであるかにより、ファクシミリ送信/コピーする処理データをバックアップするか否かを取得することができ、特別な操作を要求することなく処理データのバックアップを回避することができる。
【0038】
次に、図5は本発明に係るデータ処理装置の第3実施形態を適用したファイルシステムの一例を示す図であり、本実施形態は請求項1、3、4に記載の発明に対応する。なお、本実施形態は上述実施形態と略同様に構成されているので、図1、図2を流用して同様な構成には同一の符号を用いて特徴部分を説明する。
【0039】
図5において、複写機10は、記録部28の記録位置に分離給紙する記録紙をセットする位置として、処理データのバックアップを制限しない通常処理用の記録紙をセットする記録紙カセット29a、29bと、処理データのバックアップを回避する秘密文書や試し刷り用の記録紙をセットする記録紙カセット29cと、が給紙部29に設けられており、制御部21はファクシミリ受信/コピー/プリントアウト時に使用する記録紙として記録紙カセット29a、29bから分離・給紙することが指定された場合にはその処理条件に従って同一の処理データをそのままサーバ装置13に転送しバックアップを取る一方、記録紙カセット29cを指定された場合にはその処理条件に従ってサーバ装置13への処理データの転送を禁止しバックアップを回避する。すなわち、制御部21が意向取得手段を構成する。
【0040】
このように本実施形態では、給紙部29が給紙する記録紙のセット位置として記録紙カセット29a〜29cのいずれを選択するかにより、ファクシミリ受信/コピー/プリントアウトする処理データをバックアップするか否かを取得することができ、特別な操作を要求することなく処理データのバックアップを回避することができる。
【0041】
また、本実施形態の第1の他の態様としては、図6に示すように、給紙部29が記録部28の記録位置に給紙する記録紙をセット可能な手指しトレイ29d、29eを設け、手指しトレイ29dには処理データのバックアップを制限しない通常処理用の記録紙をセットする一方、手指しトレイ29eには処理データのバックアップを回避する秘密文書や試し刷り用の記録紙をセットするものとして、ファクシミリ受信/コピー/プリントアウト時に使用する手指しトレイ29eの指定(処理条件)に従って制御部21が同一の処理データのバックアップを回避するようにしてもよい。
【0042】
また、本実施形態の第2の他の態様としては、図7に示すように、給紙部29が記録部28の記録位置から搬出して装置外に排紙する排紙トレイ30a、30b(一方または双方が部数に応じてスタックやソートするために複数段を有していてもよい)を設け、排紙トレイ30aには処理データのバックアップを制限しない通常処理した記録紙を排紙する一方、排紙トレイ30bには秘密文書や試し刷りのバックアップを回避した記録紙を排紙するものとして、ファクシミリ受信/コピー/プリントアウト時に記録紙を排紙トレイ30bに排紙する指定(処理条件)に従って制御部21が同一の処理データのバックアップを回避するようにしてもよい。
【0043】
次に、図8は本発明に係るデータ処理装置の第4実施形態を適用したファイルシステムの一例を示す図であり、本実施形態は請求項1、3に記載の発明に対応する。なお、本実施形態は上述実施形態と略同様に構成されているので、図1、図2を流用して同様な構成には同一の符号を用いて特徴部分を説明する。
【0044】
図8において、複写機10は、読取部26の読取位置を開閉可能に配置されている原稿搬送部27が備えるその読取位置に原稿を押える背景部材27cを基準白色から読取部26が認識可能な色やトーンの異なるものに交換することにより、原稿の読取開始前にまたは原稿の読取領域外から読み取った背景部材27cが基準白色と異なることを画像処理部32が認識したときに、制御部21がファクシミリ送信/コピーする処理データのバックアップの回避指示がなされていると判断しサーバ装置13への処理データの転送を禁止するようになっている。
【0045】
このように本実施形態では、原稿搬送部27の背景部材27cを交換するだけで、複写機10における処理データのバックアップ要否の処理条件を指定することができ、処理データをバックアップするか否かを特別な操作を要求することなく回避することができる。
【0046】
また、本実施形態の他の態様としては、図示することは省略するが、操作部23に配設されているワンタッチキーや短縮キーにより選択可能に予め登録するファクシミリ送信先毎に、ファクシミリ送信する処理データのバックアップを回避する指示情報を対応付けして登録可能にし、制御部21はその回避指示情報が付された相手先のファクシミリ送信の場合に処理データのバックアップを回避するようにしてもよい。同様に、受信時に相手先から通知されるファクシミリ送信元やプリントアウトの依頼元情報を予め登録しておき、制御部21がその回避指示情報が付された相手先からの処理データのバックアップを回避するようにしてもよい。この構成によって、特定の相手先の処理データは常に秘密にしたり、バックアップ不要にすることができる。
【0047】
なお、上述の実施形態においては、ファクシミリ機能、コピー機能、プリンタ機能を有する高機能複写機10の場合を説明するが、プリンタ機能、ファクシミリ、機能、コピー機能のいずれかのみの単機能の機器の場合にも適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係るデータ処理装置の第1実施形態を適用したファイルシステムの一例を示す図であり、そのシステム構成を示す接続図である。
【図2】その第1実施形態の全体構成を示すブロック図である。
【図3】その第1実施形態による処理原稿を示す平面図である。
【図4】本発明に係るデータ処理装置の第2実施形態を示す外観正面図である。
【図5】本発明に係るデータ処理装置の第3実施形態を示す外観正面図である。
【図6】その第1の他の態様を示す外観正面図である。
【図7】その第2の他の態様を示す外観正面図である。
【図8】本発明に係るデータ処理装置の第4実施形態を示す一部外観斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
10 複写機(データ処理装置)
11a〜11n パーソナルコンピュータ
12 大容量記憶装置(記憶手段)
13 サーバ装置
14 接続装置
21 制御部(蓄積回避手段、意向取得手段)
22 表示部
23 操作部
24 NCU部
25 通信制御部
26 読取部
27 原稿搬送部(意向取得手段)
27a、27b 原稿テーブル
27c 背景部材
28 記録部
29 給紙部(意向取得手段)
29a〜29c 記録紙カセット
29d、29e 手指しトレイ
30a、30b 排紙トレイ
30 排紙部
31 画像メモリ
32 画像処理部(意向取得手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画データや文字データを読み取って記録紙に記録出力する複写機能、画データや文字データを通信線を介して送受信する伝送機能、または受け取った画データや文字データを記録紙に記録出力する記録機能のうちの少なくとも1つ以上のデータ処理機能を備えるとともに、該データ処理機能による処理データをバックアップデータとして内蔵する記憶手段または外部装置の記憶手段に転送する転送機能を備えるデータ処理装置であって、
前記データ処理機能によるデータ処理前から該データ処理機能による処理データの転送処理終了までに当該処理データをバックアップデータとして前記記録手段に記憶・蓄積することを回避する意向を取得する意向取得手段と、該意向の認められる処理データをバックアップデータとして蓄積することを回避する蓄積回避手段と、を設けたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
前記意向取得手段は、原稿または記録紙として用いられた蓄積回避専用用紙の特徴を認識できたときに処理データの蓄積回避意向を取得することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記意向取得手段は、前記データ処理機能に指定された処理条件に応じて処理データの蓄積回避意向の有無を判定し取得することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記意向取得手段は、前記データ処理機能に処理データの処理条件として指定される、原稿または記録紙のセット位置、記録紙の排紙位置、処理データの伝送相手先、あるいは、処理データの記録依頼元がいずれであるかに応じて該処理データの蓄積回避意向の有無を判定し取得することを特徴とする請求項3に記載のデータ処理装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読取り取得した画像データを記録紙に記録出力する手段と、
前記画像データを蓄積する蓄積手段と、
前記画像データを前記蓄積手段に蓄積することを回避する意向を取得する意向取得手段と、
前記意向の認められる画像データを前記蓄積手段に蓄積することを回避する蓄積回避手段と、を有し、
前記意向取得手段は、蓄積を回避する条件として、前記原稿または前記記録紙のセット位置、前記記録紙の排紙位置、あるいは、前記処理データの記録依頼元、のうちいずれか1以上の条件に応じて、前記画像データの蓄積回避意向を判定し取得すること、
を特徴とするデータ処理装置。
【請求項2】
画像データを記録紙に記録出力する手段と、
前記画像データを蓄積する蓄積手段と、
前記画像データを前記蓄積手段に蓄積することを回避する意向を取得する意向取得手段と、
前記意向の認められる画像データを前記蓄積手段に蓄積することを回避する蓄積回避手段と、を有し、
前記意向取得手段は、前記記録紙として用いられた蓄積回避専用用紙の特徴を認識できたときに処理データの蓄積回避意向を取得すること、
を特徴とするデータ処理装置。
【請求項3】
画像データを送受信する伝送手段と、
前記伝送手段によって送受信される画像データを蓄積する蓄積手段と、
前記画像データを前記蓄積手段に蓄積することを回避する意向を取得する意向取得手段と、
前記意向の認められる画像データを前記蓄積手段に蓄積することを回避する蓄積回避手段と、を有し、
前記意向取得手段は、前記送受信される画像データの送信相手先又は受信相手先を取得し、前記取得した送信相手先又は受信相手先と、蓄積を回避する条件として予め登録された送信相手先又は前記画像データの受信相手先とに基づいて、前記画像データの蓄積回避意向を判定し取得すること、
を特徴とするデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−270984(P2006−270984A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−110904(P2006−110904)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【分割の表示】特願平10−136978の分割
【原出願日】平成10年5月19日(1998.5.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】