説明

データ解析装置、レーダ装置、およびデータ解析方法

【課題】サンプリング値に対するデータ解析を行うデータ解析装置において、サンプリング値を時系列に従って並べた時系列データにおける複数のピーク値の位置を正確に推定できるようにする。
【解決手段】レーダ装置においては、複数のサンプリング値を時系列に従って並べた時系列データにおいてサンプリング値の極大値および極小値を検出し(S10)、極小値として得られたサンプリング値以上の値を基準値として、この基準値よりも大きな値を有するサンプリング値のうちの時系列データにおいて互いに隣接するものをそれぞれグループとし、これらのグループ毎に入力信号が最大となるピーク位置を推定する(S20)。このようなレーダ装置によれば、極小値を変更することなく基準値を設定し、ピーク位置を推定することができるので、各ピーク位置を正確に推定することができる。従って、精度よく物標までの距離を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング値に対するデータ解析を行うデータ解析装置、レーダ装置、およびデータ解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サンプリング値に対するデータ解析を行うレーダ装置として、複数の物標からの反射波を適切に検出するための構成を備えたものがある。このようなレーダ装置としては、物標による反射波のサンプリング値を時系列に従って並べた時系列データにおいてサンプリング値のピーク領域(閾値以上の部分)およびピーク領域のうちの極小値を検出し、この極小値が0であるものとして、ピーク領域を複数に分離し、分離した各ピーク領域についてピーク位置(時間:物標までの距離)を推定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、図10(a)に示すような時系列データが得られた場合、上記技術では、極小値(谷)となるサンプリング値を0とする処理を行う(図10(b)参照)。この処理によって、ピーク領域を複数に分離する。このようにピーク領域を複数に分離すると、複数の物標までの距離を別々に検出しやすくすることができるようになる。
【0004】
なお、上記レーダ装置では、ピーク領域の極大値をピーク位置とすることもできるが、サンプリング周期によっては誤差が大きくなるため、ピーク領域の前後においてサンプリング値が基準値を横切る直近のタイミング(図10(c)に示すT1_1、T2_1、T1_2、T2_2)を推定し、分離したピーク領域毎にこれらのタイミングの中央となるタイミングを、ピーク位置として推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−014722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記レーダ装置では、極小値を0とした上で各ピーク領域の最大となる位置を推定するので、各ピーク領域の最大となる位置が正確に推定できない虞がある。すなわち、図10(c)に示す例では、極小値を0とすることで、T2−1、T1−2の値に誤差が生じるので、この誤差分だけ各ピーク領域のピーク位置が正確に推定できない虞がある。
【0007】
このような問題は、レーダ装置に限らず、サンプリング値に対するデータ解析を行うデータ解析装置において、サンプリング値から複数のピーク位置を推定する構成であっても同様に発生し得る。
【0008】
そこで、このような問題点を鑑み、サンプリング値に対するデータ解析を行うデータ解析装置において、サンプリング値を時系列に従って並べた時系列データにおける複数のピーク値の位置を正確に推定できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために成された第1の構成のデータ解析装置において、極大極小検出手段は、複数のサンプリング値を時系列に従って並べた時系列データにおいてサンプリング値の極大値および極小値を検出し、ピーク位置推定手段は、極小値として得られたサンプリング値以上の値を基準値として、この基準値よりも大きな値を有するサンプリング値のうちの時系列データにおいて互いに隣接するものをそれぞれグループとし、これらのグループ毎に入力信号が最大となるピーク位置を推定する。
【0010】
このようなデータ解析装置によれば、極小値を変更することなく基準値を設定し、ピーク位置を推定することができるので、各ピーク位置を正確に推定することができる。
ところで、上記データ解析装置においては、第2の構成のように、極大極小検出手段は、指定されたサンプリング値を表す対象値と、この対象値が検出された時刻の直前時刻におけるサンプリング値を表す直前値との大小関係を比較する比較手段と、対象値および直前値の大小関係に従って決定されるステータスを記録するステータス記録手段と、対象値の指定を時系列に従って変更し、対象値が変更される都度、比較手段とステータス記録手段とを実施する時系列制御手段と、ステータスが変化したことを検出し、このときにおける直前値を極大値または極小値として検出する極値検出手段と、を備えていてもよい。
【0011】
このようなデータ解析装置によれば、対象値と直前値との2つのサンプリング値を時系列に従って追うことで極大値および極小値を検出することができる。よって、3つ以上のサンプリング値を追う構成と比較して、処理負荷を軽減することができる。
【0012】
さらに、上記データ解析装置においては、第3の構成のように、ステータス記録手段は、対象値が直前値よりも大きい場合、ステータスとして立上り状態を記録するとともに、対象値が直前値よりも小さい場合、ステータスとして立下り状態を記録し、極値検出手段は、ステータスが立上り状態から立下り状態に変化したときに直前値を極大値として検出し、ステータスが立下り状態から立上り状態に変化したときに直前値を極小値として検出するようにしてもよい。
【0013】
このようなデータ解析装置によれば、より具体的に極大値および極小値を検出する構成を実現することができる。
また、上記データ解析装置においては、第4の構成のように、ピーク位置推定手段は、各グループのサンプリング値が検出されたタイミングの前後それぞれにおいてサンプリング値が基準値を横切る直近のタイミングを推定し、グループ毎にこれらのタイミングの中央となるタイミングを、ピーク位置として推定するようにしてもよい。
【0014】
このようなデータ解析装置によれば、サンプリング値が基準値を横切るタイミングに基づいてピーク位置を推定することができる。
さらに、上記データ解析装置においては、第5の構成のように、ピーク位置推定手段は、各サンプリング値をグラフとしてプロットしたときにおいて、各サンプリング値を順に接続した各線分と基準値を示す直線とで囲まれる領域のうちの基準値以上となる領域における重心の位置をピーク値として推定するようにしてもよい。
【0015】
このようなデータ解析装置によれば、基準値以上の領域の重心の位置に基づいてピーク位置を推定することができる。
また、上記データ解析装置においては、第6の構成のように、ピーク位置推定手段は、極大極小検出手段にて複数の極小値が検出された場合に、複数の極小値が前後に存在するサンプリング値については前後の極小値のうちの大きい方以上の値を基準値とし、極小値が前または後のみに存在するサンプリング値については前または後に存在する極小値以上の値を基準値とするようにしてもよい。
【0016】
このようなデータ解析装置によれば、複数の極小値が存在する場合であっても、サンプリング値のグループを適切に設定することができる。
次に、上記目的を達成するために成された第7の構成としてのレーダ装置は、送信波の送信および反射波の受信を行う送受信手段と、反射波を所定周期でサンプリングしたサンプリング値を生成するサンプリング手段と、このサンプリング値のピークを検出することで、物標までの距離を推定する距離推定手段と、を備え、距離推定手段は、上記データ解析装置として構成されていることを特徴とする。
【0017】
このようなレーダ装置によれば、上記データ解析装置の構成を利用して物標までの距離を検出することができるので、精度よく物標までの距離を検出することができる。
また、上記目的を達成するためには、第8の構成のように、上記データ解析装置としての構成をデータ解析方法として実現してもよい。このようなデータ解析方法によれば、上記データ解析装置と同様の効果を享受することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明が適用されたレーダ装置1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】送信タイミング信号STや装置各部の作動タイミングを示すタイミング図である。
【図3】データ解析処理を示す流れ図である。
【図4】サンプリング値を時系列に従って並べた時系列データを示すグラフである。
【図5】各ピーク領域の極大値と極小値とを検出するロジックを示す状態遷移図(その1)である。
【図6】各ピーク領域の極大値と極小値とを検出するロジックを示す状態遷移図(その2)である。
【図7】時系列データの一例を示す説明図(ピーク割れなしまたは1つのもの)である。
【図8】時系列データの一例を示す説明図(ピーク割れ2つのもの)である。
【図9】変形例において重心位置を検出する処理を示す説明図である。
【図10】従来例においてピーク値を算出する処理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
[本実施形態の構成]
図1は、本発明が適用されたレーダ装置1の全体構成を示すブロック図である。
【0020】
レーダ装置1は、車両に搭載され、車両の前方に存在する各種物標を検出し、その検出した物標に関する情報(距離,相対速度等)を生成する装置である。
図1に示すように、レーダ装置1は、送信タイミング信号STに従ってパルス状のレーザ光(送信波)を、車両前方の照射領域(監視対象領域)に向けて照射する発光部10と、レーザ光を反射した物標からの反射光(反射波)を受光して受光強度に応じた電気信号(受信信号)R1〜R4に変換する受光部20と、発光部10に供給する送信タイミング信号STを生成するとともに、受光部20から供給される受信信号R1〜R4に基づいて、レーザ光を反射した物標(反射物標)との距離を測定する測距部30と、測距部30での測定結果から、照射領域に存在する物標を検出し、その物標に関する情報(距離,速度等)を生成する信号処理部40とを備えている。
【0021】
発光部10は、送信タイミング信号STに従って、レーザ光を発生させるレーザダイオード等からなる発光素子11、レーザ光が上記照射領域に照射されるように発光素子11から放射されたレーザ光の照射範囲を調整するコリメートレンズ12等で構成されている。
【0022】
受光部20は、照射領域から到来する反射光を集光する集光レンズ21、集光レンズ21を介して受光した反射光の強度に応じた電圧値を有する電気信号を発生させる複数(本実施形態では4個)の受光素子からなる受光素子群22、受光素子群22を構成する各受光素子の受光信号を個別に増幅するために、受光素子毎に設けられた複数の増幅回路からなる増幅回路群23等で構成されている。
【0023】
なお、受光素子群22を構成する受光素子は、車幅方向(水平方向)に沿って一列に配置され、それぞれが、照射範囲における水平面内で異なった方向から到来する反射光を受光するように配置されている。
【0024】
以下では、受光素子,増幅回路からなる組みを受光チャンネルCH1〜CH4と称する。つまり、各受光チャンネルCHi(i=1〜4)から出力される増幅された信号が受信信号Riとなる。ここで受光チャンネル数4はあくまで一例であり、1つしかなくてもよいし、5以上でもよい。
【0025】
測距部30は、送信タイミング信号STを発生させる制御回路31と、受信信号R1〜R4毎に設けられ、各受信信号Riおよび送信タイミング信号STに基づいて、2種類の測距方式で求めた測距値をそれぞれが生成する複数の測距回路32a〜32dを備えている。ただし、測距回路32a〜32dはいずれも同様の構成をしているため、以下では、特に区別する必要がない場合は、測距回路32と記す。
【0026】
ここで、図2は、送信タイミング信号STや装置各部の作動タイミングを示すタイミング図である。
制御回路31は、図2に示すように、測定周期Tcycl(本実施形態ではTcycl=33ms)を表す周期信号を発生させ、この周期信号に同期して送信タイミング信号STを発生させる。送信タイミング信号STは、具体的には、測定周期Tcycl毎に出力されるN(本実施形態ではN=100)個のパルス信号からなる。また、パルス信号は、当該装置1の最大検知距離(本実施形態では50m)をレーザ光が往復するに要する時間(本実施形態では0.33μs)より十分に長い時間間隔Tw(本実施形態ではTw=18μs)で出力される。ただし、Tcycl,N,Twは、例示した値に限るものではなく、最低限、Tcycl>N×Twを満たすように設定されていればよい。
【0027】
図1に戻り、測距回路32は、測定周期Tcycl毎に照射されるN個のパルス信号のうち、任意の一つ(例えば50番目)を使用して測距し、第1測距値を生成する一発測距回路321と、N個のパルス信号を全て使用して測距し、第2測距値を生成する積分測距回路322とを備えている。
【0028】
一発測距回路321および積分測距回路322では、受信信号R1〜R4(反射強度に比例したアナログ信号)を所定サンプリング周期(例えば12.5ns毎)でAD変換し、得られたサンプリング値を解析することで物標までの距離を算出する点で共通する。しかし、一発測距回路321では、1つのパルス信号から得られる受信信号R1〜R4をサンプリングしたサンプリング値を利用する一方で、積分測距回路322では、全てのパルス信号から得られる各受信信号R1〜R4について、送信タイミングを基準として同一時間にサンプリングされたもの同士を加算することで積分サンプリング値を求め、この積分サンプリング値を利用する点が異なる。
【0029】
なお、本実施形態においては一発測距回路321および積分測距回路322のうちの一方を任意に選択して利用すればよい。また、本実施形態において一発測距回路321および積分測距回路322は、FPGAやASIC等のハードウェアから構成されている。
【0030】
このようなハードウェアを備えているのは、本処理をソフトウェアによる処理で実現する場合よりも処理速度を高速化できるからである。なお、一発測距回路321および積分測距回路322の機能のうちの受信信号R1〜R4を所定サンプリング周期でAD変換する機能については、FPGAやASICでない所定のAD変換回路から構成されていてもよい。
【0031】
図1に戻り、信号処理部40は、CPU,ROM,RAMを中心に構成された周知のマイクロコンピュータからなり、測距部30にて受光チャンネルCHi毎に供給される測距データ(物標までの距離)に従って物標の形状や大きさ等を検出し、その検出した物標との距離や相対速度を求める物標検出処理を少なくとも実行する。
【0032】
[測距回路32による処理の詳細]
次に測距回路32による処理の詳細について説明する。測距回路32による処理としては、図3に示すデータ解析処理を行う。なお、この処理はハードウェアにて実現されるが、ソフトウェアによって実現されてもよい。データ解析処理は、測距を行う周期においてレーザ光が発光される都度開始される処理であって、所定のサンプリング周期で入力信号をサンプリングすることによって得られる複数のサンプリング値に対するデータ解析を行う処理である。
【0033】
詳細には、図3に示すように、複数のサンプリング値を時系列に従って並べた時系列データにおいてサンプリング値の極大値および極小値(谷)を検出する極大極小検出処理(S10)、極小値として得られたサンプリング値以上の値を基準値(ピーク閾値)として、基準値よりも大きな値を有するサンプリング値のうちの時系列データにおいて互いに隣接するものをそれぞれグループ(ピーク領域)とし、これらのグループ毎に入力信号が最大となるピーク位置を推定するピーク位置推定処理(S20)、ピーク位置を距離情報として出力する距離情報出力処理(S30)を順に実施する。
【0034】
極大極小検出処理(S10)では、サンプリング値(または積分サンプリング値)の極大値の検出を行うが、この際、隣接する2点だけの関係を使って立上り(たちあがり)と立下り(たちさがり)を求める方法を採用する。なぜなら、この方式は2点の関係から判定するので、特開2008-14722号公報で採用されている3点の関係から極大値を判定する方法と比べてロジックが簡単にすむ利点があるからである。
【0035】
次に入力されるサンプリング値(ポイント)を以下のように定義する。
ポイント1 → (t1, a1)
ポイント2 → (t2, a2)
・・・ ・・・
ポイントn → (tn, an)
ここでt1, t2, ・・・,tnは入力番号で、具体的な値は0, 1,・・・ , n-1 である(整数)。これはAD変換されたサンプリング値が入力される順番であるが、物理的には時間に相当する。例えばサンプリング周波数が80MHzでAD変換(パイプライン式のAD変換)された場合、サンプリング間隔は12.5nsであるゆえ、(ti, ai)の物理的意味は、発光開始からti*12.5ns時間における波形値がaiであることを示す。(ただしこの説明はAD変換の遅れ時間は考慮していない。厳密な時間は「ti*12.5ns+AD変換遅れ時間」である。)
ここでポイント最後の番号nは入力波形の個数であり、装置固有の値である。この波形に対し、ai>ノイズ範囲、を満たす連続したaiの集団をピーク領域とする。aiがノイズ範囲を超えるということは、ノイズレベルより大きい信号であり、物標から反射してきた信号であると考えられるため、ピーク(物標の位置を示す値)を形成する信号であると判断する。
【0036】
ここで、図4は、サンプリング値を時系列に従って並べた時系列データの一例を示すグラフである。図4において、横軸は時間、縦軸は反射光のレベルを示す。
図4に示す例ではai>ノイズ範囲、を満たす連続したaiの集団として、2つのピーク領域が存在する。ピーク領域1はピーク割れが発生していないピーク領域であり、ピーク領域2はピークが2つに割れているピーク領域である。
【0037】
なお、ノイズ範囲は回路によって決定される値である。ノイズ範囲は、回路におけるノイズ信号の絶対値の分散に定数をかけることで決定したり、実験的に決定したりする等、任意の値を採用することができる。
【0038】
次に、図5および図6は、入力されたサンプリング値から各ピーク領域の極大値と極小値とを検出するロジックを示す状態遷移図である。測距回路32はこの状態遷移図を実現するステートマシンとしての機能を有する。以下このステートマシンによる作動について説明する。
【0039】
測距回路32によるステートマシンとしての機能では、サンプリング値を記録するメモリに対する書込みが許可された時点で作動を開始する。ステータス(Sxxxと表記)が何れの状態であるかについては、ステータスが遷移する度にレジスタ等のメモリにおいて遷移後のステータスを示す値を記録することによって管理される。
【0040】
ステートマシンとしての機能が作動を開始すると、クロックの立上りでS110の状態に移行する。S110の状態では、以下のように入力波形を記録する。すなわち、クロック立上りに同期して入力されるサンプリング値(ti, ai)のうち、ai(サンプリング値)をレジスタAに代入し、ti(入力番号)をレジスタTに代入する。
【0041】
ここで代入を完了したレジスタAの値がノイズ範囲以下(A≦ノイズ範囲)になる場合は、入力された波形は反射ピークの信号でなくノイズ信号であったと判定してS120に移行する。S120において状態変数に、「ピーク領域待ち」をセットする。
【0042】
セット完了後、現在の入力番号であるTレジスタと入力個数(入力サンプリング値の個数:規定値)の比較を行い、T≧入力数である場合、サンプリング値の入力は終了したと判断し、ステートマシンとしての作動を終了する。(T=入力数になったとき、書き込みは禁止になる。)
このステートマシンの作動再開は、次のサンプリングの入力を開始したとき、つまり書込みが許可状態に変化したときである。S120においてT<入力個数、である(つまり入力がまだ続く)場合、次のクロック立上りでS110に移行し、次の入力サンプリング値をレジスタA、レジスタTに上書き代入する。
【0043】
そして、S110においてレジスタAの代入完了後、ノイズ範囲との大小比較を行いA≦ノイズ範囲である場合、つまり入力波形がピーク領域に入らない限り、S110→S120→S110のループを繰り返し、「ピーク領域待ち」の状態が続く。
【0044】
S110の入力波形がピーク領域に入る(A>ノイズ範囲)とS130に移行し、状態変数に「ピーク領域開始」をセットして次の波形の入力(クロック立上り)を待つ。S130でクロックが立上るとS140に移行し、次の入力波形に対するサンプリング値をレジスタB、レジスタTに代入する。
【0045】
代入完了後にS140はレジスタBと、レジスタAの大小関係を比較する。ここでレジスタAとBの大小関係を比較するのは、波形が立上っているのか立下がっているのかを判定するためである。(AはBの1クロック前のサンプリング値である。)
S140においてA≦Bが成り立つ場合、波形は「立上っている」と判定し、S150に移行して状態変数に「立上り状態1」をセットする。セット完了後S160に移行し、最大値1にレジスタB、最大位置1にBの波形位置であるレジスタTを代入する。
【0046】
代入完了後S170に移行し、レジスタBの値をレジスタAに代入する。その後クロックの立上りでS140に移行する。このように、入力波形が立上り続ける限り、S140→S150→S160→S170→S140のループが繰り返される。このループを繰り返す限り(つまり立上り続ける限り)、ピークの最大値1と最大位置1はS160で更新され、常に大きい値に置き換わっていく。
【0047】
次にS140でレジスタ代入後A>Bが成り立つと「立下り開始」と判定し、S180に移行して状態変数に「立下り状態1」をセットする。つまりここでピーク頂点(極大値)が発生したと判断する。S180に移行した時点以降、S160に移行することはなくなるため、ここでS160で最終的にセットした値がピークの最大値1と最大位置1として確定する。
【0048】
S180で「立下り状態1」を状態変数にセットした後、S190に移行してレジスタBをレジスタAに代入する。S190での代入完了後次のクロック立上りでS200に移行し、現在の入力サンプリング値をレジスタBとレジスタTに代入する。代入完了後、レジスタAとBの大小比較を行い、A≧Bかつ、B>ノイズ範囲である場合、S190に移行してレジスタBをレジスタAに代入する。そしてこの「立下り」条件が続く限り、S200→S190→S200のループは続く。
【0049】
次にS200でB≦ノイズ範囲となった時点で、ピーク割れを発生することなく、ピーク立下り状態の後、ピーク領域を抜けたと判定する。この流れは図4に示すピーク領域1のピークを検出した場合の状態遷移に相当する。そしてS210に移行し、状態変数に「ピーク割れなし」とセットする。
【0050】
セット完了後S220に移行し谷1をクリアする。谷1とはピーク割れが発生したときの谷の波形値を記録するレジスタである。そしてS120に移行して、次の「ピーク領域待ち」の状態に入る。
【0051】
次にS200のレジスタA、Bの大小比較において、A<Bかつ、B>ノイズ範囲である場合、「立下り状態」から「立上り状態」への移行が開始されたと判断して、S230に移行して谷1にレジスタAを代入する。つまりこの波形以降でピーク割れ状態になると判断し、谷の値を谷1に記録する。谷1への代入完了後、S240に移行して状態変数に「立上り状態2」をセットする。
【0052】
セット完了後、S250に移行しピークの最大値2にレジスタBを、最大位置2にレジスタTを代入する。代入完了後S260に移行し、レジスタAにレジスタBを代入する。次にクロックの立上りでS270に移行し、現在の入力サンプリング値をレジスタBとレジスタTに代入する。
【0053】
代入が完了した後レジスタBとレジスタAの比較を行い、A≦Bの場合、谷からの「立上り状態」は続行していると判断し、S250へ移行する。谷からの立上りが続く限り、S250→S260→S270→S250のループは繰り返される。そしてS250で次のピークの最大値2と最大位置2は更新され続ける。
【0054】
次にS270においてA>Bとなる場合、谷からの立上りは終了して立下りを始めたと判断し、S280に移行して状態変数に「立下り状態2」をセットする。つまり2個目のピーク頂点がここで現れたと判断され、2個目のピークの最大値2と最大位置2は、S250で最終的に代入された値に確定する。
【0055】
S280のセット完了後、S290に移行してレジスタBをレジスタAに代入する。代入完了後S290でクロックが立上ると、S300に移行して現在の入力サンプリング値をレジスタBとレジスタTに代入する。
【0056】
S300において代入完了後のレジスタAとBを比較し、A≧BかつB>ノイズ範囲となる場合立下り続行と判断して、S290に移行する。2個目のピークの立下りが続く限り、S300→S290→S300のループは繰り返される。
【0057】
S300で代入完了したレジスタBの値がB≦ノイズ範囲となる場合、ピーク領域は抜けたと判断し、S310に移行して状態変数に「ピーク2個割れ」をセットする。つまりここでピークが2個に割れた状態になってピーク領域を抜けたと判定したことになる。S310のセット後S120に移行し、次の「ピーク領域待ち」の状態に入る。この流れは図4のピーク領域2の2つに割れたピークを検出した場合の状態遷移に相当する。
【0058】
次にS300の代入完了したレジスタBがA<BかつB>ノイズ範囲となる場合、第3の立上りが発生したと判断し、図6に示すS320に移行する。S320において谷2にレジスタAを代入する。
【0059】
この谷2は3つに割れたピークの2番目の谷のサンプリング値を記録するレジスタである。代入完了後、S330に移行して状態変数に「立上り状態3」をセットする。セット完了後S340に移行して、ピークの最大値3にレジスタBを、最大位置3にレジスタTを代入する。
【0060】
代入完了後、S350に移行してレジスタAにレジスタBを代入する。代入完了後クロック立上りで、S360に移行して現在のサンプリング値をレジスタBとレジスタTに代入する。代入完了後、レジスタAとBの大小比較を行い、A≦Bの場合は立上り続行と判断してS330に移行する。立上りが続行される限り、S340→S350→S360→S340のループが繰り返される。
【0061】
また3個目のピークの最大値3と最大位置3はこのループで更新され続ける。S360のレジスタAとBの大小比較でA>Bの場合、3個目のピークの頂点がここに現れたと判断し、S370に移行して状態変数に「立下り状態3」をセットする。
【0062】
この時点で3個目のピークの最大値3と最大位置3は最新値に確定する。S370のセット完了後S380に移行し、レジスタAにレジスタBを代入する。S380の代入完了後、クロックの立上りでS390に移行して現在のサンプリング値をレジスタBとレジスタTに代入する。
【0063】
S390で現在のサンプリング値の代入完了後、レジスタAとBの大小比較を行う。A≧BかつB>ノイズ範囲の場合、立下り続行と判断してS380に移行する。立下りが続行される限り、S380→S390→S380のループは繰り返される。
【0064】
S390の大小比較でB≦ノイズ範囲となる場合、ピークが3個に割れた状態でピーク領域を抜けたと判断しS400に移行する。S400において状態変数に「ピーク3個割れ」をセットし、セット後にS120の「ピーク領域待ち」状態に移行する。
【0065】
次にS390の大小比較でA<BかつB>ノイズ範囲となる場合、立上り発生で4個目のピークに向けて立上りが開始したと判定して、S410に移行する。ここでは、谷3の設定と次の「立上り状態4」の設定に移行するようにしてもよいが、本実施形態ではピーク領域が最大3つに割れた状態までの検出を限度とし、それ以上にピーク領域が割れた場合の検出は無視するものとする。
【0066】
よってS410においては状態変数に「ピーク検出停止」をセットし、クロック立上りでS420に移行し、入力される現在のサンプリング値のうち波形値をレジスタBに代入する。代入完了後、レジスタBとノイズ範囲を比較し、B>ノイズ範囲である限り、ピーク領域は続くので、ピーク検出を行わずにピーク領域終了を待つS410→S420→S410のループが続く。
【0067】
S420の比較において、B≦ノイズ範囲となった段階で初めてピーク領域を抜けたと判断し、S400に移行して状態変数に「ピーク3個割れ」をセットして、S120に移行する。S120に移行した後は、「ピーク領域待ち」状態に入る。
【0068】
なお、ピーク割れを4個以上検出したい場合は、図6のS410→S420の箇所に、S320〜S390までの処理と同じ処理を、さらに追加検出したいピークの個数分入れればよい。
【0069】
このような図5および図6の状態遷移図に示す処理を実行すると、1つのピーク領域に対して、
(1)最大値1、最大位置1
(2)最大値2、最大位置2
(3)最大値3、最大位置3
(4)谷1
(5)谷2
の5種類のアウトプットが得られる。ただし、これはピークが3個割れまでの検出に限定した場合であり、ピークが4個以上割れる場合は、上記アウトプットの種類も増える。
【0070】
上記のように極大極小検出処理は実施される。続いて、ピーク位置推定処理を実施する(S20)。この処理では話を単純にするために、以下の説明はピークが3個割れの発生を検出限度として話を進めていく。(4個以上ピーク割れが発生する場合も、以下の説明と同様に拡張すればよい。)
ピーク位置推定処理では、まず、ピーク頂点推定に使う閾値を算出する。閾値を算出する際には、ピーク割れの個数に応じて、以下式を使いピーク閾値を算出する。
【0071】
(1)ピーク割れがなかった場合(図7(a)参照)
ピーク閾値1 = 最大値1*k (0<k<1)
(2)ピークが2つに割れた場合(図7(b)参照)
ピーク閾値1 =(最大値1−谷1)*k +谷1 (0<k<1)
ピーク閾値2 =(最大値2−谷1)*k +谷1 (0<k<1)
(3)ピークが3つに割れかつ谷1≧谷2の場合(図8(a)参照)
ピーク閾値1 =(最大値1−谷1)*k +谷1 (0<k<1)
ピーク閾値2 =(最大値2−谷1)*k +谷1 (0<k<1)
ピーク閾値3 =(最大値3−谷2)*k +谷2 (0<k<1)
(4)ピークが3つに割れかつ谷1<谷2の場合(図8(b)参照)
ピーク閾値1 =(最大値1−谷1)*k +谷1 (0<k<1)
ピーク閾値2 =(最大値2−谷2)*k +谷2 (0<k<1)
ピーク閾値3 =(最大値3−谷2)*k +谷2 (0<k<1)
この閾値設定方法が特開2008-14722と違っているところは、kをかける基準を谷の位置に持ってきたところにある。特開2008-14722では閾値の基準をゼロレベルにしており、谷が最大値*kで設定される閾値より必ず小さくなっていることが必要であった。このため、谷の位置を強制的にゼロレベルにしている。仮に、谷の位置をゼロにせず、そのままにして閾値を設定すると、谷の位置が閾値より上になる場合があり、ピーク領域を分離できなくなり、正しいピーク推定位置は得られなくなる。
【0072】
しかし本実施形態では図7(b)に示すように閾値設定の基準を谷においているため、谷から測ったピークの高さに対して係数kをかけた値が閾値となる。また特開2008-14722のようにサンプリング値の一部を強制的にゼロにすることがないため、波形の形状を変えることなく本来の波形に対してT1,T2を求めることができる。
【0073】
ここで、閾値を上記式の何れを用いて決定するかについては、ステートマシンの作動中にセットされる状態変数の値から判定する。仮に状態変数が、「ピーク割れなし」→「ピーク領域待ち」に変化した場合、現在検出中のピーク領域はピークが割れることなく終了したと判定し、上記(1)の閾値を設定する。
【0074】
また状態変数が、「ピーク2個割れ」→「ピーク領域待ち」に変化した場合、現在検出中のピーク領域はピークが2個に割れた状態で終了したと判定し、上記(2)の閾値を設定する。また状態変数が「ピーク3個割れ」→「ピーク領域待ち」に変化した場合、現在検出中のピーク領域はピークが3個に割れた状態で終了したと判定し、ステートマシンの出力している谷1と谷2の大きさ(高さ)の関係から上記(3)または(4)の閾値を設定する。
【0075】
閾値を設定する処理では、
(1) ピーク割れ信号
(2) ピーク閾値1〜3
(3) ピーク最大位置1〜3
の値が確定していることを記録する。
【0076】
ここで(1)のピーク割れ信号とは、(2)〜(3)の出力がピーク割れなし、ピーク割れ2つ、ピーク割れ3つのいずれかの状態での閾値であるかを知らせる信号である。このピーク割れ信号によって、距離算出手段は(2)(3)の出力のうち有効なものがわかる。
【0077】
例えば、ピーク割れなしの場合は、ピーク閾値1とピーク最大位置1のみが有効であり、ピーク閾値2〜3、ピーク最大位置2〜3出力は無効であることを意味する。またピーク割れ2つの場合だと、ピーク閾値1〜2とピーク最大位置1〜2が有効であり、ピーク閾値3とピーク最大位置3出力は無効であることを意味する。同様にピーク割れ3つの場合では、ピーク閾値1〜3とピーク最大位置1〜3全てが有効な出力であることを意味する。
【0078】
続いて、距離を算出する。この処理では、閾値が設定された時点で、ピーク割れ信号に応じて有効な数のピーク閾値と、ピーク最大位置を取り込む。そして、サンプリング値の入力が完了した時点(メモリへの書込みが禁止に変わる)で、算出終了信号を有効にする。このとき全てのピーク領域での閾値算出は終了している。
【0079】
そして、測距回路32は、各グループのサンプリング値が検出されたタイミングの前後それぞれにおいてサンプリング値が基準値を横切る直近のタイミングであるT1_n、T2_n(nはピーク領域の番号)を推定し、グループ毎にこれらのタイミングの中央となるタイミング((T2_n+T1_n)/2)を、ピーク位置として推定する(図7、図8参照)。
【0080】
続いて、距離情報出力処理では、ピーク位置を示す距離(発光開始時点からピーク位置までの時間に基づいて算出される。)が信号処理部40に対して出力される。
[本実施形態による効果]
以上のように詳述したレーダ装置1においては、送信波の送信および反射波の受信を行う発光部10、受光部20と、反射波を所定周期でサンプリングしたサンプリング値を生成し、このサンプリング値のピークを検出することで、物標までの距離を推定する測距部30と、を備えている。測距部30は、複数のサンプリング値を時系列に従って並べた時系列データにおいてサンプリング値の極大値および極小値を検出し、極小値として得られたサンプリング値以上の値を基準値として、この基準値よりも大きな値を有するサンプリング値のうちの時系列データにおいて互いに隣接するものをそれぞれグループとし、これらのグループ毎に入力信号が最大となるピーク位置を推定する。
【0081】
このようなレーダ装置1によれば、極小値を変更することなく基準値を設定し、ピーク位置を推定することができるので、各ピーク位置を正確に推定することができる。従って、精度よく物標までの距離を検出することができる。
【0082】
また、上記レーダ装置1において測距部30は、指定されたサンプリング値を表す対象値と、この対象値が検出された時刻の直前時刻におけるサンプリング値を表す直前値との大小関係を比較し、対象値および直前値の大小関係に従って決定されるステータスを記録する。そして、対象値の指定を時系列に従って変更し、対象値が変更される都度、対象値および直前値の大小関係に従ってステータスを更新する。さらに、ステータスが変化したことを検出し、このときにおける直前値を極大値または極小値として検出する。
【0083】
より詳細には、測距部30は、対象値が直前値よりも大きい場合、ステータスとして立上り状態を記録するとともに、対象値が直前値よりも小さい場合、ステータスとして立下り状態を記録し、ステータスが立上り状態から立下り状態に変化したときに直前値を極大値として検出し、ステータスが立下り状態から立上り状態に変化したときに直前値を極小値として検出する。
【0084】
このようなレーダ装置1によれば、対象値と直前値との2つのサンプリング値を時系列に従って追うことで極大値および極小値を検出することができる。よって、3つ以上のサンプリング値を追う構成と比較して、処理負荷を軽減することができる。
【0085】
また、上記レーダ装置1において測距部30は、各グループのサンプリング値が検出されたタイミングの前後それぞれにおいてサンプリング値が基準値を横切る直近のタイミングを推定し、グループ毎にこれらのタイミングの中央となるタイミングを、ピーク位置として推定する。
【0086】
このようなレーダ装置1によれば、サンプリング値が基準値を横切るタイミングに基づいてピーク位置を推定することができる。
また、上記レーダ装置1において測距部30は、複数の極小値が検出された場合に、複数の極小値が前後に存在するサンプリング値については前後の極小値のうちの大きい方以上の値を基準値とし、極小値が前または後のみに存在するサンプリング値については前または後に存在する極小値以上の値を基準値とする。
【0087】
このようなレーダ装置1によれば、複数の極小値が存在する場合であっても、サンプリング値のグループを適切に設定することができる。
[その他の実施形態]
本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0088】
例えば、上記実施形態において、上記レーダ装置1において測距回路32は、各サンプリング値をグラフとしてプロットしたときにおいて、各サンプリング値を順に接続した各線分と基準値を示す直線とで囲まれる領域のうちの基準値以上となる領域における重心の位置をピーク値として推定するようにしてもよい。
【0089】
例えば、ピーク割れが発生していない場合には、図9(a)に示すように、各サンプリング値を順に接続した各線分と基準値となるノイズ範囲の上限値(またはゼロレベル)を示す直線とで囲まれる部分(ハッチングで示す部分)の重心位置を求める。なお、重心位置=モーメント/面積、で算出することができる。モーメントの算出方法は周知であるためここでは省略する。
【0090】
また、ピーク領域が2つに割れている場合には、図9(b)に示すように谷1より上の領域を使って、左右2つのピークの重心を求める。各サンプリング値を順に接続した各線分と基準値となる谷1レベルの直線とで囲まれる部分(ハッチングで示す部分)の重心位置を求める。
【0091】
このようなレーダ装置1によれば、基準値以上の領域の重心の位置に基づいてピーク位置を推定することができる。
なお、ピーク位置を推定する手法としては、上記実施形態や変形例の手法に限らず、極小値(谷)以上となる領域を利用したものであれば、他の手法を採用するもできる。
【0092】
[実施形態と本発明との関係]
上記実施形態の測距回路32は本発明でいうデータ解析装置に相当し、実施形態の発光部10、受光部20は、本発明でいう送受信手段に相当する。また、上記実施形態の測距部30は、本発明でいうサンプリング手段および距離推定手段に相当する。
【0093】
また、上記実施形態のデータ解析処理は、本発明でいうデータ解析方法に相当し、特に、S10の処理は、本発明でいう極大極小検出手段、極大極小検出工程に相当し、S20の処理は、ピーク位置推定手段、ピーク位置推定工程に相当する。
【0094】
さらに、S20の処理には、本発明でいう比較手段、ステータス記録手段、時系列制御手段、極値検出手段が含まれる。
【符号の説明】
【0095】
1…レーダ装置、10…発光部、11…発光素子、20…受光部、21…集光レンズ、22…受光素子群、30…測距部、31…制御回路、32…測距回路、40…信号処理部、321…一発測距回路、322…積分測距回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のサンプリング周期で入力信号をサンプリングすることによって得られる複数のサンプリング値に対するデータ解析を行うデータ解析装置であって、
前記複数のサンプリング値を時系列に従って並べた時系列データにおいてサンプリング値の極大値および極小値を検出する極大極小検出手段と、
前記極小値として得られたサンプリング値以上の値を基準値として、該基準値よりも大きな値を有するサンプリング値のうちの時系列データにおいて互いに隣接するものをそれぞれグループとし、これらのグループ毎に入力信号が最大となるピーク位置を推定するピーク位置推定手段と、
を備えたことを特徴とするデータ解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ解析装置において、
前記極大極小検出手段は、
指定されたサンプリング値を表す対象値と、該対象値が検出された時刻の直前時刻におけるサンプリング値を表す直前値との大小関係を比較する比較手段と、
前記対象値および前記直前値の大小関係に従って決定されるステータスを記録するステータス記録手段と、
前記対象値の指定を時系列に従って変更し、前記対象値が変更される都度、前記比較手段と前記ステータス記録手段とを実施する時系列制御手段と、
前記ステータスが変化したことを検出し、このときにおける直前値を極大値または極小値として検出する極値検出手段と、
を備えたことを特徴とするデータ解析装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ解析装置において、
前記ステータス記録手段は、前記対象値が前記直前値よりも大きい場合、前記ステータスとして立上り状態を記録するとともに、前記対象値が前記直前値よりも小さい場合、前記ステータスとして立下り状態を記録し、
前記極値検出手段は、前記ステータスが立上り状態から立下り状態に変化したときに前記直前値を極大値として検出し、前記ステータスが立下り状態から立上り状態に変化したときに前記直前値を極小値として検出すること
を特徴とするデータ解析装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のデータ解析装置において、
前記ピーク位置推定手段は、前記各グループのサンプリング値が検出されたタイミングの前後それぞれにおいて前記サンプリング値が前記基準値を横切る直近のタイミングを推定し、前記グループ毎にこれらのタイミングの中央となるタイミングを、前記ピーク位置として推定すること
を特徴とするデータ解析装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のデータ解析装置において、
前記ピーク位置推定手段は、前記各サンプリング値をグラフとしてプロットしたときにおいて、前記各サンプリング値を順に接続した各線分と前記基準値を示す直線とで囲まれる領域のうちの基準値以上となる領域における重心の位置を前記ピーク値として推定すること
を特徴とするデータ解析装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のデータ解析装置において、
前記ピーク位置推定手段は、前記極大極小検出手段にて複数の極小値が検出された場合に、複数の極小値が前後に存在するサンプリング値については前後の極小値のうちの大きい方以上の値を前記基準値とし、極小値が前または後のみに存在するサンプリング値については前または後に存在する極小値以上の値を前記基準値とすること
を特徴とするデータ解析装置。
【請求項7】
所定の送信波を監視対象領域に送信し、その反射波を検出することで送信波を反射した物標までの距離を検出するレーダ装置であって、
送信波の送信および反射波の受信を行う送受信手段と、
前記反射波を所定周期でサンプリングしたサンプリング値を生成するサンプリング手段と、
このサンプリング値のピークを検出することで、前記物標までの距離を推定する距離推定手段と、
を備え、
前記距離推定手段は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のデータ解析装置として構成されていること
を特徴とするレーダ装置。
【請求項8】
所定のサンプリング周期で入力信号をサンプリングすることによって得られる複数のサンプリング値に対するデータ解析を行うデータ解析方法であって、
前記複数のサンプリング値を時系列に従って並べた時系列データにおいてサンプリング値の極大値および極小値を検出する極大極小検出工程と、
前記極小値として得られたサンプリング値以上の値を基準値として、該基準値よりも大きな値を有するサンプリング値のうちの時系列データにおいて互いに隣接するものをそれぞれグループとし、これらのグループ毎に入力信号が最大となるピーク位置を推定するピーク位置推定工程と、
を実施することを特徴とするデータ解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図9】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−36928(P2013−36928A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175027(P2011−175027)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】