説明

トナーカートリッジ及び該トナーカートリッジが組み込まれた画像形成装置

【課題】トナーカートリッジを操作するためのレバーを外力から保護することができるトナーカートリッジ及びこのトナーカートリッジが組み込まれた画像形成装置を提供することが課題である。
【解決手段】トナーを収容するトナーカートリッジであって、前記トナーカートリッジを操作するためのレバーと、該レバーを部分的に取り囲むカバーと、を備え、該カバーは、前記レバーを覆わない非被覆領域を形成し、該非被覆領域を通じて、使用者が前記レバーに接触可能であることを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーを貯留可能に形成されるとともに画像形成装置にスライド方式で着脱されるトナーカートリッジ及び当該トナーカートリッジが組み込まれた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタに代表される画像形成装置には、トナーを現像装置に補給するためのトナーカートリッジが着脱自在に取り付けられる。トナーカートリッジは、例えば、画像形成装置の筐体の所定箇所にスライド可能に着脱自在に取り付けられる。スライド可能なトナーカートリッジは、画像形成装置の筐体に対して水平方向に引き出され、且つ、押し込められる。一般的に、スライド可能なトナーカートリッジの端壁には、把持部が設けられ、使用者は、把持部を握り、容易にトナーカートリッジを筐体から引き出すことができる。
【0003】
トナーカートリッジは、シャッタ機構を備えてもよい。シャッタ機構は、画像形成装置にトナーカートリッジが取り付けられる前、トナーカートリッジが画像形成装置から取り外された後或いはトナーカートリッジの交換の間、望ましくないトナーの外部への漏出を防止する。
【0004】
トナーカートリッジは、トナー排出口を有する筐体と、トナー排出口を開閉可能に形成されるシャッタと、シャッタを操作可能に形成されたレバーと、レバーをロックするロック部材を備えてもよい。閉位置にあるレバーは、ロック部材の弾性部分を弾性変形させ、ロック部材を閉位置に付勢する。トナーカートリッジの筐体が画像形成装置の筐体に取り付けられた後、ロック部材によるロックは解除され、レバーは閉位置から開位置へ回動可能とされる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−205587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のレバーは、トナーカートリッジの端壁から露出し、使用者によるレバーへの接触が容易にされてもよい。このようなレバーは、回動するための構造を備え、比較的外力に対して脆弱である。トナーカートリッジは、交換のために単独で運搬される。運搬の間、端壁から露出したレバーは建物の床面、側壁或いは他の機器に潜在的に衝突される。この結果、レバー自体或いはレバーと接続される回転機構(例えば、シャッタ)の機能が損なわれることとなる。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、トナーカートリッジを操作するためのレバーを外力から保護することができるトナーカートリッジ及びこのトナーカートリッジが組み込まれた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係るトナーカートリッジは、前記トナーカートリッジを操作するためのレバーと、該レバーを部分的に取り囲むカバーと、を備え、該カバーは、前記レバーを覆わない非被覆領域を形成し、該非被覆領域を通じて、使用者が前記レバーに接触可能であることを特徴とする(請求項1)。
【0009】
上記構成によれば、トナーカートリッジを操作するためのレバーは、カバーによって部分的に覆われるため、レバーが外力から保護されるとともに、非被覆領域を通じてレバーに接触する使用者がカバーによって保護されることとなる。
【0010】
上記構成において、前記レバーに接続されるとともに前記トナーカートリッジをロックするためのストッパを更に備え、前記レバーは、前記トナーカートリッジをロックしない第1位置と、前記トナーカートリッジをロックする第2位置との間で回転可能に形成されることが好ましい(請求項2)。
【0011】
上記構成によれば、レバーを第1位置と第2位置との間で操作することにより、ロック並びにロック解除がなされることとなる。
【0012】
上記構成において、前記トナーカートリッジは更にトナー補給口と、該トナー補給口を開閉するとともに前記レバーに接続されるシャッタとを更に含み、前記レバーは、前記トナー補給口を閉じる第1位置と、前記トナー補給口を開く第2位置との間で回転可能に形成されることが好ましい(請求項3)。
【0013】
上記構成によれば、シャッタがレバーに接続される。レバーが第1位置にあるとき、トナー補給口が閉じられる。レバーが第2位置にあるとき、トナー補給口が開かれる。したがって、レバーの操作に応じて、トナーを補給するためのトナー補給口の開閉を行うことができる。
【0014】
上記構成において、前記トナーを収容可能に形成された筐体を更に含み、前記カバーは、前記レバーと前記筐体との間に配設されるとともに前記レバーを支持する基板と、該基板に対向して配設される把持板とを更に含み、前記把持板の縁部は、前記非被覆領域の境界の少なくとも一部をなすことが好ましい(請求項4)。
【0015】
上記構成によれば、トナーを収容可能に形成された筐体とレバーとの間に基板が配設され、基板はレバーを支持する。把持板は、基板と対向して配設され、レバーは、基板と把持板との間に配設されることとなる。したがって、把持板は、トナーを収容する筐体から最も離間した位置に配設されることとなる。把持板の縁部は、非被覆領域の境界の少なくとも一部をなすので、使用者は把持板を掴むことができる。
【0016】
上記構成において、前記カバーは、前記第2位置にあるレバーに沿う底板を含むことが好ましい(請求項5)。
【0017】
上記構成によれば、底板は第2位置にあるレバーに沿うので、第1位置からのレバーの回転が第2位置を越えてなされることが防止される。したがって、底板は使用者を保護するカバーとして機能するだけでなく、レバーの操作を規制する規制部材としても機能することができる。
【0018】
上記構成において、前記基板と前記筐体との間に配設されるとともに前記レバーと前記シャッタとを連結させる回転機構を更に備え、前記基板は、前記回転機構と前記レバーとの間を仕切ることが好ましい(請求項6)。
【0019】
上記構成によれば、シャッタは回転機構を介してレバーに接続される。基板は、ギア機構とレバーとの間を仕切るので、使用者が回転機構に接触することが防止される。
【0020】
上記構成において、前記カバーは、前記基板の側縁と前記把持板の側縁との間に形成された側板を更に含むことが好ましい(請求項7)。
【0021】
上記構成によれば、カバーが側板を更に含むので、レバーを操作する使用者を更に好適に保護することができる。
【0022】
上記構成において、前記カバーは、前記第1位置にあるレバーに沿う側板を更に含むことが好ましい(請求項8)。
【0023】
上記構成によれば、側板は第1位置にあるレバーに沿うので、第2位置からのレバーの回転が第1位置を越えてなされることが防止される。したがって、側板は使用者を保護するカバーとして機能するだけでなく、レバーの操作を規制する規制部材としても機能することができる。
【0024】
上記構成において、前記カバーは、前記基板の両側縁と前記把持板の両側縁との間で延びる一対の側板と、前記基板、前記把持板及び前記一対の側板で囲まれる領域を塞ぐ底板と、を更に含むことが好ましい(請求項9)。
【0025】
上記構成によれば、一方向を除いて、レバーはカバーによって取り囲まれるので、レバーを操作する使用者は好適にカバーによって保護されることとなる。
【0026】
上記構成において、前記カバーに、前記非被覆領域を拡げる切り欠き部が形成されることが好ましい(請求項10)。
【0027】
上記構成によれば、切り欠き部が非被覆領域を拡げるので、レバーへの接触が容易になり、レバーの操作性の向上を図ることが可能となる。
【0028】
本発明の他の局面に係るトナーカートリッジは、内部にトナーを収容し、前記トナーカートリッジのスライド方向と直交する方向に少なくとも1つの側壁を含む筐体と、該筐体の側壁に取り付けられるカバーと、該カバーに回動可能に取り付けられるレバーと、を備え、前記カバーは、前記レバーを回動可能に保持するとともに前記側壁に係合される基板と、前記基板に対して筐体と反対側に離間し且つ該基板に対向して配置される把持板と、を含み、該把持板と前記レバーとの間に把持空間が形成され、該把持空間の上方から手指を差し入れ可能となることを特徴とする(請求項11)。
【0029】
上記構成によれば、レバーを保持するとともにトナーカートリッジの側壁に係合される基板と把持板の間に把持空間が形成される。したがって、レバーは把持板で外力から保護されることとなる。
【0030】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シートにトナー画像を形成する画像形成部と、該画像形成部にトナーを補給するための着脱自在な上述のトナーカートリッジと、を備え、該トナーカートリッジは、トナーを収容する筐体と、前記トナーカートリッジを操作するためのレバーと、該レバーを部分的に取り囲むカバーと、を含み、該カバーは、前記レバーを覆わない非被覆領域を形成し、該非被覆領域を通じて、使用者が前記レバーに接触可能であることを特徴とする(請求項12)。
【0031】
上記構成によれば、トナーカートリッジを操作するためのレバーは、カバーによって部分的に覆われるため、非被覆領域を通じて、レバーに接触する使用者がカバーによって保護されることとなる。したがって、シートにトナー画像を形成する画像形成部にトナーを補給するためのトナーカートリッジを安全に取り付けることができる。また、レバーがカバーによって外力から保護されることとなる。
【0032】
上記構成において、前記カバーは、前記レバーと前記筐体との間に配設されるとともに前記レバーを回転可能に支持する基板と、該基板に対向して配設される把持板とを更に含み、前記基板の縁部及び前記把持板の縁部は、前記非被覆領域の境界の少なくとも一部をなすことが好ましい(請求項13)。
【0033】
上記構成によれば、トナーを収容可能に形成された筐体とレバーとの間に基板が配設され、基板はレバーを支持する。把持板は、基板と対向して配設され、レバーは、基板と把持板との間に配設されることとなる。したがって、把持板は、トナーを収容する筐体から最も離間した位置に配設されることとなる。把持板の縁部は、非被覆領域の境界の少なくとも一部をなすので、使用者は把持板を掴むことができる。かくして、使用者は、把持板を掴んだまま、トナーを収容した筐体を先に画像形成装置に取り付けることができるので、トナーカートリッジを容易に画像形成装置に組み込むことができる。
【0034】
上記構成において、前記トナーカートリッジは、スライド可能に前記画像形成装置に着脱されるように形成され、前記基板と前記把持板は、前記トナーカートリッジのスライド方向を横切るように配設されることが好ましい(請求項14)。
【0035】
上記構成によれば、使用者は、把持板を掴んだまま、トナーを収容した筐体を先に画像形成装置に取り付け、トナーカートリッジを画像形成装置に押し込むことができる。したがって、画像形成装置へのトナーカートリッジの装着が比較的容易になる。
【発明の効果】
【0036】
上述の如く、トナーカートリッジを操作するためのレバーを外力から保護することができるトナーカートリッジ及びこのトナーカートリッジが組み込まれた画像形成装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の斜視図である。
【図2】図1に示される画像形成装置の内部構造を示す。
【図3】図1に示される画像形成装置の中継装置に取り付けられたトナーカートリッジを示す。
【図4】図3に示されるトナーカートリッジの展開斜視図である。
【図5】図4に示されるトナーカートリッジの組み立て斜視図である。
【図6】図4に示されるトナーカートリッジの断面図である。
【図7】図4に示されるトナーカートリッジの斜視図である。
【図8】図3に示されるトナーカートリッジ及び中継装置の支持部材の断面図である。
【図9】図3に示されるトナーカートリッジ及び中継装置の支持部材の断面図である。
【図10】図3に示されるトナーカートリッジ及び中継装置の支持部材の断面図である。
【図11】レバーの操作を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いる「正面」、「背面」、「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。「正面」或いはこれに類する用語は、特段の記載がない限り、使用者が操作をする側の面を意味する。「背面」、「左」、「右」或いはこれに類する用語は、「正面」を基準に定められる方向を意味する。「シートの先頭縁」或いはこれに類する用語は、シートの縁のうち搬送方向の先頭に位置する縁を意味する。
【0039】
図1は、本発明の一実施形態にしたがう画像形成装置の斜視図である。図2は、図1に示される画像形成装置の内部構造を概略的に示す。図1及び図2に示される画像形成装置は、いわゆる胴内排紙型の複写機であるが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ装置、これらの機能を備える複合機やトナー画像をシートに形成するための他の装置であってもよい。
【0040】
画像形成装置10は、略直方体形状の筐体11と、筐体11に内蔵された画像形成部12及び定着部13と、筐体11内でシートを貯留する貯留部14と、筐体11の中段に形成された排出部15と、筐体11の上部に設けられた画像読み取り部16並びに操作部17とを備える。筐体11は、画像形成部12、定着部13及び貯留部14を内蔵する略直方体形状の下部筐体111と、画像読み取り部16並びに操作部17が備えられる扁平な略直方体形状の上部筐体112と、下部筐体111と上部筐体112とを連結する平面視略L字形状の連結筐体113とを含む。連結筐体113は、筐体11の左縁及び背面縁に沿って延びる。下部筐体111の上面、上部筐体112の下面及び連結筐体113の右面は、内方へ窪んだ排出部15を形成する。
【0041】
操作部17は、上部筐体112の正面部分を構成する。操作部17は、テンキー171、LCDタッチパネル172及び他の操作キーを含む。操作部17は、画像形成処理に関する情報を入力可能に形成される。使用者は、例えば、テンキー171を通じて、印刷されるシートの枚数等を入力したり、LCDタッチパネル172を通じて、印刷濃度等を入力したりすることができる。
【0042】
図2は、図1に示される画像形成装置10の内部構造を概略的に示す。図2と併せて、図1を参照しつつ、画像形成装置10が更に説明される。
【0043】
使用者は、画像読み取り部16を通じて、所望の原稿の画像を画像形成装置10に読み取らせることができる。画像読み取り部16は、上部筐体112の上面に取り付けられるコンタクトガラス161と、コンタクトガラス161上で回動する押さえカバー162とを含む。使用者は、押さえカバー162を上方に回動させ、コンタクトガラス161上に所望の原稿を載置し、押さえカバー162を下方に回動させ、コンタクトガラス161上の原稿を押さえることができる。上部筐体111内には、走査機構163が配設される。使用者が、例えば、操作部17を通じて、画像形成装置10を作動させると、走査機構163は、コンタクトガラス161上の原稿の画像を走査して読み取る。走査機構163によって読み取られた画像のアナログ情報は、デジタル信号に変換される。画像形成装置10は、デジタル信号に基づき、シートPに画像を形成する。
【0044】
シートPは、貯留部14から供給される。貯留部14は、下部筐体111に着脱自在に挿入される給紙カセット142と、下部筐体111の右面に回動自在に取り付けられる手差しトレイ141とを含む。給紙カセット142は、略直方体形状の箱であり、給紙カセット142の上部は開口している。給紙カセット142内には、複数のシートPが積層されてなるシート束P1が貯留される。給紙カセット142の左縁上方にピックアップローラ143が配設され、給紙カセット142ではシート束P1の左縁(先頭縁)が押し上げられ、シート束P1の左縁がピックアップローラ143に当接させる。ピックアップローラ143は、シート束P1から1枚ずつシートPを、搬送路110へ送り出す。搬送路110の途中部に設けられた搬送ローラ対は、後述の第2転写ローラ113と後述の中間転写ベルト125で形成された2次転写ニップにシートPを送る。尚、本実施形態では、1つの給紙カセット142が用いられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、2以上の積層された給紙カセット142が貯留部14に用いられてもよい。
【0045】
手差しトレイ141の下縁部に支持シャフト141aが形成されている。手差しトレイ141は、支持シャフト141a周りに回動可能に下部筐体111の右面に取り付けられる。手差しトレイ141は、下部筐体111の右面に沿い、給紙口を閉止する閉止位置と、右方へ突出する開放位置との間で回動可能である。開放位置にある手差しトレイ141は、シートPを支持可能である。手差しトレイ141上のシートPは、給紙ローラ144等によって、下部筐体111に内蔵された後述の第2転写ローラ113と後述の中間転写ベルト125で形成された2次転写ニップへ送られる。
【0046】
下部筐体111の正面壁には、メンテナンスドア19が上下に回動可能に取り付けられる。使用者は、メンテナンスドアを開け、貯留部14から送られた後、下部筐体111内で詰まったシートPを除去することができる。
【0047】
画像形成部12は、貯留部14から送られたシートPにトナー画像を形成する。下部筐体111内の給紙カセット142の上方には、マゼンダ色のトナーでトナー画像を形成するマゼンダ用ユニット12M、シアン色のトナーでトナー画像を形成するシアン用ユニット12C、イエロ色のトナーでトナー画像を形成するイエロ用ユニット12Y及びブラック色のトナーでトナー画像を形成するブラック用ユニット12Kが配設される。マゼンダ用ユニット12M、シアン用ユニット12C、イエロ用ユニット12Y及びブラック用ユニット12Kは、右方から左方に順次配設されている。
【0048】
各ユニット12M,12C,12Y,12Kは、感光体ドラム121及び感光体ドラム121にトナーを供給する現像装置122を備える。感光体ドラム121の周面に静電潜像が形成された後、現像装置122からトナーが供給され、静電潜像に対応するトナー像(可視像)が形成される。
【0049】
図2中の感光体ドラム121は反時計回りに回転する。感光体ドラム121に形成されたトナー像は、感光体ドラム121の上方を移動する中間転写ベルト125に転写される。
【0050】
下部筐体111には、マゼンダ色のトナー、シアン色のトナー、イエロ色のトナー及びブラック色のトナーをそれぞれ収容する4つのトナーカートリッジ20が着脱自在に取り付けられる。これらトナーカートリッジ20は、中間転写ベルト125と排出部15との間に位置する。各トナーカートリッジ20から各ユニット12M,12C,12Y,12Kに向けてトナー補給ダクト(図示せず)が延び、各ユニット12M,12C,12Y,12Kへトナーが補給される。
【0051】
画像形成部12は、各ユニット12M,12C,12Y,12Kの感光体ドラム121の下方に設けられた帯電装置123と、帯電装置123の下方に設けられた露光装置124とを更に含む。帯電装置123は、感光体ドラム121の周面を一様に帯電させる。露光装置124は、読取られた原稿に応じたデジタル信号に基づき、レーザ光を帯電された感光体ドラム121の周面に照射する。この結果、各ユニット12M,12C,12Y,12Kの感光体ドラム121の周面には、原稿の各色成分に対応した静電潜像が形成されることとなる。その後、現像装置122は、感光体ドラム121の周面にトナーを供給し、静電潜像にトナーが静電的に付着し、トナー画像が形成される。
【0052】
各感光体ドラム121上方の中間転写ベルト125は、左方の駆動ローラ125aと右方の従動ローラ125bとの間で延びる。下側に位置する中間転写ベルト125(左方へ向けて移動する)の下面は、各感光体ドラム121の周面に当接する。中間転写ベルト125の外周面は、トナーを担持する面として用いられる。各感光体ドラム121の上方には、転写ローラ126が配設される。転写ローラ126によって、中間転写ベルト125は感光体ドラム121の周面に押しつけられながら、駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間を周回する。駆動ローラ125aと従動ローラ125bとの間に、テンションローラ125cが配設されている。テンションローラ125cは、例えば、付勢部材(図示せず)によって、上方に付勢されている。付勢部材によって上方に押し上げられたテンションローラ125cは、従動ローラ125bの近くで、上方に突出した山型の中間転写ベルト125の輪郭を作り出し、中間転写ベルト125に張力を生じさせる。
【0053】
中間転写ベルト125の周回の間、マゼンダ用ユニット12Mの感光体ドラム121が中間転写ベルト125にマゼンダトナーのトナー像を転写する。その後、マゼンダ色のトナー像上に、シアン用ユニット12Cがシアントナーのトナー像を転写する。更にその後、マゼンダトナーとシアントナーとが重ね合わせられてなるトナー像上に、イエロ用ユニット12Yがイエロトナーのトナー像を転写する。最後に、マゼンダトナー、シアントナー及びイエロトナーが重ね合わせられてなるトナー像上に、ブラック用ユニット12Kがブラックトナーのトナー像を転写し、フルカラートナー像が完成する。中間転写ベルト125上で完成されたフルカラートナー像は貯留部14から搬送されたシートPに転写される。
【0054】
画像形成部の左方において、搬送路110が上下方向に延びる。搬送路110は、搬送ローラ対112を含む。貯留部14から搬送されたシートPは、搬送ローラ対112によって搬送されるとともに搬送路110によって案内され、後述の第2転写ローラ113と後述の中間転写ベルト125で形成された2次転写ニップへ向かう。搬送路110は、第2転写ローラ113を含む。第2転写ローラ113は、中間転写ベルト125が巻回された駆動ローラ125aに対向し、中間転写ベルト125の外周面に当接し、2次転写ニップ部を形成する。搬送路110に案内され、中間転写ベルト125と第2転写ローラ113との間の2次転写ニップ部に送られたシートPは、中間転写ベルト125と第2転写ローラ113によって押圧挟持され、中間転写ベルト125上で完成されたフルカラートナー像がシートPに転写される。
【0055】
画像形成装置10は更に、クリーニング装置128を備える。クリーニング装置128はシートPへのトナー画像の転写(一般に、二次転写と称される)後に中間転写ベルト125上に残留したトナーを除去し、中間転写ベルト125を清浄化する。クリーニング装置128は従動ローラ125bに対向して配設される。
【0056】
定着部13は、画像形成部によってシートP上に転写されたトナー像に対して定着処理を行う。定着部13は、加熱ローラ131と、加熱ローラ131に対向して配設される定着ローラ132と、加熱ローラ131と定着ローラ132との間で延びる定着ベルト133と、定着ローラ132と対向して(圧接して)配設される加圧ローラ134とを含む。加熱ローラ131は、加熱源として用いられる通電発熱体を内蔵する。
【0057】
トナー像を担持したシートPは、定着部13に搬送される。シートPが加圧ローラ134と高温の定着ベルト133との間を通過する間、トナー像は定着ベルト133から熱を受け、シートPに定着される。
【0058】
定着部13による定着処理が完了し、カラー印刷が終了する。カラー印刷が施与されたシートPは、定着部13から上方に延びる搬送路114に案内され、連結筐体113の右面から排出部15に排出される。下部筐体111の上面は、カラー印刷が施与されたシートPを支持する排紙トレイ151として用いられる。
【0059】
図3は、図2中、二点鎖線で示される中継装置60を示す斜視図である。図3と併せて、図2を参照しつつ、中継装置60の配置が説明される。
【0060】
中継装置60は、下部筐体111内において、下部筐体111の正面壁に沿って配設される。中継装置60の上面は、各トナーカートリッジ20の前端を支持可能に形成される。中継装置60の背面側に画像形成装置の構成要素(感光体ドラム121,中間転写ベルト125、現像装置122、帯電装置123)が配設される。中継装置60は、トナーカートリッジ20から中間転写ベルト125の下方に配設される各現像装置122に向けて供給されるトナーを案内する。
【0061】
中継装置60は、更に、転写工程後に生じた廃トナーを収容する役割を担う。各感光体ドラム121の左方には、クリーニング装置127が配設される。クリーニング装置127は、中間転写ベルト125へのトナー像の転写(一次転写と称される)を終えた感光体ドラム121の周面に残留するトナーを除去し、除去されたトナーは、廃トナーとして中継装置60内に収容される。クリーニング装置127により清浄化された感光体ドラム121の周面は、帯電装置123へ向かい、新たに、帯電処理を施与される。また、クリーニング装置128が、中間転写ベルト125の右方において、従動ローラ125bに対向して配設される。クリーニング装置128は、シートPへのトナー像の転写(二次転写と称される)を終えた中間転写ベルト125の外周面に残留するトナーを除去し、除去されたトナーは、廃トナーとして中継装置60内に収容される。クリーニング装置128により清浄化された中間転写ベルト125の外周面は、その後、各感光体ドラム121から新たなトナー像の転写を受ける。
【0062】
図4は、図3に示されるトナーカートリッジ20の斜視図であり、図5は、図4に示されるトナーカートリッジ20の組立図である。図4及び図5と併せて、図1及び図3を参照しつつ、トナーカートリッジが説明される。
【0063】
トナーカートリッジ20は、トナーを収容可能に形成されるとともに上方に開口した筐体30と、筐体30の開口部を閉止する蓋体40と、筐体30の前端に取り付けられるアタッチメント50とを備える。筐体30及び蓋体40は、中継装置60によって支持される前端から画像形成装置10の背面に向けて延びる(中継装置60にトナーカートリッジ20が装着された状態で)。トナーカートリッジ20は、下部筐体111の前面からスライド式に挿入並びに引き出しされる。
【0064】
筐体30は、トナーカートリッジ20がスライドされる方向に対して直交する方向に拡がる前板31と、前板31に対向して配設される後板32と、前板31の下縁と後板32の下縁との間で延びる底板33と、底板33の左縁から上方に延びる左板34と、底板33の右縁から上方に延びる右板35とを含む。
【0065】
底板33は、右底板33aと左底板33bとを含む。右底板33aと左底板33bは円弧断面を備える。右底板33aの円弧断面の半径は、左底板33bの円弧断面の半径よりも大きい。筐体30内には、右底板33aと左底板33bの境界に沿って延びる仕切り板331が配設され、仕切り板331は、筐体30の内部空間を左右に部分的に区画する。
【0066】
前板31には、充填口が形成される。充填口を介して、トナーが筐体30内に導入される。筐体30内にトナーが充填された後、充填口は、キャップ313によって閉止される。
【0067】
蓋体40は、平坦な天板41と、天板41の前縁から前方に向けて下方に傾斜する前板42と、天板41の左縁から下方に延びる左板43と、天板41の右縁から下方に延びる右板44と、天板41の後縁から下方に延びる後板45とを含む。天板41、前板42、左板43、右板44と後板45は樹脂で一体成型されている。
【0068】
蓋体40の上面には、平面視略C型の凹部411が形成される。凹部411内には、凹部411と相補的な形状の把手412が配設される。把手412は、上下に回動可能に蓋体40に取り付けられる。蓋体40の下縁全体から外方に向けて延びる上フランジ46が形成される。筐体30の上縁全体から外方に向けて延びる下フランジ39が形成される。上フランジ46と下フランジ39は、略等しい形状をなし、互いに重ね合わせられる。上フランジ46が下フランジ39上に積層された後、これらの間に溶着処理(例えば、高周波を用いて)が施与され、筐体30が蓋体40によって閉止される。
【0069】
筐体30内には、アジテータ36が配設される。アジテータ36は、筐体30内のトナーを攪拌可能に形成される。アジテータ36は、後板32から前板31に向けて延びる攪拌シャフト361と、攪拌シャフト361の周面から攪拌シャフト361の半径方向に延びるフィルム製の複数の攪拌フィン362とを含む。図4に示されるアジテータ36は、90°ピッチで配設される4枚の攪拌フィン362を含むが、本発明はこれに限定されず、単数の攪拌フィン362、2枚の攪拌フィン362、3枚の攪拌フィン362或いは5以上の攪拌フィンを含んでもよい。
【0070】
攪拌シャフト361は、右底板33aの曲率中心に沿って延びる。攪拌シャフト361の回転中心から攪拌フィン362の先端縁までの距離は、右底板33aの曲率半径よりも長い。攪拌シャフト361が回転すると、攪拌フィン362の先端縁は右底板33aの上面を摺動し、トナー全体が攪拌されることとなる。
【0071】
筐体30の内部には、後板32から前板31に向けて延びるスクリューフィーダ37及びスクリューフィーダ前端を取り巻く筒状シャッタ38が配設される。
【0072】
図4は更に、部分的に切り取られた筒状シャッタ38を示す。図6は、図5のV−V線断面図である。図4及び図6と併せて、図5を参照しつつ、トナーカートリッジ20が更に説明される。
【0073】
スクリューフィーダ37は、左底板33b上に配設され、後板32から前板31に向けて延びるフィーダシャフト371とフィーダシャフト371の周囲を同心且つ螺旋状に取り巻くスパイラルフィン372とを備える。フィーダシャフト371の回転軸は、左底板33bの曲率中心に一致する。スパイラルフィン372の外半径は、左底板33bの曲率半径よりもわずかに小さい。左底板33bの前端近傍には、トナー補給口332が形成される。スパイラルフィン372は、フィーダシャフト371とともに回転し、トナーをトナー補給口332に搬送するように形成される。
【0074】
後板32の外面には、攪拌シャフト361とフィーダシャフト371とを連結させるギア機構(図示せず)が形成される。ギア機構は、攪拌シャフト361とフィーダシャフト371とを連動して回転させる。ギア機構には、駆動モータ(図示せず)が接続される。駆動モータの駆動力の伝達により、攪拌シャフト361とフィーダシャフト371とが同時にそれぞれの軸心周りに回転する。
【0075】
筒状シャッタ38は、筒381と、筒381の前端面から前方に突出するシャフト382とを含む。筒381の外半径は、左底板33bの曲率半径よりわずかに小さく、スパイラルフィン372の外半径よりもわずかに大きい。シャフト382は、筒381に対して同心である。筒381の周壁に開口部381aが形成される。開口部381aは、トナー補給口332に対して連通可能に形成される。
【0076】
スクリューフィーダ37が回転すると、筒状シャッタ38の後端の開口部からトナーが筒状シャッタ38内に進入する。筒381の前部を閉塞する前壁381bは、筒状シャッタ38を超えてトナーが前方に移動することを防止する。前壁381bの中心から前方に向けてシャフト382が突出する。シャフト382の先端には、キー溝382aが形成される。シャフト382は、キー溝382aを介して、第2セクトギア533と噛み合う。筒381の前壁381bの内面には支持孔382bが形成される。フィーダシャフト371の前端は、支持孔382bに挿入されるとともに回転可能に支持される。したがって、フィーダシャフト371の回転は筒状シャッタ38に伝達されない。筒状シャッタ38は第2セクトギア533と連動して回転する。
【0077】
前板31の外面には前方に突出する環状の位置決め部314が形成される。位置決め部314は、フィーダシャフト371に対して同軸に形成される。位置決め部314の軸に沿って貫通孔314aが形成される。後述の第2セクトギア533のキー突起533dは、貫通孔314aに挿入されるとともに回転可能に支持される。
【0078】
図7は、アタッチメント50の斜視図である。図7(a)は、アタッチメント50の展開斜視図である。図7(b)は、アタッチメント50の外部構造を示す組立図である。図7(c)は、アタッチメント50の内部構造を示す組立図である。図7と併せて、図4及び図6を参照しつつ、アタッチメント50が説明される。
【0079】
アタッチメント50は、筐体30の前端に装着される。アタッチメント50は、画像形成装置10の筐体11へのトナーカートリッジ20の取り付け並びに筒状シャッタ38に対する開閉動作のために用いられる。
【0080】
アタッチメント50は、筐体30の前端を覆うカバー51を含む。カバー51は、トナーカートリッジ20が、画像形成装置10の筐体11に取り付けられるとき及び筐体11から引き出されるときに取っ手として用いられる。アタッチメント50は更に、筒状シャッタ38を開閉させるため及びトナーカートリッジ20を中継装置60に固定するための操作に用いられるレバー52と、レバー52の回転をシャッタ部材38に伝達する回転機構53とを含む。
【0081】
レバー52を部分的に取り囲むカバー51は、レバー52と筐体30との間に配設されるとともにレバー52を回転可能に支持する基板514と、基板514の前方に配設されるとともに基板514に対向する把持板512と、基板514の下縁と把持板512の下縁との間で延びる底板511とを含む。カバー51は更に、基板514の左右縁と把持板512の左右縁との間で延びる一対の側板513を含む。基板514の上縁、把持板512の上縁及び側板513の上縁で囲まれる領域は、レバー52を覆わない非被覆領域であり、非被覆領域を通じて、使用者はレバー52に接触可能である。基板514、底板511、把持板512及び側板513の間に形成される把持空間V0に、使用者は指を挿入し、トナーカートリッジ20を掴んだり、レバー52を操作したりすることができる。基板514、底板511、把持板512及び側板513は、把持空間V0に挿入される使用者の指が、トナーカートリッジ20の周囲に配設される他の機器に接触することを防止し、使用者の指を保護する役割を担う。尚、底板511は、基板514の下縁、把持板512の下縁及び側板513の下縁が囲む領域を閉塞する。したがって、一方向を除き、レバー52が取り囲まれるので、レバー52が外力から好適に保護されることとなる。
【0082】
カバー51は更に、基板514の左右縁それぞれから後方に延びる一対の挟持板510を含む。挟持板510は、筐体30へのアタッチメント50の取り付けのために用いられる。挟持板510は、筐体30の前端を挟持する。これにより、カバー51が筐体30に取り付けられる。各挟持板510は、角穴510aを含む。筐体30の左板34の前端部及び右板35の前端部には外方に突出する突起部351が形成される。アタッチメント50が筐体30へ取り付けられているとき、一対の挟持板510は突起部351によって外方に弾性変形され、その後、角穴510aに突起部351が嵌り込み、アタッチメント50が筐体30の前端部に取り付けられる。
【0083】
把持板512の上縁には台形状の切り欠き部512aを形成されている。切り欠き部512aは、把持板512の上縁の略右半分の区間を占め、基板514の上縁、把持板512の上縁及び側板513の上縁で囲まれる非被覆領域を拡げる。使用者は、切り欠き部512aを介して、把持空間V0に右手の指を挿入し、レバー52を操作することができる。したがって、切り欠き部512aは、レバー52の操作性を向上させることができる。尚、左利きの使用者のために、把持板512の上縁の略左半分の区間を占めるように、切り欠き部512aが形成されてもよい。
【0084】
基板514の中央には、取り付け孔514aが形成される。取り付け孔514aには、回転シャフト531が挿入される。回転シャフト531の前端には、レバー52が取り付けられる。基板514の内面の左側領域には、後方に向けて突出する円柱状の突起部514bが形成される。突起部514bには、第2セクトギア533が取り付けられる。
【0085】
回転シャフト531を介して基板514に取り付けられたレバー52は、把持空間V0内に配置される。レバー52は、円筒部521と、円筒部521の外周面から接線方向に延びるレバープレート522とを含む。図示例では、レバープレート522は、レバー52が時計回りに容易に回転できるようにするために、円筒部521の左端から上方に向けて延出しているが、レバー52が反時計回りに操作される場合には、円筒部521の右端から上方に向けて延出してもよい。回転シャフト531の前端には、Dカット部531bが設けられている。円筒部521の背面には、回転シャフト531の前端と相補的な形状をなすD孔521aが形成される。D孔521aは、円筒部521に対して同心に形成される。円筒部521は、D孔521aより径小の貫通孔521bを含む。貫通孔521bは、円筒部521に対して同心に形成される。回転シャフト531の前端面にはねじ穴531aが形成される。回転シャフト531のDカット部531bを円筒部521のD孔521aに挿入し、ねじSを、貫通孔521bを通じて、D孔521aに挿入された回転シャフト531のねじ穴531aに螺合することで、レバー52は回転シャフト531に連結することができる。
【0086】
レバー52は、レバープレート522が垂直に向いた第1位置と、レバープレート522が水平に横臥した第2位置との間で回転可能である。底板511は、第2位置にあるレバープレート522に沿い、レバープレート522が底板511を越えて回転することを防止する。左方に位置する側板513は、第1位置にあるレバープレート522に沿い、レバープレート522が側板513を越えて回転することを防止する。レバー52が第2位置にある間、筒状シャッタ38の開口部381aは、トナー補給口332と連通するとともに、トナーカートリッジ20は画像形成装置10の筐体11にロックされる。一方、レバー52が第1位置にあるとき、筒状シャッタ38の開口部381aは、トナー補給口332と連通せず、且つ、トナーカートリッジ20と画像形成装置10の筐体11との間のロックが解除されることとなる。
【0087】
基板514と筐体30との間に形成される回転機構53は、レバー52の円筒部521に嵌合される前端部を含む回転シャフト531と、回転シャフト531の後端部を外嵌する第1セクトギア532と、第1セクトギア532と噛み合う第2セクトギア533とを含む。回転シャフト531は、基板514の取り付け孔514aに回転可能に嵌入される。第2セクトギア533は、基板514の突起部514bに回転可能に取り付けられる。基板514は、レバー52と回転機構53との間を仕切る。
【0088】
回転シャフト531は、基板514の厚さよりも若干長く形成され、回転シャフト531の前端及び後端は、基板514の外面及び内面からそれぞれ若干突出する。
【0089】
上述の如く、ねじSは、レバー52の円筒部521と回転シャフト531とを連結させる。したがって、レバー52を回転させると、回転シャフト531はレバー52と一体的に回転する。回転シャフト531の後端の周面からキー片531cが外方に向けて突出する。回転シャフト531が基板514の取り付け孔514aに挿入されるとき、キー片531cは基板514の内面に引っ掛かり、回転シャフト531の前方への移動を停止させ、基板541に対する回転シャフト531の位置決めを行う。
【0090】
略環状の第1セクトギア532の外周面の半円周に亘って、ギア歯532aが形成される。第1セクトギア532の外周面の他の半円周上に角柱状のストッパ532bが形成される。レバー52が、第1位置にある間、ギア歯532aは第1セクトギア532の外周面の左方に位置し、ストッパ532bは第1セクトギア532の外周面から右方に突出する。第1セクトギア532の中心に形成される中心孔532cの直径は、回転シャフト531の外径よりもわずかに大きい。第1セクトギア532の内周面には、半径方向に延びるキー溝532dが形成される。キー溝532dは、回転シャフト531のキー片531cと相補的である。キー溝532dとキー片531cとが噛み合うように、回転シャフト531は第1セクトギア532の中心孔532cに挿入される。第1セクトギア532は回転シャフト531と一体的且つ同心に回転することができる。
【0091】
第2セクトギア533の外周面の半周面にはギア歯533aが形成される。レバー52が、第1位置にある間、ギア歯533aは、第2セクトギア533の外周面の右側に位置し、第1セクトギア532のギア歯532aと噛み合う。第2セクトギア533の前端面には、基板514の突起部514bと相補的な凹部533bが形成される。第2セクトギア533の凹部533bに突起部514bが挿入され、第2セクトギア533は回転可能に支持される。
【0092】
第2セクトギア533の後端面から連結筒533cが後方に突出する。連結筒533cの内径は、前板31の位置決め部314の外径よりもわずかに大きい。カバー51が筐体30の前端に取り付けられるとき、位置決め部314は連結筒533c内に挿入され、第2セクトギア533の位置決めがなされる。
【0093】
第2セクトギア533の後端面から後方にキー突起533dが突出する。キー突起533dは、連結筒533c内に挿入された筒状シャッタ38のシャフト382の先端に形成されたキー溝382aと噛み合う。これにより、第2セクトギア533の回転は、キー突起533dとキー溝382aとの間の噛み合いを通じて、筒状シャッタ38の筒381に伝達される。この結果、筒381は、開口部381aとトナー補給口332とが互いに連通する開放位置と、開口部381aとトナー補給口332とが連通しない閉止位置との間で回転可能となる。
【0094】
図3を再度参照し、中継装置60の構造が説明される。
【0095】
中継装置60は、略直方体形状の筐体61と、筐体61の上面に配設される支持部材62とを含む。支持部材62は、各トナーカートリッジ20の前端を支持するように形成される。
【0096】
中継装置60は、各トナーカートリッジ20から各現像装置122へトナーを中継する複数本の中継ダクト(図示せず)と、各感光体ドラム121を清浄化する各クリーニング装置127及び中間転写ベルト125を清浄化するクリーニング装置128によって除去された廃トナーを案内する回収ダクト(図示せず)と、回収ダクトを通じて搬送された廃トナーを貯留する回収容器(図示せず)とを内蔵する。
【0097】
支持部材62は、各トナーカートリッジ20の幅寸法と略等しい幅の支持プレート621と、支持プレート621の左右縁から上方に立設される仕切り壁622(図3中、5つの仕切り壁622が示されている)と、各支持プレート621の上面に配設されるシャッタ機構623とを含む。互いに隣接する一対の仕切り壁622の間には、支持空間V1が形成され、支持空間V1内にトナーカートリッジ20の前端が挿入される。
【0098】
トナーカートリッジ20は、支持空間V1に水平に後方に向けてスライド式に押し込まれる。この間、シャッタ機構623のシャッタプレート(図示せず)は、トナーカートリッジ20によって開かれる。トナーカートリッジ20が前方に引き出されると、シャッタプレートに接続される付勢部材(図示せず)によって、シャッタプレートは閉止位置に戻される。基板514及び把持板512は、トナーカートリッジ20のスライド方向に対して直交する方向に延びるので、使用者は、把持板512を握ってトナーカートリッジ20を容易にスライドさせることができる。
【0099】
図8は、支持部材62及び第2位置にあるレバー52を含むトナーカートリッジ20の断面図である。図8と併せて、図3及び図7(c)を参照しつつ、支持部材62へのトナーカートリッジ20の取り付けが説明される。
【0100】
支持プレート621は、ロック孔621aを含む。図7(c)に示される第1位置からレバー52を90°時計回りに回転させると(レバー52を第2位置まで回転させると)、第1位置にレバー52があるとき水平方向に突出していたストッパ532bは、下方に突出こととなる。下方に突出したストッパ532bの先端は、ロック孔621aに入り込む。これにより、トナーカートリッジ20は支持プレート621に対してロックされることとなり、画像形成装置10の筐体11から引き抜くことはできなくなる。その後、レバープレート522を垂直に指向させるようにレバー52を第1位置にすると、図7(c)に示される位置にストッパ532bが戻り、トナーカートリッジ20のロックが解除されることとなる。このとき、ストッパ532bは、ロック孔621aと係合せず、トナーカートリッジ20は前方に支持空間V1から引き出し可能となる。
【0101】
図9は、トナーカートリッジ20及び支持部材62の断面図である。図9(a)は、第1位置にあるレバー52を含むトナーカートリッジ20及び支持部材62の断面図であり、図9(b)は、レバー52が第1位置にあるときの筒状シャッタ38の筒381に形成された開口部381aの位置を示すトナーカートリッジ20及び支持部材62の断面図である。図10は、トナーカートリッジ20及び支持部材62の断面図である。図10(a)は、第2位置にあるレバー52を含むトナーカートリッジ20及び支持部材62の断面図であり、図10(b)は、レバー52が第2位置にあるときの筒状シャッタ38の筒381に形成された開口部381aの位置を示すトナーカートリッジ20及び支持部材62の断面図である。
【0102】
レバー52が第1位置にあるとき、レバープレート522は垂直方向を向く。このとき、第1セクトギア532のストッパ532bは、支持プレート621のロック孔621aから外れ、第1セクトギア532の周面から右方に延びている。この時、筒状シャッタ38の筒381に形成された開口部381aは、左方に向き、トナー補給口332とは連通しない。したがって、トナーカートリッジ20内のトナーは、トナーカートリッジ20外に漏れ出ることはない。
【0103】
レバー52が第2位置にあるとき、レバープレート522は水平に横臥される。このとき、第1セクトギア532のストッパ532bは、支持プレート621のロック孔621aに嵌り込むように、第1セクトギア532の周面から下方に延びる。レバープレート522が水平に横臥されるようにレバー52を回転させると、第1セクトギア532と噛み合う第2セクトギア533は筒状シャッタ38のシャフト382周りに反時計回りに90°回転する。この結果、第2セクトギア533と一体的に回転する筒状シャッタ38の筒381に形成された開口部381aは、下方に向き、トナー補給口332と連通する。また、スクリューフィーダ37はトナー補給口332に向けてトナーを搬送する。したがって、トナーカートリッジ20内のトナーは、スクリューフィーダ37の回転とともに、筒状シャッタ38の開口部381a及び筐体30のトナー補給口332を介して、現像装置122へ補給される。このとき、ストッパ532bは、支持プレート621のロック孔621aに嵌り込むため、トナーカートリッジ20は画像形成装置10の筐体11から引き出すことはできない。
【0104】
図11は、レバー52の操作を示す。
【0105】
上述の如く、筐体30の前端にカバー50が取り付けられると、カバーの底板511、底板511の前縁から上方に延びる把持板512、底板511の左右縁から上方に延びる一対の側板513と、把持板512に対向するように延びる基板514との間に把持空間V0が形成される。使用者は、把持空間V0内に手又は指を挿入し、レバー52に接触し、レバー52を操作することができる。底板511、把持板512、一対の側板513及び基板514は、使用者の手及び/又は指を保護する役割を担い、使用者の手及び/又は指がトナーカートリッジ20周囲の機器に接触することを防止する。把持板512の上縁の略右半分は、切り欠き部512aが形成されている。下方に向けて窪む切り欠き部512aは、レバー52への使用者の右手の接触を容易にする。この結果、レバー52の操作性が向上することとなる。
【0106】
本実施形態において、トナーカートリッジ20が組み込まれる画像形成装置10として、複写機が示されたが、本発明はこれに限定されるものではなく、プリンタ、ファクシミリ装置或いはシートに画像を形成可能な他の装置が画像形成装置として用いられてもよい。
【0107】
上述の画像形成装置10は、像担持体として感光体ドラム121及び中間転写ベルト125を用いたが、中間転写ベルトを備えず、感光体ドラム121からシートに直接的に画像を転写する構造を備える画像形成装置が用いられてもよい。
【0108】
上述の画像形成装置10は、カラー印刷を実行する能力を備えるが、本発明はこれに限定されるものではなく、モノクロ印刷のみを行う画像形成装置が用いられてもよい。
【0109】
上述の中継装置60は、トナーカートリッジ20を支持する支持部として用いられたが、本発明はこれに限定されるものではなく、筐体11内に形成される任意のフレームによって、トナーカートリッジ20が支持されてもよい。
【0110】
上記トナーカートリッジ20において、底板511、基板514、把持板512及び一対の側板513が把持空間V0を形成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの板のうち一部が把持空間V0を形成してもよい。例えば、一対の側板513が省略されてもよい。
【0111】
上述のトナーカートリッジ20のレバー52は右方に横臥されるように形成されたが、左方に横臥されるように形成されてもよい。この場合には、切り欠き部512aは、把持板512の上縁の略左半分によって形成されることが好ましい。
【0112】
上記のトナーカートリッジ20のレバー52は、筒状シャッタ38の筒381及び第1セクトギア532のストッパ532bを動作させるために用いられたが、本発明はこれに限定されるものではなく、レバー52が、筒381及びストッパ532bのうちいずれか一方を操作するために用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、カラープリンタ、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機などの各種の画像形成装置に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0114】
10・・・・画像形成装置
12・・・・画像形成部
20・・・・トナーカートリッジ
332・・・トナー補給口
38・・・・筒状シャッタ(シャッタ)
51・・・・カバー
511・・・底板
512・・・把持板
512a・・切り欠き部
513・・・側板
514・・・基板
52・・・・レバー
53・・・・回転機構
532b・・ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容するトナーカートリッジであって、
前記トナーカートリッジを操作するためのレバーと、
該レバーを部分的に取り囲むカバーと、を備え、
該カバーは、前記レバーを覆わない非被覆領域を形成し、該非被覆領域を通じて、使用者が前記レバーに接触可能であることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項2】
前記レバーに接続されるとともに前記トナーカートリッジをロックするためのストッパを更に備え、
前記レバーは、前記トナーカートリッジをロックしない第1位置と、前記トナーカートリッジをロックする第2位置との間で回転可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項3】
前記トナーカートリッジは更にトナー補給口と、該トナー補給口を開閉するとともに前記レバーに接続されるシャッタとを更に含み、
前記レバーは、前記トナー補給口を閉じる第1位置と、前記トナー補給口を開く第2位置との間で回転可能に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーカートリッジ。
【請求項4】
前記トナーを収容可能に形成された筐体を更に含み、
前記カバーは、前記レバーと前記筐体との間に配設されるとともに前記レバーを支持する基板と、該基板に対向して配設される把持板とを更に含み、
前記把持板の縁部は、前記非被覆領域の境界の少なくとも一部をなすことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項5】
前記カバーは、前記第2位置にあるレバーに沿う底板を含むことを特徴とする請求項2に記載のトナーカートリッジ。
【請求項6】
前記基板と前記筐体との間に配設されるとともに前記レバーと前記シャッタとを連結させる回転機構を更に備え、
前記基板は、前記回転機構と前記レバーとの間を仕切ることを特徴とする請求項4に記載のトナーカートリッジ。
【請求項7】
前記カバーは、前記基板の側縁と前記把持板の側縁との間に形成された側板を更に含むことを特徴とする請求項4又は6に記載のトナーカートリッジ。
【請求項8】
前記カバーは、前記第1位置にあるレバーに沿う側板を更に含むことを特徴とする請求項2、3又は5に記載のトナーカートリッジ。
【請求項9】
前記カバーは、前記基板の両側縁と前記把持板の両側縁との間で延びる一対の側板と、
前記基板、前記把持板及び前記一対の側板で囲まれる領域を塞ぐ底板と、を更に含むことを特徴とする請求項4、6又は7に記載のトナーカートリッジ。
【請求項10】
前記カバーに、前記非被覆領域を拡げる切り欠き部が形成されることを特徴とする請求項1乃至9いずれか1項に記載のトナーカートリッジ。
【請求項11】
内部にトナーを収容し、前記トナーカートリッジのスライド方向と直交する方向に少なくとも1つの側壁を含む筐体と、
該筐体の側壁に取り付けられるカバーと、
該カバーに回動可能に取り付けられるレバーと、を備え、
前記カバーは、前記レバーを回動可能に保持するとともに前記側壁に係合される基板と、
前記基板に対して筐体と反対側に離間し且つ該基板に対向して配置される把持板と、を含み、
該把持板と前記レバーとの間に把持空間が形成され、該把持空間の上方から手指を差し入れ可能となることを特徴とするトナーカートリッジ。
【請求項12】
シートにトナー画像を形成する画像形成部と、
該画像形成部にトナーを補給するためのトナーカートリッジと、を備え、
該トナーカートリッジは、トナーを収容するように形成されるとともに、前記トナーカートリッジを操作するためのレバーと、該レバーを部分的に取り囲むカバーと、を含み、
該カバーは、前記レバーを覆わない非被覆領域を形成し、該非被覆領域を通じて、使用者が前記レバーに接触可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記トナーカートリッジは更にトナーを収容する筐体を含み、
前記カバーは、前記レバーと前記筐体との間に配設されるとともに前記レバーを回転可能に支持する基板と、該基板に対向して配設される把持板とを更に含み、
前記基板の縁部及び前記把持板の縁部は、前記非被覆領域の境界の少なくとも一部をなすことを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記トナーカートリッジは、スライド可能に前記画像形成装置に着脱されるように形成され、
前記基板と前記把持板は、着脱時の前記トナーカートリッジのスライド方向を横切るように配設されることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−170101(P2010−170101A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269711(P2009−269711)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】