トナーリフレッシュ方法及び画像形成装置
【課題】現像器内の劣化トナーを的確なタイミングで消費することによって地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することのできるトナーリフレッシュ方法および画像形成装置を提供する。
【解決手段】2成分現像装置におけるトナーリフレッシュ方法において、所定のトナー消費パターンを現像したときの現像装置内のトナー濃度の変化をトナー濃度センサにより検知し、該検知した1回目のトナー濃度センサの出力波形に対して、2回目のトナー消費パターンを現像するときのトナー濃度センサの出力波形の位相がズレるようにトナー消費動作を行う。
【解決手段】2成分現像装置におけるトナーリフレッシュ方法において、所定のトナー消費パターンを現像したときの現像装置内のトナー濃度の変化をトナー濃度センサにより検知し、該検知した1回目のトナー濃度センサの出力波形に対して、2回目のトナー消費パターンを現像するときのトナー濃度センサの出力波形の位相がズレるようにトナー消費動作を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分現像装置におけるトナーリフレッシュ方法及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機、レーザプリンタなどの画像形成装置においては、高画質化が求められると同時に高安定も望まれている。つまり、環境変動による画質の変化が少なく、また常に安定した画像を経時において提供していかなければならない。
【0003】
従来より、非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤(以下、単に現像剤と記す)を現像剤担持体(以下、現像スリーブと記す)上に保持し、内包される磁極によって磁気ブラシを形成させ、現像スリーブと潜像担持体(以下、感光体と記す)とが対向する位置で現像バイアスを印加することにより現像を行う2成分現像方式が広く知られている。現像剤中のトナーは現像されることで消費され、トナー濃度を一定に保つためにトナーが補給される。このように現像器内のトナーは入れ替わっていくことになる。
【0004】
しかしながら、画像面積率の低い画像を出力する場合、現像に用いられるトナーの量が少ない。つまりは、消費されるトナーの量が減ることになる。そのため、低画像面積率の画像を連続して出力し続けた場合には現像器内のトナーの入れ替えがわずかしか行われず、結果としてトナーが現像器内に存在する時間が長くなる。そのため長時間にわたって攪拌され、キャリアと摩擦帯電される。このように、長期的に攪拌を繰り返されストレスを与えられたトナーは、トナー内部にシリカや酸化チタンなどの外添剤が埋没したり、表面から離脱したりする現象が発生し、現像剤の流動性や帯電特性、さらにトナーとキャリア間の物理的付着力が変化する。このようなトナーは劣化トナーと呼ばれる。劣化トナーは帯電能力、電荷保持能力の低下による地肌汚れなどの問題を引き起こす原因となり、良好な画像を得られなくなることがある。また、低画像面積率の画像を連続して印刷する場合においては、現像器内のトナーの帯電量が高くなった結果、現像能力が低下し、画像濃度を維持することが困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような画像面積率の低い画像の連続印刷時に生じる不具合の対策として、現像器内の劣化トナーを強制消費し、新たなトナーを補給し、現像器内のトナーを入れ替える方法が知られている。なお、この動作はトナーリフレッシュ動作と呼ばれる。
【0006】
例えば、特開2008−216601号公報(特許文献1)には、転写紙間(前回の作像終了から今回作像開始の間の時間、または枚数)でトナー消費パターンを作成し、劣化したトナーを消費する方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、この方法は転写紙間でトナー消費パターンを作成するため面積が小さく、トナー消費量を十分に確保することが困難である。そのため、劣化トナーを十分に消費することができないと考えられる。また、トナー消費パターンの作成頻度を増やして消費量を増加させることもできるが、現像器内の劣化トナーの位置については何ら考慮されないため、効率良く劣化トナーを消費することができない。
【0008】
また、特開2006−47651号公報(特許文献2)には、劣化トナーによる画像欠陥が起こった場合に、それを回復させるためのトナーリフレッシュモードの実行方法について開示されている。
【0009】
この対策法では、まず、劣化トナーによる画像欠陥が生じているかを判断するために画像サンプルを印刷し、その画像サンプルの結果に応じてトナーリフレッシュモードを実行する。ここで、トナー消費動作を行う際には転写紙1枚相当の大きさのベタ画像パッチを作成することで劣化トナーを消費している。
【0010】
また、特開2007−108623号公報(特許文献3)には、印刷している画像面積率が閾値より低い場合にリフレッシュ動作を実行することが記載されている。この対策法では、必要なトナーリフレッシュ量を消費するためにトナー消費パターンを複数回作成してトナー消費を行っている。
【0011】
しかしながら、特許文献2及び特許文献3に記載されたように、転写紙間でのトナー消費パターンと比べて大きなトナー消費パターンを作成したり、複数回トナー消費パターンを作成しても、効率的に劣化トナーが消費されないことがある。トナー消費動作で一度に消費できる劣化トナーは現像器内の一部分である。そのため、劣化トナーが消費された箇所と残留している箇所が存在することになる。つまり、大きなトナー消費パターンを作成したり、複数回トナー消費パターンを作成したとしても、残留している劣化トナーが現像領域を通過するときにトナー消費を行わなければ、劣化トナーが現像器内に残留してしまうことになる。
【0012】
以上のことから、トナー消費を行う際には現像器内の劣化トナーを効率よく排出できるように的確なタイミングでトナー消費動作を実行する必要があるが、従来はこれについて考慮されておらず、劣化トナーを効率よく排出できないという問題があった。
【0013】
本発明は、従来の画像形成装置における上述の問題を解決し、現像器内の劣化トナーを的確なタイミングで消費することによって地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することのできるトナーリフレッシュ方法および画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題は、本発明により、2成分現像装置におけるトナーリフレッシュ方法において、所定のトナー消費パターンを現像したときの現像装置内のトナー濃度の変化をトナー濃度センサにより検知し、該検知したトナー濃度センサの出力波形に対して、次回所定のトナー消費パターンを現像するときのトナー濃度センサの出力波形の位相がズレるようにトナー消費動作を行うことにより解決される。
【0015】
また、次回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値が、前回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値と現像剤循環による2周目のピークの間に来るように、前記次回のトナー消費動作を実行すると好ましい。
【0016】
また、前回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形における最小値と、次回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値とがほぼ重なるように、前記次回のトナー消費動作を実行すると好ましい。
【0017】
また、1回目のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値と現像剤循環による2周目のピークとの間に複数回のトナー消費動作を実行すると好ましい。
また、前記複数回のトナー消費動作は、最後のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の1周目のピーク部分が、前記1回目のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の現像剤循環による2周目のピーク部分に重ならないように実行すると好ましい。
【0018】
また、前記複数回のトナー消費動作が均等に分散して行われると好ましい。
また、現像装置内を現像剤が1周する循環周期をTとし、トナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の1周目のピーク部分の時間幅をt_sとしたとき、T/t_sの商の小数点以下を切り捨てた値をトナー消費動作を行う回数とすると好ましい。
【0019】
また、トナー消費動作を行ったときに生じるトナー濃度の変動を打ち消すようにトナー補給動作を実行すると好ましい。
また、トナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の現像剤循環による1周目の消費波形部分に加えて2周目以降の消費波形部分に対しても前記トナー補給動作を実行すると好ましい。
【0020】
また、前記トナー補給動作は、トナー補給装置の補給速度を変更して行うと好ましい。
また、前記トナー補給動作は、トナー補給装置の駆動ON時間と駆動OFF時間を変更して行うと好ましい。
【0021】
また、前記の課題は、本発明により、2成分現像装置を備え、請求項1〜11のいずれか1項に記載のトナーリフレッシュ方法によりトナーリフレッシュ動作を行う画像形成装置により解決される。
【発明の効果】
【0022】
本発明のトナーリフレッシュ方法によれば、現像装置内の劣化トナーを消費した位置に応じて2回目のトナー消費動作を実行するため、劣化トナーを効率よく消費することができる。
【0023】
請求項2の構成により、1回目のトナー消費波形が循環する間で2回目のトナー消費動作を行うため、1回目の消費動作で残留した劣化トナーを2回目の消費動作で確実に消費することができる。
【0024】
請求項3の構成により、1回目のトナー消費動作によってトナーが消費できなかった箇所に2回目のトナー消費動作によるトナー消費のピーク箇所を重ねることができるためより効果的に劣化トナーを消費することが可能となる。
【0025】
請求項4の構成により、トナー消費動作を複数回行うことで、現像装置内の残留トナーを確実に消費することが可能となる。
請求項5の構成により、1回目のトナー消費動作によって消費された箇所で再度トナー消費することを回避することができるため、より効果的に劣化トナーを消費することができる。
【0026】
請求項6の構成により、1回目のトナー消費動作によるトナー消費箇所が現像器内を一周する間で均等にトナー消費動作を行うことができるため、確実に劣化トナーを消費することが可能となる。
【0027】
請求項7の構成により、トナー消費波形からトナー消費回数を計算することにより、複数消費する場合にも消費パターンを重ねることなく、確実に劣化トナーを消費することが可能となるトナー消費パターンが可変であるシステムにおいても対応可能である。
【0028】
請求項8の構成により、劣化トナーが消費された箇所に対して的確なタイミングでトナー補給を行うことで、劣化トナーと新しいトナーを効率よく入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができ、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0029】
請求項9の構成により、1周目のトナー消費波形だけではなく現像剤が循環して生じる2周目以降の消費波形に対してもトナー補給を行うことで、帯電量の低下を防ぎつつ、劣化トナーが消費された箇所にトナーを補給することが可能となり、効果的にトナーリフレッシュを行うことが可能となる。
【0030】
請求項10の構成により、トナー補給装置の補給速度を変更し、単位時間当たりのトナー補給量を変更することで、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給動作を行うことができるため、劣化トナーと新しいトナーを確実に入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができる。
【0031】
請求項11の構成により、トナー補給装置の動作時間と非動作時間を変更することで、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給動作を行うことができるため、劣化トナーと新しいトナーを確実に入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができる。
【0032】
請求項12の画像形成装置によれば、現像装置内の劣化トナーを確実に消費することが可能となる。さらに劣化トナーを消費した箇所に対してトナー補給動作を行うことができるため、劣化トナーと新しいトナーを効率よく入れ替えることが可能となる。そのため効果的にトナーリフレッシュを行うことができ、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの作像部を概略的に示す模式図である。
【図2】現像装置を上方から見た状態を示す平断面図である。
【図3】現像装置が備えるトナー濃度センサの出力特性を示すグラフである。
【図4】トナー消費パターンを現像し、その後トナー補給・消費を行わずに現像装置の搬送スクリューを駆動し続けた場合のトナー濃度センサの出力値を示すグラフである。
【図5】現像装置内のトナー濃度を変化させてトナー消費パターンを作成したものを同時に示したものである。
【図6】図4のトナー消費波形の位相をずらして2つ並べたものである。
【図7】1回目のトナー消費波形と2回目のトナー消費波形とを重ね合わせたものである。
【図8】本発明に従って実行した2回のトナー消費動作におけるトナー消費波形を、分かりやすく2回目をオフセットして示すグラフである。
【図9】本発明に従って実行した2回のトナー消費動作におけるトナー消費波形を、2回目の波形を1回目の波形に重ねて表示したグラフである。
【図10】トナー補給によりトナー濃度センサの出力値が低下する様子を示すグラフである。
【図11】本発明を適用しない場合の、トナー消費波形とトナー補給波形を同時に示したものである。
【図12】本発明を適用した場合の、トナー消費波形とトナー補給波形を同時に示したものである。
【図13】トナー消費波形に対するトナー補給装置の駆動タイミングを示す模式図である。
【図14】トナー消費波形を打ち消すように単位時間当たりのトナー補給量を変更してトナー補給を行う様子を示す模式図である。
【図15】トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給駆動のON時間を変更してトナー補給を行う様子を示す模式図である。
【図16】本実施形態におけるトナーリフレッシュ動作を説明するフローチャートである。
【図17】トナー消費パターンの特徴を説明するための模式図である。
【図18】トナー消費パターンの大きさを副走査方向に変化させたときのトナー消費波形の概略を示す模式図である。
【図19】1回目のトナー消費波形に対して位相をずらして2回目のトナー消費動作を行った場合のトナー消費波形を示す模式図である。
【図20】第2実施形態におけるトナー消費動作を行った時のトナー消費波形を示す模式図である。
【図21】1回目のトナー消費動作における現像剤循環による1周目の間に複数回のトナー消費動作を実行する例を示す模式図である。
【図22】第2実施形態におけるトナー消費波形に対するトナー補給装置の駆動タイミングを示す模式図である。
【図23】トナー補給装置の回転速度を変更する場合と、トナー補給駆動のON時間を変更する場合とにおける、トナー消費波形に対するトナー補給を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの作像部を概略的に示す模式図である。この図に示すフルカラープリンタは、装置本体のほぼ中央部に4個の作像ユニット10(Y,C,M,Bk)を配設している。これら4個の作像ユニット10は、複数のローラに巻き掛けられた中間転写ベルト11の下側走行辺に沿って配置されている。
【0035】
各作像ユニット10は像担持体としての感光体ドラム1を具備している。この感光体ドラム1の周りには、帯電手段2、現像装置3、クリーニング手段4等が配置され、さらに各感光体ドラム1に対向する位置において中間転写ベルト11の内側に一次転写手段としての転写ローラ5が設けられている。なお、4個の作像ユニット10は同一構造に構成されており、各作像ユニットの現像装置で扱う現像剤の色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に異なっている。そして、図の煩雑を避けるため、作像ユニット10Yを構成する機器にのみ符号を付し、他の作像ユニットを構成する機器の符号は省略する。また、中間転写ベルト11の上方には、各色作像ユニット10の現像装置3へ供給されるトナーを収納したトナーボトル6(Y,C,M,Bk)が配置されている。
【0036】
4個の作像ユニット10の下方には光書き込み装置15が設けられている。光書き込み装置15は図示はしないがポリゴンミラーやミラー群等を有しており、光変調されたレーザ光を各色作像ユニットの感光体ドラム1の表面に照射する。光書き込み装置は、各作像ユニット10に個別に設けてもよい。
【0037】
光書き込み装置15の下方には図示しない給紙カセットが配設される。その給紙カセットから給送された転写紙等の記録媒体(以下、用紙という)は、図示しない搬送ローラによってレジストローラ対16まで搬送される。そのレジストローラ対16の上方には、二次転写手段としての転写ローラ17が、中間転写ベルト11が掛け渡されるローラの一つである転写対向ローラ13に対向して設けられている。そして、二次転写部の上側には定着装置18が設けられている。なお、支持ローラ12に対向する位置に、中間転写ベルト11上の画像濃度を検知する光学センサ14が配置される。
【0038】
上記のように構成された本例のフルカラープリンタにおける画像形成動作について簡単に説明する。
上記作像ユニット10の感光体ドラム1が図示しない駆動手段によって図中時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム1の表面が帯電手段2によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、光書き込み装置15からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム1表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム1に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像に現像装置3から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0039】
また、中間転写ベルト11が矢印で示すように図中反時計回りに走行駆動され、各作像ユニット10において一次転写ローラ5の作用により感光体ドラム1から中間転写ベルト11に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト11はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0040】
なお、作像ユニット10のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個の作像ユニットのうち、図の一番右側のBkユニットを用いて画像形成を行う。
【0041】
そして、トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置4によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が除電器(図示せず)の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。
【0042】
一方、装置下部の給紙カセットから用紙が給送され、レジストローラ対16によって、中間転写ベルト11上に担持されたトナー像とのタイミングを取って二次転写位置に向けて送出される。本例では転写ローラ17には中間転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置18を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。定着された転写材は、装置本体の上面に構成された図示しない排紙トレイに排出される。
【0043】
図2は、現像装置3を上方から見た状態を示す平断面図である。図2では、図の左側が図1のフルカラープリンタの装置奥側に、図の右側が装置手前側となる。
図1,2に示すように、現像装置3は現像剤担持体である現像ローラ31を備えており、この現像ローラ31は感光体ドラム1に対向するように配置される。また、現像装置3は第一スクリュー32及び第二スクリュー33からなる2連の搬送スクリューを備えている。この2本の搬送スクリュー32,33により、図2に太矢印で示すように現像装置内を現像剤が循環搬送される。
【0044】
第一搬送スクリュー32が設置された部分では現像剤が現像ローラ31の表面に汲み上げられ、また、現像領域を通過した現像剤が戻される。そして、図1に示すように、第二スクリュー33側の現像剤室の下部に位置してトナー濃度センサ34が設けられている。トナー濃度センサ34としては、例えば現像器内のトナー透磁率を測定するものを使用する。また、第二スクリュー33側の現像剤室に連絡するトナー補給部35が設けられ、トナーボトル6からトナーが補給される。
【0045】
図3はトナー濃度センサ34の出力特性を示すグラフであり、縦軸がトナー濃度センサの出力値で、横軸がトナー濃度である。このグラフから分かるように、トナー濃度センサ34は、現像器内のトナー濃度が高いほど出力値が小さくなる特性を有している。また、トナー濃度とトナー濃度センサの出力値の関係は直線近似することが可能である。
【0046】
ここで、トナー濃度制御は、トナー濃度センサの出力値:Vtをトナー濃度の制御基準値:Vtrefと比較し、その差分に応じてトナー補給量を演算式から算出し、図示しないトナー補給装置を駆動することにより、トナー補給部35を通じて現像器中にトナーが補給される。
【0047】
以下、本実施形態におけるトナーリフレッシュ動作について説明する。
図4は、A4横で全ベタ画像を現像し、その後トナー補給・消費をともに行わずに現像装置3の搬送スクリューを駆動し続けた場合のトナー濃度センサ34の出力値を示すグラフである。このグラフからわかるように、トナー消費を行うことでトナー濃度センサの出力値が変化している(このトナー消費パターンの作成によって生じるトナー濃度センサの出力値の変化を以後トナー消費波形と呼ぶ)。
【0048】
トナー消費波形においてトナー濃度センサ出力値が高い(トナー濃度が低い)箇所がトナー消費パターンの作成によってトナーが消費された箇所である。逆にトナー濃度センサ出力値が低い(トナー濃度が高い)箇所はトナー消費が行われていない箇所である。このようにトナー消費波形より現像器内のトナー消費が行われた箇所を知ることができる。
【0049】
また、トナー消費波形から、トナー濃度の変動には周期性があることが分かる。これは現像器内の現像剤が攪拌されながら搬送されることで常に現像器内を循環しているため、トナー消費を行われた箇所が現像器内を一周して再びトナー濃度センサの検知位置まで循環されたためである。その様子が図4に示す2つめの波形に現れている。すなわち、トナー消費パターンの作成によってトナーが消費されセンサ出力値が高くなった個所(1周目波形のピーク)が、循環周期経過後の2周目波形においても高い出力値を示している。
【0050】
図5は、現像装置内のトナー濃度を変化させてA4横全ベタのトナー消費パターンを作成したものを同時に示したものである。ここではトナー濃度は3段階に変化させた。このグラフから分かるように、現像器内のトナー濃度が変化してもトナー消費波形はほぼ同じ波形である。
【0051】
これらのことから、現像装置内におけるトナー消費が行われた箇所と現像剤が現像器内を一周する循環周期を把握することができる。図4において両矢印で示す区間が循環周期である。そのため、トナー消費が行われた箇所が再び現像領域に到達するタイミングを予め知ることができる。
【0052】
図6は図4のトナー消費波形(A4横サイズの全ベタを現像)の位相をずらして2つ並べたものである。前述したように、トナー消費波形は同じトナー消費パターンを作成した際には毎回ほぼ同じ波形となることがわかっている。そのため、実際にトナー消費パターンを2回作成した時の各々のトナー消費波形は図6のように表すことができ、この波形を足し合わせたものが、2回トナー消費パターンを作成したときのトナー濃度センサの出力値となり、図7に示すような波形となる。
【0053】
図6に示すように、2回目のトナー消費波形の最大値が、1回目のトナー消費波形の1周目のピーク(最大値)と2周目のピーク(最大値)の間になるようなタイミングでトナー消費動作を行えば、トナー濃度が高い部分(劣化トナーが残留している部分)でトナー消費動作を行えるため、劣化トナーを効率良く消費することが可能となる。
【0054】
1回目の消費波形の最小値(谷部)と2回目の消費波形の最大値の位置が重なるようなタイミングでトナー消費動作を実行すれば、より効果的にトナー消費動作を行うことができる。なぜなら、図7に示す2回のトナー消費波形を重ね合わせた結果が、よりフラットになるためである。
【0055】
その方法について図8を用いて説明する。前述したようにトナー消費波形は毎回ほぼ同じ波形となる。そのため、予めトナー消費波形からトナー濃度センサ出力値が最大値となる時間と最小値となる時間を求めておけば、(前回の)最大値の位置と(後の回の)最小値の位置のタイミングを合わせることができる。
【0056】
はじめにトナー消費波形よりトナー消費動作開始(t0)から1周目の最大値までの時間t1を測定する。次にトナー消費波形の最小値となる位置までの時間t2を測定する。
【0057】
ここで、2回目の消費波形の最大値の位置が1回目の消費波形の最小値の部分と重なるようにするには、(t2-t1)=t0´を算出し、1回目のトナー消費パターンの書き込み開始(t0)からt0´経過後に2回目のトナー消費パターンの書き込みを開始すればよい。
【0058】
このようなタイミングで作成した2回目のトナー消費波形を図8に太線で示す。なお、図8では見やすいように2回目の消費波形は−0.2[V]だけオフセットさせている。また、図9に2回目の消費波形(太線)をオフセットさせずに1回目の消費波形と重ねて表示したものを示す。このように、1回目の消費波形の最小値の部分に2回目のトナー消費波形の最大値の位置を重ねることが可能となる。
【0059】
上記のように、1回目のトナー消費パターンの書き込み開始からt0´(=t2-t1)経過後に2回目のトナー消費パターンの書き込みを開始してトナー消費動作を実行すれば、トナー濃度が高い部分(すなわち、劣化トナーが残留している部分)でトナー消費動作を行えるため、より効率的に劣化トナーを消費することが可能となる。
【0060】
以上が本実施形態におけるトナー消費動作についての説明である。なお、実際のトナーリフレッシュ動作では、劣化したトナーを消費するだけではなく、新しいトナーと入れ替えるためにトナー補給を行う必要がある。続いて、本実施形態におけるトナー補給動作について説明を行う。
【0061】
図10は、トナー補給モータを駆動し(トナー補給動作を行い)、その後トナー補給・消費をともに行わずに搬送スクリューによる攪拌を行い、トナー濃度センサにより現像器内のトナー濃度を測定した結果である。図10のグラフから分かるように、トナー補給を行うとトナー濃度センサの出力値が低下するのが分かる(このトナー補給によって生じるトナー濃度センサの出力値の変化を以後トナー補給波形と呼ぶ)。このトナー補給波形は同じ量のトナー補給を行った場合には毎回ほぼ同じ波形となる。
【0062】
図11は、本発明を適用しない場合の、トナー消費波形とトナー補給波形を同時に示したものである。ここで、現像装置内のトナー濃度センサ出力はトナー消費波形とトナー補給波形を足し合わせたものとなる。そのため、トナー濃度センサ出力値は太線のようになる。
【0063】
なお、図11に示す場合にはトナー補給動作をトナー消費波形の立ち上がり部分で3回行っている。この場合、太線で示すようにトナー濃度センサ出力値に大きなリップルが発生している。これは、現像装置内のトナー濃度に変動があることを意味している。つまり、トナーが補給されてトナー濃度が高くなった箇所と、トナーが補給されずにトナー濃度が低い箇所が現像装置内で存在していることになる。
【0064】
トナーリフレッシュ動作の目的は劣化トナーを消費し、その分新しいトナーを補給して入れ替えることである。そのため、トナー補給動作を適切に行わないと劣化トナーが消費されただけで新しいトナーとの入れ替えが行われない箇所が存在することになる。
【0065】
一方、図12は、本発明を適用した場合を示すもので、トナー補給タイミングを変更し3回トナー補給を行った場合について、トナー濃度センサの出力値を示している。なお、このときトータルのトナー補給量は図11の場合と同じである。図12において、トナー消費波形とトナー補給波形を足し合わせた太線波形(トナー濃度センサ出力値に相当する)は、よりフラットとなっていることが分かる。
【0066】
このようにトナー補給タイミングを変更すれば、トナー濃度リップルの発生を無くすことが可能となる。これは、トナー消費が行われた箇所にまんべんなくトナー補給が行われたことを意味している。つまり、劣化トナーが消費された場所に的確にトナー補給動作が行われたこととなる。
【0067】
ここで、図12より、トナー消費波形の1周目の波形を打ち消すようにトナー補給動作を行えば、2周目以降ではトナー濃度が一定となっているのがわかる。そのため、2周目のトナー消費波形は生じなくなる(山が発生しなくなる)ため、2周目のトナー消費波形に関してはトナー補給を行う必要がない。
【0068】
以上のことから、1周目のトナー消費波形を打ち消すようなタイミングでトナー補給動作を行えば劣化トナーが消費された箇所に新しいトナーを補給することができ、的確にトナーの入れ替えを行うことが可能となる。具体的なトナー補給動作については後述する。
【0069】
本実施形態において、トナーリフレッシュ動作で作成するトナー消費パターンは毎回同じ大きさのパターンを作成する。そのため、前述したようにトナー消費波形は毎回略同じ波形となる。つまり、消費されてトナー濃度の低い箇所が現像器内を循環しトナー補給口に到達するまでの時間も毎回略同じタイミングである。
【0070】
以上のことから、トナー消費波形を打ち消すようなトナー補給タイミングは予め設定しておくことが可能となる。つまり、トナー消費パターンの書き込み開始をトリガにしてトナー消費波形を打ち消すタイミングでトナー補給動作を行うことが可能となる。
【0071】
次に、トナー消費波形に対するトナー補給装置の駆動タイミングについて図13を参照して説明する。
図11のようにトナー消費の直後に片寄ってトナー補給動作を実施するのではなく、図13のトナー補給動作(a)に示すように、トナー消費波形の1回目の周期Tの間に複数回のトナー補給動作を分散させて実施する。このタイミングチャートの「ON」がトナー補給動作を実施している部分である。
【0072】
このように、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給タイミングを予め設定しておき、トナー補給を実行すれば、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができるため、効果的にトナーリフレッシュを行うことができる。そのため、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0073】
なお、トナー消費波形を打ち消す方法は1周目のトナー消費波形に対してだけではなく、現像剤が循環して生じる2周目以降の消費波形に対しても行うようにしても良い。
【0074】
例えば、高温高湿環境の場合、現像剤中に多く水分を含むために電荷が放出されやすくなりトナーの帯電量が低下する。このような状況において、前記したように1周目のトナー消費波形を打ち消すようにトナー補給を行った場合、現像剤が現像器内を1周する間に多くのトナーが現像器内に補給されることになる。多くのトナーが補給されるとトナーとキャリアが接触する機会が減り帯電量が高くなりにくくなる。そのため、帯電量を上げるためにはなるべく分散してトナーを補給する必要がある。
【0075】
そこで、例えば1周目のトナー消費波形を打ち消すために必要なトナー補給量の半分だけを補給しておき、2周目で残りの半分を補給するようにする。このような補給を行えば、トナーとキャリアが接触する機会が増え帯電量を高くする効果が得られる。
【0076】
図13のトナー補給動作(b)は、必要なトナー補給量を1周目のトナー消費波形と2周目のトナー消費波形に分けて補給動作を実施したものである。このように2周目以降のトナー補給タイミングとしては本来1周目で行うはずのタイミングを現像剤が1周循環する分遅延させて補給を行うようにすればよい。そうすれば、1周目のみで補給する場合と同様に劣化トナーの消費位置に対して的確に補給動作を行うことができる。
【0077】
以上のように、トナー補給を行うことで帯電量の低下を防ぎつつ、劣化トナーが消費された箇所にトナーを補給することが可能となり、効果的にトナーリフレッシュを行うことが可能となる。
【0078】
次に、トナー補給装置の補給速度を変更し、単位時間あたりのトナー補給量を変更することができるシステムを用いた場合のトナー補給方法ついて説明する。
このようなトナー補給システムではトナー補給装置の回転速度を速くすれば、単位時間あたりの補給量は多くなり、トナー補給装置の回転速度を遅くすれば、単位時間当たりの補給量を少なくすることができる。前記したようにトナー消費波形は予め分かっている。そのため図14に示すように、トナー消費波形を打ち消すように単位時間当たりのトナー補給量(トナー補給装置の回転速度)を変更してトナー補給を行えば、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことが可能となる。これにより、効果的なトナーリフレッシュを行うことができる 次に、トナー補給装置の単位時間当たりの補給量は一定で、トナー補給駆動のON時間とOFF時間を可変とすることができるシステムを用いた場合のトナー補給方法について説明する。
【0079】
このようなトナー補給システムの場合、1回の補給動作時間(補給モータを駆動させてから停止させるまでの時間)を変更することでトナー補給量を変更することができる。具体的にはON時間が長いほどトナー補給量は多くなり、ON時間が短いほどトナー補給量は少なくなる。
【0080】
そのため、図15に示すように、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給駆動のON時間を変更してトナー補給を行い、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができる。
【0081】
以上のように、劣化トナーが消費された箇所に対して的確なタイミングでトナー補給を行うことで、劣化トナーと新しいトナーを効率よく入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができ、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0082】
続いて本実施形態における、トナーリフレッシュ動作について図16のフローチャートを用いて説明する。
まず、現像モータの走行距離を取得する(S1)。これは、現像モータの駆動時間を取得し、モータの回転速度からモータ駆動距離(走行距離)を算出し取得する。
【0083】
次に、累積画像面積[cm^2]を取得する(S2)。ここで、累積画像面積は次の式1によって求める。すなわち、転写紙1枚毎に書き込んだ画像面積を取得し、1枚印刷する毎に書き込んだ画像面積分を累積していく。
累積画像面積=前回までの累積画像面積+今回の画像面積・・・(式1)
なお、式1の画像面積の単位はすべて[cm^2]である。
【0084】
例えば、高画像面積の印刷を連続して行った場合には累積画像面積の値は大きくなり、一方で低画像面積の印刷を連続して行った場合には累積画像面積は小さい値となる。具体例としては、1枚の画像面積が50[cm^2]の印刷を連続して10枚印刷すると、累積画像面積は500[cm^2]となる。
【0085】
そして、必要リフレッシュ画像面積の算出を行う(S3)。必要リフレッシュ画像面積とは現像器内のトナーが劣化しないためには現像モータの走行距離に対してどのくらいのトナーを消費する必要があるかを画像面積で表した値であり、以下の式2で定義される。
必要リフレッシュ画像面積[cm^2]=現像モータ走行距離[m]×必要リフレッシュ閾値[cm^2/m]−累積画像面積[cm^2]・・・(式2)
【0086】
式2の必要リフレッシュ閾値とは現像モータの走行距離に対してどのくらいのトナーを消費する必要があるかを意味している。この値はトナーが劣化しないために必要なトナー消費量を予め実験などにより算出しておく。この必要リフレッシュ閾値に現像モータ走行距離を乗ずることで必要なトナー消費量を算出することができる。ただし、印刷を行っている際には印刷された画像面積に応じてトナーが消費される。そのため、必要なトナー消費量から実際に消費したトナーの差を求めることで、トナーが劣化しないためには、あとどのくらいのトナー消費量が必要かを求めることができる。この値が必要リフレッシュ画像面積である。
【0087】
ここで、累積画像面積の値によっては必要リフレッシュ面積の値が負になることがある。その場合にはトナーが劣化しないために必要な消費量以上にトナーが消費されているため、トナー消費動作が必要ないと判断することができる。
【0088】
必要リフレッシュ画像面積の算出について具体的な数値例を用いて以下に説明する。
取得した現像モータの走行距離が90[m]で累積画像面積が600[cm^2]であったとし、必要リフレッシュ閾値が25[cm^2/m]であるとすると、必要リフレッシュ画像面積は以下のように求められる。
必要リフレッシュ画像面積=90×25−600=1650[cm^2]
よって、画像面積1650[cm^2]のトナーを消費する必要がある。
【0089】
別の例として、取得した走行距離が90[m]で必要リフレッシュ閾値が25[cm^2/m]で累積画像面積が3000[cm^2]であったとすると、
必要リフレッシュ画像面積=90×25−3000=−750[cm^2]
と求められる。
【0090】
必要リフレッシュ画像面積の値が負の場合は印刷動作において十分にトナーが消費されているためトナーリフレッシュ動作が必要ないと判断することができる。
以上のようにして、今回の必要リフレッシュ画像面積を算出する。そして、前回までの必要リフレッシュ面積に今回算出したリフレッシュ面積を加算し累積リフレッシュ面積とする(S4)。
累積リフレッシュ画像面積[cm^2]=累積リフレッシュ画像面積[cm^2]+必要リフレッシュ画像面積[cm^2]・・・(式3)
【0091】
そして、リフレッシュ動作の実行判定を行う(S5)。S4で求めた累積必要リフレッシュ画像面積の値と所定のリフレッシュ実行判定閾値の値を比較して、累積必要リフレッシュ画像面積の値が所定のリフレッシュ実行判定閾値以上であった場合にリフレッシュ動作に移行する。
【0092】
すなわち、S5においてトナーリフレッシュ実行判定の結果、実行必要の場合にはS6に進み、トナーリフレッシュ動作を実行する。ここで、トナー消費パターンは毎回同じパターンを作成するようにする。本実施例では、トナー消費パターンは図17で示すようなパターンを作成する。トナー消費パターンの副走査長さが各色のステーション間ピッチに収まるようにしている。このようにすれば、トナー消費パターンを重ならずに同時に作成することができる。そのため、他色の消費パターン作成のために遅延などを行う必要がなく余計な時間がかからなくなる。
【0093】
また、トナー消費パターンを重ねて作成するとクリーニング部材に一度に入力されるトナー量が多くなるため、クリーニング部材への負担が大きくなる。そのため、クリーニング不良の点からも各色のトナー消費パターンは重ならないように作成することが望ましい。これらのことから、本実施形態では図17に示すようなトナー消費パターンを作成する。
【0094】
なお、トナー消費パターンは現像装置内の劣化トナーが十分に消費できる回数作成する。後述するが、現像装置や作成するトナー消費パターンの大きさなどにより作成回数を変化させる。
【0095】
次に、前述したようにトナー補給動作を実行し(S6)、劣化トナーが消費された箇所に対してトナー補給動作を行う。トナー補給はトナー消費波形を打ち消すように行うため、トナー消費動作と並列して実行される。
【0096】
トナー消費動作とトナー補給動作の両方が終了したら、トナーリフレッシュ動作実行終了とし、S7において、累積リフレッシュ画像面積の更新を行う。次の式4に示すように累積リフレッシュ画像面積からトナー消費した分の画像面積を減算する。
累積リフレッシュ画像面積[cm^2]=累積リフレッシュ画像面積[cm^2]−トナー消費画像面積[cm^2]・・・(式4)
【0097】
S7での処理が終了したら、もしくはS5においてトナーリフレッシュ動作が実行不要と判定された場合にはS8において、S3で必要リフレッシュ画像面積を算出する際に仕様した、現像モータ走行距離、累積画像面積の値を0クリアして終了となる。
【0098】
以上が本実施形態におけるトナーリフレッシュ動作となる。このように現像モータの走行距離と印刷している画像面積の累積値に応じて必要なリフレッシュ画像面積を算出することで、現像剤の状態はトナーリフレッシュ動作が必要であるかどうか判定することができる。
【0099】
また、トナーリフレッシュ動作では、現像装置内の劣化トナーが消費された箇所を把握することで残留した劣化トナーを確実に消費することができる。その結果として、画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0100】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本第2実施形態は、1回目のトナー消費波形の1周目の最大値と2周目のピーク値との間で複数回トナー消費動作を行うものである(図21参照)。なお、第2実施形態における装置の機械的構成は上記第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0101】
図18は、トナー消費パターンの大きさを副走査方向に変化させたときのトナー消費波形の概略図を示している。トナー消費パターンは副走査方向に長い「A」パターンと短い「B」パターンを作成するものとする。主走査方向長さは「A」、「B」ともに同じ長さである。このとき、「A」パターンのトナー消費波形を実線、「B」パターンのトナー消費波形は一点鎖線で示してある。
【0102】
図18より「A」と「B」でピーク位置の振幅が異なるのが分かる。これは、トナー消費量が「B」パターンの方が少ないため、現像剤のトナー濃度の低下が小さいためである。また、現像剤が循環して生じる2周目の波形が上昇し始める位置は「A」、「B」ともに同じとなる。これは現像剤が1周する循環周期が同じためである。また、「B」は「A」と比べて消費波形の幅が狭くなり、またピーク位置がくるタイミングも早くなる。
【0103】
そのため、「B」は「A」と比較して、1周目の波形と2周目の波形の間が長いことがわかる。
これは、前記したように循環周期は同じであるが、「B」パターンの消費波形の幅が狭くなるためである。
【0104】
また、現像剤容量が大きい現像装置の場合も、「B」パターンのようなトナー消費波形が得られる。このような現像装置の場合も1周目トナー消費波形から現像剤が循環して生じる2周目のトナー消費波形までの時間が長いことがわかる。
【0105】
このようなトナー消費波形が得られた場合、前述したように1回目のトナー消費波形に対して位相をずらして2回目のトナー消費動作を行うと図19のようになる。このとき、トナー濃度が高い部分(劣化トナーが残っている部分)があり、つまりは、2回のトナー消費動作によって、現像器内の劣化トナーを消費できない場合がある。
【0106】
そのような場合を解決するために、1回目のトナー消費波形の1周目のピーク値と2周目のピーク値との間で複数回トナー消費動作を行うことで、劣化トナーを確実に消費するようにする。
【0107】
ここで複数回行うトナー消費波形のうち、最後のトナー消費波形の1周目のピーク部分が、1回目に(最初に)作成するトナー消費波形の2周目の波形のピーク部分に重ならないように作成することが望ましい。なぜなら、1回目のトナー消費動作において、消費された箇所で再びトナー消費動作を行うことになるためである。
【0108】
トナー消費動作を行う回数について図20を用いて説明する。
図20はトナー消費動作を行った時のトナー消費波形を示している。まず1周目のトナー消費波形の出力が上昇し始める位置から現像剤が循環して2周目のトナー濃度センサの出力値が上昇し始めるまでの時間Tを測定する。この時間Tは現像剤が現像器内を一周する循環周期と一致する。
【0109】
次に1周目の消費波形の幅であるt_sを求める。そして、T/t_sの計算を行い、商の小数点以下を切り捨てた値をトナー消費動作を行う回数とする。このようにして、トナー消費動作を行う回数を求めることで、時間Tの間に収まるように複数個のトナー消費波形を作成することができる。図21には、時間Tの間に3回のトナー消費動作を実行する例を示している。
【0110】
また、トナー消費動作を行うタイミングは、時間Tをトナー消費動作を行う回数で割りその時間分前回のトナー消費動作実行開始から遅延させてトナー消費動作を実行させるようにすれば、時間Tの間で均等に分散してトナー消費動作を行うことが可能となる。図21に示すように、時間Tの間にトナー消費波形を収めるため、作成する最後の(3回目の)トナー消費波形の1周目のピーク部分が1回目の(最初の)トナー消費波形の2周目のピーク部分と重なることはない。
【0111】
以上のように、1回目のトナー消費動作によるトナー消費箇所が現像器内を一周する間で均等に複数回トナー消費動作を行うことができるため、確実に劣化トナーを消費することが可能となる。
【0112】
次に本第2実施形態におけるトナー補給動作について説明する。
前述したように、作成するトナー消費パターンは毎回同じであるため、トナー消費波形も略同じ波形となる。そのため、このトナー消費波形を打ち消すようなタイミングでトナー補給動作を実行すればよい。図22のトナー補給動作(a)に示すように、複数回行われるトナー消費動作によって生じるトナー消費波形それぞれを打ち消すようにトナー補給動作を実行すれば劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができるため、効果的にトナーリフレッシュを行うことができる。
【0113】
また、第1実施形態で前述したように、トナー消費波形を打ち消す方法は1周目のトナー消費波形だけではなく現像剤が循環して生じる2周目以降の消費波形に対しても行うようにしても良い。図22のトナー補給動作(b)に示すようにトナー補給を行うことで、帯電量の低下を防ぎつつ、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができる。
【0114】
トナー補給装置の回転速度を変更し、単位時間あたりのトナー補給量を変更することができるシステムを用いた場合のトナー補給方法ついて説明する。
このようなトナー補給システムではトナー補給装置の回転速度を速くすれば、単位時間あたりの補給量は多くなり、トナー補給装置の回転速度を遅くすれば、単位時間当たりの補給量を少なくすることができる。前記したようにトナー消費波形は予め分かっている。そのため、図23の補給装置回転駆動(c)に示すように、トナー消費波形を打ち消すように単位時間当たりのトナー補給量(トナー補給装置の回転速度)を変更してトナー補給を行えば、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことが可能となるため、効果的なトナーリフレッシュを行うことができる。
【0115】
トナー補給装置の単位時間当たりの補給量は一定で、トナー補給駆動のON時間とOFF時間を可変とすることができるシステムを用いた場合のトナー補給方法について説明する。
【0116】
このようなトナー補給システムの場合、1回の補給動作時間(補給モータを駆動させてから停止させるまでの時間)を変更することでトナー補給量を変更することができる。具体的にはON時間が長いほどトナー補給量は多くなり、ON時間が短いほどトナー補給量は少なくなる。
【0117】
そのため、図23のトナー補給動作(d)に示すように、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給駆動のON時間を変更してトナー補給を行い、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができる。
【0118】
上記のように、1回目のトナー消費動作によるトナー消費箇所が現像器内を一周する間で均等に複数回トナー消費動作を行うことができるため、確実に劣化トナーを消費することが可能となる。また、劣化トナーが消費された箇所に対して的確なタイミングでトナー補給を行うことで、劣化トナーと新しいトナーを効率よく入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができ、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0119】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1周期の間に実施するトナー補給動作の回数は3回に限らず、適宜な回数を設定可能である。また、第2実施形態における1回目のトナー消費波形の1周目のピーク値と2周目のピーク値との間で行うトナー消費動作の回数も3回に限らず、適宜な回数を設定可能である。
【0120】
現像装置各部の構成や画像形成装置の作像部の構成も任意であり、タンデム式における各色プロセスカートリッジの並び順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0121】
1 感光体ドラム
3 現像装置
6 トナーボトル
10 作像ユニット
11 中間転写ベルト
15 光書き込み装置
18 定着装置
31 現像ローラ
32 第一スクリュー
33 第二スクリュー
34 トナー濃度センサ
35 トナー補給部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特開2008−216601号公報
【特許文献2】特開2006−47651号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、2成分現像装置におけるトナーリフレッシュ方法及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機、レーザプリンタなどの画像形成装置においては、高画質化が求められると同時に高安定も望まれている。つまり、環境変動による画質の変化が少なく、また常に安定した画像を経時において提供していかなければならない。
【0003】
従来より、非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤(以下、単に現像剤と記す)を現像剤担持体(以下、現像スリーブと記す)上に保持し、内包される磁極によって磁気ブラシを形成させ、現像スリーブと潜像担持体(以下、感光体と記す)とが対向する位置で現像バイアスを印加することにより現像を行う2成分現像方式が広く知られている。現像剤中のトナーは現像されることで消費され、トナー濃度を一定に保つためにトナーが補給される。このように現像器内のトナーは入れ替わっていくことになる。
【0004】
しかしながら、画像面積率の低い画像を出力する場合、現像に用いられるトナーの量が少ない。つまりは、消費されるトナーの量が減ることになる。そのため、低画像面積率の画像を連続して出力し続けた場合には現像器内のトナーの入れ替えがわずかしか行われず、結果としてトナーが現像器内に存在する時間が長くなる。そのため長時間にわたって攪拌され、キャリアと摩擦帯電される。このように、長期的に攪拌を繰り返されストレスを与えられたトナーは、トナー内部にシリカや酸化チタンなどの外添剤が埋没したり、表面から離脱したりする現象が発生し、現像剤の流動性や帯電特性、さらにトナーとキャリア間の物理的付着力が変化する。このようなトナーは劣化トナーと呼ばれる。劣化トナーは帯電能力、電荷保持能力の低下による地肌汚れなどの問題を引き起こす原因となり、良好な画像を得られなくなることがある。また、低画像面積率の画像を連続して印刷する場合においては、現像器内のトナーの帯電量が高くなった結果、現像能力が低下し、画像濃度を維持することが困難となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したような画像面積率の低い画像の連続印刷時に生じる不具合の対策として、現像器内の劣化トナーを強制消費し、新たなトナーを補給し、現像器内のトナーを入れ替える方法が知られている。なお、この動作はトナーリフレッシュ動作と呼ばれる。
【0006】
例えば、特開2008−216601号公報(特許文献1)には、転写紙間(前回の作像終了から今回作像開始の間の時間、または枚数)でトナー消費パターンを作成し、劣化したトナーを消費する方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、この方法は転写紙間でトナー消費パターンを作成するため面積が小さく、トナー消費量を十分に確保することが困難である。そのため、劣化トナーを十分に消費することができないと考えられる。また、トナー消費パターンの作成頻度を増やして消費量を増加させることもできるが、現像器内の劣化トナーの位置については何ら考慮されないため、効率良く劣化トナーを消費することができない。
【0008】
また、特開2006−47651号公報(特許文献2)には、劣化トナーによる画像欠陥が起こった場合に、それを回復させるためのトナーリフレッシュモードの実行方法について開示されている。
【0009】
この対策法では、まず、劣化トナーによる画像欠陥が生じているかを判断するために画像サンプルを印刷し、その画像サンプルの結果に応じてトナーリフレッシュモードを実行する。ここで、トナー消費動作を行う際には転写紙1枚相当の大きさのベタ画像パッチを作成することで劣化トナーを消費している。
【0010】
また、特開2007−108623号公報(特許文献3)には、印刷している画像面積率が閾値より低い場合にリフレッシュ動作を実行することが記載されている。この対策法では、必要なトナーリフレッシュ量を消費するためにトナー消費パターンを複数回作成してトナー消費を行っている。
【0011】
しかしながら、特許文献2及び特許文献3に記載されたように、転写紙間でのトナー消費パターンと比べて大きなトナー消費パターンを作成したり、複数回トナー消費パターンを作成しても、効率的に劣化トナーが消費されないことがある。トナー消費動作で一度に消費できる劣化トナーは現像器内の一部分である。そのため、劣化トナーが消費された箇所と残留している箇所が存在することになる。つまり、大きなトナー消費パターンを作成したり、複数回トナー消費パターンを作成したとしても、残留している劣化トナーが現像領域を通過するときにトナー消費を行わなければ、劣化トナーが現像器内に残留してしまうことになる。
【0012】
以上のことから、トナー消費を行う際には現像器内の劣化トナーを効率よく排出できるように的確なタイミングでトナー消費動作を実行する必要があるが、従来はこれについて考慮されておらず、劣化トナーを効率よく排出できないという問題があった。
【0013】
本発明は、従来の画像形成装置における上述の問題を解決し、現像器内の劣化トナーを的確なタイミングで消費することによって地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することのできるトナーリフレッシュ方法および画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題は、本発明により、2成分現像装置におけるトナーリフレッシュ方法において、所定のトナー消費パターンを現像したときの現像装置内のトナー濃度の変化をトナー濃度センサにより検知し、該検知したトナー濃度センサの出力波形に対して、次回所定のトナー消費パターンを現像するときのトナー濃度センサの出力波形の位相がズレるようにトナー消費動作を行うことにより解決される。
【0015】
また、次回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値が、前回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値と現像剤循環による2周目のピークの間に来るように、前記次回のトナー消費動作を実行すると好ましい。
【0016】
また、前回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形における最小値と、次回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値とがほぼ重なるように、前記次回のトナー消費動作を実行すると好ましい。
【0017】
また、1回目のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値と現像剤循環による2周目のピークとの間に複数回のトナー消費動作を実行すると好ましい。
また、前記複数回のトナー消費動作は、最後のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の1周目のピーク部分が、前記1回目のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の現像剤循環による2周目のピーク部分に重ならないように実行すると好ましい。
【0018】
また、前記複数回のトナー消費動作が均等に分散して行われると好ましい。
また、現像装置内を現像剤が1周する循環周期をTとし、トナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の1周目のピーク部分の時間幅をt_sとしたとき、T/t_sの商の小数点以下を切り捨てた値をトナー消費動作を行う回数とすると好ましい。
【0019】
また、トナー消費動作を行ったときに生じるトナー濃度の変動を打ち消すようにトナー補給動作を実行すると好ましい。
また、トナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の現像剤循環による1周目の消費波形部分に加えて2周目以降の消費波形部分に対しても前記トナー補給動作を実行すると好ましい。
【0020】
また、前記トナー補給動作は、トナー補給装置の補給速度を変更して行うと好ましい。
また、前記トナー補給動作は、トナー補給装置の駆動ON時間と駆動OFF時間を変更して行うと好ましい。
【0021】
また、前記の課題は、本発明により、2成分現像装置を備え、請求項1〜11のいずれか1項に記載のトナーリフレッシュ方法によりトナーリフレッシュ動作を行う画像形成装置により解決される。
【発明の効果】
【0022】
本発明のトナーリフレッシュ方法によれば、現像装置内の劣化トナーを消費した位置に応じて2回目のトナー消費動作を実行するため、劣化トナーを効率よく消費することができる。
【0023】
請求項2の構成により、1回目のトナー消費波形が循環する間で2回目のトナー消費動作を行うため、1回目の消費動作で残留した劣化トナーを2回目の消費動作で確実に消費することができる。
【0024】
請求項3の構成により、1回目のトナー消費動作によってトナーが消費できなかった箇所に2回目のトナー消費動作によるトナー消費のピーク箇所を重ねることができるためより効果的に劣化トナーを消費することが可能となる。
【0025】
請求項4の構成により、トナー消費動作を複数回行うことで、現像装置内の残留トナーを確実に消費することが可能となる。
請求項5の構成により、1回目のトナー消費動作によって消費された箇所で再度トナー消費することを回避することができるため、より効果的に劣化トナーを消費することができる。
【0026】
請求項6の構成により、1回目のトナー消費動作によるトナー消費箇所が現像器内を一周する間で均等にトナー消費動作を行うことができるため、確実に劣化トナーを消費することが可能となる。
【0027】
請求項7の構成により、トナー消費波形からトナー消費回数を計算することにより、複数消費する場合にも消費パターンを重ねることなく、確実に劣化トナーを消費することが可能となるトナー消費パターンが可変であるシステムにおいても対応可能である。
【0028】
請求項8の構成により、劣化トナーが消費された箇所に対して的確なタイミングでトナー補給を行うことで、劣化トナーと新しいトナーを効率よく入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができ、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0029】
請求項9の構成により、1周目のトナー消費波形だけではなく現像剤が循環して生じる2周目以降の消費波形に対してもトナー補給を行うことで、帯電量の低下を防ぎつつ、劣化トナーが消費された箇所にトナーを補給することが可能となり、効果的にトナーリフレッシュを行うことが可能となる。
【0030】
請求項10の構成により、トナー補給装置の補給速度を変更し、単位時間当たりのトナー補給量を変更することで、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給動作を行うことができるため、劣化トナーと新しいトナーを確実に入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができる。
【0031】
請求項11の構成により、トナー補給装置の動作時間と非動作時間を変更することで、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給動作を行うことができるため、劣化トナーと新しいトナーを確実に入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができる。
【0032】
請求項12の画像形成装置によれば、現像装置内の劣化トナーを確実に消費することが可能となる。さらに劣化トナーを消費した箇所に対してトナー補給動作を行うことができるため、劣化トナーと新しいトナーを効率よく入れ替えることが可能となる。そのため効果的にトナーリフレッシュを行うことができ、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明が適用される画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの作像部を概略的に示す模式図である。
【図2】現像装置を上方から見た状態を示す平断面図である。
【図3】現像装置が備えるトナー濃度センサの出力特性を示すグラフである。
【図4】トナー消費パターンを現像し、その後トナー補給・消費を行わずに現像装置の搬送スクリューを駆動し続けた場合のトナー濃度センサの出力値を示すグラフである。
【図5】現像装置内のトナー濃度を変化させてトナー消費パターンを作成したものを同時に示したものである。
【図6】図4のトナー消費波形の位相をずらして2つ並べたものである。
【図7】1回目のトナー消費波形と2回目のトナー消費波形とを重ね合わせたものである。
【図8】本発明に従って実行した2回のトナー消費動作におけるトナー消費波形を、分かりやすく2回目をオフセットして示すグラフである。
【図9】本発明に従って実行した2回のトナー消費動作におけるトナー消費波形を、2回目の波形を1回目の波形に重ねて表示したグラフである。
【図10】トナー補給によりトナー濃度センサの出力値が低下する様子を示すグラフである。
【図11】本発明を適用しない場合の、トナー消費波形とトナー補給波形を同時に示したものである。
【図12】本発明を適用した場合の、トナー消費波形とトナー補給波形を同時に示したものである。
【図13】トナー消費波形に対するトナー補給装置の駆動タイミングを示す模式図である。
【図14】トナー消費波形を打ち消すように単位時間当たりのトナー補給量を変更してトナー補給を行う様子を示す模式図である。
【図15】トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給駆動のON時間を変更してトナー補給を行う様子を示す模式図である。
【図16】本実施形態におけるトナーリフレッシュ動作を説明するフローチャートである。
【図17】トナー消費パターンの特徴を説明するための模式図である。
【図18】トナー消費パターンの大きさを副走査方向に変化させたときのトナー消費波形の概略を示す模式図である。
【図19】1回目のトナー消費波形に対して位相をずらして2回目のトナー消費動作を行った場合のトナー消費波形を示す模式図である。
【図20】第2実施形態におけるトナー消費動作を行った時のトナー消費波形を示す模式図である。
【図21】1回目のトナー消費動作における現像剤循環による1周目の間に複数回のトナー消費動作を実行する例を示す模式図である。
【図22】第2実施形態におけるトナー消費波形に対するトナー補給装置の駆動タイミングを示す模式図である。
【図23】トナー補給装置の回転速度を変更する場合と、トナー補給駆動のON時間を変更する場合とにおける、トナー消費波形に対するトナー補給を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明が適用される画像形成装置の一例であるフルカラープリンタの作像部を概略的に示す模式図である。この図に示すフルカラープリンタは、装置本体のほぼ中央部に4個の作像ユニット10(Y,C,M,Bk)を配設している。これら4個の作像ユニット10は、複数のローラに巻き掛けられた中間転写ベルト11の下側走行辺に沿って配置されている。
【0035】
各作像ユニット10は像担持体としての感光体ドラム1を具備している。この感光体ドラム1の周りには、帯電手段2、現像装置3、クリーニング手段4等が配置され、さらに各感光体ドラム1に対向する位置において中間転写ベルト11の内側に一次転写手段としての転写ローラ5が設けられている。なお、4個の作像ユニット10は同一構造に構成されており、各作像ユニットの現像装置で扱う現像剤の色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に異なっている。そして、図の煩雑を避けるため、作像ユニット10Yを構成する機器にのみ符号を付し、他の作像ユニットを構成する機器の符号は省略する。また、中間転写ベルト11の上方には、各色作像ユニット10の現像装置3へ供給されるトナーを収納したトナーボトル6(Y,C,M,Bk)が配置されている。
【0036】
4個の作像ユニット10の下方には光書き込み装置15が設けられている。光書き込み装置15は図示はしないがポリゴンミラーやミラー群等を有しており、光変調されたレーザ光を各色作像ユニットの感光体ドラム1の表面に照射する。光書き込み装置は、各作像ユニット10に個別に設けてもよい。
【0037】
光書き込み装置15の下方には図示しない給紙カセットが配設される。その給紙カセットから給送された転写紙等の記録媒体(以下、用紙という)は、図示しない搬送ローラによってレジストローラ対16まで搬送される。そのレジストローラ対16の上方には、二次転写手段としての転写ローラ17が、中間転写ベルト11が掛け渡されるローラの一つである転写対向ローラ13に対向して設けられている。そして、二次転写部の上側には定着装置18が設けられている。なお、支持ローラ12に対向する位置に、中間転写ベルト11上の画像濃度を検知する光学センサ14が配置される。
【0038】
上記のように構成された本例のフルカラープリンタにおける画像形成動作について簡単に説明する。
上記作像ユニット10の感光体ドラム1が図示しない駆動手段によって図中時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム1の表面が帯電手段2によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、光書き込み装置15からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム1表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体ドラム1に露光される画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン、及び黒の色情報に分解した単色の画像情報である。このように形成された静電潜像に現像装置3から各色トナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0039】
また、中間転写ベルト11が矢印で示すように図中反時計回りに走行駆動され、各作像ユニット10において一次転写ローラ5の作用により感光体ドラム1から中間転写ベルト11に各色トナー像が順次重ね転写される。このようにして中間転写ベルト11はその表面にフルカラーのトナー像を担持する。
【0040】
なお、作像ユニット10のいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2色又は3色の画像を形成したりすることもできる。モノクロプリントの場合は、4個の作像ユニットのうち、図の一番右側のBkユニットを用いて画像形成を行う。
【0041】
そして、トナー像を転写した後の感光体ドラム表面に付着する残留トナーは、クリーニング装置4によって感光体ドラム表面から除去され、次いでその表面が除電器(図示せず)の作用を受けて表面電位が初期化されて次の画像形成に備える。
【0042】
一方、装置下部の給紙カセットから用紙が給送され、レジストローラ対16によって、中間転写ベルト11上に担持されたトナー像とのタイミングを取って二次転写位置に向けて送出される。本例では転写ローラ17には中間転写ベルト表面のトナー像のトナー帯電極性と逆極性の転写電圧が印加され、これによって中間転写ベルト表面のトナー像が用紙上に一括して転写される。トナー像を転写された用紙は、定着装置18を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。定着された転写材は、装置本体の上面に構成された図示しない排紙トレイに排出される。
【0043】
図2は、現像装置3を上方から見た状態を示す平断面図である。図2では、図の左側が図1のフルカラープリンタの装置奥側に、図の右側が装置手前側となる。
図1,2に示すように、現像装置3は現像剤担持体である現像ローラ31を備えており、この現像ローラ31は感光体ドラム1に対向するように配置される。また、現像装置3は第一スクリュー32及び第二スクリュー33からなる2連の搬送スクリューを備えている。この2本の搬送スクリュー32,33により、図2に太矢印で示すように現像装置内を現像剤が循環搬送される。
【0044】
第一搬送スクリュー32が設置された部分では現像剤が現像ローラ31の表面に汲み上げられ、また、現像領域を通過した現像剤が戻される。そして、図1に示すように、第二スクリュー33側の現像剤室の下部に位置してトナー濃度センサ34が設けられている。トナー濃度センサ34としては、例えば現像器内のトナー透磁率を測定するものを使用する。また、第二スクリュー33側の現像剤室に連絡するトナー補給部35が設けられ、トナーボトル6からトナーが補給される。
【0045】
図3はトナー濃度センサ34の出力特性を示すグラフであり、縦軸がトナー濃度センサの出力値で、横軸がトナー濃度である。このグラフから分かるように、トナー濃度センサ34は、現像器内のトナー濃度が高いほど出力値が小さくなる特性を有している。また、トナー濃度とトナー濃度センサの出力値の関係は直線近似することが可能である。
【0046】
ここで、トナー濃度制御は、トナー濃度センサの出力値:Vtをトナー濃度の制御基準値:Vtrefと比較し、その差分に応じてトナー補給量を演算式から算出し、図示しないトナー補給装置を駆動することにより、トナー補給部35を通じて現像器中にトナーが補給される。
【0047】
以下、本実施形態におけるトナーリフレッシュ動作について説明する。
図4は、A4横で全ベタ画像を現像し、その後トナー補給・消費をともに行わずに現像装置3の搬送スクリューを駆動し続けた場合のトナー濃度センサ34の出力値を示すグラフである。このグラフからわかるように、トナー消費を行うことでトナー濃度センサの出力値が変化している(このトナー消費パターンの作成によって生じるトナー濃度センサの出力値の変化を以後トナー消費波形と呼ぶ)。
【0048】
トナー消費波形においてトナー濃度センサ出力値が高い(トナー濃度が低い)箇所がトナー消費パターンの作成によってトナーが消費された箇所である。逆にトナー濃度センサ出力値が低い(トナー濃度が高い)箇所はトナー消費が行われていない箇所である。このようにトナー消費波形より現像器内のトナー消費が行われた箇所を知ることができる。
【0049】
また、トナー消費波形から、トナー濃度の変動には周期性があることが分かる。これは現像器内の現像剤が攪拌されながら搬送されることで常に現像器内を循環しているため、トナー消費を行われた箇所が現像器内を一周して再びトナー濃度センサの検知位置まで循環されたためである。その様子が図4に示す2つめの波形に現れている。すなわち、トナー消費パターンの作成によってトナーが消費されセンサ出力値が高くなった個所(1周目波形のピーク)が、循環周期経過後の2周目波形においても高い出力値を示している。
【0050】
図5は、現像装置内のトナー濃度を変化させてA4横全ベタのトナー消費パターンを作成したものを同時に示したものである。ここではトナー濃度は3段階に変化させた。このグラフから分かるように、現像器内のトナー濃度が変化してもトナー消費波形はほぼ同じ波形である。
【0051】
これらのことから、現像装置内におけるトナー消費が行われた箇所と現像剤が現像器内を一周する循環周期を把握することができる。図4において両矢印で示す区間が循環周期である。そのため、トナー消費が行われた箇所が再び現像領域に到達するタイミングを予め知ることができる。
【0052】
図6は図4のトナー消費波形(A4横サイズの全ベタを現像)の位相をずらして2つ並べたものである。前述したように、トナー消費波形は同じトナー消費パターンを作成した際には毎回ほぼ同じ波形となることがわかっている。そのため、実際にトナー消費パターンを2回作成した時の各々のトナー消費波形は図6のように表すことができ、この波形を足し合わせたものが、2回トナー消費パターンを作成したときのトナー濃度センサの出力値となり、図7に示すような波形となる。
【0053】
図6に示すように、2回目のトナー消費波形の最大値が、1回目のトナー消費波形の1周目のピーク(最大値)と2周目のピーク(最大値)の間になるようなタイミングでトナー消費動作を行えば、トナー濃度が高い部分(劣化トナーが残留している部分)でトナー消費動作を行えるため、劣化トナーを効率良く消費することが可能となる。
【0054】
1回目の消費波形の最小値(谷部)と2回目の消費波形の最大値の位置が重なるようなタイミングでトナー消費動作を実行すれば、より効果的にトナー消費動作を行うことができる。なぜなら、図7に示す2回のトナー消費波形を重ね合わせた結果が、よりフラットになるためである。
【0055】
その方法について図8を用いて説明する。前述したようにトナー消費波形は毎回ほぼ同じ波形となる。そのため、予めトナー消費波形からトナー濃度センサ出力値が最大値となる時間と最小値となる時間を求めておけば、(前回の)最大値の位置と(後の回の)最小値の位置のタイミングを合わせることができる。
【0056】
はじめにトナー消費波形よりトナー消費動作開始(t0)から1周目の最大値までの時間t1を測定する。次にトナー消費波形の最小値となる位置までの時間t2を測定する。
【0057】
ここで、2回目の消費波形の最大値の位置が1回目の消費波形の最小値の部分と重なるようにするには、(t2-t1)=t0´を算出し、1回目のトナー消費パターンの書き込み開始(t0)からt0´経過後に2回目のトナー消費パターンの書き込みを開始すればよい。
【0058】
このようなタイミングで作成した2回目のトナー消費波形を図8に太線で示す。なお、図8では見やすいように2回目の消費波形は−0.2[V]だけオフセットさせている。また、図9に2回目の消費波形(太線)をオフセットさせずに1回目の消費波形と重ねて表示したものを示す。このように、1回目の消費波形の最小値の部分に2回目のトナー消費波形の最大値の位置を重ねることが可能となる。
【0059】
上記のように、1回目のトナー消費パターンの書き込み開始からt0´(=t2-t1)経過後に2回目のトナー消費パターンの書き込みを開始してトナー消費動作を実行すれば、トナー濃度が高い部分(すなわち、劣化トナーが残留している部分)でトナー消費動作を行えるため、より効率的に劣化トナーを消費することが可能となる。
【0060】
以上が本実施形態におけるトナー消費動作についての説明である。なお、実際のトナーリフレッシュ動作では、劣化したトナーを消費するだけではなく、新しいトナーと入れ替えるためにトナー補給を行う必要がある。続いて、本実施形態におけるトナー補給動作について説明を行う。
【0061】
図10は、トナー補給モータを駆動し(トナー補給動作を行い)、その後トナー補給・消費をともに行わずに搬送スクリューによる攪拌を行い、トナー濃度センサにより現像器内のトナー濃度を測定した結果である。図10のグラフから分かるように、トナー補給を行うとトナー濃度センサの出力値が低下するのが分かる(このトナー補給によって生じるトナー濃度センサの出力値の変化を以後トナー補給波形と呼ぶ)。このトナー補給波形は同じ量のトナー補給を行った場合には毎回ほぼ同じ波形となる。
【0062】
図11は、本発明を適用しない場合の、トナー消費波形とトナー補給波形を同時に示したものである。ここで、現像装置内のトナー濃度センサ出力はトナー消費波形とトナー補給波形を足し合わせたものとなる。そのため、トナー濃度センサ出力値は太線のようになる。
【0063】
なお、図11に示す場合にはトナー補給動作をトナー消費波形の立ち上がり部分で3回行っている。この場合、太線で示すようにトナー濃度センサ出力値に大きなリップルが発生している。これは、現像装置内のトナー濃度に変動があることを意味している。つまり、トナーが補給されてトナー濃度が高くなった箇所と、トナーが補給されずにトナー濃度が低い箇所が現像装置内で存在していることになる。
【0064】
トナーリフレッシュ動作の目的は劣化トナーを消費し、その分新しいトナーを補給して入れ替えることである。そのため、トナー補給動作を適切に行わないと劣化トナーが消費されただけで新しいトナーとの入れ替えが行われない箇所が存在することになる。
【0065】
一方、図12は、本発明を適用した場合を示すもので、トナー補給タイミングを変更し3回トナー補給を行った場合について、トナー濃度センサの出力値を示している。なお、このときトータルのトナー補給量は図11の場合と同じである。図12において、トナー消費波形とトナー補給波形を足し合わせた太線波形(トナー濃度センサ出力値に相当する)は、よりフラットとなっていることが分かる。
【0066】
このようにトナー補給タイミングを変更すれば、トナー濃度リップルの発生を無くすことが可能となる。これは、トナー消費が行われた箇所にまんべんなくトナー補給が行われたことを意味している。つまり、劣化トナーが消費された場所に的確にトナー補給動作が行われたこととなる。
【0067】
ここで、図12より、トナー消費波形の1周目の波形を打ち消すようにトナー補給動作を行えば、2周目以降ではトナー濃度が一定となっているのがわかる。そのため、2周目のトナー消費波形は生じなくなる(山が発生しなくなる)ため、2周目のトナー消費波形に関してはトナー補給を行う必要がない。
【0068】
以上のことから、1周目のトナー消費波形を打ち消すようなタイミングでトナー補給動作を行えば劣化トナーが消費された箇所に新しいトナーを補給することができ、的確にトナーの入れ替えを行うことが可能となる。具体的なトナー補給動作については後述する。
【0069】
本実施形態において、トナーリフレッシュ動作で作成するトナー消費パターンは毎回同じ大きさのパターンを作成する。そのため、前述したようにトナー消費波形は毎回略同じ波形となる。つまり、消費されてトナー濃度の低い箇所が現像器内を循環しトナー補給口に到達するまでの時間も毎回略同じタイミングである。
【0070】
以上のことから、トナー消費波形を打ち消すようなトナー補給タイミングは予め設定しておくことが可能となる。つまり、トナー消費パターンの書き込み開始をトリガにしてトナー消費波形を打ち消すタイミングでトナー補給動作を行うことが可能となる。
【0071】
次に、トナー消費波形に対するトナー補給装置の駆動タイミングについて図13を参照して説明する。
図11のようにトナー消費の直後に片寄ってトナー補給動作を実施するのではなく、図13のトナー補給動作(a)に示すように、トナー消費波形の1回目の周期Tの間に複数回のトナー補給動作を分散させて実施する。このタイミングチャートの「ON」がトナー補給動作を実施している部分である。
【0072】
このように、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給タイミングを予め設定しておき、トナー補給を実行すれば、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができるため、効果的にトナーリフレッシュを行うことができる。そのため、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0073】
なお、トナー消費波形を打ち消す方法は1周目のトナー消費波形に対してだけではなく、現像剤が循環して生じる2周目以降の消費波形に対しても行うようにしても良い。
【0074】
例えば、高温高湿環境の場合、現像剤中に多く水分を含むために電荷が放出されやすくなりトナーの帯電量が低下する。このような状況において、前記したように1周目のトナー消費波形を打ち消すようにトナー補給を行った場合、現像剤が現像器内を1周する間に多くのトナーが現像器内に補給されることになる。多くのトナーが補給されるとトナーとキャリアが接触する機会が減り帯電量が高くなりにくくなる。そのため、帯電量を上げるためにはなるべく分散してトナーを補給する必要がある。
【0075】
そこで、例えば1周目のトナー消費波形を打ち消すために必要なトナー補給量の半分だけを補給しておき、2周目で残りの半分を補給するようにする。このような補給を行えば、トナーとキャリアが接触する機会が増え帯電量を高くする効果が得られる。
【0076】
図13のトナー補給動作(b)は、必要なトナー補給量を1周目のトナー消費波形と2周目のトナー消費波形に分けて補給動作を実施したものである。このように2周目以降のトナー補給タイミングとしては本来1周目で行うはずのタイミングを現像剤が1周循環する分遅延させて補給を行うようにすればよい。そうすれば、1周目のみで補給する場合と同様に劣化トナーの消費位置に対して的確に補給動作を行うことができる。
【0077】
以上のように、トナー補給を行うことで帯電量の低下を防ぎつつ、劣化トナーが消費された箇所にトナーを補給することが可能となり、効果的にトナーリフレッシュを行うことが可能となる。
【0078】
次に、トナー補給装置の補給速度を変更し、単位時間あたりのトナー補給量を変更することができるシステムを用いた場合のトナー補給方法ついて説明する。
このようなトナー補給システムではトナー補給装置の回転速度を速くすれば、単位時間あたりの補給量は多くなり、トナー補給装置の回転速度を遅くすれば、単位時間当たりの補給量を少なくすることができる。前記したようにトナー消費波形は予め分かっている。そのため図14に示すように、トナー消費波形を打ち消すように単位時間当たりのトナー補給量(トナー補給装置の回転速度)を変更してトナー補給を行えば、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことが可能となる。これにより、効果的なトナーリフレッシュを行うことができる 次に、トナー補給装置の単位時間当たりの補給量は一定で、トナー補給駆動のON時間とOFF時間を可変とすることができるシステムを用いた場合のトナー補給方法について説明する。
【0079】
このようなトナー補給システムの場合、1回の補給動作時間(補給モータを駆動させてから停止させるまでの時間)を変更することでトナー補給量を変更することができる。具体的にはON時間が長いほどトナー補給量は多くなり、ON時間が短いほどトナー補給量は少なくなる。
【0080】
そのため、図15に示すように、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給駆動のON時間を変更してトナー補給を行い、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができる。
【0081】
以上のように、劣化トナーが消費された箇所に対して的確なタイミングでトナー補給を行うことで、劣化トナーと新しいトナーを効率よく入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができ、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0082】
続いて本実施形態における、トナーリフレッシュ動作について図16のフローチャートを用いて説明する。
まず、現像モータの走行距離を取得する(S1)。これは、現像モータの駆動時間を取得し、モータの回転速度からモータ駆動距離(走行距離)を算出し取得する。
【0083】
次に、累積画像面積[cm^2]を取得する(S2)。ここで、累積画像面積は次の式1によって求める。すなわち、転写紙1枚毎に書き込んだ画像面積を取得し、1枚印刷する毎に書き込んだ画像面積分を累積していく。
累積画像面積=前回までの累積画像面積+今回の画像面積・・・(式1)
なお、式1の画像面積の単位はすべて[cm^2]である。
【0084】
例えば、高画像面積の印刷を連続して行った場合には累積画像面積の値は大きくなり、一方で低画像面積の印刷を連続して行った場合には累積画像面積は小さい値となる。具体例としては、1枚の画像面積が50[cm^2]の印刷を連続して10枚印刷すると、累積画像面積は500[cm^2]となる。
【0085】
そして、必要リフレッシュ画像面積の算出を行う(S3)。必要リフレッシュ画像面積とは現像器内のトナーが劣化しないためには現像モータの走行距離に対してどのくらいのトナーを消費する必要があるかを画像面積で表した値であり、以下の式2で定義される。
必要リフレッシュ画像面積[cm^2]=現像モータ走行距離[m]×必要リフレッシュ閾値[cm^2/m]−累積画像面積[cm^2]・・・(式2)
【0086】
式2の必要リフレッシュ閾値とは現像モータの走行距離に対してどのくらいのトナーを消費する必要があるかを意味している。この値はトナーが劣化しないために必要なトナー消費量を予め実験などにより算出しておく。この必要リフレッシュ閾値に現像モータ走行距離を乗ずることで必要なトナー消費量を算出することができる。ただし、印刷を行っている際には印刷された画像面積に応じてトナーが消費される。そのため、必要なトナー消費量から実際に消費したトナーの差を求めることで、トナーが劣化しないためには、あとどのくらいのトナー消費量が必要かを求めることができる。この値が必要リフレッシュ画像面積である。
【0087】
ここで、累積画像面積の値によっては必要リフレッシュ面積の値が負になることがある。その場合にはトナーが劣化しないために必要な消費量以上にトナーが消費されているため、トナー消費動作が必要ないと判断することができる。
【0088】
必要リフレッシュ画像面積の算出について具体的な数値例を用いて以下に説明する。
取得した現像モータの走行距離が90[m]で累積画像面積が600[cm^2]であったとし、必要リフレッシュ閾値が25[cm^2/m]であるとすると、必要リフレッシュ画像面積は以下のように求められる。
必要リフレッシュ画像面積=90×25−600=1650[cm^2]
よって、画像面積1650[cm^2]のトナーを消費する必要がある。
【0089】
別の例として、取得した走行距離が90[m]で必要リフレッシュ閾値が25[cm^2/m]で累積画像面積が3000[cm^2]であったとすると、
必要リフレッシュ画像面積=90×25−3000=−750[cm^2]
と求められる。
【0090】
必要リフレッシュ画像面積の値が負の場合は印刷動作において十分にトナーが消費されているためトナーリフレッシュ動作が必要ないと判断することができる。
以上のようにして、今回の必要リフレッシュ画像面積を算出する。そして、前回までの必要リフレッシュ面積に今回算出したリフレッシュ面積を加算し累積リフレッシュ面積とする(S4)。
累積リフレッシュ画像面積[cm^2]=累積リフレッシュ画像面積[cm^2]+必要リフレッシュ画像面積[cm^2]・・・(式3)
【0091】
そして、リフレッシュ動作の実行判定を行う(S5)。S4で求めた累積必要リフレッシュ画像面積の値と所定のリフレッシュ実行判定閾値の値を比較して、累積必要リフレッシュ画像面積の値が所定のリフレッシュ実行判定閾値以上であった場合にリフレッシュ動作に移行する。
【0092】
すなわち、S5においてトナーリフレッシュ実行判定の結果、実行必要の場合にはS6に進み、トナーリフレッシュ動作を実行する。ここで、トナー消費パターンは毎回同じパターンを作成するようにする。本実施例では、トナー消費パターンは図17で示すようなパターンを作成する。トナー消費パターンの副走査長さが各色のステーション間ピッチに収まるようにしている。このようにすれば、トナー消費パターンを重ならずに同時に作成することができる。そのため、他色の消費パターン作成のために遅延などを行う必要がなく余計な時間がかからなくなる。
【0093】
また、トナー消費パターンを重ねて作成するとクリーニング部材に一度に入力されるトナー量が多くなるため、クリーニング部材への負担が大きくなる。そのため、クリーニング不良の点からも各色のトナー消費パターンは重ならないように作成することが望ましい。これらのことから、本実施形態では図17に示すようなトナー消費パターンを作成する。
【0094】
なお、トナー消費パターンは現像装置内の劣化トナーが十分に消費できる回数作成する。後述するが、現像装置や作成するトナー消費パターンの大きさなどにより作成回数を変化させる。
【0095】
次に、前述したようにトナー補給動作を実行し(S6)、劣化トナーが消費された箇所に対してトナー補給動作を行う。トナー補給はトナー消費波形を打ち消すように行うため、トナー消費動作と並列して実行される。
【0096】
トナー消費動作とトナー補給動作の両方が終了したら、トナーリフレッシュ動作実行終了とし、S7において、累積リフレッシュ画像面積の更新を行う。次の式4に示すように累積リフレッシュ画像面積からトナー消費した分の画像面積を減算する。
累積リフレッシュ画像面積[cm^2]=累積リフレッシュ画像面積[cm^2]−トナー消費画像面積[cm^2]・・・(式4)
【0097】
S7での処理が終了したら、もしくはS5においてトナーリフレッシュ動作が実行不要と判定された場合にはS8において、S3で必要リフレッシュ画像面積を算出する際に仕様した、現像モータ走行距離、累積画像面積の値を0クリアして終了となる。
【0098】
以上が本実施形態におけるトナーリフレッシュ動作となる。このように現像モータの走行距離と印刷している画像面積の累積値に応じて必要なリフレッシュ画像面積を算出することで、現像剤の状態はトナーリフレッシュ動作が必要であるかどうか判定することができる。
【0099】
また、トナーリフレッシュ動作では、現像装置内の劣化トナーが消費された箇所を把握することで残留した劣化トナーを確実に消費することができる。その結果として、画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0100】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
本第2実施形態は、1回目のトナー消費波形の1周目の最大値と2周目のピーク値との間で複数回トナー消費動作を行うものである(図21参照)。なお、第2実施形態における装置の機械的構成は上記第1実施形態と同様であるため、重複する説明は省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0101】
図18は、トナー消費パターンの大きさを副走査方向に変化させたときのトナー消費波形の概略図を示している。トナー消費パターンは副走査方向に長い「A」パターンと短い「B」パターンを作成するものとする。主走査方向長さは「A」、「B」ともに同じ長さである。このとき、「A」パターンのトナー消費波形を実線、「B」パターンのトナー消費波形は一点鎖線で示してある。
【0102】
図18より「A」と「B」でピーク位置の振幅が異なるのが分かる。これは、トナー消費量が「B」パターンの方が少ないため、現像剤のトナー濃度の低下が小さいためである。また、現像剤が循環して生じる2周目の波形が上昇し始める位置は「A」、「B」ともに同じとなる。これは現像剤が1周する循環周期が同じためである。また、「B」は「A」と比べて消費波形の幅が狭くなり、またピーク位置がくるタイミングも早くなる。
【0103】
そのため、「B」は「A」と比較して、1周目の波形と2周目の波形の間が長いことがわかる。
これは、前記したように循環周期は同じであるが、「B」パターンの消費波形の幅が狭くなるためである。
【0104】
また、現像剤容量が大きい現像装置の場合も、「B」パターンのようなトナー消費波形が得られる。このような現像装置の場合も1周目トナー消費波形から現像剤が循環して生じる2周目のトナー消費波形までの時間が長いことがわかる。
【0105】
このようなトナー消費波形が得られた場合、前述したように1回目のトナー消費波形に対して位相をずらして2回目のトナー消費動作を行うと図19のようになる。このとき、トナー濃度が高い部分(劣化トナーが残っている部分)があり、つまりは、2回のトナー消費動作によって、現像器内の劣化トナーを消費できない場合がある。
【0106】
そのような場合を解決するために、1回目のトナー消費波形の1周目のピーク値と2周目のピーク値との間で複数回トナー消費動作を行うことで、劣化トナーを確実に消費するようにする。
【0107】
ここで複数回行うトナー消費波形のうち、最後のトナー消費波形の1周目のピーク部分が、1回目に(最初に)作成するトナー消費波形の2周目の波形のピーク部分に重ならないように作成することが望ましい。なぜなら、1回目のトナー消費動作において、消費された箇所で再びトナー消費動作を行うことになるためである。
【0108】
トナー消費動作を行う回数について図20を用いて説明する。
図20はトナー消費動作を行った時のトナー消費波形を示している。まず1周目のトナー消費波形の出力が上昇し始める位置から現像剤が循環して2周目のトナー濃度センサの出力値が上昇し始めるまでの時間Tを測定する。この時間Tは現像剤が現像器内を一周する循環周期と一致する。
【0109】
次に1周目の消費波形の幅であるt_sを求める。そして、T/t_sの計算を行い、商の小数点以下を切り捨てた値をトナー消費動作を行う回数とする。このようにして、トナー消費動作を行う回数を求めることで、時間Tの間に収まるように複数個のトナー消費波形を作成することができる。図21には、時間Tの間に3回のトナー消費動作を実行する例を示している。
【0110】
また、トナー消費動作を行うタイミングは、時間Tをトナー消費動作を行う回数で割りその時間分前回のトナー消費動作実行開始から遅延させてトナー消費動作を実行させるようにすれば、時間Tの間で均等に分散してトナー消費動作を行うことが可能となる。図21に示すように、時間Tの間にトナー消費波形を収めるため、作成する最後の(3回目の)トナー消費波形の1周目のピーク部分が1回目の(最初の)トナー消費波形の2周目のピーク部分と重なることはない。
【0111】
以上のように、1回目のトナー消費動作によるトナー消費箇所が現像器内を一周する間で均等に複数回トナー消費動作を行うことができるため、確実に劣化トナーを消費することが可能となる。
【0112】
次に本第2実施形態におけるトナー補給動作について説明する。
前述したように、作成するトナー消費パターンは毎回同じであるため、トナー消費波形も略同じ波形となる。そのため、このトナー消費波形を打ち消すようなタイミングでトナー補給動作を実行すればよい。図22のトナー補給動作(a)に示すように、複数回行われるトナー消費動作によって生じるトナー消費波形それぞれを打ち消すようにトナー補給動作を実行すれば劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができるため、効果的にトナーリフレッシュを行うことができる。
【0113】
また、第1実施形態で前述したように、トナー消費波形を打ち消す方法は1周目のトナー消費波形だけではなく現像剤が循環して生じる2周目以降の消費波形に対しても行うようにしても良い。図22のトナー補給動作(b)に示すようにトナー補給を行うことで、帯電量の低下を防ぎつつ、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができる。
【0114】
トナー補給装置の回転速度を変更し、単位時間あたりのトナー補給量を変更することができるシステムを用いた場合のトナー補給方法ついて説明する。
このようなトナー補給システムではトナー補給装置の回転速度を速くすれば、単位時間あたりの補給量は多くなり、トナー補給装置の回転速度を遅くすれば、単位時間当たりの補給量を少なくすることができる。前記したようにトナー消費波形は予め分かっている。そのため、図23の補給装置回転駆動(c)に示すように、トナー消費波形を打ち消すように単位時間当たりのトナー補給量(トナー補給装置の回転速度)を変更してトナー補給を行えば、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことが可能となるため、効果的なトナーリフレッシュを行うことができる。
【0115】
トナー補給装置の単位時間当たりの補給量は一定で、トナー補給駆動のON時間とOFF時間を可変とすることができるシステムを用いた場合のトナー補給方法について説明する。
【0116】
このようなトナー補給システムの場合、1回の補給動作時間(補給モータを駆動させてから停止させるまでの時間)を変更することでトナー補給量を変更することができる。具体的にはON時間が長いほどトナー補給量は多くなり、ON時間が短いほどトナー補給量は少なくなる。
【0117】
そのため、図23のトナー補給動作(d)に示すように、トナー消費波形を打ち消すようにトナー補給駆動のON時間を変更してトナー補給を行い、劣化トナーが消費された箇所に対して的確にトナー補給を行うことができる。
【0118】
上記のように、1回目のトナー消費動作によるトナー消費箇所が現像器内を一周する間で均等に複数回トナー消費動作を行うことができるため、確実に劣化トナーを消費することが可能となる。また、劣化トナーが消費された箇所に対して的確なタイミングでトナー補給を行うことで、劣化トナーと新しいトナーを効率よく入れ替えることが可能となる。そのため効果的なトナーリフレッシュを行うことができ、地肌汚れや画像濃度の低下を防ぎ、高品位の画像を安定的に維持することが可能となる。
【0119】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1周期の間に実施するトナー補給動作の回数は3回に限らず、適宜な回数を設定可能である。また、第2実施形態における1回目のトナー消費波形の1周目のピーク値と2周目のピーク値との間で行うトナー消費動作の回数も3回に限らず、適宜な回数を設定可能である。
【0120】
現像装置各部の構成や画像形成装置の作像部の構成も任意であり、タンデム式における各色プロセスカートリッジの並び順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0121】
1 感光体ドラム
3 現像装置
6 トナーボトル
10 作像ユニット
11 中間転写ベルト
15 光書き込み装置
18 定着装置
31 現像ローラ
32 第一スクリュー
33 第二スクリュー
34 トナー濃度センサ
35 トナー補給部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0122】
【特許文献1】特開2008−216601号公報
【特許文献2】特開2006−47651号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2成分現像装置におけるトナーリフレッシュ方法において、
所定のトナー消費パターンを現像したときの現像装置内のトナー濃度の変化をトナー濃度センサにより検知し、該検知したトナー濃度センサの出力波形に対して、次回所定のトナー消費パターンを現像するときのトナー濃度センサの出力波形の位相がズレるようにトナー消費動作を行うことを特徴とするトナーリフレッシュ方法。
【請求項2】
次回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値が、前回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値と現像剤循環による2周目のピークの間に来るように、前記次回のトナー消費動作を実行することを特徴とする、請求項1に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項3】
前回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形における最小値と、次回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値とがほぼ重なるように、前記次回のトナー消費動作を実行することを特徴とする、請求項1又は2に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項4】
1回目のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値と現像剤循環による2周目のピークとの間に複数回のトナー消費動作を実行することを特徴とする、請求項1に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項5】
前記複数回のトナー消費動作は、最後のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の1周目のピーク部分が、前記1回目のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の現像剤循環による2周目のピーク部分に重ならないように実行することを特徴とする、請求項4に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項6】
前記複数回のトナー消費動作が均等に分散して行われることを特徴とする、請求項4又は5に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項7】
現像装置内を現像剤が1周する循環周期をTとし、トナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の1周目のピーク部分の時間幅をt_sとしたとき、T/t_sの商の小数点以下を切り捨てた値をトナー消費動作を行う回数とすることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項8】
トナー消費動作を行ったときに生じるトナー濃度の変動を打ち消すようにトナー補給動作を実行することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項9】
トナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の現像剤循環による1周目の消費波形部分に加えて2周目以降の消費波形部分に対しても前記トナー補給動作を実行することを特徴とする、請求項8に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項10】
前記トナー補給動作は、トナー補給装置の補給速度を変更して行うことを特徴とする、請求項8又は9に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項11】
前記トナー補給動作は、トナー補給装置の駆動ON時間と駆動OFF時間を変更して行うことを特徴とする、請求項8又は9に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項12】
2成分現像装置を備え、請求項1〜11のいずれか1項に記載のトナーリフレッシュ方法によりトナーリフレッシュ動作を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
2成分現像装置におけるトナーリフレッシュ方法において、
所定のトナー消費パターンを現像したときの現像装置内のトナー濃度の変化をトナー濃度センサにより検知し、該検知したトナー濃度センサの出力波形に対して、次回所定のトナー消費パターンを現像するときのトナー濃度センサの出力波形の位相がズレるようにトナー消費動作を行うことを特徴とするトナーリフレッシュ方法。
【請求項2】
次回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値が、前回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値と現像剤循環による2周目のピークの間に来るように、前記次回のトナー消費動作を実行することを特徴とする、請求項1に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項3】
前回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形における最小値と、次回のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値とがほぼ重なるように、前記次回のトナー消費動作を実行することを特徴とする、請求項1又は2に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項4】
1回目のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の最大値と現像剤循環による2周目のピークとの間に複数回のトナー消費動作を実行することを特徴とする、請求項1に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項5】
前記複数回のトナー消費動作は、最後のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の1周目のピーク部分が、前記1回目のトナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の現像剤循環による2周目のピーク部分に重ならないように実行することを特徴とする、請求項4に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項6】
前記複数回のトナー消費動作が均等に分散して行われることを特徴とする、請求項4又は5に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項7】
現像装置内を現像剤が1周する循環周期をTとし、トナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の1周目のピーク部分の時間幅をt_sとしたとき、T/t_sの商の小数点以下を切り捨てた値をトナー消費動作を行う回数とすることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項8】
トナー消費動作を行ったときに生じるトナー濃度の変動を打ち消すようにトナー補給動作を実行することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項9】
トナー消費動作におけるトナー濃度センサ出力波形の現像剤循環による1周目の消費波形部分に加えて2周目以降の消費波形部分に対しても前記トナー補給動作を実行することを特徴とする、請求項8に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項10】
前記トナー補給動作は、トナー補給装置の補給速度を変更して行うことを特徴とする、請求項8又は9に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項11】
前記トナー補給動作は、トナー補給装置の駆動ON時間と駆動OFF時間を変更して行うことを特徴とする、請求項8又は9に記載のトナーリフレッシュ方法。
【請求項12】
2成分現像装置を備え、請求項1〜11のいずれか1項に記載のトナーリフレッシュ方法によりトナーリフレッシュ動作を行うことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−47994(P2011−47994A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194196(P2009−194196)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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