説明

トナー飛散防止装置及び画像形成装置

【課題】 吸引経路にキャリアが入り込むことが防止でき、かつ、メンテナンスが容易なトナー飛散防止装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】 、磁性現像剤を使用する現像装置におけるトナー飛散防止装置70を、現像装置内の空気を排気路を通して排出する排気手段72と、現像装置内から外部への排気路を形成する吸気チューブ71と、現像装置内の該排気部材近傍に磁力発生手段である電磁石300と前記磁力発生手段の制御手段とを備えるものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー飛散防止装置及び画像形成装置に係り、特に磁性現像剤を使用する現像装置におけるトナー飛散防止装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気現像材を使用する画像形成装置では、現像器ケーシングの開口部に設けられた現像剤担持体としての回転現像スリーブ(以下、現像スリーブという)が内蔵する磁石によって形成する磁界により、トナーとキャリアを含む現像剤で磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシを潜像担持体としての感光体ドラムと上記現像スリーブとの隙間に搬送して上記感光体ドラム上の潜像を現像する。
【0003】
上記現像装置を備えた画像形成装置においては、現像装置動作中に現像装置内でトナーが撹拌されたり搬送されたりすることによる圧力発生等のために、上記現像スリーブが設けられた現像器ケーシングの開口部から装置内のトナーが飛散し易い。そして、現像装置の下方を中心に外部へ飛散したトナーは、画像形成装置内を汚染して紙詰まりなどの処理時にオペレーターの手を汚してしまったり、上記画像形成装置内で電気部品に付着してノイズなどの原因となったり、像保持体としての転写シートの搬送部分に付着して該転写シートを汚してしまったりするという問題点があった。このようなトナー飛散を防止するため画像形成装置には、トナー飛散防止のため様々な技術が適用されている。
【0004】
特許文献1には、現像ローラとキャリア回収ローラとの間隙の幅を上記現像ローラと感光体ドラムとの間隙の幅よりも大きく設定し、上記現像ローラとキャリア回収ローラと感光体ドラムとで囲まれる空間から間隙を介して流れ出す気流の流量が上記間隙を介して空間に流れ込む気流の流量よりも大きくし、これにより、上記空間の気圧が下がり、上記間隙から空気を吸い込もうとするので、該間隙には、上記空間に向かう気流が生じることとなり、現像器ケーシング開口部の下部から飛散トナーが装置内外に流れ出るのを防止することができるものが記載されている。
【0005】
このように、現像装置内から空気吸引すると、撹拌によりはねあげられたキャリアも吸引する場合がある。吸引されたキャリアは、トナーよりも重いため排気路途中や排気手段内に蓄積して、チューブ等を詰まらせて故障させたり、フィルタを目詰まりさせたりする不具合を引き起こす場合がある。また、トナー貯留手段である回収タンクに蓄積されることにより、早期に満杯になって交換が必要となり、メンテナンス間隔を短くしていた。
【0006】
これに対処するため、吸引ダクト部に磁石を設けて、空気と一緒に吸引されるキャリアを磁石で吸いつけて、吸気チューブよりも先に行かないようにして、チューブ詰まり、フィルタ詰まり、ポンプ故障等の不具合を防止するものも提案されている。
【0007】
また、特許文献2には二成分現像剤と接触、非接触の状態を繰り返すことができ該現像剤のトナーに対して該トナーが保持する電荷と同じ極性の電荷を与えることができる材質を有する領域(エリアA)と、該領域に付着するトナー量に応じた信号を検知する手段とを有し、その検知結果より現像剤の物性を検知するものが記載されている。
【0008】
特許文献3には、現像容器の内圧を開放するため現像容器の内部空間と外部空間とを連通させる開口部から現像容器の内部の空気を外部に吸引する送風ファンを備えるものが記載されている。
【0009】
特許文献4には、磁性体のキャリアを含有するキャリア現像剤を現像剤補給部から現像槽に補給する一方、現像槽内の現像剤を排出開口からオーバーフローにより排出させ、排出開口の周縁部には、この部位に磁力を付与して現像剤の排出を阻止する動作とその解除とを行う電磁石が設けられているものが記載されている。
【0010】
特許文献5には蓋の開閉動作と連動させて磁気吸引手段を作動させるために、蓋の近くにマイクロスイッチを設け、蓋が開くとマイクロスイッチのアク
チュエーターが開放されてマイクロスイッチの接点が閉じ、蓋が閉じるとマイクロスイッチのアクチュエーターが押されマイクロスイッチの接点が開き、そして、現像器の補給口近傍内部に、磁気吸引手段としての電磁石を設け、上記マイクロスイッチの接点の開閉により、磁力を発生させ、または発生を停止させるようにしたものが記載されている。
【0011】
特許文献6には、電子写真記録装置は、キャリアとトナーから成る二成分現像剤により現像を行う現像器を用い、該現像器に対し感光体移動方向下流側には、該感光体に所定距離を介し対向する電磁石が設けられ、電磁石はローラ状でかつ回転するようになっており、感光体1上のキャリアを吸引して除去する役割を果たすものが記載されている。
【特許文献1】特開平10−3220号公報
【特許文献2】特開2003−195624号公報
【特許文献3】特開2003−076143号公報
【特許文献4】特開平06−242683号公報
【特許文献5】特開平08−137234号公報
【特許文献6】特開平05−066678号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら上記の特許文献1のものや磁石を使用した構成のものでは長期間使用すると磁石に付着するキャリアが増えて、吸引経路を塞いでしまう不具合がある。この不具合を防止するためには定期メンテナンス時に付着したキャリアを取り除く必要があり、このようなメンテナンスを容易に行うことができるよう要望されていた。
【0013】
本発明は、前記の吸引経路にキャリアが入り込むことが防止でき、かつ、メンテナンスが容易なトナー飛散防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、磁性現像剤を使用する現像装置におけるトナー飛散防止装置であって、現像装置内の空気を排気路を通して排出する排気手段と、現像装置内から外部への排気路を形成する排気部材と、現像装置内の該排気部材近傍に磁力発生手段と前記磁力発生手段の制御手段とを備えたことを特徴とするトナー飛散防止装置である。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1のトナー飛散防止装置において、磁力発生手段として電磁石を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1または2のトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、排気手段の動作中に前記磁力発生手段を動作させることを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、請求項3のトナー飛散防止装置において、前記制御手段は排気手段が動作し、かつ、現像装置が動作している間のみ、前記磁力発生手段を動作させることを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、現像装置の動作中に、前記磁界発生手段を動作から不動作の状態に切り替えること特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、前記磁界発生手段の動作から不動作の状態への切り替えを非作像時に行うことを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、前記磁界発生手段の動作から不動作の状態への切り替えを1連の作像動作終了後に行うことを特徴とする。
【0021】
請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、現像装置の動作中に前記磁界発生手段を動作から不動作の状態に切り替え、現像装置の動作中かつ磁界発生手段不動作の間は、それ以外の場合より排気手段の排気流量を小さくすることを特徴とする。
【0022】
請求項9の発明は、請求項1ないし8のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、前記磁界発生手段の動作から不動作の状態への切り替えを非作像時に行うことを特徴とする。
【0023】
請求項10の発明は、請求項1ないし9のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、前記磁界発生手段の動作から不動作の状態への切り替えを、一連の作像動作終了後に行うことを特徴とする。
【0024】
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項10のいずれかのトナー飛散防止装置を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、吸引経路にキャリアが入り込むことが防止でき、かつ、メンテナンスの容易なトナー飛散防止装置及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。図1は、本発明の実施例に係るトナー飛散防止装置を備えるレーザ複写機示す全体概略構成図、図2は図1に示したレーザ複写機の要部の部分拡大構成図、図3は図1に示したトナー飛散防止装置を構成する吸気チューブの先端に取り付けた吸引ダクトの斜視図、図4は図3に示した吸気ダクトのうち構成例1を下面側から見た斜視図、図5は実施例に係るトナー飛散防止装置を構成する排気手段の分解斜視図、図6は上記レーザ複写機における現像装置の現像開口付近の部分拡大斜視図、図7はトナー飛散防止装置を構成するトナー貯留手段の斜視図、図8はトナー貯留手段の他例の斜視図、図9は現像装置に用いるトナー飛散防止装置の他例の構成図である。
【0028】
本例に係る画像形成装置本体10には、ドラム状の像担持体12を設け、像担持体12のまわりには、帯電装置13、現像装置14、転写・搬送装置15、クリーニング装置16、除電装置17などを配置している。
【0029】
それらの上部には、レーザ書込み装置18を設け、レーザ書込み装置18には、レーザダイオード等の光源20、走査用の回転多面鏡21、ポリゴンモータ22、f
θレンズ等の走査光学系23などを備える。
【0030】
クリーニング装置16の図中左側には、定着装置25を配置し、定着装置25は、ヒータを内蔵する定着ローラ26と、その定着ローラ26に下方から押し当てる加圧ローラ27を備える。
【0031】
また、装置本体10内の上部には、原稿読取装置30を備える。原稿読取装置30は、光源31、複数のミラー32、結像レンズ33、CCD等のイメージセンサ34などを備える。
【0032】
一方、装置本体10内の下部には、両面ユニット35を配置し、両面ユニット35からは、像担持体12の下方へとのびる給紙路36へと通ずる再給紙路37を設ける。両面ユニット35へは、定着装置25出口からのびる排紙路38途中から分岐して反転路39を形成してなる。
【0033】
このように構成した装置本体10の上面には、コンタクトガラス40を設置し、コンタクトガラス40を被うように、装置本体10上には、自動原稿給紙装置41を開閉自在に取り付けてなる。
【0034】
また、上述のような画像形成装置本体10は、給紙テーブル43上に載置して構成される。給紙テーブル43内には、給紙カセット44を多段に備え、各給紙カセット44には、それぞれ対応して給紙ローラ45を設けている。給紙ローラ45は、繰り出したシートを、給紙路36へと通ずる搬送路46に入れ、搬送路46には、複数対の搬送ローラ47を設けている。
【0035】
このようなレーザ複写機を用いてコピーを取るときは、自動原稿給紙装置41に原稿をセットし、または自動原稿給紙装置41を開いてコンタクトガラス40上に直接原稿をセットする。そして、不図示のスタートスイッチを押し、自動原稿給紙装置41を駆動してコンタクトガラス40上に搬送した原稿を、またはあらかじめコンタクトガラス40上にセットしてある原稿を、原稿読取装置30により画素単位で読み取る。
【0036】
同時に、適宜の給紙ローラ45を回転し、給紙テーブル43内の複数の給紙カセット中の対応する給紙カセット44内からシートを繰り出し、搬送路46に入れて搬送ローラ47で搬送し、給紙路36に入れてレジストローラ48に突き当てて止める。そして、像担持体12の回転にタイミングを合わせて該レジストローラ48を回転し、像担持体12の下方へと送り込む。
【0037】
他方、不図示のスタートスイッチを押したとき、同時に像担持体12を図中時計方向に回転させる。そして、その像担持体12の回転とともに、まず帯電装置13で表面を一様に帯電し、次いで上述した原稿読取装置30で読み取った読取り内容に応じてレーザ光Lを照射してレーザ書込み装置18で書込みを行い、像担持体12の表面に静電潜像を形成し、そののち現像装置14でトナーを付着してその静電潜像を可視像化する。
【0038】
それから、上述したように像担持体12の下方へと送り込んだシートに、転写・搬送装置15でその可視像を転写する。画像転写後の像担持体12表面は、残留トナーをクリーニング装置16で除去して清掃し、除電装置17で除電して、その後の再度の画像形成に備える。
【0039】
一方、画像転写後のシートは、転写・搬送装置15で搬送して定着装置25に入れ、定着ローラ26と加圧ローラ27とで熱と圧力とを加えて転写画像を定着する。その後、排紙路38を通して、例えば装置本体10に取り付けた不図示のトレイ上に排出する。
【0040】
なお、この複写機を用いてシートの裏面にも記録を行うときには、片面に記録後、反転路39を通して両面ユニット35へと入れ、そこで反転して再び像担持体12の下方へと送り込み、別途像担持体12上に形成した画像を同様に裏面にも転写してから、例えば不図示のトレイ上に排出する。
【0041】
ここで、上述した現像装置14は、図2に示すように、現像タンク50と現像ホッパ60を備える。現像タンク50は、第1現像ローラ51、第2現像ローラ52、パドルホイール53、攪拌ローラ54、搬送スクリュ55、セパレータ56、ドクタブレード57、トナー濃度センサ58などを現像ケース59内に備える。そして、現像ケース59内には、キャリアとトナーとからなる二成分現像剤を収納している。
【0042】
現像ホッパ60内には、歯車状のトナー補給部材61、補給規制板62、アジテータ63などを備える。この現像ホッパ60内には、トナーを収納している。
【0043】
そして、この現像装置14では、現像ケース59内の二成分現像剤を、攪拌ローラ54の回転により攪拌して摩擦帯電し、パドルホイール53の回転によって跳ね上げ、第1現像ローラ51および第2現像ローラ52内の磁石によってそれらの第1現像ローラ51および第2現像ローラ52に吸着させる。
【0044】
第1現像ローラ51および第2現像ローラ52に吸着された現像剤は、第1現像ローラ51および第2現像ローラ52外周のスリーブにより搬送されてドクタブレード57により余剰分を掻き落とされた後、現像バイアスにより像担持体12に付着してその像担持体12上に静電潜像を現像する。
【0045】
この現像装置14では、像担持体12に付着してトナーを消費すると、トナーの割合(トナー濃度)が減少する。そこで、現像剤中のトナー濃度がトナー濃度の目標値に対して所定値以下になると、アジテータ63を回転してトナーを攪拌するとともにトナー補給部材61へと搬送し、そのトナー補給部材61を回転して補給規制板62を揺動し、現像ホッパ60から現像タンク50内へとトナーを補給して現像剤中のトナー濃度を維持する。
【0046】
現像剤中のトナー濃度は、現像ケース59に取り付けるトナー濃度センサ58により測定する。トナー濃度の目標値は、像担持体12上に作成した測定用トナー像(Pパターン)をフォトセンサで測定した値により設定する。
【0047】
なお、一般に、シートの両側には、画像がない場合が多い。そこで、両側のトナー量が多くならないように、現像ホッパ60からは、両側を除くトナー補給領域bの範囲でトナー補給を行うようにする。
【0048】
ところで、上述したとおり、像担持体12に付着したトナーは、転写・搬送装置15によってシートに静電転写する。ところが、約10%のトナーは、未転写となって像担持体12上に残る。未転写となって像担持体12上に残った残留トナーは、クリーニング装置16に設けるクリーニングブレード65およびブラシローラ66によって像担持体12上から掻き落とされる。
【0049】
クリーニング装置16によって像担持体12上から掻き落とされたトナーは、クリーニング装置16の回収タンク67内に入り、回収スクリュ68によってクリーニング装置16の片側に搬送され、不図示の排出口から排出されてトナーリサイクル装置へと導かれる。
【0050】
本例のレーザ複写機では、図1ないし5に示すように、現像装置14に接続してトナー飛散防止装置70を備える。トナー飛散防止装置70には、現像装置14と吸気チューブ71で接続して、装置本体10内に排気手段72を備え、またその排気手段72と排気チューブ73で接続して、給紙テーブル43内にトナー貯留手段74を備える。
【0051】
吸気チューブ71の先端には、図3に示すように、吸引ダクト75を取り付けている。吸引ダクト75は、細長矩形状で、上面中央に吸気チューブ71の一端を接続する接続口76を有し、本例では、図14に示すよう下面が大きな開口77となっており、本発明の構成例2では、図4のように、その下面には、現像ホッパ60のトナー補給領域bに対応して、マイラ等のシート部材78を貼り付けて開口77の中央部を塞ぎ、両側に吸込み口79を設ける構成となっている。また、開口77のまわりには、現像ホッパ60側を除いてシール部材80を貼り付けて構成される。
【0052】
そして、この吸引ダクト75は、図2に示すように、両端を、現像ケース59の両側に対向して設けるガイド溝82内に矢示方向に挿入して現像ケース59の開口83に取り付け、そののち現像タンク50に現像ホッパ60を取り付けることにより抜け止めする。現像ホッパ60には、吸引ダクト75との間をシールするシール部材84を貼り付ける。これにより、現像ケース59の開口83を完全に塞ぐようにする。
【0053】
次に、図1に示す排気手段72は、図5に示すように、ポンプ86の吸気口87に吸気チューブ71の他端を取り付け、排気口88に排気チューブ73の一端を取り付ける。また、モータ89の駆動軸90に取り付けた偏心ピン91をゴム部材92の一部93にはめ付ける。
【0054】
そして、モータ89を駆動し、そのモータ89の駆動によりゴム部材92の中央を図中矢示方向に往復動し、不図示の吸気弁を開いて不図示の排気弁を閉じ、現像装置14内の空気を上述した吸引ダクト75の吸込み口79から吸い込み、吸気チューブ71内の排気路を通して吸気口87からポンプ86内に入れ、または吸気弁を閉じて排気弁を開き、ポンプ86内の空気を排気チューブ73の排気路を通してトナー貯留手段74へと送り込む。
【0055】
このようにして、排気手段72を駆動してトナー飛散防止装置70により現像装置14内の空気を吸い込むことにより、現像装置14内の浮遊トナーを吸引するとともに、図2に示す現像ケース59の現像開口95に吸込み気流を発生し、例えば図6中矢印aで示すように周辺の空気を吸い込むことで、現像装置14からのトナー飛散を防止することができる。
【0056】
トナー飛散防止装置70を設けなくても、現像ローラ50・51の回転により現像開口95から周辺の空気を吸い込む気流が発生するが、トナー飛散防止装置70を設けることにより多くの空気を吸い込んで現像装置14からのトナー飛散を一層防止することができる。
【0057】
トナー貯留手段74は、図7に示すように、幅と高さがあり、奥行きの小さなタンク97で、図1に示すように給紙テーブル43内において搬送路46に沿ってその外側に配置する。その上面片側に排気チューブ73の他端を接続する入口98を有し、外面には少し高い位置に開口を有する。そして、タンク97に大きなフィルタ状のトナー捕集手段100を取り付け、そのトナー捕集手段100で開口を塞いでなる。
【0058】
トナー捕集手段100は、フッ素樹脂の中でももっとも科学的安定性の高いPTFE(ポリテトラフロロエチレン)を特殊技術で延伸加工し、微細な連続多孔質構造を持たせたものであり、空気は通すが、トナーは捕集してタンク97内に貯める。
【0059】
なお、このようにトナー捕集手段100として延伸多孔質PTFEを使用すると、圧を加えながら空気を通しても、静電フィルタ等の他のフィルタと違ってトナー漏れがなく、トナーを確実に捕集することができる。
【0060】
これにより、排気手段72から排気チューブ73を通して送られてきた空気をトナー貯留手段74に入れ、トナー捕集手段100でトナーを捕集して、捕集したトナーはタンク97内に貯め、トナー捕集後の空気は排気グリルを通して装置本体10の外部に排出する。
【0061】
トナー貯留手段74には、不図示のトナー満杯検知手段を設け、トナーの満杯を検知する。トナーが満杯になったときは、タンク97内のトナーを廃棄するか、タンク97を新しいものと交換する。
【0062】
もちろん、トナー貯留手段74は、図7に示すような形状のものに限るものではなく、例えば図8に示すような形状のものであってもよい。また、タンク97の開口とその開口を塞ぐトナー捕集手段100は、目詰まりが生じないように、できるだけ大きい方がよい。図8では図7の対応部分に使用した符号をそのまま使用することとし、その重複説明を省略する。
【0063】
なお、上述した例では、吸気チューブ71や排気チューブ73を用いて排気路を形成したが、当然、チューブに限らず、パイプその他を用いて排気路を形成してもよい。
【0064】
ところで、上述した図示例では、排気手段72の下流位置にトナー貯留手段74およびトナー捕集手段100を備えた。しかし、例えば図9に示すように、排気手段72の上流位置にトナー貯留手段74およびトナー捕集手段100を備えるようにしてもよい。
【0065】
そして、この図示例では、トナー捕集手段100で捕集したトナーを、現像装置14のトナー中に落下することなく、トレイ状のトナー貯留手段74で受けるようにしたものである。トナー貯留手段74は、着脱可能として、貯留するトナーを廃棄できるようにし、トナー捕集手段100により捕集したトナーの処理を容易としてなる。
【0066】
このようにすると、トナー捕集手段100で捕集したトナーを上流のトナー貯留手段74に貯留し、トナーが下流の排気手段72まで達しないようにできるから、排気手段72の種類に限定を不要として、例えば図示するようなファン102を用いた排気手段72でもよくなり、排気手段72は価格や大きさや組立容易性等を考慮して最適なものを使用することになる。
【0067】
この構成の複写機に、後述の本発明の構成を使用すれば、現像装置内からキャリアが吸引されて出ることがないため、フィルタ100(トナー補修手段)の詰まりが防止できる。さらに、トナー貯留手段にキャリアが入らないので早期に満杯なることが防止でき、トナー貯留手段の交換やメンテナンスの周期を長くすることができる。ここでは図9に示すようトナー貯留手段74は排気ダクト部と一体となって現像装置から脱着可能であり、排気ダクト近傍に電磁石300を設けてある。
【0068】
また、トナーを廃棄することなく、例えば図10に示すように、トナーリサイクル手段110を備えるようにしてもよい。図示トナーリサイクル手段110は、トナー貯留手段74に、貯留するトナーが集まる凹部104を形成し、その凹部104内に、トナーを片側に寄せるスクリュ等のトナー搬送部材105を設け、その片側に寄せたトナーを例えば現像装置14に戻す、スクリュやベルトやコイルなどを用いたトナー回収部材106を備えるようにしたものである。
【0069】
トナーリサイクル手段110を備えると、トナー捕集手段100で捕集したトナーのリサイクル使用を可能として、メンテナンスコストを低減することができる。この構成の複写機に、後述の本発明の構成を使用すれば、現像装置内からキャリアが吸引されて出ることがないため、吸気チューブ等にキャリアがつまる不具合が防止できる。
【0070】
また、スクリュ等のトナー搬送部材105がキャリアの重量によって負荷が大となると、トナー搬送部材自体の破損や、トナー搬送部材の駆動手段の故障、破損が起こるが、これらの不具合も防止できる。さらに、リサイクルトナー中にキャリアが混じらないので、現像ホッパ60のトナー補給部材61や補給規制板62他の現像ホッパ60構成部品の故障、破損も防止できる。
【0071】
次に本実施例に係るトナー飛散防止装置の構成例1及び構成例2について説明する。
【0072】
<構成例1>
本発明の構成例1の現像装置を、図12、13に示す。構成例1の現像装置では、吸引ダクト75の接続口76近傍に電磁石300が取り付けてあり、図示しない電源ハーネスによって機械本体の制御基板に接続され、後述の制御例1(図15)および制御例2(図16)の制御タイミングにて、電磁石300がONとなり磁界が発生する。
【0073】
このためトナー飛散防止装置で現像装置内から空気吸引しても、図12に示すように吸引される空気に含まれたキャリアは、吸気チューブ71に達する手前で電磁石300の磁界にひきつけられるため、現像装置内から吸引されて出ることがない。したがって、吸気チューブ71や排気チューブ73にキャリアが詰まることや、排気手段72内に入って故障させることがない。また、フィルタ100(トナー補修手段)の詰まりも防止できる。さらに、タンク97(トナー貯留手段)にキャリアが入らないので早期に満杯なることを防止し、タンク97の交換周期を長くすることができる。
【0074】
電磁石300の磁界で接続口76の近傍に堆積したキャリアは、後述の制御例1(図15)および制御例2(図16)の制御タイミングにて、電磁石300がOFFされて磁界が無くなると、現像装置内に落下する。したがって、従来技術で必要だったキャリア除去のメンテナンス作業が不要である。
【0075】
<構成例2>
本発明の構成例2の現像装置を、図14に示す。
本発明の構成例2の現像装置では、吸引ダクト75の両側の上方位置に電磁石300が取り付けてあり、図示しない電源ハーネスによって機械本体の制御基板に接続され、後述の制御例1(図15)および制御例2(図16)の制御タイミングにて、電磁石300もONとなり磁界が発生する。なお、本構成例では吸引ダクト75の反対側は、図4に示すものと例と同様である。
【0076】
即ち、吸引ダクトの下面には、図4に示すようにPETフィルムの仕切り部材78が貼り付けてあり、開口77の中央部を塞いでいる。このため、吸引ダクト75の両側に吸い込み口79ができ、ここから現像装置内の空気を吸引する。トナー飛散防止装置で現像装置内から空気吸引すると、図14の経路で空気が流れるが、吸引された空気に含まれたキャリアは、吸気チューブ71に達する前に吸引ダクト75の両側の上方位置に取り付けられた電磁石300の磁界で吸い込み口79上面に付着するため、現像装置内から吸引されて出ることがない。
【0077】
したがって、吸気チューブ71や排気チューブ73にキャリアが詰まることや、排気手段72内に入って故障させることがない。また、フィルタ100(トナー補修手段)の詰まりも防止できる。さらに、タンク97(トナー貯留手段)にキャリアが入らないので早期に満杯なることを防止し、タンク97の交換周期を長くすることができる。
【0078】
電磁石300の磁界で吸い込み口79上面の近傍に堆積したキャリアは、後述の制御例1(図15)および制御例2(図16)の制御タイミングで電磁石300がOFFされ磁界が無くなると、現像装置内に落下する。したがって、従来技術で必要だったキャリア除去のメンテナンス作業が不要である。
【0079】
次に本実施例の排気手段72の動作と制御タイミングについて説明する。
本発明で使用される排気手段72は、モータ89の回転数を制御することによって流量の制御を行う。モータ89は、標準回転数Hと低流量回転数Lの2種類のいずれかで回転する。本発明の実施例では図15、16のタイミングに示す通り、
(H)現像駆動ONかつ電磁石ONの場合は標準回転数H
(L)現像駆動ONかつ電磁石OFFの場合は低流量回転数L
で制御されている。
(L)の制御時には、電磁石300によって付着堆積したキャリアは現像装置内に落下する。このとき排気手段72は低流量の状態であるので、キャリアは現像装置内から空気と一緒に吸引されにくく、かつ、現像装置からの空気吸引によりトナー飛散の防止効果もある状態である。
【0080】
<制御例1>
制御例1の電磁石制御タイミングを図15に示す。制御例1では、現像駆動の開始、終了と同時に、排気手段72と電磁石がONおよびOFFされる。連続作像時に、電磁石300のONからOFFへの切り替えは作像を行わない紙間のタイミング(C)に合わせて行われ、電磁石300がOFFの間は、排気手段72のモータ89の回転数は、上述の低流量回転数Lとなる。電磁石のONからOFFへの切り替えによって、電磁石300の磁界により接続口76(構成例1)や吸い込み口79上面(構成例2)の近傍に堆積していたキャリアは現像装置内に落下する。この落下するタイミングは上述の通り非作像時(C)であるため、次の作像時(A)までに現像装置内に落下したキャリアが攪拌されて現像に使われるため、攪拌不足による濃度ムラや地汚れの不具合が防止できる。
【0081】
本例では、(C)の電磁石300がOFFの間、排気手段72は低流量の状態であるため、キャリアが空気と一緒に現像装置から吸引されることはない。また、現像装置内からの空気吸引はされているため、トナー飛散防止効果は維持されている。
【0082】
<制御例2>
制御例2の電磁石制御タイミングを図16に示す。制御例2では、現像駆動開始と同時に、排気手段72と電磁石がONし、一連の作像が終了した後(C)にOFFされる。現像駆動及び排気手段72は電磁石300のOFFから所定時間後(B)に停止する。
【0083】
電磁石のONからOFFへの切り替えによって、電磁石300の磁界により接続口76(構成例1)や吸い込み口79上面(構成例2)の近傍に堆積していたキャリアは現像装置内に落下する。この落下するタイミングは上述の通り一連の作像が終了した後(C)であり、現像装置の動作中であるため、現像装置内に落下したキャリアは攪拌された後に現像装置が停止する(B)。このため、次の作像動作時(A)の攪拌不足による濃度ムラや地汚れの不具合が防止できる。
【0084】
本例では、(C)の電磁石300がOFFの間、排気手段72は低流量の状態であるため、キャリアが空気と一緒に現像装置から吸引されることはない。また、現像装置内からの空気吸引はされているため、トナー飛散防止効果は維持されている。
【0085】
上記各制御例は、磁性キャリアと非磁性のトナーを使用する2成分現像装置について説明したが、磁性キャリアと磁性トナーを使用する2成分現像装置に適用してもよい。この場合は空気吸引によって一緒に吸引された磁性キャリアの他、磁性トナーも電磁石300に付着するため排気経路に多量に入り込むことが防止でき、排気経路のつまり等が防止できる。また、メンテナンス作業が容易にできる効果についても構成例1、2と同様である。
【0086】
本発明の制御タイミングにより、前述の制御例1、2と同様に、攪拌不足による濃度ムラや地汚れの不具合が防止でき、また、現像装置内からの空気吸引はされているため、トナー飛散防止効果は維持されている。
【0087】
また磁性1成分現像装置に本発明を適用してもよい。この場合も排気経路に多量の磁性トナーが入り込まず、メンテナンスも容易に行なえるため、構成例1、2と同様の効果をもつ。
【0088】
磁性1成分現像装置でも、電磁石に付着した磁性トナーが大量に現像装置内に落ちると、現像装置内で部分的にトナーが多い部分ができて攪拌が不均一になる不具合があるため、本発明の制御タイミングを適用することにより、上記不具合を防止することができ、また、現像装置内からの空気吸引はされているため、トナー飛散防止効果は維持されている。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施例に係るトナー飛散防止装置を備えるレーザ複写機であり、その複写機内部機構の全体概略構成図である。
【図2】図1に示したレーザ複写機の要部の部分拡大構成図である。
【図3】図1に示したトナー飛散防止装置を構成する、吸気チューブの先端に取り付けた吸引ダクトの斜視図である。
【図4】図3に示した吸気ダクトのうち実施例2を下面側から見た斜視図である。
【図5】実施例に係るトナー飛散防止装置を構成する排気手段の分解斜視図である。
【図6】上記レーザ複写機における現像装置の現像開口付近の部分拡大斜視図である。
【図7】トナー飛散防止装置を構成するトナー貯留手段の斜視図である。
【図8】トナー貯留手段の他例の斜視図である。
【図9】現像装置に用いるトナー飛散防止装置の他例の構成図である。
【図10】トナー飛散防止装置のさらに他例の構成図である。
【図11】従来の現像装置に用いるトナー飛散防止装置の構成図である。
【図12】本発明の構成例1の断面図である。
【図13】本発明の実施例2の吸気ダクトを下面側から見た斜視図である。
【図14】本発明の構成例2の断面図である。
【図15】本発明の制御例1の制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図16】本発明の制御例2の制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【図17】従来技術の制御タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0090】
10…画像形成装置本体
12…像担持体
14…現像装置
59…現像ケース
70…トナー飛散防止装置
71…吸気チューブ
72…排気手段
73…排気チューブ
74…トナー貯留手段
75…吸引ダクト
79…吸込み口
86…ポンプ
95…現像開口
97…タンク
100…トナー捕集手段
102…ファン
104…凹部
105…トナー搬送部材
106…トナー回収部材
110…トナーリサイクル手段
b…トナー補給領域
300…電磁石


【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性現像剤を使用する現像装置におけるトナー飛散防止装置であって、
現像装置内の空気を排気路を通して排出する排気手段と、
現像装置内から外部への排気路を形成する排気部材と、
現像装置内の該排気部材近傍に磁力発生手段と
前記磁力発生手段の制御手段とを備えたことを特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項2】
請求項1のトナー飛散防止装置において、磁力発生手段として電磁石を設けたことを特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項3】
請求項1または2のトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、排気手段の動作中に前記磁力発生手段を動作させることを特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項4】
請求項3のトナー飛散防止装置において、前記制御手段は排気手段が動作し、かつ、現像装置が動作している間のみ、前記磁力発生手段を動作させることを特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかのトナー飛散防止装置において、
前記制御手段は、現像装置の動作中に、前記磁界発生手段を動作から不動作の状態に切り替えること特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、前記磁界発生手段の動作から不動作の状態への切り替えを非作像時に行うことを特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、前記磁界発生手段の動作から不動作の状態への切り替えを1連の作像動作終了後に行うことを特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、現像装置の動作中に前記磁界発生手段を動作から不動作の状態に切り替え、現像装置の動作中かつ磁界発生手段不動作の間は、それ以外の場合より排気手段の排気流量を小さくすることを特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、前記磁界発生手段の動作から不動作の状態への切り替えを非作像時に行うことを特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかのトナー飛散防止装置において、前記制御手段は、前記磁界発生手段の動作から不動作の状態への切り替えを、一連の作像動作終了後に行うことを特徴とするトナー飛散防止装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれかのトナー飛散防止装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−243249(P2006−243249A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−57463(P2005−57463)
【出願日】平成17年3月2日(2005.3.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】