説明

トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の組み合わせ物

トラマドール及び、ガバぺンチンを含んでなる物質、を含んでなる物質、組成物、剤形及び方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラマドール及び、ガバぺンチンを含んでなる物質、を含んでなる物質、組成物、剤形及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
神経障害性疼痛の動物モデルによる基礎的研究及びヒトの臨床試験が侮辱又は疾患による神経系の病理生理学的及び生化学的変化を示したために、神経障害性疼痛の病原についての科学的理解はこの数十年にわたり進歩してきた(非特許文献1参照)。神経障害性疼痛はしばしば、癌患者、発作犠牲者、高齢者、糖尿病(疼痛を伴なう糖尿病神経障害)、ヘルペス後の神経痛のような帯状疱疹をもつ患者(帯状疱疹)及び筋萎縮性測索硬化症(ALS)のような神経変性疾患をもつ患者により経験される慢性疼痛である。神経障害性疼痛の臨床的特徴は、焼け付く疼痛、自然の疼痛、射るような疼痛及び呼び起こされる疼痛を包含する。独特な病理生理学的機序が動的機械的異痛症及び冷覚痛覚過敏のような特別の感覚症状をもたらす。
【0003】
神経障害性疼痛の処置のための治療は、非ステロイド系抗炎症剤のような伝統的鎮痛剤及びオピオイド並びに抗痙攣剤及び三環式抗鬱剤を包含する他の薬剤の使用を包含する(非特許文献2、3及び4参照)。不適切な疼痛緩和又は耐えられない副作用のために、多数の患者が様々の処置に不治である。言い換えると、現在の神経障害性疼痛の処置は低い治療指数を有する。
【0004】
更に、神経障害性疼痛における薬理学的介入の本質が、投与頻度において最適に達しない。ガバペンチン(gabapentin)及びトラマドールのような神経障害性疼痛の処置のための種々の薬剤は1日に数回患者に投与しなければならない。これは特に、投与計画が患者に不都合であり、そして、血漿薬剤濃度が治療レベルより下に低下すると疼痛が制御を失うために、疼痛緩和に望ましくない。この不便が低いコンプライアンス及び低い疼痛の制御をもたらす。疼痛制御の喪失は患者を、成功した処置の可能性を失敗と認識させる可能性がある。神経障害性疼痛に望ましい投与頻度は1日1回(qd)である。
【0005】
従って、改善された治療指数及び1日1回の投与を伴なう神経障害性疼痛の処置物質、組成物、剤形及び方法が必要とされる。
【0006】
【非特許文献1】Backonja,M.M.Clin.J.Pain,16(2):S67−72(2000)
【非特許文献2】Max,M.B.,Ann.Neurol.,35(Suppl):S50−S53(1994)
【非特許文献3】Raja,S.N.et al.,Neurology,59;1015(2002)
【非特許文献4】Galer,B.S.et al.,Pain,80:533(1999)
【発明の開示】
【0007】
発明の要約
1つの態様において、本発明は、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形に関し、そしてここで、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、経口剤形中に存在
する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、経口制御送達投与構造物は、患者に経口剤形の1回投与後に、ガバペンチンCmaxが起る時点後少なくとも約15時間の期間の範囲を通してガバペンチンCmaxの少なくとも約25パーセントであるガバペンチン血漿薬剤濃度を維持するのに有効な速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている。
【0008】
1つの態様において、本発明は、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる、経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形に関し、ここで、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在する、ガバペンチンを含んでなる物質の総重量に基づく)の送達用量パターンで、制御送達投与構造物により含有される、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている。
【0009】
もう1つの態様において、本発明は、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形に関し、ここで、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在する、トラマドールの総重量に基づく)の送達用量パターンで、制御送達投与構造物により含有されるトラマドールを含んでなる物質の一部を制御して送達するようになっている。
【0010】
更にもう1つの態様において、本発明は、(i)ガバペンチンを含んでなる物質及び(ii)トラマドールを制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる、経口制御送達剤形に関し、ここで経口制御送達投与構造物は、以下の関係:Rate0−3=(1/F)Rate3−10[ここでRate0−3は投与形態の投与直後3時間の平均放出速度を表し、R3−10は経口剤形の投与直後の約3時間後から経口剤形の投与直後の約10時間後までの期間の平均放出速度を表し、そしてF=X/Y(ここでX=ガバペンチンの結腸の生体利用能、そしてY=ガバペンチンの上部胃腸管の生体利用能)]を満たす放出速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている。
【0011】
1つの態様において、本発明は(1)トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形を提供する方法、そしてここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、経口制御送達投与構造物は、患者に経口剤形の1回投与後に、ガバペンチンCmaxが起る時点後少なくとも約15時間の期間の範囲を通して、ガバペンチンCmaxの少なくとも約25パーセントであるガバペンチン血漿薬剤濃度を維持するのに有効な速度
で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、方法及び(2)患者に経口剤形を投与する方法、を含んでなる方法に関する。
【0012】
更にもう1つの態様において、本発明は(1)トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形を提供する方法、ここで、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在する、ガバペンチンを含んでなる物質の総重量に基づく)の送達用量パターンで、制御送達投与構造物により含有される、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、及び(2)患者に経口剤形を投与する方法、を含んでなる方法に関する。
【0013】
1つの態様において、本発明は、(1)トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形を提供する方法、ここで、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在するトラマドールの総重量に基づく)の送達用量パターンで、制御送達投与構造物により含有されるトラマドールを含んでなる物質の一部を制御して送達するようになっている、及び(2)患者に経口剤形を投与する方法、を含んでなる方法に関する。
【0014】
更なる態様において、本発明は、(1)(i)ガバペンチンを含んでなる物質及び(ii)トラマドールを制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物を含んでなる経口制御送達剤形を提供する方法、ここで 経口制御送達投与構造物は、以下の関係:Rate0−3=(1/F)Rate3−10[ここでRate0−3は投与形態の投与直後約3時間の平均放出速度を表し、R3−10は経口剤形の投与直後の約3時間後から経口剤形の投与直後の約10時間後までの期間の平均放出速度を表し、そしてF=X/Y(ここでX=ガバペンチンの結腸の生体利用能、そしてY=ガバペンチンの上部胃腸管の生体利用能)]を満たす放出速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、及び(2)患者に剤形を投与する方法:を含んでなる方法に関する。
【0015】
まだ更なる態様において、本発明は(i)ガバペンチン及び(ii)運搬部分を含んでなる複合体を含んでなる物質、並びにトラマドールを含んでなる物質を含んでなる製薬学的組成物に関する。
【0016】
まだもう1つの態様において、本発明は(1)(i)ガバペンチン及び(ii)運搬部分を含んでなる複合体並びにトラマドールを含んでなる物質、を含んでなる製薬学的組成物を提供する方法、及び(2)患者に製薬学的組成物を投与する方法、を含んでなる方法に関する。
【0017】
詳細な説明
I.定義
本明細書に引用されるすべての文書は、本明細書中に完全に複製されるように、すべての目的に対してそれら全体を引用により取り込まれている。
【0018】
本発明は本明細書に提供される以下の定義、図面及び例の説明を参照することにより最も詳細に理解される。
【0019】
「上昇する放出速度」により、時間の関数としての放出される薬剤量が一定の時間にわたり、好ましくは連続的にそして徐々に増加する、放出速度を意味する。時間の関数としての放出される薬剤の速度は好ましくは、一様な(段階的でなく)方法で増加する。より好ましくは放出の上昇する速度は以下のように特徴を表すことができる。剤形に対する、時間の関数としての放出速度は、時間に対する薬剤放出%又は時間に対する放出される薬剤のミリグラム/時間として測定され、プロットされる。上昇する放出速度は、約2時間〜約12時間、好ましくは約2時間〜約18時間、より好ましくは約4時間〜約12時間、更により好ましくは約4時間〜約18時間の期間にわたり、一定の2時間のスパン内の速度がその前の2時間スパンに比較されてより高い平均速度(時間当りの薬剤のmgで表される)を特徴とする。平均速度の増加は好ましくは、用量の約30%未満がいずれの2時間の間隔中にも送達され、より好ましくは、用量の約25%未満がいずれの2時間の間隔中にも送達されるように緩徐である。上昇する放出速度は好ましくは、剤形中の薬剤の少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%が放出されるまで維持される。
【0020】
「曲線下面積」又は「AUC」により、血漿薬剤濃度曲線下で測定される面積を意味する。AUCはしばしば、血漿薬剤濃度曲線が積分されている期間について、例えばAUC開始−終結について特定される。従って、AUC0−48は0時間〜48時間の期間にわたる血漿濃度曲線を積分する工程から得られるAUCを表し、ここで0は通常、患者に対する薬剤又は薬剤を含んでなる剤形の投与時間である。AUCは台形ルールにより計算される、時間0から時間tにおける最後の検出可能な濃度までの血漿濃度曲線下面積を表す。AUCinfはAUCの合計として計算される無限大に外挿されるAUC値及び、kで割られた時間tにおける濃度(C)により計算される無限大に外挿される面積を表す。(t1/2値が被験体に対して算定不能である時は、その処置の平均t1/2値を使用してAUCinfを計算することができる)。「k」は、最後のlog−線形降下相期間のlog−変換血漿濃度の線形回帰により推定される見かけの抽出率(elimination rate)定数と定義される。
【0021】
「C」により、一般に単位容量当りの質量、典型的には1ミリリッター当りのナノグラムとして表される、被験体の血漿又は血清中の薬剤の濃度を意味する。便宜的には、この濃度は本明細書で、いずれかの適当な体液又は組織中で測定される薬剤濃度を包含することが意図される、「薬剤血漿濃度」、「血漿薬剤濃度」又は「血漿濃度」と呼ぶことができる。薬剤投与のいずれかの時点の血漿薬剤濃度も、C9時間目又はC24時間目、等のようにC時間目と呼ばれる。
【0022】
「Cmax」により、患者に対する薬剤の1回投与量の投与後の平均最大薬剤血漿濃度を意味する。
【0023】
「ガバペンチンの結腸生体利用能」により、ガバペンチンを含んでなる物質の1回量が静脈内投与される時に得られるAUCinfにより割られた、ガバペンチンを含んでなる物質の1回量が結腸に投与される時に得られるAUCinfを意味する。
【0024】
「組成物」により、更なる有効な製薬学的成分と組み合わせた、そして場合により、製薬学的に許容できる担体、賦形剤、懸濁剤、界面活性剤、崩壊剤、結合剤、希釈剤、滑沢
剤、安定剤、抗酸化剤、浸透剤、着色剤、可塑化剤、等のような不活性成分と組み合わせた薬剤を意味する。
【0025】
「複合体」により、堅いイオン対結合により結合された薬剤部分及び運搬部分を含んでなる物質を意味する。薬剤部分−運搬部分複合体は、以下の関係:

ΔLogD=LogD(複合体)―LogD(緩いイオン対)≧0.15
(等式1)
[ここで、分配係数D(見かけの分配係数)は25℃における設定pH(典型的にはpH=約5.0〜pH=約7.0)における水中(脱イオン水)の同一物質に対する、オクタノール中の薬剤部分及び運搬部分のすべての物質の平衡濃度の比率である]
を特徴として示す、オクタノール/水分配動態の差により、薬剤部分と運搬部分の緩いイオン対と区別することができる。LogD(複合体)は本明細書の説に従って調製される薬剤部分と運搬部分の複合体に対して決定される。LogD(緩いイオン対)は脱イオン水中の薬剤部分と運搬部分の物理的混合物に対して決定される。LogDは実験により決定することができるか、又は市販のソフトウエアパッケージ(例えばChemSilico,Inc.,Advanced Chemistry Development Inc)を使用して緩いイオン対につき予測することができる。
【0026】
例えば、空想上の複合体(25℃の脱イオン水中)のオクタノール/水の見かけの分配係数(D=Cオクタノール/C)を決定し、25℃の脱イオン水中の運搬部分と薬剤部分の1:1(モル/モル)物理的混合物に比較することができる。空想上の複合体(D+T−)に対するLogDと1:1(モル/モル)の物理的混合物、D‖Tに対するLogDの間の差が0.15以上であると決定される時は、空想上の複合体は本発明に従う複合体であると確証される。
【0027】
好ましい態様において、ΔLogD≧0.20であり、そしてより好ましくはΔLogD≧0.25であり、更により好ましくはΔLogD≧0.35である。
【0028】
「制御送達」又は「制御可能な送達」により、そこで薬剤が(a)制御された速度で、(b)長期間にわたり、そして(c)即時放出剤形における薬剤の吸収に比較して改善された安定剤吸収を提供する方法で放出される、薬剤の連続的又は非連続的放出を意味する。
【0029】
制御送達法は(1)ガバペンチンの改善された上部G.I.管及び/又は下部G.I.管吸収を提供し、(2)ガバペンチン(ガバペンチンの種々の改善された吸収形態を包含する)の上部G.I.管及び/又は下部G.I.管送達を提供し、そして(3)トラマドールの上部G.I.管及び/又は下部G.I.管送達を提供する方法を含んでなる。好ましい態様において、制御送達法はガバペンチンの下部G.I.管吸収を改善する方法を含んでなる。ガバペンチンの上部G.I.管及び/又は下部G.I.管吸収を改善する方法はそれらに限定されないが、(i)運搬部分を伴なうガバペンチンの形態の複合体形成及び/又はこのような複合体の上部及び下部G.I.管、好ましくは下部G.I.管への送達並びに(ii)改善された上部及び下部G.I.管、好ましくは下部G.I.管によるガバペンチンの形態のプロドラッグの形成、上部及び下部G.I.管、好ましくは下部G.I.管へのこのようなプロドラッグの吸収及び/又は送達を包含する。好ましい態様において、トラマドール及び/又はガバペンチンは、トラマドール及びこのような複合体の上部及び下部G.I.管への送達と結合されたアルキルスルフェート塩によるガバペンチンの複合体形成により制御して送達される。
【0030】
「剤形」により、患者に対する投与に適した媒質、担体、ベヒクル又は装置中の製薬学
的組成物を意味する。
【0031】
「投与構造物」により患者に対する製薬学的投与に適した構造物を意味する。
【0032】
「薬剤」又は「薬剤部分」により、被験体に投与される時に、何か薬理学的効果を提供する薬剤、化合物又は物質あるいはこのような薬剤、化合物又は物質の残余物(residue)を意味する。複合体を形成する工程における使用のための薬剤は、酸性、塩基性又は双イオン性構造要素あるいは酸性、塩基性又は双イオン性残余構造要素を含んでなる。本発明に従う態様において、酸性構造要素又は酸性残余構造要素を含んでなる薬剤部分は、塩基性構造要素又は塩基性残余構造要素を含んでなる運搬部分と複合体を形成される。本発明に従う態様において、塩基性構造要素又は塩基性残余構造要素を含んでなる薬剤部分は、酸性構造要素又は酸性残余構造要素を含んでなる運搬部分と複合体を形成される。本発明に従う態様において、双イオン性構造要素又は双イオン性残余構造要素を含んでなる薬剤部分は酸性又は塩基性いずれかの構造要素あるいは酸性又は塩基性残余構造要素を含んでなる運搬部分と複合体を形成される。1つの態様において、酸性構造要素又は酸性残余構造要素のpKaは約7.0未満、好ましくは6.0未満である。1つの態様において、塩基性構造要素又は塩基性残余構造要素のpKaは約7.0より大きい、好ましくは約8.0より大きい。双イオン性構造要素又は双イオン性残余構造要素は、運搬部分を伴なう複合体がいかに形成されるかに応じて、それらの個々の塩基性構造要素又は塩基性残余構造要素あるいはそれらの酸性構造要素又は酸性残余構造要素について分析される。
【0033】
「オリフィス」又は「出口オリフィス」により、剤形から有効物質を放出するのに適する手段を意味する。該表現は出口、穴、孔、細孔、多孔質要素、多孔質上置き、多孔質挿入物、中空繊維、毛細管、微細多孔質挿入物、微細多孔質上置き、等を包含する。
【0034】
「脂肪酸」により、一般式CH(C)COOHの有機酸のいずれかの群を意味し、そこで炭化水素鎖は飽和(x=2n、例えばパルミチン酸、CH1428COOH)又は不飽和(一不飽和に対しては、x=2n−2、例えばオレイン酸、CH1630COOH)のいずれかである。
【0035】
「ガバペンチン」により、ガバペンチン及び製薬学的に許容できるその塩を意味する。「ガバペンチンを含んでなる物質」により、物質内の主要な薬理学的物質としてガバペンチンを包含する物質を意味する。従って、このような物質はそれらに限定はされないが、アルキルスルフェート塩とのガバペンチンの複合体及び改善された下部G.I.吸収を有するガバペンチンのプロドラッグを包含する。
【0036】
「ガバペンチン当量」により、実際にガバペンチンである、ガバペンチンを含んでなる物質の部分を意味する。ガバペンチンを含んでなる物質の種々の形態に対して分子量が異なるため、物質の重量に従って剤形に対する用量を報告することは混乱させられる。用量をガバペンチン当量として、すなわち物質中に存在するガバペンチンの重量当量として報告することが好ましい。例えば、ガバペンチン−ラウリルスルフェートの分子量は437.64であり、他方ガバペンチンの分子量は171.24である。100mg重量のガバペンチン当量を投与するためには、255.6mgのガバペンチン−ラウリルスルフェートを投与する必要があるであろう。これに基づくと、本発明に従う特定の態様は約50mg〜約2000mg、好ましくは約50mg〜約900mg、そしてより好ましくは約100mg〜約600mgの範囲内の、剤形中に存在するガバペンチン当量を含んでなることができる。特定の剤形はある剤形中に約40mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約750mg又は約1000mg重量当量を含有することができる。
【0037】
「即時放出」により、約1時間以下、そして好ましくは約30分以下の期間内に剤形から実質的に完全に放出される薬剤の用量を意味する。特定の制御放出剤形は、そこで薬剤を放出開始する投与後に短時間を要するかも知れない。最初の薬剤放出の僅かな遅れが望ましくない態様においては、制御送達剤形の表面に即時放出上塗りを適用することができる。剤形の表面上のコーティングとして適用される薬剤の即時放出用量は、それにより薬剤の即時放出用量を提供する、投与時に急速に溶解するであろうコーティング溶液を形成するために適当な製薬学的に許容できる担体中で調製された薬剤の用量を意味する。当該技術分野で知られているように、このような即時放出薬剤上塗りはその下の剤形内に含有されるものと同一の又は異なる1種又は複数の薬剤を含有することができる。
【0038】
「腸」又は「胃腸(G.I.)管」により、上部胃腸管及び下部胃腸管双方を意味する。
【0039】
「緩いイオン対」により、生理学的pHにおいてそして水性環境において、緩いイオン対の環境内に存在するかも知れない他の緩く対を形成した又は遊離イオンと容易に相互交換可能なイオン対を意味する。緩いイオン対は同位元素標識及びNMR又は質量分光分析を使用して、生理学的pH及び水性環境内で、もう1つのイオンとの緩いイオン対の1員の相互交換を注目することにより実験的に見いだすことができる。緩いイオン対はまた、逆走HPLCを使用して、生理学的pH及び水性環境内で、イオン対の分離を注目することにより実験的に見いだすことができる。緩いイオン対はまた、「物理的混合物」と呼ぶこともでき、媒質中でイオン対を一緒に物理的に混合することにより形成される。
【0040】
「下部胃腸管」、「下部G.I.管」、「大腸」、「結腸」又は「結腸の」により、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸及び/又は直腸を意味する。
【0041】
「患者」により、治療的介入の必要な動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを意味する。
【0042】
「製薬学的に許容できる塩」により、そのカチオン又はアニオンが塩の毒性又は薬理学的作用に有意には貢献しない、低い溶解度及び/又は低い分離速度の製薬学的物質のいずれかの塩を意味し、従ってそれらは低い溶解度及び/又は低い分離速度の遊離酸の製薬学的物質の薬理学的同等物である。
【0043】
「製薬学的組成物」により、投与を要する患者に対する投与に適する組成物を意味する。
【0044】
「長期間」により、約1時間を超える、好ましくは約4時間を超える、より好ましくは約8時間を超える、より好ましくは約10時間を超える、更により好ましくは約14時間を超える、もっとも好ましくは約14時間を超えて約24時間までの連続的期間を意味する。
【0045】
薬剤の「放出の速度」又は「放出速度」により、単位時間当りの剤形から放出される薬剤の量、例えば時間当りに放出される薬剤のミリグラム(mg/時間)を表す。剤形に対する薬剤放出速度は典型的には、薬剤放出のインビトロの速度として、すなわち適当な条件下で、適当な流体中で測定される単位時間当りの剤形から放出される薬剤の量として測定される。「放出の平均速度」により、特定の期間にわたり測定される平均放出速度を意味する。好ましい態様において、期間は投与後のある時点に開始し、剤形からの1種又は複数の薬剤の放出の比較的線形の部分の期間中継続する。
【0046】
本明細書で言及される放出速度は37℃の恒温水浴中のUSP Type VIIバスイ
ンデクサーに結合された金属コイル又は金属ケージサンプルホールダー中の脱イオン水中に、試験される剤形を配置することにより決定される。次に、前以て設定された間隔で収集される放出速度溶液のアリコートを、紫外線又は屈折率検出計を備えたクロマトグラフィーシステム中に注入して、試験間隔中に放出された薬剤量を定量する。
【0047】
それに代わる放出速度試験法は、900mLの人工胃液(AGF、pH=1.2)中のDistek 5100(USP装置2パドルテスター)を使用して実施することができる。溶解媒質の温度は37℃に維持され、パドル速度は100rpmである。
【0048】
本明細書で使用される、特定の時間に得られる薬剤放出速度は、放出速度試験の実施後の特定の時間に得られるインビトロの放出速度を表す。剤形内の薬剤の特定の百分率が、該剤形から放出された時間は「Tx」値と呼ばれ、ここで「x」は放出された薬剤のパーセントである。例えば剤形からの薬剤放出を評価するための一般に使用される対照測定値は剤形内の薬剤の70%が放出された時点である。この測定値はその剤形の「T70」と呼ばれる。好ましくは、T70は約8時間以上であり、より好ましくはT70は約12時間以上であり、更により好ましくはT70は約16時間であり、もっとも好ましくはT70は約20時間以上である。1つの態様において、T70は約12時間以上、そして約24時間未満である。もう1つの態様において、T70は約8時間以上、そして約16時間未満である。
【0049】
「残余構造要素」により、もう1つの化合物、化学基、イオン、原子、等との相互反応又は反応により改変される構造要素を意味する。例えばカルボキシル構造要素(COOH)はナトリウムと相互反応してナトリウムカルボキシレート塩を形成し、そこでCOO−は残余構造要素である。
【0050】
「1種又は複数の溶媒」により、種々の他の物質が全部又は一部溶解されることができる物質を意味する。本発明において、好ましい溶媒は水性溶媒及び水より小さい比誘電率をもつ溶媒を包含する。好ましい溶媒は、水より低い比誘電率をもつ。比誘電率は溶媒の極性の指標であり、代表的溶媒の比誘電率は表1に示される。
【0051】
【表1】

【0052】
溶媒の水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノール及び酢酸は電気的陰性原子、典型的には酸素に結合された水素原子を有する極性プロトン溶媒である。溶媒のアセトン、酸素エチル、メチルエチルケトン及びアセトニトリルは双極性の非プロトン性溶媒であり、1つの態様において、本発明の複合体形成における使用に好ましい。双極性非プロトン性溶媒はOH結合を含有しないが、炭素と酸素又は窒素のいずれかの間の多数の結合のお陰で、典型的に大きな結合の双極を有する。大部分の双極性非プロトン溶媒はC−O二重結合を含有する。水より低い比誘電率を有する溶媒は本発明の複合体の形成に特に有用である。表1において注目される双極性非プロトン溶媒は水より少なくとも2倍低い比誘電率及び水に近い又は水より大きい双極子モーメントを有する。
【0053】
「構造要素」により、(i)より大きい分子の一部であり、そして(ii)著明な化学的官能性を有する化学基を意味する。例えば、化合物上の酸性基又は塩基性基は構造要素である。
【0054】
「物質」により、特別の特徴を有する化学的物体を意味する。
【0055】
「堅いイオン対」により、生理学的pHでそして水性環境内において、堅いイオン対の環境内に存在することができる他の緩い対の又は遊離イオンと容易には相互交換可能ではないイオン対を意味する。堅いイオン対は同位元素標識及びNMR又は質量分光分析を使用して、生理学的pHでそして水性環境内で堅いイオン対の1員のもう1つのイオンとの相互交換の不在を注目することにより実験的に検出することができる。堅いイオン対はまた、逆走HPLCを使用して生理学的pHでそして水性環境内におけるイオン対の分離の不在を注目することにより実験的に見いだすことができる。
【0056】
「治療的に有効な量」により、処置されている疾患又は障害の症状の軽減を包含する、研究者、獣医、医師又は他の臨床家により追求されている組織系、動物又はヒトの生物学的又は医学的反応を誘発する薬剤の量を意味する。より特には、治療的有効量の本発明の物質は好ましくは、疼痛症候の症状、合併症又は生化学的徴候を軽減する。正確な用量は
知られた方法を使用して当業者により確認可能であろう(例えば、Lieberman,Pharmaceutical Dosage Forms(Vols.1−3,1992)、Lloyd,1999,The Art,Science,and Technology of Pharmacuetical Compounding及びPickar,1999,Dosage Calculation参照)。治療的有効量はまた、有効物質のどんな毒性の又は有害な副作用よりも、治療的に有益な効果が、臨床的な意味で価値があるものである。更に、各特定の被験体に対して、特定の投与計画は、個体の需要及び化合物を投与する人又は投与を監督する人の職業的判断に従って、ずっと評価、調整されなければならないことに注意しなければならない。
【0057】
「トラマドール」により、トラマドール、その光学異性体、その代謝物及び前記のいずれかの製薬学的に許容できる塩を意味する。好ましい製薬学的に許容できるトラマドールの塩はトラマドールHClである。
【0058】
「トラマドール当量」は製薬学的に許容できる塩から遊離塩基形態に転化されるトラマドールの重量を意味する。分子量は種々のトラマドール塩について異なるので、物質の重量に従って剤形の用量を報告することは混乱させられる。トラマドール当量、すなわち塩中に存在するトラマドールの重量当量として用量を報告することが好ましい。これに基づくと、本発明に従う特定の態様は、約20mg〜約500mg、好ましくは約50mg〜約400mg、そしてより好ましくは約50mg〜約300mgの範囲内の、剤形中に存在するトラマドール当量を含んでなることができる。特定の剤形は、ある剤形中に約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg又は約400mg重量当量を含有することができる。
【0059】
「運搬部分」により、運搬部分が非複合薬剤のものに比較して、上皮組織上の薬剤の運搬を改善する役に立つ、薬剤と複合体を形成することができる化合物、又はそれを形成した化合物の残余物(residue)を意味する。運搬部分は疎水性部分及び酸性、塩基性又は双イオン性構造要素あるいは酸性、塩基性又は双イオン性残余構造要素を含んでなる。好ましい態様において、疎水性部分は炭化水素鎖を含んでなる。1つの態様において、塩基性構造要素又は塩基性残余構造要素のpKaは約7.0より大きく、好ましくは約8.0より大きい。双イオン性構造要素又は双イオン性残余構造要素は、薬剤部分との複合体がいかに形成されるかに応じて、それらの個々の塩基性構造要素又は塩基性残余構造要素あるいはそれらの酸性構造要素又は酸性残余構造要素について分析される。
【0060】
より好ましい態様において、運搬部分は、それらに限定はされないが、カルボン酸及びそれらの塩を包含する製薬学的に許容できる酸を含んでなる。態様において、運搬部分は脂肪酸又はその塩、ベンゼンスルホン酸又はその塩、安息香酸又はその塩、フマル酸又はその塩あるいはサリチル酸又はその塩を含んでなる。好ましい態様において、脂肪酸又はそれらの塩は、6〜18個の炭素原子(C6−C18)、より好ましくは8〜16個の炭素原子(C8−C16)、更により好ましくは10〜14個の炭素原子(C10−14)そしてもっとも好ましくは12個の炭素原子(C12)を含んでなる。
【0061】
より好ましい態様において、運搬部分は、特にナトリウムオクチルスルフェート、ナトリウムデシルスルフェート、ナトリウムラウリルスルフェート及びナトリウムテトラデシルスルフェートを包含する、カリウム、マグネシウム及びナトリウム塩のようなアルキルスルフェート(飽和又は不飽和のいずれでも)及びそれらの塩を含んでなる。好ましい態様において、アルキルスルフェート又はその塩は、6〜18個の炭素原子(C6−C18)、より好ましくは8〜16個の炭素原子(C8−C16)、更により好ましくは10〜14個の炭素原子(C10−14)そしてもっとも好ましくは12個の炭素原子(C12)を含んでなる。更に他のアニオン界面活性剤も適切である。
【0062】
もう1つのより好ましい態様において、運搬部分は製薬学的に許容できる第一級アミン又はそれらの塩、特に第一級脂肪族アミン(飽和及び不飽和双方)又はそれらの塩、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン、コリン、トロメタミン、メグルミン、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、アルキルトリメチルアンモニウム・ヒドロキシド、アルキルトリメチルアンモニウム・ブロミド、ベンズアルコニウム・クロリド及びベンゼトニウム・クロリドを含んでなる。第二級又は第三級アミン及びそれらの塩並びにカチオン界面活性剤を含んでなる他の製薬学的に許容できる化合物も有用である。
【0063】
「ガバペンチンの上部胃腸管の生体利用能」により、ガバペンチンを含んでなる物質の1回量が静脈内投与される時に得られるAUCinfにより割られる、ガバペンチンを含んでなる物質の1回量が上部胃腸管に投与される時に得られるAUCinfを意味する。
【0064】
「上部胃腸管」又は「上部G.I.管」又は「小腸」により、胃、十二指腸、空腸及び/又は回腸を包含する胃腸管の部分を意味する。
【0065】
「範囲(window)」により、規定された期間をもつ時限を意味する。範囲は好ましくは患者に対する剤形の投与時又はその後のいつかに開始する。例えば1つの態様において、範囲は約12時間の時限をもつことができる。好ましい態様において、範囲は種々の時点に開始することができる。例えば好ましい態様において、範囲は剤形投与の約1時間後に開始し、約12時間の時限をもち、それは範囲が剤形の投与約1時間後に開き、そして剤形投与の約13時間後に閉鎖するであろうことを意味する。
【0066】
「ゼロ次元の放出速度」により、時間の関数としての放出される薬剤の量が実質的に一定である放出速度を意味する。より特には、測定値が、その累積放出量が剤形中の薬剤の総重量の約25%と75%の間、好ましくは約25%と約90%の間である期間にわたり採取される場合に、時間の関数としての薬剤の放出速度は約30%未満、好ましくは約20%未満、より好ましくは約10%未満、もっとも好ましくは約5%未満だけ変動することとする。
【0067】
「ゼロ次元の血漿プロファイル」により、特定の時間にわたる患者の血漿中の特定の薬剤の実質的に平坦な又は不変の量を意味する。概括的に、ゼロ次元の血漿プロファイルを示す薬剤の血漿濃度はある期間からその次の期間に対して、約30%以下だけ、そして好ましくは約10%以下だけ変動するであろう。
【0068】
II.改善された神経障害性疼痛の処置
本発明者は予期しなかったことには、本明細書に示されたような制御送達アプローチを使用してトラマドール及びガバペンチンを送達する物質、組成物、剤形及び方法を使用して、前記に考察された当該技術分野の問題を解決することができることを見いだした。このような物質、組成物、剤形及び方法はとりわけ、神経障害性疼痛及び恐らくは更に疼痛の他の形態の処置において有用である。
【0069】
特に疼痛性糖尿病神経障害及びヘルペス後神経痛の処置のために抗痙攣剤のガバペンチンを使用する神経障害性疼痛の単独薬剤による処置が示された(Wheeler,G.,Curr.Opin.Invest.Drugs,3(3):470(2002))。この薬剤の有効量は極めて大量(例えば約600mg1日3回(合計1800mg/1日)がガバペンチンに示唆される)であるが、比較的良性の副作用をもつように見える。
【0070】
トラマドールもまた、神経障害性疼痛の処置における単独薬剤として有用であると考えられる。Harati,Y.et al,Neurology 50(6)1842−6
(1998),Sindrup S.H.et al,Pain 83(1)85−90(1999)。トラマドールは患者に対する投与可能な用量を限定する可能性がある、嘔気及び嘔吐を包含する多数の副作用を有する。従ってこの限定が疼痛にある患者に投与可能なトラマドールの最大用量を制御し、従ってトラマドールにより提供される治療効果を減少させる可能性がある。神経障害性疼痛に対するトラマドールの典型的な1日量は100〜400mgの範囲内にある。
【0071】
従って、神経障害性疼痛に対するガバペンチン及びトラマドール双方の1日量は、有効な神経障害性疼痛の軽減を達成するためには、1日に少なくとも2000ミリグラムの薬剤物質を患者に投与することが必要であるように思われる。前記に示唆されるように、これらの薬剤が1日1回の経口剤形として投与される場合は、これは患者が2000ミリグラムを超える薬剤プラス調合剤をすべて一度に嚥下することを要求することになるであろう。この計画は極めて低いコンプライアンスをもつであろう。
【0072】
本発明者は、幾つかの技術的洞察を、神経障害性疼痛の軽減のために毎日の投与を提供し、そして投与される薬剤の容量又は質量を著しく減少するモデルの投与計画に組み合わせることができることを認識した。従って本発明の経口剤形は患者に対してより美味であろうし、それが増加したコンプライアンスをもたらすであろう。
【0073】
3カ条の主要な技術的洞察は:(1)特定の比率のガバペンチンとトラマドール間の薬物動態学的相乗作用、(2)このような物質がガバペンチンの改善された吸収、好ましくは結腸の改善された吸収を示す、ガバペンチンを含んでなる物質の必要性及び(3)特定の薬物動態学の原理をモデルの可能な薬物動態学的効果に適用することができること、である。
【0074】
特定の比率のガバペンチン及びトラマドール間の薬物動態学的相乗作用は最初に、Codd等に対する米国特許第6,562,865号明細書「Codd」中に開示された。Coddは神経障害性疼痛の非臨床モデルにおいてガバペンチンとトラマドール間の相乗作用を開示している。すなわち、特定の組み合わせ物において、ガバペンチンとトラマドールは一緒に、単独物質として投与される場合に要するであろう量よりも低い用量で、有効な疼痛軽減を達成することができる。これらの相乗作用は、神経障害性疼痛及び恐らく他の形態の疼痛に対しても同様にトラマドール及びガバペンチンの治療指数を改善するように管理することができる。実際、Coddの説を管理する方法はトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の量を有意に減少させる。
【0075】
しかし、本発明者はCoddの説を毎日1回の投与剤形に適用する方法に問題を認めた。薬剤が1日を通してGI管内を移動するであろうから、毎日の投与は、問題の薬剤が結腸内でかなり十分に吸収されることができることを示唆する。薬剤が結腸で不十分に吸収される場合は、Coddにより教示される相乗作用は達成が困難であろう。
【0076】
本発明者は、ガバペンチンが下部G.I.管中で吸収が低く、そして恐らく上部G.I.管の一部ですら低いことを認めた。これは、ガバペンチンがL−アミノ酸運搬系により近位小腸から血流中に吸収されるという当該技術分野における理解により結論される(Johannessen,同上350)。明らかに、L−アミノ酸運搬系が飽和されて、吸収される薬剤の量を限定するために、薬剤の生体利用能は用量依存性である(Stewart,B.H.et al.,Pharm.Res.,10:276(1993))。例えば、血清ガバペンチン濃度は約1800mg/日まで用量とともに直線状に増加し、次に、より高い用量では増加し続けるが、しかし、恐らく上部G.I.管からの吸収機序が飽和されるために、期待よりは少なく増加し続ける(Stewart,同上)。ガバペンチンの吸収の原因であるL−アミノ運搬系は主として、小腸の上皮細胞に存在し(Kan
ai,Y.et al.,J.Toxicol.Sci.,28(1):1(2003))、それにより薬剤の吸収を限定する。
【0077】
それに対し、結腸からのトラマドールの吸収は、トラマドールの持続放出剤形及び即時放出カプセルに対する同等な生体利用能に基づくと、上部GI−管からの吸収に類似する。(Malonne,H.et al Br.J.Clin.Pharmacol.57(3)270−8(2003))。
【0078】
従って、トラマドールは従来の制御放出法を使用して有用に投与することができるが、ガバペンチンはそうではない。本発明者は、低い下部G.I.管(及び遠位上部G.I.管の一部)の吸収は、従来の制御放出(CR)法が、ガバペンチンを含んでなる毎日の経口投与形態の開発に有効ではないであろうことを示唆することを認めた。概括的にCR剤形は上部G.I.管を通って下部G.I.管に8〜10時間以内に移動するであろう。トラマドール及びガバペンチンを包含した剤形が下部G.I.管に到達すると、化合物の吸収は著しく減少するであろう。事実、IR剤形からの吸収は、投与後4時間のように急速に、本質的に完了することができる。従って、CR剤形は、1日を通して効果を維持するためには1日2回より頻繁に、そして1日1回よりは確実に、より頻繁に投与しなければならないであろう。本明細書の別の箇所で注目されたようにこのような頻繁な投与は疼痛制御には望ましくない。
【0079】
従って、本発明者は驚くべきことには、本明細書で制御送達法と呼ばれる、制御放出法の特定のサブクラスのみが、トラマドール及びガバペンチンの1日2回又は1日1回投与を提供するのに十分であろうことを認めた。
【0080】
これらの制御送達法はガバペンチンを含んでなる物質を含んでなる。好ましい態様において、アルキルスルフェート複合体の形態のガバペンチンをそれを要する患者に制御して送達する。他の態様において、制御送達法は、トラマドール及びガバペンチンの臨床的に許容できる吸収を示す、上部GIの一部にトラマドール及びガバペンチンを選択的に送達する方法を含んでなる。このような態様の1例は胃内滞留剤形である。本発明の他の態様において、ガバペンチンを含んでなる物質が、ガバペンチンに比較してガバペンチンプロドラッグの結腸吸収を高める化学構造物を含んでなるガバペンチンプロドラッグを排除することが仮定される。
【0081】
本発明者により採用された次の段階は、Coddの研究に使用されるラットモデル中に存在する薬物動態学的相関が、制御送達法及び/又は他の種に延伸される時には当てはまらないことを認めることであった。従って、本発明者は、Coddにおいて注目された相乗作用を提供するかも知れない制御送達剤形を開発するために、トラマドールの期待される代謝(ガバペンチンは問題となる大部分の種において広範には代謝されない)をモデルにした。とりわけ、本発明者は適当な結果を提供するために、モデルに包含するために特定のトラマドール異性体及び代謝物を選択した。
【0082】
以下のトラマドール薬剤動態学的パラメーターが、8匹の雄のSpragur−Dawleyラットに10mg/kgのトラマドールHClの1回用量の経口投与後に報告された(Liu et al.2003)。
【0083】
【表2】

【0084】
以下のガバペンチンの薬剤動態学的パラメーターを6匹の雄のSpragur−Dawleyラットに25mg/kgガバペンチンの1回用量の経口投与後に報告された(Cundy et al.2004)。
【0085】
【表3】

【0086】
有意な薬剤対薬剤の薬物動態学的相互反応がないと推定すると、10mg/kgのトラマドールHCl及び5mg/kgのガバペンチンの1回投与後の期待される薬物動態学的パラメーターが以下に示される:
【0087】
【表4】

【0088】
神経障害性疼痛を処置するための平均用量は210mg/1日(Harati et al.1998)であり、他方もう1つの研究において個々の用量は200と400mg/日の間に滴定された(Sindrup et al.1999)。好ましい態様の一部として、ヒトの薬物動態学的データが考察/要約された(Grond and Sablotzki 2004)。トラマドール薬物動態学は大部分200mg以下で研究された。トラマドール400mgが投与された1つの薬物動態学的研究において、薬物動態学的パラメーター、Cmax及びAUCinfは用量に比例するように見えた。トラマドール100mgを1日2回投与の5日後に、Cmaxは414μg/Lであり、AUC0−12は安定状態で2970μgh/Lであった。トラマドールの即時放出カプセル(50mgを1日4回投与)及びトラマドールの新規改変放出調合物(200mgを1日1回投与)の研究(Malonne et al.2004)において、(+)及び(−)トラマドール双方の定常状態の薬物動態学は以下のように報告された:
【0089】
【表5】

【0090】
経口投与されるガバペンチンの薬物動態学は直線状ではない(Gidal et al.1998)。吸収されるガバペンチンの量は以下のように経口用量に関連する:
【数1】

ここで、Fは吸収される用量の割合であり、Doseは8時間毎に経口投与されるガバペンチンの量である。
【0091】
Codd論文中に開示されたChungモデルにおいて、ED50はトラマドールHCl及びガバペンチンに対しそれぞれ、94.47及び439.50mg/kgである。ヒトに対し、神経障害性疼痛を処置するための治療量はトラマドール及びガバペンチンそれぞれに対し200及び1800mg/日である。従って、トラマドールは異なる比率ではあるが、ラット及びヒト双方においてガバペンチンより強力である。Chungモデルに対する有利な0.9:0.1のED50値の比率の発見はトラマドールの質量比に対して0.52ガバペンチン、又はトラマドールHClの質量比に対して0.455ガバペンチンである。従って、本発明者は、Coddにより報告されたようなトラマドール当量及びガバペンチン当量の相対的質量を修飾する相対的種−相互間の効力関係を包含するためにCoddの質量比の修飾物をモデルにした。発明者は本発明の重量比の選択に役立つ、一連の相対的効力を選択した。
【0092】
もう1つのモデル形成法において、ラットにおけるトラマドール及びO−デメチルトラマドールにガバペンチンのAUCinf比率を合わせるために、ヒトに対するガバペンチンの用量を評価することができる。Chungモデル(すなわちラット)に関するCoddの開示に関し、ガバペンチンのAUCinfは(±)トラマドール及び(±)O−デメチルトラマドールのものの6.77倍である。ヒトに対し1日に200mgのトラマドールの場合は、以下の薬物動態学的パラメーターが期待される:
【0093】
【表6】

【0094】
ヒトにおけるガバペンチン生体利用能の報告に基づくと1.89μg/mLの平均血漿
ガバペンチン濃度を達成するためには、505mgのガバペンチン当量の1日用量を要する。更なる範囲を他の種に対して決定することができる。
【0095】
前記の方法を使用して、本発明者はCoddの相乗作用に基づく平均濃度を提供し、そして患者を処置するために要した、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の減少した量を提供する、新規のそして明白でない1日投与範囲に到達した。本発明に従う経口剤形において、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にある。より好ましくは、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は0.80:1〜5.5:1、更により好ましくは約0.90:1〜約4.5:1、の範囲にある。好ましい態様において、経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満、より好ましくは約1000ミリグラム未満、そして更により好ましくは約750ミリグラム未満である。トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、のこの減少した容量は、嚥下する必要のある剤形のより少ない容量のために、改善されたコンプライアンス(しかしそれに限定はされないが)のような本明細書の他の場所で考察された利点を提供する。
【0096】
モデルに使用される引用文献は以下を包含する:
Cundy,K.C.,T.Annamalai,L.Bu,J.De Vera,J.Estrela,W.Luo,P.Shirsat,A.Torneros,F.Yao,J.Zou,R.W.Barret and M.A.Gallop(2004).“XP13512[(±)−1−([(−Isobutanoyloxyethoxy)carbonyl]aminomethyl)−1−cyclohexane Acetic Acid],A Novel Gabapentin Produrg:II.Improved Oral Bioavailability,Dose Proportionality,and Colonic Absorption Compared
with Gabapentin in Rats and Monkeys.”Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics 311(1):324−33.
Gidal,B.E.,J.DeCerce,H.N.Bockbrader,J.Gonzalez,S.Kruger,M.E.Pitterle,P.Rutecki and R.E.Ramsay(1998).“Gabapentin Bioavailability:Effect of Dose and Frequency of
Administration in Adult Patients with Epilepsy.”Epilepsy Research 31(2):91−9.
Grond,S.and A.Sablotzki(2004).“Clinical
Pharmacology of Tramadol.” Clinical Pharmacokinetics 43(13):879−923.
Harati,Y.,C.Gooch,M.Swenson,S.Edelman,D.Greene,P.Raskin,P.Donofrio,D.Cornblath,R.Sachdeo,C.Siu and M.Kamin(1998).“Double−Blind Randomized Trial of Tramadol for
the Treatment of the Pain of Diabetic Neuropathy.”Neurology 50(6):1842−6.
Liu,H.−C.,S.−M.Jin and Y.−L.Wang(2003).“Gender−related differences in pharmacokinetics of enantiomers of trans−tramadol
and its active metabolite,trans−O−demethyltramadol,in rats.”Acta Pharmacologica
Sinica 24(12):1265−9.
Malonne,H.,B.Sonet,B.Streel,S.Lebrun,S.D.Niet,A.Sereno and F.Vanderbist(2004).“Pharmacokinetic Evaluation of a New Oral
Susteined Release Dosage Form of Tramadol.”British Journal of Clinical Pharmacology 57(3):270−8.
Sindrup,S.H.,G.Andersen,C.Madsen,T.Smith,K.Broesen and T.S.Jensen(1999).“Tramadol Relieves Pain and Allodynia in Polyneuropathy:a Randomised,Double−Blind,Controlled Trial.”Pain 83(1):85−90.
【0097】
今度は本発明の制御送達法の種々の態様を更に本明細書で考察される。
【0098】
III.制御送達、複合体形成及び特徴調べ
特定の態様において、ガバペンチンは改善された下部G.I.管吸収を示すように改変される。上部G.I.管は下部G.I.管よりも薬剤の吸収のためのずっと広い表面積を有するので、製薬学的開発は典型的に下部G.I.管の代わりに上部G.I.管における吸収のための剤形を標的にする。下部G.I.管は上部G.I.管に存在する微小繊毛をもたない。微小繊毛の存在は薬剤吸収のための表面積を著しく増加させ、そして上部G.I.管は下部G.I.管の480倍の表面積を有する。上部及び下部G.I.管の細胞の特徴の相異もまた、下部G.I.管中の分子の低い吸収に貢献する。
【0099】
一定の投与処置を提供するためには、従来の製薬学的開発は種々の制御放出薬剤系を示唆してきた。このような系は投与後の長期間にわたり薬剤のそれらの有効量を放出することにより機能する。しかし、制御放出系のこれらの従来の形態は、最少の結腸吸収を示す薬剤の場合には有効ではない。薬剤は上部G.I.管で吸収されるのみであり、上部G.I.管中の薬剤の滞留時間は4〜6時間のみであるので、提唱される制御放出剤形が上部G.I.管中の剤形の滞留期間後にその有効量を放出する可能性がある事実は、身体が上部G.I.管滞留の4〜6時間を過ぎて制御放出薬剤を吸収し続けるであろうことを意味しない。その代わりに、剤形が下部G.I.管に侵入した後に制御放出剤形により放出される薬剤は概括的に吸収されず、その代わりに、身体から排出される。
【0100】
驚くべきことには、低い吸収の特徴をもつ多数の一般の薬剤部分は、一旦特定の運搬部分と複合体を形成した後には、上部G.I.管の吸収もまた高められるが、著しく高められた吸収、特に下部G.I.管の吸収を示すことが見いだされた。更に、本発明に従う、ガバペンチンを含んでなる特定の物質のような複合体が、本発明の複合体と同様なイオンを含んでなる緩いイオン対(すなわち非複合体形態)に比較して改善された吸収を示すことは驚くべきことであった。
【0101】
これらの予期されなかった結果は塩基性構造要素又は塩基性残余構造要素を含んでなる薬剤部分を包含する、薬剤部分の多数のカテゴリーに適用されることが見いだされた。本発明の予期されなかった結果はまた、双イオン性構造要素又は双イオン性残余構造要素を含んでなる薬剤部分にも適用される。このような薬剤部分の1例は2004年10月29日に出願された米国特許出願第10/978,136号明細書に概括的に開示されたガバペンチンを含んでなる。
【0102】
機序の特定の理解により限定されることを望まないが、本発明者は以下のように考える:
緩いイオン対が極性溶媒環境中に置かれると、極性溶媒分子はイオン結合により占拠さ
れる空間にそれら自体を挿入し、それにより結合されたイオンを別々に離すであろうと推定される。遊離イオンに静電気により結合された極性の溶媒分子を含んでなる溶媒の殻が遊離イオンの周囲に形成されることができる。次にこの溶媒の殻が、遊離イオンがもう1つの遊離イオンと緩いイオン対のイオン結合以外の何かを形成することを妨げる。極性溶媒中に多数の種類の対イオンが存在する状況においては、いずれの与えられる緩いイオン対も、対イオンの競合に比較的感受性であるかも知れない。
【0103】
この効果は、溶媒の比誘電率として表される極性が増加するにつれてより著明である。コロンブスの法則に基づくと、電荷(q1)及び(q2)をもち、比誘電率(e)の媒質中で距離(r)だけ分離されている2個のイオン間の力は:
【数2】

[ここでεは空間の誘電率の定数である]である。等式は、溶液中の緩いイオン対の安定度に対する比誘電率(ε)の重要性を示す。高い比誘電率(ε=80)を有する水溶液中で、水分子がイオン結合を攻撃して、相対する電荷のイオンを分離すると、静電気の引力は著しく減少する。
【0104】
従って、高い比誘電率の溶媒分子はイオン結合の近位に存在すると、結合を攻撃して、最終的にそれを分解するであろう。次に非結合イオンは自由に溶媒中を移動する。これらの特性が緩いイオン対に特徴を与える。
【0105】
堅いイオン対は緩いイオン対と異なった方法で形成され、その結果、緩いイオン対と異なる特性を有する。堅いイオン対は、2個のイオン間の結合空間中の極性溶媒分子数を減少することにより形成される。これがイオンを堅く一緒に移動させ、緩いイオン対結合より著しく強力な、しかしまだイオン結合であると考えられる結合をもたらす。本明細書に、更に詳細に開示されるように、堅いイオン結合は、イオン間の極性溶媒の閉じ込めを減少するように、水より極性の小さい溶媒を使用して得られる。
【0106】
緩いイオン対及び堅いイオン対の更なる考察のためには、D.Quintanar−Guerrero et al.,“Applications of the Ion Pair Concept to Hydrophilic Substances with Special Emphasis on Peptide,”Pharm.Res.14(2):119−127(1997)を参照されたい。
【0107】
緩いイオン対及び堅いイオン対間の差はまた、クロマトグラフィー法を使用して観察することができる。逆走クロマトグラフィーを使用すると、緩いイオン対は堅いイオン対を分離しないであろう条件下で容易に分離することができる。
【0108】
本発明に従う結合はまた、相互に対するカチオン及びアニオンの強度を選択することにより、更に強度にさせることができる。例えば溶媒が水である場合は、カチオン(塩基)及びアニオン(酸)は相互により強く引き付けるように選択することができる。より弱い結合が望まれる場合は、より弱い引き付け物を選択することができる。
【0109】
生物学的膜の部分を、このような膜上の分子運搬を理解する目的で、脂質の2層として第一次近似物にモデル化することができる。脂質の2層部分上の運搬(能動的運搬物、等に対する)は、不都合な分配(portioning)のためにイオンにとって不都合である。種々の研究者が、このようなイオンの電荷の中和が膜を通る運搬を高めることがで
きることを提唱してきた。
【0110】
「イオン対」説において、イオン性薬剤部分は電荷を「埋封する」ために運搬部分の対イオンと対を形成し、そして生成されるイオン対を脂質の2層を通ってより移動し易くさせる。このアプローチは、特に腸の上皮上の経口投与薬剤の吸収を高めることに関して、かなりの注目及び研究をもたらした。
【0111】
イオン対の形成は多大な注目及び研究をもたらしたが、常に多大な成功をもたらしたわけではなかった。例えば、2種の抗ウイルス化合物のイオン対は細胞間運搬に対するイオン対の効果により、増加した吸収をもたらさず、むしろ単層の完全性に対する効果によりもたらしたことが見いだされた。著者は、インビボ系に認められる他のイオンによる競合が対イオンの有益な効果を破壊するために、イオン対の形成は、帯電した親水性化合物の上皮上運搬を高めるための戦略としては非常に有効ではないかも知れないと結論した。J.Van Gelder et al.,“Evaluation of the Potential of Ion Pair Formation to Improve
theOral Absorption of two Potent Antiviral Compounds,AMD3100 and PMPA”,Int.J.of
Pharmaceutics 186:127−136(1999).他の著者は、イオン対による吸収実験が常に明確な機序を指摘したとは限らないことに注目した。D.Quintanar−Guerreto et al.,Applications of
the Ion Pair Concept to Hydrophilic Subsutances with Special Emphasis on Peptides,Pharm.Res.14(2):119−127(1997).
【0112】
本発明者は予期せずに、これらのイオン対吸収実験に伴なう問題が、それらが堅いイオン対ではなく、緩いイオン対を使用して実施されたものであることを見いだした。実際、当該技術分野で開示された多数のイオン対吸収実験は、緩いイオン対と堅いイオン対の間を明白に区別すらしていない。当業者は、イオン対を形成する開示された方法を実際に復習し、そしてこのような開示された形成方法が堅いイオン対でなく、緩いイオン対を目的とすることに注目することにより、緩いイオン対が開示されていることを見分けなければならない。緩いイオン対は対イオンの競合及び、緩いイオン対を結合するイオン結合の、溶媒媒介(例えば水媒介)の分割に比較的感受性である。従って、イオン対の薬剤部分が腸の上皮細胞膜の壁に到達すると、それは運搬部分と緩いイオン対で結合しているかも知れないし結合していないかも知れない。膜の壁の近くに存在するイオン対の機会は、イオンを一緒に維持するイオン結合によるよりも、2個の個々のイオンの局所的濃度に、より多く左右されるかも知れない。それらが腸の上皮細胞膜の壁に近づく時に結合される2個の部分が不在であると、非複合薬剤部分の吸収速度は非複合運搬部分により影響を受けないかも知れない。従って、緩いイオン対は薬剤部分単独の投与に比較して、吸収に対して限定された影響のみをもつ可能性がある。
【0113】
それに対し、本発明の複合体は水のような極性溶媒の存在下で、より安定な結合を有する。従って、本発明者は、部分が粘膜の壁に近いと思われる時に、薬剤部分及び運搬部分は、複合体を形成することにより、イオン対として結合される可能性が大きいであろうと考えた。この結合が、部分の電荷を包埋させて、生成されるイオン対に細胞膜中を動き易くさせる機会を増加するであろう。
【0114】
1つの態様において、複合体は薬剤部分と運搬部分の間の堅いイオン対結合を含んでなる。本明細書で考察された、堅いイオン対結合は緩いイオン対結合より安定であり、従って部分が膜の壁に近いと思われる時に、薬剤部分と運搬部分がイオン対として結合される可能性を増加させる。この結合は、部分の電荷が包埋されて、堅いイオン対結合の複合体
に細胞膜を通って、より移動し易くさせる機会を増加するであろう。
【0115】
複合体は、下部G.I.管中のみならず、一般に細胞を通過する運搬を改善することが意図されるので、本発明の複合体は非複合薬剤部分に比較して、下部G.I.管のみならず、G.I.管全体の吸収を改善することができることに注目しなければならない。例えば薬剤部分が上部G.I.中に主として認められる能動的運搬物のための基質である場合は、薬剤部分から形成される複合体はまだ、その運搬物の基質であるであろう。従って、全体の運搬は、運搬物により実施される運搬フラックスプラス、本発明により提供される改善された細胞を通る運搬の合計であることができる。1つの態様において、本発明の複合体は上部G.I.管、下部G.I.管及び上部G.I.管と下部G.I.管双方における改善した吸収を提供する。
【0116】
本発明に従う複合体は、種々の薬剤及び運搬部分で形成することができる。一般的に言えば、薬剤部分を最初に選択し、次に適当な運搬部分を選択して本発明の複合体を形成する。当業者は、それらに限定はされないが、運搬部分の毒性及び耐用性、薬剤部分の構造要素又は構造要素残余物の極性、薬剤部分の構造要素又は構造要素残余物の強度、運搬部分の構造要素又は構造要素残余物の強度、運搬部分の可能な治療的利点、を包含する、運搬部分を選択する際の多数の因子を考慮することができるであろう。特定の好ましい態様において、運搬部分の疎水性部分は疎水性鎖、より好ましくはアルキル鎖を含んでなる。このアルキル鎖は、極性溶媒分子による攻撃からイオン結合を立体的に防御することにより、複合体の安定度を促進する助けになることができる。
【0117】
好ましい態様において、運搬部分は、6〜18個の炭素原子(C6−C18)、より好ましくは8〜16個の炭素原子(C8−C16)、更により好ましくは10〜14個の炭素原子(C10−14)そしてもっとも好ましくは12個の炭素原子(C12)を有するアルキルスルフェート又はそれらの塩を含んでなる。他の好ましい態様において、運搬部分は6〜18個の炭素原子(C6−C18)、より好ましくは8〜16個の炭素原子(C8−C16)、更により好ましくは10〜14個の炭素原子(C10−14)そしてもっとも好ましくは12個の炭素原子(C12)を有する脂肪酸又はそれらの塩を含んでなる。本発明のガバペンチン複合体の製法は付記の実施例を包含する本明細書に開示されている。
【0118】
ガバペンチンの下部G.I.の吸収を改善する代わりの方法は、ヒト結腸の内腔を裏打ちする上皮細胞中に発現される能動的運搬物に対する基質である化合物のプロドラッグを生成する方法である。「結腸運搬物による治療的化合物の工学的吸収」と題する2003年8月21日出願のZerangue等に対する米国特許出願第20030158254号明細書(「Zerangue」)は持続放出経口剤形、特に投与後の約2〜4時間を超える期間にわたり薬剤を放出する剤形中への使用に適する化合物を包含する、このような基質であるように改変された薬剤を開示している。
【0119】
Zerangueはナトリウム依存性マルチビタミン運搬物(SMVT)及びモノカルボキシレート運搬物1及び4(MCT1及びMCT4)を含んでなる、本発明の実施に有用な種々の運搬物を開示している。Zerangueはまた、運搬物の基質である薬剤又は共役物の部分並びにスクリーニングすることができる薬剤、共役物及び共役物の部分を特定する方法を開示している。とりわけ、Zerangueは、知られた運搬物の基質のバリアントである、スクリーニングされる化合物を開示している。このような化合物は、Smith,Am.J.Physiol.2230,974−978(1987);Smith,Am.J.Physiol.252,G479−G484(1993);Boyer,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90,435−438(1993);Fricker,Biochem.J.299,665−670(1994);F
icker,Biochem J.299,665−670(1994);Ballatori,Am.J.Physiol.278.により記載されたように、胆汁塩又は酸、ステロイド、エコサノイド又は天然のトキシン又はそれらの類似体を含んでなる。Zerangueは更に共役部分に対する薬剤の結合並びにピバルオキシメチルガバペンチンカルバメート、ガバペンチンアセトキシエチルカルバメート及びアルファアミノプロピルイソブチリルガバペンチンを含んでなる幾つかのプロドラッグを開示している。本発明の実施に有用な他のガバペンチンプロドラッグは、KC Cundy et al.,“XP13512[(+/−)−1−([(アルファ−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸]、新規ガバペンチンプロドラッグ:I.デザイン、合成、ガバペンチンへの酵素学的転化及び腸内溶質運搬物による運搬”。J
Pharmacol Exp Ther.2004 Oct;311(1):315−23及びKC Cundy et al.,“XP13512[(+/−)−1−([(アルファ−イソブタノイルオキシエトキシ)カルボニル]アミノメチル)−1−シクロヘキサン酢酸]、新規ガバペンチンプロドラッグ:II.ラット及び猿におけるガバペンチンに比較した、改善された経口生体利用能、用量比例関係及び結腸吸収”。J Pharmacol Exp Ther.2004 Oct;311(1):324−33.に開示されている。
【0120】
本発明の他の態様において、ガバペンチンを含んでなる物質又は複合体は、ガバペンチンに比較してガバペンチンプロドラッグの結腸の吸収を高める化学構造物を含んでなるガバペンチンプロドラッグを排除すると仮定される。
【0121】
本発明に従う態様において、本発明の経口制御送達投与構造物は、患者に対する経口剤形の1回投与後に、ガバペンチンCmaxが起る時点後の少なくとも約15時間の範囲内でガバペンチンCmaxの少なくとも25パーセントであるガバペンチン血漿薬剤濃度を維持するために有効な速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている。好ましい態様において、ガバペンチン血漿薬剤濃度は範囲内でガバペンチンCmaxの少なくとも約30パーセントであり、より好ましくはガバペンチン血漿薬剤濃度は範囲内でガバペンチンCmaxの少なくとも約35パーセントである。他の好ましい態様において、範囲はガバペンチンCmaxが起る時点の少なくとも約18時間後であり、より好ましくは範囲はガバペンチンCmaxが起る時点の少なくとも約20時間後である。
【0122】
IV.代表的剤形及び使用法
種々の剤形が本発明における使用に適する。剤形は所望の用量のトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を送達するいずれのデザインに従っても形成され、調合されてもよい。特定の態様において、剤形は経口投与可能であり、従来の錠剤又はカプセルのようにサイズ及び形状を有する。経口投与可能な剤形は種々の異なる方法の1つに従って製剤することができる。例えば、剤形はRemington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,pp.1682−1685(1990)に記載のように、レザボア装置又はマトリックス装置のような拡散系、カプセル封入溶解系(例えば「小型時限ピル」及びビーズを包含する)及びマトリックス溶解系のような溶解系、組み合わせた拡散/溶解系及びイオン交換樹脂系として製剤することができる。
【0123】
本発明に実施において1つの重要な考慮点は、剤形により送達される薬剤物質の物理的状態である。特定の態様において、ガバペンチンを含んでなる物質はペースト又は液状にある可能性があり、その場合は固形の剤形は本発明の実施における使用には適当ではないかも知れない。このような場合はペースト又は液状の物質を送達することができる剤形を使用するべきである。あるいはまた、特定の態様において、物質の融点を高くするために
異なる運搬部分を使用し、それにより本発明の複合体が固形形態中に存在する可能性を大きくすることができる。
【0124】
本発明による使用に適する剤形の特別の例は浸透性剤形である。浸透性剤形は概括的に、少なくとも一部は、流体の自由な拡散を許すが、薬剤又は存在するとしても1種又は複数の浸透剤の拡散を許さない半透性の壁により形成されたコンパートメント中に流体を吸い込むための駆動力を形成するために浸透圧を利用する。浸透性系の利点は、それらの操作がpHに依存せず、従って剤形が胃腸管を移動し、そして著しく異なるpH値を有する、異なる微細環境に遭遇する時ですら、長時間にわたり浸透圧により決定される速度で継続する点である。このような剤形の総論はSantus and Baker,“Osmotic drug delivery:a review of the patent literatuere,”Journal of Controlled Release,35:1−21(1995)にみられる。浸透性剤形はまた、以下の米国特許第3,845,770号、3,916,899号、3,995,631号、4,008,719号、4,111,202号、4,160,020号、4,327,725号、4,519,801号、4,578,075号、4,681,583号、5,019,397号及び5,156,850号明細書に詳細に記載されている。
【0125】
本発明は経口浸透圧装置による使用のためのトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の制御送達液体調合物を提供する。液体調合物を送達するための経口浸透性装置及びそれらを使用する方法は例えば、ALZA corporationにより所有される以下の米国特許、第6,419,952号,6,174,547号、6,551,613号、5,324,280号、4,111,201号及び6,174,547号明細書中に記載され、請求されるように、当該技術分野で知られている。上昇する放出速度で治療剤を送達するための経口浸透性装置を使用する方法は、国際公開出願第98/06380号、第98/23263号及び第99/62496号パンフレットに認めることができる。
【0126】
本発明の代表的液体担体は親油性溶媒(例えば油及び脂質)、界面活性剤及び親水性溶媒を包含する。代表的親油性溶媒は例えば、それらに限定はされないが、Capmul PG−8、Caprol MPGO、Capryol 90、Plurol Oleique CC497、Capmul MCM、Labrafac PG、N−Decyl Alcohol、Caprol 10G10O、Oleic Acid、Vitamin
E、Maisine 35−1、Gelucire 33/01、Gelucire 44/14、Lauryl Alcohol、Captex 355EP、Captex
500、Caplylic/Caplic Triglyceride、Peceol、Caprol ET、Labrafil M2125 CS、Labrafac CC、Labrafil M 1944 CS、Captex 8277、Myvacet 9−45、Isopropyl Nyristate、Caprol PGE 860、Olive Oil、Plurol Oleique、Peanut Oil、Captex 300 Low C6及びCapric Acidを包含する。代表的界面活性剤は例えば、それらに限定はされないが、Vitamin E TPGS、Cremophor EL−P、Labrasol、Tween 20、Cremophor RH40、Pluronic L−121、Acconon S−35、Pluronic L−31、Pluronic L−35、Pluronic L−44、Tween 80、Pluronic L−64、Solutol HS−15、Span 20、Cremophor EL、Span 80、Pluronic L−43及びTween 60を包含する。代表的な親水性溶媒は例えば、それらに限定はされないが、Isosorbide Dimethyl Ether(イソソルバイドジメチルエーテル)、Polyethylene Glycol(ポリエチレングリコール) 400(PEG−300
0)、Transcutol HP、Polyethylene Gglycol 400(PEG−4000)、Polyethylene Glycol 400(PEG−300)、Polyethylene Glycol 400(PEG−6000)、Polyethylene Glycol 400(PEG−400)、Polyethylene Glycol 400(PEG−8000)、Polyethylene Glycol 400(PEG−600)及びPolyethylene Glycol(PG)を包含する。
【0127】
当業者は、被験者に対する投与及び浸透性経口剤形中への使用に適した液体担体中に可溶化された十分な用量の、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を含んでなるいずれかの調合物をも本発明に使用することができることを理解するであろう。本発明の1つの代表的態様において、液体担体はPG、Solutol、Cremophor
EL又はそれらの組み合わせ物である。
【0128】
本発明に従う液体調合物はまた、例えば抗酸化剤、透過促進剤等のような更なる補助剤を含んでなることができる。抗酸化剤はカプセル内に存在するいずれかの自動酸化性物質の速度を遅らせる又は有効に停止するために提供することができる。代表的抗酸化剤は、アスコルビン酸;アルファトコフェロール;パルミチン酸アスコルビル;アスコルベート;イソアスコルベート;ブチル化ヒドロキシアニソール;ブチル化ヒドロキシトルエン;ノルジヒドログアイアレチン酸;没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、没食子酸デシルよりなる群から選択される1員を含んでなる少なくとも3個の炭素原子を含んでなる没食子酸のエステル;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドローギノリン;N−アセチル−2,6−ジ−t−ブチル−p−アミノフェノール;ブチルチロシン;3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール;2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール;4−クロロ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチルp−メトキシフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール:ポリマーの抗酸化剤;トリヒドロキブチロ−フェノン;アスコルビン酸、エリソルビン酸及び酢酸アスコルビルの生理学的に許容できる塩;アスコルビン酸カルシウム;アスコルビン酸ナトリウム;重硫酸ナトリウム;等の群から選択される1員を含んでなることができる。本発明の目的に使用される抗酸化剤の量は例えば、内腔内に存在する組成物の総重量の約0.001%〜25%であることができる。抗酸化剤は米国特許第2,707,154号、第3,573,936号、第3,637,772号、第4,038,434号、第4,186,465号及び第4,559,237号明細書において先行技術分野に知られている。
【0129】
本発明の液体調合物は使用環境内で有効物質の吸収を容易にさせる透過促進剤を含んでなることができる。このような促進剤は例えば、胃腸管内のいわゆる「堅い接合部(tight junctions)」を開放し、又はp−糖タンパク質等のような細胞成分の効果を改変することができる。適当な促進剤は、サリチル酸ナトリウムのようなサリチル酸、カプリル酸ナトリウム又はカプリン酸ナトリウムのようなカプリル酸又はカプリン酸のアルカリ金属塩、等を包含することができる。促進剤は例えば、ナトリウムデオキシコレートのような胆汁塩を包含することができる。種々のp−糖タンパク質モジュレーターは米国特許第5,112,817号及び第5,643,909号明細書に記載されている。種々の他の吸収促進化合物及び材料は米国特許第5,824,638号明細書に記載されている。促進剤は単独でも又は他の促進剤と組み合わせた混合物としても使用することができる。
【0130】
本発明の浸透性剤形は2種の異なる形態、ハードカプセル形態(図1に示される)及びソフトカプセル形態(図2に示される)を有することができる。好ましくはその最終形態の、本発明により使用されるソフトカプセルはワンピースを含んでなる。ワンピースのカ
プセルはその中に薬剤調合物を封入しているシール構成をもつ。カプセルはプレート法、回転ダイ法、往復ダイ法及び連続法を包含する種々の方法により製造することができる。プレート法の1例は以下のとおりである。プレート法は1組の金型を使用する。調製されたカプセルのラミナ−形成材料の暖かいシートを下部金型上に配置し、調合物をその上に注ぐ。ラミナ−形成材料の第2のシートを調合物の上に配置し、次に上部金型を配置する。金型のセットをプレス下に置き、加熱し又は加熱せずに圧力をかけると単位カプセルを形成する。カプセルの外側から過剰な薬剤調合物を除去するために、カプセルを溶媒で洗浄し、空気乾燥したカプセルを半透性の壁で封入する。回転ダイ法は、一対の回転ダイとインジェクターのウエッジ間に収束されるカプセルラミナ−形成材料の2種の連続的フィルムを使用する。該方法は二重の同時の操作でカプセルを充填し、シールする。この方法において、カプセルのラミナ−形成材料のシートがガイドローラー上に供給され、次にウエッジインジェクターとダイローラー間に供給される。封入される薬剤の調合物はポジティブ置き換えポンプ中に重力により流入する。ポンプはウエッジインジェクターを通りダイローラー間のシート中に有効物質の調合物を計量供給する。ウエッジの底部はダイローラーのダイポケットと整列された小さいオリフィスを含有する。カプセルはポンプで圧力をかけた薬剤調合物の圧力がシートをダイポケット中に押し込む時に半分シールされ、そこでカプセルは同時に充填され、形状化され、気密シールされ、そしてラミナ−形成材料のシートから切り取られる。カプセルのシールはダイローラー上の機械的圧力により、そしてウエッジによるラミナ−形成材料のシートの加熱により達成される。製造後、薬剤調合物を充填されたカプセルを強制空気の存在下で乾燥し、半透性ラミナがそれを封入する。
【0131】
往復ダイ法は1組の垂直ダイ間にカプセルラミナ−形成材料の2種のフィルムを導くことによりカプセルを製造する。ダイは閉鎖し、開放し、そして閉鎖しながら、連続的垂直プレートとして、フィルム上に次々にポケットの列を形成しながら実施する。ポケットは薬剤調合物で充填され、そしてポケットがダイを移動しながら、それらはシールされ、形状化し、カプセルが薬剤調合物で充填されながら、移動しているフィルムから切断される。半透性封入ラミナをその上にコートするとカプセルを生成する。連続的方法はカプセル封入液に加えて、ソフトカプセル中に乾燥粉末形態の有効物質を有効に充填することができるという付加的特徴をもつ、これも回転ダイを使用する製造システムである。連続的方法の充填カプセルは半透性ポリマー材料で封入されてカプセルを生成する。ソフトカプセルの製法は米国特許第4,627,850号及び第6,419,952号明細書に開示されている。
【0132】
本発明の剤形はまた、注入成型法により注入成型可能な組成物から製造することができる。半透性の壁中に注入成型のために提供される注入成型可能な組成物は熱可塑性ポリマーを含んでなるか又は、組成物が熱可塑性ポリマー及び場合により注入成型成分の混合物を含んでなる。本発明の目的に使用することができる熱可塑性ポリマーは、例えば200℃未満、好ましくは40℃〜180℃の範囲内の低い柔軟化温度を有するポリマーを含んでなる。ポリマーは好ましくは合成樹脂、ポリアミドのような付加重合樹脂、ジエポキシドと第一級アルカノールアミンから得られる樹脂、グリセリン及びフタル酸無水物の樹脂、ポリメタン、ポリビニル樹脂、末端位の遊離した又はエステル化カルボキシル又はカルボキシアミド基、例えばアクリル酸、アクリルアミド又はアクリル酸エステルをもつポリマー樹脂、ポリカプトラクトン及び、ジラクチド、ジグリコリド、バレロラクトン及びデカラクトンとのそのコポリマー、ポリカプロラクトン及びポリアルキレンオキシドを含んでなる樹脂組成物、並びにポリカプロラクトン、ポリエチレンオキシドのようなポリアルキレンオキシド、ポリ(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリ(ヒドロキシエチルメチルセルロース)及びポリ(ヒドロキシプロピルセルロース)のようなポリ(セルロース)を含んでなる樹脂組成物である。膜形成組成物はポリエチレングリコール、タルク、ポリビニルアルコール、ラクトース又はポリビニルピロリドンのような場合により使用
される膜形成成分を含んでなることができる。注入成型ポリマー組成物を形成する組成物は100%熱可塑性ポリマーを含んでなることができる。もう1つの態様における組成物は、その合計が100%になる、10%〜99%の熱可塑性ポリマー及び1%〜90%の異なるポリマーを含んでなる。本発明はまた、すべてのポリマーの合計を100%として1%〜98%の第1の熱可塑性ポリマー、1%〜90%の異なる、第2のポリマー及び1%〜90%の異なる第3のポリマーを含んでなる、熱可塑性ポリマーの組成物を提供する。代表的組成物は、20%〜90%の熱可塑性ポリカプロラクトン及び10%〜80%のポリ(アルキレンオキシド);すべての成分が100%に等しい、20%〜90%のポリカプロラクトン及び10%〜60%のポリ(エチレンオキシド)を含んでなる組成物;そのすべての成分が100%に等しい、10%〜97%のポリカプロラクトン、10%〜97%のポリ(アルキレンオキシド)及び1%〜97%のポリ(エチレングリコール)を含んでなる組成物;そのすべての成分が100%に等しい、20%〜90%のポリカプロラクトン及び10%〜80%のポリ(ヒドロキシプロピルセルロース)を含んでなる組成物並びにそのすべての成分が100%に等しい、1%〜90%のポリカプロラクトン、1%〜90%のポリ(エチレンオキシド)、1%〜90%のポリ(ヒドロキシプロピルセルロース)及び1%〜90%のポリ(エチレングリコール)を含んでなる組成物、を含んでなる。パーセントは重量パーセントとして表される。
【0133】
本発明のもう1つの態様において、膜を提供するための注入成型のための組成物は以下の添加順序、ポリカプロラクトン、ポリエチレンオキシド及びポリエチレングリコール、で成分を混合物に添加して、65℃〜95℃のMoriyamaTM Mixerのような従来の混合機中で、ポリカプロラクトン63重量%、ポリエチレンオキシド27重量%及びポリエチレングリコール10重量%を含んでなる組成物を混合することにより調製することができる。1例において、すべての成分を10〜20rpmのローター速度で135分間混合する。次に混合物を10rpmのポンプ速度及び22rpmのスクリュー速度で80℃〜90℃でBaker Perkins KneaderTM押し出し機に供給し、次に10℃〜12℃に冷却して均一な温度に到達させる。次に冷却した押し出し組成物をAlbe Pelletizerに供給し、250℃でペレットに、5mmの長さに転化させる。次にペレットを200°F〜350°F(93℃〜177℃)で注入成型機Arburg AllrounderTM中に供給し、融解ポリマー組成物になるまで加熱し、そして液体ポリマー組成物を、成型物が充填され、ポリマーを含んでなる組成物が前以て選択された形態に固化されるまで、高圧及び高速度で成型キャビティ中に押し込む。注入成型のパラメーターは195°F(91℃)〜375°F(191℃)のバレルのゾーン1からゾーン5までのバンド温度、1818バールの注入成型圧力、55cm/sの速度及び75℃の成型温度よりなる。注入成型組成物及び注入成型法は米国特許第5,614,578号明細書に開示されている。
【0134】
あるいはまた、カプセルは便利には、カプセルが膨張性の層により与えられる力により変形可能であり、そして本体と蓋のめり込んでいる部分の間から液体の、有効物質調合物の漏洩を防止するようにシールする限り、片方が(「蓋」)他の部分(「本体」」上を滑って蓋をする2部分に製造することができる。2部分は、有用な添加剤を含有することができる、液体の有効物質調合物を含有する内腔を完全に囲み、封入する。2部分は本体が前以て選択された調合物で充填された後に一緒に嵌合させることができる。集成は、本体部分上に蓋部分を滑らせ又はめり込ませ、そして蓋と本体をシールし、それにより有効物質の調合物を完全に囲み、封入することにより実施することができる。
【0135】
ソフトカプセルは典型的にはハードカプセルの壁の厚さより厚い壁の厚さを有する。ソフトカプセルは例えば10〜40milの次元の壁の厚さをもち、約20milが典型的であるが、他方、ハードカプセルは例えば2〜6milの次元の壁の厚さをもち、約4milが典型的である。
【0136】
投与系の1つの態様において、ソフトカプセルは単一単位の構造をもち、膨張性の層として非対称性ヒドロ活性化層により囲むことができる。膨張性の層は概括的に非対称的であり、出口オリフィスから離れて、より厚い部分をもつ。ヒドロ活性化層は外部の流体を膨潤しそして/又は吸収する時に、それは膨張し、カプセルの壁及び場合によりバリヤー層に押し出し圧力をかけ、そして有効物質調合物を出口オリフィスを通って押し出す。非対称的層の存在は、通路から遠い層の、より厚い層の部分が膨張して、オリフィスの方向に移動する時に、最大量の薬剤が剤形から送達されることを確保する働きをする。
【0137】
更にもう1つの形態において、膨張可能な層は、場合によりバリヤー層でコートされたカプセルを全体的には包含しない、別々の部分に形成することができる。膨張可能な層は接触領域でカプセルの形態に合うように形成されている単一の要素であることができる。膨張可能層は、バリヤコートカプセルの外面に補完的な凹面を形成するように打錠することにより好都合に加工することができる。従来の打錠プレス中の凹面パンチのような適当な工具が膨張層に必要な補完的形態を提供することができる。この場合は、膨張層はコーティングとして形成されるようにもむしろ、顆粒化されて圧縮される。打錠による膨張層の形成法は周知であり、例えば米国特許第4,915,949号、第5,126,142号、第5,660,861号、第5,633,011号、第5,190,765号、第5,252,338号、第5,620,705号、第4,931,285号、第5,006,346号、第5,024,842号及び第5,160,743号明細書中に記載されている。
【0138】
幾つかの態様において、最初にバリヤー層をカプセル上にコートし、次に打錠し、膨張層を生物学的に相容性の接着剤でバリヤーコートされたカプセルに結合させる。適当な接着剤は例えば、デンプンペースト、ゼラチン水溶液、ゼラチン/グリセリン水溶液、Duro−Tak接着剤(National Starch and Chemical Company)のようなアクリレート−ビニルアセテート基剤の接着剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースのような水溶性親水性ポリマーの水溶液、等を包含する。次にその中間の剤形を半透性の層でコートすることができる。出口オリフィスは側部又は膨張層部分と反対側のカプセルの末端に形成される。膨張層が流体を吸収する時に、それは膨潤するであろう。それは半透性の層により拘束されているので、それが膨張する時にそれはバリヤーコートカプセルを圧縮して、カプセルの内部から使用環境中に、液体の有効物質調合物を絞り出すであろう。
【0139】
ハードカプセルは典型的には、2部分、蓋及び本体からなり、それらはより大きい本体が、前以て選択された適当な調合物で充填された後に、一緒に合わされる。これは本体部分上に蓋部分を滑らせ、又はねじり込み、それにより有用な薬剤調合物を完全に包囲し、封入することにより実施することができる。ハードカプセルは例えば、ステンレス鋼の金型をカプセルのラミナ−形成材料の溶液を含有する浴中に漬けて、金型を材料でコートすることにより製造することができる。次に金型を引き上げ、冷却し、空気流中で乾燥する。カプセルを金型から取り出し、トリムすると、内腔をもつラミナ部材を生成する。調合物受納本体をねじ込んで蓋する嵌合キャップを同様な方法で製造する。次に、閉鎖し、充填したカプセルを半透性ラミナで封入することができる。半透性ラミナは、部品が最終カプセルに接合される前又は後にカプセル部品に適用することができる。もう1つの態様において、ハードカプセルは、調合物を充填後に、重なる蓋と本体を一緒に接合させ、ロックさせる、それらの開放末端の近くに嵌合ロックリングを有する各部品により製造することができる。この態様において、一対の嵌合ロックリングが蓋の部分及び本体部分中に形成され、これらのリングがカプセルを一緒に堅く保持するためのロック手段を提供する。カプセルは調合物を手作業で充填することができるか又は調合物を機械により充填することができる。最終製造において、ハードカプセルは流体の通過に透過性で、有用な物質の
通過に実質的に透過性でない半透性ラミナで封入される。ハードキャップ剤形の製法は米国特許第6,174,547号、第6,596,314号、第6,419,952号、及び第6,174,547号明細書に記載されている。
【0140】
ハード及びソフトカプセルは例えばゼラチン、15〜30ミリポアズの粘度及び150グラムまでのブルーム強度を有するゼラチン、160〜250のブルーム値を有するゼラチン、ゼラチン、グリセリン、水及び二酸化チタンを含んでなる組成物、ゼラチン、エリスロシン、酸化鉄及び二酸化チタンを含んでなる組成物、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、ソルビン酸カリウム及び二酸化チタンを含んでなる組成物、ゼラチン、アカシアグリセリン及び水を含んでなる組成物、等を含んでなることができる。カプセルの壁を形成するために有用な材料は米国特許第4,627,850号及び第4,663,148号明細書中に知られている。あるいはまた、カプセルはゼラチン以外の材料から製造することができる(例えばBioProgres plcにより製造される製品を参照されたい)。
【0141】
カプセルは典型的には例えば、約3〜約22ミニム(1ミニムは0.0616mlに等しい)のサイズで、そして楕円形、長方形等の形状で提供することができる。それらは標準の形状でそして従来(000)、(00)、(0)、(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)として指定される種々の標準サイズで提供することができる。最大数は最小サイズに対応する。標準でない形状をも使用することができる。ソフトカプセル又はハードカプセルのいずれの場合にも、特定の適用のために必要な場合には、従来のものでない形状及びサイズを提供することができる。
【0142】
本発明の浸透性装置は、外部の生体液の通過に透過性で、そして薬剤調合物の通過に実質的に非透過性である半透性の壁を含んでなる。壁を形成するために使用される選択的に透過性の組成物は本質的に非腐食性で、それらは浸透性系の寿命期間中、生体液中に不溶性である。半透性の壁は宿主に悪い作用を与えない組成物、薬剤調合物、オスモポリマー、浸透剤等を含んでなる。半透性の壁を形成するための代表的ポリマーは、半透性ホモポリマー、半透性のコポリマー等を含んでなる。1つの現在好ましい態様において、組成物はセルロースエステル、セルロースエーテル及びセルロースエステル−エーテルを含んでなることができる。セルロースポリマーは典型的には、それらのアンヒドログルコース単位上に、0を超えて3までを包含する置換度「D.S.」を有する。置換度により、置換基により置換される、又はもう1つの基に転化される、アンヒドログルコース単位上に元来存在するヒドロキシル基の平均数を意味する。アンヒドログルコース単位は、アシル、アルカノイル、アルケノイル、アロイル、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカルボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート、半透性ポリマー形成基、等のような基で一部又は完全に置換されることができる。半透性組成物は典型的には、セルロースアシレート、セルロースジアシレート、セルローストリアシレート、セルローストリアセテート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ−、ジ−及びトリ−セルロースアルカニレート、モノ−、ジ−及びトリ−アルケニレート、モノ−、ジ−及びトリ−アロイレート、等よりなる群から選択される1員を包含する。代表的ポリマーは例えば、1.8〜2.3のD.S.及び32〜39.9%のアセチル含量を有するセルロースアセテート、1〜2のD.S.及び21〜35%のアセチル含量を有するセルロースジアセテート、2〜3のD.S.及び34〜44.8%のアセチル含量を有するセルローストリアセテート、等を包含することができる。より特定のセルロースポリマーは、1.8のD.S.及び38.5%のプロピオニル含量を有するセルロースプロピオネート、1.5〜7%のアセチル含量及び39〜42%のアセチル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート、2.5〜3%のアセチル含量、39.2〜45%の平均プロピオニル含量及び2.8〜5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートプロピオネート、1.8の
D.S.、13〜15%のアセチル含量及び34〜39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート、2〜29%のアセチル含量、17〜53%のブチリル含量及び0.5〜4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート、セルローストリバレレート、セルローストリラメート、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエート及びセルローストリプロピオネートのような、2.6〜3のD.S.を有するセルローストリアシレート、セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカプリレート、等のような、2.2〜2.6のD.S.を有するセルロースジエステル、セルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートヘプトネート、等のような混合セルロースエステルを包含する。半透性ポリマーは米国特許第4,077,407号明細書中に知られ、それらはInterscience Publishers,Inc.,New Yorkにより刊行されたEncyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.3,pages 325 to 354,1964に記載の方法により合成することができる。半透性の壁を形成するための更なる半透性ポリマーは例えば、セルロースアセトアルデヒドジメチルアセテート、セルロースアセテートエチルカルバメート、セルロースアセテートメチルカルバメート、セルロースジメチルアミノアセテート、半透性ポリアミド、半透性ポリウレタン、半透性スルホン化ポリスチレン、米国特許第3,173,876号、第3,276,586号、第3,541,005号、第3,541,006号及び第3,546,142号明細書に開示されたような、ポリアニオン及びポリカチオンの共沈により形成される、架橋された選択的半透性ポリマー、米国特許第3,133,132号明細書に開示されたような半透性ポリマー、半透性ポリスチレン誘導体、半透性ポリ(ナトリウムスチレンスルホネート)、半透性ポリ(ビニルベンジルトレメチルアンモニウムクロリド)、半透性壁上の流体静力学的又は浸透圧の差の大気圧に対して表される10−5〜10−2(cc.mil/cm hr.atm)の流体透過性を示す半透性ポリマー、を含んでなることができる。ポリマーは米国特許第3,845,770号、第3,916,899号及び第4,160,020号明細書及びCRC Press,Cleveland,Ohioにより刊行されたScott,J.R., and Roff,W.J.,1971によるHandbook of Common Polymers中で当該技術分野で知られている。
【0143】
半透性の壁はまたフラックス制御剤を含んでなることができる。フラックス制御剤は壁を通るフラックス透過性又はフラックスを制御する補助のために添加される化合物である。フラックス制御剤はフラックス促進剤でも又は減少剤でもよい。該薬剤は液体のフラックスを増加又は減少させるために前以て選択することができる。水のような流体に透過性の著しい増加をもたらす薬剤はしばしば本質的に親水性であり、他方、水のような流体に対する透過性の著しい減少をもたらす薬剤は本質的に疎水性である。壁中に取り入れられる時は、壁中の制御剤の量は概括的に約0.01%〜20重量%以上である。フラックスを増加する1つの態様におけるフラックス制御剤は例えば、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステル、等を包含する。典型的なフラックス促進剤はポリエチレングリコール300、400、600、1500、4000、6000、ポリ(エチレングリコール−コ−プロピレングリコール)、等、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール及びポリアミレングリコールのような低分子量グリコール、ポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)、等のようなポリアルキレンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコール、等のような脂肪族ジオール、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール、等のようなアルキレントリオール、エチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコール
ブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロールアセテートエステル、等のようなエステルを包含する。代表的フラックス減少剤は例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、及び[ジ(2−エチルヘキシル)フタレート]のようなアルキル又はアルコキシであるいはアルキル及びアルコキシ基双方で置換されたフタレート、トリフェニルフタレート及びブチルベンジルフタレートのようなアリールフタレート;カルシウムスルフェート、バリウムスルフェート、カルシウムホスフェート、等のような不溶性塩;酸化チタンのような不溶性酸化物;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカルボネート及びポリスルホンのような粉末、顆粒等の形態のポリマー;長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステルのようなエステル;不活性で、実質的に水不透過性充填剤;セルロース基剤の壁形成材料と相容性の樹脂、等を包含する。
【0144】
壁に柔軟性及び伸長性を付与するため、壁を僅かな脆弱性〜非脆弱性にさせ、そして引き裂き強さを与えるための、半透性の壁を形成するために使用することができる他の材料は例えば、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、6〜11個の炭素の直鎖フタレート、ジ−イソノニルフタレート、ジ−イソデシルフタレート、等のようなフタレート可塑化剤を包含する。可塑化剤はトリアセチン、ジオクチルアゼレート、エポキシド化タレート、トリ−イソクチルトリメリテート、トリ−イソノニルトリメリテート、スクロースアセテートイソブチレート、エポキシド化大豆油、等のような非フタレートを包含する。壁中に取り入れられる時、壁中の可塑化剤の量は約0.01%〜20重量%以上である。
【0145】
半透性の壁は、その1つが、幾つかの態様において、浸透剤を含有することができる膨張性層である、複数層を含有するコンパートメントを囲みそして形成する。膨張性層は1つの態様において、胃液中に存在するような、水の存在下で膨潤するヒドロ活性化組成物を含んでなる。好都合には、それは使用環境内に存在する外部流体に対して、半透性の層を横切る浸透圧の勾配を示す浸透性溶質を含んでなる、浸透性組成物を含んでなることができる。もう1つの態様において、ヒドロ活性化層は、外側の半透性壁を通って層中に流体を膨潤しそして/又は吸収するヒドロゲルを含んでなる。半透性壁は無毒である。それは操作中、その物理的及び化学的完全性を維持し、そして本質的に膨張性層との相互作用をもたない。
【0146】
1つの好ましい態様における膨張性層はオスモポリマーとしても知られる親水性ポリマーを含んでなるヒドロ活性層を含んでなる。オスモポリマーは流体膨潤性を示す。オスモポリマーは、水及び生体水溶液と相互反応し、そして平衡状態まで膨潤又は膨張する、膨潤性で、親水性のポリマーである。オスモポリマーは水及び生体液中で膨潤し、そしてポリマー構造物内に膨潤流体のかなりの部分を保持する能力を示す。オスモポリマーは通常、2〜50倍の容量増加を示して、非常に高度に膨潤又は膨張する。オスモポリマーは非架橋でも架橋でもよい。膨潤性、親水性ポリマーは1つの態様において、軽度に架橋されており、このような架橋は、共有結合又はイオン結合又は膨潤後の残余結晶領域により形成される。オスモポリマーは植物、動物又は合成源から生成することができる。
【0147】
オスモポリマーは親水性ポリマーである。本発明の目的に適する親水性ポリマーは、30,000〜5,000,000の分子量をもつポリ(ヒドロキシ−アルキルメタクリレート);10,000〜360,000の分子量をもつポリ(ビニルピロリドン);アニオン及びカチオンのヒドロゲル;多電解質複合体;低いアセテート残余物(residual)をもち、グリオキサル、ホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドと架橋し、そして200〜30,000の重合度をもつポリ(ビニルアルコール);メチルセルロース、架橋寒天及びカルボキシメチルセルロースの混合物;ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物;ヒドロキシプロピルエチルセル
ロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物;カリウムカルボキシメチルセルロース;コポリマー毎に(per copolymer)マレイン酸無水物1モル当り0.001〜約0.5モルの飽和架橋剤で架橋された、スチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン又はイソブチレンとのマレイン酸無水物の微細粉砕コポリマーの分散物から形成される水不溶性、水膨潤性コポリマー;N−ビニルラクタムの水膨潤性ポリマー;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンゲル、キャロブのガム;ポリアクリルゲル;ポリエステルゲル;ポリ尿素ゲル;ポリエーテルゲル;ポリアミドゲル;ポリセルロースゲル;ポリガムのゲル;ガラス状ヒドロゲルを透過し、そのガラス温度を低下させる、水を膨潤し、吸収する当初は乾燥したヒドロゲル、等を包含する。
【0148】
他のオスモポリマーの代表は、CarbopolTM.酸性カルボキシポリマー、カルボキシポリメチレンとしても知られるポリアリルスクロースと架橋されたアクリル酸のポリマー及び250,000〜4,000,000の分子量をもつカルボキシビニルポリマーのようなヒドロゲルを形成するポリマー;CyanamerTMポリアクリルアミド;架橋された水膨潤性インデンマレイン酸無水物ポリマー;80,000〜200,000の分子量をもつGoodriteTMポリアクリル酸;100,000〜5,000,000以上の分子量をもつPolyoxTMポリエチレンオキシドポリマー;デンプンのグラフトコポリマー;ジエステル架橋ポリグルランのような縮合グルコース単位からなるAqua−KeepsTMアクリレートポリマー多糖類;等を含んでなることができる。ヒドロゲルを形成する代表的ポリマーは、米国特許第3,865,108号、第4,002,173号、第4,207,893号明細書及びChemical Rubber Co.,Cleveland,Ohioにより刊行されたScott and RoffによるHandbook of Common Polymers中の当該技術分野に知られている。ヒドロ活性化層を含んでなるオスモポリマーの量は約5%〜100%であることができる。
【0149】
もう1つの製造における膨張性層は、外部流体に対して半透性の壁を通る浸透圧勾配を示す無機及び有機化合物を含んでなる、浸透性有効な化合物を含んでなることができる。オスモポリマーによるように浸透性有効な化合物は、浸透性の系中に流体を吸収し、それにより内壁、すなわち幾つかの態様においては、剤形から有効物質を押し出すためのバリヤー層及び/又はソフト又はハードカプセルの壁に対して、利用可能な流体を押し出させる。浸透性有効な化合物はまた、浸透性に有効な溶質として、そしてまた浸透剤としても知られる。使用することができる浸透性有効な溶質は、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸カリウム、マニトール、尿素、イノシトール、コハク酸マニトール、酒石酸、ラフィノース、スクロース、グルコース、ラクトース、ソルビトールのような炭水化物及びそれらの混合物を含んでなる。浸透剤の量は層の重量の約5%〜100%であることができる。膨張性層は場合により、オスモポリマー及び浸透剤の総量が100%に等しい、オスモポリマー及び浸透剤を含んでなる。浸透性有効な溶質は米国特許第4,783,337号明細書に記載されたように先行技術分野に知られている。
【0150】
特定の態様において、該剤形は更に、バリヤー層を含んでなることができる。特定の態様におけるバリヤー層は、膨張性層により与えられる圧力下で変形可能であり、膨張性層、液体有効物質調合物中にそして有効物質調合物の送達中の使用環境内に存在することができる流体及び材料に対して不透過性(又は透過性が低い)であろう。有効物質調合物の送達速度が有害に影響を受けない場合は、バリヤー層の特定の度合い透過性は許容することができる。しかし、バリヤー層は有効物質の送達期間中、剤形及び使用環境中の流体及び材料をそれを通して完全には運搬しないことが好ましい。バリヤー層は、カプセルの圧縮が出口オリフィスから液体の有効物質の調合物を押し出させるように、膨張性層により
適用される力下で変形可能であることができる。幾つかの態様において、バリヤー層は、それが、出口オリフィスが形成される部分に膨張性層と半透性層間にシールを形成する程度に変形可能であろう。そのようにして、バリヤー層は、ドリル穴空け等によるような、出口オリフィスが形成されている時又は操作の初期段階中に、膨張性層及び半透性層の最初に露出された部分をシールするように、限定された程度に変形又は流動するであろう。シールされる時に、膨張性層中への液体の透過のための唯一の通路が半透性層を通り、そして出口オリフィスを通る膨張性層中への流体の逆流はない。
【0151】
バリヤー層を形成するために適する物質は例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、ポリカプロラクトン及びHytrelTMポリエステルエラストマー(Du Pont)、セルロースアセテート、セルロースアセテートシュードラテックス(米国特許第5,024,842号明細書に記載のような)、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース、エチルセルロースシュードラテックス(10 Colorcon,West Point,Paにより供給されるSureleaseTM又はFMC Corporation,Philadelphia,Pa.により供給されるAquacoatTMのような)、ニトロセルロース、ポリ乳酸、ポリ−グリコール酸、ポリラクチドグリコリドコポリマー、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレンビニルアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンスチレン、ポリイソブチレン、ポリイソブチレンイソプレンコポリマー、ポリビニルクロリド、ポリビニリデンクロリド−ビニルクロリドコポリマー、アクリル酸とメタクリル酸エステルのコポリマー、メチルメタクリレートとエチルアクリレートのコポリマー、アクリレートエステルのラテックス(RohmPharma,Darmstaat,Germanyにより供給されるEudragitTMのような)、ポリプロピレン、プロピレンオキシドとエチレンオキシドのコポリマー、プロピレンオキシドエチレンオキシドのブロックコポリマー、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリスルホン、エチレンビニルアルコールコポリマー、ポリキシリレン、ポリアルコキシシラン、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール−シリコーンエラストマー、電磁線照射架橋アクリル樹脂、シリコーン又はポリエステル、熱架橋アクリル樹脂、シリコーン、又はポリエステル、ブタジエン−スチレンゴム、以上の混合物、を包含することができる。
【0152】
好ましい材料は、セルロースアセテート、アクリル酸とメタクリル酸エステルのコポリマー、メチルメタクリレートとエチルアクリレートのコポリマー及びアクリレートエステルのラテックスを包含することができる。好ましいコポリマーは、ポリ(ブチルメタクリレート)、(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート、メチルメタクリレート)1:2:1、150,000,商品名EuDRAGIT Eとして販売;ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート)2:1、800,000、商品名EUDRAIT NE
30 Dとして販売;ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:1、135,000、商品名EUDRAGIT Lとして販売;ポリ(メタクリル酸、エチルアクリレート)1:1、250,000、商品名EUDRAITG Lとして販売;ポリ(メタクリル酸、メチルメタクリレート)1:2、135,000、商品名EUDRAGIT Sとして販売;ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)1:2:0.2、150,000、商品名EUDRAGIT RLとして販売;ポリ(エチルアクリレート、メチルメタクリレート、トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)1:2:0.1、150,000、EUDRAGIT RSとして販売、を包含することができる。各場合において、比率x:y:zはモノマー単位のモル比を示し、最後の数字はポリマーの数平均分子量である。特に好ましいものは、Eudragit NEのようなアセチルトリブチルシトレートとエチルアクリレートメチルメチルメタクリレートコポリマーのような可塑化剤を含有するセルロースアセテートである。
【0153】
バリヤー層としての使用のための前記の材料は、膨張性層によりかかる力が液体の有効物質の調合物を分散させるために、バリヤー層により形成されるコンパートメントを破壊するようにバリヤー層を適当に変形可能にさせるために、可塑化剤を伴なって調合することができる。典型的な可塑化剤の例は、以下:多価アルコール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、アセテートエステル、グリセロールトリアセテート、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、グリセリド、アセチル化モノグリセリド、油、鉱油、ヒマシ油等、である。可塑化剤は材料の重量に基づいて10〜50重量パーセントの量で材料中に混合することができる。
【0154】
バリヤー層、膨張性層及び半透性層を形成する種々の層は米国特許第5,324,280号明細書に記載のような従来のコート法により適用することができる。バリヤー層、膨張性層及び半透性層は単一層として便宜上具体的に示され、説明されてきたが、これらの層はそれぞれ、幾つかの層の複合材料であることができる。例えば、特定の適用のために、バリヤー層の透過性の特徴を有する第2の層のコートを容易にする材料の第1の層でカプセルをコートすることが望ましいかも知れない。その場合には、第1及び第2層がバリヤー層を含んでなる。同様な考慮が半透性層及び膨張性層に適用されるであろう。
【0155】
出口オリフィスは、複合材料の壁から通路を機械的穴空け、レーザー穴空け、腐食性要素を腐食させる工程、抽出、溶解、破裂又は浸出する工程により形成することができる。出口オリフィスは米国特許第4,200,098号明細書に開示されたように壁又は層からソルビトール、ラクトース等を浸出させることにより形成される穴であることができる。該特許はセルロースアセテートからのソルビトールのような、壁からの材料を溶解、抽出又は浸出させることにより形成される制御されたサイズの多孔性の穴を開示している。レーザードリルの好ましい形態は、複合材料の壁から所望の深度まで材料を段階的に除去して出口オリフィスを形成する拍動レーザーの使用である。
【0156】
図3はもう1つの典型的浸透性剤形のスキーム図である。この種類の剤形は米国特許第4,612,008号、第5,082,668号及び第5,091,190号明細書に詳述されている。端的には、断面図で示される剤形40は内部コンパートメント44を区画する半透性の壁42を有する。内部のコンパートメント44は薬剤層46及び押し出し層48を有する2層圧縮コアを含有する。以下に説明されるように、押し出し層48は、押し出し層が使用中に膨張する時に、薬剤層を形成する材料が剤形から出口50のような1個又は複数の出口を経て押し出されるように、剤形内に配置された置き換え組成物である。押し出し層は、図4に示されるように、薬剤層と接触する層状配列で配置することができるか、又は押し出し層と薬剤層を分離する1種又は複数の介入層をもつことができる。
【0157】
薬剤層46は、製薬学的賦形剤と混合された、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を含んでなる。代表的剤形はトラマドール、ガバペンチン、担体としてのポリ(エチレンオキシド)、浸透剤としての塩化ナトリウム、結合剤としてのヒドロキシプロピルメチルセルロース及び滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウムからなる薬剤層をもつことができる。
【0158】
押し出し層48は、当該技術分野でオスモポリマーと呼ばれる、水溶液又は生体液を吸収して、膨潤する1種又は複数のポリマーのような浸透性に活性な1種又は複数の成分を含んでなる。オスモポリマーは、水及び生体水溶液と相互反応し、典型的には2〜50倍の容量の増加を示す高度に膨潤又は膨張する、膨潤性、親水性のポリマーである。オスモポリマーは架橋されなくても架橋されてもよく、好ましい態様において、オスモポリマーは少なくとも軽度に架橋されて、使用中、剤形を容易に排出するには大きすぎ、からまっているポリマーの網目を形成する。オスモポリマーとして使用することができるポリマー
の例は、浸透性剤形を詳細に説明する前記に記載の参考文献中に提供される。典型的なオスモポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)のようなポリ(アルキレンオキシド)及び、アルカリがナトリウム、カリウム又はリチウムであるポリ(アルカリカルボキシメチルセルロース)である。押し出し層には、結合剤、滑沢剤、抗酸化剤及び着色剤のような更なる賦形剤をも包含することができる。使用中、流体は半透性の壁を通って吸収されるので、1種又は複数のオスモポリマーは膨潤して、薬剤層を押して、1個又は複数の出口を経て、剤形から薬剤を放出させる。
【0159】
押し出し層はまた、典型的には、セルロース又は、ポリ−n−ビニルアミド、ポリ−n−ビニルアセトアミド、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ−n−ビニルカプロラクトン、ポリ−n−ビニル−5−メチル−2−ピロリドン等のようなビニルポリマーである、結合剤とも呼ばれる成分を包含することができる。押し出し層はまた、ステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤及び、成分の酸化を阻害するための抗酸化剤を包含することができる。代表的抗酸化剤は、それらに限定はされないが、アスコルビン酸、アルコルビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、2及び3tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソールの混合物並びにブチル化ヒドロキシトルエンを包含する。
【0160】
浸透剤はまた、浸透性剤形の薬剤層及び/又は押し出し層中に取り込むことができる。浸透剤の存在は半透壁を横切る浸透活性の勾配を確立する。代表的浸透剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、等のような塩及び、ラフィノース、蔗糖、ブドウ糖、ラクトースのような糖及び炭水化物を包含する。
【0161】
まだ続けて図4において、剤形は、場合により、用量に従って剤形を色彩コードするための又はトラマドール及び/又は、ガバペンチン又は他の薬剤を含んでなる物質の即時放出を提供するための上塗り(図示されていない)を包含することができる。
【0162】
使用中、水は壁を横切って、そして押し出し層及び薬剤層中に流動する。押し出し層は流体を吸収し、膨潤を開始し、その結果、薬剤層44上を押して、層中の材料を出口オリフィスを通って胃腸管中に追い出させる。押し出し層48は流体を吸収し、膨潤を継続し、それにより、剤形が胃腸管内にある期間を通して、薬剤層からトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を連続的に追い出すようになっている。このように、該剤形は、特定の範囲に対して、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質の胃腸管への供給を提供する。
【0163】
1つの態様において、本発明の剤形は、トラマドール及び/又は、ガバペンチンを含んでなる物質、の第1の形態が上部G.I.管内の吸収に利用可能であり、そして第2の形態が下部G.I.管内の吸収に提供されるように、2種以上の形態の、トラマドール及び/又はガバペンチンを含んでなる物質、を含んでなる。これはG.I.管全体の吸収を最適化するために異なる特徴が必要な環境における最適な吸収を容易にすることができる。このような態様は好ましくは、3層経口浸透性剤形を使用して達成することができるかも知れない。
【0164】
基本的浸透性ポンプ剤形と当該技術分野で呼ばれる典型的剤形が図4に示される。破断図で示される剤形20はまた、基本的浸透ポンプとも呼ばれ、内部コンパートメント24を囲み、封入する半透性の壁22からなる。内部コンパートメントは、選択される賦形剤と混合されたトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質28、を含んでなる、薬剤層26として本明細書で呼ばれる単一成分層を含有する。賦形剤は、壁22を通して外部環境から流体を引き付け、そして流体を吸収する時に、送達可能なトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の調合物を形成するための、浸透性活性勾配を提供する
ようになっている。賦形剤は本明細書で薬剤担体30としても呼ばれる適当な懸濁剤、結合剤32、滑沢剤34及び浸透剤36と呼ばれる浸透性活性物質を包含することができる。これらの各成分の典型的材料は以下に提供される。
【0165】
浸透性剤形の半透性の壁22は水及び生体液のような外部流体の通過に透過性であるが、内部コンパートメント内の成分の通過に実質的に非透過性である。壁を形成するのに有用な材料は、剤形の寿命期間中、生体液中で本質的に非腐食性であり、実質的に不溶性である。半透性の壁を形成するための代表的ポリマーは本明細書の他所で考察しており、セルロースエステル、セルロースエーテル及びセルロースエステル−エーテルのようなホモポリマー及びコポリマーを包含する。フラックス制御物質は本明細書の他所で考察されたように、壁の流体透過性を制御するために壁形成材料と混合することができる。例えば、水のような流体に対する透過性の著しい増加をもたらす物質はしばしば本質的に親水性であり、他方、水に対して著しい透過性減少をもたらすものは本質的に疎水性である。代表的なフラックス制御剤は、多価アルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンジオール、アルキレングリコールのポリエステル、等と一緒に、本明細書の他所で考察されたものを包含する。
【0166】
操作中に、浸透性活性剤の存在による壁22を横切る浸透圧勾配は、胃液を、壁を通して吸収させ、内部コンパートメント内の、薬剤層の膨潤並びにトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の送達可能な調合物(例えば、溶液、懸濁物、スラーリ又は他の流動性組成物)の形成を引き起こす。送達可能な調合物は流体が内部コンパートメントに侵入し続けるに従って、出口38を通って放出される。薬剤調合物は該剤形から放出される時でも、流体は内部コンパートメント中に引かれ続け、それにより継続した放出を駆動する。この方法で、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、は長時間にわたり持続的に放出される。
【0167】
図5A〜5Cは当該技術分野で知られ、そして米国特許第5,534,263号、第5,667,804号及び第6,020,000号明細書に記載された、もう1つの典型的剤形を表す。端的には、図5Aには胃腸管中への摂取前の剤形80の断面図が示される。該剤形は、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を含んでなる円筒形のマトリックス82からなる。マトリックス82の末端84、86は好ましくは、摂取の容易性を確実にするために、丸く、凸型である。バンド88、90及び92が円筒形のマトリックスを同心的に囲み、水性環境に比較的不溶性の材料で形成されている。適当な材料は前記の特許中に示されている。
【0168】
剤形80の摂取後、バンド88、90、92間のマトリックス82の領域が図5Bに示されるように腐食し始める。マトリックスの腐食がG.I.管の流体環境中にトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の放出を開始させる。剤形がG.I.管を通して移動し続けるに従って、マトリックスは図5Cに示すように腐食し続ける。ここで、マトリックスの腐食は、剤形が3片、94、96、98に分解する程度まで進行した。腐食は、各片のマトリックス部分が完全に腐食されるまで継続するであろう。バンド94、96、98はその後G.I.管から排出されるであろう。
【0169】
1つの態様において、本発明の制御送達剤形は胃内滞留剤形を含んでなる。1991年4月16日に認可され、「持続放出経口薬剤投与形態」と題するShellに対する米国特許第5,007,790号明細書(「Shell」)は本発明の実施に有用な胃内滞留剤形を開示している。Shellは、薬剤の溶解度により制御される速度で溶液中に薬剤を放出する、持続放出経口薬剤−投与形態を開示している。該剤形は、投与寿命にわたりその物理的完全性を維持するがその後早急に溶解する、親水性、水膨潤性の架橋ポリマー中の限定された溶解度の薬剤の分散物の複数の粒子を含んでなる、錠剤又はカプセルを含
んでなる。粒子は一旦摂取されると、膨潤して、胃内滞留を促進し、胃液を粒子に透過させ、薬剤を溶解し、そして粒子から薬剤を浸出させる。トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質は、本発明の実施において、このような胃内滞留剤形又は当該技術分野で知られた他の剤形に取り入れることができる。
【0170】
図1〜5に説明された剤形は単に、G.I.管に本発明の部分複合体の送達を実施するようになっており、それを実施することが可能な種々の剤形の例であることは認められるであろう。製薬分野の専門家は、適当であると考えられる他の剤形を特定することができる。
【0171】
本発明の剤形中のトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の典型的な用量は広範に異なるであろう。本発明者は、ガバペンチンを含んでなる物質の分子量が、それが緩いイオン対の塩、複合体、構造的ホモログ、等として投与されるかどうかに応じて著しく異なる可能性があることに注目する。従って、ガバペンチンを含んでなる物質の用量濃度(dosage strength)は、剤形中に取り込まれる形態が変動するに従って変える必要があるかも知れない。投与される用量は概括的に個々の患者に対する所望の結果と一致して調整される。
【0172】
1つのアスペクトにおいて、本発明は、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を含んでなる制御送達剤形を投与することにより、患者における疾患又は障害、好ましくはトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の投与による処置に有効な疾患又は障害のような徴候の処置法を提供する。1つの態様において、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質及び製薬学的に許容できるベヒクルを含んでなる組成物は経口投与により患者に投与される。
【0173】
本発明は更に、そこでトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、が実質的にゼロ次元の放出速度で、好ましくはゼロ次元の放出速度で剤形から放出される、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を含んでなる経口制御送達剤形を、投与を要する患者に投与する方法を含んでなる処置法に関する。本明細書に開示された種々の制御送達剤形は、実質的にゼロ次元の放出速度、好ましくはゼロ次元の放出速度を提供することができる。このような剤形は基本的浸透性ポンプ、マトリックス及び2層性浸透性剤形並びに当業者に知られたその他を含んでなる。
【0174】
上昇する放出速度の態様は、その下部G.I.吸収が上部G.I.吸収よりまだ少ない環境中で特に有用である。このような場合には、上昇する放出速度が、減少した下部G.I.吸収又は、ガバペンチンの主要な運搬に寄与するかも知れない高度の能動的運搬物をもたない上部G.I.の領域における減少した吸収すらを一部代償することができる。1つの上昇する放出速度の態様において、本発明の剤形の投与後の最初の約3時間にわたる放出速度は、投与後のほぼ3時間を超える放出速度のほぼ1/F倍であり、ここで

F=X/Y

そしてここでX=下部G.I.に送達される時のガバペンチンの生体利用能、そして
Y=上部G.I.に送達される時のガバペンチンの生体利用能である。適当な調合物を最適化することにより、当業者により種々の上昇する放出速度のプロファイルを得ることができる。例えば、当業者は、所望の上昇する放出速度のプロファイルを達成するために図5に示される剤形を種々の放出速度に調整することができるであろう。このような調整は当業者に知られている。
【0175】
1つの態様において、本発明の剤形は1層を超える薬剤層の提供により、上昇する放出
速度を達成することができる。複数の薬剤層をもつ浸透性装置において、層間の薬剤濃度の勾配が、長期間にわたる上昇する薬剤放出速度の達成を容易にする。例えば、本発明の1つの態様において、浸透性剤形は第1の薬剤層と第2の薬剤層を含んでなり、ここで第1の薬剤層内に含有されるガバペンチンを含んでなる物質の濃度が第2の薬剤層内に含有されるガバペンチンを含んでなる物質の濃度より高く、そして膨張性層が第3の層内に含有される。剤形のコアから外側への順序で、膨張性層、第2の薬剤層、そして第1の薬剤層がある。剤形成分の協力による操作において、ガバペンチンを含んでなる物質は第2の薬剤層からそして次に第1の薬剤層から、長期間にわたり上昇する放出速度が達成されるように持続されそして制御された方法で連続的に放出される。
【0176】
本発明は更に、その用語が本明細書に定義される通りの製薬学的組成物及び、投与を要する患者に製薬学的組成物を投与する方法に関する。本発明は好ましくは、投与を要する患者に治療的有効量の製薬学的組成物を投与する方法に関する。
【0177】
1つの態様において、本発明はトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる、経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形に関し;そしてここで経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲内にあり、そしてここで経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで経口制御送達投与構造物は、患者に対する経口投与剤形の1回投与後に、ガバペンチンCmaxが起る時点後の少なくとも約15時間にわたる枠全体にガバペンチンCmaxの少なくとも約25パーセントであるガバペンチン血漿薬剤濃度を維持するために有効な速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている。好ましくは、トラマドールはトラマドールHClを含んでなり、ガバペンチンを含んでなる物質はガバペンチンとアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなり、範囲はガバペンチンCmaxが起る時点後の少なくとも約18時間をもち、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にあり、又は経口剤形は浸透性経口剤形を含んでなる。
【0178】
1つの態様において、本発明はトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる、経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形に関係し、ここで経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲内にあり、そしてここで経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在するガバペンチンを含んでなる物質の総重量に基づく)の送達用量パターンの制御送達投与構造物により含有される、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている。好ましくはトラマドールはトラマドールHClを含んでなり、ガバペンチンを含んでなる物質はガバペンチンとアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなり、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にあり、又は経口剤形は浸透性経口剤形を含んでなる。
【0179】
もう1つの態様において、本発明は、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形に関し、ここで経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲内にあり、そしてここで経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム
未満であり、そしてここで制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在するトラマドールの総重量に基づく)の送達用量パターンの制御送達投与構造物により含有される、トラマドールを含んでなる物質の一部を制御して送達するようになっている。好ましくはトラマドールはトラマドールHClを含んでなり、ガバペンチンを含んでなる物質はガバペンチンとアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなり、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にあり、又は経口剤形は浸透性経口剤形を含んでなる。
【0180】
更にもう1つの態様において、本発明は(i)ガバペンチンを含んでなる物質及び(ii)トラマドール、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口制御送達剤形に関し、ここで経口制御送達投与構造物は以下の関係:Rate0−3=(1/F)Rate3−10[ここでRate0−3は剤形の投与直後約3時間中の平均放出速度を表し、R3−10は経口剤形の投与直後の約3時間後から経口剤形の投与直後の約10時間後までの期間の平均放出速度を表し、そしてF=X/Y(ここでX=ガバペンチンの結腸の生体利用能、そしてY=ガバペンチンの上部胃腸管の生体利用能)]
を満たす放出速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている。
【0181】
好ましくは、トラマドールはトラマドールHClを含んでなり、又はガバペンチンを含んでなる物質はガバペンチンとアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる。
【0182】
1つの態様において、本発明は(1)トラマドール及びガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる、経口剤形を提供する方法、そしてここで経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、経口制御送達投与構造物は、患者に対する経口投与剤形の1回投与後に、ガバペンチンCmaxが起る時点後の少なくとも約15時間にわたる範囲を通してガバペンチンCmaxの少なくとも約25パーセントであるガバペンチン血漿薬剤濃度を維持するために有効な速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、及び(2)患者に該経口剤形を投与する方法、を含んでなる方法に関する。好ましくは、トラマドールはトラマドールHClを含んでなり、ガバペンチンを含んでなる物質はガバペンチンとアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなり、範囲はガバペンチンCmaxが起る時点後の少なくとも約18時間の期間をもち、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にあり、又は経口剤形は浸透性経口剤形を含んでなる。
【0183】
更にもう1つの態様において、本発明は、(1)トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる、経口制御送達投与構造物:を含んでなる、経口剤形を提供する方法、ここで経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0
〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在するガバペンチンを含んでなる物質の総重量に基づく)の送達用量パターンの制御送達投与構造物により含有される、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、及び(2)患者に該経口剤形を投与する方法、を含んでなる方法に関する。好ましくは、トラマドールはトラマドールHClを含んでなり、ガバペンチンを含んでなる物質はガバペンチンとアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなり、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にあり、又は経口剤形は浸透性経口剤形を含んでなる。
【0184】
1つの態様において、本発明は、(1)トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形を提供する方法、ここで経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在するトラマドールの総重量に基づく)の送達用量パターンの制御送達投与構造物により含有される、トラマドールを含んでなる物質の一部を制御して送達するようになっている、及び(2)患者に経口剤形を投与する方法、を含んでなる方法に関する。好ましくは、トラマドールはトラマドールHClを含んでなり、ガバペンチンを含んでなる物質はガバペンチンとアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなり、経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にあり、又は経口剤形は浸透性経口剤形を含んでなる。
【0185】
更なる態様において、本発明は、(1)(i)ガバペンチンを含んでなる物質及び(ii)トラマドール、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物を含んでなる経口制御送達剤形を提供する方法:ここで、経口制御送達投与構造物は以下の関係:Rate0−3=(1/F)Rate3−10[ここでRate0−3は剤形の投与直後約3時間中の平均放出速度を表し、R3−10は経口剤形の投与直後の約3時間後から経口剤形の投与直後の約10時間後までの期間の平均放出速度を表し、そしてF=X/Y(ここでX=ガバペンチンの結腸の生体利用能、そしてY=ガバペンチンの上部胃腸管の生体利用能)]を満たす放出速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、及び(2)患者に該剤形を投与する方法:を含んでなる方法に関する。好ましくは、トラマドールはトラマドールHClを含んでなり、又はガバペンチンを含んでなる物質はガバペンチンとアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる。
【0186】
まだ更なる態様において、本発明は、(i)ガバペンチン及び(ii)運搬部分を含んでなる複合体を含んでなる物質、並びにトラマドールを含んでなる製薬学的組成物に関する。運搬部分は好ましくは、アルキルスルフェート塩を含んでなり、アルキルスルフェート塩はナトリウムラウリルスルフェートを含んでなるか、又は物質はガバペンチンプロドラッグを含んでなる物質を排除し、ここでガバペンチンプロドラッグはガバペンチンに比較してガバペンチンプロドラッグの結腸吸収を増加する化学的構造物を含んでなる。もう1つの態様において、製薬学的組成物を含んでなる経口剤形が提供され、経口剤形は経口制御送達剤形を含んでなり、経口剤形は浸透性経口制御送達剤形を含んでなり、浸透性経口制御送達剤形は固形の浸透性経口制御送達剤形を含んでなり、又は浸透性経口制御送達剤形は液体の浸透性経口制御送達剤形を含んでなる。
【0187】
更にもう1つの態様において、本発明は(1)(i)ガバペンチン及び(ii)運搬部分を含んでなる複合物を含んでなる物質並びにトラマドールを含んでなる製薬学的組成物を提供する方法、並びに(2)患者に製薬学的組成物を投与する方法:を含んでなる方法に関する。運搬部分は好ましくはアルキルスルフェート塩を含んでなり、アルキルスルフェート塩はナトリウムラウリルスルフェートを含んでなるか又は、物質がガバペンチンプロドラッグを含んでなる物質を排除し、ここでガバペンチンプロドラッグはガバペンチンに比較してガバペンチンプロドラッグの結腸吸収を増加する化学構造物を含んでなる。もう1つの好ましい態様において、前記に開示された経口剤形が提供され、患者に投与される方法が提供され、ここで経口剤形は経口制御送達剤形を含んでなり、ここで経口剤形は浸透性経口制御送達剤形を含んでなり、ここで浸透性経口制御送達剤形は固形の浸透性経口制御送達剤形を含んでなり、又はここで浸透性経口制御送達剤形は液体の浸透性経口制御送達剤形を含んでなる。
【0188】
以上の本発明は理解の明確化の目的で、例により詳細に説明されたが、特定の変更及び改変は開示により理解され、そして限定しない具体化により提示される、付記の請求項の範囲内で過度の実験を伴なわずに実行することができることは当業者に明白であろう。
【0189】
本発明の組成物は概括的に、滅菌された、実質的に等張性でそして、米国食品及び薬剤管理局のすべての良好製造実施規制(GMP)を完全に順守して調合される。投与されることが所望される薬剤量に応じて、1種又は複数の経口剤形を投与することができる。
【0190】
前記に引用されたすべての刊行物及び特許文書は、それぞれがあたかも個々に表されたと同程度に、すべての目的に、それらの全体を、引用により本明細書に取り入れられている。
【0191】
各引用範囲はその中に含有される特定の数字のみならずまた、範囲のすべての組み合わせ物及び副組み合わせ物を包含する。
【0192】
IV.実施例
以下の実施例は本発明を説明するものであり、これらの実施例及びそれらの他の同等物は本発明の説明、図面及び付記の請求項に照らして、当業者に明白になるであろうために、どんな方法でも本発明の範囲を限定するものと考えてはならない。
【実施例1】
【0193】
ガバペンチン−ラウリルスルフェート複合体の調製
1. 0.5mLの36.5%塩酸(5ミリモルのHCl)の溶液(25mLの脱イオン水中)を調製した。
2. 5ミリモルのガバペンチン(0.86g)を段階1の溶液に添加した。混合物を室温で10分間撹拌した。ガバペンチン塩酸が形成された。
3. 5ミリモルのナトリウムラウリルスルフェート(1.4g)を段階2の水溶液に添加した。混合物を室温で20分間撹拌した。
4. 50mLのジクロロメタンを段階3の溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。
5. 段階4の混合物を分離漏斗に移し、3時間静置した。2相、ジクロロメタンの下相及び水の上相が形成された。
6. 段階5の上相及び下相を分離した。下相のジクロロメタン相を回収し、ジクロロメタンを室温で蒸発乾燥し、次に40℃で4時間真空オーブン中で乾燥した。ガバペンチン−ラウリルスルフェートの複合体(1.9g)を得た。総収率はガバペンチン及びナトリウムラウリルスルフェートの初期量から計算された理論量に対して87%であった。
【実施例2】
【0194】
ガバペンチン−デシルスルフェート複合体の調製
1. 0.5mLの36.5%塩酸(5ミリモルHCl)の溶液(25mLの脱イオン水中)を調製した。
2. 5ミリモルのガバペンチン(0.86g)を段階1の溶液に添加した。混合物を室温で10分間撹拌した。ガバペンチン塩酸が形成された。
3. 5ミリモルのナトリウムデシルスルフェート(1.3g)を段階2の水溶液に添加した。混合物を室温で10分間撹拌した。
4. 50mLのジクロロメタンを段階3の溶液に添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。
5. 段階4の混合物を分離漏斗に移し、3時間静置した。2相、ジクロロメタンの下相及び水の上相が形成された。
6. 段階5の上相及び下相を分離した。下相のジクロロメタン相を回収し、ジクロロメタンを室温で蒸発乾燥させ、次に40℃で4時間真空オーブン中で乾燥した。ガバペンチン−デシルスルフェートのペースト様複合体(1.91g)を得た。総収率はガバペンチン及びナトリウムラウリルスルフェートの初期量から計算された理論量に対して93%であった。
【実施例3】
【0195】
ガバペンチン−ラウリルスルフェート複合体及びトラマドールHClの送達のための固形浸透性剤形
剤形は以下:(100mgのトラマドールHCl/511mgのガバペンチンラウリルスルフェート、すなわち200mgのガバペンチン当量)のように調製する。
【0196】
剤形中のガバペンチン−ラウリルスルフェート複合体及びトラマドールHCl層を以下のように調製する。第1に、実施例1に記載の通りに調製された7.78グラムのガバペンチン−ラウリルスルフェート複合体、1.52グラムのトラマドールHCl、0.50gの5,000,000分子量のポリエチレンオキシド、0.10gの約38,000の分子量をもつポリビニルピロリドンを通常のブレンダー中で20分間乾燥混合すると均一なブレンドを生成する。次に5分間連続的に混合しながら、変性無水エタノールをブレンドに緩徐に添加する。混合された湿った組成物を16メッシュのスクリーンを通過させ、室温で1晩乾燥した。次に乾燥した顆粒を16メッシュ中を通過させ、0.10gのステアリン酸マグネシウムを添加し、すべての乾燥成分を5分間乾燥混合する。組成物は77.8重量%のガバペンチン−ラウリルスルフェート複合体、15.2重量%のトラマドールHCl、5.0重量%の5,000,000分子量をもつポリエチレンオキシド、1.0重量%の約35,000〜40,000の分子量をもつポリビニルピロリドン及び1.0重量%のステアリン酸マグネシウム、からなる。
【0197】
オスモポリマーのヒドロゲル組成物からなる押し出し層は以下のように調製する。第1に、637.70gの、7,000,000分子量を含んでなる製薬学的に許容できるポリエチレンオキシド、300gの塩化ナトリウム及び10gの酸化第二鉄を40メッシュのスクリーンを通して別々にスクリーンした。ふるった成分を、50gの、9,200の分子量をもつヒドロキシプロピルメチルセルロースと混合して均一なブレンドを生成する。次に150mLの変性無水アルコールを、5分間連続的に混合しながら、ブレンドに緩徐に添加する。次に0.80gのブチル化ヒドロキシトルエンを添加し、更に混合する。新鮮に調製された顆粒を20メッシュのスクリーンを通し、室温(外気温)で20時間乾燥させる。乾燥した成分を20メッシュのスクリーンに通し、2.50gのステアリン酸マグネシウムを添加し、すべての成分を5分間混合する。最終組成物は63.67重量%のポリエチレンオキシド、30.00重量%の塩化ナトリウム、1.00重量%の酸化第
二鉄、5.00重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.08重量%のブチル化ヒドロキシトルエン及び0.25重量%のステアリン酸マグネシウムからなる。
【0198】
2層剤形は以下のように調製される。第1に、657mgの薬剤層組成物をパンチ及びダイセットに添加し、突き固める。次に328mgのヒドロゲル組成物を添加し、2層を1.0トン(1000kg)の圧縮力下で9/32インチ(0.714cm)直径のパンチタイセット中に圧縮し、密接な2層コア(錠剤)を形成する。
【0199】
80.0重量%の、39.8%のアセチル含量をもつ酢酸セルロース及び20.0%の、7680〜9510の分子量をもつポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーを含んでなる半透性壁形成組成物を、成分をアセトン中に80:20重量/重量組成物として溶解することにより調製して、5.0%の固溶体を生成する。この段階中、溶液の容器を温水浴中に入れると、成分の溶解を促進する。壁形成組成物を2層のコア上そして周囲に噴霧すると、60〜80mgの厚さの半透性の壁を提供する。
【0200】
次に40mil(1.02mm)の出口オリフィスを半透性の壁をもつ2層錠中にレーザーで穴をあけると、送達装置の外部と薬剤含有層の接触をもたらす。剤形を乾燥して、あらゆる残留溶媒及び水を除去する。
【0201】
実施例5に従って調製した剤形の放出速度を900mLの人口腸液(AIF、pH=6.8)中でDistek 5100(USP装置2パドルテスター)上で試験する。溶解媒質の温度は37℃に維持され、パドル速度は100rpmであった。ガバペンチン及びトラマドールHClの濃度はHPLCで測定される。2種の系を試験する。
【実施例4】
【0202】
ガバペンチン複合体及びトラマドールHCl(50mgトラマドールHCl/120mgガバペンチンデシルスルフェート、すなわち50mgのガバペンチン)を含んでなる液体浸透性剤形
実施例2の複合体及びトラマドールHClをG.I.管中に分配するためのハードキャプの経口浸透性装置系を以下のように調製することができる:
第1に、浸透性押し出し層形成物をGlatt流動床顆粒化装置(FBG)を使用して顆粒化する。押し出し顆粒の組成物は63.67重量%の7,000,000分子量をもつポリエチレンオキシド、30.00重量%の塩化ナトリウム、1.00重量%の酸化第二鉄、5.00重量%の9,200の分子量をもつヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.08重量%のブチル化ヒドロキシトルエン及び0.25重量%のステアリン酸マグネシウムからなる。
【0203】
第2に、バリヤー層の顆粒を中間FBGを使用して生成する。バリヤー層顆粒の組成物は55重量%のKollidon、35重量%のMagnesium Stearate及び10重量%のEMMからなる。
【0204】
第3に、浸透性押し出し層顆粒及びバリヤー層顆粒をMulti−layer Korschプレスにより2層錠に圧縮する。350mgの浸透性押し出し層顆粒を添加し、突き固め、次に100mgのバリヤー層顆粒をその上に添加し、最後に4500Nの力で浸透性/バリヤー2層錠に圧縮する。
【0205】
第4に、実施例2に従って調製した1200mgのガバペンチン−デシルスルフェート複合体(500mgのガバペンチン当量)及び500mgのトラマドールHClを、約3500mgのプロピレングリコール(PG)中に45℃で〜6時間の音波処理を使用して溶解する。
【0206】
次に、ゼラチンカプセル(サイズ0)をSureleaseTMで下塗りする。これはシステムの操作中にカプセル封入された液体調合物中への水の透過を妨げるであろう。下塗りは水性分散物の形態で適用されるエチルセルロースの膜である。分散物は25重量%の固体を含有し、精製水を添加することにより15重量%固体を含有するように希釈される。SureleaseTMの膜の重量は17mgである。
【0207】
次に、Surelease(tm)コートされたゼラチンカプセルを2部分(本体と蓋)に分ける。薬剤層組成物(520mg)をカプセルの本体に充填する。
【0208】
次に、浸透性/バリヤー錠剤を、充填されたカプセル本体中に入れる。カプセル中にエンジンを挿入する前に、ゼラチンコートされた2層のエンジンのバリヤー層の周囲にシール用溶液の層を適用する。エンジン挿入後、バンド形成溶液の層をカプセルとエンジンの境界面の直径の周囲に適用する。このシール及びバンド形成溶液は同一であり、水/エタノールの50/50重量%で製造されている。
【0209】
次に、80%の酢酸セルロース398−10及び20%のPluronic F−68を含んでなる膜組成物を、コーティング溶液中5%の固体含量を伴なってアセトンに溶解する。溶液を12”のLDCS Hi−coater中で前コート集成物上に噴霧する。膜のコート後、系を45℃のオーブン中で24時間乾燥する。集成物は131mgの速度制御膜でコートされる。
【0210】
次に、30mil(0.77mm)の出口オリフィスを機械的ドリルを使用して、薬剤層側にドリルする。膜の重量を調整することにより、系の放出期間を制御することができる。
【実施例5】
【0211】
ガバペンチン及びトラマドールHCl(150mgのトラマドールHCl/350mgのガバペンチン)の送達のための胃内滞留系
「胃内滞留に改変された持続放出有効物質剤形」と題し、その全体を本明細書に引用することにより取り込まれている、2003年4月15日認可のWong等に対する米国特許第6,548,083号明細書中の開示に従う剤形をガバペンチン及びトラマドールHClにより調製する。
【0212】
12.6グラムのガバペンチン、5.4グラムのトラマドールHCl及び3.6グラムの、約8,000,000グラム/モルの数平均分子量をもつ、ゲル形成ポリマーのポリエチレンオキシド、を1インチ当たり40ワイアをもつメッシュをとおして別々にふるう。ポリエチレンオキシドをUnion Caribide Corporation, Danbury,Conn.により製造されるような商品名Polyox.RTM等級308として供給される。分粒された有効物質及びポリマーを乾燥混合する。次に8.25グラムの、10〜13重量パーセントのヒドロキシプロピル含量及び50ミクロンの平均繊維粒度をもつ、水吸収性、水不溶性ポリマーのヒドロキシプロピルセルロースを40−メッシュのスクリーンを通してふるい、混合物中に混合する。ヒドロキシプロピルセルロースはShin−Etsu Chemical Company,Ltd.Tokyo,Japanにより製造されるLow−Substituted Hydroxypropyl Cellulose等級11として供給される。無水エチルアルコール、特に変性処方物3A、すなわち5容量パーセントのメタノールにより変性されたエタノールを、均一な湿った塊が形成されるまで撹拌しながら混合物に添加する。この湿った塊を1インチ当たり20ワイヤをもつスクリーンを通して圧縮押し出しする。次に押し出し物を室温で1晩空気乾燥する。乾燥後、生成される押し出し物を再度20−メッシュのふるいを通す
と、顆粒を形成する。0.15gの打錠滑沢剤のステアリン酸マグネシウムを1インチ当たり60ワイヤをもつふるいを通す。次に分粒された60−メッシュの滑沢剤を顆粒中に転摩すると最終顆粒を生成する。
【0213】
生成される顆粒の部分を秤量し、1.5トンの圧力ヘッドにおけるCarverプレス上でカプレット型の工具で圧縮する。各錠剤は約833mgの重量であり、約350mgのガバペンチン及び150mgのトラマドールHClを含有する。錠剤の形状はほぼ円筒形の比率を有する。直径は約7.6ミリメーター(mm)であり、長さは約22mmである。
【0214】
7.7mmの外径及び0.25mmの壁の厚さをもつポリオレフィン材料の管をレーザーで薄切りしてリングを生成する。各リングの幅は約3mmである。次に1つのリングを、リング又はバンドがカプレットの長さのほぼ真ん中に配置されるように、各カプレット上に、圧縮嵌合させる。
【実施例6】
【0215】
ガバペンチン−ラウリルスルフェート複合体及びトラマドールHCl(200mgのトラマドールHCl/511mgのガバペンチンラウリルスルフェート、すなわち200mgのガバペンチン当量)の制御送達のためのマトリックス剤形
本発明に従うマトリックス剤形は以下のように調製される。実施例2に記載のように調製された143.7グラムのガバペンチン−ラウリルスルフェート複合体、56.3グラムのトラマドールHCl、25グラムの、9,200グラム/モルの数平均分子量をもつヒドロキシプロピルメチルセルロース及び15グラムの、242,000グラム/モルの分子量をもつヒドロキシプロピルメチルセルロースを、40ワイヤ/インチのメッシュサイズをもつスクリーンを通す。各セルロースは8重量パーセントの平均ヒドロキシル含量及び22重量パーセントの平均メトキシル含量をもつ。生成される分粒粉末を転摩混合する。無水エチルアルコールを、ドウのコンシステンシーが生成されるまで撹拌しながら混合粉末に緩徐に添加する。次に湿った塊を20メッシュのスクリーンを通して押し出し、1晩、空気乾燥する。生成される乾燥材料を20−メッシュのスクリーンを通して再度ふるうと、最終顆粒を形成する。次に、2グラムの、80メッシュのスクリーンを通して分粒される打錠滑沢剤のステアリン酸マグネシウムを顆粒中に転摩する。
【0216】
860mgの生成される顆粒を9/32インチの内径をもつダイキャビティ内に入れ、2トンの圧力ヘッドを使用して深い凹型パンチ工具で圧縮する。これが丸い末端を包含する0.691インチの全長をもつ縦長のカプセルコアを形成する。錠剤ランドから錠剤ランドまでのカプセルの円筒形本体は12mmの距離にわたる。各コアは511mgのガバペンチンラウリルスルフェート複合体(200mgのガバペンチン当量)及び200mgのトラマドールHClの単位用量を含有する。
【実施例7】
【0217】
ガバペンチン−ラウリルスルフェート複合体及びトラマドールHCl(200mgトラマドールHCl/511mgガバペンチンラウリルスルフェート、すなわち200mgガバペンチン当量)の制御送達のための改変マトリックス剤形
第1に、実施例6の剤形を提供する。次に、9/32インチの内径、0.013インチの壁の厚さ及び2mmの幅をもつポリエチレンのリングを加工する。これらのリング又はバンドを実施例6の剤形上に圧縮嵌合して、剤形を完成する。
【実施例8】
【0218】
ガバペンチンプロドラッグ及びトラマドールHCl(440mgのガバペンチンプロドラッグ及び150mgのトラマドールHCl)の送達のための固形浸透性剤形
剤形を以下のように調製する:
ガバペンチンアセトキシエチルカルバメートを前記のZerangueに従って調製する。
【0219】
剤形中のガバペンチンプロドラッグ及びトラマドール層を以下のように調製する。第1に、6.94グラムのガバペンチンプロドラッグ、2.36グラムのトラマドールHCl、0.50gの、5,000,000の分子量のポリエチレンオキシド、0.10gの、約38,000の分子量をもつポリビニルピロリドンを、従来のブレンダー中で20分間乾燥混合すると均一なブレンドを生成する。次に、変性無水エタノールを5分間連続的に混合しながらブレンドに緩徐に添加する。混合された湿った組成物を16メッシュのスクリーンに通し、室温で1晩乾燥する。次に乾燥顆粒を16メッシュのスクリーンに通し、0.10gのステアリン酸マグネシウムを添加し、すべての乾燥成分を5分間乾燥混合する。組成物は69.4重量%のガバペンチンアセトキシエチルカルバメート、23.6重量%のトラマドールHCl、5.0重量%の5,000,000の分子量をもつポリエチレンオキシド、1.0重量%の、約35,000〜40,000の分子量をもつポリビニルピロリドン及び1.0重量%のステアリン酸マグネシウムからなる。
【0220】
オスモポリマーヒドロゲル組成物からなる押し出し層を以下のように調製する。第1に637.70gの、7,000,000の分子量を含んでなる製薬学的に許容できるポリエチレンオキシド、300gの塩化ナトリウム及び10gの酸化第二鉄を別々に、40メッシュスクリーンを通す。ふるった成分を9,200の分子量をもつ50gのヒドロキシプロピルメチルセルロースと混合すると均一なブレンドを生成する。次に150mLの変性無水アルコールを5分間連続的に混合しながらブレンドに緩徐に添加する。次に0.80gのブチル化ヒドロキシトルエンを添加し、更に混合する。新鮮に調製された顆粒を20メッシュのスクリーンに通し、室温で(外気温)20時間乾燥させる。乾燥成分を20メッシュのスクリーンに通し、2.50gのステアリン酸マグネシウムを添加し、すべての成分を5分間混合する。最終組成物は63.67重量%のポリエチレンオキシド、30.00重量%の塩化ナトリウム、1.00重量%の酸化第2鉄、5.00重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、0.08重量%のブチル化ヒドロキシトルエン及び0.25重量%のステアリン酸マグネシウムからなる。
【0221】
2層剤形は以下のように調製される。第1に、634mgの薬剤層組成物をパンチ及びダイセットに添加して、突き固める。次に317mgのヒドロゲル組成物を添加し、2層を9/32インチ(0.714cm)直径のパンチダイセット中に1.0トン(1000kg)の圧縮力下で圧縮すると、密接な2層コア(錠剤)を形成する。
【0222】
80.0重量%の、39.8%のアセチル含量をもつ酢酸セルロース及び20.0%の、7680〜9510の分子量をもつポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーを含んでなる半透性の壁形成組成物を、80:20重量/重量組成物においてアセトンに成分を溶解して5.0%の固溶体を形成することにより調製する。この段階中、溶液容器を温水浴中に入れると、成分の溶解を促進する。壁形成組成物を2層コア上そして周囲に噴霧すると60〜80mgの厚さの半透性壁の厚さを提供する。
【0223】
次に40mil(1.02mm)の出口オリフィスを半透性壁の2層錠にレーザーで穴を開けると送達装置の外部と薬剤含有層の接触をもたらす。剤形を乾燥してあらゆる残留溶媒及び水分を除去する。
【0224】
実施例5に従って製剤される剤形の放出速度を900mLの人工腸液(AIF、pH=6.8)中でDistek 5100(USP装置2パドルテスター)上で試験する。溶解媒質の温度は37℃に維持され、パドル速度は100rpmであった。ガバペンチン及
びトラマドールHClの濃度はHPLCで測定される。2種の系を試験する。
【図面の簡単な説明】
【0225】
以下の図面は実測に描かれておらず、本発明の種々の態様を具体的に示すために示されている。
【図1】液体の浸透性剤形の図を示す。
【図2】液体の浸透性剤形の図を示す。
【図3】浸透性剤形の図を示す。
【図4】基本的浸透性ポンプの剤形の図を示す。
【図5A−5C】制御放出剤形の図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形であり、そしてここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、
経口制御送達投与構造物は、患者に経口剤形の1回投与後に、ガバペンチンCmaxが起る時点後少なくとも約15時間の期間の範囲を通して、ガバペンチンCmaxの少なくとも約25パーセントであるガバペンチン血漿薬剤濃度を維持するのに有効な速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、
経口剤形。
【請求項2】
トラマドールがトラマドールHClを含んでなる、請求項1の経口剤形。
【請求項3】
ガバペンチンを含んでなる物質が、ガバペンチン及びアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる、請求項1の経口剤形。
【請求項4】
範囲が、ガバペンチンのCmaxが起る時点後の少なくとも約18時間の期間である、請求項1の経口剤形。
【請求項5】
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比が約0.80:1〜約5.5:1の範囲にある、請求項1の経口剤形。
【請求項6】
経口剤形が浸透性経口剤形を含んでなる、請求項1の経口剤形。
【請求項7】
トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる、経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形であり、ここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は、約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、
制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は、制御送達剤形中に存在する、ガバペンチンを含んでなる物質の総重量に基づく)の送達用量パターンで、制御送達投与構造物により含有されるガバペンチンを含んでなる物質を、制御して送達するようになっている、
経口剤形。
【請求項8】
トラマドールがトラマドールHClを含んでなる、請求項7の経口剤形。
【請求項9】
ガバペンチンを含んでなる物質が、ガバペンチン及びアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる、請求項7の経口剤形。
【請求項10】
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比が約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にある、請求項7の経口剤形。
【請求項11】
経口剤形が浸透性経口剤形を含んでなる、請求項7の経口剤形。
【請求項12】
トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる、経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形であり、ここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、
制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は、制御送達剤形中に存在するトラマドールの総重量に基づく)の送達用量パターンで、制御送達投与構造物により含有されるトラマドールを含んでなる物質の一部を制御して送達するようになっている、
経口剤形。
【請求項13】
トラマドールがトラマドールHClを含んでなる、請求項12の経口剤形。
【請求項14】
ガバペンチンを含んでなる物質が、ガバペンチン及びアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる、請求項12の経口剤形。
【請求項15】
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比が約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にある、請求項12の経口剤形。
【請求項16】
経口剤形が浸透性経口剤形を含んでなる、請求項12の経口剤形。
【請求項17】
(i)ガバペンチンを含んでなる物質及び
(ii)トラマドール、
を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物を含んでなる、経口制御送達剤形であって、ここで
経口制御送達投与構造物は以下の関係:
Rate0−3=(1/F)Rate3−10
[ここでRate0−3は剤形の投与直後約3時間の平均放出速度を表し、R3−10は経口剤形の投与直後の約3時間後から経口剤形の投与直後の約10時間後までの期間の平均放出速度を表し、そしてF=X/Yであり、ここでX=ガバペンチンの結腸の生体利用能、そしてY=ガバペンチンの上部胃腸管の生体利用能である]
を満たす放出速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、経口制御送達剤形。
【請求項18】
トラマドールがトラマドールHClを含んでなる、請求項17の経口剤形。
【請求項19】
ガバペンチンを含んでなる物質が、ガバペンチン及びアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる、請求項17の経口剤形。
【請求項20】
(1)トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形を提供する方法、そしてここで、
経口剤形中に存在するトラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は、約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、
経口剤形中に存在するトラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、
経口制御送達投与構造物は、患者に経口剤形の1回投与後に、ガバペンチンCmaxが起る時点後少なくとも約15時間の期間の範囲を通してガバペンチンCmaxの少なくとも約25パーセントであるガバペンチン血漿薬剤濃度を維持するのに有効な速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、及び
(2)患者に経口剤形を投与する方法、
を含んでなる方法。
【請求項21】
トラマドールがトラマドールHClを含んでなる、請求項20の方法。
【請求項22】
ガバペンチンを含んでなる物質が、ガバペンチン及びアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる、請求項20の方法。
【請求項23】
範囲が、ガバペンチンCmaxが起る時点後少なくとも約18時間の期間を有する、請求項20の方法。
【請求項24】
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比が約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にある、請求項20の方法。
【請求項25】
経口剤形が浸透性経口剤形を含んでなる、請求項20の方法。
【請求項26】
(1)トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:を含んでなる経口剤形、を提供する方法、ここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、
制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在するガバペンチンを含んでなる物質の総重量に基づく)の送達用量パターンで、制御送達投与構造物により含有される、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、及び
(2)患者に経口剤形を投与する方法、
を含んでなる方法。
【請求項27】
トラマドールがトラマドールHClを含んでなる、請求項26の方法。
【請求項28】
ガバペンチンを含んでなる物質が、ガバペンチン及びアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる、請求項26の方法。
【請求項29】
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比が約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にある、請求項26の方法。
【請求項30】
経口剤形が浸透性経口剤形を含んでなる、請求項26の方法。
【請求項31】
(1)トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:
を含んでなる経口剤形を提供する方法、ここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比は約0.75:
1〜約6.5:1の範囲にあり、そしてここで、
経口剤形中に存在する、トラマドール及び、ガバペンチンを含んでなる物質、の総重量は約1500ミリグラム未満であり、そしてここで、
制御送達投与構造物は、約0〜約4時間に約0重量%〜約20重量%、約0〜約8時間に約20重量%〜約50重量%、約0〜約14時間に約55重量%〜約85重量%そして約0〜約24時間に約80重量%〜約100重量%(ここで重量%は制御送達剤形中に存在するトラマドールの総重量に基づく)の送達用量パターンで、制御送達投与構造物により含有される、トラマドールを含んでなる物質の一部を制御して送達するようになっている、及び
(2)患者に経口剤形を投与する方法、
を含んでなる方法。
【請求項32】
トラマドールがトラマドールHClを含んでなる、請求項31の方法。
【請求項33】
ガバペンチンを含んでなる物質がガバペンチン及びアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる、請求項31の方法。
【請求項34】
経口剤形中に存在する、トラマドール当量対ガバペンチン当量の重量比が約0.80:1〜約5.5:1の範囲内にある、請求項31の方法。
【請求項35】
経口剤形が浸透性経口剤形を含んでなる、請求項31の方法。
【請求項36】
(1)(i)ガバペンチンを含んでなる物質及び
(ii)トラマドール、
を制御して送達する構造物を含んでなる経口制御送達投与構造物:
を含んでなる経口制御送達剤形を提供する方法、ここで
経口制御送達投与構造物は以下の関係:
Rate0−3=(1/F)Rate3−10
[ここでRate0−3は投与形態の投与直後約3時間の平均放出速度を表し、R3−10は経口剤形の投与直後の約3時間後から経口剤形の投与直後の約10時間後までの期間の平均放出速度を表し、そしてF=X/Yであり、ここでX=ガバペンチンの結腸の生物利用能、そしてY=ガバペンチンの上部胃腸管の生物利用能である]
を満たす放出速度で、ガバペンチンを含んでなる物質を制御して送達するようになっている、及び
(2)患者に該剤形を投与する方法:
を含んでなる方法。
【請求項37】
トラマドールがトラマドールHClを含んでなる、請求項36の方法。
【請求項38】
ガバペンチンを含んでなる物質が、ガバペンチン及びアルキルスルフェート塩を含んでなる複合体を含んでなる、請求項36の方法。
【請求項39】
(i)ガバペンチン及び(ii)運搬部分を含んでなる複合体を含んでなる物質、並びにトラマドールを含んでなる製薬学的組成物。
【請求項40】
運搬部分がアルキルスルフェート塩を含んでなる、請求項39の製薬学的組成物。
【請求項41】
アルキルスルフェート塩がナトリウムラウリルスルフェートを含んでなる、請求項40の製薬学的組成物。
【請求項42】
物質がガバペンチンプロドラッグを含んでなる物質を除外することを条件とし、そこでガバペンチンプロドラッグはガバペンチンに比較してガバペンチンプロドラッグの結腸の吸収を高める化学構造物を含んでなる、請求項39の製薬学的組成物。
【請求項43】
請求項39の製薬学的組成物を含んでなる経口剤形。
【請求項44】
経口剤形が経口制御送達剤形を含んでなる、請求項43の経口剤形。
【請求項45】
経口剤形が浸透性経口制御送達剤形を含んでなる、請求項44の経口剤形。
【請求項46】
浸透性経口制御送達剤形が固形の浸透性経口制御送達剤形を含んでなる、請求項45の経口剤形。
【請求項47】
浸透性経口制御送達剤形が液体の浸透性経口制御送達剤形を含んでなる、請求項45の経口剤形。
【請求項48】
(1)(i)ガバペンチン及び(ii)運搬部分を含んでなる複合体を含んでなる物質、並びにトラマドールを含んでなる製薬学的組成物を提供し、そして
(2)患者に製薬学的組成物を投与する方法、
を含んでなる方法。
【請求項49】
運搬部分がアルキルスルフェート塩を含んでなる、請求項48の方法。
【請求項50】
アルキルスルフェート塩がナトリウムラウリルスルフェートを含んでなる、請求項48の方法。
【請求項51】
物質がガバペンチンプロドラッグを含んでなる物質を除外することを条件とし、そこでガバペンチンプロドラッグはガバペンチンに比較してガバペンチンプロドラッグの結腸の吸収を高める化学構造物を含んでなる、請求項48の製薬学的組成物。
【請求項52】
(1)請求項43の経口剤形を提供し、そして
(2)患者に経口剤形を投与する方法、
を含んでなる方法。
【請求項53】
経口剤形が経口制御送達剤形を含んでなる、請求項52の方法。
【請求項54】
経口剤形が浸透性経口制御送達剤形を含んでなる、請求項53の方法。
【請求項55】
浸透性経口制御送達剤形が固形の浸透性経口制御送達剤形を含んでなる、請求項54の方法。
【請求項56】
浸透性経口制御送達剤形が液体の浸透性経口制御送達剤形を含んでなる、請求項54の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2008−536928(P2008−536928A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507765(P2008−507765)
【出願日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/014314
【国際公開番号】WO2006/113568
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】