説明

ドア体

【課題】金属製板材からなる表裏一対の第一、第二面板を用いて構成されるドア体を、優れた強度、意匠性を備えたドア体とする。
【解決手段】ドア体6の屋内側ドア面6eを構成する第一見付け片部7aが形成される第一面板7の戸先側部位に、第一見付け片部7aの戸先側端縁から戸尻側に折返される戸先側第一折返し片部7bと、戸先側第一折返し片部7bの先端縁から第二面板8側に折曲して第二面板8に至る戸先側第一見込み片部7cとを形成し、ドア体6の屋外側ドア面6fを構成する第二見付け片部8aが形成される第二面板8の戸先側部位に、第二見付け片部8aの戸先側端縁から第一面板7側に折曲して戸先側第一折返し片部7bに至り、戸先側第一見込み片部7cより戸先側に位置してドア体6の戸先側端面6cを構成する戸先側第二見込み片部8bを形成する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスビルや工場等の建築物の出入り口部に設けられるドア体の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、オフィスビルや工場等の建築物では、出入り口部に、金属製板材からなる表裏一対の面板と、これら面板間に介装されるコア材とを用いて構成される鋼製のドア体を設けることがあり、このような鋼製のドア体は、従来、強度や寸法精度を高めるべく、表裏の面板間にC型チャンネルからなるフレーム材を介装している。しかしながら、近年、鋼製のドア体においても、軽量化、低コスト化が求められており、ドア体に内装されるフレーム材を省略することが提唱されている。このようにフレームレスのドア体としては、ドア体の表裏のドア面を構成する表裏面板の四周に、互いに対向する側に向けて折曲してドア厚方向の端面(見込み面)を構成する折曲片部を形成し、これら表裏面板の折曲片部のうち、戸先側および戸尻側の折曲片部の先端縁に、それぞれドア体の内方に突出するフランジ片部を形成し、従来フレーム材に固定される複数のドア体用部品のための金属製ライナーを、一方の面板に形成されたフランジ片部に取付けるとともに、各面板のフランジ片部同士を突当てる状態で両面板を一体化する構成として、フレーム材を省略した分、ドア体の軽量化、低コスト化を図れるものでありながら、各種ライナーの組込みが容易になるようにしたものが提唱されている(特許文献1)。しかしながら、前記特許文献1のものは、フレーム材を省略したことに対するドア体の補強構成は実施されておらず、高い強度が要求されるような設置場所には設置し難いという問題がある。
これに対し、フレームレスのドア体の強度を確保する手段の一つとして、表裏面板の四周に折曲片を形成することが考えられ、このようなフレームレスのドア体としては、一方の面板の戸先側、戸尻側の各端面のドア幅方向(見付け方向)内側に、繰返し折曲することにより構成される挿入片をそれぞれ形成し、他方の面板の戸先側、戸尻側の各端面のドア幅方向(見付け方向)内側に、繰返し折曲することにより構成される挟着溝をそれぞれ形成し、各挿入片を挟着溝に押し込むことにより表裏面板を抜止め状に一体化するようにしたものが提唱されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−227542号公報
【特許文献2】特開2010−1623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前記特許文献2のドア体は、挿入片を挟着溝に押し込む構成であって、しかも、挿入片と挟着溝とはドア体の戸先側と戸尻側との上下方向全域にわたって形成される構成となっている。このため、面積の大きい表裏面板同士を挿入片を嵌着溝に押し込んで一体化する作業が難しいという問題があるばかりでなく、繰返し折曲して形成される挿入片と挟着溝とに寸法誤差が生じると、挿入片を嵌着溝に対して所定の押し込み量で押し込むことができない惧れがあり、このようになると、ドア厚の寸法精度を確保することができずドア厚の異なる箇所が発生してドア面に撓みが生じる等、意匠性に劣るという問題がある。そのうえ、このものでは、挟着溝がドア厚方向中間部に至るように形成され、挟着溝の溝底部と他方の見付け片部との間に空隙部が形成されており、該空隙部にはコア材が介装されるのみの構成となっているため、ドア厚方向の強度を充分に確保できないという問題もある。このため、フレームレスのドア体でありながら、組込み作業が容易なうえ、意匠性に優れ、しかも、強度が確保されたドア体が強く望まれ、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、金属製板材からなる表裏一対の第一、第二面板を折曲して、ドア体の表裏のドア面を構成する第一、第二見付け片部と、ドア体のドア厚となる端面を構成する第一、第二見込み片部とを形成し、これら第一、第二面板を用いてドア体を構成するにあたり、第一面板の戸先側の第一見込み片部を、第一見付け片部の戸先側端縁から戸尻側に折返される第一折返し片部の先端縁から第二見付け片部に至るように折曲形成する一方、第二面板の戸先側の第二見込み片部を、第二見付け片部の戸先側端縁から第一折返し片部に至るように折曲形成して第一見込み片部の戸先側に位置させて、ドア体の戸先側部位をフレームレスとしたことを特徴とするドア体である。
請求項2の発明において、第一折返し片部は、第一見付け片部に当接状に折返され、第一折返し片部の先端縁から第一見付け片部に対して直交状に折曲して第一見込み片部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のドア体である。
請求項3の発明において、第一面板は、第一見込み片部の先端縁に第二見付け片部に当接する第一当接片部が形成される一方、第二面板は、第二見込み片部の先端縁に第一折返し片部に当接する第二当接片部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のドア体である。
請求項4の発明において、第一、第二当接片部は、先端縁に第一、第二見付け片部側に折曲する第一、第二フランジ片部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のドア体である。
請求項5の発明において、第一当接片部は、第一見付け片部の先端縁を戸先側に折曲して形成され、第二当接片部は、第二見付け片部の先端縁を戸尻側に折曲して形成され、これら第一、第二当接片部の先端縁に形成される第一、第二フランジ片部は、第二フランジ片部が第一フランジ片部より戸尻側に位置していることを特徴とする請求項4に記載のドア体である。
請求項6の発明において、第一折返し片部は、第一見付け片部と第一折返し片部との間となる折返し部に空間部を形成したことを特徴とする請求項2に記載のドア体である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、戸先側部位をフレームレスとしたものでありながら強度の優れたドア体とすることができる。
請求項2の発明とすることにより、ドア体のドア厚方向の寸法を精度よく設定することができる。
請求項3の発明とすることにより、一層優れた強度を備えたドア体を提供できる。
請求項4の発明とすることにより、第一、第二当接片部を平滑性よく形成することができて、ドア体の強度をさらに高めることができる。
請求項5の発明とすることにより、火災時等に第一、第二面板同士が分離してしまうのを防止できる。
請求項6の発明とすることにより、折返し片部の折返し部の表面加工が保護されて、意匠性のよいドア体とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1(A)、(B)はそれぞれドア体のドア枠への取付け状態における正面図、背面図である。
【図2】図2(A)は図1(A)におけるX−X断面図、図2(B)はドア体の上側部位における拡大断面図である。
【図3】図3(A)は図1(A)におけるY−Y断面図、図3(B)はドア体の戸先側部位における拡大断面図、図3(C)はドア体の戸尻側部位における拡大断面図である。
【図4】図4(A)、(B)、(C)、(D)、(E)はそれぞれドア体の平面図、左側面図、正面図、右側面図、底面図である。
【図5】図5(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ第一ボックス体の平面図、左側面図、正面図、右側面図である。
【図6】第一ボックス体の斜視図である。
【図7】図7(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ第二ボックス体の平面図、左側面図、正面図、右側面図である。
【図8】第一、第二ボックス体の組込み手順を説明する平面断面図である。
【図9】図9(A)、(B)、(C)はそれぞれ施錠装置用ライナーの取付け状態を説明する平面断面図、側面図、正面図である。
【図10】図10(A)、(B)、(C)はそれぞれ第二、第三、第四の実施の形態を説明する一部を切欠いた平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の第一の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は建築物の出入り口部(開口部)の四周に設けられるドア枠であって、該ドア枠1は、上下、左右(戸先側、戸尻側)の各枠材2、3、4、5を四角形状に一体的に枠組みすることにより形成されている。これら各枠材2、3、4、5は金属製板材を折曲して形成されており、開口部側に位置する側片部には、屋外側部位が左右方向外側に向けて退避するよう段差状に折曲され、屋外側を向く戸当たり片部2a、3a、4a、5aと、ドア枠1に支持される本発明が実施されたドア体6の全閉姿勢において、ドア体6の上下、戸先側、戸尻側の各端面6a、6b、6c、6dにそれぞれ対向するドア体対向片部2b、3b、4b、5bとが形成されている。
【0009】
前記ドア体6は金属製板材、好ましくは鋼製であって、本実施の形態では鋼板からなる屋内外一対(表裏一対)の第一、第二面板7、8と、これら第一、第二面板7、8の間に介装されるコア材9とを備えて構成されており、後述するように、第一、第二面板7、8の四周を適宜折曲して一体化することにより、戸先側端部だけでなく、四周のフレーム材、縦または横方向のフレーム材等、一切のフレーム材が省略されたフレームレスのドア体6に構成されている。
そして、本実施の形態のドア体6は、戸尻側となる図1(A)の図面向かって右側の端縁部の上下方向二箇所と、右枠材5のドア体対向片部5bの上下方向二箇所との間に設けられた丁番10(旗丁番)を介して右枠材5に揺動自在に支持され、これら丁番10を揺動支点として屋外側において開閉揺動する外開き式に構成されている。
【0010】
前記ドア体6を構成する第一、第二面板7、8は、ドア体6の屋内外の見付け面(屋内側ドア面、屋外側ドア面)6e、6fを構成する四角形状の第一、第二見付け片部7a、8aと、これら第一、第二見付け片部7a、8aの四周先端縁からそれぞれ上下、左右に延出する余長部とを備えた形状に予め裁断されており、前記各方向に延出する余長部をそれぞれ折曲加工することにより、入れ子状の箱型形状となった第一、第二ボックス体7B、8Bを形成するように構成されている。そして、屋内側のドア面6eを構成する第一ボックス体7Bに対し、屋外側のドア面6fを構成する第二ボックス体8Bを外嵌させて一体化することによりドア体6が形成されるように構成されている。
尚、第一、第二面板7、8は、必ずしも第一面板を屋内側、第二面板を屋外側の面板として用いる必要はなく、その逆の構成として用いることも可能であり、要は、一方の面板により構成されるボックス体が他方の面板により構成されるボックス体に外嵌することでドア体を形成する構成であれば、ドア体の表裏方向については何れの方向であってもよい。
【0011】
前記第一面板7において、図5に示すように、第一見付け片部7aの戸先側の先端縁(左側端縁)に形成される余長部には、第一見付け片部7aの先端縁から戸尻側に向けて折返し状に折曲形成された戸先側第一折返し片部7bが形成されており、該戸先側第一折返し片部7bの先端縁に、第二見付け片部8a側(屋外側)に向けて折曲された戸先側第一見込み片部7cが形成されている。
ここで、前記戸先側第一折返し片部7bは、先端側部位(戸尻側部位)が第一見付け片部7aの屋外側面(内側面)に当接するよう、戸先側第一折返し片部7bを第一見付け片部7aに押し付ける(押し潰す)状態で折返されるが、ヘアピン状に折曲形成することにより、第一見付け片部7aと戸先側第一折返し片部7bとの間であって、ドア体6の戸先側端面6cとして外部に露出する折返し部7dが完全に押し潰されることなく空間部Sが形成されている。これによって、化粧鋼板等の表面加工が施された面板の折返し部を押し潰すように折曲することにより発生する白化現象が防止されて、ドア体戸先側端面6cとして外部に露出する折返し部7dの外面における表面加工を保護することができて、意匠性の向上が図れるように構成されている。
【0012】
前記戸先側第一折返し片部7bは、前述したように、先端縁側が第一見付け片部7aに押し付けられるように折曲されている。そして、戸先側第一折返し片部7bの先端縁に折曲形成される戸先側第一見込み片部7cは、戸先側第一折返し片部7bの先端縁部および第一見付け片部7aに対して直交状、即ち、90度の角度を存して折曲形成されている。これによって、戸先側第一見込み片部7cは、ドア体6の戸先側端面6cよりも戸先側第一折返し片部7bの長さに相当する分だけ戸尻側に位置するとともに、戸先側端面6cに対して平行となる位置関係となるように構成されている。このとき、戸先側第一見込み片部7cは、先端縁が第二見付け片部8aに当接する長さに寸法設定することになるが、第一見付け片部7aに当接状に押し付けられた戸先側第一折返し片部7bの先端縁から90度の角度を存して折曲することにより、見込み方向の長さ寸法を精度よく設定された状態で形成できるように構成されている。
さらに、戸先側の余長部には、戸先側第一見込み片部7cの先端縁から戸先側に向けて折曲され、第二面板8の第二見付け片部8aに当接する戸先側第一当接片部7eが形成されている。また、戸先側第一当接片部7eの先端縁には第一見付け片部7a側(第一面板7側、第一折返し片部7b側、屋内側)に向けて折曲された戸先側第一フランジ片部7fが形成されている。
【0013】
また、第一見付け片部7aの戸尻側の先端縁(右側端縁)に形成される余長部を折曲することにより、第一見付け片部7aの先端縁から戸先側に向けて折曲された戸尻側第一折返し片部7gと、該戸尻側第一折返し片部7gの先端縁から第二見付け片部8a側(第二面板8側、屋外側)に向けて折曲された戸尻側第一見込み片部7hとが形成されている。ここで、前記戸尻側第一折返し片部7gは、第一見付け片部7aに対して鋭角を存して折曲することにより、先端縁が第一見付け片部7aの戸尻側端部より戸先側に偏寄しており、戸尻側第一折返し片7gとともにドア体6の戸尻部のドア厚を設定する戸尻側第一見込み片部7hは、第一見付け片部7aの戸尻側端部より戸先側に偏寄するように構成されている。そして、戸尻側第一折返し片部7gは、第一見付け片部7aの戸尻側部位とともに、戸尻側第一見込み片部7hよりも戸尻側に突出する突起部7iを形成するように構成されている。
さらに、戸尻側の余長部には、戸尻側第一見込み片部7hの先端縁から戸先側に向けて折曲され、第二面板8の第二見付け片部8aに当接する戸尻側第一当接片部7jが形成されている。また、戸尻側第一当接片部7jの先端縁には第一見付け片部7a側(第一面板7側、屋内側)に向けて折曲された戸尻側第一フランジ片部7kが形成されている。
【0014】
そして、第一見付け片部7aの上下の先端縁に形成される余長部を折曲することにより、第一見付け片部7aの先端縁から第二見付け片部8a側(第二面板8側、屋外側)に向けて折曲された上下側第一見込み片部7m、7nが形成されている。さらに、上下の余長部には、これら上下側第一見込み片部7m、7nの各先端縁から下側、上側に向けてそれぞれ折曲され、第二面板8の第二見付け片部8aにそれぞれ当接する上下側第一当接片部7p、7qが形成されている。また、上下側第一当接片部7p、7qの先端縁にはそれぞれ第一見付け片部7a側(第一面板7側、屋内側)に向けて折曲された上下側第一フランジ片部7r、7sが形成されている。
【0015】
このように、第一面板7の四周に形成された余長部を折曲することにより、屋外側(第二面板8側)が開口する第一ボックス体7Bが形成されるが、第一ボックス体7Bは、図6に示すように、戸先側、戸尻側、上下側の各第一見込み片部7c、7h、7m、7nの各先端縁に、それぞれ戸先側、戸尻側、上下側の各第一当接片部7e、7j、7p、7qが形成されたものとなっており、これら各第一当接片部7e、7j、7p、7qは、それぞれ第二面板8の第二見付け片部8aに平行となるように形成されており、第二見付け片部8aの四周に突当てられて面接触する状態で第二見付け片部8aの四周に突当て状に当接するように構成されている。
このとき、各第一当接片部7e、7j、7p、7qの先端縁には、それぞれ戸先側、戸尻側、上下側の各第一フランジ片部7f、7k、7r、7sが形成されている。これによって、各第一当接片部7e、7j、7p、7qは、湾曲状に波打つように変形することがなく、平滑精度の高い均一な平板状体として折曲加工され、各第一当接片部7e、7j、7p、7q全域が第二見付け片部8aに確実に当接させることができるように構成されている。
【0016】
一方、第二面板8において、図7に示すように、第二見付け片部8aは第一見付け片部7aと略同様の左右幅(見付け幅)と、第一見付け片部7aよりも僅かに長い上下長さを有して形成されており、第二見付け片部8aの戸先側の先端縁(左側端縁)に形成される余長部を折曲することにより、第二見付け片部8aの先端縁から第一見付け片部7a側(第一面板7側、戸先側第一折返し片7bの折返し部7d側、屋内側)に向けて折曲された戸先側第二見込み片部8bと、戸先側第二見込み片部8bの先端縁から戸尻側に向けて折曲され、第一面板7の戸先側第一折返し片7bに当接する戸先側第二当接片部8cとが形成されている。また、戸先側第二当接片部8cの先端縁には第二見付け片部8a側(第二面板8側、屋外側)に向けて折曲された戸先側第二フランジ片部8dが形成されている。
このとき、戸先側第二見込み片部8bは、後述する第一、第二ボックス体7B、8Bの組込み状態において、戸先側第一折返し片部7bの折返し部7dとともにドア体6の戸先側端面6cを構成している。また、戸先側第二当接片部8cは戸先側第一見込み片部7cに近接する部位にまで延出して形成されており、戸先側第二当接片部8cと戸先側第一当接片部7eとがドア厚方向(見込方向)に対向するように構成されている。これによって、戸先側第二当接片部8cの先端縁に形成される戸先側第二フランジ片部8dは、戸先側第一フランジ片部7fに対してドア幅方向に位置ズレして、戸先側第一フランジ片部7fよりも戸尻側に形成されて、戸先側第一見込み片部7cに近接するように構成されているとともに、戸先側第二フランジ片部8dの先端縁と戸先側第一フランジ片部7fの先端縁とは、ドア厚方向において所定の間隙を存するように構成されている。
【0017】
また、第二見付け片部8aの戸尻側の先端縁(右側端縁)に形成される余長部を折曲することにより、第二見付け片部8aの先端縁から第一見付け片部7a側(第一面板7側、屋内側)に向けて折曲された戸尻側第二見込み片部8eと、該戸尻側第二見込み片部8eの内側面(戸先側面)に当接するよう押し潰し状に折返される戸尻側補強片部8fとが形成されている。
このとき、戸尻側第二見込み片部8eの長さは、ドア体6のドア厚よりも僅かに短い長さに設定されており、戸尻側第二見込み片部8eの先端縁部(屋内側端部)は、第一見付け片部7aの戸尻側先端縁に形成される戸尻側第一折返し片7gの傾斜面に当接し、戸尻側第一折返し片7gとともにドア体6の戸尻側端面6dを構成するように設定されている。
【0018】
さらに、第二見付け片部8aの上下の先端縁に形成される余長部を折曲することにより、第二見付け片部8aの先端縁から第一見付け片部7a側(第一面板7側、屋内側)に向けて折曲された上下側第二見込み片部8g、8hと、これら上下側第二見込み片部8g、8hの内側面(下側面、上側面)にそれぞれ当接する状態で折返される上下側補強片部8i、8jとが形成されており、前記上下側第二見込み片部8g、8hは、上下側第一見込み片部7m、7nとともにドア体6の上下側端面6a、6bを構成するように設定されている。
【0019】
このように、第二面板8の四周に形成された余長部を折曲することにより、屋内側(第一面板7側)が開口する第二ボックス体8Bが形成されるが、第二ボックス体8Bは、ドア体6の戸先側端面6cとなる戸先側見込み片部8bを除く、ドア体6の戸尻側端面6d、上下側端面6a、6bとなる戸尻側、上下側の各第二見込み片部8e、8g、8hの内側面に、戸尻側、上下側の各補強片部8f、8i、8jが当接状に折曲形成されており、これによって、戸尻側、上下側の各第二見込み片部8e、8g、8hが補強されるように構成されている。
【0020】
そうして、第一ボックス体7Bに対して第二ボックス体8Bを外嵌するにあたり、第二ボックス体8Bは、前述したように、第二見付け片部8aの左右方向長さ(左右幅)は第一見付け片部7aと略同様の長さに設定されるのに対し、上下方向長さは第一見付け片部7aに第二面板8の板厚四枚分と遊びを加えた長さに設定されている。さらに、第一、第二ボックス体7B、8Bの戸先側部位には、ドア厚方向に対向する戸先側第一、第二当接片部7e、8cと、これら当接片部7e、8cの先端縁から互いに近接する方向に向けて延出する戸先側第一、第二フランジ片部7f、8dとが形成されている。
このため、第一、第二ボックス体7B、8B同士は、開口部側同士を直交方向に対向させた状態から突合せるようにして第二ボックス体8Bを第一ボックス体7Bに対して外嵌させようとしても、第一ボックス体7Bの戸先側第一当接片部7eと戸先側第一フランジ片部7fとが邪魔になって、外嵌させることはできない。そこで、本実施の形態では、第一、第二ボックス体7B、8B同士をつぎのような手順で組込むことで、簡単、かつ、容易に組込むことができるように構成されている。
【0021】
つまり、図8に示すように、第一ボックス体7Bを開口部が上方を向く状態で作業台上に載置し、該第一ボックス体7Bに対し、第二ボックス体8Bを開口部が下方を向く状態で対向せしめ、第一ボックス体7Bの上下側第一見込み片部7m、7nの外側に、第二ボックス体8Bの上下側補強片部8i、8jにより補強された上下側第二見込み片部8g、8hを外嵌させる状態とするとともに、第一ボックス体7Bの戸先側第一折返し片部7bの折返し部7d近傍に、第二ボックス体8Bの戸先側第二当接片部8cを突当てて第二ボックス体8Bの戸尻側部位が上方に位置する傾斜姿勢とする。この状態から、前記戸先側第一折返し片部7bと戸先側第二当接片部8cとの突当て部を支点として、第二ボックス体8Bの戸尻側部位を下方揺動させる。このとき、戸先側第一、第二フランジ片部7f、8d同士は、戸先側第二フランジ片部8dの先端縁と戸先側第一フランジ片部7fの先端縁とがドア厚方向において所定の間隙を存する長さに寸法設定されていて、戸先側第二フランジ片部8dが戸先側第一フランジ片部7fに当接してしまうような不具合はない。
そして、第二ボックス体8Bの戸尻側第二見込み片部8eの屋内側端部(戸尻側第二補強片部8fの折返し部)が第一ボックス体7Bの戸尻側第一当接面7jに突当たった状態において、第二ボックス体8B全体を僅かに上方に浮かしつつ戸尻側に変位させて、第二ボックス体8Bの戸先側第二フランジ片部8dを第一ボックス体7Bの戸先側第一見込み片部7cに近付けるとともに、第二ボックス体8Bの戸尻側第二補強片部8fにより補強された戸尻側第二見込み片部8eを、第一ボックス体7Bの戸尻側第一見込み片部7hの外面に沿って外嵌させるよう位置させる状態とする。この状態において、第二ボックス体8Bへの支持を解除する(手を離す)ことで、第二ボックス体8Bが自重で下方変位して、各第二見込み片部8b、8e、8g、8hが各第一見込み片部7c、7h、7m、7nに外嵌する第二ボックス体8Bの第一ボックス体7Bへの外嵌組込みが完了してドア体6が形成されるように構成されている。
【0022】
前記第一、第二ボックス体7B、8Bの組込み状態において、第一ボックス体7Bの四周に形成される戸先側、戸尻側、上下側の各第一当接片部7e、7j、7p、7qは第二ボックス体8Bの第二見付け片部8aの四周に当接するが、前述したように、各第一当接片部7e、7j、7p、7qは各第一フランジ片部7f、7k、7r、7sをそれぞれ形成することにより平滑性よく形成されていて、第二見付け片部8aに対して均一な状態で当接するように構成されており、これによって、各第一当接片部7e、7j、7p、7qがフレーム材のように機能してドア体6全体の補強がなされている。
【0023】
また、ドア体6の戸先側部位においては、戸先側第二見込み片部8bが折返し部7dに突当たるとともに、戸先側第二フランジ片部8dが戸先側第一見込み片部7cに近接するように構成されていて、ドア体6の戸先側には、ドア幅方向に対向する戸先側第一、第二見込み片部7c、8bにより囲繞される中空部Hが形成されている。これによって、中空部Hを構成する戸先側第一見込み片部7c、戸先側第一、第二当接片部7e、8c、および、戸先側第一折返し片部7bがフレーム材のように機能して、ドア体6の戸先側部位における補強がなされている。
【0024】
さらに、ドア体6の戸先側部位においては、戸先側第一、第二当接片部7e、8cとがドア厚方向に対向して形成され、これら戸先側第一、第二当接片部7e、8cの先端縁に形成される戸先側第一、第二フランジ片部7f、8dとは、戸先側第二フランジ片部8dが戸先側第一フランジ片部7fよりも戸尻側に位置していて、ドア幅方向に位置ズレして設けられている。これによって、火災等において第一、第二ボックス体7B、8Bが互いに離間する方向に変位した場合に、戸先側第一、第二フランジ片部7f、8dが互いに係止して、第一、第二ボックス体7B、8B同士が連結された状態を保持できて、これらが剥がれてしまうような不具合を防止できるように構成されている。
【0025】
また、ドア体6の戸尻側部位においては、戸尻側第二見込み片部8eの屋内側端縁部が戸尻側第一折返し片7gの傾斜面に突当たるように構成されている。これによって、ドア体6の戸尻側部位を屋内側から目視したとき、屋外側から外嵌される第二ボックス体8Bの戸尻側第二見込み片部8eの屋内側端縁部が、戸尻側第一折返し片部7gと第一見付け片部7aとにより構成される突起部7iにより目隠しされるように構成されている。そして、本実施の形態のドア体6は外開きであって、丁番10により覆われることがなく、屋内側から目視される戸尻側部位において、突起部7iが戸尻側第二見込み片部8eの屋内側端縁部を覆うので意匠性に優れたドア体6となるように構成されている。
さらに、戸尻側第二見込み片部8eの屋内側端縁部は、戸尻側第一折返し片部7gの傾斜面の何れかの部位に突当てる構成とすることにより、ドア厚方向の寸法誤差を吸収できるように構成されている。
【0026】
さらに、前記第一、第二ボックス体7B、8Bの組込み状態において、第二ボックス体8Bの戸先側第二フランジ片部8dは第一ボックス体7Bの戸先側第一見込み片部7cに近接しているとともに、第二ボックス体8Bの戸尻側、上下側補強片8f、8i、8jにより補強された戸尻側、上下側見込み片部8e、8g、8hは、第一ボックス体7Bの戸尻側、上下側見込み片部7h、7m、7nに摺接(当接)する状態となっている。これによって、第一ボックス体7Bに外嵌する第二ボックス体8Bが、第一ボックス体7Bに対して上下およびドア幅方向にガタつくことがなく、第一、第二ボックス体7B、8B同士の位置決め手段を別途設けることなく、外嵌組込みをすることにより自動的に位置決めがなされた状態で組込まれるように構成されている。
【0027】
ところで、第一、第二ボックス体7B、8Bを外嵌組込みする前の段階において、作業台上に載置される第一ボックス体7Bには、コア材9の他に、丁番10取付け用の丁番用ライナー10a、施錠装置11取付け用の施錠装置用ライナー12、ドアクローザ装置13取付け用のドアクローザ用ライナー13a等、ドア体6に必要な部品取付け用のライナー等の部材が、予め接着等の一体化手段により固定されており、第一、第二面板7、8には、前記各部品取付け箇所には、必要に応じて貫通孔が予め開設されている。
前記丁番用ライナー10aは平板状の板材に、複数の取付け用螺子孔が開設して構成されており、図8に示すように、戸尻側第一見込み片部7h内側面の上下二箇所に設けられるが、丁番用ライナー10aの螺子孔と第一、第二ボックス体7B、8Bの戸尻側第一、第二見込み片部7h、8e、および、戸尻側補強片部8fにそれぞれ開設された貫通孔とを連通させる状態で固定されている。
そして、丁番10は戸尻側第二見込み片部8eに緊締されることになるが、戸尻側第二見込み片部8は突起部7iにより屋内側から目視できないよう、第一見付け片部7aの戸尻側端縁よりも戸先側に偏寄して組込まれているので、丁番10を戸先側に偏寄して固定することができ、第一見付け片7aと戸尻側の右枠材5との間に形成される空間が狭められて、ドア体6の開放時に戸尻側にできる隙間が小さくなるように構成されている。
【0028】
また、施錠装置用ライナー12は、図9に示すように、屋内外一対の面板12aと、これら面板12a同士の戸先側部位を連結する戸先側連結体12bとにより平面視コ字形に形成されている。前記屋内外の面板12a同士の戸尻側部位は複数の連結体12cにより一体化されており、戸先側連結体12bには開口12dが形成されており、該開口12dに、施錠装置を支持するための上下一対の取付け片12eが形成されている。そして、施錠装置用ライナー12は、戸先側連結体12bの開口12dに設けられた取付け片12eが、戸先側第一、第二見込み片部7c、8bに形成された開口7t、8kおよび、戸先側第二フランジ片部8dに形成された切欠き8mを介して外部に露出する状態として、第一見付け片部7aに固定されている。このように、施錠装置用ライナー12は第一見付け片部7aに直接固定する構成としたので、取付け片12eと各面板7、8の開口7s、8kおよび切欠き8mとの位置合わせが容易で、従来の施錠装置用ライナーをフレーム材を介してドア体内に固定するもののように、ドア体の表面材に形成される開口と、施錠装置用ライナーの取付け片との位置合わせが難しくなるような不具合がないように構成されている。
尚、ドアクローザ用ライナー13aは、本実施の形態では、第一ボックス体7Bの第一見付け片部7aの戸尻側上方部位に予め固定されている。
【0029】
このように、必要なライナー11、12、13a等が組込まれた状態において、第一ボックス体7Bの第一見付け片部7a内側面にホットメルトタイプの接着剤を塗布するとともに、コア材9を内装する。一方、第二ボックス体8Bの第二見付け片部8a内側面にホットメルトタイプの接着剤を塗布する。続いて、第一、第二ボックス体7B、8B同士を前述した手順に基づいて外嵌組込みしてドア体6の外形状を整え、該外嵌組込みされたドア体6を、ホットプレス装置に組込み、ドア体6の表裏方向両側面に対して加熱、加圧することにより、第一、第二見付け片部7a、8aが互いに対向する部材(コア材9、戸先側、戸尻側、上下側の各第一当接片部7e、7j、7p、7q等)に接着(一体化)された状態となり、このようにして、ドア体6が形成されるように構成されている。
さらに、ドア体6は、第一、第二ボックス体7B、8Bの上下の一体化部位であって、上側第一、第二見込み片部7m、8g同士、下側第一、第二見込み片部7n、8h同士については、ドア幅方向複数箇所においてリベット14による止着がなされており、これによって、ドア体6の一体化が一層強固になされるように構成されている。
【0030】
叙述の如く構成された本形態において、ドア体6は、第一、第二面板7、8とこれら第一、第二面板7、8間に介装されるコア材9とを用いて構成されるが、ドア体6の屋内側のドア面を構成する第一見付け片部7aが形成される第一面板7は、第一見付け片部7aの戸先側端縁から戸尻側に折返される戸先側第一折返し片部7bと、第一折返し片部7bの先端縁から第二面板8側に折曲して第二面板8に至る戸先側第一見込み片部7cが形成され、該戸先側第一見込み片部7cがドア体6の戸先側端面6cの内側に位置する第一ボックス体7Bに構成される。一方、ドア体6の屋外側のドア面を構成する第二見付け片部8aが形成される第二面板8は、第二見付け片部8aの戸先側端縁から第一面板7側に折曲して戸先側第一折返し片7bの折返し部7dに至る戸先側第二見込み片部8bが形成され、該戸先側第二見込み片部8bがドア体6の戸先側端面6cを構成する第二ボックス体8Bに構成される。そしてこのように構成された第一ボックス体7Bに第二ボックス体8Bを外嵌組込みしてドア体6としたとき、ドア体6の戸先側端部には、ドア幅方向に対向する戸先側第一、第二見込み片部7c、8bにより囲繞される中空部Hが形成されることになって、該中空部Hを構成する戸先側第一見込み片部7cや戸先側第一折返し片部7b等の、第一、第二面板7、8をそれぞれ折曲して形成された片部が、フレーム材のように機能してドア体6の戸先側部位が補強され、ドア体6の戸先側部位をフレームレスとしても強度の優れたドア体6とすることができる。
【0031】
このように、本発明が実施されたものにあっては、ドア体6の戸先側部位に中空部Hが形成されて強度の高いドア体を提供できるが、このものでは、中空部Hを形成するべく戸先側第一折返し片部7bを折返し形成するにあたり、戸先側第一折返し片部7bの先端側部位が第一見付け片部7aに当接状に折返され、該当接状に折返された戸先側第一折返し片部7bの先端縁に対し直交状に戸先側第一見込み片部7cを形成する構成としたので、戸先側第一見込み片部7cを高い寸法精度で折曲形成することができて、ドア体6のドア厚を精度よく形成することができる。
【0032】
また、このものにおいて、戸先側第一見込み片部7cの先端縁には第二見付け片部8aに当接する戸先側第一当接片部7eが形成される一方、戸先側第二見込み片部8bの先端縁には戸先側第一折返し片部7bに当接する戸先側第二当接片部8cが形成されているので、ドア体6の戸先側におけるドア厚方向の強度を一層高めることができる。
【0033】
そのうえ、これら戸先側第一、第二当接片部7e、8cは、先端縁に互いに近接する方向に突出する戸先側第一、第二フランジ片部7f、8dが形成されていて平滑精度が高められているため、第二見付け片部8a、戸先側第一折返し片部7bに対する当接状態を均一にすることができて、ドア厚方向におけるさらなる強度アップが図れる。
【0034】
さらに、戸先側第一当接片部7eは戸先側第一見込み片部7cの先端縁から戸先側に折曲し、戸先側第二当接片部8cは戸先側第二見込み片部8bの先端縁から戸尻側に折曲してドア厚方向において対向しており、戸先側第二フランジ片部8dが戸先側第一フランジ片部7fの戸尻側に位置して形成され、戸先側第一、第二フランジ片部7f、8d同士がドア幅方向に位置ズレして設けられているので、火災の発生時等に第一、第二ボックス体7B、8Bが屋内外方向において離間するよう変位した場合に、戸先側第一、第二フランジ片部7f、8d同士が互いに係止して、第一、第二ボックス体7B、8B同士が剥がれて(分離して)しまうような不具合を防止できて、ドア体6を防火扉として用いることができる。
【0035】
さらに、このものにおいて、戸先側第一折返し片部7bはヘアピン状に折返されて、折返し部7dに空間部Sが形成されているので、ドア体6の戸先側端面6cとして外部に露出する折返し部7dの表面加工が保護されて、ドア体6の開閉時に目視されやすい戸先側端面6cの意匠を損なうことがない。
【0036】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、第一面板の戸先側部位に形成される第一折返し片部は、第一見付け片部に対して離間する状態で折返される構成であってもよく、ドア体の戸先側部位に、第一、第二見込み片部の間に隙間を形成して中空部を形成する構成であれば、戸先側部位における強度アップを図ることができる。
また、第一の実施の形態のドア体はフレーム材を一切用いない構成となっているが、本発明を実施して戸先側のフレーム材を省略し、他の部位(例えば上下端部)のフレーム材については必要において内装するような構成とすることもできる。
【0037】
さらに、図10(A)、(B)、(C)に示す第二、第三、第四の実施の形態のようにすることができる。ここで、第二、第三、第四の実施の形態は、それぞれ親扉15、21、27と子扉16、22、28との戸先側の構成が示されている。
図10(A)の第二の実施の形態において、親扉15は屋外側に開放する外開き式に構成されており、親扉15の屋内側のドア面となる第一見付け片部17aが形成される第一面板17の戸先側部位には、前記第一の実施の形態と同様に、第一折返し片部17b、第一見込み片部17c、第一当接片部17d、第一フランジ片部17eが形成されている。そして、第一折返し片部17bをヘアピン状に折返して折返し部17fに空間部Sを形成することで白化現象が防止されている。また、親扉15の屋外側のドア面となる第二見付け片部18aが形成される第二面板18の戸先側部位には、ヘアピン状に折返すことで子扉16との召し合わせ片部8bが第二見付け片部18aから延出して形成されているが、召し合わせ片部18bの折返し部18cに空間部Sを形成することで白化現象が防止されている。さらに、召し合わせ片部18bの先端縁に、第二見込み片部18d、第二当接片部18e、第二フランジ片部18fが形成されているが、これらの片部18d、18e、18fは前記第一の実施の形態と同様の構成となっている。
【0038】
一方、子扉16の第一、第二面板19、20の構成は、親扉15の第一、第二面板17、18とは逆転する構成となっており、子扉16の屋外側のドア面となる第二見付け片部20aが形成される第二面板20の戸先側部位には、第一当接片部19cが当接する第二折返し片部20bがヘアピン状に折返し形成され、その先端縁に、第二見込み片部20c、第二当接片部20d、第二フランジ片部20eが形成されている。これに対し、子扉16の屋内側のドア面となる第一見付け片部19aが形成される第一面板19の戸先側部位には、第一見込み片部19b、第二折返し片部20bに当接する第一当接片部19c、第一フランジ片部19dが形成され、さらに、第一見込み片部19bと第一当接片部19cとのあいだに屋内側に退避する段差状の召し合わせ受け片部19eが形成されたものとなっている。尚、第二折返し片部20bの折返し部20fは、空間部Sを形成することで白化現象が防止されている。
そして、このように構成することにより、親扉15と子扉16との戸先側端部に中空部Hがそれぞれ形成されて、優れた強度を備えるとともに、前記第一の実施の形態と同様に強度、意匠性に優れ、かつ、第一、第二面板同士17と18、19と20がそれぞれ屋内外方向に分離しないという効果を得ることができて、広範囲な設置条件に対応する扉装置とすることができる。
【0039】
前記第三の実施の形態において、親扉21は屋内側において開閉揺動する内開き式に構成されており、親扉21の屋外側のドア面となる第二見付け片部23aが形成される第二面板23の戸先側部位には、第二折返し片部23b、第二見込み片部23c、第二当接片部23d、第二フランジ片部23eが形成されている。そして、第二折返し片部23bをヘアピン状に折返して折返し部23fに空間部Sを形成することで白化現象が防止されている。また、親扉21の屋内側のドア面となる第一見付け片部24aが形成される第一面板24の戸先側部位には、第一見込み片部24b、第二折返し片部23bに当接する第一当接片部24c、第一フランジ片部24dが形成され、さらに、第一見込み片部24bと第一当接片部24cとのあいだに屋内側に退避する段差状の召し合わせ受け片部24eが形成されている。
【0040】
一方、子扉22の屋外側のドア面となる第二見付け片部25aが形成される第二面板25の戸先側部位には第二折返し片部25bが形成されており、第二見付け片部25cと第二折返し片部25bの戸先側部位は、親扉21に形成された召し合わせ受け片部24eに積層する召し合わせ片部を構成している。前記第二折返し片部25bの先端縁には、第二見込み片部25c、第二当接片部25d、第二フランジ片部25eとが形成されている。そして、第二折返し片部25bをヘアピン状に折返して折返し部25fに空間部Sを形成することで白化現象が防止されている。また、子扉22の屋内側のドア面となる第一見付け片部26aが形成される第一面板26の戸先側部位には、第一見込み片部26b、第一当接片部26c、第一フランジ片部26dが形成されている。
そして、このように構成することにより、親扉21と子扉22との戸先側端部に中空部Hがそれぞれ形成されて、強度、意匠性に優れ、かつ、第一、第二面板同士23と24、25と26がそれぞれ屋内外方向に分離しないという効果を得ることができて、広範囲な設置条件に対応する扉装置とすることができる。
【0041】
さらに、第四の実施の形態において、親扉27と子扉28とは、それぞれ外開き式に構成されている。そして、親扉27は前記第二の実施の形態と同様に屋内外一対の第一、第二面板17、18を用いて構成され、子扉28は前記第二の実施の形態と同様に屋内外一対の第一、第二面板19、20を用いて構成されているので、第二の実施の形態と同様の符号を付すことで説明を省略する。
さらに、このものでは、子扉28の戸先側端部における屋内側面に、親扉27の戸先側端部における屋内側面が当接する戸当たり部29が別途止着される構成となっている。
そして、第四の実施の形態においても、親扉27と子扉28との戸先側端部に中空部Hがそれぞれ形成されて、優れた強度を備えるとともに、前記第一の実施の形態と同様に強度、意匠性に優れ、かつ、第一、第二面板同士17と18、19と20がそれぞれ屋内外方向に分離しないという効果を得ることができて、広範囲な設置条件に対応する扉装置とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、オフィスビルや工場等の建築物の出入り口部に設けられるドア体の戸先側部位をフレームレスとしたものでありながら強度を高めることができ、汎用性の高いドア体を構成する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ドア枠
6 ドア体
6c 戸先側端面
7 第一面板
7a 第一見付け片部
7b 戸先側第一折返し片部
7c 戸先側第一見込み片部
7d 折返し部
7e 戸先側第一当接片部
7f 戸先側第一フランジ片部
7B 第一ボックス体
8 第二面板
8a 第二見付け片部
8b 戸先側第二見込み片部
8c 戸先側第二当接片部
8d 戸先側第二フランジ片部
9 コア材
10 丁番

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製板材からなる表裏一対の第一、第二面板を折曲して、ドア体の表裏のドア面を構成する第一、第二見付け片部と、ドア体のドア厚となる端面を構成する第一、第二見込み片部とを形成し、これら第一、第二面板を用いてドア体を構成するにあたり、第一面板の戸先側の第一見込み片部を、第一見付け片部の戸先側端縁から戸尻側に折返される第一折返し片部の先端縁から第二見付け片部に至るように折曲形成する一方、第二面板の戸先側の第二見込み片部を、第二見付け片部の戸先側端縁から第一折返し片部に至るように折曲形成して第一見込み片部の戸先側に位置させて、ドア体の戸先側部位をフレームレスとしたことを特徴とするドア体。
【請求項2】
第一折返し片部は、第一見付け片部に当接状に折返され、第一折返し片部の先端縁から第一見付け片部に対して直交状に折曲して第一見込み片部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のドア体。
【請求項3】
第一面板は、第一見込み片部の先端縁に第二見付け片部に当接する第一当接片部が形成される一方、第二面板は、第二見込み片部の先端縁に第一折返し片部に当接する第二当接片部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のドア体。
【請求項4】
第一、第二当接片部は、先端縁に第一、第二見付け片部側に折曲する第一、第二フランジ片部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のドア体。
【請求項5】
第一当接片部は、第一見付け片部の先端縁を戸先側に折曲して形成され、第二当接片部は、第二見付け片部の先端縁を戸尻側に折曲して形成され、これら第一、第二当接片部の先端縁に形成される第一、第二フランジ片部は、第二フランジ片部が第一フランジ片部より戸尻側に位置していることを特徴とする請求項4に記載のドア体。
【請求項6】
第一折返し片部は、第一見付け片部と第一折返し片部との間となる折返し部に空間部を形成したことを特徴とする請求項2に記載のドア体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−21272(P2012−21272A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−157930(P2010−157930)
【出願日】平成22年7月12日(2010.7.12)
【出願人】(307038540)三和シヤッター工業株式会社 (273)
【Fターム(参考)】