説明

ドライバ活性化誘導装置及びドライバ活性化誘導方法

【課題】 刺激提示に対する反応の個人差を考慮に入れ、かつ、刺激提示時の煩わしさや違和感を与えずに、ドライバを運転に適した状態に誘導する。
【解決手段】 ドライバの運転時の生体信号と運転操作量からドライバの運転状態を、運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適とを判定する運転状態適否判定手段101と、ドライバに刺激を提示する刺激提示手段106および刺激の累計提示時間をカウントするカウンタ105を有する条件付け刺激提示手段108を備えたドライバ活性化誘導装置であって、運転適の発現時に条件付け刺激提示手段108によりドライバに刺激を提示し、刺激が一定時間提示された後の運転否の発現時に、ドライバに同じ刺激を提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバの運転状態が運転に適していない場合に、運転に適した状態に誘導する、ドライバ活性化誘導装置及びドライバ活性化誘導方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライバ活性化誘導装置及びドライバ活性化誘導方法においては、ドライバの運転状態を検出し、覚醒度の低下や脇見動作等を検出した際に警報を鳴らし、ドライバに活性化を促す警報音利用方式が多く発案されている。しかし、かかる警報音でドライバに注意を喚起する方式では、ドライバに煩わしさや違和感を与える場合が少なくないという問題がある。また、ドライバが緊張状態にあるときは警報を鳴らしても緊張状態が緩和されることはなく、緊張状態を緩和させる他の手段を講じる必要がある。かかる問題を解決する技術手段として下記特許文献1〜4がある。例えば、特許文献1は、ドライバに覚醒度の低下が検出された時にはアップテンポな曲を聞かせ、反対に、緊張度が上昇した時にはスローテンポな曲を聞かせることにより、ドライバに煩わしさを感じさせない形で警報を与える工夫をしている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−254750号公報
【特許文献2】特許第3293308号公報
【特許文献3】特開2000−351337号公報
【特許文献4】特許第2759189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような従来のドライバ活性化誘導装置及びドライバ活性化誘導方法においては、刺激提示における各ドライバ個人の反応の差を十分に考慮していないために、刺激提示が必ずしも各ドライバを運転に適した状態に誘導するとは限らないという問題がある。
【0005】
そこで、刺激提示に対する反応の個人差を考慮に入れ、かつ、ドライバに刺激提示時の煩わしさや違和感を与えずに、運転に適した状態へ誘導することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明においては、運転時の生体信号と運転操作量からドライバの運転状態を、運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適とを判定する運転状態適否判定手段と、ドライバに刺激を提示する刺激提示手段を有する条件付け刺激提示手段を備え、運転適の発現時に条件付け刺激提示手段により、ドライバに刺激を提示し、刺激が一定時間提示された後の運転否の発現時に、ドライバに同じ刺激を提示することとした。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るドライバ活性化誘導装置及びドライバ活性化誘導方法においては、運転適の発現時に条件付け刺激提示手段により、ドライバに刺激を一定時間提示し、その後の運転否の発現時に、同じ刺激を提示することにより、刺激提示に対する反応の個人差を考慮に入れ、かつ、ドライバに刺激提示時の煩わしさや違和感を与えずに、運転に適した状態へ誘導することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の実施の形態
図1は、本発明の第1の実施の形態における基本構成を示したものである。101は、ドライバの運転時の生体信号と運転操作量からドライバの運転状態を、運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適とを判定する運転状態適否判定手段、108は、運転状態適否判定手段101の結果からドライバに刺激を提示する条件付け刺激提示手段、107は、警報音を発生させドライバに注意を喚起する警報音発生手段である。
【0009】
運転状態適否判定手段101は、ドライバの運転時の生体信号からドライバの覚醒の度合いを示す覚醒度を算出する覚醒度演算手段102と、ドライバの運転時の運転操作量から運転操作の乱れの度合いを示す乱れ量を算出する運転操作判定手段103と、覚醒度演算手段102で算出された覚醒度と運転操作判定手段103で算出された乱れ量から、ドライバの運転に対する集中の度合いを示す集中度を算出する集中度判定手段104とを有しており、条件付け刺激提示手段108は、運転状態適否判定手段101で運転適または運転否と判定された場合に、ドライバに予め定められた刺激の提示を行う刺激提示手段106と、運転適の発現時に刺激提示手段106でドライバに刺激を提示した場合に、その刺激を提示した累計提示時間をカウントするためのカウンタ105を有している。
【0010】
覚醒度演算手段102は、生体信号としてカメラで撮影された顔画像データをカメラ映像信号の形で入力し、入力した顔画像データから瞳孔変化を算出し、覚醒度を求める。瞳孔変化から覚醒度を求める方法は、例えば特許文献2に示す方法がある。即ち、瞳孔の経時的な位置変化を算出し、瞳孔位置が相対的に下がってゆく場合には顔がうつむいてきていると推定され、顔のうつむき度合いでドライバの覚醒度を算出する。また、一定時間内の瞬き回数をカウントし、瞬き回数が一定値以上の場合を覚醒度低下と判断することもできる。更に、瞳孔位置において瞳孔が検出されるか否かを計測し、瞳孔検出の可否から瞼の開閉の状態を推定し、瞼の開閉の度合いからドライバの居眠り状態が算出できる。
【0011】
運転操作判定手段103は、運転操作量として、舵角センサー信号、アクセル開度センサー信号、ブレーキ圧力信号及びウィンカー信号を入力し、これらの信号から通常の運転操作の状態との比較において、急ブレーキ操作等の有無等を判定し、異常な運転操作信号の発現頻度から運転操作の乱れ度合いを示す乱れ量を算出し、運転操作の判定を行う。
【0012】
条件付け刺激提示手段108は、運転適の発現時に刺激提示手段106を用いて、ドライバに予め定められた刺激を提示する。刺激の提示時間は、少なくとも予め定めた一定時間は提示するものとし、一定時間提示された後の運転否の発現時に、同一刺激を提示し、ドライバを運転否の状態から運転に適した状態である運転適に誘導する。ここに、刺激提示手段106は、メータのバックライト表示において、明るさ又は色彩の異なる複数の表現を選択できるバックライト表示変更手段を備えている。
【0013】
本実施の形態では、ドライバの覚醒度に着目し、運転状態適否判定手段101で、ドライバに覚醒度の低下が検出された状態を運転否と判断し、一方、運転否と対極にあるドライバが集中して運転している状態を運転適と判断し、運転適の状態が検出された時に条件付け刺激提示手段108で予め定めた刺激をドライバに提示し、一定時間の刺激提示で条件付けされた後、運転否と判断された状態の発現時に同一の刺激をドライバに提示することにより、運転否の状態のドライバを運転に適した状態である、集中して運転している状態に誘導するものである。
【0014】
更に、ドライバの運転状態が居眠り状態であることが運転状態適否判定手段101で検出された時は、警報音発生手段107で、警報音を発生させた後、前述の刺激提示手段108で予め定めた刺激を提示する。この場合、集中度判定手段104は、具体的には、覚醒度演算手段102で算出された覚醒度がある一定値よりも高く、運転操作判定手段103で算出された乱れ量がある一定値より少ない場合に、集中して運転していると判断する。
【0015】
次に、運転否の状態のドライバを運転適の状態である、集中して運転している状態に誘導する方法について説明する。先ず、ドライバの運転状態を検出し、ドライバの状態が運転適の状態である間は、予め定められた刺激提示を行う。運転適の状態で定められた刺激を受けることにより、ドライバの中では、その運転適の状態と与えられた刺激との間に後述するレスポンド条件付けが成立する。そのため、ドライバが運転否の状態に陥った際に、この条件付けされた刺激を提示されることで、ドライバは刺激と対提示され条件付けされていた運転適の状態を連想することとなり、ドライバを運転否の状態から開放し、運転適の状態に導くことができる。
【0016】
ここにレスポンド条件付けとは、中性刺激と無条件刺激を対提示することにより、中性刺激が新しい反射を引き起こすようになる手続きあるいは現象である。ロシアの生理学者のパブロフによる犬の実験を例に挙げて説明する。餌を与えると犬は唾液を分泌する。これは生得的な反応である。しかし、犬に餌を与えるときに同時にベルを鳴らすことを何度も繰り返すと、そのうち犬はベルの音を聞いただけで唾液を分泌させるようになる。この場合、餌を無条件刺激と呼び、餌に対する唾液は生得的な反射であるために無条件反射となる。そして、この無条件刺激と対にして提示されるベルの音は中性刺激と呼ばれ、ベルの音に対する唾液の分泌は今まで見られなかった新しい反射であるために条件付け反射となる。
【0017】
即ち、ドライバが運転適の状態の時に、同じ刺激を常に対提示して繰り返すことで、この刺激がやがて条件付け刺激となり、「刺激=運転適の状態」という条件付け反応が起こる。そのため、ドライバが運転否の状態に陥ったときに、この条件付け刺激を提示することにより、ドライバは運転適の状態に誘導される。この刺激は、ドライバの状態が集中して運転している状態及び覚醒度が低下している状態の時に、その状態が持続している間継続して提示されるため、ドライバにできるだけ煩わしくない形で提示することが望ましい。
【0018】
図2に、本実施の形態における条件付けに用いる刺激提示手段の一例を示す。201はフロントパネルのメータ部であり、202は回転計、203はスピードメータ、204は燃料計、205はエンジン温度計である。刺激提示手段106での刺激の提示は、例えばメータ部201内のメータのバックライト表示において、明るさ又は色彩の異なる複数の表現を選択できるバックライト表示変更手段を備え、通常の運転時に使用している状態と、運転適及び運転否の状態で使用するバックライト表示の状態を違えた表示とするものである。尚、メータ部201内のバックライト表示変更は、全てのメータの表示を同時に変更しても良いし、個々に表示を変更しても良いし、スピードメータが真中にあるタイプのものにおいてはスピードメータのみの表示を変更しても良い。
【0019】
次に、本実施の形態のドライバ活性化誘導装置の動作、即ち、本実施の形態のドライバ活性化誘導方法について図3のフローチャートに従い説明する。先ず、S301において、生体信号としてカメラで撮影した顔画像データを覚醒度演算手段102に入力し、運転操作量としてステアリング舵角センサー信号、アクセル開度センサー信号、ブレーキ圧力センサー信号及びウィンカー信号を運転操作判定手段103に入力する。
【0020】
次に、S302において、覚醒度演算手段102で、入力された顔画像データから瞳孔部分のデ−タを抽出して覚醒度の算出を行う。例えば、瞬目頻度に注目した場合、瞳孔部分のデ−タから瞬目回数を抽出、カウントし、過去1分間の瞬目回数が20回を超えた場合を覚醒度低下と判定し、瞬目回数が20回以下の場合を覚醒度適正と判定する。
【0021】
次に、覚醒度低下でないと判断された場合は、S303において運転操作判定手段103で運転操作量から運転操作の乱れ量を算出し、運転操作の判定を行う。運転操作の判定には、例えば、ハンドルのふらつき、急ハンドル、急ブレーキ、急加速が行われたかどうかを検出し判断する。即ち、これらの要素が検出されなかった場合には運転操作が乱れていないので乱れ量は少なく算出され、運転操作正常と判定する。一方、ステアリング舵角センサー信号、アクセル開度センサー信号、ブレーキ圧力センサー信号の一定時間内の変位量が、予め設定した閾値以上の場合、運転操作に乱れが生じたと判断し、乱れ量は大きく算出される。但し、ウィンカー信号が検出された際の舵角の変位検出は、車線変更と推定されるため、運転操作の乱れとは判断しない。
【0022】
ここで、運転操作が乱れていない、即ち、運転操作正常と判断された場合は、集中して運転していると判断し、S304に進みカウンタ105のカウントを1つ増やし、S305に進み、刺激提示手段106で予め定めた刺激提示を行い、終了する。運転操作が乱れていると判断された場合は、何もせずに終了する。
【0023】
一方、S302で、覚醒度演算手段102で覚醒度低下と判断された場合は、S306に進み、居眠り状態かどうかの判定を行う。この場合、例えば、覚醒度演算手段102において、生体信号から、一定時間継続して瞳孔情報が検出できない場合には、瞼が閉じているためと判断し、ドライバは居眠り状態とする判定を行う。一方、瞳孔情報が継続して検出でき、覚醒度演算手段102で居眠り状態でないと判断された場合、ドライバは覚醒度低下状態と判断され、S308のカウンタ105のカウント数のチェックに進む。
【0024】
本実施の形態の条件付けは、運転適である集中して運転している状態時に刺激提示を行う、運転適と刺激提示との対提示を一定時間行うことでなされる。尚、この刺激提示が条件付け刺激として成立した後でないと、運転否である覚醒度低下時に刺激提示を行っても効果をなさないため、一定時間に達するまでは覚醒度低下時の刺激提示は行わない。
【0025】
例えば、条件付け刺激として成立させるのに1時間程度の時間を必要とするとした場合には、この刺激提示処理を1Hzで行う場合、刺激提示回数は累計1時間に相当する分である3600回(60分×60秒=3600秒)の刺激提示が終了するまでは覚醒度低下時の刺激提示は行わないものとする。従って、カウンタ105のカウント数が3600を超えていると判断された後に、S305に進み刺激提示手段106でドライバに刺激提示を行い、終了する。
【0026】
一方、覚醒度演算手段102で居眠り状態であると判断された場合、S307に進み、警報音発生手段107で警報音を発生させた後、S308に進み、カウンタ105のチェックを行う。カウンタ105のカウント値が3600を超えていれば条件付けが終了していると判断し、S305に進み刺激提示手段106でドライバに刺激提示を行う。これは、居眠り状態に陥っている場合は、刺激提示手段106で与えた刺激でドライバを運転に集中している状態に誘導することは難しいため、先ず警報音を発生し、ドライバを覚醒させた後、刺激提示手段106で運転に集中している状態に誘導させることで、警報音と集中して運転している状態の間に後述する二次条件付けが成立し、警報音自体でドライバを運転に集中している状態に誘導する効果が得られるようにするためである。
【0027】
ここに、二次条件付けとは、先述したパブロフの犬の例を挙げて説明すると、ベルの音と餌の間に条件付けが行われた後、餌の代わりに、例えば黒い正方形を新たな条件付け刺激として、ベルの音と黒い正方形との対提示を繰り返す条件付けがなされると、以後、黒い正方形の提示のみを行った場合でも、犬は唾液を分泌するようになることを言う。
【0028】
以上説明したごとく、本実施の形態においては、運転状態適否判定手段101で、運転時の生体信号と運転操作量から、ドライバの運転状態を運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適とを判定し、運転適が発現した時に条件付け刺激提示手段108の刺激提示手段106で、ドライバに刺激を提示し、カウンタ105で刺激の累計提示時間をカウントし、刺激が一定時間提示された後の運転否の発現時に、同じ刺激を再度ドライバに提示することで、ドライバを活性化するよう誘導することができる。
【0029】
本実施の形態によれば、ドライバ各々の運転に適した状態を検出して、その運転に適した状態の刺激で条件付けを行うために、個人差が考慮され、かつ煩わしさや違和感を与えずにドライバを運転に適した状態に誘導することができる効果が得られる。
【0030】
また、車を運転する上で安全上最も重要なことは、運転に集中することであり、ドライバを運転に集中させるように誘導することは非常に重要である。しかし、ドライバの覚醒度が著しく低下している状態においては、ドライバの心身の状態自体が低下しているために、警報音などの一時的な注意喚起手段のみでは、低下している状態を向上させることは難しい。そこで、警報音発生手段107で警報音を発生させた後に、条件付け刺激提示手段108で、集中して運転している状態時に提示された同一刺激を提示することで、ドライバの状態を集中して運転していた時の状態に、違和感を与えることなく誘導することができる。
【0031】
第2の実施の形態
図4は、本発明の第2の実施の形態における基本構成を示す図である。801は、ドライバの生体信号、運転操作情報から緊張して運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適とを判定する運転状態適否判定手段、808は運転状態適否判定手段801の判定結果に基づきドライバに刺激を提示する条件付け刺激提示手段である。
【0032】
運転状態適否判定手段801は、生体信号から鼻部と額部の皮膚温の温度差を算出する鼻部皮膚温演算手段802、運転操作量から運転操作の乱れ量を算出する運転操作判定手段803及び皮膚温の温度差と運転操作の乱れ量からドライバの緊張度又はリラックス度を判定する緊張・リラックス判定手段804を備えており、条件付け刺激提示手段808は、ドライバに条件付け刺激を提示する刺激提示手段806と条件付け刺激の提示回数をカウントするためのカウンタ805とを有している。
【0033】
鼻部皮膚温演算手段802は生体信号としてサーモカメラ映像信号を入力し、入力したサーモカメラ映像信号のデータから、鼻部と額部の皮膚温を求め、これらの皮膚温から両者の温度差を算出する。運転操作判定手段803は、運転操作量として、舵角センサー信号、アクセル角度センサー信号、ブレーキ圧力センサー信号及びウィンカー信号を入力し、入力した各信号データから急ブレーキ等の異常操作情報を抽出し、異常操作の頻度から運転操作の判定を行う。また、刺激提示手段806は、カーエアコン吹出口からの吹出空気の風速の強弱、温度の高低若しくは香りの有無の調節を行う気流調節手段を備えている。
【0034】
かかる構成において、運転に適していない状態の運転否をドライバの緊張度が高まり運転操作に対する余裕が減少している状態とし、運転に適している状態の運転適をドライバがリラックスして運転して運転に集中している状態とし、運転否及び運転適の状態時での刺激を気流調節手段でのカーエアコン吹出口からの吹出気流の調節としている。
【0035】
本実施の形態において、ドライバの緊張・リラックス度を判定するのに鼻部と額部の皮膚温を利用している。これは、特許文献4に示すごとく、人間の末梢部の皮膚温はストレス状態により大きく影響を受けるのに対し、体幹部の皮膚温は影響をほとんど受けない。このことから、末梢部である鼻部皮膚温と体幹部である額部皮膚温をそれぞれ末梢部と体幹部の代表温度として計測し、両者の温度差を求めることでドライバのストレス状態を推定することができる。
【0036】
具体的には、鼻部皮膚温演算手段802で算出された鼻部と額部の皮膚温の温度差ΔTが増加傾向(ある一定値α以上)にあり、運転操作判定手段803で運転操作が乱れていないと判断された場合にはリラックスして運転していると判定する。一方、鼻部皮膚温演算手段802で算出された鼻部と額部の皮膚温の温度差ΔTが減少傾向(ある一定値β以下)にあり、運転操作判定手段803で運転操作が乱れていると判断された場合、緊張度が高く運転操作に対する余裕が減少していると判定する。
【0037】
即ち、本実施の形態は、ドライバの緊張度が継続的に高まっている状態に着目し、緊張度の継続的な高まりが検出された時は運転否と判定し、リラックスして運転している状態である運転適が検出された時に提示を行っていた刺激を提示することにより、緊張しているドライバをリラックスして運転できる状態に誘導するものである。
【0038】
図5はドライバへの刺激の提示手段の一例を示す図である。901はハンドル、902はカーエアコンの吹出口、903はカーエアコンの吹出口から吹出された吹出気流を示す。例えば、カーエアコンの吹出口から吹出された吹出気流の風速や温度、更には気流に付加する香りの有無を調節できる構成とし、これらの刺激を通常の運転時と異なる状態で提示することにより、ドライバに通常の運転時と異なる刺激を与えるものである。
【0039】
次に、本実施の形態のドライバ活性化誘導装置の動作、即ち、本実施の形態のドライバ活性化誘導方法について、図6のフローチャートに従い説明する。先ず、S1001において、生体信号としてサーモカメラで撮影した赤外顔画像データを鼻部皮膚温演算手段802に入力し、運転操作量としてステアリング舵角センサー信号、アクセル開度センサー信号、ブレーキ圧力信号及びウィンカー信号を運転操作判定手段803に入力する。
【0040】
次にS1002において、鼻部皮膚温演算手段802で入力された赤外顔画像データから額部皮膚温と鼻部皮膚温を求め、両者の温度差ΔTを算出する。この温度差ΔTが、ある閾値α以上になっているなら、リラックス状態であると判断し、S1003に進む。
【0041】
S1003では、運転操作判定手段803で、運転操作が正常か否かの判定を行う。運転操作の判定には、入力した運転操作量の信号から、例えば、ハンドルのふらつき、急ハンドル、急ブレーキ、急加速が行われたか否かを検出し、これらの異常操作が検出されなかった場合を運転操作が乱れていないとする。一方、入力した運転操作量の信号から、一定時間内の変位量が予め設定した閾値以上の場合、運転操作に乱れが生じたと判断する。尚、この場合、ウィンカー信号が検出された際のステアリング舵角センサー信号による舵角の変位抽出は車線変更であるために、運転操作の乱れとは判断しない。
【0042】
S1003で運転操作が乱れていない、即ち正常と判断された場合は、リラックスして運転していると判断し、S1004に進みカウンタ805のカウントを1つ増やし、S1005に進み、刺激提示手段806で刺激提示を行う。一方、運転操作が乱れていると判断された場合は、何もせずに終了する。
【0043】
次に、S1002で、額部皮膚温と鼻部皮膚温との温度差ΔTがα以下の場合は、S1006に進み、今度は他の閾値β以下か否かを判断する。S1006で温度差ΔTがβ以下と判定された場合は、ストレス状態であると判断する。尚、2つの閾値は、α>βの関係となっている。
【0044】
次にS1007で、S1003と同様の判定基準を用いて運転操作の判定を行う。ここでは、運転操作が乱れていると判断された場合、運転に対する緊張度が高まっていると判断する。但し、車線変更時はドライバにとって緊張度が高まる大きな要因であるために、ウィンカー信号が出されていて、かつ、温度差ΔTがβ以下の場合は、運転に対する緊張度が高まっていると判断する。運転に対する緊張度が高まっていると判断された場合は、S1008のカウンタ805のカウント値チェックに進む。
【0045】
本実施の形態における条件付けは、運転適の状態であるリラックスして運転している状態と刺激提示との対提示を一定時間行うことでなされる。尚、この刺激が条件付け刺激として成立した後でないと、運転否の状態である運転に対する緊張度が高まった時に同一の刺激提示を行っても効果をなさない。このため、リラックス状態での刺激提示の累計時間が、ある一定時間に達するまでは、緊張度が高まった時に行うべき刺激提示手段806での刺激提示は行わない。
【0046】
例えば、条件付け刺激として成立させるのに1時間程度の時間を必要とするとした場合には、この刺激提示処理を1Hzで行う場合、刺激提示回数は累計1時間に相当する分である3600回(60分×60秒=3600秒)の刺激提示が終了するまでは、運転否の状態においてもS1005での刺激提示は行わず、カウンタ805のカウント数が3600を超えていると判断された場合に、S1005に進み刺激提示手段806でドライバに刺激を提示し、終了する。
【0047】
本実施の形態は、ドライバの緊張度が高まり、運転操作に対する余裕が減少している運転否の状態の時には、警報音などの手段による警報は、更に緊張度を高めてしまうことになり逆効果であることから、運転適の状態である、リラックスして運転している状態の時に条件付けされた刺激提示を、緊張時に行うことにより、ドライバの緊張度を下げ、ドライバに精神的な余裕を生じさせ、落ち着いて運転をさせることができる効果を有するものである。
【0048】
第3の実施の形態
図7に本発明の第3の実施の形態の基本構成を示す。401は、ドライバの生体信号、運転操作信号、車両挙動信号からドライバの運転状態を、運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適に誘導するのにふさわしい状態の誘導適とを判定する運転状態適否判定手段、408は、運転状態適否判定手段401の結果からドライバに刺激を提示する条件付け刺激提示手段である。
【0049】
尚、運転状態適否判定手段401は、生体信号と運転操作量からドライバの一時的な緊張度を判定する緊張度判定手段402と、生体信号、運転操作量及び車両挙動情報からドライバの脇見動作を判定する脇見動作判定手段404を備えており、条件付け刺激提示手段408は緊張度判定手段402の出力をカウントするカウンタ403とドライバに条件付け刺激を提示する刺激提示手段405を備えている。
【0050】
緊張度判定手段402には、生体信号としてカメラ映像信号を入力し、運転操作量として舵角センサー信号とブレーキ圧力センサー信号を入力する。脇見動作判定手段404には、生体信号としてカメラ映像信号を入力し、運転操作量として舵角センサー信号とウィンカー信号を入力し、車両挙動情報として車間レーダ信号を入力し、更にカウンタ403のカウント値を入力してある。
【0051】
緊張度判定手段402は、入力されたカメラ映像信号の顔画像データから瞳孔径変化を算出し、算出した瞳孔径変化から緊張度の度合いを検出する。尚、緊張度の度合いと瞳孔径変化の関係については、特許文献3に示されており、対象物の興味の度合いで瞳孔径が異なることや、驚きや不安(恐怖)を感じたドライバの瞳孔径が激しく変化することが知られている。
【0052】
脇見動作判定手段404は、カメラで撮影された顔画像データからドライバの視線を抽出し、視線の方向や動きから脇見動作の有無の検出を行い、脇見動作が検出された場合においては、更に、入力した舵角センサー信号及びウィンカー信号から求めた乱れ量や、車間レーダ信号から求めた前車との異常な接近等の車両条件等を加味して、最終的な脇見動作の判定を行う。
【0053】
刺激提示手段405は、運転状態適否判定手段401で、運転否である脇見動作、若しくは誘導適である一時的に緊張状態に陥った後の状態が検出された場合に、ドライバに刺激の提示を行うものである。尚、刺激提示手段405での刺激の提示は、例えば、シート内に振動体を埋め込み、この振動体を振動させることによりドライバに振動刺激を与えるものである。また、カウンタ403は、一時的な緊張時にドライバに提示された振動刺激の提示回数をカウントするカウンタである。
【0054】
かかる構成において、運転に適していない状態の運転否をドライバが脇見をし注意力が散漫になっている状態とし、運転否と対極にあり、運転否の状態から運転に適している状態に誘導するのにふさわしい状態である誘導適を、ドライバの緊張度が一時的に高まった直後の状態とし、運転否及び誘導適の状態での刺激を振動提示手段の振動とすることで、ドライバに緊張度が一時的に高まった直後の状態の条件付け刺激を提示することができる。
【0055】
即ち、本実施の形態は、ドライバの脇見動作に着目し、脇見動作が検出された時を運転否とし、例えば、他車の急な割り込みや急停車などによりヒヤリとした後の、運転に対する意識が高まっている状態を誘導適とし、誘導適時に条件付けされた刺激を運転否時に提示することにより、運転適である運転に対する集中力を高めた状態に誘導するものである。
【0056】
図8はドライバシートに振動体を埋め込んだ刺激提示手段を示す図である。501はドライバ用のドライバシート、502は振動を発生する振動素子で、ドライバシート501の背面部と底面部にそれぞれ複数個配置してある。503は背面部に配置した振動素子の集合体からなる背面振動体、504は底面部に配置した振動素子の集合体からなる底面振動体である。刺激提示においては、背面振動体501と底面振動体502のいずれか一方のみを振動させても良いし、両方を同時に振動させても良い。
【0057】
次に、本実施の形態のドライバ活性化誘導装置の動作、即ち、本実施の形態のドライバ活性化誘導方法について図9、図10のフローチャートに従い説明する。先ず、図9のS601において、カメラで撮影した顔画像データ、ステアリング舵角データ信号及びブレーキ圧力センサー信号を緊張度判定手段402に入力し、カメラで撮影した顔画像データ、ステアリング舵角データ信号、ウインカー信号及び車間レ−ダ信号を脇見判定手段404に入力する。
【0058】
次に、S602に進み、緊張度判定手段402において今の状態が緊張状態であるか、緊張状態でないかの判定を行う。即ち、直前のフラグ状態が緊張状態を示す1であるか、緊張でない状態を示す0であるか否かの判断を行う。フラグ0、つまり緊張状態でない場合は、S603に進み、緊張度の判定を行う。例えば、取り込まれた顔画像データから瞳孔径変化を抽出し、単位時間当りの瞳孔径変化量を算出し、瞳孔径変化量がある閾値以上である場合は一時的に緊張が高まった状態であると判断し、瞳孔径変化量がある閾値に満たない場合は緊張状態でないと判断する。
【0059】
次に、S603で緊張状態であると判定された場合、S604、S605で、その緊張度の高まりが、急な運転操作に伴う一時的なものであるか否かの判定を行う。即ち、S604では、舵角センサー信号から急なハンドル操作があったかどうかを判断し、S605では、ブレーキ圧力センサー信号から急なブレーキ操作があったかどうかを判断する。例えば、単位時間内のこれらの運転操作量がある一定値を超えた場合には、急な運転操作を伴う一時的な緊張状態であったと判断し、S606でフラグを1にセットして終了する。一方、急なハンドル操作や急なブレーキ操作が見られなかった場合には、そのまま終了する。
【0060】
S602でフラグが1であると判定された場合は、一時的な緊張状態に陥った後の正常状態に戻った時点を検出する処理に入る。先ず、S607でS603と同じ処理を行い、緊張状態から正常状態に戻ったか否かの判定を行う。例えば、単位時間あたりの瞳孔径変化を算出して、瞳孔径変化量がある閾値以下の場合を正常状態に戻ったと判断する。一方、瞳孔径変化量がある閾値以上の場合は、まだ緊張状態が続いていると判断して、そのまま終了する。
【0061】
次にS607で瞳孔径変化は正常状態に戻ったと判断された場合は、S608に進みカウンタ403のカウントを1つプラスする。次に、S609に進み、刺激提示手段405でドライバに刺激提示を行い、S610でフラグを0にリセットし終了する。
【0062】
本実施の形態における条件付けは、運転に対する集中度が一時的に高まった状態を誘導適とし、本状態と振動刺激との対提示を複数回行うことでなされる。尚、振動刺激が条件付け刺激として成立した後でないと、ドライバが脇見状態時に同一の振動刺激を提示しても効果は得られない。そのために、この誘導適の条件での振動刺激提示がある一定回数に達するまでは脇見動作時に振動刺激提示を行わず、刺激提示回数のカウントを行う。
【0063】
次に、図10のS701で、カウンタ403でのカウント値がある一定値(この場合10とした)を超えているか否かを判定する。このカウンタ403でのカウント値は、ドライバに一時的に緊張度が高まった後の状態と、条件付け刺激提示の間に条件付けが成り立ったか否かを判断するものである。即ち、カウント値が一定値を超えてない場合は、条件付けが成り立っていないと判断し、この段階では刺激提示手段405でのドライバへの刺激提示は行わない。
【0064】
次に、S701で、カウント値が一定値を超えていると判断された場合は、S702において、生体信号としてカメラで撮影した顔画像データを、運転操作信号としてブレーキ圧力センサー信号と舵角センサー信号を緊張度判定手段402に入力し、生体信号としてカメラ映像信号を、運転操作信号として舵角センサー信号とウインカー信号を、車両挙動情報として車間レーダ信号を脇見動作判定手段404に入力する。
【0065】
次に、S703において、脇見動作判定手段404で、入力したカメラ映像信号の顔画像データから脇見動作の判定を行う。例えば、顔画像データから視線方向データを抽出し、ドライバの視線方向が前方を向いていないと判断された場合、S704で、ウィンカー信号が出されているかどうかの判定を行う。ウィンカー信号が出されている場合は、ドライバの視線方向が前方を向いていないのは、ミラーの確認や黙視をするための行為であるため、脇見ではないと判断する。
【0066】
次に、S704でウィンカー信号が出されていない場合にはS705に進み、その脇見動作が運転行為に支障をきたすものであるか否かの判断を行う。例えば、S705では車間レーダ信号により前方の車との車間距離を測り、ある一定距離以上近づいた場合は、運転行為に支障をきたすと判断し、S707に進み、刺激提示手段405でドライバに刺激提示を行う。
【0067】
次に、S705で車間距離が一定距離以上確保されていると判断された場合には、S706に進み、舵角センサ信号から、車両がふらついているか否かを判断し、ふらついている場合は、S707に進み、運転否と判断し、刺激提示手段405でドライバに刺激提示を行う。
【0068】
尚、運転中、ミラーやメータの確認、カーナビゲーション操作などで前方から一瞬目を逸らすことは起こり得る。そのため、前方から視線方向がずれたことによって、運転行為に支障がおきた場合にのみ刺激提示手段405で刺激提示を行うこととする。
【0069】
以上説明したごとく、脇見動作をしている状態はドライバの心身状態自体が低下しているのではなく、ドライバの一時的な行動により、運転に適していないドライバ状態に陥っている状態である。例えば他車が急に割り込んで来てヒヤリとしたときなど、一時的にドライバの緊張が高まった後は、ドライバの中で「気を引き締めて運転しなければ」という意識が高まっているため、このようなドライバの緊張度が一時的に高まった直後に受けた刺激を、脇見動作をしている状態の時に提示することで、ドライバの運転に対する意識を高め、運転に適した状態に誘導できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1の実施の形態におけるドライバ活性化誘導装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態における刺激提示手段を示す図である。
【図3】第1の実施の形態におけるドライバの運転状態の検出と刺激提示の処理フローを示す図である。
【図4】第2の実施の形態におけるドライバ活性化誘導装置の基本構成を示すブロック図である。
【図5】第2の実施の形態における刺激提示手段を示す図である。
【図6】第2の実施の形態におけるドライバの運転状態の検出と刺激提示の処理フローを示す図である。
【図7】第3の実施の形態におけるドライバ活性化誘導装置の基本構成を示すブロック図である。
【図8】第3の実施の形態における刺激提示手段を示す図である。
【図9】第3の実施の形態におけるドライバの運転状態の検出と刺激提示の処理フローを示す図である。
【図10】第3の実施の形態におけるドライバの脇見動作判定と刺激提示の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0071】
101…運転状態適否判定手段 102…覚醒度演算手段
103…運転操作判定手段 104…集中度判定手段
105…カウンタ 106…刺激提示手段
107…警報音発生手段 108…条件付け刺激提示手段
201…メータ部 202…回転計
203…スピードメータ 204…燃料計
205…エンジン温度計 401…運転状態適否判定手段
402…緊張度判定手段 403…カウンタ
404…脇見判定手段 405…刺激提示手段
408…条件付け刺激提示手段 501…ドライバシート
502…振動素子 503…背面振動体
504…底面振動体 801…運転状態適否判定手段
802…鼻部皮膚温演算手段 803…運転操作判定手段
804…緊張・リラックス判定手段805…カウンタ
806…刺激提示手段 808…条件付け刺激提示手段
901…ハンドル 902…吹出口
903…吹出気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転時の生体信号と運転操作量からドライバの運転状態を、運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適とを判定する運転状態適否判定手段と、
上記ドライバに刺激を提示する刺激提示手段および上記刺激の累計提示時間をカウントするカウンタを有する条件付け刺激提示手段を備えたドライバ活性化誘導装置であって、
上記運転適の発現時に上記条件付け刺激提示手段により、上記刺激を提示し、上記刺激が一定時間提示された後の上記運転否の発現時に、上記ドライバに上記刺激を提示することを特徴とするドライバ活性化誘導装置。
【請求項2】
上記運転状態適否判定手段に、上記生体信号からドライバの覚醒の度合いを示す覚醒度を算出する覚醒度演算手段と、上記運転操作量から運転操作の乱れの度合いを示す乱れ量を算出する運転操作判定手段と、上記覚醒度と上記乱れ量から上記ドライバの運転に対する集中の度合い示す集中度を算出する集中度判定手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項3】
上記生体信号としてカメラ映像信号を上記覚醒度演算手段に入力し、上記運転操作量として舵角センサー信号、アクセル角度センサー信号、ブレーキ圧力センサー信号及びウィンカー信号を上記運転操作判定手段に入力したことを特徴とする請求項2に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項4】
上記刺激提示手段に、メータのバックライト表示において、明るさ又は色彩の異なる複数の表現を選択できるバックライト表示変更手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項5】
警報音発生手段を備え、上記覚醒度演算手段で入力した上記生体信号から上記ドライバが居眠り状態か否かを判定し、上記ドライバが居眠り状態と判定された場合は、上記警報音発生手段で警報音を発生させた後、上記条件付け刺激提示手段で上記ドライバに上記刺激提示を行うことを特徴とする請求項2に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項6】
上記運転状態適否判定手段に、上記生体信号から鼻部と額部の皮膚温から鼻部と額部の皮膚温の温度差を算出する鼻部皮膚温演算手段と、上記運転操作量から運転操作の乱れの度合いを示す乱れ量を算出する運転操作判定手段と、上記温度差と上記乱れ量から上記ドライバの緊張度又はリラックス度を判定する緊張・リラックス判定手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項7】
上記生体信号としてサーモカメラ映像信号を上記鼻部皮膚温演算手段に入力し、上記運転操作量として、上記舵角センサー信号、上記アクセル角度センサー信号、上記ブレーキ圧力センサー信号及び上記ウィンカー信号を上記運転操作判定手段に入力したことを特徴とする請求項6に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項8】
上記刺激提示手段に、カーエアコン吹出口からの吹出空気の風速の強弱、温度の高低若しくは香りの有無の調節を行う気流調節手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項9】
運転時の生体信号と運転操作量からドライバの運転状態を、運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適に誘導するのにふさわしい状態の誘導適とを判定する運転状態適否判定手段と、
上記ドライバに刺激を提示する刺激提示手段および上記刺激の提示回数をカウントするカウンタを有する条件付け刺激提示手段を備えたドライバ活性化誘導装置であって、
上記誘導適の発現時に上記条件付け刺激提示手段により、上記刺激を提示し、上記刺激が一定回数提示された後の上記運転否の発現時に、上記ドライバに上記刺激を提示することを特徴とするドライバ活性化誘導装置。
【請求項10】
上記運転状態適否判定手段に、上記生体信号と上記運転操作量から上記ドライバの一時的な緊張度を判定する緊張度判定手段と、上記生体信号、上記運転操作量及び車両挙動情報から上記ドライバの脇見動作を判定する脇見動作判定手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項11】
上記生体信号として上記カメラ映像信号を上記緊張度判定手段に入力し、上記運転操作量として上記舵角センサー信号と上記ブレーキ圧力センサー信号を上記緊張度判定手段に入力したことを特徴とする請求項10に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項12】
上記緊張度判定手段からの出力信号をカウンタでカウントし、
上記カウンタのカウント値と上記カメラ映像信号を上記脇見動作判定手段に入力し、上記舵角センサー信号と上記ウィンカー信号を上記脇見動作判定手段に入力し、上記車両挙動情報として車間レーダ信号を上記脇見動作判定手段に入力したことを特徴とする請求項10に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項13】
上記刺激提示手段に、ドライバシート内に埋め込まれた振動体の振動を上記ドライバに提示する振動提示手段を備えたことを特徴とする請求項10に記載のドライバ活性化誘導装置。
【請求項14】
運転状態適否判定手段で、運転時の生体信号と運転操作量からドライバの運転状態を運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適とを判定し、
条件付け刺激提示手段に有する刺激提示手段で、上記ドライバに刺激を提示し、カウンタで上記刺激の累計提示時間をカウントするドライバ活性化誘導方法であって、
上記運転適の発現時に上記条件付け刺激提示手段により、上記ドライバに上記刺激を提示し、上記刺激が一定時間提示された後の上記運転否の発現時に、上記ドライバに上記刺激を提示することを特徴とするドライバ活性化誘導方法。
【請求項15】
運転状態適否判定手段で、運転時の生体信号と運転操作量からドライバの運転状態を運転に適していない状態の運転否と、運転に適している状態の運転適に誘導するのにふさわしい状態の誘導適とを判定し、
条件付け刺激提示手段に有する刺激提示手段で、上記ドライバに刺激を提示し、カウンタで上記刺激の提示回数をカウントするドライバ活性化誘導方法であって、
上記誘導適の発現時に上記条件付け刺激提示手段により、上記ドライバに上記刺激を提示し、上記刺激が一定回数提示された後の上記運転否の発現時に、上記ドライバに上記刺激を提示することを特徴とするドライバ活性化誘導方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−244343(P2006−244343A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−62124(P2005−62124)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】