説明

ナトリウムチャネル遮断薬としてのビアリール置換ピラジノン

式Iにより表されるビアリール置換ピラジノン化合物又は医薬的に許容可能なその塩。医薬組成物は単独又は1種以上の他の治療活性化合物と併用する有効量の本発明の化合物と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する。ナトリウムチャネル活動に関連又は起因する症状(例えば急性疼痛、慢性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、尿失禁、掻痒、アレルギー性皮膚炎、癲癇、過敏性腸症候群、鬱病、不安症、多発性硬化症、及び双極性障害)の治療方法は有効量の本発明の化合物を単独又は1種以上の他の治療活性化合物と併用投与することを含む。局部麻酔法は単独又は1種以上の他の治療活性化合物と併用する有効量の本発明の化合物と、医薬的に許容可能なキャリヤーを投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一連のビアリール置換ピラジノン化合物に関する。特に、本発明は慢性及び神経因性疼痛の治療に有用なナトリウムチャネル遮断薬であるビアリール置換ピラジノンに関する。本発明の化合物は膀胱機能障害、掻痒、アレルギー性皮膚炎及び中枢神経系(CNS)障害(例えば癲癇、躁鬱病、双極性障害、鬱病、不安症及び糖尿病性神経障害)等の他の症状の治療にも有用である。
【背景技術】
【0002】
電位依存性イオンチャネルは電気興奮性細胞に活動電位を発生及び伝播させるので、神経及び筋機能に極めて重要である。ナトリウムチャネルは急速な脱分極を媒介し、活動電位の立ち上がり相を構成し、その結果、電位依存性カルシウム及びカリウムチャネルを活性化することにより特殊な役割を果たす。電位依存性ナトリウムチャネルは多重遺伝子ファミリーを形成する。9種のナトリウムチャネルサブタイプが今日までにクローニングされ、機能的に発現されている。[Clare,J.J.,Tate,S.N.,Nobbs,M.& Romanos,M.A.Voltage−gated sodium channels as therapeutic targets.Drug Discovery Today 5,506−520(2000)]。これらのサブタイプは筋組織と神経組織全体で差別的に発現され、顕著な生体物性を示す。全電位依存性ナトリウムチャネルは他のイオンに比較してナトリウムに対する高度の選択性と電位依存性開閉を特徴とする。[Catterall,W.A.Structure and function of voltage−gated sodium and calcium channels.Current Opinion in Neurobiology 1,5−13(1991)]。マイナスないし過分極の膜電位では、ナトリウムチャネルは閉じる。膜脱分極後、ナトリウムチャネルは急速に開いた後、不活性化する。ナトリウムチャネルは開状態でのみ電流を流し、一旦不活性化すると、膜過分極により休止状態に戻らないと再び開くことができない。各種ナトリウムチャネルサブタイプが活性化及び不活性化する電圧範囲は多様であり、その活性化及び不活性化速度も多様である。
【0003】
ナトリウムチャネルは神経毒、抗不整脈薬、抗痙攣薬及び局部麻酔薬等の各種薬剤のターゲットである。[Clare,J.J.,Tate,S.N.,Nobbs,M.& Romanos,M.A.Voltage−gated sodium channels as therapeutic targets.Drug Discovery Today 5,506−520(2000)]。ナトリウムチャネル二次構造における数個の領域はこれらの遮断薬との相互作用に関与しており、殆どが高度に保存されている。実際に、今日までに知られている殆どのナトリウムチャネル遮断薬は全チャネルサブタイプと同等の効力で相互作用する。しかしながら、癲癇(例えばラモトリジン、フェニトイン及びカルバマゼピン)や所定の心臓不整脈(例えばリグノカイン、トカイニド及びメキシレチン)の治療に対する治療選択性と十分な治療能をもつナトリウムチャネル遮断薬を製造することは可能であった。
【0004】
神経における電位依存性Naチャネルが神経因性疼痛に重要な役割を果たすことは周知である。末梢神経系の損傷の結果、多くの場合には当初の損傷の解消後に神経因性疼痛が長期間持続する。神経因性疼痛の例としては限定されないが、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、慢性腰痛、幻肢痛、癌及び化学療法に起因する疼痛、慢性骨盤痛、複合性局所疼痛症候群及び関連神経痛が挙げられる。一次求心性感覚ニューロンの損傷の結果、神経腫形成及び自発行動と、通常の無害な刺激に応答する誘発行動を生じ得ることが神経因性疼痛ヒト患者及び動物モデルで示されている。[Carter,G.T.and B.S.Galer,Advances in the management of neuropathic pain.Physical Medicine and Rehabilitation Clinics of North America,2001.12(2):p.447−459]。通常サイレントな感覚ニューロンの異所性活動は神経因性疼痛の発生と持続を誘発すると考えられる。神経因性疼痛は一般に損傷した神経におけるナトリウムチャネル活動の亢進に関係があると推測される。[Baker,M.D.and J.N.Wood,Involvement of Na channels in pain pathways.TRENDS in Pharmacological Sciences,2001.22(1):p.27−31]。
【0005】
実際に、末梢神経損傷ラットモデルでは、損傷神経における異所性活動は疼痛行動徴候に対応する。これらのモデルにナトリウムチャネル遮断薬と局部麻酔薬リドカインを静脈内投与すると、一般行動及び運動機能に影響を与えない濃度で異所性活動を抑制し、触覚刺激性アロディニアの進行を逆行させることができる。[Mao,J.and L.L.Chen,Systemic lidocaine for neuropathic pain relief.Pain,2000.87:p.7−17]。これらの有効な濃度はヒトで臨床的に有効であることが示されている濃度と同等であった。[Tanelian,D.L.and W.G.Brose,neuropathic pain can be relieved by drugs that are use−dependent sodium channel blockers:lidocaine,carbamazepine and mexiletine.Anesthesiology,1991.74(5):p.949−951]。プラセボ対照試験では、リドカインの持続注入により末梢神経損傷患者の疼痛スコアが低下し、別の試験では、リドカインの静脈内投与によりヘルペス後神経痛(PHN)に関連する疼痛強度が低下した。[Mao,J.and L.L.Chen,Systemic lidocaine for neuropathic pain relief.Pain,2000.87:p.7−17.Anger,T.ら,Medicinal chemistry of neuronal voltage−gated sodium channel blockers.Journal of Medicinal Chemistry,2001.44(2):p.115−137]。FDAにより現在認可されているPHN治療薬はリドカインを皮膚パッチ形態で投与するLidoderm(登録商標)のみである。[Devers,A.and B.S.Galer,Topical lidocaine patch relieves a variety of neuropathic pain conditions:an open−label study.Clinical Journal of Pain,2000.16(3):205−208]。
【0006】
神経因性疼痛に加えて、ナトリウムチャネル遮断薬は癲癇や心臓不整脈の治療にも臨床用途がある。最近の動物モデル実験によると、ナトリウムチャネル遮断薬は脳卒中又は神経外傷に起因する虚血症状下における神経保護や、多発性硬化症(MS)患者にも有用であるらしい[Clare,J.J.ら及びAnger,T.ら]。
【0007】
国際特許公開WO00/57877はアリール置換ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、及びピロールとナトリウムチャネル遮断薬としてのその使用について記載している。国際特許公開WO01/68612はアリール置換ピリジン、ピリミジン、ピラジン及びトリアジンとナトリウムチャネル遮断薬としてのその使用について記載している。国際特許公開WO99/32462はCNS障害の治療用のトリアジン化合物について記載している。しかし、現在公知の化合物よりも副作用が少なく、高い効力で治療薬としてニューロンナトリウムチャネルを遮断する新規化合物及び組成物が依然として必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は慢性及び神経因性疼痛の治療に有用なナトリウムチャネル遮断薬であるビアリール置換ピラジノンに関する。本発明の化合物は尿失禁、掻痒、アレルギー性皮膚炎、及びCNS障害(例えば不安症、鬱病、癲癇、躁鬱病及び双極性障害)等の他の症状の治療にも有用である。本発明は単独又は1種以上の他の治療活性化合物と併用する本発明の化合物と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物も提供する。
【0009】
本発明は更に本発明の化合物及び医薬組成物を投与することを含む急性疼痛、慢性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛、神経因性疼痛、尿失禁、掻痒、アレルギー性皮膚炎、CNS障害(限定されないが、例えば癲癇、躁鬱病、鬱病、不安症及び双極性障害の治療方法を含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は式(I):
【0011】
【化8】

[式中、R及びRは各々独立して
(a)H、
(b)場合によりF、CF、OH、NR、COOH、CONR、SONR、C(=NH)NH、テトラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、フェニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル及びピペラジニルから構成される群から選択される1個以上の置換基で置換されたC−C−アルキル、
(c)−C(=O)R、COOR、CONR
(d)−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、
(e)NR、−N(COR)R、−N(SO)R、又は
(f)場合によりF、Cl、Br、I及びCNから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたテトラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、フェニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニルもしくはピペラジニルであり;

(a)H、
(b)場合によりCF及びO−(C−C)アルキルから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されたC−C−アルキル、
(c)C−C−アルキル−(C−C)−パーフルオロアルキル、
(d)NH
(e)C−C−アルキル−フェニル、C−C−アルキル−ピリジル、又は
(f)場合によりF、Cl、Br、OH、−O−C−C−アルキル、及びC−C−アルキルから構成される群から選択される1個以上の置換基で置換されたC−C−シクロアルキルであり;

(a)H、又は
(b)C−C−アルキルであるか、
あるいはRとRはそれらが結合しているNと一緒になってC−C−シクロアルキル又はC−C−ヘテロシクロアルキル(前記シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは場合によりF、Cl、Br、OH、−O−C−C−アルキル、及びC−C−アルキルから構成される群から選択される1個以上の置換基で置換されている)を形成してもよく;

(a)H、
(b)場合によりF、CF、Cl、N、OH、O−(C−C)アルキル、S(O)0−2−(C−C)アルキル、O−CONR、NR、N(R)CONR、COOR、CN、CONR、SONR、N(R)SONR、−C(=NH)NH、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、フェニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル及びピペラジニルから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換された−C−C−アルキル、
(c)−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、
(d)C−C−アルキル−C(=O)−R、−C−C−アルキル−C(=O)−C−C−パーフルオロアルキル、又は
(e)−C−C−アルキル−C−C−シクロアルキル(前記シクロアルキルは場合によりF、Cl、Br、OH、−O−C−C−アルキル、及びC−C−アルキルから構成される群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
及びRは各々独立して
(a)H、
(b)場合によりF、CF及び−O−(C−C)アルキルから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換された−C−C−アルキル、
(c)−O−C−C−アルキル、−O−フェニル、−O−C−C−アルキル−フェニル、−O−ピリジル、−O−C−C−アルキル−ピリジル(前記フェニル及びピリジルは場合によりF、Cl、Br、I及びCNから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている)、
(d)−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、−O−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、又は
(e)F、Cl、Br、Iであり;
、R及びRは各々独立して
(a)H、
(b)C−C−アルキル、
(c)場合によりF及びCFから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換された−O−C−C−アルキル、
(d)−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、−O−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、
(e)−O−フェニル、−O−C−C−アルキル−フェニル、−O−ピリジル、−O−C−C−アルキル−ピリジル(前記フェニル及びピリジルは場合によりF、Cl、Br、I、及びCNから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている)、又は
(f)F、Cl、Br、I、−OR、フェニルもしくはピリジル(前記フェニル及びピリジルは場合によりF、Cl、Br、I及びCNから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されている)であり、
但し、RとRが隣接する炭素原子上に存在する場合には、RとRはこれらが結合しているベンゼン環と一緒になってナフチル、キノリニル及びベンゾチアゾリルから構成される群から選択される二環式芳香環を形成してもよく、前記芳香環は場合によりF、Cl、Br、I及びCNから独立して選択される1〜4個の置換基で置換されている]により表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含む。
【0012】
1側面において、本発明はRがH以外のものであり、オルト位に結合しており、他の全可変要素が上記に定義した通りである化学式(I)により表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を提供する。
【0013】
この1側面の1態様において、本発明はRがH、COOR又はCONRであり、他の全可変要素が上記に定義した通りである化学式(I)により表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩を提供する。
【0014】
第2の側面において、本発明は式Ia:
【0015】
【化9】

(式中、RはOR又はC−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキルであり、他の全可変要素は上記に定義した通りである)の化合物を含む化学式(I)により表されるナトリウムチャネル遮断薬又は医薬的に許容可能なその塩を提供する。
【0016】
第3の側面において、本発明は式Ib:
【0017】
【化10】

(式中、RはOR又はC−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキルであり;
はH、F、Cl、Br又はIであり;他の全可変要素は上記に定義した通りである)の化合物を含む化学式(I)により表されるナトリウムチャネル遮断薬又は医薬的に許容可能なその塩を提供する。
【0018】
第4の側面において、本発明は式Ic:
【0019】
【化11】

(式中、R及びRは各々独立してH、F、Cl、Br又はIであり;
はOR又はC−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキルであり;
はH、F、Cl、Br又はIであり;他の全可変要素は上記に定義した通りである)の化合物を含む化学式(I)により表されるナトリウムチャネル遮断薬又は医薬的に許容可能なその塩を提供する。
【0020】
第5の側面において、本発明は式Id:
【0021】
【化12】

(式中、RはF、Cl、Br又はIであり;
はOR又はC−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキルであり;
はH、F、Cl、Br又はIであり;他の全可変要素は上記に定義した通りである)の化合物を含む化学式(I)により表されるナトリウムチャネル遮断薬又は医薬的に許容可能なその塩を提供する。
【0022】
第6の側面において、本発明はIe:
【0023】
【化13】

(式中、RはCONHであり;
はOR又はC−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキルであり;
はH又はFであり;他の全可変要素は上記に定義した通りである)の化合物を含む化学式(I)により表されるナトリウムチャネル遮断薬又は医薬的に許容可能なその塩を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本明細書で使用する「アルキル」及び「アル」で始まる他の基(例えばアルコキシ、アルカノイル、アルケニル、及びアルキニル)は直鎖でも分枝鎖でもその組合せでもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、並びにヘプチルが挙げられる。「アルケニル」、「アルキニル」等の用語は少なくとも1個の不飽和C−C結合を含む炭素鎖を意味する。
【0025】
「シクロアルキル」なる用語はヘテロ原子を含まない炭素環を意味し、一、二及び三環式飽和炭素環や縮合環系が挙げられる。このような縮合環系は縮合環系(例えばベンゾ縮合炭素環)を形成するために1個の部分的又は完全に不飽和の環(例えばベンゼン環)を含むことができる。シクロアルキルとしてはこのような縮合環系(例えばスピロ縮合環系)が挙げられる。シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、デカヒドロナフタレン、アダマンタン、インダニル、インデニル、フルオレニル、及び1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンが挙げられる。同様に、「シクロアルケニル」はヘテロ原子を含まず且つ少なくとも1個の非芳香族C−C二重結合を含む炭素環を意味し、一、二及び三環式部分飽和炭素環やベンゾ縮合シクロアルケン類が挙げられる。シクロアルケニルの例としてはシクロヘキセニル、及びインデニルが挙げられる。「アリール」なる用語は少なくとも1個の環が芳香族である7員環までの安定な任意単環又は二環式炭素環を意味する。アリールの例としてはフェニル、ナフチル、インダニル又はビフェニルが挙げられる。
【0026】
「シクロアルキルオキシ」なる用語は特に指定しない限り短いC1−2アルキル部分によりオキシ結合原子に結合したシクロアルキル基を意味する。
【0027】
「C0−4アルキル」なる用語は4、3、2、1個の炭素原子を含むか、又は炭素原子を含まないアルキルを意味する。炭素原子を含まないアルキルはアルキルが末端基である場合には水素原子置換基であり、アルキルが架橋基である場合には直接結合である。
【0028】
「ヘテロ」なる用語は特に指定しない限り1個以上のO、S、又はN原子を意味する。例えば、ヘテロシクロアルキルとヘテロアリールは環内に1個以上のO、S、又はN原子(このような原子の混合物も含む)を含む環系を意味する。ヘテロ原子は環炭素原子に置換する。従って、例えばC−ヘテロシクロアルキルは4〜0個の炭素原子を含む5員環である。ヘテロアリールの例としてはピリジニル、キノリニル、イソキノリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、キノキサリニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、チエニル、ベンゾチエニル、ピロリル、インドリル、ピラゾリル、インダゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、及びテトラゾリルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例としてはアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリニル、ピロリジン−2−オン、ピペリジン−2−オン、及びチオモルホリニルが挙げられる。
【0029】
「ヘテロC0−4アルキル」なる用語は3、2、1個の炭素原子を含むか又は炭素原子を含まないヘテロアルキルを意味する。但し、少なくとも1個のヘテロ原子が存在していなければならない。従って、例えば炭素原子をもたないが、1個のN原子をもつヘテロC0−4アルキルは架橋基の場合には−NH−であり、末端基の場合には−NHである。O又はSヘテロ原子についても同様の架橋基又は末端基であることは明白である。
【0030】
「アミン」なる用語は特に指定しない限り第1級、第2級及び第3級アミンを意味する。
【0031】
「カルボニル」なる用語は特に指定しない限り、カルボニルが末端基である場合にはC0−6アルキル置換基を意味する。
【0032】
「ハロゲン」なる用語はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子を意味する。
【0033】
「哺乳動物」なる用語はヒトと動物(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ブタ及びウシ)を意味する。
【0034】
「場合により置換」なる用語は置換されている場合とされていない場合の両方があることを意味する。従って、例えば場合により置換されたアリールとはペンタフルオロフェニル又はフェニル環を表すことができる。更に、場合により置換された多重部分、例えばアルキルアリールはアルキル基とアリール基が場合により置換されていることを意味する。多重部分の一部のみが場合により置換されている場合には特に「アリールが場合によりハロゲン又はヒドロキシルで置換されたアルキルアリール」のように言う。
【0035】
「患者」なる用語はヒト及び動物等の哺乳動物対象を意味する。従って、ヒト以外に、患者は例えばイヌ、ネコ、ウマ、ブタ又はウシとすることができる。
【0036】
本明細書に記載する化合物は1個以上の二重結合を含み、従ってシス/トランス異性体及び他の配座異性体とすることができる。本発明は特に指定しない限り、これらの可能な全異性体とこれらの異性体の混合物を含む。
【0037】
本明細書に記載する化合物は1個以上の不斉中心を含むことができ、従ってジアステレオ異性体及び光学異性体とすることができる。本発明はこれらの可能な全ジアステレオ異性体とそのラセミ混合物、その実質的に純粋な分解されたエナンチオマー、可能な全幾何異性体及び医薬的に許容可能なその塩を含む。上記化学式Iは所定位置に明確な立体配置を示していない。本発明は化学式Iの全立体異性体と医薬的に許容可能なその塩を含む。更に、立体異性体の混合物と単離された特定立体異性体も含む。このような化合物を製造するために使用される合成工程の過程や、当業者に公知のラセミ化又はエピマー化工程を使用する際には、このような工程の生成物が立体異性体の混合物となる可能性がある。
【0038】
「医薬的に許容可能な塩」なる用語は医薬的に許容可能な非毒性塩基又は酸から製造された塩を意味する。本発明の化合物が酸性である場合には無機塩基や有機塩基等の医薬的に許容可能な非毒性塩基からその対応する塩を簡便に製造することができる。このような無機塩基から誘導される塩としてはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第1及び第2)、第2鉄、第1鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(第1及び第2)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が挙げられる。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩としては第1級、第2級及び第3級アミン、並びに環式アミン及び置換アミン(例えば天然及び合成置換アミン)の塩が挙げられる。塩を形成することが可能な他の医薬的に許容可能な非毒性有機塩基としては、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等のイオン交換樹脂が挙げられる。
【0039】
本発明の化合物が塩基性である場合には、無機酸や有機酸等の医薬的に許容可能な非毒性酸からその対応する塩を簡便に製造することができる。このような酸としては例えば酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
【0040】
本発明の医薬組成物は活性成分としての本発明の化合物(又は医薬的に許容可能なその塩)と、医薬的に許容可能なキャリヤーと、場合により1種以上の付加治療剤又はアジュバントを含有する。このような付加治療剤としては例えばi)オピエートアゴニスト又はアンタゴニスト、ii)カルシウムチャネルアンタゴニスト、iii)5HT受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、iv)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、v)NMDA受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、vi)COX−2選択的阻害剤、vii)NK1アンタゴニスト、viii)非ステロイド抗炎症薬(「NSAID」)、ix)選択的セロトニン再取込み阻害剤(「SSRI」)及び/又は選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取込み阻害剤(「SSNRI」)、x)三環系抗鬱薬、xi)ノルエピネフリンモジュレーター、xii)リチウム、xiii)バルプロン酸、及びxiv)ニューロンチン(ガバペンチン)が挙げられる。本発明の組成物としては経口、直腸、局所及び非経口(皮下、筋肉内及び静脈内等)投与に適した組成物が挙げられるが、任意所定症例に最適な経路は特定宿主と、活性成分を投与する症状の種類及び重篤度によって異なる。医薬組成物は単位剤形が簡便であり、製薬分野で周知の任意方法により製造することができる。
【0041】
本発明の化合物及び組成物は慢性、内臓、炎症性及び神経因性疼痛症候群の治療に有用である。本発明の化合物及び組成物は外傷性神経損傷、神経圧迫もしくは絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、及び糖尿病性神経障害に起因する疼痛の治療にも有用である。本発明の化合物及び組成物は慢性腰痛、幻肢痛、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛及び関連神経痛、癌、化学療法に関連する疼痛、HIV及びHIV治療により誘発される神経障害の治療にも有用である。本発明の化合物は局部麻酔薬として利用することもできる。本発明の化合物は膀胱炎、膀胱排尿筋過反射、頻尿及び尿失禁(急迫性尿失禁、切迫、及び頻尿症状をもつ過活動膀胱の予防又は治療を含む)等の膀胱機能障害の治療にも有用であると思われる。本発明の化合物は過敏性腸症候群及び関連障害とクローン病の治療にも有用である。
【0042】
本発明の化合物は癲癇と部分性及び全身性強直発作の治療に臨床利用される。本発明の化合物は脳卒中又は神経外傷に起因する虚血症状下における神経保護と、多発性硬化症の治療にも有用である。本発明の化合物は頻脈性不整脈の治療にも有用である。更に、本発明の化合物は気分障害(例えば鬱病又はより特定的には鬱病性障害(例えば単発性又は再発性大鬱病性障害)、又は双極性障害(例えばI型双極性障害、II型双極性障害及び気分循環性障害));不安障害(例えば広場恐怖症を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害歴を伴わない広場恐怖症、特定恐怖症(例えば特定動物恐怖症、対人恐怖症)、強迫性障害、ストレス障害(外傷後ストレス障害及び急性ストレス障害を含む)、及び全般性不安障害)等の神経精神障害の治療にも有用である。
【0043】
本発明の化合物はイヌやネコ等の動物における皮膚の痒み、アトピー性皮膚炎、及びアレルギー性皮膚炎の治療を含め、掻痒、皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、痒み、及び皮膚の痒みの治療にも有用である。
【0044】
当然のことながら、鬱病又は不安症の治療には、ノルエピネフリン再取込み阻害剤、選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、可逆的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリン再取込み阻害剤(SNRI)、α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、非定型抗鬱剤、ベンゾジアゼピン、5−HT1Aアゴニスト又はアンタゴニスト、特に5−HT1A部分アゴニスト、ニューロキニン−I受容体アンタゴニスト、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、及び医薬的に許容可能なその塩等の他の抗鬱剤又は抗不安症剤と本発明の化合物を併用することができる。
【0045】
更に、当然のことながら、本発明の化合物は上記症状及び障害を予防するためと、ナトリウムチャネル活動に関連する他の症状及び障害を予防するために予防薬として有効な用量レベルで投与することができる。
【0046】
本発明の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液剤、又は懸濁液剤は局所用に利用することができる。本発明の目的ではマウスウォッシュやうがい薬も局所用途の範囲に含まれる。
【0047】
炎症性及び神経因性疼痛の疼痛の治療には約0.01mg/kg〜約140mg/kg体重/日又は患者一人1日当たり約0.5mg〜約7gの用量レベルが有用である。例えば、炎症性疼痛は化合物約0.01mg〜75mg/kg体重/日又は患者一人1日当たり約0.5mg〜約3.5gを投与することにより有効に治療することができる。神経因性疼痛は化合物約0.01mg〜125mg/kg体重/日又は患者一人1日当たり約0.5mg〜約5.5gを投与することにより有効に治療することができる。
【0048】
単一剤形を製造するためにキャリヤー材料と配合することができる活性成分の量は治療する宿主と特定投与方式により異なる。例えば、ヒト経口投与用製剤は活性物質約0.5mg〜約5gを合計組成物の約5〜約95%の範囲の適量のキャリヤー材料と配合すると適切である。単位剤形は一般に活性成分約1mg〜約1000mg、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有する。
【0049】
しかし、当然のことながら、任意特定患者の特定用量レベルは種々の因子により異なる。このような患者関連因子としては、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別、及び食事が挙げられる。他の因子としては、投与時間、投与経路、排泄率、薬剤併用及び治療する特定疾患の重篤度が挙げられる。
【0050】
実際に、本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を活性成分として慣用医薬配合技術により医薬キャリヤーと混和することができる。キャリヤーは例えば経口又は非経口(静脈内等)等の投与に所望される製剤形態に応じて多種な形態をとることができる。従って、本発明の医薬組成物は規定量の活性成分を各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤等の経口投与に適した分離単位形態とすることができる。更に、本発明の組成物は散剤、顆粒剤、溶液剤、水性液体懸濁液剤、非水性液剤、水中油エマルション又は油中水液エマルションの形態でもよい。上記一般剤形に加え、本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩は制御放出手段及び/又は送達装置により投与することもできる。本発明の組成物は任意製薬法により製造することができる。一般に、このような方法は1種以上の必要成分を構成するキャリヤーと活性成分を配合する段階を含む。一般に、組成物は活性成分を液体キャリヤー又は微粉固体キャリヤー又はその両者と均一混和することにより製造される。その後、製剤を所望形態に簡便に成形することができる。
【0051】
従って、本発明の医薬組成物は医薬的に許容可能なキャリヤーと式I、Ia、Ib、IcもしくはIdの化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含有することができる。本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を1種以上の治療活性化合物と医薬組成物で併用してもよい。
【0052】
使用する医薬キャリヤーは例えば固体、液体、又は気体とすることができる。固体キャリヤーの例としては乳糖、白土、蔗糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム、及びステアリン酸が挙げられる。液体キャリヤーの例としては糖蜜、落花生油、オリーブ油、及び水が挙げられる。気体キャリヤーの例としては二酸化炭素と窒素が挙げられる。
【0053】
経口剤形用組成物を製造するには、適切な任意医薬媒体を使用することができる。例えば、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤等を使用して懸濁液剤、エリキシル剤及び溶液剤等の経口液体製剤を形成することができ、澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のキャリヤーを使用して散剤、カプセル剤及び錠剤等の経口固体製剤を形成することができる。投与し易いという理由から錠剤とカプセル剤が固体医薬キャリヤーを利用する好適経口投与単位である。場合により、標準水性又は非水性技術により錠剤にコーティングしてもよい。
【0054】
本発明の組成物を含有する錠剤は場合により1種以上の補助成分又はアジュバントを加えて圧縮又は成形により製造することができる。圧縮錠は散剤や顆粒剤等のさらさらした形態の活性成分を場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と混合し、適切な機械で圧縮することにより製造することができる。成形錠は不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することにより製造することができる。各錠剤は活性成分約0.1mg〜約500mgを含むことが好ましく、各カシェ剤又はカプセル剤は活性成分約0.1mg〜約500mgを含むことが好ましい。従って、錠剤、カシェ剤又はカプセル剤に活性成分0.1mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、又は500mgを配合し、錠剤、カシェ剤又はカプセル剤1錠又は2錠を1日1回、2回、又は3回投与すると適切である。
【0055】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は活性化合物の水溶液又は水性懸濁液として製造することができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース等の適切な界面活性剤を加えることができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びその油中混合物中で分散液を製造することもできる。更に、微生物の有害な増殖を防ぐために防腐剤を加えてもよい。
【0056】
注射用に適した本発明の医薬組成物としては滅菌水溶液又は分散液が挙げられる。更に、組成物は前記滅菌注射溶液又は分散液の即席調製用滅菌粉末の形態でもよい。いずれの場合も、最終注射剤形態は無菌でなければならず、注射針を通過し易いように十分流動性でなければならない。医薬組成物は製造及び貯蔵条件下で安定でなければならないので、細菌や真菌等の微生物の汚染作用から保護することが好ましい。キャリヤーは例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、植物油、及び適切なその混合物を含む溶媒又は分散媒とすることができる。
【0057】
本発明の医薬組成物は例えばエアゾール、クリーム、軟膏、ローション、散布剤等の局所用に適した形態とすることができる。更に、組成物は経皮装置で使用するのに適した形態とすることができる。これらの製剤は本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を使用して慣用加工法により製造することができる。1例として、クリーム又は軟膏は親水性材料と水を化合物約5重量%〜約10重量%と混合して所望コンシステンシーをもつクリーム又は軟膏とすることにより製造される。
【0058】
本発明の医薬組成物はキャリヤーを固体とする直腸投与に適した形態とすることができ、例えば混合物は単位用量座剤を形成する。適切なキャリヤーとしてはカカオバターや当分野で一般に使用されている他の材料が挙げられる。座剤はまず組成物を軟化又は溶融キャリヤーと混合した後に冷却し、型で成形することにより簡便に形成することができる。
【0059】
上記キャリヤー成分に加え、上記医薬製剤は希釈剤、緩衝液、香味剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤、及び防腐剤(酸化防止剤を含む)等の1種以上の付加キャリヤー成分を適宜加えてもよい。更に、製剤を所期レシピエントの血液と等張にするように他のアジュバントを加えてもよい。本発明の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を含有する組成物は粉末又は濃厚液形態で製造することもできる。
【0060】
本発明の化合物及び医薬組成物はナトリウムチャネルを遮断することが判明した。従って、本発明の1側面は有効量の本発明の化合物を投与することにより、哺乳動物においてニューロンナトリウムチャネルの遮断により改善することが可能な症状を治療及び予防することである。このような症状としては、例えば急性疼痛、慢性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛及び神経因性疼痛が挙げられる。本発明の化合物及び組成物はヒト及びイヌやネコ等の非ヒト哺乳動物における上記症状(例えば急性疼痛、慢性疼痛、内臓痛、炎症性疼痛、尿失禁、痒み、アレルギー性皮膚炎、掻痒及び神経因性疼痛)の治療及び予防に有用である。当然のことながら、ヒト以外の哺乳動物の治療とは本明細書に記載する症状に相関する非ヒト哺乳動物における臨床症状の治療を意味する。
【0061】
更に、上述したように、本発明の化合物は1種以上の治療活性化合物と併用することができる。特に、本発明の化合物はi)オピエートアゴニスト又はアンタゴニスト、ii)カルシウムチャネルアンタゴニスト、iii)5HT受容体アゴニスト又はアンタゴニスト(5−HT1Aアゴニスト又はアンタゴニスト、及び5−HT1A部分アゴニストを含む)、iv)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、v)N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体アゴニスト又はアンタゴニスト、vi)COX−2選択的阻害剤、vii)ニューロキニン受容体1(NK1)アンタゴニスト、viii)非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、ix)選択的セロトニン再取込み阻害剤(SSRI)及び/又は選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取込み阻害剤(SSNRI)、x)三環系抗鬱薬、xi)ノルエピネフリンモジュレーター、xii)リチウム、xiii)バルプロン酸、xiv)ノルエピネフリン再取込み阻害剤、xv)モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、xvi)可逆的モノアミンオキシダーゼ阻害剤(RIMA)、xvii)α−アドレナリン受容体アンタゴニスト、xviii)非定型抗鬱剤、xix)ベンゾジアゼピン、xx)コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、xxi)ニューロンチン(ガバペンチン)、xxii)抗コリン剤、及びxxiii)ムスカリン受容体アンタゴニストと有利に併用することができる。
【0062】
本明細書で使用する略語は以下の意味をもつ(下記以外の略語は特に指定しない限りそれらが通常使用されている意味をもつ):Ac(アセチル),AIBN(2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)),BINAP(1,1’−ビ−2−ナフトール),Bn(ベンジル),CAMP(環状アデノシン−3’,5’−一リン酸),DAST(三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄),DEAD(アゾジカルボン酸ジエチル),DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン),DIBAL(水素化ジイソブチルアルミニウム),DMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン),DMF(N,N−ジメチルホルムアミド),Dppf(1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン),EDCI(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩),Et3N(トリエチルアミン),GST(グルタチオントランスフェラーゼ),HMDS(ヘキサメチルジシラジド),LDA(リチウムジイソプロピルアミド),m−CPBA(メタクロロ過安息香酸),MMPP(モノペルオキシフタル酸),MPPM(モノペルオキシフタル酸),Ms(メタンスルホニル;メシル;ないしSO2Me),MsO(メタンスルホナートないしメシラート),NBS(N−ブロモスクシンイミド),NSAID(非ステロイド抗炎症薬),o−Tol(オルト−トリル),OXONE(登録商標)(2KHSO5・KHSO4・K2SO4),PCC(クロロクロム酸ピリジニウム),Pd2(dba)3(ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)),(二クロム酸ピリジニウム),PDE(ホスホジエステラーゼ),Ph(フェニル),Phe(ベンゼンジイル),PMB(パラ−メトキシベンジル),Pye(ピリジンジイル),r.t.ないしRT(室温),Rac(ラセミ),SAM(アミノスルホニル;スルホンアミドないしSO2NH2),SEM(2−(トリメチルシリル)エトキシメトキシ),SPA(シンチレーション近接アッセイ),TBAF(フッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム),Th(2−又は3−チエニル),TFA(トリフルオロ酢酸),TFAA(無水トリフルオロ酢酸),THF(テトラヒドロフラン),Thi(チオフェンジイル),TLC(薄層クロマトグラフィー),TMS−CN(シアン化トリメチルシリル),TMSI(ヨウ化トリメチルシリル),Tz(1H(又は2H)−テトラゾール−5−イル),XANTPHOS(4,5−ビス−ジフェニルホスファニル−9,9−ジメチル−9H−キサンテン),C3H5(アリル),Me(メチル),Et(エチル),n−Pr(ノルマルプロピル),i−Pr(イソプロピル),n−Bu(ノルマルブチル),i−ブチル(イソブチル),s−Bu(第2級ブチル),t−Bu(第3級ブチル),c−Pr(シクロプロピル),c−Bu(シクロブチル),c−Pen(シクロペンチル),c−Hex(シクロヘキシル)。
【0063】
以下のインビトロ及びインビボアッセイを使用して本発明の化合物の生物学的活性を評価した。
【0064】
化合物評価(インビトロアッセイ):
ナトリウムチャネル阻害剤の同定はナトリウムイオンがアゴニストにより変化したチャネルを透過するときにナトリウムチャネルが細胞脱分極を生じるか否かに基づく。阻害剤の不在下では、アゴニストにより変化したチャネルがナトリウムイオンに暴露されると細胞脱分極を生じる。ナトリウムチャネル阻害剤はアゴニストにより変化したナトリウムチャネル内のナトリウムイオン移動により生じる細胞脱分極を阻止する。膜電位の変化はドナークマリン(CCDMPE)とアクセプターオキサノール(DiSBAC(3))の2成分を使用する電圧感受性蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)色素対により測定することができる。オキサノールは親油性アニオンであり、膜電位に従って膜に分配される。ナトリウムチャネルアゴニストの存在下でナトリウムの不在下では、細胞の内側は外側に対して陰性であり、オキサノールは膜の外層に蓄積され、クマリンの励起によりFRETが生じる。ナトリウムを添加すると膜脱分極が生じ、細胞の内側にオキサノールが再分配され、その結果、FRETが減少する。従って、膜脱分極後に比変化(ドナー/アクセプター)が増加する。ナトリウムチャネル阻害剤の存在下では、細胞脱分極が生じないため、オキサノールの分配とFRETは変化しない。
【0065】
ポリリジンをコーティングした96ウェルプレートにPN1ナトリウムチャネルを安定的にトランスフェクトさせた細胞(HEK−PN1)を約140,000個/ウェルの密度で増殖させた。培地を吸引し、細胞をPBS緩衝液で洗浄し、0.02%プルロニック酸中10μm CC−DMPE100μlと共にインキュベートした。25℃で45分間インキュベーション後、培地を捨て、細胞を緩衝液で2回洗浄した。20μmベラトリジン、20nmブレベトキシン−3、及び試験サンプルを加えたTMA緩衝液中でDiSBAC(3)100μlと共に細胞をインキュベートした。25℃で45分間暗所にてインキュベーション後、プレートをVIPR装置にセットし、CC−DMPEとDiSBAC(3)の蛍光発光を10秒間記録した。この時点で食塩水緩衝液100μlをウェルに加え、ナトリウム依存性細胞脱分極の程度を測定し、前記2種の色素の蛍光発光を更に20秒間記録した。食塩水緩衝液添加前のCC−DMPE/DiSBAC(3)比は1である。阻害剤の不在下では、食塩水緩衝液添加後の比は>1.5である。ナトリウムチャネルが公知標準又は試験化合物により完全に阻害されている場合には、この比は1に維持される。従って、蛍光比の濃度依存性変化をモニターすることによりナトリウムチャネル阻害剤の活性を測定することができる。
【0066】
電気生理学的アッセイ(インビトロアッセイ):
細胞調製:PN1ナトリウムチャネルサブタイプを安定的に発現するHEK−293細胞株を社内で樹立した。0.5mg/Ml G418、50単位/Ml Pen/Strep及び1Ml熱不活化ウシ胎仔血清を加えたMEM増殖培地(Gibco)で37℃、10%CO下に細胞を培養した。電気生理学的記録のために、ポリ−D−リジンをコーティングした35mm培養皿に細胞をプレーティングした。
【0067】
全細胞記録:EPC−9増幅器とPulseソフトウェア(HEKA Electronics,Lamprecht,ドイツ)を使用して全細胞電圧クランプ(Hamillら,Pfluegers Archives 391:85−100(1981))によりPN1ナトリウムチャネルサブタイプを安定的に発現するHEK−293細胞を試験した。実験は室温で実施した。電極を抵抗2〜4MΩまで火炎研磨した。直列抵抗補償により電圧誤差を最小にし、EPC−9のビルトイン回路を使用して過渡容量を排除した。50kHzでデータを獲得し、7〜10kHzでフィルターした。浴溶液は40mM NaCl,120mM NMDG Cl,1mM KCl,2.7mM CaCl,0.5mM MgCl,10mM NMDG HEPES,Ph7.4から構成し、内部(ピペット)溶液は110mMメタンスルホン酸Cs,5mM NaCl,20mM CsCl,10mM CsF,10mM BAPTA(四Cs塩),10mM Cs HEPES,Ph 7.4から構成した。
【0068】
以下のプロトコールを使用してチャネルの休止及び不活性化状態(夫々K及びK)に対する化合物の定常状態親和性を推定した:
1.−90Mvの保持電位から−60Mv〜+50Mvの脱分極電圧への8ms試験パルスを使用して電流−電圧関係(IV曲線)を設定した。実験のその他の全部分では、IV曲線のピークの近傍の電圧(一般に−10又は0Mv)を試験パルス電圧として使用した。
2.−120Mv〜−10Mvの電位への10sコンディショニングパルス後の8ms試験パルス中に活性化された電流を測定することにより定常状態不活性化(アベイラビリティ)曲線を設定した。
3.チャネルの20〜50%が不活性化された保持電位で化合物を添加し、2秒間隔で8ms試験パルス中にナトリウムチャネル遮断をモニターした。
4.化合物の平衡後、上記プロトコール2)に従って化合物の存在下における定常状態不活性化の電圧依存性を測定した。チャネルの休止状態を遮断する化合物は全保持電位から試験パルス中に誘起される電流を低下させ、主に不活性化状態を遮断する化合物は定常状態不活性化曲線の中間点をシフトさせる。対照と化合物の存在下におけるマイナス保持電位での最大電流(Imax)と定常状態不活性化曲線の中間点の差(ΔV)を使用し、下式:
【0069】
【数1】

【0070】
【数2】

を使用してKとKを計算した。
【0071】
化合物が休止状態に影響を与えなかった場合には、下式:
【0072】
【数3】

を使用してKを計算した。
【0073】
ラットホルマリン肢試験(インビボアッセイ):
ホルマリン(5%)50Ml注射により誘発した行動応答を抑制する能力について化合物を評価した。雄Sprague−Dawleyラット(Charles River,200〜250g)の左後肢に金属バンドを装着し、各ラットをプラスチックシリンダー(直径15cm)内で60分間バンドに馴化させた。ホルマリンチャレンジ前(局所)又は後(全身)にビヒクル又は試験化合物をラットに投与した。局所投与では、エタノール、PEG400及び食塩水(EPEGS)の1:4:5ビヒクル中で化合物を調製し、ホルマリンの5分前に左後肢の足背面に皮下注射した。全身投与では、EPEGSビヒクル又はTween80(10%)/滅菌水(90%)ビヒクル中で化合物を調製し、(ホルマリンの15分後に尾側静脈に)i.v.注射又は(ホルマリンの60分前に)p.o.投与した。自動侵害受容分析器(UCSD Anesthesiology Research,San Diego,CA)を使用してフリンチ数を60分間連続的にカウントした。対応のないt検定を使用して初期(0〜10分)及び後期(11〜60分)段階に検出された合計フリンチ数を比較することにより統計的有意性を検討した。
【0074】
ラットCFAモデルを使用したインビボアッセイ:
左後肢の足底面に完全フロイントアジュバント(CFA:Mycobacterium tuberculosis,Sigma;油/食塩水(1:1)エマルションに懸濁;Mycobacterium0.5mg/Ml)0.2mlを注射することにより片側炎症を誘発した。この用量のCFAは有意な後肢腫脹を生じたが、動物は実験期間にわたって正常なグルーミング行動と体重増加を示した。組織損傷から3日後にRandall−Selitto試験を使用して機械刺激痛覚過敏を評価した。反復測定ANOVA後にDunnettのPost Hoc検定を実施した。
【0075】
SNL:機械刺激性アロディニア(インビボアッセイ):
神経損傷前と2週間後にアップダウンパラダイムを使用して校正von Freyフィラメントで触覚刺激性アロディニアを評価した。ワイヤーメッシュ底付きプラスチックケージに動物を収容し、各試験セッション前に15分間馴化させた。50%応答閾値を測定するために、(0.4〜28.8gの強度範囲で)von Freyフィラメントを足底中央面に8秒間又は屈曲応答が生じるまで接触させた。陽性応答後、刺激を徐々に弱めて試験した。刺激に対して応答がなかった場合には、刺激を徐々に強くした。初期閾値を通過後、試験セッション毎に1匹当たり刺激付与4回ずつこの手順を繰返した。試験化合物の経口投与から1時間後と2時間後に機械刺激感受性を評価した。
【0076】
本発明に記載する化合物は上記インビトロアッセイで約<0.1mM〜約<50mMのナトリウムチャネル遮断活性を示した。化合物が上記インビトロアッセイで<5mMのナトリウムチャネル遮断活性を示すと有利である。化合物が上記インビトロアッセイで<1mMのナトリウムチャネル遮断活性を示すと更に有利である。化合物が上記インビトロアッセイで<0.5mMのナトリウムチャネル遮断活性を示すと更に一層有利である。化合物が上記インビトロアッセイで<0.1mMのナトリウムチャネル遮断活性を示すと更により一層有利である。
【0077】
本発明の化合物は下記一般スキームと実施例に記載する手順に従って製造することができる。以下のスキームと実施例は限定するものではないが、更に本発明の範囲についても記載する。
【0078】
特に指定しない限り、実験手順は以下の条件下で実施した。全操作は室温ないし周囲温度即ち18〜25℃の範囲の温度で実施した。溶媒の蒸発は60℃までの浴温度で減圧下(600〜4000パスカル:4.5〜30mmHg)にロータリーエバポレーターを使用して実施した。反応過程は薄層クロマトグラフィー(TLC)により追跡し、例証のみの目的で反応時間を示す。融点は未補正値であり、「d」は分解を表す。表示する融点は記載するように調製した材料で得られた値である。調製物によっては多形の結果として融点の異なる材料が単離される場合もある。全終産物の構造と純度はTLC、質量分析、核磁気共鳴(NMR)スペクトロメトリー又は微量分析データの少なくとも1種により確認した。収率を記載する場合には例証に過ぎない。NMRデータを記載する場合には、主要診断プロトンのデルタ(δ)値として示し、指定溶媒を使用して300MHz、400MHz又は500MHzで測定し、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)に対する100万分率(ppm)として表す。シグナル形状に使用する慣用略語は、s.一重項;d.二重項;t.三重項;m.多重項;br.広幅等である。更に、「Ar」は芳香族シグナルを意味する。化学記号はその通常通りの意味であり、以下の略語を使用する。v(容量)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、ml(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq(当量)。
【0079】
合成方法
本発明の化合物は下記スキームと実施例に記載する手順に従って製造することができる。特に定義するか又は当業者に自明である場合を除き、置換基は上記式と同一である。
【0080】
本発明の新規化合物は例えばAdvanced Organic Chemistry,March,4th Ed.,John Wiley and Sons,New York,NY,1992;Advanced Organic Chemistry,Carey and Sundberg,Vol.A and B,3rd Ed.,Plenum Press,Inc.,New York,NY,1990;Protective groups in Organic Synthesis,Green and Wuts,2nd Ed.,John Wiley and Sons,New York,NY,1991;Comprehensive Organic Transformations,Larock,VCH Publishers,Inc.,New York,NY,1988;Handbook of Heterocyclic Chemistry,Katritzky and Pozharskii,2nd Ed.,Pergamon,New York,NY,2000とその引用文献に記載されているような当業者に公知の技術を使用して容易に合成することができる。本発明の化合物の出発材料はAldrich Chemical Co.(Milwaukee,WI);Sigma Chemical Co.(St.Louis,MO);Lancaster Synthesis(Windham,N.H.);Ryan Scientific(Columbia,S.C.);Maybridge(Cornwall,UK);Matrix Scientific(Columbia,S.C.);Arcos(Pittsburgh,PA)及びTrans World Chemicals(Rockville,MD)等の市販業者から容易に入手可能な化学前駆物質の標準合成変換を使用して製造することができる。
【0081】
本明細書に記載する化合物の合成手順は1段階以上の保護基操作段階と、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、ラジアルクロマトグラフィー及び高圧クロマトグラフィー(HPLC)等の精製段階を含むことができる。生成物はプロトン及び炭素−13核磁気共鳴(H及び13C NMR)、赤外及び紫外分光法(IR及びUV)、X線結晶分析、元素分析並びにHPLC接続質量分析(LC−MS)等の化学分野で周知の各種技術を使用して特性決定することができる。保護基操作方法、精製方法、構造同定方法及び定量方法は化学合成分野の当業者に周知である。
【0082】
適切な溶媒は反応成分の1種又は全部を少なくとも部分的に溶解し、反応成分又は生成物と有害な相互作用を生じない溶媒である。適切な溶媒は芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、ハロゲン化溶媒(例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジグリム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール)、ニトリル(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル)、ケトン(例えば2−ブタノン、ジエチルケトン、tert−ブチルメチルケトン)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び水である。2種以上の溶媒の混合物を使用することもできる。適切な塩基は一般にアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、及び水酸化カルシウム);アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物(例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム及び水素化カルシウム);アルカリ金属アミド(例えばリチウムアミド、ナトリウムアミド及びカリウムアミド);アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素セシウム);アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ土類金属アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド及びマグネシウムエトキシド);アルカリ金属アルキル(例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム)、アルキルマグネシウムハロゲン化物、有機塩基(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、コリジン、ルチジン、及び4−ジメチルアミノピリジン);並びに二環式アミン(例えばDBU及びDABCO)である。
【0083】
上述したように、経口剤形用組成物を製造するには、通常の医薬媒体の任意のものを利用することができる。例えば、懸濁液剤、エリキシル剤及び溶液剤等の経口液体製剤の場合には、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、防腐剤、着色剤等を使用することができ、散剤、カプセル剤及び錠剤等の経口固体製剤の場合には、澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のキャリヤーを添加することができる。投与し易いという理由から錠剤とカプセル剤が固体医薬キャリヤーを利用する最も有利な経口投与単位である。必要に応じて、標準水性又は非水性技術により錠剤にコーティングしてもよい。上記一般剤形に加え、制御放出手段及び/又は送達装置を使用して本発明の化合物及び組成物を投与することもできる。
【0084】
当然のことながら、下記スキームに記載する化合物中に存在する官能基は適宜当業者に利用可能な標準官能基変換技術を使用して本発明に記載する所望化合物が得られるように更に操作することができる。
【0085】
当業者に自明の他の変形も本発明の範囲と教示に含まれる。本発明は特許請求の範囲に記載する以外には限定されない。
【0086】
本発明のピラジノン化合物は下記スキーム及び実施例に概説するように製造することができる。あるいは、本発明の化合物はTaylor,Takahashi and Kobayshi(Heterocycles 1996,43(2),437−442)、及びBeccallie and Marchesini(Synthesis,1991,861−862)に記載の方法を応用することにより製造することができる。
【0087】
【化14】

【0088】
Sakamoto,T.ら[Chem Pharm.Bull.28:571−577(1980)]により記載されている条件を使用して適切なブロモ又はヨードアセトフェノン1をSeOで酸化すると、対応するカルボン酸が得られ、その後、単離せずに対応するα−ケトエステル2に変換することができる。2を適切なジアミン3と反応させた後、場合によりN−アルキル化によりNH基をキャッピングすると、ピラジノン4及び5の位置異性体混合物が得られる。位置異性体4及び5をクロマトグラフィーにより分離した後、これらの各異性体を適切に置換されたアリールボロン酸6とPd触媒交差カップリングSuzuki反応[Huff,B.ら,Org.Synth.75:53−60(1997);Goodson,F.E.ら,Org.Synth.75:61−68(1997)]させると、ビフェニルピラジノン7及び9が得られる。7におけるRがカルボン酸エステルである場合(R=COOR)には、加水分解すると、対応するカルボン酸(R=COOH)が得られ、その後、カルボニルジイミダゾール(CDI)等の適切なカルボン酸活性化剤の存在下に適切なアミンR−NH−Rで処理すると、アミド8が得られる。あるいは、エステル7をメタノール等の極性溶媒中で過剰のアンモニアで処理すると、対応する第1級アミド8が得られる(R=R=H)。上記化学反応を利用してピラジノン位置異性体9を適切なアミド誘導体に変換することもできる。
【0089】
【化15】

【0090】
スキーム1の代替アプローチでは、ボロン酸6を適切に置換された3−ヨードブロモベンゼン10とカップリングするとビフェニル11が得られ、その後、n−BuLiで処理し、次いでシュウ酸ジエチルで処理すると、α−ケトエステル12が得られる。12を適切なジアミン3と反応させた後、スキーム1に示すように酸加水分解とアミド化を行うと、ピラジノンアミド13及び14の混合物が得られる。位置異性体13及び14の分離後にTMSCHNで処理すると、N−メチルピラジノン15及び16が得られる。
【0091】
【化16】

【0092】
ピラジノン13及び14を他の適切なアルキル化剤でアルキル化し、ピラジノン17及び18を得ることもできる。
【0093】
【化17】

【0094】
別のアプローチでは、スキーム4に示すように、適切に置換されたケトエステル2をジアミノプロピオン酸メチル(19)と縮合すると、ピラジノン酸20が得られ、これを適切なアリールボロン酸6と縮合すると、対応するビフェニルピラジノンカルボン酸21が得られる。スキーム4に記載するようにカルボン酸21からピラジノンカルボキサミド22及び23を製造することができる。
【0095】
【化18】

【0096】
ピラジノンカルボン酸21はスキーム5に概説する代替アプローチを使用して合成することもできる。アリールハロゲン化物(又はトリフラート)24を適切に置換されたアリールボロン酸25とSuzuki条件下でカップリングすると、対応するビフェニルメチルケトン26が得られ、酸化すると、所望ケトエステル12が得られる。
【0097】
適切な溶媒は反応成分の1種又は全部を少なくとも部分的に溶解し、反応成分又は生成物と有害な相互作用を生じない溶媒である。適切な溶媒としては芳香族炭化水素(例えばトルエン、キシレン)、ハロゲン化溶媒(例えば塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン)、エーテル(例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジグリム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール)、ニトリル(例えばアセトニトリル、プロピオニトリル)、ケトン(例えば2−ブタノン、ジエチルケトン、tert−ブチルメチルケトン)、アルコール(例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及び水が挙げられる。2種以上の溶媒の混合物を使用することもできる。適切な塩基としてはアルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、及び水酸化カルシウム);アルカリ金属水素化物及びアルカリ土類金属水素化物(例えば水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム及び水素化カルシウム);アルカリ金属アミド(例えばリチウムアミド、ナトリウムアミド及びカリウムアミド);アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ土類金属炭酸塩(例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素セシウム);アルカリ金属アルコキシド及びアルカリ土類金属アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド及びマグネシウムエトキシド);アルカリ金属アルキル(例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム)、アルキルマグネシウムハロゲン化物、有機塩基(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、ピリジン、コリジン、ルチジン、及び4−ジメチルアミノピリジン);並びに二環式アミン(例えばDBU及びDABCO)が挙げられる。
【実施例】
【0098】
(実施例1)
【0099】
【化19】

【0100】
ステップ1:
【0101】
【化20】

の製造
撹拌棒、冷却管、及びセプタムを取付けた100ml丸底フラスコをNフラッシュし、3−ブロモアセトフェノン(2.50g)と無水ピリジン(20mL)を装入した後、二酸化セレン(2.8g)を加えた。反応混合物を100℃まで加熱した。1時間後に反応混合物を室温まで冷却し、ピリジンを減圧留去した。得られた粘稠油状物を1N HCl50mlとEtOAc50mlに分配した。水相をもう一度EtOAc50mlで抽出し、有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた粗酸を無水トルエン10mlと共沸させた。
【0102】
粗酸を入れた100ml丸底フラスコに無水DMF(20ml)、CsCO(4.11g)、及びヨウ化メチル(3.58g)を順次加えた。混合物を40℃に1時間N下で加熱し、室温まで冷却し、飽和NHCl溶液200mlで希釈し、EtOAc/ヘキサン(1/1)200mlで2回抽出した。有機相を合わせてNaSOで乾燥し、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(25%EtOAc/ヘキサン)により精製すると、所望生成物が得られた。
【0103】
H NMR(CDCl):8.22(s,1H),8.01(d,J=8Hz,1H),7.83(d,J=8Hz,1H),7.44(t,J=8Hz,1H),4.0(s,3H)。
【0104】
MS:m/e 243/245(M+1)
【0105】
ステップ2:
【0106】
【化21】

の製造
撹拌棒とセプタムを取付けた50ml丸底フラスコをNフラッシュし、ステップ1からのケトメチルエステル(0.500g)、無水メタノール(10mL)、及び2,3−ジアミノプロピオン酸メチル(0.772g)[Sigma−Aldrichの市販品である2,3−ジアミノプロピオン酸から製造]を装入した。得られた混合物(白色懸濁液)にナトリウムメトキシド溶液(3.4ml,25%w/w)を5分間滴下した。こうして得られた黄色い反応混合物を空気下に室温で30分間撹拌した後、減圧濃縮した。得られた黄色固体を1N HCl溶液50mlで酸性化し、EtOAc50mlで(2回)抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。こうして得られた粗ピラジノンカルボン酸を減圧乾燥した後、次反応に移した。
【0107】
粗ピラジノンカルボン酸の無水DMF(5ml)溶液にCsCO(0.652g)とヨウ化メチル(0.568g)を順次加え、混合物を40℃に1時間加熱した。反応混合物を次に室温まで冷却し、飽和NHCl溶液50mlで希釈し、EtOAc50mlで(2回)抽出した。有機相を合わせてNaSOで乾燥し、減圧濃縮すると、N−メチルピラジノンの位置異性体混合物が得られた。異性体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50−75%EtOAc/ヘキサン)により分離すると、位置異性体1としてNメチルピラジノンメチルエステルが得られた。
【0108】
H NMR(CDCl):8.54(t,J=2Hz,1H),8.34(d,J=8Hz,1H),8.20(s,1H),7.60(d,J=8Hz,1H),7.34(t,J=8Hz,1H),3.98(s,3H),3.69(s,3H)。
【0109】
MS:m/e 323/325(M+1)
【0110】
位置異性体2:H NMR(CDCl):8.57(t,J=2Hz,1H),8.38(d,J=8Hz,1H),8.04(s,1H),7.60(d,J=8Hz,1H),7.34(t,J=8Hz,1H),3.96(s,3H),3.62(s,3H)。
【0111】
MS:m/e 323/325(M+1)
【0112】
ステップ3:2−(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸:
1−ブロモ−2−(トリフルオロメトキシ)ベンゼン(2g,8.2mmol)の−78℃テトラヒドロフラン(28ml)溶液にn−ブチルリチウム(5.9ml,9.5mmol)を加え、45分間撹拌した。ホウ酸トリイソプロピル(2.58ml,11.1mmol)を反応混合物に滴下し、溶液を16時間かけてゆっくりと室温まで上げた。反応混合物を水でクエンチし、2N NaOHで塩基性化し、酢酸エチルで抽出した。水溶液を2N HClで酸性化し、1時間室温で撹拌し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、ブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過し、濃縮すると、生成物(1.10g,65%)が白色固体として得られた。
【0113】
H NMR(CDCl)(δ,ppm):7.96(dd,J=7.2,1.6Hz,1H),7.53(ddd,J=9.1,7.3,1.8Hz,1H),7.38(td,J=7.3,0.7Hz,1H),7.28(d,J=8.2Hz,1H),5.25(br s,2H)。MS(M+H):206.9。
【0114】
ステップ4:
【0115】
【化22】

の製造
撹拌棒を取付けた10ml丸底フラスコにステップ2からの臭化アリール(0.08g)とステップ3からの2−(トリフルオロメトキシ)フェニルボロン酸(0.153g)を装入した後、KF(0.086g)と無水ジオキサン(1ml)を加えた。次にPd(OAc)(0.011g)と2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル)を順次加え、混合物を100℃まで2時間加熱した。室温まで冷却後、混合物を飽和NHCl 10mlで希釈し、EtOAc/ヘキサン(1/1)10mlで2回抽出した。有機相を合わせてNaSOで乾燥し、濃縮した。粗混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%EtOAc/ヘキサン)により精製すると、所望純ビフェニルピラジノン化合物が得られた。
【0116】
撹拌棒を取付けた厚壁25ml試験管に上記のように得られたメチルエステルを装入した後、アンモニアの2Mメチルアルコール溶液1mlを加えた。試験管をドライアイス浴で−78℃まで冷却し、更に液体アンモニア(〜1ml)を加えた。試験管をTeflon栓で密閉後に40℃まで12時間加熱した後、室温まで冷却した。溶媒と過剰の残渣を減圧下にゆっくりと蒸発させることにより除去した。得られたオフホワイト固体を逆相HPLC(10−90%CHCN/HO)により精製すると、所望ピラジノンアミドが得られた。
【0117】
H NMR(CDCl):8.42(t,J=1.5Hz,1H),8.37(d,J=8Hz,1H),8.25(s,1H),7.61(d,J=8Hz,1H),7.58(d,J=7.5Hz,1H),7.54(m,1H),7.48−7.40(m,3H),3.70(s,3H)。
【0118】
MS:m/e 390(M+1)
【0119】
(実施例2)
【0120】
【化23】

【0121】
ステップ1:
【0122】
【化24】

の製造
撹拌棒を取付けた25ml丸底フラスコに1−ブロモ−3−ヨードベンゼン(1.01g)と2−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸(0.580g)を装入した後、2M NaCO水溶液(3ml)、トルエン(10ml)及びPd(PhP)(0.139g)を加えた。混合物を100℃に2時間加熱した後、室温まで冷却し、飽和NHCl 30mlで希釈し、ヘキサン30mlで(2回)抽出した。有機相を合わせてNaSOで乾燥し、減圧濃縮した。粗混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン使用)により精製すると、所望臭化ビフェニルが油状物として得られた。
【0123】
H NMR(CDCl):7.80(d,J=8Hz,1H),7.62(t,J=7.5Hz,1H),7.58(m,1H),7.55−7.52(m,2H),7.36(d,J=8Hz,1H),7.32(m,2H)。
【0124】
MS(ESI):m/e 301/303(M+1)
【0125】
ステップ2:
【0126】
【化25】

の製造
上記ステップ1からの臭化ビフェニル(0.600g)の−78℃無水THF(5ml)溶液にnBuLiの1.6Mヘキサン溶液(1.42ml)を5分間滴下した。得られた薄黄色溶液を−78℃で15分間撹拌後、予め冷却(−78℃)しておいたシュウ酸ジエチル(0.907g)の無水THF(5ml)溶液を入れた別のフラスコにカニューレで添加した。30分間−78℃で撹拌後、飽和NHCl 30mlを加えて反応混合物をクエンチし、EtOAc/ヘキサン(1/1)20mlで2回抽出した。有機相を合わせてNaSOで乾燥し、減圧濃縮した。粗混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%EtOAc/ヘキサン)により精製すると、所望ケトエステルが得られた。
【0127】
H NMR(CDCl):8.10(d,J=8Hz,1H),8.09(s,1H),7.81(d,J=8Hz,1H),7.66−7.60(m,4H),7.36(d,J=8Hz,1H),4.47(q,J=7.5Hz,2H),1.42(t,J=7.5Hz,3H)。
【0128】
MS(ESI):m/e 323(M+1)
【0129】
ステップ3:
【0130】
【化26】

の製造
上記ステップ2からのケトエステル(0.410g)の無水メタノール(6ml)溶液に周囲温度で2,3−ジアミノプロピオン酸メチル(0.525g)を加えると、白色懸濁液が得られた。15分間撹拌後、NaOMe溶液(2.35ml,25%w/w)を5分間かけてゆっくりと加えた。得られた黄色い反応混合物を室温で空気下に30分間撹拌した後、減圧濃縮した。得られた固体を1N HCl(40ml)で処理し、EtOAc(2×40ml)で抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、減圧乾燥した。こうして得られた粗ピラジノンカルボン酸を下記次段階に移した。
【0131】
撹拌棒とセプタムを取付けた50ml丸底フラスコに(上記からの)粗酸と無水DMF(4ml)をN下に装入した。1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.437g)を加え、混合物を40℃に15分間加熱した。次にNHOAc(0.406g)を一度に加え、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を飽和NHCl溶液50mlで希釈し、EtOAc50mlで(2回)抽出した。有機相を合わせてNaSOで乾燥し、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc)により精製すると、所望ピラジノンアミドが得られた。
【0132】
H NMR(CDOD):6.91(d,J=8Hz,1H),6.85(s,1H),6.52(s,1H),6.40(s,3H),6.26(d,J=8Hz,1H),6.11(t,J=8Hz,1H),6.03(t,J=8Hz,1H),5.97(t,J=8Hz,1H),5.89(t,J=8.5Hz,1H)。
【0133】
MS:m/e 360(M+1)
【0134】
ステップ4:
【0135】
【化27】

の製造
ジエチルエーテル(2ml)とメチルアルコール(2ml)中の(上記ステップ3からの)アミド(0.268g)の溶液にTMSCHNの0℃2Mヘキサン溶液0.75mlを加えた。得られた黄色い混合物を0℃で1時間撹拌し、減圧濃縮した。粗生成物を逆相HPLC(10−90%CHCN/HO)により精製すると、所望N−メチル化物が得られた。
【0136】
H NMR(CDCl):8.34(d,J=7.5Hz,1H),8.24(s,1H),8.19(s,1H),7.75(d,J=8Hz,1H),7.58(t,J=7.5Hz,H),7.51−7.47(m,2H),7.44(d,J=7.5Hz,1H),7.38(d,J=8Hz,1H),7.29(s,1H)。
【0137】
MS(ESI):m/e 374(M+1)
【0138】
本発明の他の実施例は以下の通りである。
【0139】
【表14】


【0140】
【表15】


【0141】
【表16】


【0142】
【表17】

【0143】
【表18】


【0144】
(実施例116)
【0145】
【化28】

【0146】
アミド(実施例32)(0.060g)のDMF(1mL)溶液にクロロアセトン(0.029g)と炭酸カリウム(0.043g)を加えた。得られた混合物を40℃で40分間撹拌した後、飽和NHCl溶液10mLで希釈し、EtOAc/ヘキサン(1/1)20mLで2回抽出した。有機相を合わせてNaSOで乾燥し、減圧濃縮し、精製すると、所望メチルケトンが得られた。
【0147】
H NMR(CDOD):8.47(m,1H),8.36(s,1H),8.20(s,1H),7.67(m,1H),7.63(m,1H),7.50(m,1H),7.41(m,1H),5.13(s,2H),2.15(s,3H)。
【0148】
MS:m/e 434(M+1)
【0149】
(実施例117)
【0150】
【化29】

【0151】
ステップ1:
【0152】
【化30】

の製造
3−(トリフルオロメトキシル)フルオロベンゼン(1g,5.5mmol)の−78℃THF(10mL)溶液にn−BuLi(1.6M,3.75mL)を滴下した。得られた溶液を−78℃で30分間撹拌した。THF(5mL)中のI(2.1g,8.25mmol)を加えた。混合物を室温まで昇温させた後、NaCO/飽和Na(1:10)(30mL)でクエンチした。粗生成物をエーテルで抽出した。エーテル層をNaSOで乾燥し、シリカゲルショートカラムで濾過すると、所望ヨウ化物が油状物として得られた。
【0153】
H NMR(CDCl):7.39(m,1H),7.12(d,J=9.0Hz,1H),7.05(t,J=6.0Hz,1H)。
【0154】
MS(ESI):m/e 307(M+1)
【0155】
ステップ2:
【0156】
【化31】

の製造
(上記ステップ1からの)ヨウ化アリール(1.4g)の無水ジオキサン(20mL)溶液に3−アセチルフェニルボロン酸(2.5g)とKF(0.87g)を加えた後、Pd(dppf)Cl(376mg)を加えた。混合物を90℃まで2時間加熱した。室温まで冷却後、混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を減圧濃縮し、こうして得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10%エーテルを使用)より精製すると、所望生成物が油状物として得られた。
【0157】
H NMR(CDCl):8.05(m,J=8Hz,1H),8.02(s,1H),7.61(s,1H),7.60(s,1H),7.42(m,1H),7.22(d,J=12Hz,1H),7.20(m,1H)。
【0158】
MS(ESI):m/e 299(M+1)
【0159】
ステップ3:
【0160】
【化32】

の製造
(前のステップ2からの)ビフェニルアセトフェノン(2.8g)の無水ピリジン(40mL)溶液に二酸化セレン(2.1g)を加え、混合物を100℃に2時間加熱した。沈殿したセレン(黒色)を濾別し、濾液を減圧濃縮した。得られた残渣を10%NaOHで処理し、エーテルで抽出した。水層を酸性化し、EtOAcで抽出した。有機相をNaSOで乾燥し、減圧濃縮すると、所望生成物が固体として得られた。
【0161】
H NMR(CDCl):8.46(d,J=8Hz,1H),8.41(s,1H),7.75(d,J=8Hz,1H),7.67(t,J=15Hz,1H),7.45(m,1H),7.25(d,J=7Hz,1H),7.21(t,J=18Hz,1H)。
【0162】
MS(ESI):m/e 329(M+1)
【0163】
ステップ4:
【0164】
【化33】

の製造
(ステップ3からの)ケト酸(2g)のDMF(50mL)溶液に硫酸ジメチル(1.5g)とKCO(3.3g)を加えた。混合物を50℃で2時間撹拌した。溶媒を減圧除去し、得られた残渣をEtOAcに溶かし、1N HClで洗浄し、NaSOで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0165】
H NMR(CDCl):8.12(d,J=8Hz,1H),8.09(s,1H),7.72(d,J=9Hz,1H),7.63(t,J=15Hz,1H),7.45(m,1H),7.24(d,J=7Hz,1H),7.19(t,J=18Hz,1H)。
【0166】
MS(ESI):m/e 343(M+1)
【0167】
ステップ5:
【0168】
【化34】

の製造
(ステップ4からの)ケトエステル(1.5g)のMeOH(10mL)溶液に2,3−ジアミノプロピオン酸メチル(1.2g)を加えた後、40%NaOMe(5.7mL)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した後、濃で酸性化した。室温で一晩撹拌後、溶媒を減圧除去した。得られた残渣を次に10%KOHに溶かし、エーテルで洗浄し、HClで酸性化した。混合物をEtOAcで抽出すると、粗生成物が得られ、逆相クロマトグラフィーにより精製すると、最終ピラジノンカルボン酸が得られた。
【0169】
H NMR(CDOD):8.49(d,J=9Hz,1H),8.46(s,1H),8.07(s,1H),7.59(t,J=16Hz,1H),7.47−7.54(m,2H),7.26−7.32(m,2H)。
【0170】
MS(ESI):m/e 395(M+1)
【0171】
(実施例118)
【0172】
【化35】

【0173】
(実施例117のステップ5からの)ピラジノンカルボン酸(1.2g)の無水DMF(10mL)溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(1.4g)を加えた。混合物を40℃に15分間加熱後、無水NHOAc(1.5g)を反応混合物に一度に加えた。混合物を室温で一晩撹拌した後、NHCl溶液(50mL)で希釈し、EtOAcで(2回)抽出した。有機相を合わせてNaSOで乾燥し、減圧濃縮し、逆相クロマトグラフィーにより精製した。
【0174】
H NMR(CDOD):8.49(d,J=9Hz,1H),8.46(s,1H),8.07(s,1H),7.59(t,J=16Hz,1H),7.47−7.54(m,2H),7.26−7.32(m,2H)。
【0175】
MS(ESI):m/e 394(M+1)
【0176】
(実施例119)
【0177】
【化36】

【0178】
(実施例118からの)アミド(100mg)の無水DMF(2mL)溶液にKCO(36mg)と2−ヨードエタノール(90mg)を加えた。反応混合物を50℃に2時間加熱した後、室温まで冷却し、減圧濃縮した。残渣をEtOAcに溶かし、1N HClで洗浄し、NaSOで乾燥し、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:2アセトン/酢酸エチル)により精製すると、所望生成物が白色固体として得られた。
【0179】
H NMR(CDOD):8.46(d,J=8Hz,1H),8.42(s,1H),8.31(s,1H),7.50(t,J=16Hz,1H),7.48−7.58(m,2H),7.27−7.34(m,2H)。
【0180】
MS(ESI):m/e 438(M+1)
【0181】
(実施例120)
【0182】
【化37】

【0183】
ステップ1:臭化3,4−ジフルオロ−6−(トリフルオロメトキシル)ベンジルの製造
【0184】
【化38】

【0185】
2−ブロモ−4,5−ジフルオロフェノール(5g,24mmol)とN−メチルモルホリン(5.3mL,48mmol)の無水THF(20mL)冷(0℃)溶液にクロロジチオギ酸フェニル(3.4mL,24mmol)を加えた。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。溶媒の除去後、残渣をエーテルに溶かし、水とブラインで洗浄した。次にエーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製すると、チオカルボン酸塩8.5gが白色固体として得られた(収率99%)。このチオカルボン酸塩を次にプラスチック瓶でジクロロメタンに溶かした。−78℃でHF−ピリジンを加えた後、ジブロモヒダントインを少量ずつ加えた。反応混合物を室温まで2時間かけて昇温させた。更に2時間室温で撹拌後、反応混合物を2N NaOH水溶液でクエンチし、エーテルで抽出した。有機層を分離し、水とブラインで洗浄した。次にエーテル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけると、最終生成物6.0gが無色油状物として得られた(収率92%)。この生成物を下記ステップ2で使用した。
【0186】
ステップ2:3,4−ジフルオロ−6−(トリフルオロメトキシル)ベンジルボロン酸の製造
【0187】
【化39】

【0188】
臭化3,4−ジフルオロ−6−(トリフルオロメトキシル)フェニル(2g,7.2mmol)の無水THF(20mL)溶液に塩化イソプロピルマグネシウム(5.4mL,THF中2M,11mmol)を加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌した後、ホウ酸トリイソプロピル(2g,11mmol)でクエンチした。得られた混合物を室温で14時間撹拌した。最後に、この反応混合物を2N HClで処理し、3時間撹拌した。有機層を分離し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて水とブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、粗生成物を2N NaOHに溶かし、エーテルで(1回)洗浄した。次に水層をpH〜1まで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。濃縮後、生成物がオフホワイト固体として得られた。
【0189】
H NMR(CDCl)(δ,ppm):7.76(t,J=19Hz,1H),7.15(dd,J=12,19Hz,1H),5.08(bs,2H)。
【0190】
MS(ESI):m/e 243(M+1)
【0191】
ステップ3:
【0192】
【化40】

の製造
(上記ステップ2からの)3,4−ジフルオロ−6−(トリフルオロメトキシル)ベンジルボロン酸(263mg,1.1mmol)、(実施例250,ステップ1からの)1−(3’−ブロモベンゼン)−3−カルボキシルピラジノン(200mg,0.68mmol)、及びNaCO(2N,4mL)のエタノール(4ml)溶液にN下にPd(dppf)Cl(56mg,0.01mmol)を加えた。得られた黄色い懸濁液を90℃で6時間撹拌した。室温まで冷却後、溶媒を減圧除去した。残渣を酢酸エチルと2N HClに分配した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、生成物を高真空ポンプで乾燥し、ステップ4で使用した。
【0193】
ステップ4:
【0194】
【化41】

の製造
上記ステップ3からの粗酸を無水DMFに溶かし、カルボニルジイミダゾール(165mg,1.0mmol)で処理した。反応混合物を55℃で2時間撹拌した後、酢酸アンモニウム(250mg,過剰)を加えた。室温で一晩撹拌後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液とブラインで洗浄した。濃縮後、粗生成物を真空ポンプで乾燥した。粗ピラジノンアミド(50mg,0.11mmol)を無水DMF(1ml)に溶かし、1−ヨードエタノール(29mg,0.18mmol)と炭酸カリウム(24mg,0.18mmol)で処理した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水とブラインで洗浄した。濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、最終生成物が黄色固体として得られた。
【0195】
H NMR(CDCl)(δ,ppm):8.35(m,2H),7.53(m,3H),7.46(bs,1H,),7.37(t,J=17Hz,1H),4.27(d,J=6Hz,2H),4.08(d,J=6Hz,2H)。
【0196】
MS(ESI):m/e 456(M+1)
【0197】
【表19】

【0198】
【表20】

【0199】
【表21】

【0200】
【表22】

【0201】
【表23】

【0202】
(実施例177)
【0203】
【化42】

【0204】
ステップ1:
【0205】
【化43】

の製造
2−ブロモ−4−フルオロフェノール(5g)の0℃THF(100mL)溶液にN−メチルモルホリン(5.25g)とクロロジチオギ酸フェニル(5.18g)を加えた。反応混合物を0℃で2時間撹拌した後、EtOAc(100mL)で希釈し、水(100mL)(2×)と次いでブライン(100mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥し、減圧濃縮すると、所望キサントゲン酸塩が黄色固体として得られた。
【0206】
H NMR(CDCl):7.65(m,2H),7.51(m,2H),7.38(m,1H),7.08−7.16(m,3H)。
【0207】
MS(ESI):m/e 344(M+1)
【0208】
ステップ2:
【0209】
【化44】

の製造
HF/ピリジン(4.4M,4mL)を250mlプラスチック瓶に入れ、(上記ステップ1からの)キサントゲン酸塩(1g)のCHCl(10mL)溶液を加えた。瓶を−78℃まで冷却し、撹拌下に1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(5.1g)を一度に加えた。反応混合物を室温まで昇温させ、反応の進行をNMRによりモニターした。NaOH 15g/氷100gの混合物に注入することにより反応混合物を注意深く中和した。得られた混合物をセライトパッドで濾過し、エーテルで洗浄した。濾液を分離し、有機層を10%KOHと1N HClで洗浄し、NaSOで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン使用)により精製すると、所望臭化アリールが無色油状物として得られた。
【0210】
H NMR(CDCl):7.42(m,1H),7.33(m,1H),7.38(m,1H),7.09(m,1H)。
【0211】
MS(ESI):m/e 192(M+1)
【0212】
ステップ3:
【0213】
【化45】

の製造
(上記ステップ2からの)臭化アリール(5g)のTHF(25mL)溶液に塩化イソプロピルマグネシウム(15mL,THF中2.0M)を室温で加えた。周囲温度で2時間撹拌後、B(OiPr)を反応混合物に加え、一晩撹拌した。反応混合物を1N HClでクエンチし、室温で30分間撹拌し、EtOAcで抽出した。溶媒の減圧除去後に得られた残渣を10%KOHに溶かし、エーテルで抽出した。水相を濃HClで酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮すると、アリールボロン酸が白色固体として得られた。
【0214】
H NMR(CDCl):7.28−7.32(m,1H),7.17−7.22(m,2H)。
【0215】
MS(ESI):m/e 225(M+1)
【0216】
ステップ4:
【0217】
【化46】

の製造
撹拌棒を取付けた250mlシュレンクフラスコに(上記ステップ3からの)ボロン酸1.0gと(実施例1のステップ2からの)3−ブロモ−フェニルピラジノンカルボン酸1.0gを装入した後、EtOH 15mlと1M NaCO 20mlを加えた。反応混合物をNフラッシュした後、Pd(dppf)Cl(69mg)を加えた。反応混合物を95℃に1時間、次いで80℃に一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷却した後、揮発分を減圧除去した。残渣に2%KOH 80mlを加えた。得られた混合物をセライトパッドで濾過し、強く着色したパラジウム残渣を除去した。濾液を3N HClで酸性化し、EtOAc75mlで(2回)抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮すると、粗生成物1.2gが得られた。この生成物をCHCNとHOの混合溶媒から再結晶により更に精製すると、最初の晶出物として薄茶色固体0.71gが得られた。
【0218】
MS(ESI):m/e 395(M+1)
【0219】
(実施例178)
【0220】
【化47】

の製造
(実施例177,ステップ4からの)カルボン酸(0.707g)の無水DMF(5mL)溶液に1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.5g)を加えた。得られた反応混合物を室温で10分間、50℃で更に15分間撹拌した。室温まで冷却後、NHOAc(1.0g)を固体として加えた。室温で一晩撹拌後、反応混合物を水(100mL)で希釈した。形成された沈殿を濾過し、水洗(100mL)し、風乾した。最終生成物が薄黄色固体として単離された(0.67g)。
【0221】
MS(ESI):m/e 394(M+1)
【0222】
(実施例179及び180)
【0223】
【化48】

【0224】
DMF(1mL)中のピラジノン(実施例32)(0.1g)、KCO(36mg)の混合物に反応混合物を90℃に加熱しながら(Kurimura,M.;Achiwa,K.;Chem Pharm Bull,Jap.1993,41,627−629に記載の手順に従って製造した)2−p−トルエンスルホナト−1,3−プロパンジオール(196mg)のDMF(3mL)溶液をシリンジポンプで2時間かけて加えた。90℃に更に2時間加熱後、反応混合物を室温まで冷却し、水(1.5mL)HOとTFA5滴を加えた。得られた溶液を逆相HPLCカラムに注入し、Gilson HPLC(10−90%CHCN/HO)により精製すると、粘性物質52mgが得られた。3:2アセトン/酢酸エチルを溶離液としてこの物質を分取TLCプレートで更に精製すると、179(22mg)と180(10.5mg)が白色固体として得られた。
【0225】
実施例179:MS(ESI):m/e 376(M+1)
【0226】
H NMR(CDOD):8.45(m,1H),8.40(s,1H),8.34(s,1H),7.62(m,2H),7.55(t,J=7.8Hz,1H),7.48(t,J=8.6Hz,1H),7.39(d,J=7.8Hz,1H),5.04(m,1H),4.0(m,2H),3.9(m,2H)。
【0227】
実施例180:MS(ESI):m/e 376(M+1)
【0228】
H NMR(CDOD):8.47(d,J=8.0Hz,1H),8.36(s,1H),8.31(s,1H),7.6(m,2H),7.55(t,J=7.8Hz,1H),7.48(t,J=8.6Hz,1H),7.39(d,J=7.6Hz,1H),4.48(dd,J=13.2,2.9Hz,1H),4.03(m,1H),3.84(m,1H),3.60(d,J=5.3Hz,2H)。
【0229】
【表24】



【0230】
(実施例250)
【0231】
【化49】

【0232】
ステップ1:
【0233】
【化50】

の製造
撹拌棒とセプタムを取付けた50ml丸底フラスコをNフラッシュし、(実施例1,ステップ1からの)ケトメチルエステル(0.500g)、無水メタノール(10mL)、及び[Sigma−Aldrichの市販品2,3−ジアミノプロピオン酸から製造した]2,3−ジアミノプロピオン酸メチル(0.772g)を装入した。得られた混合物(白色懸濁液)にナトリウムメトキシド溶液(3.4mL,25%w/w)を5分間滴下した。こうして得られた黄色い反応混合物を室温で空気下に30分間撹拌した後、減圧濃縮した。得られた黄色固体を1N HCl(50mL)で酸性化し、EtOAc(50mL)で(2回)抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた粗ピラジノンカルボン酸を減圧乾燥した後、アセトニトリルと水を使用して逆相クロマトグラフィーにより精製した。
【0234】
H NMR(d−DMSO):8.49(t,J=1.8Hz,1H),8.42(d,J=8.1Hz,1H),8.09(s,1H),7.66(m,1H),7.43(t,J=8.0Hz,1H)。
【0235】
ステップ2:
【0236】
【化51】

の製造
撹拌棒を取付けた250mlシュレンクフラスコに2−トリフルオロメトキシフェニル ボロン酸(1.0g)と(上記ステップ1からの)ブロモフェニルピラジノンカルボン酸(1.0g)を装入した後、EtOH(15mL)と1M NaCO(20mL)を加えた。反応混合物をNフラッシュし、Pd(dppf)Cl(69mg)を加えた。混合物を95℃に1時間、次いで80℃に一晩加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、揮発分を減圧除去した。得られた残渣を2%KOH(80mL)に溶かし、得られた混合物をセライトパッドで濾過し、高度に着色したパラジウム残渣を除去した。濾液を3N HClで酸性化し、EtOAc(75mL;2×)で抽出した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、減圧濃縮すると、粗生成物(1.2g)が得られた。この生成物をCHCNとHOの混合溶媒から再結晶により更に精製すると、薄茶色固体0.71gが得られた。
【0237】
H NMR(CDOD):8.41(s,1H),8.36(d,J=7.8Hz,1H),8.24(s,1H),7.66(d,J=7.3Hz,1H),7.60(t,J=7.6Hz,1H),7.52(d,J=6.8Hz,1H),7.42(m,3H)。
【0238】
MS(ESI):m/e 377(M+1)
【0239】
ステップ3:
【0240】
【化52】

の製造
ステップ2からのカルボン酸(0.707g)の無水DMF(5mL)溶液にCDIを加えた。得られた反応混合物を室温で10分間撹拌し、50℃で更に15分間撹拌した。室温まで冷却後、NHOAc(1.0g)を固体として加えた。室温で一晩撹拌後、反応混合物を水(100mL)で希釈した。形成された沈殿を濾過し、水洗し、風乾すると、最終アミド生成物が薄黄色固体として得られた(0.67g)
H NMR(CDOD):8.51(s,1H),8.42(m,1H),8.08(s,1H),7.6(m,3H),7.48(m,2H),7.43(m,1H)。
【0241】
MS(ESI):m/e 376(M+1)
【0242】
【表25】

【0243】
【表26】


【0244】
【表27】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、R及びRは各々独立して
(a)H、
(b)場合によりF、CF、OH、NR、COOH、CONR、SONR、C(=NH)NH、テトラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、フェニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル及びピペラジニルから構成される群から選択される1個以上の置換基で置換されたC−C−アルキル、
(c)−C(=O)R、COOR、CONR
(d)−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、
(e)NR、−N(COR)R、−N(SO)R、又は
(f)場合によりF、Cl、Br、I及びCNから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されたテトラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、フェニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニルもしくはピペラジニルであり;

(a)H、
(b)場合によりCF及びO−(C−C)アルキルから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されたC−C−アルキル、
(c)C−C−アルキル−(C−C)−パーフルオロアルキル、
(d)NH
(e)C−C−アルキル−フェニル、C−C−アルキル−ピリジル、又は
(f)場合によりF、Cl、Br、OH、−O−C−C−アルキル、及びC−C−アルキルから構成される群から選択される1個以上の置換基で置換されたC−C−シクロアルキルであり;

(a)H、又は
(b)C−C−アルキルであるか、
あるいはRとRはそれらが結合しているNと一緒になってC−C−シクロアルキル又はC−C−ヘテロシクロアルキル(前記シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルは場合によりF、Cl、Br、OH、−O−C−C−アルキル、及びC−C−アルキルから構成される群から選択される1個以上の置換基で置換されている)を形成してもよく;

(a)H、
(b)場合によりF、CF、Cl、N、OH、O−(C−C)アルキル、S(O)0−2−(C−C)アルキル、O−CONR、NR、N(R)CONR、COOR、CN、CONR、SONR、N(R)SONR、−C(=NH)NH、テトラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、フェニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル及びピペラジニルから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換された−C−C−アルキル、
(c)−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、
(d)C−C−アルキル−C(=O)−R、−C−C−アルキル−C(=O)−C−C−パーフルオロアルキル、又は
(e)−C−C−アルキル−C−C−シクロアルキル(前記シクロアルキルは場合によりF、Cl、Br、OH、−O−C−C−アルキル、及びC−C−アルキルから構成される群から選択される1個以上の置換基で置換されている)であり;
及びRは各々独立して
(a)H、
(b)場合によりF、CF及び−O−(C−C)アルキルから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換された−C−C−アルキル、
(c)−O−C−C−アルキル、−O−フェニル、−O−C−C−アルキル−フェニル、−O−ピリジル、−O−C−C−アルキル−ピリジル(前記フェニル及びピリジルは場合によりF、Cl、Br、I及びCNから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている)、
(d)−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、−O−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、又は
(e)F、Cl、Br、Iであり;
、R及びRは各々独立して
(a)H、
(b)C−C−アルキル、
(c)場合によりF及びCFから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換された−O−C−C−アルキル、
(d)−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、−O−C−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキル、
(e)−O−フェニル、−O−C−C−アルキル−フェニル、−O−ピリジル、−O−C−C−アルキル−ピリジル(前記フェニル及びピリジルは場合によりF、Cl、Br、I、及びCNから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている)、又は
(f)F、Cl、Br、I、−OR、フェニルもしくはピリジル(前記フェニル及びピリジルは場合によりF、Cl、Br、I及びCNから構成される群から独立して選択される1個以上の置換基で置換されている)であり、
但し、RとRが隣接する炭素原子上に存在する場合には、RとRはこれらが結合しているベンゼン環と一緒になってナフチル、キノリニル及びベンゾチアゾリルから構成される群から選択される二環式芳香環を形成してもよく、前記芳香環は場合によりF、Cl、Br、I及びCNから独立して選択される1〜4個の置換基で置換されている]により表される化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項2】
がH以外のものであり、オルト位に結合しており、他の全可変要素が上記に定義した通りである化学式(I)により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項3】
がH、COOR又はCONRであり、他の全可変要素が上記に定義した通りである請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項4】
式Ia:
【化2】

(式中、RはOR又はC−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキルであり、他の全可変要素は上記に定義した通りである)により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項5】
式Ib:
【化3】

(式中、RはOR又はC−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキルであり;
はH、F、Cl、Br又はIであり;他の全可変要素は上記に定義した通りである)により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項6】
式Ic:
【化4】

(式中、R及びRは各々独立してH、F、Cl、Br又はIであり;
はOR又はC−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキルであり;
はH、F、Cl、Br又はIであり;他の全可変要素は上記に定義した通りである)により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項7】
式Id:
【化5】

(式中、RはF、Cl、Br又はIであり;
はOR又はC−C−アルキル−C−C−パーフルオロアルキルであり;
はH、F、Cl、Br又はIであり;他の全可変要素は上記に定義した通りである)により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項8】
下式:
【化6】

から選択される化合物及び医薬的に許容可能なその塩。
【請求項9】
下式:
【表1】


により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項10】
下式:
【表2】


により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項11】
下式:
【表3】



により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項12】
下式:
【表4】

により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項13】
下式:
【表5】


により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項14】
下式:
【化7】


から選択される化合物及び医薬的に許容可能なその塩。
【請求項15】
下式:
【表6】


により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項16】
下式:
【表7】

により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項17】
下式:
【表8】

により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項18】
下式:
【表9】

により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項19】
下式:
【表10】



により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項20】
下式:
【表11】

により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項21】
下式:
【表12】


により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項22】
下式:
【表13】




により表される請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩。
【請求項23】
治療有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項24】
i)オピエートアゴニスト、ii)オピエートアンタゴニスト、iii)カルシウムチャネルアンタゴニスト、iv)5HT受容体アゴニスト、v)5HT受容体アンタゴニスト、vi)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、vii)NMDA受容体アゴニスト、viii)NMDA受容体アンタゴニスト、ix)COX−2選択的阻害剤、x)NK1アンタゴニスト、xi)非ステロイド抗炎症薬、xii)選択的セロトニン再取込み阻害剤、xiii)選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取込み阻害剤、xiv)三環系抗鬱薬、xv)ノルエピネフリンモジュレーター、xvi)リチウム、xvii)バルプロン酸、並びにxviii)ニューロンチンから構成される群から選択される第2の治療剤を更に含有する請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
治療又は予防を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む疼痛の治療又は予防方法。
【請求項26】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む慢性、内臓、炎症性及び/又は神経因性疼痛症候群の治療方法。
【請求項27】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む外傷性神経損傷、神経圧迫もしくは絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、癌及び/又は化学療法に起因又は関連する疼痛の治療方法。
【請求項28】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む慢性腰痛の治療方法。
【請求項29】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む幻肢痛の治療方法。
【請求項30】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含むHIV及びHIV治療により誘発される神経障害、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛及び/又は関連神経痛の治療方法。
【請求項31】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む局部麻酔法。
【請求項32】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む過敏性腸症候群及び/又はクローン病の治療方法。
【請求項33】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む癲癇及び/又は部分性及び全身性強直発作の治療方法。
【請求項34】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む脳卒中又は神経外傷に起因する虚血症状下における神経保護方法。
【請求項35】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む多発性硬化症の治療方法。
【請求項36】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む双極性障害の治療方法。
【請求項37】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む頻脈性不整脈の治療方法。
【請求項38】
治療有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項39】
i)オピエートアゴニスト、ii)オピエートアンタゴニスト、iii)カルシウムチャネルアンタゴニスト、iv)5HT受容体アゴニスト、v)5HT受容体アンタゴニスト、vi)ナトリウムチャネルアンタゴニスト、vii)NMDA受容体アゴニスト、viii)NMDA受容体アンタゴニスト、ix)COX−2選択的阻害剤、x)NK1アンタゴニスト、xi)非ステロイド抗炎症薬、xii)選択的セロトニン再取込み阻害剤、xiii)選択的セロトニン及びノルエピネフリン再取込み阻害剤、xiv)三環系抗鬱薬、xv)ノルエピネフリンモジュレーター、xvi)リチウム、xvii)バルプロン酸、並びにxviii)ニューロンチンから構成される群から選択される第2の治療剤を更に含有する請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
治療又は予防を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む疼痛の治療又は予防方法。
【請求項41】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む慢性、内臓、炎症性及び/又は神経因性疼痛症候群の治療方法。
【請求項42】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む外傷性神経損傷、神経圧迫もしくは絞扼、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経障害、癌及び/又は化学療法に起因する疼痛の治療方法。
【請求項43】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む慢性腰痛の治療方法。
【請求項44】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む幻肢痛の治療方法。
【請求項45】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含むHIV及びHIV治療により誘発される神経障害、慢性骨盤痛、神経腫疼痛、複合性局所疼痛症候群、慢性関節痛及び/又は関連神経痛の治療方法。
【請求項46】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む局部麻酔法。
【請求項47】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む過敏性腸症候群及び/又はクローン病の治療方法。
【請求項48】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む癲癇及び/又は部分性及び全身性強直発作の治療方法。
【請求項49】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む脳卒中又は神経外傷に起因する虚血症状下における神経保護方法。
【請求項50】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む多発性硬化症の治療方法。
【請求項51】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む双極性障害の治療方法。
【請求項52】
治療を必要とする患者に治療有効量又は予防有効量の請求項2に記載の化合物又は医薬的に許容可能なその塩を投与する段階を含む頻脈性不整脈の治療方法。

【公表番号】特表2007−530694(P2007−530694A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506398(P2007−506398)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【国際出願番号】PCT/US2005/010153
【国際公開番号】WO2005/097136
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】