説明

ナノインプリントモールドの洗浄方法

【課題】ナノインプリント用のメサ型のモールドの洗浄においてモールドの破損を抑制する。
【解決手段】ナノインプリントに使用したレジストの残渣が付着した状態のナノインプリントモールドに施される洗浄方法において、平板状の支持部11と、該支持部の一面にありかつ該一面から所定の高さを有するメサ部12を有するモールド1が凹凸パターン領域R1上にフッ素化合物を含有する離型層14を備えた状態で、上記モールド1を洗浄液に浸漬して超音波洗浄を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の凹凸パターンを表面に有するナノインプリント用のモールドを用いてナノインプリントを行った後に施される、そのモールドの洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスクリートトラックメディア(DTM)やビットパターンドメディア(BPM)等の磁気記録媒体、及び半導体デバイスの製造等において、被加工物上に塗布されたレジストにナノインプリントを行うパターン転写技術の利用が期待されている。
【0003】
ナノインプリントは、光ディスク製作では良く知られているエンボス技術を発展させたパターン形成技術である。具体的には、ナノインプリントは、凹凸パターンを形成した型(一般的にモールド、スタンパ、テンプレートとも呼ばれる)を被加工物上に塗布されたレジストに押し付け、レジストを力学的に変形または流動させて微細なパターンを精密に転写する技術である。モールドを一度作製すれば、ナノレベルの微細構造を簡単に繰り返して成型できるため経済的であるとともに、有害な廃棄物および排出物が少ない転写技術であるため、近年、さまざまな分野へも応用が期待されている。
【0004】
従来、上記のようなナノインプリントは、例えば特許文献1に示されるように、全面にわたって平坦な基板の表面に凹凸パターンが形成されたモールドを使用して実施されている。しかしながら、上記のようなモールドを使用した場合には、凹凸パターンが形成された面の全面がレジストと密着してしまい剥離性が低下する、凹凸パターンが形成された面の全面にわたってレジストが流動するためレジストの流動範囲を制限できない、といった問題が生じていた。
【0005】
そこで、例えば特許文献2に示されるように、近年、メサ型のモールドを使用したナノインプリントの開発が進められている。メサ型のモールドとは、例えば図3Aおよび図3Bに示すような台地(メサ)状の構造を有するようなモールド5をいう。具体的には、図3Aおよび図3Bに示すモールド5は、平板状の支持部51と、この支持部51の一面(基準面)S1にありかつこの基準面S1から所定の高さD2を有する台地状のメサ部52とを備え、このメサ部52が、微細な凹凸パターン53が形成された凹凸パターン領域R1を有するような構造をなす。このようなメサ型のモールドを使用した場合には、被加工物上に塗布されたレジストにモールドを押し付けた際に、メサ部の周囲の空間が流動するレジストの逃げ場となるため、上記のような問題が解決される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−76134号公報
【特許文献2】特開2009−170773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のようなメサ型のモールド5では、ナノインプリントを行った後、そのナノインプリントにおいて使用したレジストの残渣を除去するために施される洗浄工程において、次のような問題が生じうる。
【0008】
通常、ナノインプリント用のモールド5の洗浄は、そのモールド5を洗浄液に浸漬し、超音波に掛けることにより施される。しかし、このような超音波洗浄をメサ型のモールド5に適用した場合、超音波洗浄中、支持部51の基準面S1とメサ部52の側面S2とで形成される角Cに応力が集中し、当該角Cが破損(キズが生じたり欠けたりすることを含む)する可能性がある。そして、このような可能性は、超音波洗浄の時間が長くなるほど高くなる傾向にある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ナノインプリント用のメサ型のモールドの洗浄において、モールドの破損を抑制することを可能とする洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法は、
上記モールドが、平板状の支持部と、支持部の一面にありかつこの一面から所定の高さを有するメサ部であって、微細な凹凸パターンが形成された凹凸パターン領域を有する上記メサ部と、上記凹凸パターンに沿って上記凹凸パターン領域上に形成されたフッ素化合物を含有する離型層とを備えたものであり、
ナノインプリントにおいて使用したレジストの残渣が付着した状態の上記モールドを洗浄液に浸漬して、超音波洗浄を行うことを特徴とするものである。
【0011】
そして、本発明に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法において、凹凸パターン領域におけるモールドの表面を構成する元素の構成比率のうちフッ素の構成比率は、10〜50%であることが好ましい。
【0012】
そして、本発明に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法において、フッ素化合物はパーフルオロポリエーテルであることが好ましい。
【0013】
ここで、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(1)で表されるものであることが好ましく、このうち下記構造式(2)で表されるものであることがより好ましい。
【0014】
構造式(1):
【化1】

なお、構造式(1)において、Rfは、パーフルオロアルキル基を表し、
Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基を表し、
a〜eは、それぞれ0以上の整数を表し、a+b+c+d+eは、少なくとも1であり、a〜eが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(1)において任意であり、
Xは、メサ部を構成する材料と化学的に結合可能な官能基を表す。
【0015】
構造式(2):
(OCFCFCFOC−Si(OCH
なお、構造式(2)において、pは重合度(1以上の整数)を表す。
【0016】
或いは、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(3)で表されるものであることが好ましく、このうち下記構造式(4)で表されるものであることがより好ましい。
【0017】
構造式(3):
m−nM−Z−Y−X−(OC−(OC−(OCF−O−X−Y−Z−MPm−n
なお、構造式(3)において、a〜cはそれぞれ0以上の整数を表し、a+b+cは少なくとも1であり、a〜cが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(3)において任意であり、
Xは、構造式(3−1):−(O)−(CF−(CH−(ここで、d、e及びfはそれぞれ0以上の整数を表し、e及びfの和は少なくとも1であり、d、e及びfが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は、構造式(3−1)において任意であるが、Oは連続しない。)で示される基を表し、
Yは、二価の極性基または単結合を表し、
Zは、構造式(3−2):−(CH−(ここで、gは0以上の整数を表す。)で示される基を表し、
−MPm−nは、メサ部を構成する材料と化学的に結合可能な官能基を表し、
Mは、ケイ素原子、チタン原子またはアルミニウム原子を表し、
Pは、水酸基または加水分解可能な極性基を表し、
Rは、水素または炭化水素基を表し、
mは、(Mで表される原子の価数−1)の整数を表し、
nは、1〜mの整数を表し、
−OC−は、−OCFCFCF−、または−OCF(CF)CF−を表し、
−OC−は、−OCFCF−、または−OCF(CF)−を表す。
【0018】
構造式(4):
(CHO)Si−CHCHCH−O−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−O−CHCHCH−Si(OCH
なお、構造式(4)において、j及びkは重合度(1以上の整数)を表す。
【0019】
そして、本発明に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法において、レジストは、イソボロニルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、シリコーンモノマー系化合物およびフッ素化合物のいずれかを含有するものであることが好ましい。
【0020】
そして、本発明に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法において、メサ部は、メサ部の凹凸パターン領域でない領域に、洗浄時に生じる凹凸パターンの欠けを防止する欠け防止パターンを備えたものであることが好ましい。
【0021】
そして、本発明に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法において、欠け防止パターンは、アライメントマークとして用いられる形状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法によれば、メサ型の上記モールドが、上記凹凸パターン領域上にフッ素化合物を含有する離型層を備えたものであるから、モールドとレジスト残渣との間に働く接着力を低下せしめることができる。これにより、モールドに付着するレジスト残渣を減少せしめ、さらにレジスト残渣が付着したとしても容易にそのレジスト残渣を除去することが可能となる。その結果、超音波洗浄を行う時間を短縮することができるため、ナノインプリント用のメサ型のモールドの洗浄において、モールドの破損を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1A】本発明の第1の実施形態の洗浄方法に係るメサ型のモールドを示す概略断面図である。
【図1B】図1Aにおけるモールドの凹凸パターン領域の一部の断面を示す概略拡大図である。
【図2A】本発明の第2の実施形態の洗浄方法に係るメサ型のモールドを示す概略斜視図である。
【図2B】図2AにおけるモールドのA−A線での断面を示す概略断面図である。
【図3A】従来のメサ型のモールドを示す概略斜視図である。
【図3B】図3AにおけるモールドのB−B線での断面を示す概略断面図である。
【図4】(a)実施例における十字状の欠け防止パターンを示す概略平面図である。(b)図4aにおけるC−C線での端面を示す概略部分端面図である。(c)図4aにおけるD−D線での端面を示す概略部分端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明するが、本発明はこれに限られるものではない。なお、視認しやすくするため、図面中の各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある。
【0025】
「第1の実施形態のモールドの洗浄方法」
本実施形態のモールドの洗浄方法は、図1Aおよび図1Bに示すようにモールド1がメサ型基板10と離型層14とを備えたものであり、ナノインプリントにおいて使用したレジストの残渣が付着した状態の上記モールド1を洗浄液に浸漬して、超音波洗浄を行うものである。メサ型基板10は、平板状の支持部11と、支持部11の一面(基準面)S1にありかつこの基準面S1から所定の高さD2を有するメサ部12であって、微細な凹凸パターン13が形成された凹凸パターン領域R1を有する上記メサ部12を備える。また、離型層14は、上記凹凸パターン13に沿って上記凹凸パターン領域R1上に形成されたものであり、フッ素化合物を含有する。
【0026】
このようなメサ型のモールド1は、例えば、平板状の基板にメサ加工(メサ部を残すようにその周囲の基板材料を除去する加工)を施し、その後メサ部の表面にレジストを塗布してレジスト膜を形成し、電子線描画装置を用いてこのレジスト膜を所望のパターンに露光し、露光した部分のレジスト膜を除去し、所望のパターンに形成されたレジスト膜をマスクとしてエッチングを行い、マスクを除去し、その後フッ素化合物を含有する溶液に基板を暴露して基板表面に離型層を形成することにより製造することができる。
【0027】
メサ型基板10に関して図1Aでは、支持部11の基準面S1とメサ部12の側面S2とで形成される角Cが直角となるように示されているが、基準面S1および側面S2の形態は必ずしもこのような形態に限定されない。すなわち、基準面S1および側面S2が連続的に接続されることにより角Cが曲率を有する場合であっても、程度の違いはあるものの角Cに超音波洗浄中に応力が集中することに変わりはない。なお、最も応力が集中する場合は角Cが直角となる場合であるため、本発明はこのような場合に特に有効である。
【0028】
メサ型基板10において、平板状の基板がメサ加工されることにより、支持部11およびメサ部12は一体的に形成されている。メサ型基板10の材料は、例えばシリコン、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、タンタルおよびタングステン等の金属材料、並びにそれらの酸化物、窒化物および炭化物とすることができる。具体的には、メサ型基板10の材料としては、酸化シリコン、酸化アルミニウム、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラスおよびソーダガラス等を挙げることができる。
【0029】
支持部11の厚さD1は、5000〜7000μmであり、より好ましくは6000〜6500μmである。また、メサ部12の厚さD2は、5〜30μmであり、より好ましくは10〜20μmである。
【0030】
凹凸パターン13の形状は、特に限定されず、ナノインプリントの用途に応じて適宜選択される。例えば典型的なパターンとして図1Bに示すようなライン&スペースパターンである。そして、ライン&スペースパターンのライン(凸部)の長さ、ラインの幅W1、ライン同士の間隔W2および凹部底面からのラインの高さHは適宜設定される。例えば、ラインの幅W1は10〜100nm、より好ましくは20〜70nmであり、ライン同士の間隔W2は10〜500nm、より好ましくは20〜100nmであり、ラインの高さ(スペースの深さ)Hは10〜500nm、より好ましくは30〜100nmである。これは、凹凸パターンが微細であるほど、本発明の洗浄方法が洗浄時における凹凸パターンの破損を抑制する効果を発揮できるためである。
【0031】
離型層14は、フッ素化合物を含有した層である。さらに、メサ型基板10と離型層14との密着性を向上させる観点から、フッ素化合物は、メサ型基板10(つまりメサ部12)を構成する材料と化学的に結合可能な官能基を有することが好ましい。そして、離型層14は、当該官能基によってメサ型基板10の上記表面と結合したフッ素化合物の分子膜を含有するものであることが好ましい。
【0032】
さらに、フッ素化合物は、フッ酸(Hydrogen fluoride)、フッ化アンモニウム(Ammonium Fluoride)、テトラメチルアンモニウムフルオライド(Tetramethylammonium Fluoride)、フッ化水素(Ammonium Hydrogen fluoride)、ホウフッ化水素酸(Fluoroboric Acid)、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(Tetramethylammonium tetrafluoroborate)などのような基板を痛める化合物は好ましくなく、酸度が低いものが好ましい。洗浄液組成物のpHが0.1未満であると、モールドの凹凸パターンに残留するレジスト残渣の洗浄能力は優秀であるが、モールドを構成する材料および/または表面のその酸化物がエッチングされることにより、上記凹凸パターンの寸法が設計値からずれるという問題が発生しうる。また、洗浄液組成物のpHは4より大きいことが好ましい。
【0033】
また、フッ素化合物はパーフルオロポリエーテルであることが好ましい。メサ型基板10を構成する材料と化学的に結合可能な官能基を有するパーフルオロポリエーテルは、例えば下記構造式(1)で表されるものとすることができる。
【0034】
構造式(1):
【化2】

【0035】
構造式(1)において、Rfは、パーフルオロアルキル基であれば特に限定されず、例えば、炭素数1〜16の直鎖状又は分岐状のものを挙げることができる。好ましくは、CF−、C−、C−である。Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基を表す。a〜eそれぞれは、パーフルオロポリエーテル鎖の括弧でくくられた繰返し単位の繰返し単位数を表し、それぞれ0以上の整数を表す。ここで、a+b+c+d+eは、少なくとも1である。a〜eそれぞれは、0〜200が好ましく、後述するパーフルオロポリエーテルの数平均分子量を考慮すれば、0〜50がより好ましい。a+b+c+d+eは、好ましくは1〜100である。
【0036】
a〜eが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は、便宜上構造式式(1)中においてはこの順に記載したが、パーフルオロポリエーテルの構成に鑑み、これらの各繰返し単位の結合順序は、この順に限定されるものではない。
【0037】
Xは、メサ型基板10を構成する材料と化学的に結合可能な官能基を表す。「化学的に結合可能」とは、常温〜200℃程度の温度で、必要により加湿下、メサ型基板10と接触させることにより、そのメサ型基板10を構成する材料と化学的に反応することをいう。パーフルオロポリエーテルが化学的に結合しているか否かは、上記反応後、上記パーフルオロポリエーテルを溶解する薬剤でメサ型基板10の表面を十分に洗浄した後、その表面の接触角を測定することなどにより、確認することができる。官能基Xは、メサ型基板10の材料に応じて種々選択することができるが、反応性の観点から、ケイ素原子、チタン原子若しくはアルミニウム原子を含む加水分解性基、ホスホノ基、カルボキシル基、水酸基又はメルカプト基であることが好ましい。なかでも、ケイ素原子を含む加水分解性基が好ましい。特に、Xがケイ素原子を含む加水分解性基である場合、下記構造式(1−1)で表される基が好ましい。
【0038】
構造式(1−1):
【化3】

【0039】
上記構造式(1−1)中のYは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。上記炭素数1〜4のアルキル基としては特に限定されず、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等を挙げることができ、直鎖状であっても分岐状であってもよい。上記構造式(1−1)のX′は、水素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。上記構造式(1−1)中のlは、パーフルオロポリエーテル鎖を構成する炭素とこれに結合するケイ素との間に存在するアルキレン基の炭素数を表し、0、1又は2であるが、より好ましくは、0である。
【0040】
上記構造式(1−1)中のmは、ケイ素に結合する置換基Rの結合数を表し、1、2又は3である。置換基Rが結合していない部分には、当該ケイ素にはRが結合する。
【0041】
上記構造式(1−1)中の上記Rは、水酸基又は加水分解可能な置換基を表す。上記加水分解可能な置換基としては特に限定されず、好ましいものとしては、例えば、ハロゲン、−OR、−OCOR、−OC(R)=C(R、−ON=C(R、−ON=CR[式中、Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、Rは、水素又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、炭素数3〜6の2価の脂肪族炭化水素基を表す。]等を挙げることができる。より好ましくは、塩素、−OCH、−OCである。上記Rは、水素又は1価の炭化水素基を表す。上記1価の炭化水素基としては特に限定されず、好ましいものとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル等を挙げることができ、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0042】
上記構造式(1−1)中のnは、1以上の整数を表し、特に上限はないが、本発明の目的を達するためには、1〜10の整数であることが好ましい。上記nは、構造式(1−1)中においては整数を表すが、このような整数nを有する構造式(1)で表されるポリマーの混合物として本発明に係るパーフルオロポリエーテルが存在していてもよい。このように混合物としてパーフルオロポリエーテルが存在する場合には、上記nは、当該混合物中において平均値として表すことができ、当該パーフルオロポリエーテルが混合物として存在する場合には、本発明の目的を考慮すれば、nの平均値は、1.3〜3が好ましく、1.5〜2.5が特に好ましい。
【0043】
上記構造式(1)に係るパーフルオロポリエーテルの数平均分子量は、5×10〜1×10である。5×10未満では、ポリマーとしての性質を有しないので利用価値がなく、1×10を超えると加工性に乏しくなるので、上記範囲に限定される。好ましくは、1×10〜1×10である。
【0044】
上記の記載を考慮し、パーフルオロポリエーテルの好ましいものとして、例えば、構造式(1−2)で表されるもの等を挙げることができる。
【0045】
構造式(1−2):
【化4】

【0046】
上記構造式(1−2)中のpは、1以上の整数であれば特に限定されないが、1〜200が好ましく、本発明のケイ素含有の含フッ素ポリマーの数平均分子量を考慮すれば、より好ましくは、1〜50である。上記パーフルオロポリエーテルとしては、通常市販されているものを用いることができる。Xがケイ素原子を含む加水分解性基の場合は、通常市販されているパーフルオロポリエーテルを原料として用い、末端に例えばヨウ素を導入した後、これに例えば下記構造式(1−3)[式中、Y、R、R、l、mは、前記と同じ。]で表されるビニルシラン化合物を反応させること等により得ることができる。
【0047】
構造式(1−3):
【化5】

【0048】
さらに、パーフルオロポリエーテルが構造式(1)で表される場合、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(2)で表されるものであることがより好ましい。
【0049】
構造式(2):
(OCFCFCFOC−Si(OCH
構造式(2)において、pは重合度(1以上の整数)を表す。
【0050】
一方、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(3)で表されるものとすることができる。
【0051】
構造式(3):
m−nM−Z−Y−X−(OC−(OC−(OCF−O−X−Y−Z−MPm−n
【0052】
構造式(3)において、a〜cはそれぞれ0以上の整数を表し、a+b+cは少なくとも1である。a〜cが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(3)において任意である。
【0053】
また構造式(3)において、Xは、構造式(3−1):−(O)−(CF−(CH−(ここで、d、e及びfはそれぞれ0以上の整数を表し、e及びfの和は少なくとも1であり、d、e及びfが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は、構造式(3−1)において任意であるが、Oは連続しない。)で示される基を表す。Yは、二価の極性基または単結合を表す。Zは、構造式(3−2):−(CH−(ここで、gは0以上の整数を表す。)で示される基を表す。−MPm−nは、メサ型基板10を構成する材料と化学的に結合可能な官能基を表す。Mは、ケイ素原子、チタン原子またはアルミニウム原子を表す。Pは、水酸基または加水分解可能な極性基を表す。Rは、水素または炭化水素基を表す。mは、(Mで表される原子の価数−1)の整数を表す。nは、1〜mの整数を表す。−OC−は、−OCFCFCF−、または−OCF(CF)CF−を表す。−OC−は、−OCFCF−、または−OCF(CF)−を表す。
【0054】
さらに上記構造式(3)中のa、b及びcは、好ましくはそれぞれ0〜200の整数である。さらにa、b及びcは、含フッ素ポリマーの数平均分子量を考慮すれば、より好ましくは、1〜100の整数である。
【0055】
上記構造式(3)におけるXの構造式(3−1)中のd、e及びfは、好ましくは、それぞれ0〜50の整数である。ここで、d、e及びfは、好ましくは0、1または2であり、より好ましくはd=0または1、e=2、f=0または1である。
【0056】
上記構造式(3)中のYで表される二価の極性基は、例えば、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−OCHCH(OH)CH−、−CHCH(OH)CHO−、−COS−、−SCO−、−O−等を挙げることができる。好ましくは、−COO−、−CONH−、−OCHCH(OH)CH−または−CHCH(OH)CHO−である。
【0057】
上記構造式(3)におけるZの構造式(3−2)中のgは、好ましくは0〜50の整数であり、より好ましくは0、1、2または3である。
【0058】
上記構造式(3)中の官能基−MPm−nは、メサ型基板10への反応性の観点から、Mとしては、周期表の1族〜15族の金属元素が挙げられ、ケイ素原子、チタン原子若しくはアルミニウム原子であることが好ましい。なかでも、Mとしては、ケイ素原子が好ましい。官能基−MPm-nとしては、−SiP3−nで表されるケイ素原子を含む加水分解性基が好ましい。
【0059】
上記構造式(3)中、Mの価数は、Mで表される金属原子の性質にもよるが、通常1〜5、例えば、2〜5、特に3〜5である。例えば、上述のように、Mがケイ素原子(Si)の場合では、m=3であり、n=1、2または3である。しかし、通常含フッ素ポリマーは、異なるnを有する構造式(3)で表されるポリマーの混合物として存在している場合が多い。このように混合物として含フッ素ポリマーが存在する場合には、上記nは、混合物中において平均値として表すことができる。
【0060】
上記構造式(3)中、Rで表される炭化水素基は、好ましくは1〜5の炭素原子を含む1価の炭化水素基であり、具体的には、−CH、−C、−C、−Cなどのアルキル基が例示でき、直鎖状であっても分岐状であってもよい。
【0061】
上記構造式(3)中、Pで表される加水分解可能な置換基としては、特に限定されず好ましいものとしては、例えば、ハロゲン、−OR、−OCOR、−OC(R)=C(R、−ON=C(R、−ON=CR[式中、Rは、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、Rは、水素又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、Rは、炭素数3〜6の2価の脂肪族炭化水素基を表す。]等を挙げることができる。Pとしてより好ましくは、塩素、−OCH、−OCである。
【0062】
上記構造式(3)に係るパーフルオロポリエーテルの数平均分子量については、上記構造式(1)の場合と同様である。
【0063】
上記構造式(3)において、Yが二価の極性基であるパーフルオロポリエーテルは、好ましくは、構造式(3−3)で表される化合物と構造式(3−4)で表される化合物とを反応させることにより合成することができる。
【0064】
構造式(3−3):
Q−Z−M−Pm−n
構造式(3−3)中、Z、M、P、R、m及びnは、構造式(3)の説明において前述した意味と同義であり、Qは極性基を表す。
【0065】
構造式(3−4):
T−X−(OC−(OC−(OCF−X−T
構造式(3−4)中、X、a、b及びcは、構造式(3)の説明において前述した意味と同義であり、Tは極性基を表す。
【0066】
構造式(3−3)のQ及び構造式(3−4)のTが反応することにより、構造式(3)のYを形成する。即ち、極性基Q及び極性基Tは、上記のYに対応する二価の極性基を形成し得る極性基である。極性基Qとしては、例えば、−COOH、−OH、−NH、−SH、−Hal(ハロゲン)または構造式(3−5)で表される基等を挙げることができる。
【0067】
構造式(3−5):
【化6】

【0068】
また、極性基Tとしては、例えば、HO−、HOOC−、Hal−CO−(酸ハライド)、HN−、HS−、または構造式(3−6)で表される基等を挙げることができる。
【0069】
構造式(3−6):
【化7】

【0070】
極性基Qと極性基Tの反応は、公知の反応(例えば、脱水縮合反応、エポキシの開環反応)により実施することができる。
【0071】
上記構造式(3)で表されるパーフルオロポリエーテルのうち、好ましいものとして、例えば、下記構造式(3−7)で表される化合物を挙げることができる。
【0072】
構造式(3−7):
m−nSi−Z−Y−X−(OC−(OC−(OCF−O−X−Y−Z−SiPm−n
【0073】
構造式(3−7)中、a、b、c、X、Y、Z、R、Pは、構造式(3)の説明において前述した意味と同義である。
【0074】
さらに、パーフルオロポリエーテルが構造式(3)で表される場合、パーフルオロポリエーテルは、下記構造式(4)で表されるものであることが好ましい。
【0075】
構造式(4):
(CHO)Si−CHCHCH−O−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−O−CHCHCH−Si(OCH
【0076】
構造式(4)中、j及びkは重合度(1以上の整数)を表す。
【0077】
上記構造式(4)は、例えばアウジモント社製のフォンブリンZDOLを用いることによって生成することが可能である。フォンブリンZDOLとは、具体的には、下記構造式式(4−1)で表される化合物である。
【0078】
構造式(4−1):
HO−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−OH
【0079】
構造式(4−1)中、j及びkは重合度(1以上の整数)を表す。数平均分子量は約2000である。
【0080】
例えば、上記構造式(4−1)で示されるフォンブリンZDOLに、NaH(ソディウムハイドライド)を反応させて両端の水酸基をソディウムオキサイドとし、これにアリルブロマイドを反応させて両端の水酸基をアリル化する。得られた末端不飽和化合物に対し、トリクロロシラン(SiHCl)でハイドロシリレーションを行う。その後、メタノールを作用させケイ素上の塩素原子をメトキシで置換して、上記構造式(4)で示される化合物を得ることができる。
【0081】
離型層14の形成は、メサ型基板10をパーフルオロポリエーテルに暴露することにより行うことが好ましい。これにより、パーフルオロポリエーテルの主鎖が平行に配列した分子膜を得ることができる。具体的には以下の通りである。
【0082】
パーフルオロポリエーテルは、0.01から10重量パーセント、好ましくは0.01から1重量パーセント、より好ましくは0.01から0.2重量パーセントの濃度にフッ素系不活性溶剤で希釈して使用する。すなわち、このような希釈溶液に、メサ型基板10を浸漬することにより離型層の形成を行うのが好ましい。上記フッ素系不活性溶剤としては、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルシクロヘキサン、ジクロロペンタフルオロプロパン(HCFC−225)等を挙げることができる。浸漬する際の温度は特に限定されないが、0℃〜100℃であればよい。また、浸漬に必要な時間は温度に応じて変化するが、通常、10分以内がよく、1分程度でも十分である。
【0083】
また、離型層14の形成は、減圧下でパーフルオロポリエーテルの蒸気にメサ型基板10を暴露することにより行うこともできる。この場合の気圧としては、1気圧未満で0.01気圧以上の範囲内であれば特に限定されない。メサ型基板10をパーフルオロポリエーテルの蒸気に暴露するためには、例えば、上記パーフルオロポリエーテルの希釈溶液を加熱して蒸気にした状態でメサ型基板10を放置してもよいし、メサ型基板10にパーフルオロポリエーテルの蒸気を吹きつけてもよい。この場合の蒸気の温度は、100℃〜250℃程度でよい。
【0084】
離型層14における層の粗密を含めた被覆度合(つまり、フッ素化合物のメサ部12表面への結合度合)は、フッ素化合物の希釈溶液にメサ型基板10を暴露する時間やその希釈溶液の濃度を調整することにより適宜設計することが可能である。
【0085】
なお離型層14は、ナノインプリントを実施する前に形成しておく必要がある。つまり、離型層14が凹凸パターン領域上に存在する状態でナノインプリントを実施する。ここで、フッ素化合物とレジストとの間に働く接着力は、メサ型基板10を構成する材料とレジストとの間に働く接着力よりも小さいため、レジストからモールド1を剥離したときのレジストの残渣自体が減少する。また、仮にレジストの残渣がモールド1に付着したとしても容易にそのレジスト残渣を除去することが可能となる。これは、モールド1とレジストとの間に働く接着力の低下や、付着したレジスト残渣をフッ素化合物が包み込みそのまま一緒に除去されること等が起因していると考えられる。
【0086】
離型層14は、ナノインプリントを繰り返し実施している間に磨耗する。したがって、本発明のモールド1の洗浄方法において、凹凸パターン領域R1におけるモールド1の表面(つまり、離型層14を含めた表面)を構成する元素の構成比率のうちフッ素の構成比率が、10〜50%、より好ましくは15〜40%、さらに好ましくは20〜35%であることが好ましい。つまり、フッ素の上記構成比率が上記範囲に属する状態でナノインプリントの連続した繰り返し実施を止め、モールド1に洗浄を施すことが好ましい。フッ素の上記構成比率が50%を超えると、洗浄液が泡立つことにより洗浄効果が低下するためであり、フッ素の上記構成比率が10%未満であると、メサ型基板10を構成する材料とレジストとが直接接着する機会が増えることにより洗浄効果が低下するためである。フッ素の上記構成比率は離型層14の被覆度合を調整することにより調整することができる。
【0087】
ここで、モールド1の表面を構成する元素の「構成比率」は、X線光電子分光装置(XPS。株式会社島津製作所(Kratos社)製 AXIS ULTRA)を用いて、X線源:単色化Al銃(monoAl)、印加電圧:12kV、管電流:10mA、レンズモード:Hybrid、パスエネルギー:160eV/40eV、エネルギーステップ:0・1eVの条件の下、表面分析を実施することにより求める。ナノインプリントの「連続した繰り返し実施」とは、モールドの洗浄を施さずにナノインプリントを複数回実施することをいう。
【0088】
フッ素の上記構成比率が上記範囲に属する状態でナノインプリントの連続した繰り返し実施を止めるためには、2つの方法が考えられる。1つは、ナノインプリントの連続した繰り返し実施の繰り返し回数が所定の回数に決まっている場合、離型層14が磨耗することを考慮し、当該所定の回数の実施が終了した段階でフッ素の上記構成比率が上記範囲に属することになるように離型層14の被覆度合を調整する方法である。そしてもう1つは、離型層14の被覆度合が決まっている場合、フッ素の上記構成比率が上記範囲に属している間にナノインプリントの連続した繰り返し実施を終了する方法である。従来、有機材料を用いて離型層をモールド上に形成しナノインプリントを実施することは知られているが、上記のように洗浄効果の観点から、フッ素の上記構成比率が上記範囲に属する状態でナノインプリントの連続した繰り返し実施を止めるという技術的思想は知られていない。
【0089】
本発明のモールドの洗浄方法は、レジストの種類に関係なく有効であり、フッ素化合物を含むフッ素含有レジストに対しては特に有効である。例えばレジストを構成するバルク材料として、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸n−ヘキシル、ジアクリル酸エチレングリコール、および2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンを含有する光硬化性レジストXを挙げることができる。なお適宜、界面活性剤を加えることもできる。
【0090】
アクリレート成分のアクリル酸イソボルニル(IBOA:ISOBORNYL ACRYLATE)は、バルク材料の約47重量%であることが好ましいが、20〜80%の範囲で調整可能である。結果として、レジストの機械的特性を主にIBOAが担っている。IBOAの例示的な供給元は、Exton、Pennsylvania所在のSartomer Company,Inc.であり、製品名SR506で入手可能である。
【0091】
アクリル酸n−ヘキシル(n−HA:n-HEXYL ACRYLATE)は、バルク材料の約25重量%であることが好ましいが、0〜50%の範囲で調整可能である。レジストに柔軟性をさらに与えたい場合には、n−HAを使用してレジストの粘度を低下させ、レジストが2〜9cPの範囲の粘度を有するように設計する。n−HAの例示的な供給元は、Milwaukee、Wisconsin所在のAldrich Chemical Companyである。
【0092】
架橋剤成分のジアクリル酸エチレングリコール(EGDA:ETHYLENE GLYCOL DIACRYLATE)は、バルク材料の約25重量%であることが好ましいが、10〜50%の範囲で調整可能である。EGDAも弾性率と剛性の強化に寄与し、さらに、バルク材料を重合させる間にn−HAとIBOAの架橋を促進する役割を果たす。
【0093】
重合開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンは、バルク材料の約3重量%であることが好ましいが、1〜5%の範囲で調整可能である。この重合開始剤が応答する化学線は、中圧水銀ランプが発生させる広帯域紫外線である。この重合開始剤により、バルク材料の各成分の架橋および重合が容易になる。2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンの例示的な供給元は、Tarrytown、New York所在のCiba Specialty Chemicalsであり、商品名DAROCUR(登録商標)1173で入手可能である。
【0094】
またフッ素含有レジストとしては、例えば重合性化合物に、光重合開始剤(2質量%程度)、フッ素モノマー(0.1〜1質量%)を加えて調製された光硬化性レジストYを用いることもできる。また、必要に応じて酸化防止剤(1質量%程度)を添加することもできる。上記の手順により作成した光硬化性レジストYは波長360nmの紫外光により硬化することができる。溶解性の悪いものについては少量のアセトンまたは酢酸エチルを加えて溶解させた後、溶媒を留去することが好ましい。
【0095】
上記重合性化合物としては、ベンジルアクリレート(ビスコート#160:大阪有機化学株式会社製)、エチルカルビトールアクリレート(ビスコート#190:大阪有機化学株式会社製)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(アロニックスM−220:東亞合成株式会社製)、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート(アロニックスM−310:東亞合成株式会社製)等の他、下記構造式(5)で表される化合物A等を挙げることができる。
【0096】
構造式(5):
【化8】

【0097】
また、上記光重合開始剤としては、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン(IRGACURE 379:豊通ケミプラス株式会社製)等のアルキルフェノン系光重合開始剤を挙げることができる。
【0098】
また、上記フッ素モノマーとしては、下記構造式(6)で表される化合物B等を挙げることができる。
【0099】
構造式(6):
【化9】

【0100】
以上のように、本発明に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法によれば、メサ型の上記モールドが、上記凹凸パターン領域上にフッ素化合物を含有する離型層を備えたものであるから、モールドとレジスト残渣との間に働く接着力を低下せしめることができる。これにより、モールドに付着するレジスト残渣を減少せしめ、さらにレジスト残渣が付着したとしても容易にそのレジスト残渣を除去することが可能となる。その結果、超音波洗浄を行う時間を短縮することができるため、ナノインプリント用のメサ型のモールドの洗浄において、モールドの破損を抑制することが可能となる。
【0101】
「第2の実施形態のモールドの洗浄方法」
第2の実施形態のモールドの洗浄方法について説明する。本実施形態のモールドの洗浄方法は、第1の実施形態のモールドの洗浄方法とほぼ同様の構成であるが、メサ部の凹凸パターン領域でない領域に洗浄時に生じる凹凸パターンの欠けを防止する欠け防止パターンをメサ部が有する点で第1の実施形態のモールドの洗浄方法と異なる。したがって、その他の第1の実施形態のモールドの洗浄方法と同様の構成要素についての詳細な説明は、特に必要のない限り省略する。
【0102】
図2Aは、本実施形態の洗浄方法に係るメサ型のモールドを示す概略斜視図であり、図2Bは、図2AにおけるモールドのA−A線での断面を示す概略断面図である。
【0103】
本実施形態のモールドの洗浄方法は、図2Aおよび図2Bに示すようにモールド2がメサ型基板20と離型層とを備えたものであり、ナノインプリントにおいて使用したレジストの残渣が付着した状態の上記モールド2を洗浄液に浸漬して、超音波洗浄を行うものである。メサ型基板20は、平板状の支持部21と、支持部21の一面(基準面)S1にありかつこの基準面S1から所定の高さD2を有するメサ部22であって、微細な凹凸パターン23が形成された凹凸パターン領域R1を有する上記メサ部22と、メサ部22の凹凸パターン領域R1でない領域R2に洗浄時に生じる凹凸パターン23の欠けを防止する欠け防止パターン26とを備える。離型層については第1の実施形態と同様である(図示省略)。
【0104】
欠け防止パターン26は、図2Aおよび図2Bに示すように、凹凸パターン23の近傍に形成され、ナノインプリントにおいて目的とするパターン形状の形成に寄与せず、洗浄時に生じる凹凸パターン23の欠けを防止するものである。超音波洗浄時の凹凸パターン23の欠けは、主に凹凸パターン23への横方向(凹凸パターン23のラインの側面に垂直な方向。つまり、図2Bにおいては左右方向。)からの超音波の衝撃を欠け防止パターン26が受け止めて緩和することにより抑制される。
【0105】
メサ型基板20は、欠け防止パターン26を有する点で第1の実施形態のメサ型基板と異なる。欠け防止パターン26は、例えばメサ部22に凹凸パターン23を形成するために行うレジスト膜の露光において、凹凸パターン23に対応するパターンの他、欠け防止パターン26に対応するパターンを露光パターンに含めることにより、凹凸パターン23と同時にメサ部22に形成される。
【0106】
欠け防止パターン26の平面視の形状は、特に限定されないが、ライン状や凹凸パターン23を囲むような環状とすることができる。さらに、欠け防止パターン26の平面視の形状は、十字状等のアライメントマークとして使用されるようなマークを1つ以上配列したような形状とすることもできる。一方、欠け防止パターン26の長さ方向に垂直な断面(図2Bにおいて紙面に平行な断面)の形状は、先細りのテーパ形状とすることが好ましい。このような場合、超音波洗浄時の横方向からの超音波の衝撃を受け流すようになり、欠け防止パターン26自体への衝撃を緩和すことができる。また、欠け防止パターン26の長さ方向に垂直な断面の形状は、左右対称であることが好ましい。このような場合、フォーカスレンズのフォーカシングの移動範囲がアライメントマークの段差のトップとボトムの間にあれば、輝度プロファイルの変化が最大となる点と最小となる点とを検出でき、そこからアライメントマークの中心位置を計測することが出来る。
【0107】
欠け防止パターン26が、ライン状である場合には、欠け防止パターンの線幅が大きい場合、或いは欠け防止パターンのアスペクト比(高さ/線幅)が小さい場合に、欠け防止パターン26は欠けにくくなる。したがって、欠け防止パターン26の線幅は、例えば200nm以上であることが好ましい。一方、欠け防止パターン26の線幅は、例えば1cm以下、中でも1mm以下であることが好ましい。欠け防止パターン26の線幅が小さすぎると、洗浄時に欠けて凹凸パターン23を充分に保護できない可能性があり、欠け防止パターン26の線幅が大きすぎると、凹凸パターン23の設計自由度が低くなる可能性があるからである。また、欠け防止パターン26のアスペクト比(高さ/線幅)は、例えば0.5以下であることが好ましい。一方、欠け防止パターン26のアスペクト比は、例えば10−5以上、中でも10−4以上であることが好ましい。上記の範囲であれば、さらに効果的に欠け防止パターン26の欠けを抑制することができるからである。そして、欠け防止パターン26は、凹凸パターン23のラインに沿ったライン状の形状を有することが好ましい。
【0108】
なお、欠け防止パターン26の形状がライン状であるか否かを問わず、欠け防止パターン26の高さが低い程、欠け防止パターン26は欠けにくくなる。中でも、本発明における欠け防止パターン26の高さは、凹凸パターン23のラインの高さと同一またはそれ以上であることが好ましい。さらに効果的に凹凸パターン23の欠けを抑制することができるからである。欠け防止パターン26の高さとしては、例えば30〜1000nmの範囲内、中でも40〜500nmの範囲内、特に50〜200nmの範囲内であることが好ましい。
【0109】
欠け防止パターン26の側面とこれに最も近い凹凸パターン23のラインの側面との距離は、洗浄時に生じる凹凸パターン23の欠けを抑制できる程度の値であれば特に限定されるものではないが、10nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、22nm〜1μmの範囲内であることがさらに好ましい。両側面の間の距離が短すぎると、所望の転写を行うことが困難になる可能性があり、両側面の間の距離が長すぎると、凹凸パターン23の欠けを充分に抑制することができない可能性があるからである。
【0110】
以上のように、本実施形態に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法においても、メサ型の上記モールドが、上記凹凸パターン領域上にフッ素化合物を含有する離型層を備えたものであるから、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0111】
さらに、本実施形態に係るナノインプリント用のモールドの洗浄方法においては、メサ部の凹凸パターン領域でない領域に洗浄時に生じる凹凸パターンの欠けを防止する欠け防止パターンを有するモールドを用いているため、ナノインプリント用のメサ型のモールドの洗浄において、直接的にモールドの破損をさらに抑制することが可能となる。
【実施例】
【0112】
本発明に係るモールドの洗浄方法の実施例を以下に示す。
【0113】
「実施例1」
<メサ型基板の製造>
メサ加工した旭硝子製合成石英ガラス6025(以下、Qzと称する。)上にスパッタリング法で膜厚15nmのCr膜を形成した。Cr膜上に更に日本ゼオン製電子線用レジストZEP520Aを塗布し、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。その後、基板を電子線描画装置にて露光描画し、現像装置で現像して、レジスト膜に所望のパターンを形成した。Crのドライエッチング装置で上記所望のパターンの露出するCr膜をエッチングし、更にQzのドライエッチング装置でQz露出部分を200nmエッチングした。その後、レジスト膜、Cr膜を全て剥離した。これにより、500本の微細なラインを有するライン&スペースパターン(ラインの長さ1μm、ラインの幅50nm、ラインの高さ200nm、ラインのアスペクト比4、ライン同士の間隔50nm)を備えたメサ型基板を得た。
【0114】
<離型層の形成>
上記で製造したメサ型基板を用意し、メサ型基板の表面を有機溶剤(アセトン)で超音波洗浄した後、硫酸/過酸化水素水の混合液で煮沸洗浄し、水洗乾燥後にUVオゾン処理を行い、表面を清浄化した。その後、パーフルオロポリエーテルを0.1重量%の濃度に希釈した希釈溶液にそのメサ型基板を23℃で1分間浸漬した。離型層のフッ素化合物としては、C(OCFCFCFOC−Si(OCH(数平均分子量4000)で表されるパーフルオロポリエーテルを用い、希釈する溶媒としてはフッ素系不活性溶剤(パーフルオロヘキサン)を用いた。そして浸漬後、フッ素系不活性溶剤(パーフルオロヘキサン)で5〜30分間リンスした後、そのメサ型基板を60℃で湿度95%の恒温恒湿槽中で約1時間放置した。その後、再度フッ素系不活性溶剤(パーフルオロヘキサン)で5分間リンスしたのち、エチルアルコールで洗浄した。以上の工程により、パーフルオロポリエーテルの分子膜としてC(OCFCFCFOC−という構造の自己組織化膜を含有する離型層を備えたモールドを得た。なお、一連の工程は大気中で行った。
【0115】
上記のようにして得られたモールドの表面を構成するフッ素の構成比率は、35%であった。
【0116】
<レジストの準備>
ナノインプリントにおいて使用するレジストとして、前述したレジストXを用意した。レジストXの具体的な成分は以下の通りである。
レジストX:
アクリル酸イソボルニル(バルク材料全体の重量に対する重量比47重量%)、
アクリル酸n−ヘキシル(バルク材料全体の重量に対する重量比25重量%)、
ジアクリル酸エチレングリコール(バルク材料全体の重量に対する重量比25重量%)、
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(バルク材料全体の重量に対する重量比3重量%)、および、
ZONYL(登録商標)(フッ素系界面活性剤。バルク材料全体の重量に対する重量比1重量%未満)。
【0117】
<モールドを用いたナノインプリント>
まず、シリコン基板上に、スピンコートによりレジストXを塗布し、レジスト膜を形成した。続いて、シリコン基板及びレジスト膜を、レジストXのガラス転移温度以上に加熱し、上記で得られたモールド(離型層が形成されたメサ型基板)のメサ部側をレジスト膜に、圧力60MPa、温度170℃で押圧した。そして、紫外線でレジスト膜を硬化させた後、モールドを剥離した。
【0118】
「実施例2」
モールドの表面を構成するフッ素の構成比率が25%となるように、パーフルオロポリエーテル含有希釈溶液中のパーフルオロポリエーテルの濃度、および/またはモールドの希釈溶液への浸漬時間を調整した点以外は、実施例1で示した工程と同様の工程によりモールドを製造した。そして、モールドを用いたナノインプリントについては、実施例1と同様に実施した。
【0119】
「実施例3」
モールドの表面を構成するフッ素の構成比率が20%となるように、パーフルオロポリエーテル含有希釈溶液中のパーフルオロポリエーテルの濃度、および/またはモールドの希釈溶液への浸漬時間を調整した点以外は、実施例1で示した工程と同様の工程によりモールドを製造した。そして、モールドを用いたナノインプリントについては、実施例1と同様に実施した。
【0120】
「実施例4」
実施例1で示した工程と同様の工程によりモールドを製造した。そして、ナノインプリントにおいて使用するレジストとして前述したレジストYを用意した点以外は、実施例1と同様にナノインプリントを実施した。レジストYの具体的な成分は以下の通りである。
レジストY:
化合物A(レジスト全体の重量に対する重量比97重量%)、
IRGACURE(登録商標) 379(レジスト全体の重量に対する重量比2重量%)、および、
化合物B(レジスト全体の重量に対する重量比1重量%)。
【0121】
「実施例5」
実施例1で示した工程において、基板を電子線描画装置にて露光描画し、現像装置で現像して、レジスト膜に所望のパターンを形成する際、欠け防止パターンに対応するパターンを当該所望のパターンに含めた点以外は、実施例1と同様にモールドを製造した。これにより、図2Aおよび図2Bに示すようなライン状の欠け防止パターンを有するモールドを得た。欠け防止パターンのラインの長さ、幅および高さは、それぞれ1μm、1μmおよび200nmであり、欠け防止パターンのラインの側面とこれに最も近い凹凸パターンのラインの側面との距離(これらのラインに挟まれたスペースの幅)は50nmであった。そして、モールドを用いたナノインプリントについては、実施例1と同様に実施した。
【0122】
「実施例6」
実施例5で示した工程と同様の工程により、十字状の欠け防止パターンを有するモールドを得た。具体的には、この十字状の欠け防止パターンは、図4に示すように、長さが300nm、幅が100nmのライン状の2つの凸部が、互いに中心(長さ150nm、幅50nmの地点)で直角に交差したような形状である。そして、上記のアライメントマークは、凹凸パターンの四角のそれぞれから、縦方向(凹凸パターンのラインの長さ方向)に50nm横方向(凹凸パターンのラインの幅方向)に50nm離れた位置で、かつ当該アライメントマークが凹凸パターンから最も遠ざかるような位置に1つずつ(計4つ)配置された。
【0123】
「比較例1」
離型層の形成工程を実施しなかった点以外は、実施例1で示した工程と同様の工程によりモールドを製造した。そして、モールドを用いたナノインプリントについては、実施例1と同様に実施した。
【0124】
「洗浄試験」
実施例1〜6および比較例1で得られたそれぞれのナノインプリント後のモールドに対して、超音波による洗浄試験を行った。洗浄条件は以下の通りである。
<洗浄条件>
・超音波装置:株式会社カイジョー製、超音波洗浄機(型28101)
・超音波:周波数1MHz、出力30W
・使用水量:1L/min
・基板回転数:150rpm
・洗浄時間:レジストの残渣が走査型電子顕微鏡(SEM)により検出されなくなるまでの時間
【0125】
「評価」
上記実施例1〜6および比較例1におけるそれぞれのモールドの構成、レジスト種、並びに洗浄試験を行った結果を表1に示す。この結果、本発明のモールドの洗浄方法を実施することによりモールドの洗浄時間を短縮することができることが確認できた。
【0126】
【表1】

【符号の説明】
【0127】
1、2 モールド
10、20 メサ型基板
11、21 支持部
12、22 メサ部
13、23 凹凸パターン
14 離型層
26 欠け防止パターン
C 支持部の基準面S1とメサ部の側面S2とで形成される角
R1 メサ部の凹凸パターン領域
R2 メサ部の凹凸パターン領域以外の領域
S1 支持部の基準面
S2 メサ部の側面
W1 凹凸パターンのラインの幅
W2 凹凸パターンのライン同士の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノインプリントを実施した後のナノインプリント用のモールドに施される洗浄方法において、
前記モールドが、平板状の支持部と、該支持部の一面にありかつ該一面から所定の高さを有するメサ部であって、微細な凹凸パターンが形成された凹凸パターン領域を有する前記メサ部と、前記凹凸パターンに沿って前記凹凸パターン領域上に形成されたフッ素化合物を含有する離型層とを備えたものであり、
ナノインプリントにおいて使用したレジストの残渣が付着した状態の前記モールドを洗浄液に浸漬して、超音波洗浄を行うことを特徴とするモールドの洗浄方法。
【請求項2】
前記凹凸パターン領域における前記モールドの表面を構成する元素の構成比率のうちフッ素の構成比率が、10〜50%であることを特徴とする請求項1に記載のモールドの洗浄方法。
【請求項3】
前記フッ素化合物がパーフルオロポリエーテルであることを特徴とする請求項1または2に記載のモールドの洗浄方法。
【請求項4】
前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(1)で表されるものであることを特徴とする請求項3に記載のモールドの洗浄方法。
構造式(1):
【化1】

(構造式(1)において、Rfは、パーフルオロアルキル基を表し、
Zは、フッ素またはトリフルオロメチル基を表し、
a〜eは、それぞれ0以上の整数を表し、a+b+c+d+eは、少なくとも1であり、a〜eが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(1)において任意であり、
Xは、前記メサ部を構成する材料と化学的に結合可能な官能基を表す。)
【請求項5】
前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(2)で表されるものであることを特徴とする請求項4に記載のモールドの洗浄方法。
構造式(2):
(OCFCFCFOC−Si(OCH
(構造式(2)において、pは重合度(1以上の整数)を表す。)
【請求項6】
前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(3)で表されるものであることを特徴とする請求項3に記載のモールドの洗浄方法。
構造式(3):
m−nM−Z−Y−X−(OC−(OC−(OCF−O−X−Y−Z−MPm−n
(構造式(3)において、a〜cはそれぞれ0以上の整数を表し、a+b+cは少なくとも1であり、a〜cが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は構造式(3)において任意であり、
Xは、構造式(3−1):−(O)−(CF−(CH−(ここで、d、e及びfはそれぞれ0以上の整数を表し、e及びfの和は少なくとも1であり、d、e及びfが付された括弧でくくられたそれぞれの繰返し単位の存在順序は、構造式(3−1)において任意であるが、Oは連続しない。)で示される基を表し、
Yは、二価の極性基または単結合を表し、
Zは、構造式(3−2):−(CH−(ここで、gは0以上の整数を表す。)で示される基を表し、
−MPm−nは、前記メサ部を構成する材料と化学的に結合可能な官能基を表し、
Mは、ケイ素原子、チタン原子またはアルミニウム原子を表し、
Pは、水酸基または加水分解可能な極性基を表し、
Rは、水素または炭化水素基を表し、
mは、(Mで表される原子の価数−1)の整数を表し、
nは、1〜mの整数を表し、
−OC−は、−OCFCFCF−、または−OCF(CF)CF−を表し、
−OC−は、−OCFCF−、または−OCF(CF)−を表す。)
【請求項7】
前記パーフルオロポリエーテルが、下記構造式(4)で表されるものであることを特徴とする請求項6に記載のモールドの洗浄方法。
構造式(4):
(CHO)Si−CHCHCH−O−CHCF−(OCFCF−(OCF−OCFCH−O−CHCHCH−Si(OCH
(構造式(4)において、j及びkは重合度(1以上の整数)を表す。)
【請求項8】
前記レジストが、イソボロニルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、シリコーンモノマー系化合物およびフッ素化合物のいずれかを含有するものであることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載のモールドの洗浄方法。
【請求項9】
前記メサ部が、前記メサ部の前記凹凸パターン領域でない領域に、洗浄時に生じる前記凹凸パターンの欠けを防止する欠け防止パターンを備えたものであることを特徴とする請求項1から8いずれかに記載のモールドの洗浄方法。
【請求項10】
前記欠け防止パターンが、アライメントマークとして用いられる形状であることを特徴とする請求項1から9いずれかに記載のモールドの洗浄方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−143870(P2012−143870A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1349(P2011−1349)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】