説明

ナノ粒子コーティングを有する光抽出フィルム

光抽出を強化するための多機能光学フィルムは、可撓性基材と、異なる寸法のナノ粒子を有する構造化層と、充填材層を含む。構造化層は、光生成領域の十分近くに配置された、ミクロ複製した回折又は散乱ナノ構造を効果的に使用し、有機発光ダイオード(OLED)装置からのエバネセント波の抽出を可能にする。充填材層は、構造化層の屈折率と異なる屈折率を有する材料を有する。充填材層はまた、光抽出フィルムをOLEDディスプレイ装置層に合わせるために、構造化層の上に平坦化層を供給する。光抽出効率の改善を超えた追加の機能性をもたらすために、フィルムは、それに追加され又はその中に組み込まれた追加層を放射表面に有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
有機発光ダイオード(OLED)は、新しいディスプレイ及び照明技術のための基本であり、高解像度又は高画素数の高精細ディスプレイのアプリケーション並びに、高効率で広い面積の、可撓性の照明アプリケーションに良好に適合する。OLED装置は、カソードとアノードとの間に挟まれたエレクトロルミネセント有機材料の薄膜を含み、これらの電極の一方又は両方は透明な伝導体である。電圧がこれらの装置に印加されると、電子及び正孔は、それぞれ対応する電極から注入されて、放射性励起子の中間生成物を介してエレクトロルミネセント有機材料内に再結合する。
【0002】
OLED装置において、生成した光の70%以上が装置構造体内のプロセスのために典型的には失われる。より高い屈折率の有機層及び酸化インジウムスズ(ITO)層とより低い屈折率の基材層との間のインターフェースでの光の捕捉が、この低い抽出効率の主な原因である。放射された光の比較的少量のみが、透明な電極を通って「有用な光」として現れる。光の大半は内部反射し、これは装置の端部からの光の放射となるか、あるいは装置内で捕捉され、また繰り返されるパスを作った後、最終的には装置内で吸収されて失われる。
【0003】
蛍光染料若しくはリン光性材料を使用して、電荷注入層又は輸送層の改質などの方法によって、又は多層構造体(例えば、K.Meerholz,Adv.Funct.Materials v.11,no.4,p251(2001)を参照)を使用することによって、OLEDの内部量子効率(注入された電子1個当たりの生成される光子の数)を改善する努力がなされてきた。光抽出効率(内部で生成される光子の数に対しての、構造体から現れる光子の数)は、発光層自体に対する外部の要因によって影響を受ける場合がある。
【0004】
ボトムエミッション型(bottom emitting)OLEDは、高屈折率層(光生成、キャリア移動、注入又はブロックのための有機層並びに典型的に、透明な導電性酸化物層)並びに低屈折率の基材の材料(典型的にガラス、しかしポリマーフィルムの場合もある)を含有するコアからなると考えられることがある。したがって、コア内で生成される光は、2つの、高屈折率と低屈折率とのインターフェースに衝突する場合があり、その場合には光が内部反射する場合がある。第1のインターフェースでの衝突の結果、コアから逃げることのできない光は、導波路モードに制限され、その一方で、第1のインターフェースを通過するが、基材から空中へのインターフェースでの反射の結果、基材から逃げることのできない光は、インターフェースに制限される。同様な光学的喪失が、トップエミッション型(top emitting)OLED内のインターフェースにより発生する。
【0005】
そのインターフェースを阻害(例えばマイクロレンズ又は粗面)することにより、基材から空中へのインターフェースに到達する光に影響を与えようとする、様々な解決策が提案されてきた。基材の中に又は接着剤の中に散乱要素を導入し、これにより基材モードを遮断し装置の外に光を再指向している者もいる(公開済みPCT出願国際公開第2002037580(A1)号(Chou)を参照)。そのインターフェースで散乱又は回折要素を導入することにより、コアから基材へのインターフェースを阻害する、いくつかの予備的試みさえもある。散乱構造又は回折構造がこのインターフェースに配置されたとき、光抽出において最も効果的であるということを、詳細な解析が示している(M.Fujitaら、Jpn.J.Appl.Phys.44(6A),pp.3669〜77(2005))。散乱又は回折要素と充填材料との間の屈折率差が大きいとき、及び屈折率差変動の長さスケールが光の波長に同程度であるとき、散乱効率は最大となる(例えば、F.J.P.Schuurmansら、Science 284(5411),pp.141〜143(1999)を参照)。
【0006】
この光抽出層と接触する、欠陥のないOLED装置の製造は、滑らかで平坦な表面を必要とし、よって光抽出フィルムの上面の平坦性が重要である。しかしながら、OLEDの外に光を結合するために、電極構造体に波形を付けるいくつかの研究がなされている(M.Fujitaら、Jpn.J.Appl.Phys.44(6A),pp.3669〜77(2005))。これにより装置内の電界に対して得られる結果は、悪影響を有すると見込まれる。よって、このインターフェースの阻害の一方で、装置の電気的動作に悪影響を与えないように、多大な注意が払われなければならない。これらの相対する課題のバランスをとるための実用的な解決策はまだ提案されていない。
【0007】
無機発光ダイオード(LED)での外部効率において同様な問題が存在し、ここでは、活性物質のとても高い屈折率が、内部で生成した光の抽出を厳しく制限する場合がある。これらの場合において、フォトニック結晶(PC)材料を利用し、抽出効果を改善するいくつかの試みがなされている(S.Fan,Phys.Rev.Letters v.78,no.17,p.3294(1997);H.Ichikawa,Appl.Phys.Letters V.84,p.457(2004))。OLED効率改善に関連した、PCの利用における同様な報告(M.Fujita,Appl.Phys.Letters v.85,p.5769(2004);Y.Lee,Appl.Phys.Letters v.82,p.3779(2003))が登場し始めているが、既に報告された結果は、既存のOLED製造プロセスの中にそれらを組み入れるのを促進せず、時間がかかりコストのかかる手順である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、これらの装置の製造プロセスに適合する、OLEDからの光抽出を強化することができる製品に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従う、光抽出を強化するための多機能光学フィルムは、可撓性基材と、構造化層と、充填材層と、を含む。抽出要素の構造化層は、第1の屈折率を有し、この抽出要素の実質的な部分が光学フィルムが自発光型光源に対置して配置されたとき、自発光型光源の発光領域と光連通する。抽出要素は異なる寸法のナノ粒子を含む。充填材層は、第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する材料を有し、この充填材層は抽出要素の上に平坦化層を形成する。
【0010】
光抽出を強化するための多機能光学フィルムを作製する、本発明に従う方法は、可撓性基材の上に、第1の屈折率を有する材料の層をコーティングする工程を含む。異なる寸法のナノ構造化形状は、ナノ構造化表面を作るために有機材料に付与される。ナノ構造化形状を有する有機材料は硬化される。充填材層は次いで、ナノ構造化表面に適用され、ナノ構造化表面に平坦化層を形成する。充填材層は、第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する材料を含む。あるいは、ナノ粒子の薄層は、フィルムの表面に分布され、次いで、異なる屈折率の実質的に平坦化材料でオーバーコーティングされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は本明細書の一部に組み込まれ、構成するものであって、該明細書の記載と共に本明細書の利点と原則を説明する。
【図1】光抽出フィルムを有するボトムエミッション型OLEDディスプレイ装置。
【図2】光抽出フィルムを有するトップエミッション型OLEDディスプレイ装置。
【図3】固体照明要素のために特に調節されたOLED。
【図4】光抽出フィルムを有するOLEDバックライトユニット。
【図5】LCDのバックライトユニットとして使用されるOLED。
【図6】抽出要素の可能な空間的構成。
【図7】抽出要素の可能な空間的構成。
【図8】抽出要素の可能な空間的構成。
【図9】抽出要素の可能な空間的構成。
【図10】抽出要素の可能な表面構成。
【図11】抽出要素の可能な表面構成。
【図12】抽出要素の可能な表面構成。
【図13】抽出要素の可能な表面構成。
【図14】抽出要素の可能な表面構成。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態は、光を抽出するナノ構造体又は他のナノ構造体、ポリマー複製プロセスにおいては、ナノ粒子の直接堆積又はOLED装置のための光抽出フィルムを作製するための他のプロセスを含む。多機能フィルム製品は、光抽出を強化することに加えて、基材、封止材、バリア層、フィルタ、偏光板又は色変換器などの追加の機能の役割を果たすことができ、OLED装置の製造中又は製造後に用いてもよい。フィルムの構造は、装置内の高屈折率の層と低屈折率の層との間のインターフェースを改質することによる装置からの光抽出の改善された効率に関して、フォトニック結晶又は他のナノ構造体に基づいている。
【0013】
本発明の要素は、制御される光の波長と同程度又はそれ未満の寸法の構造体の提供と、構造体を囲む領域に充填し、またOLED構造体と接触するようになる、実質的に滑らかな表面を提示するために構造体を平坦化するための、対照的な屈折率を有する材料の提供と、光(すなわち、さもなければ同領域に捕捉されてしまうであろう光)を抽出するのに効果的であるために発光領域から十分短い距離内の、この対照的な屈折率のナノ構造化層の配置と、を含む。
【0014】
高屈折率材料からの、低屈折率媒質を有するインターフェースへの光の入射は、臨界角度θ(θ=sin−1(n/n)によって定義され、式中、nは高屈折率領域の屈折率であり、nは低屈折率領域の屈折率である)を超える全ての入射角に関して全反射(TIR)する。TIRによって反射されたこの光に関する電磁場は、エバネセント定在波内のより低い屈折率の領域の中に延在するが、この電磁場の強度はインターフェースからの距離に伴い急激に減少する。このエバネセント区域内に配置された吸収又は分散体(entities)は、典型的に約1波長の厚さで、TIRを妨害し、光にインターフェースを通過させることができる。したがって、それが分散又は回折によって放射領域からの光の抽出を生じさせることにおいて最も効果的であるためには、ナノ構造化された屈折率差のある層がエバネセント区域内に位置されることが好ましい。あるいは、ナノ構造化された屈折率差のある層は、光学フィルムが自発光型光源に対して配置されたとき、自発光型光源の発光領域と光連通しているだけでよい。用語「光連通」は、光源から生じた光場の実質的な部分が、散乱粒子又はナノ構造体に達することができることを意味する。
【0015】
複製マスターツールは、次第に大きくなる面積の上に、光抽出のために要求される平均周期である200ナノメートル(nm)〜2000nmの規則的又はランダムな構造体で、製造することができる。連続鋳造及び硬化(3C)などの、ミクロ複製プロセスと、このツールの能力との組み合わせは、フィルム基材の表面上の、フォトニック結晶構造体又は他のナノ構造体の形成を可能にする。3Cプロセスの実施例は、米国特許第4,374,077号、同第4,576,850号、同第5,175,030号、同第5,271,968号、同第5,558,740号及び同第5,995,690号に記載されており、これらの全ては完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0016】
用語「ナノ構造体」又は「ナノ構造体(複数)」は2μm未満、より好ましくは1μm未満の、少なくとも1つの寸法(例えば、高さ、長さ、幅、又は直径)を有する構造体を指す。ナノ構造体は、粒子及び設計された形状を含むが、これらに必ずしも限定されない。粒子及び設計された形状は、例えば規則的又は不規則的な形状を有することができる。かかる粒子は、ナノ粒子とも呼ばれる。
【0017】
用語「ナノ構造化」は、ナノ構造体を有する材料又は層を指す。
【0018】
用語「フォトニック結晶構造体」は、材料内で可能な電磁場モードのスペクトラム内で、構造体がギャップを作るのを可能にする、十分に異なる屈折率の材料が散在された周期的又は準周期的光学ナノ構造体を指す。
【0019】
用語「屈折率(index)」は屈折率(index of refraction)を指す。
【0020】
用語「充填材」は、構造体内の隙間を充填し、構造体を平坦化するための、構造体とは異なる屈折率の、構造体の中に組み込まれる材料を指す。
【0021】
用語「抽出要素」は、自発光型光源からの光抽出を強化するナノ構造体の任意のタイプ及び配置を示す。抽出要素は好ましくは、体積分布内に含有されない。
【0022】
ボトムエミッション型OLEDディスプレイ装置
図1は、光抽出フィルムを有する、ボトムエミッション型OLED装置100の構造体を示す。ボトムエミッション型OLED装置は、基材を介して発光するOLED装置として定義されている。表1は、図1に示される参照番号によって識別される、装置100の例示の要素及びこれらの要素の構成を示す。装置100の各層は、下層の上にコーティングされるか、ないしは別の方法で下層に適用される。
【0023】
【表1】

【0024】
基材114は、所望の放射された波長に実質的に透明(透過性)であり、装置に対して十分な機械的支持及び熱安定性をもたらす材料から構成される。基材114は、好ましくは可撓性材料を含む。基材の材料の例には、ガラス、可撓性ガラス、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリエチレンナフタレート(「PEN」)、又は他の半透明若しくは透明材料が挙げられる。基材114は、所望によりバリア層として機能することもできる。また、基材114は所望により染料又は粒子を含有することができ、それはテンターに張られ又はプリズム構造体を含むことができる。
【0025】
任意のバリア層112は、装置の層への、特に有機層への酸素及び水の浸透を効果的に阻止するか又は防ぐのを助ける。バリア層の実施例は、米国特許出願公開第2006/0063015号(無機バリア層を有する酸化ホウ素層を記載している)及び同第2007/0020451号(ダイヤモンド様ガラス(DLG)及びダイヤモンド様カーボン(DLC)を記載している)に記載されており、これらの両方とも、完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
電極102及び106は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明な導電性酸化物(TCO)、又はカルシウム、アルミニウム、金若しくは銀などの、電荷キャリアの注入を行うために好適な仕事関数を有する金属で実施することができる。
【0027】
有機層104は、光放射ポリマーなどの任意の有機エレクトロルミネセント材料で実施することができ、これらの実施例は米国特許第6,605,483号に記載され、これは参照により、完全に記載されているものとして本明細書に組み込まれる。好適な発光材料の他の実施例には、蒸着した小分子材料、発光デンドリマー、分子分散型(molecularly doped)ポリマー及び発光電気化学セルが挙げられる。
【0028】
本実施形態の光抽出フィルム116は、基材114、任意のバリア層112、低屈折率構造体110、及び高屈折率構造体108からなる。光抽出フィルムを十分に平面的にしてOLEDの製造を可能にするために、高屈折率構造体は、充填材媒質を用いて低屈折率構造体の上に平坦下層を効果的にもたらす。充填材層はあるいは、他の光学的特性を有することができる。また、充填材層の材料は、水分若しくは酸素に対するバリアとして機能することができ、又は場合によってはバリア特性に追加して、使用される材料のタイプに応じて、電気伝導をもたらすことができる。充填材層はあるいは、光学的に透明な接着剤によって実施することができ、その場合、抽出フィルムは、例えばトップエミッション型OLED装置に適用することができる。安定化層は所望により、充填材層を適用する前に、装置にコーティングされてもよい。
【0029】
低屈折率構造体110は、下層に、典型的には基材に、実質的に適合する屈折率を有する材料を有する。低屈折率構造体110は、ナノ構造化層から構成され、これは、フォトニック結晶構造体などの、周期的、準周期的又はランダムな分布若しくはパターンを有することができる。それは別個のナノ粒子を含むことができる。ナノ粒子は、有機材料又は他の材料からなることができ、それらは任意の粒子形状を有することができる。ナノ粒子は、あるいは多孔質粒子で実施することができる。ナノ構造体の分布はまた、様々なピッチ及び形状寸法を有してもよい。抽出要素又はナノ構造体の少なくとも一部分は、好ましくは可撓性基材と接触し、抽出要素は、その下に隙間を有してもよい。ナノ粒子層は、単層内にナノ粒子で、ナノ粒子の凝集体を有する層で、又は多層内に実施することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、小さなSiOナノ粒子を、低屈折率構造体110の、より大きなSiOナノ粒子の懸濁液へ添加することは、懸濁液から作製されたコーティング内の、より大きなナノ粒子の均一性を著しく改善し得る。例えば、低屈折率構造体110は、直径440nmのSiOナノ粒子の懸濁液から作製されたコーティング内に、直径5nmのSiOナノ粒子への添加を含んでもよい。これらの小さなナノ粒子及び大きなナノ粒子は、表面処理されても、又は表面処理されなくてもよい。大きなナノ粒子は2つ又はそれ以上の異なる寸法の、大きなナノ粒子を含んでもよい。大きなナノ粒子は、60nm〜10μm、又は100nm〜1μm、又はより好ましくは100nm〜500nmの範囲の直径を有するのが好ましい。小さなナノ粒子は、3nm〜50nmの範囲の直径を有するのが好ましい。ナノ粒子は次の、金属酸化物粒子、有機ポリマー粒子、金属粒子、又は複合体粒子の1つ以上を含んでもよい。
【0031】
有機層からのエバネセント波と同程度のナノ構造体の距離を使用することにより、装置からの追加の光の抽出のために、エバネセント波のナノ構造体への結合をもたらすことができる。この結合は好ましくは、光抽出フィルムが自発光型光源の発光領域に隣接するとき、発生する。充填材層が構造化層よりも低屈折率を有する場合には、充填材層は好ましくは抽出要素と実質的に等しい厚さを有する。充填材層が構造化層よりも高屈折率を有する場合には、それでもエバネセント波と相互作用することができるのであれば、充填材層は、抽出要素よりも厚くてよい。いずれの場合においても、構造化層及び充填材層は好ましくは、少なくとも部分的に光出力表面からの光の抽出を生じさせるために、光出力表面に十分に近接している。
【0032】
層110内のナノ構造化形状は、圧痕形成、エンボス加工、ナノインプリント、熱若しくは光ナノインプリントリソグラフィ、射出成形、又はナノ転写プリントなどの、サブミクロン形状の複製のための任意の印刷技術を使用して製造することができる。抽出要素を製造するための別の技法は、米国特許6,217,984号の実施例18に記載されており、これは参照により、完全に記載されているものとして本明細書に組み込まれる。
【0033】
高屈折率構造体108は、隣接する低屈折率ナノ構造化層に屈折率差をもたらす、高屈折率材料であり、同層に効果的な平坦化層をもたらす。発光波長におけるナノ構造化層110と充填材媒質108との屈折率の不一致はΔnで示され、一般に、Δnの値が大きいほど、より良好な光抽出がもたらされる。Δnの値は、好ましくは、0.3、0.4、0.5、又は1.0以上である。抽出要素と充填材媒質との屈折率の不一致はいずれも、光抽出をもたらすが、不一致が大きいほど、光抽出が増大する傾向にあり、したがって、不一致が大きいことが好ましい。充填材媒質108に好適な材料の例としては、高屈折率無機材料、高屈折率有機材料、ナノ粒子で充填されたポリマー材料、窒化ケイ素、高屈折率無機材料で充填されたポリマー、及び高屈折率の共役ポリマーが挙げられる。高屈折率ポリマー及びモノマーの実施例は、C.Yangら(Chem.Mater.7,1276(1995))及びR.Burzynskiら(Polymer 31,627(1990))及び米国特許第6,005,137号に記載されており、これらの全ては、完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。高屈折率の無機材料で充填されたポリマーの実施例は、米国特許第6,329,058号に記載されており、これは完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。充填材層は、例えば、液体コーティング、蒸着コーティング、粉体コーティング又は積層の1つを使用して、平坦化層を形成するために塗布することができる。
【0034】
OLED装置のためのアノードとして働くための機能性は、ITO(n≒1.9〜2.1)などの高屈折率で、高透過性及び低シート抵抗を有する透明な電極をその上に堆積することによって構造に付加され得る。層が、光学的又は電気的特性に悪影響を与えず、構造体を充填し滑らかな層へと形成することができる場合、ITOは更に、構造体のための充填材として使用してもよい。あるいは、充填及び平滑化の後、代替の金属及び有機層が、米国特許出願公開第2004/0033369号(参照により完全に記載されているものとして本明細書に組み込まれる)に記載の方法で、透明な伝導性被覆層を(充填材層上に)形成するために堆積されてもよい。
【0035】
フォトニック結晶構造体又はナノ構造体の抽出パターンの機能性における更なる可撓性は、フォトニック準結晶構造体の使用によって得ることができる。これらの準結晶構造体は、タイリング法(tiling rules)を使用して設計され、それらは真の周期性又は並進対称性のいずれも有さないが、長期的秩序の準周期性及び配向対称性を有し、それらの実施例は以下の参考文献:B.Zhangら、「Effects of the Artificial Ga−Nitride/Air Periodic Nanostructures on Current Injected GaN−Based Light Emitters」(Phys.Stat.Sol.(c)2(7),2858〜61(2005))が、挙げられ、これらは参照により完全に記載されているものとして本明細書に組み込まれる。フォトニック準結晶構造体は、全ての伝播方向に擬ギャップの可能性をもたらし、一意の光散乱挙動を示す。具体的には、フォトニック準結晶構造体のこれらのパターンは、従来のフォトニック結晶構造体の規則性に起因するアーティファクトを除去でき、また、一意の発光プロファイルの作製に使用でき、場合によってはブロードバンドOLEDエミッタとの連携時に望ましくないクロミック効果を除去できる。フォトニック結晶構造体は以下の特許に記載されており、それらの全ては完全に記載されているものとして本明細書に組み込まれる:米国特許第6,640,034号、同第6,901,194号、同第6,778,746号、同第6,888,994号、同第6,775,448号、及び同第6,959,127号。
【0036】
実施形態は、回折又は散乱ナノ構造体のフィルム製品の中への組み込みを含むことができ、これは例えば、3C複製プロセスに供給されるポリマーフィルム又は超バリア(ultrabarrier)コーティングされたフィルム基材を有するウェブライン上で連続的に製造することができ、高屈折率充填材媒質の堆積が後続する。フィルムの中に回折又は分散ナノ粒子を組み込む代替的な方法は、粒子の分散をコーティングする溶液を含む。このフィルムは、その上にボトムエミッション型OLEDが製造される基材として直接使用されるために設計されてもよく、光抽出の強化に加えて、多くの使用が可能であるフィルムの製造を可能にする。
【0037】
任意の超バリアフィルム上の抽出構造を形成することによって、追加の機能性を光抽出フィルム製品の中に組み込むことができ、これは優れた水分及び酸素バリア特性をもたらす。ウルトラバリアフィルムとしては、例えばいずれも本明細書中に完全に記載されているものとしてその全てが本明細書に組み込まれる、米国特許第5,440,446、同第5,877,895号、及び同第6,010,751号に述べられるような、ガラス又は他の適当な基材上に2種類の無機誘電体材料を多数の層で順次、真空蒸着することによって形成される多層フィルム、又は無機材料と有機ポリマーとの交互の層が挙げられる。
【0038】
分散を介して光抽出を強化するため又は光をフィルタリングする、カラーシフトさせる又は偏光させるための材料をフィルム内に組み込んでもよい。最後に、表面コーティング又は構造体、例えば機能層115は、光抽出フィルムの機能性及び場合によっては機能性を更に増加させるために、光抽出フィルムの空気表面に適用することができる。かかる表面コーティングは、例えば光学的、機械的、化学的又は電気的機能を有することができる。かかるコーティング又は構造体の実施例は以下の機能又は特性:防曇、帯電防止、惑光防止、反射防止、耐摩耗(耐引掻)、防汚性、疎水性、親水性、接着促進、屈折要素、カラーフィルタ、紫外線(UV)フィルタ、スペクトルフィルタ、色ずれ、色修正、偏光修正(線形若しくは円形)、光再指向、拡散又は光学回転を有するものが挙げられる。空気表面に適用される、他の可能な層には、バリア層又は透明な導電性材料が挙げられる。
【0039】
トップエミッション型OLEDディスプレイ装置
図2は光抽出フィルムを有するフィルム基材を有する、トップエミッション型OLED装置120の構造を示す。表2は、図2に示される参照番号によって識別される装置120の例示の要素及びこれらの要素の構成を示す。装置の各層は、下層の上にコーティングされるか、ないしは別の方法で下層に適用される。図1及び2に示される構成は、例示目的のためにのみ提供され、ボトムエミッション型及びトップエミッション型OLEDディスプレイ装置の他の構成も可能である。
【0040】
【表2】

【0041】
この実施形態の光抽出フィルム142は、基材122、任意のバリア層124、低屈折率構造体126、及び高屈折率構造体128からなる。低屈折率構造体126及び高屈折率構造体128は、上記の例示の材料及び構造で実装できる。層128及び130は所望により単一層で実施することができる。基材122及び140、任意のバリア層124、電極132及び138、並びに有機層136は、上に記した例示の材料で実施することができる。基材140は、所望により、金属箔など不透明な材料で実施されてもよい。
【0042】
任意の薄膜封止材134は、例えば、水分及び酸素から有機層を保護するための任意の好適な材料で実施することができる。OLED装置の封止材の実施例は、米国特許第5,952,778号及び米国特許出願第11/424997号(2006年6月19日出願)に記載されており、これらは両方とも完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
OLED装置、特に図2に示されるているようなトップエミッション型OLED装置は、所望により、典型的には反透明な電極上に、薄膜封止材を堆積することにより完成される。OLED装置のこの構造は、利点をもたらし、特に装置の製造の完成後に臨界高屈折率の装置から空中のインターフェースへのアクセスを作り、光抽出フィルムのアプリケーションのための積層プロセスを可能にする。トップエミッション型OLED装置に関して、実施形態はボトムエミッション型OLED装置に関して上記のように、光抽出フィルムを含む。あるいは、OLED装置を光抽出層に光学的に結合するために、好適な高屈折率接着剤と組み合わされて光学層130として機能するとき、フィルムはトップエミッション型OLED構造体上のキャップ(capping)層であるように設計することができる。封止材の材料それ自体は、光抽出層を形成するためのナノ構造体を充填する屈折率差のある材料として機能してもよい。
【0044】
OLED固体照明又はディスプレイ要素
トップエミッション型OLED装置120又はボトムエミッション型OLED装置100は、OLED固体照明又はディスプレイ要素を実施するために使用することもできる。上記に示した基材に加えて、トップエミッション型OLED固体照明装置に有用な、可撓性金属箔を含む基材の実施例は、以下の論文:D.U.Jinらの「5.6−inch(14cm)Flexible Full Color Top Emission AMOLED Display on Stainless Steel Foil」(SID 06 DIGEST、2006、1855〜1857);及びA.Chwangらの「Full Color 100 dpi AMOLED Displays on Flexible Stainless Steel Substrates」(SID 06 DIGEST,1858〜1861(2006))に記載されており、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
図3は、固体照明装置における使用のために、空間的に調節されたOLED装置を有する装置220を示す図である。装置220は、複数のOLED装置223、224、225及び226を支持する基材222を含み、これらのそれぞれは、ボトム又はトップエミッション型OLEDディスプレイ装置に関して上記の構造体に対応することができる。OLEDデバイス223〜226の各々は、線228及び230によって表されるように、個々に制御され得、これらの線はデバイス223〜226中のアノード及びカソードへの電気接続を提供する。デバイス220は、電気接続を有するOLEDデバイス223〜226のいずれかの数を包含することができ、及び基材222は、それらを収容するような大きさにすることができる。装置223〜226の個々の制御は、接続部228及び230を介して、それらが個々に又はグループで特定のシーケンス又はパターンで点灯されるように、それらの空間的調節を提供してよい。装置220は固体照明において、例えば剛性又は可撓性基材222上で使用することができる。
【0046】
OLEDバックライトユニット
図4は光抽出フィルムを有するトップエミッション型OLEDバックライトユニット180の図である。表3は、図4に示される参照番号によって識別される、バックライトユニット180の例示の要素及びこれらの要素の構成を示す。バックライトユニット180の各層は、下層の上にコーティングされるか、ないしは別の方法で下層に適用される。あるいは、ボトムエミッション型OLEDはバックライトユニットのために使用することもできる。
【0047】
【表3】

【0048】
この実施形態の光抽出フィルム208は、低屈折率構造体190及び高屈折率構造体192から構成される。光抽出フィルムは所望により、プリズム層184及びディフューザー188を含んでもよい。低屈折率構造体190及び高屈折率構造体192は、上記の例示の材料及び構造で実装できる。本実施形態の他の要素は、表3に提供されているとおり、上に記した例示の材料で実施することができる。層192及び層194は、あるいは、単一層で実施することができる。
【0049】
図5は、液晶ディスプレイ(LCD)パネル240のLCDバックライトユニット242として使用されるOLED装置を示す図である。バックライトユニット242は、構造体180に相当してよい。バックライトユニット242は、図3に示される空間変調された光パネルにより別の方法で実施されることができる。LCDパネル240は、典型的には、バックライト及びドライブエレクトロニクスを除いてLCDデバイスの全体を包含する。例えば、LCDパネル240は、典型的には、バックプレーン(サブピクセル電極)、フロント及びバックプレート、液晶層、カラーフィルタ層、偏光フィルタ、並びに場合によっては他のタイプのフィルムを包む。バックライトとしてのOLED装置の使用は、LCDのための薄くて、低消費電力のバックライトを提供することができる。LCDパネル部品及びバックライトユニットの実施例は、米国特許第6,857,759号に記載されており、これは完全に記載されているものとして、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
高屈折率/低屈折率領域及び表面の構成
図6〜9は抽出要素の、可能な空間的構成を示す図である。図6は、ナノ構造体の規則的なパターンを有する低屈折立構造体250を、ナノ構造体の上に平坦化層を供給する高屈折率構造体251と共に示す。構造体250及び251は、低屈折率基材246とOLED装置領域247との間に配置されている。図7は、ナノ構造体の不規則的なパターンを有する低屈折率構造体252を、ナノ構造体の上に平坦化層をもたらす高屈折率構造体253と共に示す。構造体252及び253は、低屈折率基材248とOLED装置領域249との間に配置されている。図6及び7では、低屈折率構造体及び高屈折率構造体は、基材とOLED装置(発光)領域との間に配置されている。
【0051】
図8は、低屈折率充填材領域254内の高屈折率抽出要素255を、平坦化層を供給する低屈折領域254と共に示す。抽出要素255及び充填材254は、低屈折率基材260とOLED装置領域259との間に配置されている。図9は、高屈折率充填材領域256内の低屈折率抽出要素257を、平坦化層を提供する高屈折領域256と共に示す。抽出要素257及び充填材256は、低屈折率基材261とOLED装置領域262との間に配置されている。図8及び図9に示される実施形態では、抽出要素はエバネッセント領域に集中している。図6〜9に示されている層は、上記の低屈折率構造体及び高屈折率構造体のパターン及びインターフェースを示す。
【0052】
図10〜14は抽出要素の可能な表面構成を示す平面図である。図10及び11は、抽出要素の規則的な周期的アレイを示す。図12は、抽出要素のランダムな分布を示す。図13は、抽出要素のパターン形成された領域を示す。具体的には、図13は、形状263内の異なる分布内に組み入れられている形状の一部(場合によっては規則的なパターン264又は不規則的なパターン265で)を示す。異なる分布263を伴う規則的なパターン264及び不規則的なパターン265は、それぞれ周期的、準周期的、又はランダムな、抽出要素の分布を有してよい。かかるパターンの領域は、これらの領域での光の特定の波長(例えば赤、緑及び青の光に対応する波長)の抽出を最適化するのに有用であることができる。その場合、抽出領域は、ディスプレイ装置のピクセルを含む赤、緑及び青の領域に対応して整列することができ、各抽出領域は、対応する赤、緑及び青の領域から光を抽出するためにそれぞれ最適化することができる。図14は抽出要素の準結晶(傾斜したパターン)を示す。
【0053】
抽出要素の作製のための技法の実施例は、米国特許出願第11/556719号(2006年11月6日出願)に記載され、これは完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。図10〜14は、上記のナノ構造体又は他の抽出要素の可能な表面構成を、ナノ構造体の上に平坦化層を供給する充填材媒質と共に示す。
【0054】
追加の技法は、ナノスケール領域を、可撓性ポリマーウェブ上に堆積された感光性ポリマーに露光させるためのリソグラフィ又は干渉リソグラフィの使用を含むことができる。露光及び現像工程の後、残った感光性ポリマーは、次いでナノ構造化表面を画定する。あるいは、このナノ構造化感光性ポリマー表面は、エッチングプロセスにおいて表面の露光のためのエッチングマスク(etch mask)として機能することができる。このエッチング技法は、ナノスケールのパターンを、下層のポリマーウェブの表面の中に、又はシリコン酸化物などの、より硬質な材料の層(この層はリソグラフィの工程の前にポリマーウェブに既に堆積されている)の中に転写する。これらの方法のいずれかで画定されたナノスケール表面は、次いで、屈折率差のある媒質と共に充填され、光散乱又は回折層を形成することができる。
【0055】
光抽出のためのナノ粒子の分布
本実施形態は、例えば、ITO、窒化ケイ素(Si、本明細書においてSiNと示される)、CaO、Sb、ATO、TiO、ZrO、Ta、HfO、Nb、MgO、ZnO、In、Sn、AlN、GaN、TiN又は任意の他の高屈折率材料などのナノ粒子を、OLED製造又は封止において使用される基材上にコーティングし、次いで低屈折率コーティング、例えばSiO、Al、DLG、DLC又はポリマー材料をナノ粒子の上にコーティングして、散乱又は回折効率のために必要とされる屈折率差を提供し、表面を平坦化することによって作製された、ランダムに分布された高屈折率のナノ構造を含む、屈折率差のあるフィルムを使用して、OLEDからの強化された光抽出を提供する。ランダムに分布したナノ構造体は、基材と接触する、基材と近接する、共に定位置に群をなす,又は基材に近接する任意のランダムな構成であり得る。潜在的に同様の有効性をもたらす逆の構造は、SiO、多孔質SiO、ホウケイ酸(BK)、Al、MgF、CaF、LiF、DLG、DLC、銀粒子若しくは金粒子などの金属粒子、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート、PET、低屈折率ポリマーなどの低屈折率ナノ粒子若しくはナノ構造体、あるいは、蒸着されたSi又は溶剤がコーティングされた粒子充填ポリマー若しくは高屈折率ポリマーなどの、対照的な高屈折率フィルタ材料を有する任意の他の低屈折率材料の、ランダムな分布を含むことができる。基材は所望により、静電防止コーティング又は接着促進コーティングの1つ以上を有してもよい。
【0056】
ディップコーティング、ナイフコーティング、ダイコーティング、及びロールツーロールコーティングなどのコーティングプロセスは、表面上のナノ粒子を分布させるために使用してもよく、同様なプロセスが、充填材/平坦化層をコーティングするために使用されてもよい。かかる技法の使用は、プロセスを簡易で、製造規模への移行が容易で、ウェブライン又はロールツーロールプロセスを介して製造されたフィルム製品への組み込みに適したものにするべきである。
【0057】
光抽出フィルムのロールツーロールの連続プロセス製造は、低屈折率ナノ粒子の単層若しくはサブ単層コーティングをプラスチック基材上に組み合わせることを含んでもよく、高屈折率材料のオーバーコートの適用である。かかるロールツーロールプロセスは、プラスチック(PET)基材上に官能化シリカの裸のナノ粒子をコーティングすること、次いでこれらのナノ粒子を、高屈折率充填材料でオーバーコートすることを含む。高屈折率充填材料は、ZrO又はTiOなど高屈折率ナノ粒子と共に、エポキシ又はアクリレートポリマーを充填することによって得られる。更なる高屈折率材料は、米国特許出願第12/262393号(2008年10月31日出願)に記載され、これは完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
ある特定の製造方法は、第1の屈折率を有するナノ粒子を可撓性基材の上に適用する工程と、ナノ粒子上に充填材層をオーバーコーティングして、それらの上に平坦化層を形成する工程と、を含む。充填材層は、第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する材料を含む。好ましくは、ナノ粒子の実質的な部分は、光学フィルムが自発光型光源に対して配置されたとき、自発光型光源の発光領域に隣接するエバネセント区域内にある。例えば、ナノ粒子の実質的な部分が、基材と接触し、エバネセント区域内であることができるが、いくつかの実施形態においては、エバネセント区域内のナノ粒子の実質的な部分が基材と接触する必要はない。
【0059】
ナノ粒子を適用する工程は、溶媒内に分散したナノ粒子を可撓性基材の上にコーティングし、充填材層をオーバーコーティングする前に溶液を蒸発させることを含んでもよい。ナノ粒子を適用する工程は、それらを乾燥状態で可撓性基材に適用し、次いで充填材層でそれらをオーバーコーティングすることを含んでもよい。この方法の代替は、剥離剤付きの基材を使用することを含み、ここでは、粒子は剥離剤付きの基材に適用され、粒子を有する基材は、それと接触する粒子と共に装置基材に適用され、次いで基材は、装置基材に粒子を移動させるために剥離される。ある特定の方法は、基材をナノ粒子でコーティングし、それを乾燥させ、充填材層をコーティングし、それを再び乾燥させ、次いで得られるフィルムを硬化させる、単一プロセスを含む。更に別のある特定の方法は、基材をナノ粒子でコーティングし、それを乾燥させ、コーティングフィルムを巻き上げる、第1プロセスと、充填材層をコーティングし、それを再び乾燥させ、次いで得られるフィルムを硬化させる、第2プロセスを含む。
【0060】
複製方法
ナノ構造を有するマスターツールを形成するための1つの解決方法は、干渉リソグラフィの使用を含む。100nm〜150nmほど小さい規則的な周期的形状は、この方法を使用して急速に描画することができる。利点はこれらのパターンを広い面積にわたって描画できることを含み、これは製造に対してプロセスをより受け入れやすくすることができる。
【0061】
パターンの複製のためのマスターツールの製造は以下を含むことができる。基材はフォトレジストの被覆層でコーティングされ、次いで、1つ以上のUV干渉パターンで照射され、所望の形状寸法を有する規則的なパターンにレジストを露光する。レジストの現像は次いで、ホール(hole)又はポスト(post)のアレイを残す。このパターンはエッチングプロセスを介して下層の基材の中に実質的に転写することができる。もし基材の材料が複製ツールとして使用するのに適していない場合、マスターツールは標準的な電鋳プロセスを使用して作製することができる。この金属複製は、次いでマスターツールになる。
【0062】
別の方法は、ランダムに分布したナノ構造体を有するマスターツールを形成することを含む適切な寸法の、かつ凝集を防止するのに適切な表面改質が施されたナノ粒子を含む溶液が調製される。かかる溶液を調製するための方法は一般に、分散される特定のナノ粒子に特有であり、一般的な方法は他の文献、例えば、米国特許第6,936,100号及び「Molecular Crystals and Liquid Crystals」(444(2006)247〜255)に記載されており、これらの両方は完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。溶液は次いで、ナイフコーティング、ディップコーティング、噴射コーティング、ダイコーティング、又はロールツーロールコーティングを含む様々な溶液コーティング技法の1つを使用して、可撓性基材の上にコーティングされる。プラズマエッチングなどの方法を使用する基材の前処理は、溶液コーティングの均一性を保証するために必要とされ得る。溶液の蒸発の後、ナノ粒子は顕微鏡的にはランダムに、しかし肉眼的には均一になるように分布させるべきである。上記の、均一なツール製造プロセスでの場合のように、このパターンは次いで、エッチング又はエンボス加工プロセスを介して下層の基材の材料に移動させることができ、あるいは金属ツールは標準的な電鋳プロセスを使用して作製することができる。
【0063】
これらの場合のいずれかにおいて、平坦なマスターツールが製造された場合、そのマスターツール又はその複製は米国特許第6,322,652号(これは完全に記載されているものとして、参照により本明細書に組み込まれる)に記載のように大きなツールを形成するために一緒に組み合わされてもよく、又はロールツーロール複製プロセスに適合するために円筒状のツールに形成されてもよい。
【0064】
いったんマスターツールが製造されると、ポリマーの中への構造体の複製は、3Cプロセスなどの様々な複製プロセスの1つを使用して行うことができる。この複製のための基材は、選択された複製プロセスと適合性のある任意のポリマーシートであることができ、それは上記の超バリアフィルムで既にコーティングされていてもよい。次いで、充填は、例えば、SiN又はITOなどの高屈折率材料を堆積することができる化学蒸着(CVD)又はスパッタリングプロセスにて下流で実施され、これは構造体を充填し、次いで平坦にして滑らかな層にすることができる。SiNが使用される場合、導電性の上層が要求されるならば、ITO堆積プロセスがこの後に続いてもよい。あるいは下流の充填は、適切な材料を使用する溶液コーティングプロセスで実施されてもよい。
【実施例】
【0065】
実施例1:5nmのSiOナノ粒子(比較実施例)を有する190nmのSiOナノ粒子
公称直径190nmを有する球状シリカナノ粒子の分散液は、Nissan Chemical(10777 Westheimer,Suite 830,Houston,TX 77042,U.S.A)から入手された。ナノ粒子は、ポリエチレンオキシドで処理された(PEO及び透析されている、142971−86−4、表面を覆われ、透析されたPEOを有する190nmのシリカ、固形分33.6%)。
【0066】
PEOを有する、処理された190nmのSiOナノ粒子のプロセス詳細は以下のとおり。363グラムのNissian MP−4540(100グラムのシリカ)を、Momentive Performance ChemicalsからのA1230ポリエチレンオキシドシラン7.5gと共に反応槽に添加した。この混合物を80℃で16時間反応させた。反応混合物を次いで透析し、未反応シラン及び他の不純物を除去した。溶液をMWCO(カットオフ分子量)12〜14,000を有する、2つのスペクトル/Por Dialysisに配置した。材料を、絶えず流れる水道水に対して、24時間透析した。
【0067】
得られたナノ粒子懸濁液を、1メトキシ2プロパノールで希釈し、2重量%の固形分含有量を有する懸濁液を生成した。190nmのSiOナノ粒子溶液は、ディップコーティング(コーティング速度:65mm/分)によってPET基材上にコーティングされた。粒子コーティングを有さない基材の領域において、脱ぬれ(de-wetting)問題があったということがSEM画像から示された。
【0068】
実施例2:5nmのSiOナノ粒子(処理済み)を介した、190nmのSiOナノ粒子の改善されたコーティング
190nmのSiOナノ粒子の、2重量%の懸濁液を、実施例1に記載のとおり調製したが、1.1重量%の、5nmのSiO(PEOによって処理済み:147426−45−01、Silquest A1230で処理した5nmシリカ粒子)を添加した。190nmのSiOナノ粒子溶液は、ディップコーティング(実施例1のようにコーティング速度65mm/分)によってPET基材上にコーティングされた。実施例1及びこの実施例からのSEM画像の比較を通じて、コーティングの均一性は、小さなナノ粒子を添加することによて改善されていることが示されたが、脱ぬれは完全には消えなかった。
【0069】
実施例3:5nmの非改質SiOナノ粒子の添加による、190nmのSiOナノ粒子の改善されたコーティング
2重量%の、190nmのSiOナノ粒子は、実施例1に記載のとおり調製されたが、1.1重量%の、5nmのSiO(Nalco Companyからの、非改質の小さな5nm SiOナノ粒子、Nalco 2326)を添加した。非改質の小さなSiOナノ粒子は、大きなナノ粒子コーティング均一性を著しく改善することができるということが、SEM画像から明らかに示された。
【0070】
実施例4:5nmの改質SiOナノ粒子(イソオクチルトリメトキシシラン及びメチルトリメトキシランで改質された)190nmのSiOナノ粒子
2重量%の190nmのSiOナノ粒子は、実施例1に記載のとおり調製されたが、イソオクチルトリメトキシシラン及びメチルトリメトキシシラン(methytrimethoxysilane)で改質された1.1重量%の5nmのSiOナノ粒子が添加された。(5nmのナノ粒子は、最初にイソプロパノールに溶解させて、10重量%の固形分含有量を有する懸濁液を作製した)。SEM画像を通じて示されたように、コーティングの均一性は改善されたが、脱ぬれは完全には消えなかった。
【0071】
実施例5a:小さなナノ粒子を含まず、ロールツーロールプロセスによってコーティングされた440nmのSiOナノ粒子(実施例5bの比較実施例)
公称直径440nmを有する球状シリカナノ粒子の分散液は、Nissan Chemical(10777,Westheimer,Suite 830,Houston,TX 77042,U.S.A)から入手した。ナノ粒子溶液を、1メトキシ2プロパノールで希釈し、5重量%の固形分含有量を有する懸濁液を生成した。440nmのSiOナノ粒子は、コロナ処理されたPETフィルム(厚さ6〜8ミル(0.1〜0.2mm))上、5ミル(0.1mm)のコーティングギャップを使用して、ロールツーロールプロセス(ウェブ速度10fpm(304cm/分)、表示ポンプ速度1.2cc/分)によってにコーティングされた。得られたコーティングは最初に室温で乾燥され、次いで、その後に180°F(82℃)で更に乾燥させた。
【0072】
実施例5b:ロールツーロールプロセスによってコーティングされた、小さなナノ粒子を有する440nmのSiOナノ粒子
2.5重量%の、440nmのSiOナノ粒子は、実施例5aのとおりに調製されたが、実施例2のように調製された1重量%の改質5nmのSiOナノ粒子が添加された。440nmのSiOナノ粒子溶液は、コロナ処理されたPETフィルム上に、実施例5aと同じ条件を使用して、コーティングされた。
【0073】
実施例6及び7の材料
実施例で使用された材料は、Nalco companyから入手された公称直径93nmのシリカナノ粒子、及びAldrichから入手されたドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DS−10)界面活性剤を含んだ。これらの材料を、異なるコーティング条件と共に使用し、ナノ粒子の緊密に充填された単層又は希薄な非連続層を得ることができた。
【0074】
実施例6及び実施例7のための、PET基材上に直接コーティングされた、シリカの裸のナノ粒子の単層
2重量%のナノ粒子分散液を、DS−10を有する、1重量%のナノ粒子まで、HOで希釈することにより、作製されたシリカナノ粒子分散液は、コロナ処理されたPETフィルム(6〜8ミル(厚さ0.1〜0.2mm))に、5ミル(0.1mm)のギャップを使用し、ロールツーロールプロセスによってコーティングされた(ウェブ速度10fpm(304cm/分)、分散液送達速度3cc/分)。コーティングは室温で乾燥され、次いで、その後にそれは180°F(82℃)で更に乾燥させた。得られたナノ粒子のSEM写真によって、シリカナノ粒子の均一かつ緊密に充填された単層が作製されたことが示された。
【0075】
実施例6及び実施例7のための、PET基材上に直接コーティングされた、ベアシリカの非連続層
上述のようにシリカナノ粒子分散液は、コロナ処理されたPETフィルム(6〜8ミル(厚さ0.1〜0.2mm))上に、5ミル(0.1mm)のギャップを有し、ロールツーロールプロセスによってコーティングされた(ウェブ速度10fpm(304cm/分)、分散液送達速度1.5cc/分)。得られたコーティングは室温で乾燥され、そしてその後に180°F(82℃)で、ウェブ上で更に乾燥させた。
【0076】
実施例6:窒化ケイ素がオーバーコーティングされたナノ粒子を備える光抽出OLED基材
ナノ粒子による、OLEDの効率増加を定量的に評価するために、プラズマ強化化学蒸着法(PECVD、Oxford Instruments(Yatton,UK)から入手したModel PlasmaLab System 100)を使用して、300nmのSi層が、シリカナノ粒子の上に適用された。Siの堆積に使用された条件は表4に示されている。
【0077】
【表4】

【0078】
Siオーバーコーティングの屈折率は、Metriconモデル2010 Prism Couplerを使って計測され、1.7と計測された。PECVDプロセスの完了において、高屈折率の充填材フィルムを有する、低屈折率の散乱中心部が生成された。
【0079】
次いで、110nmのITOが、OLEDアノードとしての働きをするために、5mm×5mmピクセルノシャドーマスクによって窒化ケイ素上に堆積された。その後、単一の緑の有機放射層及びカソードを堆積させてOLEDを完成させた。OLEDは標準的な熱蒸着によって、ベルジャー型真空システム内で製造された。OLED層は、5mm×5mmピクセルのITOを被覆しながら、40mm×40mmのシャドーマスクによって、以下の順序で堆積された:TNATA:FeCl3(3000A、5% FeCl3)/NPD(400A)/Alq:C545T(300A、2%)/Alq(200A)/7ALiF/Al。
【0080】
5mm×5mmシャドーマスクは次いで、再度位置合わせされて、250nmのAl金属が堆積されて、ピクセルの上部と接触するカソードを形成シタ。本プロセスは、ナノ粒子上に配置された4ピクセルを伴う、いくつかの個別に指定可能な5mm×5mmピクセルを含有するOLEDピクセルを提供した。
【0081】
エレクトロルミネッセンス測定は、ナノ粒子がコーティングされたピクセルからの、強化されたOLED光抽出を示した。電流密度2〜20mA/cmにおいて、50%の改善が、本変更によって示された。
【0082】
実施例7:ロールツーロールプロセスで適用された高屈折率ポリマーによってオーバーコートされたナノ粒子を有する光抽出OLED
50〜60重量%の、10nmのZrOナノ粒子(屈折率1.85)は、アクリレートに分散され、高屈折率(1.68)充填材ポリマーを形成した(Brant U.Kolbから入手された,145840−77−38F)。高屈折率ポリマーは、1メトキシ2プロパノール(10重量%)と混合され、次いでPET上に事前にコーティングされたナノ粒子の上に、5ミル(0.1mm)のギャップを使用して、ロールツーロールプロセスによってコーティングされた。(ウェブ速度10fpm(304cm/分)、分散液送達速度1.6cc/分)。得られたコーティングは室温で乾燥され、そしてその後に、それは180°F(82℃)で、ウェブ上で更に乾燥させた。高屈折率ポリマーの標的厚さは300nmであり、標的厚さと極めて一致する、実際の厚さ約300nmをSEM画像が示した。ロールツーロールコーティングの表面は、プラズマ強化化学蒸着によって堆積されたSiと比較して、非常に平滑であるのが示された。
【0083】
実施例8:安定化層として、NP上にSiNがオーバーコーティングされた60nmのSiNを有しながら、ロールツーロールプロセスによってコーティングされた93nmのSiO2ナノ粒子
ロールツーロールプロセスによるナノ粒子コーティングの調製
93nmのシリカナノ粒子の分散液は、Nalco社から入手した。ポリビニルアルコール(PVA、モル加水分解率98%、MW 78000)はPolysciences,Inc.から入手し、関連実験用に水で希釈した(固体含有率1重量%)。ドデシルベンゼンスルホンナトリウム塩(DS−10)界面活性剤は、Alderichから入手した。
【0084】
シリカナノ粒子(NP)分散液(93nm、1重量%、0.1〜1重量DS−10)は、PETフィルム(6〜8ミル(0.1〜0.2mm厚さ))上に、5ミル(0.1mm)のギャップを使用し、ロールツーロールプロセスによってコーティングされた。(ウェブ速度10fpm(304cm/分)、分散液送達速度3cc/分)コーティングは室温で乾燥され、次いで、その後にそれは180°F(82℃)で更に乾燥させた。
【0085】
プラズマ強化化学蒸着による、60nmのSiN安定化層
次に、シリカナノ粒子がコーティングされたフィルムは、ナノ粒子(NPs)を安定化させるために、プラズマ強化化学蒸着法(PECVD、Oxford Instruments(Yatton,UK)から入手したModel PlasmaLab(商標)System 100)によって、窒化ケイ素の60nm厚の層でオーバーコーティングした。PECVD法に使用したパラメーターを表5に記載する。
【0086】
【表5】

【0087】
SiNコア層の屈折率はMetricon Model 2010 Prism Couplerを使って計測され、1.7と計測された。
【0088】
50nmのTiO及びZrOナノ粒子を使用した、超高RIコーティングの調製
ガラスジャーに、上記のとおり調製した4.5gのZrO HIHC、6.78gの50nmのTiO分散液、24.4gの2−ブタノン、16.62gの1−メトキシ−2−プロパノールを合わせて混合した。均質の白色コーティング溶液が形成されるまで混合物を攪拌した。コーティング溶液は、上記のサンプル(93nmのナノ粒子/PET上の60nmのSiN)上に、4000rpmで40秒のスピンコーティング(Suss MicroTec,Inc.からのKarl Sussスピンコーター、モデルCT62)を使用して適用され、透明な高屈折率コーティングが得られた。コーティングをFusion UV−Systems Inc.のLight−Hammer 6 UV(Gaithersburg,Maryland)プロセッサ(窒素雰囲気下、ランプ出力100%にて稼動するHバルブを装着した30フィート/分(914cm/分)のライン速度)にて2回通過させて硬化させた。高屈折率コーティングの厚さは、約150〜200nmと計測した。高屈折率コーティングの屈折率は、Metricon Prism Couplerを使用して1.85と計測される。
【0089】
TiOポリマー充填コーティングの完了時に、高屈折率充填材で平坦化された低屈折率の散乱ナノ構造体を含有する光抽出層が製造された。
【0090】
OLEDの製造
アノード形状を画定する約5mm×5mmピクセルのシャドーマスクを介して、充填材がコーティングされたNP構造体上に約110nm厚のITOを堆積させた。その後、単一の緑の有機放射層及びカソードを堆積させてOLEDを完成させた。OLEDは、基準圧約10−6トール(1.3−7パスカル)の真空システム内での標準的な熱蒸着によって製造した。以下のOLED構造体が堆積された。HIL(300nm)/HTL(40nm)/EML(30nm、6%)/Alq(20nm)/LiF(1nm)/Al(200nm)。完了後、OLEDは、封入フィルムとOLEDカソードとの間に乾燥剤及び脱酸素剤としてSAESゲッターを使用して、3Mの封入バリアフィルムで封入した。
【0091】
5mm×5mmシャドウマスクは次いで、再度位置合わせされて、200nmのAl金属が堆積されて、ピクセルの上部と接触するカソードを形成する。本プロセスは、ナノ粒子上に配置された4ピクセルを伴う、いくつかの個別に指定可能な5mm×5mmピクセルを含有するOLEDピクセルを提供した。
【0092】
エレクトロルミネッセンス測定は、ナノ粒子がコーティングされたピクセルからの、改善されたOLED光抽出を示した。50〜100%の改善が、本変更によって示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自発光型光源からの光抽出を強化するための多機能光学フィルムであって、
可撓性基材と、
第1の屈折率を有する抽出要素の構造化層であって、前記抽出要素の実質的な部分は、前記光学フィルムが前記自発光型光源に対して配置されたとき、前記自発光型光源の発光領域と光連通し、前記抽出要素が、第1の寸法の第1のナノ粒子及び前記第1の寸法と異なる第2の寸法の第2のナノ粒子を含む、構造化層と、
前記第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する材料を含み、前記抽出要素の上で平坦化層を形成する、充填材層と、を含む、多機能光学フィルム。
【請求項2】
カラーフィルタ、カラーシフト、偏光修正、反射防止、光再指向、拡散、又は光学回転のうちの少なくとも1つの機能を有するコーティングを更に含む、請求項1に記載の多機能光学フィルム。
【請求項3】
前記基材に適用され、耐摩耗性、防汚性、疎水性、又は親水性のうちの少なくとも1つの機能を有するコーティングを更に含む、請求項1に記載の多機能光学フィルム。
【請求項4】
前記充填材層材料が、無機材料、有機材料、又はナノ粒子充填されたポリマー材料のうち1つを含む、請求項1に記載の多機能光学フィルム。
【請求項5】
前記要素が、周期的若しくは準周期的配列の形状、ランダムな分布の形状、又は異なる分布の形状内に散在する、周期的若しくは準周期的配列の形状の部分、のうちの1つを含む、請求項1に記載の多機能光学フィルム。
【請求項6】
前記基材が、ポリマーフィルム、実質的に光学的透過性の材料、又はバリア材料のうちの1つを含む、請求項1に記載の多機能光学フィルム。
【請求項7】
前記基材が、静電防止コーティング又は接着促進コーティングのうちの1つ以上を有する、請求項1に記載の多機能光学フィルム。
【請求項8】
前記第1のナノ粒子の前記第1の寸法が、60nm〜10μmの範囲の直径であり、前記第2のナノ粒子の前記第2の寸法が、3nm〜50nmの範囲の直径である、請求項1に記載の多機能光学フィルム。
【請求項9】
前記抽出要素が、金属酸化物粒子、有機ポリマー粒子、金属粒子、又は複合体粒子のうちの1つ以上からなる、ナノ粒子を含む、請求項1に記載の多機能光学フィルム。
【請求項10】
光抽出を強化するための光学フィルムを作製する方法であって、
可撓性基材上に第1の屈折率を有する有機材料層をコーティングする工程と、
ナノ構造化形状を前記有機材料内に付与して、ナノ構造化表面を作製する工程であって、前記ナノ構造化形状が、第1の寸法の第1のナノ構造化形状及び前記第1の寸法と異なる第2の寸法の第2のナノ構造化形状を含む、工程と、
前記ナノ構造化表面に充填材層を適用して前記ナノ構造化表面上に平坦化層を形成する工程であって、
前記充填材層が、前記第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する材料を含み、
かつ前記ナノ構造化形状の実質的な部分は、前記光学フィルムが自発光型光源に配置されるとき、前記自発光型光源の発光領域と光連通する、工程と、を含む、方法。
【請求項11】
前記ナノ構造化形状が、金属酸化物粒子、有機ポリマー粒子、金属粒子、又は複合体粒子の1つ以上からなるナノ粒子を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記充填材層を適用する前に安定化層をコーティングする工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ナノ構造化形状を有する前記有機材料を硬化させる工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記付与する工程が、
ナノ構造化形状を有するマスターツールを供給する工程、及び
前記有機材料層を有する前記可撓性基材を、前記ツールに対し適用された前記有機材料を有する前記ツールに適用し、前記有機材料内に前記ナノ構造を付与する工程、を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記マスターツールを供給する工程が、前記マスターツールの表面上にテクスチャーを作製するために、前記マスターツールの前記表面上にナノ粒子をコーティングする工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
液体コーティング、蒸着コーティング、粉体コーティング、又は積層のうちの1つの方法を使用して、前記充填材層を適用し、前記平坦化層を形成する工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のナノ粒子の前記第1の寸法が、60nm〜10μmの範囲の直径であり、前記第2のナノ粒子の前記第2の寸法が3nm〜50nmの範囲である、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記方法がロールツーロールプロセスで実施される、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
光抽出を強化するための光学フィルムを作製する方法であって、
第1の屈折率を有するナノ粒子を可撓性基材上に適用する工程であって、前記ナノ粒子の実質的な部分が、前記光学フィルムが自発光型光源に対して配置されたとき、前記自発光型光源の発光領域と光連通し、前記ナノ粒子が、第1の寸法の第1のナノ粒子及び前記第1の寸法と異なる第2の寸法の第2のナノ粒子を含む、工程と、
前記ナノ粒子上に充填材層をオーバーコーティングして、前記ナノ粒子上に平坦化層を形成する工程であって、前記充填材層が前記第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する材料を含む、工程と、を含む、方法。
【請求項20】
前記適用する工程が、
前記可撓性基材上に、溶媒内に分散した前記ナノ粒子をコーティングする工程、及び
前記充填材層をオーバーコーティングする前に、前記溶媒を蒸発させる工程、を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記適用する工程が、乾燥形態の前記ナノ粒子を前記可撓性基材に適用する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記適用する工程が、前記ナノ粒子を単層として前記可撓性基材上に形成する工程を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ナノ粒子の前記実質的な部分が、前記可撓性基材と接触している、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記第1のナノ粒子の前記第1の寸法が、60nm〜10μmの範囲の直径であり、前記第2のナノ粒子の前記第2の寸法が3nm〜50nmの範囲である、請求項19に記載の方法。
【請求項25】
前記方法がロールツーロールプロセスで実施される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
前記ナノ粒子上に共形安定化層をコーティングする工程を更に含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2012−512518(P2012−512518A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542208(P2011−542208)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/066238
【国際公開番号】WO2010/077521
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】