説明

ナビゲーション装置、動作制御方法及び携帯端末装置

【課題】電力消費を低減する。
【解決手段】PND1は、当該PND1に作用する地磁気値Mを検出する地磁気センサ8を設けると共に、当該PND1がクレードル3に装着されているか否かをクレードル検出部17により判定する。PND1がクレードル3に装着されている場合、動作制御部29は、地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27を動作させる。一方PND1がクレードル3に装着されていない場合、動作制御部29は、地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27の動作を停止させる。これによりPND1は、車両9から取り外された場合は地磁気センサ8を動作させると共に、正しい方位を表す地磁気値Mを検出することが困難である車両9に取り付けられた場合は地磁気センサ8の動作を停止させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置、動作制御方法及び携帯端末装置に関し、例えば地磁気センサにより方位を検出すると共に、車両に取り付けられ又は取り外された状態で地図表示を行うナビゲーション装置、動作制御方法及び携帯端末装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、移動する車両等に搭載され、GPS(Global Positioning System)衛星等の測位手段から受信した測位情報(例えばGPS信号)に基づいて現在位置を算出し、地図画面上に当該車両の位置や進行方向を示すようになされたものが広く普及している。
【0003】
またかかるナビゲーション装置のなかには、車両から取り外しユーザにより容易に持ち運び得るようになされた、いわゆるポータブル型に構成されたものがある。
【0004】
このようなポータブル型ナビゲーション装置(以下これをPND(Personal Navigation Device)と呼ぶ)においては、地磁気センサを搭載して地磁気を検出することにより方位を算出するものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また近年では、PNDに限らず、ナビゲーション機能を有すると共に、地磁気センサを搭載して地磁気を検出することにより方位を算出する携帯端末装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−076374公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで地磁気センサは、その性質上、例えば車両のボディ等のような大きな金属体等が周囲に存在する場合、漏洩磁場による磁気的な影響や金属体による地磁気の遮断等により、正しい方位を表すような地磁気値を検出することが困難となる。
【0008】
このような場合、地磁気センサは正しい方位を表すような地磁気値を検出できないにも関わらず動作し続けてしまう。これにより、地磁気センサが動作する際の電力の消費が無駄になってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、電力消費を低減し得るナビゲーション装置、動作制御方法及び携帯端末装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる問題を解決するため本発明のナビゲーション装置においては、所定の移動体に取り付けられた台座部に装着され、又は台座部から離脱される本体部と、所定の測位手段から供給される測位情報に基づいて本体部の現在位置を検出する現在位置検出部と、本体部に作用する地磁気を観測する地磁気センサと、観測された地磁気に基づいて本体部の方位を算出する方位算出部と、本体部が台座部に装着されているか否かを検出する着脱検出子と、本体部が台座部に装着されていることが検出された場合、地磁気センサの動作を停止させる動作制御部とを設けるようにした。
【0011】
このナビゲーション装置では、車両から取り外された場合は地磁気センサを動作させると共に、正しい方位を表す地磁気値を検出することが困難である車両に取り付けられた場合は地磁気センサの動作を停止させることができる。
【0012】
また本発明の動作制御方法においては、所定の測位手段から供給される測位情報に基づいて、所定の移動体に取り付けられた台座部に装着され又は台座部から離脱される本体部の現在位置を所定の現在位置検出手段が検出する現在位置検出ステップと、本体部が台座部に装着されているか否かを所定の着脱検出手段が検出する着脱検出ステップと、本体部が台座部に装着されていることが検出された場合、所定の動作制御手段が地磁気センサの動作を停止させる動作制御ステップと、本体部が台座部から離脱されていることが検出された場合、本体部に作用する地磁気を観測する地磁気センサにより観測された地磁気に基づいて、所定の方位算出手段が本体部の方位を算出する方位算出ステップとを設けるようにした。
【0013】
この動作制御方法では、車両から取り外された場合は地磁気センサを動作させると共に、正しい方位を表す地磁気値を検出することが困難である車両に取り付けられた場合は地磁気センサの動作を停止させることができる。
【0014】
さらに本発明の携帯端末装置においては、所定の移動体に取り付けられた台座部に装着され、又は本体部から離脱される本体部と、所定の測位手段から供給される測位情報に基づいて移動体の現在位置を検出する現在位置検出部と、本体部に作用する地磁気を観測する地磁気センサと、観測された地磁気に基づいて本体部の方位を算出する方位算出部と、本体部が台座部に装着されているか否かを検出する着脱検出子と、本体部が台座部に装着されていることが検出された場合、地磁気センサの動作を停止させる動作制御部と、所定の基地局との間で無線通信を行うことにより通話処理を行う携帯電話部とを設けるようにした。
【0015】
この携帯端末装置では、車両から取り外された場合は地磁気センサを動作させると共に、正しい方位を表す地磁気値を検出することが困難である車両に取り付けられた場合は地磁気センサの動作を停止させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両から取り外された場合は地磁気センサを動作させると共に、正しい方位を表す地磁気値を検出することが困難である車両に取り付けられた場合は地磁気センサの動作を停止させることができ、かくして電力消費を低減し得るナビゲーション装置、動作制御方法及び携帯端末装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】PNDの全体構成を示す略線図である。
【図2】PNDの座標系の定義を示す略線図である。
【図3】PNDにおけるセンサ構成を示す略線図である。
【図4】凹凸路面の走行時の様子を示す略線図である。
【図5】カーブ走行時の様子を示す略線図である。
【図6】速度及び角度を用いた現在位置算出手法を示す略線図である。
【図7】PNDの回路構成を示す略線図である。
【図8】ナビゲーションの表示例を示す略線図である。
【図9】速度算出部の構成を示す略線図である。
【図10】クレードルによる振動の様子を示す略線図である。
【図11】最大値及び最小値の関係を示す略線図である。
【図12】速度算出処理を用いた現在位置算出処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図13】地磁気ベクトルの補正を示す略線図である。
【図14】動作制御処理手順の説明に供するフローチャートである。
【図15】携帯電話機の全体構成を示す略線図である。
【図16】携帯電話機の回路構成を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(PNDの例)
2.第2の実施の形態(携帯端末装置の例)
3.他の実施の形態
【0019】
<1.第1の実施の形態>
[1−1.PNDの構成]
[1−1−1.PNDの外観構成]
図1に示すように、本発明の一実施の形態としてのPND1は、当該PND1における前面に表示部2が設けられており、当該PND1に内蔵された例えば不揮発性メモリ(図示せず)に格納されている地図データに応じた地図画像等を表示部2に対して表示し得るようになされている。
【0020】
このPND1は、ユーザにより容易に持ち運ばれ得るようポータブル型に構成され、当該ユーザの家庭内、車両の車室内や車室外において使用されることが想定されている。
【0021】
クレードル3は、後述する車両9のダッシュボード上に吸盤3Aを介して取付けられると共に、車両9のバッテリと電気的に接続されている。
【0022】
PND1は、台座部としてのクレードル3に装着され又は離脱されるようになされており、装着されたときにはクレードル3によって保持され、当該PND1とクレードル3とが機械的かつ電気的に接続される。
【0023】
これによりPND1は、クレードル3を介して車両9のバッテリから供給される電力により動作すると共に、当該クレードル3から離脱されたときには内蔵のバッテリから供給される電力によって独立した状態でも動作するようになされている。
【0024】
ここでPND1は、その表示部2が車両9の進行方向に対してほぼ垂直となるように設置されている。このときPND1の座標系は、図2に示すように、当該車両9の前後方向(進行方向)をX軸、当該X軸に直交した水平方向をY軸、上下方向をZ軸によって表される。
【0025】
この座標系では、車両9の進行方向をX軸の正と定義し、また右方向をY軸の正と定義し、さらに下方向をZ軸の正と定義することとする。
【0026】
[1−1−2.PNDのセンサ構成]
図3に示すように、PND1は、その内部に3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5、Z軸ジャイロセンサ6、気圧センサ7及び地磁気センサ8が設けられている。
【0027】
3軸加速度センサ4は、X軸に沿った加速度αx、Y軸に沿った加速度αy及びZ軸に沿った加速度αzをそれぞれ電圧値として検出するようになされている。
【0028】
またY軸ジャイロセンサ5、Z軸ジャイロセンサ6及び気圧センサ7は、Y軸回りの角速度(以下これをピッチレートとも呼ぶ)ωy、Z軸回りの角速度(以下これをヨーレートとも呼ぶ)ωz及び周囲の気圧PRをそれぞれ電圧値として検出するようになされている。
【0029】
さらに地磁気センサ8は、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向それぞれの地磁気Mx、地磁気My及び地磁気Mzをそれぞれ電圧値として検出するようになされている。
【0030】
[1−2.算出原理]
ところで本発明のPND1は、3軸加速度センサ4及びY軸ジャイロセンサ5等により検出した加速度及びピッチレート等に基づき、車両9の速度を算出した上で現在位置を算出する自律測位処理を実行し得るようにもなされている。ここでは、当該速度及び現在位置を算出する基本原理について説明する。
【0031】
[1−2−1.速度算出原理]
以下ではまず、車両9の速度を算出する基本原理について説明する。実際上、道路を走行中の車両9は、平らな道路を走行することが殆どなく、図4(A)に示すような全体として凹状の道路、及び図4(B)に示すような全体として凸状の道路を走行するのが実状である。
【0032】
ここで車両9の座標系は、当該車両9の前後方向をX軸、当該X軸に直交した水平方向をY軸、上下方向をZ軸によって表される。
【0033】
この車両9の例えばダッシュボード上に載置されたPND1(図示せず)は、車両9が凹状の道路(図4(A))を走行したとき、当該PND1に設けられた3軸加速度センサ4(図3)によって、Z軸に沿った下方向の加速度αzを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出する。
【0034】
またPND1は、Y軸ジャイロセンサ5(図3)によって進行方向に直交したY軸回りの角速度(ピッチレート)ωyを50[Hz]のサンプリング周波数で検出する。
【0035】
ここでPND1では、Z軸に沿った下方向の加速度αzを正と定義し、また図4(A)に示すような凹状の路面に沿って形成される仮想上の円を進行方向に対して上向きに縦回転する際のピッチレートωyを正と定義している。
【0036】
このPND1は、3軸加速度センサによって検出した加速度αz及びY軸ジャイロセンサによって検出したピッチレートωyを用い、次の(1)式によって進行方向の速度Vを1秒間当たり50回、算出し得るようになされている。
【0037】
【数1】

【0038】
またPND1は、車両9が凸状の道路(図4(B))を走行するとき、3軸加速度センサ4によってZ軸に沿った上方向の加速度αz'を例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出し、また当該PND1に設けられたY軸ジャイロセンサ5によってY軸回りのピッチレートωy'を例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出する。
【0039】
そしてPND1は、3軸加速度センサ4によって検出した加速度αz'及びY軸ジャイロセンサによって検出したピッチレートωy'を用い、次の(2)式によって進行方向の速度V’を1秒間当たり50回、算出し得るようになされている。
【0040】
【数2】

【0041】
ここでは説明の便宜上、負の加速度αzを加速度αz'として説明しているが、実際には、3軸加速度センサは加速度αz'を加速度αzの負の値として検出している。またピッチレートωy'についても同様に、負のピッチレートωyをピッチレートωy'として説明しているが、実際には、Y軸ジャイロセンサは、ピッチレートωy'をピッチレートωyの負の値として検出している。従って、実際には速度V’も、速度Vとして算出される。
【0042】
[1−2−2.現在位置算出原理]
次に、上述した速度算出原理により算出した速度Vと、Z軸回りの角速度ωzとに基づいて現在位置を算出する現在位置算出原理について説明する。
【0043】
図5に示すように、PND1(図示せず)は、車両9が例えば左旋回している時のZ軸回りの角速度(ヨーレート)ωzを当該PND1に設けられたZ軸ジャイロセンサ6(図3)によって例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出する。
【0044】
次にPND1は、図6に示すように、前回の位置P0における速度Vと、Z軸ジャイロセンサ6により検出したヨーレートωzにサンプリング周期(この場合、0.02[s])を積算することにより得られる角度θとを基に、前回の位置P0から現在位置P1までの変化量を求める。そしてPND1は、この変化量を前回の位置P0に加えることによって現在位置P1を算出し得るようになされている。
【0045】
[1−3.PNDの回路構成]
次にPND1の回路構成について説明する。図7に示すように、PND1は、制御部11及び各種センサが設けられナビゲーション機能を実現するナビゲーションユニット10を中心に構成されている。
【0046】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)構成でなり、例えば不揮発性メモリ等でなる記憶部12から読み出した基本プログラムによって全体を制御するようになされている。
【0047】
またPND1は、制御部11が記憶部12から読み出した各種アプリケーションプログラムに従い、後述する動作制御処理等を実行するようになされている。
【0048】
表示部2の表面には、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルにより構成された操作部13が設けられている。制御部11は、操作部13を介してユーザに指定された所望の目的地までの経路案内画面等を表示することにより、ユーザに現在位置や周辺地図、或いは案内経路を提示し得るようになされている。
【0049】
さらにPND1は、当該PND1が車両9に取り付けられたときにナビゲーション処理を行う車載モードと、車両9から取り外され主に徒歩移動するユーザに把持された状態でナビゲーション処理を行う徒歩モードとを切り替えるようにもなされている(詳しくは後述する)。
【0050】
また制御部11は、クレードル検出部17としても機能するようになされている。クレードル検出部17は、PND1がクレードル3と電気的に接続されているか否かを定期的に(例えば3秒ごとに)検出し、その検出結果を表すクレードル検出信号CTDを生成して動作制御部29へ供給するようになされている。
【0051】
制御部11は、クレードル検出部17によりPND1がクレードル3に装着されたと検出された場合、PND1を車載モードして動作させるようになされている。
【0052】
[1−4.車載モード]
車載モードの場合、制御部11は、GPS処理部21、速度算出部22、角度算出部23、高度算出部24、位置算出部25及びナビゲーション部26として機能するようになされている。
【0053】
またPND1は、車載モードとして動作する場合、GPS信号を受信し得る際に当該GPS信号に基づき現在位置を測位するGPS測位処理、又はGPS信号を受信し得ない際に各種センサによる検出値に基づき現在位置を推測する自律測位処理を実行するようになされている。
【0054】
このPND1においては、GPS測位処理を実行する際、GPSアンテナANT1によって受信した複数のGPS衛星からのGPS信号を制御部11におけるGPS処理部21へ送出する。
【0055】
GPS処理部21は、複数のGPS信号をそれぞれ復調することにより得られる軌道データと、複数のGPS衛星から車両9までの距離データとに基づいて車両9の現在位置を正確に測位することにより現在位置データNPD1を得、これをナビゲーション部26へ送出する。
【0056】
ナビゲーション部26は、現在位置データNPD1を基に車両9の現在位置が含まれる周辺の地図データを記憶部12から読み出し、その現在位置が含まれる地図画像を生成する。
【0057】
またナビゲーション部26は、現在位置データNPD1を基に車両9の進行方向の方位を算出し、当該方位に応じたコンパス画像GCを生成する。
【0058】
さらにナビゲーション部26は、車両9の現在位置が含まれる地図画像とコンパス画像GCとを表示部2へ出力することにより、当該コンパス画像GCを地図画像に重ねて、図8(A)に示す車両ナビゲーション画像GVを表示させるようになされている。
【0059】
車両ナビゲーション画像GVにおいては、車両9の現在位置に矢印型でなる車両マークMVが表示され、当該矢印の指し示す先が車両9の進行方向を示している。また車両ナビゲーション画像GVは、車両9の進行方向が表示部2の上部へ向かうように地図画像が回転される、いわゆるヘディングアップ表示として表示部2に表示されている。
【0060】
また車両ナビゲーション画像GVにおいては、表示部2の右上にコンパス画像GCが表示されており、当該コンパス画像GCは、ユーザの進行方向の方位の変化に対応するよう回転して表示されるようになされている。
【0061】
一方、ナビゲーション部26(図7)は、ビルの陰やトンネル内等のようにGPSアンテナANT1によってGPS信号を受信できない場合、現在位置データNPD1が供給されないため車両9の現在位置を算出することができない。
【0062】
このとき位置算出部25は、3軸加速度センサ4及びY軸ジャイロセンサ5により検出した加速度やピッチレート等に基づき速度Vを算出した上で現在位置を算出する自律測位処理を行い得るようにもなされている。
【0063】
すなわち3軸加速度センサ4は、加速度αx、αy及びαzを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出し、当該加速度αx、αy及びαzのうち、加速度αzが示された加速度データADを制御部11の速度算出部22へ送出する。
【0064】
Y軸ジャイロセンサ5は、ピッチレートωyを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出しており、当該ピッチレートωyが示されたピッチレートデータPDを制御部11の速度算出部22へ送出する。
【0065】
速度算出部22は、3軸加速度センサ4から供給された加速度データADに相当する加速度αzと、Y軸ジャイロセンサ5から供給されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyとを基に、(1)式を用いて1秒当たり50回、速度Vを算出し、当該速度Vが示された速度データVDを位置算出部25へ送出する。
【0066】
またZ軸ジャイロセンサ6は、ヨーレートωzを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出しており、当該ヨーレートωzが示されたヨーレートデータYDを制御部11の角度算出部23へ送出する。
【0067】
角度算出部23は、Z軸ジャイロセンサ6から供給されたヨーレートデータYDに相当するヨーレートωzにサンプリング周期(この場合、0.02[s])を積算することにより、車両9が右旋回又は左旋回したときの角度θを算出し、その角度θが示された角度データDDを位置算出部25へ送出する。
【0068】
位置算出部25は、速度算出部22から供給された速度データVDに相当する速度V、及び角度算出部23から供給された角度データDDに相当する角度θを基に、図6に示したような前回の位置P0から現在位置P1までの変化量を求める。そして位置算出部25は、この変化量を前回の位置P0に加えることによって現在位置P1を算出し、その現在位置P1が示された現在位置データNPD2をナビゲーション部26へ送出する。
【0069】
一方、気圧センサ7は、周囲の気圧PRを例えば50[Hz]のサンプリング周波数で検出しており、当該気圧PRが示された気圧データPRDを高度算出部24へ送出する。
【0070】
高度算出部24は、気圧センサ7から供給された気圧データPRDに相当する気圧PRに基づいて車両9の高度を算出し、その高度が示された高度データHDをナビゲーション部26へ送出する。
【0071】
ナビゲーション部26は、位置算出部25から供給された現在位置データNPD2及び高度算出部24から供給された高度データHDを基に、車両9の現在位置が含まれる周辺の地図データを記憶部12から読み出し、その現在位置が含まれる地図画像を生成する。
【0072】
またナビゲーション部26は、現在位置データNPD2を基に車両9の進行方向の方位を算出し、当該方位に応じたコンパス画像GCを生成する。
【0073】
さらにナビゲーション部26は、車両9の現在位置が含まれる地図画像とコンパス画像GCとを表示部2へ出力することにより、当該コンパス画像GCを地図画像に重ねて、図8(A)に示した車両ナビゲーション画像GVを表示させるようになされている。
【0074】
このようにPND1は、車載モードにおいては現在位置データNPD1又は現在位置データNPD2に基づき方位を算出し、当該方位に基づきコンパス画像GCを地図画像に重ねて表示部2に表示させるようになされている。
【0075】
[1−4−1.速度算出処理]
次に、3軸加速度センサ4から供給された加速度データADに相当する加速度αz、及びY軸ジャイロセンサ5から供給されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyに基づいて速度Vを速度算出部22によって算出する速度算出処理について説明する。
【0076】
速度算出部22は、速度算出処理を実行する際、図9に示すように、データ取得部31、ハイパスフィルタ部32、ローパスフィルタ部33、速度計算部34、平滑化及びノイズ除去部35及び速度出力部36として機能する。
【0077】
速度算出部22のデータ取得部31は、3軸加速度センサ4から供給される加速度データAD、及びY軸ジャイロセンサ5から供給されるピッチレートデータPDをそれぞれ取得し、当該加速度データAD及びピッチレートデータPDをハイパスフィルタ部32へ送出する。
【0078】
ハイパスフィルタ部32は、データ取得部31から供給された加速度データAD及びピッチレートデータPDの直流成分をカットし、その結果得られる加速度データAD1及びピッチレートデータPD1をローパスフィルタ部33へ送出する。
【0079】
ローパスフィルタ部33は、ハイパスフィルタ部32から供給された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対して後述するローパスフィルタ処理を施し、その結果得られる加速度データAD2及びピッチレートデータPD2を速度計算部34へ送出する。
【0080】
速度計算部34は、ローパスフィルタ部33から供給された加速度データAD2及びピッチレートデータPD2に対して後述する速度計算処理を施し、その結果得られる速度データVD1を平滑化及びノイズ除去部35へ送出する。
【0081】
平滑化及びノイズ除去部35は、速度計算部34から供給された速度データVD1に対して所定の平滑化及びノイズ除去処理を施すことにより速度Vに含まれる誤差を縮小し、その結果得られる速度データVDを速度出力部36へ送出する。
【0082】
速度出力部36は、車両9の速度Vを表すデータとして、平滑化及びノイズ除去部35から供給された速度データVDを位置算出部25へ送出する。
【0083】
このようにして速度算出部22は、3軸加速度センサ4から供給された加速度データAD、及びY軸ジャイロセンサ5から供給されたピッチレートデータPDに基づいて車両9の速度Vを算出するようになされている。
【0084】
[1−4−1−1.ローパスフィルタ処理]
次に、ハイパスフィルタ部32から供給された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対してローパスフィルタ部33により施されるローパスフィルタ処理について説明する。
【0085】
ここで、気圧センサ7(図7)により取得された気圧データPRDに相当する気圧PRに基づく高度Hと、Y軸ジャイロセンサ5により取得されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyに基づくY軸回りの水平方向に対する角度φを測定した。
【0086】
これにより、高度Hが急に低くなるとき、すなわち車両9が下り坂を下っているとき、角度φも下がる結果が得られた。これより明らかなように、高度Hと角度φとの間には相関関係がある。
【0087】
このように高度Hが変化する際、角度φも高度Hの変化に伴って変化しており、このことから、PND1は、Y軸ジャイロセンサ5によって車両9の進行方向における路面のうねりを検出できることが分かる。
【0088】
また測定した角度φは、車両9の走行速度に関わらず1秒間当たり1〜2回振動していた。従ってPND1では、Y軸ジャイロセンサ5により取得されたピッチレートデータPDに相当するピッチレートωyを検出する際、車両9の走行速度に関わらず、当該ピッチレートωyを1〜2[Hz]の振動として検出していることが判明した。
【0089】
ところでPND1は、車両9のダッシュボード上に吸盤3Aを介して取付けられたクレードル3によって保持されている。図10に示すように、クレードル3は、吸盤3Aの上方にクレードル本体部3Bが設けられており、当該クレードル本体部3Bの所定高さの位置に設けられた支持点3Cによって一端が支持され、他端によりPND1を支持するPND支持部3Dが設けられている。
【0090】
このためPND1は、車両9が路面のうねりに応じて振動する際、PND支持部3Dの支持点3Cを中心に上下方向に例えば加速度αc及び角速度ωcで振動する。
【0091】
実験等の結果PND1は、Y軸ジャイロセンサ5により、上述したような路面のうねりによって1〜2[Hz]で振動するピッチレートωyと、クレードル3によって約15[Hz]で振動する角速度ωcと合成された加算角速度ωcyを検出していることが確認された。
【0092】
またPND1は、3軸加速度センサ4によって、上述したような路面のうねりによって1〜2[Hz]で振動する加速度αzと、クレードル3によって約15[Hz]で振動する加速度αcとが合成された加算加速度αczを検出していることも確認された。
【0093】
そこでローパスフィルタ部33(図9)は、ハイパスフィルタ部32から供給された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対してローパスフィルタ処理を施し、約15[Hz]の周波数成分、すなわちクレードル3にPND1が保持されることによって発生する加速度αc及び角速度ωcをそれぞれ取り除くようになされている。
【0094】
すなわちローパスフィルタ部33は、加算加速度αczから加速度αcを取り除くことにより、路面のうねりによって発生する加速度αzだけを抽出することができる。またローパスフィルタ部33は、加算角速度ωcyから角速度ωcを取り除くことにより、路面のうねりによって発生するピッチレートωyだけを抽出することができる。
【0095】
[1−4−1−2.速度計算処理]
次に、ローパスフィルタ部33から供給された加速度データAD2及びピッチレートデータPD2を基に、速度計算部34によって速度Vを算出する速度計算処理について説明する。
【0096】
一般に、車両9内におけるPND1の搭載位置としては、例えば当該車両9の前方側であるダッシュボードの上や、当該車両9の後方側であるリアガラス付近等、様々な箇所が考えられる。
【0097】
詳細については省略するが、実験の結果、車両9の前方側に載置されたPND1で検出された加速度αzに対し、後方側に載置されたPND1で検出された加速度αzの位相が遅延することが分かった。そこでPND1は、ピッチレートデータPD2のうちある程度の範囲のデータを利用するようになされている。
【0098】
ところで車両9の速度Vが低速である場合には、路面の微妙な変化により急激に加速度αz及びピッチレートωyが変化する。そこで速度計算部34は、その急激な変化に対応するために、利用するデータの範囲を25データ点に、すなわち狭く設定するようになされている。
【0099】
また車両9の速度Vが高速である場合には、当該車両9のサスペンションの影響も大きく、加速度αz及びピッチレートωyがゆっくり変化する。そこで速度計算部34は、そのゆっくりとした変化に対応するために、利用するデータ範囲を75データ点に、すなわち広く設定するようになされている。
【0100】
具体的に速度計算部34は、図11に示すように、ローパスフィルタ部33から供給された加速度データAD2に相当する加速度αzの前回の位置P0(図6)に対応するデータ点Pmを中心とした25データ点又は75データ点分の範囲から、最大値及び最小値をそれぞれ最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minとして抽出する。
【0101】
また速度計算部34は、ローパスフィルタ部33から供給されたピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyのデータ点Pmを中心とした25データ点又は75データ点分の範囲から、最大値及び最小値をそれぞれ最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minとして抽出する。
【0102】
すなわち速度計算部34は、加速度αz及びピッチレートωyに発生し得る位相のずれよりも広い範囲のなかから、最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minとをそれぞれ抽出する。
【0103】
そして速度計算部34は、加速度データAD2から抽出した最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、ピッチレートデータPD2から抽出した最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minとを用い、上述した(1)式を変形した(3)式により、前回の位置P0(図6)での進行方向の速度Vを算出する。
【0104】
【数3】

【0105】
その後速度計算部34は、速度Vを表す速度データVD1を平滑化及びノイズ除去部35へ送出する。
【0106】
すなわち速度計算部34は、(3)式を用いることにより、加速度αz及びピッチレートωyに位相のずれが発生している場合であっても、当該位相のずれの影響を取り除いた速度Vを算出することができる。
【0107】
このように速度計算部34は、最大加速度αz,max及び最小加速度αz,minと、最大ピッチレートωy,max及び最小ピッチレートωy,minと抽出する際のデータ範囲を車両9の速度Vに応じて切り替えることにより、当該速度Vに応じた路面や車両9の状況を反映することができ、速度Vの算出精度を向上させることができる。
【0108】
[1−4−2.速度算出処理を用いた位置算出処理手順]
次に、PND1の制御部11が、上述したような速度算出処理を用いて現在位置を算出する位置算出処理手順について、図12のフローチャートを用いて説明する。
【0109】
実際上、制御部11は、ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1へ移り、3軸加速度センサ4により検出された加速度データADと、Y軸ジャイロセンサ5により検出されたピッチレートデータPDとを速度算出処理部22のデータ取得部31によって取得した後、次のステップSP2へ移る。
【0110】
ステップSP2において制御部11は、加速度データAD及びピッチレートデータPDに対してハイパスフィルタ処理を速度算出部22のハイパスフィルタ部32により施し、次のステップSP3へ移る。
【0111】
ステップSP3において制御部11は、ハイパスフィルタ処理が施された加速度データAD1及びピッチレートデータPD1に対して、例えばカットオフ周波数1[Hz]の4次IIRフィルタであるローパスフィルタ処理を速度算出部22のローパスフィルタ部33によって施し、次のステップSP4へ移る。
【0112】
ステップSP4において制御部11は、ローパスフィルタ処理が施された加速度データAD2に相当する加速度αz及びピッチレートデータPD2に相当するピッチレートωyを基に、(3)式を用いて速度算出部22の速度計算部34によって速度Vを算出し、次のステップSP5へ移る。
【0113】
ステップSP5において制御部11は、ステップSP4において算出された速度Vが示された速度データVDに対して平滑化及びノイズ除去処理を施す。
【0114】
具体的に、制御部11は、ステップSP4において算出された速度Vが示された速度データVD1に対してカットオフ周波数を可変にしたローパスフィルタ処理を施し、次のステップSP6へ移る。
【0115】
ステップSP6において制御部11は、Z軸ジャイロセンサ6により検出されたヨーレートデータYDを角度算出部23によって取得し、次のステップSP7へ移る。
【0116】
ステップSP7において制御部11は、ヨーレートデータYDに相当するヨーレートωzにサンプリング周期である0.02[秒]を積算することにより角度θが示された角度データDDを角度算出部23によって算出し、次のステップSP8へ移る。
【0117】
ステップSP8において制御部11は、ステップSP5において平滑化及びノイズ除去処理を施された速度データVD、及びステップSP8において算出された角度データDDに基づいて現在位置データNPD2を算出し、次のステップSP9へ移る。
【0118】
ステップSP9において制御部11は、位置算出部25から供給された現在位置データNPD2を基に、車両9の現在位置が含まれる周辺の地図データを記憶部12から読み出し、その現在位置が含まれる地図画像を生成した後、表示部2へ出力し、次のステップSP10へ移って処理を終了する。
【0119】
[1−5.徒歩モード]
次に、PND1が車両9から取り外された場合の徒歩モードについて説明する。制御部11(図7)は、PND1がクレードル3から離脱されていることをクレードル検出部17により検出した場合、PND1を徒歩モードに切り替える。
【0120】
徒歩モードの場合、制御部11は、車載モードと同様のGPS処理部21及びナビゲーション部26に加えて、姿勢角検出部27及び方位算出部28として機能するようになされている。
【0121】
姿勢角検出部27は、3軸加速度センサ4から加速度αx、αy及びαzが示された加速度データAD3を取得する。続いて姿勢角検出部27は、取得した加速度データAD3に基づき、地平面に対するPND1の傾きを示す姿勢角AAを検出し、当該姿勢角AAが示された姿勢角データAADを方位算出部28へ供給する。
【0122】
また上述したようにPND1には、3軸方向の地磁気を検出し得る地磁気センサ8が設けられている。この地磁気センサ8は地磁気を検出し、3次元の地磁気ベクトルでなる地磁気値Mが示された地磁気データTMDを方位算出部28へ供給するようになされている。
【0123】
方位算出部28は、地磁気センサ8から供給された地磁気データTMDに相当する地磁気値Mと、姿勢角検出部27から供給された姿勢角データAADに相当する姿勢角AAとに基づき方位Cを算出し、当該方位Cが示された方位データCDをナビゲーション部26へ供給する。
【0124】
ナビゲーション部26は、GPS処理部21から取得した現在位置データNPD1を基に、PND1を持ち運んでいるユーザの現在位置が含まれる周辺の地図データを記憶部12から読み出し、その現在位置が含まれる地図画像を生成する。
【0125】
またナビゲーション部26は、方位データCDにより示される方位Cに応じたコンパス画像GCを生成する。さらにナビゲーション部26は、ユーザの現在位置が含まれる地図画像とコンパス画像GCとを表示部2へ出力することにより、当該コンパス画像GCを地図画像に重ねて、図8(B)に示す徒歩ナビゲーション画像GWを表示させるようになされている。
【0126】
徒歩ナビゲーション画像GWにおいては、ユーザの現在位置に人型でなる人マークMWが表示され、人型の足部分から頭部分へ向かう方向がユーザの進行方向を示している。また徒歩ナビゲーション画像GWは、車両ナビゲーション画像GVと同様、ヘディングアップ表示として表示部2に表示されている。
【0127】
また徒歩ナビゲーション画像GWにおいては、車両ナビゲーション画像GVと同様、表示部2の右上にコンパス画像GCが表示されており、当該コンパス画像GCは、ユーザの進行方向の方位の変化に対応するよう回転して表示される。
【0128】
ところで上述したようにクレードル検出部17(図7)は、PND1がクレードル3に装着されているか否かを定期的に検出し、その検出結果としてクレードル検出信号CTDを動作制御部29へ供給するようになされている。
【0129】
動作制御部29は、クレードル検出信号CTDに基づき、地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27を動作させるか、又は動作を停止させるかを制御するようになされている(詳しくは後述する)。
【0130】
ところで地磁気センサ8は、その性質上、周囲に存在する金属等の磁性体や、PND1内部に設けられたシールド板(図示せず)等の金属部品における磁化等により影響を受け、地磁気データTMDに誤差が含まれてしまうことが知られている。
【0131】
そこで制御部11の方位算出部28は、地磁気センサ8から地磁気Mx、My及びMzが示された地磁気データTMDの取得を開始する際、所定の初期化処理を行うことにより、当該地磁気データTMDを補正するための補正値や正常な値の範囲を表す閾値等(以下、これらを学習値LNと呼ぶ)を設定するようになされている。
【0132】
因みに方位算出部28は、初期化処理を行う場合、例えば表示部2に「本体を8の字状に動かしてください」といったメッセージを表示してユーザにPND1全体を「8」の字状の軌跡を描くよう動かさせ、このとき得られた地磁気データTMDを用いて学習値LNを生成するようになされている。
【0133】
その後方位算出部28は、学習値LNの補正値を用いて地磁気データTMDに所定の補正処理を施すことにより当該地磁気データTMDを補正し、補正後の地磁気データTMDを基に上述した方位データCDを生成するようになされている。
【0134】
またPND1内部に設けられた金属部品等の磁化は、当該PND1を持ち運ぶユーザにより強力な磁場があるところを通過したとき等に変化する場合がある。このような磁化の変化は、地磁気データTMDに影響を及ぼすことが知られている。
【0135】
そこで方位算出部28は、学習値LNの閾値を基に、地磁気センサ8から取得した地磁気データTMDが正常な範囲にあるか否かを判定し、正常な範囲にある場合にのみ当該地磁気データTMDを用いて方位データCDを生成するようになされている。
【0136】
一方方位算出部28は、地磁気センサ8から取得した地磁気データTMDが正常な範囲に無い場合には、当該地磁気データTMDを基に、学習値LNの補正値や閾値等を適宜更新するようになされている。
【0137】
[1−5−1.方位算出処理]
次に、地磁気センサ8から供給された地磁気データTMDに相当する地磁気値Mと、姿勢角検出部27から供給された姿勢角データAADに相当する姿勢角ADとに基づいて、方位算出部28によって方位Cを算出する方位算出処理について説明する。
【0138】
ここで地面座標系として、地平面に沿った北向きを地面X軸の正、地平面に沿った東向きを地面Y軸の正、重力方向を地面Z軸の正と定義する。
【0139】
また、地平面(すなわち地面X軸Y軸平面)に対するPND1の地面X軸回りの傾斜角をロール角A、地面Y軸回りの傾斜角をピッチ角Bとする。
【0140】
3軸加速度センサ4は、加速度αx、αy及びαzを検出し、当該加速度αx、αy及びαzが示された加速度データAD3を制御部11の姿勢角検出部27へ送出する。
【0141】
姿勢角検出部27は、3軸加速度センサ4から供給された加速度データADに相当する加速度αx、αy及びαzに基づき、ロール角A及びピッチ角Bからなる姿勢角AAを検出し、当該姿勢角AAが示された姿勢角データAADを方位算出部28へ供給する。
【0142】
方位算出部28は、姿勢角検出部27から供給された姿勢角データAADに相当する姿勢角AAを用いて、地磁気センサ8から供給された地磁気データTMDに相当する地磁気値Mから、地平面に対するPND1の傾きの影響を排除する傾き補正計算を行う。
【0143】
以下ではこの傾き補正計算について説明する。ここでは図13に示すように、PND1(図示せず)のX軸が地面X軸に沿うよう、地平面に対して水平にPND1が設置された状態から、ロール角Aだけ地面X軸回りに回転した後、さらにピッチ角Bだけ地面Y軸回りに回転した場合を考える。
【0144】
方位算出部28(図7)は次の(4)式により、地磁気センサ8から供給された3次元の地磁気ベクトルである地磁気値Mx、My及びMzから、PND1のX軸が地面X軸に沿うよう地平面に対してPND1が水平に設置された状態における地磁気値MEx、MEy及びMEzを算出する。
【0145】
【数4】

【0146】
続いて方位算出部28は次の(5)式により、PND1の方位Cを算出する。因みに(5)式において、arccosの範囲は0〜180[deg]とする。その後方位算出部28は、(5)式により算出した方位Cを示す方位データCDをナビゲーション部26へ供給する。
【0147】
【数5】

【0148】
このように方位算出部28は、地磁気センサ8から供給された地磁気データTMDに相当する地磁気値Mと、姿勢角検出部27から供給された姿勢角データAADに相当する姿勢角AAとに基づいて、方位算出部28によって方位Cを算出するようになされている。
【0149】
[1−6.動作制御処理]
ところで上述したように、PND1が車両9に搭載されると、地磁気センサ8は正しい方位を表すような地磁気値Mを検出できないにも関わらず動作し続けてしまう。このため、地磁気センサ8が動作する際の電力の消費が無駄になってしまう可能性がある。
【0150】
そこで動作制御部29(図7)は、PND1がクレードル3に装着されているか否かを示すクレードル検出信号CTDをクレードル検出部17から取得する。
【0151】
ここでPND1がクレードル3に装着されていた場合、PND1は車両9に取り付けられているとみなされる。このとき地磁気センサ8は、正しい方位を表すような地磁気値Mを検出することが困難になる。よって動作制御部29は、地磁気センサ8を制御しその動作を停止させる。
【0152】
これによりPND1は、地磁気センサ8が動作する際に必要な電力を消費しないようにすることができる。
【0153】
またこのとき方位算出部28には、地磁気センサ8から地磁気データTMDが供給されなくなる。このため動作制御部29は、方位算出部28と、当該方位算出部28へ姿勢角データAADを供給する姿勢角検出部27とを制御しその動作を停止させる。
【0154】
これによりPND1は、方位算出部28及び姿勢角検出部27が動作する際のソフトウェアの負荷を軽減することができ、結果的に方位算出部28及び姿勢角検出部27が動作する際に必要な電力を消費しないようにすることができる。
【0155】
このようにPND1は、当該PND1がクレードル3に装着された場合、動作制御部29により、地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27の動作を停止させるようになされている。
【0156】
一方PND1がクレードル3に装着されていない場合、PND1は車両9に取り付けられていないとみなされる。このとき地磁気センサ8は、正しい方位を表すような地磁気値Mを検出することができる。よって動作制御部29は、地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27を制御し動作させる。
【0157】
このようにPND1は、当該PND1がクレードル3に装着されているか否かをクレードル検出部17により検出し、当該PND1がクレードル3から離脱された、すなわち車両9から取り外された場合は地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27を動作させるようになされている。
【0158】
それと共にPND1は、正しい方位を表す地磁気値Mを検出することが困難である車両9に当該PND1が取り付けられた場合は地磁気センサ8の動作を停止させるようになされている。
【0159】
次に、PND1の制御部11が、当該PND1が車両9に搭載されているか否かにより地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27を動作させるか又は停止させる際の動作制御処理手順について、図14に示すフローチャートを用いて説明する。
【0160】
実際上制御部11は、PND1の電源が投入されると、ルーチンRT2の開始ステップから入ってステップSP21へ移り、学習値LNの初期化を行ったか否かを表す初期化済フラグをオフに切り替えて、次のステップSP22へ移る。
【0161】
ステップSP22において制御部11は、クレードル検出部17における検出結果を基に、PND1がクレードル3に装着されているか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことはPND1が車両9から持ち出されており方位データCDを生成すべきであることを表しており、このとき制御部11は次のステップSP23へ移る。
【0162】
ステップSP23において制御部11は、初期化済フラグの状態を基に、初期化処理が完了しているか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは初期化処理を未だ行っていないことを表しており、このとき制御部11は次のステップSP24へ移る。
【0163】
ステップSP24において制御部11は、動作制御部29により地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27の動作を開始させると共に当該方位算出部28により学習値LNの初期化処理を行う。さらに制御部11は、初期化済フラグをオンに切り替えた後、次のステップSP25へ移る。
【0164】
すなわち制御部11は、電源オフ状態から電源オン状態へ切り替わり、且つ初期化処理がなされていない場合には、ステップSP24において学習値LNの初期化処理を実行することになる。
【0165】
一方、ステップSP23において否定結果が得られると、このことは初期化処理を行う必要がないことを表しており、このとき制御部11は次のステップSP25へ移る。
【0166】
ステップSP25において制御部11は、PND1を徒歩モードとして動作させて、図8(B)に示す徒歩ナビゲーション画像GWを表示部2に表示させ、次のステップSP28へ移る。
【0167】
一方、ステップSP22において肯定結果が得られると、このことはPND1が車両9の内部にあるため正しい方位を示す方位データCDを生成できないことを表しており、このとき制御部11は次のステップSP26へ移る。
【0168】
ステップSP26において制御部11は、動作制御部29により地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27の動作を停止させると共に、初期化済みフラグをオフに切り替え、次のステップSP27へ移る。
【0169】
因みに制御部11は、地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27の動作が既に停止していた場合、或いは初期化済フラグが既にオフになっていた場合には、そのままの状態を維持する。
【0170】
ステップSP27において制御部11は、PND1を車載モードとして動作させて、図8(A)に示す車両ナビゲーション画像GVを表示部2に表示させ、次のステップSP28へ移る。
【0171】
ステップSP28において制御部11は、所定時間待機した後に再度ステップSP22へ戻って一連の処理を繰り返す。
【0172】
因みに制御部11は、PND1の電源が切断されたとき、一連の動作制御処理手順RT2を終了するようになされている。
【0173】
[1−7.動作及び効果]
以上の構成においてPND1は、当該PND1に作用する地磁気値Mを検出する地磁気センサ8を設けると共に、当該PND1がクレードル3に装着されているか否かをクレードル検出部17により判定する。
【0174】
ここでPND1がクレードル3に装着されている場合、当該PND1は車両9に取り付けられているとみなされ、車載モードとして動作する。
【0175】
このとき地磁気センサ8は、正しい方位を表すような地磁気値Mを検出することが困難になる。このため動作制御部29は、地磁気センサ8を制御しその動作を停止させるようにした。これによりPND1は、地磁気センサ8が動作する際に必要な電力を消費しないようにすることができる。
【0176】
さらに動作制御部29は、方位算出部28と、当該方位算出部28へ姿勢角データAADを供給する姿勢角検出部27とを制御しその動作を停止させるようにした。
【0177】
これによりPND1は、方位算出部28及び姿勢角検出部27が動作する際のソフトウェアの負荷を軽減することができ、結果的に方位算出部28及び姿勢角検出部27が動作する際に必要な電力を消費しないようにすることができる。このためPND1は、PND1自身の消費電力をさらに低減させることができる。
【0178】
一方PND1がクレードル3に装着されていない場合、当該PND1は車両9に取り付けられておらずユーザにより持ち出されているとみなされ、徒歩モードとして動作する。
【0179】
このとき地磁気センサ8は、正しい方位を表すような地磁気値Mを検出することができる。このため動作制御部29は、地磁気センサ8を制御し動作させるようにした。
【0180】
このためPND1は、徒歩モードにおいては地磁気センサ8からの地磁気データTMDに基づいて方位Cを算出し、当該方位Cに基づきコンパス画像GCを表示部2に表示させることができる。
【0181】
またPND1は、車載モードにおいては現在位置データNPD1又は現在位置データNPD2に基づき方位を算出し、当該方位に基づきコンパス画像GCを表示部2に表示させるようにした。
【0182】
このためPND1は、車載モードと徒歩モードとのどちらにおいてもコンパス画像GCを表示し、ユーザに方位を提示することができる。
【0183】
またPND1は、当該PND1がクレードル3から離脱されたか否かにより車載モードと徒歩モードとを自動的に切り替えるため、ユーザにモードを切り替える煩雑な操作をさせずに済む。
【0184】
以上の構成によればPND1は、当該PND1に作用する地磁気値Mを検出する地磁気センサ8を設けると共に、当該PND1がクレードル3に装着されているか否かをクレードル検出部17により判定する。PND1がクレードル3に装着されている場合、動作制御部29は、地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27を動作させる。一方PND1がクレードル3に装着されていない場合、動作制御部29は、地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27の動作を停止させる。これによりPND1は、車両9から取り外された場合は地磁気センサ8を動作させると共に、正しい方位を表す地磁気値Mを検出することが困難である車両9に取り付けられた場合は地磁気センサ8の動作を停止させることができる。
【0185】
<2.第2の実施の形態>
図15には、第2の実施の形態による携帯電話機101を示す。携帯電話機101は、第1の実施の形態によるPND1と同様、ナビゲーション機能を有している。
【0186】
図15に示すように、携帯電話機101はその前面にLCD(Liquid Crystal Display)でなる表示部102が設けられており、当該携帯電話機101に内蔵された例えば不揮発性メモリ(図示せず)に格納されているデータに応じた地図画像や電子メール等を表示部2に対して表示し得るようになされている。
【0187】
また携帯電話機101の前面には入力ボタンでなる操作部106、マイク104及びスピーカ105が設けられている。
【0188】
また携帯電話機101は、第1の実施の形態によるPND1と同様、クレードル103を介して車両9に取り付けられるようになされている。
【0189】
図16に示すように、携帯電話機101はCPU構成でなる統括制御部109が、携帯電話機としての機能を司る携帯電話ユニット110を制御するようになされている。
【0190】
また携帯電話機101は、上述したPND1のナビゲーション機能を実現するための図7に示したナビゲーションユニット10を有し、当該ナビゲーションユニット10を統括制御部109により制御する。ここでは、ナビゲーションユニット10の構成については図7と同様であるためその説明を省略する。
【0191】
携帯電話ユニット110における携帯電話制御部114は、CPU構成でなり、例えば不揮発性メモリ等でなる記憶部108から読み出した基本プログラムによって携帯電話ユニット110全体を制御するようになされている。
【0192】
携帯電話ユニット110は、表示部102及び操作部106に加えて、半導体メモリ等でなり各種データの保存等に用いられる記憶部108と接続されている。因みに図16では表示を簡略化しているが、表示部102、操作部106及び記憶部108はナビゲーションユニット10にもそれぞれ接続されている。
【0193】
携帯電話機101は、電子メールの送受信を行う通信機能や、通話機能を実現すべく携帯電話ユニット110を用いる。実際上、携帯電話機101の携帯電話ユニット110は、図示しない基地局からアンテナANT2を介して受信した受信信号を送受信部111へ送出する。
【0194】
送受信部111は、送信部及び受信部によって構成されており、受信信号を所定の方式に従って復調等することにより受信データに変換し、これをデコーダ112へ送出する。デコーダ112は携帯電話制御部114の制御に従って受信データをデコードすることにより相手方の通話音声データを復元し、スピーカ105へ出力する。スピーカ105は通話音声データを基に相手方の通話音声を出力する。
【0195】
一方、携帯電話ユニット110は、マイク104から集音した音声信号をエンコーダ115へ送出する。エンコーダ115は、携帯電話制御部114の制御に従って音声信号をデジタル変換した後に所定の方式でエンコードすることにより得た音声データを送受信部111へ送出する。
【0196】
送受信部111は、音声データを所定の方式に従って変調した後、アンテナANT2を介して基地局(図示せず)へ無線送信する。
【0197】
このとき携帯電話ユニット110の携帯電話制御部114は、操作部106からの操作命令に応じて表示部102に相手方の電話番号や電波受信状況等を表示する。
【0198】
また携帯電話ユニット110の携帯電話制御部114は、通信機能により電子メールを受信する場合、送受信部111からデコーダ112へ受信データを供給し、当該受信データをデコードすることにより復元した電子メールデータを表示部102へ送出し、当該表示部102に電子メールを表示すると共に、記憶部108に記憶する。
【0199】
さらに携帯電話ユニット110の携帯電話制御部114は、通信機能により電子メールを送信する場合、操作部106を介して入力された電子メールデータをエンコーダ115によってエンコードした後、送受信部111及びアンテナANT2を経由して無線送信するようになされている。
【0200】
一方、携帯電話機101は、ナビゲーション機能を実行する場合、統括制御部109がナビゲーションユニット10を制御し、上述したような動作制御処理手順(図14)を実行し得るようになされている。
【0201】
具体的には携帯電話機101は、当該携帯電話機101に作用する地磁気値Mを検出する地磁気センサ8(図7)を設けると共に、当該携帯電話機101がクレードル103に装着されているか否かをクレードル検出部29(図7)により判定する。
【0202】
ここで携帯電話機101がクレードル103に装着されている場合、当該携帯電話機101は車両9に取り付けられているとみなされ、車載モードとして動作する。
【0203】
このとき地磁気センサ8は、正しい方位を表すような地磁気値Mを検出することが困難になる。このため動作制御部29は、地磁気センサ8を制御しその動作を停止させるようになされている。これにより携帯電話機101は、地磁気センサ8が動作する際に必要な電力を消費しないようにすることができる。
【0204】
さらに動作制御部29は、方位算出部28と、当該方位算出部28へ姿勢角データAADを供給する姿勢角検出部27とを制御しその動作を停止させるようになされている。
【0205】
これにより携帯電話機101は、方位算出部28及び姿勢角検出部27が動作する際のソフトウェアの負荷を軽減することができ、結果的に方位算出部28及び姿勢角検出部27が動作する際に必要な電力を消費しないようにすることができる。このため携帯電話機101は、携帯電話機101自身の消費電力をさらに低減させることができる。
【0206】
一方携帯電話機101がクレードル103に装着されていない場合、当該携帯電話機101は車両9に取り付けられておらずユーザにより持ち出されているとみなされ、徒歩モードとして動作する。
【0207】
このとき地磁気センサ8は、正しい方位を表すような地磁気値Mを検出することができる。このため動作制御部29は、地磁気センサ8を制御し動作させるようになされている。
【0208】
このため携帯電話機101は、徒歩モードにおいては地磁気センサ8からの地磁気データTMDに基づいて方位Cを算出し、当該方位Cに基づきコンパス画像GCを表示部102に表示させることができる。
【0209】
また携帯電話機101は、車載モードにおいては現在位置データNPD1又は現在位置データNPD2に基づき方位Cを算出し、当該方位Cに基づきコンパス画像GCを表示部102に表示させるようにした。
【0210】
このため携帯電話機101は、車載モードと徒歩モードとのどちらにおいてもコンパス画像GCを表示し、ユーザに方位を提示することができる。
【0211】
<3.他の実施の形態>
なお上述した実施の形態においては、PND1が車両9に搭載されている場合、地磁気センサ8、方位算出部28及び姿勢角検出部27の動作を停止させる場合について述べた。
【0212】
本発明はこれに限らず、地磁気センサ8のみの動作を停止させるようにしても良い。但し、方位算出部28及び姿勢角検出部27の動作も停止させる方が、より消費電力を低減させることができる。
【0213】
さらに上述した実施の形態においては、方位算出部28が、姿勢角データAADを用いて地磁気データTMDから、地平面に対するPND1の傾きの影響を排除する傾き補正計算を行い、方位Cを算出する場合について述べた。
【0214】
本発明はこれに限らず、方位算出部28が、地磁気センサ8から供給された地磁気データTMDに相当する地磁気値Mのみに基づいて方位Cを算出しても良い。但し、PND1又は携帯電話機101が地平面に対し傾いている場合、傾き補正計算を行った方がより正確に方位Cを算出することができる。
【0215】
さらに上述した実施の形態においては、3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5及びZ軸ジャイロセンサ6により検出したデータに基づき、現在位置データNPD2を算出する場合について述べた。
【0216】
本発明はこれに限らず、例えば(特開2008−076374公報)に示すように、加速度センサ、気圧センサ及びジャイロセンサを用いて車両の速度及び角速度を求め、当該速度及び角速度に基づき現在位置データを算出するなど、種々のセンサからのデータにより現在位置データを算出して良い。
【0217】
さらに上述した実施の形態においては、初期化処理を行う際、PND1を8の字状の軌跡を描くよう動かすようユーザに促す場合について述べた。
【0218】
本発明はこれに限らず、例えばPND1をその場で周回させるなど、種々の方法により初期化処理を行って良い。さらに上述した実施の形態においては、ユーザに初期化処理を行うよう促す場合について述べたが、PND1が自動的に初期化処理を行っても良い。
【0219】
さらに上述した実施の形態においては、ヘディングアップ表示によりナビゲーションを行う場合について述べた。本発明はこれに限らず、例えばノースアップ表示等、種々の表示方法によりナビゲーションを行って良い。
【0220】
さらに上述した実施の形態においては、3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5、Z軸ジャイロセンサ6、気圧センサ7及び地磁気センサ8がPND1の内部に設けられているようにした場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、3軸加速度センサ4、Y軸ジャイロセンサ5、Z軸ジャイロセンサ6、気圧センサ7及び地磁気センサ8が、PND1の外部に設けられているようにしてもよい。
【0221】
さらに上述した実施の形態においては、本発明のPND1又は携帯電話機101を移動体としての車両に搭載するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、船舶、電車、その他種々の移動体に搭載するようにしても良い。
【0222】
さらに上述した実施の形態においては、制御部11が、予め記憶部12に格納されているアプリケーションプログラムに従い、上述したルーチンRT2の動作制御処理手順等を行う場合について述べた。
【0223】
本発明はこれに限らず、制御部11が、記憶媒体からインストールしたアプリケーションプログラムや、インターネットからダウンロードしたアプリケーションプログラム、その他種々のルートによってインストールしたアプリケーションプログラムに従って上述した動作制御処理手順等を行うようにしても良い。
【0224】
さらに上述した実施の形態においては、本体部としてのPND1と、現在位置検出部としてのGPS処理部21、位置算出部25及びナビゲーション部26と、地磁気センサとしての地磁気センサ8と、方位算出部としての方位算出部28と、着脱検出子としてのクレードル検出部17と、動作制御部としての動作制御部29とによってナビゲーション装置としてのPND1を構成する場合について述べた。
【0225】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる本体部と、現在位置検出部と、位置算出部と、地磁気センサと、方位算出部と、着脱検出子と、動作制御部とによってナビゲーション装置を構成するようにしても良い。
【0226】
さらに上述した実施の形態においては、本体部としての携帯端末機101と、現在位置検出部としてのGPS処理部21、位置算出部25及びナビゲーション部26と、地磁気センサとしての地磁気センサ8と、方位算出部としての方位算出部28と、着脱検出子としてのクレードル検出部17と、動作制御部としての動作制御部29と、携帯電話部としての携帯電話ユニット110とによって携帯端末装置としての携帯電話機101を構成する場合について述べた。
【0227】
本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる本体部と、現在位置検出部と、位置算出部と、地磁気センサと、方位算出部と、着脱検出子と、動作制御部と、携帯電話部とによって携帯端末装置を構成するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0228】
本発明は、地磁気センサを搭載したナビゲーション装置や、地磁気センサを搭載しナビゲーション機能を有する携帯電話機、PDAやコンピュータ等といった種々の電子機器でも利用できる。
【符号の説明】
【0229】
1……PND、2、102……表示部、3、103……クレードル、4……3軸加速度センサ、5……Y軸ジャイロセンサ、6……Z軸ジャイロセンサ、7……気圧センサ、8……地磁気センサ、10……ナビゲーションユニット、11……制御部、12、108……記憶部、13、106……操作部、17……クレードル検出部、21……GPS処理部、22……速度算出部、23……角度算出部、24……高度算出部、25……位置算出部、26……ナビゲーション部、27……姿勢角検出部、28……方位算出部、29……動作制御部、31……データ取得部、32……ハイパスフィルタ部、33……ローパスフィルタ部、34……速度計算部、35……平滑化及びノイズ除去部、36……速度出力部、101……携帯電話機、104……マイク、105……スピーカ、109……統括制御部、110……携帯電話ユニット、111……送受信部、112……デコーダ、114……携帯電話制御部、115……エンコーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の移動体に取り付けられた台座部に装着され、又は上記台座部から離脱される本体部と、
所定の測位手段から供給される測位情報に基づいて上記本体部の現在位置を検出する現在位置検出部と、
上記本体部に作用する地磁気を観測する地磁気センサと、
上記観測された地磁気に基づいて上記本体部の方位を算出する方位算出部と、
上記本体部が上記台座部に装着されているか否かを検出する着脱検出子と、
上記本体部が上記台座部に装着されていることが検出された場合、上記地磁気センサの動作を停止させる動作制御部と
を有するナビゲーション装置。
【請求項2】
上記動作制御部は、上記本体部が上記台座部に装着されていることが検出された場合、上記方位算出部の動作を停止させる
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
上記本体部に作用する加速度を観測する加速度センサと、
上記観測された加速度に基づいて、地平面に対する上記本体部の傾きを示す姿勢角を検出する姿勢角検出部と
をさらに有し、
上記方位算出部は、上記検出された姿勢角及び上記観測された地磁気に基づいて上記本体部の方位を算出する
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
上記動作制御部は、上記本体部が上記台座部に装着されていることが検出された場合、上記姿勢角検出部の動作を停止させる
請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
所定の測位手段から供給される測位情報に基づいて、所定の移動体に取り付けられた台座部に装着され又は上記台座部から離脱される本体部の現在位置を所定の現在位置検出手段が検出する現在位置検出ステップと、
上記本体部が上記台座部に装着されているか否かを所定の着脱検出手段が検出する着脱検出ステップと、
上記本体部が上記台座部に装着されていることが検出された場合、所定の動作制御手段が上記地磁気センサの動作を停止させる動作制御ステップと、
上記本体部が上記台座部から離脱されていることが検出された場合、上記本体部に作用する地磁気を観測する地磁気センサにより観測された地磁気に基づいて、所定の方位算出手段が上記本体部の方位を算出する方位算出ステップと
を有する動作制御方法。
【請求項6】
所定の移動体に取り付けられた台座部に装着され、又は上記台座部から離脱される本体部と、
所定の測位手段から供給される測位情報に基づいて上記本体部の現在位置を検出する現在位置検出部と、
上記本体部に作用する地磁気を観測する地磁気センサと、
上記観測された地磁気に基づいて上記本体部の方位を算出する方位算出部と、
上記本体部が上記台座部に装着されているか否かを検出する着脱検出子と、
上記本体部が上記台座部に装着されていることが検出された場合、上記地磁気センサの動作を停止させる動作制御部と、
所定の基地局との間で無線通信を行うことにより通話処理を行う携帯電話部と
を有する携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−64593(P2011−64593A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−216082(P2009−216082)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】