説明

ナビゲーション装置

【課題】要約地図におけるランドマークの表示状況に合わせて、ランドマークの位置を要約地図上に分かりやすく示すことのできるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】要約地図の表示中にユーザからの音声入力によっていずれかのランドマークが指定されると、そのランドマークを検索し(ステップS100)、そのランドマークの要約地図における表示状況に応じて、強調表示処理(ステップS130)、追加表示処理(ステップS150)、縮尺切り替え表示処理(ステップS170)、または方向表示処理(ステップS180)のいずれかの表示処理を実行する。これにより、要約地図における当該ランドマークの表示状況に応じて、異なる表示形態でそのランドマークの位置を要約地図上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路地図を簡略化した要約地図を作成して表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地図を表すための地図データに基づいて、道路形状を簡略化する方法が知られている。たとえば、特許文献1に開示される装置では、地図データにおいて道路形状を表している各リンクに対して直線化や直交化などの処理を行い、さらに、マスクで規定した範囲内のランドマーク情報のみを表示することにより、道路形状を簡略化する。このようにして簡略化された道路形状を用いて地図を表示することで、見やすい地図を提供する。
【0003】
【特許文献1】特開平11−202762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される装置では、マスクで規定した範囲内のランドマーク情報しか要約地図上に表示されないため、地図範囲内に存在するランドマークであっても表示されている場合と表示されていない場合がある。また、地図範囲内に存在しないランドマークであれば当然表示されない。そのため、ユーザが特定のランドマークの位置を知りたくても、要約地図におけるランドマークの表示状況によっては容易に知ることができない。こうしたことから、要約地図におけるランドマークの表示状況に合わせて、ランドマークの位置を分かりやすく示すことができるものが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明によるナビゲーション装置は、各種のランドマークの情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、地図を要約した要約地図を地図データに基づいて作成する要約地図作成手段と、要約地図作成手段により作成された要約地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、地図データに基づいてユーザに指定されたランドマークを検索する検索手段と、検索手段により検索されたランドマークの要約地図における表示状況に応じて、そのランドマークを異なる表示形態で要約地図上に表示するランドマーク表示制御手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1のナビゲーション装置において、検索されたランドマークが要約地図上に既に表示されている場合、ランドマーク表示制御手段は、そのランドマークを強調して要約地図上に表示するものである。
請求項3の発明は、請求項1または2のナビゲーション装置において、検索されたランドマークが、要約地図上に表示されておらず、その要約地図の範囲内に存在する場合、ランドマーク表示制御手段は、そのランドマークを要約地図上に追加表示するものである。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかのナビゲーション装置において、検索されたランドマークが、要約地図上に表示されておらず、その要約地図の範囲内に存在しない場合であって、さらに現在地からの距離が所定のしきい値よりも小さい場合、ランドマーク表示制御手段は、そのランドマークを地図範囲内に含むように要約地図の縮尺を切り替えた後、そのランドマークを要約地図上に表示するものである。
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかのナビゲーション装置において、検索されたランドマークが、要約地図上に表示されておらず、その要約地図の範囲内に存在しない場合であって、さらに現在地からの距離が所定のしきい値以上である場合、ランドマーク表示制御手段は、そのランドマークを現在地から見た方向を要約地図上に表示するものである。
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかのナビゲーション装置において、ユーザから入力された音声の内容を認識し、その音声内容に基づいてユーザに指定されたランドマークを特定する音声認識手段をさらに備えるものである。
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかのナビゲーション装置において、検索手段は、地図データに基づいてユーザに指定されたランドマークを検索できなかった場合、外部のコンテンツサーバに接続してそのランドマークを検索させ、ランドマーク表示制御手段は、そのコンテンツサーバにより検索されたランドマークを要約地図上に表示するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザに指定されたランドマークを検索し、そのランドマークの要約地図における表示状況に応じて、そのランドマークを異なる表示形態で要約地図上に表示することとした。このようにしたので、要約地図におけるランドマークの表示状況に合わせて、ランドマークの位置を分かりやすく示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
−第1の実施の形態−
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、設定された目的地までの推奨経路を探索して、探索された推奨経路の周囲について通常の地図を基に道路形状などを簡略化することにより、通常の地図を要約した地図(以下、要約地図という)を作成して表示する。そして、要約地図上に推奨経路を示し、その推奨経路に従って自車両を目的地まで案内する。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、入力装置17、ディスクドライブ18、および音声入力装置20を有している。ディスクドライブ18には、地図データが記録されたDVD−ROM19が装填される。
【0008】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。この制御回路11において後で説明するような要約地図作成処理を実行することによって、設定された目的地に対してDVD−ROM19に記録された地図データに基づいて推奨経路が探索され、その周囲の要約地図が作成されて表示モニタ16に表示される。また、後で説明する各種の表示処理が実行されると、それに応じて表示モニタ16の表示内容が変化する。
【0009】
現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方位を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等からなる。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された自車両の現在地に基づいて、推奨経路を探索するときの経路探索開始点を決定することができる。
【0010】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、要約地図を画像表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、制御回路11において、DVD−ROM19に記録されている地図データに基づいて作成される。この画像メモリ15に格納された画像データを用いて、要約地図が表示モニタ16に表示される。
【0011】
入力装置17は、ユーザが目的地の設定などを行うための各種入力スイッチを有し、これは操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置17を操作することにより、地名や地図上の位置を指定して目的地を設定し、その目的地までの経路探索をナビゲーション装置1に開始させることができる。
【0012】
ディスクドライブ18は、要約地図を作成するために用いられる地図データを、装填されたDVD−ROM19より読み出す。なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。この地図データには、推奨経路を演算するために用いられる経路計算データや、交差点名称、道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで案内するために用いられる経路誘導データ、道路を表す道路データ、さらには海岸線や河川、鉄道、地図上の各種施設(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなどが含まれている。
【0013】
音声入力装置20は、マイクを介して入力されるユーザからの音声を検出してその音声の内容を認識する。そして、検出した音声内容に対応する処理を制御回路11に対して実行させる。たとえば、入力音声の内容が「目的地設定」であった場合には、続けて目的地として設定するランドマークの名称等を入力するようユーザを促し、目的地入力待ち状態へと移行する。
【0014】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれている。すなわち、各道路は所定の道路区間ごとに設定された複数のリンクによって構成されている。なお、リンクによって設定される道路区間の長さは異なっており、リンクの長さは一定ではない。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。また、リンク内にはノードとノードの間に形状補間点と呼ばれる点が設定されていることもある。形状補間点もノードと同じく、それぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードと形状補間点の位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。経路計算データには、上記の各リンクに対応して、自車両の通過所要時間を表すためのリンクコストと呼ばれる値が設定されている。
【0015】
前述のように入力装置17におけるユーザの操作によって目的地が設定されると、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、設定された目的地までの経路演算が経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムにより行われ、目的地までの推奨経路が求められる。そして、求められた推奨経路付近の要約地図が道路データに基づいて作成され、表示モニタ16に表示される。以上説明したようにして道路形状を簡略化した要約地図が画面表示され、その要約地図上に示された推奨経路に従って自車両が目的地まで誘導される。なお、要約地図の具体的な作成方法については後で説明する。
【0016】
さらに本実施形態のナビゲーション装置1では、要約地図の表示中にユーザからの音声入力によっていずれかのランドマークが指定されると、そのランドマークの位置を要約地図上で判別できるようにするための処理を実行する。このとき、要約地図におけるランドマークの表示状況に応じて、(1)強調表示処理、(2)追加表示処理、(3)縮尺切り替え表示処理、または(4)方向表示処理のいずれかの表示処理を実行することにより、それぞれに異なる表示形態で当該ランドマークを要約地図上に表示する。以下、これらの表示処理の内容について説明する。
【0017】
(1)強調表示処理
強調表示処理は、指定されたランドマークが要約地図上に既に表示されている場合に行われる処理であり、そのランドマークを強調して要約地図上に表示する。この強調表示処理の様子を図2に示す。(a)は、強調表示処理の実行前に表示モニタ16において表示されている要約地図の例を示している。この要約地図には、自車位置マーク21と進行方向指示マーク22が表示されている。(a)の要約地図が表示されている際に、(c)に示すように、車両を運転中のユーザ100がランドマーク「m」を音声入力によって指定したとする。
【0018】
ユーザから入力された音声は、音声入力装置20によって検出され、その音声内容が認識される。その結果、ランドマーク「m」を指定されたことが音声入力装置20から制御回路11へと伝えられる。すると制御回路11において、そのとき表示されている要約地図におけるランドマークの表示状況を確認し、その確認結果に応じて、どの表示処理を実行するか決める。
【0019】
図2の場合は、(a)の要約地図において、ユーザから指定されたランドマーク「m」が符号23に示すように既に表示されている。このような場合には、強調表示処理が実行される。その結果、(b)に示す要約地図が表示される。(b)の要約地図では、符号23に示すランドマーク「m」が他の部分よりも目立つように立体的に表示されている。なお、立体表示以外の他の強調表示方法、たとえば点滅表示や色を変えて表示する等の方法を用いてランドマーク23を目立たせるようにしてもよい。このようにして、指定されたランドマークの位置を分かりやすく示す。
【0020】
(2)追加表示処理
追加表示処理は、指定されたランドマークが要約地図の範囲内に存在するがその要約地図上には表示されていない場合に行われる処理である。この追加表示処理では、当該ランドマークを要約地図上に追加して表示する。この追加表示処理の内容を図3に示す。(a)は、追加表示処理の実行前に表示モニタ16において表示されている要約地図の例を示している。この要約地図には、図2(a)と同様に、自車位置マーク21と進行方向指示マーク22が表示されている。(a)の要約地図が表示されている際に、(c)に示すように運転中のユーザ100がランドマーク「m」を音声入力によって指定したとする。
【0021】
ユーザが発した音声は、前述したように音声入力装置20によって検出され、その音声内容が認識される。その結果、ランドマーク「m」を指定されたことが音声入力装置20から制御回路11へ伝えられる。そして制御回路11において、そのとき表示されている要約地図におけるランドマークの表示状況を確認し、その確認結果に応じて、どの表示処理を実行するか決める。
【0022】
図3の場合は、(a)の要約地図において、ユーザから指定されたランドマーク「m」が表示されていない。このような場合には追加表示処理が実行され、その結果(b)に示すように、指定されたランドマーク「m」が符号23のように要約地図上に追加表示される。なお、このとき前述の強調表示処理の場合と同様に、ランドマーク23を強調して表示することが好ましい。このようにして、指定されたランドマークの位置を分かりやすく示す。
【0023】
(3)縮尺切り替え表示処理
縮尺切り替え表示処理は、指定されたランドマークが要約地図上に表示されておらず、また要約地図の範囲内にも存在しない場合に行われる処理である。この縮尺切り替え表示処理では、要約地図の縮尺を切り替えて当該ランドマークが要約地図の範囲内に含まれるようにした後、そのランドマークを要約地図上に表示する。この縮尺切り替え表示処理の内容を図4に示す。(a)は、ナビゲーション装置1において縮尺切り替え表示処理の実行前に表示されている要約地図の例を示している。(a)の要約地図が表示されている際に、(c)に示すように運転中のユーザ100がランドマーク「Tタワー」を音声によって指定したとする。
【0024】
ユーザが発した音声は、前述したように音声入力装置20によって検出され、ランドマーク「Tタワー」を指定されたことが音声入力装置20から制御回路11へ伝えられる。そして制御回路11において、要約地図におけるランドマークの表示状況に応じてどの表示処理を実行するかが決められる。
【0025】
図4の場合は、(a)の要約地図において、ユーザから指定されたランドマーク「Tタワー」が表示されていない。また、この「Tタワー」の位置は(a)の要約地図の範囲内に含まれていない。このような場合には縮尺切り替え表示処理が実行され、(b)に示すように、ランドマーク「Tタワー」が要約地図の範囲内に含まれるように地図縮尺が切り替えられる。そして、指定されたランドマーク「Tタワー」が符号24のように要約地図上に表示される。なお、このとき前述の強調表示処理などの場合と同様に、ランドマーク24を強調して表示することが好ましい。このようにして、指定されたランドマークの位置を分かりやすく示す。
【0026】
(4)方向表示処理
方向表示処理は、前述の縮尺切り替え表示処理と同様に、指定されたランドマークが要約地図上に表示されておらず、また要約地図の範囲内にも存在しない場合であって、さらに、現在地から当該ランドマークまでの距離が所定のしきい値よりも遠く離れている場合に行われる。縮尺切り替え表示処理によって要約地図の縮尺を切り替えても、当該ランドマークをその要約地図上にそのまま表示できないような場合には、この方向表示処理によって、当該ランドマークを現在地から見た方向を要約地図上に表示する。これにより、当該ランドマークを要約地図上に表示する。この方向表示処理の内容を図5に示す。(a)は、ナビゲーション装置1において方向表示処理の実行前に表示されている要約地図の例を示している。(a)の要約地図が表示されている際に、(c)に示すように運転中のユーザ100がランドマーク「F山」を音声によって指定したとする。
【0027】
ユーザが発した音声内容は、前述したように音声入力装置20において検出され、ランドマーク「F山」がユーザによって指定されたことが音声入力装置20から制御回路11へ伝えられる。そして、要約地図におけるランドマークの表示状況によって、どの表示処理を実行するかの判定が行われる。
【0028】
図5の場合は、(a)の要約地図において、ユーザから指定されたランドマーク「F山」が表示されておらず、地図範囲内にも含まれていない。また、この「F山」の位置は自車位置から遠く離れており、要約地図の縮尺を切り替えても表示できない。このような場合には、方向表示処理が実行されることにより、(b)に示すように要約地図の縮尺が切り替えられて、ランドマーク「F山」の方向と距離が符号25のように表示される。
【0029】
または、(b)のようにして「F山」の方向と距離を表示する替わりに、(d)に示すように音声で出力してもよい。あるいは(e)に示すように、平面状の要約地図から鳥瞰要約地図に切り替えて、その鳥瞰要約地図上に「F山」の位置を示すマーク26を表示するようにしてもよい。なお、(e)の鳥瞰要約地図には、ランドマーク「Tタワー」を表すマーク27も表示されている。このようにして、指定されたランドマークの位置を分かりやすく示す。
【0030】
以上説明したような各表示処理の際にナビゲーション装置1の制御回路11において実行されるフローチャートを図6に示す。このフローチャートは、前述のように要約地図の表示中にユーザからの音声によってランドマークが指定されたときに実行される。ステップS100では、ユーザからの音声入力によって指定されたランドマークをDVD−ROM19に記録された地図データに基づいて検索する。なお、この際に音声認識率を向上させるために、たとえば車両のステアリング付近に設置されたボタンが押されているときに、ランドマークを指定する音声がユーザから入力されているものと認識するようにしてもよい。また、検索の際には音声入力と完全に一致するものだけでなく、部分一致や類語展開等のあいまい検索を行うことにより、検索精度の向上を図るようにしてもよい。
【0031】
ステップS110では、ステップS100において指定されたランドマークが検索されたか否かを判定する。検索された場合は次のステップS120へ進む。しかし、地図データ中に指定されたランドマークが見つからない等の理由から検索されなかった場合は、図6のフローチャートを終了する。なお、この際に指定されたランドマークが検索できなかったことを表すメッセージを音声出力または画面表示して、ユーザにその旨を伝えることが好ましい。
【0032】
ステップS120では、ステップS100において検索されたランドマークが、現在表示中の要約地図に表示されているか否かを判定する。既に要約地図上にそのランドマークが表示されている場合は、ステップS130へ進んで前述したような強調表示処理を実行する。これにより、当該ランドマークが要約地図上に強調して表示される。ステップS130を実行した後は、図6のフローチャートを終了する。一方、ステップS120において当該ランドマークが表示中の要約地図に表示されていないと判定した場合は、ステップS140へ進む。
【0033】
ステップS140では、ステップS100において検索されたランドマークが、現在表示中の要約地図の表示範囲内に存在するか否かを判定する。表示範囲内にそのランドマークが存在する場合は、ステップS150へ進んで前述したような追加表示処理を実行する。これにより、当該ランドマークが要約地図上に追加表示される。ステップS140を実行した後は、図6のフローチャートを終了する。一方、ステップS140において当該ランドマークが表示中の要約地図の表示範囲内に存在しないと判定した場合は、ステップS160へと進む。
【0034】
ステップS160では、ステップS100において検索されたランドマークと現在地の間の距離が、予め定められた所定のしきい値よりも小さいか否かを判定する。なお、このときのしきい値は、ナビゲーション装置1が表示できる要約地図の縮尺に応じて設定されている。ステップS160において、ランドマークと現在地間の距離がしきい値よりも小さいと判定した場合は、ステップS170へ進んで前述したような縮尺切り替え表示処理を実行する。これにより、要約地図の縮尺が切り替えられて、当該ランドマークがその縮尺切り替え後の要約地図上に表示される。ステップS170を実行した後は、図6のフローチャートを終了する。
【0035】
ステップS160において、ランドマークと現在地間の距離がしきい値よりも小さいと判定した場合は、ステップS180へ進む。ステップS180では、前述したような方向表示処理を実行する。これにより、当該ランドマークの方向が要約地図上に表示される。ステップS180を実行した後は図6のフローチャートを終了する。
【0036】
次に、推奨経路が探索された後に実行される要約地図作成処理の内容について説明する。要約地図作成処理では、方向量子化処理と呼ばれる処理を実行することによって各経路の道路形状を簡略化することにより、各経路の要約地図を作成する。この方向量子化処理について、以下に説明する。
【0037】
方向量子化処理では、探索された推奨経路のリンクをそれぞれ所定の分割数で分割した上で、道路形状の簡略化を行う。図7および図8は、いずれもこの方向量子化処理の内容を説明するための詳細説明図であり、図7ではリンク分割数が2(2分割)の場合について、また図8ではリンク分割数が4(4分割)の場合について、それぞれの方向量子化処理の内容を図示している。以下、図7に示す2分割の場合より先に説明を行う。
【0038】
図7(a)の符号30は、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク30に対して、(b)に示すように、その両端点の間を結ぶ線分31から最も遠くにあるリンク30上の点32を選択する。なお、ここで選択される点32は前述の形状補間点に相当し、両端点はノードに相当する。
【0039】
上記のような点32が求められたら、次に(c)に示すように、リンク30の両端点のそれぞれと点32とを結ぶ線分33および34を設定する。この線分33と34がそれぞれの基準線に対してなす角度をθおよびθと表す。なお、ここでいう基準線とは、リンク30の両端点から予め決められた所定の方向(たとえば、真北方向)に向かって、それぞれ延びている線のことである。(c)に示すように、一方の端点からの基準線と線分33によって挟まれている部分の角度が、θと表される。また、もう一方の端点からの基準線と線分34によって挟まれている部分の角度が、θと表される。
【0040】
上記のようにして点32とリンク30の両端点とをそれぞれ結ぶ線分33、34が設定されたら、次に(d)に示すように、この線分33と34の方向をそれぞれ量子化する。ここでいう方向の量子化とは、前述の角度θおよびθが予め設定された単位角度の整数倍にそれぞれなるように、線分33と34を各端点を中心にしてそれぞれ回転させることをいう。すなわち、θ=m・Δθ、θ=n・Δθ(n、mは整数)となるように、線分33と34をそれぞれ回転させてθとθの値を補正する。上記の式においてmとnの値は、この式によって計算される補正後のθとθがそれぞれ元の値に最も近くなるように設定される。
【0041】
以上説明したように線分33と34の方向をそれぞれ量子化すると、線分33と34が基準線となす角度θおよびθが、単位角度Δθ刻みで補正される。なお図7(d)では、Δθ=15°としている。そして、θについてはm=6と設定して補正後の角度を90°にし、θについてはn=0と設定して補正後の角度を0°にした例を図示している。
【0042】
こうして線分33と34の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分33と34をそれぞれ延長したときの交点を求める。そして、その交点と各端点とを結ぶようにして、(d)に示すように、線分33と34の長さをそれぞれ補正する。
【0043】
以上説明したようにして、線分33と34を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク30に対する2分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分33と34をリンク30の代わりに用いることで、リンク30の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク30の両端点の位置が固定された状態でリンク30の形状が簡略化されるため、隣接するリンクの位置には影響を及ぼさない。したがって、方向量子化処理を用いて経路の各リンク形状をそれぞれ簡略化することにより、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
【0044】
次に、4分割の場合の方向量子化処理について説明する。図8(a)の符号40は、図7(a)と同様に、探索された経路に含まれているリンクの1つを例示している。このリンク40に対して、(b)に示すように、まずその両端点の間を結ぶ線分41aから最も遠くにあるリンク40上の点42aを選択する。次に、その点42aとリンク40の各端点とをそれぞれ結ぶ線分41bおよび41cを設定し、この線分41bと41cからそれぞれ最も遠く離れた位置にあるリンク40上の点42bおよび42cを選択する。なお、ここで選択される点42a〜42cは、いずれも2分割の場合と同様に前述のノードまたは形状補間点に相当する。
【0045】
上記のような点42a〜42cが求められたら、次に(c)に示すように、2分割の場合と同様にして、リンク40の各端点と点42a〜42cとをそれぞれ順に結ぶ線分43、44、45および46を設定する。この線分43〜46がそれぞれの基準線に対してなす角度を、θ、θ、θおよびθと表す。なお、このときの基準線はリンク40の両端点に対して定められるだけでなく、点42a〜42cのうち真ん中に位置する最初に選択された点42aに対しても定められる。
【0046】
上記のようにして線分43〜46が設定されたら、次に(d)に示すように、各線分の方向をそれぞれ量子化する。このとき、点42aを保存点として、線分44と45はこの保存点42aを中心にそれぞれ回転させる。なお、線分43と46については、2分割の場合と同様に各端点を中心にそれぞれ回転させる。ここでは、Δθ=15°と予め設定し、θ〜θの補正後の角度をそれぞれ60°、45°、180°および60°とした例を図示している。
【0047】
こうして線分43〜46の方向をそれぞれ量子化したら、次に線分43と44をそれぞれ延長したときの交点と、線分45と46をそれぞれ延長したときの交点とを求める。そして、各交点と各端点または保存点42aとを結ぶようにして、(d)に示すように、線分43〜46の長さをそれぞれ補正する。
【0048】
以上説明したようにして、線分43〜46を求め、これらの方向を量子化すると共に長さを補正することによって、リンク40に対する4分割の場合の方向量子化処理が行われる。この線分43〜46をリンク40の代わりに用いることで、リンク40の形状を簡略化して表すことができる。このとき、リンク40の両端点の位置に加えて、さらに保存点42aの位置も固定された状態で、リンク40の形状が簡略化される。したがって、複雑な形状のリンクによって構成されている経路に対しても、その全体的な位置関係を保ちつつ適切に道路形状を簡略化することができる。
【0049】
なお、上記では2分割と4分割の場合の方向量子化処理について説明したが、これ以外の分割数についても同様にして方向量子化処理を実行することができる。たとえば8分割の場合には、まず4分割の場合と同様に、リンクの両端点の間を結ぶ線分から最も遠い1点と、その点と両端点とを結ぶ2つの線分からそれぞれ最も遠い2点を選択する。その後、さらにこれらの3点に両端点を加えた各点間を結ぶ4つの線分からそれぞれ最も遠い4点を選択する。こうして選択された合計7点と両端点とを順に結ぶ8つの線分を求め、これらの線分に対して前述したような方向の量子化と長さの補正を行うことによって、8分割の方向量子化処理を行うことができる。
【0050】
方向量子化処理の分割数をいくつにするかは、予め設定しておいてもよいし、あるいはリンクの形状によって判断してもよい。たとえば、上記のようにして両端点またはそれまでに選択された点の間を結ぶ各線分から最も遠い点を順次選択していくとき、すなわち図7および8の(b)で説明した処理を繰り返していくときに、各線分から最も遠い点までの距離が所定値以下となるまで処理を繰り返して、その処理回数に応じた数の点を順次選択していく。このようにすれば、リンクの形状によって方向量子化処理の分割数を決めることができる。
【0051】
図7で説明した2分割の方向量子化処理において、方向を量子化した後に線分33と34をそれぞれ延長しても、適切な交点がない場合がある。すなわち、方向を量子化した後の線分33と34が平行となっている場合には、これらの線分を延長すると両者が一体化してリンク33の両端点を結ぶ1つの線分となるため、交点が存在しないこととなる。このような場合には、その両端点を直接結ぶ線分、すなわち線分31を用いて、リンク30の形状を簡略化して表すようにすればよい。また、図8で説明した4分割の方向量子化処理や、それ以上の分割数の方向量子化処理において、同様に方向を量子化した後に各線分を延長すると適切な交点がない場合には、それよりも分割数が少ない方向量子化処理を行うようにすればよい。
【0052】
以上説明したような方向量子化処理を各経路の全てのリンクに対して順次実行していくことにより、各経路の道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。なお、リンク単位ではなく、リンクを複数連ねて構成されるリンク列ごとに上記のような方向量子化処理を実行するようにしてもよい。この場合、図7の点32や図8の点42a〜42cとして選択される点には、形状補間点だけでなくノードも含まれることになる。
【0053】
または、要約地図作成処理において、上記の方向量子化処理を実行せずに道路形状を簡略化することもできる。ここでは、各リンク形状を曲線で近似することによって道路形状を簡略化する方法を、図9を参照して説明する。
【0054】
図9(a)には、探索された経路に含まれるリンクの一部として、リンク50、51および52を例示している。これらのリンク50〜52に対して、まず(b)に示すように各リンクの両端点において量子化したリンク方向を求める。ここでは、前述の方向量子化処理において各線分の方向の量子化を行ったのと同様にして、元の角度に最も近くて単位角度の整数倍となるようなリンク方向を求める。その結果、(b)において矢印で示されているようなリンク方向が各端点に対して求められる。
【0055】
次に、(c)に示すように端点の間を結ぶ曲線53、54および55を求めることにより、各リンクの形状を曲線近似する。このとき、各曲線の端点付近における接線の方向が上記の量子化したリンク方向と一致するように、曲線53〜55の形状がそれぞれ決定される。なお、このような曲線を求める方法としては、たとえばスプライン関数を用いたスプライン近似などがあるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0056】
以上説明したような処理を推奨経路の全てのリンクに対して順次実行していき、求められた曲線を用いて道路形状を表すことにより、道路形状を簡略化して要約地図を作成することができる。このときも方向量子化処理の場合と同様に、各リンクの両端点の位置が固定された状態で各リンクの形状が簡略化される。したがってこの場合にも、経路の全体的な位置関係を保ちつつ、その道路形状を容易に簡略化することができる。
【0057】
さらに、作成された要約地図上に各種施設などの位置を示すランドマークを表示する。しかし、道路形状が簡略化されることにより、要約地図における道路の位置は元の地図より変化する。そのため、要約地図上に元の位置のままランドマークを表示したのでは、道路とランドマークとの位置関係を正しく表すことができない。したがって、要約地図上にランドマークを表示する際には、ランドマークの位置補正を行うことが必要となる。その方法について、以下に説明する。
【0058】
図10では、ランドマークの位置補正の概要について説明する。図10(a)に示すように、要約する前の元の地図では、ランドマークの位置と道路との微妙な位置関係が記述されている。この元の地図に対して、上記で説明したような要約地図の作成処理を行い、さらにランドマークの位置をそのままにして表示すると、たとえば(b)に示すような要約地図となる。
【0059】
(b)に示す要約地図では、道路の位置のみが(a)に示す元の地図に対して変化しているため、元のランドマークと道路との位置関係が保たれていない。たとえば、地図の中央付近にある郵便局に着目すると、この郵便局は、(a)に示す元の地図と、(b)に示す要約地図とで、互いに道路の反対側に位置している。そこで、このような不都合を是正するためにランドマークの位置補正を行い、その結果、(c)に示す要約地図のように、道路とランドマークとの位置関係が、元の地図上での位置関係と近似するようにする。
【0060】
次に、図11を用いて、ランドマークの位置補正の詳細アルゴリズムについて説明する。ランドマークの位置補正では、はじめに、図11(a)に示すように、要約前後での形状ベクトル間のペアリストの作成を行う。ここで、要約時に上記に説明したような処理を行うことによって、道路の形状を表す形状ベクトルの構成点数が元のものから変化する。従って、ペアリストを作成するときには、このペアリストで関係付けられた形状ベクトル間の分岐点間の方向性が合致する必要がある。すなわち、要約の前後で、それぞれの分岐点の位置に対して、1対1に対応関係が成立するようにする。
【0061】
このようにしてペアリストを作成したら、その次に(b)に示すように、各形状ベクトルのノルムと、対応する分岐点間の距離の割合を等価にする補正処理を行う。すなわち、要約する前の元の地図において、ランドマークが最近接する形状ベクトルのノルム値と、その形状ベクトルを含む道路経路における、そのランドマークから各分岐点までの距離の割合を測定する。この測定値により、要約後の地図においても、上記のペアリストによって対応付けられる形状ベクトルに対して、そのノルム値と、ランドマークから分岐点間までの距離の割合が等価となるように、ランドマークの位置を計算する。そして、計算した位置にランドマークを表示する。
【0062】
以上説明したランドマークの位置補正では、通常の地図を要約地図に変換することによって道路の形状や距離が変わるので、対応するランドマーク(道沿いにある店等)も道路に合わせて座標を変換する必要がある。そのため、変換前のランドマークの位置についてのパラメータとして、そのランドマークが変換前の道路(リンク)の一方の端から全体の何%のところにあるか、道路のどちら側にあるか、道路から何メートル離れたところにあるかを求める。そして、変換後の対応する道路データに対して、これら3つのパラメータを用いて、変換後のランドマークの位置を決定する。これを、図12に示す具体例を用いて説明する。
【0063】
図12(a)は、要約前の通常の地図におけるランドマーク位置の例を示す。地点Aと地点Bとをつなぐ道路は、地点AとAの間のリンク61、地点AとAの間のリンク62、地点AとAの間のリンク63、および地点AとBの間のリンク64によって構成されており、その道路沿いにランドマーク60が存在している。リンク61〜64のそれぞれの長さは、150m、200m、350mおよび500mであり、これらのリンクによって構成される地点AとBをつなぐ道路は、その合計、すなわち1200mの長さを有している。ランドマーク60は、地点Aから地点Bに向かって200m、すなわち地点Aから900m地点の、道路の左側に位置している。また、ランドマーク60の位置は道路から10m離れている。
【0064】
このような要約前のランドマーク位置について、上記に説明した3つのパラメータを求める。1つ目のパラメータ、すなわち、道路の一方の端(地点A)からの距離の全体距離に対する割合は、900/1200=0.75(75%)と求められる。2つ目のパラメータ、すなわち道路のどちら側にあるかは、地点AからBに向かって道路の左側にあると求められる。3つ目のパラメータ、すなわち道路からの距離は、10mと求められる。
【0065】
図12(b)は、要約後の地図におけるランドマーク位置の例を示す。この要約地図では、地点Aと地点Bとをつなぐ道路は1つのリンク65によって表されており、その長さは1000mである。この要約地図上にランドマーク60を表示するとき、先に求めた3つのパラメータを用いて、変換後の位置を決定する。すなわち、地点Aからの距離は、1つ目のパラメータを用いて、1000×0.75=750mと求められる。また、2つ目のパラメータと3つ目のパラメータにより、地点Aから見て道路(リンク65)の左側であり、その道路から10m離れた位置が決定される。これらの条件を満たす位置にランドマーク60を表示することにより、ランドマーク60の位置補正が行われる。
【0066】
上記に説明したような処理を行うことにより、要約地図においてランドマークの位置が補正され、道路とランドマークとの位置関係を要約前の元の地図に近似させることができる。その結果、図10(a)に示す元の地図のランドマーク位置に対して、要約地図におけるランドマーク位置を図10(c)のようにすることができる。こうして要約地図上にランドマーク位置が表される。
【0067】
以上説明した第1の実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)ユーザに指定されたランドマークを検索し、そのランドマークの要約地図における表示状況に応じて、強調表示処理、追加表示処理、縮尺切り替え表示処理または方向表示処理のいずれかの表示処理を行うことにより、そのランドマークを異なる表示形態で要約地図上に表示することとした。このようにしたので、要約地図におけるランドマークの表示状況に合わせて、そのランドマークの位置を分かりやすく示すことができる。
【0068】
(2)検索されたランドマークが要約地図上に既に表示されている場合、強調表示処理を実行することにより、そのランドマークを強調して要約地図上に表示することとした。このようにしたので、既に表示されているランドマークがユーザによって指定された際に、そのランドマークを目立つように要約地図上に表示することにより、そのランドマークの位置を分かりやすく示すことができる。
【0069】
(3)検索されたランドマークが要約地図上に表示されておらず、その要約地図の範囲内に存在する場合、追加表示処理を実行することにより、そのランドマークを要約地図上に追加表示することとした。このようにしたので、表示されていないランドマークがユーザによって指定された際にも、そのランドマークを要約地図上に追加表示してその位置を分かりやすく示すことができる。
【0070】
(4)検索されたランドマークが要約地図上に表示されておらず、その要約地図の範囲内に存在しない場合であって、さらに現在地からの距離が所定のしきい値よりも小さい場合、縮尺切り替え表示処理を実行することにより、そのランドマークを地図範囲内に含むように地図の縮尺を切り替えた後、そのランドマークを要約地図上に表示することとした。このようにしたので、それまで表示されていた要約地図の範囲内に存在しないランドマークがユーザによって指定された際にも、そのランドマークを縮尺切り替え後の要約地図上に追加表示してその位置を分かりやすく示すことができる。
【0071】
(5)検索されたランドマークが要約地図上に表示されておらず、その要約地図内に存在しない場合であって、さらに現在地からの距離が所定のしきい値以上である場合、方向表示処理を実行することにより、そのランドマークを現在地から見た方向を要約地図上に表示することとした。このようにしたので、現在地から遠くにあるランドマークがユーザによって指定された際にも、そのランドマークの方向を要約地図上に表示してその位置を分かりやすく示すことができる。
【0072】
−第2の実施の形態−
本発明の第2の実施形態によるナビゲーションシステムの構成を図13に示す。このナビゲーションシステムは、第1の実施形態と同じ図1に示すナビゲーション装置1と、通信端末2、移動体通信網3およびコンテンツサーバ4によって構成されている。通信端末2は制御回路11に接続されており、移動体通信網3とコンテンツサーバ4が接続されている。
【0073】
ナビゲーション装置1は、第1の実施の形態と同様に、設定された目的地までの推奨経路を探索し、その推奨経路の周囲について要約地図を作成して表示すると共に、要約地図上に示された推奨経路に従って自車両を目的地まで案内する。そして、要約地図の表示中にユーザからの音声によりランドマークが指定されると、DVD−ROM19に記録された地図データに基づいて指定されたランドマークを検索し、そのランドマークの位置を要約地図上でユーザに判別させるために前述のような処理を実行する。
【0074】
さらに本実施形態では、ユーザによって指定されたランドマークがDVD−ROM19の地図データから検索されなかった場合に、ナビゲーション装置1からコンテンツサーバ4に対して当該ランドマークの問い合わせを行う。コンテンツサーバ4はPOI(Point Of Interest)データベースを有しており、ナビゲーション装置1からの問い合わせに応じて、そのPOIデータベースに基づいてランドマークの検索を行う。POIデータベースには、全国各地のPOIデータ(ランドマークの位置、名称、種類などを表しているデータ)が記録されており、常にあるいは定期的に、最新の内容に更新されている。コンテンツサーバ4によるランドマークの検索結果は、ナビゲーション装置1へと返信される。ナビゲーション装置1はこの検索結果を用いて、指定されたランドマークを要約地図上に表示する。
【0075】
なお、ナビゲーション装置1からコンテンツサーバ4に対して当該ランドマークの問い合わせを行う際には、ナビゲーション装置1における制御回路11の制御により、通信端末2が移動体通信網3に無線接続される。これにより、通信端末2と移動体通信網3を介して、ナビゲーション装置1とコンテンツサーバ4の間で通信回線が確立される。通信端末2と移動体通信網3が無線接続される際には、不図示の無線基地局が用いられる。この無線基地局は、その周囲の所定の通信エリア内にある通信端末2と無線通信することが可能であり、全国各地に散在している。ナビゲーション装置1と通信端末2との接続には、ケーブル等による有線接続に限らず、たとえば赤外線などの無線接続を用いてもよい。通信端末2には、たとえば携帯電話などが用いられる。
【0076】
本実施形態において制御回路11により実行されるフローチャートを図14に示す。このフローチャートでは、図6に示す第1の実施形態のフローチャートと同じ内容を実行する処理ステップについては、図6と同一のステップ番号としている。なお、その同一ステップ番号部分の説明については、既に図6において説明済みであるため、ここでは省略するものとする。
【0077】
ステップS101では、ステップS100において指定されたランドマークが検索されたか否かを判定する。検索された場合はステップS104へ進み、検索されなかった場合はステップS102へ進む。ステップS102では、コンテンツサーバ4への問い合わせを上記のようにして行う。コンテンツサーバ4は、この問い合わせに応じてランドマーク検索を行い、その検索結果をナビゲーション装置1へと返信する。コンテンツサーバ4からの返信を受信したら、ステップS102から次のステップS103へと進む。
【0078】
ステップS103では、ステップS102においてコンテンツサーバ4から受信した検索結果により、ランドマークが検索されたか否かを判定する。検索された場合はステップS104へ進み、検索されなかった場合は図14のフローチャートを終了する。なおフローチャートを終了する際には、図6のステップS110において終了する場合と同様に、指定されたランドマークが検索できなかったことを表すメッセージを音声出力または画面表示して、ユーザにその旨を伝えることが好ましい。
【0079】
ステップS104では、ステップS100において指定されたランドマークがステップS100またはS102において特定できたか否かを判定する。特定できた場合はステップS120へ進み、そのランドマークを対象として、図6において説明したような処理を実行する。一方、複数のランドマークがステップS100またはS102において検索された場合は、以降の処理対象とするランドマークの候補が複数あって1つに特定できないため、ステップS105へと進む。
【0080】
ステップS105では、検索された複数のランドマーク候補の中からいずれか1つを処理対象ランドマークとして選択する。このとき、音声入力装置20を用いた音声対話や、画面表示した中から入力装置17の操作によって選択させたりすることで、複数のランドマーク候補のいずれかをユーザに選択させる。処理対象ランドマークが選択されたらステップS120へ進み、そのランドマークを対象として、図6において説明したような処理を実行する。
【0081】
以上説明した第2の実施の形態によれば、DVD−ROM19に記録されている地図データに基づいてユーザに指定されたランドマークを検索できなかった場合、ナビゲーション装置1の外部に設置されたコンテンツサーバ4に接続してそのランドマークを検索させることとした。このようにしたので、地図データに反映されていない最新のランドマークなどがユーザに指定された場合でも、そのランドマークを要約地図上に表示することができる。
【0082】
なお、上記の各実施形態では、音声入力装置20において、ユーザから入力された音声の内容を認識し、その音声内容に基づいてユーザに指定されたランドマークを特定する例を説明した。しかし本発明はこの内容には限定されず、音声入力以外の方法、たとえばリモコンやタッチパネルの操作などによって、ユーザに指定するランドマークを入力させるようにしてもよい。
【0083】
また、上記の各実施形態では、ナビゲーション装置において、DVD−ROMなどの記憶メディアより地図データを読み出して要約地図を作成する例について説明しているが、本発明はこの内容には限定されない。たとえば、携帯電話などによる無線通信を用いて、地図データを情報配信センターからダウンロードする通信ナビゲーション装置などにおいても、本発明を適用できる。この場合、上記に説明したような要約地図の作成処理を情報配信センターにおいて行い、その結果を情報配信センターから信号出力してナビゲーション装置へ配信するようにしてもよい。すなわち、情報配信センターは、要約地図を作成する装置と、その要約地図を外部へ信号出力する装置によって構成される。
【0084】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】強調表示処理の様子を示す図である。
【図3】追加表示処理の様子を示す図である。
【図4】縮尺切り替え表示処理の様子を示す図である。
【図5】方向表示処理の様子を示す図である。
【図6】第1の実施の形態において各表示処理の際に実行されるフローチャートである。
【図7】要約地図を作成するときに利用される2分割の場合の方向量子化処理の内容を説明するための図である。
【図8】同じく4分割の場合の方向量子化処理の内容を説明するための図である。
【図9】各リンク形状を曲線で近似することによって各経路の道路形状を簡略化する方法を説明するための図である。
【図10】ランドマークの位置補正の概要の説明図である。
【図11】ランドマークの位置補正の詳細アルゴリズムの説明図である。
【図12】ランドマークの位置補正の具体例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態によるナビゲーションシステムの構成を示すブロック図である。
【図14】第2の実施の形態において各表示処理の際に実行されるフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1 ナビゲーション装置
2 通信端末
3 移動体通信網
4 コンテンツサーバ
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 入力装置
18 ディスクドライブ
19 DVD−ROM
20 音声入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種のランドマークの情報を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
地図を要約した要約地図を前記地図データに基づいて作成する要約地図作成手段と、
前記要約地図作成手段により作成された要約地図を表示モニタに表示する地図表示制御手段と、
前記地図データに基づいてユーザに指定されたランドマークを検索する検索手段と、
前記検索手段により検索されたランドマークの前記要約地図における表示状況に応じて、そのランドマークを異なる表示形態で前記要約地図上に表示するランドマーク表示制御手段とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1のナビゲーション装置において、
前記検索されたランドマークが前記要約地図上に既に表示されている場合、
前記ランドマーク表示制御手段は、そのランドマークを強調して前記要約地図上に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または2のナビゲーション装置において、
前記検索されたランドマークが、前記要約地図上に表示されておらず、その要約地図の範囲内に存在する場合、
前記ランドマーク表示制御手段は、そのランドマークを前記要約地図上に追加表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかのナビゲーション装置において、
前記検索されたランドマークが、前記要約地図上に表示されておらず、その要約地図の範囲内に存在しない場合であって、さらに現在地からの距離が所定のしきい値よりも小さい場合、
前記ランドマーク表示制御手段は、そのランドマークを地図範囲内に含むように前記要約地図の縮尺を切り替えた後、そのランドマークを前記要約地図上に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかのナビゲーション装置において、
前記検索されたランドマークが、前記要約地図上に表示されておらず、その要約地図の範囲内に存在しない場合であって、さらに現在地からの距離が所定のしきい値以上である場合、
前記ランドマーク表示制御手段は、そのランドマークを現在地から見た方向を前記要約地図上に表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかのナビゲーション装置において、
ユーザから入力された音声の内容を認識し、その音声内容に基づいてユーザに指定されたランドマークを特定する音声認識手段をさらに備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかのナビゲーション装置において、
前記検索手段は、前記地図データに基づいてユーザに指定されたランドマークを検索できなかった場合、外部のコンテンツサーバに接続してそのランドマークを検索させ、
前記ランドマーク表示制御手段は、前記コンテンツサーバにより検索されたランドマークを前記要約地図上に表示することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−162534(P2006−162534A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357787(P2004−357787)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】